(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】判定装置、及び判定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20241107BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20241107BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q10/04
(21)【出願番号】P 2021002123
(22)【出願日】2021-01-08
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】大石 匡
(72)【発明者】
【氏名】下川 美代子
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特許第6172345(JP,B1)
【文献】特開2012-060761(JP,A)
【文献】特開2015-077014(JP,A)
【文献】特開2004-342440(JP,A)
【文献】桑原 健一,電力自己託送制度を活用したエネルギーサービス事業,スマートグリッド,日本,株式会社大河出版,2018年04月15日,第8巻,第2号,第9-14ページ,ISSN:2185-9604
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送配電事業者により提供される送電線である一般送電線とは異なる送電線である自営送電線を介して互いに電力の供給が可能な複数の需要家のグループである第1グループと、前記第1グループに属する需要家と前記一般送電線を介して互いに電力の供給が可能な複数の需要家のグループである第2グループとを含んで構成される送電網のうち、前記第1グループに属する
各需要家により
それぞれ発電される電力量と前記第1グループに属する
各需要家により
それぞれ消費される電力量とを含む情報である第1需給情報を取得する第1需給情報取得部と、
前記第2グループに属する
各需要家により
それぞれ発電される電力量と前記第2グループに属する
各需要家により
それぞれ消費される電力量とを含む情報である第2需給情報を取得する第2需給情報取得部と、
前記第1需給情報と、前記第2需給情報とに基づき、前記第1グループに属する
各需要家
それぞれが要する電力の調達先
又は前記第1グループが全体として要する電力の調達先を、小売電気事業者からの買電とするか、又は前記第2グループからの電力の供給のいずれとするかを判定し、かつ、前記第1グループに属する
各需要家
それぞれが発電した電力の送電先
又は前記第1グループが全体として発電した電力の送電先を、前記第1グループに属する蓄電池への蓄電、小売電気事業者への売電、又は前記第2グループへの電力の供給のいずれとするかを判定する判定部と、
前記判定部により判定された情報である電力分配情報を出力する出力部と
を備え
、
前記判定部は、
前記第2グループに属する需要家に送電する際の託送料金、小売電気事業者から買電する際の買電料金又は前記蓄電池により蓄電される蓄電量のうちいずれを小さくするかを選択する最適化方法選択部を備え、
前記最適化方法選択部により選択された最適化方法に基づき、前記第1グループに属する需要家が要する電力の調達先又は前記第1グループに属する需要家が発電した電力の送電先の少なくとも一方を判定する、
判定装置。
【請求項2】
前記第1需給情報取得部は、
前記第1グループに属する需要家により発電される電力量の情報を含む供給情報を取得する供給情報取得部と、
前記第1グループに属する需要家により消費される電力量の情報を含む需要情報を取得する需要情報取得部とを備え、
前記判定部は、取得した前記供給情報と、前記需要情報とに基づき、前記第1グループに属する需要家のそれぞれが要する電力の調達先又は前記第1グループに属する需要家のそれぞれが発電した電力の送電先の少なくとも一方を判定する
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記第1需給情報取得部は、
前記第1グループに属する複数の需要家のうち、それぞれの需要家の属性を取得する需要家情報取得部と、
現在の時刻を取得する時刻情報取得部とを備え、
前記需要家情報取得部により取得された需要家の属性と、前記時刻情報取得部により取得された現在の時刻とに基づき、前記第1需給情報のうち前記第1グループに属する需要家により消費される電力量を推定する
請求項1又は請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1グループに属する需要家が要する電力の調達先として、小売電気事業者からの買電又は前記第2グループからの電力の供給のいずれかを判定する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の判定装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記第1グループに属する需要家が発電した電力の送電先として、前記第1グループに属する蓄電池への蓄電、小売電気事業者への売電、前記第2グループへの電力の供給のいずれかを判定する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の判定装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記第1グループに属する需要家が発電した電力を、前記第1グループに属する複数の需要家のうち、いずれの需要家に送電するかを判定する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の判定装置。
【請求項7】
コンピュータが、送配電事業者により提供される送電線である一般送電線とは異なる送電線である自営送電線を介して互いに電力の供給が可能な複数の需要家のグループである第1グループと、前記第1グループに属する需要家と前記一般送電線を介して互いに電力の供給が可能な複数の需要家のグループである第2グループとを含んで構成される送電網のうち、前記第1グループに属する
各需要家により
それぞれ発電される電力量と前記第1グループに属する
各需要家により
それぞれ消費される電力量とを含む情報である第1需給情報を取得する第1需給情報取得工程と、
コンピュータが、前記第2グループに属する
各需要家により
それぞれ発電される電力量と前記第2グループに属する
各需要家により
それぞれ消費される電力量とを含む情報である第2需給情報を取得する第2需給情報取得工程と、
コンピュータが、前記第1需給情報と、前記第2需給情報とに基づき、前記第1グループに属する
各需要家
それぞれが要する電力の
又は前記第1グループが全体として要する電力の調達先を、小売電気事業者からの買電とするか、又は前記第2グループからの電力の供給のいずれとするかを判定し、かつ、前記第1グループに属する
各需要家
それぞれが発電した電力の送電先
又は前記第1グループが全体として発電した電力の送電先を、前記第1グループに属する蓄電池への蓄電、小売電気事業者への売電、又は前記第2グループへの電力の供給のいずれとするかを判定する判定工程と、
コンピュータが、前記判定工程により判定された情報である電力分配情報を出力する出力工程とを有
し、
前記判定工程は、
前記第2グループに属する需要家に送電する際の託送料金、小売電気事業者から買電する際の買電料金又は前記蓄電池により蓄電される蓄電量のうちいずれを小さくするかを選択する最適化方法選択工程を有し、
前記最適化方法選択工程により選択された最適化方法に基づき、前記第1グループに属する需要家が要する電力の調達先又は前記第1グループに属する需要家が発電した電力の送電先の少なくとも一方を判定する、
する判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、及び判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電等によって発電された電力を、送配電事業者から供給される送電網に接続される複数の住宅によって消費することにより、小売電気事業者から買電する電力量と、小売電気事業者に対して売電する電力量とを最適化するための技術があった(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術によれば、送配電事業者により提供される送電網を使用した場合、送配電事業者に支払う託送料金が発生する。また、蓄電池に充放電する場合、充放電することによる電力損失が発生する場合がある。したがって、小売電気事業者から購入する電力を最小にした場合であっても、有効に活用される電力量や、送配電事業者に支払う託送料金等を総合的に考慮して判断した場合、全体として最適化されているとはいえない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、送電網に接続された複数の住宅間で電力の供給を好適に制御するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る判定装置は、送配電事業者により提供される送電線である一般送電線とは異なる送電線である自営送電線を介して互いに電力の供給が可能な複数の需要家のグループである第1グループと、前記第1グループに属する需要家と前記一般送電線を介して互いに電力の供給が可能な複数の需要家のグループである第2グループとを含んで構成される送電網のうち、前記第1グループに属する需要家により発電される電力量と前記第1グループに属する需要家により消費される電力量とを含む情報である第1需給情報を取得する第1需給情報取得部と、前記第2グループに属する需要家により発電される電力量と前記第2グループに属する需要家により消費される電力量とを含む情報である第2需給情報を取得する第2需給情報取得部と、前記第1需給情報と、前記第2需給情報とに基づき、前記第1グループに属する需要家が要する電力の調達先又は前記第1グループに属する需要家が発電した電力の送電先の少なくとも一方を判定する判定部と、前記判定部により判定された情報である電力分配情報を出力する出力部とを備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る判定装置において、前記第1需給情報取得部は、前記第1グループに属する需要家により発電される電力量の情報を含む供給情報を取得する供給情報取得部と、前記第1グループに属する需要家により消費される電力量の情報を含む需要情報を取得する需要情報取得部とを備え、前記判定部は、取得した前記供給情報と、前記需要情報とに基づき、前記第1グループに属する需要家のそれぞれが要する電力の調達先又は前記第1グループに属する需要家のそれぞれが発電した電力の送電先の少なくとも一方を判定する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る判定装置において、前記第1需給情報取得部は、前記第1グループに属する複数の需要家のうち、それぞれの需要家の属性を取得する需要家情報取得部と、現在の時刻を取得する時刻情報取得部とを備え、前記第1需給情報のうち前記第1グループに属する需要家により消費される電力量を推定する。
【0009】
また、本発明の一態様に係る判定装置において、前記判定部は、前記第1グループに属する需要家が要する電力の調達先として、小売電気事業者からの買電又は前記第2グループからの電力の供給のいずれかを判定する。
【0010】
また、本発明の一態様に係る判定装置において、前記判定部は、前記第1グループに属する需要家が発電した電力の送電先として、前記第1グループに属する蓄電池への蓄電、小売電気事業者への売電、前記第2グループへの電力の供給のいずれかを判定する。
【0011】
また、本発明の一態様に係る判定装置において、前記判定部は、前記第1グループに属する需要家が発電した電力を、前記第1グループに属する複数の需要家のうち、いずれの需要家に送電するかを判定する。
【0014】
また、本発明の一態様に係る判定方法は、送配電事業者により提供される送電線である一般送電線とは異なる送電線である自営送電線を介して互いに電力の供給が可能な複数の需要家のグループである第1グループと、前記第1グループに属する需要家と前記一般送電線を介して互いに電力の供給が可能な複数の需要家のグループである第2グループとを含んで構成される送電網のうち、前記第1グループに属する需要家により発電される電力量と前記第1グループに属する需要家により消費される電力量とを含む情報である第1需給情報を取得する第1需給情報取得工程と、前記第2グループに属する需要家により発電される電力量と前記第2グループに属する需要家により消費される電力量とを含む情報である第2需給情報を取得する第2需給情報取得工程と、前記第1需給情報と、前記第2需給情報とに基づき、前記第1グループに属する需要家が要する電力の調達先又は前記第1グループに属する需要家が発電した電力の送電先の少なくとも一方を判定する判定工程と、前記判定工程により判定された情報である電力分配情報を出力する出力工程とを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、送電網に接続された複数の住宅間で電力の供給を好適に制御するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る需要家間における電力の供給について説明するための図である。
【
図2】実施形態に係る電力の分配について説明するための図である。
【
図3】実施形態に係る送電網に接続される構成要素の一例について説明するための図である。
【
図4】実施形態に係る集合住宅の一例について説明するための図である。
【
図5】実施形態に係る戸建住宅の一例について説明するための図である。
【
図6】実施形態に係る判定装置の機能構成について説明するためのブロック図である。
【
図7】実施形態に係る需要情報と供給情報の一例について説明するための図である。
【
図8】実施形態に係る需要家情報と電力使用量の一例について説明するための図である。
【
図9】実施形態に係る最適化方法の一例について説明するための図である。
【
図10】実施形態に係る判定方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限定されない。
【0018】
[需要家間における電力の供給]
図1は、実施形態に係る需要家間における電力の供給について説明するための図である。同図を参照しながら、需要家間における電力の供給について説明する。本実施形態における送電網は、一般送電線GLと、自営線(自営送電線)PLとを備える。一般送電線GL及び自営線PLは、複数の需要家Cを接続し、需要家C間における電力の送電を行う。
【0019】
一般送電線GLとは、許認可を得た送配電事業者(一般送配電事業者)により提供される送電線である。送配電事業者は、発電所で発生した電力を、需要家Cが電力を使用する地点まで送り届ける事業を営む。また、送配電事業者は、需要家C自身が発電設備を有する場合、需要家Cにより発電された電力を、他の需要家Cに送電する。
【0020】
自営線PLとは、一般送電線GLとは異なる送電線である。自営線PLとは、例えば、需要家Cが自ら設営する送電線である。需要家Cは、自営線PLを自ら設営し、運営管理することにより、需要家C自身が備える発電設備により発電された電力を、一般送電線GLを介さずに、自営線PLに接続された他の需要家Cに送電する。
【0021】
需要家Cとは、電力の使用をする者である。需要家Cは、発電設備を備えていてもよい。需要家Cが発電設備を備える場合、需要家Cは、自営線PLのみを介して、又は一般送電線GL及び自営線PLを介して、他の需要家Cに電力を供給する。需要家Cが一般送電線GLを使用して他の需要家Cに送電する場合、需要家Cは、送配電事業者に託送料金の支払いを要する。需要家Cが自営線PLを使用して他の需要家Cに送電する場合、需要家Cは、託送料金の支払いを要しない。
また、需要家Cは、一般送電線GLを介して、小売電気事業者から電力を購入することができる。以後の説明において、需要家Cが小売電気事業者から電力を購入することを「買電する」と記載する場合がある。また、需要家Cは、一般送電線GLを介して、小売電気事業者に電力を売却することができる。以後の説明において、需要家Cが小売電気事業者に電力を売却することを「売電する」と記載する場合がある。
【0022】
図1に示す一例において、需要家Cである需要家C11と、需要家C12と、需要家C13とが、自営線PLにより互いに接続されている。需要家C11と、需要家C12と、需要家C13とは、一般送電線GLを介さずに、自営線PLを介して互いに電力の供給が可能なグループである。この場合、需要家C11と、需要家C12と、需要家C13とが属するグループを第1グループGR1と記載する。第1グループGR1とは、自営線PLを介して互いに電力の供給が可能な複数の需要家Cのグループである。
【0023】
第1グループGR1に属する需要家Cからみて、一般送電線GLを介して電力の供給が可能な需要家Cが属するグループを第2グループGR2と記載する。
図1に示す一例において、第1グループGR1に属する需要家Cからみて、需要家Cである需要家C21、需要家C22、及び需要家C23に対しては、一般送電線GLを介して電力の供給が可能である。すなわち、需要家C21と、需要家C22と、需要家C23とは、第2グループGR2に属する。
なお、第1グループGR1と第2グループGR2とを区別しない場合には、単にグループと記載する場合がある。
【0024】
図2は、実施形態に係る電力の分配について説明するための図である。同図を参照しながら、各グループ内における電力の分配、及びグループ間における電力の分配について説明する。同図において、需要家C、発電設備、遮断器等の構成要素をノードN、一般送電線GL又は自営線PLである送電線をブランチBとして示す。
【0025】
ノード1と、ノードN11と、ノードN12と、ノードN111と、ノードN112と、ノードN121と、ノードN122とは、第1グループGR1に属する。ノードN2と、ノードN21と、ノードN22と、ノードN211と、ノードN212と、ノードN221と、ノードN222とは、第2グループGR2に属する。ノードN11からみて、ノードN1を上位のノード、ノードN111を下位のノードと記載する場合がある。この一例において、第1グループGR1と、第2グループGR2とは、対称の構成を有しているため、第1グループGR1についてのみ説明するが、第2グループGR2についても第1グループGR1と同様である。なお、本一例においては便宜上、第1グループGR1と第2グループGR2とが対称の構成を有する場合について説明するが、この一例に限定されない、第1グループGR1と第2グループGR2とは対称でない構成を有していてもよい。
商用電力CPとは、一般送電線GLを介して供給される電力である。
図2における説明において、商用電力CPを最上位のノードとして扱う。
【0026】
ノードN1は、第1グループGR1において、最上位のノードである。ノードN1より下位のノードNにおいて、電力の需給の総和がマイナスの場合(すなわち、電力の供給よりも、電力の需要の方が大きい場合)、ノードN1は商用電力CPから電力の供給を受ける。商用電力CPからの電力の供給とは、例えば小売電気事業者から電力を買電することであってもよいし、第2グループGR2から電力の供給を受けることであってもよい。ノードN1がノードN2から電力の供給を受ける場合、一般送電線GLを介するため、託送料金が発生する。
ノードN1より下位のノードNにおいて、電力の需給の総和がプラスの場合(すなわち、電力の供給よりも、電力の需要の方が小さい場合)、ノードN1は商用電力CPに対して電力の供給を行う。商用電力CPに対する電力の供給とは、例えば、小売電気事業者に対し電力を売電することであってもよい。
【0027】
ノードN11及びノードN12は、ノードN1より下位のノードである。ノードN11及びノードN12は対称の構成を有しているため、一例としてノードN11について説明する。
ノードN11より下位のノードNにおいて、電力の需給の総和がマイナスの場合、ノードN11はノードN1を介してノードN12から電力の供給を受けることができる。ノードN11がノードN1を介してノードN12から電力の供給を受ける場合、一般送電線GLを介さないため、託送料金が発生しない。
ノードN11より下位のノードNにおいて、電力の需給の総和がプラスの場合、ノードN11はノードN1を介してノードN12に対して電力の供給をすることができる。ノードN11がノードN1を介してノードN12に対して電力の供給をする場合、一般送電線GLを介さないため、託送料金が発生しない。
【0028】
ノードN111、ノードN112、ノードN121、及びノードN122は、
図2に示す一例のうち最下位のノードである。ノードN111、ノードN112、ノードN121、及びノードN122は、対称の構成を有しているため、一例としてノードN111について説明する。
ノードN111内において、電力の需給の総和がマイナスの場合、ノードN111はノードN11を介してノードN112から電力の供給を受けることができる。ノードN111がノードN11を介してノードN112から電力の供給を受ける場合、一般送電線GLを介さないため、託送料金が発生しない。
ノードN111内において、電力の需給の総和がプラスの場合、ノードN111はノードN11を介してノードN112に対して電力の供給をすることができる。ノードN111がノードN11を介してノードN112に対して電力の供給をする場合、一般送電線GLを介さないため、託送料金が発生しない。
【0029】
[送電網に接続される構成要素の一例]
図3は、実施形態に係る送電網に接続される構成要素の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、送電網に接続される構成要素の一例について説明する。
同図に示す一例において、第1グループGR1には、自営線PLを介して複数の集合住宅20と、複数の戸建住宅30と、蓄電池40とが互いに接続されている。具体的には、集合住宅20として、集合住宅20-1と、集合住宅20-2と、集合住宅20-3とが接続され、戸建住宅30として、戸建住宅30-1と、戸建住宅30-2と、戸建住宅30-3とが接続される。本実施において、便宜上、第1グループGR1には単一の蓄電池40が接続される場合の一例について説明するが、複数の蓄電池40が接続されていてもよい。第1グループGR1には、集合住宅20、戸建住宅30、蓄電池40以外の構成要素が接続されていてもよい。
【0030】
図4は、実施形態に係る集合住宅20の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、実施形態に係る集合住宅20の一例について説明する。
集合住宅20とは、一つの建物の中に複数の世帯が入居可能な住宅である。集合住宅20とは、例えば、アパートメント、マンション、メゾン等であってもよい。集合住宅20は、太陽光パネル21と、負荷22とを備える。
【0031】
太陽光パネル21は、需要家C自身が備える発電設備の一例である。太陽光パネル21は、太陽から放出された太陽光を電力に変換する太陽光発電(ソーラー発電)を行う。太陽光パネル21は、変換した電力を自営線PLに供給する。太陽光パネル21は、変換した電力を自営線PLに供給する際に、電圧を変換するための電圧変換装置を介して自営線PLに接続されていてもよい。
なお、集合住宅20は、太陽光発電をするための設備である太陽光パネル21に代えて、風力発電、地熱発電、バイオマス発電、手動式発電等の他の発電方式による発電設備を備えていてもよい。また、集合住宅20は、発電設備を備えていなくてもよい。
【0032】
負荷22は、自営線PLから電力の供給を受け、電力を消費する。負荷22は、共用部221と、複数の専用部222とを備える。
共用部221とは、集合住宅20の住人が共通して使用する部分において電力を消費する負荷である。共用部221とは、例えば通路の電灯や、エレベータ、エントランスの自動扉、エアコン等であってもよい。
共用部221とは、集合住宅20の住人それぞれが占有して使用する部分において電力を消費する負荷である。専用部222とは、例えば店子であってもよい。
図4に図示する一例では、集合住宅20は、負荷22として、共用部221と、専用部222-1と、専用部222-2と、専用部222-3と、専用部222-4とを備える。すなわち、
図4に図示する集合住宅20には、4世帯が入居する。
【0033】
図5は、実施形態に係る戸建住宅の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、実施形態に係る戸建住宅30の一例について説明する。
戸建住宅30とは、集合住宅20とは異なり、1棟に1戸の建物である。戸建住宅30は、例えば、所謂一軒家であってもよい。戸建住宅30は、太陽光パネル31と、負荷32とを備える。
【0034】
太陽光パネル31は、発電設備の一例である。太陽光パネル31は、太陽から放出された太陽光を電力に変換する太陽光発電を行う。太陽光パネル31は、変換した電力を自営線PLに供給する。太陽光パネル31は、変換した電力を自営線PLに供給する際に、電圧を変換するための電圧変換装置を介して自営線PLに接続されていてもよい。
なお、戸建住宅30は、太陽光発電をするための設備である太陽光パネル31に代えて、風力発電、地熱発電、バイオマス発電、手動式発電等の他の発電方式による発電設備を備えていてもよい。また、戸建住宅30は、発電設備を備えていなくてもよい。
【0035】
負荷32は、自営線PLから電力の供給を受け、電力を消費する。戸建住宅30は、1棟に1戸の建物であるため、他の世帯と共有する共有部を備えない。したがって、戸建住宅30が備える負荷は、戸建住宅30の住人が占有して使用する部分において電力を消費する負荷である。
【0036】
[判定装置の機能構成]
図6は、実施形態に係る判定装置10の機能構成について説明するためのブロック図である。同図を参照しながら、実施形態に係る判定装置10の機能構成について説明する。判定装置10は、第1需給情報取得部110と、第2需給情報取得部120と、判定部160と、出力部170とを備える。
【0037】
第1需給情報取得部110は、第1グループGR1に属する需要家Cの電力の需要と供給に関する情報である第1需給情報DSI1を取得する。第1需給情報DSI1とは、第1グループGR1に属する需要家Cにより発電される電力量と、第1グループGR1に属する需要家Cにより消費される電力量との情報を含む。すなわち、第1需給情報取得部110は、第1グループGR1に属する需要家Cにより発電される電力量と、第1グループGR1に属する需要家Cにより消費される電力量とを含む情報である第1需給情報DSI1を取得する。
【0038】
なお、第1需給情報取得部110は、供給情報取得部111と、需要情報取得部112とを備えていてもよい。
供給情報取得部111は、第1グループGR1に属する需要家Cにより発電される電力量の情報を含む供給情報SIを取得する。需要情報取得部112は、第1グループGR1に属する需要家Cにより消費される電力量の情報を含む需要情報需DIを取得する。
第1需給情報取得部110は、取得した供給情報SIと、需要情報DIとに基づき、第1需給情報DSI1を算出する。
【0039】
図7は、実施形態に係る需要情報DIと供給情報SIの一例について説明するための図である。同図を参照しながら、需要情報DIと供給情報SIの一例について説明する。
図7上段には、需要情報DIの一例を示す。同図には、需要情報DIの一例として、需要家Cが要する需要電力の時間毎の変化についての情報を示す。需要家Cが要する需要電力とは、実際に需要家Cが消費した電力の値であってもよいし、実際に需要家Cが消費した電力の値等から予測された値であってもよい。
同図に示す一例において、0時から6時の間においては、就寝している人が多いため、当該時間帯における需要電力は小さい。6時前後の時間帯において、起床した人から順に電力を使用し始めるため、需要電力は徐々に大きくなる。また、6時から18時においては、家から外出する人も多いため、需要電力は低くなる。また、18時から24時の間においては、帰宅した人から順に電力を使用し始めるため、需要電力は徐々に大きくなる。
【0040】
図7下段には、供給情報SIの一例を示す。同図には、供給情報SIの一例として、需要家Cにより発電された供給電力の時間毎の変化についての情報を示す。需要家Cにより発電された供給電力とは、実際に需要家Cが発電した電力の値であってもよいし、実際に需要家Cが発電した電力の値等から予測された値であってもよい。
同図には一例として、需要家Cが太陽光発電により発電する場合の一例について示す。同図に示す一例において、0時から6時の間においては、日の出前のため、太陽光発電が行われず、供給電力は略ゼロである。6時前後の時間帯において、日の出を迎えると、太陽が昇るに連れて、供給電力も大きくなる。12時前後の時間帯において、供給電力はピークを迎える。12時から18時の間においては、日が沈むにつれて供給電力も小さくなる。18時以降になると、日の入りを迎え、供給電力は略ゼロとなる。
【0041】
図6に戻り、需要情報取得部112は、需要家情報取得部1121と、時刻取得部1122と、推定部1123とを備えていてもよい。需要情報取得部112は、需要家情報取得部1121と、時刻取得部1122と、推定部1123とを備えることにより、需要情報DIを推定する。
【0042】
需要家情報取得部1121は、第1グループGR1に属する複数の需要家Cのうち、それぞれの需要家Cの住宅及び世帯についての情報を取得する。世帯についての情報とは、例えば、集合住宅20に居住する住人であるか、又は戸建住宅30に居住する住人であるか等の住宅に関する情報、及び住人が単身であるか、共働きであるか、子育て世代であるか、又は二世帯住宅であるか等の世帯に関する情報であってもよい。需要家Cの住宅に関する情報と、世帯に関する情報とを、需要家Cの属性又は需要家情報CIと記載する。
すなわち、需要家情報取得部1121は、第1グループGR1に属する複数の需要家Cのうち、それぞれの需要家Cの属性(需要家情報CI)を取得する。
【0043】
図8は、実施形態に係る需要家情報CIと電力使用量の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、需要家情報CIと電力使用量の一例について説明する。
同図には、需要家情報CIが、“集合住宅-単身”である場合、“集合住宅-共働き”である場合、“戸建住宅-子育て世代”である場合、及び“戸建住宅-二世帯住宅”である場合の一例について、それぞれの特徴と、電力使用量の一例について図示している。電力使用量の一例では、一日の内の電力使用量の時間毎の推移を、縦軸を消費電力、横軸を時間として示す。
【0044】
需要家情報CIが“集合住宅-単身”である場合、住人は、夜寝るためだけに住宅に帰る場合が多く、家にいる時間が少ない場合が多い。この場合、消費電力が全体的に小さく、消費電力がゼロに近い時間が長いことが特徴的である。
需要家情報CIが“集合住宅-単身”である場合における電力使用量の一例について、説明する。消費電力は、ゼロに近い時間が長く、1日のうち、外出前の時間と、帰宅後の時間の2回のタイミングにおいて、消費電力が上がる。同図に示す一例においては、住人が起床した6時の時点で消費電力が上昇し、住人が帰宅してから睡眠するまでの間である20時から24時の間において、消費電力が上昇している。
【0045】
需要家情報CIが“集合住宅-共働き”である場合、住人は、昼間は夫婦共に働きに出るが、夜は家で生活する時間もある。この場合、日中の消費電力は、需要家情報CIが、“集合住宅-単身”の場合と略同様であるが、夕方以降の時間における消費電力は、需要家情報CIが“集合住宅-単身”の場合と比較して大きい。
需要家情報CIが“集合住宅-共働き”である場合における電力使用量の一例について、需要家情報CIが“集合住宅-単身”である場合と比較しながら説明する。需要家情報CIが“集合住宅-共働き”である場合、住人が起床してから外出するまでの時間における消費電力は、需要家情報CIが“集合住宅-単身”である場合よりも大きい。また、需要家情報CIが“集合住宅-共働き”である場合、住人が帰宅する時間は、需要家情報CIが“集合住宅-単身”である場合よりも早く、住人が帰宅してから就寝するまでの時間における消費電力は、需要家情報CIが“集合住宅-単身”である場合よりも大きい。同図に示す一例においては、住人が起床した6時の時点で消費電力が上昇し、住人が帰宅してから睡眠するまでの間である18時から24時の間において、消費電力が上昇している。
【0046】
需要家情報CIが“戸建住宅-子育て世代”である場合、親の一方及び子供は昼間も在宅の場合が多く、“集合住宅-単身”又は“集合住宅-共働き”である場合に比べ、昼間の電力の消費量が大きいことが特徴的である。
需要家情報CIが“戸建住宅-子育て世代”である場合における電力使用量の一例について、説明する。1日のうち、就寝中における消費電力が最も低く、昼間の消費電力は、常にある程度大きい。また、親の一方が働きに出かける前の朝食時、及び帰宅後の夕食から睡眠までの間においては、消費電力が大きくなる。同図に示す一例においては、住人が起床した6時の時点で消費電力が上昇し、6時から12時までの消費電力はある程度大きい。また、夕食時の18時から睡眠までの間である18時から24時の間において、消費電力が上昇する。
【0047】
需要家情報CIが“戸建住宅-二世帯住宅”である場合、親世代は常に家にいることが多いため、昼間の消費電力が常に大きいことが特徴的である。
需要家情報CIが“戸建住宅-二世帯住宅”である場合における電力使用量の一例について、説明する。需要家情報CIが“戸建住宅-二世帯住宅”である場合、住人が起床してから就寝するまでにおける消費電力は、1日を通して略一定である。同図に示す一例においては、住人が起床した6時から就寝する20時までの間において消費電力は、一定であり、大きい。また、住人が睡眠し始めてから起床するまでの間において、消費電力は、低い。
【0048】
なお、上述した電力使用量の一例は、季節ごとに異なっていてもよいし、需要家情報CIは、より細分化された住人の属性が用いられていてもよい。
【0049】
図6に戻り、時刻取得部1122は、現在の時刻を取得する。以後、現在の時刻を含む情報を時刻情報TIと記載する。時刻取得部1122は、例えば、インターネット等のネットワークを介し、時刻情報TIを取得する。
なお、判定装置10が時計を備える場合は、時刻取得部1122は、判定装置10に備えられた時計から時刻情報TIを取得してもよい。
【0050】
推定部1123は、需要家情報CIと、時刻情報TIとに基づき、第1グループGR1に属する需要家Cにより消費される電力量である需要情報DIを推定する。第1需給情報DSI1とは、供給情報SIと、需要情報DIとを含む情報である。すなわち、推定部1123は、第1需給情報DSI1のうち第1グループGR1に属する需要家Cにより消費される電力量を推定する。
【0051】
第2需給情報取得部120は、第2グループGR2に属する需要家Cの電力の需要と供給に関する情報である第2需給情報DSI2を取得する。第2需給情報DSI2とは、第2グループGR2に属する需要家Cにより発電される電力量と、第2グループGR2に属する需要家Cにより消費される電力量とを含む。すなわち、第2需給情報取得部120は、第2グループGR2に属する需要家Cにより発電される電力量と、第2グループGR2に属する需要家Cにより消費される電力量とを含む情報第2需給情報DSI2を取得する。
【0052】
判定部160は、第1グループGR1に属する需要家Cが要する電力の調達先を判定する。電力の調達先とは、例えば、小売電気事業者からの買電、又は第2グループGR2からの電力の供給である。すなわち、判定部160は、第1グループGR1に属する需要家Cが要する電力の調達先として、小売電気事業者からの買電又は第2グループGR2からの電力の供給のいずれかを判定する。
また、判定部160は、第1グループGR1に属する需要家Cが要する電力の送電先を判定する。電力の送電先とは、例えば、第1グループGR1に属する蓄電池への蓄電、小売電気事業者への売電、又は第2グループGR2への電力の供給である。すなわち、判定部160は、第1グループGR1に属する需要家Cが発電した電力の送電先として、第1グループGR1に属する蓄電池への蓄電、小売電気事業者への売電、第2グループGR2への電力の供給のいずれかを判定する。
【0053】
判定部160は、第1需給情報DSI1と、第2需給情報DSI2とに基づき、第1グループGR1に属する需要家Cが要する電力の調達先又は第1グループGR1に属する需要家Cが発電した電力の送電先の少なくとも一方を判定する。判定部160により判定された情報を、電力分配情報DPIとして記載する。電力分配情報DPIには、電力の調達先又は電力の送電先の少なくとも一方が含まれる。
【0054】
なお、第1需給情報取得部110が、供給情報取得部111と需要情報取得部112とを備える場合において、判定部160は、第1グループGR1内における電力の分配先を判定する。第1グループGR1内における電力の分配とは、例えば、第1グループGR1に属する需要家Cにより発電された電力を、同じ第1グループGR1に属する他の需要家Cに対し送電することである。すなわち、判定部160は、取得した供給情報SIと、需要情報DIとに基づき、第1グループGR1に属する需要家Cのそれぞれが要する電力の調達先又は第1グループGR1に属する需要家Cのそれぞれが発電した電力の送電先の少なくとも一方を判定する。また、判定部160は、第1グループGR1に属する需要家Cが発電した電力を、第1グループGR1に属する複数の需要家Cのうち、いずれの需要家Cに送電するかを判定する。
【0055】
なお、判定部160は、託送料金、買電量又は蓄電量のいずれかが小さくなるよう電力の調達先又は電力の送電先を判定してもよい。
図9は、実施形態に係る最適化方法の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、実施形態に係る最適化方法の一例について説明する。
最適化方法Aは、託送料金を最小にする最適化方法である。判定部160は、最適化方法Aにより判定する場合、送電に際し託送料金の支払いを要しない住宅間での電力の融通を優先し、託送料金がかかる住宅間での電力の融通は控える。すなわち、最適化方法Aによれば、判定部160は、第1グループGR1に属する需要家C間における電力の送電を優先し、第1グループGR1に属する需要家Cにおける電力の需給の総和がマイナスになった際には、小売電気事業者から買電する。また、最適化方法Aによれば、判定部160は、第1グループGR1に属する需要家Cにおける電力の需給の総和がプラスになった際には、第2グループGR2に属する需要家Cに送電せず、蓄電池40に蓄電する。
【0056】
最適化方法Bは、小売電気事業者から買電する電力を最小にする最適化方法である。判定部160は、最適化方法Bにより判定する場合、一般送電線GLにより接続された他のグループから電力の供給を受けることを優先し、小売電気事業者から買電することを控える。すなわち、最適化方法Bによれば、判定部160は、第1グループGR1に属する需要家Cにおける電力の需給の総和がマイナスになった際には、第2グループGR2に属する需要家Cから電力の供給を受ける。また、最適化方法Bによれば、判定部160は、第1グループGR1に属する需要家Cにおける電力の需給の総和がプラスになった際には、第2グループGR2に属する需要家Cに送電するか、又は蓄電池40に蓄電する。
【0057】
最適化方法Cは、蓄電池40に蓄電する電力の量を最小にする最適化方法である。判定部160は、最適化方法Cにより判定する場合、電力損失を抑えるため、蓄電池40に蓄電する電力の量を最小にする。すなわち、最適化方法Cによれば、判定部160は、第1グループGR1に属する需要家Cにおける電力の需給の総和がマイナスになった際には、小売電気事業者から買電し、又は第2グループGR2に属する需要家Cから電力の供給を受ける。また、最適化方法Bによれば、判定部160は、第1グループGR1に属する需要家Cにおける電力の需給の総和がプラスになった際には、小売電気事業者に買電し、又は第2グループGR2に属する需要家Cへ電力を供給する。最適化方法Bによれば、電力損失を抑えることができるため、環境に優しい。
【0058】
判定部160は、最適化方法A、最適化方法B又は最適化方法Cのいずれかにより、電力の調達先又は電力の送電先を判定する。すなわち、判定部160は、第2グループGR2に属する需要家Cに送電する際の託送料金、小売電気事業者から買電する際の買電料金又は第1グループGR1に属する蓄電池により蓄電される蓄電量のうちいずれかを小さくするよう、第1グループGR1に属する需要家Cが要する電力の調達先又は第1グループGR1に属する需要家Cが発電した電力の送電先を判定する。
【0059】
図6に戻り、判定部160が、最適化方法選択部161を備える場合の一例について説明する。判定部160は、最適化方法選択部161を備えることにより、最適化方法A、最適化方法B又は最適化方法Cのうち、いずれの最適化方法を用いて、電力の調達先又は電力の送電先を判定するかを選択する。
最適化方法選択部161は、第2グループGR2に属する需要家Cに送電する際の託送料金、小売電気事業者から買電する際の買電料金又は蓄電池40により蓄電される蓄電量のうちいずれを小さくするかを選択する。すなわち、判定部160は、前記第2グループに属する需要家に送電する際の託送料金、小売電気事業者から買電する際の買電料金又は前記蓄電池により蓄電される蓄電量のうちいずれを小さくするかを選択する最適化方法選択部を備える。
判定部160は、最適化方法選択部161により選択された最適化方法に基づき、第1グループGR1に属する需要家Cが要する電力の調達先又は第1グループGR1に属する需要家Cが発電した電力の送電先の少なくとも一方を判定する。
【0060】
最適化方法選択部161は、例えば、不図示の入力装置により、最適化方法A、最適化方法B又は最適化方法Cのうち、いずれの最適化方法を選択するかの情報を取得する。最適化方法選択部161は、取得した選択方法を記憶するよう構成されていてもよい。
【0061】
図6に戻り、出力部170は、判定部160により判定された情報である電力分配情報DPIを出力する。
【0062】
[判定装置の一連の動作]
図10は、実施形態に係る判定方法について説明するためのフローチャートである。同図を参照しながら、判定装置10の一連の動作、すなわち判定方法について説明する。
(ステップS111)供給情報取得部111は、第1グループGR1に属する需要家Cにより発電される電力量の情報を含む供給情報SIを取得する。
(ステップS113)需要家情報取得部1121は、第1グループGR1に属する複数の需要家Cのうち、それぞれの需要家Cの属性(需要家情報CI)を取得する。
(ステップS114)時刻取得部1122は、現在の時刻を含む情報である時刻情報TIを取得する。
【0063】
なお、ステップS111からステップS114までをステップS110とも記載する。ステップS110は、第1需給情報DSI1を取得するステップである。
なお、ステップS113及びステップS114をステップS112とも記載する。ステップS112は、需要情報DIを取得するステップである。
【0064】
(ステップS120)第2需給情報取得部120は、第2グループGR2に属する需要家Cの電力の需要と供給に関する情報である第2需給情報DSI2を取得する。
(ステップS130)判定部160は、取得した第1需給情報DSI1と、第2需給情報DSI2とに基づき、第1グループGR1に属する需要家Cが要する電力の調達先又は第1グループGR1に属する需要家Cが発電した電力の送電先の少なくとも一方を判定する。
(ステップS140)出力部170は、判定部160により判定された情報を電力分配情報DPIとして出力する。
【0065】
[実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、判定装置10は、第1需給情報取得部110と、第2需給情報取得部120と、判定部160と、出力部170とを備える。判定装置10は、第1需給情報取得部110を備えることにより第1グループGR1に属する需要家Cの第1需給情報DSI1を取得し、第2需給情報取得部120を備えることにより第2グループGR2に属する需要家Cの第2需給情報DSI2を取得し、判定部160を備えることにより、取得した第1需給情報DSI1と第2需給情報DSI2とに基づき、第1グループGR1に属する需要家Cが要する電力の調達先又は第1グループGR1に属する需要家Cが発電した電力の送電先の少なくとも一方を判定し、出力部170を備えることにより電力分配情報DPIを出力する。
ここで、第1グループGR1及び第2グループGR2は、それぞれ自営線PLにより接続された複数の需要家Cから構成され、第1グループGR1と第2グループGR2とは、一般送電線GLを介して互いに電力の供給をすることができる。
すなわち、判定装置10は、一般送電線GLにより接続された異なる2つのグループそれぞれから電力の需給に関する情報を取得し、取得した情報に基づき、電力の調達先又は送電先を判定する。よって本発明によれば、判定装置10は、送電網に接続された複数の住宅間で電力の供給を好適に制御することができる。
【0066】
また、以上説明した実施形態によれば、判定装置10は、供給情報取得部111を備えることにより第1グループGR1に属する需要家Cにより発電される電力量の情報を含む供給情報SIを取得し、需要情報取得部112を備えることにより第1グループGR1に属する需要家Cにより消費される電力量の情報を含む需要情報DIを取得する。判定部160は、取得した供給情報SIと需要情報DIとに基づいて、第1グループGR1に属する複数の需要家Cのうちそれぞれの需要家Cが要する電力の調達先又は第1グループGR1に属する複数の需要家Cのうちそれぞれの需要家Cが発電した電力の送電先の少なくとも一方を判定する。よって本発明によれば、需要情報DIと供給情報SIとをそれぞれ分けて取得することにより、需要と供給それぞれの量を把握することができ、送電網に接続された複数の住宅間で電力の供給をより好適に制御することができる。
【0067】
また、以上説明した実施形態によれば、判定装置10は、需要家情報取得部1121を備えることにより、第1グループGR1に属する複数の需要家Cのうち、それぞれの需要家Cの属性を取得し、時刻取得部1122を備えることにより、現在の時刻を取得し、推定部1123を備えることにより、取得した需要家情報取得部1121と、時刻情報TIとに基づき、第1グループGR1に属する需要家Cにより消費されるであろう電力量を推定する。よって本発明によれば、判定装置10は、時刻に応じた電力消費量を、住人の属性により推定することができる。したがって、本発明によれば、送電網に接続された複数の住宅間で電力の供給をより好適に制御することができる。
【0068】
また、以上説明した実施形態によれば、判定装置10は、第1グループGR1に属する需要家Cが要する電力の調達先として、小売電気事業者からの買電又は第2グループGR2からの電力の供給のいずれかを判定する。したがって、本発明によれば、判定装置10は、買電により不足分の電力を調達するか、託送料金を支払うことにより他のグループから不足分の電力を調達するかを判定することができる。したがって、本発明によれば、送電網に接続された複数の住宅間で電力の供給をより好適に制御することができる。
【0069】
また、以上説明した実施形態によれば、判定装置10は、第1グループGR1に属する需要家Cが発電した電力の送電先として、第1グループGR1に属する蓄電池40への蓄電、小売電気事業者への売電、第2グループGR2への電力の供給のいずれかを判定する。
判定装置10は、例えば、第1グループGR1において電力の総和がプラスである場合において、近い将来、第1グループGR1に属する需要家Cにより消費電力量の増加が予想される場合は、託送料金を払って第2グループGR2に送電することなく、蓄電池40に蓄電することにより、より効率的に電力の分配をすることができる。
また、例えば、環境への配慮を重視する場合には、蓄電池40に蓄電する電力量を減らすことにより、損失する電力量を減らすことができる。
したがって、本発明によれば、送電網に接続された複数の住宅間で電力の供給をより好適に制御することができる。
【0070】
また、以上説明した実施形態によれば、判定装置10は、第1グループGR1に属する需要家Cが発電した電力を、第1グループGR1に属する複数の需要家Cのうち、いずれの需要家に送電するかを判定する。
したがって、本発明によれば、自営線PLにより接続された複数の住宅間であっても、電力の供給をより好適に制御することができる。
【0071】
また、以上説明した実施形態によれば、判定装置10は、第2グループGR2に属する需要家Cに送電する際の託送料金、小売電気事業者から買電する際の買電料金又は第1グループGR1に属する蓄電池40により蓄電される蓄電量のうちいずれかを小さくするよう、第1グループGR1に属する需要家Cが要する電力の調達先又は第1グループGR1に属する需要家Cが発電した電力の送電先を判定する。すなわち、判定装置10は、複数の異なる最適化方法を有する。
したがって、本発明によれば、自営線PLにより接続された複数の住宅間であっても、電力の供給をより好適に制御することができる。
【0072】
また、以上説明した実施形態によれば、判定装置10は、最適化方法選択部161を備えることにより、第2グループGR2に属する需要家Cに送電する際の託送料金、小売電気事業者から買電する際の買電料金又は蓄電池40により蓄電される蓄電量のうちいずれを小さくするかを選択する。すなわち、本実施形態によれば、判定装置10は、何を優先するのかにより、異なる最適化方法を採用することができる。
したがって、本発明によれば、自営線PLにより接続された複数の住宅間であっても、電力の供給をより好適に制御することができる。
【0073】
なお、上述した実施形態における判定装置10が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0074】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。また、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0075】
1…判定システム、10…判定装置、20…集合住宅、21…太陽光パネル、22…負荷、221…共用部、222…専用部、30…戸建住宅、31…太陽光パネル、32…負荷、40…蓄電池、110…第1需給情報取得部、111…供給情報取得部、112…需要情報取得部、1121…需要家情報取得部、1122…時刻取得部、1123…推定部、120…第2需給情報取得部、160…判定部、170…出力部、CP…商用電力、PL…自営線、GL…一般送電線、CI…需要家情報、TI…時刻情報、DI…需要情報、SI…供給情報、DSI1…第1需給情報、DSI2…第2需給情報、DPI…電力分配情報