(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】表示ドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20241107BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 611E
G09G3/20 641Q
G09G3/20 624C
G09G3/20 612F
G09G3/20 623F
G09G3/20 623B
(21)【出願番号】P 2021029565
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 鋼児
【審査官】薄井 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206283(JP,A)
【文献】国際公開第2011/092767(WO,A1)
【文献】特開平07-013530(JP,A)
【文献】特開2007-208694(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0168043(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0348488(US,A1)
【文献】特開2020-067640(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0206356(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0307536(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106057140(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103065594(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104036743(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0135119(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111105752(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0082349(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示セル及び前記複数の表示セルに共通に接続されている共通電極を含む表示パネルを映像信号に応じて駆動する表示ドライバであって、
基準共通電圧を受け、前記基準共通電圧を増幅した電圧を共通電圧として生成し、前記共通電圧を前記共通電極に印加する共通電圧生成部と、
所定のガンマ特性に沿った第1~第k(kは2以上の整数)の基準ガンマ電圧を生成する基準ガンマ電圧生成部と、
前記共通電極の電圧を帰還共通電圧として前記表示パネルから取り込み、前記帰還共通電圧と前記基準共通電圧との差分に基づき前記第1~第kの基準ガンマ電圧の各々の電圧値が調整された第1~第kの補償基準ガンマ電圧を生成するガンマ補償部と、
前記第1~第kの補償基準ガンマ電圧に基づき複数の階調電圧を生成する階調電圧生成部と、
前記映像信号に基づく前記表示セルの各々に対応した表示データ片毎に、前記複数の階調電圧のうちから前記表示データ片に対応した階調電圧を選択し、選択した前記階調電圧を駆動電圧として前記表示パネルに供給するDA変換部と、を有
し、
前記ガンマ補償部は、前記第1~第kの基準ガンマ電圧を個別に受け、夫々が前記第1~第kの補償基準ガンマ電圧を個別に生成する第1~第kの補償回路を含み、
前記第1~第kの補償回路の各々は、
第1の定電流を生成する第1の電流源と、
前記帰還共通電圧と前記基準共通電圧との大きさの比で前記第1の定電流を2分割した電流を第1のノード及び第2のノードに夫々流す第1の差動段と、
第2の定電流を生成する第2の電流源と、
前記基準ガンマ電圧と前記補償基準ガンマ電圧との大きさの比で前記第2の定電流を2分割した電流を前記第1のノード及び前記第2のノードに夫々流す第2の差動段と、
前記第2のノードの電圧を増幅した電圧を前記補償基準ガンマ電圧として出力するアンプと、を含むことを特徴とする表示ドライバ。
【請求項2】
複数の表示セル、前記複数の表示セルに共通に接続されている共通電極、及び前記共通電極に接続されている第1及び第2の端子を含む表示パネルと、
映像信号に基づく複数の駆動電圧及び共通電圧を前記表示パネルに供給する表示ドライバと、を含み、
前記表示ドライバは、
基準共通電圧を受け、前記基準共通電圧を増幅した電圧を前記共通電圧として生成し、前記共通電圧を前記第1の端子に印加する共通電圧生成部と、
所定のガンマ特性に沿った第1~第k(kは2以上の整数)の基準ガンマ電圧を生成する基準ガンマ電圧生成部と、
前記第2の端子の電圧を帰還共通電圧として前記表示パネルから取り込み、前記帰還共通電圧と前記基準共通電圧との差分に基づき前記第1~第kの基準ガンマ電圧の各々の電圧値が調整された第1~第kの補償基準ガンマ電圧を生成するガンマ補償部と、
前記第1~第kの補償基準ガンマ電圧に基づき複数の階調電圧を生成する階調電圧生成部と、
前記映像信号に基づく前記表示セルの各々に対応した表示データ片毎に、前記複数の階調電圧のうちから前記表示データ片に対応した階調電圧を選択し、選択した前記階調電圧を前記駆動電圧として前記表示パネルに供給するDA変換部と、を有
し、
前記ガンマ補償部は、前記第1~第kの基準ガンマ電圧を個別に受け、夫々が前記第1~第kの補償基準ガンマ電圧を個別に生成する第1~第kの補償回路を含み、
前記第1~第kの補償回路の各々は、
第1の定電流を生成する第1の電流源と、
前記帰還共通電圧と前記基準共通電圧との大きさの比で前記第1の定電流を2分割した電流を第1のノード及び第2のノードに夫々流す第1の差動段と、
第2の定電流を生成する第2の電流源と、
前記基準ガンマ電圧と前記補償基準ガンマ電圧との大きさの比で前記第2の定電流を2分割した電流を前記第1のノード及び前記第2のノードに夫々流す第2の差動段と、
前記第2のノードの電圧を増幅した電圧を前記補償基準ガンマ電圧として出力するアンプと、を含むことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号に応じて表示パネルを駆動する表示ドライバ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、液晶表示装置として、ゲームを快適にプレイするのに適した性能を有するゲーミングモニタが注目されている。ゲーミングモニタでは、通常のモニタよりも高いリフレッシュレートで映像を表示させることで、表示遅延を抑え且つ動きの滑らかな映像表示を実現している。
【0003】
ところで、例えばPCゲームで扱う、リアルタイム描画によって各フレームの画像が生成される映像ソースは、その時々の描画負荷によって各フレームの描画にかかる時間が異なる、いわゆる可変フレームレートの映像である。よって、このような映像ソースを受けるモニタ側のリフレッシュレートが固定であると、誤った映像が表示されてしまう。
【0004】
そこで、現在、可変フレームレートの映像ソースに追従させてリフレッシュレートを動的に変化させることができる可変リフレッシュレート同期機能を備えたゲーミングモニタが主流となっている。
【0005】
しかしながら、ゲーミングモニタ側でリフレッシュレートが動的に変化すると、当該リフレッシュレートの変化に伴うガンマ特定の変動により画面全体の輝度が変化してしまい、これがフリッカとして目視されるという問題が生じる。
【0006】
そこで、リフレッシュレートを検知し、そのリフレッシュレートに最適な映像のガンマ値をメモリから読みだし、読み出したガンマ値でガンマ特性を変更することで、フリッカを抑制するようにした液晶表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該液晶表示装置では、自身に含まれるタイミングコントローラが、表示データと共に表示タイミングを示すイネーブル信号及びクロック信号を受け取り、これらイネーブル信号及びクロック信号に基づきリフレッシュレートを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載の液晶表示装置では、フレーム毎にそのフレーム長(時間)を計測することで、リフレッシュレートが変化したか否かを判定している。よって、各フレームのリフレッシュレートの計測後にガンマ値の変更を行うことになるので、ガンマ値の変更タイミングが少なくとも1フレーム分遅延することになる。したがって、このような方法ではフリッカを防止することができないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、フリッカの発生を抑制することが可能な可変リフレッシュレート同期機能を備えた表示ドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る表示ドライバは、複数の表示セル及び前記複数の表示セルに共通に接続されている共通電極を含む表示パネルを映像信号に応じて駆動する表示ドライバであって、基準共通電圧を受け、前記基準共通電圧を増幅した電圧を共通電圧として生成し、前記共通電圧を前記共通電極に印加する共通電圧生成部と、所定のガンマ特性に沿った第1~第k(kは2以上の整数)の基準ガンマ電圧を生成する基準ガンマ電圧生成部と、前記共通電極の電圧を帰還共通電圧として前記表示パネルから取り込み、前記帰還共通電圧と前記基準共通電圧との差分に基づき前記第1~第kの基準ガンマ電圧の各々の電圧値が調整された第1~第kの補償基準ガンマ電圧を生成するガンマ補償部と、前記第1~第kの補償基準ガンマ電圧に基づき複数の階調電圧を生成する階調電圧生成部と、前記映像信号に基づく前記表示セルの各々に対応した表示データ片毎に、前記複数の階調電圧のうちから前記表示データ片に対応した階調電圧を選択し、選択した前記階調電圧を駆動電圧として前記表示パネルに供給するDA変換部と、を有する。
【0011】
また、本発明に係る表示装置は、複数の表示セル、前記複数の表示セルに共通に接続されている共通電極、及び前記共通電極に接続されている第1及び第2の端子を含む表示パネルと、映像信号に基づく複数の駆動電圧及び共通電圧を前記表示パネルに供給する表示ドライバと、を含み、前記表示ドライバは、基準共通電圧を受け、前記基準共通電圧を増幅した電圧を前記共通電圧として生成し、前記共通電圧を前記第1の端子に印加する共通電圧生成部と、所定のガンマ特性に沿った第1~第k(kは2以上の整数)の基準ガンマ電圧を生成する基準ガンマ電圧生成部と、前記第2の端子の電圧を帰還共通電圧として前記表示パネルから取り込み、前記帰還共通電圧と前記基準共通電圧との差分に基づき前記第1~第kの基準ガンマ電圧の各々の電圧値が調整された第1~第kの補償基準ガンマ電圧を生成するガンマ補償部と、前記第1~第kの補償基準ガンマ電圧に基づき複数の階調電圧を生成する階調電圧生成部と、前記映像信号に基づく前記表示セルの各々に対応した表示データ片毎に、前記複数の階調電圧のうちから前記表示データ片に対応した階調電圧を選択し、選択した前記階調電圧を前記駆動電圧として前記表示パネルに供給するDA変換部と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、基準共通電圧を増幅した共通電圧を表示パネルの共通電極に印加すると共に、当該共通電極の電圧を帰還共通電圧として取り込み、当該帰還共通電圧と基準共通電圧との差分に基づき、複数の階調電圧の元となる基準ガンマ電圧の電圧値を調整することで、共通電圧の変動分を補償する。
【0013】
これにより、リフレッシュレートの変化等により表示パネルの共通電極の電圧(共通電圧)に変動が生じても、その電圧変動に追従して迅速に当該電圧変動に伴う表示輝度の変動を抑えることができるので、フリッカの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る表示ドライバを含む表示装置100の構成を示すブロック図である。
【
図2】表示セルPCの等価回路の一例を示す回路図である。
【
図3】データドライバ13の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】階調電圧生成部133の内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】ガンマ補償部1332の内部構成の一例を示す回路図である。
【
図6】ガンマ補償部1332によって共通電圧Vcomの電圧変動が補償された補償基準ガンマ電圧G_UH、G_UL、G_LH及びG_LL各々の電圧値の推移を表す波形図である。
【
図7】階調電圧生成回路1333の内部構成の一例を示す回路図である。
【
図8】リフレッシュレートの変化に伴い生じる表示画像の輝度変動の形態の一例を概略的に表す波形図である。
【
図9】リフレッシュレート変化時における表示画像の輝度変動の抑制動作を表す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る表示装置100の構成を示すブロック図である。
【0017】
表示装置100は、可変リフレッシュレート同期機能を備えた例えば液晶表示装置であり、駆動制御部11、走査ドライバ12及び表示パネル20と、本発明に係る表示ドライバとしてのデータドライバ13及び共通電圧生成部14と、を有する。
【0018】
表示パネル20には、夫々が2次元画面の水平方向に伸張する走査ラインS1~Sm(mは2以上の整数)と、夫々が2次元画面の垂直方向に伸張するデータラインD1~Dn(nは2以上の整数)とが交叉して配置されている。走査ラインとデータラインとの交叉部には、例えば液晶表示素子としての表示セルPCが形成されている。更に、表示パネル20には、板状の共通電極CE、この共通電極CEに共通電圧を入力する為の端子TM0、及び共通電極CEの電圧を取り出す為の端子TM1が形成されている。
【0019】
図2は、データラインD1と走査ラインS1との交叉部に形成されている表示セルPCを抜粋して各表示セルPCの等価回路の一例を示す回路図である。
【0020】
図2に示すように、表示セルPCは、共通電極CE上に積層された画素電極EL及び液晶層LCと、画素スイッチとしてのMOS型の薄膜トランジスタTRと、を含む。画素電極ELは、表示セルPC毎に独立して設けられた透明電極であり、共通電極CEは、表示パネル20の全表示セルPCの形成領域に対応して形成された単一の透明電極である。トランジスタTRのゲートは走査ラインS1に接続されており、当該トランジスタTRのソースはデータラインD1に接続されている。更に、トランジスタTRのドレインは画素電極ELに接続されている。
【0021】
図1において、駆動制御部11は、映像信号VSを受け、当該映像信号VSから水平同期信号を検出して走査ドライバ12に供給する。更に、駆動制御部11は、当該映像信号VSに基づき各表示セルPC毎の輝度レベルを例えば8ビットの階調で表す表示データ片の列を含む画像データ信号VPDを生成し、これをデータドライバ13に供給する。尚、駆動制御部11は、映像信号VSの垂直同期信号の周波数に追従させて、画像データ信号VPDにおける各フレーム内の垂直ブランキング期間の長さを調整する。
【0022】
走査ドライバ12は、水平同期信号に応じて、選択パルスを含む選択信号を走査ラインS1~Smの各々に順次択一的に印加する。
【0023】
データドライバ13は、画像データ信号VPDに含まれる表示データ片の系列における1水平走査分のn個の表示データ片毎に、各表示データ片をその表示データ片が表す輝度レベルに対応した階調電圧に変換する。そして、データドライバ13は、n個の表示データ片の夫々に対応した階調電圧を増幅することでn個の駆動電圧G1~Gnを生成して表示パネル20のデータラインD1~Dnに夫々印加する。
【0024】
更に、データドライバ13は、基準共通電圧Vcom_RFを受けると共に、表示パネル20の端子TM1から共通電極CE上の電圧を帰還共通電圧Vcom_FBとして取り込む。そして、データドライバ13は、基準共通電圧Vcom_RFと帰還共通電圧Vcom_FBとの差分によって、階調電圧の電圧値を調整する。
【0025】
尚、データドライバ13は、単一の半導体チップ、或いは複数の半導体チップに分割して形成されている。
【0026】
共通電圧生成部14は、基準共通電圧Vcom_RFを受け、当該基準共通電圧Vcom_RFに基づき、階調電圧として取り得る電圧値の範囲の中間の電圧、つまり当該階調電圧における正極側の電圧値と負極側の電圧値との境界となる電圧を、直流の共通電圧Vcomとして生成する。共通電圧生成部14は、当該共通電圧Vcomを表示パネル20の端子TM0に供給する。これにより、表示パネル20に形成されている全ての表示セルPCに含まれる液晶層LCには、共通電極CEを介して共通電圧Vcomが印加される。共通電圧生成部14は、データドライバ13が形成されている半導体チップとは、別の半導体チップに形成されている。尚、共通電圧生成部14をデータドライバ13が形成されている半導体チップ内に形成するようにしても良い。
【0027】
図3は、データドライバ13の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
図3に示すように、データドライバ13は、データラッチ部131、DA変換部132、及び階調電圧生成部133を含む。
【0029】
データラッチ部131は、画像データ信号VPDに含まれる表示データ片を1水平走査分のn個毎に取り込み、表示データP1~PnとしてDA変換部132に供給する。
【0030】
階調電圧生成部133は、共通電圧Vcomより高く且つ夫々異なる電圧値を有する256個の正極側の電圧群、及び共通電圧Vcomより低く且つ夫々異なる電圧値を有する256個の負極側の電圧群を生成する。階調電圧生成部133は、生成した256個の正極側の電圧群を、表示すべき輝度レベルを256段階で表す正極性の電圧値を有する階調電圧V0~V255としてDA変換部132に供給する。また、階調電圧生成部133は、生成した256個の負極側の電圧群を、表示すべき輝度レベルを256段階で表す負極性の電圧値を有する階調電圧Y0~Y255としてDA変換部132に供給する。
【0031】
更に、階調電圧生成部133は、上記した基準共通電圧Vcom_RFと帰還共通電圧Vcom_FBとの差分によって、階調電圧V0~V255及びY0~Y255各々の電圧値を調整する。尚、階調電圧V0~V255及びY0~Y255は、夫々が所定のガンマ特性に沿った電圧値を有する。
【0032】
DA変換部132は、n個のデコーダ(DEC)を含む。各デコーダ(DEC)は、表示データP1~Pnの各々に対応して設けられており、階調電圧V0~V255及びY0~Y255を受ける。各デコーダは、階調電圧V0~V255及びY0~Y255のうちから、自身が受けた表示データPが示す輝度レベルに対応した1つの階調電圧を選択し、これを増幅したものを駆動電圧として表示パネル20の対応するデータラインDに印加する。
【0033】
すなわち、DA変換部132は、表示データP1~Pnを受け、階調電圧V0~V255及びY0~Y255のうちから各表示データPの輝度レベルに対応した1つの階調電圧を選択する。そして、DA変換部132は、表示データP1~Pn毎に選択して得たn個の階調電圧を夫々増幅したものを上記した駆動電圧G1~Gnとして生成する。
【0034】
次に、上記した階調電圧生成部133及び共通電圧生成部14の構成について詳細に説明する。
【0035】
図4は、階調電圧生成部133及び共通電圧生成部14の内部構成を示すブロック図である。
【0036】
図4に示すように、共通電圧生成部14は、例えばボルテージフォロワ構成のオペアンプで構成されたアンプ1340を有する。アンプ1340は、基準共通電圧Vcom_RFを増幅したものを共通電圧Vcomとして出力する、
階調電圧生成部133は、基準ガンマ電圧生成部1331、ガンマ補償部1332及び階調電圧生成回路1333を含む。
【0037】
基準ガンマ電圧生成部1331は、基準共通電圧Vcom_RFよりも高電圧であり、且つ上記した所定のガンマ特性に沿った電圧値を有する基準ガンマ電圧G_UL_RFを生成する。また、基準ガンマ電圧生成部1331は、かかる基準ガンマ電圧G_UL_RFよりも高電圧であり、且つ上記所定のガンマ特性に沿った電圧値を有する基準ガンマ電圧G_UH_RFを生成する。また、基準ガンマ電圧生成部1331は、基準共通電圧Vcom_RFよりも低電圧であり、且つ上記した所定のガンマ特性に沿った電圧値を有する基準ガンマ電圧G_LH_RFを生成する。また、基準ガンマ電圧生成部1331は、かかる基準ガンマ電圧G_LH_RFよりも低電圧であり、且つ上記所定のガンマ特性に沿った電圧値を有する基準ガンマ電圧G_LL_RFを生成する。
【0038】
すなわち、基準ガンマ電圧生成部1331は以下の、
G_UH_RF>G_UL_RF>Vcom_RF>G_LH_RF>G_LL_RF
なる大小関係を有する4つの基準ガンマ電圧G_UH_RF、G_UL_RF、G_LH_RF及びG_LL_RFを生成する。尚、以降、基準共通電圧Vcom_RFよりも高電圧の基準ガンマ電圧G_UH_RF及びG_UL_RFを正極側の電圧として扱い、基準共通電圧Vcom_RFよりも低電圧の基準ガンマ電圧G_LH_RF及びG_LL_RFを負極側の電圧として扱う。
【0039】
基準ガンマ電圧生成部1331は、生成した基準ガンマ電圧G_UH_RF、G_UL_RF、G_LH_RF、及びG_LL_RFを、ガンマ補償部1332に供給する。
【0040】
ガンマ補償部1332は、基準共通電圧Vcom_RFを受けると共に、表示パネル20の端子TM1を介して共通電極CEの電圧を帰還共通電圧Vcom_FBとして取り込む。ガンマ補償部1332は、帰還共通電圧Vcom_FBと基準共通電圧Vcom_RFに基づき基準ガンマ電圧G_UH_RF、G_UL_RF、G_LH_RF、及びG_LL_RF各々の電圧値を調整する。ガンマ補償部1332は、当該調整により、共通電圧Vcomの電圧変動分を補償した補償基準ガンマ電圧G_UH、G_UL、G_LH、及びG_LLを生成する。
【0041】
図5は、ガンマ補償部1332の内部構成の一例を示す回路図である。
【0042】
ガンマ補償部1332は、正極側ガンマ補償回路PH及びPL、負極側ガンマ補償回路NH及びNLを有する。
【0043】
図5に示すように、正極側ガンマ補償回路PHは、第1の差動段(Vcom差動段とも称する)を構成するNチャネルMOS(metal oxide semiconductor)型のトランジスタQ1及びQ2、第2の差動段(GMA差動段とも称する)を構成するNチャネルMOS型のトランジスタQ3及びQ4を含む。また、正極側ガンマ補償回路PHは、上記したVcom差動段及びGMA差動段の負荷としてのカレントミラー回路を構成するPチャネルMOS型のトランジスタQ5及びQ6を含む。更に正極側ガンマ補償回路PHは、定電流Ivcomを流す電流源Ua1、定電流Igmaを流す電流源Ua2、及びアンプBaを含む。
【0044】
トランジスタQ1及びQ2各々のソースには、電流源Ua1の高電位側端子が接続されている。電流源Ua1の低電位側端子には、基準ガンマ電圧G_LH_RF以下の電圧値を有する負極電源電圧が印加されている。トランジスタQ1のゲートには帰還共通電圧Vcom_FBが供給されており、そのドレインはノードn1を介してトランジスタQ3及びQ5各々のドレイン、トランジスタQ5及びQ6各々のゲートに夫々接続されている。トランジスタQ2のゲートには基準共通電圧Vcom_RFが供給されており、そのドレインはノードn2を介してトランジスタQ4及びQ6各々のドレイン、及びアンプBa1の入力端に夫々接続されている。
【0045】
上記した構成により、Vcom差動段(Q1、Q2)は、帰還共通電圧Vcom_FBと基準共通電圧Vcom_RFとの大きさの比で定電流Ivcomを2分割した電流をノードn1及びn2に夫々流す。
【0046】
トランジスタQ3及びQ4各々のソースには、電流源Ua2の高電位側端子が接続されている。電流源Ua2の低電位側端子には、上記した負極電源電圧が印加されている。トランジスタQ3のゲートには基準ガンマ電圧G_UH_RFが供給されている。トランジスタQ4のゲートはアンプBaの出力端に接続されている。トランジスタQ5及びQ6各々のソースには、基準ガンマ電圧G_UH_RF以上の電圧値を有する正極電源電圧が印加されている。アンプBaは、トランジスタQ6とトランジスタQ4との接続点であるノードn2に生じた電圧を増幅した電圧を、補償基準ガンマ電圧G_UHとして出力する。
【0047】
上記した構成により、GMA差動段(Q3、Q4)は、基準ガンマ電圧G_UH_RFと補償基準ガンマ電圧G_UHとの大きさの比で定電流Igmaを2分割した電流をノードn1及びn2に夫々流す。
【0048】
正極側ガンマ補償回路PLは、上記した正極側ガンマ補償回路PHと同一の回路構成を有する。よって、
図5においては、正極側ガンマ補償回路PLの詳細な回路図を省略している。ただし、正極側ガンマ補償回路PLでは、トランジスタQ3のゲートで基準ガンマ電圧G_UL_RFを受け、アンプBaが補償基準ガンマ電圧G_ULを出力すると共に、この補償基準ガンマ電圧G_ULをトランジスタQ4のゲートに供給する。
【0049】
また、
図5に示すように、負極側ガンマ補償回路NHは、第1の差動段(Vcom差動段とも称する)を構成するPチャネルMOS型のトランジスタT1及びT2、第2の差動段(GMA差動段とも称する)を構成するPチャネルMOS型のトランジスタT3及びT4を含む。また、負極側ガンマ補償回路NHは、上記したVcom差動段及びGMA差動段の負荷としてのカレントミラー回路を構成するNチャネルMOS型のトランジスタT5及びT6を含む。更に負極側ガンマ補償回路NHは、定電流Ivcomを流す電流源Ub1、定電流Igmaを流す電流源Ub2、及びアンプBbを含む。
【0050】
トランジスタT1及びT2各々のソースには、電流源Ub1の低電位側端子が接続されている。電流源Ub1の高電位側端子には上記した正極電源電圧が印加されている。トランジスタT1のゲートには帰還共通電圧Vcom_FBが供給されており、そのドレインはノードnd1を介してトランジスタT3及びT5各々のドレイン、トランジスタT5及びT6各々のゲートに夫々接続されている。トランジスタT2のゲートには基準共通電圧Vcom_RFが供給されており、そのドレインはノードnd2を介してトランジスタT4及びT6各々のドレイン、及びアンプBbの入力端に夫々接続されている。
【0051】
上記した構成により、Vcom差動段(T1、T2)は、帰還共通電圧Vcom_FBと基準共通電圧Vcom_RFとの大きさの比で定電流Ivcomを2分割した電流をノードnd1及びnd2に夫々流す。
【0052】
トランジスタT3及びT4各々のソースには、電流源Ub2の低電位側端子が接続されている。電流源Ub2の高電位側端子には上記した正極電源電圧が印加されている。トランジスタT3のゲートには基準ガンマ電圧G_LH_RFが供給されている。トランジスタT4のゲートはアンプBbの出力端に接続されている。トランジスタT5及びT6各々のソースには、上記した負極電源電圧が印加されている。アンプBbは、トランジスタT6とトランジスタT4との接続点に生じた電圧を増幅した電圧を、補償基準ガンマ電圧G_LHとして出力する。
【0053】
上記した構成により、GMA差動段(T3、T4)は、基準ガンマ電圧G_UH_RFと補償基準ガンマ電圧G_UHとの大きさの比で定電流Igmaを2分割した電流をノードnd1及びnd2に夫々流す。
【0054】
負極側ガンマ補償回路NLは、上記した負極側ガンマ補償回路NHと同一の回路構成を有する。よって、
図5においては、負極側ガンマ補償回路NLの詳細な回路図を省略している。ただし、負極側ガンマ補償回路NLでは、基準ガンマ電圧G_LL_RFをトランジスタT3のゲートで受け、アンプBbが補償基準ガンマ電圧G_LLを出力すると共に、この補償基準ガンマ電圧G_LLをトランジスタT4のゲートに供給する。
【0055】
以下に、
図5に示す正極側ガンマ補償回路PH及びPL、負極側ガンマ補償回路NH及びNLの詳細な動作について説明する。
【0056】
先ず、表示パネル20の共通電極CE上の電圧、つまり共通電圧Vcomに、ノイズが混入していない場合には、
Vcom_RF=Vcom_FB
となり、
正極側ガンマ補償回路PH及びPL、負極側ガンマ補償回路NH及びNL各々のVcom差動段(Q1、Q2、T1、T2)は、夫々が(1/2)・Ivcomの電流を出力する。それ故、正極側ガンマ補償回路PH及びPL、負極側ガンマ補償回路NH及びNL各々のGMA差動段(Q3、Q4、T3、T4)では、定電流Igmaも等分に分流される。その結果、(1/2)・Ivcom+(1/2)・Igmaの電流が、極側ガンマ補償回路PH及びPL、負極側ガンマ補償回路NH及びNL各々のカレントミラー回路(Q5、Q6、T5、T6)に流れ込む。よって、G_UH/G_ULは、G_UH/G_UL_RFと等しくなる。
【0057】
一方、共通電圧VcomにノイズΔVが混入することで、
Vcom_FB=Vcom_RF+ΔV
となった場合には、Vcom差動段に流れる電流は、
Vcom_FB側:(1/2)・Ivcom+(1/2)・ΔV・Gmq1
Vcom_RF側:(1/2)・Ivcom-(1/2)・ΔV・Gmq2
Gmq1:トランジスタQ1の相互コンダクタンス
Gmq2:トランジスタQ2の相互コンダクタンス
となる。
【0058】
この際、Vcom差動段の電流とGMA差動段の電流が合流してカレントミラー回路に供給される。
【0059】
よって、GMA差動段に流れる電流は、G_xx_RF側(xxはUH、UL、LH、LL)がVcom_FB側の(1/2)・ΔV・Gmq1を補填するように動作することで、(1/2)・Igma-(1/2)・ΔV・Gmq1が流れる。更に、GMA_xx側がVcom_RF側の(1/2)・ΔV・Gmq2を補填するように動作することで、(1/2)・Igma+(1/2)・ΔV・Gmq2が流れる。
その結果、IgmaがVcom側とGMA側の差動で同じ値となるように設定すると、G_xx=G_xx_RF+ΔVとなり、Vcom_FBの電圧変動分がそのままG_xxに上乗せされる。
【0060】
これにより、
G_xx-Vcom_FB=(G_xx_RF+ΔV)-(Vcom_RF+ΔV)
=G_xx_RF-Vcom_RF
となり、補償基準ガンマ電圧G_xxと帰還共通電圧Vcom_FBとの差分が常に一定となる。
【0061】
上記した動作により、正極側ガンマ補償回路PHは、基準ガンマ電圧G_UH_RFに対して、
G_UH_RF+Vcom_FB=G_UH+Vcom_RF
を満たすような補償基準ガンマ電圧G_UHを生成し、これをアンプBaを介して出力する。つまり、正極側ガンマ補償回路PHは、基準ガンマ電圧G_UH_RFに、帰還共通電圧Vcom_FBと基準共通電圧Vcom_RFとの差分を加算した電圧を、補償基準ガンマ電圧G_UHとして出力する。
【0062】
また、正極側ガンマ補償回路PLは、基準ガンマ電圧G_UL_RFに対して、
G_UL_RF+Vcom_FB=G_UL+Vcom_RF
を満たすような補償基準ガンマ電圧G_ULを生成し、これをアンプBaを介して出力する。つまり、正極側ガンマ補償回路PLは、基準ガンマ電圧G_UL_RFに、帰還共通電圧Vcom_FBと基準共通電圧Vcom_RFとの差分を加算した電圧を、補償基準ガンマ電圧G_ULとして出力する。
【0063】
また、負極側ガンマ補償回路NHは、基準ガンマ電圧G_LH_RFに対して、
G_LH_RF+Vcom_FB=G_LH+Vcom_RF
を満たすような補償基準ガンマ電圧G_LHを生成し、これをアンプBbを介して出力する。つまり、負極側ガンマ補償回路NHは、基準ガンマ電圧G_LH_RFに、帰還共通電圧Vcom_FBと基準共通電圧Vcom_RFとの差分を加算した電圧を、補償基準ガンマ電圧G_LHとして出力する。
【0064】
また、負極側ガンマ補償回路NLは、基準ガンマ電圧G_LL_RFに対して、
G_LL_RF+Vcom_FB=G_LL+Vcom_RF
を満たすような補償基準ガンマ電圧G_LLを生成し、これをアンプBbを介して出力する。つまり、負極側ガンマ補償回路NLは、基準ガンマ電圧G_LL_RFに、帰還共通電圧Vcom_FBと基準共通電圧Vcom_RFとの差分を加算した電圧を、補償基準ガンマ電圧G_LLとして出力する。
【0065】
このように、ガンマ補償部1332は、表示パネル20から取り込んだ帰還共通電圧Vcom_FBと基準共通電圧Vcom_RFとの差分を、基準ガンマ電圧G_UH_RF、G_UL_RF、G_LH_RF、及びG_LL_RF各々の電圧値に加算することで、各基準ガンマ電圧の電圧値を調整する。これにより、ガンマ補償部1332は、基準ガンマ電圧G_UH_RF、G_UL_RF、G_LH_RF、及びG_LL_RFの各々に対して、共通電圧Vcomの電圧変動分を補償したものを補償基準ガンマ電圧G_UH、G_UL、G_LH、及びG_LLとして生成する。
【0066】
図6は、ガンマ補償部1332によって帰還共通電圧Vcom_FBの変動分が補償された補償基準ガンマ電圧G_UH、G_UL、G_LH及びG_LL各々の電圧値の推移を表す波形図である。尚、
図6では、1フレームを抜粋して、データドライバ13が駆動電圧G1~Gnを表示パネル20に供給するアクティブ期間AP、及び垂直ブランキング期間BP各々での各電圧の波形を表している。
【0067】
図6に示すように、ガンマ補償部1332によれば、表示パネル20の共通電極CEに生じている電圧変動を反映させた帰還共通電圧Vcom_FBの変動に拘らず、アクティブ期間AP及び垂直ブランキング期間BPに亘り、帰還共通電圧Vcom_FBと補償基準ガンマ電圧G_UHとの差は一定の電圧差Vf1となる。また、帰還共通電圧Vcom_FBと補償基準ガンマ電圧G_ULとの差は一定の電圧差Vf2となる。また、帰還共通電圧Vcom_FBと補償基準ガンマ電圧G_LHとの差は一定の電圧差Vf3となる。更に、、帰還共通電圧Vcom_FBと補償基準ガンマ電圧G_LLとの差は一定の電圧差Vf4となる。
【0068】
そして、ガンマ補償部1332は、上記したように帰還共通電圧Vcom_FBの変動分が補償された補償基準ガンマ電圧G_UH、G_UL、G_LH、及びG_LLを階調電圧生成回路1333に供給する。
【0069】
階調電圧生成回路1333は、補償基準ガンマ電圧G_UH、G_UL、G_LH及びG_LLに基づき、表示パネル20で表現し得る例えば256階調の輝度レベルに夫々対応した正極性の電圧値を有する階調電圧V0~V255、及び負極性の電圧値を有する階調電圧Y0~Y255を生成する。
【0070】
図7は、階調電圧生成回路1333の構成の一例を示す回路図である。
【0071】
図7に示すように、階調電圧生成回路1333は、ガンマアンプGA1~GA4、及びラダー抵抗LDRを含む。
【0072】
ガンマアンプGA1は、補償基準ガンマ電圧G_UHを受け、当該補償基準ガンマ電圧G_UHを例えば利得1で増幅して得た電圧をラダー抵抗LDRの一端に印加する。ガンマアンプGA4は、補償基準ガンマ電圧G_LLを受け、当該補償基準ガンマ電圧G_LLを例えば利得1で増幅して得た電圧をラダー抵抗LDRの他端に印加する。ガンマアンプGA2は、補償基準ガンマ電圧G_ULを受け、当該補償基準ガンマ電圧G_ULを例えば利得1で増幅して得た電圧を、ラダー抵抗LDRにおける中点よりも上記した一端側の抵抗接続点に印加する。ガンマアンプGA3は、補償基準ガンマ電圧G_LHを受け、当該補償基準ガンマ電圧G_LHを例えば利得1で増幅して得た電圧を、ラダー抵抗LDRにおける中点よりも上記した他端側の抵抗接続点に印加する。
【0073】
ラダー抵抗LDRは、直列接続された複数の抵抗からなる抵抗群を含み、上記した補償基準ガンマ電圧G_UH、G_UL、G_LH及びG_LLを受け、512箇所の抵抗の接続点に生じた電圧を階調電圧V0~V255及びY0~Y255として出力する。すなわち、ラダー抵抗LDRは、補償基準ガンマ電圧G_UH及びG_UL間の電圧を分圧することで正極性の階調電圧群としての階調電圧V0~V255を生成し、DA変換部132に出力する。更に、ラダー抵抗LDRは、補償基準ガンマ電圧G_LH及びG_LL間の電圧を分圧することで負極性の階調電圧群としての階調電圧Y0~Y255を生成し、DA変換部132に出力する。
【0074】
以下に、可変リフレッシュレート同期機能を備えた表示装置100による、リフレッシュレートの変化に伴い生じる表示画像の輝度変動の抑制処理について説明する。
【0075】
図8は、リフレッシュレートの変化に伴い生じる表示画像の輝度変動の形態の一例を概略的に表す波形図である。
【0076】
図8に示す一例では、先ず高周波数のリフレッシュレートでの表示駆動(高RF駆動RP1)を行い、時点t0で低周波数のリフレッシュレートでの表示駆動(低RF駆動RP2)に切り替えた場合における表示画像の輝度の変化を輝度YQとして表している。尚、
図8に示す一例では、高RF駆動RP1を行う期間、及び低RF駆動RP2を行う期間のいずれにおいても、同一輝度の画像を表示する為の駆動を行っているものとする。また、可変リフレッシュレート同期機能によると、高RF駆動RP1及び低RF駆動RP2のいずれを行う場合にも、各フレーム内でのアクティブ期間APの長さは同一であるものの、垂直ブランキング期間BPの長さがリフレッシュレートが低くなるほど長くなる。
【0077】
この際、垂直ブランキング期間BPでは、画像データ信号に基づく駆動電圧が表示パネルに印加されないので、表示パネルの共通電極に印加されていた共通電圧Vcomの電圧値が、
図8に示すように時間経過につれて徐々に低下してゆく。尚、高RF駆動RP1の実行時における垂直ブランキング期間BPよりも、低RF駆動RP2の実行時における垂直ブランキング期間BPの方が長い。よって、
図8に示すように、高RF駆動RP1時における垂直ブランキング期間BPでの共通電圧Vcomの低下量よりも、低RF駆動RP2時における垂直ブランキング期間BPでの共通電圧Vcomの低下量が大きくなる。
【0078】
従って、このような共通電圧Vcomの変動に起因して、
図8に示すように、高RF駆動RP1時において表示画像から視認される視認輝度AY1が、低RF駆動RP2に切り替わることで視認輝度AY2に遷移する。よって、これがフリッカとして視認されてしまうと考えられる。
【0079】
そこで、表示装置100では、ガンマ補償部1332を設けることで、表示パネル20の共通電極CEの電圧、つまり共通電圧Vcomの電圧変動分を補償した補償基準ガンマ電圧G_UH、G_UL、G_LH及びG_LLを生成する。
【0080】
これにより、補償基準ガンマ電圧G_UH、G_UL、G_LH及びG_LLの各々と、帰還共通電圧Vcom_FBとの差分は、
図6に示すように常に一定となる。よって、補償基準ガンマ電圧G_UH、G_UL、G_LH及びG_LLに基づいて生成される階調電圧V0~V255及びY0~Y255各々の電圧値と、帰還共通電圧Vcom_FBとの差も、画像データ信号VPDによって表される画像自体が変化しなければ、当該帰還共通電圧Vcom_FBの変動に拘わらず常に一定となる。
【0081】
図9は、ガンマ補償部1332による、リフレッシュレートの変化時における表示画像の輝度変動の抑制動作を表す波形図である。
【0082】
ガンマ補償部1332によれば、リフレッシュレートが変化したか否かに拘わらず、常時、共通電圧Vcomの電圧変動分を補償した補償基準ガンマ電圧G_UH、G_UL、G_LH及びG_LLに基づき階調電圧V0~V255及びY0~Y255の生成が為されるようになる。
【0083】
よって、
図9に示すように、高RF駆動RP1から低RF駆動RP2に切り替わるようなリフレッシュレートの変化が生じ、共通電極Vcoも、その変化時点である時点t0の前後において切替直前の視認輝度AY1が維持される。
【0084】
従って、本発明によれば、リフレッシュレートの変化を検知したとき、つまり実際にリフレッシュレートの変化が起こる
図9に示す時点t0から、1フレームの期間が経過した時点t1にてガンマ特性の調整が行われる場合に比べて迅速に視認輝度の変動を抑えることができるので、フリッカの発生を抑制することが可能となる。
【0085】
尚、上記実施例では、リフレッシュレートの変化に伴う共通電圧Vcomの変動を例にとって表示輝度の変動を抑制する動作を説明したが、例えば外来ノイズ等を受けて共通電圧Vcomが変動した場合にも同様に、表示輝度の変動を迅速に抑制することが可能である。
【0086】
また、上記実施例では、512個の階調電圧(V0~V256、Y0~Y255)を生成する為に4個の補償基準ガンマ電圧(G_UH、G_UL、G_LH、G_LL)を用いているが、補償基準ガンマ電圧及び階調電圧及びの数は、夫々4個及び256個に限定されない。
【0087】
要するに、本発明に係る表示ドライバとしては、以下の共通電圧生成部、基準ガンマ電圧生成部、ガンマ補償部、階調電圧生成部、及びDA変換部を含むものであれば良い。
【0088】
共通電圧生成部(14)は、基準共通電圧(Vcom_RF)を受け、この基準共通電圧を増幅した電圧を共通電圧(Vcom)として生成し、これを表示パネル(20)の共通電極(CE)に印加する。基準ガンマ電圧生成部(1331)は、所定のガンマ特性に沿った第1~第k(kは2以上の整数)の基準ガンマ電圧(G_UH_RF、G_UL_RF、G_LH_RF、G_LL_RF)を生成する。ガンマ補償部(1332)は、共通電極の電圧を帰還共通電圧(Vcom_FB)として表示パネルから取り込。そして、帰還共通電圧と基準共通電圧との差分に基づき第1~第kの基準ガンマ電圧各々の電圧値を調整することで、共通電圧の変動分を補償した第1~第kの補償基準ガンマ電圧(G_UH、G_UL、G_LH、G_LL)を生成する。階調電圧生成部(1333)は、第1~第kの補償基準ガンマ電圧に基づき複数の階調電圧(V0~V255、Y0~Y255)を生成する。DA変換部(132)は、映像信号に基づく表示セル(PC)の各々に対応した表示データ片毎に、複数の階調電圧のうちから表示データ片に対応した階調電圧を選択し、選択した階調電圧を駆動電圧(G1~Gn)として表示パネルに供給する。
【符号の説明】
【0089】
13 データドライバ
14 共通電圧生成部
20 表示パネル
132 DA変換部
133 階調電圧生成部
1332 ガンマ補償部