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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】抗CD47抗体及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20241107BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241107BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241107BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241107BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241107BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20241107BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241107BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20241107BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
C07K16/46
C12N15/13
C12P21/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021510171
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2019103673
(87)【国際公開番号】W WO2020043188
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-04-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】201811009176.8
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515145227
【氏名又は名称】南京聖和薬業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING SANHOME PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王勇
(72)【発明者】
【氏名】趙立文
(72)【発明者】
【氏名】宋其峰
(72)【発明者】
【氏名】朱永強
(72)【発明者】
【氏名】張亜楠
(72)【発明者】
【氏名】韓▲ル▼薇
(72)【発明者】
【氏名】金亮
(72)【発明者】
【氏名】呉文明
【合議体】
【審判長】中村 浩
【審判官】深草 亜子
【審判官】中根 知大
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-507555(JP,A)
【文献】特表2018-502060(JP,A)
【文献】国際公開第2018/075857(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/053423(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N15/00-15/90
C07K16/00-16/46
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、
(1)前記重鎖可変領域は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がSEQ ID NO:4、5及び6で示され、
(2)前記軽鎖可変領域は、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3がSEQ ID NO:15、16及び17で示される、抗CD47抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗体は、マウスモノクローナル抗体、ヒト/マウスキメラ抗体又はヒト化抗体である、請求項1に記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗体は、さらに、マウスIgG1、IgG2又はその変異体の重鎖定常領域、マウス由来のk鎖又はその変異体の軽鎖定常領域を含む、請求項1に記載のCD47抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:22であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:25である、請求項1に記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:30であり、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:33である、請求項1に記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
分離された核酸であって、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片をコードする、核酸。
【請求項7】
(1)前記重鎖可変領域アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:36で示され、
(2)前記軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:39で示される、請求項6に記載の核酸。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
CD47活性の阻害により、がんを治療するために使用される、請求項8の医薬組成物。
【請求項10】
前記がんが、白血病、リンパがん、乳がん、肺がん、胃がん、大腸がん、食管がん、卵巣がん、子宮頸がん、腎臓がん、膀胱がん、膵臓がん、グリオマ及び/又はメラノーマである、請求項9に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体医薬技術分野に関し、特に抗CD47抗体又はその抗原結合断片、抗CD47抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物及びそれらの応用に関する。
【背景技術】
【0002】
CD47タンパク質は、整合素相関蛋白(IAP)と称され、IgGスーパ―家族である五つ回膜貫通型糖タンパク質に属し、異なる組織細胞に広く発現される。CD47抗体は、リガンドとするTSP-1又はSIRPαと結合し、細胞移動、粘附、アポトーシス、軸索伸長、細胞因子の発生及びT細胞活化、を含む異なる細胞機能をコントロールすることができ、SIRPαは、典型的な免疫受体チロシン抑制剤配列(ITIM)を含有する膜貫通蛋白であり、主に髄系造血細胞膜表面、例えば、マクロファージ、細胞、樹状細胞などに発現される。CD47はSIRPαと結合した後、ITIMsのリン酸化をもたらすため、SHP-1/SHP-2を生成し、さらに、マクロファージ突触でのミオシンIIAの累積を抑制し、最終的にマクロファージ細胞のマクロファージ機能を抑制する。
【0003】
腫瘍細胞の「免疫エスケープ」は、腫瘍の発生、進展及び薬剤耐性の主要なメカニズムと考えられる。腫瘍細胞は、CD47分子の高発現により、マクロファージ細胞表面のSIRPαと互いに作用させ、マクロファージ細胞の食作用を顕著に抑制し、マクロファージ細胞によって取り込まれることを回避される。CD47とSIRPαとの結合を阻害すれば、腫瘍細胞による免疫抑制又は免疫耐性を除去でき、腫瘍細胞を有効に殺すことができる。これは、CD47の腫瘍免疫タゲット治療に極めて有力な理論な根拠を提供している。
近年、国内外で、CD47/SIRPαシグナルシグナル伝達経路の各種治療法に多くの研究を行っており、例えば、CD47抗体、抗SIRPα抗体、組み換えSIRPαタンパク質、二重特異性抗体である。そのうち、CD47阻害性抗体は、最も希望の持つ腫瘍治療案と考えられる。ヒトCD47ブロッキングモノクローナル抗体の有効性は、複数の前臨床モデルにおいて証実されている。例えば、リンパ癌、膀胱癌、結大腸癌、膠芽腫、乳癌、急性リンパ白血病及び急性骨髄性白血病などがある。
さらに、赤血球、血小板にもCD47分子が発現され、抗体がCD47とSIRPαとの互い作用を阻害すると、これらの細胞が「食しないで」というシグナルの保護を失なってしまい、さらにマクロファージ細胞によって取り込まれる。従って、CD47抗体の副作用を回避する必要があり、例えば、血小板の分解、赤血球の凝集、赤血球の低下、貧血なども抗CD47抗体を応用すれば考慮すべき点である。
従って、優れた抗腫瘍活性を有し、且つ顕著な赤血球凝集活性を有しない抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一側面では、重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含む抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域は、重鎖可変領域の相補性決定領域1(HCDR1)、重鎖可変領域の相補性決定領域2(HCDR2)及び/又は重鎖可変領域の相補性決定領域3(HCDR3)を含有し、前記軽鎖可変領域は、軽鎖可変領域の相補性決定領域1(LCDR1)、軽鎖可変領域の相補性決定領域2(LCDR2)及び/又は軽鎖可変領域の相補性決定領域3(LCDR3)を含有する抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0005】
実施形態において、本発明は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、
【0006】
(1)前記重鎖可変領域は、
(a1)SEQ ID NO:1、2及び3で示されるアミノ酸配列、
(a2)SEQ ID NO:10、2及び11で示されるアミノ酸配列、
(a3)SEQ ID NO:4、5及び6で示されるアミノ酸配列、
(a4)SEQ ID NO:7、8及び9で示されるアミノ酸配列、並びに
(a5)(a1)、(a2)、(a3)又は(a4)に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するCDRからなる群から選ばれるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、
(2)前記軽鎖可変領域は、
(a6)SEQ ID NO:12、13、及び14で示されるアミノ酸配列、
(a7)SEQ ID NO:15、16、及び17で示されるアミノ酸配列、
(a8)SEQ ID NO:18、19、及び20で示されるアミノ酸配列、
(a9)(a6)、(a7)又は(a8)に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するCDRからなる群から選ばれるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
【0007】
具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又は抗原結合断片であって、前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がそれぞれSEQ ID NO:1、2及び3、又はSEQ ID NO:1、2及び3で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するCDRである重鎖可変領域、並びに、前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3がそれぞれSEQ ID NO:12、13、及び14またはSEQ ID NO:12、13、及び14で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するCDRである軽鎖可変領域を含む抗CD47抗体又は抗原結合断片を提供する。
具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又は抗原結合断片であって、前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がそれぞれSEQ ID NO:10、2及び11、又はSEQ ID NO10、2及び11で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するCDRである重鎖可変領域、並びに、前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3がそれぞれSEQ ID NO:12、13、及び14またはSEQ ID NO:12、13、及び14で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するCDRである軽鎖可変領域を含む抗CD47抗体又は抗原結合断片を提供する。
具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がそれぞれSEQ ID NO:4、5及び6又はSEQ ID NO:4、5、及び6で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するCDRである重鎖可変領域、並びに、前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3がそれぞれSEQ ID NO:15、16、及び17またはSEQ ID NO:15、16、及び17で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するCDRである軽鎖可変領域を含む抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がそれぞれSEQ ID NO:7、8及び9又はSEQ ID NO:7、8、及び9で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するCDRである重鎖可変領域、並びに、前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3がそれぞれSEQ ID NO:18、19、及び20またはSEQ ID NO:18、19、及び20で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するCDRである軽鎖可変領域を含む抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明の抗CD47抗体又はその抗原結合断片は、モノクローナル抗体又はその抗原結合断片である。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明の抗CD47抗体又はその抗原結合断片は、マウス抗体又はその抗原結合断片、キメラ抗体又はその抗原結合断片、或いはヒト化抗体又はその抗原結合断片である。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、
(1)前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、
(b1)SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、及びSEQ ID NO:27で示されるアミノ酸配列、
(b2)(b1)に示されるアミノ酸配列に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、(b1)に示されるアミノ酸配列と同じ又は類似する機能を持つアミノ酸配列、並びに
(b3)(b1)に示されるアミノ酸配列対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から選ばれ、
(2)前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、
(b4)SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:28で示されるアミノ酸配列、
(b5)(b4)に示されるアミノ酸配列に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、(b4)に示されるアミノ酸配列と同じ又は類似する機能を持つアミノ酸配列、
(b6)(b4)に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノアミノ酸配列から選ばれる、抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0008】
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:21に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:21と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:21に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:24に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:24と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:24に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列である、抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:22に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:22と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:22に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:25に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:25と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:25に対して少なくと85%の同一性と有するアミノ酸配列である、抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:23に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:23と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:23に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:26に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:26と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:26に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列である、抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:27に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:27び機能と同じであるアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:27に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:24に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:24と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:24に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列である、抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:23であり、SEQ ID NO:23に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:23と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:23に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:28に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:28と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:28に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列である、抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:21に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:21と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:21に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がSEQ ID NO:1、2及び3で示されるアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:24に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:24と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:24に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3は、SEQ ID NO:12、13及び14で示されるアミノ酸配列である、抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列はSEQ ID NO:22、SEQ ID NO:22に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:22と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:22に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がSEQ ID NO:4、5及び6で示されるアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:25であり、SEQ ID NO:25に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:25と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:25に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3がSEQ ID NO:15、16及び17で示されるアミノ酸配列である、抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列はSEQ ID NO:23、SEQ ID NO:23に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:23と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:23に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がSEQ ID NO:7、8及び9で示されるアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:26に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:26と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:26に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3がSEQ ID NO:18、19及び20で示されるアミノ酸配列である、抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:27に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:27と同じ機能を持つアミノ酸配列、又ははSEQ ID NO:27に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がSEQ ID NO:1、2及び11で示されるアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:24に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:24と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:24に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3がSEQ ID NO:12、13及び14で示されるアミノ酸配列である、抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:23に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:23と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:23に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がSEQ ID NO:7、8及び9で示されるアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:28に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:28と同じ機能を持つアミノ酸配列、又はSEQ ID NO:28に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3がSEQ ID NO:18、19及び20で示されるアミノ酸配列である、抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明の抗CD47抗体は、マウス抗体であり、マウスIgG1、IgG2、IgG3、IgG4又はその変異体を含有する重鎖可変領域、及びマウス由来k鎖又はその変異体である軽鎖可変領域のアミノ酸配列である。
幾つかの好ましい実施形態において、本発明のマウス抗CD47抗体は、マウスIgG1又はIgG2又はその変異体の重鎖定常領域、マウス由来k鎖及びその変異体の軽鎖可変領域をさらに含有する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、ヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、
(1)前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、
(c1)SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31で示されるアミノ酸配列、
(c2)(c1)に示されるアミノ酸配列に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、(c1)で示されるアミノ酸配列と同じ又は類似する機能を持つアミノ酸配列、及び
(c3)(c1)に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から選ばれ、
(2)前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、
(c4)SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34で示されるアミノ酸配列、
(c5)上記の(c4)に示されるアミノ酸配列に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、(c4)で示されるアミノ酸配列と同じ又は類似する機能を持つアミノ酸配列、及び
(c6)(c4)に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列から選ばれる、ヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、ヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:29に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:29と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:29に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であり、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:32に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:32と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:32に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であるヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、ヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列はSEQ ID NO:30、SEQ ID NO:30に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:30と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:30に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であり、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:33に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:33と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:33に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であるヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、ヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列はSEQ ID NO:31であり、SEQ ID NO:31に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、且つSEQ ID NO:31と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:31に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であり、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:34であり、SEQ ID NO:34に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、且つSEQ ID NO:34と同じ機能を持つアミノ酸配列、又はSEQ ID NO:34に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であるヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、ヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:29に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:29と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:29に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がSEQ ID NO:10、2及び11で示されるアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:32に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:32と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:32に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3がSEQ ID NO:12、13及び14で示されるアミノ酸配列であるヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、ヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:30に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:30と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:30に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がSEQ ID NO:4、5及び6で示されるアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:33に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:33と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:33に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3がSEQ ID NO:15、16及び17で示されるアミノ酸配列であるヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明は、ヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:31に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:31と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:31に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3がSEQ ID NO:7、8及び9で示されるアミノ酸配列であり、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:34に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠如又は付加され、SEQ ID NO:34と同じ機能を持つアミノ酸配列、或いはSEQ ID NO:34に対して少なくとも85%の同一性を有し、且つ前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3がSEQ ID NO:18、19及び20で示されるアミノ酸配列であるヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
いくつの実施形態において、本発明は、ヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖は、ヒト化IgG1、IgG2、IgG3、IgG4又はその変異体の重鎖可変領域を含み、前記軽鎖は、ヒト化k鎖、λ鎖又はその変異体の軽鎖定常領域を含むヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
本発明の一つの好ましい実施形態において、前記マウスCD47抗体又はその抗原結合断片は、さらに、マウスk鎖、λ鎖又はその変異体の軽鎖定常領域を含み、及び/又はマウスIgG1、IgG2、IgG3、IgG4又はその変異体の重鎖定常領域を含む。
【0009】
本発明の一つのの好ましい実施形態において、前記キメラ抗CD47抗体又はその抗原結合断片の抗体軽鎖は、さらに、マウスk鎖、λ鎖又はその突然変異配列の軽鎖定常領域を含む。前記キメラ抗CD47抗体又はその抗原結合断片の抗体重鎖は、さらに、マウスIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4又はその突然変異配列の重鎖定常領域を含み、好ましくは、ヒトIgG1或いはIgG2重鎖可変領域、又はアミノ酸の突然変異後にADCC(抗体依存性の細胞媒介性細胞毒作用)毒性を顕著に低減させるIgG4定常領域を含む。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明のヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片は、さらに、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4又はその変異体の重鎖定常領域、及びヒトk鎖、λ鎖又はその変異体の軽鎖定常領域を含む。幾つかの好ましい実施形態において、本発明のヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片は、さらに、ヒトIgG1、IgG2又はその変異体の重鎖定常領域、及びヒトk鎖又はその変異体の軽鎖定常領域を含む。
幾つかの実施形態において、本発明は、抗CD47抗体又はその抗原結合断片であって、前記抗原結合断片は、Fab、Fv、sFv又はF(ab)2である抗CD47抗体又はその抗原結合断片を提供する。
本発明の他の側面では、本発明の抗CD47抗体又はその抗原結合断片をコードする、分離された核酸を提供する。
幾つかの具体的な実施形態において、本発明に係る分離された核酸では、重鎖可変領域のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:35又はSEQ ID NO:36又はSEQ ID NO:37で示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:38又はSEQ ID NO:39又はSEQ ID NO:40で示される。
一つの具体的な実施形態において、本発明に係る分離された核酸では、重鎖可変領域のSEQ ID NO:29をコードするヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:35で示され、軽鎖定常領域のSEQ ID NO:32をコードするヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:38で示される。
一つの具体的な実施形態において、本発明の分離された核酸では、重鎖可変領域のSEQ ID NO:30をコードするヌクレオチドは、SEQ ID NO:36で示され、軽鎖定常領域のSEQ ID NO:33をコードするヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:39で示される。
一つの具体的な実施形態において、本発明の分離された核酸では、重鎖可変領域のSEQ ID NO:31をコードするヌクレオチドは、SEQ ID NO:37で示され、軽鎖定常領域のSEQ ID NO:34をコードするヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:40で示される。
本発明の他の側面では、本発明の抗CD47抗体又はその抗原結合断片を発現させる発現ベクターを提供する。本発明の発現ベクターは、本発明の分離された核酸分子を含む。
発明の他の側面では、上記の発現ベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
いくつの実施形態において、本発明の宿主細胞は、原核細胞及び真核細胞から選ばられる。いくつの実施形態において、前記宿主細胞はバクテリアであり、好ましくは、大腸菌である。他の好ましい実施形態において、前記宿主細胞は、哺乳動物の細胞である。
本発明の他の側面で、前記宿主細胞に抗体を発現させ、宿主細胞から前記抗体を分離するステップを含む、本発明の抗CD47抗体又はその抗原結合断片を製造する方法を提供する。
本発明の他の側面で、本発明のヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。いくつの実施形態において、本発明は、本発明のヒト化抗CD47抗体及びその抗原結合断片を含み、さらに、他の活性成分、例えば、他の抗体、標的薬などを含む医薬組成物を提供する。いくつの実施形態において、前記薬学的に許容される担体は、酸化防止剤、ポリペプチド、タンパク質、親水性プライマー、アミノ酸、糖、キレート剤、アルジトール、イオン表面活化剤から選択される。具体的な実施形態において、前記薬学的に許容される担体は、緩衝溶液である。他の具体的な実施形態において、前記薬学的に許容される担体は、リポソームである。
本発明のヒト化抗CD47抗体又はその抗原結合断片は、経口或いは非経口的に投与されるように、薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と混合されて医薬製剤として製造される。医薬の投与経路は、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、脳内、眼内、気管内、皮下、鼻腔内投与である。前記製剤は、任意の経路で投与されることができ。例えば、点滴注射又はボーラス注入、上皮又は皮膚粘膜(例ば、口腔粘膜又は直腸など)を介して吸収する経路で投与できる。医薬の投与は、全身的又は局部的である。前記製剤は、当分野で知られている方法で製造でき、且つ医薬品分野で通常の使用の担体、希釈剤又は賦形剤を含む。
本発明の他の側面では、その必要がある対象に本発明の抗CD47抗体又はその抗原結合断片又は本発明の医薬組成物を投与することを含むCD47活性を阻害する方法を提供する。
本発明の他の側面では、本発明の抗CD47抗体又はその抗原結合断片又は本発明の医薬組成物の、CD47活性阻害薬の調製における応用を提供する。いくつの実施形態において、前記CD47活性阻害薬は、白血病、リンパ腫、乳癌、肺癌、胃癌、大腸癌、食管癌、卵巣癌、子宮頸癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、神経膠腫及び/又は黒色腫の治療に用いられる。いくつの実施形態において、本発明は、上記抗CD47抗体又はその抗原結合断片又は本発明の医薬組成物の抗腫瘍薬物への製造における応用を提供する。好ましくは、前記腫瘍は、白血病、リンパ腫、乳癌、肺癌、胃癌、大腸癌、食管癌、卵巣癌、子宮頸癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、神経膠腫、及び/又は黒色腫から選択される。
本発明で提供される抗CD47抗体又はその抗原結合断片は、顕著な抗腫瘍作用を有し、顕著に腫瘍の増長を抑制し、顕著な赤血球凝集活性を具有していなく、ヒト化抗体免疫原性が大きく低減され、ヒト免疫系が外因性モノクローナル抗体への拒絶反応を効果的に消除し、各種の腫瘍疾患を治療するための薬物の調製に用いられ、幅広い市場見通しがある。
【0010】
定義
特に定義されていない限り、本明細書で使用される科学及び技術的用語の意味は、当業者にとって通常に理解されるものである。本明細書に記載の細胞及び組織培養、分子生物学、タンパク質、オリゴヌクレオチドやポリヌクレオチド、及びハイブリダイゼーションで使用される命名及び技術は、本分野で通常知られる応用である。組換えDNA、オリゴヌクレオチドの合成、組織培養、及び形質転換(電気穿孔、リポソームトランスフェクション)では、標準技術を使用している。酵素反応および精製技術は、製造元の取り扱い説明書、当分野で通常使用されるか又は本明細書に記載されている方法に従って行う。前記技術及び方法は、通常本分野でよく知られ且つ本明細書に引用及び討論される複数の総合で比較的具体な文献に記載のように使用される。例えば、Sambrookなど、Molecular Cloning:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールド・スプリング・ハーバー(ニューヨーク州、1989))。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学及び医学及び薬学的化学で使用される命名、実験室の方法及び技術は、本分野でよく知られて通常で使用されるものである。
本発明において、「少なくとも80%の同一性」という用語とは、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%の同一性を意味する。本発明において、「少なくとも85%配列同一性」という用語とは、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%の同一性を意味する。いくつの好ましい実施形態において、本発明に記載の配列同一性は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%を意味する。2つの配列の間の配列比較及び同一性パーセントの測定は、National Center For Biotechnology InstututeウェブサイトでのBLASTN/BLASTP演算法により行う。
抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域及び重鎖の3つの超可変領域は、3次元空間で互いに対応する位置で並べて抗原結合表面を形成する。抗原結合表面は、結合される抗原の3次元表面に相補させ、且つそれぞれの重鎖及び軽鎖の3つの超可変領域はいずれも「相補性決定領域」又は「CDR」と称される。各ドメインへのアミノ酸の割合は、Kabat《免疫学的に趣味のあるタンパク質の配列》(国立健康研究所、ベセスダ(メリーランド州)(1987及び1991))又はChothia及びLesk、J.Mol.Biol.196:901-917(1987)、Chothiaなど、Nature342:878-883(1989)によって定義される。
本発明に記載の「抗原結合断片」は、抗原結合活性のFab断片、Fab’断片、F(ab’)断片及びヒトCD47結合のFv断片、scFv断片を有する。Fv断片は、抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有するが、定常領域がなくなり、全部の抗原結合部位の最小の抗体断片を有する。一般的には、Fv抗体は、さらにVHとVLドメインの間のポリペプチドリンカーを含み、且つ抗原結合に必要とする構造を形成できる。異なるリンカーによって2つの抗体可変領域を1つのポリペプチドとして連結され、一本鎖抗体又は一本鎖Fv(scFv)と称される。
本発明に記載の抗体とは、免疫グロブリン又はその免疫活性部分であり、即ち、特異的結合抗原(免疫反応を起こさせる)の抗原結合部位の分子である。「特異的結合」とは、抗体と抗原の1つ又は複数のエピトープを反応させるが、他のポリペプチドと反応させないか又は低い親和性(Kd>10-6)で他のポリペプチドと結合させることを意味する。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、dAb(ドメイン抗体)、一本鎖、Fab、Fab’及びF(ab’)断片、Fv、scFv及びFabライブラリを含むが、これらに限定されない。モノクローナル抗体(mAb)とは、単一の抗体産生細胞株に由来するクローンから得られた抗体であり、前記細胞株は、真核、原核、又はバクテリオファージの細胞株に限定されない。モノクローナル抗体又は抗原結合断片は、ハイブリドーマ技術、組み換え技術、バクテリオファージの表示技術、及び合成技術、例えば、CDR grafting又はその他の従来技術により組み換えることにより得られることができる。
本発明の「マウス抗体」は、当分野の知識および技術に従って作製されたヒトCD47に対するモノクローナル抗体である。作製中、被験者にCD47抗原を注射し、次に、所望の配列または機能的特徴を有する抗体を発現するハイブリドーマを単離する。
本発明に記載の「キメラ抗体」とは、マウス抗体の可変領域をヒト抗体の定常領域と融合させることにより形成される抗体であり、マウス抗体によって誘発される免疫応答反応を低減させることができる。キメラ抗体を確立するには、マウス由来の特異的モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを確立し、次いでマウスハイブリドーマ細胞から可変領域遺伝子をクローン化し、さらに、必要に応じてヒト抗体の定常領域遺伝子をクロ―ン化し、マウス可変領域遺伝子をヒト定常領域遺伝子と連結してキメラ遺伝子を形成し、ヒトベクターに挿入し、最後に、キメラ抗体分子を真核生物系又は原核生物系で発現させる。
【0011】
本発明に記載の「ヒト化抗体」は、CDR移植抗体とも称され、マウスのCDR配列をヒトの抗体フレームワーク領域(FR)で産生された抗体に移植する。このようなフレームワーク領域配列は、公共のDNAデータベース又は開示されている参考文献から得られ、例えば、ImMunoGeneTics(IMGT) ウェブサイトhttp://imgt.cines.fr、又は免疫球タンパク質雑誌、2001ISBN012441351から取得される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、ヒト化抗CD47抗体とサルCD47の結合活性アッセイ(ELISA)の結果である。
図2図2は、ヒト化抗CD47抗体とヒトCD47との結合活性アッセイ(ELISA)結果である。
図3図3は、ヒト化抗CD47抗体と細胞表面ヒトCD47との結合活性アッセイ(ELISA)結果である。
図4図4は、赤血球凝集実験の結果であり、ここで、RBC:陽性対照、PBS:空白対照である。
図5図5は、FACSによりヒト化抗CD47抗体の阻断活性を測定する実験結果である
図6図6は、ヒト化抗CD47抗体Hu34-39-PEによるヒト胃癌NUGC-4移植腫瘍モデルの抗腫瘍試験結果である。
図7図7は、ヒト化抗CD47抗体Hu26T-31-PEによるヒト胃癌NUGC-4移植腫瘍モデルの抗腫瘍試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、代表的な実施例は、本発明の保護範囲を制限するのではなく、本発明をよりよく説明するために使用される。以下の実施例で指定された条件なしの実験方法は、通常、一般的な条件に従って、例えば、コールドスプリングハーバーの抗体技術実験マニュアル、分子クローニングマニュアルなど、又は、原料や製品の製造元が推奨する条件に従って行う。実施例で使用された材料、試薬、特に説明されていない限り、すべて市販されている。
【0014】
実施例1 抗原タンパク質及び陽性対照抗体の作製
【0015】
1.抗原タンパク質及び陽性対照抗体の発現ベクターの構築
(1)抗原タンパク質の発現ベクターの構築
全長のCD47タンパク質をコードする遺伝子断片を合成し、アミノ酸配列をSEQ ID NO:41で示されるように設計し、次いで、真核細胞発現プラスミドpTargeTにクローン化し、発現プラスミドpTargeT―CD47を得た。
ヒトCD47タンパク質の細胞外領域のアミノ酸配列とhIgG1-Fc又はhisタグアミノ酸配列を融合し、アミノ酸配列をそれぞれSEQ ID NO:42及びSEQ ID NO:43で示されるように設計した。上記アミノ酸配列のコドン最適化後、タグ付きCD47タンパク質細胞外領域遺伝子断片CD47―hFc、CD47―hisを合成し、それぞれ真核細胞発現プラスミドpHRにクローン化し、発現プラスミドpHR-CD47―hFc、pHR-CD47―hisを得た。
ヒトCD47タンパク質の細胞外領域のアミノ酸配列とmIgG1-Fcアミノ酸配列を融合し、アミノ酸配列をSEQ ID NO:44で示されるように設計した。上記アミノ酸配列のコドン最適化後、完全な発現プラスミドpcDNA3.1(+)-TPA-CD47-mIgG1-Fcを合成した。
SIRPαの配列は、SEQ ID NO:45で示され、前記配列のコドン最適化後、完全な発現プラスミドpcDNA3.1(+)- SIRPα-myc-Hisを合成した。
【0016】
(2)陽性対照抗体の発現ベクターの構築
特許出願WO2013/119714に開示された抗体AB6.12-IgG4P(本明細書は、AB06.12-4P)は、陽性対照抗体として、AB06.12-4Pのアミノ酸配列は、以下の通りであり、即ち
AB06.12-4P重鎖可変領域:SEQ ID NO:46、
AB06.12-4P軽鎖可変領域:SEQ ID NO:47。
前記抗体配列に対応するアミノ酸配列に人工的コドン最適化を行い、陽性対照抗体AB06.12-4Pの重鎖及び軽鎖アミノ酸配列発現プラスミド pcDNA3.1(+)-SHC025-hG4、pcDNA3.1(+)SHC025-hkを得た。その重鎖遺伝子断片をIgG軽鎖定常領域を含有する真核細胞発現プラスミドpHRにクローン化し、AB06.12-4Pの重鎖真核細胞発現プラスミドpHR-SHC025-hG4-4PEを得た。その軽鎖発現プラスミドは、pcDNA3.1(+)-SHC025-hkである。
【0017】
2、抗原タンパク質及び陽性対照抗体の発現及び精製
(1)抗原タンパク質の安定したトランスジェニック細胞株の構築
真核細胞発現プラスミドpTargeT-CD47は、電圧160V、15msecのスクエアパルスのエレクトロポレーションによってCHO―K1細胞(中国化学院上海細胞生物学研究所)にトランスフェクトされ、37℃、5%COのインキュベータにセットされて培養された。24時間後、500ug/ml G418を含有する培地を使用して加圧培養を行った。16日後、FACSによりpool陽性率を検出し、プラスミドのエレクトロポレーション後の細胞をプレーティングし(細胞密度1x10cells/ml、100ul/ウェル)、PE mouse anti-human CD47抗体(BD、556046)を使用して細胞とともにインキュベートし、フローサイトメーター(BD、FACSJazz)を使用して585nmの波長で平均値を読み取り、GraphPadを使用してデータ分析を行い、陽性細胞株をサブクローン化し、CD47分子を高レベルで発現するクローン化されたCHO-K1細胞株を選択し、CHO-K1-E5と称された。
(2)タグ付き抗原タンパク質及び陽性対照抗体の発現
1L細胞培養フラスコに密度が0.5x10cells/mlの293F細胞を播種し、新鮮な予備加熱されたFreeStyle293の発現培地を加え、播種後に総体積が250mLになり、37℃、8%CO、加湿COインキュベーターに入れ、一晩培養した。FreeStyle 293発現培地8.5mLを採取し、1mg/mlのPEI溶液500μlを加え、均一に混合した。トランスフェクションを待つプラスミド250μgを採取してFreeStyle 293発現培地8.5mlを加え、均一に混合し、ここで、タグ付き抗原タンパク質発現用プラスミドpHR-CD47-hFc、pHR-CD47-his、pcDNA3.1(+)-TPA-CD47-mIgG1-Fc、pcDNA3.1(+)-SIRPα-myc-Hisをそれぞれトランスフェクトし、陽性対照抗体AB06.12-4P重鎖プラスミドpHR-SHC025-hG4-4PEと軽鎖プラスミドpcDNA3.1(+)-SHC025-hkが共にトランスフェクションされた。PEIとFreeStyle 293発現培地の混合溶液をプラスミドに加え、均一に混合し、次いで細胞培養物を加え、37℃、8%CO、加湿COインキュベータに入れて培養した。細胞トランスフェクション後の1日目及び3日目に、細胞に栄養を追加し、各瓶あたりグルタミン2.5ml(母液の濃度200mM)及びグルコース5ml(母液の濃度180g/L)を加えた。細胞生存率を65%~75%までに低減させると、細胞上清を収集する。細胞培養物を1500rpmで5min遠心し、上清を収集し、さらに8000rpmで20min遠心し、上清を収集した。
(3)アフィニティークロマトグラフィー用カラムによる精製
AKTA(GE、AKTA pure-150)を使用してタンパク質の性質により異なるアフィニティークロマトグラフィー用カラムを選択して精製した(異なるタンパク質に適用されるアフィニティークロマトグラフィー用カラムは表1に示す。)。具体的には、精製手順は、以下の通りである。
【0018】
【表1】
洗浄:装置及びパイプラインを超純水で2min洗浄し、流速10mL/min、クロマトグラフィーシステムを0.1M NaOHでを洗浄した。
カラムの接続:クロマトグラフィーカラムをクロマトグラフィー装置に接続し、超純水で5min洗浄し、次いで0.1M NaOHで30min洗浄し、保持時間5minである。
平衡:20mM PB+0.15M NaCl、pH 7.2で5CV(カラム容量)平衡化した。
ローディング:細胞培養上清をサンプリングし、保持時間5minである。
再平衡:20mM PB+0.15M NaCl、pH 7.2で5CV平衡化した。
溶出:50mM酢酸、pH=3.4で溶出し、保持時間5minである。UV280~50mAu程度で収集を開始し、50mAu程度に低下するまでに収集を停止した。1M Tris-HCl、pH 9.0でサンプルのpHを7.0に調整した。
再平衡:20mM PB+0.15M NaCl、pH 7.2で3CV平衡化し、保持時間5minである。
オンライン洗浄:0.1M NaOHで30min洗浄し、保持時間5minである。
洗浄及び保管:精製水で10min洗浄した後、20%アルコールで2CV洗浄した。
【0019】
実施例2 モノクローナル抗体の作製
1、ハイブリドーマモノクローナルの作製
(1)動物免疫
異なるタグを付く抗CD47抗原タンパク質をアジュバントとともに免疫する方法によりSJL実験用マウスを免疫し、初期で抗原50ugを使用し、後期で25ug抗原を使用して免疫させた。
免疫アジュバントは、Quick Antibody-Mouse5W(北京博奥龍免疫技術有限公司)又はTiter Max(Sigma)とCpG(金斯瑞生物技術有限合成)/Alum(thermo)とのアジュバント間隔であってもよい。異なるタグを付くCD47抗原タンパク質のサンプルをアジュバント溶液に一滴ずつ加え、滴下しながらボルテックスして完全に混合し、アジュバントの用量は、明細書を参照して選択された。十分に混合して油中水型エマルジョンを形成した後、SJLマウスを免疫させた。
高レベル発現CD47の分析に使用される細胞系、例えば、CCRF-CEM及びCHO-K1-E5は、マウスの免疫にも使用された。培養されているヒト急性リンパ球性白血病細胞(CCRF-CEM)及び実施例1では得られるCHO-K1-E5陽性単一細胞をトリプシン消化により処理し、1000rpmで5min遠心分離し、上清を捨て、細胞ペレットをPBSで再懸濁し、サンプリングではセルカウンターでカウントし、残ったサンプルは、1000rpmで5min遠心され、上清を捨て、細胞ペレットをPBSで再懸濁し、適量のPBSを追加し、1x10cells/mlの細胞懸濁液を得た。実験群のマウスは、各匹あたり1x10cellsで免疫した。
免疫形態は、表2に示した。
【表2】
【0020】
(2)ハイブリドーマの融合
脾臓細胞の取得及び作製:追加免疫されたマウスを犠牲にし、75%のアルコール中に浸した。脾臓を解剖し取り出し、乳棒で研磨した後、細胞篩でろ過した後、単一細胞懸濁液を調製した。脾臓細胞の懸濁液を2000rpmで5min遠心し、上清を捨てた。赤血球溶解液2mlを加え、室温で赤血球2minを溶解し、20mlになるまでにPBSを加え、1500rpmで7min遠心した後、上清を捨て、再懸濁して生細胞数をカウントした。培養瓶中でのSp2/0細胞を収集し、1000rpmで5min遠心した後、上清を捨て、再懸濁して生細胞数をカウントした。脾臓細胞:Sp2/0細胞=1:1の割合で細胞を混合し、1500rpmで7min遠心した後上清を捨てた。エレクトロポレーションバッファー20mLで細胞を再懸濁し、1500rpmで7min遠心した。上清を捨て、1回繰り返した。細胞濃度が2×10cells/mL程度になるように、それぞれ適量なエレクトロポレーションバッファーで細胞を再懸濁した。電気穿孔融合用タンクに細胞懸濁液9mLを加えて融合させた。融合後、細胞懸濁液を20%FBSを含有するRPMI 1640完全培地15mLに移し、室温で20min放置した。融合細胞を1×HAT、1×BIOMYC3、20%FBS含有RPMI 1640培地で再懸濁した。細胞量は約4×10cells/ウェルになるように、細胞懸濁液を100μl/ウェルで若干の96ウェルプレートに加え、37℃インキュベーターに入れて培養した。5日後、RPMI 1640完全培地(20%FBS、1×HAT、1×BIOMYC-3を含有する)を100μL/ウェルで追加した。
【0021】
(3)ハイブリドーマおよびサブクローンの上清のスクリーニング
一週間融合後、細胞上清を取り出し、CD47-hisタンパク質または細胞表面のCD47に結合できるハイブリドーマ上清をELISAでスクリーニングし、CD47-hisを使用してhFcおよびmFcの代わりにCD47に対する抗体をスクリーニングした。次に、ハイブリドーマ上清がCD47-SIRPα相互作用を阻害する能力をELISAで分析した。ELISAプレートにSIRPα-myc-hisをコーティングし、組換えヒトタンパク質CD47-hFcとハイブリドーマ上清の混合物を加え、2hインキュベートし、HRP標記抗ヒトIgG Fc特異性抗体(Jackson Immuno Research)を加え、1hインキュベートし、マイクロプレートリーダーにより450nmにおける吸光値を検出した。スクリーニングにより得られた結合能力及び阻害能力を有するハイブリドーマ親クローンを拡張培養し、結合活性及び阻害活性の再測定を行い、結合及び阻害能力を有するハイブリドーマ陽性クロ―を再度スクリーニングして得られた。
限定希釈法により、陽性細胞株に対してサブクローンを行い、一週間培養した後、ELISAでサブクローン上清とCD47分子の結合活性、及びCD47-SIRPαの互い作用を阻害する活性を検出し、3種の二重陽性細胞株を得り、それぞれSHC025-26、SHC025-34、SHC025-58と記載された。
【0022】
2、サブタイプの同定
モウス抗体サブタイプ同定用キットSBA Clonotyping Systerm-C57BL/6-HRP(SouthernBiotech、型番:5300-05B)の取り扱い説明書を参照して、抗体のサブタイプ同定を行い、結果は表3に示した。
【表3】
【0023】
3、モノクローナル抗体の作製
サブクローン上清の活性分析の結果により示すように、モノクローナル抗体の親クローンSHC025-26、SHC025-34、SHC025-58を特定し、拡大培養した。培養条件は、10%ウシ胎児血清、1x NAEE、1xピルビン酸ナトリウム、1%ペニシリンストレプトマイシン二重抗体を含む1640培地では、細胞のセルコンフルエンスが80%を超える場合には、細胞を継代培養して増殖させ、培養物が約50mlに達したときに上清を収集し、抗体を精製した。得られた抗体は、SDS-PAGEゲル電気泳動により純度が良好であることが確認された。
【0024】
4、モノクローナル抗体シーケンシング
サブクローンによる陽性ハイブリドーマ細胞を拡大培養し、適量な細胞を採取し、RNeasy Plus Mini Kit(Qiagen、74134)キットの説明書に従って、全RNAを抽出し、Prime Script 1st strand cDNA Synthesis Kit(Takara、6110A)逆転写キットにより、cDNA第一鎖を合成した。
マウス抗体サブタイプの可変領域に従って特異的プライマー(5’端には真核生物発現ベクターとの相同組換えのホモロジーアームを含む)を設計し、テンプレートとしてcDNAを使用して、抗体可変領域遺伝子のPCR増幅を実行し、マウス抗体の軽鎖および重鎖可変領域の遺伝子断片を取得し、プライマーを設計し(文献:1.Anke Krebber、Susanne Bornhauser、Jorg Burmester etal.Reliable cloning of functional antibody variable domains from hybridomas and spleen cell repertoires employing a reengineered phage display system。Journal of Immunological Methods、1997、201:35-55.2.
sequencing as a method for hybridoma cell-line authentication、2008、78:1071-1078を参照)で、DNAシーケンスを実行し、DNA配列を取得し、シーケンス結果は表4に示した。
【表4】
【0025】
実施例4 キメラ抗体の構築
精製後(精製手順は実施例1を参照)のマウス抗体軽鎖及び重鎖可変領域遺伝子断片は、それぞれ、ヒト抗体軽鎖または重鎖定常領域を含む線形化された真核生物発現プラスミドで大腸菌DH5α感受性細胞に同時形質転換し、対応する抗生物質を含む寒天プレートの表面に混合物を均一に塗布し、37℃の恒温インキュベーターで一晩インキュベートした後、それぞれいくつの単菌落を選び、DNAシーケンス用にいくつかの単一コロニーを選択し、正しい配列のキメラ抗体は、それぞれSHC025-26CHI、SHC025-34CHI、SHC025-58CHIと記載された。
相応する抗生物質を含有する2×YT液体培地に正しい配列の陽性クロ-ンを播種し、37℃で、12時間以上振とうして培養し、次いで菌体を収集してプラスミドの抽出を行い、キメラ抗体の軽鎖及び重鎖発現用プラスミドを得、核酸定量分析装置によりプラスミドの濃度及び純度を検出した。
キメラ抗体をHEK293E細胞にトランスフェクトし、発現させて精製して大量の抗体を取得し、純度検出、活性分析及び親和性の検出を行った。
シーケンスにより、SHC025-26の重鎖CDRの118番目、及びSHC025-58の軽鎖CDRの56番目はそれぞれ1つのシステインを含み、CDR領域のシステインは、発現する際に抗体分子上の他のシステインとランダムにペアになり、酸化されてジスルフィド架橋を形成し、抗体の純度に大きく影響した。この問題を解決するために、SHC025-26CHI、SHC025-58CHIアミノ酸配列を以下のように変更し、SHC025-26CHI重鎖のC118をTに突然変異し、SHC025-26CHI-Tと記載され、SHC025-58CHI軽鎖のC56をAに突然変異させ、SHC025-58CHI-Aと記載され、部位特異的突然変異誘発導入法により突然変異遺伝子を構築した。キメラ抗体配列決定の結果は、表5に示した。
【表5】
【0026】
実施例5 ヒト化抗体の構築及び生産
キメラ抗体の活性分析、親和性KD値などに従って、SHC025-34CHI、SHC025-58CHI-A、SHC025-26CHI-Tを選択して抗体のヒト化を実行した。
抗体のヒト化とは、まず、免疫遺伝子データベース(IMGT)におけるマウス抗体配列と比較し、SHC025-34CHI、SHC025-58CHI-A、SHC025-26CHI-T抗体の可変領域のマウス起源を確認し、相同性を比較し、SHC025-34CHI、SHC025-58CHI-A、SHC025-26CHI-T抗体の重鎖可変領域配列のFR領域は、それぞれマウス抗体由来遺伝子IGHV1-8*01、IGHV3-21*04及びIGHV1-2*02と最も類似した。抗体軽鎖可変領域FR配列は、マウス抗体IGKV3-11*01、IGKV1-5*01及びIGKV4-1*01と最も類似した。SHC025-34CHI/SHC025-58CHI-A抗体フレームワーク領域配列FR1-FR3をテンプレートとして、SHC025-34CHI/SHC025-58CHI-AのFR1-FR3配列の替りにヒトフレームワーク領域ライブラリで3D構造が類似するが、免疫原性が低い全なヒトフレームワークを探し、重鎖/軽鎖全長配列に対して3D構築を行い、元の抗体重鎖/軽鎖配列との構造比較分析を行い、抗原性及び3D構造類似性を総合に考慮すると、最終的にSHC025-34CHIの6つのヒト化重鎖可変領域(SEQ ID NO:48、49、50、51、52、53)、4つのヒト化軽鎖可変領域(SEQ ID NO:54、55、56、57を参照)、SHC025-58CHI-Aの6つのヒト化軽鎖可変領域(SEQ ID NO:58、59、60、61、62、63を参照)及び5つのヒト化軽鎖可変領域(SEQ ID NO:64、65、66、67、68を参照)を選択して最適化を行った。SHC025-34CHI/SHC025-58CHI-Aのヒト化抗体非CDR領域配列は、95%以上ヒト化された。SHC025-26CHI-T重及び軽鎖の可変領域配列を使用し、タンパク質データバンクで構造アラインメント分析を行い、最も類似するFR1-FR3配列を選択してマウス配列を置き換え、構造シミュレーションで抗体構造の安定性に重要な役割を果たすアミノ酸部位をマウス由来アミノ酸残基に逆変異させた。最終的にSHC025-26CHI-Tの4つのヒト化重鎖可変領域(SEQ ID NO:69、70、71、72を参照)及び2つのヒト化軽鎖可変領域(SEQ ID NO:73、74を参照)を取得した。
以上に設計されたヒト化抗体軽鎖及び重鎖可変領域アミノ酸配列は、対応するヌクレオチド配列に逆転写され、隣接するフラグメント間に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドフラグメントを生成し、Overlap PCRによりオリゴヌクレオチドフラグメントをアニーリングさせて連結され、さらに特異的プライマー(5’の末端には真核生物発現ベクターとの相同組換えのための相同アーム配列を含む)を使用して完全な軽鎖および重鎖可変領域ヌクレオチドフラグメントを増幅し、精製された軽鎖可変領域ヌクレオチドフラグメントおよびIgG4軽鎖定常領域を含む線形化された真核生物発現プラスミド大腸菌DH5α感受性細胞に同時形質転換し、精製された重鎖可変領域ヌクレオチドフラグメントS228P/L235E突然変異IgG4重鎖定常領域を含有する真核細胞発現プラスミドを大腸菌DH5α感受性細胞に同時形質転換し、それぞれ転化プラスミドを形質転換した感受性細胞を、対応する抗生物質の寒天プレート表面に均一に塗布し、37℃、恒温インキュベータで一晩培養した後、若干の単一コロニーを選択してDNAシーケンスを実行した。
相応する抗生物質を含有する2×YT液体培地に正しい配列の陽性クロ-ンを播種し、37℃で、12時間以上振とうして培養し、次いで菌体を収集してプラスミドの抽出を行い、ヒト化抗体軽鎖及び重鎖発現プラスミドを得、核酸定量分析装置によりプラスミドの濃度及び純度を検出した。
プラスミドをHEK293E細胞にトランスフェクトし、発現させて精製し、大量の抗体を得、純度検出、活性分析及び親和性の検出を行った。
純度、活性及び親和性がいずれもよいヒト化抗体を選択し、Hu26T-31-PE、Hu34-39-PE、Hu58A-14-PEと記載し、それらの配列を表6に示した。ヒト化抗体の由来源は表7に示した。
【表6】
【表7】
【0027】
実施例6 サルCD47への結合活性の測定(ELISA)
タンパク質ベースのElisaにより抗体の結合活性を分析した。カニクイザルCD47-His(0.1μg/ウェル、ACRO Biosystems、Cat.No.CD7-C52H1-50ug)を96ウェルマイクロプレートをコーティングした。本発明で提供される抗CD47抗体は、一次抗体として2μg/mLから開始し、5倍階段希釈してマイクロプレートに加え、合計8つの濃度であり、濃度は、それぞれ2000ng/mL、400ng/mL、80ng/mL、16ng/mL、3.2ng/mL、0.64ng/mL、0.128ng/mL、0ng/mLであり、37℃で1.5hインキュベートし、陽性対照抗体はAB06.12-4Pである。二次抗体としてAnti-Human IgG HRP(Jackson、109-035-003、1:10000)を使用し、発色液TMB(3、3’、5、5’-テトラメチルベンジジン)を追加し、終了後、マイクロプレートリーダー(thermo、Multiskan FC)によりOD450値を読み取った。GraphPadを使用してEC50を生成し、その結果を図1に示した。
実験結果より、本発明で提供されるヒト化抗CD47抗体Hu26T-31-PE、Hu34-39-PE、Hu58A-14-PEは、いずれも、カニクイザルCD47と結合する能力を有し、且つ結合能力が陽性対照抗体AB06.12-4Pと相当することが分かった。
実施例7 ヒトCD47への結合活性の測定(ELISA)
ELISAにより結合活性を分析した。ヒトCD47-Hisタンパク質(0.1ug/ウェル、実施例1、2で得られたもの)を96ウェルマイクロプレートにコーティングし、37℃で2hインキュベートした。1xPBSTで3回洗浄した後、5%スキルミルクで4℃一晩ブロックした。1xPBSTで3回洗浄した後、本発明で提供される抗CD47抗体は、一次抗体として2μg/mLから開始し、5倍階段希釈してマイクロプレートに加え、合計8つの濃度であり、濃度は、それぞれ2000ng/mL、400ng/mL、80ng/mL、16ng/mL、3.2ng/mL、0.64ng/mL、0.128ng/mL、0ng/mLであり、37℃で1.5hインキュベートし、陽性対照抗体はAB06.12-4Pであり、1xPBSTで5回洗浄した後、二次抗体としてAnti-Human IgG HRP(Jackson、109-035-003、1:10000)を使用し、37℃で40minインキュベートした。1xPBSTで5回洗浄した後、発色溶液TMBを加え、終了終了後、マイクロプレートリーダー(thermo、Multiskan FC)によりOD450値を読み取った。GraphPadを使用したEC50を生成し、結果を図2に示した。
実験結果より、本発明で提供されるヒト化抗CD47抗体体Hu26T-31-PE、Hu34-39-PE、Hu58A-14-PEはいずれもヒトCD47と結合する能力を有し、且つ結合能力が陽性対照抗体AB06.12-4Pに相当することが分かった。
【0028】
実施例8 細胞表面へのCD47の結合の測定(ELISA)
細胞ベースのElisaにより抗体の結合活性を分析した。CHO-K1-E5細胞を各ウェルあたり1x10cellsプレーティングし、37℃、5%COの条件下で一晩培養し、2日目に4%パラホルムアルデヒドで固定した後、スキルミルクで1hブロックした。プレートを1xPBSで軽く洗浄した。本発明で提供される抗CD47抗体は、一次抗体として2μg/mLから開始し、5倍階段希釈してマイクロプレートに加え、合計8つの濃度であり、濃度は、それぞれ2000ng/mL、400ng/mL、80ng/mL、16ng/mL、3.2ng/mL、0.64ng/mL、0.128ng/mL、0ng/mLであり、37℃で1.5hインキュベートし、陽性対照抗体はAB06.12-4Pである。二次抗体としてAnti-Human IgG HRP(Jackson、109-035-003、1:10000)を使用し、発色液TMBを加入し、終了後、マイクロプレートリーダー(thermo、Multiskan FC)によりOD450値を読み取った。GraphPadを使用してEC50を生成し、結果を図3に示した。
実験結果より、本発明で提供されるヒト化抗CD47抗体Hu26T-31-PE、Hu34-39-PE、Hu58A-14-PEはいずれもヒトCD47と結合する能力を有し、且つ結合能力が陽性対照抗体AB06.12-4Pに相当することが分かった。
【0029】
実施例9 ヒトCD47タンパク質への親和性の測定
Fortebio Octetを使用して実施例1、2で得られたヒト化抗CD47抗体の抗原CD47(19-136)-hFCに結合する親和性を測定した。まず、抗原CD47(19-136)-hFcをビオチン化して標識し、次に10kDの限外濾過チューブを使用してPBS遠心限外濾過を行い、3~4回脱塩し、Nanodropによりビオチン標識後の抗原CD47-hFc-Biotinの実際のの濃度を測定した。CD47-hFc-BiotinをSDバッファー(0.02%Tween20+0.1%BSA溶液)で濃度5ug/mlに希釈し、前記ヒト化抗CD47抗体は、濃度が10ug/ml、2.5ug/ml、0.625ug/ml、0ug/mlになるようにSDバッファーで4倍濃度階段希釈され、SAセンサーを選択してその抗原を固定化し、fortebio Octet RED96のプロトコールに従って親和性測定を行い、具体的なパラメータ及び実験結果は、表8に示した。
【表8】
実験結果より、陽性対照抗体よりも、Hu26T-31-PEはヒトCD47タンパク質への結合がより高い親和性を有することを示した。
【0030】
実施例10 赤血球凝集試験
血液5mLを採取してPBS 40mLを加え、2000rpmで5min軽く遠心し、上清を捨て、PBSで3回洗浄し、PBSで赤血球を再懸濁し、赤血球のヘマトクリット値に応じて2%の赤血球懸濁液を調製した。分析される抗体は、初期濃度が1~20uMであり、2倍階段希釈し、合計24つの濃度勾配である。丸底の96ウェルプレートに異なる濃度の抗体50μLに加え、上記の2%赤血球懸濁液50ulを加え、均一に混合し、室温で放置した。2時間後、凝集があるか否かを観察した。ウサギポリクローナル抗体RBC抗体(Rockland、109-4139)を血球凝集の発生の陽性対照として使用し、その結果を図4に示した。図4に示すように、96ウェルプレートに左から右に添加した抗体(ウサギポリクローナル抗体RBC抗体、AB06.12-4P抗体及び本発明の被験抗体)の濃度を20uMから2倍勾配で順次に希釈し、ここで、RBCは陽性対照群(ウサギポリクローナル抗体RBC抗体を使用し、赤血球の凝集を有意に引き起こす)を表し、PBSは、空白対象群を表した。ウェルにおいて、赤血球は、小さな丸い点を現れ、きちんとしたエッジは細胞の凝集がないことを示し、わずかに不規則なエッジは少量の赤血球の凝集を示しわずかに不規則なエッジは少量の赤血球の凝集を示し、薄片状で、穴の底を覆っていると、ほとんどの赤血球が凝集していることを示した。
実験より、特許出願WO2011/143624に開示された抗CD47抗体Hu5F9-G4は、抗CD47抗体の一般的な望ましくない現象である、同じ濃度範囲内のほとんどの赤血球の有意な凝集を引き起こし得ることを示した。しかし、同じ条件下で、実験結果より、本発明のHu26T-31-PE、Hu34-39-PE、Hu58A-14-PEは、いずれも赤血球凝集を引き起こさないことを示し、本発明の抗体は、抗体Hu5F9-G4よりもこの点で明らかに優れた。
【0031】
実施例11 FACSによるCD47阻害活性の測定の実験
FACSを使用し、本発明で提供される抗CD47抗体が細胞表面CD47へのSIRPaの結合を阻害する能力を検出した。
CD47の由来源としてCHO-K1-E5陽性細胞株を使用し、階段希釈された抗CD47抗体の存在下で、CD47とSIRPaとの結合能を観察すした。二次抗体として、PE Streptavidin(Biolegend、405203、1:200)を使用し、SIRPa-Biotinの変化をモニタリングした。AB06.12-4Pは、SIRPaが細胞表面CD47に結合することを阻害する陽性対照である。フローサイトメーター(BD、FACSJazz)により585nmの波長における平均値を読み取り、GraphPadを使用してIC50を生成し、結果を図5に示した。
実験結果より、阻害活性は、順次にHu26T-31-PE≧Hu34-39-PE≧AB06.12-P>Hu58A-14-PEであることを分かった。
【0032】
実施例12 ヒト胃癌NUGC-4移植腫瘍モデルの抗腫瘍試験
1、実験材料
(1)実験細胞及び動物
NUGC-4ヒト胃癌細胞は、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)から購入され、
NOD-Scidマウス、雌性、5~8週齢、体重18~20g、Shanghai Lingchang Biological Technology Co.、Ltdから購入された。、
(2)被験品及び対照品
対照品Isotype IgG4(カタログ番号AB170091)は、Zhongmei Guanke Biotechnology Co.Ltdから購入され、陰性対照品として、使用された。
試験前に、本発明のヒト化抗CD47抗体は、PBSで0.6mg/mL及び0.3mg/mLの2つの濃度に調製され、Isotype IgG4及びAB 06.12-4Pは、0.6mg/mLに調製された。
(3)実験方法
10%ウシ胎児血清、100U/mL ペニシリン及び100μg/mL ロコマイシンを含有するRMPI1640培地を使用し、37℃、5%COのインキュベータにてNUGC-4ヒト胃癌細胞を培養した。週1回1×EDTA溶液2mLで消化して継代させた。細胞の飽和度が80%~90%になると、細胞を収集し、カウントし、播種した。5×10個の細胞を含むPBSをMatrigel100uLと混合し(最終体積200μL)、マウスの右後ろに播種し、播種細胞数は、5×10cells/匹である。腫瘍が体積150~200mmに成長したら、群分けを開始し、週3回腹腔内投与し、バーニアキャリパーを使用して腫瘍の直径を週3回測定し、腫瘍体積を計算し、腫瘍体積の計算式は、V=0.5a×bであり、ここで、a及びbはそれぞれ腫瘍の長軽及び短径を示した。抗体の抗腫瘍効果は、相対的腫瘍増殖率T/C(%)によって評価された。相対的腫瘍増殖率T/C(%)の計算式は、T/C%=TRTV/CRTV×100%(TRTV:治療群RTV、CRTV:陰性対照群RTV)である。RTV=V21/V0、ここで、V0は、群分けで投与される時に(即ち、d0)測定された腫瘍体積であり、V21は、投与の21日目に測定された腫瘍体積である。投与群び溶媒群の最終日(21日目)の腫瘍体積をT-testにより分析し、GraphPad Prismで実行した。結果は、表9に示した。
【表9】
実験結果より、本発明で提供される抗体は、ヒト胃癌NUGC-4細胞をNOD-SCIDマウス移植腫瘍モデルに播種して有意な抗腫瘍効果を有することを示した。用量3mg/kgのHu26T-31-PE及びHu34-39-PEは、6mg/kgの対照抗体AB06.12-4Pと同様の腫瘍阻害効果を有するが、用量6mg/kgのHu26T-31-PE及びHu34-39-PEの腫瘍阻害効果は、6mg/kgの対照抗体AB06.12-4Pよりも優れた。投与中止から1週間後、6mg/kgの対照抗体群では、腫瘍の再発が発生した。しかしながら、Hu26T-31-PE及びHu34-39-PE群では再発が発生しなかった(図6図7)。本発明で提供される抗CD47抗体は、予想外に、腫瘍増殖に対してより有意な阻害効果を有することを示した。
【0033】
以上の実施例は、本発明で提供される抗CD47抗体が有意な抗腫瘍効果を有し、腫瘍増殖を有意に阻害できることを証明し、その抗体は、抗腫瘍薬における調製に適用でき、予測可能な市場見通しを有することを示唆している。
【0034】
以上、本発明を詳しく説明しているが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に様々な修正および変更を加えることができることを理解すべきである。本発明の権利範囲は、上記の詳細な説明に限定されるものではなく、請求項に属するべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
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