(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】支持台の支持構造、および身体支持装置
(51)【国際特許分類】
A61G 1/017 20060101AFI20241107BHJP
A47C 1/034 20060101ALI20241107BHJP
A47C 13/00 20060101ALI20241107BHJP
A47C 20/08 20060101ALI20241107BHJP
A61G 1/02 20060101ALI20241107BHJP
A61G 5/00 20060101ALI20241107BHJP
A61G 5/10 20060101ALI20241107BHJP
A61G 5/12 20060101ALI20241107BHJP
A61G 7/015 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
A61G1/017
A47C1/034
A47C13/00 B
A47C20/08 Z
A61G1/02 703
A61G5/00 701
A61G5/10 703
A61G5/12 706
A61G7/015
(21)【出願番号】P 2021074581
(22)【出願日】2021-04-27
(62)【分割の表示】P 2017056098の分割
【原出願日】2017-03-22
【審査請求日】2021-04-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】原田 昌和
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-236432(JP,A)
【文献】特開2015-202372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 1/00-7/16
A47C 17/00-23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者を支持する支持台と、
前記支持台の形態を変更可能に支持する架台と、
を備え、
前記支持台は、前後方向に並ぶ複数の支持体と、前記複数の支持体を一体に被覆するカバー部材と、を備え、
前記架台は、前記複数の支持体をそれぞれ支持する複数のボトムフレームを備え、
前記複数の支持体は、第1支持体と、第2支持体と、を含み、
前記複数のボトムフレームは、前記第1支持体を支持する第1フレームと、前記第2支持体を支持する第2フレームと、を含み、
前記第1フレームは腿フレームであり、
前記支持台の前記形態は、座位姿勢の使用者を支持するチェアポジションと、仰臥位姿勢の使用者を支持するベッドポジションと、の間で変更可能であり、
前記第1支持体は、前記チェアポジションと前記ベッドポジションと間での前記形態の変更に際して、前記第1フレームに沿って前後動自在に前記第1フレームに支持され、
前記第2支持体は、前記チェアポジションと前記ベッドポジションと間での前記形態の変更に際して、前記第2フレームに対して前後動しないように前記第2フレームに固定されており、前記第2フレームは、回動する、身体支持装置。
【請求項2】
前記第1支持体および前記第1フレームの前後方向の相対変位を許容し、かつ左右方向の相対変位を規制する規制部を備えた、請求項1に記載の身体支持装置。
【請求項3】
前記規制部は、
前記第1支持体および前記第1フレームのうちのいずれか一方に配設された案内部と、
いずれか他方に配設され、前記案内部により前後方向に案内される被案内部と、
を備えた、請求項2に記載の身体支持装置。
【請求項4】
前記案内部は、長孔であり、前記長孔は、
上下方向に貫き、かつ前後方向に沿って延び、
前記被案内部は、前記長孔内に上下方向に挿入された軸部材であり、
前記軸部材は前記第1支持体に設けられ、
前記形態が前記チェアポジションのとき、前記軸部材は前記長孔のうち後側の端部に位置している、請求項3に記載の身体支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持台の支持構造、および身体支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に記載の身体支持装置が知られている。身体支持装置は、使用者を支持する支持台と、支持台の形態を変更可能に支持する架台と、を備え、支持台は、前後方向に並ぶ複数の支持体を備え、架台は、複数の支持体をそれぞれ支持する複数のボトムフレームを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の身体支持装置では、例えば、支持台における複数の支持体を、カバー部材により一体に被覆して使用するような場合には、支持台の形態変化に伴い、カバー部材の位置により弛みや伸びが生じることがあった。これにより、カバー部材が劣化しやすくなるとともに、支持台の外観を損なうという問題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、カバー部材の劣化を抑えるとともに、支持台の外観が損なわれない支持台の支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る支持台の支持構造は、使用者を支持する支持台と、前記支持台の形態を変更可能に支持する架台と、を備え、前記支持台が、前後方向に並ぶ複数の支持体と、前記複数の支持体を一体に被覆するカバー部材と、を備え、前記架台が、前記複数の支持体をそれぞれ支持する複数のボトムフレームを備えた身体支持装置における前記支持台の支持構造であって、前記複数の支持体のうちの一部である可動支持体が、前記ボトムフレームに対して前後動自在に支持されている。
ここで、カバー部材が複数の支持体を一体に被覆することには、複数の支持体の上面がカバー部材によって被覆されているものの、複数の支持体の下面がカバー部材によって被覆されていない形態が含まれる。
【0007】
この場合、カバー部材が支持台における複数の支持体を一体に被覆しているので、支持台の洗浄時の清拭性を容易に確保することができる。
また、複数の支持体のうちの一部である可動支持体が、ボトムフレームに対して前後動自在に支持されているので、ボトムフレームが移動することで複数の支持体の形態が変化した際に、カバー部材に弛みや伸びが生じた場合には、可動支持体およびボトムフレームが、互いに前後方向に相対変位することが可能となり、支持体およびボトムフレームの互いの位置を、カバー部材に負担がかかりにくい位置に調整することができる。これにより、カバー部材の劣化を抑えるとともに、支持台の外観が損なわれない。
【0008】
(2)上記(1)に係る支持台の支持構造では、可動支持体およびボトムフレームの前後方向の相対変位を許容し、かつ左右方向の相対変位を規制する規制部を備えている構成を採用してもよい。
【0009】
この場合、前記規制部を備えているので、可動支持体およびボトムフレームの前後方向の相対変位を許容しながら、左右方向の相対変位を規制することができる。
【0010】
(3)上記(2)に係る支持台の支持構造では、前記規制部は、前記可動支持体およびボトムフレームのうちのいずれか一方に配設された案内部と、いずれか他方に配設され、前記案内部により前後方向に案内される被案内部と、を備える構成を採用してもよい。
【0011】
この場合、規制部が案内部および被案内部を備えるので、可動支持体およびボトムフレームの前後方向の相対変位を許容しながら、確実に左右方向の相対変位を規制することができる。
【0012】
(4)上記(3)に係る支持台の支持構造では、前記案内部は、上方および下方のうちのいずれか一方に向けて開口し、かつ前後方向に沿って延びる長孔であり、前記被案内部は、前記長孔内に上下方向に挿入された軸部材である構成を採用してもよい。
【0013】
この場合、案内部および被案内部が、長孔および軸部材で構成されているので、案内部および被案内部に、例えば互いに係合する二つの部材を採用するような構成と比較して、案内部および被案内部の部品点数の増加を抑え、簡易な構成とすることができる。
【0014】
(5)本発明に係る身体支持装置は、使用者を支持する支持台と、前記支持台の形態を変更可能に支持する架台と、を備え、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の支持台の支持構造より、前記支持体が支持されている。
【0015】
この場合、使用者を支持する支持台と、支持台の形態を変更可能に支持する架台と、を備え、前述した支持台の支持構造により、支持体が支持されているので、身体支持装置において、前述した各作用効果を奏することができる。
【0016】
(6)上記(5)に係る身体支持装置は、前記架台が、前記支持台の形態を、座位姿勢の使用者を支持するチェアポジションと、仰臥位姿勢の使用者を支持するベッドポジションと、の間で変更可能である構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、カバー部材の劣化を抑えるとともに、支持台の外観が損なわれない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る身体支持装置であって、支持台がチェアポジショ ンである状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す身体支持装置であって、支持台がベッドポジションである状態を 示す斜視図である。
【
図5】
図3に示す身体支持装置であって、柵体が退避位置に位置する状態を示す斜 視図である。
【
図6】
図3に示す身体支持装置であって、柵体が水平位置に位置する状態を示す斜 視図である。
【
図7】
図1に示す身体支持装置であって、支持台および柵体を除去した状態を示す 斜視図である。
【
図8】
図3に示す身体支持装置であって、台車本体の一部を除去した状態を下側か ら見た斜視図である。
【
図9】
図3に示す身体支持装置であって、支持台を透過した状態の上面図である。
【
図10】
図9に示す身体支持装置における支持台の支持構造を示す側面図である。
【
図11】
図3に示す身体支持装置の支持台における(a)側面図、(b)下面図で ある。
【
図12】
図11に示す支持台における前座面部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1から
図12を参照し、本発明の一実施形態に係る身体支持装置を説明する。 身体支持装置10は、例えば医療用チェアとして利用される。身体支持装置10は、例えば、使用者が診察を受ける際に、待機、術前処理、検査・診察、搬送、リカバリーという一連の流れに利用することができる。これにより、使用者が身体支持装置10から他の装置に移乗する頻度を抑えることができる。身体支持装置10は、手動で起伏調節可能であり、いわゆるリクライニング機能を具備している。
【0020】
なお以下では、身体支持装置10が座位姿勢の使用者を支持した状態における使用者の前後方向および左右方向をそれぞれ、身体支持装置10の前後方向Xおよび左右方向Yとする。また、身体支持装置10が座位姿勢の使用者を支持した状態における使用者の前側および後側をそれぞれ、前後方向Xに沿う前側X1および後側X2という。前側X1および後側X2はそれぞれ、身体支持装置10が仰臥位姿勢の使用者を支持した状態における使用者の足側および頭側となる。
【0021】
図1から
図6に示すように、身体支持装置10は、支持台11と、架台12と、柵体13と、ハンドル14と、を備えている。
支持台11は、使用者(使用者の胴体)を支持する。支持台11は、座面部21と、背もたれ22と、レッグレスト23と、を備えている。座面部21は、使用者の臀部および腿部を支持する。座面部21のうち、後側に位置する部分(以下、「後座面部21a」という。)は、臀部を支持し、前側に位置する部分(以下、「前座面部21b」という。)は、腿部を支持する。背もたれ22は、使用者の上半身を支持する。背もたれ22には、使用者の頭部を支持する枕24が取り付けられている。レッグレスト23は、使用者の膝より先の脚部を支持する。
【0022】
座面部21、背もたれ22およびレッグレスト23はそれぞれ、クッション部25を備えている。クッション部25は、変形することで外力を吸収する。全てのクッション部25は、一体に形成されていて、前後方向Xの全長にわたって連なっている。
架台12は、支持台11を支持する。架台12は、支持台11の形態を変更可能である。架台12は、支持台11の形態を、
図1および
図2に示すようなチェアポジションP1と、
図3から
図6に示すようなベッドポジションP2(フラットポジション)と、の間で変更可能である。
【0023】
図1および
図2に示すように、チェアポジションP1の支持台11は、座位姿勢の使用者を支持する。チェアポジションP1では、座面部21が上方を向いている。ここで後座面部21aは、水平面に沿って延び、前座面部21bは、後座面部21aから前側X1斜め上側に向けて延びている。また背もたれ22が、座面部21の後側X2の端部から上側に向けて延びている。さらにレッグレスト23が、座面部21の前側X1の端部から前側X1斜め下側に向けて延びている。
【0024】
図3から
図6に示すように、ベッドポジションP2の支持台11は、仰臥位姿勢の使用者を支持する。ベッドポジションP2では、支持台11の全体(背もたれ22、座面部21およびレッグレスト23)が、前後方向Xに沿って一直線状に延び、水平方向に実質的に平行になっている。
【0025】
なお架台12は、支持台11の形態を、チェアポジションP1とベッドポジションP2との間で連続的に変更可能であってもよく、間欠的に変更可能であってもよい。
支持台11の形態が、チェアポジションP1とベッドポジションP2との間で連続的に変更可能であることは、支持台11の形態を、チェアポジションP1やベッドポジションP2のみならず、チェアポジションP1やベッドポジションP2の間の任意の中間ポジションで保持可能であることを意味する。
支持台11の形態が、チェアポジションP1とベッドポジションP2との間で間欠的に変更可能であることは、支持台11の形態を、チェアポジションP1およびベッドポジションP2のみで、または、支持台11の形態を、チェアポジションP1およびベッドポジションP2に加えて、チェアポジションP1やベッドポジションP2の間の特定の(例えば数点の)中間ポジションで保持可能であることを意味する。
【0026】
図1から
図6に示すように、架台12は、台車部31と、支持部32と、メインフレーム33と、連動機構34と、保持機構35と、を備えている。
台車部31は、台車本体36と、キャスター37と、を備えている。台車本体36は、平面視において前後方向Xに延びる矩形状に形成されている。キャスター37は、台車本体36の4つの角部それぞれに配置されている。
【0027】
支持部32は、柱状に形成されている。支持部32は、支持台11を昇降可能に支持する。支持部32は、支持台11を、実質的に前後方向Xや左右方向Yに移動させることなく、上下方向Zに沿って昇降させる。支持部32は、電力に基づいて上下方向Zに伸縮可能である。支持部32は、図示しない駆動部と、駆動部を覆うカバー38と、を備えている。本実施形態では、カバー38が、複数の筒体を備えていて、前記駆動部が電力に基づいて駆動したときに、複数の筒体の上下方向Zの重なり代が変化することで、支持部32が伸長する。
【0028】
メインフレーム33は、支持部32および支持台11それぞれに固定されている。支持部32は、支持台11にメインフレーム33を介して間接的に固定されている。
図7に示すように、メインフレーム33は、固定フレーム39と、ボトムフレーム40と、オプション受47と、を備えている。
【0029】
固定フレーム39は、支持部32に直接的に固定されている。固定フレーム39は、枠部39aと、固定部39bと、を備えている。枠部39aは、平面視において前後方向Xに延びる矩形状に形成されている。固定部39bは、平面視において枠部39aの内側に配置され、枠部39aに固定されている。固定部39bには、支持部32が固定されている。
ボトムフレーム40は、固定フレーム39および支持台11それぞれに固定されている。ボトムフレーム40は、腰フレーム41と、背フレーム42と、腿フレーム43と、脚フレーム44と、を備えている。
【0030】
腰フレーム41は、固定フレーム39および後座面部21aそれぞれに固定されている。腰フレーム41は、固定フレーム39における前後方向Xの中央部に固定されている。腰フレーム41は、固定フレーム39に実質的に移動不能に固定されている。
背フレーム42は、背もたれ22に固定されている。背フレーム42は、腰フレーム41における後側X2の端部に回動可能に連結されている。背フレーム42は、固定フレーム39において腰フレーム41よりも後側X2に位置する部分の上方に位置している。
【0031】
腿フレーム43は、前座面部21bに固定されている。腿フレーム43は、固定フレーム39における前側X1の端部に回動可能に連結されている。腿フレーム43は、固定フレーム39において腰フレーム41よりも前側X1に位置する部分の上方に位置している
。
脚フレーム44は、レッグレスト23に固定されている。脚フレーム44は、腿フレーム43における前側X1の端部に回動可能に連結されている。
【0032】
オプション受47は、固定フレーム39に設けられている。オプション受47には、オプションOPが着脱可能に装着される。オプション受47は、固定フレーム39における左右方向Yの端部に設けられ、固定フレーム39における前後方向Xの端部に位置している。なおオプションOPとしては、例えば酸素ボンベ受やIVポール等が挙げられる。
【0033】
図8に示すように、連動機構34は、背もたれ22とレッグレスト23とを連動させる。連動機構34は、背もたれ22をレッグレスト23とともにチェアポジションP1からベッドポジションP2に移動させ、ベッドポジションP2からチェアポジションP1に移動させる。なお図示の例では、連動機構34は、背もたれ22を、レッグレスト23だけでなく前座面部21bとともに移動させる。
【0034】
連動機構34は、いわゆるリンク機構によって形成されている。連動機構34における前側X1の端部は、脚フレーム44に回動可能に連結され、連動機構34における後側X2の端部は、背フレーム42に回動可能に連結されている。
【0035】
図7に示すように、保持機構35は、支持台11の姿勢を保持する。支持台11の背もたれ22は、チェアポジションP1とベッドポジションP2との間を連続的に移動する。保持機構35は、背もたれ22をチェアポジションP1とベッドポジションP2との間の任意の位置で支持し、背もたれ22を起伏された状態で保持する。
【0036】
保持機構35は、荷重受け部45と、操作部46と、を備えている。
荷重受け部45は、背もたれ22から受ける荷重を、メインフレーム33を介して支持部32に伝達する。荷重受け部45は、背フレーム42および固定フレーム39それぞれに固定されている。荷重受け部45は、例えばガススプリングなどにより形成される。操作部46は、荷重受け部45による背もたれ22の支持およびその解除を切り替える。
【0037】
図1から
図6に示すように、柵体13は、支持台11を左右方向Yに挟んで一対設けられている。柵体13は、柵体13の正面視において矩形状をなす板状に形成されている。柵体13は、座面部21に左右方向Yに隣接して配置されている。柵体13は、架台12に移動可能に連結されている。柵体13は、前後方向Xに延びる図示しない回転軸回りに回転移動可能である。柵体13は、
図1から
図4に示す標準位置P11と、
図5に示す退避位置P12と、
図6に示す水平位置P13と、の間で移動可能である。
【0038】
図1から
図4に示すように、標準位置P11の柵体13は、支持台11よりも上方に突出し、使用者の左右方向Yへの移動を規制する。
図5に示すように、退避位置P12の柵体13は、標準位置P11の柵体13に対して上下反転された姿勢となっていて、支持台11よりも下方に位置している。
図6に示すように、水平位置P13の柵体13は、支持台11から左右方向Yに延び、水平面に沿うように位置している。水平位置P13の柵体13は、ベッドポジションP2の支持台11と略面一となっている。
なお柵体13は、図示しない固定機構を備えている。前記固定機構は、柵体13の姿勢を、標準位置P11および水平位置P13のいずれの位置においても固定することができる。本実施形態では、前記固定機構が、柵体13の姿勢を退避位置P12では固定しないが、退避位置P12でも固定するように構成してもよい。
【0039】
ハンドル14は、支持台11の背もたれ22に設けられている。ハンドル14は、背フレーム42を介して、背もたれ22に間接的に固定されている。ハンドル14は、左右方向Yに間隔をあけて一対配置された横ハンドル14aと、横ハンドル14aを左右方向Yに連結する連結ハンドル14bと、を備えている。
【0040】
前記身体支持装置10を利用するときであって、待機、術前処理、リカバリーそれぞれを目的とする場合には、
図1および
図2に示すように、例えば、支持台11をチェアポジションP1としておくことができる。また、検査・診察を目的とする場合には、
図5に示すように、例えば、支持台11をベッドポジションP2にするとともに、柵体13を退避位置P12に位置させておくことができる。さらに、搬送を目的とする場合には、
図1および
図2に示すように、支持台11をチェアポジションP1としたり、
図4に示すように、支持台11をベッドポジションP2にするとともに、柵体13を標準位置P11に位置させておいたりすることができる。支持台11をベッドポジションP2にする場合には、使用者を図示しない固定ベルトにより支持台11に固定してもよい。
【0041】
なお、身体支持装置10から使用者を他の装置(例えば、ベッド、診察台、ストレッチャー、または、使用者(患者)が横になるME(Medical Engineering)機器など)に移乗させるときには、
図6に示すように、柵体13を水平位置P13に位置させることで、柵体13を、支持台11から前記他の装置への移乗用の渡し板として利用してもよい。このとき、柵体13の姿勢を前記固定機構によって固定するのではなく、柵体13の下方に前記他の装置を配置して柵体13を前記他の装置により支持する。これにより、例えば支持台11と前記他の装置との間に段差があったとしても、柵体13をその段差にあわせて前記回転軸回りに回転させることができる。その結果、例えば、柵体13に使用者の体重が過度に作用するのを抑えること等ができる。これに対して、例えば、使用者の腕の処置をするために柵体13を上肢台として利用する場合などには、柵体13の姿勢を前記固定機構によって水平位置P13に固定することが好ましい。
【0042】
身体支持装置10における支持台11では、
図12に示すように、クッション部25はチップウレタンにより形成されている。クッション部25の上下方向Zの大きさは、支持台11の全域にわたって同等となっている。
図11に示すように、支持台11は、クッション部25の底部を支持する支持板26を備えている。支持板26は木製の合板により形成されている。支持板26は、背もたれ22、後座面部21a、前座面部21b、およびレッグレスト23それぞれのクッション部25の底部を各別に支持し、前後方向Xに複数配設されている。言い換えると、支持板26は、一体に形成されたクッション部25の底部のうち、背もたれ22と後座面部21aとの間に位置する部分、後座面部21aと前座面部21bとの間に位置する部分、および前座面部21bとレッグレスト23との間に位置する部分を回避して配設されている。
すなわち、支持板26は、前述したチェアポジションP1とベッドポジションP2との間における支持台11の形態の変化に際して、支持台11が屈曲する部分の底部を回避して形成されている。
【0043】
クッション部25および支持板26は、前後方向Xに並ぶ複数の支持体51を形成する。複数の支持体51は、後座面部21a、前座面部21b、背もたれ22、およびレッグレスト23それぞれに対応して4つ設けられ、これらの後座面部21a、前座面部21b、背もたれ22、およびレッグレスト23を形成している。
支持体51の底面には、下方に向けて突出するかまち部26aが形成されている。かまち部26aは木製の合板により形成されている。かまち部26aは、各支持体51の底面における左右方向Yの両端部、最も後側X2に位置する支持体51の底面における後側X2の端部、および最も前側X1に位置する支持体51の底面における前側X1の端部に、各別に形成されている。
かまち部26aの上下方向Zの大きさは、支持板26よりも大きくなっている。かまち部26aは、ボトムフレーム40よりも前後方向Xおよび左右方向Yの外側に位置している。
【0044】
支持台11は、複数の支持体51を一体に被覆するカバー部材50を備えている。カバー部材50が複数の支持体51を一体に被覆することには、本実施形態のように、複数の支持体51の上面がカバー部材50によって被覆されているものの、複数の支持体51の下面がカバー部材50によって被覆されていない形態が含まれる。カバー部材50は、全ての支持体51の上面を一体に覆っている。カバー部材50は、かまち部26aに固定されている。
【0045】
そして本実施形態では、支持台11が、支持台の支持構造70により支持されている。複数の支持体51はそれぞれ、架台12のボトムフレーム40により支持されていて、ボトムフレーム40は、支持台11における支持体51をそれぞれ支持している。ボトムフレーム40は、各支持体51における支持板26の下面に固定されている。
支持体の支持構造70では、
図10に示すように、複数の支持体51のうちの一部である可動支持体52が、ボトムフレーム40に対して前後動自在に支持されている。図示の例では、複数の支持体51のうち、前座面部21bを構成する支持体51が可動支持体52であり、ボトムフレーム40の腿フレーム43に対して前後動自在に支持されている。なお、複数の支持体51のうち、前座面部21b以外を構成する支持体51が可動支持体52とされ、ボトムフレーム40のうち、腿フレーム43以外の部分に前後動自在に支持されてもよい。
【0046】
また、支持台の支持構造70は、支持体51およびボトムフレーム40の前後方向Xの相対変位を許容し、かつ左右方向Yの相対変位を規制する規制部60を備えている。規制部60は、支持体51およびボトムフレーム40のうちのいずれか一方に配設された案内部61と、いずれか他方に配設され、案内部61により前後方向Xに案内される被案内部62と、を備えている。
【0047】
図示の例では、案内部61は、ボトムフレーム40の腿フレーム43に配設されている。案内部61は、上方および下方に向けて開口し、かつ前後方向Xに沿って延びる長孔63である。被案内部62は、支持台11における前座面部21bに配設され、長孔63内に上下方向Zに挿入された軸部材64である。長孔63は腿フレーム43を上下方向Zに貫いている。
【0048】
図9に示すように、長孔63は左右方向Yに間隔をあけて1対配設されるとともに、前後方向Xに間隔をあけて2組配設されている。複数の長孔63は、互いに同形同大をなしている。2組の長孔63は、腿フレーム43の前後方向Xの中央部の間を挟むように前後方向Xに間隔をあけて配設されている。なお、このような態様に限られず、長孔63の位置や数量、形状は任意に変更可能である。
図10に示すように、軸部材64は、腿フレーム43の下方から長孔63内に挿入されている。軸部材64は、前座面部21bに4つ配設され、複数の長孔63に各別に挿入されている。軸部材64は、身体支持装置10がチェアポジションP1であるときに、長孔63内のうち、後側X2の端部に位置している。軸部材64は、例えば、ボルトによって形成することができる。
【0049】
支持台11の前座面部21bにおける支持板26には、支持板26を上下方向Zに貫通する取付け孔26bが形成されている。取付け孔26bは、前座面部21bにおける支持板26に4つ形成されている。取付け孔26bに軸部材64が各別に取付けられている。なお、取付け孔26bの数量は、軸部材64の数量に合わせて任意に変更可能である。
【0050】
次にこのような身体支持装置10における支持台11の形態変化について説明する。
図3に示すベッドポジションP2から、
図1に示すチェアポジションP1に支持台11の形態を変化させる過程において、前座面部21bを支持する腿フレーム43における前側X1の端部は、後側X2の端部回りに上方に向けて回動する。また、レッグレスト23を支持する脚フレーム44における後側X2の端部は、前述した前座面部21bの回動に伴って上方に向けて変位する。また、脚フレーム44における前側X1の端部は、後側X2の端部回りに下方に向けて回動する。
【0051】
この際、カバー部材50のうち、前座面部21bとレッグレスト23との間に位置する部分(以下、第1屈曲部という)S1は、脚フレーム44の回動中心となる脚フレーム44の後側X2の端部から、支持台11の上下方向Zの大きさだけ上方に離間している。このため、カバー部材50の第1屈曲部S1における変形量が、支持台11の上下方向Zの大きさに応じて大きくなり、カバー部材50の第1屈曲部S1に、前側X1に向けた引張力が加えられる。この引張力により前座面部21bが前方に向けて付勢され、前座面部21bの軸部材64が、腿フレーム43の長孔63に案内されながら、長孔63内を前側X1に向けて移動し、前座面部21bの可動支持体52が腿フレーム43に対して前方に向けて相対変位する。これにより、カバー部材50の第1屈曲部S1に加えられた引張力が緩和される。
【0052】
またこの際、カバー部材50のうち、後座面部21aと前座面部21bとの間に位置する部分(以下、第2屈曲部という)S2は、腿フレーム43の回動中心となる腿フレーム43の後側X2の端部から、支持台11の上下方向Zの大きさだけ上方に離間している。このため、カバー部材50の第2屈曲部S2における変形量が大きくなり、カバー部材50の第2屈曲部S2に弛みが生じる。この弛みが、前述した前座面部21bの、腿フレーム43に対する前方に向けた相対変位により解消される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る支持台の支持構造70によれば、カバー部材50が支持台11における複数の支持体51を一体に被覆しているので、支持台11の洗浄時の清拭性を容易に確保することができる。
また、支持体51のうちの一部である可動支持体52が、ボトムフレーム40に対して前後動自在に支持されているので、ボトムフレーム40が移動することで複数の支持体51の形態が変化した際に、カバー部材50に弛みや伸びが生じた場合には、可動支持体52およびボトムフレーム40が、互いに前後方向Xに相対変位することが可能となり、支持体51およびボトムフレーム40の互いの位置を、カバー部材50に負担がかかりにくい位置に調整することができる。これにより、カバー部材50の劣化を抑えるとともに、支持台11の外観が損なわれることが無い。
【0054】
また、規制部60を備えているので、可動支持体52およびボトムフレーム40の前後方向Xの相対変位を許容しながら、左右方向Yの相対変位を規制することができる。
また、規制部60が案内部61および被案内部62を備えるので、可動支持体52およびボトムフレーム40の前後方向Xの相対変位を許容しながら、確実に左右方向Yの相対変位を規制することができる。
【0055】
また、案内部61および被案内部62が、長孔63および軸部材64で構成されているので、案内部61および被案内部62に、例えば互いに係合する二つの部材を採用するような構成と比較して、案内部61および被案内部62の部品点数の増加を抑え、簡易な構成とすることができる。
【0056】
また、使用者を支持する支持台11と、支持台11の形態を変更可能に支持する架台12と、を備え、前述した支持台の支持構造70により、支持台11が支持されているので、身体支持装置10において、前述した各作用効果を奏することができる。
【0057】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態においては、支持台の支持構造70が、可動支持体52およびボトムフレーム40の前後方向Xの相対変位を許容し、かつ左右方向Yの相対変位を規制する規制部60を備える構成を示したが、このような態様に限られない。支持台の支持構造70は、規制部60を備えなくてもよい。
【0059】
また、上記実施形態においては、規制部60が、支持体51およびボトムフレーム40のうちのいずれか一方に配設された案内部61、およびいずれか他方に配設され、案内部61により前後方向Xに案内される被案内部62を備えた構成を示したが、このような態様に限られない。規制部60は、案内部61および被案内部62を備えなくてもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、案内部61が、上方および下方のうちのいずれか一方に向けて開口し、かつ前後方向Xに沿って延びる長孔63であり、被案内部62が、長孔63内に上下方向Zに挿入された軸部材64である構成を示したが、このような態様に限られない。案内部61および被案内部62は、例えばスライドレールを構成するレール部材とスライド部材等のように、長孔63および軸部材64以外の構成であってもよい。
【0061】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 身体支持装置
11 支持台
12 架台
25 クッション部
40 ボトムフレーム
50 カバー部材
51 支持体
52 可動支持体
60 規制部
61 案内部
62 被案内部
63 長孔
64 軸部材
P1 チェアポジション
P2 ベッドポジション