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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】観察装置および観察装置の調整方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/55 20230101AFI20241107BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20241107BHJP
   H04N 23/58 20230101ALI20241107BHJP
【FI】
H04N23/55
H04N23/51
H04N23/58
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021032144
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2022133184
(43)【公開日】2022-09-13
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】大兼政 天平
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-226185(JP,A)
【文献】特開2007-150465(JP,A)
【文献】特開2019-003064(JP,A)
【文献】特開2002-350971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/55
H04N 23/51
H04N 23/45
H04N 23/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長領域の光に対して透過性をもつ少なくとも一つの窓部を有する筐体部と、
前記筐体部の内部に設けられ、前記所定の波長領域の光による画像を撮影する第1の観察部であって、前記窓部を介して第1の方向に位置する被写体を含む前記画像を撮影する第1観察部と、
前記筐体部の内部に設けられ、前記所定の波長領域の光による画像を撮影する第2の観察部であって、前記窓部を介して第2の方向に位置する被写体を含む前記画像を撮影する第2観察部と、
前記第1観察部と前記窓部との間の前記第1の方向に沿う距離を調整可能に構成される第1距離調整機構と、
前記第2観察部と前記窓部との間の前記第2の方向に沿う距離を調整可能に構成される第2距離調整機構と、
を有する観察装置。
【請求項2】
前記第1距離調整機構および前記第2距離調整機構は、それぞれ、前記筐体部に対する前記第1観察部および前記第2観察部の位置を調整可能に構成される、請求項1に記載の観察装置。
【請求項3】
前記第1観察部の仰俯角を調整することで前記第1の方向を調整する第1角度調整機構と、
前記第2観察部の仰俯角を調整することで前記第2の方向を調整する第2角度調整機構と
をさらに備える請求項1または2に記載の観察装置。
【請求項4】
前記第1角度調整機構は、第1の傾動軸を中心に前記第1観察部を回動可能に構成され、
前記第2角度調整機構は、第2の傾動軸を中心に前記第2観察部を回動可能に構成され、
前記第1の傾動軸及び前記第2の傾動軸は、それぞれ、前記筐体部に対する位置を調整可能に構成される、請求項3に記載の観察装置。
【請求項5】
前記第1距離調整機構は、前記第1角度調整機構により前記第1観察部の仰俯角を調整したとき、前記第1観察部と前記窓部との間の前記距離の変化を補償するように、前記距離を調整するように構成される、請求項3または4に記載の観察装置。
【請求項6】
前記第1観察部および前記第2観察部は、遠赤外線カメラであり、前記窓部を加熱するためのヒータをさらに備える、請求項1から5の何れか一項に記載の観察装置。
【請求項7】
前記第1距離調整機構および前記第2距離調整機構は、それぞれ、前記筐体部に対する前記窓部の位置を調整可能に構成される、請求項1から6の何れか一項に記載の観察装置。
【請求項8】
前記第1観察部および前記第2観察部のそれぞれに対応して、異なる前記窓部を備える、請求項1から7の何れか一項に記載の観察装置。
【請求項9】
前記第1観察部に対応する前記窓部は、前記第1観察部に対向する面の法線方向が前記第1の方向に沿う方向に傾いて配置される、請求項1から8の何れか一項に記載の観察装置。
【請求項10】
前記窓部は、前記法線方向の上下方向の傾きを調整する傾き調整機構を有する、請求項9記載の観察装置。
【請求項11】
所定の波長領域の光に対して透過性をもつ少なくとも一つの窓部を有する筐体部と、
前記筐体部の内部に設けられ、前記所定の波長領域の光による画像を撮影する第1の観察部であって、前記窓部を介して第1の方向に位置する被写体を含む前記画像を撮影する第1観察部と、
前記筐体部の内部に設けられ、前記所定の波長領域の光による画像を撮影する第2の観察部であって、前記窓部を介して第2の方向に位置する被写体を含む前記画像を撮影する第2観察部と、
を備え、
前記第1観察部と前記窓部との間の前記第1の方向に沿う距離と、前記第2観察部と前記窓部との間の前記第2の方向に沿う距離とが略等距離に固定されている、観察装置。
【請求項12】
前記第1観察部は、可視光カメラであり、前記第2観察部は、遠赤外線カメラであり、前記第1観察部は前記第2観察部より大きい俯角を有するように配置される、請求項11に記載の観察装置。
【請求項13】
前記第1観察部は、前記第2観察部よりも画角が狭く、前記第1観察部は前記第2観察部より大きい俯角を有するように配置される、請求項11または12に記載の観察装置。
【請求項14】
所定の波長領域の光に対して透過性をもつ少なくとも一つの窓部を有する筐体部、当該筐体部の内部に設けられ、前記所定の波長領域の光による画像を撮影する第1の観察部であって、前記窓部を介して第1の方向に位置する被写体を含む前記画像を撮影する第1観察部、および、前記筐体部の内部に設けられ、前記所定の波長領域の光による画像を撮影する第2の観察部であって、前記窓部を介して第2の方向に位置する被写体を含む前記画像を撮影する第2観察部を含む観察装置の調整方法であって、
前記第1の方向と前記第2の方向とを異なる方向に設定し、前記第1観察部と前記窓部との間の前記第1の方向に沿う距離と、前記第2観察部と前記窓部との間の前記第2の方向に沿う距離とを、近づけるように調整する、方法。
【請求項15】
前記第1観察部と前記窓部との間の前記第1の方向に沿う距離と、前記第2観察部と前記窓部との間の前記第2の方向に沿う距離とを、略等距離となるように調整する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、観察装置および観察装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遠赤外線カメラを用いた道路監視システムが開示されている。道路監視システムのような観察装置において、異なる観察対象までの距離、および、異なる環境条件等に対応するため、カメラ等の複数の観察部が設けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-226185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の観察部を用いた観察装置では、複数の観察部を一つの筐体に収容することができる。この場合、各観察部から筐体の外部を観察するために設けられる筐体の窓と各観察部との距離とが一定でないと、窓による反射の違いの影響等により各観察部のパラメータに差が生じうる。その結果、各観察部の観察条件にばらつきが生じることが懸念される。各観察部の観察条件がばらつくことにより、取得される情報の精度にばらつきが生じることが懸念される。
【0005】
したがって、これらの点に着目してなされた本開示の目的は、複数の観察部ごとの観察条件のばらつきを抑えることができる観察装置および観察装置の調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る観察装置は、筐体部と、第1観察部と、第2観察部と、第1距離調整機構と、第2距離調整機構とを含む。筐体部は、少なくとも一つの窓部を有する。前記第1観察部は、前記窓部を介して第1の方向を観察する。前記第2観察部は、前記窓部を介して前記第1の方向と異なる第2の方向を観察する。前記第1距離調整機構は、前記第1観察部と前記窓部との間の前記第1の方向に沿う距離を調整可能に構成される。前記第2距離調整機構は、前記第2観察部と前記窓部との間の前記第2の方向に沿う距離を調整可能に構成される。
【0007】
本開示の他の一実施形態に係る観察装置は、筐体部と、第1観察部と、第2観察部とを含む。前記筐体部は、少なくとも一つの窓部を有する。前記第1観察部は、前記窓部を介して第1の方向を観察する。前記第2観察部は、前記窓部を介して前記第1の方向と異なる第2の方向を観察する。前記第1観察部と前記窓部との間の前記第1の方向に沿う距離と、前記第2観察部と前記窓部との間の前記第2の方向に沿う距離とは、略等距離に固定されている。
【0008】
本開示の一実施形態に係る観察装置の調整方法は、少なくとも一つの窓部を有する筐体部、前記窓部を介して第1の方向を観察する第1観察部、および、前記窓部を介して第2の方向を観察する第2観察部を含む観察装置の調整方法である。前記調整方法は、前記第1の方向と前記第2の方向とを異なる方向に設定し、前記第1観察部と前記窓部との間の前記第1の方向に沿う距離と、前記第2観察部と前記窓部との間の前記第2の方向に沿う距離とを、近づけるように調整する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、複数の観察部の観察部ごとの観察条件のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る観察装置の斜視図である。
図2図2は、図1の観察装置の内部構造を概略的に示す側面図である。
図3図3は、図1の各観察部の観察する方向を説明する側面図である。
図4図4は、第1観察部を支持する基本構造を説明する図である。
図5図5は、距離調整機構の第1形態について説明する図である。
図6図6は、第1観察部の一例を示す斜視図である。
図7図7は、図5の第1観察部の正面図である。
図8図8は、図5の第1観察部の側面図である。
図9図9は、距離調整機構の第2形態について説明する側面図である。
図10図10は、図9の第1観察部の底面図である。
図11図11は、距離調整機構の第3形態について説明する側面図である。
図12図12は、距離調整機構の第4形態について説明する側面図である。
図13図13は、窓部の傾き調整機構について説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明で用いられる図は模式的なものである。図面上の寸法および比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
【0012】
(観察装置の基本構成)
本開示の一実施形態に係る観察装置1は、図1に示すように、筐体部50の内部に鉛直方向に並んで配置された第1観察部10、および、第2観察部20を含む複数の観察部を有する。図1の例では、観察装置1は、第1観察部10および第2観察部20に加え、第3観察部30を含む。観察装置1は、4つ以上の観察部を有してよい。第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、それぞれ、第1窓部41、第2窓部42および第3窓部43を介して、観察装置1の外部を観察することができる。以下において、第1窓部41、第2窓部42および第3窓部43は、纏めて窓部40と記載することがある。また、第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30に対して、単一の窓部40を配置することも可能である。観察装置1は、例えば、路側に配置され、路面上の車両および歩行者等を観察するために使用される。
【0013】
第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、筐体部50の内部に固定される。一例として、第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、それぞれ、図2に示すように、筐体部50の内側面から筐体部50内側に突設された第1支持部50a、第2支持部50bおよび第3支持部50cに対して固定されてよい。第1支持部50a、第2支持部50bおよび第3支持部50cそれぞれの第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30を載置する表面は、水平に限られず傾いてよい。第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30の固定方法はこれに限られない。例えば、第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、筐体部50の内側面に直接固定されてよい。また、第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、それぞれ、第1支持部50a、第2支持部50bおよび第3支持部50cの下側に、固定されてよい。
【0014】
本願において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を次のように定義する。Y軸方向は鉛直方向である。Y軸方向は上向きを正の方向とする。例えば、第1支持部50aの第1観察部10を載置する載置面が水平の場合、Y軸方向は載置面に直交する。Z軸方向は第1観察部10の光軸O1の方向を、方位角を変えずに水平方向に向けた場合の光軸O1が向く方向である。Z軸方向は、第1観察部10からみて前方を正の方向とする。X軸方向はY軸方向およびZ軸方向に直交する方向である。X軸方向は、第1観察部10からみて右から左へ向かう方向を正の方向とする。
【0015】
本実施例では、第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、可視光による画像を撮像可能な可視光カメラ、近赤外線による画像を撮像可能な近赤外線カメラ、および、遠赤外線による画像を撮像可能な遠赤外線カメラの何れかとする。第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、全てが同じ波長領域の画像を撮像可能であってよい。第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、一部または全部が互いに異なる波長領域の画像を撮像可能であってよい。遠赤外線カメラは、物体から放射される遠赤外線を用いて撮像を行うので、太陽光が届かない夜間でも撮像可能である。遠赤外線カメラは、照明の届かない遠距離の画像を撮像するのに適している。
【0016】
第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、それぞれレンズ10a、20aおよび30a等を含む光学系と撮像素子とを含み、それぞれの観察方向に位置する被写体の像を電気信号に変換して出力することができる。観察装置1は、第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30の出力する電気信号を外部に出力する出力部を有してよい。観察装置1から出力された電気信号は、外部の画像処理装置において種々の信号処理を施されてよい。外部の画像処理装置は、観察装置1の撮像した画像から人または車両等を検出してよい。観察装置1は、当該装置の内部に画像処理部を有してよい。観察装置1は画像処理部において各観察部10、20および30から出力された電気信号に種々の処理を施した画像データを外部に出力してよい。観察装置1は、画像処理部において、画像データから人または車両等を検出してよい。観察装置1は、道路管理者のシステム、または、道路を走行する車両のシステムと通信可能に構成され、これらのシステムに対して画像データ、または、検出した人もしくは車両等のデータを送信してよい。
【0017】
第1窓部41、第2窓部42および第3窓部43は、それぞれ対応する第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30が観察可能な波長領域の光に対して透過性を有する材料で構成される。例えば、第1観察部10が可視光カメラの場合、第1窓部41には、ガラスまたは可視光に対して透明性の高いプラスチック等が使用される。例えば、第1観察部10が遠赤外線カメラの場合、第1窓部41には、ゲルマニウム、シリコン、硫化亜鉛等の遠赤外線を透過する材料が使用される。第2観察部20および第3観察部30についても同様である。
【0018】
図3に示すように、第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、窓部40を介して観察する方向の仰俯角が異なりうる。仰俯角は、水平方向に対する上下方向の角度を意味する。第1観察部10の仰俯角は、第1の方向が水平方向となす角となる。水平方向に対する下方向の角度は、俯角と呼ぶ。水平方向に対する上方向の角度は仰角と呼ぶ。
【0019】
例えば、第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、それぞれ、遠距離、中距離および近距離に位置する観察対象を観察する場合が想定される。遠距離は、例えば、100m以上の距離とすることができる。中距離は、例えば、30~100mの距離とすることができる。近距離は、例えば30m以内の距離とすることができる。遠距離、中距離および近距離の区別はこれに限られない。この場合、第1観察部10が観察する第1の方向は、第2観察部20が観察する第2の方向よりも、より水平方向に近い下向きとなりうる。言い換えると、第1観察部10は第2観察部20に対してより俯角を小さくすることができる。また、第3観察部30が観察する第3の方向は、第2観察部20が観察する第2の方向よりも、水平方向からより下向きとなりうる。言い換えると、第3観察部30は第2観察部20に対してより俯角を大きくすることができる。
【0020】
上記のように、第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30それぞれの仰俯角および画角を設定することにより、観察装置1は近距離から遠距離までの広範囲の領域を観察することができる。しかしながら、上記は一例に過ぎない。第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30の角度の関係はこれに限られない。なお、第1の方向は、第1観察部10の光軸O1の方向に一致してよい。第2の方向および第3の方向についても、それぞれの光軸O2、O3の方向に一致してよい。
【0021】
第1観察部10が遠距離を観察する場合、中距離を観察する第2観察部20よりも画角を小さくすることで、第1観察部10はより精細な画像を取得することができる。第3観察部30が近距離を観察する場合、中距離を観察する第2観察部20よりも画角を大きくすることで、第3観察部30は周辺のより広い範囲の画像を取得することができる。第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、それぞれの垂直画角θ1、θ2及びθ3の半分の大きさの俯角で配置することによって、地表面から水平方向までを含む画像を撮像することができる。
【0022】
第1観察部10を支持する支持構造の一例について図4を参照して説明する。第2観察部20および第3観察部30も、同様な支持構造により支持される。したがって、以下の説明において、第1観察部10の支持構造のみについて説明し、第2観察部20および第3観察部30の支持構造についての説明を省略する場合がある。以下の図面において、第2観察部20の支持構造及び第3観察部30の支持構造の構成要素は、それぞれ第1観察部10の支持構造の対応する構成要素にそれぞれ10および20を加えた番号で示されることがある。
【0023】
第1観察部10は、第1部材11、第2部材12、第3部材13および第4部材14を介して、筐体50の第1支持部50aに対して支持される。
【0024】
第1部材11は、第1支持部50aの表面に載置される部材である。第1部材11は、例えば板状の部材を折り曲げて形成されてよい。第1部材11には、第1支持部50aと接する平板部11fに、回動軸を挿通するための軸孔11a、および、軸孔11aの中心を中心として弧状に延びる1つ以上の長孔11bが設けられる。第1支持部50aには、回動軸となる円柱状またはピンの形態の部材が立設されるものとする。第1部材11は、軸孔11aに挿通される回動軸を中心に、Y軸回りに回動することができる。これにより、第1部材11は第1観察部10の左右方向の角度を調整することができる。第1部材11は、左右方向の角度調整をした後、第1支持部50aに設けられたネジ孔に対して、長孔11bを介してネジ留めすることによって、左右方向の角度が固定される。
【0025】
図4に示すように、第1部材11は、X軸方向の両端において、第1支持部50aに沿う方向からY軸方向に立ち上がる互いに対向する立設部11gを有する。立設部11gの互いに対向する2面の間には、第2部材12が挟持される。X軸方向の両側で、第1部材11の立設部11gと第2部材12との間には円柱状又はピン状の第1傾動軸11cがX軸方向に貫通する。また、第1部材11の2つの立設部11gには、第1傾動軸11cを中心とする円弧状の長孔11dが設けられる。さらに、第2部材12の長孔11dに対応する位置には、ネジ孔が設けられる。このネジ孔に長孔11dを介して一つ以上のネジ11eが通される。(図4では長孔11dに2つのネジが通されるが、図2等の図では1つのネジのみにより簡略化して描かれている。)このような構造により、第2部材12は、第1傾動軸11cを中心に、X軸回りに傾動することができる。言い換えると、第1部材11および第2部材12は第1観察部10の上下方向の角度、すなわち、仰俯角を調整することができる。第2部材12は、仰俯角の角度調整をした後、長孔11dを介して第1部材11に対してネジ11eをネジ留めすることによって仰俯角が固定される。第1部材11と第2部材12とは、第1角度調整機構を構成する。また、第2観察部20および第3観察部30に対する同様の機構を、それぞれ第2角度調整機構および第3角度調整機構と呼ぶ。
【0026】
図4に示すように、第2部材12は、X軸方向の両端部の間で、第3部材13と面的に接している。第2部材12と第3部材13とが接する平面は、第1観察部10の光軸O1方向に直交してよい。第2部材12と第3部材13のとの接する部分は、柱状またはピン状の第2傾動軸13aが貫通する。また、第3部材13には、第2傾動軸13aを中心とする1つ以上の円弧状の長孔13bが設けられる。さらに、第2部材12の長孔13bに対応する位置には、ネジ孔が設けられる。このような構造により、第3部材13は、第2部材12に対して第2傾動軸13aの回りに回転摺動可能である。これにより、第3部材13は、第1観察部10の光軸O1の回りに回動させ角度調整することができる。第1観察部10の光軸O1の回りの角度調整をした後、第3部材13を、長孔13bを介してネジ13cにより第2部材12にネジ留めすることによって、第1観察部10の光軸O1回りの角度が固定される。
【0027】
第3部材13は、上部においてネジ留め等の任意の方法により第1観察部10に結合している。したがって、第1観察部10は、第3部材13の姿勢の変化に伴って、姿勢を変化する。図4の例では、第3部材13には、X軸方向の両側に補強を目的とした第4部材14が、ネジ留め等の方法により結合される。第3部材13と第4部材14とは、一体として構成される。第4部材14は、第3部材13の剛性が高ければ、必ずしも必要ではない。
【0028】
以上のように、本願の第1観察部10は、筐体部50の第1支持部50aに対する第1部材11、第1部材11に対する第2部材12、および、第2部材12に対する第3部材13が、それぞれ異なる軸回りに回動して角度を調整することができる。これによって、第1観察部10は、3軸方向に角度調整が可能である。
【0029】
上記カメラを支持する支持構造は、一例である。第1観察部10の角度を調整する支持構造は、上述の機構に限られず任意の構造を有してよい。一実施形態において、第1観察部10は、3軸方向全ての回りに角度調整ができなくてよい。
【0030】
図2に示すように、第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30は、前述のように異なる仰俯角で傾けられる。図2において、角度α、βおよびγは、それぞれ、第1の方向、第2の方向および第3の方向と、各窓部41、42および43の筐体部50の内側の面とがなす角を示す。本実施例において、第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30の俯角は、それぞれ、90°-α、90°-β、90°-γである。第1~第3観察部10、20および30は、仰俯角を調整することにより、それぞれ第1~第3窓部41、42および43との間の観察方向(すなわち、第1の方向、第2の方向および第3の方向)に沿う距離D1、D2およびD3が変化する。距離D1は、第1観察装置10であるカメラのレンズ10aの中央から第1窓部41の筐体部50の内側の面までの光軸O1に沿う距離とすることができる。第2観察装置20および第3観察装置30に関する距離D2およびD3についても同様である。例えば、α>β>γの場合、距離D2は距離D1よりも長くなりうる。距離D3は距離D2よりも長くなりうる。
【0031】
距離D1、D2およびD3が異なると、前述のように、第1~第3観察部10、20および30の観察条件にばらつきが生じうる。さらに、結露対策として窓部40にヒータを配置した場合、遠赤外線カメラはヒータの熱を検知するため、観察条件に与える影響が大きくなる場合がある。そのため、温まった窓部40と各観察部10、20および30と間の距離D1、D2およびD3にバラつきがあると、撮像パラメータへの影響が更に懸念される。
【0032】
そこで、本開示の実施形態の観察装置1では、第1観察部10と第1窓部41との間の第1の方向に沿う距離を調整可能とする第1距離調整機構を設けている。第2観察部20および第3観察部30についても同様に、第2距離調整機構および第3距離調整機構が設けられている。以下において、上記基本構成に、第1~第3距離調整機構を付加した観察装置1の構成について説明する。以下において、第1観察部10の構成が、重点的に説明される。第2観察部20および第3観察部30は、第1観察部10と同様に構成される。
【0033】
(第1形態)
一実施形態において、第1距離調整機構は、筐体部50に対する第1観察部10の位置を調整可能に構成される。第1距離調整機構は、第1角度調整機構の第1傾動軸11cの位置を調整することができる。すなわち、図5に示すように、第1距離調整機構は、第1傾動軸11cを第1観察部10の観察方向またはこれに近い方向に位置調整することができる。図5では、第1観察部10の第1窓部41との水平方向の距離L1は、第2観察部20の第2窓部42との水平方向の距離L2よりも長くなるように調整される。第3観察部30の第3窓部43との水平方向の距離L3は、第2観察部20の第2窓部42との水平方向の距離L2よりも短くなるように調整される。これにより、距離D1、D2およびD3は、等距離、または、概ね等距離になるように調整することができる。なお、距離D1、D2およびD3の全てを等距離にしなくてもよい。例えば、第1観察部10、第2観察部20および第3観察部30のうち、同種の装置についてのみ、距離D1~D3の調整を行ってよい。具体的には、第1観察装置10と第2観察部20が遠赤外線カメラ、であり、第3観察部30が可視光カメラの場合、距離D1と距離D2とを等距離、又は概ね等距離とし、距離D3は距離D1及び距離D2とは異なる距離としてもよい。
【0034】
この第1距離調整機構では、図6図7および図8に示すように、上述の第1観察部10の基本構成に第5部材15が付加される。第5部材15は、少なくとも部分的に筐体部50の第1支持部50aと第1部材11との間に配置される。第5部材15は、例えば、第1支持部50aに沿う平板部15dと、平板部15dから垂直に立ち上がったX軸方向に向かい合って対抗する2つの立設部15eを有する部材である。第5部材15の2つの立設部15eは、第1部材11をX軸方向の両側から挟持することができる。
【0035】
第5部材15は、平板部15dを第1支持部50aに対して固定することができる。この場合、第1部材11は、第1支持部50aに対しては固定されない。第5部材15は、筐体部50の第1支持部50aに沿う平板部15dに、第1部材11の軸孔11aおよび長孔11bと同様の構造を有し、第1支持部50aに対して、Y軸回りの角度調整が可能に構成されてよい。
【0036】
第5部材15は、2つの立設部15eのそれぞれに第1部材11の第1傾動軸11cが貫通する長孔15aが形成される。さらに、第5部材15には、長孔15aと平行な方向に延びる長孔15bが形成される。長孔15bを通して、第1部材11に設けられたネジ孔にネジ15cが通される。第1部材11は、第1傾動軸11cおよびネジ15cが、長孔15aおよび長孔15bに沿って移動することによって、筐体部50に対する位置を調整することができる。第1部材11は、ネジ15cを締め付けることにより第5部材15に対する位置が固定される。第1部材11を筐体部50に対して変位させることにより、第1観察部10が筐体部50に対して変位する。以上のように、第1距離調整機構は、第1部材11、第5部材15、第1傾動軸11cおよびネジ15cを含んで構成される。第2観察部20および第3観察部30の支持機構にも同様に構成される第2距離調整機構および第3距離調整機構が付加される。
【0037】
長孔15aおよび15bは、Z軸方向に延びていてよい。長孔15aおよび15bは、所定の角度に水平方向から傾いていてよい。所定の角度は、第1観察部10の想定される観察方向、すなわち、第1の方向に沿う方向であってよい。長孔15aおよび15bが、第1の方向に延びていれば、第1観察部10の第1窓部41に対する距離を調整しても、光軸O1が第1窓部41と交差する位置が変化しないので、調整が容易である。
【0038】
(第2形態)
一実施形態において、図9に示すように、観察装置1は、第1観察部10を直接支持する第3部材13に対して第1観察部10を変位させることにより、筐体部50と第1観察部10との間の位置を調整する。例えば、第3部材13は、第1観察部10を光軸O1の方向、すなわち、第1の方向に沿う方向に摺動させることにより位置調整してよい。
【0039】
例えば、図10に底面図を示すように、第3部材13は、第1観察部10を支持する板状の平板部13fを有する。当該平板部13fには、第1観察部10の観察方向、すなわち、第1の方向に延びる一つ以上の長孔13dが形成される。第1観察部10の底面には、長孔13dに対応して一つ以上のネジ孔が設けられる。第3部材13の長孔13dを通して、第1観察部10のネジ孔にネジ13eを通すことにより、第1観察部10は、長孔13dに沿って第1の方向に位置を調整されることが可能になる。適宜な位置でネジ13eを締め付けることにより、第1観察部10の位置が固定される。第2形態の構成では第1観察部10を直接移動させるため、所定の角度に水平方向から傾いた長孔15aおよび15bに沿って第1観察部10が移動する第1形態に比べて光軸方向のずれが発生しにくい。以上のように、第1距離調整機構は、第1観察部10、第3部材13およびネジ13eを含んで構成される。第2観察部20および第3観察部30についても、同様に構成される第2距離調整機構および第3距離調整機構を付加することができる。これにより、距離D1、D2およびD3は、等距離、または、略等距離になるように調整することができる。
【0040】
(第3形態)
一実施形態において、図11に示すように、第1部材11は、筐体部50の第1支持部50aに対して前後方向(Z軸方向)に変位可能に構成されてよい。第1部材11を、第1支持部50aに対して変位させることにより、筐体部50と第1観察部10との間の位置を調整することができる。例えば、第1部材11は、第1支持部50aに対してZ軸方向に位置調整する機構を有してよい。例えば、第1支持部50aには、第1部材11の移動をガイドするレールが設けられてよい。例えば、第1部材11と第1支持部50aとは、一方向に摺動可能に嵌合する相補的形状を有してよい。また、例えば、第1部材11は台座に載置され、この台座が第1支持部50a上を移動可能に構成されてよい。第1部材11と第1支持部50aとは、相互の位置を固定するネジ等の固定手段を有してよい。
【0041】
第1部材11の位置を調整することにより、第1観察部10の位置を調整することが可能になる。この場合、第1距離調整機構は、第1部材11と、第1支持部50aとを含んで構成される。第2観察部20および第3観察部30についても、同様に構成される第2距離調整機構および第3距離調整機構を付加することができる。これにより、距離D1、D2およびD3は、等距離、または、略等距離になるように調整することができる。
【0042】
上記説明では、筐体部50の第1支持部50aに対して、第1部材11を水平方向であるZ軸方向に移動させるものとした。第1支持部50aの第1部材11を載置する載置面は、水平ではなく傾斜させることもできる。第1部材11の載置面の傾斜する方向は、予め想定される第1の方向に沿う方向とすることができる。これによって、第1観察部10が、第1の方向に沿う方向に位置調整されるので、距離D1の調整が容易になる。筐体部50の第2支持部50bおよび第3支持部50cについても同様である。
【0043】
(第4形態)
図12に示すように、一実施形態において、窓部40は、第1~第3窓部41、42および43の位置を調整可能に構成される窓位置調整機構45を有する。窓位置調整機構45は、第1窓部41の位置を調整可能に構成される第1窓位置調整機構45aを含んでよい。同様に、窓位置調整機構45は、第2窓部42および第3窓部43の位置を調整可能に構成される第2窓位置調整機構45bおよび第3窓位置調整機構45cを含んでよい。この場合、第1窓位置調整機構45a、第2窓位置調整機構45bおよび第3窓位置調整機構45cは、それぞれ、第1距離調整機構、第2距離調整機構および第3距離調整機構に該当する。
【0044】
第1窓位置調整機構45aは、第1窓部41を第1観察部10の前後方向、すなわち、Z軸方向に変位させる機構を有する。第1窓位置調整機構45aは、第1窓部41を前後方向に位置調整するために、種々の構造をとり得る。例えば、第1窓位置調整機構45aは、筐体部50の外側を向いた面の外周部の複数の位置をZ軸の負の方向に付勢する弾性部と、筐体部50の内側を向いた面の外周部の弾性部に対向する位置をZ軸の正の方向に押圧するネジ等の剛性の部材を含む。剛性の部材の第1窓部41と接するZ軸方向の位置を調整することにより、第1窓位置調整機構45aは、第1窓部41の位置を調整することができる。あるいは、第1窓位置調整機構45aは、第1窓部41の外周に設けられた窓枠を変位させるモーターなどの機械的な機構を含み、第1窓部41の位置をZ軸方向に調整できるように構成されてよい。第2窓位置調整機構45bおよび第3窓位置調整機構45cも、第1窓位置調整機構45aと同様に構成されてよい。以上のような構成により、距離D1、D2およびD3は、等距離、または、略等距離になるように調整することができる。
【0045】
上記それぞれの第1距離調整機構は、第1角度調整機構とは独立して、第1観察部10と第1窓部41との距離を調整することができる。しかし、第1距離調整機構は、第1角度調整機構と機械的にまたは電子的な制御により連動するように構成されてよい。第1距離調整機構は、第1角度調整機構により第1観察部10の仰俯角を調整したとき、第1観察部10と第1窓部41との間の距離D1の変化を補償するように、第1角度調整機構と連動して距離を調整するように構成されてよい。例えば、図5図8に示した第1観察部10において、第2部材12を第1部材11に対して第1傾動軸11cの回りに傾動させたとき、第1部材11は第5部材15に対して、長孔15aおよび長孔15bの延びる方向に沿って移動されるように構成されてよい。このようにすることによって、第1観察部10の傾きを調整した場合、人手による更なる調整を行わなくとも、第1観察部10と第1窓部41との距離が常に一定に維持される。第2観察部20および第3観察部30についても同様の構成により同様の効果が得られる。
【0046】
(窓部の傾き)
図13に示すように、一実施形態において、第1窓部41、第2窓部42および第3窓部43は、傾いて配置されてよい。第1窓部41、第2窓部42および第3窓部43の傾きは、同じ角度であっても異なる角度であってもよい。第1観察部10が観察する第1の方向が予め想定されている場合、第1窓部41は、第1観察部10に対向する面の法線方向が第1の方向に沿う方向に傾いて配置されてよい。このようにすることによって、第1観察部10の観察方向を予め定めた第1の方向から傾けて角度を調整した場合に、第1観察部10と第1窓部41との間の第1方向に沿う距離D1の変化が小さくなる。さらに、第1窓部41の筐体部50の内側を向いた面と第1観察部10の観察方向とが、垂直に近い角度で交差するので、第1窓部41の反射による観察性能の劣化を低減することができる。
【0047】
さらに、窓部40は、第1~第3窓部41、42および43の上下方向の傾きを調整する傾き調整機構を有することができる。傾き調整機構は、それぞれ第1窓部41、第2窓部42および第3窓部43の傾きを調整する、第1傾き調整機構46a、第2傾き調整機構46bおよび第3傾き調整機構46cを含んでよい。第1傾き調整機構46aを有することにより、観察装置1は、第1観察部10の観察する第1方向を、第1窓部41の筐体部50の内側を向いた面に垂直にするように、または、垂直に近づけるように、第1窓部42の角度を調整することができる。第2窓部42および第3窓部43についても同様である。
【0048】
以上説明したように、本開示の観察装置1によれば、各観察部10、20および30から対応する窓部40までの距離D1、D2およびD3を略等しい距離に調整することができるので、観察部10、20および30ごとの観察条件のばらつきを抑えることができる。また、観察装置1が窓部40を加熱するためのヒータを備え、第1~第3観察部10、20および30が遠赤外線カメラを含む場合であっても、距離D1、D2およびD3の差による観察条件のばらつきがさらに抑えられる。
【0049】
また、本開示の観察装置1によれば、種々のカメラをそれぞれの観察部10、20および30として配置して、対象を観察する仰俯角、および、窓部40と各観察部10、20および30との間の距離D1、D2およびD3の調整をすることが容易になる。例えば、第1観察部10および第2観察部20には遠赤外線カメラを使用し、遠距離および中距離を観察し、第3観察部30には可視光カメラを採用し近距離を観察することができる。本開示の観察装置1では、何れかの観察部10、20または30の向きに違いが生じても、窓部40と各観察部10、20および30間の距離D1、D2およびD3を一定としながら、容易に角度調整を行うことができる。
【0050】
上記実施形態では、第1~第3距離調整機構を用いて、第1~第3観察部10、20および30と第1~第3窓部41、42および43とのそれぞれの間の距離D1、D2およびD3を調整可能な観察装置1について説明した。本開示は、第1~第3観察部10、20および30の観察する第1の方向、第2の方向および第3の方向が互いに異なる場合に、距離D1、D2およびD3を略等距離に調整して固定した観察装置1についても適用できる。この場合、観察装置1は、第1~第3距離調整機構を含まなくてもよい。また、第1~第3距離調整機構は、接着等により固定され更なる調整ができない状態であってもよい。このように構成される観察装置1においても、第1~第3観察部10、20および30ごとの観察条件のばらつきを抑えることができるという本開示の効果を得ることができる。
【0051】
また、本開示は上記構成を有する観察装置1の調整方法を含む。この調整方法は、まず、それぞれ第1~第3観察部10、20および30の観察する方向である第1の方向、第2の方向および第3の方向を、異なる方向に設定することを含む。次に、この調整方法は、第1~第3観察部10、20および30と、第1~第3窓部41、42および43とのそれぞれの間の距離D1、D2およびD3を、近づけるように調整することを含む。これにより、第1~第3観察部10、20および30ごとの観察条件のばらつきを抑えることができる。
【0052】
上述の実施形態は代表的な例として説明した。本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。
【0053】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1観察部は、第2観察部と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【0054】
本開示において、X軸、Y軸、及びZ軸は、説明の便宜上設けられたものであり、互いに入れ替えられてよい。本開示に係る構成は、X軸、Y軸、及びZ軸によって構成される直交座標系を用いて説明されてきた。本開示に係る各構成の位置関係は、直交関係にあると限定されるものではない。
【0055】
上記実施形態では、それぞれ互いに構成の異なる距離調整機構を有する複数の観察装置について説明した。これらに加えて、同一の観察装置が複数の距離調整機構を有することも可能である。観察装置は、第1-3形態の観察部の位置を調整する距離調整機構、および、第4形態の窓部の位置を調整する距離調整機構を同時に備えることができる。さらに、何れの観察装置も、図13で示した窓部を傾ける構成と組み合わせることができる。例えば、観察装置は、各観察部が角度調整機構の傾動軸の位置を調整可能であり、且つ、各窓部の位置を調整可能に構成することができる。
【0056】
また、上記実施形態では、第1~第3観察部をカメラとして説明したが、第1~第3観察部は、他の種類の観察装置を含んでよい。例えば、第1~第3観察部は、赤外線または電磁波を走査して対象物を検出するレーダ等であってよい。
【符号の説明】
【0057】
1 観察装置
10 第1観察部
10a レンズ
11 第1部材
11c 第1傾動軸
12 第2部材
13 第3部材
13a 第2傾動軸
14 第4部材
15 第5部材
20 第2観察部
21 第1部材
25 第5部材
30 第3観察部
31 第1部材
35 第5部材
40 窓部
41 第1窓部
42 第2窓部
43 第3窓部
45 窓位置調整機構
45a 第1窓位置調整機構
45b 第2窓位置調整機構
45c 第3窓位置調整機構
46a 第1傾き調整機構
46b 第2傾き調整機構
46c 第3傾き調整機構
50 筐体部
50a 第1支持部
50b 第2支持部
50c 第3支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13