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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20241107BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
G03G15/01 Y
G03G21/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021061654
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022157437
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向原 卓也
(72)【発明者】
【氏名】矢口 和嵩
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-323022(JP,A)
【文献】特開2003-084528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 21/14
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
それぞれ異なる複数の色のトナーを用いて前記像担持体に対して色ずれ量を求めるための検査画像群を形成する画像形成手段と、
前記像担持体に担持されている前記検査画像群を検知する検知手段と、
を有し、
前記検査画像群は、
前記像担持体の移動方向において順番に異なる位置に形成された第一検査画像、第二検査画像、第三検査画像、第四検査画像、および、第五検査画像を含み、
前記第一検査画像から前記第五検査画像のそれぞれは、前記移動方向に直交した幅方向において異なる位置に形成された二つの線分を含み、
前記第一検査画像は、第一色のトナーで形成された一方の線分と、前記第一色のトナーで形成された他方の線分とを有し、
前記第二検査画像は、前記第一色のトナーで形成された一方の線分と第二色のトナーで形成された他方の線分とを有するか、または、前記第二色のトナーで形成された一方の線分と前記第一色のトナーで形成された他方の線分とを有し、
前記第三検査画像は、前記第二色のトナーで形成された一方の線分と、前記第二色のトナーで形成された他方の線分とを有し、
前記第四検査画像は、前記第二色のトナーで形成された一方の線分と、第三色のトナーで形成された他方の線分とを有するか、または、前記第三色のトナーで形成された一方の線分と、前記第二色のトナーで形成された他方の線分とを有し、
前記第五検査画像は、前記第三色のトナーで形成された一方の線分と、前記第三色のトナーで形成された他方の線分とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検知手段の検知結果に基づき色ずれ量を取得する取得手段と、
前記色ずれ量に基づきトナー画像の色ずれを補正する補正手段と、をさらに有し、
前記検知手段は、前記第一検査画像から前記第五検査画像のそれぞれについて前記一方の線分の形成位置と前記他方の線分の形成位置を検知し、
前記取得手段は、前記第一検査画像、前記第二検査画像、前記第三検査画像の検知結果に基づき、前記第一色と前記第二色の色ずれ量を求め、前記第三検査画像、前記第四検査画像、前記第五検査画像の検知結果に基づき、前記第二色と前記第三色の色ずれ量を求めることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第一検査画像から前記第五検査画像のそれぞれについて前記一方の線分と前記他方の線分とが前記移動方向に対して線対称となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第一検査画像から前記第五検査画像のそれぞれについて前記一方の線分と前記他方の線分とがV字状に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段は、
前記像担持体に向けて光を射出する発光手段と、
前記発光手段から射出され、前記一方の線分で正反射した光を受光するように設けられた第一受光手段と、
前記発光手段から射出され、前記他方の線分で乱反射した光を受光するように設けられた第二受光手段と、を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検査画像群は、さらに、前記移動方向において前記第五検査画像の次に形成される第六検査画像と、前記第六検査画像の次に形成される第七検査画像とを有し、
前記第六検査画像と前記第七検査画像のそれぞれは、前記移動方向に直交した幅方向において異なる位置に形成された二つの線分を含み、
前記第六検査画像は、前記第三色のトナーで形成された一方の線分と第四色のトナーで形成された他方の線分とを有るか、または、前記第四色のトナーで形成された一方の線分と前記第三色のトナーで形成された他方の線分とを有し、
前記第七検査画像は、前記第四色のトナーで形成された一方の線分と、前記第四色のトナーで形成された他方の線分とを有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第七検査画像において、前記他方の線分は、有彩色である前記第一色、前記第二色または前記第三色のトナーにより形成された下地画像の上に、無彩色である前記第四色のトナーにより形成されることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第六検査画像の前記下地画像と、前記第七検査画像の前記下地画像とは、前記移動方向において繋がっていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記検知手段は、
前記像担持体の幅方向における一方の端部領域に形成された前記検査画像群を検知する第一センサと、
前記像担持体の幅方向における他方の端部領域に形成された前記検査画像群を検知する第二センサと、を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記補正手段は、前記画像形成手段に設けられた光学走査装置におけるレーザ光の出力開始タイミング、一画素あたりの露光時間に影響する画像クロックの周波数、または、前記像担持体に形成されるトナー画像の傾きを補正することで前記色ずれを削減することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の色ずれ量を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を形成する画像形成装置では色ずれが少ないことが求められる。特許文献1、2によれば、それぞれ異なる色のトナーを用いて複数の山形マークを形成してセンサで検知することで、色ずれ量を検知することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-118735号公報
【文献】特開平11-84759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2によれば、山形マークの右側の稜線を検知するセンサと、左側の稜線を検知するセンサとが用いられる。しかし、これらのセンサが予め設計で想定された理想位置(称呼位置)からずれて設置されてしまったときに検知誤差が生じることが考慮されていない。そこで、本発明は、検知手段の設置誤差が発生した場合においても、検知精度の低下を抑制することが可能な検査画像群を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、たとえば、
像担持体と、
それぞれ異なる複数の色のトナーを用いて前記像担持体に対して色ずれ量を求めるための検査画像群を形成する画像形成手段と、
前記像担持体に担持されている前記検査画像群を検知する検知手段と、
を有し、
前記検査画像群は、
前記像担持体の移動方向において順番に異なる位置に形成された第一検査画像、第二検査画像、第三検査画像、第四検査画像、および、第五検査画像を含み、
前記第一検査画像から前記第五検査画像のそれぞれは、前記移動方向に直交した幅方向において異なる位置に形成された二つの線分を含み、
前記第一検査画像は、第一色のトナーで形成された一方の線分と、前記第一色のトナーで形成された他方の線分とを有し、
前記第二検査画像は、前記第一色のトナーで形成された一方の線分と、第二色のトナーで形成された他方の線分を有するか、または、前記第二色のトナーで形成された一方の線分と、前記第一色のトナーで形成された他方の線分とを有し、
前記第三検査画像は、前記第二色のトナーで形成された一方の線分と、前記第二色のトナーで形成された他方の線分とを有し、
前記第四検査画像は、前記第二色のトナーで形成された一方の線分と、第三色のトナーで形成された他方の線分とを有するか、または、前記第三色のトナーで形成された一方の線分と、前記第二色のトナーで形成された他方の線分とを有し、
前記第五検査画像は、前記第三色のトナーで形成された一方の線分と、前記第三色のトナーで形成された他方の線分とを有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、検知手段の設置誤差が発生した場合においても、検知精度の低下を抑制することが可能な検査画像群が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成装置を説明する図。
図2】中間転写ベルトに形成されたパターン群を説明する図。
図3】光学センサを説明する図。
図4】パターン群を説明する図。
図5】パターン群を説明する図。
図6】検知誤差を説明する図。
図7】パターン群を説明する図。
図8】検知誤差を説明する図。
図9】パターン群を説明する図。
図10】検知誤差を説明する図。
図11】制御部を説明する図。
図12】色ずれ検知を示すフローチャート。
図13】パターン群を説明する図。
図14】連続した下地画像の上に形成されるブラックパターンを検知する方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
<第一実施形態>
●画像形成装置
図1が示すように、画像形成装置100は電子写真プロセスを利用してトナー画像をシート11に形成するカラープリンタである。参照符号の末尾に付与されるY、M、C、Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの略称である。色を区別する必要がない場合には、参照符号からY、M、C、Kの文字は省略される。画像形成部5は、各色に対応して設けられた感光体1、帯電器2、現像器3および一次転写ローラ6を有する。また、画像形成装置100は、露光器7を有する。
【0010】
帯電器2は感光体1の表面を一様に帯電させる。露光器7は、制御部10から供給される画像信号に応じたレーザ光を感光体1に照射して画像信号に対応した静電潜像を形成する。現像器3はトナーを用いて静電潜像を現像してトナー画像を形成する。一次転写ローラ6は、トナー画像を感光体1から中間転写ベルト20へ転写する。ここでは、イエローのトナー画像、マゼンタのトナー画像、シアンのトナー画像およびブラックのトナー画像が、中間転写ベルト20上で相互に重畳するように、転写される。中間転写ベルト20は、トナー画像を二次転写部へ搬送する。
【0011】
シートカセット13は、多数のシート11を収容する収容庫である。搬送ローラ14、15、16は、シートカセット13に収容されているシート11を、搬送路9を介して、二次転写部へ搬送する。二次転写部に設けられた二次転写ローラ12は、トナー画像をシート11へ転写する。定着器17は、トナー画像およびシート11に熱と圧力を加えて、トナー画像をシート11上に定着させる。排出ローラ21は、シート11を画像形成装置100の外部に排出する。
【0012】
ところで、トナー画像の転写位置は、露光器7によるレーザ光の書き出しタイミングに依存している。つまり、YMCKのレーザ光の書き出しタイミングが相互に適切なタイミングでないときに、いわゆる色ずれが発生する。色ずれとは、ある色のトナー画像の形成位置と、他の色のトナー画像の形成位置とがずれてしまう現象である。より具体的な色ずれとしては、トナー画像の形成位置が主走査方向にずれること、トナー画像の形成位置が副走査方向にずれること、トナー画像の主走査方向の倍率が理想倍率からずれること、トナー画像が副走査方向に傾いてしまうこと、などがある。
【0013】
光学センサ30は、中間転写ベルト20に形成されたトナー画像(検査画像)を検知するセンサである。制御部10は、露光器7および画像形成部5を制御して検査画像を中間転写ベルト20上に形成し、光学センサ30により検査画像を検知する。制御部10は、検査画像の検知結果に基づき、トナー画像の色ずれを補正したり、トナー画像の濃度を補正したりする。以下では、中間転写ベルト20の表面が移動する方向は、V方向、副走査方向または搬送方向と呼ばれる。副走査方向と直交する方向は、H方向、主走査方向または幅方向と呼ばれる。
【0014】
●光学センサ
図2によれば光学センサ30aは、中間転写ベルト20の一方の端部領域に形成された検査画像群(複数のパターンPを含むパターン群PG)を検知する。光学センサ30bは、中間転写ベルト20の他方の端部領域に形成されたパターン群PGを検知する。本明細書では、光学センサ30a、30bはまとめて光学センサ30と表記される。
【0015】
図3(A)は光学センサ30の斜視図である。図3(B)は光学センサ30の断面図である。光学センサ30は、プリント基板31上に設けられた発光素子(LED32)と、受光素子(PD35、36)を有する。LEDは発光ダイオードの略称である。PDはフォトディテクタまたはフォトダイオードの略称である。絞り部材37は、LED32、PD35、36は覆うように設けられており、光線パスを絞って制限するための開口40、41、45を有する。
【0016】
LED32から射出された光は開口41を通過して、中間転写ベルト20に対して設定された検知領域51に照射される。PD35は、検知領域50で正反射し、開口45を通過してきた光(正反射光60)を主に受光するように配置されている。PD36は、検知領域51で乱反射し、開口45を通過してきた光(乱反射光61)を主に受光するように配置されている。LED32から射出され、開口40を通過した光は、中間転写ベルト20の検知領域50に照射される。
【0017】
パターン位置Pos_aは、中間転写ベルト20の検知領域50(反射位置)に対応する主走査方向の位置である。パターン位置Pos_bは、検知領域51(反射位置)に対応する主走査方向の位置である。色ずれを検知するためのパターン群PGに含まれる各パターンPは、パターン位置Pos_aとパターン位置Pos_bとを跨ぐよう形成される。1つのパターンPはサブパターンPaとサブパターンPbとから構成されている。サブパターンPaが検知領域50を通過する際に、PD35の受光量(出力信号レベル)が変化する。制御部10は、正反射光60の受光量が変化している時間(サブパターンPaの通過時間)を計時し、通過時間の中心をサブパターンPaの検知タイミングとして求める。サブパターンPbが検知領域51を通過する際に、PD36の受光量(出力信号レベル)が変化する。制御部10は、乱反射光61の受光量が変化している時間(サブパターンPbの通過時間)を計時し、通過時間の中心をサブパターンPbの検知タイミングとして求める。
【0018】
制御部10は、色ずれ補正および濃度補正のためにPD35の受光量とPD36の受光量とを必要とする。PD35は、検知領域50からの正反射光60を受光できる位置に設けられるが、PD35には、中間転写ベルト20(または、その上に形成されたトナー画像)で生じる乱反射光も入射してしまう。つまり、PD35の受光量には乱反射光の成分も含まれる。このため、制御部10は、PD36が受光する乱反射光の受光量に基づき、PD35の受光量に含まれる乱反射光成分を低減する。これによる、トナー画像の濃度が精度良く検知可能となる。
【0019】
●色ずれ検知のためパターン群PG
図4は色ずれ検知のためのパターン群PGを示している。パターン群PGは、第一のサブパターン群Pgaと第二のサブパターン群Pgbとを有している。サブパターン群Pgaはそれぞれ線状の複数のサブパターンPaを有している。サブパターン群Pgbはそれぞれ線状の複数のサブパターンPbを有している。1つのパターンPを形成しているサブパターンPaとサブパターンPbは、V方向に対して線対称となっており、ペアを形成している。ここで、図4が示すように、パターンPは、逆V字形状(山形)である。逆V字形状は、以下では単にV字形状と呼ばれる。
【0020】
サブパターンPaは、H方向に対して-45度だけ傾いている。サブパターンPbは、H方向に対して+45度だけ傾いている。つまり、サブパターンPaとサブパターンPbとがなす角度は90度である。ただし、この角度は一例にすぎず、他の角度であってもよい。パターンPの形状は、V字形状である必要は無く、サブパターンPaとサブパターンPbとがV方向に対して線対称となっていれば十分である。サブパターンPaとサブパターンPbとが接合していることは必須ではなく、サブパターンPaとサブパターンPbとが離れていてもよい。また、サブパターンPaとサブパターンPbとが接合部付近で重なっていてもよい。
【0021】
図4が示すように、各サブパターンは"PxAB"と表記される。ここで、"x"は、"a"または"b"であり、"A"および"B"は、Y、M、C、Kのいずれかである。"x"が"a"であることは、そのサブパターンがサブパターン群Pgaに属していることを示す。"x"が"b"であることは、そのサブパターンが、サブパターン群Pgbに属していることを示す。"A"は、サブパターンPaの色を示す。"B"は、サブパターンPbの色を示す。たとえば、サブパターンPaKCとは、サブパターン群Pgaに属するブラックのサブパターンPaを指すとともに、このサブパターンPaとペアをなすサブパターンPbの色がシアンであることを示す。サブパターンPbCMとは、サブパターン群Pgbに属するマゼンタのサブパターンPbを指すとともに、このサブパターンPbとペアをなすサブパターンPaの色がシアンであることを示す。
【0022】
サブパターン群Pgaに属するサブパターンPaのそれぞれは、パターン位置Pos_aを跨ぐように形成される。サブパターン群Pgbに属するサブパターンPbは、パターン位置Pos_bを跨ぐように形成される。PD35は、サブパターン群Pgaに属するサブパターンPaが通過する検知領域50で生じる正反射光60を受光する。PD36は、サブパターン群Pgbに属するサブパターンPbが通過する検知領域51で生じる乱反射光61を受光する。ここで、中間転写ベルト20の表面とブラック(無彩色)のトナーパターンでの乱反射光量は比較的に少ない。そのため、サブパターンPbKKは、イエロー(有彩色)のトナーパターン(下地画像)の上に形成される。イエロートナーパターンで生じる乱反射光は、ブラックのトナーパターンで生じる乱反射光よりも強い。そのため、PD36の受光量は、先行するイエロートナーパターンにより増加し、ブラックのトナーパターンによる低下し、さらに、後続のイエロートナーパターンにより再び増加する。制御部10は、この受光量が閾値未満に低下している時間を計時することで、サブパターンPbKKを検知する。
【0023】
図5(A)は、7個の基本パターンPからなるパターン群PGを示している。図5(B)はブラックとシアン間の色ずれ量を検知するために使用される3個の基本パターンを示している。図5(C)はブラックとマゼンタ間の色ずれ量を検知するために使用される3個の基本パターンを示している。図5(D)はブラックとイエロー間の色ずれ量を検知するために使用される3個の基本パターンを示している。このようにいずれもブラック(基準色)に対する他の色の色ずれ量が求められる。光学センサ30は、パターン位置Pos_aを通過するパターンからの正反射光を検知する。さらに、光学センサ30は、パターン位置Pos_bを通過するパターンからの乱反射光を検知する。なお、パターン位置Pos_bを通過するブラックパターンの下地画像として、他の有彩色のトナーパターンが形成される。
【0024】
図5(A)ないし図5(D)では、各パターンPの識別情報が"PAB"と表記されている。"A"はサブパターンPaの色を示す。"B"はサブパターンPbの色を示す。たとえば、パターンPKCは、ブラックのサブパターンPaとシアンのサブパターンPbとから構成されている。図5(B)ないし図5(D)が示すように、検知対象色Zの色ずれ量は、3個のパターンを用いて検知される。ZはY、M、Cのいずれかである。1つ目は、検知対象色のみで構成されるパターンPZZである。2つ目は、基準色であるブラックのみで構成されるパターンPKKである。3つ目は、検知対象色Zとブラックで構成されるパターンPKZである。
【0025】
図5(D)が示すように、制御部10は、パターン群PGの検知結果に基づき、1つのパターンP内のサブパターンPaに対するサブパターンPbのV方向におけるずれ量を検知する。サブパターンPbが、サブパターンPaに対して-V方向にずれていることがある。この場合、ずれ量dは正の値となる。反対に、サブパターンPbが、サブパターンPaに対して+V方向にずれていることがある。この場合、ずれ量dは負の値となる。
【0026】
図5(D)が示すように、制御部10は、パターンPKKにおけるサブパターンPaKKに対するサブパターンPbKKのずれ量dKKを求める。さらに、制御部10は、パターンPYYにおけるサブパターンPaYYに対するサブパターンPbYYのずれ量dYYを求める。さらに、制御部10は、パターンPKYにおけるサブパターンPaKYに対するサブパターンPbKYのずれ量dKYを求める。
【0027】
制御部10は、3つのずれ量dKK、dYY、dKYに基づき、パターン位置Pos_aにおける色ずれ量LaKYと、パターン位置Pos_bにおける色ずれ量LbKYを求める。
【0028】
LaKY = dKY-dYY ・・・(1)
LbKY = dKY-dKK ・・・(2)
制御部10は、主走査方向のずれ量LsKYと、副走査方向のずれ量LpKYを求める。
【0029】
LsKY = (LaKY-LbKY)/2 ・・・(3)
LpKY = (LaKY+LbKY)/2 ・・・(4)
なお、ここではイエローの色ずれ量が求められているが、上述の式におけるYをCまたはMに変更することで、シアンの色ずれ量とマゼンタの色ずれ量がそれぞれ演算可能である。
【0030】
図5(D)において色ずれ量dが0であれば、パターン位置Pos_a、パターン位置Pos_bが対応するサブパターンの中心からずれていても、LaKY、LbKY、LsKY、LpKYは何れも0となる。しかし、副走査方向において周期的に動的なずれが生じている場合、検知誤差が生じる。以下では、周期的なずれが詳細に説明される。
【0031】
画像形成装置100は、多くの回転部材とそれを駆動するモータやギアなどを有している。回転部材の回転周期にはムラが存在するため、動的な転写位置(画像形成位置)のずれが生じる。回転周期のムラは、回転部材(例:中間転写ベルト20の駆動ローラや感光体1)の偏心と、回転部材を駆動するギアの偏心と、中間転写ベルト20の膜厚の変動などが原因で発生する。
【0032】
画像形成装置100は中間転写ベルト20上の位置であって回転周期のムラが相殺される位置にパターン群PGを形成することで、動的な色ずれを低減する。しかし、複数の回転周期成分およびその高次周期成分を全て相殺するには、パターンPGの全長が長くなってしまう。そのため、制御部10は、色ずれ量を測定する際には、基準色と比較色をできるだけ近いタイミングで測定する。具体的には、制御部10は、回転周期に対する基準色の配置位相と比較色の配置位相との差を小さくする。要するに、基準色のパターンPと比較色のパターンPとの距離が短く設定される。よって、パターン位置Pos_a、パターン位置Pos_bが称呼位置であれば、基準色と比較色との間の色ずれ量には、動的な検知誤差がほとんど生じない。一方、パターン位置Pos_a、パターン位置Pos_bが称呼位置からずれている場合、検知誤差が発生する。
【0033】
図5(E)は簡易的に1つの回転周期で±100μmの振幅で動的なパターン位置Posのずれが生じている場合を例示している。この場合、サブパターンPaKKに対するサブパターンPbKKのずれ量dKKには、+1.5μmの検知誤差が生じる。ずれ量dYYには-15.8μmの検知誤差が生じる。ずれ量dKYには-17.4μmの検知誤差が生じる。この検知誤差は、回転周期のうちのどの位相にパターンPが位置しているかに依存して、異なる。
【0034】
図6(A)は、パターンPaKYが検知される位相が0°である場合におけるずれ量dKY、dYY、dKKの検知誤差の推移を示す。図6(B)は、ずれ量dKY、dYY、dKKに基づき計算されたずれ量LaKY、LbKYを示す。図6(C)は、ずれ量LaKY、LbKYに基づき計算されたずれ量LsKY、LpKYを示す。主走査方向のずれ量LsKYの検知誤差の最大値は10.0μmである。副走査方向のずれ量LpKYの検知誤差の最大値は14.9μmである。図5(D)が示すように、副走査方向において、パターンPKKがパターンPKYから離れて配置されているため、検知誤差が大きくなっている。
【0035】
図7(A)は、別のパターン群PGを示している。とりわけ、2個の基準色のパターンPKKが追加されており、基準色のパターンと比較色のパターンとの間の距離が削減されている。図7(B)はブラックとイエロー間の色ずれ量を検知するために使用される3個の基本パターンを示している。図7(C)はブラックとマゼンタ間の色ずれ量を検知するために使用される3個の基本パターンを示している。図7(D)はブラックとシアン間の色ずれ量を検知するために使用される3個の基本パターンを示している。図7(B)が示すように、図5(D)と同様に、ずれ量DKK、DKY、DYYが検知される。制御部10は、LaKY、LbKY、LsKY、および、LpKYをも同様に演算する。
【0036】
図7(E)はパターン位置Pos_a、Pos_bが称呼位置からずれたときの検知誤差を示す。サブパターンPaKKに対するサブパターンPbKKのずれ量dKKには、-10.0μmの検知誤差が生じている。ずれ量dYYには-15.8μmの検知誤差が生じている。dKYには-17.4μmの検知誤差が生じている。
【0037】
図8(A)は、PaKYを検知する位相を0°とした場合におけるずれ量dKY、dYY、dKKの検知誤差の推移を示す。図8(B)はずれ量dKY、dYY、dKKに基づき計算されたLaKY、LbKYを示す。図8(C)は、LaKY、LbKYに基づき計算されたLsKY、LpKYを示す。主走査方向のずれ量LsKYの検知誤差の最大値は4.5μmである。副走査方向のずれ量LpKYの検知誤差の最大値は10.3μmである。これは、パターンPKKとパターンPKYとが比較的近くに配置されていることで、検知誤差の影響が低減されていることを示している。
【0038】
このように、パターン群PGを9個のパターンPにより構成することで、検知誤差の影響が低減される。ただし、二個のパターンPKKが追加されるため、V方向におけるパターン群PGの全長が長くなってしまう。さらに、パターンPKKを構成するサブパターンPbKKは乱反射光を用いて検知される。そのため、サブパターンPbKKはイエロー(有彩色)の下地画像を必要とする。これは、色ずれ検知のためにより多くのトナーが消費されることを意味する。また、下地画像は、パターン群PGの全長を増加させてしまう。パターン群PGの全長が増加すると、回転周期ムラを相殺する位置へパターン群PGを配置するための自由度が減少する。
【0039】
図9(A)はさらに改良されたパターン群PGを示している。このパターン群PGには、基準色という概念がない。検知対象色の色ずれ量は、第一色のみで構成されるパターンと、第一色とは異なる第二色のみで構成されるパターンと、第一色および第二色で構成されるパターンとから求められる。V方向において、順番に、第一色のみのパターン、第一色および第二色のパターン、第二色のみのパターンが配置される。
【0040】
図9(B)はイエローに対するマゼンタの色ずれ量を取得するための3個のパターンを示す。つまり、ずれ量dYY、dMY、dMMが求められる。図9(C)はマゼンタに対するシアンの色ずれ量を取得するための3個のパターンを示す。つまり、ずれ量dMM、dCM、dCCが求められる。図9(D)はシアンに対するブラックの色ずれ量を取得するための3個のパターンを示す。つまり、ずれ量dCC、dKC、dKKが求められる。これらは、いずれも(1)式から(4)式に適用され、色ずれ量の演算に利用される。
【0041】
図9(A)が示すようにこのパターン群PGは、7個のパターンPから構成されている。7個のパターンPにおいて、有彩色であるイエロー、マゼンタ、シアンは相互に置換可能であり、この置換は色ずれ量の検知精度に影響を及ぼさない。
【0042】
図9(E)は、パターン位置Pos_a、Pos_bが称呼位置からずれたときの検知誤差を示す。サブパターンPaKKに対するサブパターンPbKKのずれ量dKKの検知誤差は、-17.4μmである。dKCの検知誤差は-14.3μmである。dCCの検知誤差は-10.0μmである。この検知誤差は回転周期においてどの位相にパターンPが位置しているかに依存する。
【0043】
図10(A)はサブパターンPaKKを検知する位相を0°とした場合におけるdKC、dCC、dKKの検知誤差の推移を示す。図10(B)は、ずれ量dKC、dCC、dKKに基づき計算されたずれ量LaKC、LbKCを示す。図10(C)は、ずれ量LaKC、LbKCに基づき計算されたずれ量LsKC、LpKCを示す。LsKYの検知誤差の最大値は7.4μmである。LpKYの検知誤差の最大値は2.2μmである。図9(A)に示されたパターン群PGの検知誤差は図5(A)に示されたパターン群の検知誤差よりも少ない。特に副走査方向のずれ量の検知誤差が大きく削減されている。図9(A)に示されたパターン群PGは7個のパターンPから構成されている。図9(A)に示されたパターン群PGの全長は、図7(A)に示されたパターン群PGの全長よりも短い。このように、パターンPの数を増加させずとも、色ずれ量を求めるための二色の組み合わせと、パターンの順番を工夫することで、色ずれ量の検知誤差が低減される。
【0044】
図2に示したように、主走査方向における中間転写ベルト20の両端部の近傍に2つの光学センサ30a、30bが設けられてもよい。さらに、中間転写ベルト20の両端部にそれぞれパターン群PGが形成されてもよい。制御部10は、光学センサ30a、30bの検知結果に基づき、主走査方向の書き出し位置のずれ量Ls、主走査方向における画像の長さ(倍率)のずれ量、副走査方向の書き出し位置のずれ量Lp、および、副走査方向への画像の傾きのずれ量を演算できる。これらの演算方法は公知であるため、ここでは詳細には説明されない。
【0045】
図9(A)ではパターン群PGにおいてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順にパターンPが形成されている。しかし、この色順は必須ではなく、これと異なる色順が採用されてもよい。たとえば、V方向において一番目には第一色のみのパターンPが配置される。二番目には、第一色および第二色のパターンPが配置される。三番目には第二色のみのパターンPが配置される。四番目には第二色および第三色のパターンPが配置される。五番目には第三色のみのパターンPが配置される。六番目には第三色および第四色のパターンPが配置される。七番目には第四色のみのパターンPが配置される。
【0046】
光学センサ30は、サブパターンPaを正反射光で検知し、サブパターンPbを散乱反射光で検知する。そのため、サブパターンPbがブラックである場合、有彩色の下地画像が必要になる。ただし、下地画像の色は、イエロー、マゼンタ、シアンのいずれであってもよい。たとえば、制御部10は、イエロー、マゼンタ、シアンの残量を調べ、残量の多い色のトナーで下地画像を形成してもよい。
【0047】
光学センサ30が、サブパターンPaを正反射光で検知し、サブパターンPbも正反射光で検知する他の光学センサに置換されてもよい。この場合、下地画像が不要となる。
【0048】
主走査方向の色ずれ量と副走査方向の色ずれ量を検知するために、V字形状のパターンPが採用されているがこれは一例に過ぎない。副走査方向のみの色ずれ量を検知する場合、パターンPは、主走査方向に対して平行となる横線のパターンであってもよい。
【0049】
●制御部
図11は、制御部10の詳細を示している。CPU1100は制御プログラムを実行することで様々な機能を実現する。ただし、各機能はCPU1100の外部に設けられたハードウエア回路により実装されてもよい。
【0050】
パターン発生器1101は、パターン群PGを形成するための画像データまたは画像信号を発生して、プリント制御部1102に供給する。プリント制御部1102は、画像形成装置100において実行される画像形成を制御する。たとえば、プリント制御部1102は、帯電器2を制御して感光体1を帯電させ、画像信号を露光器7に供給することで感光体1上に静電潜像を形成する。ここで、プリント制御部1102は、補正部1105から指定され補正量にしたがって主走査方向における書き出しタイミングと、副走査方向における書き出しタイミングと、主走査方向における倍率(画像クロックで調整される)とを補正する。また、YMCKのそれぞれについて個別に静電潜像が形成される。プリント制御部1102は、現像器3を制御して静電潜像を現像してトナー画像を形成する。プリント制御部1102は、一次転写ローラ6に転写バイアスを印加してトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する。
【0051】
センサ制御部1103は、光学センサ30a、30bを制御して中間転写ベルト20上にパターン群PGを検知させる。ADC(アナログデジタル変換器)1104は、光学センサ30a、30bから出力される検知信号(受光量)をデジタル値に変換して色ずれ検知部1110にわたす。ただし、これは一例にすぎない。CPU1100は、一種のマイコンであり、インプットキャプチャ機能を有する端子を備えていてもよい。インプットキャプチャ機能とは、入力される信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジを基準として時間をカウントする機能または回路である。この場合、検知信号はこの端子に入力され、インプットキャプチャ機能が検知信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジに基づき時間を計測する。たとえば、インプットキャプチャ機能が一方の検知信号の立ち上がりエッジ(立ち下がりエッジ)と他方の検知信号の立ち上がりエッジ(立ち下がりエッジ)との間の時間差を計測してもよい。これにより色ずれ量の基本情報が検出されてもよい。色ずれ検知部1110は、光学センサ30a、30bの検知結果に基づき色ずれ量を求め、色ずれ量を補正部1105に渡す。位置検知部1111は、光学センサ30a、30bの検知結果に基づき各サブパターンPa、Pbの通過タイミングを検知する。ずれ量演算部1112は、位置検知部1111から出力されるサブパターンPaの検知タイミングとサブパターンPbの検知タイミングとの差分としてずれ量dを演算する。La、Lb演算部1113は、3個のずれ量dを用いてパターン位置Posのずれ量La、Lbを演算する。これには、(1)式と(2)式とが使用される。Ls、Lp演算部1114は、La、Lb演算部1113から出力されるずれ量La、Lbを用いて色ずれ量Ls、Lpを演算する。これには、(3)式と(4)式とが使用される。補正部1105は、色ずれ量Ls、Lpに基づき、プリント制御部1102で使用される制御パラメータの補正量を決定し、補正量をプリント制御部1102に設定する。
【0052】
●フローチャート
図12はCPU1100により制御プログラムしたがって実行される処理を示している。CPU1100は、色ずれ量の検知を実行するための実行条件が満たされると、以下の処理を開始する。実行条件は、たとえば、画像形成装置100が起動したこと、画像形成装置100が連続して所定枚数の画像を形成したこと、画像形成装置100内の温度が大きく変化したことなどである。
【0053】
S1201でCPU1100は画像形成装置100を制御して中間転写ベルト20上にパターン群PGを形成する。S1202でCPU1100は光学センサ30を用いてパターン群PGを形成する。S1203でCPU1100は光学センサ30の検知結果に基づきずれ量dを求める。たとえば、図9(D)が示すように、シアンとブラックに関しては、ずれ量dCC、dKC、dKKが求められる。
【0054】
S1204でCPU1100はずれ量dに基づきずれ量La、Lbを求める。図9(D)が示すように、シアンとブラックに関しては、ずれ量LaKC、LbKCが求められる。図9(B)が示すようにイエローとマゼンタに関してもずれ量が求められる。図9(C)が示すようにマゼンタとシアンに関してもずれ量が求められる。S1205でCPU1100はずれ量La、Lbに基づきずれ量Ls、Lpを求める。図9(D)が示すように、シアンとブラックに関しては、ずれ量LsKC、LpKCが求められる。イエローとマゼンタに関してもずれ量が求められる。マゼンタとシアンに関してもずれ量が求められる。S1206でCPU1100はずれ量LsKC、LpKCに基づき書き出し位置や画像クロックなどの補正量を求め、補正量をプリント制御部1102に設定する。
【0055】
<第二実施形態>
図13(A)は第二実施形態のパターン群PGを示している。図9(A)に示された第一実施形態のパターン群PGと比較すると、第二実施形態のパターン群PGでは、サブパターンPaの色とサブパターンPbの色とが入れ替わっている。さらに、先頭から六番目のパターンPは、パターンPKCがパターンPCKに入れ替わっている。つまり、サブパターンPbがブラックになったため、サブパターンPbに対して有彩色の下地画像が追加されている。これは、サブパターンPbが散乱反射光によって光学センサ30により検知されるためである。有彩色は、イエロー、マゼンタ、シアンのうちのいずれであってもよい。
【0056】
ここでは、7個のパターンPaのすべてについてサブパターンPaの色とサブパターンPbの色とが入れ替わっているが、一部のパターンPでのみサブパターンPaの色とサブパターンPbの色とが入れ替わってもよい。たとえば、パターンPMY、PCM、PKCのうち、一つのパターンのみで入れ替えが実行されてもよいし、二つのパターンのみで入れ替えが実行されてもよい。
【0057】
図13(A)が示すように、パターンPCKのサブパターンPbCKには下地画像が追加されているため、V方向におけるパターンPGの全長が長くなってしまう。とりわけ、パターンPCC、PCK、PKKではパターン間隔が増加しており、動的な検知誤差が増加してしまう。
【0058】
図13(B)は改良されたパターン群PGを示している。図13(B)では、それぞれ下地画像を有するパターンPCKとパターンPKKとの距離が短縮されている。とりわけ、先行するパターンPCKの下地画像と、後続のパターンPKKの下地画像とが接合または重なっている。
【0059】
図14は改良されたパターン群PGについてサブパターンPa、Pbの検知結果を示している。ブラックのサブパターンPbにはイエローの下地画像が形成されている。また、先行するサブパターンPbCKの下地画像と、後続のサブパターンPbKKの下地画像とが連続している。光学センサ30のPD35は、サブパターン群Pgaに属するサブパターンPaから正反射光を受光する。PD36は、サブパターン群Pgbに属するサブパターンPbからの乱反射光を受光する。
【0060】
サブパターン群Pgbに関して、中間転写ベルト20の表面およびブラック(無彩色)のトナーからの乱反射光量はすくない。そのため、イエローの下地画像からの正反射光のピークと、次のイエローの下地画像からの正反射光のピークとの間にブラックのサブパターンPbが存在する。つまり、イエローの下地画像からの正反射光のピークの時刻と、次のイエローの下地画像からの正反射光のピークの時刻との間に、ブラックの中心位置に対応する時刻が存在する。位置検知部1111は、これを利用してブラックのサブパターンPbの位置(タイミング)を検知する。
【0061】
図14が示すように、サブパターンの長さを検知するためにPD35、636の出力値は閾値と比較される。その一方で、イエローパターン(下地画像)からの正反射光によって三つのピークが発生する。そのうち、1つ目のピークの立ち上がりと、三つ目のピークの立ち下りは色ずれ検知に利用されない。つまり、1つ目のピークの立ち下がりが閾値未満となるタイミングから、2つ目のピークの立ち上がりが閾値を超えるタイミングまでの時間を2で除算して得られるタイミングがサブパターンPbCKの位置を示す。2つ目のピークの立ち下がりが閾値未満となるタイミングから、3つ目のピークの立ち上がりが閾値を超えるタイミングまでの時間を2で除算して得られるタイミングがサブパターンPbKKの位置を示す。
【0062】
このように、サブパターンPbCKと、PbKKについて連続した下地画像をイエロートナーにより形成することで、乱反射光によりブラックのサブパターンPbが検知可能となる。また、パターン群PGの全長の増加も少なくなる。
【0063】
<実施形態から導き出される技術思想>
図1が示すように中間転写ベルト20は像担持体の一例である。感光体1などはそれぞれ異なる複数の色のトナーを用いて像担持体に対して色ずれ量を求めるための検査画像群(例:パターンPG)を形成する画像形成手段として機能する。光学センサ30は、像担持体に担持されている検査画像群を検知する検知手段の一例である。図9(A)が示すように、検査画像群は、像担持体の移動方向(例:V方向)において順番に異なる位置に形成された検査画像を含む。たとえば、検査画像群は、第一検査画像(例:PYY)、第二検査画像(例:PMY/PYM)、第三検査画像(例:PMM)、第四検査画像(例:PCM/PMC)、および、第五検査画像(例:PCC)を含む。各検査画像は、移動方向に直交した幅方向(例:H方向)において異なる位置に形成された二つの線分を含む。第一検査画像は、第一色(例:Y)のトナーで形成された一方の線分(例:サブパターンPaYY)と、第一色のトナーで形成された他方の線分(例:PbYY)とを有する。第二検査画像は、第二色(例:M)または第一色のトナーで形成された一方の線分(例:PaMY/PaYM)と、第一色または第二色のトナーで形成された他方の線分(例:PbMY/PbYM)とを有する。第二検査画像は、第二色(例:M)のトナーで形成された一方の線分(例:PaMY)と、第一色のトナーで形成された他方の線分(例:PbMY/PbYM)とを有してもよい。あるいは、第二検査画像は、第一色のトナーで形成された一方の線分(例:PaYM)と、第二色のトナーで形成された他方の線分(例:PbYM)とを有してもよい。第三検査画像は、第二色のトナーで形成された一方の線分(例:PaMM)と、第二色のトナーで形成された他方の線分(例:PbMM)とを有する。第四検査画像は、第三色(例:C)または第二色のトナーで形成された一方の線分(例:PaCM/PaMC)と、第二色または第三色のトナーで形成された他方の線分(例:PbCM/PbMC)とを有する。たとえば、第四検査画像は、第三色(例:C)のトナーで形成された一方の線分(例:PaCM)と、第二色のトナーで形成された他方の線分(例:PbCM)とを有する。あるいは、第四検査画像は、第二色のトナーで形成された一方の線分(例:PaMC)と、第三色のトナーで形成された他方の線分(例:PbMC)とを有する。第五検査画像は、幅方向において異なる位置に形成された二つの線分であって第三色のトナーで形成された一方の線分(例:PaCC)と、第三色のトナーで形成された他方の線分(例:PbCC)とを有する。検知手段(例:光学センサ30)は、第一検査画像から第五検査画像のそれぞれについて一方の線分の形成位置と他方の線分の形成位置を検知する。これにより、光学センサ30の設置誤差に対してロバストなパターン群PGが提供される。つまり、検知手段の設置誤差が発生した場合においても、検知精度の低下を抑制することが可能な検査画像群が提供される。
【0064】
制御部10、CPU1100および色ずれ検知部1110は、検知手段の検知結果に基づき色ずれ量を取得する取得手段の一例である。取得手段(例:制御部10)は、一方の線分の形成位置と他方の線分の形成位置との差分に基づき色ずれ量(例:d)を求める。補正部1105は、色ずれ量に基づきトナー画像の色ずれを補正する補正手段の一例である。これにより、色ずれ量が精度良く検知可能となる。また、色ずれが精度よく補正される。
【0065】
図3などが示すように、第一検査画像から第五検査画像のそれぞれについて一方の線分(例:サブパターンPa)と他方の線分(例:サブパターンPb)とが移動方向に対して線対称となっている。これにより、主走査方向と副走査方向との両方の色ずれ量が検知可能となる。図4などが示すように、第一検査画像から第五検査画像のそれぞれについて一方の線分と他方の線分とがV字状に配置されていてもよい。
【0066】
図4などが示すように、LED32は像担持体に向けて光を射出する発光手段の一例である。PD35は、発光手段から射出され、一方の線分で正反射した光を受光するように設けられた第一受光手段の一例である。PD36は、発光手段から射出され、他方の線分で乱反射した光を受光するように設けられた第二受光手段の一例である。
【0067】
図4図9(A)などが示すように、検査画像群は、さらに、移動方向において第五検査画像の次に形成される第六検査画像(例:PKC)と、第六検査画像の次に形成される第七検査画像(例:PKK)とを有してもよい。第六検査画像は、幅方向において異なる位置に形成された二つの線分であって第四色のトナーで形成された一方の線分(例:PaKC)と、第三色のトナーで形成された他方の線分(例:PbKC)とを有する。第七検査画像は、幅方向において異なる位置に形成された二つの線分であって第四色のトナーで形成された一方の線分(例:PaKK)と、第四色のトナーで形成された他方の線分(例:PbKK)とを有する。
【0068】
第七検査画像において、他方の線分は、有彩色である第一色、第二色または第三色のトナーにより形成された下地画像の上に、無彩色である第四色のトナーにより形成される。これにより、他方の線分で乱反射した光を受光するように設けられた第二受光手段であっても無彩色のトナーパターンが検知可能となる。
【0069】
光学センサ30が180度回転して取り付けられてもよい。この場合、PD35は、発光手段から射出され、他方の線分で正反射した光を受光するように設けられた第一受光手段として機能する。PD36は、発光手段から射出され、一方の線分で乱反射した光を受光するように設けられた第二受光手段として機能する。
【0070】
検査画像群は、さらに、移動方向において第五検査画像の次に形成される第六検査画像と、第六検査画像の次に形成される第七検査画像とを有してもよい。この場合、図13(A)などが示すように、第六検査画像は、第四色のトナーで形成された一方の線分(サブパターンPb)と、第三色のトナーで形成された他方の線分(サブパターンPa)とを有する。第七検査画像は、第四色のトナーで形成された一方の線分と、第四色のトナーで形成された他方の線分とを有する。第六検査画像と第七検査画像とのそれぞれにおいて、一方の線分(サブパターンPb)は、有彩色である第一色、第二色または第三色のトナーにより形成された下地画像の上に、無彩色である第四色のトナーにより形成される。図13(B)が示すように、第六検査画像の下地画像と、第七検査画像の下地画像とは、移動方向において繋がっていてもよい。これにより、パターン群PGのV方向における全長が削減される。
【0071】
光学センサ30aは、像担持体の幅方向における一方の端部領域に形成された検査画像群を検知する第一センサの一例である。光学センサ30bは、像担持体の幅方向における他方の端部領域に形成された検査画像群を検知する第二センサの一例である。
【0072】
補正手段(例:補正部1105)は、画像形成手段に設けられた光学走査装置(例:露光器7)におけるレーザ光の出力開始タイミングを補正することで色ずれを削減してもよい。補正手段(例:補正部1105)は、一画素あたりの露光時間に影響する画像クロックの周波数を補正することで、主走査方向における画像の倍率を補正してもよい。これにより、色ずれが削減される。補正手段(例:補正部1105)は、像担持体に形成されるトナー画像の傾きを補正することで色ずれを削減してもよい。なお、中間転写ベルト20の走行方向を修正するベルトステアリング機構が採用されている場合、機械的に、画像の主走査方向の傾きが、傾きのずれ量に応じて補正可能となる。
【0073】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0074】
1:感光体、7:露光器、10:制御部、30:光学センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14