IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 研能科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-流体輸送アクチュエータ 図1
  • 特許-流体輸送アクチュエータ 図2
  • 特許-流体輸送アクチュエータ 図3
  • 特許-流体輸送アクチュエータ 図4
  • 特許-流体輸送アクチュエータ 図5
  • 特許-流体輸送アクチュエータ 図6
  • 特許-流体輸送アクチュエータ 図7
  • 特許-流体輸送アクチュエータ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】流体輸送アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/04 20060101AFI20241107BHJP
   F04B 43/02 20060101ALI20241107BHJP
   F04B 45/047 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
F04B43/04 B
F04B43/02 B
F04B45/047 C
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021081319
(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公開番号】P2021181782
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】109116602
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】508252837
【氏名又は名称】研能科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Microjet Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】NO. 28, R&D 2nd Rd. Science-Based Industrial Park, Hsin-Chu, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】莫皓然
(72)【発明者】
【氏名】張鈞▲イ▼
(72)【発明者】
【氏名】曾俊隆
(72)【発明者】
【氏名】陳世昌
(72)【発明者】
【氏名】廖家▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】黄啓峰
(72)【発明者】
【氏名】韓永隆
(72)【発明者】
【氏名】古暘
(72)【発明者】
【氏名】呂依庭
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/145544(WO,A1)
【文献】特開2013-245649(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0063418(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/04
F04B 43/02
F04B 45/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体輸送アクチュエータは、サイレンシングジェットオリフィスシートと、チャンバーフレームと、アクチュエータと、絶縁フレームと、導電性フレームとを備え、
前記サイレンシングジェットオリフィスシートは、サイレンシングシートと、サスペンションシートと、中空孔とを備え、前記サスペンションシートが屈曲振動でき、前記サスペンションシートの中央部に、前記中空孔が設けられ、前記サイレンシングシートは、前記サスペンションシートの中央部に設けられた前記中空孔を覆うように配置され、
前記チャンバーフレームは、前記サスペンションシートと重ね合わせるように配置され、
前記アクチュエータは、前記チャンバーフレームと重ね合わせるように配置され、前記アクチュエータは、電圧印加によって屈曲振動し、
前記絶縁フレームは、前記アクチュエータと重ね合わせるように配置され、
前記導電性フレームは、前記絶縁フレームと重ね合わせるように配置され、且つ、導電性フレームピンを有し、
前記アクチュエータと前記チャンバーフレームと前記サイレンシングジェットオリフィスシートとで共振チャンバーが形成され、前記アクチュエータは、前記サイレンシングジェットオリフィスシートを駆動させることで、前記サイレンシングジェットオリフィスシートの前記サスペンションシートが往復振動変位して、流体輸送を行う、ことを特徴とする流体輸送アクチュエータ。
【請求項2】
前記アクチュエータは、圧電薄板と圧電厚板と圧電シートとを備え、
前記圧電薄板は、前記チャンバーフレームと重ね合わせるように配置され、
前記圧電厚板は、前記圧電薄板と重ね合わせるように配置され、
前記圧電シートは、前記圧電厚板と重ね合わせるように配置され、前記圧電シートは、電圧印加により、前記圧電薄板及び前記圧電厚板が往復屈曲振動することを駆動させる、ことを特徴とする請求項1に記載の流体輸送アクチュエータ。
【請求項3】
前記圧電薄板及び前記圧電厚板は異なる熱膨張係数を有し、且つ前記圧電薄板及び前記圧電厚板は異なるたわみ度を有し、且つ前記圧電薄板及び前記圧電厚板は異なる剛性を有し、且つ前記圧電薄板及び前記圧電厚板はステンレス鋼でない金属で構成される、ことを特徴とする請求項2に記載の流体輸送アクチュエータ。
【請求項4】
前記圧電薄板は、少なくとも1つの第1辺と、少なくとも1つの第2辺とを備え、前記第1辺の長さは、前記第2辺の長さと同じであり、
前記圧電厚板は、少なくとも1つの第3辺と、少なくとも1つの第4辺とを備え、前記第3辺の長さは、前記第4辺の長さと同じであり、
前記圧電シートは、少なくとも1つの第5辺と、少なくとも1つの第6辺とを備え、前記第5辺の長さは、前記第6辺の長さと同じである、ことを特徴とする請求項3に記載の流体輸送アクチュエータ。
【請求項5】
前記第1辺の長さは、前記第3辺の長さよりも長く、前記第1辺の長さは、前記第5辺の長さよりも長く、前記第3辺の長さは、前記第5辺の長さ以上である、ことを特徴とする請求項4に記載の流体輸送アクチュエータ。
【請求項6】
前記第5辺の長さと前記第3辺の長さとの比が1:1~1:1.5である、ことを特徴とする請求項5に記載の流体輸送アクチュエータ。
【請求項7】
前記第1辺の長さ及び前記第2辺の長さは、5.0~16.0mmである、ことを特徴とする請求項5に記載の流体輸送アクチュエータ。
【請求項8】
前記第3辺の長さ及び前記第4辺の長さは、3.5~9.5mmである、ことを特徴とする請求項5に記載の流体輸送アクチュエータ。
【請求項9】
前記第5辺の長さ及び前記第6辺の長さは、2.95~9.0mmである、ことを特徴とする請求項5に記載の流体輸送アクチュエータ。
【請求項10】
前記圧電薄板は、少なくとも1つの圧電薄板角部を有し、前記少なくとも1つの圧電薄板角部が円角形状であり、円角形状の角Rが2.0mmよりも小さく、前記圧電薄板は、少なくとも1つの非円角形状の圧電薄板角部を有する、ことを特徴とする請求項3に記載の流体輸送アクチュエータ。
【請求項11】
前記圧電厚板は、少なくとも1つの圧電厚板角部を有し、前記少なくとも1つの圧電厚板角部が円角形状であり、円角形状の角Rが2.0mmよりも小さい、ことを特徴とする請求項3に記載の流体輸送アクチュエータ。
【請求項12】
前記圧電厚板は圧電厚板の厚さを有し、前記圧電厚板の厚さが0.05~0.5mmである、ことを特徴とする請求項11に記載の流体輸送アクチュエータ。
【請求項13】
前記圧電シートは、4つの圧電シート角部を有し、前記圧電シート角部が直角形状である、ことを特徴とする請求項3に記載の流体輸送アクチュエータ。
【請求項14】
前記圧電薄板は圧電薄板の厚さを有し、前記圧電薄板の厚さが0.05~0.2mmである、ことを特徴とする請求項13に記載の流体輸送アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体輸送アクチュエータに関し、特に、異なる金属材料の構成要素で構成された流体輸送アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体輸送アクチュエータは、複数の機械的な構成要素を組み立て構成されており、装置全体の体積を減少して薄型化の目標を達成するために、各機械的な構成要素を小型化及び薄型化にすることを採用している。しかし、機械部品の小型化後は、寸法を精確に制御することは容易でなく、また、組立精度を維持するのも困難となるため、製品の歩留まり又は流体流量が不安定などの問題が生じる場合がある。また、機械部品が小型化されることにつれて、動作時、単一素材で構成された流体輸送アクチュエータの構造的靭性が不十分であり、干渉及び駆動点の認識が不明確などの問題が生じる場合もある。
【0003】
また、従来の流体輸送アクチュエータでは、輸送された流体が効果的に収集できないか、構成要素の寸法が小さすぎることによる流体推進力及び流体供給流量が不十分などの問題も生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、流体輸送アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によって提供される流体輸送アクチュエータは、サイレンシングジェットオリフィスシートと、チャンバーフレームと、アクチュエータと、絶縁フレームと、導電性フレームとを備え、前記サイレンシングジェットオリフィスシートは、サイレンシングシートと、サスペンションシートと、中空孔とを備え、前記サスペンションシートが屈曲振動(折れ曲がるような振動)できる。前記サスペンションシートの中央部に、前記中空孔が設けられ、前記サイレンシングシートは、前記サスペンションシートの中央部に設けられた前記中空孔を覆うように配置され、前記チャンバーフレームは、前記サスペンションシートと重ね合わせるように配置され、前記アクチュエータは、前記チャンバーフレームと重ね合わせるように配置され、前記アクチュエータは、電圧印加によって屈曲振動し、前記アクチュエータは圧電薄板ピンを有し、前記絶縁フレームは、前記アクチュエータと重ね合わせるように配置され、前記導電性フレームは、前記絶縁フレームと重ね合わせるように配置され、且つ、導電性フレームピンを有し、前記アクチュエータと前記チャンバーフレームと前記サイレンシングジェットオリフィスシートとで共振チャンバーが形成され、前記アクチュエータは、前記サイレンシングジェットオリフィスシートの共振を駆動させることで、前記サイレンシングジェットオリフィスシートの前記サスペンションシートが往復振動変位して、流体輸送を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1角度から見た本発明の流体輸送アクチュエータの分解図である。
図2】第2角度から見た本発明の流体輸送アクチュエータの分解図である。
図3】本発明の流体輸送アクチュエータの正面図である。
図4】本発明の流体輸送アクチュエータの背面図である。
図5図3に示す流体輸送アクチュエータの寸法を理解するための符号を示す図である。
図6図3に示す流体輸送アクチュエータの4つの角部の符号を示す図である。
図7図6に示す流体輸送アクチュエータのA-A接線の断面図である。
図8図3に示す流体輸送アクチュエータの厚みを理解するための符号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特徴及び利点を具体化する実施形態は、以下の内容において詳細に説明する。本発明には、様々な変更を加えることが可能であるが、その変更が本発明の範囲から逸脱するものではない。また、以下の説明及び図面は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0008】
本発明に関する図面において、左下に示す角方位(M、N、O、P)又は辺方位(W、X、Y、Z)は、流体輸送アクチュエータの方向、各角部及び各辺を明確に定義・理解するためのものである。
【0009】
本発明に提供される流体輸送アクチュエータは、図1及び図2に示されている。流体輸送アクチュエータ21は、サイレンシングジェットオリフィスシート211と、チャンバーフレーム212と、アクチュエータ213と、絶縁フレーム214と、導電性フレーム215とを備える。前記サイレンシングジェットオリフィスシート211は、サイレンシングシート211aと、サスペンションシート211bと、中空孔211cとを備える。前記サスペンションシート211bが屈曲振動できる。前記サスペンションシート211bの中央部に、前記中空孔211cが設けられ、前記サイレンシングシート211aが、前記サスペンションシート211bの中央部に設けられた前記中空孔211cを覆うように固定されている。前記チャンバーフレーム212は、前記サスペンションシート211bと重ね合わせるように配置されている。前記アクチュエータ213は、前記チャンバーフレーム212と重ね合わせるように配置され、前記アクチュエータ213は、電圧を印加すると往復屈曲振動する。前記アクチュエータ213には、圧電薄板ピン213eを備える。前記絶縁フレーム214は、前記アクチュエータ213と重ね合わせるように配置される。前記導電性フレーム215は、前記絶縁フレーム214と重ね合わせるように配置される。前記導電性フレーム215には、導電性フレームピン215eが設けられる。前記アクチュエータ213と前記チャンバーフレーム212と前記サイレンシングジェットオリフィスシート211との間に、共振チャンバーが形成されており、前記アクチュエータ213の駆動により、前記サイレンシングジェットオリフィスシート211が共振し、前記サイレンシングジェットオリフィスシート211の前記サスペンションシート211bを往復振動変位させる。これによって、流体輸送が実現できる。本発明の流体輸送アクチュエータ21のアクチュエータ213は、圧電薄板213aと、圧電厚板213bと、圧電シート213cとを備える。前記圧電薄板213aは、前記チャンバーフレーム212と重ね合わせるように配置されている。前記圧電薄板ピン213eは、前記圧電薄板213aの凸部である。前記圧電厚板213bは、前記圧電薄板213aと重ね合わせるように配置される。前記圧電シート213cは、前記圧電厚板213bと重ね合わせるように配置される。前記圧電シート213cは、電圧を印加すると、前記圧電薄板213a及び圧電厚板213bが往復屈曲振動することを駆動させる。
【0010】
本発明の実施形態では、流体輸送アクチュエータ21は、サイレンシングジェットオリフィスシート211と、チャンバーフレーム212と、アクチュエータ213と、絶縁フレーム214と、導電性フレーム215とを順に積み重ねたものである。サイレンシングジェットオリフィスシート211は、サイレンシングシート211aと、サスペンションシート211bと、中空孔211cとを備える。サスペンションシート211bは、4つのサスペンションシート角部(R1M、R1N、R1O及びR1P)を有する。サスペンションシート211bが電力駆動により屈曲振動できる。サスペンションシート211bの中央部に、中空孔211cが設けられている。サイレンシングシート211aは、サスペンションシート211bの中空孔211cの上方部に隣接する。チャンバーフレーム212は、4つのチャンバーフレーム角部(R2M、R2N、R2O及びR2P)を有する。チャンバーフレーム212は、サスペンションシート211bと重ね合わせるように配置されている。アクチュエータ213は、チャンバーフレーム212と重ね合わせるように配置される。アクチュエータ213は、圧電薄板213aと、圧電厚板213bと、圧電シート213cとを備える。アクチュエータ213は、電圧印加により、往復屈曲振動する。アクチュエータ213は、圧電薄板ピン213eを有する。圧電薄板ピン213eは、圧電薄板213aの凸部であり、電圧印加の接続のために用いられている。圧電薄板213aは、チャンバーフレーム212と重ね合わせるように配置される。圧電厚板213bは、圧電薄板213aと重ね合わせるように配置される。圧電シート213cは、圧電厚板213bと重ね合わせるように配置される。圧電シート213cは印加電圧により変形して、圧電薄板213a及び圧電厚板213bが往復屈曲振動することを駆動させる。絶縁フレーム214は、4つの絶縁フレーム角部(R4M、R4N、R4O及びR4P)を有する。絶縁フレーム214は、アクチュエータ213と重ね合わせるように配置され、すなわち、絶縁フレーム214は、アクチュエータ213の圧電薄板213aと重ね合わせるように配置される。導電性フレーム215は、絶縁フレーム214と重ね合わせるように配置される。導電性フレーム215は、導電性フレームピン215eを備える。導電性フレームピン215eは、導電性フレーム215の凸部であり、電圧印加の接続のために用いられている。アクチュエータ213とチャンバーフレーム212とサイレンシングジェットオリフィスシート211との間は、共振チャンバーを形成し、アクチュエータ213の駆動により、サイレンシングジェットオリフィスシート211が共振し、サイレンシングジェットオリフィスシート211のサスペンションシート211bが往復振動変位する。これによって、流体輸送が実現する。
【0011】
本発明の流体輸送アクチュエータ21では、圧電薄板213a及び圧電厚板213bは、異なる熱膨張係数、異なるたわみ度、異なる剛性を有する、ステンレス鋼でない金属である。
【0012】
圧電薄板213a及び圧電厚板213bは、異なる熱膨張係数を有するため、その異なる熱膨張係数の金属材料で構成されたアクチュエータ213は、共振周波数の重なり(共振周波数帯は重なりがあることによる干渉)を回避し、隣接する共振周波数による駆動周波数の干渉を防ぐことができる。また、アクチュエータ213の抵抗(インピーダンスまたはリアクタンス)が低減され、アクチュエータ213の動作効率を改善するための効果的な電気駆動を達成することができる。従来の単一素材(ステンレス鋼など)で構成されたアクチュエータは、マイクロブロワーアクチュエータを駆動する場合、強度や靭性が不足し、干渉を受けやすい。本発明の実施形態によって提供されるアクチュエータ21では、圧電薄板213a又は圧電厚板213bの一方の材料がリン青銅であってもよく、圧電薄板213a及び圧電厚板213bは両方ともリン青銅であっても良い。両方ともリン青銅である場合、リン青銅の化学組成比が異なる。化学組成比が異なることによって、熱膨張係数、たわみ度及び剛性が異なる。
【0013】
図3及び図4は、図1及び図2に示す構成を組み立てた構造の概念図である。図5は、図3に示す要素の寸法を示す概念図である。本発明の流体輸送アクチュエータ21では、圧電薄板213aは、少なくとも1つの第1辺L3aWYと、少なくとも1つの第2辺L3aXZとを有し、第1辺L3aWYの長さは、第2辺L3aXZの長さと同じである。圧電厚板213bは、少なくとも1つの第3辺L3bWYと、少なくとも1つの第4辺L3bXZとを有し、第3辺L3bWYの長さは、第4辺L3bXZの長さと同じである。圧電シート213cは、少なくとも1つの第5辺L3cWYと少なくとも1つの第6辺L3cXZを有し、第5辺L3cWYの長さは、第6辺L3cXZの長さと同じである。
【0014】
圧電薄板213aは、2つの第1辺L3aWYと、2つの第2辺L3aXZと、全部で4つの辺を有する。圧電薄板213aは正方形であるが、これには限定されない。他の実施形態では、圧電薄板213aが環形状、円形状、長方形状、又は多辺形状であっても良い。圧電厚板213bは、2つの第3辺L3bWYと、2つの第4辺L3bXZと、全部で4つの辺を有する。圧電厚板213bは正方形であるが、これには限定されない。他の実施形態では、圧電厚板213bが環形状、円形状、長方形状、又は多辺形状であっても良い。圧電シート213cは、2つの第5辺L3cWYと、2つの第6辺L3cXZと、全部で4つの辺を有する。圧電シート213cは正方形であるが、これには限定されない。他の実施形態では、圧電シート213cが環形状、円形状、長方形状、又は多辺形状であっても良い。導電性フレーム215が凸部を有しない(すなわち、導電性フレームピン215eを備えない)場合は、2つの第9辺L5WYBと、2つの第8辺L5XZと、全部で4つの辺を有する。なお、凸部を備える導電性フレーム215の最も長い辺が第7辺L5WYAである。
【0015】
図6は、図3の4つの角部を示す符号を示す概念図である。本発明の流体輸送アクチュエータ21では、前記圧電薄板213aは、少なくとも1つの圧電薄板角部(R3aN、R3aO、又はR3aP)を有し、前記圧電薄板角部が円角形状(fillet)であり、円角形状の角Rが2.0mmよりも小さい。圧電薄板213aは、少なくとも1つの圧電薄板角部(R3aM)を有し、前記圧電薄板角部(R3aM)が非円角形状である。本発明の流体輸送アクチュエータ21では、前記圧電厚板213bは、少なくとも1つの圧電厚板角部(R3bM、R3bN、R3bO、又はR3bP)を有し、前記圧電厚板角部(R3bM、R3bN、R3bO、又はR3bP)が円角形状であり、円角形状の角Rが2.0mmよりも小さい。本発明の流体輸送アクチュエータ21では、前記圧電シート213cは、4つの圧電シート角部(R3cM、R3cN、R3cO、及びR3cP)を有し、前記4つの圧電シート角部(R3cM、R3cN、R3cO、及びR3cP)が直角形状である。
【0016】
圧電シート213cは、4つの角部を有し、それぞれ、圧電シート角部R3cM、圧電シート角部R3cN、圧電シート角部R3cO、及び圧電シート角部R3cPである。当該4つの角部が直角形状である。なお、圧電シート213cの4つの角部は、実需要に応じて変更することができ、例えば、当該4つの角部の一部又は全部を直角形状、斜角形状(bevel)、又は多辺形状にしても良い。圧電厚板213bは、4つの角部を有し、それぞれ、圧電厚板角部R3bM、圧電厚板角部R3bN、圧電厚板角部R3bO、及び圧電厚板角部R3bPである。当該4つの角部が円角形状であり、円角形状の角Rが2.0mmよりも小さい。なお、圧電厚板213bの4つの角部は、実需要に応じて変更することができ、例えば、当該4つの角部の一部又は全部を直角形状、斜角形状、又は多辺形状にしても良い。圧電薄板213aは、4つの角部を有し、それぞれ、圧電薄板角部R3aM、圧電薄板角部R3aN、圧電薄板角部R3aO、及び圧電薄板角部R3aPである。なお、圧電薄板213aの圧電薄板角部R3aMが斜角形状であり、圧電薄板角部R3aN、圧電薄板角部R3aO及び圧電薄板角部R3aPは、円角形状であり、円角形状の角Rが2.0mmよりも小さい。圧電薄板213aの4つの角部は、実需要に応じて変更することができ、例えば、当該4つの角部の一部又は全部を直角形状、斜角形状、又は多辺形状にしても良い。導電性フレーム215は、4つの角部を有し、それぞれ、導電性フレーム角部R5M、導電性フレーム角部R5N、導電性フレーム角部R5O、及び導電性フレーム角部R5Pである。なお、導電性フレーム215の導電性フレーム角部R5Mは斜角形状であり、導電性フレーム角部R5N、導電性フレーム角部R5O及び導電性フレーム角部R5Pは円角形状であり、円角形状の角Rが2.0mmよりも小さい。導電性フレーム215の4つの角部は、実需要に応じて変更することができ、例えば、当該4つの角部の一部又は全部を直角形状、斜角形状、又は多辺形状にしても良い。
【0017】
図7は、図6の接線A-Aの断面図である。図8は、図6に示す圧電薄板213a、圧電厚板213b、圧電シート213cの分解構造の寸法を示す図である。本発明の流体輸送アクチュエータ21では、第1辺L3aWYの長さは第3辺L3bWYの長さよりも長い。第1辺L3aWYの長さは第5辺L3cWYの長さよりも長い。第3辺L3bWYの長さは第5辺L3cWYの長さ以上である。本発明の流体輸送アクチュエータ21では、第1辺L3aWYの長さ及び第2辺L3aXZの長さが5.0~16.0mmである。本発明の流体輸送アクチュエータ21では、第3辺L3bWYの長さ及び第4辺L3bXZの長さが3.5~9.5mmである。本発明の流体輸送アクチュエータ21では、第5辺L3cWYの長さ及び第6辺L3cXZの長さが2.95~9.0mmである。
【0018】
すなわち、圧電薄板213aの第1辺L3aWYの長さは、圧電厚板213bの第3辺L3bWYの長さよりも長く、且つ、圧電シート213cの第5辺L3cWYの長さ以上である。なお、本発明の実施形態では、圧電薄板213aの第1辺L3aWYの長さは第2辺L3aXZの長さと同じであり、圧電厚板213bの第3辺L3bWYの長さは第4辺L3bXZの長さと同じであり、圧電シート213cの第5辺L3cWYの長さは第6辺L3cXZの長さと同じであり、導電性フレーム215の第9辺L5WYBの長さは第8辺L5XZの長さと同じであるが、これには限定されない。他の実施形態では、圧電薄板213aの第1辺L3aWYの長さは、第2辺L3aXZの長さと異なっても良く、圧電厚板213bの第3辺L3bWYの長さは、第4辺L3bXZの長さと異なっても良く、圧電シート213cの第5辺L3cWYの長さは、第6辺L3cXZの長さと異なっても良く、導電性フレーム215の第9辺L5WYBの長さは、第8辺L5XZの長さと異なっても良い。本発明の実施形態では、圧電厚板213bの第3辺L3bWYの長さ及び第4辺L3bXZの長さは、8.40mmであり、圧電薄板213aの第1辺L3aWYの長さ及び第2辺L3aXZの長さは、12.80mmであり、導電性フレーム215の第7辺L5WYAの長さは、15.20mmである。なお、これには限定されない。他の実施形態では、第1辺L3aWY、第2辺L3aXZ、第3辺L3bWY、第4辺L3bXZ、第5辺L3cWY、第6辺L3cXZ、第7辺L5WYA、第8辺L5XZ及び第9辺L5WYBの長さは、実需要に応じて調整することができる。
【0019】
本発明の流体輸送アクチュエータは、第5辺L3cWYの長さと第3辺L3bWYの長さの比は、1:1~1:1.5である。すなわち、圧電シート213cの第5辺L3cWYの長さは、第3辺L3bWYの長さ以下である。
【0020】
本発明の流体輸送アクチュエータでは、前記圧電厚板213bは、圧電厚板の厚さT3bを有し、前記圧電厚板の厚さT3bが0.05~0.5mmである。本発明の流体輸送アクチュエータでは、前記圧電薄板213aは圧電薄板の厚さT3aを有し、前記圧電薄板の厚さT3aが0.05~0.2mmである。アクチュエータ213の厚さは、圧電薄板213aの圧電薄板の厚さT3aと、圧電厚板213bの圧電厚板の厚さT3bと、圧電シート213cの圧電シートの厚さT3cの和である。圧電厚板の厚さT3bが0.05~0.5mmであり、圧電薄板の厚さT3aが0.05~0.2mmであり、圧電厚板の厚さT3bは圧電薄板の厚さT3aよりも厚い。
【0021】
上述したように、本発明によって提供される流体輸送アクチュエータは、異なる熱膨張係数、異なる程度のたわみ、および異なる剛性を有する金属で構成されたアクチュエータの圧電薄板及び圧電厚板を備えることによって、従来の単一素材の流体輸送アクチュエータの動作抵抗を改善し、隣接する共振終発によって引き起こされる駆動周波数の干渉を回避するとともに、リン青銅材料で構成され、構造強度と靭性を強化し、圧電厚板の丸角構造の設計によって圧電薄板への物理的損傷の影響を低減する効果を奏することができる。
【0022】
本発明は、当業者によって様々な形態に変更することができるが、それらのいずれも、本発明の特許請求の範囲に含まれている。
【符号の説明】
【0023】
21:流体輸送アクチュエータ
211:サイレンシングジェットオリフィスシート
211a:サイレンシングシート
211b:サスペンションシート
211c:中空孔
212:チャンバーフレーム
213:アクチュエータ
213a:圧電薄板
213b:圧電厚板
213c:圧電シート
213e:圧電薄板ピン
214:絶縁フレーム
215:導電性フレーム
215e:導電性フレームピン
A-A:接線
L3aWY:第1辺
L3bWY:第3辺
L3cWY:第5辺
L3aXZ:第2辺
L3bXZ:第4辺
L3cXZ:第6辺
L5XZ:第8辺
L5WYA:第7辺
L5WYB:第9辺
M、N、O、P:角方位
R1M、R1N、R1O、R1P:サスペンションシート角部
R2M、R2N、R2O、R2P:チャンバーフレーム角部
R3aM、R3aN、R3aO、R3aP:圧電薄板角部
R3bM、R3bN、R3bO、R3bP:圧電厚板角部
R3cM、R3cN、R3cO、R3cP:圧電シート角部
R4M、R4N、R4O、R4P:絶縁フレーム角部
R5M、R5N、R5O、R5P:導電性フレーム角部
T3a:圧電薄板の厚さ
T3b:圧電厚板の厚さ
T3c:圧電シートの厚さ
W、X、Y、Z:辺方位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8