IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 理想科学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-媒体供給機構 図1
  • 特許-媒体供給機構 図2
  • 特許-媒体供給機構 図3
  • 特許-媒体供給機構 図4
  • 特許-媒体供給機構 図5
  • 特許-媒体供給機構 図6
  • 特許-媒体供給機構 図7
  • 特許-媒体供給機構 図8
  • 特許-媒体供給機構 図9
  • 特許-媒体供給機構 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】媒体供給機構
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/44 20060101AFI20241107BHJP
   B65H 7/20 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
B65H3/44 340A
B65H7/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021049013
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147667
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】宮地 亮介
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-3741(JP,A)
【文献】特開平4-179643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/44
B65H 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を供給する複数の供給部と、
前記複数の供給部に連結された、経路長が異なる複数の個別搬送路と、
前記複数の個別搬送路において前記媒体を搬送する複数の個別搬送部と、
前記複数の個別搬送路が合流した合流搬送路と、
前記合流搬送路において前記媒体を搬送する合流搬送部と、
前記媒体を前記合流搬送路における基準到達位置に基準到達時間に到達させるように前記複数の供給部に前記媒体を供給させ、前記複数の個別搬送部及び前記合流搬送部を制御する制御部とを備え、
前記複数の個別搬送路は、第1個別搬送路と、当該第1個別搬送路よりも経路長が短い第2個別搬送路とを含み、
前記複数の媒体供給部は、前記第1個別搬送路に前記媒体を供給する第1供給部と、前記第2個別搬送路に前記媒体を供給する第2供給部とを含み、
前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第1供給部の前記媒体の供給開始時間が前記第2供給部の前記媒体の供給開始時間よりも早くなる場合に、前記第1供給部から供給される前記媒体の前記基準到達位置に到達するまでの搬送速度を速くすること、及び、前記第2供給部から供給される前記媒体の前記基準到達位置に到達するまでの搬送速度を遅くすること、のうち少なくとも一方を行う供給順調整制御によって、前記第1供給部の前記供給開始時間を前記第2供給部の前記供給開始時間よりも遅くする
ことを特徴とする媒体供給機構。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第2供給部の前記供給開始時間から、前記媒体を供給する供給部を前記第2供給部から前記第1供給部に切り替えるための切り替え時間分遅れた時間よりも前記第1供給部の前記供給開始時間が早くなる場合に、前記供給順調整制御によって、前記第1供給部の前記供給開始時間を前記第2供給部の前記供給開始時間よりも前記切り替え時間分以上遅くする
ことを特徴とする請求項1記載の媒体供給機構。
【請求項3】
前記第2供給部から供給された前記媒体が前記第2個別搬送路に進入したことを検知する進入検知センサを更に備え、
前記切り替え時間は、前記第2供給部が前記媒体の供給を開始してから前記進入検知センサによって前記媒体が検知されるまでの進入予定時間を含む
ことを特徴とする請求項2記載の媒体供給機構。
【請求項4】
前記複数の個別搬送路に配置され、前記媒体の通過を検知する複数の通過検知センサを更に備え、
前記制御部は、前記複数の通過検知センサによって検知される前記媒体の通過時間と基準通過時間とのズレに基づいて、前記第1供給部及び前記第2供給部から供給される前記媒体の前記基準到達位置に到達するまでの搬送速度を調整するズレ調整制御を更に行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の媒体供給機構。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第1供給部の前記供給開始時間が前記第2供給部の前記供給開始時間よりも早くなる場合に、前記供給順調整制御によって、前記第1供給部の前記供給開始時間を、前記第2供給部の前記供給開始時間よりも遅く且つ前記第2供給部の前記供給開始時間に近づける
ことを特徴とする請求項1記載の媒体供給機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体供給機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給紙動作を行う給紙トレイが複数の給紙トレイからプリント1ページごとに交互に選択されて変わる連続プリント時に、前に給紙された用紙に後に給紙される用紙が追い付かないように、給紙開始のタイミングを変えるように制御する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-2685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷装置等の供給先装置に用紙等の媒体を供給する媒体供給機構であって、媒体を供給する複数の供給部と、これらの複数の供給部に連結された複数の個別搬送路と、これらの複数の個別搬送路が合流した合流搬送路とを備える媒体供給機構について考える。
【0005】
このような媒体供給機構において、複数の個別搬送路の経路長が異なると、媒体を供給する供給部を切り替える場合に、供給部における媒体の供給開始時間の順序を、合流搬送路における基準到達位置(例えばレジストセンサ)に到達する媒体の順序(例えば印刷順序)とは異なる順序に入れ替える必要が生じる場合がある。この供給開始時間の順序の入れ替えは、複数の個別搬送路の経路長の差が大きいほど、或いは、媒体の搬送方向における長さである媒体長が短いほど生じやすい。
【0006】
供給開始時間の順序が基準到達位置に到達する媒体の順序とは異なる順序に入れ替わると、ジャムが生じた場合の再開動作などの制御が複雑になるばかりか、そもそも順序入れ替えのための制御が複雑になる。
【0007】
なお、複数の個別搬送路の経路長が異なる場合でも、各個別搬送路の搬送時間の差を一定にするように各個別搬送路において経路長が長いほど搬送速度を速くすることも可能ではある。しかしながら、この場合、経路長の差が大きくなるほど搬送速度を速めることになるため、高性能なモータが必要となってコスト上昇を招いたり、制御が複雑化したりする。
【0008】
本発明の目的は、経路長が異なる複数の個別搬送路に連結された複数の供給部の供給開始時間の順序を、合流搬送路における基準到達位置に到達する媒体の順序と簡単な制御で一致させることができる媒体供給機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、媒体供給機構は、媒体を供給する複数の供給部と、前記複数の供給部に連結された、経路長が異なる複数の個別搬送路と、前記複数の個別搬送路において前記媒体を搬送する複数の個別搬送部と、前記複数の個別搬送路が合流した合流搬送路と、前記合流搬送路において前記媒体を搬送する合流搬送部と、前記媒体を前記合流搬送路における基準到達位置に基準到達時間に到達させるように前記複数の供給部に前記媒体を供給させ、前記複数の個別搬送部及び前記合流搬送部を制御する制御部とを備え、前記複数の個別搬送路は、第1個別搬送路と、当該第1個別搬送路よりも経路長が短い第2個別搬送路とを含み、前記複数の媒体供給部は、前記第1個別搬送路に前記媒体を供給する第1供給部と、前記第2個別搬送路に前記媒体を供給する第2供給部とを含み、前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第1供給部の前記媒体の供給開始時間が前記第2供給部の前記媒体の供給開始時間よりも早くなる場合に、前記第1供給部から供給される前記媒体の前記基準到達位置に到達するまでの搬送速度を速くすること、及び、前記第2供給部から供給される前記媒体の前記基準到達位置に到達するまでの搬送速度を遅くすること、のうち少なくとも一方を行う供給順調整制御によって、前記第1供給部の前記供給開始時間を前記第2供給部の前記供給開始時間よりも遅くする。
【発明の効果】
【0010】
前記態様によれば、経路長が異なる複数の個別搬送路に連結された複数の供給部の供給開始時間の順序を、合流搬送路における基準到達位置に到達する媒体の順序と簡単な制御で一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施の形態における印刷システムの内部構成を示す図である。
図2】一実施の形態における媒体供給装置及び印刷装置の制御構成を示す図である。
図3】比較例における第1供給部及び第2供給部から供給される媒体の搬送時間を表す図である。
図4】比較例における第1供給部から供給される3枚目の媒体の供給開始時間を遅くした場合の搬送時間を表す図である。
図5】一実施の形態における第1供給部から供給される3枚目の媒体の搬送速度を速くした場合の搬送時間を表す図である。
図6】一実施の形態における第2供給部から供給される2枚目の媒体の搬送速度を遅くした場合の搬送時間を表す図である。
図7】一実施の形態における、第1供給部から供給される3枚目の媒体の搬送速度を速くし、且つ、第2供給部から供給される2枚目の媒体の搬送速度を遅くした場合の搬送時間を表す図である。
図8】一実施の形態における第1供給部から供給される媒体の搬送速度を速くした場合の搬送速度と経過時間との関係を示す図である。
図9】一実施の形態における、第1供給部から供給される媒体の搬送速度を速くし、且つ、ズレ調整制御を行う場合の搬送速度と経過時間との関係を示す図である。
図10】一実施の形態における、第1供給部から供給される媒体の搬送速度を速くし、且つ、ズレ調整制御及びフィードバック制御を行う場合の搬送速度と経過時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係る媒体供給機構について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、印刷システム100の内部構成を示す図である。
【0014】
図2は、媒体供給装置1及び印刷装置101の制御構成を示す図である。
【0015】
なお、図1に示す前後、上下、及び左右の各方向は、説明の便宜上の方向にすぎないが、例えば、前後方向及び左右方向が水平方向であり、上下方向が鉛直方向である。
【0016】
図1に示す印刷システム100は、媒体供給装置1と印刷装置101とを備える。詳しくは後述するが、本実施の形態における媒体供給機構は、媒体供給装置1と、印刷装置101のレジストローラ対131までの搬送経路の構成(受け入れローラ対132、レジストセンサS10、及び合流搬送路P3)と、印刷装置101の制御部151とを備える。
【0017】
媒体供給装置1は、媒体Mの供給先の一例である印刷装置101のレジストローラ対131に媒体Mを供給する。なお、媒体Mの供給先装置としては、印刷装置101に限られず、搬送装置、後処理装置などの他の装置であってもよい。また、媒体供給装置1は、印刷装置101等の供給先装置に一体に備えられていてもよい。また、媒体Mとしては、例えば用紙(枚葉紙)であるが、フィルム等の他のシート状の媒体などであってもよい。
【0018】
図1に示すように、媒体供給装置1は、第1供給部11と、第2供給部12と、第1個別搬送路P1と、第2個別搬送路P2と、合流搬送路P3と、第1~第9搬送ローラ対21~29と、第1~第4搬送駆動部D1~D4と、第1入口通過検知センサS1と、第1出口通過検知センサS2と、第2入口通過検知センサS3と、第2出口通過検知センサS4とを備える。また、図2に示すように、媒体供給装置1は、制御部31と、記憶部32と、インターフェース部33とを更に備える。
【0019】
媒体供給装置1は、上段1aと下段1bとに分かれており、第1供給部11が上段1aに配置され、第2供給部12が下段1bに配置されている。このように、第1供給部11及び第2供給部12は、上下に並んで配置されている。第1供給部11及び第2供給部12は、媒体Mを供給する複数の供給部の一例である。この複数の供給部としては、3つ以上の供給部であってもよい。また、複数の供給部が並べられる方向は、前後方向であっても左右方向であってもよく、特に制限されない。
【0020】
第1供給部11及び第2供給部12のそれぞれは、積載台11a,12aと、吸着搬送部11b,12bとを有する。
【0021】
積載台11a,12aには、複数枚の媒体Mが積載される。第1供給部11の積載台11aと第2供給部12の積載台12aとには、互いに異なる種類(サイズ、材質、色など)の媒体Mが積載される場合がある。この場合には、印刷対象の媒体Mの種類が変更されるときに、媒体Mを供給する供給部が第1供給部11と第2供給部12とで切り替えられる。
【0022】
吸着搬送部11b,12bは、例えば、2つのプーリと、これらのプーリに掛け渡されたベルトとを有し、エア吸引によってベルトに吸着された媒体Mを1枚ずつ繰り出す。吸着搬送部11b,12bは、第1供給部11及び第2供給部12の媒体Mを1枚ずつ繰り出す繰り出し部の一例である。
【0023】
なお、図示はしないが、第1供給部11及び第2供給部12は、積載台11a,12aを上下動させるモータ(アクチュエータの一例)等の積載台昇降駆動部や、吸着搬送部11b,12bの2つのプーリのうちの一方である駆動プーリを回転させるモータ(アクチュエータの一例)等の繰り出し駆動部を有する。
【0024】
また、第1供給部11及び第2供給部12には、積載台11a,12aに積載された最上位の媒体Mを含む複数枚の媒体Mを浮上させる浮上エアを吹き出す浮上エア吹き出し機構や、最上位の媒体Mと下位の媒体Mとを分離させる分離エアを吹き出す分離エア吹き出し機構が配置されているとよい。
【0025】
第1個別搬送路P1は、第1供給部11に連結されている。第2個別搬送路P2は、第2供給部12に連結されている。合流搬送路P3は、第1個別搬送路P1と第2個別搬送路P2とが合流した搬送路であり、印刷装置101のレジストローラ対131まで延びる。なお、第1個別搬送路P1及び第2個別搬送路P2は、複数の供給部に連結された、経路長が異なる複数の個別搬送路の一例である。
【0026】
第1個別搬送路P1は、大部分が媒体供給装置1の上段1aに配置され、第2個別搬送路P2は、媒体供給装置1の下段1bに配置されている。第1個別搬送路P1は、下段1bに配置された合流搬送路P3において第2個別搬送路P2と合流する。なお、第2個別搬送路P2は、第1個別搬送路P1よりも経路長(搬送経路における長さ)が短い(例えば半分以下)。
【0027】
第1~第9搬送ローラ対21~29のそれぞれは、互いに対向して配置された駆動ローラ及び従動ローラを有し、媒体Mをニップしながら搬送する。
【0028】
第1~第5搬送ローラ対21~25は、媒体供給装置1の上段1aの第1個別搬送路P1において媒体Mを搬送する。第6及び第7搬送ローラ対26,27は、媒体供給装置1の下段1bの第2個別搬送路P2において媒体Mを搬送する。第8及び第9搬送ローラ対28,29は、媒体供給装置1の下段1bの合流搬送路P3において媒体Mを搬送する。また、後述する印刷装置101の受け入れローラ対132は、印刷装置101の合流搬送路P3において媒体Mを搬送する。なお、第1~第5搬送ローラ対21~25は、第1個別搬送路P1において媒体Mを搬送する第1個別搬送部の一例であり、第6及び第7搬送ローラ対26,27は、第2個別搬送路P2において媒体Mを搬送する第2個別搬送部の一例である。また、第8及び第9搬送ローラ対28,29並びに受け入れローラ対132は、合流搬送路P3において媒体Mを搬送する合流搬送部の一例である。
【0029】
第1~第4搬送駆動部D1~D4は、第1~第9搬送ローラ対21~29の駆動ローラを回転させるモータ(アクチュエータの一例)である。第1搬送駆動部D1は、第1及び第2搬送ローラ対21,22の駆動ローラを回転させる。第2搬送駆動部D2は、第3~第5搬送ローラ対23~25の駆動ローラを回転させる。第3搬送駆動部D3は、第6及び第7搬送ローラ対26,27の駆動ローラを回転させる。第4搬送駆動部D4は、第8及び第9搬送ローラ対28,29の駆動ローラを回転させる。第1及び第2搬送駆動部D1,D2は、第1~第5搬送ローラ対21~25(第1個別搬送部の一例)を駆動する第1個別搬送駆動部の一例であり、第3搬送駆動部D3は、第6及び第7搬送ローラ対26,27(第2個別搬送部の一例)を駆動する第2個別搬送駆動部の一例である。第4搬送駆動部D4及び受け入れローラ対132を駆動する図示しない搬送駆動部は、第8及び第9搬送ローラ対28,29並びに受け入れローラ対132(合流搬送部の一例)を駆動する合流搬送駆動部の一例である。
【0030】
第1入口通過検知センサS1、第1出口通過検知センサS2、第2入口通過検知センサS3、及び第2出口通過検知センサS4は、媒体Mの通過を検知する例えば反射型又は透過型の光電センサである。
【0031】
第1入口通過検知センサS1は、第1搬送ローラ対21の搬送方向における下流側において第1搬送ローラ対21に隣接して配置されている。第1出口通過検知センサS2は、第5搬送ローラ対25の搬送方向における下流側において第5搬送ローラ対25に隣接して配置されている。これにより、第1入口通過検知センサS1は、第1個別搬送路P1の入口近傍において媒体Mの通過を検知し、第1出口通過検知センサS2は、第1個別搬送路P1の出口近傍において媒体Mの通過を検知する。
【0032】
第2入口通過検知センサS3は、第6搬送ローラ対26の搬送方向における下流側において第6搬送ローラ対26に隣接して配置されている。第2出口通過検知センサS4は、第9搬送ローラ対29の搬送方向における下流側において第9搬送ローラ対29に隣接して配置されている。これにより、第2入口通過検知センサS3は、第2個別搬送路P2の入口近傍において媒体Mの通過を検知し、第2出口通過検知センサS4は、合流搬送路P3のうち媒体供給装置1の出口近傍において媒体Mの通過を検知する。
【0033】
なお、第1入口通過検知センサS1、第1出口通過検知センサS2、及び第2入口通過検知センサS3は、複数の個別搬送路(第1個別搬送路P1及び第2個別搬送路P2)に配置され、到達検知センサ(後述するレジストセンサS10)に到達する前の媒体Mの通過を検知する複数の通過検知センサの一例である。また、第2入口通過検知センサS3は、第2供給部12から供給された媒体Mが第2個別搬送路P2に進入したことを検知する進入検知センサの一例でもある。この進入検知センサは、第2個別搬送路P2における検知位置が特に制限されないため、第2出口通過検知センサS4であってもよいが、媒体Mに空送が生じているか否かを判定するために用いられるため、第2供給部12の近くに配置されていることが望ましい。
【0034】
図2に示す制御部31は、媒体供給装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有し、媒体供給装置1の各部を制御する。例えば、制御部31は、後述するインターフェース部33が印刷装置101のインターフェース部153(制御部151)から受ける媒体Mの供給開始信号に基づいて、第1供給部11、第2供給部12、及び第1~第4搬送駆動部D1~D4を制御する。なお、第1供給部11及び第2供給部12の制御は、印刷装置101からの供給開始信号を、第1供給部11及び第2供給部12のそれぞれに配置された制御部が受ける場合には、これらの制御部によって行われてもよい。また、媒体供給装置1が印刷装置101などの供給先装置に一体に備えられる場合などには、供給先装置の制御部(例えば、後述する印刷装置101の制御部151)が制御部31として機能してもよい。
【0035】
記憶部32は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する。なお、媒体供給装置1が印刷装置101などの供給先装置に一体に備えられる場合などには、供給先装置の記憶部(例えば、後述する印刷装置101の記憶部152)が記憶部32として機能してもよい。
【0036】
インターフェース部33は、印刷装置101等の外部機器との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部33は、印刷装置101のインターフェース部153から、媒体Mの供給開始信号などの情報を受け、制御部31は、これらの情報に基づき、媒体供給装置1の各部の動作を制御する。
【0037】
次に、印刷装置101について説明する。
【0038】
図1及び図2に示すように、印刷装置101は、印刷部110と、吸着搬送部120と、搬送部130と、レジストセンサS10と、供給先搬送路P11と、循環反転搬送路P12と、反転部140と、制御部151と、記憶部152と、インターフェース部153とを備える。なお、図1には、合流搬送路P3及び供給先搬送路P11を実線で示し、循環反転搬送路P12を破線で示す。
【0039】
印刷部110は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、印刷部110の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。
【0040】
図1に示すように、吸着搬送部120は、印刷部110に対向するように配置されている。吸着搬送部120は、媒体Mを吸着しながら、搬送ベルトによって媒体Mを搬送する。
【0041】
搬送部130は、印刷部110に向けて搬送される媒体Mが突き当てられることで媒体Mの斜行を補正するレジストローラ対131と、媒体供給装置1から続く合流搬送路P3において媒体Mを搬送する受け入れローラ対132と、供給先搬送路P11又は循環反転搬送路P12において媒体Mを搬送する複数の搬送ローラ対133とを有する。レジストローラ対131、受け入れローラ対132、及び複数の搬送ローラ対133は、媒体Mをニップしながら搬送する。
【0042】
レジストセンサS10は、レジストローラ対131の搬送方向における上流側の合流搬送路P3においてレジストローラ対131の近傍に配置されている。レジストセンサS10は、合流搬送路P3に配置され、媒体Mの到達を検知する到達検知センサの一例である。なお、上述のように、本実施の形態における媒体供給機構は、媒体供給装置1と、印刷装置101のうちレジストローラ対131までの搬送経路の構成(受け入れローラ対132、レジストセンサS10、及び合流搬送路P3)及び制御部151とを備えるため、受け入れローラ対132及びレジストセンサS10は、媒体供給機構の一部といえる。
【0043】
ところで、媒体Mが突き当てられることで媒体Mの斜行を補正するレジストローラ対131には、媒体Mを検知するセンサが設けられていない。そのため、レジストセンサS10の検知結果に基づいて媒体Mがレジストローラ対131に到達したか否かを判別するとよい。そのため、レジストセンサS10は、合流搬送路P3における基準到達位置の一例として用いられ、所定間隔の基準到達時間に媒体Mが到達する。この基準到達時間は、誤差範囲を含む幅のある時間であってもよい。また、基準到達時間は、例えば、媒体Mのサイズや印刷内容に対応する印刷部110の印刷時間、連続的に搬送される媒体M間の隙間などに基づいて、媒体Mごとに設定されてもよい。媒体MがレジストセンサS10に基準到達時間よりも遅れて到達することは、ジャムの判断材料になるとともに、印刷部110による印刷開始時間の遅れやレジストローラ対131による斜行補正の精度のばらつきなどを生じさせる。なお、基準到達位置は、例えば、合流搬送路P3に配置された上述の第2出口通過検知センサS4などのレジストセンサS10以外の任意の位置に設定することが可能である。
【0044】
供給先搬送路P11は、媒体供給装置1から続く合流搬送路P3に連結され、レジストローラ対131から搬送方向における下流側に延びている。図1に示す印刷システム100において、印刷装置101の搬送方向における下流側に他の印刷装置や媒体排出装置が配置される場合には、これらの装置の搬送路に供給先搬送路P11が連結される。
【0045】
循環反転搬送路P12には、印刷部110によって片面の印刷が行われた媒体Mに対して反対側の面にも印刷が行われる場合などに媒体Mが搬送される。
【0046】
反転部140は、循環反転搬送路P12に搬送された媒体Mの表裏を反転させる反転経路やスイッチバックローラ対などを有する。
【0047】
図2に示す制御部151は、印刷装置101全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU)を有し、印刷装置101の各部を制御する。詳しくは後述するが、制御部151は、媒体Mをレジストローラ対131に基準到達時間に到達させるように、例えば、供給開始信号を媒体供給装置1に送ることによって、第1供給部11及び第2供給部12に媒体Mを供給させる。
【0048】
記憶部152は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAMなどのメモリを有する。
【0049】
インターフェース部153は、媒体供給装置1や、印刷データを送信するユーザ端末等の外部機器との間で、各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部153は、上述のように、媒体Mの供給開始信号などの情報を媒体供給装置1のインターフェース部33に送る。
【0050】
以下、媒体供給装置1の動作について上述の説明と重複する事項については適宜省略しながら説明する。
【0051】
まず、図2に示す制御部31は、インターフェース部33が受けた印刷装置101(インターフェース部153)からの媒体Mの供給開始信号に基づいて、図1に示す第1供給部11の媒体Mと第2供給部12の媒体Mとを切り替えながら、或いは、第1供給部11又は第2供給部12のみの媒体Mを供給するように第1供給部11及び第2供給部12を制御する。或いは、上述のとおり、第1供給部11及び第2供給部12のそれぞれに配置された制御部が印刷装置101から供給開始信号を受ける場合には、第1供給部11及び第2供給部12の制御部によって第1供給部11及び第2供給部12の制御が行われてもよい。
【0052】
制御部31は、第1供給部11から供給された媒体Mを第1個別搬送路P1において搬送するように第1搬送駆動部D1及び第2搬送駆動部D2を用いて第1~第5搬送ローラ対21~25を制御する。媒体Mは、第1個別搬送路P1において搬送される際には、第1入口通過検知センサS1及び第1出口通過検知センサS2によって通過を検知される。
【0053】
また、制御部31は、第2供給部12から供給された媒体Mを第2個別搬送路P2において搬送するように第3搬送駆動部D3を用いて第6及び第7搬送ローラ対26,27を制御する。媒体Mは、第2個別搬送路P2において搬送される際には、第2入口通過検知センサS3によって通過を検知される。
【0054】
そして、制御部31は、第1個別搬送路P1又は第2個別搬送路P2から搬送されてくる媒体Mを合流搬送路P3において搬送するように第4搬送駆動部D4を用いて第8及び第9搬送ローラ対28,29を制御する。媒体Mは、合流搬送路P3において搬送される際には、第2出口通過検知センサS4によって通過を検知される。
【0055】
これにより、媒体Mは、媒体供給装置1の合流搬送路P3に連結された印刷装置101の合流搬送路P3に供給され、レジストローラ対131に突き当てられて斜行が補正された後、印刷部110によって印刷が行われる。媒体Mは、印刷装置101の合流搬送路P3において搬送される際には、レジストセンサS10によって通過(到達)を検知される。
【0056】
次に、印刷装置101の制御部151による供給開始信号を用いた第1供給部11及び第2供給部12の制御について説明する。
【0057】
図3は、比較例における第1供給部11及び第2供給部12から供給される媒体Mの搬送時間を表す図である。
【0058】
図3に示すように、第1供給部11から供給される1枚目の媒体M1、第2供給部12から供給される2枚目の媒体M2、第1供給部11から供給される3枚目の媒体M3、第2供給部12から供給される4枚目の媒体M4の順に、媒体MをレジストセンサS10(図3における太線及び細線の右端)に所定の到達間隔in(基準到達時間の一例)で到達させる場合について考える。上述のように、この到達間隔inにより決定される基準到達時間は、媒体Mのサイズ、印刷内容(印刷部110における印刷時間)などに応じて、1枚の媒体Mごとに或いは供給部(第1供給部11又は第2供給部12)ごとに変動し得る。
【0059】
1~4枚目の媒体M1~M4をレジストセンサS10に所定の到達間隔inで到達させる場合には、特に、第1個別搬送路P1の経路長が第2個別搬送路P2の経路長よりも例えば2倍以上長いときや、媒体Mの搬送方向における長さ(媒体長)が短いときに、図3に示すように、2枚目の媒体M2の供給開始時間t21が3枚目の媒体M3の供給開始時間t12よりも遅くなりやすい。このように到達順と供給開始順との相違があると、印刷装置101の制御部151は、供給開始信号を送る供給開始順を到達順ではない順番に入れ替える必要が生じる。
【0060】
図4は、比較例における第1供給部11から供給される3枚目の媒体M3の供給開始時間を遅くした場合の搬送時間を表す図である。
【0061】
上述の到達順と供給開始順との相違を解消するためには、図4に示すように、制御部151が、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を2枚目の供給開始時間t21よりも遅くするように、媒体供給装置1に供給開始信号を送ることによって第1供給部11を制御することが考えられる。これにより、制御部151は、供給開始信号を送る順番の入れ替えを回避することができる。
【0062】
しかしながら、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を遅らせることによって、2枚目の媒体M2と3枚目の媒体M3との間のレジストセンサS10への到達間隔inが延伸到達間隔in-eに延び、その後に供給される媒体M(4枚目の媒体M4等)の基準到達時間が遅くなることになる。これにより、所定時間当たりの媒体Mの供給枚数(生産性)が減る。
【0063】
そこで、このような場合には、第1供給部11から供給される3枚目の媒体M3の搬送速度を速くすること、及び、第2供給部12から供給される2枚目の媒体M2の搬送速度を遅くすること、のうち少なくとも一方を行う供給順調整制御によって、第1供給部11の供給開始時間t12を第2供給部12の供給開始時間t21よりも遅くするとよい。
【0064】
図5は、一実施の形態における第1供給部11から供給される3枚目の媒体M3の搬送速度を速くした場合の搬送時間を表す図である。
【0065】
図5に示すように、制御部151は、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を2枚目の供給開始時間t21よりも遅くしても、3枚目の媒体M3の搬送速度を速くすることによって、到達間隔inを一定に保っている。
【0066】
換言すると、制御部151は、3枚目の媒体M3の搬送時間が、2枚目の媒体M2の搬送時間と到達間隔in(2枚目の媒体Mと3枚目の媒体Mとの間)との和よりも長くなる場合に、3枚目の媒体M3の搬送速度を速くすることによって、3枚目の媒体M3の搬送時間が2枚目の媒体M2の搬送時間と到達間隔inとの和未満となるようにしている。
【0067】
ここで、例えば、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12が2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも一瞬遅くても、ほぼ同時であれば、媒体供給装置1が印刷装置101の制御部151からの供給開始信号を識別することができなかったり、或いは、制御部151が供給開始信号を連続的に送ることができなかったりする場合が生じ得る。このような通信上の制約は、印刷装置101に接続された1本の信号線で第1供給部11及び第2供給部12の供給開始信号が送られる場合に生じやすい。
【0068】
そのため、制御部151は、媒体Mを供給する供給部を第2供給部12から第1供給部11に切り替えるための切り替え時間tc分以上、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12が2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも遅くなるようにするとよい。
【0069】
切り替え時間tcを確保する観点では、図3(比較例)に示すように3枚目の媒体Mの供給開始時間t12が2枚目の媒体Mの供給開始時間t21よりも早くなる場合に限らず、2枚目の媒体M2の供給開始時間t21から切り替え時間tc遅れた時間よりも3枚目の媒体M3の供給開始時間t12が早くなる場合に、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を遅らせるとよい。
【0070】
なお、制御部151が3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を遅らせるほど、第1供給部11から供給される3枚目の媒体M3の搬送速度を速くする補正量が増えることになる。そして、搬送速度が上限に達し補正しきれなくなると、到達間隔inを保てなくなり、図4に示す延伸到達間隔in-eのように到達間隔inが延びることになる。この場合、所定時間あたりの媒体Mの供給枚数(生産性)が減るため、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を、2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも遅く且つこの供給開始時間t21に近づける(例えば、所定の切り替え時間tc分だけ遅らせた供給開始時間t21の直後など、可能な限り早くする)ことで、第1供給部11から供給される3枚目の媒体M3の搬送速度の補正量を最小限にとどめることが望ましい。
【0071】
つまり、3枚目の媒体M3の搬送時間と切り替え時間tcとの和が、2枚目の媒体M2の搬送時間と到達間隔in(2枚目の媒体Mと3枚目の媒体Mとの間)との和よりも長くなる場合に、3枚目の媒体M3の搬送速度を速くすることによって、3枚目の媒体M3の搬送時間と切り替え時間tcとの和が2枚目の媒体M2の搬送時間と到達間隔in(2枚目の媒体Mと3枚目の媒体Mとの間)との和以下(望ましくは、この和と同一)となるようにするとよい。
【0072】
なお、切り替え時間tcは、第2供給部12が媒体Mの供給を開始してから第2入口通過検知センサS3によって媒体Mが検知されるまでの進入予定時間を含んでもよい。この場合、制御部151は、第2供給部12において空送が生じたときに、第2入口通過検知センサS3の検知結果に基づいて空送を判別し、第1供給部11において次の媒体Mの供給が開始する前に、空送となった媒体Mの再供給を行うことができる。なお、進入予定時間は、他の媒体Mにおける第2入口通過検知センサS3の検知結果などに基づいて予め決定しておけばよい。
【0073】
また、図5に示す例では、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を、2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも遅くしているが、4枚目の媒体M4の供給開始時間t22よりも早く(望ましくは、切り替え時間tc分以上早く)するとよい。3枚目の媒体M3の供給開始時間t12が4枚目の媒体M4の供給開始時間t22よりも遅くなると、上述のような媒体Mの供給開始順のレジストセンサS10への到達順との入れ替わりが発生するためである。
【0074】
上述の図5に示す例では、第1供給部11から供給される3枚目の媒体M3の搬送速度を速くする供給順調整制御によって、第1供給部11から供給される3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を第2供給部12から供給される2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも遅くする例について述べたが、図6に示すように、第2供給部12から供給される2枚目の媒体M2の搬送速度を遅くする供給順調整制御によっても、第1供給部11から供給される3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を第2供給部12から供給される2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも遅くすることが可能である。
【0075】
図6は、第2供給部12から供給される2枚目の媒体M2の搬送速度を遅くした場合の搬送時間を表す図である。
【0076】
図6に示すように、制御部151は、図3に示す比較例と比較して、2枚目の媒体M2の供給開始時間t21を早くし、且つ2枚目の媒体M2の搬送速度を遅くすることによって、到達間隔inを一定に保っている。
【0077】
つまり、制御部151は、3枚目の媒体M3の搬送時間(好ましくは、この搬送時間と切り替え時間tcとの和)が、2枚目の媒体M2の搬送時間と到達間隔in(2枚目の媒体Mと3枚目の媒体Mとの間)との和よりも長くなる場合に、2枚目の媒体M2の搬送速度を遅くすることによって、3枚目の媒体M3の搬送時間が2枚目の媒体M2の搬送時間と到達間隔inとの和未満となるようにしている。
【0078】
図6に示す例においても、制御部151は、媒体Mを供給する供給部を第2供給部12から第1供給部11に切り替えるための切り替え時間tc分以上、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12が2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも遅くなるようにするとよい。
【0079】
また、図6に示す例では、2枚目の媒体M2の供給開始時間t21を、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12よりも早くしているが、1枚目の媒体M1の供給開始時間t11よりも遅く(望ましくは、切り替え時間tc分以上遅く)するとよい。2枚目の媒体M2の供給開始時間t21が1枚目の媒体M1の供給開始時間t11よりも早くなると、上述のような媒体Mの供給開始順のレジストセンサS10への到達順との入れ替わりが発生するためである。
【0080】
次に、図7に示すように、第1供給部11から供給される3枚目の媒体M3の搬送速度を速くする供給順調整制御(図5参照)と、第2供給部12から供給される2枚目の媒体M2の搬送速度を遅くする供給順調整制御(図6参照)との両方によって、第1供給部11から供給される3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を第2供給部12から供給される2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも遅くしてもよい。
【0081】
図7に示す例においても、制御部151は、媒体Mを供給する供給部を第2供給部12から第1供給部11に切り替えるための切り替え時間tc分以上、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12が2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも遅くするとよい。
【0082】
また、上述のように、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を、4枚目の媒体M4の供給開始時間t22よりも早く(望ましくは、切り替え時間tc分以上早く)、且つ、2枚目の媒体M2の供給開始時間t21を、1枚目の媒体M1の供給開始時間t11よりも遅く(望ましくは、切り替え時間tc分以上遅く)するとよい。
【0083】
次に、図8を参照しながら、第1供給部11から供給される媒体Mの搬送速度の制御について説明する。
【0084】
図8は、第1供給部11から供給される媒体Mの搬送速度を速くした場合の搬送速度と経過時間との関係を示す図である。
【0085】
まず、上述の供給開始時間以降、媒体Mの搬送速度は、搬送速度v0まで加速し、搬送速度v0において、媒体Mが第1入口通過検知センサS1を通過する(基準通過時間t1)。その後、上述のように第1供給部11から供給される3枚目の媒体M3の搬送速度を速くする供給順調整制御(図5及び図7参照)を行うために、媒体Mの搬送速度は、搬送速度v1まで加速し、この搬送速度v1において媒体Mが第1出口通過検知センサS2を通過する(基準通過時間t2)。その後、媒体Mの搬送速度は、搬送速度v0まで減速し、媒体MがレジストセンサS10に到達すると(基準到達時間t3)、さらに減速し、媒体Mがレジストローラ対131に突き当てられる(基準通過時間t4)。媒体Mは、その後もわずかに搬送されることで斜行補正に伴う弛みが形成される。
【0086】
なお、図8に示す例では、第1入口通過検知センサS1と第1出口通過検知センサS2との間の媒体Mの搬送速度を搬送速度v0から搬送速度v1に上げることによって上述の供給順調整制御が行われる。但し、媒体Mの搬送速度を速くする期間は、第1供給部11からレジストセンサS10までのいずれの期間であってもよい。
【0087】
図9は、第1供給部11から供給される媒体Mの搬送速度を速くし、且つズレ調整制御を行う場合の搬送速度と経過時間との関係を示す図である。
【0088】
図9に示すように、媒体Mと図1に示す吸着搬送部11bとの滑りが多いことなどに起因して搬送率が低くなることによって、媒体Mの第1入口通過検知センサS1の通過時間(時間t1a)が、理論値である基準通過時間としての基準通過時間(時間t1)よりも遅れることがある。
【0089】
この場合、制御部151は、媒体Mの遅れを取り戻して媒体MがレジストセンサS10に到達する到達時間を基準到達時間t3に近づけ、ひいてはレジストローラ対131に突き当てられる突き当て時間を基準突き当て時間t4に近づけるために、第1入口通過検知センサS1と第1出口通過検知センサS2との間において、媒体Mの搬送速度を上述の搬送速度v1よりも速い搬送速度v1aに決定する。なお、この制御部151による制御は、媒体Mの通過時間(時間t1a)と基準通過時間(時間t1)とのズレに基づいて、第1供給部11から供給される媒体MのレジストセンサS10(基準到達位置の一例)に到達するまでの搬送速度を調整するズレ調整制御の一例である。
【0090】
或いは、媒体Mと吸着搬送部11bとの滑りが少ないことなどに起因して搬送率が高くなることによって、媒体Mの第1入口通過検知センサS1の通過時間(時間tb)が、理論値である基準通過時間としての基準通過時間(時間t1)よりも早くなることがある。
【0091】
この場合、制御部151は、媒体MがレジストセンサS10に到達する到達時間を基準到達時間t3に近づけ、ひいてはレジストローラ対131に突き当てられる突き当て時間を基準突き当て時間t4に近づけるために、第1入口通過検知センサS1と第1出口通過検知センサS2との間において、媒体Mの搬送速度を上述の搬送速度v1よりも遅い搬送速度v1bに決定する。なお、この制御部151による制御も、媒体Mの通過時間(時間t1b)と基準通過時間(時間t1)とのズレに基づいて、第1供給部11から供給される媒体MのレジストセンサS10(基準到達位置の一例)に到達するまでの搬送速度を調整するズレ調整制御の一例である。
【0092】
ここで、上述の媒体Mの第1入口通過検知センサS1の通過時間(時間t1a,t1b)の基準通過時間(時間t1)からのズレは、浮上エアによって浮上し、分離エアによって下位の媒体Mと分離した最上位の媒体Mが吸着搬送部11bによって吸着搬送される場合に限らず、捌き板などによって最上位の媒体Mと下位の媒体Mとを分離させる場合にも、捌き板と媒体Mとの間に働く摩擦などによって生じるものである。
【0093】
図10は、第1供給部11から供給される媒体Mの搬送速度を速くし、且つズレ調整制御及びフィードバック制御を行う場合の搬送速度と経過時間との関係を示す図である。
【0094】
図10に示す例は、上述の図9に示す制御に加えて、更に、レジストセンサS10の検知結果である媒体Mの到達時間と基準到達時間t3とのズレに基づいて後続の媒体Mの搬送速度を調整するフィードバック制御を行う例である。
【0095】
上述のようにズレ調整制御が行われても、媒体MのレジストセンサS10への到達時間が基準到達時間t3よりも前後する場合がある。
【0096】
例えば、図10に太い破線で示すように、レジストセンサS10への到達時間が基準到達時間t3よりも遅い時間t3cである場合、制御部151は、後続の媒体Mの第1入口通過検知センサS1と第1出口通過検知センサS2との間の搬送速度v1(又はズレ調整制御後の搬送速度v1a,v1b)を搬送速度v1c(ズレ調整制御の有無で異なる搬送速度)に速くするフィードバック制御を行う。
【0097】
また、図10に細い破線で示すように、媒体MのレジストセンサS10への到達時間が基準到達時間t3よりも早い時間t3dである場合、制御部151は、後続の媒体Mの第1入口通過検知センサS1と第1出口通過検知センサS2との間の搬送速度v1(又はズレ調整制御後の搬送速度v1a,v1b)を搬送速度v1d(ズレ調整制御の有無で異なる搬送速度)に遅くするフィードバック制御を行う。
【0098】
なお、上記の後続の媒体Mは、先行する媒体Mのズレを制御部151が検出してから、搬送速度を調整可能な媒体Mであればよく、次に第1供給部11から搬送される媒体Mに限られない。
【0099】
また、図8図10に示す例では、第1供給部11から供給される媒体Mの搬送速度を速くする例について述べているが、第2供給部12から供給される媒体Mの搬送速度を遅くする場合には、例えば、第2入口通過検知センサS3と第2出口通過検知センサS4との間などで媒体Mの搬送速度を遅くし、図9に示すズレ調整制御及び図10に示すフィードバック制御のうちの少なくとも一方が制御部151によって行われるとよい。
【0100】
ところで、第1個別搬送路P1、第2個別搬送路P2、及び合流搬送路P3の湾曲部分において、媒体Mの種類(例えば、厚さの違いによるコシの強さの違い)に応じて、媒体Mが通過する位置が異なることで実際に媒体Mが通る経路長の差が発生する。例えば、第1個別搬送路P1が第2個別搬送路P2よりもコーナ角が大きい湾曲部分を有することで、第1個別搬送路P1において搬送される媒体Mが厚紙である場合と薄紙である場合との経路長の差は、第2個別搬送路P2において搬送される媒体Mと比較して大きくなる。そのため、制御部151は、媒体Mの厚さなどの媒体情報と媒体Mの搬送経路形状とに基づいて搬送速度を更に調整するとよい。
【0101】
以上説明した本実施の形態では、媒体供給機構は、媒体Mを供給する複数の供給部(第1供給部11及び第2供給部12)と、この複数の供給部に連結された、経路長が異なる複数の個別搬送路(第1個別搬送路P1及び第2個別搬送路P2)と、この複数の個別搬送路において媒体Mを搬送する複数の個別搬送部(第1~第5搬送ローラ対21~25を一例とする第1個別搬送部、並びに、第6及び第7搬送ローラ対26,27を一例とする第2個別搬送部)と、複数の個別搬送路が合流した合流搬送路P3と、この合流搬送路P3において媒体Mを搬送する合流搬送部(第8及び第9搬送ローラ対28,29並びに受け入れローラ対132)と、媒体Mを合流搬送路P3における基準到達位置の一例であるレジストセンサS10に基準到達時間に到達させるように複数の供給部に媒体Mを供給させ、複数の個別搬送部及び合流搬送部を制御する制御部151とを備える。複数の個別搬送路は、第1個別搬送路P1と、この第1個別搬送路P1よりも経路長が短い第2個別搬送路P2とを含む。複数の媒体供給部は、第1個別搬送路P1に媒体Mを供給する第1供給部11と、第2個別搬送路P2に媒体Mを供給する第2供給部12とを含む。制御部151は、第2供給部12から供給される媒体M(図3に示す媒体M2)の次に第1供給部11から供給される媒体M(媒体M3)を基準到達位置に到達させる場合で、且つ、第1供給部11の媒体M3の供給開始時間t12が第2供給部12の媒体M2の供給開始時間よりも早くなる場合に、第1供給部11から供給される媒体Mの基準到達位置に到達するまでの搬送速度を速くすること(図5及び図7参照)、及び、第2供給部12から供給される媒体Mの基準到達位置に到達するまでの搬送速度を遅くすること(図6及び図7参照)、のうち少なくとも一方を行う供給順調整制御によって、第1供給部11の媒体M(M3)の供給開始時間t12を第2供給部12の媒体M(M2)の供給開始時間t21よりも遅くする。
【0102】
これにより、媒体Mを供給する供給部を、第2個別搬送路P2に媒体Mを供給する第2供給部12から、第2個別搬送路P2よりも経路長が短い第1個別搬送路P1に媒体Mを供給する第1供給部11に切り替える場合に、供給開始時間の順序が、基準到達位置に到達する媒体Mの順序(例えば印刷順序)とは異なる順序に入れ替わることを回避することができる。そのため、供給開始時間の順序が基準到達位置に到達する媒体Mの順序とは異なる順序に入れ替わることに起因して、ジャムが生じた場合の再開動作などの制御が複雑になったり、順序入れ替えのための制御が複雑になったりするのを回避することができる。
【0103】
よって、本実施の形態によれば、経路長が異なる複数の個別搬送路(第1個別搬送路P1及び第2個別搬送路P2)に連結された複数の供給部(第1供給部11及び第2供給部12)の供給開始時間の順序を、合流搬送路P3における基準到達位置(レジストセンサS10)に到達する媒体Mの順序と簡単な制御で一致させることができる。更には、本実施の形態では、搬送速度を調整する供給順調整制御によって、第1供給部11の媒体M(M3)の供給開始時間t12を第2供給部12の媒体M(M2)の供給開始時間t21よりも遅くするため、図4に示すように搬送速度を変更しない比較例と比較して、第1供給部11の供給開始時間t12を第2供給部12の供給開始時間t21よりも遅らせることによって、媒体Mが基準到達位置に到達する到達間隔inが延伸到達間隔in-eに延びるのを回避することができる。
【0104】
なお、複数の個別搬送路の経路長が異なる場合に、各個別搬送路の搬送時間が一定となるように、各個別搬送路で経路長が長いほど搬送速度を速くすることも可能ではある。しかし、このように搬送速度の調整のみで供給開始時間の順序を到達順に一致させる場合、経路長の差が大きくなるほど搬送速度を速めることになるため、高性能なモータが必要となってコスト上昇を招いたり制御が複雑化したりする。この点、本実施の形態では、必要な範囲で搬送速度の調整を行うことで供給開始時間の順序を到達順に一致させることができるため、媒体供給機構の構成を簡素にすることができる。
【0105】
また、供給順調整制御が、第1供給部11から供給される媒体M3の基準到達位置に到達するまでの搬送速度を速くすること(図5参照)、及び、第2供給部12から供給される媒体Mの基準到達位置に到達するまでの搬送速度を遅くすること(図6参照)、のうち一方のみである場合、供給開始時間を変更する供給部を、第1供給部11及び第2供給部12のうちの一方のみとし、制御をより簡略化することができる。また、供給順調整制御が、第1供給部11から供給される媒体Mの基準到達位置に到達するまでの搬送速度を速くすること(図5参照)を含む場合、第2個別搬送路P2よりも経路長が長い第1個別搬送路P1において、媒体Mの搬送速度を調整可能な期間が増えて時間あたりの調整量(補正速度差)を抑えることができる。また、供給順調整制御が、第2供給部12から供給される媒体Mの基準到達位置に到達するまでの搬送速度を遅くすること(図6参照)を含む場合、第1供給部11から供給される媒体M3の搬送速度が上限速度を超えて速くすることができなくても、第1供給部11の媒体M3の供給開始時間t12を第2供給部12の媒体M2の供給開始時間t21よりも遅くすることができる。
【0106】
また、本実施の形態では、制御部151は、第2供給部12から供給される媒体M(図3に示す媒体M2)の次に第1供給部11から供給される媒体M3を基準到達位置(例えばレジストローラ対131)に到達させる場合で、且つ、第2供給部12の供給開始時間t21から、媒体Mを供給する供給部を第2供給部12から第1供給部11に切り替えるための切り替え時間tc分遅れた時間よりも第1供給部11の供給開始時間t12が早くなる場合に、図5に示すように、第1供給部11の供給開始時間t12を第2供給部12の供給開始時間t21よりも切り替え時間tc分以上(より望ましくは、切り替え時間tc分)遅くする。
【0107】
このように供給開始時間t21,t12の間に切り替え時間tcを確保することによって、例えば、媒体供給装置1が印刷装置101の制御部151からの連続的な供給開始信号を識別することができなくなったり、或いは、制御部151が供給開始信号を連続的に送ることができなくなったりするのを回避することができる。
【0108】
また、本実施の形態では、第2供給部12から供給された媒体Mが第2個別搬送路P2に進入したことを検知する進入検知センサの一例である第2入口通過検知センサS3を更に備え、切り替え時間tcは、第2供給部12が媒体Mの供給を開始してから第2入口通過検知センサS3によって媒体Mが検知されるまでの進入予定時間を含む。
【0109】
これにより、第2供給部12において空送が生じたことを第2入口通過検知センサS3の検知結果に基づいて判別することができるため、空送となった媒体Mの再供給を行うのよりも前に、第1供給部11から供給される媒体Mが基準到達位置に到達し、到達順が入れ替わるのを回避することができる。
【0110】
また、本実施の形態では、供給順調整制御は、第1供給部11から供給される媒体M3の基準到達位置に到達するまでの搬送速度を速くすること、及び、第2供給部12から供給される媒体Mの基準到達位置に到達するまでの搬送速度を遅くすること、の両方である。
【0111】
これにより、第1供給部11及び第2供給部12から供給される媒体Mの搬送速度の調整量(補正速度差)を抑えることができる。また、例えば、第1供給部11から供給される図7に示す3枚目の媒体M3の搬送速度を速くする調整量が減るため、第1供給部11から供給される媒体M3の搬送速度が上限速度を超えて速くすることができなくても、第1供給部11の媒体M3の供給開始時間t12を第2供給部12の媒体M2の供給開始時間t21よりも遅くすることができる。
【0112】
また、本実施の形態では、媒体供給機構は、複数の個別搬送路(第1個別搬送路P1及び第2個別搬送路P2)に配置され、媒体Mの通過を検知する複数の通過検知センサ(第1入口通過検知センサS1、第2入口通過検知センサS3など)を更に備える。制御部151は、図9に示すように、複数の通過検知センサによって検知される媒体Mの通過時間t1a,t1bと基準通過時間t1とのズレに基づいて、第1供給部11及び第2供給部12から供給される媒体Mの基準到達位置(レジストセンサS10)に到達するまでの搬送速度を調整するズレ調整制御を更に行う。
【0113】
そのため、上述の供給順調整制御によって媒体Mの搬送速度を調整した後の搬送速度に対してズレ調整制御を行うことによって、媒体Mが基準到達位置(レジストセンサS10)に到達する時間を基準到達時間t3に近づけることができる。そのため、供給順調整制御による搬送速度の調整に起因して、例えば、媒体Mがレジストローラ対131に突き当てられる突き当て時間が基準突き当て時間t4からずれるのを回避し、媒体Mの斜行を正確に補正して画像が斜めに印刷されるのを回避したり、レジストローラ対131以降の媒体Mの搬送が不安定になるのを回避したりすることができる。
【0114】
また、本実施の形態では、制御部151は、第2供給部12から供給される媒体M(図3に示す媒体M2)の次に第1供給部11から供給される媒体M(媒体M3)を基準到達位置に到達させる場合で、且つ、第1供給部11の媒体M3の供給開始時間t12が第2供給部12の媒体M2の供給開始時間よりも早くなる場合に、供給順調整制御によって、第1供給部11の媒体M(M3)の供給開始時間t12を第2供給部12の媒体M(M2)の供給開始時間t21よりも遅く且つ供給開始時間t21に近づける。
【0115】
これにより、第1供給部11から供給される媒体M3の搬送速度を速くする調整量や、第2供給部12から供給される媒体M2の搬送速度を遅くする調整量を抑えることができる。また、例えば、第1供給部11から供給される媒体M3の搬送速度が上限に達し補正しきれなくなり到達間隔inが図4に示す延伸到達間隔in-eのように少し延びる場合であっても、到達間隔inが延びる量を抑えることができる。
【0116】
また、本実施の形態では、媒体供給機構は、合流搬送路P3に配置され媒体Mの到達を検知する到達検知センサの一例であるレジストセンサS10を更に備え、制御部151は、図10に示すように、レジストセンサS10の検知結果である媒体Mの到達時間と基準到達時間t4とのズレに基づいて後続の媒体Mの搬送速度を調整するフィードバック制御を更に行う。
【0117】
これにより、上述の供給順調整制御によって媒体Mの搬送速度を調整し後の搬送速度に対してフィードバック制御を行うことによって、供給順調整制御による搬送速度の調整に起因して、媒体Mが基準到達位置(レジストセンサS10)に到達する時間が基準到達時間t3からずれるのを回避することができる。そのため、例えば、媒体Mがレジストローラ対131に突き当てられる突き当て時間を基準突き当て時間t4に近づけることによって、媒体Mの斜行を正確に補正して画像が斜めに印刷されるのを回避したり、レジストローラ対131以降の媒体Mの搬送が不安定になるのを回避したりすることができる。
【0118】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記1~5に記載し、その他の発明を付記6に記載する。
【0119】
[付記1]
媒体を供給する複数の供給部と、
前記複数の供給部に連結された、経路長が異なる複数の個別搬送路と、
前記複数の個別搬送路において前記媒体を搬送する複数の個別搬送部と、
前記複数の個別搬送路が合流した合流搬送路と、
前記合流搬送路において前記媒体を搬送する合流搬送部と、
前記媒体を前記合流搬送路における基準到達位置に基準到達時間に到達させるように前記複数の供給部に前記媒体を供給させ、前記複数の個別搬送部及び前記合流搬送部を制御する制御部とを備え、
前記複数の個別搬送路は、第1個別搬送路と、当該第1個別搬送路よりも経路長が短い第2個別搬送路とを含み、
前記複数の媒体供給部は、前記第1個別搬送路に前記媒体を供給する第1供給部と、前記第2個別搬送路に前記媒体を供給する第2供給部とを含み、
前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第1供給部の前記媒体の供給開始時間が前記第2供給部の前記媒体の供給開始時間よりも早くなる場合に、前記第1供給部から供給される前記媒体の前記基準到達位置に到達するまでの搬送速度を速くすること、及び、前記第2供給部から供給される前記媒体の前記基準到達位置に到達するまでの搬送速度を遅くすること、のうち少なくとも一方を行う供給順調整制御によって、前記第1供給部の前記供給開始時間を前記第2供給部の前記供給開始時間よりも遅くする
ことを特徴とする媒体供給機構。
[付記2]
前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第2供給部の前記供給開始時間から、前記媒体を供給する供給部を前記第2供給部から前記第1供給部に切り替えるための切り替え時間分遅れた時間よりも前記第1供給部の前記供給開始時間が早くなる場合に、前記供給順調整制御によって、前記第1供給部の前記供給開始時間を前記第2供給部の前記供給開始時間よりも前記切り替え時間分以上遅くする
ことを特徴とする付記1記載の媒体供給機構。
[付記3]
前記第2供給部から供給された前記媒体が前記第2個別搬送路に進入したことを検知する進入検知センサを更に備え、
前記切り替え時間は、前記第2供給部が前記媒体の供給を開始してから前記進入検知センサによって前記媒体が検知されるまでの進入予定時間を含む
ことを特徴とする付記2記載の媒体供給機構。
[付記4]
前記複数の個別搬送路に配置され、前記媒体の通過を検知する複数の通過検知センサを更に備え、
前記制御部は、前記複数の通過検知センサによって検知される前記媒体の通過時間と基準通過時間とのズレに基づいて、前記第1供給部及び前記第2供給部から供給される前記媒体の前記基準到達位置に到達するまでの搬送速度を調整するズレ調整制御を更に行う
ことを特徴とする付記1から3のいずれか記載の媒体供給機構。
[付記5]
前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第1供給部の前記供給開始時間が前記第2供給部の前記供給開始時間よりも早くなる場合に、前記供給順調整制御によって、前記第1供給部の前記供給開始時間を、前記第2供給部の前記供給開始時間よりも遅く且つ前記第2供給部の前記供給開始時間に近づける
ことを特徴とする付記1記載の媒体供給機構。
[付記6]
前記合流搬送路に配置され、前記媒体の到達を検知する到達検知センサを更に備え、
前記制御部は、前記到達検知センサの検知結果である前記媒体の到達時間と前記基準到達時間とのズレに基づいて後続の前記媒体の搬送速度を調整するフィードバック制御を更に行う
ことを特徴とする付記1~5のいずれか記載の媒体供給機構。
【符号の説明】
【0120】
1 媒体供給装置
1a 上段
1b 下段
11 第1供給部
11a 積載台
11b 吸着搬送部
12 第2供給部
12a 積載台
12b 吸着搬送部
21~29 第1~第9搬送ローラ対
31 制御部
32 記憶部
33 インターフェース部
100 印刷システム
101 印刷装置
110 印刷部
120 吸着搬送部
130 搬送部
131 レジストローラ対
132 受け入れローラ対
133 搬送ローラ対
140 反転部
151 制御部
152 記憶部
153 インターフェース部
D1~D4 第1~第4搬送駆動部
in 到達間隔
in-e 延伸到達間隔
M 媒体
P1 第1個別搬送路
P2 第2個別搬送路
P3 合流搬送路
P11 供給先搬送路
P12 循環反転搬送路
S1 第1入口通過検知センサ
S2 第1出口通過検知センサ
S3 第2入口通過検知センサ
S4 第2出口通過検知センサ
S10 レジストセンサ
t11,t12,t21,t22 供給開始時間
tc 切り替え時間

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10