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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20241107BHJP
   A47C 3/03 20060101ALI20241107BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
A61H7/00 323H
A47C3/03
A47C7/62 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021095942
(22)【出願日】2021-06-08
(65)【公開番号】P2022187770
(43)【公開日】2022-12-20
【審査請求日】2024-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 吉祥
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108618434(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
A47C 3/03
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の臀部及び大腿部を支持する座部を有する椅子部と、
被施療者を施療する施療部と、
前記施療部を制御する制御部と、
前記椅子部の少なくとも前後方向及び左右方向における揺動を検知するセンサと、
を備え、
前記椅子部は、
一端が支持部材の吊り下げ部に接続される接続部材と、
前記接続部材の他端が接続される取付部と、
をさらに有し、
前記椅子部は、前記接続部材を介して前記支持部材から吊り下げられて、前記支持部材によって少なくとも水平方向において揺動可能に支持され
前記制御部は、前記センサの検知結果に基づいて、前記施療部を制御する、マッサージ機。
【請求項2】
前記接続部材の一端は、1個の前記吊り下げ部に接続され、
上下方向から見て、前記座部は、前記吊り下げ部と重なる、請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記施療部は、前記座部に配置される第1施療部を有し、
前記第1施療部は、被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかを施療する第1施療子を有する、請求項1又は請求項に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記施療部は、前記座部に配置される第1施療部を有し、
前記第1施療部は、
被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかを施療する第1施療子と、
前記第1施療子を上下方向に移動させる第1移動部と、
を有し、
前記制御部は、前記センサによる前記椅子部の前後方向における揺動の検知結果に基づいて、前記第1施療子及び前記第1移動部のうちの少なくともどちらかを駆動する第1施療制御部を有する、請求項1又は請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記椅子部は、前記座部の後方に配置され、被施療者の胴体を支持する背凭れ部を有し、
前記施療部は、前記背凭れ部に配置される第2施療部を有し、
前記第2施療部は、被施療者の腰部、背中、及び肩部のうちの少なくともいずれかを施療する第2施療子を有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記椅子部は、前記座部の後方に配置され、被施療者の胴体を支持する背凭れ部を有し、
前記施療部は、前記背凭れ部に配置される第2施療部を有し、
前記第2施療部は、
被施療者の腰部、背中、及び肩部のうちの少なくともいずれかを施療する第2施療子と、
前記第2施療子を前後方向に移動させる第2移動部と、
を有し、
前記制御部は、前記センサによる前記椅子部の前後方向における揺動の検知結果に基づいて、前記第2施療子及び前記第2移動部のうちの少なくともどちらかを駆動する第2施療制御部を有する、請求項又は請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記背凭れ部は、少なくとも上下方向に延びるガイド部をさらに有し、
前記第2施療部は、前記ガイド部に沿って上下方向に移動する移動機構をさらに有する、請求項又は請求項に記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記椅子部は、前記座部の少なくとも左右方向の一方側に立設される立設部をさらに有し、
前記施療部は、前記立設部に配置される第3施療部を有し、
前記第3施療部は、被施療者の大腿部を施療する第3施療子を有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記椅子部は、前記座部の少なくとも左右方向の一方側に立設される立設部をさらに有し、
前記施療部は、前記立設部に配置される第3施療部を有し、
前記第3施療部は、被施療者の大腿部を施療する第3施療子を有し、
前記制御部は、前記センサによる前記椅子部の左右方向における揺動の検知結果に基づいて、前記第3施療子を駆動する第3施療制御部を有する、請求項、請求項、及び請求項のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロッキングチェアのように、揺動により被施療者にリラックス効果を与える椅子が知られている。たとえば、特許文献1には、椅子本体に着座する被施療者をマッサージする椅子が記載されている。この椅子は、揺動機構部により、床面に接地されるベース部に対して椅子本体を前後に揺動するロッキング動作が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-221132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のマッサージ機能を有する椅子では、椅子本体の揺動は前後にのみ可能である。そのため、被施療者によっては、前後の揺動のみでは不満を感じたり、椅子本体の揺動が不自然に感じたりすることがある。この場合、被施療者は精神的に十分にはリラックスできず、マッサージにより提供されるリラックス効果も低減する虞がある。
【0005】
本発明は、上記の状況を鑑みて、より自然な揺動を体感できる環境で被施療者を施療することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の一の態様によるマッサージ機は、座部を有する椅子部と、施療部と、制御部と、を備える。前記座部は、被施療者の臀部及び大腿部を支持する。前記施療部は、被施療者を施療する。前記制御部は、前記施療部を制御する。前記椅子部は、接続部材と、取付部と、をさらに有する。前記接続部材の一端が支持部材の吊り下げ部に接続される。前記取付部には、前記接続部材の他端が接続される。前記椅子部は、前記接続部材を介して前記支持部材から吊り下げられて、前記支持部材によって少なくとも水平方向において揺動可能に支持される。
【0007】
本発明の更なる特徴や利点は、以下に示す実施形態によって一層明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、より自然な揺動を体感できる環境で被施療者を施療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】左右方向から見たマッサージ機の側面図
図2】マッサージ機の正面図
図3】マッサージ機の外観を示す斜視図
図4A】椅子部が前方に揺動した状態を示す側面図
図4B】椅子部が後方に揺動した状態を示す側面図
図5A】椅子部が左方に揺動した状態を示す正面図
図5B】椅子部が右方に揺動した状態を示す正面図
図6】マッサージ機の動作を制御する制御系を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
以下の説明において、マッサージ機300の椅子部100に着座した被施療者から見て、前側(正面側)を「前方」といい、被施療者から見て後側(背面側)を「後方」という。また、マッサージ機300に着座した被施療者から見て、鉛直上方(頭側)を「上方」といい、鉛直下方(脚側)を「下方」という。また、マッサージ機300に着座した被施療者から見て、右側を「右方」といい、左側を「左方」という。
【0012】
図1は、左右方向から見たマッサージ機300の側面図である。図2は、マッサージ機300の正面図である。図3は、マッサージ機300の外観を示す斜視図である。図4Aは、椅子部100が前方に揺動した状態を示す側面図である。図4Bは、椅子部100が後方に揺動した状態を示す側面図である。図5Aは、椅子部100が左方に揺動した状態を示す正面図である。図5Bは、椅子部100が右方に揺動した状態を示す正面図である。なお、図1及び図4A図4Bは、椅子部100の左右方向の中央において、左右方向と垂直な仮想の平面でマッサージ機300を切断した場合の断面構造を示す。また、図1では、構成を見易くするため、後述する座部1のカバー部11、背凭れ部2のカバー部21、及びヘッドレスト3については、その輪郭のみを点線で示す。また、図1図5Bにおいて、符号Fは前方を示し、符号Bは後方を示す。符号Uは上方を示し、符号Dは下方を示す。符号Rは右方を示し、符号Lは左方を示す。
【0013】
<1.マッサージ機300>
本実施形態のマッサージ機300は、図1に示すように、被施療者が着座する椅子部100と、椅子部100が吊り下げられる支持部材200と、を備える。支持部材200は、ベース部201と、柱部202と、アーム部203と、吊り下げ部204と、を有する。ベース部201は、本実施形態では床面に載置され、柱部202を支持する。なお、ベース部201は、ボルトなどによって床面に固定されてもよい。柱部202は、ベース部201から上方に延びる。アーム部203は、柱部202の上端から延び、上方に向かうにつれて前方に曲がる。吊り下げ部204は、アーム部203の先端部に配置される。椅子部100は、吊り下げ部204から揺動可能に吊り下げられる。好ましくは、吊り下げ部204は、スプリング(図示省略)などの弾性部材を介して、椅子部100と接続される。こうすれば、椅子部100の上下動を弾性部材で緩和できる。また、吊り下げ部204は、複数であってもよいが、好ましくは本実施形態のように単数である。
【0014】
<2.椅子部100>
椅子部100は、いわゆるハンギングチェアであり、前方側の部分が斜めに切除された球形又は卵型である。前方側の切除された部分の外縁は、開口部100aの外縁である。開口部100aを通じて、被施療者は、椅子部100の内部に出入りできる。
【0015】
椅子部100は、フレーム101と、壁部102と、取付部103と、接続部材104と、第1収容部105と、第2収容部106と、ポンプ107と、バッテリー108と、を有する。言い換えると、マッサージ機300は、これらを備える。
【0016】
フレーム101は、椅子部100の骨格である。本実施形態では、フレーム101は、環状であり、開口部100aの外縁に沿って配置される。フレーム101の材料は、本実施形態では籐、竹などの植物由来の天然素材であるが、この例示に限定されず、金属材料、樹脂材料が用いられてもよい。たとえば、フレーム101は、金属製又は樹脂製のパイプであってもよい。
【0017】
壁部102は、椅子部100の外壁であり、椅子部100の表面に沿って広がる。言い換えると、壁部102は、前方側の部分が斜めに切除された球形又は卵型の筐体である。本実施形態では、壁部102は、籐を網目状に編んだ構造である。壁部102を網目構造とすることで、椅子部100に着座する被施療者は、壁部102越しに椅子部100の外部を見ることができる。従って、被施療者は、閉塞感を感じ難く、リラックスし易くなる。但し、この例示に限定されず、壁部102には、竹などの他の植物由来の天然素材が用いられてもよいし、金属材料、樹脂材料が用いられてもよい。また、壁部102は、網目状でなくてもよく、たとえば隙間の無い湾曲した壁面であってもよい。
【0018】
取付部103は、接続部材104を介して、吊り下げ部204と接続される。取付部103は、本実施形態ではフレーム101の上端部に固定されるが、壁部102の上端部に固定されてもよい。好ましくは図1に示すように、取付部103は、スプリングなどの弾性部材1031を有する。弾性部材1031の一端は、接続部材104の下端に接続される。弾性部材1031の他端は、取付部103に接続される。取付部103が弾性部材1031を介して接続部材104と接続されることで、椅子部100の上下方向における振動などを弾性部材1031で緩和できる。
【0019】
接続部材104は、線状の部材であり、好ましくは屈曲性を有する。接続部材104は、取付部103と吊り下げ部204とを接続する。接続部材104は、本実施形態では鎖であるが、ワイヤ、縄などであってもよいし、金属製又は樹脂製の棒状部材であってもよい。接続部材104の一端(上端)は、支持部材200の吊り下げ部204に接続される。接続部材104の他端(下端)は、取付部103に接続される。取付部103及び接続部材104はそれぞれ、本実施形態では1個であるが、複数であってもよい。
【0020】
椅子部100は、接続部材104を介して支持部材200から吊り下げられて、支持部材200によって少なくとも水平方向において揺動可能に支持される。こうすれば、椅子部100の吊り下げにより、取付部103及び接続部材104を含む椅子部100は、接続部材104と支持部材200の吊り下げ部204との接続部分を支点にして、円錐形状又は円錐台形状の範囲で移動可能となる。この範囲は、上述の接続部分から鉛直下方に延びる。つまり、椅子部100は、吊り下げ部204に対して前後方向及び左右方向を含む水平方向において自由に揺動できる。そのため、被施療者は、たとえばロッキングチェアなどとは異なり、より自由で自然な揺れを体感できる。
【0021】
好ましくは、接続部材104の一端は、1個の吊り下げ部204に接続される。たとえば、接続部材104が複数であっても、各々の接続部材104の一端は、1個の吊り下げ部204に接続される。こうすれば、接続部材104と吊り下げ部204との接続部分(つまり、揺動する椅子部100の支点)を一箇所にすることができるので、揺動する椅子部100の支点の移動を防止できる。これにより、揺動する椅子部100に着座する被施療者の頭部の水平方向における移動範囲をより狭くできるので、頭部の揺れに伴う不快感を低減できる。よって、被施療者は、よりリラックスした状態で自然な揺れを体感できる。なお、この例示は、接続部材104及び吊り下げ部204がそれぞれ複数である場合に、各々の接続部材104の一端がそれぞれ異なる吊り下げ部204に接続される構成を排除しない。
【0022】
また、本実施形態では、取付部103は、上下方向から見て椅子部100の中央に配置される。但し、取付部103の配置は、この例示に限定されない。たとえば、水平方向における椅子部100の吊り下がるバランスが維持できる程度に、各々の取付部103は、互いに離れた位置に配置されてもよい。たとえば、椅子部100の上部において、2つの取付部103のうちの一方が椅子部100の前後方向又は左右方向の一方側に配置され、他方が椅子部100の前後方向又は左右方向の他方側に配置されてもよい。或いは、椅子部100の上部において、3つの取付部103のうちの1つが椅子部100の左方側に配置され、他の1つが椅子部100の右方側に配置され、残りの1つが椅子部100の前方側又は後方側に配置されてもよい。
【0023】
第1収容部105及び第2収容部106は、壁部102の下方において、壁部102の外面に配置される。なお、この例示に限定されず、第1収容部105の少なくとも一部は、壁部102の内側に配置されてもよい。第2収容部106の少なくとも一部も、壁部102の内側に配置されてもよい。第1収容部105は、後述するセンサ6及び制御部7を収容する。第2収容部106は、ポンプ107及びバッテリー108を収容する。
【0024】
ポンプ107は、電磁弁を介して後述する施療部5のエアバッグに空気を供給する。
【0025】
バッテリー108は、マッサージ機300の電源部であり、たとえばポンプ107、施療部5、制御部7などに電力を供給する。バッテリー108は、本実施形態では充放電可能な二次電池であり、家庭用の電力供給口などと接続される電源線(図示省略)を介して充電できる。
【0026】
次に、椅子部100は、座部1と、背凭れ部2と、ヘッドレスト3と、左右一対の立設部4と、施療部5と、センサ6と、制御部7と、をさらに有する。言い換えると、マッサージ機300は、これらを備える。座部1、背凭れ部2、ヘッドレスト3、立設部4、及び施療部5は、壁部102で囲まれる空間内に収容され、より詳細には壁部102と開口部100aで囲まれる空間内に収容される。
【0027】
座部1は、被施療者の臀部及び大腿部を支持する。座部1は、カバー部11を有する。カバー部11は、座部1のクッション部分である。好ましくは、上下方向から見て、座部1は、吊り下げ部204と重なる。座部1が吊り下げ部204と上下方向に重なることで、椅子部100(特にその上部)の水平方向における移動範囲をより狭くすることができる。従って、揺動する椅子部100に着座する被施療者の頭部の水平方向における移動範囲をさらに狭くできるので、頭部の揺れに伴う不快感を低減できる。よって、被施療者は、よりリラックスした状態で自然な揺れを体感できる。なお、この例示は、上下方向から見て座部1が吊り下げ部204と重ならない構成を排除しない。
【0028】
背凭れ部2は、座部1の後方に配置され、被施療者の胴体を支持する。本実施形態では、胴体は、腰部、背中、及び肩部を含む。背凭れ部2は、座部1の後端部から少なくとも上方に延びる。背凭れ部2は、カバー部21と、左右一対のガイド部22と、を有する。カバー部21は、背凭れ部2のクッション部分である。ガイド部22は、カバー部21の内部に配置されて、少なくとも上下方向に延びる。たとえば、ガイド部22は、本実施形態では壁部102の内面に沿って曲がっている。但し、この例示に限定されず、上端から下端に向かって直線的に延びてもよい。ガイド部22は、後述する移動機構523と係合し、第2施療部52をガイド部22に沿って移動可能に支持する。左右一対のガイド部22は、左側のガイドレール22Lと、右側のラック22Rと、を有する(図2参照)。ラック22Rには、第2施療部52のピニオンギヤ(不図示)と噛み合う複数の歯が、ラック22Rが延びる方向に複数並ぶ。ピニオンギヤの回転駆動により、第2施療部52は、ガイドレール22Lに案内されながら、ガイド部22に沿って上下方向に移動できる。
【0029】
ヘッドレスト3は、背凭れ部2の上方に配置され、被施療者の頭部を支持する。
【0030】
立設部4は、左方の立設部4Lと、右方の立設部4Rと、を有する。立設部4Lは、座部1の左方側に配置され、上下方向及び前後方向に広がる。立設部4Rは、座部1の右方側に配置され、上下方向及び前後方向に広がる。なお、本実施形態の例示に限定されず、立設部4は、立設部4L及び立設部4Rのどちらかのみを有してもよい。つまり、立設部4は、座部1の少なくとも左右方向の一方側に立設されてもよい。
【0031】
施療部5は、被施療者を施療する。マッサージ機300は、施療部5を有することで、少なくとも(前後方向及び左右方向を含む)水平方向に揺動可能な環境で被施療者を施療できる。たとえば、マッサージ機300は、ハンギングチェア特有の自然な揺れによるリラックス効果の提供と、施療部5による施療効果の提供とを両立することができる。よって、マッサージ機300は、より自然な揺動を体感できる環境で被施療者を施療することができる。
【0032】
施療部5は、座部1に配置される第1施療部51を有する。第1施療部51は、第1施療子511を有する。第1施療子511は、被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかを施療する。本実施形態では、第1施療子511は、膨縮可能なエアバッグである。このエアバッグは、ポンプ107から空気が供給されることで膨張し、排気口に繋がる電磁弁が開くことにより収縮する。但し、第1施療子511は、この例示に限定されない。たとえば、第1施療子511は、臀部及び大腿部の下部を押圧しつつ前後方向に移動するローラー装置であってもよい。或いは、第1施療子511は、臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかの下部に揉み玉で押圧又は揉み動作を行う揉み玉装置であってもよい。若しくは、第1施療子511は、臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかに振動を伝える振動装置であってもよい。第1施療子511によって、マッサージ機300は、自然な揺れによりリラックスした被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかをその下方から施療できる。
【0033】
また、第1施療部51は、座部1の上部に配置される温熱ヒーター(図示省略)をさらに有してもよい。温熱ヒーターは、たとえばカバー部11の上面上、又は、該上面と第1施療子511との間に配置でき、被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかを温めることができる。
【0034】
好ましくは、第1施療部51は、第1移動部512をさらに有する。第1移動部512は、第1施療子511を上下方向に移動させる。第1移動部512は、膨縮により第1施療子511を上下方向に移動させるエアバッグを有してもよいし、第1施療子511を上下方向に移動させるアクチュエータを有してもよい。第1移動部512が第1施療子511を上方に移動させることにより、椅子部に着座する被施療者の大腿部及び臀部のうちの少なくともどちらかに向かって第1施療子511を押し付けることができる。従って、第1施療子511の施療効果を向上できる。
【0035】
さらに好ましくは、第1移動部512は、第1施療子511を上方に移動させる際、第1施療子511の前端部を後端部よりも上方に移動させる。椅子部100が前後方向に揺動する際、前方への転倒を防止するため、前側に体重を移動させることが多い。従って、第1施療子511の前端部をより上方に移動させることにより、臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかの下部の前方側を強く施療することができる。
【0036】
但し、これらの例示は、第1施療部51が第1移動部512を有さない構成を排除しない。
【0037】
また、施療部5は、背凭れ部2に配置される第2施療部52をさらに有する。本実施形態では、第2施療部52は、ガイド部22に沿って上下方向に移動可能である。第2施療部52は、第2施療子521を有する。第2施療子521は、被施療者の腰部、背中、及び肩部のうちの少なくともいずれかを施療する。本実施形態では、第2施療子521は、揉み玉5211と、揉み玉5211を駆動する駆動機構5212と、を有する揉み玉装置により構成される。揉み玉装置は、胴体の後部に揉み玉5211で押圧又は揉み動作を行う。但し、第2施療子521は、この例示に限定されない。たとえば、第2施療子521は、胴体の後部を押圧しつつ上下方向に移動するローラー装置であってもよい。或いは、第2施療子521は、膨縮可能なエアバッグであってもよい。若しくは、第2施療子521は、胴体に振動を伝える振動装置であってもよい。第2施療子521によって、マッサージ機300は、自然な揺れによりリラックスした被施療者の腰部、背中、及び肩部のうちの少なくともいずれかをその後方から施療できる。
【0038】
また、第2施療部52は、背凭れ部2の前部に配置される温熱ヒーター(図示省略)をさらに有してもよい。温熱ヒーターは、たとえばカバー部21の前面上、又は、該前面と第2施療子521との間に配置でき、被施療者の胴体の後部を温めることができる。
【0039】
好ましくは、第2施療部52は、第2移動部522をさらに有する。第2移動部522は、第2施療子521を前後方向に移動させる。第2移動部522は、膨縮により第2施療子521を前後方向に移動させるエアバッグを有してもよいし、第2施療子521を前後方向に移動させるアクチュエータを有してもよい。第2移動部522が第2施療子521を前方に移動させることにより、背凭れ部2により支持される被施療者の胴体の後部に向かって第2施療子521を押し付けることができる。従って、第2施療子521の施療効果を向上できる。
【0040】
さらに好ましくは、第2移動部522は、第2施療子521を前方に移動させる際、第2施療子521の前端部及び後端部のうちの一方を他方よりも前方に移動させる。たとえば、第2施療部52が背凭れ部2の上部に位置する場合、第2移動部522は、第2施療子521を前方に移動させる際、第2施療子521の上端部を下端部よりも前方に移動させる。第2施療子521の上端部をより前方に移動させることにより、マッサージ機300は、たとえば第2施療子521を肩部に被せてより効果的に施療できる。また、マッサージ機300は、第2施療子521の上端部を首部に当てて施療することもできる。
【0041】
但し、これらの例示は、第1施療部51が第1移動部512を有さない構成を排除しない。
【0042】
また、第2施療部52は、ガイド部22に沿って上下方向に移動する移動機構523をさらに有する。移動機構523は、たとえば後述する操作部81の操作入力、或いは、後述する記憶部82に格納されたプログラムに応じて駆動する。たとえば、移動機構523は、ガイドレール22Lと係合する。また、移動機構523は、ラック22Rに噛み合うピニオンギヤ(図示省略)を有する。移動機構523は、ピニオンギヤを正回転させることで、第2施療子521及び第2移動部522とともにガイドレール22Lに沿って上方に移動する。また、移動機構523は、ピニオンギヤを逆回転させることで、第2施療子521及び第2移動部522とともにガイドレール22Lに沿って下方に移動する。こうすれば、移動機構523によって、第2施療部52は、ガイド部22に沿って上下方向に移動できる。従って、第2施療部52の移動により、被施療者の胴体の後部のうち、被施療者の肩部側から腰部側までの広い範囲を第2施療部52で施療できる。
【0043】
但し、この例示は、第2施療部52が移動機構523を有さない構成を排除しない。たとえば、第2施療部52は、背凭れ部2の上部、中部、下部のうちの少なくともいずれかに固定配置されてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、背凭れ部2には、1個の第2施療部52が配置される。但し、この例示に限定されず、第2施療部52は、複数であってもよい。こうすれば、各々の第2施療部52により、被施療者の胴体のうちの異なる部位を同時に施療できる。
【0045】
また、施療部5は、立設部4に配置される第3施療部53をさらに有する。第3施療部は、第3施療子531を有する。第3施療子531は、被施療者の大腿部を施療する。本実施形態では、第3施療子531は、膨縮可能なエアバッグである。このエアバッグは、ポンプ107から空気が供給されることで膨張し、排気口に繋がる電磁弁が開くことにより収縮する。但し、第3施療子531は、この例示に限定されない。たとえば、第3施療子531は、大腿部の側部を押圧しつつ前後方向に移動するローラー装置であってもよい。或いは、第3施療子531は、大腿部の側部に揉み玉で押圧又は揉み動作を行う揉み玉装置であってもよい。若しくは、第3施療子531は、大腿部に振動を伝える振動装置であってもよい。第3施療子531によって、マッサージ機300は、自然な揺れによりリラックスした被施療者の大腿部をその側方から施療できる。
【0046】
また、第3施療部53は、立設部4の左右方向の座部側に配置される温熱ヒーター(図示省略)をさらに有してもよい。温熱ヒーターは、たとえば立設部4の左右方向の座部側の端面上、又は、該端面と第3施療子531との間に配置でき、被施療者の大腿部の側部を温めることができる。
【0047】
センサ6は、椅子部100の揺動を検知する。たとえば、センサ6は、椅子部100の少なくとも前後方向及び左右方向における揺動を検知し、その揺動の方向、揺動速度、鉛直方向に対する傾斜角度(以下、揺動角度と呼ぶ。)などをリアルタイムで検知する。センサ6の検知結果は、制御部7に送信される(後述する図6参照)。センサ6には、本実施形態ではジャイロセンサが用いられる。但し、この例示に限定されず、加速度センサなどの他の慣性センサが用いられてもよい。
【0048】
制御部7は、マッサージ機300の動作を制御する。制御部7は、施療部5を制御する。たとえば、制御部7は、センサ6の検知結果に基づいて、施療部5を制御する。こうすれば、マッサージ機300は、椅子部100の揺れ(たとえば揺動方向、揺動の周期など)に応じて被施療者を施療できる。
【0049】
<3.マッサージ機の制御系>
次に、図6を参照して、マッサージ機300の制御系の構成例を説明する。図6は、マッサージ機300の動作を制御する制御系を示すブロック図である。
【0050】
図6に示すように、マッサージ機300は、操作部81と、記憶部82と、駆動回路831~834と、アクチュエータ群84と、電磁弁群85と、をさらに備える。
【0051】
操作部81は、被施療者などの操作入力を受け付け、該操作入力に基づく信号を制御部7に出力する。操作部81は、たとえば無線又は有線のコントローラである。
【0052】
記憶部82は、電力供給が停止しても記憶した情報を保持する非一過性の記憶媒体である。記憶部82は、たとえば、制御部7がマッサージ機300の動作を制御するために必要なプログラム及びデータなどを記憶している。
【0053】
アクチュエータ群84は、複数のアクチュエータを含む。たとえば、アクチュエータ群84は、第1移動部512、第2移動部522、及び移動機構523などに搭載されるアクチュエータを含む。
【0054】
電磁弁群85は、複数の電磁弁を含む。たとえば、複数の電磁弁のうちの一部は、施療部5が有するエアバッグとポンプ107との間に設けられ、両者間の連通/遮断を切り替える。また、複数の電磁弁のうちの他の一部は、上述のエアバッグと排気口との間に設けられ、両者間の連通/遮断を切り替える。たとえば、一部の電磁弁の開放によりポンプ107と上述のエアバッグとが連通すると、ポンプ107からエアバッグに空気が供給されることにより、エアバッグが膨張する。一方、他の一部の電磁弁の開放によりエアバッグが排気口に連通すると、エアバッグ内の空気が排気口からその外部に放出されることにより、エアバッグが収縮する。また、各々の電磁弁の遮断により、エアバッグがポンプ107とも排気口とも連通しなくなると、エアバッグ内の空気量が保持される。
【0055】
制御部7は、駆動回路831~834を介して、アクチュエータ群84、電磁弁群85、ポンプ107、バッテリー108、施療部5をそれぞれ制御する。
【0056】
<4.施療部5の制御>
次に、施療部5の制御について説明する。本実施形態では、制御部7は、センサ6の検知結果に基づいて、椅子部100の揺動の方向、揺動速度、揺動角度などを検出する。制御部7は、第1施療制御部71と、第2施療制御部72と、第3施療制御部73と、を有する(図6参照)。本実施形態では、第1施療制御部71、第2施療制御部72、及び第3施療制御部73は、制御部7の機能的な構成要素である。但し、この例示に限定されず、これらのうちの少なくとも一部又は全部は、物理的な構成要素(たとえば電気回路、素子、装置など)で実現されていてもよい。
【0057】
<4-1.第1施療部51の制御>
第1施療制御部71は、第1施療部51を制御する。詳細には、第1施療制御部71は、センサ6による椅子部100の前後方向における揺動の検知結果に基づいて、第1施療子511及び第1移動部512のうちの少なくともどちらかを駆動する。こうすれば、マッサージ機300は、椅子部100の前後方向の揺れ(たとえば揺動の周期)に応じて、第1施療子511及び第1移動部512のうちの少なくともどちらかを駆動できる。従って、マッサージ機300は、椅子部100の前後方向の揺れに応じて第1施療子511を駆動することで、椅子部100の揺動との相乗効果により第1施療子511の施療効果を向上できる。また、マッサージ機300は、椅子部100の前後方向の揺れに応じて第1移動部512により第1施療子511を上下方向に移動させることで、被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかに第1施療子511を接近/離間させて、たとえば臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかを揉むような施療をすることができる。
【0058】
たとえば、第1施療制御部71は、椅子部100が前後方向に揺動する際、前後方向における揺動周期に応じて第1施療子511を駆動する。本実施形態のように第1施療子511がエアバッグである場合、第1施療制御部71は、椅子部100が最も後方に揺動した時にエアバッグを最も膨張させ、椅子部100が最も前方に揺動した時にエアバッグを最も収縮させる。或いは、これらの逆であってもよい。
【0059】
また、第1施療子511がローラー装置である場合、第1施療制御部71は、椅子部100が後方に揺動する際にはローラーを後方に移動させ、椅子部100が前方に揺動する際にはローラーを前方に移動させる。或いは、これらの逆であってもよい。
【0060】
また、第1施療子511が揉み玉装置である場合、第1施療制御部71は、椅子部100が後方に揺動する時に揉み玉による施療強度を徐々に強くし、椅子部100が前方に揺動する際に揉み玉による施療強度を徐々に弱くする。或いは、これらの逆であってもよい。
【0061】
なお、上述の例示は、あくまで一例であり、第1施療子511の他の動作を排除しない。第1施療制御部71は、このような第1施療子511の駆動を揺動のX周期(Xは1以上の正の整数)毎に実施できる。
【0062】
また、たとえば、第1施療制御部71は、椅子部100が前後方向に揺動する際、前後方向における揺動周期に応じて第1移動部512を駆動する。たとえば、第1移動部512は、椅子部100が後方に揺動する際(図4B参照)には第1施療子511を上方に移動させ、椅子部100が前方に揺動する際(図4A参照)には第1施療子511を下方に移動させる。椅子部100が後方に揺動する際、被施療者の体重は前方側に掛かり易い。そのため、第1施療子511を上方に移動させることで、被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかに第1施療子511をより強く押圧できる。従って、第1施療子511の施療効果をさらに向上できる。但し、この例示は、あくまで一例であり、たとえば逆の動作、つまり、椅子部100が後方に揺動する際に第1施療子511が下方に移動し、椅子部100が前方に揺動する際に第1施療子511が上方に移動する構成を排除しない。
【0063】
第1施療部51は、操作部81の操作入力に応じて、或いは、椅子部100の前後方向における揺動が検知された場合に、第1施療子511及び第1移動部512を駆動する。但し、この例示に限定されず、第1施療部51は、前方への揺動角度θf(図4A参照)及び後方への揺動角度θb(図4B参照)のどちらかが閾値(たとえば5°)を越えた場合に、第1施療子511及び第1移動部512を駆動してもよい。或いは、第1施療部51は、揺動角度θf,θbの両方が閾値(たとえば5°)を越えた場合に、第1施療子511及び第1移動部512を駆動してもよい。
【0064】
なお、センサ6による椅子部100の前後方向における揺動の検知結果に基づく第1施療制御部71の駆動制御は、本実施形態では第1施療子511及び第1移動部512の両方で実施されるが、この例示に限定されず、両者のどちらかのみで実施されてもよい。
【0065】
<4-2.第2施療部52の制御>
第2施療制御部72は、第2施療部52を制御する。詳細には、第2施療制御部72は、センサ6による椅子部100の前後方向における揺動の検知結果に基づいて、第2施療子521及び第2移動部522のうちの少なくともどちらかを駆動する。また、第2施療制御部72は、センサ6による椅子部100の前後方向における揺動の検知結果に基づいて、移動機構523をさらに駆動できる。こうすれば、マッサージ機300は、第2施療子521によって、自然な揺れによりリラックスした被施療者の腰部、背中、及び肩部のうちの少なくともいずれかをその後方から施療できる。さらに、マッサージ機300は、椅子部100の前後方向の揺れ(たとえば揺動の周期)に応じて、第2施療子521及び第2移動部522のうちの少なくともどちらかを駆動できる。従って、マッサージ機300は、椅子部100の前後方向の揺れに応じて第2施療子521を駆動することで、椅子部100の揺動との相乗効果により第2施療子521の施療効果を向上できる。また、マッサージ機300は、椅子部100の前後方向の揺れに応じて第2移動部522により第2施療子521を前後方向に移動させることで、被施療者の腰部、背中、及び肩部のうちの少なくともいずれかの部位に第2施療子521を接近/離間させて、たとえば該部位を揉むような施療をすることができる。
【0066】
たとえば、第2施療制御部72は、椅子部100が前後方向に揺動する際、前後方向における揺動周期に応じて第2施療子521を駆動する。本実施形態のように第2施療子521が揉み玉装置である場合、第2施療制御部72は、椅子部100が前方に揺動する時に揉み玉5211による施療強度を徐々に強くし、椅子部100が後方に揺動する際に揉み玉5211による施療強度を徐々に弱くする。或いは、これらの逆であってもよい。
【0067】
また、第2施療子521がエアバッグである場合、第2施療制御部72は、椅子部100が最も前方に揺動した時にエアバッグを最も膨張させ、椅子部100が最も後方に揺動した時にエアバッグを最も収縮させる。或いは、これらの逆であってもよい。
【0068】
また、第2施療子521がローラー装置である場合、第2施療制御部72は、椅子部100が前方に揺動する際にはローラーを上方に移動させ、椅子部100が後方に揺動する際にはローラーを下方に移動させる。或いは、これらの逆であってもよい。
【0069】
なお、上述の例示は、あくまで一例であり、第2施療子521の他の動作を排除しない。第2施療制御部72は、このような第2施療子521の駆動を揺動のY周期(Yは1以上の正の整数)毎に実施できる。
【0070】
また、第2施療制御部72は、椅子部100が前後方向に揺動する際、前後方向における揺動周期に応じて第2移動部522を駆動する。詳細には、第2移動部522は、椅子部100が前方に揺動する際(図4A参照)には第1施療子511を前方に移動させ、椅子部100が後方に揺動する際(図4B参照)には第1施療子511を後方に移動させる。椅子部100が前方に揺動する際、被施療者の体重は後方側に掛かって、上半身は背凭れ部2に押し付けられ易い。そのため、第2施療子521を前方に移動させることで、被施療者に第2施療子521をより強く押圧できる。従って、第2施療子521の施療効果をさらに向上できる。但し、上述の例示は、あくまで一例であり、たとえば逆の動作、つまり、椅子部100が前方に揺動する際に第1施療子511が後方に移動し、椅子部100が後方に揺動する際に第1施療子511が前方に移動する構成を排除しない。
【0071】
また、第2施療制御部72は、椅子部100が前後方向に揺動する際、前後方向における揺動周期に応じて移動機構523を駆動する。詳細には、移動機構523は、椅子部100が前方に揺動する際(図4A参照)には第2施療部52を上方に移動させ、椅子部100が後方に揺動する際(図4B参照)には第2施療子521を下方に移動させる。椅子部100が前方に揺動する際、被施療者の体重は後方側に掛かって、上半身は背凭れ部2に押し付けられ易い。そのため、第2施療部52を上方に移動させることで、被施療者の背中の上部及び肩部のうちの少なくともどちらかに第2施療子521をより強く押圧できる。また、椅子部100が後方に揺動する際、被施療者の体重は前方側に掛かり易い。そのため、第2施療部52を下方に移動させることで、被施療者の腰部及び背中の下部のうちの少なくともどちらかに第2施療子521をより強く押圧できる。従って、第2施療子521の施療効果をさらに向上できる。但し、上述の例示は、あくまで一例であり、たとえば逆の動作、つまり、椅子部100が前方に揺動する際に第2施療子521が下方に移動し、椅子部100が後方に揺動する際に第2施療子521が上方に移動する構成を排除しない。
【0072】
第2施療部52は、操作部81の操作入力に応じて、或いは、椅子部100の前後方向における揺動が検知された場合に、第2施療子521、第2移動部522、及び移動機構523を駆動する。但し、この例示に限定されず、第2施療部52は、前方への揺動角度θf(図4A参照)及び後方への揺動角度θb(図4B参照)のどちらかが閾値(たとえば5°)を越えた場合に、第2施療子521、第2移動部522、及び移動機構523を駆動してもよい。或いは、第2施療部52は、揺動角度θf,θbの両方が閾値(たとえば5°)を越えた場合に、第2施療子521、第2移動部522、及び移動機構523を駆動してもよい。
【0073】
なお、センサ6による椅子部100の前後方向における揺動の検知結果に基づく第2施療制御部72の駆動制御は、本実施形態では第2施療子521、第2移動部522、及び移動機構523の全てで実施されるが、この例示に限定されず、これらのうちの少なくとも1つで実施されてもよい。
【0074】
<4-3.第3施療部53の制御>
第3施療制御部73は、第3施療部53を制御する。詳細には、第3施療制御部73は、センサ6による椅子部100の左右方向における揺動の検知結果に基づいて、第3施療子531を駆動する。こうすれば、マッサージ機300は、第3施療子531によって、自然な揺れによりリラックスした被施療者の大腿部をその側方から施療できる。さらに、マッサージ機300は、椅子部100の左右方向の揺れ(たとえば揺動の周期)に応じて第3施療子531を駆動できる。従って、マッサージ機300は、椅子部100の左右方向の揺れに応じて第3施療子531を駆動することで、椅子部100の揺動との相乗効果により第3施療子531の施療効果を向上できる。
【0075】
たとえば、第3施療制御部73は、椅子部100が左右方向に揺動する際、左右方向における揺動周期に応じて第3施療子531を駆動する。本実施形態のように第3施療子531がエアバッグである場合、第3施療制御部73は、椅子部100が最も左方に揺動した時に、右方側の第3施療子531のエアバッグを最も膨張させる(図5A参照)。また、第3施療制御部73は、椅子部100が最も右方に揺動した時に、左方側の第3施療子531のエアバッグを最も膨張させる(図5B参照)。或いは、これらの逆であってもよい。
【0076】
また、第3施療子531がローラー装置である場合、第3施療制御部73は、椅子部100が左方に揺動する際には右方側のローラーを駆動し、椅子部100が右方に揺動する際には左方側のローラーを駆動する。或いは、これらの逆であってもよい。
【0077】
また、第3施療子531が揉み玉装置である場合、第3施療制御部73は、椅子部100が左方に揺動する時には右方の第3施療子531の揉み玉による施療強度を徐々に強くし、椅子部100が右方に揺動する時には左方の第3施療子531の揉み玉による施療強度を徐々に強くする。或いは、これらの逆であってもよい。
【0078】
なお、上述の例示は、あくまで一例であり、第3施療子531の他の動作を排除しない。第3施療制御部73は、このような第3施療子531の駆動を揺動のZ周期(Zは1以上の正の整数)毎に実施できる。
【0079】
第3施療部53は、操作部81の操作入力に応じて、或いは、椅子部100の左右方向における揺動が検知された場合に、第3施療子531を駆動する。但し、この例示に限定されず、第3施療部53は、左方への揺動角度θL(図5A参照)及び右方への揺動角度θR(図5B参照)のどちらかが閾値(たとえば5°)を越えた場合に、第3施療子531を駆動してもよい。或いは、第3施療部53は、揺動角度θL,θRの両方が閾値(たとえば5°)を越えた場合に、第3施療子531を駆動してもよい。
【0080】
<5.まとめ>
以上に説明したマッサージ機300は、被施療者の臀部及び大腿部を支持する座部を有する椅子部100と、施療者を施療する施療部5と、施療部5を制御する制御部7と、を備える。椅子部100は、一端が支持部材200の吊り下げ部204に接続される接続部材104と、接続部材104の他端が接続される取付部103と、をさらに有する。椅子部100は、接続部材104を介して支持部材200から吊り下げられて、支持部材200によって少なくとも水平方向において揺動可能に支持される。(第1の構成)
【0081】
第1の構成によれば、椅子部100の吊り下げにより、接続部材104及び取付部103を含む椅子部100は、接続部材104と支持部材200の吊り下げ部204との接続部分を支点にして、円錐形状又は円錐台形状の範囲で移動可能となる。この範囲は、上述の接続部分から鉛直下方に延びる。つまり、椅子部100は、吊り下げ部204に対して前後方向及び左右方向を含む水平方向において自由に揺動できる。そのため、被施療者は、たとえばロッキングチェアとは異なり、より自由で自然な揺れを体感できる。従って、マッサージ機300は、少なくとも(前後方向及び左右方向を含む)水平方向に揺動可能な環境で、被施療者を施療できる。たとえば、マッサージ機300は、ハンギングチェア特有の自然な揺れによるリラックス効果の提供と、施療部5による施療効果の提供とを両立することができる。よって、マッサージ機300は、より自然な揺動を体感できる環境で被施療者を施療することができる。
【0082】
第1の構成のマッサージ機300において、接続部材104の一端は、1個の吊り下げ部204に接続されてもよい。さらに、上下方向から見て、座部1は、吊り下げ部204と重なってもよい。(第2の構成)
【0083】
第2の構成によれば、接続部材104と吊り下げ部204との接続部分(つまり、揺動する椅子部100の支点)を一箇所にすることができるので、揺動する椅子部100の支点の移動を防止できる。さらに、座部1が吊り下げ部204と上下方向に重なることで、椅子部100(特にその上部)の水平方向における移動範囲をより狭くすることができる。従って、揺動する椅子部100に着座する被施療者の頭部の水平方向における移動範囲をより狭くできるので、頭部の揺れに伴う不快感を低減できる。よって、被施療者は、よりリラックスした状態で自然な揺れを体感できる。
【0084】
第1又は第2の構成のマッサージ機300は、センサ6をさらに備えてもよい。センサ6は、椅子部100の少なくとも前後方向及び左右方向における揺動を検知する。制御部7は、センサ6の検知結果に基づいて、施療部5を制御してもよい。(第3の構成)
【0085】
第1の構成によれば、マッサージ機300は、椅子部100の揺れ(たとえば揺動方向、揺動の周期など)に応じて被施療者を施療できる。
【0086】
第1~第3のうちのいずれかの構成のマッサージ機300において、施療部5は、座部1に配置される第1施療部51を有してもよい。第1施療部51は、被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかを施療する第1施療子511を有してもよい。(第4の構成)
【0087】
第4の構成によれば、マッサージ機300は、第1施療子511によって、自然な揺れによりリラックスした被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかをその下方から施療できる。
【0088】
或いは、第3の構成のマッサージ機300において、施療部5は、座部1に配置される第1施療部51を有してもよい。第1施療部51は、第1施療子511と、第1移動部512と、を有してもよい。第1施療子511は、被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかを施療する。第1移動部512は、第1施療子511を上下方向に移動させる。制御部7は、第1施療制御部71を有してもよい。第1施療制御部71は、センサ6による椅子部100の前後方向における揺動の検知結果に基づいて、第1施療子511及び第1移動部512のうちの少なくともどちらかを駆動する。(第5の構成)
【0089】
第5の構成によれば、マッサージ機300は、第1施療子511によって、自然な揺れによりリラックスした被施療者の臀部及び大腿部をその下方から施療できる。さらに、マッサージ機300は、椅子部100の前後方向の揺れ(たとえば揺動の周期)に応じて、第1施療子511及び第1移動部512のうちの少なくともどちらかを駆動できる。従って、マッサージ機300は、椅子部100の前後方向の揺れに応じて第1施療子511を駆動することで、椅子部100の揺動との相乗効果により第1施療子511の施療効果を向上できる。また、マッサージ機300は、椅子部100の前後方向の揺れに応じて第1移動部512により第1施療子511を上下方向に移動させることで、被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかに第1施療子511を接近/離間させて、たとえば臀部及び大腿部のうちの少なくともどちらかを揉むような施療をすることができる。
【0090】
また、第1~第5のうちのいずれかの構成のマッサージ機300において、椅子部100は、背凭れ部2を有してもよい。背凭れ部2は、座部1の後方に配置され、被施療者の胴体を支持する。施療部5は、背凭れ部2に配置される第2施療部52を有してもい。第2施療部52は、被施療者の腰部、背中、及び肩部のうちの少なくともいずれかを施療する第2施療子521を有してもよい。(第6の構成)
【0091】
第6の構成によれば、マッサージ機300は、第2施療子521によって、自然な揺れによりリラックスした被施療者の腰部、背中、及び肩部のうちの少なくともいずれかをその後方から施療できる。
【0092】
或いは、第3又は第5の構成のマッサージ機300において、椅子部100は、背凭れ部2を有してもよい。背凭れ部2は、座部1の後方に配置され、被施療者の胴体を支持する。施療部5は、背凭れ部2に配置される第2施療部52を有してもよい。第2施療部52は、第2施療子521と、第2移動部522と、を有してもよい。制御部7は、第2施療制御部72を有してもよい。第2施療子521は、被施療者の腰部、背中、及び肩部のうちの少なくともいずれかを施療する。第2移動部522は、第2施療子521を前後方向に移動させる。第2施療制御部72は、センサ6による椅子部100の前後方向における揺動の検知結果に基づいて、第2施療子521及び第2移動部522のうちの少なくともどちらかを駆動する。(第7の構成)
【0093】
第7の構成によれば、マッサージ機300は、第2施療子521によって、自然な揺れによりリラックスした被施療者の腰部、背中、及び肩部のうちの少なくともいずれかをその後方から施療できる。さらに、マッサージ機300は、椅子部100の前後方向の揺れ(たとえば揺動の周期)に応じて、第2施療子521及び第2移動部522のうちの少なくともどちらかを駆動できる。従って、マッサージ機300は、椅子部100の前後方向の揺れに応じて第2施療子521を駆動することで、椅子部100の揺動との相乗効果により第2施療子521の施療効果を向上できる。また、マッサージ機300は、椅子部100の前後方向の揺れに応じて第2移動部522により第2施療子521を前後方向に移動させることで、被施療者の腰部、背中、及び肩部のうちの少なくともいずれかの部位に第2施療子521を接近/離間させて、たとえば該部位を揉むような施療をすることができる。
【0094】
また、第6又は第7の構成のマッサージ機300において、背凭れ部2は、少なくとも上下方向に延びるガイド部22をさらに有してもよい。第2施療部52は、移動機構523をさらに有してもよい。移動機構523は、ガイド部22に沿って上下方向に移動する。(第8の構成)
【0095】
第8の構成によれば、移動機構523によって、第2施療部52は、ガイド部22に沿って上下方向に移動できる。そのため、第2施療部52は、被施療者の胴体の後部のうち、腰部から肩部までの広い範囲を施療できる。
【0096】
また、第1~第8のうちのいずれかの構成のマッサージ機300において、椅子部100は、座部1の少なくとも左右方向の一方側に立設される立設部4をさらに有してもよい。施療部5は、立設部4に配置される第3施療部53を有してもよい。第3施療部53は、被施療者の大腿部を施療する第3施療子531を有してもよい。(第9の構成)
【0097】
第9の構成によれば、第3施療子531によって、マッサージ機300は、自然な揺れによりリラックスした被施療者の大腿部をその側方から施療できる。
【0098】
或いは、第3、第5、及び第7のうちのいずれかの構成のマッサージ機300において、椅子部100は、座部1の少なくとも左右方向の一方側に立設される立設部4をさらに有してもよい。施療部5は、立設部4に配置される第3施療部53を有してもよい。第3施療部53は、被施療者の大腿部を施療する第3施療子531を有してもよい。制御部7は、第3施療制御部73を有してもよい。第3施療制御部73は、センサ6による椅子部100の左右方向における揺動の検知結果に基づいて、第3施療子531を駆動する。(第10の構成)
【0099】
第10の構成によれば、マッサージ機300は、第3施療子531によって、自然な揺れによりリラックスした被施療者の大腿部をその側方から施療できる。さらに、マッサージ機300は、椅子部100の左右方向の揺れ(たとえば揺動の周期)に応じて第3施療子531を駆動できる。従って、マッサージ機300は、椅子部100の左右方向の揺れに応じて第3施療子531を駆動することで、椅子部100の揺動との相乗効果により第3施療子531の施療効果を向上できる。
【0100】
<6.その他>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0101】
たとえば、上述の実施形態において、支持部材200のベース部201、柱部202、及びアーム部203は省略されてもよい。つまり、支持部材200は、ベース部201、柱部202、及びアーム部203を有さず、吊り下げ部204のみを有してもよい。この場合、吊り下げ部204をたとえば室内の天井、又は梁などに固定することにより、椅子部100を天井、梁などから吊り下げることができる。
【0102】
また、上述の実施形態において、施療部5は、第1施療部51、第2施療部52、及び第3施療部53を全て有する。但し、この例示に限定されず、第1施療部51、第2施療部52、及び第3施療部53のうちの少なくとも2つが省略されてもよい。また、第2施療部52が省略される場合、ガイド部22も省略されてもよい。
【符号の説明】
【0103】
300 マッサージ機
100 椅子部
100a 開口部
101 フレーム
102 壁部
103 取付部
1031 弾性部材
104 接続部材
105 第1収容部
106 第2収容部
107 ポンプ
108 バッテリー
200 支持部材
201 ベース部
202 柱部
203 アーム部
204 吊り下げ部
1 座部
11 カバー部
2 背凭れ部
21 カバー部
22 レール部
22L ガイドレール
22R ラック
3 ヘッドレスト
4,4L,4 立設部
5 施療部
51 第1施療部
511 第1施療子
512 第1移動部
52 第2施療部
521 第2施療子
5211 揉み玉
5212 駆動機構
522 第2移動部
523 移動機構
53 第3施療部
531 第3施療子
6 センサ
7 制御部
71 第1施療制御部
72 第2施療制御部
73 第3施療制御部
81 操作部
82 記憶部
831~834 駆動回路
84 アクチュエータ群
85 電磁弁群
θf,θb,θL,θR 揺動角度
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6