IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 楽天モバイル株式会社の特許一覧

特許7583634通信方法、フェムトセルベースステーション、携帯電話システム
<>
  • 特許-通信方法、フェムトセルベースステーション、携帯電話システム 図1
  • 特許-通信方法、フェムトセルベースステーション、携帯電話システム 図2
  • 特許-通信方法、フェムトセルベースステーション、携帯電話システム 図3
  • 特許-通信方法、フェムトセルベースステーション、携帯電話システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】通信方法、フェムトセルベースステーション、携帯電話システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/06 20090101AFI20241107BHJP
   H04W 16/16 20090101ALI20241107BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20241107BHJP
   H04W 92/12 20090101ALI20241107BHJP
【FI】
H04W16/06
H04W16/16
H04W16/32
H04W92/12
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021018512
(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公開番号】P2021136690
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】62/981,467
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319010088
【氏名又は名称】楽天モバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ドラズニン サジブ
(72)【発明者】
【氏名】アミン タレック
(72)【発明者】
【氏名】スリオアストーア シャラッド
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-004126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0287767(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 16/06
H04W 16/16
H04W 16/32
H04W 92/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブルアクセスノードを動作させる通信方法であって、
前記ポータブルアクセスノードがローカル通信システムのカバー範囲内にある場合、当該ローカル通信システムに割り当てられているが使用されていない通信リソースの一部を借りるためのリース要求を送信するステップと、
前記リース要求を承諾する旨の返信を受け取ると、借りた前記通信リソースを使用して通信サービスを提供するステップと
を備える通信方法。
【請求項2】
借りた前記通信リソースを使用して前記通信サービスを提供する前記ポータブルアクセスノードを、前記ローカル通信システムとは異なるホーム通信システムのアクセスノードとして登録するステップを更に備える
請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記通信サービスを提供するステップにおいて、前記ポータブルアクセスノードが借りた前記通信リソースを使用して、前記ホーム通信システムに加入しているが前記ローカル通信システムのカバー範囲内にある携帯端末との通信を実行する
請求項2に記載の通信方法。
【請求項4】
前記ポータブルアクセスノードの位置でホーム通信システムの無線周波数帯が利用可能か否かを判定するステップと、
前記ホーム通信システムの無線周波数帯が前記ポータブルアクセスノードの位置で利用可能との判定に応じて、前記ポータブルアクセスノードを前記ホーム通信システムのアクセスノードとして登録し、前記ポータブルアクセスノードに前記ホーム通信システムの無線周波数帯上で前記通信サービスを提供させるステップと、
前記ホーム通信システムの無線周波数帯が前記ポータブルアクセスノードの位置で利用可能でないとの判定に応じて、前記ポータブルアクセスノードの位置で他の無線周波数帯が利用可能であるか否かを判定するステップと
を更に備える請求項1から3のいずれかに記載の通信方法。
【請求項5】
前記ポータブルアクセスノードの位置で他の無線周波数帯が利用可能であるとの判定に応じて、当該他の無線周波数帯がリース可能か否かについて問合せを送信するステップと、
前記他の無線周波数帯がリース可能である旨の返信を受け取ると、前記リース要求を送信するステップと
を更に備える請求項4に記載の通信方法。
【請求項6】
前記ローカル通信システムからリソース解放要求を受け取ると、借りた前記通信リソースを使用した前記通信サービスの提供を中止するステップを更に備える
請求項1から5のいずれかに記載の通信方法。
【請求項7】
借りた前記通信リソースは、前記ローカル通信システムの無線周波数帯の一部である
請求項1から6のいずれかに記載の通信方法。
【請求項8】
借りた前記通信リソースを使用した前記通信サービスの提供は、
前記ポータブルアクセスノードが前記通信サービスを提供することが許可された期間、
前記ポータブルアクセスノードが前記通信サービスを提供するために許可された最大送信出力、
前記ポータブルアクセスノードが前記通信サービスを提供するために許可された送信方向、
前記ポータブルアクセスノードに接続されて前記通信サービスを受ける携帯端末の最大台数
の少なくとも一つに従って行われる
請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
携帯電話送受信回路と、ネットワークインターフェース回路と、プロセッサを備えるフェムトセルベースステーションであって、
前記プロセッサは、
前記携帯電話送受信回路を制御して前記フェムトセルベースステーションの位置のローカルアクセスノードをスキャンするステップと、
前記フェムトセルベースステーションの位置で少なくとも一つのローカルアクセスノードが見つかった場合、前記ネットワークインターフェース回路を制御して、前記少なくとも一つのローカルアクセスノードに関連づけられた周波数管理サーバに対して、前記少なくとも一つのローカルアクセスノードの無線周波数帯の一部を借りるためのリース要求を送信するステップと、
前記リース要求を承諾する旨の返信を受け取ると、前記携帯電話送受信回路を制御して、借りた前記無線周波数帯上で携帯電話通信を実行するステップと
を実行するフェムトセルベースステーション。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記携帯電話送受信回路を制御して、前記少なくとも一つのローカルアクセスノードで生成されたリソース解放要求を受け取ると、借りた前記無線周波数帯上の前記携帯電話通信の実行を中止する
請求項9に記載のフェムトセルベースステーション。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記携帯電話送受信回路を制御して、承諾された前記リース要求に係るリースの下で前記フェムトセルベースステーションが借りた前記無線周波数帯上の前記携帯電話通信を実行することが許可された期間が満了した際に、借りた前記無線周波数帯上の前記携帯電話通信の実行を中止する
請求項9または10に記載のフェムトセルベースステーション。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記ネットワークインターフェース回路を制御して、前記少なくとも一つのローカルアクセスノードを含むローカル通信システムとは異なるホーム通信システムのアクセスノードとして前記フェムトセルベースステーションをエンティティ追跡サーバに登録するための登録メッセージを前記エンティティ追跡サーバに対して送信する
請求項9から11のいずれかに記載のフェムトセルベースステーション。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記携帯電話送受信回路を制御して、前記ホーム通信システムに加入しているが前記ローカル通信システムのカバー範囲内にある携帯端末との間で、借りた前記無線周波数帯上の前記携帯電話通信を実行する
請求項12に記載のフェムトセルベースステーション。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記ネットワークインターフェース回路を制御して、
前記フェムトセルベースステーションの位置のローカルアクセスノードの前記無線周波数帯に使用されていない部分があるか否かについて前記周波数管理サーバに対して問合せを送信し、
前記無線周波数帯に使用されていない部分があるローカルアクセスノードのリストを前記周波数管理サーバから受け取ると、当該リスト中の前記ローカルアクセスノードの優先度に従って、少なくとも一つの前記無線周波数帯の使用されていない部分を借りるための前記リース要求を前記周波数管理サーバに対して送信する
請求項9から13のいずれかに記載のフェムトセルベースステーション。
【請求項15】
前記リスト中の第1のローカルアクセスノードの前記無線周波数帯の使用されていない部分のリース期間中に、前記プロセッサは前記ネットワークインターフェース回路を制御して、前記リスト中で前記第1のローカルアクセスノードの次に優先度の高い第2のローカルアクセスノードの前記無線周波数帯の使用されていない部分を借りるための前記リース要求を前記周波数管理サーバに対して送信し、
前記第1のローカルアクセスノードからのリースが終了した際、前記プロセッサは前記携帯電話送受信回路を制御して、前記第2のローカルアクセスノードから借りた前記無線周波数帯上で前記携帯電話通信を実行する
請求項14に記載のフェムトセルベースステーション。
【請求項16】
加入している携帯端末に携帯電話通信サービスを提供するホーム通信システムと、当該ホーム通信システムのカバー範囲外に配置されるフェムトセルベースステーションを備える携帯電話システムであって、
前記フェムトセルベースステーションが前記ホーム通信システムとは異なるローカル通信システムのカバー範囲内にある場合、前記ローカル通信システムの無線周波数帯の使用されていない部分をリースし、
前記ホーム通信システムに加入しているが前記ローカル通信システムのカバー範囲内にある第1のローミング中の携帯端末に対して、前記ローカル通信システムのリースされた前記無線周波数帯上で前記携帯電話通信サービスを提供する
携帯電話システム。
【請求項17】
エンティティ追跡サーバを備え、
前記ローカル通信システムの前記無線周波数帯の使用されていない部分をリースする際、前記フェムトセルベースステーションが第1の登録メッセージを前記エンティティ追跡サーバに送信し、
前記第1の登録メッセージを受け取った前記エンティティ追跡サーバは、前記フェムトセルベースステーションを、当該フェムトセルベースステーションを介して前記携帯電話通信サービスを提供するための前記ホーム通信システムのアクセスノードとして登録する
請求項16に記載の携帯電話システム。
【請求項18】
前記フェムトセルベースステーションが前記ホーム通信システムのカバー範囲内にある場合、前記フェムトセルベースステーションは、前記ホーム通信システムに加入しており前記ホーム通信システムのカバー範囲内にある第2の携帯端末に対して、前記ホーム通信システムの無線周波数帯上で前記携帯電話通信サービスを提供する
請求項16または17に記載の携帯電話システム。
【請求項19】
前記フェムトセルベースステーションが前記ホーム通信システムのカバー範囲内にある場合、前記フェムトセルベースステーションは第2の登録メッセージを前記エンティティ追跡サーバに送信し、
前記第2の登録メッセージを受け取った前記エンティティ追跡サーバは、前記フェムトセルベースステーションを前記ホーム通信システムのアクセスノードとして登録する
請求項17に記載の携帯電話システム。
【請求項20】
前記エンティティ追跡サーバは前記ホーム通信システムの一部である
請求項17または19に記載の携帯電話システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末の通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、ラップトップパソコン、タブレット、ゲーム機等の携帯端末がますます人気を博しており、仕事、娯楽、ソーシャルネットワーキング等に広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第10045287号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な国や地域を旅する携帯端末のユーザは、いつどこにいても自身の携帯端末を介して様々な通信サービスにアクセスできることを期待する傾向がある。ユーザが居住場所で加入している通信システムのサービス提供エリア外にいる時、ローミングによって居住場所と同等の通信サービスを利用できるが、現地の通信システムから請求される高額な料金が問題になっている。また、ローミングではサービスが制限される場合もある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ローミングに関する問題を低減または緩和できる通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の通信方法は、ポータブルアクセスノードを動作させる通信方法であって、ポータブルアクセスノードがローカル通信システムのカバー範囲内にある場合、当該ローカル通信システムに割り当てられているが使用されていない通信リソースの一部を借りるためのリース要求を送信するステップと、リース要求を承諾する旨の返信を受け取ると、借りた通信リソースを使用して通信サービスを提供するステップとを備える。
【0007】
本発明の別の態様は、フェムトセルベースステーションである。このフェムトセルベースステーションは、携帯電話送受信回路と、ネットワークインターフェース回路と、プロセッサを備えるフェムトセルベースステーションであって、プロセッサは、携帯電話送受信回路を制御してフェムトセルベースステーションの位置のローカルアクセスノードをスキャンするステップと、フェムトセルベースステーションの位置で少なくとも一つのローカルアクセスノードが見つかった場合、ネットワークインターフェース回路を制御して、少なくとも一つのローカルアクセスノードに関連づけられた周波数管理サーバに対して、少なくとも一つのローカルアクセスノードの無線周波数帯の一部を借りるためのリース要求を送信するステップと、リース要求を承諾する旨の返信を受け取ると、携帯電話送受信回路を制御して、借りた無線周波数帯上で携帯電話通信を実行するステップとを実行する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、携帯電話システムである。この携帯電話システムは、加入している携帯端末に携帯電話通信サービスを提供するホーム通信システムと、当該ホーム通信システムのカバー範囲外に配置されるフェムトセルベースステーションを備える携帯電話システムであって、フェムトセルベースステーションがホーム通信システムとは異なるローカル通信システムのカバー範囲内にある場合、ローカル通信システムの無線周波数帯の使用されていない部分をリースし、ホーム通信システムに加入しているがローカル通信システムのカバー範囲内にある第1のローミング中の携帯端末に対して、ローカル通信システムのリースされた無線周波数帯上で携帯電話通信サービスを提供する。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ローミングに関する問題を低減または緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る携帯電話システムの機能ブロック図である。
図2】携帯電話システムにおけるポータブルアクセスノードを動作させる方法を示すフローチャートである。
図3】動作中の携帯電話システムの主要部を示す機能ブロック図である。
図4】携帯電話システムにおける設備のハードウェア構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して本発明の様々な態様について詳細に説明する。なお、当業界の標準的な慣行に則って、いくつかの特徴は実際の寸法とは異なる態様で図面に表示される。また、説明の明瞭性のために、いくつかの特徴の寸法は任意に拡大または縮小されている。
【0013】
以下の開示は、本発明の様々な特徴を実現または実施するための多くの異なる実施形態または実施例を提供する。以下に示される構成要素、値、処理、材料、配置等の具体的な例は、本発明の趣旨を簡明に示すことを目的として単純化されている。もちろんこれらは例に過ぎず、本発明を限定することを意図したものではない。したがって、以下に開示されていない他の構成要素、値、処理、材料、配置等を採用することも妨げられない。
【0014】
ローミングに関する問題を低減または緩和するために、本実施形態では現地通信システム(以下、ローカル通信システムともいう)のサービス提供エリア(以下、カバー範囲ともいう)内にポータブルアクセスノードが提供される。本実施形態では、ユーザの居住場所で通信システム(以下、ホーム通信システムともいう)に加入している少なくとも一つの携帯端末が、ローカル通信システムにローミングしている例について説明する。ポータブルアクセスノードは、ローカル通信システムに割り当てられているが使用されていない通信リソースの一部を借りるためのリース要求を送信する。リース要求を承諾する旨の返信を受け取ると、ポータブルアクセスノードは借りた通信リソースを使用して通信サービスを提供する。したがって、ローミング中の携帯端末は、ローミング料金の発生やローミングによるサービスの制限なしに、あたかも居住場所のネットワーク内にいるかのように、ホーム通信システムの通信サービスを享受できる。
【0015】
図1は、本実施形態に係る携帯電話システム100の機能ブロック図である。携帯電話システム100は、ホーム通信システム110と、少なくとも一つのポータブルアクセスノード122、124、126と、エンティティ追跡サーバ128を備える。本図に示される携帯電話システム100の各構成要素はインターネット130等のネットワークを介して相互に接続されている。携帯電話システム100の各構成要素を相互に接続するための他のネットワーク構成として、独自仕様のネットワーク、仮想専用ネットワーク(VPN: Virtual Private Network)等を採用してもよい。なお、エンティティ追跡サーバ128は、ホーム通信システム110の一部として構成してもよい。
【0016】
ホーム通信システム110は、当該ホーム通信システム110に加入している携帯端末116、117、118、119に携帯電話通信サービスを提供可能に構成される。以下、携帯端末116、117、118、119を、加入携帯端末ともいう。ホーム通信システム110は、複数のベースステーションまたはアクセスノード111、112、113を備える。各アクセスノード111、112、113は、加入携帯端末と携帯電話通信を実行可能に構成される。例えば、アクセスノード111、112、113の少なくとも一つのサービス提供エリア内に物理的にいる携帯端末116、117との携帯電話通信を実行する。アクセスノード111、112、113のサービス提供エリアは、合わせてホーム通信システム110のサービス提供エリアを定義する。アクセスノードのサービス提供エリアは、送信出力や、アクセスノードの一または複数のアンテナの構造などの様々な要因によって決まる。例えば、高出力のアクセスノード/ベースステーションや、地上から延びるマスト上や屋上などの既存構造物の高い位置に一または複数のアンテナが設けられたアクセスノード/ベースステーションは、約2km以上の半径のサービス提供エリアを実現できる。このような広いサービス提供エリアはマクロセルと呼ばれる。一方、低出力のアクセスノード/ベースステーションのサービス提供エリアまたはセルは、マクロセルより狭い。このような狭いセルは、半径2km未満のマイクロセル、半径200m未満のピコセル、半径数10m未満のフェムトセルを含む。アクセスノード111、112、113は、マクロセルを提供するベースステーション、マイクロセルを提供するベースステーション、ピコセルを提供するベースステーション、フェムトセルを提供するベースステーションの任意の組合せで構成できる。上記の各セルのサービス提供エリアの数値的サイズ(半径)は一例に過ぎず、他の数値的サイズや構成によってマクロセル、マイクロセル、ピコセル、フェムトセルの各セルを定義してもよい。
【0017】
ポータブルアクセスノード122、124、126は、アクセスノード111、112、113と同一または同等の機能を提供可能に構成される。ホーム通信システム110のサービス提供エリアを形成するためにしばしば固定的に配置されるアクセスノード111、112、113(移動可能に設けられる一部のピコセルベースステーションやフェムトセルベースステーションを除く)と異なり、ポータブルアクセスノード122、124、126は、ホーム通信システム110のサービス提供エリア外に持ち運んで設置可能であり、ホーム通信システム110に加入しているローミング中の携帯端末にサービスを提供する。一例として、一または複数のポータブルアクセスノード122、124、126を、家庭用のWi-Fi(登録商標)ルータやブロードバンドモデムと同等の物理的寸法を持つフェムトセルベースステーションによって構成してもよい。もちろん、その他の構成を採用することも可能である。説明を簡素化するために、以下ではポータブルアクセスノードをフェムトセルベースステーションともいう。ただし、ポータブルアクセスノード122、124、126のカバー範囲は、必ずしもフェムトセルのカバー範囲に限定されず、家やアパートにおける一または複数の部屋、一又は複数の家やアパート、建物内の一または複数のフロア等の任意のエリアをカバーするように構成できる。
【0018】
携帯端末116、117、118、119は、例えば、携帯電話、タブレット、メディアプレイヤー、ゲーム機、PDA(Personal Data Assistant)、ラップトップパソコン、ホーム通信システム110またはその他の携帯電話通信システムの様々なアクセスノードとの間で携帯電話の通信信号を送信および/または受信可能に構成されたその他の電子デバイスである。携帯端末116、117、118、119、アクセスノード111、112、113、ポータブルアクセスノード122、124、126のハードウェア構成例は図4に示される。携帯電話通信を実現するための通信技術としては、2G、3G、4G、5G、GSM、EDGE、WCDMA、HSPA、CDMA、LTE、DECT、WiMAXが例示される。携帯電話通信上で提供されるサービス(以下、携帯電話通信サービスともいう)としては、音声通話、データ通信、電子メール、SMSやMMS等のメッセージ通信、アプリケーション、制御信号通信が例示される。
【0019】
ホーム通信システム110は、アクセスノード111、112、113およびポータブルアクセスノード122、124、126と協働して加入携帯端末に様々な携帯電話通信サービスを提供する不図示のコアネットワークをさらに備える。コアネットワークの構成要素としては、SGW(serving gateways)、HSGW(high rate packet data serving gateway)、PGW(packet data network gateway)、PDSN(packet data serving node)、MME(mobility management entity)、HSS(home subscriber server)、PCRF(policy control rules function)が例示される。これらのコアネットワークの各構成要素および各アクセスノード111、112、113は、一または複数のネットワークによって相互に接続される。コアネットワークの構成要素およびエンティティ追跡サーバ128のハードウェア構成例は図4に関して後述する。少なくとも一つの構成例では、コアネットワークの構成要素およびエンティティ追跡サーバ128が携帯電話送受信回路を含む必要がないという点で、アクセスノードおよび携帯端末と異なる。
【0020】
前述したように、ユーザが旅先にいる時、その携帯端末がローミングする場合がある。図1の構成例では、携帯端末116、117は、日本のホーム通信システム110のサービス提供エリア内にあり、それぞれアクセスノード111、112を介して携帯電話通信サービスを受ける。言い換えれば、携帯端末116、117はローミングしていない。一方、携帯端末118、119は、ホーム通信システム110のサービス提供エリア外にあり、ローミングしている。具体的には、携帯端末118は、その現在地である米国のローカル通信システム140のベースステーションまたはアクセスノード141、142、143でカバーされるサービス提供エリア内にある。携帯端末119は、その現在地である英国のローカル通信システム160のベースステーションまたはアクセスノード161、162、163でカバーされるサービス提供エリア内にある。ローカル通信システム140、160およびそれぞれのアクセスノード141、142、143、161、162、163は、ホーム通信システム110およびそのアクセスノード111、112、113と同様に構成してもよい。各通信システム110、140、160には、一または複数の通信リソースが割り当てられている。通信システムに割り当てられる通信リソースとしては、通信システムのアクセスノードが携帯電話通信を行うことが許可された無線周波数帯が例示される。米国のFCC(Federal Communications Commission)等の規制当局から無線周波数帯の一部のライセンスを取得した通信システムは、ライセンスされた一部の無線周波数帯の「所有者」となり、移動体通信事業者(MNO: Mobile Network Operator)と呼ばれる。ライセンスされた一部の無線周波数帯を「所有」せず、MNOから借りた無線周波数帯上で通信する通信システムは、仮想移動体通信事業者(MVNO: Mobile Virtual Network Operator)と呼ばれる。説明の簡素化のため、以下ではMNOおよびMVNOを、MNOと総称する。ある通信システムまたはMNOに加入している携帯端末が、他の通信システムのサービス提供エリア内でローミングし、当該他の通信システムから携帯電話通信サービスを受ける場合、ローミング料金が発生し、および/または、ローミングによるサービスの制限(例えば、アップロード/ダウンロード速度の制限、データ量の制限)が課される。
【0021】
ローミング中の携帯端末118、119がローミング料金やサービス制限を回避できるように、ポータブルアクセスノード124、126が配備される。ポータブルアクセスノード124、126は、ローカル通信システム140、160から使用されていない一部の通信リソースを借り、その通信リソースを用いてローミング中の携帯端末118、119に携帯電話通信サービスを提供する。借りられる通信リソース、すなわち、リース対象の通信リソースとしては、ローカル通信システム140、160に割り当てられた無線周波数帯が例示される。他の通信リソース、例えば、時間、コード、方向(空間)等を、ローカル通信システム140、160で使用されている通信アクセス技術等に応じて、無線周波数帯に加えてまたは代えてリース対象としてもよい。通信アクセス技術としては、FDMA(frequency division multiple access)、TDMA(time division multiple access)、CDMA(code division multiple access)、OFDMA(orthogonal frequency division multiple access)、SDMA(spatial division multiple access)が例示される。
【0022】
図2は、携帯電話システム100におけるポータブルアクセスノード124を動作させる方法200を示すフローチャートである。ポータブルアクセスノード124の処理は、ポータブルアクセスノード124における少なくともプロセッサ、ネットワークインターフェース回路、携帯電話送受信回路によって実行される。ポータブルアクセスノード124のプロセッサ、ネットワークインターフェース回路、携帯電話送受信回路の詳細なハードウェアまたは構成は、それぞれ、図4におけるプロセッサ401、ネットワークインターフェース回路404、携帯電話送受信回路405に関して後述する。他のポータブルアクセスノード122、126の構成および/または動作は、以下で説明するポータブルアクセスノード124と同様である。
【0023】
ステップ205では、ポータブルアクセスノード124が設置される。例えば、ポータブルアクセスノード124に電源が投入され、そのネットワークインターフェース回路がインターネット130に接続される。
【0024】
ステップ210では、ポータブルアクセスノード124が居住地(ホーム)の無線周波数が利用可能か点検する。例えば、ポータブルアクセスノード124のプロセッサが携帯電話送受信回路を制御し、ポータブルアクセスノード124の現在地で携帯電話信号が利用可能なアクセスノードを探すための周波数スキャンを実行する。ポータブルアクセスノード124のプロセッサは、周波数スキャンによって見つかった携帯電話信号が、ホーム通信システム110のアクセスノードに属するか否か判定する。この判定は、当該携帯電話信号が受信された無線周波数帯や、当該携帯電話信号と共に送信されたその他のデータに基づく。ホーム通信システム110のアクセスノードが見つかった場合(ステップ210のYes)、ポータブルアクセスノード124のプロセッサは、ポータブルアクセスノード124がホームにある、すなわち、ホーム通信システム110のサービス提供エリア内にあると判定し、ステップ215に進む。なお、図1においてポータブルアクセスノード124はホームにない。一方、ポータブルアクセスノード122はホームにある。ステップ210の判定結果がNoの場合、ポータブルアクセスノード124のプロセッサは、ポータブルアクセスノード124がローミング中と判定し、ステップ225に進む。
【0025】
ステップ215では、ポータブルアクセスノード124がエンティティ追跡サーバ128への登録を行う。例えば、ポータブルアクセスノード124のプロセッサがネットワークインターフェース回路を制御し、インターネット130を介してエンティティ追跡サーバ128に登録メッセージを送信する。登録メッセージを受信したエンティティ追跡サーバ128は、ポータブルアクセスノード124をホーム通信システム110のアクセスノードとして登録する。例えば、エンティティ追跡サーバ128またはホーム通信システム110のコアネットワーク上の他のサーバに設けられたコンピュータ読取可能媒体に保持されるデータベース129が更新されることによってアクセスノードの登録が行われる。
【0026】
ステップ220では、ポータブルアクセスノード124が携帯電話送受信回路を用い、ローミングしていないホーム通信システム110の携帯端末に対して、ホーム通信システム110の無線周波数帯上で携帯電話通信サービスを提供する。ホーム通信システム110のコアネットワークは、エンティティ追跡サーバ128に保持されるデータベース129を参照し、ポータブルアクセスノード124で入出力されるデータのルーティングを行う。この動作は図1におけるポータブルアクセスノード122と同様であり、アクセスノード111、112、113の信号が弱い場合や多数の加入携帯端末が存在する場合に、ホーム通信システム110のサービス提供エリア内に追加のカバー範囲を提供する上で有用である。
【0027】
ステップ225では、ポータブルアクセスノード124が他の無線周波数が利用可能か否かを判定する。例えば、ステップ210で実行された周波数スキャンの結果に基づき、ポータブルアクセスノード124のプロセッサが、ポータブルアクセスノード124の現在地において携帯電話信号が利用可能な他のアクセスノードがあるか否かを判定する。ホーム通信システム110以外のローカル通信システムの他のアクセスノードが見つかった場合(ステップ225のYes)、ポータブルアクセスノード124のプロセッサはポータブルアクセスノード124がローミング中であると判定し、ステップ235に進む。そうでない場合(ステップ225のNo)、プロセッサはステップ230で処理を終了する。
【0028】
ステップ230で処理を終了する代わりに、ポータブルアクセスノード124のプロセッサが処理を再実行してもよい。この場合、先の処理から所定時間が経過した後やポータブルアクセスノード124が新しい場所に移動した後に、携帯電話信号の別の周波数スキャンが行われる。
【0029】
ステップ235では、ポータブルアクセスノード124が、ローカル通信システム140(少なくとも一つのアクセスノード141、142、143がポータブルアクセスノード124による先の周波数スキャンで見つかっているものとする)に割り当てられた無線周波数帯の一部がリース可能か否かを問い合わせる。例えば、ポータブルアクセスノード124のプロセッサはネットワークインターフェース回路を制御し、図3に示されるローカル通信システム140の周波数管理サーバ340に対して問合せを送信する。ローカル通信システム140の無線周波数帯の一部がリース可能か否かは、例えば、ローカル通信システム140の一または複数のアクセスノードの負荷によって決まる。例えば、ポータブルアクセスノード124による先の周波数スキャンで見つかったアクセスノード141は、最大で10台の携帯端末の通信負荷に対応可能であり、現在は三台の携帯端末が接続されているとする。この三台の携帯端末はアクセスノード141に割り当てられた無線周波数帯の一部のみを占有するに過ぎない。したがって、アクセスノード141に割り当てられた無線周波数帯の残りの部分は現在使用されておらず、ローカル通信システム140の他のポリシーに従ってリース可能である。無線周波数帯のリースが可能な場合(ステップ235のYes)、ポータブルアクセスノード124のプロセッサはステップ240に進む。そうでない場合(ステップ235のNo)、プロセッサはステップ225に戻り他のリース可能性を探す。
【0030】
ステップ240では、ポータブルアクセスノード124がローカル通信システム140の無線周波数帯の利用可能な一部を借りたい旨のリース要求を送信する。例えば、ポータブルアクセスノード124のプロセッサはネットワークインターフェース回路を制御し、図3に示される周波数管理サーバ340にリース要求を送信する。
【0031】
リース要求を承諾する旨の返信を受け取った場合(ステップ245のYes)、ポータブルアクセスノード124のプロセッサはステップ250に進む。一方、リース要求を拒絶する旨の返信を受け取った場合(ステップ245のNo)、ポータブルアクセスノード124のプロセッサはステップ225に戻り他のリース可能性を探す。このような拒絶は、例えば、先にリース可能との承諾がポータブルアクセスノード124に送信されていたとしても、ローカル通信システム140の直近の負荷の変動によって無線周波数のリースが不可能になった場合に発生しうる。
【0032】
ステップ250では、ポータブルアクセスノード124がエンティティ追跡サーバ128への登録を行う。この処理は前述したステップ215と同様である。
【0033】
ステップ255では、ポータブルアクセスノード124が携帯電話送受信回路を用い、ホーム通信システム110に加入しているローミング中の携帯端末(例えば携帯端末118)に対して、リースされたローカル通信システム140の無線周波数帯(以下、リース無線周波数帯ともいう)上で一または複数の携帯電話通信サービスを提供する。ポータブルアクセスノード124とローミング中の携帯端末118の間の携帯電話通信がリース無線周波数帯上で行われる点を除き、ステップ255は前述のステップ220と類似する。ポータブルアクセスノード124とローミング中の携帯端末118の間の携帯電話通信は、一または複数のリース承諾条件に従って行われる。このような条件は、リースが承諾された際に、ローカル通信システム140からポータブルアクセスノード124に送信される。リース承諾条件としては、ポータブルアクセスノード124がリース無線周波数帯上で通信サービスを提供することが許可されたリース期間、最大送信出力、リース無線周波数帯上で通信サービスを提供する際のポータブルアクセスノードの携帯電話送受信回路の送信方向、ポータブルアクセスノード124に接続されて通信サービスを受けるローミング中の携帯端末の最大台数が例示される。
【0034】
ステップ260では、ポータブルアクセスノード124が承諾されたリースが終了したか否かを判定する。リースがまだ終了していないと判定された場合(ステップ260のNo)、ポータブルアクセスノード124のプロセッサはステップ255に戻り、リース無線周波数帯上での携帯電話通信サービス提供を継続する。そうでない場合(ステップ260のYes)、プロセッサはステップ225に戻り他のリース可能性を探す。承諾されたリースは、例えば、リース期間の満了によって終了する。承諾されたリースは、一または複数のリース承諾条件の違反があったとローカル通信システム140が判断した場合に終了することもある。また、リースが承諾された時に予期されていた台数を超えるローカル通信システム140の携帯端末がアクセスノード141に接続された際など、ローカル通信システム140の負荷の増大が発生した際に、承諾されたリースがローカル通信システム140によって終了されることもある。この場合、アクセスノード141はリース無線周波数帯を取り戻し、増大した台数の携帯端末の通信要求に応える必要がある。アクセスノード141はリースを終了する前に、ポータブルアクセスノード124にリース無線周波数帯を解放することを求めるリソース解放要求を送信してもよい。リソース解放要求を受け取った場合、または、リースが終了したと判定した場合、ポータブルアクセスノード124のプロセッサは携帯電話送受信回路を制御してリース無線周波数帯上での携帯電話通信を中止し、他のリース無線周波数帯に切り替えるか他のリース可能性を探す。
【0035】
リース無線周波数帯上で携帯電話通信サービスが提供されている間も、ステップ210に関して前述した周波数スキャンを定期的に実行したり、ステップ225、235、240、245の少なくとも一つの処理を実行する等して、ポータブルアクセスノード124は他のリース可能性の探索を継続してもよい。例えば、他のローカル通信システムや、ローカル通信システム140の他のアクセスノードの無線周波数帯にリース可能な部分があるとポータブルアクセスノード124が判定した際や、このような無線周波数帯のリース可能な部分についてポータブルアクセスノード124がリース承諾を取得した際に、他のリース可能性が見つかったとされる。他のリース可能性が見つかった場合、ポータブルアクセスノード124は、現在のリースが終了する以前に携帯電話通信を行う無線周波数帯を当該他のリース無線周波数帯に切り替えることによって、ローミング中の携帯端末への携帯電話通信サービスが途切れないようにする。
【0036】
図3は、動作中の携帯電話システム100の主要部300を示す機能ブロック図である。動作中の携帯電話システム100の主要部300は、方法200の一または複数の処理に関わる設備を含む。このような設備は、ローミング中の携帯端末118、ポータブルアクセスノード124、エンティティ追跡サーバ128、現地のローカルアクセスノード141、142、143、周波数管理サーバ340を含む。
【0037】
周波数管理サーバ340は、インターネット130に接続され、ポータブルアクセスノード124と通信する。周波数管理サーバ340は、アクセスノード141、142、143を含むローカル通信システム140のコアネットワークの一部でもよい。周波数管理サーバ340のハードウェア構成例は図4に関して後述するが、携帯電話送受信回路が設けられない場合もある。周波数管理サーバ340は、ローカル通信システム140のアクセスノード141、142、143の通信リソースおよび/または負荷のデータベース349の維持および更新を行う。データベース349は、周波数管理サーバ340やローカル通信システム140のコアネットワーク上の他のサーバに設けられるコンピュータ読取可能媒体に保持される。
【0038】
ステップ210に関して前述したように、ポータブルアクセスノード124は周波数スキャンを実行し、ポータブルアクセスノード124の現在地における一または複数のローカルアクセスノードを見つける。例えば、ポータブルアクセスノード124は周波数スキャンにおいて、ローカル通信システム140のアクセスノード141、142、143を見つける。ポータブルアクセスノード124は、複数のローカル通信システムのアクセスノードを見つけてもよい。例えば、ポータブルアクセスノード124が米国に配備される場合、T-MOBILE(登録商標)、VERIZON(登録商標)、AT&T(登録商標)等のローカル通信システムまたはMNOのアクセスノードを同じ場所で見つけることができる。
【0039】
ステップ235に関して前述したように、ポータブルアクセスノード124は周波数管理サーバ340に対して、リース可能な無線周波数帯についての問合せ、すなわち、見つかったアクセスノード141、142、143のいずれかに割り当てられた無線周波数帯の一部がリース可能か否かについての問合せを送信する。ポータブルアクセスノード124が複数のローカル通信システムのアクセスノードを見つけた場合、各ローカル通信システムの周波数管理サーバに対する複数の問合せがポータブルアクセスノード124によって送信される。あるいは、一つの周波数管理サーバが複数のローカル通信システムと協働している場合、ポータブルアクセスノード124からの問合せは当該周波数管理サーバに対して送信される一つの問合せで十分である。ポータブルアクセスノード124から送信されたリース可能な無線周波数帯についての問合せを受信すると、周波数管理サーバ340はデータベース349を参照し、問合せに係るアクセスノードにリース可能な無線周波数帯があるか否かを判定する。この判定結果は、リース可能な無線周波数帯のあるアクセスノードのリストの形でポータブルアクセスノード124に返信される。アクセスノードにリース可能な無線周波数帯があるか否かの判定は、アクセスノードの負荷に基づいて周波数管理サーバ340のプロセッサが行う。
【0040】
周波数管理サーバ340からリース可能な無線周波数帯のあるアクセスノードのリストを受信したポータブルアクセスノード124は、リスト中のアクセスノードに序列を設定する。例えば、全てのアクセスノード141、142、143が周波数管理サーバ340からのリストに含まれていたとして、ポータブルアクセスノード124のプロセッサはリスト中のアクセスノードに優先度に基づく序列を設定し、降順または昇順で並べる。アクセスノードの優先度は、例えば、アクセスノードでリース可能な無線周波数帯の量またはサイズに対応する。すなわち、アクセスノードでリース可能な無線周波数帯の量またはサイズが大きいほど、そのアクセスノードに付与される優先度が高くなる。信号強度等の他の要素を、周波数管理サーバ340からのリスト中のアクセスノードの優先度付けに用いてもよい。
【0041】
ステップ240に関して前述したように、ポータブルアクセスノード124は、少なくとも一つのアクセスノード141、142、143のリース可能な無線周波数帯を借りたい旨のリース要求を周波数管理サーバ340に送信する。この際、最高の優先度が付与されたアクセスノード141から順にリース要求が送信される。アクセスノード141にリース可能な無線周波数帯がなくなった場合、上と同じまたは異なるリース要求が、次に高い優先度のアクセスノード142からの無線周波数帯のリースを要求する。以下、同様である。周波数管理サーバ340がリース要求を承諾する場合、周波数管理サーバ340は、使用されていない無線周波数帯の部分をリース用に確保し、ポータブルアクセスノード124に対してリース無線周波数帯および一または複数のリース承諾条件を示すリース承諾を送信するように、アクセスノード(例えばアクセスノード141)に指示する。続いてポータブルアクセスノード124はエンティティ追跡サーバ128への登録を行い、ステップ255、260に関して前述したようにローミング中の携帯端末に対してリース無線周波数帯上での携帯電話通信サービスを提供する。アクセスノード141のリース無線周波数帯上で携帯電話通信サービスが提供されている間も、ポータブルアクセスノード124はより低い優先度のアクセスノードに関する他のリース可能性の探索を継続してもよい。この探索は、次に高い優先度のアクセスノード142から順に行われる。リース可能な無線周波数帯および/またはアクセスノードの優先度を記録するアクセスノードのリストは、各アクセスノードの現在の負荷等に応じて、ポータブルアクセスノード124および/または周波数管理サーバ340によって定期的に更新される。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、使用されていない通信リソースをローカル通信システムからポータブルアクセスノードがリースし、リースされた通信リソースを用いて少なくとも一つのローミング中の携帯端末に携帯電話通信サービスを提供することで、ローミング料金やローミング時のサービス制限を低減または回避できる。
【0043】
図4は、本実施形態の携帯電話システムにおける設備400のハードウェア構成例を示す機能ブロック図である。設備400は、ポータブルアクセスノード122、124、126、携帯端末116、117、118、119、エンティティ追跡サーバ128、周波数管理サーバ340、アクセスノードおよび/または少なくとも一つの通信システム110、140、160のコアネットワークの設備として機能するように構成できる。設備400は、ハードウェアプロセッサ401と、非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体402と、ネットワークインターフェース回路404と、少なくとも一つのアンテナ406が設けられた携帯電話送受信回路405と、入出力インターフェース407と、プロセッサ401、記憶媒体402、ネットワークインターフェース回路404、携帯電話送受信回路405、入出力インターフェース407を相互に接続するバス408を備える。前述したように、携帯電話通信が必要とされない設備では、携帯電話送受信回路405およびアンテナ406を設けなくてもよい。
【0044】
プロセッサ401は、記憶媒体402でエンコードされているコンピュータプログラムコードを実行することで、設備400に前述の処理および/または方法の一部または全部を実行させる。プロセッサ401は、例えば、中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサ、分散処理システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、その他の任意の処理ユニットによって構成できる。
【0045】
記憶媒体402は任意のデータを保持可能であるが、特に、エンコードされたコンピュータプログラムコード、すなわち、プロセッサ401によって実行可能な指令セットを保持する。記憶媒体402は、例えば、電気、磁気、光学、電磁気、赤外線、半導体によるシステム、装置、デバイスである。例えば、記憶媒体402は、半導体または固体状態メモリ、磁気テープ、フロッピーディスク、RAM、ROM、磁気ハードディスク、光ディスクを含む。光ディスクとしては、CD-ROM、CD-R/W、DVDが例示される。
【0046】
ネットワークインターフェース回路404はネットワーク410と接続され、プロセッサ401および記憶媒体402がネットワーク410を介して他の設備と接続することを可能にする。ネットワークインターフェース回路404は、BLUETOOTH、WIFI、WIMAX等の無線ネットワークインターフェースや、ETHERNET、USB、IEEE-1364等の有線ネットワークインターフェースを含む。
【0047】
携帯電話送受信回路405は、デコーダが設けられた受信回路、エンコーダが設けられた送信回路を含む。携帯電話送受信回路405は、プロセッサ401の制御の下で携帯電話通信上のデータを送受信可能に構成される。
【0048】
入出力インターフェース407は、ユーザおよび/または外部の回路/設備と設備400の間の相互作用を可能にするための入力デバイス、出力デバイス、一体化された入出力デバイスを含む。入力デバイスは、プロセッサ401に情報または指令を伝達するためのキーボード、キーパッド、マウス、トラックボール、トラックパッド、タッチスクリーン、カーソル方向キー等を含む。出力デバイスは、ユーザ等に情報を伝達するためのディスプレイ、プリンタ、音声合成装置等を含む。
【0049】
以上で説明した処理および/または方法の一部または全部は、プロセッサで実行される独立した一つのソフトウェアアプリケーションとして実現されてもよい。以上で説明した処理および/または方法の一部または全部は、他のソフトウェアアプリケーションの一部であるソフトウェアアプリケーションとして実現されてもよい。以上で説明した処理および/または方法の一部または全部は、ソフトウェアアプリケーションへのプラグインとして実現されてもよい。
【0050】
以上で説明した方法およびアルゴリズムはいくつかの処理の例を含むが、これらは必ずしも図示または説明された順で実行しなくてもよい。本発明または本実施形態の趣旨と反しない限り、他の処理が追加されてもよいし、ある処理が他の処理によって置換されてもよいし、処理を実行する順番が変更されてもよいし、ある処理が除去されてもよい。本実施形態で開示された異なる特徴や異なる実施形態を適宜組み合わせた実施形態は、当業者にとっては自明であり、本発明に含まれる。
【0051】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0052】
なお、実施の形態で説明した各装置の機能構成はハードウェア資源またはソフトウェア資源により、あるいはハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【符号の説明】
【0053】
100 携帯電話システム、110 ホーム通信システム、111、112、113、141、142、143、161、162、163 アクセスノード、116、117、118、119 携帯端末、122、124、126 ポータブルアクセスノード(フェムトセルベースステーション)、128 エンティティ追跡サーバ、129 データベース、140、160 ローカル通信システム、340 周波数管理サーバ、349 データベース、401 プロセッサ、402 記憶媒体、404 ネットワークインターフェース回路、405 携帯電話送受信回路。
図1
図2
図3
図4