IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機エンジニアリング株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-汎用試験システム 図1
  • 特許-汎用試験システム 図2
  • 特許-汎用試験システム 図3
  • 特許-汎用試験システム 図4
  • 特許-汎用試験システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】汎用試験システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/22 20060101AFI20241107BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20241107BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
G06F11/22 673A
G01R31/26 A
G01R31/26 B
G01R31/28 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021102824
(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公開番号】P2023001928
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】中原 正仁
【審査官】坂庭 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-522049(JP,A)
【文献】特開2006-170761(JP,A)
【文献】特開2009-300248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/22
G01R 31/26
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験体の複数の特性項目のそれぞれについて、特性項目に応じた所定の計測条件で計測するための計測処理内容が所定の計測順序に相当するレシピナンバーと関連付けて記述された計測プログラムを格納したホストコンピュータと、
前記複数の特性項目のそれぞれに対応して設けられ、自身に割り当てられた計測プログラムに従った計測処理内容を実行する複数の計測用機能ボードと、
前記複数の計測用機能ボードのそれぞれについて、同じレシピナンバーの計測処理の開始タイミングを同期させる同期制御を実行する同期制御ボードと
を備え、
前記複数の計測用機能ボードのそれぞれおよび前記同期制御ボードは、相互通信可能に接続され、
前記ホストコンピュータは、
複数の特性項目のすべてに対応する計測プログラムを、前記複数の計測用機能ボードのそれぞれおよび前記同期制御ボードに対して一括してダウンロードした後に前記同期制御ボードに対して一括計測開始指令を出力し、
前記一括計測開始指令の返答として、前記同期制御ボードから全レシピの計測完了通知を受信することで、前記複数の特性項目のすべてに対応する計測プログラムによる計測処理が完了したと判定し、
前記複数の計測用機能ボードのそれぞれおよび前記同期制御ボードは、前記ホストコンピュータからダウンロードされた前記計測プログラムを受信してメモリに格納し、
前記同期制御ボードは、前記ホストコンピュータから前記一括計測開始指令を受信すると、レシピナンバーを1に初期化し、前記複数の計測用機能ボードのそれぞれに対して、初期化後の現在のレシピナンバーの計測開始信号を同期させて出力し、
前記複数の計測用機能ボードのそれぞれは、前記同期制御ボードから前記現在のレシピナンバーの計測開始信号を受信すると、前記メモリに格納されていた前記計測プログラムの中から抽出した自身に割り当てられた前記現在のレシピナンバーに対応する計測プログラムに従って計測処理を実行し、計測結果を前記メモリに格納するとともに、前記現在のレシピナンバーに関する計測終了信号を前記同期制御ボードに送信し、
前記同期制御ボードは、前記複数の計測用機能ボードのすべてから前記現在のレシピナンバーに関する計測終了信号を受信することで、レシピナンバーを+1だけインクリメントして前記現在のレシピナンバーを更新し、前記複数の計測用機能ボードのそれぞれに対して、更新後の現在のレシピナンバーの計測開始信号を同期させて出力することで更新処理を実行し、
前記複数の計測用機能ボードのそれぞれは、前記同期制御ボードから前記更新後の現在のレシピナンバーの計測開始信号を受信すると、前記メモリに格納されていた前記計測プログラムの中から抽出した自身に割り当てられた前記更新後の現在のレシピナンバーに対応する計測プログラムに従って計測処理を実行し、計測結果を前記メモリに格納するとともに、前記更新後の現在のレシピナンバーに関する計測終了信号を前記同期制御ボードに送信することで、再計測処理を実行し、
前記同期制御ボードによる前記更新処理と、前記複数の計測用機能ボードのそれぞれによる前記再計測処理とを、最終のレシピナンバーに関する計測処理が完了するまで繰り返し、
前記同期制御ボードは、前記複数の計測用機能ボードのすべてから前記最終のレシピナンバーに関する計測終了信号を受信することで、全レシピの計測処理が終了したと判定し、前記一括計測開始指令の返答として前記ホストコンピュータに対して前記全レシピの計測完了通知を送信する
汎用試験システム。
【請求項2】
前記同期制御ボード10は、前記複数の計測用機能ボードのすべてから前記現在のレシピナンバーに関する計測終了信号を受信した際には、前記計測プログラムの前記計測処理内容に応じて、前記複数の計測用機能ボードのそれぞれの前記メモリ内に格納された前記計測結果の中から必要なデータを読み出し、読み出した前記必要なデータに基づいて演算処理を実行することで演算処理結果を算出し、算出した前記演算処理結果を自身のメモリに格納する
請求項1に記載の汎用試験システム。
【請求項3】
前記ホストコンピュータは、前記一括計測開始指令の返答として、前記同期制御ボードから前記全レシピの計測完了通知を受信した場合には、前記複数の計測用機能ボードのそれぞれのメモリに格納された前記計測結果を読み出すことで、前記複数の特性項目に対する計測処理結果を取得する
請求項1に記載の汎用試験システム。
【請求項4】
前記ホストコンピュータは、前記一括計測開始指令の返答として、前記同期制御ボードから前記全レシピの計測完了通知を受信した場合には、前記複数の計測用機能ボードのそれぞれのメモリに格納された前記計測結果を読み出すとともに、前記同期制御ボードのメモリに格納された前記演算処理結果を読み出すことで、前記複数の特性項目に対する計測処理結果を取得する
請求項2に記載の汎用試験システム。
【請求項5】
前記同期制御ボードおよび前記複数の計測用機能ボードのそれぞれは、前記被試験体に関する計測データを収集するために外部回路と接続される専用回路部を有し、
前記専用回路部は、その他の回路と電気的に絶縁されている
請求項1から4のいずれか1項に記載の汎用試験システム。
【請求項6】
前記同期制御ボードおよび前記複数の計測用機能ボードのそれぞれは、テストバスにより相互に接続されており、前記テストバスを介して相互通信可能であり、
前記ホストコンピュータは、有線または無線による通信手段により前記同期制御ボードおよび前記複数の計測用機能ボードのそれぞれと相互通信可能に接続されている
請求項1から5のいずれか1項に記載の汎用試験システム。
【請求項7】
前記通信手段は、Ethernetである
請求項6に記載の汎用試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デバイス、モジュール製品等の被試験体における複数の特性項目を、複数箇所で所定の同期タイミングで計測できる汎用試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パワーデバイス、パワーデバイスがアッセンブルされたモジュール等の被試験体の自動試験システムは、その被試験体の各端子へ所定の条件で信号を印加し、所定のタイミングで被試験体から応答出力される信号を検出する。そして、自動試験システムは、検出結果と規格値とを比較判定することにより、被試験体の特性性能の良否検証を行うこととなる。
【0003】
このような被試験体の特性性能検証において良否検証すべき項目は、1項目のみでなく複数項目あり、また計測点も複数ある。そして、所定の計測条件に従って計測する特性項目の計測処理内容は、項目毎また端子毎で異なり、特性性能検証は、項目毎に逐次計測処理を行っていくこととなる。
【0004】
なお、所定の計測条件とは、被試験体の計測に係る各端子に外部接続される計測回路条件、外部接続負荷の条件、入力端子へ印加される信号の条件、計測する出力端子の計測項目(電圧値、電流値等)を計測するタイミングの条件、等が挙げられる。
【0005】
図5は、従来の試験システムの全体構成図である。複数の特性項目毎の計測処理内容は、試験システム全体を管理するホストコンピュータ501に、特性項目毎の計測ステップ順序と計測処理内容がプログラミングされた計測プログラムとして格納されている。
【0006】
ホストコンピュータ501からの計測開始の指令に伴って、試験装置本体502に組み込まれている計測制御ボード510に計測プログラムが送信される。計測制御ボード510は、バスライン506にて接続されている計測用機能ボード520-1~520-Nへ、計測動作の指令信号を送信する。計測用機能ボード520-1~520-Nは、指示された特性項目毎の計測プログラムに基づいて、計測を実行する。
【0007】
そして、計測制御ボード510は、各計測用機能ボード520-1~520-Nで得られた計測データを収集し、ホストコンピュータ501へアップロードする。また、計測のための計測用機器となる、例えば電源装置、計測機器等は、ホストコンピュータ501からUSBの通信手段により制御されて計測処理を行う。
【0008】
このように、従来の試験システムは、計測処理の実行にあたり、計測ステップ毎にホストコンピュータ501、計測制御ボード510、および計測用機能ボード520-1~520-Nの間で、計測プログラムおよび計測結果データの送受信が行われることとなる。
【0009】
すなわち、従来の試験システムは、各ボードとホストコンピュータ501との間で計測プログラムおよび計測結果データを送受信しながら、逐次計測ステップ毎の特性計測処理を行うシステムとなっている。
【0010】
従って、計測処理に通信が介在するため、時間を要し、また、ホストコンピュータ501が計測ステップ毎に介在するため、計測タイミングの同期性に欠けていた。このように、従来の自動試験システムは、被試験体の複数の特性性能検証のための計測処理の高速性、および計測の同期性に乏しいという欠点があった。
【0011】
このような欠点を解決するための従来技術として、並列試験装置がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に係る並列試験装置は、被試験デバイス(Device Under Test、以下DUTと称す)に対する複数の計測処理をそれぞれ行う計測器と、並列試験装置とが、対で構成され、GP-IB(General Poupose Interface Bus)通信線で互いに接続されている。
【0012】
複数の系統により構成されている並列試験システムにおいては、これらを制御する制御装置(パーソナルコンピュータ)から送信される試験用プログラムが、並列試験装置の記憶装置に格納される。
【0013】
パーソナルコンピュータからRS232Cの通信線を通して各並列試験装置へ試験開始指令が送信されることで、並列試験プログラムが実行される。そして、並列試験プログラムが実行されることで、計測用装置は、試験処理を行って、DUTからの出力を取得し、計測データとして並列試験装置に返送する。並列試験装置は、計測データをメモリに格納後、上位のパーソナルコンピュータに計測データを送信して、一連の試験が終了となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2009-300248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、並列試験装置に制御命令を指令するパーソナルコンピュータには、OS(Operating System)およびアプリケーションソフトが組込まれており、命令実行中において、パーソナルコンピュータ側のプログラムが動作することがある。この結果、複数の並列試験装置に対するそれぞれの制御指令のタイミングのズレ、遅れが生じる。
【0016】
さらに、ズレ、遅れの時間も一定ではないため、各々の並列試験装置の試験プログラムに、あらかじめ時間のズレ、遅れを想定したタイミング設定をしておくこともできない。従って、計測タイミングの同期性が損なわれることとなり、被試験体における特性計測に対する所定の計測における信頼性が確保できない問題点がある。
【0017】
本開示は、特にパワーデバイス、パワーデバイスをアッセンブリしたモジュール等の被試験体の特性を計測するための試験システムとして、複数ある特性項目の計測の同期性、および高速性を図った汎用試験システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この開示における汎用試験システムは、被試験体の複数の特性項目のそれぞれについて、特性項目に応じた所定の計測条件で計測するための計測処理内容が所定の計測順序に相当するレシピナンバーと関連付けて記述された計測プログラムを格納したホストコンピュータと、複数の特性項目のそれぞれに対応して設けられ、自身に割り当てられた計測プログラムに従った計測処理内容を実行する複数の計測用機能ボードと、複数の計測用機能ボードのそれぞれについて、同じレシピナンバーの計測処理の開始タイミングを同期させる同期制御を実行する同期制御ボードとを備え、複数の計測用機能ボードのそれぞれおよび同期制御ボードは、相互通信可能に接続され、ホストコンピュータは、複数の特性項目のすべてに対応する計測プログラムを、複数の計測用機能ボードのそれぞれおよび同期制御ボードに対して一括してダウンロードした後に同期制御ボードに対して一括計測開始指令を出力し、一括計測開始指令の返答として、同期制御ボードから全レシピの計測完了通知を受信することで、複数の特性項目のすべてに対応する計測プログラムによる計測処理が完了したと判定し、複数の計測用機能ボードのそれぞれおよび同期制御ボードは、ホストコンピュータからダウンロードされた計測プログラムを受信してメモリに格納し、同期制御ボードは、ホストコンピュータから一括計測開始指令を受信すると、レシピナンバーを1に初期化し、複数の計測用機能ボードのそれぞれに対して、初期化後の現在のレシピナンバーの計測開始信号を同期させて出力し、複数の計測用機能ボードのそれぞれは、同期制御ボードから現在のレシピナンバーの計測開始信号を受信すると、メモリに格納されていた計測プログラムの中から抽出した自身に割り当てられた現在のレシピナンバーに対応する計測プログラムに従って計測処理を実行し、計測結果をメモリに格納するとともに、現在のレシピナンバーに関する計測終了信号を同期制御ボードに送信し、同期制御ボードは、複数の計測用機能ボードのすべてから現在のレシピナンバーに関する計測終了信号を受信することで、レシピナンバーを+1だけインクリメントして現在のレシピナンバーを更新し、複数の計測用機能ボードのそれぞれに対して、更新後の現在のレシピナンバーの計測開始信号を同期させて出力することで更新処理を実行し、複数の計測用機能ボードのそれぞれは、同期制御ボードから更新後の現在のレシピナンバーの計測開始信号を受信すると、メモリに格納されていた計測プログラムの中から抽出した自身に割り当てられた更新後の現在のレシピナンバーに対応する計測プログラムに従って計測処理を実行し、計測結果をメモリに格納するとともに、更新後の現在のレシピナンバーに関する計測終了信号を同期制御ボードに送信することで、再計測処理を実行し、同期制御ボードによる更新処理と、複数の計測用機能ボードのそれぞれによる再計測処理とを、最終のレシピナンバーに関する計測処理が完了するまで繰り返し、同期制御ボードは、複数の計測用機能ボードのすべてから最終のレシピナンバーに関する計測終了信号を受信することで、全レシピの計測処理が終了したと判定し、一括計測開始指令の返答としてホストコンピュータに対して全レシピの計測完了通知を送信するものである。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、特にパワーデバイス、パワーデバイスをアッセンブリしたモジュール等の被試験体の特性を計測するための試験システムとして、複数ある特性項目の計測の同期性、および高速性を図った汎用試験システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の実施の形態1に係る汎用試験システムの構成を示すブロック図である。
図2】本開示の実施の形態1に係る図1に示した試験装置本体2に搭載されている各種ボードの機能を説明した図である。
図3】本開示の実施の形態1における図1のホストPC、同期制御ボード、計測用機能ボード、および関連の計測用機器の動作をタイムチャートとして示した図である。
図4】本開示の実施の形態1における図1のホストPC、同期制御ボード、および計測用機能ボードの一連の作用動作を示すフローチャートである。
図5】従来の試験システムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示に係る汎用試験システムの実施の形態に関し、図面を用いて説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0022】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る汎用試験システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態1に係る汎用試験システムは、同期制御ボード10と、複数の計測用機能ボード20-1~20-Nとを備えている。また、図2は、本開示の実施の形態1に係る図1に示した試験装置本体2に搭載されている各種ボードの機能を説明した図である。
【0023】
図1において、被試験体200は、ピンボード治具装置210の治具プレート211にセットされている。被試験体200としては、例えば、パワーデバイス、または複数のパワーデバイスをアッセンブルしてモジュール化したユニット製品が挙げられる。被試験体200において評価される特性性能は、一般的には複数項目あり、また、特性の計測に係わる被試験体200の端子部も複数ある。
【0024】
被試験体200の各端子部(図示なし)への電気的接続は、プローブピン212で行われる。被試験体200の特性計測に必要なインターフェース回路は、治具上回路220として被試験体200の近傍に設けられている。治具上回路220は、被試験体200の各端子への特性計測用の外部配線計測回路構成、負荷接続有無、負荷容量等の負荷構成、等が設定できる回路となっている。
【0025】
治具上回路220は、試験装置本体2内に設置されている各計測用機能ボード20-1~20-Nの各コネクタ1と外部接続ケーブル7を介して接続されている。計測用機能ボード20-1~20-Nは、所定の制御指令が設定される他、被試験体200の信号印加に応じた出力応答の計測を行う。
【0026】
また、被試験体200の特性計測において、例えば、高電圧の電気量計測を行う計測条件では、市販の高電圧計測用の機器30-1を計測用機器として使用することがある。また、高電圧を印加する計測条件では、市販の電源装置30-Nを計測用機器として使用することがある。
【0027】
計測用機器30-1~30-Nは、所定の機能を備えた計測用機能ボード20-1~20-Nとの組合せで使用されることになり、これにより、計測用機器30-1~30-Nを活用した計測が可能となる。
【0028】
各計測用機能ボード20-1~20-Nは、試験装置本体2のカードラック筐体内に設置され、各計測に対応した専用の機能ボードとなっている。さらに、計測用機器30-1~30-Nは、同様にラック内に設置されている同期制御ボード10と、バックプレーンのテストバス6で相互に接続されている。同期制御ボード10は、テストバス6を介して計測処理に係る制御指令を、電気的に各計測用機能ボード20-1~20-Nに通知できるようになっている。
【0029】
試験システム全体を管理するホストコンピュータ1(以下、ホストPC1と称す)と、これら各ボードとは、通信手段5、ハブ3、および通信手段4を介して相互に通信可能な構成となっている。例えば、通信手段4、5としては、図2に示したように、Ethernetを使用することが考えられる。なお、通信手段4、5は、無線通信であってもよく、この場合には、図2における通信回路110を無線送受信用対応の回路とすることで対応できる。
【0030】
図1において、ホストPC1は、汎用のパーソナルコンピュータが使われることが多い。ホストPC1は、試験システム全体を管理し、被試験体200の複数の特性項目の計測処理内容を記述した計測プログラムがメモリに格納されている。
【0031】
特性計測プログラムは、試験対象となる被試験体200の特性項目毎の計測処理内容を、項目を計測するステップ(順番)毎に、そのステップでの所定の計測方法をテストレシピファイルS101としてプログラム化され、ホストPC1のメモリに格納されている。また、計測結果は、計測結果ファイルS102として、ホストPC1のメモリに格納される。
【0032】
レシピファイルS101のレシピナンバーは、被試験体200の特性項目毎の順番とし、それぞれのレシピナンバー毎に以下のような計測条件がテーブル一覧として記載されている。
・被試験体200の特性を計測するために印加する電気的印加条件
・端子の外部配線計測回路構成
・条件に従った印加から応答出力を計測するまでの時間条件
・計測結果を判定するまでの規格値(Min値、Max値、もしくは一致データ)
・今回計測(レシピナンバー:N)に必要な計測時間想定値
・今回計測(レシピナンバー:N)と次回計測(レシピナンバー:N+1)間のウェイト時間
【0033】
換言すると、被試験体200に関する複数の特性項目のそれぞれについて、特性項目に応じた所定の計測条件で計測するための計測処理内容が、所定の計測順序に相当するレシピナンバーと関連付けて記述された計測プログラムが、ホストPC1に格納されている。
【0034】
図2において、試験装置本体2のラックに設置されている同期制御ボード10および各計測用機能ボード20-1~20-Nには、ホストPC1との通信用にポート117およびLANトランシーバ回路110が設けられており、通信手段4、5によりEthenet接続されている。
【0035】
各ボードには、プログラム実行および通信制御演算機能用として、メモリ111、CPU112、FPGA(Field-Programmable Gate Array)113が組み込まれた回路が設けられている。CPU112は、通信手段4、5のEthernet制御を行い、FPGA113は、計測側の制御を行う仕組みとなっている。
【0036】
一方、各ボードは、コネクタ2でラック筐体に装着されており、通信変換回路116を備え、バックプレーンのテストバス6にて相互に接続されている。また、各ボードは、夫々計測の機能に応じた入出力用の専用回路を搭載できる専用回路部115を備えている。
【0037】
専用回路部115の具体例としては、出力対応回路(DO)、入力対応回路(DI)、アナログ/デジタル変換回路(A/D)、デジタル/アナログ変換回路(D/A)が挙げられる。また、専用回路部115は、通信制御が必要な計測用機器制御に対応した、例えば、シリアル通信回路等の専用回路が組込まれるボードになっている。
【0038】
これらの専用回路部115は、コネクタ1から計測用機器30-1~30-N、あるいは被試験体200の治具上回路220と、ケーブル接続されている。
【0039】
被試験体200は、前述のように、パワー系の電子製品であり、高電圧、または大電流の印加・計測が想定される。高電圧、大電流では、ノイズレベルが大きく、計測への影響が考えられる。
【0040】
このため、同期制御ボード10、計測用機能ボード20-1~20-Nの各ボードにおいては、被試験体200側とケーブル接続される側のコネクタ1およびコネクタ2に直接関連した専用回路部115および通信変換回路116と、演算制御機能を有するFPGA113側の回路とが、アイソレータ114によって電気的に絶縁された回路として構成されている。このような構成を採用することで、耐ノイズ性を配慮したボードを備えた試験システムを実現している。
【0041】
次に、本開示に係る汎用試験システムに関する作用・動作について、図3および図4を用いて、さらに詳細に説明する。
【0042】
図3は、本開示の実施の形態1における図1のホストPC1、同期制御ボード10、計測用機能ボード20-1~20-N、および関連の計測用機器30-1~30-Nの動作をタイムチャートとして示した図である。
【0043】
汎用試験システム全体を管理するホストPC1のメモリには、被試験体200の計測プログラムが格納されている。計測プログラムは、前述したとおり、被試験体200の性能に係る特性項目の計測処理内容が、テストレシピファイルとして記述されたものである。
【0044】
試験対象となる被試験体200の計測プログラムとなるテストレシピファイルがホストPC1から同期制御ボード10、および計測用機能ボード20-1~20-Nのそれぞれに一括してダウンロードされる。
【0045】
図3では、被試験体200の品種01の特性計測のためのプログラムであり、全ての特性項目を計測処理するプログラムp01を、この準備段階で一括ダウンロードする場合を例示している。ここで、プログラムp01は、計測プログラムp010~p01Nを備えている。
【0046】
また、それぞれの計測プログラムp010~p01Nには、レシピナンバー1~レシピナンバーNにわたる各計測プログラムが含まれている。従って、ホストPC1は、ある品種01の特性計測を行う際に、レシピナンバー1~レシピナンバーNにわたる全てのレシピナンバーに対応する各計測プログラムを、計測処理前に一括して送信している。
【0047】
ホストPC1からダウンロードされたプログラムは、同期制御ボード10、計測用機能ボード20-1~20-Nの夫々のメモリ111に格納される。図3では、同期制御ボード10に計測プログラムp010が格納され、N枚の計測用機能ボード20-1~20-Nに対して、計測プログラムp011~p01Nが格納される場合を例示している。
【0048】
試験対象である被試験体200が治具プレート211上にセットされることで、試験の準備が整うと、ホストPC1からは、通信にて、同期制御ボード10に計測開始指令が通知される。
【0049】
ホストPC1から一括計測開始指令を受信することにより、同期制御ボード10は、各計測用機能ボード20-1~20-Nに対し、テストレシピナンバー、および計測開始タイミング(同期計測)を示す計測開始信号の通知を計測開始指令として送信する。
【0050】
図3において、計測用機能ボード20-1は、同期制御ボード10からの計測開始指令を受けると、メモリに格納されているレシピナンバー1の計測プログラムp011を実行することで計測処理を行い、コネクタ1よりケーブル接続されている計測用機器30-1の計測処理を制御する。
【0051】
また、計測用機能ボード20-2も、同様に、同期制御ボード10からの計測開始指令を受け、他の計測用機能ボードと同期した計測タイミングで計測用プログラムp012を実行することで計測処理を行う。
【0052】
さらに、計測用機能ボード20-Nも、同様に、同期制御ボード10からの計測開始指令を受け、他の計測用機能ボードと同期したタイミングで計測プログラムp01Nを実行することで計測処理を行う。具体的には、計測用機能ボード20-Nは、コネクタ1より外部ケーブル接続されている計測用機器30-N(図3では電源装置)を制御し、被試験体200に対し所定の電源を印加する計測処理を実行する。
【0053】
このように、各計測用機能ボード20-1~20-Nは、同期制御ボード10からの計測開始指令により、同期してプログラムを実行する。具体的には、各計測用機能ボード20-1~20-Nは、被試験体200に対し所定の計測条件を設定し、所定の計測タイミングで被試験体200の応答出力値を取得し、レシピナンバー1の規格値との比較により良否判定を行い、良否判定結果を当該ボードのメモリ111に格納する。
【0054】
そして、各計測用機能ボード20-1~20-Nは、夫々計測が終了したタイミングで、1つのレシピナンバーに関する計測が終了したことを示す「計測終了信号」を、テストバス6を通じて同期制御ボード10に通知する。
【0055】
同期制御ボード10は、計測用機能ボード20-1~20-Nの夫々からレシピナンバー1の計測が終了したことを示す計測終了信号を受信し、すべての計測用機能ボード20-1~20-Nによるレシピナンバー1の計測が終了したと判定した場合には、ウェイト時間監視を行って、次のレシピナンバー2の計測に移行する。
【0056】
レシピナンバー1の場合と同様に、同期制御ボード10は、各計測用機能ボード20-1~20-Nに対し、テストレシピナンバー2、および計測開始タイミング(同期計測)を示す計測開始信号の通知を計測開始指令として送信する。
【0057】
各計測用機能ボード20-1~20-N、および計測用機能ボード20-1~20-Nに接続されている計測用機器30-1~30-Nは、すでにメモリに格納されているプログラムの中から通知されてきたレシピナンバー2のプログラムを実行することで、所定の計測処理を行う。
【0058】
さらに、レシピナンバー1の場合と同様に、各計測用機能ボード20-1~20-Nは、被試験体200の応答出力値を取得し、レシピナンバー2の規格値との比較により良否判定を行い、良否判定結果を当該ボードのメモリ111に格納する。
【0059】
なお、計測プログラムp012におけるレシピナンバー2に対応する計測プログラムが、例えば、計測用機能ボード20-2の計測データDA0122と、従前のレシピナンバー1で取得した計測データDA0121との差分変化値を判定するという計測内容のプログラムであった場合を考える。
【0060】
この場合には、同期制御ボード10は、計測用機能ボード20-2のメモリにある計測データDA0121と計測データDA0122を、通信手段5(Ethernet)を使って読込み、差分変化値を求める四則演算、および規格値との比較判定処理を行い、判定結果をメモリに格納する処理を実行する。
【0061】
なお、四則演算は一例であり、同期制御ボード10は、計測処理内容に応じて、それぞれの計測用機能ボード20-1~20-Nのメモリ内に格納された計測結果の中から必要なデータを読み出して、所望の演算処理を実行することで演算処理結果を算出し、算出した演算処理結果を自身のメモリに格納することができる。
【0062】
レシピナンバーNにおける計測処理も同様に実行される。品種01に関する最後のレシピナンバーNの計測完了をすべての計測用機能ボード20-1~20-Nから受信すると、同期制御ボード10は、一連の特性計測完了をホストPC1に通知する。この結果、ホストPC1は、各計測用機能ボード20-1~20-Nおよび同期制御ボード10のメモリに格納されている計測結果データをアップロードすることで、一括計測開始指令の返答として、最終的に、複数の特性項目に対する計測処理結果を取得することができる。
【0063】
ホストPC1は、アップロードした計測処理結果を計測結果ファイルに整理格納し、また、総合判定としての結果をモニタ上に表示する。
【0064】
そして、検証評価する被試験体200の品種が01から02に変わった場合、特性項目の計測には、品種02に対応する計測プログラムp02が選択される。そして、ホストPC1は、計測プログラムp01の場合と同様に、試験装置側の各ボードに計測プログラムp02をダウンロードするところから始める。
【0065】
品種02に関するその後の計測に関するタイムチャートについては、品種01のケースと同様であり、具体的な説明を省略する。
【0066】
次に、本実施の形態1における図1の試験システムについて、作用動作を示すフローチャートに基づいて、要点を説明する。図4は、本開示の実施の形態1における図1のホストPC1、同期制御ボード10、および計測用機能ボード20-1~20-Nの一連の作用動作を示すフローチャートである。
【0067】
図4において、工程S400は、ホストPC1での操作であり、工程S401および工程S402を有している。工程S401において、ホストPC1は、格納されている複数品種の被試験体200の計測プログラムの中から、試験を行う品種のプログラムを選択する。ホストPC1は、この工程S401の処理を、オペレータの選択入力に基づいて実行することができる。
【0068】
次に、工程S402において、ホストPC1は、選択結果に基づいて、被試験体の全ての特性項目の計測内容が記述された計測プログラムのレシピファイルを一括して、同期制御ボード10および計測用機能ボード20-1~20-Nにダウンロードする。
【0069】
次の工程S410は、同期制御ボード10の処理内容であり、工程S411~工程S414を有している。工程S411において、同期制御ボード10は、ホストPC1から計測のスタートコマンドに相当する一括計測開始指令を受信したか否かを判定する。そして、同期制御ボード10は、スタートコマンドを受信したと判定した場合には、工程S412の処理に進み、レシピナンバーを初期化する。具体的には、同期制御ボード10は、レシピナンバーを1に初期化し、初期化後の現在のレシピナンバーとする。
【0070】
次に、工程S413において、同期制御ボード10は、現在のレシピナンバー(413-1~413-N)を各計測用機能ボード20-1~20-Nに通知する。さらに、工程S414において、同期制御ボード10は、計測イネーブル信号(414-1~414-N)を各計測用機能ボード20-1~20-Nに通知する。
【0071】
次の工程S420は、計測処理を実行する工程であり、工程S421~工程S423を有している。工程421において、同期制御ボード10および計測用機能ボード20-1~20-Nは、メモリ111から今回のテストレシピナンバーに対するテストレシピデータを読込む。すなわち、同期制御ボード10および計測用機能ボード20-1~20-Nは、自身のメモリに格納されている計測プログラムの中から自身に割り当てられた現在のレシピナンバーに対応する計測プログラムをテストレシピデータとして抽出する。
【0072】
そして、工程S422において、同期制御ボード10および計測用機能ボード20-1~20-N各は、読み込んだテストレシピデータの中に計測処理命令があるか否かを判定する。そして、同期制御ボード10および計測用機能ボード20-1~20-Nは、計測処理命令があると判定した場合には工程S423に進む。一方、計測処理命令がないと判定した場合には、同期制御ボード10では工程S452に進み、計測用機能ボード20-1~20ーNでは工程S442に進む。
【0073】
工程S423に進んだ場合には、同期制御ボード10および計測用機能ボード20-1~20ーNは、それぞれの専用回路部115を用いて、テストレシピデータに基づいたボード専用の計測処理を実施し、計測結果データを自身のメモリ111に保存する。
【0074】
次の工程S430は、計測値を規格値と比較判定する工程であり、工程S431および工程S432を有している。工程S431において、同期制御ボード10および計測用機能ボード20-1~20-Nは、指示された今回のテストレシピデータに規格判定指示と判定規格値が存在している場合には、メモリ111に保存された計測結果データを判定規格値と比較することによりOK/NG判定を実施し、OK/NG結果をメモリ111に保存する。
【0075】
なお、同期制御ボード10は、四則演算・結果格納機能を有しており、計測値の演算結果を判定規格値と比較することによりOK/NG判定を実施し、OK/NG結果をメモリ111に保存することができる。
【0076】
さらに、工程S432において、同期制御ボード10および計測用機能ボード20-1~20-Nは、結果判定がOKであるか否かを判定し、OKでない場合には、NG判定を通知する(432、432-1~432-N)。同期制御ボード10では、OK判定した場合には工程S451に進み、NG判定した場合には工程S452に進む。一方、計測用機能ボード20-1~20-Nでは、OK判定した場合には工程S442に進み、NG判定した場合には工程S441に進む。
【0077】
次の工程S440は、計測用機能ボード20-1~20-N側の工程S430における計測結果データを規格値と比較判定した以降のフローを示しており、工程S441および工程S442を有している。先の工程S432でNG判定となり、工程S441に進んだ場合には、計測用機能ボード20-1~20-Nは、同期制御ボード10へNG判定であったことを示すNG信号(441-1~441-N)をバス伝送する。その後、工程S442の処理に進む。
【0078】
一方、先の工程S432でOK判定となった後、あるいは工程S441の処理の後に、工程S442に進んだ場合には、計測用機能ボード20-1~20-Nは、同期制御ボード10へ計測終了信号(442-1~442-N)をバス伝送する。その後、工程S462の処理に進む。
【0079】
次の工程S450は、同期制御ボード10の処理工程であり、工程S451~工程S454を有している。先の工程S432でOK判定となり工程451に進んだ場合には、同期制御ボード10は、すべての計測用機能ボード20-1~20-Nから計測終了信号を受信できたか以下かを判定する。そして、同期制御ボード10は、すべての計測用機能ボード20-1~20-Nから計測終了信号を受信できたと判定した場合には、工程S452に進む。
【0080】
工程S452に進んだ場合には、同期制御ボード10は、レシピナンバーをインクリメントする。そして、工程S453において、同期制御ボード10は、インクリメントしたレシピナンバーが最終レシピナンバーを超過したか否かを判定する。最終のレシピナンバーを超過していないと判定された場合には、工程S413に戻り、インクリメント後のレシピナンバーに対する一連処理が繰り返し行われることとなる。
【0081】
すなわち、同期制御ボード10は、計測用機能ボード20-1~20-Nのすべてから現在のレシピナンバーに関する計測終了信号を受信することで、レシピナンバーを+1だけインクリメントして現在のレシピナンバーを更新し、複数の計測用機能ボードのそれぞれに対して、更新後の現在のレシピナンバーの計測開始信号を同期させて出力することで更新処理を実行する。
【0082】
また、それぞれの計測用機能ボード20-1~20-Nは、同期制御ボード10から更新後の現在のレシピナンバーの計測開始信号を受信すると、自身のメモリに格納されていた計測プログラムの中から抽出した自身に割り当てられた更新後の現在のレシピナンバーに対応する計測プログラムに従って計測処理を実行し、計測結果をメモリに格納するとともに、更新後の現在のレシピナンバーに関する計測終了信号を同期制御ボード10に送信することで、再計測処理を実行する。
【0083】
一方、最終のレシピナンバーを超過したと判定された場合には、全テストレシピの計測が完了したこととなり、工程S454に進む。そして、工程S454において、同期制御ボード10は、ホストコンピュータ1へ全テストレシピ完了通知(454)を、通信線にて送信する。ここで、全テストレシピ完了通知とは、全レシピの計測が完了したことを示す計測完了通知に相当する。
【0084】
なお、同期制御ボード10は、各計測用機能ボード20-1~20-NからNG信号を受取っていた場合には、全テストレシピ完了通知とともに、ホストPC1に計測NGであった旨を通知する。
【0085】
また、図4のフローチャートには図示していないが、同期制御ボード10は、接続されている外部回路(図1参照)で、例えば、非常停止スイッチ、あるいは異常検知入力が作動したことで異常入力を検知した場合には、試験システムを停止動作させ、ホストPC1に異常として通知することができる。
【0086】
次の工程S460は、ホストPC1において判定結果をアップロードする処理を示しており、工程S461および工程S462を有している。工程S461において、ホストPC1は、同期制御ボード10から全テストレシピの計測完了通知を受信することで、同期制御ボード10、および各計測用機能ボード20-1~20-Nへ、通信線を介して、計測結果データのアップロード要求(461-0~461-N)を送信する。
【0087】
工程S462において、各ボードは、ホストPC1からのアップロード要求の返答として、夫々メモリ111に格納されている計測データおよび判定結果(462-0~462-N)を、ホストPC1にアップロードする。この結果、ホストPC1は、一括計測開始指令の返答として、最終的に、複数の特性項目に対する計測処理結果を取得することができる。
【0088】
最終工程である工程S470において、ホストPC1は、計測プロブラムを用いて計測結果データを整理し、計測結果ファイルを生成し、表示モニタに計測結果を表示する。これらの一連処理により、計測完了となる。
【0089】
上述したような本開示による汎用試験システムの特徴を整理すると、以下のようになる。
特徴1:被試験体の複数の特性項目のそれぞれに対応する計測条件が記述された計測プログラムを、品種単位で一括して、ホストPCから各ボードにダウンロードすることで、各ボードは、1つの品種に関するすべてのレシピナンバーに対応する計測プログラムを、計測開始前に一括してメモリに格納させておくことができる構成を備えている。この構成により、1つの特性計測のテストレシピナンバー実行毎に、ホストPC側から次のレシピナンバーに対応する計測プログラムを送信する必要がなくなる。また、同じ品種で被試験体が更新された場合にも、すでにダウンロードされている計測プログラムを流用することができ、ホストPCからの計測開始指令を受けることで、直ちに新たな被試験体の特性性能検証を実施できる。この結果、計測実行中にはホストコンピュータの影響を受けず、計測処理の高速化を図ることができる。
【0090】
特徴2:レシピナンバーごとの計測開始のタイミング通知は、ホストコンピュータを介さず、同期制御ボードが同期して指令する構成を備えている。この結果、ホストPCのOS、あるいはホストPCに常駐のソフトの動作の影響を受けないため、計測同期タイミングの時間制御の正確性が確保できる。さらに、被試験体での特性計測においては、被試験体の各計測点に対する計測のタイミングが重要であり、同期制御ボードによる同期制御により、計測のタイミング時間の確保を図ることができる。
【0091】
特徴3:テストレシピナンバー毎の計測結果データは、当該テストレシピナンバーに対応するプログラム実行ごとに、各計測用機能ボードおよび同期制御ボードのメモリに蓄積され、最終のテストレシピナンバーでの特性計測完了後に、1つの品種に関するすべてのレシピナンバーの計測結果が、ホストPCにアップロードされる構成を備えている。この結果、1つの品種に関する一連のレシピナンバーの計測実行中には、ホストPCのOSあるいは常駐ソフトによる動作の影響を受けず、計測の高速化を図ることができる。
【0092】
特徴4:被試験体と試験装置とは、治具上に設けられた特性計測用の治具上回路を介してケーブル接続されており、被試験体の特性項目毎に設定する各種計測条件に応じて、必要な計測用機能ボードの種類、市販の計測機器の使用可否等を、計測プログラムにより自由に設定することが可能となる。この結果、種々の用途に応じた被試験体の特性性能検証を実施できる汎用試験システムを実現することができる。
【0093】
特徴5:同期制御ボードおよび複数の計測用機能ボードのそれぞれにおいては、被試験体に関する計測データを収集するために外部回路と接続される専用回路部を有しているが、この専用回路部は、その他の回路と電気的に絶縁される構成となっている。この結果、被試験体に対して高電圧等を印加した際にも、耐ノイズ性を向上させることができる。
【0094】
特徴6:ホストコンピュータは、有線または無線による通信手段により同期制御ボードおよび複数の計測用機能ボードのそれぞれと相互通信可能に接続されている。その一方で、同期制御ボードおよび複数の計測用機能ボードのそれぞれは、テストバスによっても相互通信可能に接続されている。この結果、各ボード間でのデータは、テストバスを介して共有化でき、計測処理の高速性を実現できる。
【0095】
以上のように、実施の形態1によれば、特に、上述した特徴1および特徴2を備えることで、被試験体の特性を計測するための試験システムとして、複数ある特性項目の計測の同期性、および高速性を図った汎用試験システムを得ることができる。
【0096】
さらに、上述した特徴3~特徴6の少なくともいずれかをさらに備えることで、汎用試験システムの性能をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0097】
1 ホストコンピュータ、2 試験装置本体、3 ハブ、4、5 通信手段、6 テストバス、7 外部接続ケーブル、10 同期制御ボード、20 計測用機能ボード、30 計測用機器、110 トランシーバ回路、111 メモリ、112 CPU、113 FPGA、114 アイソレータ、115 専用回路部、116 通信変換回路、117 ポート、118、119 コネクタ、200 被試験体、210 ピンボード治具装置
、211 治具プレート、212 プローブピン、220 治具上回路。
図1
図2
図3
図4
図5