IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電波測定装置 図1
  • 特許-電波測定装置 図2
  • 特許-電波測定装置 図3
  • 特許-電波測定装置 図4
  • 特許-電波測定装置 図5
  • 特許-電波測定装置 図6
  • 特許-電波測定装置 図7
  • 特許-電波測定装置 図8
  • 特許-電波測定装置 図9
  • 特許-電波測定装置 図10
  • 特許-電波測定装置 図11
  • 特許-電波測定装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】電波測定装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/14 20180101AFI20241107BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20241107BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20241107BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
H04W76/14
H04W4/38
H04W84/18
H04M11/00 301
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020197092
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085418
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】松崎 洸貴
(72)【発明者】
【氏名】中原 正守
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-082775(JP,A)
【文献】特開2004-135038(JP,A)
【文献】特開平10-022945(JP,A)
【文献】特開2006-159508(JP,A)
【文献】特開2013-223170(JP,A)
【文献】特開2010-049621(JP,A)
【文献】特開2015-220737(JP,A)
【文献】特開2019-036901(JP,A)
【文献】特開2018-029293(JP,A)
【文献】特開2014-179833(JP,A)
【文献】特開2014-212372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4、6
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線通信装置との間で無線通信を行う第2無線通信装置の設置の可否を判定する電波測定装置であって、
第1電波を送信し、前記第1電波を受信した前記第1無線通信装置から、応答情報を示す第2電波を受信する無線通信部と、
前記無線通信部を制御する制御部と
予め定められた情報を報知する報知部と
を備え、
前記制御部は、前記応答情報に基づいて、前記第2無線通信装置の設置を許可するか、不許可とするか、又は、第3電波を送信するかを決定し、
前記制御部は、前記第2無線通信装置の設置を許可することを決定した場合、前記第2無線通信装置の設置可であることを示す情報を前記報知部に報知させ、
前記制御部は、前記第2無線通信装置の設置を不許可とすることを決定した場合、前記第2無線通信装置の設置不可であることを示す情報を前記報知部に報知させ、
前記制御部は、前記第3電波を送信することを決定した場合、前記無線通信部に前記第3電波を送信させ、
前記応答情報は、前記第1無線通信装置によって受信された前記第1電波の電界強度を示す、電波測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第3電波を送信することを決定した場合、前記応答情報に基づいて、前記第3電波の送信時間を決定する、請求項に記載の電波測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記応答情報に基づいて判定対象を取得し、
前記判定対象を判定基準と比較することにより、前記第3電波を送信するか否かを決定する、請求項1又は請求項2に記載の電波測定装置。
【請求項4】
前記判定対象は、前記第1無線通信装置が受信した前記第1電波の電界強度の平均値を含み、
前記判定基準は、前記第1無線通信装置が受信した前記第1電波の電界強度の平均値に対して予め定められた基準値を含む、請求項に記載の電波測定装置。
【請求項5】
前記判定対象は、前記第1無線通信装置が受信した前記第1電波の電界強度の最小値を含み、
前記判定基準は、前記第1無線通信装置が受信した前記第1電波の電界強度の最小値に対して予め定められた基準値を含む、請求項又は請求項に記載の電波測定装置。
【請求項6】
前記第1電波は、複数のパケットを搬送し、
前記判定対象は、パケット取得率を含み、
前記パケット取得率は、前記複数のパケットのうち、前記第1無線通信装置が受信できたパケットの数を示し、
前記判定基準は、前記パケット取得率に対した予め定められた基準値を含む、請求項から請求項のいずれか1項に記載の電波測定装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第3電波を送信することを決定した場合、前記応答情報に基づいて、前記判定基準を変更するか否かを決定し、
前記判定基準を変更することを決定した場合、前記応答情報に基づいて前記判定基準を変更する、請求項から請求項のいずれか1項に記載の電波測定装置。
【請求項8】
前記第1電波は、複数のパケットセットを搬送し、
前記複数のパケットセットの各々は、複数のパケットを含む、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電波測定装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第3電波を送信することを決定した場合、前記第2無線通信装置の設置の可否の判定中であることを示す情報を前記報知部に報知させる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電波測定装置。
【請求項10】
前記電波測定装置は、前記第2無線通信装置である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電波測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の無線通信装置を備える通信システムに対し、新たに無線通信装置を追加することがある。この場合、追加予定の無線通信装置を設置する前に、設置予定場所(追加予定の無線通信装置を設置する予定の場所)において、追加予定の無線通信装置が、既に設けられている無線通信装置のうちの一つとの間で、無線通信を良好に行うことができるか否かを検査することがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の自動検針システム用無線装置(以下、自動検針システム用無線装置を、「無線装置」と記載する)は、設置予定場所において無線通信の状態を確認することができる。具体的には、特許文献1の無線装置は、通信状態検出手段と、表示手段とを備える。通信状態検出手段は、設置予定場所における無線通信の状態をチャンネル毎に検出する。表示手段は、検出された無線通信の状態を表示する。詳しくは、通信状態検出手段は、無線装置が受信した無線信号の電界強度を検出する。表示手段は、検出された電界強度のレベルを表示する。
【0004】
したがって、特許文献1の無線装置によれば、作業者が、表示手段によって表示される電界強度のレベルに基づいて、設置予定場所に無線装置を設置してよいか否かを判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-72518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、通信環境の良い設置予定場所において、無線通信装置の設置工事時に、瞬間的に通信状態が悪くなることがある。この場合、特許文献1の無線装置では、表示手段に表示される電界強度のレベルがノイズレベルを示す可能性がある。したがって、通信環境の良い設置予定場所であるにも関わらず、作業者が、無線通信装置を設置できないと判断する可能性がある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信環境の良い設置予定場所であるにも関わらず、作業者が、無線通信装置を設置できないと判断する可能性を低減できる電波測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電波測定装置は、第1無線通信装置との間で無線通信を行う第2無線通信装置の設置の可否を判定する。当該電波測定装置は、無線通信部と、制御部とを備える。前記無線通信部は、第1電波を送信し、前記第1電波を受信した前記第1無線通信装置から、応答情報を示す第2電波を受信する。前記制御部は、前記無線通信部を制御する。前記制御部は、前記応答情報に基づいて、第3電波を送信するか否かを決定する。前記制御部は、前記第3電波を送信することを決定した場合、前記無線通信部に前記第3電波を送信させる。前記応答情報は、前記第1無線通信装置によって受信された前記第1電波の電界強度を示す。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電波測定装置によれば、通信環境の良い設置予定場所であるにも関わらず、作業者が、無線通信装置を設置できないと判断する可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】通信システムを示す図である。
図2】本発明の実施形態1に係る子機の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態1に係る新設子機の制御部が取得する判定対象を示す図である。
図4】本発明の実施形態1に係る新設子機の制御部が取得する判定対象を示す図である。
図5】本発明の実施形態1に係る新設子機の制御部が取得する判定対象を示す図である。
図6】本発明の実施形態1に係る新設子機の制御部が取得する判定対象を示す図である。
図7】本発明の実施形態1に係る新設子機の制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
図8】再送信処理を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態2に係る電波測定用装置を含む通信システムを示す図である。
図10】本発明の実施形態2に係る電波測定用装置の構成を示すブロック図である。
図11】本発明の実施形態3に係る新設子機を含む通信システムを示す図である。
図12】親機の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面(図1図12)を参照して本発明の電波測定装置に係る実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
[実施形態1]
以下、図1図8を参照して本発明の実施形態1を説明する。まず、図1を参照して通信システム100を説明する。図1は、通信システム100を示す図である。通信システム100は、複数の無線通信装置を備える。複数の無線通信装置は、予め規定された縁組情報に基づいて無線通信を行う。縁組情報は、複数の無線通信装置において、互いに通信を行う無線通信装置の組み合わせを規定している。詳しくは、各無線通信装置は、縁組情報として、自機の通信相手を示す情報を記憶している。本実施形態において、通信システム100は、テレメータシステムである。以下、通信システム100を、「テレメータシステム100」と記載する場合がある。
【0013】
図1に示すように、テレメータシステム100は、親機10と、複数の子機20と、複数のメータ30と、サーバ40と、センタ側網制御装置50とを備える。親機10及び子機20は、無線通信装置の一例である。
【0014】
メータ30は、計測装置である。メータ30の計測対象は、例えば、ガス、水道、又は電気のような資源又はエネルギーである。メータ30は、例えば、ガス、水道、又は電気の使用量を計測し、計測値(計測した値)を示す信号を出力する。メータ30は、例えば、個人宅、会社、及び各種施設のような需要家毎に設置される。以下では、ガスの使用量を計測するガスメータを例に挙げて本発明の実施形態を説明するが、メータ30はガスメータに限定されない。
【0015】
テレメータシステム100は、メータ30による計測の結果(計測値)を収集するシステムである。具体的には、各メータ30による計測の結果は、サーバ40に収集される。以下、図1を参照してテレメータシステム100を更に説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態では、複数のメータ30は、親機10に接続されるメータ30aと、複数の子機20にそれぞれ接続される複数のメータ30bとを含む。メータ30aは、電線PLを介して親機10に有線接続される。電線PLは、信号線と、グランド線とを有する。親機10は、メータ30aから計測値(計測結果)を取得する。同様に、メータ30bはそれぞれ、対応する子機20に電線PLを介して有線接続される。各子機20は、対応するメータ30bから計測値(計測結果)を取得する。
【0017】
親機10は、例えば、メータ30aの周辺の壁に設置される。あるいは、親機10は、メータ30a(ガスメータ)が設置されているガス管に設置される。同様に、各子機20は、例えば、対応するメータ30bの周辺の壁、又は、対応するメータ30b(ガスメータ)が設置されているガス管に設置される。
【0018】
親機10及び複数の子機20は、予め規定された縁組情報に基づいて無線通信を行う。縁組情報は、親機10及び複数の子機20において、互いに通信を行う通信相手(無線通信装置)の組み合わせを規定している。したがって、親機10及び各子機20の通信相手は予め定められている。具体的には、図1に示すテレメータシステム100において、複数の子機20は、3つの子機20a~20cを含む。親機10は、子機20a及び子機20bとの間で無線通信を行う。子機20aは、親機10及び子機20cとの間で無線通信を行う。子機20bは、親機10との間で無線通信を行う。子機20cは、子機20aとの間で無線通信を行う。
【0019】
詳しくは、親機10、及び複数の子機20の各々は、縁組情報として、自機の通信相手の識別情報を記憶している。識別情報は、例えば、通信相手の識別IDと、通信相手のアドレス情報とを含む。
【0020】
テレメータシステム100では、親機10と子機20との通信、及び、子機20同士の通信に、例えば特定小電力無線(特小無線)による通信が用いられる。特小無線による通信の周波数帯域は、例えば、920MHz帯である。
【0021】
各子機20は、対応するメータ30bから取得した計測値を示すデータ(以下、計測値を示すデータを、「計測データ」と記載する場合がある)を親機10へ送信する。具体的には、子機20a及び子機20bは、計測データを親機10へ送信する。子機20cは、子機20aを経由して、計測データを親機10へ送信する。
【0022】
親機10は、広域無線網Neを介して、センタ側網制御装置50との間で無線通信を行う。親機10は、各子機20から送信された計測データを、広域無線網Neを介してセンタ側網制御装置50へ送信する。また、親機10は、メータ30aから取得した計測値を示すデータ(計測データ)を、広域無線網Neを介してセンタ側網制御装置50へ送信する。
【0023】
広域無線網Neは、例えば、PHS(Personal Handy-phone System)網、FOMA(Freedom Of Mobile Multimedia Access)網、LTE(Long Term Evolution)網、4G(第4世代移動通信システム)網、又は5G(第5世代移動通信システム)網である。
【0024】
センタ側網制御装置50は、例えば、通信事業者の公衆網に設けられる。センタ側網制御装置50は、サーバ40と親機10との間の通信を仲介する。センタ側網制御装置50は、広域無線網Neを介して親機10から受信した計測データをサーバ40へ送信する。
【0025】
サーバ40は、センタ側網制御装置50からサーバ40に送信される計測データを、メータ30ごとに記憶する。本実施形態において、サーバ40は、ガスを供給する事業者が管理するサーバである。
【0026】
続いて図1を参照して、テレメータシステム100に新たに子機20Aを追加する際に作業者が行う作業について説明する。追加予定の子機20Aの通信相手は、既に設置されている子機20のうちの一つから選択される。図1に示すテレメータシステム100において、追加予定の子機20Aの通信相手は、子機20cである。以下、追加予定の子機20を、「新設子機20A」と記載する場合がある。子機20cは第1無線通信装置の一例であり、新設子機20Aは第2無線通信装置及び電波測定装置の一例である。
【0027】
子機20は、複数の動作モードを有する。複数の動作モードは、電界強度測定モードと、受信モードとを含む。テレメータシステム100に対して、新設子機20Aを追加する場合、作業者は、新設子機20Aの通信相手となる子機20(子機20c)の動作モードを受信モードに切り替える。また、作業者は、新設子機20Aの動作モードを電界強度測定モードに切り替えるとともに、新設子機20Aを設置予定場所Pに仮設置する。
【0028】
次に、作業者は、新設子機20Aから、電界強度測定用の電波を発射させる。電波測定用の電波は、複数のパケットを搬送する。複数のパケットは、ブロードキャスト方式で送信される。本実施形態において、新設子機20Aは、電界強度測定用の電波を複数回連続発射する。なお、電界強度測定用の電波は、第1電波の一例である。
【0029】
子機20cは、新設子機20Aから発射された電界強度測定用の電波を受信する。子機20cは、電界強度測定用の電波を受信すると、新設子機20A宛てに、応答情報を示す電波を送信する。応答情報は、子機20cによって受信された電界強度測定用の電波の電界強度を示す。なお、応答情報を示す電波は、第2電波の一例である。
【0030】
新設子機20Aは、応答情報を示す電波を受信すると、応答情報に基づき、新設子機20Aの設置の可否を判定する。より具体的には、新設子機20Aは、仮設置した状態で新設子機20Aを設置することを許可するか、不許可とするか、又は、電界強度測定用の電波を再度発射するかを決定する。ここで、新設子機20Aを仮設置した状態には、応答情報を示す電波を受信したときの新設子機20Aの位置及び向きが含まれる。更に、新設子機20Aを仮設置した状態には、応答情報を示す電波を受信したときの新設子機20Aのアンテナ222(図2参照)の位置、向き、及び角度が含まれる。なお、再度発射される電界強度測定用の電波は、第3電波の一例である。
【0031】
新設子機20Aは、電界強度測定用の電波を再度発射することを決定した場合、電界強度測定用の電波を再度発射する。したがって、新設子機20Aが、電界強度測定用の電波を再度発射することを決定した場合、作業者は、新設子機20Aを操作する必要がない。以下、電界強度測定用の電波を再度発射することを、「再送信」と記載する場合がある。
【0032】
一方、新設子機20Aが、仮設置した状態で新設子機20Aを設置することを許可した場合、作業者は、新設子機20Aを仮設置した状態で固定する。また、新設子機20Aが、仮設置した状態で新設子機20Aを設置することを不許可とした場合、作業者は、新設子機20Aの位置等を調整した後、新設子機20Aから電界強度測定用の電波を発射させる。なお、作業者は、設置予定場所Pに新設子機20Aを固定した後に、メータ30に接続している電線PLを新設子機20Aに接続させる。
【0033】
本実施形態によれば、新設子機20Aは、通信環境の良い設置予定場所Pにおいて、電界強度測定用の電波の発射時(新設子機20Aの仮設置時)に、瞬間的に通信状態が悪くなると、電界強度測定用の電波を再送信して、新設子機20Aの設置の可否を再度判定する。したがって、通信環境の良い設置予定場所Pであるにも関わらず、作業者が、新設子機20Aを設置できないと判断する可能性を低減できる。
【0034】
続いて図2を参照して子機20の構成を説明する。図2は、本実施形態の子機20の構成を示すブロック図である。図2に示すように、子機20は、制御部21と、無線通信部22と、接続部23と、記憶部24と、操作部25と、報知部26とを備える。
【0035】
制御部21は、子機20の各要素を制御する。例えば、制御部21は、無線通信部22、記憶部24、及び報知部26を制御する。制御部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサを含む。プロセッサは、記憶部24に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、子機20の各要素を制御する。なお、制御部21と記憶部24とによりマイクロコンピュータが構成されてもよい。
【0036】
無線通信部22は、無線通信を行う。詳しくは、無線通信部22は、電波(無線信号)を送受信する。無線通信部22は、無線通信回路部221と、アンテナ222とを有する。
【0037】
無線通信回路部221は、制御部21から無線通信回路部221に出力された信号を、予め定められた無線通信方式に準拠する信号に変換してアンテナ222に送信する。この結果、アンテナ222から、予め定められた無線通信方式に準拠する電波(無線信号)が発射される。また、無線通信回路部221は、アンテナ222が受信した無線信号(電波)を、制御部21が処理できる信号に変換して、制御部21に出力する。無線通信回路部221は、例えば、920MHz帯域通信用のRF-LSIを有する通信モジュールである。
【0038】
無線通信回路部221は、アンテナ222が受信した電波の電界強度の値を検出する。無線通信回路部221は、検出した電界強度の値を制御部21に出力する。制御部21は、子機20の動作モードが受信モードである場合、無線通信回路部221において検出された電界強度の値を示す電波(応答情報を示す電波)を、無線通信部22のアンテナ222から発射させる。
【0039】
接続部23には、メータ30に接続された電線PLが接続される。したがって、接続部23は、電線PLを介してメータ30と有線接続される。制御部21は、電線PL及び接続部23を介して、メータ30から計測値を取得する。
【0040】
記憶部24は、自機を識別するための識別情報と、自機の通信相手を識別するための識別情報とを記憶する。また、記憶部24は、制御部21(プロセッサ)によって実行される種々のコンピュータプログラムを記憶する。記憶部24は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びフラッシュメモリのような半導体メモリを含む。
【0041】
操作部25は、作業者によって操作される。作業者は、操作部25を操作することにより、子機20の動作モードを切り替えることができる。具体的には、作業者は、操作部25を操作することにより、子機20の動作モードを、電界強度測定モード又は受信モードに切り替えることができる。また、作業者は、操作部25を操作することにより、無線通信部22のアンテナ222から、電界強度測定用の電波を発射させることができる。つまり、作業者は、操作部25を操作することにより、子機20(制御部21)に対して電界強度測定用の電波の発射を指示することができる。操作部25は、例えば、ディップスイッチ及びプッシュスイッチを含む。
【0042】
報知部26は、予め定められた情報を報知する。具体的には、子機20が新設子機20Aである場合、制御部21は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定したことに応じて、新設子機20Aの設置の可否の判定中であることを報知部26に報知させる。例えば、制御部21は、新設子機20Aの設置の可否の判定を延長していることを報知部26に報知させてもよい。また、制御部21は、新設子機20Aの設置の可否が判定されると、設置可である旨、又は、設置不可である旨を報知部26に報知させる。
【0043】
報知部26は、例えば、画像を表示する表示部を含む。表示部は、例えば、液晶パネル、又は7セグメントディスプレイである。子機20が新設子機20Aである場合、制御部21は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定したことに応じて、新設子機20Aの設置の可否の判定中であることを示す画像を表示部に表示させる。また、制御部21は、新設子機20Aの設置の可否が判定されると、設置可である旨を示す画像、又は、設置不可である旨を示す画像を表示部に表示させる。
【0044】
報知部26は、少なくとも1つの発光素子を含んでもよい。この場合、報知部26は、発光素子の点灯パターンによって、予め定められた情報を報知する。報知部26は、例えば、LED(Light Emitting Diode)ランプ、又は7セグメントディスプレイである。
【0045】
具体的には、子機20が新設子機20Aである場合、制御部21は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定したことに応じて、新設子機20Aの設置の可否の判定中であることを示す点灯パターンで発光素子を点灯させる。また、制御部21は、新設子機20Aの設置の可否が判定されると、設置可であることを示す点灯パターン、又は、設置不可であることを示す点灯パターンで発光素子を点灯させる。
【0046】
続いて図2を参照して、動作モードが受信モードに切り替えられた子機20(子機20c)の制御部21が実行する処理について説明する。
【0047】
子機20cの制御部21は、アンテナ222が電波を受信すると、無線通信回路部221によって検出された電界強度の値を取得する。詳しくは、新設子機20Aから発射される電界強度測定用の電波は、複数のパケットを搬送する。無線通信回路部221は、電界強度の値を、アンテナ222によって受信されたパケットごとに検出する。したがって、制御部21は、パケットごとに電界強度の値を取得する。
【0048】
子機20cの制御部21は、電界強度の値を取得すると、新設子機20A宛てに、アンテナ222から応答情報を示す電波を送信する。応答情報は、パケットごとの電界強度の値を示す。
【0049】
より詳しくは、電界強度測定用の電波は、複数回連続して発射される。子機20cの制御部21は、電界強度測定用の電波ごとに、応答情報を作成する。例えば、電界強度測定用の電波が5回連続して発射された場合、子機20cの制御部21は、5回連続して発射された電界強度測定用の電波に対応して、第1応答情報~第5応答情報を作成する。この場合、応答情報は、第1応答情報~第5応答情報を含む。
【0050】
続いて図2を参照して、動作モードが電界強度測定モードに切り替えられた子機20(新設子機20A)の制御部21が実行する処理について説明する。
【0051】
作業者が操作部25を操作して電界強度測定用の電波の発射を指示すると、新設子機20Aの制御部21は、アンテナ222から電界強度測定用の電波を発射させる。本実施形態において、制御部21は、電界強度測定用の電波を複数回連続して発射させる。電界強度測定用の電波が複数回連続して発射されることにより、複数のパケットセットが搬送される。換言すると、電界強度測定用の電波はそれぞれ、パケットセットを搬送する。パケットセットは、複数のパケットを含む。したがって、子機20c(動作モードが受信モードに切り替えられた子機20)は、パケットセットごとに、子機20cのアンテナ222が受信した各パケットの電界強度の値を検出する。
【0052】
新設子機20Aの制御部21は、応答情報を示す電波をアンテナ222が受信すると、応答情報に基づき、新設子機20Aの設置の可否を判定する。より具体的には、制御部21は、応答情報に基づいて判定対象を取得し、判定対象を判定基準と比較することにより、仮設置した状態で新設子機20Aを設置することを許可するか、不許可とするか、又は、電界強度測定用の電波を再送信するかを決定する。判定基準は、記憶部24に予め記憶されている。
【0053】
より詳しくは、子機20cは、パケットセットごとに応答情報を作成する。新設子機20Aの制御部21は、応答情報に基づき、パケットセットごとに判定対象を取得する。そして、パケットセットごとに、判定対象と判定基準とを比較する。
【0054】
続いて図2図6を参照して、新設子機20Aの制御部21が取得する判定対象を説明する。図3図6はそれぞれ、新設子機20Aの制御部21が取得する判定対象を示す図である。
【0055】
図3に示すように、判定対象は、電界強度平均値X(dBm)、電界強度最小値Xmin(dBm)、及びパケット取得率P(%)を含む。なお、判定基準は、第1基準値R1~第3基準値R3を含む。第1基準値R1は、電界強度平均値Xに対して予め定められた基準値である。第2基準値R2は、電界強度最小値Xminに対して予め定められた基準値である。第3基準値R3は、パケット 取得率Pに対して予め定められた基準値である。第1基準値R1~第3基準値R3は、記憶部24に予め記憶されている。
【0056】
新設子機20Aの制御部21は、応答情報に基づいて、電界強度測定用の電波(パケットセット)ごとに、電界強度平均値X、電界強度最小値Xmin、及びパケット取得率Pを取得する。本実施形態において、新設子機20Aは、電界強度測定用の電波を5回連続で発射する。
【0057】
電界強度平均値Xは、子機20cが受信した電界強度測定用の電波の電界強度の平均値を示す。例えば、新設子機20Aの制御部21は、1回目の電界強度測定用の電波に対する応答情報(第1応答情報)に基づいて、電界強度平均値X1を取得する。電界強度平均値X1は、子機20cが1回目の電界強度測定用の電波(1回目のパケットセット)を受信したときに検出した各パケットの電界強度の値の平均値を示す。
【0058】
同様に、新設子機20Aの制御部21は、2回目~5回目の電界強度測定用の電波に対する応答情報(第2応答情報~第5応答情報)に基づいて、電界強度平均値X2~X5を取得する。電界強度平均値X2~X5は、子機20cが2回目~5回目の電界強度測定用の電波(2回目~5回目のパケットセット)を受信したときに検出した各パケットの電界強度の値の平均値を示す。
【0059】
電界強度最小値Xminは、子機20cが受信した電界強度測定用の電波の電界強度の最小値を示す。例えば、新設子機20Aの制御部21は、第1応答情報に基づいて、電界強度最小値Xmin1を取得する。電界強度最小値Xmin1は、子機20cが1回目の電界強度測定用の電波(1回目のパケットセット)を受信したときに検出した各パケットの電界強度の値のうちの最小値を示す。
【0060】
同様に、新設子機20Aの制御部21は、第2応答情報~第5応答情報に基づいて、電界強度最小値Xmin2~電界強度最小値Xmin5を取得する。電界強度最小値Xmin2~電界強度最小値Xmin5は、子機20cが2回目~5回目の電界強度測定用の電波(2回目~5回目のパケットセット)を受信したときに検出した各パケットの電界強度の値のうちの最小値を示す。
【0061】
パケット取得率Pは、パケットセットに含まれる複数のパケットのうち、子機20cが受信できたパケットの数を示す。なお、新設子機20Aの制御部21は、子機20cが受信できたパケットの数を、応答情報によって示される電界強度の値の数から取得してもよい。
【0062】
例えば、新設子機20Aの制御部21は、第1応答情報に基づいて、パケット取得率P1を取得する。パケット取得率P1は、子機20cが1回目の電界強度測定用の電波(1回目のパケットセット)から受信できたパケットの数(電界強度の値を検出できたパケットの数)を示す。
【0063】
同様に、新設子機20Aの制御部21は、第2応答情報~第5応答情報に基づいて、パケット取得率P2~パケット取得率P5を取得する。パケット取得率P2~パケット取得率P5は、子機20cが2回目~5回目の電界強度測定用の電波(2回目~5回目のパケットセット)から受信できたパケットの数を示す。
【0064】
図4に示すように、判定対象は、電界強度平均値の最大変動幅D1を更に含む。なお、判定基準は、第4基準値R4を更に含む。第4基準値R4は、電界強度平均値の最大変動幅D1に対して予め定められた基準値である。第4基準値R4は、記憶部24に予め記憶されている。
【0065】
新設子機20Aの制御部21は、応答情報に基づいて、電界強度平均値の最大変動幅D1を取得する。電界強度平均値の最大変動幅D1は、電界強度平均値Xの最大値と最小値との差を示す。新設子機20Aの制御部21は、電界強度測定用の電波ごと(パケットセットごと)に取得した電界強度平均値Xの中から最大値と最小値とを取得して、電界強度平均値の最大変動幅D1を求める。例えば、新設子機20Aの制御部21は、以下の式(1)に基づいて、電界強度平均値の最大変動幅D1を求めてもよい。
D1=|最大値{X(1)~X(n)}-最小値{X(1)~X(n)}・・・(1)
【0066】
上記式(1)において、nは電界強度測定用の電波の連続発射回数である。例えば、電界強度測定用の電波の連続発射回数が5回である場合、新設子機20Aの制御部21は、以下の式(2)に基づいて、電界強度平均値の最大変動幅D1を求めてもよい。
D1=|最大値{X1、X2、X3、X4、X5}-最小値{X1、X2、X3、X4、X5}・・・(2)
【0067】
図5に示すように、判定対象は、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2を更に含む。なお、判定基準は、第5基準値R5を更に含む。第5基準値R5は、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2に対して予め定められた基準値である。第5基準値R5は、記憶部24に予め記憶されている。
【0068】
新設子機20Aの制御部21は、応答情報に基づいて、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2を取得する。電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2は、電界強度測定用の電波ごと(パケットセットごと)の電界強度平均値Xと電界強度最小値Xminとの差のうちの最も大きい値を示す。
【0069】
新設子機20Aの制御部21は、電界強度測定用の電波ごと(パケットセットごと)に、電界強度平均値Xと電界強度最小値Xminとの差を取得して、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2を求める。例えば、新設子機20Aの制御部21は、以下の式(3)に基づいて、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2を求めてもよい。
D2=最大値{|X(1)-Xmin(1)|~|X(n)-Xmin(n)|}・・・(3)
【0070】
上記式(3)において、nは電界強度測定用の電波の連続発射回数である。例えば、電界強度測定用の電波の連続発射回数が5回である場合、新設子機20Aの制御部21は、以下の式(4)に基づいて、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2を求めてもよい。
D2=最大値{|X1-Xmin1|、|X2-Xmin2|、|X3-Xmin3|、|X4-Xmin4|、|X5-Xmin5|}・・・(4)
【0071】
図6に示すように、判定対象は、パケット取得率の平均値Pavを更に含む。なお、判定基準は、第6基準値R6を更に含む。第6基準値R6は、パケット取得率の平均値Pavに対して予め定められた基準値である。第6基準値R6は、記憶部24に予め記憶されている。
【0072】
新設子機20Aの制御部21は、応答情報に基づいて、パケット取得率の平均値Pavを取得する。例えば、新設子機20Aの制御部21は、以下の式(5)に基づいて、パケット取得率の平均値Pavを求めてもよい。
Pav=(ΣPk)/n、k=1~n・・・(5)
【0073】
上記式(5)において、nは電界強度測定用の電波の連続発射回数である。例えば、電界強度測定用の電波の連続発射回数が5回である場合、新設子機20Aの制御部21は、以下の式(6)に基づいて、パケット取得率の平均値Pavを求めてもよい。
Pav=(P1+P2+P3+P4+P5)/5・・・(6)
【0074】
なお、以下の説明において、電界強度平均値X、電界強度最小値Xmin、及びパケット取得率Pを、「第1判定対象」と記載し、第1基準値R1、第2基準値R2、及び第3基準値R3を、「第1判定基準」と記載する場合がある。第1判定対象は、すべての電界強度平均値Xと、すべての電界強度最小値Xminと、すべてのパケット取得率Pとを含む。本実施形態では、第1判定対象は、電界強度平均値X1~X5と、電界強度最小値Xmin1~Xmin5と、パケット取得率P1~P5とを含む。
【0075】
同様に、電界強度平均値の最大変動幅D1を「第2判定対象」と記載し、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2を「第3判定対象」と記載し、パケット取得率の平均値Pavを「第4判定対象」と記載し、第4基準値R4~第6基準値R6を「第2判定基準」~「第4判定基準」と記載する場合がある。
【0076】
続いて図2図6を参照して、新設子機20Aの制御部21が、仮設置した状態で新設子機20Aを設置することを許可するか、不許可とするか、又は、電界強度測定用の電波を再送信するかを決定する処理について説明する。
【0077】
なお、以下の説明において、仮設置した状態で新設子機20Aを設置することを許可するか、不許可とするか、又は、電界強度測定用の電波を再発射するかを決定することを、「新設子機20Aの設置の可否等を決定する」と記載する場合がある。また、仮設置した状態で新設子機20Aを設置することを許可することを、「新設子機20Aの設置を許可する」と記載し、仮設置した状態で新設子機20Aを設置することを不許可とすることを、「新設子機20Aの設置を不許可とする」と記載する場合がある。
【0078】
記憶部24は、新設子機20Aの設置の可否等を決定するための条件である設置可否等決定条件を予め記憶している。制御部21は、設置可否等決定条件に基づいて、新設子機20Aの設置の可否等を決定する。設置可否等決定条件は、判定対象の一部が、対応する判定基準を満たさない場合に、電界強度測定用の電波を再送信することを決定する条件を含む。
【0079】
例えば、設置可否等決定条件は、以下で説明する設置可否等決定条件1~設置可否等決定条件6を含み得る。この場合、制御部21は、設置可否等決定条件1~設置可否等決定条件6に基づいて、新設子機20Aの設置の可否等を決定する。
【0080】
<設置可否等決定条件1>
制御部21は、すべての判定対象が、対応する判定基準を満たすとともに、第4判定対象(パケット取得率の平均値Pav)が規定値以上となる場合に、新設子機20Aの設置を許可する。規定値は、第4判定基準(第6基準値R6)よりも大きい値を示す。例えば第4判定基準(第6基準値R6)が90%である場合、規定値は96%であってもよい。
【0081】
<設置可否等決定条件2>
制御部21は、すべての判定対象が、対応する判定基準を満たす一方で、第4判定対象(パケット取得率の平均値Pav)が規定値を下回る場合に、電界強度測定用の電波を再送信することを決定する。
【0082】
<設置可否等決定条件3>
制御部21は、すべての第1判定対象が、対応する第1判定基準を満たし、第4判定対象が第4判定基準を満たす一方で、第2判定対象が第2判定基準を満たさない場合に、電界強度測定用の電波を再送信することを決定する。なお、第2判定対象が第2判定基準を満たさないとは、電界強度平均値の最大変動幅D1が第4基準値R4を超えることを示す。
【0083】
<設置可否等決定条件4>
制御部21は、すべての第1判定対象が、対応する第1判定基準を満たし、第4判定対象が第4判定基準を満たす一方で、第3判定対象が第3判定基準を満たさない場合に、電界強度測定用の電波を再送信することを決定する。なお、第3判定対象が第3判定基準を満たさないとは、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2が第5基準値R5を超えることを示す。
【0084】
<設置可否等決定条件5>
制御部21は、第1判定対象のうちの1つ又は2つが、対応する第1判定基準を満たさない場合に、電界強度測定用の電波を再送信することを決定する。
【0085】
<設置可否等決定条件6>
制御部21は、第1判定対象のうちの3つ以上が、対応する第1判定基準を満たさない場合に、新設子機20Aの設置を不許可とする。
【0086】
続いて図2図6を参照して、新設子機20Aの制御部21が実行する処理を更に説明する。なお、以下の説明において、再送信時における電界強度測定用の電波の連続発射回数を、「再送信時の連続発射回数」と記載する場合がある。また、作業者による操作部25の操作に応じて電界強度測定用の電波をアンテナ222から発射することを、「最初の送信」と記載する場合がある。
【0087】
新設子機20Aの制御部21は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定した場合、応答情報に基づいて、再送信時における電界強度測定用の電波の送信時間を決定する。より具体的には、制御部21は、応答情報に基づいて、再送信時の連続発射回数を決定する。詳しくは、記憶部24は、再送信時の連続発射回数を決定するための条件である連続発射回数決定条件を予め記憶している。制御部21は、連続発射回数決定条件に基づいて、再送信時の連続発射回数(送信時間の長さ)を決定する。
【0088】
例えば、最初の送信時に電界強度測定用の電波を5回連続発射する場合、連続発射回数決定条件は、以下で説明する連続発射回数決定条件1~連続発射回数決定条件7を含み得る。この場合、制御部21は、連続発射回数決定条件1~連続発射回数決定条件7に基づいて、再送信時の連続発射回数を「5回」及び「10回」のうちから選択する。
【0089】
<連続発射回数決定条件1>
最初の送信時における1回目~5回目の電界強度測定用の電波のうちのいずれか1つ(いずれか1つのパケットセット)に対して、パケット取得率Pが第3基準値R3を下回る場合(設置可否等決定条件5)、制御部21は、再送信時の連続発射回数を「5回」に決定する。
【0090】
<連続発射回数決定条件2>
最初の送信時における1回目~5回目の電界強度測定用の電波のうちのいずれか2つ(いずれか2つのパケットセット)に対して、パケット取得率Pが第3基準値R3を下回る場合(設置可否等決定条件5)、制御部21は、再送信時の連続発射回数を「10回」に決定する。
【0091】
<連続発射回数決定条件3>
最初の送信時における1回目~5回目の電界強度測定用の電波のうちのいずれか1つ(いずれか1つのパケットセット)に対して、電界強度平均値Xが第1基準値R1を下回るとともに、パケット取得率Pが第3基準値R3を下回る場合(設置可否等決定条件5)、制御部21は、再送信時の連続発射回数を「10回」に決定する。
【0092】
<連続発射回数決定条件4>
最初の送信時における1回目~5回目の電界強度測定用の電波のうちのいずれか1つ(いずれか1つのパケットセット)に対して、パケット取得率Pが0%である場合(設置可否等決定条件5)、制御部21は、再送信時の連続発射回数を「10回」に決定する。
【0093】
<連続発射回数決定条件5>
電界強度平均値の最大変動幅D1が第4基準値R4を超える場合(設置可否等決定条件3)、制御部21は、電界強度平均値の最大変動幅D1の大きさに応じて、再送信時の連続発射回数を「5回」又は「10回」に決定する。例えば、第4基準値R4が「4」である場合、制御部21は、電界強度平均値の最大変動幅D1が5以上8未満であるとき、再送信時の連続発射回数を「5回」に決定し、電界強度平均値の最大変動幅D1が8以上であるとき、再送信時の連続発射回数を「10回」に決定してもよい。
【0094】
<連続発射回数決定条件6>
電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2が第5基準値R5を超える場合(設置可否等決定条件4)、制御部21は、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2の大きさに応じて、再送信時の連続発射回数を「5回」又は「10回」に決定する。例えば、第5基準値R5が「3」である場合、制御部21は、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2が4以上6未満であるとき、再送信時の連続発射回数を「5回」に決定し、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2が6以上であるとき、再送信時の連続発射回数を「10回」に決定してもよい。
【0095】
<連続発射回数決定条件7>
パケット取得率の平均値Pavが第6基準値R6以上規定値未満の場合(設置可否等決定条件2)、制御部21は、再送信時の連続発射回数を「10回」に決定する。例えば、第6基準値R6が90%である場合、規定値は、96%であってもよい。
【0096】
続いて図2図6を参照して、新設子機20Aの制御部21が実行する処理を更に説明する。新設子機20Aの制御部21は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定した場合、判定基準を変更してもよい。より具体的には、制御部21は、より厳しい判定基準となるように、第1基準値R1~第6基準値R6の少なくとも1つを変更してもよい。例えば、第6基準値R6(パケット取得率Pに対する基準値)が90%である場合、制御部21は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定した場合、第6基準値R6を96%に変更してもよい。
【0097】
本実施形態では、新設子機20Aの制御部21は、応答情報に基づいて、判定基準を変更する。詳しくは、記憶部24は、判定基準を変更するための条件である判定基準変更条件を予め記憶している。制御部21は、判定基準変更条件に基づいて、判定基準を変更する。
【0098】
例えば、判定基準変更条件は、以下で説明する判定基準変更条件1~判定基準変更条件4を含み得る。この場合、制御部21は、判定基準変更条件1~判定基準変更条件4に基づいて、第6基準値R6(パケット取得率Pに対する基準値)を変更する。
【0099】
<判定基準変更条件1>
最初の送信時における1回目~5回目の電界強度測定用の電波のうちのいずれか1つ又は2つ(いずれか1つ又は2つのパケットセット)に対して、パケット取得率Pが第3基準値R3を下回る場合(連続発射回数決定条件1又は連続発射回数決定条件2)、制御部21は、第6基準値R6を変更する。
【0100】
<判定基準変更条件2>
最初の送信時における1回目~5回目の電界強度測定用の電波のうちのいずれか1つ(いずれか1つのパケットセット)に対して、電界強度平均値Xが第1基準値R1を下回るとともに、パケット取得率Pが第3基準値R3を下回る場合(連続発射回数決定条件3)、制御部21は、第6基準値R6を変更する。
【0101】
<判定基準変更条件3>
最初の送信時における1回目~5回目の電界強度測定用の電波のうちのいずれか1つ(いずれか1つのパケットセット)に対して、パケット取得率Pが0%である場合(連続発射回数決定条件4)、制御部21は、第6基準値R6を変更する。
【0102】
<判定基準変更条件4>
パケット取得率の平均値Pavが第6基準値R6以上規定値未満である場合(連続発射回数決定条件7)、制御部21は、第6基準値R6を変更する。例えば、第6基準値R6が90%である場合、規定値は、96%であってもよい。
【0103】
続いて図2図8を参照して、動作モードが電界強度測定モードに切り替えられた子機20(新設子機20A)の制御部21が実行する処理について更に説明する。図7は、本実施形態の新設子機20Aの制御部21が実行する処理を示すフローチャートである。図7に示す処理は、作業者が操作部25を操作して新設子機20Aの動作モードを電界強度測定モードに切り替えることにより開始する。
【0104】
図7に示すように、作業者が、操作部25を操作して新設子機20Aの動作モードを電界強度測定モードに切り替えた後、操作部25を操作して電界強度測定用の電波の発射を指示すると、制御部21は、電界強度測定用の電波をアンテナ222から発射(送信)させる(ステップS1)。本実施形態では、制御部21は、電界強度測定用の電波を5回連続で発射させる。
【0105】
電界強度測定用の電波がアンテナ222から発射された後、新設子機20Aのアンテナ222は、子機20cから応答情報を示す電波を受信する(ステップS2)。この結果、制御部21が応答情報を取得する。
【0106】
制御部21は、応答情報を取得すると、応答情報に基づいて、新設子機20Aの設置の可否等を決定する(ステップS3)。より具体的には、制御部21は、応答情報に基づいて判定対象を取得し、判定対象を判定基準と比較することにより、新設子機20Aの設置の可否等を決定する。例えば、制御部21は、図2図6を参照して説明した設置可否等決定条件1~設置可否等決定条件6に基づいて、新設子機20Aの設置の可否等を決定する。
【0107】
制御部21は、新設子機20Aの設置を許可することを決定した場合(ステップS3のA)、設置可である旨を報知部26に報知させて(ステップS8)、図7に示す処理を終了する。
【0108】
制御部21は、新設子機20Aの設置を不許可とすることを決定した場合(ステップS3のB)、設置不可である旨を報知部26に報知させて(ステップS9)、図7に示す処理を終了する。
【0109】
制御部21は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定した場合(ステップS3のC)、再送信処理を実行する(ステップS4)。再送信処理は、電界強度測定用の電波を再送信する処理である。つまり、制御部21は、電界強度測定用の電波をアンテナ222から再度発射させる。
【0110】
電界強度測定用の電波の再送信後、新設子機20Aのアンテナ222は、子機20cから応答情報を示す電波を再度受信する(ステップS5)。この結果、制御部21が応答情報を再度取得する。
【0111】
制御部21は、応答情報を取得すると、ステップS3と同様に、応答情報に基づいて、新設子機20Aの設置の可否等を決定する(ステップS6)。なお、図8を参照して後述するように、再送信処理(ステップS4)において判定基準が変更される場合がある。判定基準が変更されている場合、制御部21は、変更後の判定基準を参照して、新設子機20Aの設置の可否等を決定する。
【0112】
制御部21は、新設子機20Aの設置を許可することを決定した場合(ステップS6のA)、設置可である旨を報知部26に報知させて(ステップS8)、図7に示す処理を終了する。
【0113】
制御部21は、新設子機20Aの設置を不許可とすることを決定した場合(ステップS6のB)、設置不可である旨を報知部26に報知させて(ステップS9)、図7に示す処理を終了する。
【0114】
制御部21は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定した場合(ステップS6のC)、電界強度測定用の電波を再送信した回数が規定回数に達しているか否かを判定する(ステップS7)。規定回数は、1以上の整数である。例えば、規定回数は、3回であってもよい。
【0115】
制御部21は、電界強度測定用の電波を再送信した回数が規定回数に達していないと判定した場合(ステップS7のNo)、ステップS4~ステップS6の処理を再度実行する。
【0116】
制御部21は、電界強度測定用の電波を再送信した回数が規定回数に既に達していると判定した場合(ステップS7のYes)、電界強度測定用の電波を再送信することなく、設置不可である旨を報知部26に報知させて(ステップS9)、図7に示す処理を終了する。例えば、規定回数が1回である場合、1回目の再送信により、再送信の回数が規定回数に達する。したがって、制御部21は、1回目の再送信後、電界強度測定用の電波を再送信することを決定しても(ステップS6のC)、電界強度測定用の電波を再送信することなく、設置不可である旨を報知部26に報知させて(ステップS9)、図7に示す処理を終了する。
【0117】
続いて図8を参照して再送信処理を説明する。図8は再送信処理を示すフローチャートである。
【0118】
制御部21は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定した場合(図7のステップS3のC)、又は、電界強度測定用の電波を再送信した回数が規定回数に達していないと判定した場合(図7のステップS7のNo)、新設子機20Aの設置の可否の判定中であることを報知部26に報知させる(ステップS41)。例えば、制御部21は、新設子機20Aの設置の可否の判定を延長していることを報知部26に報知させてもよい。
【0119】
制御部21は、新設子機20Aの設置の可否の判定中であることを報知部26に報知させた後、応答情報に基づいて、再送信時における電界強度測定用の電波の送信時間の長さ(再送信時の連続発射回数)を決定する(ステップS42)。例えば、制御部21は、図2図6を参照して説明した連続発射回数決定条件1~連続発射回数決定条件7に基づいて、再送信時の連続発射回数を決定する。
【0120】
制御部21は、再送信時における電界強度測定用の電波の送信時間の長さを決定した後、判定基準を変更するか否かを決定する(ステップS43)。例えば、制御部21は、図2図6を参照して説明した判定基準変更条件1~判定基準変更条件4に基づいて、第6基準値R6(パケット取得率Pに対する基準値)を変更するか否かを決定する。
【0121】
制御部21は、判定基準を変更することを決定した場合(ステップS43のYes)、判定基準を変更する(ステップS44)。例えば、制御部21は、図2図6を参照して説明した判定基準変更条件1~判定基準変更条件4に基づいて、第6基準値R6を変更する。
【0122】
制御部21は、判定基準を変更した後、電界強度測定用の電波を再送信する(ステップS45)。つまり、制御部21は、電界強度測定用の電波をアンテナ222から再度発射させる。あるいは、制御部21は、判定基準を変更しないことを決定した場合(ステップS43のNo)、電界強度測定用の電波を再送信する(ステップS45)。このとき、制御部21は、電界強度測定用の電波を、ステップS42において決定した回数、連続発射させる。
【0123】
なお、2回目以降の再送信処理(ステップS4)において、判定基準を変更するか否かを決定する処理(ステップS43)、および、判定基準を変更する処理(ステップS44)は、省略されてもよい。
【0124】
以上、図1図8を参照して本発明の実施形態1を説明した。本実施形態によれば、新設子機20Aは、判定対象の一部が、対応する判定基準を満たさない場合に、電界強度測定用の電波を再送信して、新設子機20Aの設置を許可するか否かを再度判定する。したがって、電界強度測定用の電波の最初の送信時に瞬間的に通信状態が悪くなった結果、判定対象の一部が、対応する判定基準を満たさない状態となっても、応答情報を再度取得して、新設子機20Aの設置を許可することができる。よって、通信環境の良い設置予定場所Pであるにも関わらず、作業者が、新設子機20Aを設置できないと判断する可能性を低減できる。
【0125】
また、本実施形態によれば、電界強度測定用の電波の再送信時に、報知部26が、新設子機20Aの設置の可否の判定中であることを報知する。したがって、電界強度測定用の電波の再送信によって新設子機20Aの設置が許可された場合、作業者は、電界強度測定用の電波の再送信によって新設子機20Aの設置が許可されたことを知ることができる。よって、作業者は、電界強度測定用の電波の再送信によって新設子機20Aの設置が許可された場合、仮設置した状態で新設子機20Aを設置してもよいかどうか判断することができる。
【0126】
なお、本実施形態において、新設子機20Aの制御部21は、設置可否等決定条件1~設置可否等決定条件6に基づいて、新設子機20Aの設置の可否等を決定したが(図7のステップS3及びステップS6)、新設子機20Aの制御部21は、設置可否等決定条件1~設置可否等決定条件6の一部に基づいて、新設子機20Aの設置の可否等を決定してもよい。この場合、新設子機20Aの制御部21は、新設子機20Aの設置の可否等を決定するために用いる条件に応じて、電界強度平均値X、電界強度最小値Xmin、パケット取得率P、電界強度平均値の最大変動幅D1、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2、及びパケット取得率の平均値Pavのうちの一部を取得してもよい。
【0127】
また、本実施形態において、新設子機20Aの制御部21は、連続発射回数決定条件1~連続発射回数決定条件7に基づいて、再送信時の連続発射回数を決定したが(図8のステップS42)、新設子機20Aの制御部21は、連続発射回数決定条件1~連続発射回数決定条件7の一部に基づいて、再送信時の連続発射回数を決定してもよい。この場合、新設子機20Aの制御部21は、再送信時の連続発射回数を決定するために用いる条件に応じて、電界強度平均値X、電界強度最小値Xmin、パケット取得率P、電界強度平均値の最大変動幅D1、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2、及びパケット取得率の平均値Pavのうちの一部を取得してもよい。
【0128】
また、本実施形態において、新設子機20Aの制御部21は、判定基準変更条件1~判定基準変更条件4に基づいて、第6基準値R6(パケット取得率Pに対する基準値)を変更するか否かを決定したが(図8のステップS43)、新設子機20Aの制御部21は、判定基準変更条件1~判定基準変更条件4の一部に基づいて、第6基準値R6を変更するか否かを決定してもよい。この場合、新設子機20Aの制御部21は、第6基準値R6を変更するか否かを決定するために用いる条件に応じて、電界強度平均値X、電界強度最小値Xmin、パケット取得率P、電界強度平均値の最大変動幅D1、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2、及びパケット取得率の平均値Pavのうちの一部を取得してもよい。
【0129】
また、本実施形態において、新設子機20Aの制御部21は、判定基準変更条件1~判定基準変更条件4に基づいて第6基準値R6を変更したが(ステップS44)、新設子機20Aの制御部21は、判定基準変更条件1~判定基準変更条件4の一部に基づいて第6基準値R6を変更してもよい。この場合、新設子機20Aの制御部21は、第6基準値R6を変更するために用いる条件に応じて、電界強度平均値X、電界強度最小値Xmin、パケット取得率P、電界強度平均値の最大変動幅D1、電界強度平均値と電界強度最小値との最大差D2、及びパケット取得率の平均値Pavのうちの一部を取得してもよい。
【0130】
[実施形態2]
続いて図9及び図10を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、電波測定用装置60が新設子機20Aの設置の可否を判定する点で実施形態1と異なる。電波測定用装置60は、電波測定装置の一例である。
【0131】
図9は、本実施形態の電波測定用装置60を含む通信システム100を示す図である。詳しくは、図9は、テレメータシステム100を示す。本実施形態では、図9に示すように、電波測定用装置60が新設子機20Aの設置の可否を判定する。
【0132】
具体的には、作業者は、新設子機20Aの設置予定場所Pにおいて、電波測定用装置60から、電界強度測定用の電波を発射させる。その結果、子機20cが、新設子機20Aから発射された電界強度測定用の電波を受信する。子機20cは、電界強度測定用の電波を受信すると、電波測定用装置60宛てに、応答情報を示す電波を送信する。
【0133】
電波測定用装置60は、応答情報を示す電波を受信すると、応答情報に基づき、設置予定場所Pに新設子機20Aを設置することを許可するか、不許可とするか、又は、電界強度測定用の電波を再送信するかを決定する。
【0134】
電波測定用装置60は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定した場合、電界強度測定用の電波を再送信する。したがって、電波測定用装置60が、電界強度測定用の電波を再送信することを決定した場合、作業者は、電波測定用装置60を操作する必要がない。
【0135】
一方、電波測定用装置60が、設置予定場所Pに新設子機20Aを設置することを許可した場合、作業者は、設置予定場所Pに新設子機20Aを設置することを決定する。また、電波測定用装置60が、設置予定場所Pに新設子機20Aを設置することを不許可とした場合、作業者は、電波測定用装置60の位置を調整した後、電波測定用装置60から電界強度測定用の電波を発射させる。
【0136】
本実施形態によれば、電波測定用装置60は、通信環境の良い設置予定場所Pにおいて、電界強度測定用の電波の最初の送信時に、瞬間的に通信状態が悪くなると、電界強度測定用の電波を再送信して、新設子機20Aの設置の可否を再度判定することができる。したがって、通信環境の良い設置予定場所Pであるにも関わらず、作業者が、新設子機20Aを設置できないと判断する可能性を低減できる。
【0137】
続いて図10を参照して電波測定用装置60の構成を説明する。図10は、本実施形態の電波測定用装置60の構成を示すブロック図である。図10に示すように、電波測定用装置60は、制御部61と、無線通信部62と、記憶部63と、操作部64と、報知部65を備える。無線通信部62は、無線通信回路部621と、アンテナ622とを有する。
【0138】
操作部64は、作業者によって操作される。作業者は、操作部64を操作することにより、無線通信部62のアンテナ622から、電界強度測定用の電波を発射させることができる。つまり、作業者は、操作部64を操作することにより、電波測定用装置60(制御部61)に対して電界強度測定用の電波の発射を指示することができる。操作部64は、例えば、プッシュスイッチを含む。
【0139】
制御部61、無線通信部62、記憶部63、及び報知部65の構成は、子機20の制御部21、無線通信部22、記憶部24、及び報知部26と略同様であるため、詳しい説明は割愛する。また、制御部61が実行する処理は、新設子機20A(動作モードが電界強度測定モードに切り替えられた子機20)と略同様であるため、詳しい説明は割愛する。なお、無線通信部62は、アンテナ622が受信した電波の電界強度の値を検出する構成を有してもよいし、有していなくてもよい。
【0140】
以上、図9及び図10を参照して本発明の実施形態2を説明した。本実施形態によれば、実施形態1と同様に、電波測定用装置60は、判定対象の一部が、対応する判定基準を満たさない場合に、電界強度測定用の電波を再送信して、設置予定場所Pに新設子機20Aを設置することを許可するか否かを再度判定する。したがって、電界強度測定用の電波の最初の送信時に瞬間的に通信状態が悪くなった結果、判定対象の一部が、対応する判定基準を満たさない状態となっても、応答情報を再度取得して、設置予定場所Pに新設子機20Aの設置を許可することができる。よって、通信環境の良い設置予定場所Pであるにも関わらず、作業者が、新設子機20Aを設置できないと判断する可能性を低減できる。
【0141】
また、本実施形態によれば、電波測定用装置60を用いて新設子機20Aの設置の可否を判定することができる。したがって、設置予定場所Pに新設子機20Aを設置(固定)した後に、新設子機20Aとセンタ側網制御装置50との通信テストを確実に行うことができる。
【0142】
詳しくは、一台の機器から920MHz帯の電波を送信できる時間の長さは、1時間当たり360秒と決められている。新設子機20Aを用いて新設子機20Aの設置の可否を判定した場合、新設子機20Aの設置の可否を判定する処理によって、920MHz帯の電波を送信できる時間が消費される。その結果、通信テストに必要な送信時間を確保できない可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、電波測定用装置60を用いて新設子機20Aの設置の可否を判定するため、通信テストを確実に行うことができる。
【0143】
[実施形態3]
続いて図11及び図12を参照して本発明の実施形態3について説明する。但し、実施形態1、2と異なる事項を説明し、実施形態1、2と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態3は、新設子機20Aの通信相手が親機10である点で実施形態1、2と異なる。本実施形態において、親機10は第1無線通信装置の一例である。
【0144】
図11は、本実施形態の新設子機20Aを含む通信システム100を示す図である。詳しくは、図11は、テレメータシステム100を示す。本実施形態では、図11に示すように、新設子機20Aの通信相手は親機10である。
【0145】
親機10は、複数の動作モードを有する。複数の動作モードは、受信モードを含む。テレメータシステム100に対して、新設子機20Aを追加する場合、作業者は、親機10の動作モードを受信モードに切り替える。
【0146】
親機10は、新設子機20Aから発射された電界強度測定用の電波を受信する。親機10は、電界強度測定用の電波を受信すると、新設子機20A宛てに、応答情報を示す電波を送信する。
【0147】
続いて図12を参照して親機10の構成を説明する。図12は、親機10の構成を示すブロック図である。図12に示すように、親機10は、制御部11と、第1無線通信部12と、第2無線通信部13と、接続部14と、記憶部15と、操作部16とを備える。第1無線通信部12は、第1無線通信回路部121と、第1アンテナ122とを有する。第2無線通信部13は、第2無線通信回路部131と、第2アンテナ132とを有する。
【0148】
第2無線通信部13は、広域無線網Neを介してセンタ側網制御装置50との間で無線通信を行う。第2無線通信回路部131は、例えば、PHS網、FOMA網、LTE網、4G網、及び5G網のような広域通信可能な通信モジュールである。
【0149】
操作部16は、作業者によって操作される。作業者は、操作部16を操作することにより、親機10の動作モードを切り替えることができる。具体的には、作業者は、操作部16を操作することにより、親機10の動作モードを、受信モードに切り替えることができる。操作部16は、例えば、ディップスイッチを含む。
【0150】
制御部11、第1無線通信部12、接続部14、及び記憶部15の構成は、子機20の制御部21、無線通信部22、接続部23、及び記憶部24と略同様であるため、詳しい説明は割愛する。また、親機10の制御部11が実行する処理は、子機20c(動作モードが受信モードに切り替えられた子機20)の制御部21が実行する処理と略同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0151】
以上、図11及び図12を参照して本発明の実施形態3を説明した。本実施形態によれば、実施形態1と同様に、通信環境の良い設置予定場所Pであるにも関わらず、作業者が、新設子機20Aを設置できないと判断する可能性を低減できる。
【0152】
以上、図面(図1図12)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0153】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0154】
例えば、図1図12を参照して説明した実施形態では、親機10及び複数の子機20の各々にメータ30が接続されたが、親機10及び複数の子機20の各々にガス遮断装置が接続されてもよい。ガス遮断装置は、ガス管に設けられる。ガス遮断装置は、例えば地震発生時に、ガス管を流れるガスの流通を遮断する。この場合、テレメータシステム100は、ガス遮断装置によってガスの流通が遮断されたことを示す情報を収集する。
【0155】
また、図1図12を参照して説明した実施形態では、子機20とメータ30とが電線PLにより有線接続されたが、子機20とメータ30とは無線接続されてもよい。同様に、図1図12を参照して説明した実施形態では、親機10とメータ30とが電線PLにより有線接続されたが、親機10とメータ30とは無線接続されてもよい。
【0156】
また、図1図12を参照して説明した実施形態では、親機10にメータ30が接続されたが、親機10にメータ30は接続されなくてもよい。なお、この場合、親機10の設置位置は特に限定されない。好ましくは、親機10は、電波を安定して送受信できる位置に設置される。例えば、親機10は、高所に設置されてもよい。具体的には、親機10は、屋根に設置されてもよいし、電柱に設置されてもよい。あるいは、親機10は、電柱とは異なる柱状の構造物に設置されてもよい。
【0157】
また、図1図12を参照して説明した実施形態において、新設子機20Aの制御部21及び電波測定用装置60の制御部61は、より厳しい判定基準となるように、第1基準値R1~第6基準値R6の少なくとも1つを変更したが、新設子機20Aの制御部21及び電波測定用装置60の制御部61は、より容易な判定基準となるように、第1基準値R1~第6基準値R6の少なくとも1つを変更してもよい。
【0158】
また、図1図12を参照して説明した実施形態において、新設子機20Aの制御部21及び電波測定用装置60の制御部61は、応答情報に基づいて、再送信時における電界強度測定用の電波の送信時間の長さ(再送信時の連続発射回数)を決定したが、再送信時における電界強度測定用の電波の送信時間の長さは、一定値であってもよい。この場合、再送信時における電界強度測定用の電波の送信時間の長さを決定する処理(図8のステップS42)は省略されてもよい。
【0159】
また、図1図12を参照して説明した実施形態において、新設子機20Aの制御部21及び電波測定用装置60の制御部61は、応答情報に基づいて、判定基準を変更するか否かを判定したが、新設子機20Aの制御部21及び電波測定用装置60の制御部61は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定した場合、判定基準を常に変更してもよい。この場合、判定基準を変更するか否かを決定する処理(図8のステップS43)は、省略されてもよい。
【0160】
また、図1図12を参照して説明した実施形態では、新設子機20Aの制御部21及び電波測定用装置60の制御部61が、応答情報に基づいて、第6基準値R6(パケット取得率Pに対する基準値)を変更する処理を説明したが、新設子機20Aの制御部21及び電波測定用装置60の制御部61は、第6基準値R6に加えて、あるいは、第6基準値R6に代えて、第1基準値R1~第5基準値R5のうちの少なくとも1つを変更してもよい。
【0161】
また、図1図12を参照して説明した実施形態において、新設子機20Aの制御部21及び電波測定用装置60の制御部61は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定した場合、電界強度測定用の電波を再送信したが、新設子機20Aの制御部21及び電波測定用装置60の制御部61は、電界強度測定用の電波を再送信することを決定した後、作業者が新設子機20Aの操作部25又は電波測定用装置60の操作部64を操作して電界強度測定用の電波の発射を指示した場合に、電界強度測定用の電波を再送信してもよい。
【0162】
また、図1図12を参照して説明した実施形態では、判定対象は、第1判定対象~第4判定対象を含むが、判定対象は、第5判定対象及び第6判定対象を更に含み得る。第5判定対象は、電界強度平均値Xの平均値を示し、第6判定対象は、電界強度最小値Xminの平均値を示す。例えば、電界強度測定用の電波の連続発射回数が5回である場合、第5判定対象は、電界強度平均値X1~電界強度平均値X5の平均値を示し、第6判定対象は、電界強度最小値Xmin1~電界強度最小値Xmin5の平均値を示す。この場合、判定基準は、第5判定対象に対して予め定められた基準値(第5判定基準)と、第6判定対象に対して予め定められた基準値(第6判定基準)とを更に含む。
【0163】
また、図1図12を参照して説明した実施形態では、新設子機20Aの制御部21及び電波測定用装置60の制御部61が、応答情報に基づいて判定対象を取得したが、子機20c又は親機10が判定対象を取得してもよい。この場合、応答情報は、判定対象を示す。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、通信装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0165】
20A :新設子機
20c :子機
21 :制御部
22 :無線通信部
24 :記憶部
25 :操作部
26 :報知部
60 :電波測定用装置
61 :制御部
62 :無線通信部
63 :記憶部
64 :操作部
65 :報知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12