(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20241107BHJP
F24F 6/06 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
F24F6/00 C
F24F6/06
F24F6/00 A
F24F6/00 D
(21)【出願番号】P 2021004203
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克浩
(72)【発明者】
【氏名】内村 謙介
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-009181(JP,A)
【文献】特開2020-183825(JP,A)
【文献】特開2011-117618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
F24F 6/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を収容する容器と、
第1フィルタユニットと、
前記第1フィルタユニットを回転させる駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と
を備え、
前記第1フィルタユニットは、
水平方向に沿って延びた第1回転軸線を有する第1枠体と、
前記容器内の前記水を吸水する第1フィルタと
を有し、
前記第1枠体は、
前記第1回転軸線に対して前記第1回転軸線と交差する第1方向側に配置された第1領域と、
前記第1方向の反対方向側に配置された第2領域と
を有し、
前記第1フィルタは、前記第1領域に配置され、
前記制御部は、
加湿運転時に、前記第1フィルタユニットが回転するように、前記駆動部を制御し、
前記加湿運転の停止時に、前記第1領域が前記第1回転軸線より下方に位置するように、前記駆動部を制御
し、
上下方向において、前記容器の深さは前記第1領域の長さより大きく、
前記加湿運転の停止時に、前記第1フィルタの全部が前記容器内の前記水に浸漬される、加湿装置。
【請求項2】
前記第1フィルタユニットと対向する第2フィルタユニットを更に備え、
前記第2フィルタユニットは、
前記水平方向に沿って延びた第2回転軸線を有する第2枠体と、
前記容器内の前記水を吸水する第2フィルタと
を有し、
前記第2枠体は、
前記第2回転軸線に対して前記第2回転軸線と交差する第2方向側に配置された第3領域と、
前記第2方向の反対方向側に配置された第4領域と
を有し、
前記第2フィルタは、前記第3領域に配置され、
前記制御部は、
前記加湿運転時に、前記第2フィルタユニットが回転するように、前記駆動部を制御し、
前記加湿運転の停止時に、前記第3領域が前記第2回転軸線より下方に位置するように、前記駆動部を制御する、請求項
1に記載の加湿装置。
【請求項3】
水を収容する容器と、
前記容器内の前記水を吸水するフィルタを有する少なくとも1つのフィルタユニットと、
前記水に対する前記フィルタの位置が変化するように前記少なくとも1つのフィルタユニットを駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記容器内に所定量の前記水が収容されている場合、
加湿運転時において、前記フィルタの少なくとも一部が前記水から露出している期間を含むように前記駆動部を制御し、
前記加湿運転の停止時において、前記フィルタの全部が前記水に浸漬するように前記駆動部を制御する、
加湿装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフィルタユニットは、前記フィルタとして第1フィルタを有する第1フィルタユニットと、前記フィルタとして第2フィルタを有する第2フィルタユニットとを含み、
前記制御部は、前記容器内に所定量の前記水が収容されている場合、
前記加湿運転時において、前記第1フィルタの少なくとも一部が前記水から露出している第1期間と、前記第2フィルタの少なくとも一部が前記水から露出している第2期間とが互いにずれるように前記駆動部を制御する、
請求項3に記載の加湿装置。
【請求項5】
前記水は、物質を含有し、
前記物質は、芳香剤、防腐剤、又は、抗菌剤である、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の加湿装置。
【請求項6】
前記容器に前記水を供給する給水タンクを更に備え、
前記給水タンクは、前記容器内に所定量の前記水が収容された状態を維持する、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の加湿装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の加湿装置に前記第1フィルタユニットとして用いられるフィルタユニット。
【請求項8】
請求項3又は4に記載の加湿装置に用いられるフィルタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内に加湿空気を供給する加湿装置が普及している。例えば、特許文献1に記載された加湿装置は、送風機と、水槽部と、気化フィルタとを備える。気化フィルタは、一部が水槽部内の水に浸漬されており、この水を吸い上げることにより湿潤している。送風機は、気化フィルタに送風することにより加湿空気を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された加湿装置では、気化フィルタは、消耗品であり、所定期間で交換される。しかしながら、特許文献1に記載された加湿装置では、加湿運転の停止時に、水として水道水を使用した場合、水道水に含有する物質(例えば、次亜塩素酸カルシウム)が気化フィルタに析出するため、気化フィルタが目詰まりし、フィルタの性能を著しく低下させることとなる。その結果、通常よりも早い時期に気化フィルタを交換せざるを得ない場合があった。よって、気化フィルタを短期間で交換する必要があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、水を吸水するフィルタの性能の低下を抑えることができる加湿装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加湿装置は、容器と、第1フィルタユニットと、駆動部と、制御部とを備える。前記容器は、水を収容する。前記駆動部は、前記第1フィルタユニットを回転させる。前記制御部は、前記駆動部を制御する。前記第1フィルタユニットは、水平方向に沿って延びた第1回転軸線を有する第1枠体と、前記容器内の前記水を吸水する第1フィルタとを有する。前記第1枠体は、前記第1回転軸線に対して前記第1回転軸線と交差する第1方向側に配置された第1領域と、前記第1方向の反対方向側に配置された第2領域とを有する。前記第1フィルタは、前記第1領域に配置される。前記制御部は、加湿運転時に、前記第1フィルタユニットが回転するように、前記駆動部を制御し、前記加湿運転の停止時に、前記第1領域が前記第1回転軸線より下方に位置するように、前記駆動部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る加湿装置によれば、水を吸水するフィルタの性能の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る加湿装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る加湿装置を示す断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る加湿装置を示す別の断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る加湿装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態に係る加湿方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る加湿装置を示す断面図である。
【
図7】第2実施形態に係る加湿装置を示す別の断面図である。
【
図8】第2実施形態に係る加湿装置を示す断面図である。
【
図9】第2実施形態に係る加湿装置を示す別の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
<第1実施形態>
まず、
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る加湿装置100の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る加湿装置100の構成の一例を示す断面図である。また、第1実施形態では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示す。Z軸は鉛直方向に平行であり、X軸及びY軸は水平方向に平行である。X軸の正方向は、加湿装置100の後面側から前面側に向かう方向を示す。
【0011】
図1に示すように、加湿装置100は、筐体10と、第1フィルタユニット3と、トレイ4と、送風機6と、モータ5とを備える。トレイ4は、「容器」の一例である。モータ5は、「駆動部」の一例である。加湿装置100は、例えば、据置型の加湿器である。加湿装置100は、部屋に配置される。
【0012】
筐体10は、天板26と、底板27と、側板29と、前面パネル28と、後面パネル24とを備える。前面パネル28と後面パネル24と側板29との各々は、天板26と底板27との間に配置されている。
【0013】
後面パネル24は、前面パネル28と対向して配置される。そして、後面パネル24は、筐体10の、第1所定方向D1の反対方向側に配置される。第1所定方向D1は、X軸の正方向に沿って延びている。後面パネル24は、複数の吸込口25を有する。複数の吸込口25の各々は、開口である。
【0014】
天板26は、底板27と対向して配置される。そして、筐体10の上方側に配置される。天板26は、複数の送気口16を有する。複数の送気口16の各々は、開口である。
【0015】
筐体10は、吸込室12と、吐出室13と、隔壁11とを更に備える。隔壁11は、吸込室12と吐出室13とを仕切る。吸込室12は、吐出室13より第1所定方向D1の反対方向に配置される。
【0016】
筐体10は、流通路RAを有する。具体的には、吸込室12は、複数の吸込口25を介して筐体10の外部に連通する。吐出室13は、複数の送気口16を介して筐体10の外部に連通する。吸込室12と吐出室13とは、隔壁11の下部に設けた開口11aを経て相互に連通する。吸込口25と吸込室12と開口11aと吐出室13と送気口16とが、流通路RAに相当する。
【0017】
まず、吸込室12について詳細に説明する。吸込室12は、第1フィルタユニット3と、トレイ4と、モータ5とを収容する。また、吸込室12は、集塵フィルタ22と、脱臭フィルタ23と、仕切部材21とを更に備える。
【0018】
脱臭フィルタ23は、後面パネル24より第1所定方向D1に配置される。脱臭フィルタ23は、空気中に含有される臭い成分を吸着する。脱臭フィルタ23は、例えば、活性炭を保持させた不織布である。
【0019】
集塵フィルタ22は、脱臭フィルタ23より第1所定方向D1に配置される。集塵フィルタ22は、脱臭フィルタ23に積層される。集塵フィルタ22は、空気中に含有される塵埃を捕集する。集塵フィルタ22は、例えば、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)である。
【0020】
仕切部材21は、集塵フィルタ22より第1所定方向D1に配置される。仕切部材21は、複数の開口211を有する。
【0021】
次に、吐出室13について詳細に説明する。吐出室13は、送風機6を収容する。送風機6は、開口11aに対向配置される。
【0022】
送風機6は、ファン60と、モータ61とを有する。モータ61は、ファン60を回転させる。詳細には、ファン60の中心は、モータ61の回転軸に連結される。
【0023】
ファン60は、空気が第1フィルタユニット3を通過するように、気流を発生する。具体的には、モータ61の駆動によりファン60が回転する。そして、ファン60は、第1フィルタユニット3を介して空気を吸引し、第1所定方向D1側へ空気を送出する。
【0024】
更に詳細には、流通路RAには、空気が流通する。具体的には、ファン60の回転によって、方向Dで示すように、加湿装置100の外部から後面パネル24の吸込口25を経て吸込室12へ空気が流入する。方向Dは、空気の流れの方向を示す。流入した空気は、吸込室12の内部を第1所定方向D1へ流れる。そして、開口11aを経由して、空気はファン60に吸引される。ファン60によって、空気の進行方向は上方向に変えられる。そして、空気は、送気口16を経由して加湿装置100の外部へ排出される。
【0025】
続けて
図1及び
図2を参照して、第1実施形態に係るトレイ4及び第1フィルタユニット3について説明する。
図1及び
図2は、加湿装置100を示す断面図である。
図2に示すように、第1フィルタユニット3は、第1枠体30と、第1フィルタ31とを有する。
【0026】
第1枠体30は、第1回転軸線AXを有する。第1回転軸線AXは、水平方向に沿って延びる。具体的には、第1回転軸線AXは、第1所定方向D1に沿って延びている。第1枠体30は、第1回転軸線AXの周りを回転方向R1で回転する。
【0027】
第1枠体30は、保持枠34と、第1領域32と、第2領域33とを更に有する。保持枠34の形状は、例えば、第1回転軸線AXが中心軸である略円筒状を有する。保持枠34の外周面には、リングギヤが形成される。具体的には、リングギヤは、保持枠34の外周面の全周にわたって形成された歯である。
【0028】
第1領域32は、第1回転軸線AXに対して第1方向RD1側に配置される。第1方向RD1は、第1回転軸線AXと交差する。具体的には、第1方向RD1は、第1回転軸線AXと直交する。なお、第1枠体30は、第1回転軸線AXの周りを回転するが、
図2では、第1方向RD1は、Z軸の負方向に沿って延びている。詳細には、第1領域32は、略半円状の空間である。一方、第2領域33は、第1回転軸線AXに対して第1方向RD1の反対方向側に配置される。詳細には、第2領域33は、略半円状の空間である。具体的には、第2領域33は、保持枠34の内部のうち、第1領域32以外の領域である。
【0029】
第1フィルタ31は、トレイ4内の水を吸水する。例えば、第1フィルタ31は、半円板状のシートである。シートは、吸水性と通気性とを有する材料で形成される。シートは、例えば、レーヨンで形成される。
【0030】
第1フィルタ31は、第1領域32に配置される。詳細には、第1フィルタ31は、消耗品である。第1フィルタ31は、ユーザによって第1領域32に対して着脱自在である。なお、第2領域33には、第1フィルタ31が配置されない。
【0031】
トレイ4は、水を収容する。水は、物質を含有する。物質は、芳香剤、防腐剤、又は、抗菌剤である。具体的には、水は、水道水である。詳細には、水は、所定濃度の物質を含有する。防腐剤は、例えば、次亜塩素酸カルシウムである。所定濃度は、任意の濃度であるが、本実施形態では、水は、高濃度の物質を含有してもよい。また、水は、純水に対する溶解度が低い物質を含有してもよい。
【0032】
トレイ4の形状は、矩形の箱状を有する。トレイ4の上面は開口している。具体的には、トレイ4は、タンク室43と、フィルタ室44と、仕切板42とを有する。仕切板42は、タンク室43とフィルタ室44との間に配置される。すなわち、トレイ4は、タンク室43とフィルタ室44とに区分されている。具体的には、タンク室43とフィルタ室44とは、Y軸の正方向に沿って区分されている。詳細には、タンク室43が、フィルタ室44よりY軸の負方向に設けられている。仕切板42の下部には、タンク室43とフィルタ室44とを連通させる連通口が設けられている。
【0033】
上下方向において、トレイ4の深さは第1領域32の長さより大きい。具体的には、上下方向において、フィルタ室44の深さは第1領域32の長さより大きい。詳細には、トレイ4は、2個の支持ローラ41を有する。具体的には、2個の支持ローラ41の各々は、フィルタ室44の内部に設けられている。2個の支持ローラ41の各々は、第1所定方向D1を回転軸として回転する。また、2個の支持ローラ41は、第1所定方向D1と交差する方向、かつ、鉛直方向と交差する方向に沿って、所定距離を空けて配置されている。そして、トレイ4は、第1フィルタユニット3の下方に配置される。
【0034】
モータ5は、第1フィルタユニット3を回転させる。モータ5は、第1フィルタユニット3を第1回転軸線AXの周りに回転させる。モータ5は、隔壁11に固定されており、第1フィルタユニット3よりも上方に配置される。モータ5には、伝動歯車が連結されており、伝動歯車には、駆動歯車が噛合される。
【0035】
保持枠34が2個の支持ローラ41上に載置されることにより、第1フィルタユニット3の一部は流通路RAに配置される。具体的には、第1フィルタユニット3の下部は、トレイ4の内部に位置するとともに、第1フィルタユニット3の上部は、トレイ4の外部に位置する。第1フィルタユニット3の下部は、トレイ4内の水に浸漬される。
【0036】
2個の支持ローラ41上に保持枠34が載置されたときに、駆動歯車とリングギヤとは、噛合する。すなわち、第1フィルタユニット3は、2個の支持ローラ41と、駆動歯車とにより、周方向の異なる位置で3点支持された状態となる。その結果、モータ5が回転駆動することによって、伝動歯車を介して駆動歯車が回転する。そして、駆動歯車の回転がリングギヤを介して保持枠34に伝わり、第1フィルタユニット3が第1回転軸線AXを回転軸として回転する。
【0037】
続けて
図2から
図4を参照して、第1実施形態に係る制御部70について説明する。
図3は、加湿装置100を示す別の断面図である。
図4は、第1実施形態に係る加湿装置100の構成を示すブロック図である。
図2から
図4に示すように、加湿装置100は、制御部70と、操作部71とを更に備える。
【0038】
操作部71は、加湿を行う情報を受付ける。具体的には、操作部71は、加湿を行うか否かのいずれかを示す情報を外部から受付ける。例えば、ユーザが部屋に居るときに、操作部71は加湿を行う情報を受付ける。一方、ユーザが部屋に居ないときに、操作部71は加湿を行わない情報を受付ける。
【0039】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含むハードウェア回路を含む。詳細には、制御部70は、加湿運転時に、第1フィルタユニット3が回転するように、モータ5を制御する。具体的には、制御部70は、操作部71の操作結果に基づいて、モータ5と、モータ61とを制御する。
【0040】
詳細には、制御部70は、加湿運転時に、空気が第1フィルタユニット3を通過するように、モータ61を制御する。また、制御部70は、第1フィルタユニット3が回転し続けるように、モータ5を制御する。まず、
図2に示すように、第1フィルタユニット3が回転駆動されて、第1領域32がトレイ4の内部に位置し、第2領域33がトレイ4の外部に位置したときに、水が第1フィルタ31に含浸される。
【0041】
更に、
図3に示すように、第1フィルタユニット3が回転駆動されて、第1領域32がトレイ4の外部に位置し、第2領域33がトレイ4の内部に位置したときに、流通路RAを流通する空気は、第1フィルタ31を通過する。空気が第1フィルタ31を通過する際に、第1フィルタ31に含浸された水が気化し、空気は気化した水分を含んだ空気となる。その結果、水分を含んだ空気は、送気口16から加湿装置100の外部へ排出される。
【0042】
続けて
図5を参照して、加湿運転の停止時について詳細に説明する。
図5は、第1実施形態に係る加湿方法を示すフローチャートである。
図5に示すように、加湿方法は、ステップS101からステップS103を含む。加湿方法は、加湿装置100によって実行される。
【0043】
まず、ステップS101において、制御部70は、操作部71の操作結果に基づいて、加湿運転を実行するか否かを判定する。加湿運転を実行すると制御部70が判定した場合(ステップS101でYES)には、処理がステップS102に進む。
【0044】
次に、ステップS102において、制御部70は、モータ5とモータ61とを制御する。具体的には、制御部70は、第1フィルタユニット3が回転し続けるように、モータ5の駆動を開始する。
【0045】
一方、ステップS101において、加湿運転が実行しないと制御部70が判定した場合(ステップS102でNO)には、処理がステップS103に進む。換言すれば、加湿運転の停止時には、処理がステップS103に進む。
【0046】
次に、ステップS103において、制御部70は、第1領域32が第1回転軸線AXより下方に位置するように、モータ5を制御する。なお、第1領域32が第1回転軸線AXより下方に位置するとは、第1領域32の上端部が第1回転軸線AX以下に位置することも含む。具体的には、
図2に示すように、制御部70は、第1領域32が下方に位置したときに、モータ5の駆動を停止する。その結果、第1フィルタ31がトレイ4の内部に配置される。そして、処理が終了する。
【0047】
以上、
図1~
図5を参照して説明したように、加湿装置100によれば、加湿運転の停止時に、第1領域32が第1回転軸線AXより下方に位置するように、モータ5を制御するため、第1フィルタ31が常に水に含浸される。その結果、第1フィルタ31が乾燥しない。よって、第1フィルタ31に物質が析出することを抑制できる。その結果、第1フィルタ31が目詰まりすることを抑制できる。すなわち、第1フィルタ31の性能の低下を抑えることができる。よって、第1フィルタ31を長期間使用できる。また、第1フィルタ31を清掃する手間を低減できる。
【0048】
また、上下方向において、トレイ4の深さは第1領域32の長さより大きいため、加湿運転の停止時に、第1フィルタ31の全部がトレイ4内の水に浸漬される。その結果、第1フィルタ31に物質が析出することを、より抑制できる。
【0049】
更に、第1フィルタ31に物質が析出することを抑制できるため、水は、高濃度の物質を含有できる。また、水は、純水に対する溶解度が低い物質を含有できる。その結果、ユーザが所望する種々の物質を含んだ空気を加湿装置100の外部へ効果的に排出できる。
【0050】
続けて
図2及び
図3を参照して、給水タンク50について説明する。
図2及び
図3に示すように、加湿装置100は、給水タンク50を更に備える。
【0051】
給水タンク50は、トレイ4に水を供給する。詳細には、給水タンク50は、トレイ4内に所定量の水が収容される状態を維持する。その結果、トレイ4内の水量が、ユーザが意図しない量になることを抑制できる。
【0052】
具体的には、給水タンク50は、タンク室43へ給水する。タンク室43に給水された水は、連通口を介してフィルタ室44に流込む。給水タンク50が水を収容している場合、給水タンク50からトレイ4への給水は、トレイ4内の水位が常に適正水位LAとなるように行われる。このような給水タンク50からトレイ4への給水構成については公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0053】
詳細には、第1回転軸線AXは、適正水位LAより下方に位置する。その結果、加湿運転の停止時に、第1フィルタ31の全部がトレイ4内の水に浸漬される。よって、第1フィルタ31に物質が析出することを、より抑制できる。例えば、第1回転軸線AXは、適正水位LAより1cm下方に位置する。
【0054】
なお、加湿装置100では、給水タンク50内に水が無くなった場合、ユーザ等によって給水タンク50内に水が収容される。詳細には、給水タンク50とタンク室43とは離間可能である。
【0055】
<第2実施形態>
次に、
図6及び
図7を参照して、第2実施形態に係る加湿装置200について説明する。
図6及び
図7は、第2実施形態に係る加湿装置200を示す断面図である。
図6及び
図7に示すように、加湿装置200は、第2フィルタユニット203を更に備える。
【0056】
第2フィルタユニット203は、例えば、第1フィルタユニット3と同様の構成を有する。第2フィルタユニット203は、第1フィルタユニット3と対向する。具体的には、第2フィルタユニット203は、第1フィルタユニット3より第1所定方向D1の反対方向に配置される。
【0057】
具体的には、第2フィルタユニット203は、第2枠体230と、第2フィルタ231とを有する。
【0058】
第2枠体230は、第2回転軸線BXを有する。第2回転軸線BXは、水平方向に沿って延びる。具体的には、第2回転軸線BXは、第1所定方向D1に沿って延びている。詳細には、第2回転軸線BXは、第1回転軸線AXと一致する。第2枠体230は、第2回転軸線BXの周りを回転方向R1で回転する。
【0059】
第2枠体230は、保持枠234と、第3領域232と、第4領域233とを更に有する。保持枠234の形状は、例えば、第2回転軸線BXが中心軸である略円筒状を有する。保持枠234の外周面には、リングギヤは形成される。具体的には、リングギヤは、保持枠234の外周面の全周にわたって形成された歯である。
【0060】
第3領域232は、第2回転軸線BXに対して第2方向RD2側に配置される。第2方向RD2は、第2回転軸線BXと交差する。具体的には、第2方向RD2は、第2回転軸線BXと直交する。なお、第2枠体230は、第2回転軸線BXの周りを回転するが、
図6では、第2方向RD2は、Z軸の正方向に沿って延びている。詳細には、第3領域232は、略半円状の空間である。一方、第4領域233は、第2回転軸線BXに対して第2方向RD2の反対方向側に配置される。第4領域233は、略半円状の空間である。詳細には、第4領域233は、保持枠234の内部のうち、第3領域232以外の領域である。
【0061】
第2フィルタ231は、トレイ4内の水を給水する。第2フィルタ231は、例えば、第1フィルタ31と同様の構成を有する。第2フィルタ231は、第3領域232に配置される。第2フィルタ231は、ユーザによって第3領域232に対して着脱自在である。
【0062】
加湿装置200は、2個のモータ5を備える。2個のモータ5の内の一方のモータは、第2フィルタユニット203を回転させる。モータ5は、第2フィルタユニット203を第2回転軸線BXの周りに回転させる。モータ5は、仕切部材21に固定されており、第2フィルタユニット203よりも上方に配置される。モータ5には、伝動歯車が連結されており、伝動歯車には、駆動歯車が噛合される。
【0063】
制御部70は、加湿運転時に、第2フィルタユニット203が回転するように、モータ5を制御する。具体的には、制御部70は、操作部71の操作結果に基づいて、2個のモータ5と、モータ61とを制御する。
【0064】
詳細には、制御部70は、加湿運転時に、第1フィルタユニット3と第2フィルタユニット203とが回転し続けるように、2個のモータ5を制御する。より詳細には、制御部70は、第1領域32と第4領域233とが重なり、第2領域33と第3領域232とが重なるように、2個のモータ5を制御する。
【0065】
まず、
図6に示すように、第1フィルタユニット3の第1領域32がトレイ4の内部に位置し、第2領域33がトレイ4の外部に位置したときに、水が第1フィルタ31に含浸される。
【0066】
一方、第2フィルタユニット203の第3領域232がトレイ4の外部に位置し、第4領域233がトレイ4の内部に位置したときに、流通路RAを流通する空気は、第2フィルタ231を通過する。空気が第2フィルタ231を通過する際に、第2フィルタ231に含浸された水が気化し、空気は気化した水分を含んだ空気となる。その結果、水分を含んだ空気は、送気口16から加湿装置100の外部へ排出される。
【0067】
更に、第1フィルタユニット3と第2フィルタユニット203とが回転駆動される。第2フィルタユニット203の第3領域232がトレイ4の内部に位置し、第4領域233がトレイ4の外部に位置したときに、水が第2フィルタ231に含浸される。
【0068】
一方、第1フィルタユニット3の第1領域32がトレイ4の外部に位置し、第2領域33がトレイ4の内部に位置したときに、流通路RAを流通する空気は、第1フィルタ31を通過する。空気が第1フィルタ31を通過する際に、第1フィルタ31に含浸された水が気化し、空気は気化した水分を含んだ空気となる。その結果、水分を含んだ空気は、送気口16から加湿装置100の外部へ排出される。
【0069】
続けて
図8及び
図9を参照して、加湿運転の停止時について詳細に説明する。
図8及び
図9は、第2実施形態に係る加湿装置200を示す断面図である。
図8及び
図9に示すように、加湿運転が実行しないと制御部70が判定した場合には、第1領域32が第1回転軸線AXより下方に位置し、第3領域232が第2回転軸線BXより下方に位置するように、2個のモータ5を制御する。
【0070】
具体的には、制御部70は、第1領域32が第1回転軸線AXより下方に位置したときに、2個のモータ5の内の一方のモータの駆動を停止する。また、制御部70は、第3領域232が第2回転軸線BXより下方に位置したときに、2個のモータ5の内の他方のモータの駆動を停止する。その結果、第1フィルタ31と第2フィルタ231とがトレイ4の内部に配置される。
【0071】
以上、
図6~
図9を参照して説明したように、加湿装置200によれば、加湿運転の停止時に、第1領域32が第1回転軸線AXより下方に位置し、第3領域232が第2回転軸線BXより下方に位置するように、2個のモータ5を制御するため、第1フィルタ31及び第2フィルタ231が水に含浸される。その結果、第1フィルタ31及び第2フィルタ231が目詰まりすることを抑制できる。すなわち、第1フィルタ31及び第2フィルタ231の性能の低下を抑えることができる。
【0072】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0073】
(1)
図1~
図9を参照して説明したように、第1実施形態及び第2実施形態では、第1領域32は、略半円状の空間であったが、本発明はこれに限定されない。第1領域32は、略1/4半円状の空間であってもよく、弓型状の空間であってもよい。
【0074】
(2)
図6~
図9を参照して説明したように、第2実施形態では、2個のモータ5を備えたが、本発明はこれに限定されない。第1フィルタユニット3と第2フィルタユニット203とを回転させる1個のモータ5を備えてもよい。
【0075】
(3)
図1~
図9を参照して説明したように、第1実施形態及び第2実施形態では、第1フィルタユニット3と第2フィルタユニット203とは、同じトレイ4内の水に浸漬されたが、本発明はこれに限定されない。第1フィルタユニット3と第2フィルタユニット203とは、異なるトレイ4内の水に浸漬されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、加湿装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0077】
3 第1フィルタユニット
4 トレイ(容器)
5 モータ(駆動部)
30 第1枠体
31 第1フィルタ
32 第1領域
33 第2領域
70 制御部
100 加湿装置
AX 第1回転軸線
RD1 第1方向