(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】機能制限装置、機能制限システム、及び機能制限方法
(51)【国際特許分類】
G09B 9/02 20060101AFI20241107BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20241107BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20241107BHJP
G06Q 30/0645 20230101ALI20241107BHJP
【FI】
G09B9/02
G09B19/00 H
G06Q10/02
G06Q30/0645
(21)【出願番号】P 2021021804
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 智春
(72)【発明者】
【氏名】白石 春樹
(72)【発明者】
【氏名】前畑 実
(72)【発明者】
【氏名】岡田 貴穂
(72)【発明者】
【氏名】立野 克明
(72)【発明者】
【氏名】久木元 修
(72)【発明者】
【氏名】北原 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】重松 愛弓
(72)【発明者】
【氏名】一津屋 美岐
(72)【発明者】
【氏名】池田 知弘
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-176252(JP,A)
【文献】特開昭52-124789(JP,A)
【文献】特開2008-282022(JP,A)
【文献】重機・建設機械の免許が良くわかる!種類や取得費用?期間をご紹介!,トラック王国ジャーナル[online],2018年07月13日,[2024年6月20日検索]、インターネット:<URL:https://www.55truck.com/journal/37.html>
【文献】「法定資格者再教育」受講のお勧めについて ・・・再教育(安全衛生教育)は労働災害防止の決め手です・・・,一般社団法人日本クレーン協会東海支部[online],2014年12月12日,[2024年6月20日検索]、インターネット:<URL:http://www.jcatokai.jp/4news/news-2014.html>
【文献】事故惹起運転者とは?特定診断と特別な指導について,運送業最適化サポートブログ[online],2020年01月31日,[2024年6月20日検索]、インターネット:<URL:https://unso-gyo.work/2018/10/26/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00-9/56、17/00-19/26
G06Q 10/02、30/0645
B60R 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンタカーの使用可否を制御する制御部を有する情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記レンタカーを予約した
運転予定者に関する運転予定者情報に基づき、前記運転予定者の中から運転前教育の受講対象者を抽出し、
前記受講対象者が保有する端末にレンタル開始場所に関連した
運転前教育用コンテンツを送信し、
前記端末から前記
受講対象者による前記運転前教育の受講状況に関する情報を受信し、
前記運転前教育が受講済である場合、前記端末へ前記レンタカーを解錠するための電子キーを発行し、
前記運転前教育が受講されていない場合、前記電子キーを発行しない、
情報処理装置。
【請求項2】
前記運転予定者情報は、前記運転予定者の運転歴、事故歴、運転免許の交付国、又は前記運転前教育の受講状況に関する情報を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記運転前教育用コンテンツは、前記レンタル開始場所付近の観光地特有の注意事項を教示する教材である、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置が行う、レンタカーの使用可否を制御する制御方法であって、
前記レンタカーを予約した
運転予定者に関する運転予定者情報に基づき、前記運転予定者の中から運転前教育の受講対象者を抽出し、
前記受講対象者が保有する端末にレンタル開始場所に関連した
運転前教育用コンテンツを送信し、
前記端末から前記
受講対象者による前記運転前教育の受講状況に関する情報を受信し、
前記運転前教育が受講済である場合、前記端末へ前記レンタカーを解錠するための電子キーを発行し、
前記運転前教育が受講されていない場合、前記電子キーを発行しない、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の機能を制限する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
海外からの旅行者がレンタカーを利用する場合、国による交通ルールの相違、交通標識の相違等があるため、車両事故のリスクが高まる。
【0003】
また例えば長期間車両を運転していなかった者がレンタカーを利用する場合にも、車両事故のリスクが高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両事故のリスクを低減する方法として、交通安全教育の実施が考えられる。例えば特許文献1では、ドライブレコーダーが取得した事故画像データを用いる交通安全教育支援システムが提案されている。
【0006】
しかし、特許文献1で提案されている交通安全教育支援システムが提供されたとしても、交通安全教育を受けるか否かを運転予定者の判断に委ねられている。したがって、単に特許文献1で提案されている交通安全教育支援システムが提供されただけでは、車両事故のリスクを低減できるとは言えない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、車両事故のリスクを低減できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る機能制限装置は、運転予定者による所定の教育の受講状況に応じて、前記運転予定者による運転が予定される車両の機能を制限する構成(第1の構成)である。
【0009】
上記第1の構成の機能制限装置において、前記所定の教育での前記運転予定者の成績、又は、前記所定の教育の受講が済んだ部分に応じて、前記車両の機能を制限する構成(第2の構成)であってもよい。
【0010】
上記第1又は第2の構成の機能制限装置において、前記所定の教育は、画像コンテンツによる教育、及び、所定の道を走行させることによる教育のうちの少なくとも一つを含む構成(第3の構成)であってもよい。
【0011】
上記第1~第3いずれかの構成の機能制限装置において、前記所定の教育の内容は、前記運転予定者が所有する運転免許を交付した国によって変更される構成(第4の構成)であってもよい。
【0012】
上記第1~第4いずれかの構成の機能制限装置において、前記運転予定者に再教育が必要あるか否かを判定し、前記再教育が必要である場合、前記運転予定者が前記再教育を修了していなければ前記車両の機能を制限する構成(第5の構成)であってもよい。
【0013】
上記第5の構成の機能制限装置において、前記運転予定者が過去に前記所定の教育を修了した時期を加味して前記再教育の要否を判定する構成(第6の構成)であってもよい。
【0014】
上記第5又は第6の構成の機能制限装置において、前記運転予定者の事故歴を加味して前記再教育の要否を判定する構成(第7の構成)であってもよい。
【0015】
本発明に係る機能制限システムは、上記第1~第7いずれかの構成の機能制限装置と、前記車両と、を備え、前記車両は、運転者を個人認識する認識部と、前記認識部によって個人認識された前記運転者が前記運転予定者である場合に前記運転者に運転権限を与える権限付与部と、を備える構成(第8の構成)である。
【0016】
本発明に係る機能制限方法は、運転予定者による所定の教育の受講状況に応じて、前記運転予定者による運転が予定される車両の機能を制限する構成(第9の構成)である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、車両事故のリスクを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係るレンタカー予約装置の概略構成例を示す図
【
図3】レンタカー予約装置の第1動作例を示すフローチャート
【
図4】レンタカー予約装置の第2動作例を示すフローチャート
【
図7】第2実施形態に係る機能制限システムの概略構成例を示す図
【
図8】第2実施形態に係る機能制限システムの処理の概要を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
<レンタカー予約装置の構成>
図1は、第1実施形態に係るレンタカー予約装置1の概略構成例を示す図である。レンタカー予約装置1は、通信部2と、制御部3と、記憶部4と、を備える。
【0021】
通信部2は、外部装置との間で情報の送受信を行う通信インターフェイスである。制御部3は、通信部2を介して外部装置との間で情報の送受信を行うことができる。
【0022】
制御部3は、レンタカー予約受付部31と、教育対象者抽出部32と、機能制限装置5と、を備える。機能制限装置5は、判定部33と、制限部34と、を備える。制御部3は、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を備えるコンピュータで構成することができる。コンピュータのCPUは、例えばROMに記憶されたプログラムを読みだして実行することによって、制御部3のレンタカー予約受付部31、教育対象者抽出部32、判定部33、及び制限部34として機能する。なお、制御部3のレンタカー予約受付部31、教育対象者抽出部32、判定部33、及び制限部34の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成してもよい。
【0023】
記憶部4は、レンタカー予約情報データベース41と、画像コンテンツデータベース42と、を備える。記憶部4は、不揮発性記憶媒体を有する。記憶部4が有する不揮発性記憶媒体は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、クラウドストレージ等で構成することができる。
【0024】
次に、制御部3の各部について説明する。
【0025】
レンタカー予約受付部31は、外部装置である入力装置から送信され通信部2によって受信されるレンタカー予約情報を取得し、レンタカー予約情報に基づきレンタカーの予約を受け付ける。レンタカー予約受付部31は、取得したレンタカー予約情報をレンタカー予約情報データベース41に新規登録する。レンタカー予約情報は、例えば
図2に示すように、レンタカー情報及び運転予定者情報を含む。レンタカー情報は、例えばレンタル期間、レンタル開始場所、及び車種を含む。運転予定者情報は、運転免許を交付した国、運転歴、事故歴、及び所定の教育に関する教育歴を含む。
【0026】
教育対象者抽出部32は、上述した運転予定者情報に基づき、運転予定者の中から所定の教育を受ける必要がある者を抽出する。所定の教育を受ける必要がある者は、例えばレンタカーが走行する国以外の国が交付した運転免許を所有する者、所定期間(例えば10年)以上車両を運転したことがない者等にすればよい。
【0027】
判定部33は、運転予定者が所定の教育を修了したか否かを判定する。より詳細には、判定部33は、教育対象者抽出部32によって抽出された運転予定者が所定の教育を修了したか否かを判定する。
【0028】
機能制限装置5は、運転予定者によるが所定の教育の受講状況に応じて、運転予定者による運転が予定される車両の機能を制限する。前述のように、機能制限装置5は、判定部33と、制限部34と、を備える。
【0029】
制限部34は、運転予定者が所定の教育を修了していないと判定部33によって判定された場合、当該運転予定者による運転が予定される車両の機能を制限する。
【0030】
制限部34は、車両の機能を直接的に制限してもよく、車両の機能を間接的に制限してもよい。制限部34が車両の機能を直接的に制限する例としては、制限部34が車両に対して走行速度を制限する命令を送信し、車両が当該命令に従う構成、制限部34が自動運転機能を有する車両に対して自動運転から手動運転への切り替えを制限する命令を送信し、車両が当該命令に従う構成等を挙げることができる。制限部34が車両の機能を間接的に制限する例としては、制限部34が車両を解錠するための電子キーの発行を禁止して間接的に車両の走行機能を制限する構成、制限部34が車両の駐車区画に設定されているロック板を上げた状態にして間接的に車両の走行機能を制限する構成等を挙げることができる。
【0031】
本実施形態では、所定の教育は、画像コンテンツデータベース42に含まれる画像コンテンツによる教育である。画像コンテンツによる教育とすることで、書籍による教育等よりも教育効果を高めることができる。また、実際に車両を運転せずに教育を受けることができるので、時間的な制約、場所的な制約が大幅に緩和される。したがって、例えばレンタカーが走行する国への移動前又は移動中に所定の教育を受けることが可能になる。
【0032】
画像コンテンツは、例えばドライブレコーダーで予め撮影された動画、静止画によって構成される教材である。また、画像コンテンツは、例えばレンタカーが走行する国における交通標識、運転マナー、交通ルール等を教示する教材であってもよい。また、画像コンテンツは、例えばレンタル開始場所に近い観光地特有の注意事項を教示する教材であってもよい。レンタル開始場所に近い観光地が広島、長崎等である場合、路面電車が走っているため、路面電車を遭遇する場面において路面電車を優先させることを教示する教材にすればよい。レンタカーが走行する国における交通標識、運転マナー、交通ルール等を指導する教材であってもよい。
【0033】
<レンタカー予約装置の第1動作例>
次に、レンタカー予約装置1の第1動作例について説明する。
図3は、レンタカー予約装置1の第1動作例を示すフローチャートである。
【0034】
通信部2が入力装置から送信されるレンタカー予約情報を受信すると、レンタカー予約装置1は、
図3に示すフロー動作を開始する。レンタカー予約情報を送信する入力装置は、例えばレンタカーの予約を行う者のスマートフォン、パーソナルコンピュータ等である。
【0035】
まずレンタカー予約受付部31は、レンタカー予約情報に基づきレンタカーの予約を受け付ける(ステップS10)。
【0036】
次に、教育対象者抽出部32は、レンタカー予約情報に含まれる運転予定者情報に基づき、運転予定者の中から所定の教育を受ける必要がある者を抽出する(ステップS20)。
【0037】
ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が、所定の教育を受ける必要がある者として教育対象者抽出部32によって抽出されなかった場合(ステップS20のNO)、つまり、所定の教育を受ける必要が「ない」者とされた場合、制限部34は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する車両の機能制限を行わない(ステップS30)。そして、レンタカー予約装置1はフロー動作を終了する。
【0038】
一方、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が、所定の教育を受ける必要がある者として教育対象者抽出部32によって抽出された場合(ステップS20のYES)、ステップS40に移行する。
【0039】
ステップS40において、判定部33は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が所定の教育を修了したか否かを判定する。例えば、所定の教育の修了は、単に画像コンテンツの視聴完了のみを条件としてもよく、画像コンテンツの視聴完了した上で確認テストにおいて一定レベルの成績を収めることを条件としてもよい。また、所定の教育の内容は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が所有する運転免許を交付した国によって変更されることが好ましい。これにより、教育内容の過不足を抑制することができる。例えば、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が所有する運転免許を交付した国とレンタカーが走行する国とがともに左側通行の国であれば、左側通行に関する教育は行わず、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が所有する運転免許を交付した国が右側通行の国でありレンタカーが走行する国が左側通行の国であれば、左側通行に関する教育を行えばよい。
【0040】
ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が所定の教育を修了していないと判定された場合(ステップS40のNO)、制限部34は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する車両の機能制限を行う(ステップS50)。その後、ステップS40に戻る。なお、ステップS50において、制限部34は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する車両の機能制限を一律に行ってもよく、ステップS10において受け付けられた予約に対応する車両の機能制限を、所定の教育の受講が済んだ部分に応じて行ってもよい。ステップS10において受け付けられた予約に対応する車両の機能制限を、所定の教育の受講が済んだ部分に応じて行う場合、所定の教育の受講が済んだ部分に多いほど、ステップS10において受け付けられた予約に対応する車両の機能制限を少なくすればよい。
【0041】
ステップS40及びステップS50の実施によって、所定の教育を修了していない運転予定者が無制限に車両を使用することを防止することができる。したがって、車両事故のリスクを低減できる。
【0042】
一方、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が所定の教育を修了していると判定された場合(ステップS40のYES)、制限部34は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する車両の機能制限を行わない(ステップS60)。そして、レンタカー予約装置1はフロー動作を終了する。
【0043】
例えば、所定の教育の修了が、画像コンテンツの視聴完了した上で確認テストにおいて一定レベルの成績を収めることを条件とした場合、ステップS60の代わりに、制限部34は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する車両の機能制限を所定の教育での運転予定者の成績に応じて行ってもよい。これにより、所定の教育を修了した運転予定者に関しても車両事故のリスクを低減できる。例えば運転予定者の成績が良好であるほど、制限部34によって制限される車両の走行速度の上限を高くすればよい。
【0044】
<レンタカー予約装置の第2動作例>
次に、レンタカー予約装置1の第2動作例について説明する。
図4は、レンタカー予約装置1の第2動作例を示すフローチャートである。
【0045】
図4に示すフローチャートは、
図3に示すフローチャートにステップS51及びステップS52を追加したものである。
【0046】
ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が所定の教育を修了していると判定された場合(ステップS40のYES)、判定部33は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者に再教育が必要であるか否かを判定する(ステップS51)。
【0047】
ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者に再教育が必要でないと判定された場合(ステップS51のNO)、ステップS60に移行する。
【0048】
ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が所定の教育を修了していないと判定された場合(ステップS40のNO)、又は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者に再教育が必要であると判定された場合(ステップS51のYES)、ステップS52に移行する。
【0049】
ステップS52において、判定部33は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が再教育を修了したか否かを判定する。ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が再教育を修了していると判定された場合(ステップS52のYES)、ステップS60に移行する。一方、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が再教育を修了していないと判定された場合(ステップS52のNO)、ステップS50に移行する。
【0050】
ステップS51及びステップS52の実施によって、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者に再教育が必要である場合、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が再教育を修了していなければ制限部34は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する車両の機能を制限する。これにより、再教育が必要な運転予定者に関しても車両事故のリスクを低減できる。
【0051】
ステップS51において、例えば、判定部33は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が過去に所定の教育を修了した時期を加味して再教育の要否を判定するとよい。これにより、再教育の要否が適切に判定されることになる。
【0052】
例えば所定の教育の内容が所定の教育を受ける時期に応じて変更されており、過去に所定の教育を修了した時期と今回レンタカーを使用する時期とが異なる場合に、判定部33は、再教育が必要である判定すればよい。また、過去に所定の教育を修了した後に、新しい交通ルールの誕生、交通に関する法令変更等があった場合に、判定部33は、再教育が必要である判定すればよい。なお、過去に所定の教育を修了した時期を加味して再教育の要否が判定される場合、再教育の内容は、過去に修了した所定の教育との相違点に特化したものであることが望ましい。
【0053】
ステップS51において、例えば、判定部33は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者の事故歴を加味して再教育の要否を判定するとよい。これにより、再教育の要否が適切に判定されることになる。なお、事故歴は、過去のレンタカー使用時の事故に限定してもよく、過去に所定の教育を修了した後の事故全般であってもよい。また、事故歴を加味して再教育の要否が判定される場合、再教育の内容は、事故に関わる部分に特化したものであることが望ましい。
【0054】
また、ステップS60を実施した後、ステップS51に戻るようにし、ステップS51において、判定部33は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者による車両の運転を評価し、信号無視、一時停止違反等を検知すれば評価を下げ、当該評価が一定以下になると、再教育が必要であると判定してもよい。これにより、再教育の要否が適切に判定されることになる。なお、評価が一定以下になると、再教育が必要であると判定される場合、再教育の内容は、評価を下げた事項に関わる部分に特化したものであることが望ましい。
【0055】
<機能制限システムの構成>
図7は、第2実施形態に係る機能制限システムの概略構成例を示す図である。
図7に示す機能制限システムは、運転者情報センター装置101と、レンタカー管理センター102と、車両103と、を備える。運転者情報センター装置101及びレンタカー管理センター102はそれぞれ別個のサーバである。各サーバは、単一の場所に設定されるサーバ装置であってもよく、構成要素が複数の場所に分散して設置される分散型のサーバ装置であってもよく、クラウド上で構成されるクラウドサーバ装置であってよい。
【0056】
運転者情報センター装置101及びレンタカー管理センター102は、第1実施形態に係るレンタカー予約装置1と同様の処理を行う。なお、本実施形態における運転者は、第1実施形態における運転予定者と同様である。
【0057】
運転者情報センター装置101は、運転者情報データベース101aと、制御部101bと、教育情報データベース101cと、通信部101dと、を備える。
【0058】
制御部101bは、例えばCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータで構成することができる。通信部101dは、レンタカー管理センター102との間で情報の送受信を行う通信インターフェイスである。制御部101bは、通信部101dを介してレンタカー管理センター102との間で情報の送受信を行うことができる。
【0059】
運転者情報データベース101aは、例えば
図8に示すような、運転者ID、運転者識別用データ、運転免許データ、運転履歴データ、及び教育履歴データを含むデータ構造である。
【0060】
教育情報データベース101cは、例えば
図8に示すような、教育ID(所定の教育を受ける教育対象者のID)、対象地域データ、対象運転免許データ、対象運転履歴データ、対象車種データ、制限機能データ、及び教育データを含むデータ構造である。
【0061】
レンタカー管理センター102は、レンタカー情報記憶部102aと、制御部102bと、車両制御情報記憶部102cと、通信部102dと、を備える。
【0062】
制御部102bは、例えばCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータで構成することができる。通信部102dは、運転者情報センター装置101、車両103、固定端末104、及びスマートフォン105それぞれとの間で情報の送受信を行う通信インターフェイスである。制御部102bは、通信部102dを介して運転者情報センター装置101、車両103、固定端末104、及びスマートフォン105それぞれとの間で情報の送受信を行うことができる。
【0063】
レンタカー情報記憶部102aは、不揮発性記憶装置を含み、例えば
図8に示すような、予約ID、予約期間データ、予約者(運転者)データ、予約車、予約車種、及び走行地域を含むデータを不揮発的に記憶する。
【0064】
車両制御情報記憶部102cは、不揮発性記憶装置を含み、例えば
図8に示すような、制御ID、対象機能、制限条件、及び制限内容を含むデータを不揮発的に記憶する。
【0065】
車両103は、機能制限テーブル103aと、統合制御部103bと、カーナビゲーション部103cを含む複数の各機能装置103dと、運転教育部103eと、通信部103fと、を備える。
【0066】
統合制御部103bは、例えばCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータで構成することができる。統合制御部103bは、カーナビゲーション部103cを含む複数の各機能装置103dを統合制御する。通信部103fは、レンタカー管理センター102との間で情報の送受信を行う通信インターフェイスである。統合制御部103bは、通信部103fを介してレンタカー管理センター102との間で情報の送受信を行うことができる。
【0067】
機能制限テーブル103aは、不揮発性記憶装置を含み、例えば
図8に示すような、機能ID、対象機能、制限条件、制御データ、及び制限ON/OFFフラグを含むデータテーブルを不揮発的に記憶する。
【0068】
運転教育部103eは、不揮発性記憶装置を含み、例えば
図8に示すような、教育ID、教育データ、制限対象機能、及び受講データを含むデータを不揮発的に記憶する。
【0069】
予約者(運転者)は、レンタカー会社の営業所に設定されている固定端末104、予約者(運転者)自身が所有するスマートフォン105から予約情報をレンタカー管理センター102に送信することで、レンタカーの予約を行うことができる。
【0070】
以下、
図8を参照して、本実施形態でのデータ処理の概要を説明する。始めに、レンタカーの予約が行われると、レンタカー情報記憶部102aに記憶されているデータが更新される。
【0071】
次に、新規予約者のレンタカー情報記憶部102aに記憶された予約者(運転者)データと、運転者情報データベース101aに含まれる運転者識別用データとのマッチングが行われる。
【0072】
次に、新規予約者の運転者情報データベース101aに含まれる運転免許データ及び運転履歴データと、教育情報データベース101cに含まれる対象運転免許データ及び対象運転履歴データとのマッチングが行われ、新規予約者に必要な所定の教育が抽出される。
【0073】
次に、新規予約者の運転者情報データベース101aに含まれる教育履歴データに基づき、新規予約者が所定の教育を受講する必要があるか否かが判定される。
【0074】
新規予約者が所定の教育を受講する必要がある場合、教育情報データベース101cに含まれる教育データが運転教育部103eに送信され、運転教育部103eによって記憶される。
【0075】
また、新規予約者が所定の教育を受講する必要がある場合、教育情報データベース101cに含まれる制限機能データと車両制御情報記憶部102cに記憶される制御ID、対象機能、制限条件、及び制限内容とのマッチングが行われる。
【0076】
次に、マッチングが完了した制御ID、対象機能、制限条件、及び制限内容は、車両制御情報記憶部102cから機能制限テーブル103aに送信され、機能制限テーブル103aによって記憶される。
【0077】
最後に、運転教育部103eによって記憶されている教育データに基づき、機能制限テーブル103aに記憶されている制限ON/OFFフラグがON又はOFFのいずれかに設定される。
【0078】
本実施形態に係る機能制限システムも、第1実施形態と同様に、運転者による所定の教育の受講状況に応じて運転者による運転が予定される車両の機能を制限することができる。したがって、車両事故のリスクを低減できる。
【0079】
<変形例>
上述した第1実施形態では、レンタカー予約装置1が機能制限装置5を含む構成であったが、機能制限装置5はレンタカー予約装置1の外部に設けられてもよい。
【0080】
上述した第1実施形態では、所定の教育は、画像コンテンツによる教育であったが、画像コンテンツによる教育に代えて、或いは、画像コンテンツによる教育に加えて、他の手法による教育であってもよい。他の手法による教育の一例として、所定の道を走行させることによる教育を挙げることができる。所定の道を走行させることによる教育は、実践的な教育であるため、教育効果を高めることができる。
【0081】
所定の道を走行させることによる教育では、例えば、車両に搭載されるナビゲーション装置が所定の道を案内し、注意すべきポイント、交通標識の意味などを音声又は表示により通知するようにすればよい。所定の道は、公道であってもよく、テストコースであってもよい。また、所定の道を走行する車両は、ステップS10において受け付けられた予約に対応する車両であってもよく、教育専用の車両であってもよい。
【0082】
なお、所定の道を走行させることによる教育を実施することで、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が所有する運転免許を交付した国毎の運転傾向(例えば左に寄って走行する傾向等)を収集し、当該運転傾向を加味して所定の道を走行させることによる教育の内容をブラッシュアップすることが望ましい。また、当該運転傾向を加味して、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者が所有する運転免許を交付した国での車両を運転するための役立つ教育教材を作成してもよい。
【0083】
また、機能制限装置5(
図1参照)と
図5に示す車両6とによって機能制限システムを構成してもよい。車両6は、認識部7及び権限付与部8を備える。なお、機能制限装置5及び車両6を備える機能制限システムを利用する場合、レンタカー予約情報データベース41に格納されるレンタカー予約情報は、例えば
図6に示すように、運転予定者の個人認識情報(例えば顔認識に関する情報、指紋認識に関する情報等)を含むようにする。
【0084】
認識部7は、運転者を個人認識する。認識部7としては、例えば運転者を撮影するカメラの撮影画像から運転者の顔認識を行って運転者を個人認識する認識部、ステアリングに設けられる指紋センサの検知結果に基づき運転者の指紋認識を行って運転者を個人認識する認識部等を挙げることができる。
【0085】
権限付与部8は、認識部7によって個人認識された運転者が、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者である場合に運転者に運転権限を与える。権限付与部8は、例えば、運転者に運転権限を与える場合に車両6を走行可能とし、運転者に運転権限を与えない場合に車両6を走行不可能とするように車両6の駆動部を制御すればよい。
【0086】
機能制限装置5及び車両6を備える機能制限システムは、ステップS10において受け付けられた予約に対応する運転予定者以外の者が運転者になることを防止することができる。これにより、より確実に車両事故のリスクを低減できる。
【0087】
なお、車両事故のリスクを低減することに直接関連しない場合もあるが、所定の教育に、ステップS10において受け付けられた予約に対応する車両に搭載されている装備の使い方を含めてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 レンタカー予約装置
2 通信部
3 制御部
4 記憶部
5 機能制限装置
6 車両
7 認識部
8 権限付与部
31 レンタカー予約受付部
32 教育対象者抽出部
33 判定部
34 制限部
41 レンタカー予約情報データベース
42 画像コンテンツデータベース
101 運転者情報センター装置
102 レンタカー管理センター
103 車両