(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/85 20060101AFI20241107BHJP
G01N 21/05 20060101ALI20241107BHJP
G01N 21/59 20060101ALI20241107BHJP
G01N 33/28 20060101ALI20241107BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
G01N21/85 B
G01N21/05
G01N21/59 Z
G01N33/28
G01N21/27 Z
(21)【出願番号】P 2021545559
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(86)【国際出願番号】 JP2020034067
(87)【国際公開番号】W WO2021049512
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2019166414
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000178675
【氏名又は名称】ヤマシンフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】北島 信行
【審査官】橘 皇徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-069097(JP,A)
【文献】実開平05-081696(JP,U)
【文献】実開平02-031316(JP,U)
【文献】特開2000-009675(JP,A)
【文献】特開平11-235097(JP,A)
【文献】特開昭53-116187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/85
G01N 21/05
G01N 21/59
G01N 33/28
G01N 21/27
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を液体が流れる第1貫通孔と、
前記第1貫通孔の内部に突出するように設けられた凸部と、
前記凸部を貫通する第2貫通孔であって、前記第1貫通孔と略平行であり、内径が前記第1貫通孔の内径より小さい第2貫通孔と、
を有する筐体と、
前記筐体に設けられており、前記第2貫通孔の内部を流れる前記液体を測定する測定部と、
を備え、
前記第1貫通孔の両端の開口がそれぞれ配管に接続されている
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記凸部は略円環形状であり、前記凸部の長さと前記第2貫通孔の長さとが略同じである
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記凸部は、略円環形状の第1凸部と、前記第1凸部に隣接し、前記第1貫通孔における前記液体の流れ方向に沿って見たときの形状が略部分円環形状の第2凸部と、を有し、
前記第2貫通孔は、前記第1凸部及び前記第2凸部を貫通し、
前記流れ方向において、前記第2凸部の上流側の端は、前記第1凸部の上流側の端よりも上流側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記凸部の上流側の端面は、前記凸部の中空部の開口面積が下流に向かうにつれて徐々に小さくなるような勾配を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記凸部の中空部を覆うように前記凸部に設けられた第1バルブ及び前記第2貫通孔を覆うように前記凸部に設けられた第2バルブの少なくとも一方を備えた
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項6】
前記凸部の内周面には、第3凸部が設けられている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、油圧機器の動力伝達媒体として用いる作動油の循環経路に、微粒子や色調(すなわち、作動油の汚染や劣化)を観測するための測光部を設けた測光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、油圧機器内に予め測光部(センサ)や分岐流路を設けるスペースを確保しなければならず、センサや分岐流路を設ける位置が限定されてしまう。また、センサや分岐流路の着脱が容易ではなく、メンテナンス性が悪い。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、作動油等の液体の汚染度を測定する測定装置を任意の位置に設けることができ、かつメンテナンス性の高い測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る測定装置は、例えば、内部を液体が流れる第1貫通孔と、前記第1貫通孔の内部に突出するように設けられた凸部と、前記凸部を貫通する第2貫通孔であって、前記第1貫通孔と略平行であり、内径が前記第1貫通孔の内径より小さい第2貫通孔と、を有する筐体と、前記筐体に設けられており、前記第2貫通孔の内部を流れる前記液体を測定する測定部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る測定装置によれば、筐体の内部に第1貫通孔と及び第2貫通孔を設け、測定部は第2貫通孔の内部を流れる液体を測定する。これにより、すべての構成を筐体の内部に設け、作動油等の液体の汚染度を測定する測定装置を任意の位置に設けることができる。また、配管等に筐体を取り付けるだけで測定装置の設置が可能となるため、メンテナンス性を高くすることができる。
【0008】
また、筐体を貫通する貫通孔である第1貫通孔(メイン流路)の内部に突出するように凸部が設けられており、凸部を貫通する第2貫通孔(バイパス流路)は、第1貫通孔と略平行であり、内径が第1貫通孔の内径より小さい。これにより、第2貫通孔に作動油を流すときに作動油の流れの向きを急激に変化させず、気泡の発生を防止し、測定精度を高くすることができる。
【0009】
ここで、前記凸部は略円環形状であり、前記凸部の長さと前記第2貫通孔の長さとが略同じであってもよい。これにより、測定装置を単純な形状とし、筐体を小型化することができる。
【0010】
前記凸部は、略円環形状の第1凸部と、前記第1凸部に隣接し、前記第1貫通孔における前記液体の流れ方向に沿って見たときの形状が略部分円環形状の第2凸部と、を有し、前記第2貫通孔は、前記第1凸部及び前記第2凸部を貫通し、前記流れ方向において、前記第2凸部の上流側の端は、前記第1凸部の上流側の端よりも上流側に位置してもよい。これにより、第2貫通孔に流入する作動油が絞り部による流れの乱れの影響を受けにくくなり、第2貫通孔に気泡が混入することによる測定精度の低下を防ぐことができる。
【0011】
前記凸部の上流側の端面は、前記凸部の中空部の開口面積が下流に向かうにつれて徐々に小さくなるような勾配を有してもよい。これにより、第2貫通孔に流入する作動油の流れが乱れにくく、第2貫通孔に気泡が混入することによる測定精度の低下を防ぐことができる。
【0012】
前記凸部の中空部を覆うように前記凸部に設けられた第1バルブ及び前記第2貫通孔を覆うように前記凸部に設けられた第2バルブの少なくとも一方を備えてもよい。これにより、第1貫通孔、第2貫通孔を流れる液体の量を調整することができる。
【0013】
前記凸部の内周面には、第3凸部が設けられていてもよい。これにより、第2貫通孔に液体がより流れやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作動油等の液体の汚染度を測定する測定装置を任意の位置に設けることができ、かつメンテナンス性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】変形例にかかる測定装置1Aの概略を示す断面図である。
【
図10】バルブ25、26が開いたときの測定装置4の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の測定装置は、例えば、図示しない建設機械の油圧装置に設置されるものであり、この油圧装置へ供給する作動油の油圧回路内に設けられている。具体的には、油圧装置は、フィルタ、配管、タンク、弁(図示省略)等を備え、配管に測定装置が取り付けられる。以下の実施形態では、汚染度を測定する対象の液体として作動油を例に説明するが、測定対象の液体は作動油に限られない。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、測定装置1の概略を示す正面図である。
図2は、
図1のA-Aにおける断面図である。測定装置1は、配管(図示省略)に取り付けられる筐体10を有する。筐体10は、略矩形形状であり、上側(+z側)に回路基板(図示せず)等が内部に設けられる略箱状の挿入部11が設けられている。挿入部11には、図示しない回路基板等に電力等を供給する接続部30が設けられている。なお、
図2では挿入部11の図示を省略している。
【0018】
筐体10の内部には、筐体10を貫通する直線状の貫通孔である流路孔12が設けられている。油圧装置の稼働時には、毎分数百リットルの作動油が流路孔12の内部を流れる。作動油は、流路孔12の内部を、正面から背面に向かって(+y方向に向かって)流れる。つまり、作動油に流れ方向はy方向であり、-y方向が上流側であり、+y方向を下流側である。流路孔12の両端は、筐体10の上流側の面10a及び下流側の面10bに開口する。
【0019】
筐体10は、流路孔12の内部に突出するように設けられた略円環形状の凸部13を有する。凸部13は流路孔12の内径を絞る絞りであり、凸部13により流路孔12に小径部14が形成される。凸部13の中空部は、メイン流路である。
【0020】
凸部13の内部には、凸部13をy方向に沿って貫通する直線状の貫通孔15が設けられている。貫通孔15と流路孔12とは略平行である。貫通孔15の内部には、透明なガラス管21が設けられている。
【0021】
なお、本実施の形態では、貫通孔15の内部にガラス管21を挿入したが、貫通孔15の内部に挿入する管は透明であればよく、ガラス管に限られない。例えば、透明な樹脂製の管を貫通孔15の内部に挿入してもよい。
【0022】
ガラス管21は、直線状の中空丸棒である。ガラス管21の中空部21aは、凸部13を貫通する直線状の貫通孔であり、流路孔12と略平行であり、内径が流路孔12及び小径部14の直径より小さい。中空部21aの内部は流路孔12の内部を流れる作動油の一部が流れるバイパス流路であり、油圧装置の稼働時には毎分1~5リットル程度の作動油が中空部21aの内部を流れる。中空部21aにおける作動油の流れ方向は、流路孔12における作動油の流れ方向(y方向)と略同一である。
【0023】
小径部14は、平面視において(z方向から見て)ガラス管21と重なる位置に設けられている。作動油の流れ方向(y方向)において、凸部13の長さとガラス管21(中空部21a)の長さとは略同一である。
【0024】
流路孔12の両端には、それぞれねじ部12a、12bが設けられている。図示しない油圧回路の配管に形成されたねじ部がねじ部12a、12bに螺合することで、筐体10(すなわち、測定装置1)の上流側及び下流側に図示しない配管が設けられる。また、ねじを用いているため、筐体10(測定装置1)を容易に着脱することができる。
【0025】
なお、本実施の形態では、ねじ部12a、12bを用いて筐体10に図示しない配管を取り付けたが、配管の取付方法はこれに限られない。例えば、面10a、面10bにそれぞれフランジを設け、このフランジと図示しない配管のフランジとを接続することで、筐体10に配管を取り付けてもよい。この場合にも、筐体10(測定装置1)の着脱は容易である。
【0026】
図3は、
図2のB-Bにおける断面図である。光照射部22及び受光部23は、中空部21aの内部を流れる液体を測定する測定部であり、凸部13に設けられる。
【0027】
光照射部22は、光を照射する発光部(例えば、LED)を有する。受光部23は、光照射部22から照射された光を受光するものであり、透過光を検出する受光素子(例えばフォトダイオード)を有する。
【0028】
受光部23は、ガラス管21を挟んで光照射部22と対向して設けられる。光照射部22から照射された光は、中空部21a内を流れる作動油に照射される。光照射部22から照射され、中空部21a内の作動油に含まれる不純物粒子で反射されなかった光(作動油を通過した光)は、大部分が受光部23で受光される。光照射部22及び受光部23はすでに公知の技術を用いることができるため、説明を省略する。
【0029】
次に、測定装置1の機能について
図2を用いて説明する。
図2の二点鎖線矢印は、作動油の流れを示す。流路孔12を流れる作動油の一部は、中空部21aに流入する。
【0030】
平面視においてガラス管21と重なる位置に凸部13が設けられているため、小径部14の上流側と下流側との圧力差により、流路孔12を流れる作動油の大部分がメイン流路(凸部13の内部)に流れ、一部がバイパス流路(中空部21a)に流れる。中空部21aは、流路孔12の内部に突出する凸部13の内部に設けられているため、流路孔12を流れる作動油の一部が中空部21aに流れ込むときに、作動油の流れの向きが急激に変化しない。作動油の向きが急に変わると、流れが乱れて気泡が発生するおそれがあるが、本実施の形態では、作動油の流れの向きを急激に変化させないようにすることで、気泡の発生が防止できる。
【0031】
中空部21aを流れた作動油は、凸部13の下流側で流路孔12を流れる作動油に合流する。
【0032】
本実施の形態によれば、流路孔12を流れる作動油の一部を中空部21aに流し、光照射部22及び受光部23により作動油の汚染度を測定することができる。そして、流路孔12、中空部21a、光照射部22及び受光部23をすべて筐体10の内部に設けたため、作動油等の液体の汚染度を測定する測定装置1を任意の位置に設けることができる。さらに、配管等に筐体10を取り付けるだけで測定装置1の設置が可能であり、筐体10の着脱が容易であるため、メンテナンス性を高くすることができる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、中空部21aに作動油を流すときに作動油の流れの向きを急激に変化させず、気泡の発生を防止するため、光照射部22及び受光部23により作動油の汚染度を測定するときに、気泡を塵埃と誤検出することを防ぎ、測定精度を高くすることができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、流路孔12の内部に突出する凸部13にガラス管21、光照射部22及び受光部23を設けることで、測定装置1を単純な形状とし、筐体10を小型化することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、凸部13の中空部をメイン流路としたが、メイン流路の内径を可変にしてもよい。例えば、周囲に雄ねじが形成され、中央部に孔が形成されたオリフィスを用い、このオリフィスを流路孔12又は凸部13の内周面に形成された雌ねじに螺合して、オリフィスを交換可能にすることで、メイン流路の内径を変えられるようにしてもよい。
【0036】
また、本実施の形態では、凸部13の両端面は流路孔12の中心軸に対して略直交するが、凸部13の上流側の端面が勾配を有していてもよい。
図4は、変形例にかかる測定装置1Aの概略を示す断面図である。凸部13Aの上流側の端面13aは、凸部13Aの中空部(小径部14A)の開口面積が下流に向かうにつれて徐々に小さくなるような勾配を有する。凸部13Aは略円環形状であるため、凸部13Aの上流側にテーパをつけることで、端面13aに勾配をつける。これにより、端面13aに勾配をつけない場合と比べ、作動油の流れが乱れにくく、気泡の発生を防ぐことができる。
【0037】
なお、本変形例では、断面視における端面13aが平面であるが、断面視における端面13aが曲面でもよいし、一部に曲面を有していてもよい。
【0038】
また、本実施の形態では、中空部21aの内部を流れる液体を測定する測定部として光照射部22及び受光部23を用いたが、測定部はこの形態に限られない。例えば、CMOSセンサ等の画像処理センサを測定部とし、画像処理センサを用いてバイパス流路を流れる液体の撮像を行ってもよい。
【0039】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態は、バイパス流路(第2流路)の長さが絞り部の長さより長い形態である。以下、第2の実施の形態にかかる測定装置2について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0040】
図5は、測定装置2の概略を示す断面図である。測定装置2は、配管(図示省略)に取り付けられる筐体10Aを有する。筐体10Aは、y方向に沿って筐体10Aを貫通する直線状の流路孔12を有する。
【0041】
筐体10Aは、流路孔12の内部に突出するように設けられた凸部13Bを有する。凸部13Bにより、流路孔12に絞りとして機能する小径部14Bが設けられる。凸部13Bの中空部はメイン流路である。
【0042】
凸部13Bは、略円環形状の凸部13Cと、凸部13Cに隣接し、流路孔12における液体の流れ方向(y方向)に沿って見たときの形状が略部分円環形状の凸部13D、13Eと、を有する。凸部13C、13D、13Eには、y方向に沿って、凸部13C、13D、13Eを貫通する直線状の貫通孔15A、15Bが設けられている。貫通孔15A、15Bの長さは、凸部13Cの長さより長い。貫通孔15Bの内部には、透明な直線状のガラス管21Aが設けられている。なお、貫通孔15Bの内部に設けるのはガラス管21Aに限られず、例えば透明な樹脂製の管を貫通孔15Bの内部に設けてもよい。
【0043】
ガラス管21Aの中空部21bの内径は、貫通孔15Aの内径と略同一であり、貫通孔15Bの内部にガラス管21Aが設けられた状態では、貫通孔15Aと中空部21bとが連通する。つまり、貫通孔15A及び中空部21bは、凸部16を貫通する直線状の貫通孔(第2流路に相当)であり、流路孔12Aを流れる作動油の一部が流れるバイパス流路である。
【0044】
貫通孔15A及び中空部21bの内径は、流路孔12の内径より小さい。貫通孔15A及び中空部21bは流路孔12と略平行であり、中空部21bにおける作動油の流れ方向は、流路孔12における作動油の流れ方向(y方向)と略同一である。
【0045】
流れ方向において、バイパス流路(貫通孔15A及び中空部21b)の上流側の端、すなわち凸部13Dの上流側の端は、凸部13Cの上流側の端よりも上流側に位置する。また、凸部13Cの流れ方向における上流側の端は、ガラス管21Aの中心よりも流れ方向における上流側に配置されている。
【0046】
凸部13Bには、凹部17が設けられている。凹部17は、筐体10Aの上面(+z側の面)10cに設けられており、挿入部11の中空部と連結されている。ガラス管21Aは、凹部17をy方向に貫通する。
【0047】
図6は、
図5のC-Cにおける断面図である。光照射部22及び受光部23は、凹部17の内部に設けられている。受光部23は、ガラス管21Aを挟んで光照射部22と対向して設けられる。光照射部22から照射された光は、中空部21b内を流れる作動油に照射される。光照射部22から照射され、中空部21b内の作動油に含まれる不純物粒子で反射されなかった光(作動油を通過した光)は、大部分が受光部23で受光される。
【0048】
次に、測定装置2の機能について
図5を用いて説明する。
図5の二点鎖線矢印は、作動油の流れを示す。流路孔12を流れる作動油の一部は、中空部21bに流入する。
【0049】
平面視においてガラス管21Aと重なる位置に小径部14Bが設けられているため、小径部14Bの上流側と下流側との圧力差により、メイン流路(流路孔12)を流れる作動油の一部がバイパス流路(貫通孔15A及び中空部21b)に流れる。貫通孔15A及び中空部21bは、流路孔12の内部に突出する凸部13C、13D、13Eの内部に設けられているため、流路孔12を流れる作動油の一部が貫通孔15A及び中空部21bに流れ込むときに、作動油の流れの向きが急激に変化せず、気泡の発生が防止できる。
【0050】
貫通孔15A及び中空部21bを流れた作動油は、小径部14Bの下流側で流路孔12を流れる作動油に合流する。
【0051】
本実施の形態によれば、流路孔12を流れる作動油の一部を貫通孔15A及び中空部21bに流し、光照射部22及び受光部23により作動油の汚染度を測定することができる。また、貫通孔15A及び中空部21bに作動油を流すときに作動油の流れの向きを急激に変化させず、気泡の発生を防止するため、作動油の汚染度を測定するときに、気泡を塵埃と誤検出することを防ぎ、測定精度を高くすることができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、y方向における貫通孔15A及び中空部21bの長さを小径部14Bの長さより長くし、貫通孔15Aの流れ方向上流側の端を凸部13Cの流れ方向上流側の端よりも上流側に配置することで、貫通孔15A及び中空部21bに流入する作動油が凸部13Cによる流れの乱れの影響を受けにくくし、中空部21bに気泡が混入することによる測定精度の低下を防ぐことができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、貫通孔15A及び中空部21bをバイパス流路としたが、貫通孔15Aを無くし、中空部21bをバイパス流路としてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、凸部13Bのy方向の中心とガラス管21Aのy方向の中心とが略一致したが、凸部13Bの流れ方向における上流側の端がガラス管21Aの中心よりも流れ方向における上流側に配置されていれば、凸部13Bのy方向の位置及び長さはこれに限られない。
【0055】
また、本実施の形態では、凸部13D、13Eが凸部13Cの上流側及び下流側にそれぞれ設けられていたが、凸部13Fは必須ではなく、少なくとも凸部13Dは凸部13Cの上流側に設けられていればよい。
【0056】
また、本実施の形態では、凸部13Dの上流側の端面は流路孔12の中心軸に対して略直交するが、凸部13Dの上流側の端面が、流路孔12の開口面積が徐々に小さくなるような勾配を有していてもよい。また、凸部13Cの上流側も、流路孔12の開口面積が徐々に小さくなるような勾配を有していてもよい。
【0057】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態は、流路孔の中心軸と小径部の中心軸とが一致しない形態である。以下、第3の実施の形態にかかる測定装置3について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0058】
図7は、測定装置3の概略を示す断面図である。測定装置3は、配管(図示省略)に取り付けられる筐体10Bを有する。筐体10Bは、筐体10Bをy方向に沿って貫通する直線状の貫通孔である流路孔12Aを有する。
【0059】
筐体10Bは、流路孔12Aの内部に突出するように設けられた凸部13Fを有する。凸部13Fの中空部は、絞りとして機能する小径部14Cである。凸部13Fの内部はメイン流路である。小径部14Cの中心軸は、y方向に沿っているが、流路孔12Aの中心軸と一致しない。
【0060】
凸部13Fの内部には、凸部13Fをy方向に沿って貫通する直線状の貫通孔15Cが設けられている。貫通孔15Cの内部には、透明なガラス管21Bが設けられている。
【0061】
ガラス管21Bの中空部21cは、流路孔12Aと略平行であり、内径が流路孔12A及び小径部14Cの直径より小さい。中空部21cの内部はバイパス流路である。
【0062】
本実施の形態によれば、バイパス流路(中空部21c)の内径を大きくすることができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、メイン流路(小径部14C)の内径は一定であったが、メイン流路の内部に絞りを有してもよい。
図8は、メイン流路の内部に絞りを有する測定装置3Aの概略を示す断面図である。
【0064】
筐体10Cは、小径部14Cの内部に突出するように設けられた略円環形状の凸部13Gを有する。凸部13Gは、凸部13Fの内周面に設けられている。凸部13Gの中空部は、絞りとして機能する小径部14Dである。これにより、バイパス流路に作動油がより流れやすくなる。
【0065】
なお、凸部13Gは略円環形状であるが、凸部13Gの形状は略円環形状に限られない。
【0066】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態は、メイン流路やバイパス流路にバルブが設けられた形態である。以下、第4の実施の形態にかかる測定装置4について説明する。なお、第1~3の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0067】
図9は、測定装置4の概略を示す断面図である。測定装置4は、流路孔12A及び凸部13Fが設けられた筐体10Bを有する。凸部13Fには、バルブ25、26が設けられている。
【0068】
バルブ25は、小径部14C(メイン流路)を覆うように設けられている。バルブ25は、主として、弁座部材25aと、弁体25bと、弁棒25cとを有する。弁座部材25aは、小径部14Cの内部に挿入される略円柱形状の挿入部25dと、挿入部25dの端に設けられたフランジ部25eとを有する。
【0069】
挿入部25dの周囲には雄ねじ部が形成されており、凸部13Fの内周面には雌ねじ部が形成されている。これらの雄ねじ部及び雌ねじ部が螺合することで、挿入部25dが小径部14Cの内部に挿入され、フランジ部25eが凸部13Fの側面に当接する。挿入部25dには、軸方向に沿って、液体の流路となる孔25fが複数設けられている。
【0070】
弁座部材25aには、弁棒25cがy方向に沿って設けられている。弁棒25cには、弁体25bが設けられている。
【0071】
弁体25bは、板状の部材であり、弁棒25cが挿入される孔を有する。弁体25bは、弁棒25cに沿って摺動可能である。
【0072】
弁棒25cの弁座部材25aと反対側の端近傍には、固定部25gが設けられている。固定部25gと弁体25bとの間には、コイルばね等の弾性部材25hが設けられている。弾性部材25hの付勢力により、弁体25bがフランジ部25eの端面(弁座に相当)に押圧されている。通常、バルブ25は、弁体25bがフランジ部25eに当接する閉状態であり、弁体25bが小径部14Cを覆う。
【0073】
貫通孔15Cの内部には、透明なガラス管21Cが設けられている。ガラス管21Bとガラス管21Cとの差異は長さのみである。ガラス管21Cの中空部21dは、流路孔12Aと略平行であり、内径が流路孔12A及び小径部14Cの直径より小さいバイパス流路である。
【0074】
バルブ26は、貫通孔15Cを覆うように設けられている。バルブ26は、主として、弁座部材26aと、弁体26bと、弁棒26cとを有する。弁座部材26aは、中空部21cの内部に挿入される略円柱形状の挿入部26dと、挿入部26dの端に設けられたフランジ部26eとを有する。
【0075】
挿入部26dの周囲には雄ねじ部が形成されており、貫通孔15Cの内周面には雌ねじ部が形成されている。これらの雄ねじ部及び雌ねじ部が螺合することで、挿入部26dが貫通孔15Cの内部に挿入され、フランジ部26eが凸部13Fの側面に当接する。挿入部26dには、軸方向に沿って、液体の流路となる孔26fが複数設けられている。
【0076】
弁座部材26aには、弁棒26cがy方向に沿って設けられている。弁棒26cには、弁体26bが設けられている。
【0077】
弁体26bは、板状の部材であり、弁棒26cが挿入される孔を有する。弁体26bは、弁棒26cに沿って摺動可能である。
【0078】
弁棒26cの弁座部材26aと反対側の端近傍には、固定部26gが設けられている。また、固定部26gと弁体26bとの間には、コイルばね等の弾性部材26hが設けられている。弾性部材26hの付勢力により、弁体26bがフランジ部26eの端面(弁座に相当)に押圧されている。通常、バルブ26は、弁体26bがフランジ部26eに当接する閉状態であり、弁体26bが中空部21dを覆う。
【0079】
図10は、バルブ25、26が開いたときの測定装置4の概略を示す断面図である。小径部14Cの内部を流れる作動油が多くなると、弾性部材25hの付勢力に抗して作動油が弁体25bを押圧する。その結果、弁体25bがフランジ部25eの端面から離れてバルブ25が開状態になり、孔25fを介してバルブ25の上流側と下流側とが連通し、メイン流路を作動油が流れる。また、中空部21c内部を流れる作動油が多くなると、弾性部材26hの付勢力に抗して作動油が弁体26bを押圧する。その結果、弁体26bがフランジ部26eの端面から離れてバルブ25が開状態になり、孔26fを介してバルブ26の上流側と下流側とが連通し、バイパス流路を作動油が流れる。
【0080】
なお、
図10では、バルブ25、26の両方が開いた場合を例示したが、バルブ25、26のいずれか一方のみが開く場合もあり得る。
【0081】
本実施の形態によれば、バルブ25、26をメイン流路、バイパス流路にそれぞれ設けることで、メイン流路、バイパス流路を流れる液体の量を調整することができる。
【0082】
例えば、測定精度向上のためには、バイパス流路を流れる液体の流量を毎分1~5リットル程度に保ちたいが、バルブ25、26を設けない場合には、エンジンの稼働状況や温度変動により流量が変化し、バイパス流路を流れる液体の流量を一定に保てない場合がある。それに対し、本実施の形態のように、バルブ25、26を設けることで、メイン流路、バイパス流路を流れる液体の量が調整可能になる。
【0083】
特に、バルブ25を設けることにより、仮に全体の流量が少ない場合でも、バイパス流路に一定流量の油を流せるように調整することができる。また、バルブ26を設けることにより、バルブ25のみではバイパス流路の流量が安定しない場合(例えば、大流量時)に、バイパス流路を流れる液体の流量を測定部(光照射部22及び受光部23)が測定可能な流量の範囲内に収まるように、流量を調整することができる。
【0084】
なお、本実施の形態では、バルブ25、26をメイン流路、バイパス流路にそれぞれ設けたが、バルブ25、26のいずれか一方が設けられていればよい。
図11は、バルブ25がメイン流路に設けられた変形例にかかる測定装置4Aの概略を示す断面図である。
図12は、バルブ26がバイパス流路に設けられた変形例にかかる測定装置4Bの概略を示す断面図である。このような場合であっても、メイン流路、バイパス流路を流れる液体の量を調整することができる。
【0085】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【0086】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略直交」とは、厳密に直交の場合には限られず、例えば数度程度の誤差を含む概念である。また、例えば、単に直交、平行、一致等と表現する場合において、厳密に直交、平行、一致等の場合のみでなく、略平行、略直交、略一致等の場合を含むものとする。
【0087】
また、本発明において「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、端近傍という場合に、端の近くのある範囲の領域であって、端を含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0088】
1、1A、2、3、4、4A、4B:測定装置
10、10A、10B、10C:筐体
10a、10b:面
10c :上面
11 :挿入部
12、12A:流路孔
12a、12b:ねじ部
13、13A、13B、13C、13D、13E、13F:凸部
13a :端面
14、14A、14B、14C、14D:小径部
15、15A、15B、15C:貫通孔
16 :凸部
17 :凹部
21、21A、21B、21C:ガラス管
21a、21b、21c、21d:中空部
22 :光照射部
23 :受光部
25、26:バルブ
25a、26a:弁座部材
25b、26b:弁体
25c、26c:弁棒
25d、26d:挿入部
25e、26e:フランジ部
25f、26f:孔
25g、26g:固定部
25h、26h:弾性部材
30 :接続部