(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】超音波伝搬部材及びボルト軸力測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/24 20060101AFI20241107BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20241107BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20241107BHJP
G01N 29/28 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
G01N29/24
G01L5/00 103C
H04R17/00 330G
H04R17/00 330J
G01N29/28
(21)【出願番号】P 2021140827
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】津▲崎▼ 一浩
(72)【発明者】
【氏名】榊原 利次
(72)【発明者】
【氏名】平井 浩基
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026510(JP,A)
【文献】特開2020-020749(JP,A)
【文献】特開2013-024374(JP,A)
【文献】特開2012-115345(JP,A)
【文献】中国実用新案第209761976(CN,U)
【文献】特開2016-133457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
H04R 17/00
G01L 5/00 - G01L 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物と接触する第一の接触面と、前記第一の接触面の反対側に設けられており、超音波探触子の先端面と接触する第二の接触面と、を有する超音波伝搬部と、
前記超音波伝搬部を保持し、前記第一の接触面よりも径方向外側で前記測定対象物と接触する第三の接触面を有する保持部と、
を備え、
前記超音波伝搬部は、前記保持部よりも
柔らかく、
前記測定対象物に装着される前の状態で、前記第一の接触面は、前記第三の接触面よりも前記測定対象物側に位置し、
前記測定対象物に装着された状態で、前記第一の接触面及び前記第三の接触面は、前記測定対象物に形成された凹部の底面に接触し、前記超音波伝搬部は、前記第一の接触面が前記第三の接触面と同じ高さとなるように圧縮変形する
ことを特徴とする超音波伝搬部材。
【請求項2】
前記保持部は、前記超音波探触子の外周面に固定される固定部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波伝搬部材。
【請求項3】
前記固定部は、前記超音波探触子の外周面に形成された雄ネジ部に螺合する雌ネジ部である
ことを特徴とする
請求項2に記載の超音波伝搬部材。
【請求項4】
前記保持部は、前記凹部の内周面と接触する第四の接触面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波伝搬部材。
【請求項5】
前記超音波伝搬部は、エラストマーによって形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波伝搬部材。
【請求項6】
前記保持部は、ポリプロピレンによって形成されている
ことを特徴とする
請求項5に記載の超音波伝搬部材。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の超音波伝搬部材を用いて前記測定対象物としてのボルトのボルト軸力を測定するボルト軸力測定方法であって、
前記超音波伝搬部及び前記保持部を前記凹部に装着する装着ステップと、
前記超音波伝搬部及び前記保持部が装着された前記ボルトを孔部に螺合させる螺合ステップと、
前記超音波探触子が、前記超音波伝搬部を介して、前記孔部に螺合している前記ボルトへ向けて超音波を発振する発振ステップと、
前記超音波探触子が、前記超音波のエコーを受振する受振ステップと、
制御部が、前記エコーの受振結果に基づいてボルト軸力を算出する算出ステップと、
を含み、
前記装着ステップにおいて、前記第一の接触面及び前記第三の接触面は、前記測定対象物に形成された凹部の底面に接触し、前記超音波伝搬部は、前記第一の接触面が前記第三の接触面と同じ高さとなるように圧縮変形する
ことを特徴とするボルト軸力測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探触子が発生した超音波を測定対象物へ伝搬させるための部材及び当該部材を用いたボルト軸力測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルトを締め付ける際のボルト(締付)軸力を測定する際に、超音波探触子とボルト頭部との間のギャップを埋めるようにエラストマー製の部材を設置することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるエラストマー製の部材は、超音波探触子及び測定対象物(ボルト)の間で荷重を受けて圧縮変形した状態で用いられるため、測定性と耐久性の両立が困難であった。
【0005】
本発明は、前記した事項に鑑みて創案されたものであり、測定性を確保しつつ耐久性を向上することが可能な超音波伝搬部材、及び、当該超音波伝搬部材を用いたボルト軸力測定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明の超音波伝搬部材は、測定対象物と接触する第一の接触面と、前記第一の接触面の反対側に設けられており、超音波探触子の先端面と接触する第二の接触面と、を有する超音波伝搬部と、前記超音波伝搬部を保持し、前記第一の接触面よりも径方向外側で前記測定対象物と接触する第三の接触面を有する保持部と、を備え、前記超音波伝搬部は、前記保持部よりも柔らかく、前記測定対象物に装着される前の状態で、前記第一の接触面は、前記第三の接触面よりも前記測定対象物側に位置し、前記測定対象物に装着された状態で、前記第一の接触面及び前記第三の接触面は、前記測定対象物に形成された凹部の底面に接触し、前記超音波伝搬部は、前記第一の接触面が前記第三の接触面と同じ高さとなるように圧縮変形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、超音波伝搬部材の測定性を確保しつつ耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る締付装置を模式的に示す図である。
【
図2】(a)(b)は、超音波伝搬部材を模式的に示す斜視図である。
【
図3】締付装置をボルトに装着した状態を模式的に示す図である。
【
図4】本発明の第二の実施形態に係る締付装置を模式的に示す図である。
【
図5】締付装置をボルトに装着した状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、測定対象物としてボルトを採用して超音波探触子を用いてボルト軸力を測定する場合を例にとり、適宜図面を参照しながら説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、本発明の測定対象物はボルトに限定されず、本発明の超音波伝搬部材は、測定対象物の寸法、軸力等を超音波探触子を用いて測定する装置と組み合わせて使用可能である。
【0010】
<第一の実施形態>
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る締付装置(ナットランナ)1Aは、ボルト2Aを締め付ける際に発生するボルト(締付)軸力を測定するボルト軸力測定装置でもある。ボルト軸力測定装置は、図示しない制御部が図示しない駆動部(モータ等)を駆動させることによって、ボルト2Aに装着された締付装置1Aを回転させて、ボルト2Aを締め付ける。ボルト軸力測定装置の制御部は、ボルト締付時の超音波パルスのエコーに基づいて、ボルト軸力を算出する。締付装置1は、回転シャフト3と、ソケット4と、超音波探触子5と、超音波伝搬部材6Aと、を備える。
【0011】
<回転シャフト>
回転シャフト3は、図示しない制御部の制御によって、所定のトルク及び回転速度(回転角速度)で回転する筒状部材である。
【0012】
<ソケット>
ソケット4は、回転シャフト3及びボルト2Aに外嵌される筒状部材である。ソケット4の基端部(上端部)は、回転シャフト3の先端部(下端部)に着脱可能に外嵌されて固定されている。ソケット4の先端部(下端部)は、ボルト2Aの頭部2aに外嵌可能である。
【0013】
<超音波探触子>
超音波探触子5は、ソケット4内において、回転シャフト3の先端部(下端部)に取り付けられている略円柱形状の部材である。超音波探触子5は、超音波パルスを発振し、発振した超音波パルスのエコーを受振する圧電素子等を備える。超音波探触子5は、図示しない支持部材、弾発コイルバネ等を介して回転シャフト3の先端部に取付けられていてもよい。超音波探触子5の外周面には、雄ネジ部5aが形成されている。超音波探触子5の先端面(下端面)5bは、後記する超音波伝搬部10Aの本体部の基端面(上面)と接触可能である。また、超音波探触子5の外周面において、雄ネジ部5aよりも先端部側(下側)は、雄ネジ部5aが形成されておらず雄ネジ部5aよりも小径の小径部5cとなっている。超音波探触子5の外周面において、雄ネジ部5aよりも基端部側(上側)は、雄ネジ部5aが形成されておらず雄ネジ部5aよりも大径の大径部5dとなっている。大径部5dの径は、雌ネジ部21aの径よりも大きく、かつ、孔部21bの径方向内端部の径よりも小さく設定されている。
【0014】
<超音波伝搬部材>
超音波伝搬部材6Aは、ソケット4内において、超音波探触子5の先端部(下端部)に取り付けられている略有底円筒形状の樹脂製部材である。超音波伝搬部材6は、超音波探触子5とボルト2Aの頭部2aとの間のギャップを埋め、超音波探触子5から発振された超音波パルスをボルト2Aへ伝搬したり、ボルト2Aからの超音波パルスのエコーを超音波探触子5へ伝搬したりする。
図1及び
図2(a)(b)に示すように、本発明の第一の実施形態に係る超音波伝搬部材6Aは、超音波伝搬部10Aと、保持部20Aと、を備える。
【0015】
<超音波伝搬部>
超音波伝搬部10Aは、超音波探触子5及びボルト2A間で超音波パルスを伝搬させる部材である。超音波伝搬部10Aは、保持部20Aよりも柔らかい材料、詳細には、ボルト2Aに装着された状態で、弾性変形域内で軸方向(上下方向)圧縮変形可能な柔らかい材料、本実施形態では、エラストマーによって形成されている。超音波伝搬部10Aは、本体部11と、第一の延設部12と、第二の延設部13と、突起部14と、を一体に備える。
【0016】
本体部11は、超音波パルスを伝搬する、円板形状を呈する部位である。本体部11の先端面(下面)は、ボルト2Aの頭部2aに形成された平面視円形の凹部2bの底面2b1と接触する第一の接触面11aを構成する。第一の接触面11aの反対側となる本体部11の基端面(上面)は、超音波探触子5の先端面(下端面)5bと接触する第二の接触面11bを構成する。
【0017】
第一の延設部12は、本体部11の径方向外端部から径方向外側に延設される部位である。第一の延設部12は、径方向外側にいくにつれて上側に向かうように延設されている。
【0018】
第二の延設部13は、第一の延設部12の径方向外端部から径方向外側に延設される部位である。第二の延設部13は、回転シャフト3、ソケット4及び超音波探触子5の軸方向と直交する方向に延設されている。
【0019】
突起部14は、第二の延設部13の径方向外端部から上方に延設される部位である。突起部14は、平面視で円弧形状を呈する。本実施形態では、4つの突起部14が、周方向に等間隔に形成されている。
【0020】
<保持部>
保持部20Aは、超音波探触子5に対して超音波伝搬部10Aを保持する部材である。保持部20Aは、超音波伝搬部10Aよりも硬い材料、詳細には、ボルト2Aに装着された状態で、ボルト2Aに対する位置決めを実行可能な硬い材料、本実施形態では、ポリプロピレンによって形成されている。保持部20Aは、本体部21と、第一の延設部22と、第二の延設部23と、を一体に備える。なお、保持部20Aの材料は、ポリプロピレンに限定されず、超音波伝搬部10Aよりも硬く(大きい硬度を有し)、超音波伝搬部10Aを保持したり、超音波探触子5に対して固定されたり、ボルト2Aの凹部2bに対して位置決めされたり、等といった機能を実現可能なものであればよい。
【0021】
本体部21は、円筒形状を呈する部位である。本体部21の内周面には、雌ネジ部21aが形成されている。雌ネジ部21aは、超音波探触子5の外周面に固定される固定部の一例である。本体部21には、上下方向に貫通する円弧形状の孔部21bが形成されている。本実施形態において、4つの突起部14に対応する4つの孔部21bが、周方向に等間隔に形成されている。
【0022】
第一の延設部22は、本体部21の径方向内端部から下方に延設されている環状の部位である。第一の延設部22は、下方にいくにつれて径方向内側に向かうように延設されている。第一の延設部22は、かかる形状によって超音波探触子5の先端部の位置決め機能を有する。第一の延設部22の下面は、超音波伝搬部10Aの本体部11の上面と接触し、当該本体部11の圧縮変形の安定化を実現する。
【0023】
第二の延設部23は、本体部21の径方向外端部から下方に延設されている環状の部位である。第二の延設部23は、第一の延設部22よりも下方まで延設されている。第二の延設部23の先端面(下面)は、ボルト2Aの凹部2bの底面2b1と接触する第三の接触面23aを構成する。かかる第三の接触面23aは、超音波伝搬部10Aの第一の接触面11a及び第二の接触面11bよりも径方向外側に位置する。第二の延設部23の外周面は、ボルト2Aの凹部2bの内周面2b2と接触する第四の接触面23bを構成する。
【0024】
<超音波伝搬部及び保持部の組付手法>
超音波伝搬部10Aは、突起部14が保持部20の孔部21bに下方から挿入(圧入)される、又は、かかる状態で同時成型(一体成型)されることによって、保持部20Aに固定される。組付状態において、本体部11の上面、第一の延設部12の内周面、及び、第二の延設部13の上面は、それぞれ、第一の延設部22の下面、第一の延設部22の外周面、及び、本体部21の下面と接触する。第二の延設部23の下面である第三の接触面23aは、超音波探触子5の軸線方向において、本体部11の下面である第一の接触面11aと本体部11の上面である第二の接触面11bとの間に位置する。すなわち、ボルト2Aに装着される前は、第三の接触面23aは、第一の接触面11aよりも上、かつ、第二の接触面11bよりも下に位置する。
【0025】
<超音波伝搬部材及び超音波探触子の組付手法>
超音波伝搬部材6Aは、本体部21の内周面に形成された雌ネジ部21aが超音波探触子5の外周面に形成された雄ネジ部5aに螺合されることによって、超音波探触子5に固定される。組付状態において、超音波探触子5の先端面(下面)5bは、本体部11の上面である第二の接触面11bと接触する。また、超音波探触子5の小径部5cは、第一の延設部22の内周面の下端部(雌ネジ部21aが形成されていない部分)と接触する。また、超音波探触子5の雄ネジ部5aと大径部5dとの境界部分の面(下向きの面)は、本体部21の基端面(上面)と接触する。これらの接触によって、超音波探触子5及び超音波伝搬部材6Aが互いに位置決めされる。
【0026】
<ボルトへの装着手法>
ソケット4が、ボルト2Aの頭部2aに外嵌される。ここで、超音波伝搬部材6Aは、ボルト2Aの頭部2aに形成された凹部2bに挿入されることによって、ボルト2Aに装着される。第二の延設部23の外周面である第四の接触面23bは、凹部2bの内周面2b2と接触する。これにより、超音波伝搬部材6A及び超音波探触子5の軸に直交する方向の位置決めが好適に行われる。また、本体部11の下面である第一の接触面11a、及び、第二の延設部23の下面である第三の接触面23aは、凹部2bの底面2b1と接触する。ここで、本体部11及び第一の延設部12は、下面である第一の接触面11aが第三の接触面23aと同じ高さとなるまで圧縮変形する。
【0027】
第一の延設部12の外周面は、下にいくほど先細となるテーパ形状を呈しており、本体部11及び第一の延設部12が上下方向に圧縮変形しやすいようになっている。第一の延設部12の外周面と第二の延設部23の内周面との間には、本体部11及び第一の延設部12の圧縮変形時の逃げしろが確保されている。
【0028】
かかる状態において、図示しない制御部は、図示しない駆動部(モータ等)を駆動させることによって回転シャフト3及びソケット4を回転させる。これにより、ボルト2Aが図示しない孔部に螺合されて締め付けられる。ここで、図示しない制御部は、超音波探触子5を駆動させることによって、超音波パルスを発振させる。超音波パルスは、超音波伝搬部10Aの本体部11を介してボルト2Aへ伝搬される。超音波探触子5は、ボルト2の頭部2a(凹部2bの底面2b1)からのエコーと、ボルト2Aの軸部の先端面(下面)からのエコーと、を受振し、受振結果を図示しない制御部へ出力する。
図示しない制御部は、かかる受振結果に基づいて、ボルト軸力を算出する。
【0029】
本発明の第一の実施形態に係る超音波伝搬部材6Aは、測定対象物(ボルト2A)と接触する第一の接触面11aと、前記第一の接触面11aの反対側に設けられており、超音波探触子5の先端面5bと接触する第二の接触面11bと、を有する超音波伝搬部10Aと、前記超音波伝搬部10Aを保持し、前記第一の接触面11aよりも径方向外側で前記測定対象物と接触する第三の接触面23aを有する保持部20Aと、を備え、前記超音波伝搬部10Aは、前記保持部20Aよりも柔らかい。
したがって、超音波伝搬部材6Aは、超音波伝搬部10Aが保持部20Bよりも柔らかいので、保持部20Bの第三の接触面23aによって超音波伝搬部10Aの本体部11及び第一の延設部12の圧縮変形量を好適に設定することができ、測定性を確保しつつ超音波伝搬部10Aの耐久性を向上することができる。
【0030】
超音波伝搬部材6Aにおいて、前記測定対象物に装着される前の状態で、前記第一の接触面11aは、前記第三の接触面23aよりも前記測定対象物側に位置する。
したがって、超音波伝搬部材6Aは、第三の接触面23aに対する第一の接触面11aの突出量によって、超音波伝搬部10Aの本体部11及び第一の延設部12の圧縮変形量を好適に設定することができ、測定性を確保しつつ超音波伝搬部10Aの耐久性を向上することができる。
【0031】
超音波伝搬部材6Aにおいて、前記保持部20Aは、前記超音波探触子5の外周面に固定される固定部を備える。
したがって、超音波伝搬部材6Aは、超音波伝搬部10Aよりも硬い保持部20Aにおいて超音波探触子5に固定されるので、超音波探触子5に対する固定性を向上し、正確な測定を支援することができる。
【0032】
超音波伝搬部材6Aにおいて、前記固定部は、前記超音波探触子5の外周面に形成された雄ネジ部5aに螺合する雌ネジ部21aである。
したがって、超音波伝搬部材6Aは、保持部20Aがネジ螺合によって超音波探触子5に固定されるので、超音波探触子5に対する固定性をさらに向上し、より正確な測定を支援することができる。
【0033】
超音波伝搬部材6Aにおいて、前記第一の接触面11a及び前記第三の接触面23aは、前記測定対象物(ボルト2Aの頭部2a)に形成された凹部2bの底面2b1に接触し、前記保持部20Aは、前記凹部2bの内周面2b2と接触する第四の接触面23bを有する。
したがって、超音波伝搬部材6Aは、測定対象物に対する位置決め性及び固定性を向上し、正確な測定を支援することができる。
【0034】
超音波伝搬部材6Aにおいて、前記超音波伝搬部10Aは、エラストマーによって形成されている。
したがって、超音波伝搬部材6Aは、測定対象物及び超音波探触子5への密着性を向上し、正確な測定を支援することができる。
【0035】
超音波伝搬部材6Aにおいて、前記保持部20Aは、ポリプロピレンによって形成されている。
したがって、超音波伝搬部材6Aは、保持部20Aが超音波伝搬部10Aよりも硬いポリプロピレン製であるので、超音波伝搬部10Aに圧縮しすぎを抑制し、荷重を好適な範囲に設定することができる。
【0036】
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係る締付装置について、第一の実施形態との相違点を中心に説明する。
図4に示すように、ボルト2Bの凹部2cは、径方向中央側の底面2c1が、径方向外側の底面2c2よりも深く形成されている。本発明の第二の実施形態に係る締付装置1Bは、超音波伝搬部材6Aに代えて、超音波伝搬部10B及び保持部20Bを有する超音波伝搬部材6Bを備える。
【0037】
超音波伝搬部10Bにおいて、第一の延設部12の外周面及び第二の延設部13の下面の境界部分(隅部)は、R形状を呈するR部10aとなっている。これにより、本体部11及び第一の延設部12の圧縮変形による亀裂の発生が防止される。
【0038】
超音波伝搬部10Bにおいて、突起部14は、先端(上)にいくにつれて径方向に先細となる形状を呈する。また、保持部20Bにおいて、本体部21に形成される孔部21bは、突起部14に対応する形状を呈する。
【0039】
超音波伝搬部10Bにおいて、第三の接触面23a及び第四の接触面23bの境界部分は、面取部23cとなっている。これにより、面取部23cがガイドとなり、超音波伝搬部材6Bがボルト2Bの凹部2cに対して装着しやすくなっている。
【0040】
<ボルトへの装着手法>
ソケット4が、ボルト2Bの頭部2aに外嵌される。ここで、超音波伝搬部材6Bは、ボルト2Bの頭部2aに形成された凹部2cに挿入されることによって、ボルト2Bに装着される。第二の延設部23の外周面である第四の接触面23bは、凹部2cの内周面2c3と接触する。これにより、超音波伝搬部材6B及び超音波探触子5の軸に直交する方向の位置決めが好適に行われる。また、本体部11の下面である第一の接触面11aは、凹部2cの底面2c1と接触し、及び、第二の延設部23の下面である第三の接触面23aは、凹部2cの底面2c2と接触する。ここで、本体部11は、底面2c1,2c2の高さの差に対応する分だけ圧縮変形する。第一の延設部12の外周面と凹部2cの底面2c1,2c2の境界に形成される内周面との間には、本体部11及び第一の延設部12の圧縮変形時の逃げしろが確保されている。また、第二の延設部13の底面は、第三の接触面23aよりも高く(ボルト2Bから離間した位置に)設定されており、ソケット4及び超音波伝搬部材6Bがボルト2Bに装着された状態で、第二の延設部13の底面及び凹部2cの底面2c2の間には、隙間が確保されている。これにより、第三の接触面23aによる位置決めが好適に行われる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変形可能である。
【符号の説明】
【0042】
1A,1B 締付装置(ボルト軸力測定装置)
2A,2B ボルト(測定対象物)
2a 頭部
2b 凹部
2b1 底面
2b2 内周面
2c 凹部
2c1,2c2 底面
2c3 内周面
4 ソケット
5 超音波探触子
5a 雄ネジ部(固定部)
5b 先端面(下面)
6A,6B 超音波伝搬部材
10A,10B 超音波伝搬部
10a R部
11 本体部
11a 第一の接触面(下面)
11b 第二の接触面(上面)
12 第一の延設部
13 第二の延設部
14 突起部
20A,20B 保持部
21 本体部
22 第一の延設部
23 第二の延設部
23a 第三の接触面(下面)
23b 第四の接触面(外周面)
23c 面取部