(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】リポソーム製剤、ならびにリポソーム製剤を使用および調製する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7028 20060101AFI20241107BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20241107BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20241107BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20241107BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241107BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241107BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20241107BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
A61K31/7028
A61K9/127
A61K47/24
A61K47/28
A61K47/26
A61K47/36
A61P3/00
A61K45/00
(21)【出願番号】P 2021560323
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 US2020025246
(87)【国際公開番号】W WO2020205530
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521440471
【氏名又は名称】グライコミン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ラファルコ, アグネス
(72)【発明者】
【氏名】白倉 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】グリーンバーグ, サミュエル エリック
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0228364(US,A1)
【文献】特表2017-537650(JP,A)
【文献】特表2014-525461(JP,A)
【文献】特表2016-509572(JP,A)
【文献】Colloids and Surfaces B: Biointerfaces,2015年,Vol.136,pp.514-526
【文献】Asian Journal of Pharmaceutical Sciences,2015年,Vol.10, No.2,pp.81-98
【文献】Advanced Drug Delivery Reviews,2019年02月,Vol.151-152,pp.233-244
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7028
A61K 9/00 - 9/72
A61K 47/00 -47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リポソーム
と前記リポソームに被包されたマンノース-1-ホスフェートまたはその塩とを含む組成物であって、
前記リポソームが、
i) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)またはその塩;
ii) グリセロール、コリン、ホスフェート、またはセリンを含む極性頭部基と、2つの不飽和脂肪酸尾部とを有する、1つまたは1つより多くのリン脂質であって、ここで、各不飽和脂肪酸尾部は、C
10~28アルケニル鎖を含む、リン脂質;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたポリエチレングリコール(PEG)を含む
、組成物。
【請求項2】
ii)における前記1つまたは1つより多くのリン脂質の前記極性頭部基が、コリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
極性頭部基を有する前記1つまたは1つより多くのリン脂質が、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC);
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG);もしくは
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、
またはその塩、あるいは前述の任意の組合せである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
極性頭部基を有する前記1つまたは1つより多くのリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)またはその塩を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記PEGに共役された前記リン脂質が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記リポソームの成分(iii)が、DSPE-PEG
2000である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記リポソームが、コレステロールまたはコレステロールエステルを含まない、請求項1から4
のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記DOPEが、
15~
30モルパーセントで前記組成物中に存在する、請求項1から4
のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
極性頭部基を有する前記1つまたは1つより多くのリン脂質が
DOPCであり、ここで前記DOPCが
35~
75モルパーセントで前記組成物中に存在する、請求項
8に記載の組成物。
【請求項10】
極性頭部基を有する前記1つまたは1つより多くのリン脂質がDOPCであり、ここで前記DOPCが
60~
65モルパーセントで前記組成物中に存在する、請求項
8に記載の組成物。
【請求項11】
前記DOPEが
25~
30モルパーセントで前記組成物中に存在する、請求項1から4
のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
極性頭部基を有する前記1つまたは1つより多くのリン脂質がDOPCであり、ここで前記DOPCが
35~
75モルパーセントで前記組成物中に存在する、請求項
11に記載の組成物。
【請求項13】
極性頭部基を有する前記1つまたは1つより多くのリン脂質がDOPCであり、ここで前記DOPCが
60~
65モルパーセントで前記組成物中に存在する、請求項
11に記載の組成物。
【請求項14】
前記DOPEが
30~
60モルパーセントで前記組成物中に存在する、請求項1から4
のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
極性頭部基を有する前記1つまたは1つより多くのリン脂質がDOPCであり、ここで前記DOPCが
35~
75モルパーセントで前記組成物中に存在する、請求項
14に記載の組成物。
【請求項16】
極性頭部基を有する前記1つまたは1つより多くのリン脂質がDOPCであり、ここで前記DOPCが
60~
65モルパーセントで前記組成物中に存在する、請求項
14に記載の組成物。
【請求項17】
前記リポソーム中のマンノース-1-ホスフェートの濃度が
2.5mM~
5mMである、請求項1から
16
のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記リポソーム中のマンノース-1-ホスフェートの濃度が
5mM~
10mMである、請求項1から
16
のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
マンノース-1-ホスフェートまたはその塩
とリポソームとを含むリポソーム組成物であって、
前記リポソームが、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、およびDSPE-PEG
2000を含
み、ここで、DOPE、DOPCおよびDSPE-PEG
2000のモル比は30:67:3であ
り、前記マンノース-1-ホスフェートまたはその塩が前記リポソームに被包されている、リポソーム組成物。
【請求項20】
前記組成物中の前記リポソームの平均粒径が
0.1ミクロン
±2%である、請求項1から
19のいずれか一項記載の組成物。
【請求項21】
請求項
1~20のいずれか一項に記載の組成物および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項22】
それを必要とするヒトにおける先天性グリコシル化異常症(CDG)を処置するための請求項
21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記CDGが、CDG-Ia、CDG-Ie、CDG-Ii、CDG-Ik、CDG-Io、CDG-Ip、またはDPM2-CDGである、請求項
22に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年3月29日に出願された米国仮特許出願第62/826,874号の優先権を主張する。
【0002】
分野
本発明は、細胞内部に送達するための、リポソームに被包された炭水化物を含有する組成物、被包された炭水化物を細胞の内部に送達する方法、ならびにそのような組成物を先天性グリコシル化異常(CDG)障害などの疾患および障害を処置するために使用する方法に関する。例えば本発明は、細胞内部、小胞体(ER)、およびゴルジに医薬品送達するための炭水化物およびリポソームを調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
グリコシル化、即ちタンパク質および脂質への炭水化物(グリカン)の酵素的結合は、粗面小胞体(ER)で合成されたタンパク質の大部分に適用されるので、他のどのようなPTMよりも一般的な同時翻訳および翻訳後修飾(PTM)である。グリコシル化は、膜および分泌されたタンパク質の様々な生物学的プロセスにおいて極めて重要な役割を果たす。ERにおいて、グリコシル化は、タンパク質の構造およびフォールディングを定め、適正にフォールドされたタンパク質のゴルジへの移出を指示する、または分解のためにミスフォールドされたタンパク質を標的とする、品質管理メカニズムとして作用する。グリカン部分は、細胞結合を媒介するか、またはシグナル伝達経路を刺激するように、細胞表面受容体のリガンドとして作用してもよい。CDG症候群としても公知のグリコシル化の先天性障害は、組織タンパク質および/または脂質が欠陥性グリコシル化および/またはグリコシル化の欠如を保持するまれな遺伝性疾患の群である。これらの疾患は、数多くの酵素欠乏に関連し、しばしば深刻な、時には致命的な、神経系、筋肉、腸、およびいくつかのその他の臓器系の機能不全を引き起こす。
【0004】
CDGを持つ子供の一般的な臨床症状には、緊張低下、発育遅延、発育不良、肝機能障害、凝血障害、甲状腺機能低下症、内斜視、異常脂肪パターンおよび陥没乳頭、低血糖症、発作、小脳低形成、および発達遅延児童の脳卒中様発作が含まれる。青年期または成人期にある、より高い年齢では、症状に、運動失調、認識機能障害、女性における思春期の不在、男性における小さい精巣、網膜性色素変性症、側湾症、関節拘縮、および末梢神経疾患が含まれ得る。
【0005】
CDGは、2つの群:CDG I型およびCDG II型に分類されてもよい。CDG I型は、N結合タンパク質グリコシル化の初期ステップ、即ちERで生じるドリコールピロリン酸結合オリゴ糖(DLO)の生合成での欠陥、または新生ポリペプチドのアスパラギン残基へのDLOの移動によって、特徴付けられる。CDG II型では、タンパク質結合グリカンのさらなる処理(合成または加水分解的)に欠陥がある。現在、22種のCDG I型と14種のII型の変形例が特定されている。CDGの最も一般的なサブタイプの1つはCDG-Ia(全てのCDG症例の約70%)であり、これは細胞内N-グリコシル化の欠損または不足をもたらすホスホマンノムターゼ2(PMM)活性の損失または低減によって特徴付けられる(Jaeken et al. J. of Inherit. Met. Disease. 2008, 31: 669-672)。PMMは、マンノース-6-ホスフェートからマンノース-1-ホスフェートへの変換の原因となる。
【0006】
CDGの治療を開発するいくつかの異なる手法が検討されてきたが、研究者等は、疾患自体を軽減するのに適した療法または治療を自ら探し続けている。徴候に関する既存の処置には、例えば、栄養補助食品、経管栄養、ならびに胃食道逆流、存続嘔吐、発育遅延、眼球異常、および甲状腺機能低下症を処置しようとする広範な治療が含まれる。患者は、脳卒中様発作に関して静脈内(IV)水分補給および理学療法も必要とする。整形外科的症状を持つ成人は、しばしば、車椅子、移動装置、および側湾症に関する外科的処置を必要とする(Sparks et al., Disorders of Glycosylation Overview. 2005 In: Pagon RA, Adam MP, Bird TD, et al., editors. GeneReviewsTM. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; 1993-2013)。
【0007】
現在、CDG-Ibが、処置が利用可能な、即ち経口D-マンノース投与が可能な1つの公知のCDGである。しかしながら、そのような治療は、CDG-Iaの患者を処置するのに有効ではない可能性があり、その他のCDG I型サブタイプおよびCDG II型疾患に関して現在限定された処置の選択肢である。CDG-I障害に関して確立した治療の欠如に関する理由の1つは、PMM酵素活性に対して直接相関を示さないことが提示される過度の不均質臨床表現型に起因し得る。
【0008】
PMM活性の低減に苦しむ患者は、多臓器不全の症状に関連したマンノース-1-ホスフェート(Man-1-P)の生成が低減している。PMM生成欠乏を克服するために、必要とされる基質を下流酵素に供給することは重要である(即ち、Man-1-P)。しかしながら、Man-1-Pのそのような全身供給の送達および維持は、経口または静脈内投与によって外部から送達された場合に体液中の細胞外酵素がMan-1-Pを分解するので問題がある。外部から送達されたMan-1-Pによる別の問題とは、その高い極性により、Man-1-Pが細胞内部(即ち、サイトゾル)に侵入できず、したがってPMM生成の不足を処置できないことである。
【0009】
極性Man-1-Pの誘導体は、Man-1-Pがさらに細胞透過性になるように合成することができる(米国特許出願公開第2009/0054353号)。しかしながらこの手法では、細胞透過性Man-1-P誘導体が臨床使用で不安定であるか、またはMan-1-P誘導体の副生成物を介して細胞毒性であることが示されているので、やはり問題がある(Eklund et al., Glycobiology 2005, 15: 1084-1093; Rutschow et al. Bioorg Med Chem 2002, 10: 4043-4049;およびHardre et al., Bioorg Med Chem Lett 2007, 17: 152-155)。
【0010】
その他の可能性ある治療は、ホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)の阻害を介して、マンノース-6-ホスフェート(Man-6-P)、Man-1-Pに対する前駆体を異化する酵素を、阻害することに焦点を当ててきた。この手法は、PMI阻害剤の使用によりMan-6-Pの生成に偏る可能性があったホメオスタシスの最適化に向けて、強制的に反応させることに焦点を当てている。しかしながらこれらの手法は、それらに関連した毒性、オフターゲット副作用、および不十分な選択的組織透過に起因して、臨床処置の選択肢として有効ではない。
別の可能性ある解決策は、Man-1-Pを被包し細胞内部に送達するのに送達ビヒクル(例えば脂質粒子)を使用することである(国際公開第2015/053910号参照)。しかしながら、概してリン酸化炭水化物の高い電荷および極性に起因して、最適な送達ビヒクルは、安定性、リン酸化炭水化物の投入速度および濃度、毒性、ならびに送達効率の難題を克服しなければならない。
したがって、そのような処置を必要とする対象(例えば、ヒトを含む)に、先天性グリコシル化異常症(CDG)などの障害を処置するためにMan-1-PおよびMan-6-Pなどのリン酸化炭水化物を細胞内部に送達するための、改善された組成物および方法に関し、満たされていない需要が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2009/0054353号明細書
【文献】国際公開第2015/053910号
【非特許文献】
【0012】
【文献】Jaeken et al. J. of Inherit. Met. Disease. 2008, 31: 669-672
【文献】Sparks et al., Disorders of Glycosylation Overview. 2005 In: Pagon RA, Adam MP, Bird TD, et al., editors. GeneReviewsTM. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; 1993-2013
【文献】Eklund et al., Glycobiology 2005, 15: 1084-1093
【文献】Rutschow et al. Bioorg Med Chem 2002, 10: 4043-4049
【文献】Hardre et al., Bioorg Med Chem Lett 2007, 17: 152-155
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
概要
本開示は、脂質粒子を使用して、細胞の透過またはリン酸化炭水化物の被包のいずれかに関連したリン酸化炭水化物負荷効率、細胞毒性、および安定性の問題に対処する、ある特定のリポソームにより被包されたリン酸化炭水化物を含む組成物およびキットを提供することにより、上述の満たされていない需要を満足させる。そのようなリン酸化炭水化物は、例えばマンノース-1-ホスフェートを含む、内在性炭水化物であってもよい。エンドサイトーシス経路を利用することにより、これらのリポソームは、細胞内部に進入しリン酸化炭水化物を細胞のサイトゾルに送達することができる。リン酸化炭水化物を被包するための、ある特定のリポソームのこの使用は、同時に治療の容易さを促進させ、リン酸化炭水化物のより高い投薬量を可能にして、生化学的グリコシル化経路に到達し、それと共に投与が潜在的に容易になる。一部の態様では、本開示は、細胞内部、小胞体、およびゴルジへの医薬品送達のため、ある特定のリポソームによって被包されたリン酸化炭水化物を調製するための方法を提供する。本開示は、限定するものではないがCDG I型およびCDG II型の疾患を処置するための、リン酸化炭水化物置き換え治療を提供する。
【0014】
本開示は、CDGの疾患など、疾患の有効治療に関して満たされていない需要、ならびにそのような治療薬の送達に関する課題にも対処する。一部の態様では、本開示は、マンノース-1-ホスフェートなどのリン酸化炭水化物を細胞のサイトゾルに送達する方法を提供する。いかなる理論にも拘泥するものではないが、リン酸化炭水化物(例えば、医薬の一部として)を送達するそのような方法は、遺伝的に欠陥のあるサイトゾル酵素、即ちCDG I障害で広く見られるホスホマンノムターゼ(PMM)およびホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)の働きを避ける可能性があると考えられる。
【0015】
一部の実施形態では、本開示は:
リポソームであって、
i) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);
ii) (a)グリセロール、コリン、ホスフェート、およびセリンからなる群から選択される極性頭部基と、C10~28脂肪族鎖を含む脂肪酸尾部とを有する、1つまたは1つより多くのリン脂質、または
(b)酸性コレステロールエステル、または(a)および(b)の混合物
から選択される1つまたは1つより多くの安定化剤;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたPEG
を含むリポソームと、
少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物と
を含む組成物であって、少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物がリポソームに被包された組成物を提供する。
【0016】
一部の実施形態では、PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)である。一部の実施形態では、1つまたは1つより多くの安定化剤は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール(DPPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)、または1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)を含む。一部の実施形態では、DOPEは、最大80mol%の濃度で存在する。一部の実施形態では、リポソームはさらに、コレステロールを含む。
【0017】
一部の実施形態では、本開示は、
リポソームであって、
i) N-ドデカノイル-1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(N-C12-DOPE);および
ii) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つのリン酸化内在性炭水化物と
を含む組成物を提供する。
【0018】
一部の実施形態では、リポソームはさらに、少なくとも1つのリン脂質に共役されたPEGを含む。一部の実施形態では、PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)である。一部の実施形態では、リポソームはさらに、コレステロールを含む。
【0019】
一部の実施形態では、少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物は、リン酸化単糖、リン酸化二糖、リン酸化オリゴ糖、リン酸化多糖、リン酸化マンノース、リン酸化マンノフラノース、リン酸化マンノピラノース、もしくはヌクレオチド糖、またはこれらの任意の組合せである。一部の実施形態では、少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物は、リン酸化マンノースである。一部の実施形態では、リン酸化マンノースがマンノース-1-ホスフェートである。一部の実施形態では、リン酸化マンノースがマンノース-6-ホスフェートである。一部の実施形態では、内在性リン酸化炭水化物が、約0.1~75mMの濃度で存在する。
【0020】
本開示のその他の態様は、前述の実施形態のいずれかの組成物および薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物に関する。
【0021】
本開示のその他の態様は、本明細書に記載される方法のいずれかで使用される、前述の実施形態のいずれかの組成物を含有するキットに関する。
【0022】
本開示のその他の態様は、前述の実施形態のいずれかの組成物を対象に投与することによって、それを必要とする対象にリン酸化炭水化物を送達するための方法に関する。一部の実施形態では、組成物は、経口、局所、皮膚、鼻、静脈内、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、頭蓋内、髄腔内、皮下、関節内、または滑液嚢内、脊髄内投与される。
【0023】
本開示の他の態様は、前述の実施形態のいずれかの組成物を対象に投与することによって、それを必要とする対象の細胞内部にリン酸化炭水化物を送達するための方法に関する。一部の実施形態では、組成物は、経口、局所、皮膚、鼻、静脈内、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、頭蓋内、髄腔内、皮下、関節内、滑液嚢内、または脊髄内投与される。
【0024】
本開示の他の態様は、前述の実施形態のいずれかの組成物を対象に投与することによって、それを必要とする対象における先天性グリコシル化異常症(CDG)を処置するための方法に関する。一部の実施形態では、先天性グリコシル化異常症(CDG)は、CDG I型障害、CDG-Ia障害、CDG II型障害、CDG-IIc障害、およびCDG-IIf障害から選択される。一部の実施形態では、先天性グリコシル化異常症(CDG)は、CDG-Ia障害である。一部の実施形態では、組成物は、経口、局所、皮膚、鼻、静脈内、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、頭蓋内、髄腔内、皮下、関節内、滑液嚢内、または脊髄内投与される。
【0025】
図面の説明
本出願は、本明細書に含まれる添付図と併せて解釈される以下の記述を参照することにより、最も良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、生理学的条件下:n=3の、in vitro M1P漏出プロファイルを示す。
【0027】
【
図2A】
図2Aは、ナノメートル範囲のサイズ分布を持つ、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩液(PBS)中での、Lipo-M1Pの凝集プロファイルを示す。
図2Bは、pH7.4のPBS中の、Lipo-M1Pのミクロンサイズの粒子の濃度を示す。
【
図2B】
図2Aは、ナノメートル範囲のサイズ分布を持つ、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩液(PBS)中での、Lipo-M1Pの凝集プロファイルを示す。
図2Bは、pH7.4のPBS中の、Lipo-M1Pのミクロンサイズの粒子の濃度を示す。
【0028】
【
図3A】
図3Aおよび3Bは、PMM2-CDG線維芽細胞におけるLipo-M1Pの生物活性を示す。Lipo-M1P用量応答研究が
図3Aに示される。用量応答研究で試験された濃度でのLipo-M1Pの細胞生存度が、
図3Bに示される。
【
図3B】
図3Aおよび3Bは、PMM2-CDG線維芽細胞におけるLipo-M1Pの生物活性を示す。Lipo-M1P用量応答研究が
図3Aに示される。用量応答研究で試験された濃度でのLipo-M1Pの細胞生存度が、
図3Bに示される。
【0029】
【
図4】
図4は、正常なLLOと、Lipo-M1Pで処置する前および後の2名の患者からのPMM2-CDG線維芽細胞との、FACEゲルを示す。
【0030】
【
図5】
図5は、正常なICAM-1と、Lipo-M1Pの異なる濃度で未処置のおよび処置後のPMM2-CDG線維芽細胞との、ウェスタンブロットを示す。
【0031】
【
図6A】
図6Aは、総用量のパーセンテージとして表された、肝臓に対するLipo-M1Pの分布を示す。
図6Bは、肝細胞およびNPCに対するリポソームの取込みを示す。
【
図6B】
図6Aは、総用量のパーセンテージとして表された、肝臓に対するLipo-M1Pの分布を示す。
図6Bは、肝細胞およびNPCに対するリポソームの取込みを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
本開示は、ある特定のリポソーム組成物が、リン酸化炭水化物の被包およびリン酸化炭水化物の細胞内部への送達において有効であるという本発明者らの発見に基づく。本明細書では、例えば細胞質、小胞体、およびゴルジを含めた細胞内部にリン酸化炭水化物を送達することが可能な、これらのリポソームによって被包されたリン酸化炭水化物の組成物が提供される。一部の実施形態では、リン酸化炭水化物がマンノース-1-ホスフェートまたはマンノース-6-ホスフェートである。本明細書では、医薬組成物およびこれらの組成物を含有するキットも提供される。また、細胞内部にリン酸化炭水化物を送達する、またはそのような組成物を対象に投与することによって、それを必要とする対象における先天性グリコシル化異常症(CDG)を処置するための方法も提供される。
【0033】
高い負電荷および極性は、一般に、リン酸化炭水化物がリポソームの膜を通過するのを難しくする。この難しさは、リポソーム内へのリン酸化炭水化物の被包の方法およびタイミングを制限する可能性がある。
【0034】
他に定義しない限り、全ての科学的および技術的用語は、それらが関わる技術分野で一般に使用されるのと同じ意味を有することが理解される。本開示の目的で、下記の用語が定義される。
【0035】
本明細書で使用される「約」という用語は、この技術分野の当業者に容易に知られるそれぞれの値に関する通常の誤差範囲を指す。本明細書で「約」値またはパラメーターと言及する場合、その値またはパラメーター自体を対象とする実施形態を含む(および記述する)。例えば、「約x」は、「x」自体を含みおよび記述する。一部の実施形態では、「約」という用語は、測定に関連して使用される場合または値、単位、定数、または値の範囲を修飾するのに使用される場合、±2%の変動を指す。
【0036】
本明細書で2つの値またはパラメーターの「間」を指す場合、それらの2つの値またはパラメーター自体を含む実施形態を含む(記述する)。例えば、「xとyとの間」を指す記述は、「x」および「y」自体の記述を含む。さらに、「xとyとの間」は、「約xからy」または「約x~y」と表すこともできることも理解すべきである。
【0037】
本明細書で使用されるモルパーセントは、「mol%」をも指す。
【0038】
本明細書で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が他に明示しない限り、複数対象を含む。
組成物
【0039】
本明細書では、1つまたは1つより多くの脂質粒子を含むリポソームと、少なくとも1つのリン酸化炭水化物とを含み、少なくとも1つのリン酸化炭水化物がリポソームに被包された組成物が提供される。
リポソーム
【0040】
一部の実施形態では、リポソームは、ラメラ相脂質二重層から構成される小胞である。当技術分野で公知の任意の適切なリポソームが使用されてもよい。一部の実施形態では、リポソームはラメラナノ構造を有する。
【0041】
本開示のリポソームは、当技術分野で公知のおよび本明細書に開示される任意の適切な方法によって調製されてもよい。リポソームを調製するのに適した方法の例には、例えば、超音波処理、薄膜水和、乳化、フレンチプレスセル、押出し、および乾燥小胞の再構成を含む機械的分散などによる生体膜の破壊;エタノール注入、エーテル注入、二重乳化、逆相、および気化を含む溶媒分散;および洗浄剤除去法が含まれる。
【0042】
ある特定の実施形態では、リポソームは、免疫寛容性であってもよいステルスリポソームである。一部の実施形態では、ステルスリポソームは、対象の免疫系による検出を回避することが可能なリポソームである。したがって、ステルスリポソームは、免疫寛容性であってもよい。例えば、対象はヒトであってもよい。
【0043】
本開示の炭水化物などの活性剤または治療剤がリポソームに被包される場合、リポソームは、完全な被包、部分的な被包、または両方を持つような活性剤または治療剤を提供する。一部の変形例では、炭水化物の少なくとも一部がリポソームによって被包され、リポソームのコア内および/またはリポソームの内面(例えば、膜)に局在化されていてもよい。あるいは、他の変形例では、炭水化物全体がリポソームに被包され、リポソームのコア内および/またはリポソームの内面(例えば、膜)に局在化されていてもよい。
【0044】
本開示のリポソームは、1つまたは1つより多くの脂質を含有する。一部の実施形態では、脂質は、有機溶媒に可溶なもしくは部分的に可溶であるか、または水性相に存在する場合に疎水性環境に分配される、生物または合成由来の物質を含む。一部の変形例では、脂質は、少なくとも3つのクラス:(1)例えば脂肪、油、およびワックスを含む単純脂質;(2)例えばリン脂質および糖脂質を含む化合物脂質;および(3)例えばステロイドを含む誘導脂質に分割されてもよい。
【0045】
一部の変形例では、脂質は、中性脂質または両親媒性脂質であってもよい。一部の実施形態では、中性脂質は、選択されたpHで、非荷電または中性双性イオン形態のいずれかで存在する脂質である。生理学的pHで、そのような脂質は例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド、およびジアシルグリセロールを含んでいてもよい。一部の実施形態では、両親媒性脂質は、極性の水溶性基および無極性の水不溶性基の両方を含有する脂質である。
【0046】
適切な脂質には、例えば、二重層形成脂質、非二重層形成脂質、両親媒性脂質、天然に生ずる脂質、リン脂質、グリセロ脂質、スフィンゴ脂質、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リソ脂質、脂肪酸、スフィンゴミエリン、グリコスフィンゴ脂質、グルコ脂質、グリコ脂質、スルファチド、エーテル結合およびエステル結合脂肪酸を持つ脂質、重合性脂質、合成脂質、および半合成脂質が含まれる。合成または半合成脂質は、天然脂質の脱アシル化または再アシル化を介して生成されてもよい。合成および半合成脂質の適切な特徴には、例えば、ミリストイル、パルミトイル、およびステアロイル脂肪酸が含まれる。一部の実施形態では、脂質が1つまたは1つより多くのエステル結合脂肪酸を含む場合、脂肪酸はミリストイル脂肪酸である。ある特定の実施形態では、脂質は1,2-ジミリストイル-グリセロール(DMG)またはその塩である。他の実施形態では、脂質は、1つまたは1つより多くのエステル結合脂肪酸を含み、脂肪酸はステアロイル脂肪酸である。ある特定の実施形態では、脂質は1,2-ジアステアロイルグリセロール(DSG)またはその塩である。一部の実施形態では、本開示のリポソームは、2つまたは2つより多くのタイプの脂質の混合物を含有していてもよい。そのような混合物は、本開示の炭水化物を被包し、およびそのような炭水化物を細胞内部に送達するのに適した任意の比で存在し得る。一部の実施形態では、本開示のリポソームは、リン脂質、グリセロ脂質、スフィンゴ脂質、およびこれらの任意の組合せから選択される脂質を含有していてもよい。本明細書に開示される、そのような脂質は、例えばエステル結合またはエーテル結合によって結合され得る極性頭部基と脂肪酸尾部とを有する。
【0047】
一部の実施形態では、本開示のリポソームは、極性頭部基を有する1つまたは1つより多くの脂質を含有していてもよい。脂質は、当技術分野で公知の任意の適切な極性頭部基を含有していてもよい。適切な極性頭部基には、例えば、コリン、エタノールアミン、セリン、グリセロール、イノシトール、およびこれらの任意の組合せが含まれる。
【0048】
一部の実施形態では、本開示のリポソームは、1つまたは1つより多くのリン脂質を含有していてもよい。本開示のリポソームは、当技術分野で公知の任意の適切なリン脂質を含有していてもよい。適切なリン脂質には、例えば、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、およびこれらの任意の組合せが含まれる。一部の実施形態では、本開示のリポソームは、ホスファチジルコリン(PC)を含有していてもよい。一部の実施形態では、本開示のリポソームは、ホスファチジルエタノールアミン(PE)を含有していてもよい。ある特定の実施形態では、本開示のリポソームは、ホスファチジルコリン(PC)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)を含有していてもよい。
【0049】
一部の実施形態では、リン脂質は、2つの疎水性脂肪酸尾部を含む。一部の実施形態では、脂肪酸尾部のそれぞれが脂肪族鎖を含む、一部の実施形態では、2つの脂肪酸尾部が同じである。一部の実施形態では、2つの脂肪酸尾部が異なる。一部の実施形態では、脂肪族鎖が不飽和である。一部の実施形態では、脂肪族鎖が飽和している。一部の実施形態では、脂肪族鎖は、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、および必要に応じて置換されたアルキニルからなる群から選択される。一部の実施形態では、アルキルが直鎖状である。一部の実施形態では、脂肪酸鎖のそれぞれが非置換C4~28アルキルである。一部の実施形態では、脂肪酸鎖のそれぞれは、アシル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、ニトロ、ハロ、チオール、チオアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される置換基によって置換されたC4~28アルキルである。一部の実施形態では、脂肪酸鎖のそれぞれが非置換C4~28アルケニルである。一部の実施形態では、アルケニルが直鎖状または分枝状である。一部の実施形態では、脂肪酸鎖のそれぞれが1つまたは1つより多くの二重結合を有する。一部の実施形態では、二重結合がcis配置を有する。一部の実施形態では、二重結合がtrans配置を有する。一部の実施形態では、脂肪酸鎖のそれぞれは、アシル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、ニトロ、ハロ、チオール、チオアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される置換基によって置換されたC4~28アルケニルである。一部の実施形態では、脂肪酸鎖のそれぞれは、必要に応じて置換されたC10~28アルキル、必要に応じて置換されたC10~28アルケニル、および必要に応じて置換されたC10~28アルキニルからなる群から選択される。適切なリン脂質には、例えば、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール(DPPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、N-ドデカノイル-1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(N-C12-DOPE)、またはこれらの塩、または前述のいずれかの組合せが含まれる。
【0050】
DPPGは一般に、当技術分野では1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)とも呼ばれ;DOPGは一般に、当技術分野では1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)とも呼ばれ;およびN-C12-DOPEは一般に、当技術分野では(2R)-5-ヒドロキシ-2-{[(9Z)-オクタデカ-9-エノイル]オキシ}-5,10-ジオキソ-4,6-ジオキサ-9-アザ-5λ(5)-ホスファヘニコサン-1-イル(9Z)-オクタデカ-9-エノエートとも呼ばれることを、一般に理解すべきである。
【0051】
一変形例では、リン脂質は:
【化1】
【化2】
【化3】
またはこれらの塩、または前述の任意の組合せである。
【0052】
一部の実施形態では、1つまたは1つより多くのリン脂質が、最大約10モルパーセント、約15モルパーセント、約20モルパーセント、約25モルパーセント、約30モルパーセント、約35モルパーセント、約40モルパーセント、約45モルパーセント、約50モルパーセント、約55モルパーセント、約60モルパーセント、約65モルパーセント、約70モルパーセント、約75モルパーセント、約80モルパーセント、約85モルパーセント、または約90モルパーセントの濃度で存在する。一部の実施形態では、1つまたは1つより多くのリン脂質が、少なくとも5モルパーセント、少なくとも10モルパーセント、少なくとも15モルパーセント、少なくとも20モルパーセント、少なくとも25モルパーセント、少なくとも30モルパーセント、少なくとも35モルパーセント、少なくとも40モルパーセント、少なくとも45モルパーセント、少なくとも50モルパーセント、少なくとも55モルパーセント、少なくとも60モルパーセント、少なくとも65モルパーセント、少なくとも70モルパーセント、または少なくとも75モルパーセントの濃度で存在する。
【0053】
一部の実施形態では、リポソームはさらに、対象に投与されたとき脂質粒子の分解を最小限に抑えることおよび/または脂質粒子の保持を強化することが可能な分子を含む、および/または対象に投与されたときに脂質粒子を免疫寛容性にする。一部の実施形態では、分子は、エチレンオキシド、エチレンオキシドオリゴマー、エチレンオキシドポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、またはこれらの任意の組合せなどのステルス分子;および/またはPEG化中性脂質である。一部の変形例では、PEG化中性脂質は、生理学的条件で帯電している可能性があることを理解すべきである。
【0054】
一部の実施形態では、PEG化脂質が、エステル結合した脂肪酸を持つ脂質である。ある特定の実施形態では、PEG化脂質は、式(X):
【化4】
(式中、各R
yは独立して炭素鎖である)の脂質またはその塩である。一部の実施形態では、各R
yは独立して不飽和炭素鎖である。他の実施形態では、各R
yは独立して飽和炭素鎖である。ある特定の実施形態では、各R
yは独立してC10~28アルキルである。一実施形態では、PEG化脂質の脂質が1,2-ジミリストイル-グリセロール(DMG)である。一実施形態では、PEG化脂質がPEG(2k)-DMGであり、これはDMG-PEG
2000としても公知である。一実施形態では、PEG化脂質は:
【化5】
またはその塩である。別の実施形態では、PEG化脂質の脂質が1,2-ジステアロイルグリセロール(DSG)である。一実施形態では、PEG化脂質はPEG(2k)-DSGであり、これはDSG-PEG
2000としても公知である。一実施形態では、PEG化脂質は
【化6】
またはその塩である。
【0055】
他の実施形態では、少なくとも1つのリン脂質がポリエチレングリコール(PEG)に共役されている。一部の実施形態では、1つのリン脂質がPEGに共役されている。PEGは、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、およびこれらの任意の組合せの1つまたは1つより多くに共役されていてもよい。ある特定の実施形態では、本開示の脂質粒子は、ホスファチジルコリン(PC)に共役されたPEGを含有していてもよい。一部の実施形態では、PEGに共役されたリン脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール(DPPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、または1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、またはこれらの塩である。一部の実施形態では、PEGに共役されたリン脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)またはその塩である。一部の実施形態では、PEG化されたリン脂質がDSPE-PEGである。一部の実施形態では、PEG化されたリン脂質がDSPE-PEG
2000である。一部の実施形態では、DSPE-PEGはさらに炭水化物に共役される。ある特定の実施形態では、DSPE-PEGはさらに、単糖に共役される。一部の実施形態では、DSPE-PEGはさらにガラクトース部分に共役される。ある特定の実施形態では、DSPE-PEG-ガラクトースが下記の構造:
【化7】
またはその塩を有する。
【0056】
一部の実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)は、本開示のリポソーム内に、約0.5モルパーセントから約20モルパーセントに及ぶ濃度で存在してもよい。一部の実施形態では、PEGは、本開示のリポソーム内に、約0.5モルパーセント、約1モルパーセント、約2モルパーセント、約3モルパーセント、約4モルパーセント、約5モルパーセント、約6モルパーセント、約7モルパーセント、約8モルパーセント、約9モルパーセント、約10モルパーセント、約11モルパーセント、約12モルパーセント、約13モルパーセント、約14モルパーセント、約15モルパーセント、約16モルパーセント、約17モルパーセント、約18モルパーセント、約19モルパーセント、または約20モルパーセントの濃度で存在してもよい。一部の実施形態では、PEGは、本開示のリポソーム内に、少なくとも約0.5モルパーセント、少なくとも約1モルパーセント、少なくとも約2モルパーセント、少なくとも約3モルパーセント、少なくとも約4モルパーセント、少なくとも約5モルパーセント、少なくとも約6モルパーセント、少なくとも約7モルパーセント、少なくとも約8モルパーセント、少なくとも約9モルパーセント、少なくとも約10モルパーセント、少なくとも約11モルパーセント、少なくとも約12モルパーセント、少なくとも約13モルパーセント、少なくとも約14モルパーセント、少なくとも約15モルパーセント、少なくとも約16モルパーセント、少なくとも約17モルパーセント、少なくとも約18モルパーセント、少なくとも約19モルパーセント、または少なくとも約20モルパーセント;または0.5モルパーセントから50モルパーセントの間、0.5モルパーセントから40モルパーセントの間、0.5モルパーセントから30モルパーセントの間、または0.5モルパーセントから20モルパーセントの間の濃度で存在してもよい。ある特定の実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)に共役されたリン脂質は、本開示のリポソーム内に、約3モルパーセントの濃度で存在してもよい。ある特定の実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)に共役されたリン脂質は、本開示のリポソーム内に、約5モルパーセントの濃度で存在してもよい。
【0057】
一部の実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)は、本開示のリポソーム内に、約200Daから約40,000Daに及ぶ分子量で存在してもよい。一部の実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)は、本開示のリポソーム内に、約200Daから約10,000Daに及ぶ分子量で存在してもよい。一部の実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)は、本開示のリポソーム内に、約200Da、約300Da、約400Da、約500Da、約600Da、約700Da、約800Da、約900Da、約1,000Da、約1,500Da、約2,000Da、約2,500Da、約3,000Da、約3,500Da、約4,000Da、約4,500Da、約5,000Da、約5,500Da、約6,000Da、約6,500Da、約7,000Da、約7,500Da、約8,000Da、約8,500Da、約9,000Da、約9,500Da、または約10,000Da;または約200Daから約10,000Daの間の分子量で存在してもよい。
【0058】
一部の実施形態では、リポソームは、1つまたは1つより多くのステロールをさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは1つより多くのステロールは、1つまたは1つより多くの中性ステロールを含む。他の実施形態では、1つまたは1つより多くのステロールは、1つまたは1つより多くの荷電ステロールを含む。さらに他の実施形態では、1つまたは1つより多くのステロールは、中性ステロールと荷電ステロールとの組合せを含む。適切なリン脂質には、例えば、コレステロールおよびヘミコハク酸コレステリル(CHEMS)、ジセチルホスフェート、およびSolulan C24が含まれる。一部の実施形態では、1つまたは1つより多くの荷電ステロールがCHEMSを含む。他の実施形態では、リポソームはさらに、本明細書で「Chol」とも呼ばれるコレステロールを含む。1つの変形例では、リポソームはさらに:
【化8】
またはその塩を含む。
【0059】
一部の実施形態では、コレステロールまたはCHEMSなどの本開示のステロールは、本開示のリポソーム内に、最大約5モルパーセント、約10モルパーセント、約15モルパーセント、約20モルパーセント、約30モルパーセント、約40モルパーセント、または約50モルパーセント;または少なくとも5モルパーセント、少なくとも10モルパーセント、少なくとも15モルパーセント、少なくとも20モルパーセント、少なくとも25モルパーセント、少なくとも30モルパーセント、少なくとも35モルパーセント、または少なくとも40モルパーセント;または5モルパーセントから50モルパーセントの間の濃度で存在してもよい。ある特定の実施形態では、コレステロールまたはCHEMSなどの本開示のステロールは、本開示のリポソーム内に、最大15モルパーセントの濃度で存在してもよい。ある特定の実施形態では、コレステロールまたはCHEMSなどの本開示のステロールは、本開示のリポソーム内に、約3モルパーセント、約5モルパーセント、約20モルパーセント、または約30モルパーセントの濃度で存在してもよい。一部の実施形態では、コレステロールまたはCHEMSなどの本開示のステロールは、本開示のリポソーム内に、1:1または2:1のモル比で存在してもよい。
【0060】
一部の実施形態では、本開示のリポソームは、直径約0.02ミクロンから直径約0.5ミクロンに及ぶ平均粒径を有する。ある特定の実施形態では、本開示のリポソームは、直径約0.02ミクロン、直径約0.03ミクロン、直径約0.04ミクロン、直径約0.05ミクロン、直径約0.06ミクロン、直径約0.07ミクロン、直径約0.08ミクロン、直径約0.09ミクロン、直径約0.1ミクロン、直径約0.15ミクロン、直径約0.2ミクロン、直径約0.25ミクロン、直径約0.3ミクロン、直径約0.35ミクロン、直径約0.4ミクロン、直径約0.45ミクロン、または直径約0.5ミクロンの平均粒径を有する。一部の実施形態では、本開示のリポソームは、約0.025ミクロンから約0.25ミクロンの平均粒径を有する。一部の実施形態では、本開示のリポソームは、約0.025ミクロンから約0.05ミクロン、約0.05ミクロンから約0.1ミクロン、約0.1ミクロンから約0.2ミクロン、約0.2ミクロンから約0.3ミクロン、約0.3ミクロンから約0.4ミクロン、約0.4ミクロンから約0.5ミクロン、または約0.04ミクロンから約0.22ミクロンの平均粒径を有する。
【0061】
一態様において、リポソームは:
i) エタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、不飽和脂肪酸尾部が少なくとも1つのC10~28炭素鎖を含む、少なくとも1つのリン脂質;
ii) (a)から(c):
a) 極性頭部基と飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質、
b) 極性頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、極性頭部基が、第4級アンモニウムカチオン、グリセロール基、またはセリン基を含む、少なくとも1つのリン脂質、および
c) 少なくとも1つの酸性コレステロールエステルまたはコレステロール
のうちの1つまたは1つより多く;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたポリエチレングリコール(PEG)
を含む。
【0062】
一部の実施形態では、リポソームのi)における不飽和脂肪酸尾部が、必要に応じて置換されたC
10~28アルケニルおよび必要に応じて置換されたC
10~28アルキニルからなる群から選択される。一部の実施形態では、脂肪酸鎖のそれぞれが非置換C
10~28アルケニルである。一部の実施形態では、アルケニルが直鎖状または分枝状である。一部の実施形態では、脂肪酸鎖のそれぞれが1つまたは1つより多くの二重結合を有する。一部の実施形態では、各二重結合がcis配置を有する。一部の実施形態では、各二重結合がtrans配置を有する。一部の実施形態では、脂肪酸鎖のそれぞれは、アシル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、ニトロ、ハロ、チオール、チオアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される置換基によって置換されたC
10~28アルケニルである。一部の実施形態では、リポソームのi)におけるエタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)またはその塩である。一変形例では、リポソームのi)におけるエタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質は:
【化9】
またはその塩である。
【0063】
一部の実施形態では、i)においてエタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質は、最大約15モルパーセント、約20モルパーセント、約25モルパーセント、約30モルパーセント、約35モルパーセント、約40モルパーセント、約45モルパーセント、約50モルパーセント、約55モルパーセント、約60モルパーセント、約65モルパーセント、約70モルパーセント、約75モルパーセント、約80モルパーセント、約85モルパーセント、または約90モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、i)においてエタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質は、少なくとも約10モルパーセント、少なくとも約20モルパーセント、少なくとも約30モルパーセント、少なくとも約40モルパーセント、少なくとも約50モルパーセント、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、または少なくとも約80モルパーセント;または約10モルパーセントから80モルパーセントの間の量で存在する。一部の実施形態では、i)においてエタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質は、約10~20モルパーセント、約20~30モルパーセント、約30~40モルパーセント、約40~50モルパーセント、約50~60モルパーセント、約60~70モルパーセント、約70~80モルパーセント、約10~30モルパーセント、約30~50モルパーセント、約50~80モルパーセント、約10~50モルパーセント、または約40~80モルパーセントの量で存在する。
【0064】
一部の実施形態では、リポソームのii)a)における極性頭部基は、グリセロール、コリン、ホスフェート、およびセリンからなる群から選択される。一部の実施形態では、リポソームのii)a)における極性頭部基が、コリンである。一部の実施形態では、飽和脂肪酸尾部が、必要に応じて置換されたアルキルである。一部の実施形態では、飽和脂肪酸尾部が非置換C
4~28アルキルである。一部の実施形態では、飽和脂肪酸尾部が、アシル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、ニトロ、ハロ、チオール、チオアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される置換基によって置換されたC
4~28アルキルである。一部の実施形態では、リポソームのii)a)において極性頭部基と飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質は、1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール(DPPG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、または1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、またはこれらの塩である。一変形例では、リポソームのii)a)において極性頭部基と飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質は:
【化10】
またはその塩である。
【0065】
一部の実施形態では、リポソームのii)b)における不飽和脂肪酸尾部は、必要に応じて置換されるアルケニルおよび必要に応じて置換されるアルキニルからなる群から選択される。一部の実施形態では、リポソームのii)b)における不飽和脂肪酸尾部は、非置換C
10~28アルケニルである。一部の実施形態では、アルケニルが直鎖状または分枝状である。一部の実施形態では、リポソームのii)b)における不飽和脂肪酸尾部は、1つまたは1つより多くの二重結合を有する。一部の実施形態では、各二重結合がcis配置を有する。一部の実施形態では、各二重結合がtrans配置を有する。一部の実施形態では、リポソームのii)b)における不飽和脂肪酸尾部は、非置換C
10~28アルケニルである。一部の実施形態では、リポソームのii)b)における不飽和脂肪酸尾部は、アシル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、ニトロ、ハロ、チオール、チオアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される置換基によって置換されたC
10~28アルケニルである。適切なリン脂質には、例えば、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)、および1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、またはその塩が含まれる。一変形例では、リン脂質は:
【化11】
またはその塩である。
【0066】
一部の実施形態では、リポソームのii)c)における少なくとも1つの酸性コレステロールエステルは、ヘミコハク酸コレステリル(CHEMS)である。一変形例では、リポソームのii)c)における少なくとも1つの酸性コレステロールエステルが:
【化12】
またはその塩である。
【0067】
一部の実施形態では、リポソームのii)におけるa)~c)のうちの1つまたは1つより多くは、最大約5モルパーセント、約10モルパーセント、約15モルパーセント、約20モルパーセント、約25モルパーセント、約30モルパーセント、約35モルパーセント、約40モルパーセント、約45モルパーセント、約50モルパーセント、約55モルパーセント、約60モルパーセント、約65モルパーセント、または約70モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、リポソームのii)におけるa)~c)のうちの1つまたは1つより多くは、少なくとも約5モルパーセント、少なくとも約10モルパーセント、少なくとも約15モルパーセント、少なくとも約20モルパーセント、少なくとも約25モルパーセント、少なくとも約30モルパーセント、少なくとも約35モルパーセント、少なくとも約40モルパーセント、少なくとも約45モルパーセント、少なくとも約50モルパーセント、少なくとも約55モルパーセント、または少なくとも約60モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、リポソームのii)におけるa)~c)のうちの1つまたは1つより多くは、約5~10モルパーセント、約10~15モルパーセント、約15~20モルパーセント、約20~25モルパーセント、約25~30モルパーセント、約30~35モルパーセント、約35~40モルパーセント、約40~45モルパーセント、約45~50モルパーセント、約50~55モルパーセント、約55~60モルパーセント、約60~65モルパーセント、約65~70モルパーセント、約5~25モルパーセント、約25~50モルパーセント、または約50~70モルパーセントの量で存在する。
【0068】
一部の実施形態では、PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)、またはホスファチジルイノシトール(PI)である。一部の実施形態では、そのようなリン脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール(DPPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、または1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、またはこれらの塩である。一部の実施形態では、そのようなリン脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)またはその塩である。
【0069】
一変形例では、PEGに共役されたリン脂質は:
【化13】
【化14】
またはその塩である。
【0070】
一部の実施形態では、共役PEGは、約0.5モルパーセントから約20モルパーセントに及ぶ濃度でリポソーム中に存在する。一部の実施形態では、共役PEGは、約0.5モルパーセント、約1モルパーセント、約2モルパーセント、約3モルパーセント、約4モルパーセント、約5モルパーセント、約6モルパーセント、約7モルパーセント、約8モルパーセント、約9モルパーセント、約10モルパーセント、約11モルパーセント、約12モルパーセント、約13モルパーセント、約14モルパーセント、約15モルパーセント、約16モルパーセント、約17モルパーセント、約18モルパーセント、約19モルパーセント、または約20モルパーセント;または約0.5モルパーセントから20モルパーセントの間の濃度でリポソーム中に存在する。ある特定の実施形態では、共役PEGは、約3モルパーセントの濃度でリポソーム中に存在する。ある特定の実施形態では、共役PEGは、約5モルパーセントの濃度でリポソーム中に存在する。
【0071】
一部の実施形態では、DOPEは、約0~80モルパーセント、約10~80モルパーセント、約20~80モルパーセント、または約30~80モルパーセント、約10~70モルパーセント、約20~70モルパーセント、約30~70モルパーセント、約30~60モルパーセント、約40~60モルパーセント、約30~35モルパーセント、約35~40モルパーセント、約40~45モルパーセント、約45~50モルパーセント、約50~55モルパーセント、約55~60モルパーセント、約60~65モルパーセント、約65~70モルパーセント、または約70~75モルパーセントの量でリポソーム組成物中に存在する。一部の変形例では、DOPEは、約0~30モルパーセント、約5~30モルパーセント、約10~30モルパーセント、約15~30モルパーセント、約20~30モルパーセント、または約25~30モルパーセントの量で存在する。他の変形例では、DOPEは、約0~5モルパーセント、約0~10モルパーセント、約0~15モルパーセント、約0~20モルパーセント、または約0~25モルパーセントの量で存在する。
【0072】
一部の実施形態では、リポソーム組成物は、N-C12-DOPEを含む。一部の実施形態では、N-C12-DOPEは、約0~80モルパーセント、約60~80モルパーセント、約65~80モルパーセント、約70~80モルパーセント、または約75~80モルパーセントの量で存在する。他の実施形態では、N-C12-DOPEは、約60~65モルパーセント、約65~70モルパーセント、約70~75モルパーセント、または約75~80モルパーセントの量で存在する。
【0073】
一部の実施形態では、DOPCは、約0~75モルパーセント、約10~75モルパーセント、約35~75モルパーセント、約35~70モルパーセント、約35~65モルパーセント、約35~60モルパーセント、約35~55モルパーセント、または約35~50モルパーセントの量で存在する。他の実施形態では、DOPCは、約10~15モルパーセント、約15~20モルパーセント、約20~25モルパーセント、約25~30モルパーセント、約30~35モルパーセント、約35~40モルパーセント、約40~45モルパーセント、約45~50モルパーセント、約50~55モルパーセント、約55~60モルパーセント、または約60~65モルパーセントの量で存在する。
【0074】
一部の実施形態では、DSPE-PEGは、約0~20モルパーセント、約0~10モルパーセント、約0~9モルパーセント、約0~8モルパーセント、約0~7モルパーセント、約0~6モルパーセント、約0~5モルパーセント、または約0~4モルパーセントの量で存在する。他の実施形態では、DSPE-PEGは、約0.1~10モルパーセント、約0.1~6モルパーセント、または約0.1~4モルパーセントの量で存在する。
【0075】
一部の実施形態では、リポソーム組成物はさらにステロールを含む。一部の実施形態では、ステロールはコレステロールである。他の実施形態では、ステロールはCHEMSである。ある特定の実施形態では、ステロールは、約0~50モルパーセント、約0~45モルパーセント、約0~40モルパーセント、約30~40モルパーセント、約0~25モルパーセント、約0~20モルパーセント、約0~15モルパーセント、約0~10モルパーセント、約0~7モルパーセント、約0~6モルパーセント、または約0~5モルパーセントの量で存在する。他の実施形態では、ステロールは、約5~10モルパーセント、約10~15モルパーセント、約15~20モルパーセント、約20~25モルパーセント、または約25~30モルパーセントの量で存在する。さらに他の実施形態では、ステロールは約5~20モルパーセントの量で存在する。
【0076】
一部の実施形態では、リポソーム組成物は、DOPE、DOPC、およびDSPE-PEGを含む。ある特定の実施形態では、DSPE-PEGは、DSPE-PEG350-2000、DSPE-PEG350-5000、DSPE-PEG350-10000、またはDSPE-PEG350-40000;またはDSPE-PEG1000、DSPE-PEG2000、DSPE-PEG5000、またはDSPE-PEG10000である。他の実施形態では、リポソーム組成物はさらに、N-C12-DOPEを含む。さらに他の実施形態では、リポソーム組成物はさらに、コレステロールを含む。さらに他の実施形態では、リポソーム組成物はさらに、CHEMSを含む。
【0077】
一部の実施形態では、リポソーム組成物は、N-C12-DOPE、DOPC、およびDSPE-PEGを含む。ある特定の実施形態では、DSPE-PEGがDSPE-PEG350-2000、DSPE-PEG350-5000、DSPE-PEG350-10000、またはDSPE-PEG350-40000;またはDSPE-PEG1000、DSPE-PEG2000、DSPE-PEG5000、またはDSPE-PEG10000である。他の実施形態では、リポソーム組成物はさらに、DOPEを含む。さらに他の実施形態では、リポソーム組成物はさらにコレステロールを含む。
【0078】
本明細書に記載されるリポソーム組成物のいずれかに列挙される成分のそれぞれは、記述される量の任意の組合せで存在してもよいことを理解されたい。
【0079】
一態様において、リポソームは:
i) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)またはその塩;
ii) (a)グリセロール、コリン、ホスフェート、およびセリンからなる群から選択される極性頭部基と、C10~28脂肪族鎖を含む脂肪酸尾部を有する1つまたは1つより多くのリン脂質、または
(b)酸性コレステロールエステル、または(a)および(b)の混合物
から選択される1つまたは1つより多くの安定化剤;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたPEG
を含む。
【0080】
一変形例では、リポソームは:
i)
【化15】
またはその塩;
ii) (a)グリセロール、コリン、ホスフェート、およびセリンからなる群から選択される極性頭部基と、C
10~28脂肪族鎖を含む脂肪酸尾部とを有する1つまたは1つより多くのリン脂質、または
(b)酸性コレステロールエステル、または(a)および(b)の混合物
から選択される1つまたは1つより多くの安定化剤;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたPEG
を含む。
【0081】
一部の実施形態では、i)中のDOPEは、最大約15モルパーセント、約20モルパーセント、約25モルパーセント、約30モルパーセント、約35モルパーセント、約40モルパーセント、約45モルパーセント、約50モルパーセント、約55モルパーセント、約60モルパーセント、約65モルパーセント、約70モルパーセント、約75モルパーセント、約80モルパーセント、約85モルパーセント、または約90モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、i)中のDOPEは、少なくとも約10モルパーセント、少なくとも約20モルパーセント、少なくとも約30モルパーセント、少なくとも約40モルパーセント、少なくとも約50モルパーセント、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、または少なくとも約80モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、i)中のDOPEは、約10~20モルパーセント、約20~30モルパーセント、約30~40モルパーセント、約40~50モルパーセント、約50~60モルパーセント、約60~70モルパーセント、約70~80モルパーセント、約10~30モルパーセント、約30~50モルパーセント、約50~80モルパーセント、約10~50モルパーセント、または約40~80モルパーセントの量で存在する。
【0082】
一部の実施形態では、リポソームのii)a)中のC10~28脂肪族鎖は、不飽和である。一部の実施形態では、リポソームのii)a)中のC10~28脂肪族鎖は、飽和している。一部の実施形態では、リポソームのii)a)中のC10~28脂肪族鎖は、必要に応じて置換されたC10~28アルキル、必要に応じて置換されたC10~28アルケニル、および必要に応じて置換されたC10~28アルキニルからなる群から選択される。一部の実施形態では、C10~28アルキルは直鎖状または分枝状である。一部の実施形態では、リポソームのii)a)中のC10~28脂肪族鎖は、非置換C10~28アルキルである。一部の実施形態では、リポソームのii)a)中のC10~28脂肪族鎖は、アシル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、ニトロ、ハロ、チオール、チオアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される置換基によって置換された、C10~28アルキルである。一部の実施形態では、リポソームのii)a)中のC10~28脂肪族鎖は、非置換C10~28アルケニルである。一部の実施形態では、アルケニルは、直鎖状または分枝状である。一部の実施形態では、リポソームのii)a)中のC10~28脂肪族鎖は、1つまたは1つより多くの二重結合を有する。一部の実施形態では、各二重結合は、cis配置を有する。一部の実施形態では、各二重結合は、trans配置を有する。一部の実施形態では、リポソームのii)a)中のC10~28脂肪族鎖は、アシル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、ニトロ、ハロ、チオール、チオアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される置換基によって置換されたC10~28アルケニルである。適切なリン脂質には、例えば、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール(DPPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、または前述の組合せが含まれる。
【0083】
一部の実施形態では、C10~28脂肪族鎖がC10~26脂肪族鎖である。他の実施形態では、C10~28脂肪族鎖は、C10~24脂肪族鎖である。さらに他の実施形態では、C10~28脂肪族鎖はC10~22脂肪族鎖である。他の実施形態では、C10~28脂肪族鎖は、C10~20脂肪族鎖である。さらに他の実施形態では、C10~28脂肪族鎖は、C10~18脂肪族鎖である。一部の実施形態では、C10~28脂肪族鎖はC10~16脂肪族鎖である。他の実施形態では、C10~28脂肪族鎖はC10~14脂肪族鎖である。さらに他の実施形態では、C10~28脂肪族鎖がC10~12脂肪族鎖である。一部の実施形態では、C10~28脂肪族鎖がC14~18脂肪族鎖である。
【0084】
一部の実施形態では、リポソームのii)b)における酸性コレステロールエステルが、ヘミコハク酸コレステリル(CHEMS)である。一変形例では、リポソームのii)b)における酸性コレステロールエステルが:
【化16】
またはその塩である。
【0085】
一部の実施形態では、リポソームのii)における1つまたは1つより多くの安定化剤が、最大約5モルパーセント、約10モルパーセント、約15モルパーセント、約20モルパーセント、約25モルパーセント、約30モルパーセント、約35モルパーセント、約40モルパーセント、約45モルパーセント、約50モルパーセント、約55モルパーセント、約60モルパーセント、約65モルパーセント、または約70モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、リポソームのii)における1つまたは1つより多くの安定化剤は、少なくとも約5モルパーセント、少なくとも約10モルパーセント、少なくとも約15モルパーセント、少なくとも約20モルパーセント、少なくとも約25モルパーセント、少なくとも約30モルパーセント、少なくとも約35モルパーセント、少なくとも約40モルパーセント、少なくとも約45モルパーセント、少なくとも約50モルパーセント、少なくとも約55モルパーセント、または少なくとも約60モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、リポソームのii)における1つまたは1つより多くの安定化剤は、約5~10モルパーセント、約10~15モルパーセント、約15~20モルパーセント、約20~25モルパーセント、約25~30モルパーセント、約30~35モルパーセント、約35~40モルパーセント、約40~45モルパーセント、約45~50モルパーセント、約50~55モルパーセント、約55~60モルパーセント、約60~65モルパーセント、約65~70モルパーセント、約5~25モルパーセント、約25~50モルパーセント、または約50~70モルパーセントの量で存在する。
【0086】
一部の実施形態では、PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)、およびホスファチジルイノシトール(PI)からなる群から選択される。一部の実施形態では、そのようなリン脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール(DPPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、または1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、またはその塩である。一部の実施形態では、そのようなリン脂質は1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、またはその塩である。
【0087】
一変形例では、PEGに共役されたリン脂質は:
【化17】
【化18】
またはその塩である。
【0088】
一部の実施形態では、共役PEGは、約0.5モルパーセントから約20モルパーセントに及ぶ濃度でリポソーム中に存在する。一部の実施形態では、共役PEGは、約0.5モルパーセント、約1モルパーセント、約2モルパーセント、約3モルパーセント、約4モルパーセント、約5モルパーセント、約6モルパーセント、約7モルパーセント、約8モルパーセント、約9モルパーセント、約10モルパーセント、約11モルパーセント、約12モルパーセント、約13モルパーセント、約14モルパーセント、約15モルパーセント、約16モルパーセント、約17モルパーセント、約18モルパーセント、約19モルパーセント、または約20モルパーセントの濃度でリポソーム中に存在する。ある特定の実施形態では、共役PEGは、約3モルパーセントの濃度でリポソーム中に存在する。ある特定の実施形態では、共役PEGは、約5モルパーセントの濃度でリポソーム中に存在する。
【0089】
一部の実施形態では、リポソームはさらに、コレステロールを含む。一部の実施形態では、コレステロールは、最大約10モルパーセント、約15モルパーセント、約20モルパーセント、約25モルパーセント、約30モルパーセント、約35モルパーセント、または約40モルパーセントの量で存在する。
【0090】
別の態様では、リポソームは:
i) 式(PL-1):
【化19】
(式中:
T
1aおよびT
1bの少なくとも1つは不飽和炭素鎖であり;
R
1はアミノアルキルである)のリン脂質、またはその塩;
ii) 式(PL-2)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3)の少なくとも1つのリン脂質、もしくは式(CE)の少なくとも1つのコレステロールエステル:
【化20】
(式中:
T
2aおよびT
2bのそれぞれが不飽和炭素鎖であり;
R
2は、第4級アンモニウムで置換されたアルキル、グリセロール、または-COOHおよび-NH
2で置換されたアルキルである)またはその塩;
【化21】
(式中:
T
3aおよびT
3bのそれぞれは、飽和炭素鎖であり;
G
3は、H、または少なくとも1個の-OHで置換されたアルキルである)またはその塩;および
【化22】
(式中:
Z
1は、-COOHで置換されたアルキルである)またはその塩、
または前述の任意の組合せ;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたポリエチレングリコール(PEG)
を含む。
【0091】
さらに別の態様では、リポソームは:
i) 式(PL-1):
【化23】
(式中:
T
1aおよびT
1bの少なくとも1つは不飽和炭素鎖であり;
R
1はアミノアルキルである)のリン脂質、またはその塩;
ii) 式(PL-2)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3)の少なくとも1つのリン脂質、もしくは式(CE)の少なくとも1つのコレステロールエステル:
【化24】
(式中:
T
2aおよびT
2bのそれぞれは不飽和炭素鎖であり;
R
2は、第4級アンモニウムで置換されたアルキル、グリセロール、または-COOHおよび-NH
2で置換されたアルキルである)またはその塩;
【化25】
(式中:
T
3aおよびT
3bのそれぞれは、炭素鎖であり;
G
3は、H、または少なくとも1個の-OHで置換されたアルキルである)またはその塩;および
【化26】
(式中:
Z
1は、-COOHで置換されたアルキルである)またはその塩、
または前述の任意の組合せ;および
iii)少なくとも1つのリン脂質に共役されたポリエチレングリコール(PEG)
を含む。
【0092】
「アミノアルキル」は、アミノ基で置換されたアルキル鎖を指す。したがって、式(PL-1)において、アルキル鎖はホスフェート部分の酸素原子に接続される。一部の実施形態では、式(PL-1)のR
1がアミノ置換C
1~6アルキルである。一部の実施形態では、アミノ置換C
1~6アルキルが直鎖状または分枝状である。一部の実施形態では、式(PL-1)のR
1がC
1~6アルキル-NH
2である。一部の実施形態では、式(PL-1)のR
1がアミノエチル、-CH
2CH
2NH
2である。一部の実施形態では、T
1aおよびT
1bのそれぞれが独立して、C
10~28アルケニルまたはC
10~28アルキニルである。一部の実施形態では、C
10~28アルケニルが直鎖状または分枝状である。一部の実施形態では、C
10~28アルケニルが、1つまたは1つより多くの二重結合を有する。一部の実施形態では、各二重結合がcis配置を有する。一部の実施形態では、各二重結合がtrans配置を有する。一部の実施形態では、C
10~28アルケニルは、アシル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、ニトロ、ハロ、チオール、チオアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される置換基によって置換される。一部の実施形態では、式(PL-1)のリン脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)またはその塩である。一変形例では、式(PL-1)のリン脂質は、
【化27】
またはその塩である。
【0093】
一部の実施形態では、式(PL-1)のリン脂質は、最大約15モルパーセント、約20モルパーセント、約25モルパーセント、約30モルパーセント、約35モルパーセント、約40モルパーセント、約45モルパーセント、約50モルパーセント、約55モルパーセント、約60モルパーセント、約65モルパーセント、約70モルパーセント、約75モルパーセント、約80モルパーセント、約85モルパーセント、または約90モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、式(PL-1)のリン脂質は、少なくとも約10モルパーセント、少なくとも約20モルパーセント、少なくとも約30モルパーセント、少なくとも約40モルパーセント、少なくとも約50モルパーセント、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、または少なくとも約80モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、式(PL-1)のリン脂質は、約10~20モルパーセント、約20~30モルパーセント、約30~40モルパーセント、約40~50モルパーセント、約50~60モルパーセント、約60~70モルパーセント、約70~80モルパーセント、約10~30モルパーセント、約30~50モルパーセント、約50~80モルパーセント、約10~50モルパーセント、または約40~80モルパーセントの量で存在する。
【0094】
一部の実施形態では、式(PL-2)のR
2は、第4級アンモニウムで置換されたアルキルまたはグリセロールである。一部の実施形態では、式(PL-2)のR
2は、第4級アンモニウムで置換されたC
1~6アルキルまたはグリセロールである。一部の実施形態では、第4級アンモニウムは
【化28】
である。他の実施形態では、第4級アンモニウムは1個または複数のC
1~6アルキル基を含む。一実施形態では、第4級アンモニウムは
【化29】
である。一部の実施形態では、式(PL-2)のR
2はコリンである。一部の実施形態では、式(PL-2)のR
2は、-COOHおよび-NH
2で置換されたアルキルである。一部の実施形態では、式(PL-2)のR
2は、-COOHおよびNH
2で置換されたC
1~6アルキルである。一部の実施形態では、式(PL-2)のR
2がセリンである。一部の実施形態では、式(PL-2)のR
2がL-セリンである。一部の実施形態では、T
2aおよびT
2bのそれぞれが独立して、C
10~28アルケニルまたはC
10~28アルキニルである。一部の実施形態では、C
10~28アルケニルが直鎖状または分枝状である。一部の実施形態では、C
10~28アルケニルは1つまたは1つより多くの二重結合を有する。一部の実施形態では、各二重結合がcis配置を有する。一部の実施形態では、各二重結合がtrans配置を有する。一部の実施形態では、C
10~28アルケニルが非置換である。一部の実施形態では、C
10~28アルケニルは、アシル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、ニトロ、ハロ、チオール、チオアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される置換基によって置換される。一部の実施形態では、式(PL-2)のリン脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)または1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、またはその塩である。
【0095】
一部の実施形態では、式(PL-3)または式(PL-3A)のG3が、Hである。一部の実施形態では、式(PL-3)または式(PL-3A)のG3が、少なくとも1個の-OHで置換されたアルキルである。一部の実施形態では、式(PL-3)または式(PL-3A)のG3が、2個の-OHで置換されたアルキルである。一部の実施形態では、式(PL-3)または式(PL-3A)のG3が、グリセロールである。式(PL-3)または式(PL-3A)の一部の実施形態では、T3aおよびT3bのそれぞれが独立して、飽和炭素鎖である。一部の実施形態では、飽和炭素鎖は、必要に応じて置換されたC10~28アルキルである。一部の実施形態では、C10~28アルキルが直鎖状または分枝状である。一部の実施形態ではC10~28アルキルが非置換である。一部の実施形態では、T3aおよびT3bのそれぞれが独立して、アシル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、ニトロ、ハロ、チオール、チオアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される置換基によって置換されたC10~28アルキルである。一部の実施形態では、式(PL-3)または式(PL-3A)のリン脂質は、1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール(DPPG)または1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)である。式(PL-3A)の一部の実施形態では、式(PL-3A)におけるT3aおよびT3bのそれぞれは独立して、不飽和炭素鎖である。式(PL-3A)の一部の実施形態では、式(PL-3A)におけるT3aおよびT3bのそれぞれが独立して、C10~28アルケニルまたはC10~28アルキニルである。一部の実施形態では、C10~28アルケニルが直鎖状または分枝状である。一部の実施形態では、C10~28アルケニルは、1つまたは1つより多くの二重結合を有する。一部の実施形態では、各二重結合がcis配置を有する。一部の実施形態では、各二重結合がtrans配置を有する。一部の実施形態では、C10~28アルケニルが非置換である。一部の実施形態では、C10~28アルケニルは、アシル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、ニトロ、ハロ、チオール、チオアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される置換基によって置換される。他の実施形態では、式(PL-3A)のリン脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)またはその塩である。
【0096】
一部の実施形態では、式(CE)のZ1は、-COOHで置換されたC1~6アルキルである。一部の実施形態では、式(CE)は、ヘミコハク酸コレステリルまたはその塩である。
【0097】
一部の実施形態では、式(PL-2)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3A)の少なくとも1つのリン脂質、もしくは式(CE)の少なくとも1つのコレステロールエステル、または前述の任意の組合せは、最大約5モルパーセント、約10モルパーセント、約15モルパーセント、約20モルパーセント、約25モルパーセント、約30モルパーセント、約35モルパーセント、約40モルパーセント、約45モルパーセント、約50モルパーセント、約55モルパーセント、約60モルパーセント、約65モルパーセント、または約70モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、式(PL-2)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3A)の少なくとも1つのリン脂質、もしくは式(CE)の少なくとも1つのコレステロールエステル、または前述の任意の組合せは、少なくとも約5モルパーセント、少なくとも約10モルパーセント、少なくとも約15モルパーセント、少なくとも約20モルパーセント、少なくとも約25モルパーセント、少なくとも約30モルパーセント、少なくとも約35モルパーセント、少なくとも約40モルパーセント、少なくとも約45モルパーセント、少なくとも約50モルパーセント、少なくとも約55モルパーセント、または少なくとも約60モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、式(PL-2)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3A)の少なくとも1つのリン脂質、もしくは式(CE)の少なくとも1つのコレステロールエステル、または前述の任意の組合せは、約5~10モルパーセント、約10~15モルパーセント、約15~20モルパーセント、約20~25モルパーセント、約25~30モルパーセント、約30~35モルパーセント、約35~40モルパーセント、約40~45モルパーセント、約45~50モルパーセント、約50~55モルパーセント、約55~60モルパーセント、約60~65モルパーセント、約65~70モルパーセント、約5~25モルパーセント、約25~50モルパーセント、または約50~70モルパーセントの量で存在する。
【0098】
一部の実施形態では、PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)、およびホスファチジルイノシトール(PI)からなる群から選択される。一部の実施形態では、そのようなリン脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール(DPPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、または1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、またはこれらの塩である。一部の実施形態では、PEGに共役されたそのようなリン脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、またはその塩である。
【0099】
一変形例では、PEGに共役されたリン脂質は:
【化30】
【化31】
またはその塩である。
【0100】
一部の実施形態では、共役PEGは、約0.5モルパーセントから約20モルパーセントに及ぶ濃度でリポソーム内に存在する。一部の実施形態では、共役PEGは、約0.5モルパーセント、約1モルパーセント、約2モルパーセント、約3モルパーセント、約4モルパーセント、約5モルパーセント、約6モルパーセント、約7モルパーセント、約8モルパーセント、約9モルパーセント、約10モルパーセント、約11モルパーセント、約12モルパーセント、約13モルパーセント、約14モルパーセント、約15モルパーセント、約16モルパーセント、約17モルパーセント、約18モルパーセント、約19モルパーセント、または約20モルパーセントの濃度でリポソーム内に存在する。ある特定の実施形態では、共役PEGは、約3モルパーセントの濃度でリポソーム内に存在する。ある特定の実施形態では、共役PEGは、約5モルパーセントの濃度でリポソーム内に存在する。
【0101】
一部の実施形態では、リポソームはさらに、コレステロールを含む。一部の実施形態では、コレステロールは、最大約10モルパーセント、約15モルパーセント、約20モルパーセント、約25モルパーセント、約30モルパーセント、約35モルパーセント、または約40モルパーセントの量で存在する。
【0102】
別の態様では、リポソームは:
i) N-ドデカノイル-1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(N-C12-DOPE)またはその塩;および
ii) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)またはその塩
を含む。
【0103】
別の態様では、リポソームは:
i)
【化32】
またはその塩;および
ii)
【化33】
またはその塩
を含む。
【0104】
一部の実施形態では、N-C12-DOPEは、最大約40モルパーセント、約45モルパーセント、約50モルパーセント、約55モルパーセント、約60モルパーセント、約65モルパーセント、約70モルパーセント、約75モルパーセント、約80モルパーセント、約85モルパーセント、または約90モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、N-C12-DOPEは、少なくとも約30モルパーセント、少なくとも約40モルパーセント、少なくとも約50モルパーセント、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、または少なくとも約80モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、N-C12-DOPEは、約30~40モルパーセント、約40~50モルパーセント、約50~60モルパーセント、約60~70モルパーセント、約70~80モルパーセント、約30~50モルパーセント、または約50~80モルパーセント、または約40~80モルパーセントの量で存在する。
【0105】
一部の実施形態では、DOPCは、最大約5モルパーセント、約10モルパーセント、約15モルパーセント、約20モルパーセント、約25モルパーセント、約30モルパーセント、約35モルパーセント、約40モルパーセント、約45モルパーセント、約50モルパーセント、約55モルパーセント、または約60モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、DOPCは、少なくとも約5モルパーセント、少なくとも約10モルパーセント、少なくとも約15モルパーセント、少なくとも約20モルパーセント、少なくとも約25モルパーセント、少なくとも約30モルパーセント、少なくとも約35モルパーセント、少なくとも約40モルパーセント、少なくとも約45モルパーセント、または少なくとも約50モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、DOPCは、約5~10モルパーセント、約10~15モルパーセント、約15~20モルパーセント、約20~25モルパーセント、約25~30モルパーセント、約30~35モルパーセント、約35~40モルパーセント、約40~45モルパーセント、約45~50モルパーセント、約50~55モルパーセント、約55~60モルパーセント、約5~30モルパーセント、または約30~50モルパーセントの量で存在する。
【0106】
一部の実施形態では、リポソームはさらに、少なくとも1つのリン脂質、コレステロール、CHEMS、または前述の組合せに共役されたPEGを含む。一部の実施形態では、PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)、またはホスファチジルイノシトール(PI)である。一部の実施形態では、そのようなリン脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール(DPPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、または1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、またはそれらの塩である。一部の実施形態では、PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、またはその塩である。
【0107】
一部の実施形態では、少なくとも1つのリン脂質、コレステロール、CHEMS、または前述の組合せは、約0.5モルパーセントから約20モルパーセントに及ぶ濃度でリポソーム中に存在する。一部の実施形態では、少なくとも1つのリン脂質、コレステロール、CHEMS、または前述の組合せは、約0.5モルパーセント、約1モルパーセント、約2モルパーセント、約3モルパーセント、約4モルパーセント、約5モルパーセント、約6モルパーセント、約7モルパーセント、約8モルパーセント、約9モルパーセント、約10モルパーセント、約11モルパーセント、約12モルパーセント、約13モルパーセント、約14モルパーセント、約15モルパーセント、約16モルパーセント、約17モルパーセント、約18モルパーセント、約19モルパーセント、または約20モルパーセントの濃度でリポソーム中に存在する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのリン脂質、コレステロール、CHEMS、または前述の組合せは、約3モルパーセントの濃度でリポソーム中に存在する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのリン脂質、コレステロール、CHEMS、または前述の組合せは、約5モルパーセントの濃度でリポソーム中に存在する。
【0108】
別の態様では、リポソームは、式(PL-4):
【化34】
(式中:
T
1aおよびT
1bの少なくとも1つは不飽和炭素鎖であり;R
4は、アミド部分を含む脂肪族鎖である)のリン脂質、またはその塩を含む。
【0109】
一部の実施形態では、式(PL-4)のR
4は、アミド部分を含むアルキルである。一部の実施形態では、式(PL-4)のR
4は、アミド部分を含むC
10~28アルキルである。一部の実施形態では、式(PL-4)のR
4は、-C
1~12アルキル-NH-C(O)-C
1~12アルキルである。ある特定の実施形態では、式(PL-4)のR
4は、-CH
2CH
2-NH-C(O)-C
11H
23である。一部の実施形態では、T
4aおよびT
4bのそれぞれは独立して、C
10~28アルケニルまたはC
10~28アルキニルである。一部の実施形態では、C
10~28アルケニルは、直鎖状または分枝状である。一部の実施形態では、C
10~28アルケニルは、1つまたは1つより多くの二重結合を有する。一部の実施形態では、各二重結合がcis配置を有する。一部の実施形態では、各二重結合がtrans配置を有する。一部の実施形態では、C
10~28アルケニルは、アシル、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、ニトロ、ハロ、チオール、チオアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される置換基によって置換される。一部の実施形態では、式(PL-4)のリン脂質は、N-ドデカノイル-1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(N-C12-DOPE)またはその塩である。一変形例では、式(PL-4)のリン脂質は:
【化35】
またはその塩である。
【0110】
一部の実施形態では、式(PL-4)のリン脂質は、最大約40モルパーセント、約45モルパーセント、約50モルパーセント、約55モルパーセント、約60モルパーセント、約65モルパーセント、約70モルパーセント、約75モルパーセント、約80モルパーセント、約85モルパーセント、または約90モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、式(PL-4)のリン脂質は、少なくとも約30モルパーセント、少なくとも約40モルパーセント、少なくとも約50モルパーセント、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、または少なくとも約80モルパーセントの量で存在する。一部の実施形態では、式(PL-4)のリン脂質は、約30~40モルパーセント、約40~50モルパーセント、約50~60モルパーセント、約60~70モルパーセント、約70~80モルパーセント、約30~50モルパーセント、または約50~80モルパーセント、または約40~80モルパーセントの量で存在する。
【0111】
一部の実施形態では、リポソームはさらに、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、少なくとも1つのリン脂質、コレステロール、CHEMS、または前述の組合せに共役されたPEGを含む。
【0112】
一部の態様では、式(A):
【化36】
(式中、R
Xは-SO
2であり、-SO
2のS原子は、必要に応じて置換されたローダミンで置換され、各R
aは独立して、炭素鎖である)の少なくとも1つのリン脂質、またはその塩を含む、リポソームが提供される。他の実施形態では、各R
aは独立して不飽和炭素鎖である。一部の実施形態では、各R
aは独立して飽和炭素鎖である。一部の実施形態では、各R
bはC
10~28アルキルである。一変形例では、リポソームはRH-DHPEを含む。一変形例では、リポソームは、N-(リサミンローダミンBスルホニル)-1,2-ジヘキサデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、またはその塩を含む。一変形例では、リポソームは、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(リサミンローダミンBスルホニル)、またはその塩を含む。一変形例では、リポソームは:
【化37】
またはその塩を含む。
【0113】
前述の態様の一部の実施形態において、式(A)の少なくとも1つのリン脂質を含むリポソームは、脂質および/または本明細書に記載されるその他の化合物の1つまたは1つより多くと組み合わされてもよい。例えば、ある特定の変形例では、リポソームはさらに、少なくとも1つのホスファチジルコリンまたはホスファチジルエタノールアミンを含む。他の変形例では、リポソームはさらに、少なくとも1つのリン脂質を含む少なくとも1つの脂質に共役されたポリエチレングリコールを含む。ある特定の変形例では、リポソームはさらに、コレステロールを含む。一変形例では、リポソーム組成物は:DSPC/DSPE-PEG/RH-DHPE、またはDSPC/DSPE-PEG/RH-DHPE/Chol、またはDSPC/Chol/DSPE-PEG/DOTAP/RH-DHPEを含む。
【0114】
一部の態様では、リポソームは、式(B):
【化38】
(式中:各R
bは独立して炭素鎖であり、R
cは、必要に応じて置換されたアミノ基または第4級アンモニウムで置換された炭素鎖である)の少なくとも1つの化合物またはその塩を含む。一部の実施形態では、各R
bは飽和炭素鎖である。他の実施形態では、各R
bは不飽和炭素鎖である。一部の実施形態では、各R
bはC
10~28アルケニルである。ある特定の実施形態では、R
cは-C
1~6アルキル-N(CH
3)
2である。他の実施形態では、R
cは、
【化39】
で置換された-C
1~6アルキルである。一部の実施形態では、式(B)の少なくとも1つの化合物は、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP)またはその塩である。一部の実施形態では、式(B)の少なくとも1つの化合物は、
【化40】
またはその塩である。ある特定の実施形態では、式(B)の少なくとも1つの化合物は、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)またはその塩である。一部の実施形態では、式(B)の少なくとも1つの化合物は:
【化41】
またはその塩である。
【0115】
前述の態様の一部の実施形態において、式(B)の少なくとも1つの化合物を含むリポソームは、本明細書に記載される脂質およびその他の化合物の1つまたは1つより多くと組み合わされてもよい。例えば、ある特定の変形例では、リポソームはさらに、少なくとも1つのホスファチジルコリンまたはホスファチジルエタノールアミンを含む。他の変形例では、リポソームはさらに、少なくとも1つのリン脂質を含む少なくとも1つの脂質に共役されたポリエチレングリコールを含む。ある特定の変形例では、リポソームはさらにコレステロールを含む。一変形例では、リポソーム組成物はDSPC/Chol/DSPE-PEG/DOTAP/RH-DHPEを含む。
【0116】
一部の態様では、リポソームは、式(C):
【化42】
(式中、R
dは、必要に応じて置換されたアミノ基で置換された炭素鎖であり、各R
eは独立して、炭素鎖である)の少なくとも1つの化合物またはその塩を含む。一部の実施形態では、R
dは、置換アミノ基で置換されたC
1~6アルキルである。ある特定の実施形態では、R
dは、-C
1~6アルキル-N(アルキル)
2基である。ある特定の実施形態では、R
dは、-C
1~6アルキル-N(CH
3)
2基である。ある特定の実施形態では、R
dは、-CH
2CH
2N(CH
3)
2である。他の実施形態では、R
dは-CH
2CH
2CH
2N(CH
3)
2である。一部の実施形態では、各R
eは、飽和炭素鎖である。他の実施形態では、各R
eは不飽和炭素鎖である。一部の実施形態では、各R
eがC
10~28アルケニルである。一部の実施形態では、少なくとも式(C)の化合物は、Dlin-KC2-DMAである。一部の実施形態では、式(C)の少なくとも1つの化合物は、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソランまたはその塩である。ある特定の実施形態では、少なくとも式(C)の化合物は、
【化43】
またはその塩である。他の実施形態では、式(C)の少なくとも化合物は、Dlin-KC3-DMAである。一部の実施形態では、式(C)の少なくとも1つの化合物は、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノプロピル-[1,3]-ジオキソランまたはその塩である。ある特定の変形例では、少なくとも式(C)の化合物は、
【化44】
またはその塩である。
【0117】
前述の態様の一部の実施形態では、式(C)の少なくとも1つの化合物を含むリポソームは、本明細書に記載される脂質およびその他の化合物の1つまたは1つより多くと組み合わされてもよい。例えば、ある特定の変形例では、リポソームはさらに、少なくとも1つのホルファチジルコリンまたはホスファチジルエタノールアミンを含む。他の変形例では、リポソームはさらに、少なくとも1つのリン脂質を含む少なくとも1つの脂質に共役されたポリエチレングリコールを含む。ある特定の変形例では、リポソームはさらに、コレステロールを含む。一変形例では、リポソーム組成物は、DSPC/DMG-PEG/Dlin-KC2-DMA/Cholを含む。
【0118】
一部の態様では、リポソームは、式(D):
【化45】
(式中、各R
fは独立して、必要に応じて置換された炭素鎖であり、または同じN原子に結合された2個のR
fは一緒になって、必要に応じて置換された環を形成する)の少なくとも1つの化合物またはその塩を含む。一部の実施形態では、各R
fは独立して、1つまたは1つより多くの-O-C(O)-C
10~28アルキルで必要に応じて置換されたC
1~6アルキルである。他の実施形態では、同じN原子に結合された2個のR
fは一緒になって、6員環を形成し、この6員環は、C
1~6アルキルで置換され、C
1~6アルキルは、さらに必要に応じて置換される。一実施形態では、式(D)の少なくとも1つの化合物は、ビス{2-{N-メチル-N-(テトラデカノイルプロピル)アミノ]エチル}ジスルフィドまたはその塩に相当するssPalmmである。一実施形態では、式(D)の少なくとも1つの化合物は、
【化46】
またはその塩である。他の実施形態では、式(D)の少なくとも1つの化合物は、ビス{2-[4-(α-D-トコフェロールヘミスクシネートエチル)ピペリジル]エチル}ジスルフィドまたはその塩に相当するssPalmeである。一実施形態では、式(D)の少なくとも1つの化合物は、
【化47】
またはその塩である。
【0119】
前述の態様の一部の実施形態では、式(D)の少なくとも1つの化合物を含むリポソームは、本明細書に記載される脂質およびその他の化合物の1つまたは1つより多くと組み合わされてもよい。例えば、ある特定の変形例では、リポソームはさらに、少なくとも1つのホスファチジルコリンまたはホスファチジルエタノールアミンを含む。他の変形例では、リポソームはさらに、少なくとも1つのリン脂質を含む少なくとも1つの脂質に共役されたポリエチレングリコールを含む。ある特定の変形例では、リポソームはさらに、コレステロールを含む。一変形例では、リポソーム組成物は、ssPalmm/SOPC/PEG(2k)-DSG/Chol;またはssPalme/SOPC/PEG(2k)-DSG/Cholを含む。
【0120】
別の態様では、本明細書において、式(PL-2A):
【化48】
(式中:
T
2aおよびT
2bのそれぞれは炭素鎖であり;
R
2は、第4級アンモニウムで置換されたアルキルである)のリン脂質、またはその塩を含む、リポソームを含む組成物が提供される。一部の実施形態では、T
2aおよびT
2bのそれぞれは独立して、飽和または不飽和炭素鎖である。ある特定の変形例では、第4級アンモニウムが-N
+(アルキル)
3である。前述の一変形例では、アルキルが独立して、C1~6アルキル、またはC1~4アルキル、またはメチル、エチル、もしくはプロピルである。一変形例では、式(PL-2A)のリン脂質は、1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(SOPC)またはその塩である。一変形例では、式(PL-2A)のリン脂質は、
【化49】
またはその塩である。
【0121】
前述の態様の一部の実施形態では、式(PL-2A)の少なくとも1つのリン脂質を含むリポソームは、本明細書に記載される脂質およびその他の化合物の1つまたは1つより多くと組み合わされてもよい。例えば、ある特定の変形例では、リポソームはさらに、少なくとも1つのホスファチジルコリンまたはホスファチジルエタノールアミンを含む。他の変形例では、リポソームはさらに、少なくとも1つのリン脂質を含む、少なくとも1つの脂質に共役されたポリエチレングリコールを含む。ある特定の変形例では、リポソームはさらに、コレステロールを含む。一変形例では、リポソーム組成物は、ssPalmm/SOPC/PEG(2k)-DSG/Chol;またはssPalme/SOPC/PEG(2k)-DSG/Cholを含む。
【0122】
一態様において、リポソームは、エタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、不飽和脂肪酸尾部が少なくとも1つのC
10~28炭素鎖を含むリン脂質を含む。一部の実施形態では、エタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、不飽和脂肪酸尾部が少なくとも1つのC
10~28炭素鎖を含むリン脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンである。一部の実施形態では、リポソームはさらに、少なくとも1つのPEG化リン脂質を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのPEG化リン脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンである。他の実施形態では、少なくとも1つのPEG化脂質は、1,2-ジミリストイル-グリセロール(DMG)である。一部の実施形態では、リポソームはさらに、上記にて定義されたように、式(A):
【化50】
の少なくとも1つの化合物またはその塩を含む。一部の実施形態では、式(A)の少なくとも1つの化合物は、
【化51】
またはその塩である。一部の実施形態では、リポソームはさらに、少なくとも1つのステロールを含む。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのステロールは、コレステロールである。ある特定の実施形態では、リポソームはさらに、上記にて定義されたような、式(B):
【化52】
の少なくとも1つの化合物またはその塩を含む。一部の実施形態では、式(B)の少なくとも1つの化合物は、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP)またはその塩である。ある特定の実施形態では、式(B)の少なくとも1つの化合物は、
【化53】
またはその塩である。他の実施形態では、リポソーム組成物はさらに、上記にて定義されたように、式(C):
【化54】
の少なくとも1つの化合物またはその塩を含む。一部の実施形態では、式(C)の少なくとも1つの化合物は、Dlin-KC2-DMAである。他の実施形態では、式(C)の少なくとも1つの化合物が、Dlin-KC3-DMAである。ある特定の実施形態では、式(C)の少なくとも1つの化合物は、
【化55】
またはその塩である。他の実施形態では、式(C)の少なくとも1つの化合物は、
【化56】
またはその塩である。
【0123】
一態様において、本明細書では、上記にて定義されるように、式(D):
【化57】
の少なくとも1つの化合物またはその塩を含むリポソーム組成物が提供される。一部の実施形態では、式(D)の少なくとも1つの化合物は、ビス{2-{N-メチル-N-(テトラデカノイルプロピル)アミノ]エチル}ジスルフィドまたはその塩である。一実施形態では、式(D)の少なくとも1つの化合物は、
【化58】
またはその塩である。他の実施形態では、式(D)の少なくとも1つの化合物は、ビス{2-[4-(α-D-トコフェロールヘミスクシネートエチル)ピペリジル]エチル}ジスルフィドまたはその塩に相当するssPalmeである。一実施形態において、式(D)の少なくとも1つの化合物は、
【化59】
またはその塩である。一部の実施形態では、リポソームはさらに、エタノールアミン頭部基および不飽和脂肪酸尾部を有する少なくとも1つのリン脂質であって、不飽和脂肪酸尾部が少なくとも1つのC
10~28炭素鎖を含むリン脂質を含む。一部の実施形態では、エタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、不飽和脂肪酸尾部が少なくとも1つのC
10~28炭素鎖を含むリン脂質は、1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(SOPC)である。一部の実施形態では、リポソームはさらに、少なくとも1つのPEG化リン脂質を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのPEG化リン脂質は、1,2-ジアステアロイルグリセロール(DSG)である。一部の実施形態では、少なくとも1つのPEG化リン脂質は、PEG(2k)-DSGである。一部の実施形態では、リポソームはさらに、少なくとも1つのステロールを含む。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのステロールがコレステロールである。
【0124】
一態様において、本明細書では、グリセロール、コリン、ホスフェート、およびセリンからなる群から選択される極性頭部基と、C10~28脂肪族鎖を含む脂肪酸尾部とを有する1つまたは1つより多くのリン脂質を含む、リポソーム組成物が提供される。一部の実施形態では、グリセロール、コリン、ホスフェート、およびセリンからなる群から選択される極性頭部基と、C10~28脂肪族鎖を含む脂肪酸尾部とを有する1つまたは1つより多くのリン脂質が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)である。一部の実施形態では、リポソーム組成物はさらに、エタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、不飽和脂肪酸尾部が少なくとも1つのC10~28炭素鎖を含む、リン脂質を含む。一部の実施形態では、エタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、不飽和脂肪酸尾部が少なくとも1つのC10~28炭素鎖を含むリン脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)である。一部の実施形態では、リポソームはさらに、少なくとも1つのPEG化リン脂質を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのPEG化リン脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンである。一部の実施形態では、リポソームはさらに、少なくとも1つのステロールを含む。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのステロールがコレステロールである。
【0125】
一態様において:
DSPC/DSPE-PEG/RH-DHPE、
DSPC/DSPE-PEG/RH-DHPE/Chol、
DSPC/DODAP/DSPE-PEG/Chol、
DSPC/DMG-PEG/Dlin-KC2-DMA/Chol、
ssPalmm/SOPC/PEG(2k)-DSG/Chol、
ssPalme/SOPC/PEG(2k)-DSG/Chol、
DSPA/DOPC/DSPE-PEG/Chol、
N-C12-DOPE/DOPC、
N-C12-DOPE/DOPC/DSPE-PEG、
N-C12-DOPE/DOPC/DSPE-PEG/Chol、
N-C12-DOPE/DPPE/DOPC/DSPE-PEG、
N-C12-DOPE/DOPE/DOPC/DSPE-PEG、
DOPE/DOPG/DSPE-PEG、
DOPE/DSPA/DSPE-PEG、
DOPE/DC-Chol/DSPE-PEG、
DOPE/DOPC/DSPE-PEG、
DOPE/DPPG/DOPC/DSPE-PEG、
DOPE/DOPC/DSPE-PEG/Chol、
DOPE/DOPS/DSPE-PEG、
DOPE/CHEMS、
DOPE/CHEMS/DSPE-PEG、
DOPE/CHEMS/DSPE-PEG/Chol、
DOPE/CHEMS/DOPC/DSPE-PEG、
もしくはその塩、または前述の任意の組合せ
を含むリポソーム組成物が提供される。
【0126】
前述の一部の変形例では、PEGは、約200Daから約40,000Daに及ぶ分子量でリポソーム中に存在していてもよい。一部の実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)は、約200Daから約10,000Daに及ぶ分子量で、本開示のリポソーム中に存在していてもよい。一部の実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)は、約200Da、約300Da、約400Da、約500Da、約600Da、約700Da、約800Da、約900Da、約1,000Da、約1,500Da、約2,000Da、約2,500Da、約3,000Da、約3,500Da、約4,000Da、約4,500Da、約5,000Da、約5,500Da、約6,000Da、約6,500Da、約7,000Da、約7,500Da、約8,000Da、約8,500Da、約9,000Da、約9,500Da、または約10,000Da;または約200Daから約10,000Daの間の分子量で、本開示のリポソーム中に存在していてもよい。
【0127】
前述の一部の変形例では、本明細書に記載されるリン脂質を含む脂質は、塩形態で、リポソーム組成物中に存在していてもよい。例えば、一変形例では、リン脂質がDOPEまたはその塩である。
炭水化物
【0128】
本開示の他の態様は、本開示のリポソーム内に被包された炭水化物を含有する組成物に関する。当技術分野で公知の任意の適切な炭水化物が使用されてもよい。使用されてもよい適切な炭水化物には、例えば、単糖、リン酸化単糖、二糖、リン酸化二糖、オリゴ糖、リン酸化オリゴ糖、多糖、リン酸化多糖、ヌクレオチド糖、内在性炭水化物、およびリン酸化内在性炭水化物が含まれる。一部の実施形態では、炭水化物が内在性炭水化物である。一部の変形例では、炭水化物がリン酸化炭水化物である。
【0129】
一部の実施形態では、本開示のリン酸化炭水化物は、内在性炭水化物である。一部の実施形態では、内在性炭水化物は、対象(例えば、ヒトを含む)における天然産物として見出される炭水化物である。しかしながら、内在性炭水化物は、(i)対象(例えば、ヒトを含む)により自然に生成され、そのような対象の生細胞から抽出されるか;または(ii)合成により作製されてもよいことが、理解されるべきである。一部の実施形態では、内在性炭水化物は、対象(例えば、ヒトを含む)によってin vivoで生成される。他の実施形態では、内在性炭水化物は、培養細胞系など、対象(例えば、ヒトを含む)から誘導された細胞によって自然に生成される。したがって、そのような内在性炭水化物の供給源は、例えば、合成供給源(例えば、化学合成)または天然供給源(例えば、内在性炭水化物を自然に生成する対象または細胞からの、あるいは、内在性炭水化物を生成するように遺伝子組換えされている細菌細胞などの組換え細胞からの、抽出、単離、または精製)を含み得る。内在性炭水化物は、例えば、タンパク質および脂質グリコシル化に関わる炭水化物を含んでいてもよい。
【0130】
適切な内在性炭水化物には、例えば、単糖、リン酸化単糖、二糖、リン酸化二糖、オリゴ糖、リン酸化オリゴ糖、多糖、リン酸化多糖、マンノース、リン酸化マンノース、マンノフラノース、リン酸化マンノフラノース、マンノピラノース、リン酸化マンノピラノース、マンノース-1-ホスフェート、マンノース-6-ホスフェート、ヌクレオチド糖、ウリジンジホスフェート、グアニンジホスフェート、シトシンモノホスフェート、フコース、GDP-フコース、シアル酸、CMP-シアル酸、N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)、およびCMP-Neu5Acが含まれる。一変形例では、炭水化物は、「M1P」とも本明細書で呼ばれるマンノース-1-ホスフェートである。
【0131】
一部の実施形態では、炭水化物は、リン酸化内在性炭水化物である。一部の実施形態では、リン酸化内在性炭水化物は、例えば、リン酸化単糖、リン酸化二糖、リン酸化オリゴ糖、リン酸化多糖、リン酸化マンノース、リン酸化マンノフラノース、リン酸化マンノピラノース、もしくはヌクレオチド糖、またはこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、リン酸化内在性炭水化物はリン酸化単糖である。一部の実施形態では、リン酸化内在性炭水化物はマンノース-1-ホスフェートである。一部の実施形態では、リン酸化内在性炭水化物はマンノース-6-ホスフェートである。
【0132】
前述の実施形態の一部の変形例では、本明細書に列挙された炭水化物のいずれかは、塩形態でリポソーム組成物中に存在していてもよい。例えば、一変形例では、リン酸化炭水化物がマンノース-1-ホスフェートまたはその塩である。
炭水化物を被包するリポソーム組成物
【0133】
本明細書に記載される任意のリポソームは、リポソーム組成物中の炭水化物を被包するのに使用することができる。本明細書に記載される任意の炭水化物は、リポソーム組成物内のリポソームに被包させることができる。
【0134】
一態様において、本明細書では:
リポソームであって、
i) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)またはその塩;
ii) (a)グリセロール、コリン、ホスフェート、およびセリンからなる群から選択される極性頭部基と、C10~28脂肪族鎖を含む脂肪酸尾部とを有する1つまたは1つより多くのリン脂質、または
(b)酸性コレステロールエステル、または(a)および(b)の混合物
から選択される1つまたは1つより多くの安定化剤;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたPEG
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物と
を含む組成物が提供される。
【0135】
別の態様では、本明細書において、
リポソームであって、
i) 式(PL-1):
【化60】
(式中:
T
1aおよびT
1bの少なくとも1つは不飽和炭素鎖であり;
R
1はアミノアルキルである)のリン脂質、またはその塩;
ii) 式(PL-2)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3)の少なくとも1つのリン脂質、もしくは式(CE)の少なくとも1つのコレステロールエステル:
【化61】
(式中:
T
2aおよびT
2bのそれぞれは不飽和炭素鎖であり;
R
2は、第4級アンモニウムで置換されたアルキル、グリセロール、または-COOHおよび-NH
2で置換されたアルキルである)またはその塩;
【化62】
(式中:
T
3aおよびT
3bのそれぞれは飽和炭素鎖であり;
G
3は、H、または少なくとも1個の-OHで置換されたアルキルである)またはその塩
;および
【化63】
【0136】
(式中:
Z1は、-COOHで置換されたアルキルである)またはその塩、
または前述の任意の組合せ、および
iii)少なくとも1つのリン脂質に共役されたポリエチレングリコール(PEG)
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つのリン酸化内在性炭水化物と
を含む組成物が提供される。
【0137】
別の態様では、本明細書において:
リポソームであって、
i) 式(PL-1):
【化64】
(式中:
T
1aおよびT
1bの少なくとも1つは不飽和炭素鎖であり;
R
1はアミノアルキルである)のリン脂質、またはその塩;
ii) 式(PL-2)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3)の少なくとも1つのリン脂質、または式(CE)の少なくとも1つのコレステロールエステル:
【化65】
(式中:
T
2aおよびT
2bのそれぞれは不飽和炭素鎖であり;
R
2は、第4級アンモニウムで置換されたアルキル、グリセロール、または-COOHおよび-NH
2で置換されたアルキルである)またはその塩
【化66】
(式中:
T
3aおよびT
3bのそれぞれは炭素鎖であり;
G
3は、H、または少なくとも1つの-OHで置換されたアルキルである)またはその塩;および
【化67】
【0138】
(式中:
Z1は、-COOHで置換されたアルキルである)またはその塩、
または前述の任意の組合せ;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたポリエチレングリコール(PEG)
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つのリン酸化内在性炭水化物と
を含む組成物が提供される。
【0139】
別の態様では、本明細書において:
リポソームであって、
i) N-ドデカノイル-1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(N-C12-DOPE)またはその塩;
ii) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)またはその塩
を含むリポソームと;
リポソームに被包された少なくとも1つのリン酸化内在性炭水化物と
を含む組成物が提供される。
【0140】
別の態様では、本明細書において:
リポソームであって、
i)
【化68】
またはその塩;
ii)
【化69】
またはその塩
を含むリポソームと;
リポソームに被包された少なくとも1つのリン酸化内在性炭水化物と
を含む組成物が提供される。
【0141】
別の態様では、本明細書では、リポソームであって、
式(PL-4):
【化70】
(式中:
T
1aおよびT
1bの少なくとも1つは不飽和炭素鎖であり;R
4は、アミド部分を含む脂肪族鎖である)のリン脂質、またはその塩
を含むリポソームと;
リポソームに被包された少なくとも1つのリン酸化内在性炭水化物と
を含む組成物が提供される。
【0142】
本明細書に記載される組成物の少なくとも1つのリン酸化内在性炭水化物は、約0.1~75mM、約0.1~0.5mM、約0.1~40mM、約0.1~30mM、約0.1~20mM、約0.1~10mM、約0.5~1.0mM、約1.0~1.5mM、約1.5~2.0mM、約2.0~2.5mM、約2.5~3.0mM、約3.0~3.5mM、約3.5~4.0mM、約4.0~4.5mM、約4.5~5.0mM、約5.0~7.5mM、約7.5~10mM、約10~15mM、約15~20mM、約20~30mM、約30~40mM、約40~50mM、約50~75mM、約0.1~2.5mM、約2.5~5.0mM、約5.0~10mM、約10~25mM、約25~50mM、約50~75mM、約0.1~10mM、約10~30mM、または約30~75mMの量で存在する。
医薬組成物
【0143】
本開示のリポソームと、リポソームに被包された本開示のリン酸化炭水化物とを含有する本開示の組成物は、組成物と適切な担体(例えば、薬学的に許容される担体または希釈剤を含む)とを組み合わせることによって、治療で使用するための(例えば、投与によって)または医薬の製造における(例えば、それを必要とする対象および/またはそれを必要とする対象の細胞内部に本開示の炭水化物を送達するための、および/またはそれを必要とする対象において先天性グリコシル化異常症(CDG)などの疾患もしくは障害を処置しもしくは予防するための)、様々な製剤に組み込むことができ、例えば、液体中の調製物に製剤化され、エアロゾル化され、半固体にされ、または粉末形態にされてもよい。
【0144】
一部の実施形態では、担体は、用いられる投薬量および濃度でそれに曝露される細胞または対象に無毒である、薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤を含む。しばしば、生理学的に許容される担体は、水性pH緩衝溶液である。適切な、生理学的に許容される担体には、例えば、リン酸、クエン酸、およびその他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリシンなどのアミノ酸;単糖、二糖、およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含むその他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;および/またはTWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。生理学的に許容される担体がナトリウムなどの塩形成対イオンである、ある特定の実施形態では、ナトリウムイオンは、例えば塩素を含むその他のイオンと共に溶液中に存在する。ある特定の実施形態では、生理学的に許容される担体は、生理食塩液を含む。一部の実施形態では、生理食塩液は、0~200mMの量で存在する。他の実施形態では、生理食塩液は、0~175mMの量で存在する。さらに他の実施形態では、生理食塩液は、0~150mMの量で存在する。
【0145】
他の実施形態では、薬学的に許容される担体は、グリセロール、キシリトール、スクロース、トレハロース、ポリソルベート80、アラニン、プロリン、タウリン、ベタイン、オクトピン、ヒスチジン、クエン酸カルシウム、硫酸アンモニウム、尿素、またはセチルメチル-アンモニウムである。
【0146】
適切な製剤には、例えば、溶液、注射液、吸入剤、微小球、エアロゾル、ゲル剤、軟膏、クリーム、ローション剤、散剤、乾燥ベシクル散剤、錠剤、およびカプセル剤が含まれる。医薬組成物は、所望の製剤に応じて、動物またはヒトに投与するための医薬組成物を製剤化するのに一般に使用されるビヒクルである、希釈剤の薬学的に許容される無毒性の担体を含むことができる。希釈剤は、組合せの生物活性に影響を及ぼさないように選択される。そのような希釈剤には、例えば、蒸留水、緩衝水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、リンガー液、デキストロース溶液、およびハンク液が含まれる。本開示の医薬組成物または製剤はさらに、例えばその他の担体、または無毒性の非治療用、非免疫原性安定化剤、および賦形剤を含むことができる。組成物は、pH調節および緩衝剤、毒性調節剤、湿潤剤、および洗浄剤など、生理条件に近似させる追加の物質を含むこともできる。本開示の医薬組成物は、例えば抗酸化剤などの様々な安定化剤のいずれかを含むこともできる。
【0147】
経口投与の場合、活性成分は、カプセル剤、錠剤、および散剤などの固体剤形で、またはエリキシル剤、シロップ剤、および懸濁剤などの液体剤形で投与することができる。活性成分は、不活性成分および粉末化担体、例えばグルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、デンプン、セルロース、またはセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、サッカリンナトリウム、タルカム、炭酸マグネシウムと一緒に、ゼラチンカプセルで被包することができる。所望の色、味、安定性、緩衝能力、分散またはその他の公知の所望の特徴が得られるように添加されてもよい追加の不活性成分の例は、赤色酸化鉄、シリカゲル、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、および食用白インクである。類似の希釈剤を、圧縮された錠剤を作製するのに使用することができる。錠剤およびカプセル剤は両方とも、何時間かにわたり医薬を連続放出するための、持続放出生成物として製造することができる。圧縮錠剤は、任意の好ましくない味をマスクするようにおよび錠剤を雰囲気から保護するように糖でコーティングするか、もしくはフィルムでコーティングすることができ、または胃腸管内で選択的に崩壊するよう腸溶コーティングすることができる。経口投与向けの液体剤形は、患者に益々受け入れられるようにするために、着色剤および着香剤を含有することができる。
【0148】
非経口投与に適した製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および意図されるレシピエントの血液に対して製剤を等張性にする溶質を含有することができる水性および非水性の等張性滅菌注射液と、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および保存剤を含むことができる水性および非水性滅菌懸濁液とが含まれる。
【0149】
医薬組成物を製剤化するのに使用される成分は、好ましくは高純度のものであり、潜在的に有害な汚染物質を実質的に含まない(例えば、少なくともナショナルフード(NF)グレード、全体的に少なくとも分析グレード、およびより典型的には少なくとも医薬品グレード)。さらに、in vivo使用が意図される組成物は、通常、滅菌される。所与の化合物を使用前に合成しなければならない限り、得られた生成物は、典型的には任意の潜在的に有毒な薬剤、特に、合成または精製プロセス中に存在し得るいかなるエンドトキシンも、実質的に含まない。非経口投与用の組成物も、滅菌され、実質的に等張性であり、GMP条件下で作製される。
医薬品の投薬量
【0150】
本開示のリポソームおよびリポソームにより被包された本開示の炭水化物を含有する組成物を含有する本開示の医薬組成物は、経口投与、ボーラスとしてもしくは連続輸液によるある期間にわたる静脈内投与、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、頭蓋内、髄腔内、皮下、関節内、滑液嚢内、脊髄内、経口、局所、または吸入経路によるなどの公知の方法に従って、使用されてもよい(例えば、ヒト個体など、本開示の炭水化物での処置を必要とする対象に、投与されてもよい)。
【0151】
本開示の医薬組成物の投薬量および所望の濃度は、考えられる特定の使用に応じて様々であってもよい。適切な投薬量または投薬経路の決定は、十分に当業者の範囲内にある。動物実験は、ヒト治療のための有効用量の決定に関し、信頼性ある指針を提供する。有効用量の種間スケーリングは、Mordenti, J. and Chappell, W. "The Use of Interspecies Scaling in Toxicokinetics," Toxicokinetics and New Drug Development, Yacobi et al., Eds, Pergamon Press, New York 1989, pp.42-46に記載される原理に従い行うことができる。
【0152】
本開示のリポソームおよびリポソームに被包された本開示の炭水化物を含有する、本開示の組成物のいずれかのin vivo投与の場合、通常の投薬用量は、1日当たり、対象の体重に対して10ng/kgから100mg/kgまで様々であってもよい。
【0153】
本開示のリポソームおよびリポソームに被包された本開示の炭水化物を含有する本開示の組成物の投与は、投与の目的が治療的であっても予防的であっても、例えば、レシピエントの身体状態に応じて、および熟練の実践者に公知のその他の要因に応じて、連続的または断続的にすることができる。
【0154】
異なる製剤が異なる処置および異なる障害に有効になること、および特定の臓器または組織を処置することが意図される投与が、別の臓器または組織への場合とは異なる手法での送達が必要になり得ることは、本開示の範囲内にある。さらに、投薬量は、1つもしくは複数の別々の投与によって、または連続輸液によって、投与されてもよい。数日間またはそれよりも長い期間にわたって繰り返される投与の場合、状態に応じて、疾患症状の所望の抑制が生じるまで処置が持続される。しかしながら、その他の投薬レジメンが使用できてもよい。この治療の進行は、従来の技法およびアッセイによって容易にモニターされる。
【0155】
このように、一部の変形例では、本明細書で提供される組成物は、慢性的にまたは断続的に、それを必要とする対象(例えば、ヒトを含む)に投与されてもよい。ある特定の変形例では、慢性投与は、急性形態とは対照的に連続的な医薬(複数可)の投与であり、長期間にわたって初期治療効果(活性)が維持されるようになされる。ある特定の変形例では、断続的な投与は、中断なしで連続的に行われない、むしろ本質的に周期的な、処置である。
製造方法
【0156】
ある特定の態様では、本明細書において、本明細書に記載されるリポソーム組成物を生成する方法が提供される。ある特定の実施形態では、方法は:a)脂質を溶媒に溶解して混合物を生成すること;b)混合物を乾燥して薄膜を形成すること;c)薄膜を、リン酸化炭水化物を含む水性溶液で水和すること;d)ステップc)の溶液を加熱して薄膜を再懸濁し、それによって懸濁液を生成すること;およびe)懸濁液を、少なくとも1回の凍結-融解サイクルに供して、リポソーム組成物を生成することを含む。一部の変形例では、方法はさらに:リポソーム組成物のサイズを、超音波処理、押出し、もしくはマイクロフルイダイゼーション、またはこれらの任意の組合せにより調節することを含む。
【0157】
前述の一部の変形例では、方法はさらに、リポソーム組成物のpHを調節することを含む。他の変形例では、方法はさらに、被包されていないリン酸化炭水化物を、透析、固相抽出、またはタンジェンシャルフロー濾過によって除去することを含む。
【0158】
一実施形態では、リポソームの脂質成分をクロロホルムに溶解し、得られた混合物を加熱して脂質を完全に溶解する。次いで混合物を乾燥して、例えばフラスコまたは管上の薄膜コーティングにする。次いで薄膜を、マンノース-1-ホスフェートを含有する溶液で水和し、得られた懸濁液を加熱し、ボルテックスし、超音波処理して、脂質の完全な懸濁液を生成する。次いでリポソーム懸濁液を、凍結-融解サイクルに供し、その後、例えば:超音波処理、押出、またはマイクロフルイダイゼーションを使用したサイジングを行う。一部の変形例では、溶液のpHを調節する、および/または被包されていないマンノース-1-ホスフェートを、透析、固相抽出、またはタンジェンシャルフロー濾過などの技法を使用して製剤から除去する。
治療的使用
【0159】
本開示は、細胞の内部に炭水化物を送達することが可能な、本開示のリポソームおよびリポソームに被包された本開示のリン酸化炭水化物を含有する組成物であって、細胞の内部に炭水化物を送達することが可能な組成物を提供する。これらの組成物は、本開示のリン酸化炭水化物を、そのような炭水化物を必要とする対象に送達するのに有用である。
【0160】
一部の実施形態では、対象は哺乳動物、例えばヒト、ネコまたはイヌ対象などの家庭にいる動物、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、およびブタ対象)、野生動物(野生にいても動物園にいても)、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、およびネコなどの研究用動物、ならびに鳥類である。一実施形態では、対象がヒトである。
【0161】
一部の変形例では、対象にリスクがあってもよい。例えば、一変形例では、対象は、リスクのあるヒトである。先天性グリコシル化異常症などの特定の疾患、障害、または状態を発症するリスクのある対象は、検出可能な疾患または疾患の症状を有していてもそうでなくてもよく、本明細書に記載される処置方法の前に検出可能な疾患または疾患の症状を示してもそうでなくてもよい。ある特定の変形例では、「リスクのある」個体は、当技術分野で公知の特定の疾患、障害、または状態の発症と相関する測定可能なパラメーターであるリスク因子を有する個体である。これらのリスク因子のうちの1つまたは1つより多くを有する対象は、これらのリスク因子のうちの1つまたは1つより多くがない対象よりも、先天性グリコシル化異常症などの特定の疾患、障害、または状態を発症するより高い可能性を有する。
【0162】
一部の実施形態では、先天性グリコシル化異常症(CDG)は、様々な組織タンパク質および/または脂質のグリコシル化が不足している、または欠陥のある、代謝のエラーをもたらす遺伝的障害の群である。先天性グリコシル化異常症は、CDG症候群としても公知である可能性がある。CDG症候群はしばしば、深刻な、時には致命的な、罹患した幼児の神経系、脳、筋肉、および腸などのいくつかの異なる臓器系の機能不全を引き起こし得る。CDG症候群の症状は、幼児期に始まる深刻な発育遅延および筋緊張低下から、正常な発育での低血糖症およびタンパク質喪失性腸症に及ぶ可能性がある。発育遅延は、CDG診断における一般的な初期徴候とすることができる。CDG症候群の最も一般的なサブタイプの1つは、CDG-Ia(PMM2-CDGとしても公知である)であり、遺伝的欠陥が、マンノース-6-ホスフェートからマンノース-1-ホスフェートへの変換の原因となる酵素であるホスホマンノムターゼ2の損失をもたらす。
【0163】
CDG症候群は、I型(CDG-I)およびII型(CDG-II)として分類され得る。そのような分類は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼの動作に対して、代謝経路における生化学的欠陥の性質および場所に依存し得る。CDGサブタイプをスクリーニングするための方法は、例えば等電点電気泳動またはESI-MSによる、トランスフェリングリコシル化状態の分析を含み得る。CDG I型には、例えば、Ia(PMM2-CDG)、Ib(MPI-CDG)、Ic(ALG6-CDG)、Id(ALG3-CDG)、Ie(DPM1-CDG)、If(MPDU1-CDG)、Ig(ALG12-CDG)、Ih(ALG8-CDG)、Ii(ALG2-CDG)、Ij(DPAGT1-CDG)、Ik(ALG1-CDG)、1L(ALG9-CDG)、Im(DOLK-CDG)、In(RFT1-CDG)、Io(DPM3-CDG)、Ip(ALG11-CDG)、Iq(SRD5A3-CDG)、Ir(DDOST-CDG)、DPM2-CDG、TUSC3-CDG、MAGT1-CDG、DHDDS-CDG、およびI/IIxが含まれる。CDG II型には、例えば、IIa(MGAT2-CDG)、IIb(GCS1-CDG)、IIc(SLC335C1-CDG)、IId(B4GALT1-CDG)、IIe(COG7-CDG)、IIf(SLC35A1-CDG)、IIg(COG1-CDG)、IIh(COG8-CDG)、IIi(COG5-CDG)、IIj(COG4-CDG)、IIL(COG6-CDG)、ATP6V0A2-CDG、MAN1B1-CDG、およびST3GAL3-CDGが含まれる。
【0164】
本開示のリポソームおよびリポソームにより被包された本開示の炭水化物を含有する本開示の組成物で処置され得る先天性グリコシル化異常症(CDG)には、例えば、Ia(PMM2-CDG)、Ib(MPI-CDG)、Ic(ALG6-CDG)、Id(ALG3-CDG)、Ie(DPM1-CDG)、If(MPDU1-CDG)、Ig(ALG12-CDG)、Ih(ALG8-CDG)、Ii(ALG2-CDG)、Ij(DPAGT1-CDG)、Ik(ALG1-CDG)、1L(ALG9-CDG)、Im(DOLK-CDG)、In(RFT1-CDG)、Io(DPM3-CDG)、Ip(ALG11-CDG)、Iq(SRD5A3-CDG)、Ir(DDOST-CDG)、DPM2-CDG、TUSC3-CDG、MAGT1-CDG、DHDDS-CDG、I/IIx、IIa(MGAT2-CDG)、IIb(GCS1-CDG)、IIc(SLC335C1-CDG)、IId(B4GALT1-CDG)、IIe(COG7-CDG)、IIf(SLC35A1-CDG)、IIg(COG1-CDG)、IIh(COG8-CDG)、IIi(COG5-CDG)、IIj(COG4-CDG)、IIL(COG6-CDG)、ATP6V0A2-CDG、MAN1B1-CDG、およびST3GAL3-CDGが含まれる。
【0165】
一部の実施形態では、「処置」または「処置する」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るための手法を含む。有益なまたは所望の臨床結果は、下記:a)疾患または状態を阻害すること(例えば、疾患もしくは状態から得られる1つもしくは複数の症状の減少、および/または疾患もしくは状態の程度の縮小);b)疾患または状態に関連した1つまたは1つより多くの臨床症状の発症を遅くしまたは停止させること(例えば、疾患もしくは状態の安定化、疾患もしくは状態の悪化もしくは進行の予防もしくは遅延、および/または疾患もしくは状態の拡がりの予防もしくは遅延);および/またはc)疾患の緩和、即ち、臨床症状の後退を引き起こすこと(例えば、疾患状態の改善、疾患もしくは状態の部分的なもしくは全体的な寛解の提供、別の医薬の効果の強化、疾患の進行の遅延、クオリティオブライフの増大、および/または生存の長期化)のうちの1つまたは1つより多くを含んでいてもよい。
【0166】
一部の実施形態では、「予防」または「予防する」は、疾患または状態の臨床症状を発生させない、疾患または状態の任意の処置を含む。化合物は、一部の実施形態では、疾患もしくは状態のリスクのあるまたは疾患もしくは状態の家族歴のある対象(ヒトを含む)に投与されてもよい。
【0167】
一部の変形例では、「有効量」は、少なくとも所望の治療または予防結果を実現するのに必要な投薬量および期間にわたって、有効な量である。有効量は、1回または複数回の投与で提供することができる。
【0168】
一部の変形例では、「治療有効量」は、先天性グリコシル化異常症などの特定の疾患、障害、または状態の測定可能な改善を有効にするのに必要な、少なくとも最小濃度である。本明細書での治療有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別、および体重などの因子、ならびに本開示の脂質組成物が対象において所望の応答を引き出す能力に応じて変化してもよい。治療有効量は、本開示の脂質組成物の任意の有毒なまたは有害作用を、治療上有益な作用が上回る量でもある。
【0169】
一態様では、本明細書において、それを必要とする対象にリン酸化炭水化物を送達するための方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載される組成物のいずれかを対象に投与することを含む。
【0170】
別の態様では、本明細書において、それを必要とする対象の細胞内部にリン酸化炭水化物を送達するための方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載される組成物のいずれかを対象に投与することを含む。一部の実施形態では、投与された組成物の少なくとも一部は、細胞形質膜を横断して炭水化物を細胞内部に送達する。
【0171】
別の態様では、本明細書において、それを必要とする対象における先天性グリコシル化異常症(CDG)を処置するための方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載される組成物のいずれかを対象に投与することを含む。一部の実施形態では、先天性グリコシル化異常症(CDG)は、CDG-Ia障害である。一部の実施形態では、組成物の投与は、対象への組成物の投与がない状態でのヒトにおける高次脂質結合オリゴ糖の細胞生成と比較して、ヒトにおける高次脂質結合オリゴ糖の細胞生成において0.05倍から少なくとも3倍の増大を誘発させる。
製造品およびキット
【0172】
本開示は、本開示のリポソームおよびリポソームにより被包された本開示の炭水化物を含有する本開示の組成物を含有する、製造品および/またはキットも提供する。本開示の製造品および/またはキットは、本開示の精製された組成物を含む1つまたは1つより多くの容器を含んでいてもよい。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、シリンジ、およびIV溶液バッグを含めてもよい。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。一部の実施形態では、製造品および/またはキットはさらに、本開示の方法のいずれかにより使用される取扱説明書を含む。一部の実施形態では、これらの取扱説明書は、本開示の方法のいずれかに従い、本開示のリポソームおよびリポソームにより被包された本開示の炭水化物を含有する組成物を、それを必要とする対象に炭水化物を送達するための、それを必要とする対象の細胞内部に炭水化物を送達するための、またはそれを必要とする対象における先天性グリコシル化異常症(CDG)を処置するための、投与の説明を含む。一部の実施形態では、取扱説明書は、例えば対象において、組織試料において、または細胞において、先天性グリコシル化異常症(CDG)をどのように検出するかについての説明を含む。製造品および/またはキットはさらに、対象が疾患および病期を有するか否かを特定することに基づき、処置に適した対象を選択することについての説明を含んでいてもよい。
【0173】
取扱説明書は一般に、意図される処置に関する投薬量、投与計画、および投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、多回用量パッケージ)、またはサブ単位用量であってもよい。本開示の製造品および/またはキットで供給される取扱説明書は、典型的には、ラベルまたは添付文書(例えば、製造品および/またはキットに含まれた用紙)に書き留められた取扱説明書であるが、機械可読性の取扱説明書(例えば、磁気または光記憶ディスク上に保持された取扱説明書)も許容可能である。
【0174】
ラベルまたは添付文書は、組成物が、炭水化物の送達および/または例えば先天性グリコシル化異常症(CDG)の処置に使用されることを示す。取扱説明書は、本明細書に記載される方法のいずれかを実施するために提供されてもよい。
【0175】
本開示の製造品および/またはキットは、適切なパッケージ内にあってよい。適切なパッケージには、例えばバイアル、ボトル、ジャー、および柔軟なパッケージ(例えば、密封されたMylarまたはプラスチックバッグ)が含まれる。吸入器、鼻内投与デバイス(例えば、アトマイザー)、またはミニポンプのような輸液デバイスなど、特定のデバイスと組み合わせて使用されるパッケージも企図される。製造品および/またはキットは、滅菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針により穿孔可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。容器は、滅菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針により穿孔可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、先天性グリコシル化異常症(CDG)を処置することおよび/またはその1つまたは1つより多くの症状を改善することが可能な炭水化物である。容器はさらに、第2の医薬品として活性な薬剤を含んでいてもよい。
【0176】
製造品および/またはキットは、緩衝剤および説明的情報など、追加の構成要素を必要に応じて提供してもよい。通常、製造品および/またはキットは、容器、および容器の表面のまたは容器に関連付けられたラベルまたは添付文書を含む。
列挙される実施形態
【0177】
下記の列挙される実施形態は、本発明の一部の態様の代表例である。
1. リポソームであって、
i) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);
ii) (a) グリセロール、コリン、ホスフェート、およびセリンからなる群から選択される極性頭部基と、C
10~28脂肪族鎖を含む脂肪酸尾部とを有する1つまたは1つより多くのリン脂質、および
(b) 酸性コレステロールエステル、
または(a)および(b)の混合物
からなる群から選択される1つまたは1つより多くの安定化剤;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたPEG
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物と
を含む組成物。
2. リポソームがコレステロールをさらに含む、実施形態1の組成物。
3. コレステロールが、最大25mol%の量で存在する、実施形態2の組成物。
4. 少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物が、リン酸化単糖、リン酸化二糖、リン酸化オリゴ糖、リン酸化多糖、リン酸化マンノース、リン酸化マンノフラノース、リン酸化マンノピラノース、もしくはヌクレオチド糖、またはこれらの任意の組合せである、実施形態1~3のいずれか1つの組成物。
5. 少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物がリン酸化マンノースである、実施形態1~4のいずれか1つの組成物。
6. リン酸化マンノースが、マンノース-1-ホスフェートである、実施形態5の組成物。
7. 内在性リン酸化炭水化物が、約0.1~75mMの濃度で存在する、実施形態1~6のいずれか1つの組成物。
8. DOPEが、最大80mol%の濃度で存在する、実施形態1~7のいずれか1つの組成物。
9. 1つまたは1つより多くの安定化剤が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)を含む、実施形態1~8のいずれか1つの組成物。
10. 1つまたは1つより多くの安定化剤が、1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール(DPPG)を含む、実施形態1~8のいずれか1つの組成物。
11. 1つまたは1つより多くの安定化剤が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)を含む、実施形態1~8のいずれか1つの組成物。
12. 1つまたは1つより多くの安定化剤が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)を含む、実施形態1~8のいずれか1つの組成物。
13. 1つまたは1つより多くの安定化剤が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)を含む、実施形態1~8のいずれか1つの組成物。
14. 1つまたは1つより多くの安定化剤が、最大70mol%の量で存在する、実施形態1~13のいずれか1つの組成物。
15. PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)である、実施形態1~14のいずれか1つの組成物。
16. PEG-DSPEが、最大5mol%の濃度で存在する、実施形態15の組成物。
17. リポソームであって、
i) N-ドデカノイル-1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(N-C12-DOPE);
ii) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つのリン酸化内在性炭水化物と
を含む組成物。
18. 少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物が、リン酸化単糖、リン酸化二糖、リン酸化オリゴ糖、リン酸化多糖、リン酸化マンノース、リン酸化マンノフラノース、リン酸化マンノピラノース、もしくはヌクレオチド糖、またはこれらの任意の組合せである、実施形態17の組成物。
19. 少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物が、リン酸化マンノースである、実施形態17または実施形態18の組成物。
20. リン酸化マンノースが、マンノース-1-ホスフェートである、実施形態19の組成物。
21. 内在性リン酸化炭水化物が、約0.1~75mMの濃度で存在する、実施形態17~20のいずれか1つの組成物。
22. N-C12-DOPEが、最大80mol%の量で存在する、実施形態17~21のいずれか1つの組成物。
23. DOPCが、最大30mol%の量で存在する、実施形態17~22のいずれか1つの組成物。
24. リポソームが、少なくとも1つのリン脂質に共役されたPEGをさらに含む、実施形態17~23のいずれか1つの組成物。
25. PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)である、実施形態24の組成物。
26. PEG-DSPEが、最大5mol%の濃度で存在する、実施形態25の組成物。
27. リポソームが、コレステロールをさらに含む、実施形態17~26のいずれか1つの組成物。
28. コレステロールが、最大25mol%の量で存在する、実施形態27の組成物。
29. リポソームであって、
i) エタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、不飽和脂肪酸尾部が少なくとも1つのC10~28炭素鎖を含む、少なくとも1つのリン脂質;
ii) (a)から(c):
a) 極性頭部基と飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質、
b) 極性頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、極性頭部基が、第4級アンモニウムカチオン、グリセロール基、またはセリン基を含む、少なくとも1つのリン脂質、および
c) 少なくとも1つの酸性コレステロールエステル
のうちの1つまたは1つより多く;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたポリエチレングリコール(PEG)
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つのリン酸化内在性炭水化物と
を含む組成物。
30. i)における少なくとも1つのリン脂質の不飽和脂肪酸尾部が、少なくとも1つの二重結合を含む、実施形態29の組成物。
31. i)における少なくとも1つのリン脂質の不飽和脂肪酸尾部が、1つの二重結合を含む、実施形態29または実施形態30の組成物。
32. 不飽和脂肪酸尾部が、少なくとも1つのC16~20炭素鎖を含む、実施形態29~31のいずれか1つの組成物。
33. エタノールアミン頭部基と脂肪酸尾部とを有するリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)である、実施形態29~32のいずれか1つの組成物。
34. a)における少なくとも1つのリン脂質の飽和脂肪酸尾部が、少なくともC16~20炭素鎖を含む、実施形態29~33のいずれか1つの組成物。
35. 極性頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホリルグリセロール(DPPG)または1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(DSPA)または両方である、実施形態29~34のいずれか1つの組成物。
36. b)における少なくとも1つのリン脂質の極性頭部基が、コリンである、実施形態29~35のいずれか1つの組成物。
37. 第4級アンモニウムカチオンを持つ極性頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)である、実施形態29~36のいずれか1つの組成物。
38. b)における少なくとも1つのリン脂質の極性頭部基が、セリンである、実施形態29~35のいずれか1つの組成物。
39. セリン基を持つ極性頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)である、実施形態38の組成物。
40. b)における少なくとも1つのリン脂質の極性頭部基が、グリセロールである、実施形態29~35のいずれか1つの組成物。
41. グリセロール基を持つ極性頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG)である、実施形態40の組成物。
42. 少なくとも1つの酸性コレステロールエステルが、ヘミコハク酸コレステリル(CHEMS)である、実施形態29~41のいずれか1つの組成物。
43. PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)である、実施形態29~42のいずれか1つの組成物。
44. エタノールアミン頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質が、最大50mol%の濃度で存在する、実施形態29~43のいずれか1つの組成物。
45. (a)から(c)のうちの1つまたは1つより多くが、最大70mol%の濃度で存在する、実施形態29~44のいずれか1つの組成物。
46. 少なくとも1つのリン脂質に共役されたPEGが、最大5mol%の濃度で存在する、実施形態29~45のいずれか1つの組成物。
47. 少なくとも1つのリン脂質に共役されたPEGが、最大3mol%の濃度で存在する、実施形態29~45のいずれか1つの組成物。
48. 少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物が、リン酸化単糖、リン酸化二糖、リン酸化オリゴ糖、リン酸化多糖、リン酸化マンノース、リン酸化マンノフラノース、リン酸化マンノピラノース、もしくはヌクレオチド糖、またはこれらの任意の組合せである、実施形態29~47のいずれか1つの組成物。
49. 少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物が、リン酸化マンノースである、実施形態29~48の組成物。
50. リン酸化マンノースが、マンノース-1-ホスフェートである、実施形態49の組成物。
51. 内在性リン酸化炭水化物が、約0.1~75mMの濃度で存在する、実施形態29~50のいずれか1つの組成物。
52. リポソームが、コレステロールをさらに含む、実施形態29~51のいずれか1つの組成物。
53. コレステロールが、最大25mol%の量で存在する、実施形態52の組成物。
54. リポソームであって、
i) 式(PL-1):
【化71】
(式中:
T
1aおよびT
1bの少なくとも1つは、C
10~28アルケニルまたはC
10~28アルキニルを含む不飽和炭素鎖であり;
R
1は、アミノアルキルである)のリン脂質、またはその塩;
ii) 式(PL-2)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3)の少なくとも1つのリン脂質、または式(CE)の少なくとも1つのコレステロールエステル:
【化72】
(式中:
T
2aおよびT
2bのそれぞれは、C
10~28アルケニルまたはC
10~28アルキニルを含む不飽和炭素鎖であり;
R
2は、第4級アンモニウムで置換されたアルキル、グリセロール、または-COOHおよび-NH
2で置換されたアルキルである)またはその塩;
【化73】
(式中:
T
3aおよびT
3bのそれぞれは、飽和炭素鎖であり;
G
3は、H、または少なくとも1個の-OHで置換されたアルキルである)またはその塩;および
【化74】
(式中:
Z
1は、-COOHで置換されたアルキルである)またはその塩、
または前述の任意の組合せ;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役された、ポリエチレングリコール(PEG)
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つのリン酸化内在性炭水化物と
を含む組成物。
55. T
1a、T
1b、T
2a、およびT
2bのそれぞれが独立して、1つの二重結合を含む不飽和炭素鎖である、実施形態54の組成物。
56. 不飽和炭素鎖が、cis異性体である、実施形態55の組成物。
57. 各炭素鎖が、10~28個の炭素原子を有する、実施形態54~56のいずれか1つの組成物。
58. 式(PL-1)の少なくとも1つのリン脂質がDOPEである、実施形態54の組成物。
59. 式(PL-2)の少なくとも1つのリン脂質がDOPCまたはDOPSである、実施形態54または実施形態58の組成物。
60. 式(PL-3)の少なくとも1つのリン脂質が、DPPG、DOPG、またはDSPAである、実施形態54、58、または59の組成物。
61. 式(CE)の少なくとも1つのコレステロールエステルが、CHEMSである、実施形態54~60のいずれか1つの組成物。
62. リポソームが、コレステロールをさらに含む、実施形態51~61のいずれか1つの組成物。
63. コレステロールが、最大25mol%の量で存在する、実施形態62の組成物。
64. PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)である、実施形態51~63のいずれか1つの組成物。
65.PEG-DSPEが、最大5mol%の濃度で存在する、実施形態64の組成物。
66. リポソームであって、
式(PL-4):
【化75】
(式中:
T
1aおよびT
1bの少なくとも1つは、C
10~28アルケニルまたはC
10~28アルキニルを含む不飽和炭素鎖であり;
R
4は、アミド部分を含む脂肪族鎖である)のリン脂質、またはその塩
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つのリン酸化内在性炭水化物と
を含む組成物。
67. PL-4が、N-ドデカノイル-1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(N-C12-DOPE)である、実施形態66の組成物。
68. 少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物が、リン酸化単糖、リン酸化二糖、リン酸化オリゴ糖、リン酸化多糖、リン酸化マンノース、リン酸化マンノフラノース、リン酸化マンノピラノース、もしくはヌクレオチド糖、またはこれらの任意の組合せである、実施形態66または実施形態67の組成物。
69. 少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物が、リン酸化マンノースである、実施形態66の組成物。
70. リン酸化マンノースが、マンノース-1-ホスフェートである、実施形態69の組成物。
71. 内在性リン酸化炭水化物が、約0.1~75mMの濃度で存在する、実施形態66~70のいずれか1つの組成物。
72. 前述の実施形態のいずれか1つの組成物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
73. それを必要とするヒトに炭水化物を送達するための方法であって、前述の実施形態のいずれか1つの組成物を、ヒトに投与することを含む方法。
74. それを必要とする対象の細胞内部に炭水化物を送達するための方法であって、実施形態1~71のいずれか1つの組成物または実施形態72の医薬組成物を対象に投与することを含み、投与された組成物の少なくとも一部は細胞形質膜を横断して炭水化物を細胞内部に送達する方法。
75. それを必要とするヒトにおける先天性グリコシル化異常症(CDG)を処置するための方法であって、実施形態1~71のいずれか1つの組成物または実施形態72の医薬組成物をヒトに投与することを含む方法。
76. 先天性グリコシル化異常症(CDG)が、CDG-Ia障害である、実施形態75の方法。
77. 組成物の投与が、ヒトへの組成物の投与がない状態でのヒトにおける高次脂質結合オリゴ糖の細胞生成と比較して、ヒトにおける高次脂質結合オリゴ糖の細胞生成において0.05倍から少なくとも3倍の増大を誘発させる、実施形態76の方法。
78. 実施形態1~71のいずれか1つの組成物または実施形態72の医薬組成物を含むキット。
79. 容器、および容器の表面のまたは容器に関連付けられたラベルまたは添付文書をさらに含む、実施形態78のキット。
80. リポソームであって、
i) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンまたはその塩;および
ii) (a) グリセロール、コリン、ホスフェート、およびセリンを含む極性頭部基と、C
10~28脂肪族鎖を含む脂肪酸尾部とを有する、1つまたは1つより多くのリン脂質、または
(b) 酸性コレステロールエステル、
または(a)および(b)の両方;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたポリエチレングリコール(PEG)
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つの内在性炭水化物と
を含む組成物。
81. 極性頭部基を有する1つまたは1つより多くのリン脂質が:
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;
1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール;
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール;
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート;もしくは
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン、
またはその塩、
あるいは前述の任意の組合せ
を含む、実施形態80の組成物。
82. 極性頭部基を有する1つまたは1つより多くのリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンまたはその塩を含む、実施形態81の組成物。
83. リポソームであって、
i) N-ドデカノイル-1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、またはその塩;および
ii) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、またはその塩
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つの内在性炭水化物と
を含む組成物。
84. リポソームが、少なくとも1つのリン脂質に共役されたPEGをさらに含む、実施形態83の組成物。
85. リポソームであって、
i) エタノールアミン頭部基と少なくとも1つの不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、各不飽和脂肪酸尾部が独立して少なくとも1つのC
10~28炭素鎖を含む、少なくとも1つのリン脂質;
ii) (a)から(c):
a) 極性頭部基と少なくとも1つの飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質、
b) 極性頭部基と少なくとも1つの不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、極性頭部基が、第4級アンモニウムカチオン、グリセロール基、またはセリン基を含む、少なくとも1つのリン脂質;および
c) 少なくとも1つの酸性コレステロールエステル
のうちの1つまたは1つより多く;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたポリエチレングリコール(PEG)
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つの内在性炭水化物と
を含む組成物。
86. i)における少なくとも1つのリン脂質の各不飽和脂肪酸尾部が、少なくとも1つの二重結合を含む、実施形態85の組成物。
87. i)における少なくとも1つのリン脂質の各不飽和脂肪酸尾部が、1つの二重結合を含む、実施形態85または86の組成物。
88. 不飽和脂肪酸尾部が、少なくとも1つのC
16~20炭素鎖を含む、実施形態85~87のいずれか1つの組成物。
89. エタノールアミン頭部基と少なくとも1つの不飽和脂肪酸尾部とを有するリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンまたはその塩である、実施形態85~88のいずれか1つの組成物。
90. a)における少なくとも1つのリン脂質の飽和脂肪酸尾部が、少なくともC
16~20炭素鎖を含む、実施形態85~89のいずれか1つの組成物。
91. 極性頭部基と飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホリルグリセロール、もしくは1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、またはその塩、あるいは前述の組合せである、実施形態85~90のいずれか1つの組成物。
92. b)における少なくとも1つのリン脂質の極性頭部基が、コリンである、実施形態85~91のいずれか1つの組成物。
93. 第4級アンモニウムカチオンを持つ極性頭部基、および不飽和脂肪酸尾部を有する、少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンまたはその塩である、実施形態92の組成物。
94. b)における少なくとも1つのリン脂質の極性頭部基が、セリンである、実施形態85~91のいずれか1つの組成物。
95. セリン基を持つ極性頭部基、および不飽和脂肪酸尾部を有する、少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリンまたはその塩である、実施形態94の組成物。
96. b)における少なくとも1つのリン脂質の極性頭部基が、グリセロールである、実施形態85~91のいずれか1つの組成物。
97. グリセロール基を持つ極性頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロールまたはその塩である、実施形態96の組成物。
98. 少なくとも1つの酸性コレステロールエステルが、ヘミコハク酸コレステリルである、実施形態85~97のいずれか1つの組成物。
99. PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンまたはその塩である、実施形態80~82または84~98のいずれか1つの組成物。
100. リポソームであって、
i) 式(PL-1):
【化76】
(式中:
T
1aおよびT
1bの少なくとも1つは、C
10~28アルケニルまたはC
10~28アルキニルを含む不飽和炭素鎖であり;
R
1は、アミノアルキルである)のリン脂質、またはその塩;
ii) 式(PL-2)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3A)の少なくとも1つのリン脂質、または式(CE)の少なくとも1つのコレステロールエステル:
【化77】
(式中:
T
2aおよびT
2bのそれぞれは、C
10~28アルケニルまたはC
10~28アルキニルを含む不飽和炭素鎖であり;
R
2は、第4級アンモニウムで置換されたアルキル、グリセロール、または-COOHおよび-NH
2で置換されたアルキルである)またはその塩;
【化78】
(式中:
T
3aおよびT
3bのそれぞれは、炭素鎖であり;
G
3は、H、または少なくとも1個の-OHで置換されたアルキルである)またはその塩;および
【化79】
(式中:
Z
1は、-COOHで置換されたアルキルである)またはその塩、
または前述の任意の組合せ;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたポリエチレングリコール(PEG)
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つの内在性炭水化物と
を含む組成物。
101. T
1a、T
1b、T
2a、およびT
2bのそれぞれが独立して、1つの二重結合を含む不飽和炭素鎖である、実施形態100の組成物。
102. 不飽和炭素鎖が、cis異性体である、実施形態101の組成物。
103. 各炭素鎖が、10~28個の炭素原子を有する、実施形態100~102のいずれか1つの組成物。
104. 式(PL-1)の少なくとも1つのリン脂質が、
【化80】
またはその塩である、実施形態103の組成物。
105. 式(PL-2)の少なくとも1つのリン脂質が、
【化81】
、またはその塩である、実施形態100~104のいずれか1つの組成物。
106. 式(PL-3A)の少なくとも1つのリン脂質が、
【化82】
【化83】
、またはその塩である、実施形態100~105のいずれか1つの組成物。
107. 式(CE)の少なくとも1つのコレステロールエステルが、
【化84】
またはその塩である、実施形態100~106のいずれか1つの組成物。
108. PEGに共役された少なくとも1つのリン脂質が、
【化85】
またはその塩である、実施形態80~82および84~107のいずれか1つの組成物。
109. リポソームであって、
式(PL-4):
【化86】
(式中:
T
1aおよびT
1bの少なくとも1つは、C
10~28アルケニルまたはC
10~28アルキニルを含む不飽和炭素鎖であり;
R
4は、アミド部分を含む脂肪族鎖である)のリン脂質、またはその塩
を含むリポソームと、
リポソームに被包された少なくとも1つの内在性炭水化物と
を含む組成物。
110. PL-4が、
【化87】
またはその塩である、実施形態109の組成物。
111. 少なくとも1つの内在性炭水化物が:
(i) 内在性リン酸化炭水化物;または
(ii) リン酸化単糖、リン酸化二糖、リン酸化オリゴ糖、リン酸化多糖、リン酸化マンノース、リン酸化マンノフラノース、リン酸化マンノピラノース、もしくはヌクレオチド糖、またはこれらの任意の組合せである、実施形態80~110のいずれか1つの組成物。
112. リン酸化マンノースが、マンノース-1-ホスフェートである、実施形態111の組成物。
113. 前述の実施形態のいずれか1つの組成物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
114. それを必要とするヒトに炭水化物を送達するための方法であって、前述の実施形態のいずれか1つの組成物をヒトに投与することを含む方法。
115. それを必要とする対象の細胞内部に炭水化物を送達するための方法であって、実施形態1~113のいずれか1つの組成物を対象に投与することを含み、投与された組成物の少なくとも一部は、細胞形質膜を横断して炭水化物を細胞内部に送達する、方法。
116. それを必要とするヒトにおける先天性グリコシル化異常症(CDG)を処置するための方法であって、実施形態1~113のいずれか1つの組成物をヒトに投与することを含む方法。
117. 先天性グリコシル化異常症(CDG)が、CDG-Ia障害である、実施形態116の方法。
118. 組成物の投与が、ヒトへの組成物の投与がない状態でのヒトにおける高次脂質結合オリゴ糖の細胞生成と比較して、ヒトにおける高次脂質結合オリゴ糖の細胞生成において0.05倍から少なくとも3倍の増大を誘発させる、実施形態116または117の方法。
119. 実施形態1~113のいずれか1つの組成物;
容器;および
容器の表面のまたは容器に関連付けられたラベルまたは添付文書
を含むキット。
【実施例】
【0178】
下記の実施例は、単なる例示であり、如何様にも本開示の任意の態様を限定するものではない。
リポソーム
【0179】
リポソーム調製のための材料は、Avanti Polar Lipids、NOF America Corporation、FormuMax Scientific,Inc.、CordenPharma、およびLipoidから購入した。下記の脂質は、Avantiから購入した:DOPE、DOPC、DPPG、DOPG、DOPS、N-C12-DOPE、Chol、CHEMS、およびDSPE-PEG-Gal。下記の脂質は、NOF America Corporationから購入した:DSPA、DMG-PEG、ssPalmm、ssPalme、SOPC、およびPEG(2k)-DSG。下記の脂質は、FormuMax Scientific, Inc.から購入した:RH-DHPE、DODAP、およびDOTAP。下記の脂質は、CordenPharmaから購入した:Dlink-KC2-DMA。
【0180】
脂質の原材料をクロロホルムに溶解し、完全に溶解するまで温めた。次いで混合物を乾燥して、薄膜を形成した。次いで膜を、リン酸化炭水化物を含有する水溶液で水和した。溶液を加熱し、十分混合して、薄膜を再懸濁した。懸濁液を、3回の凍結-融解サイクルに供した。最後に、リポソームのサイズを、超音波処理、押出し、またはマイクロフルイダイゼーションによって調節した。
細胞系
【0181】
CDG-Iaヒト皮膚線維芽細胞および野生型ヒト皮膚線維芽細胞を、Coriell Instituteから購入した。
培養培地
【0182】
RPMI培地を、FBS(10%v/v)、Pen-Strep(1%v/v)、およびL-グルタミン(1%v/v)と混合して、完全RPMI培地を作製した。この培地を、線維芽細胞を増殖させるのに使用した。それらの全ては、Thermo Fisher Scientificから購入した。
(実施例1)
M1Pの細胞内送達のための脂質のスクリーニングおよび選択
【0183】
M1Pの細胞内送達のための脂質の適切な組合せを選択するために、異なるLipo-M1P製剤について、それらが細胞膜を透過する能力ならびにエンドソームエスケープを促進させ、およびM1P活性成分をサイトゾル内に放出する能力を評価した。Lipo-M1Pで処置する前および後にGDP-マンノースレベルを測定する機能的細胞ベースアッセイを、様々なリポソーム組成物の送達および生物活性の尺度として使用した。合計で34種の異なるLipo-M1P製剤を、ベンチスケール薄膜水和法を使用して調製した。細胞を、総脂質濃度が最大5.4mMの、異なるLipo-M1P製剤で処置した。細胞生存率を、XTT細胞増殖アッセイ(Thermo Fisher Scientific)を使用して決定し、試験をした33種の製剤のうち28種が、所望の80%よりも高い細胞生存率を維持した。処置後、細胞を採取し、GDP-マンノースを抽出し、液体クロマトグラフィー質量分光法(LC-MS)によって分析した。結果を表1にまとめる。
【表1-1】
【表1-2】
(実施例2)
Lipo-M1Pの初期製剤安定性研究
【0184】
リポソームからのM1P漏出のin vitro評価を行って、脂質二重層および被包されたM1Pの物理状態を特徴付け、生理条件下でのリポソーム内でのM1P安定性の理解を得た。新たに調製されたLipo-M1P粒子を洗浄して、遊離した非被包M1Pを除去した後、Lipo-M1PをPBS pH7.4中に再懸濁し、37℃で保存した。リポソーム組成物は、DOPE:DOPC:DSPE-PEG2000=48.5:48.5:3(mol%)である。24時間までのいくつかの時点で、粒子から漏出したM1Pを、10kDaの分子量のカットオフ膜(MWCO)遠心分離フィルターを使用して単離し、フィルター内のリポソームを、新鮮なPBSを添加することによって当初の体積までにした。漏出したM1Pを含有する濾液を、ビシンコニン酸アッセイ(BCAアッセイ)によって定量した。M1P漏出を、総Lipo-M1Pの%として計算し、
図1で示すように経時的にプロットした。無視できる量の漏出が、24時間の時点で放出されたわずか2.5%で観察され、したがってLipo-M1P粒子は生理緩衝液中で良好な安定性を示すことが実証された。
【0185】
図2Aおよび2Bは、ナノ粒子サイズ分布と、4℃で保存した2、18、および30日目にPBS pH7.4中、Lipo-M1Pで測定されたミクロンサイズ粒子の濃度とを示す。2日目に測定された2から5ミクロンの範囲内のミクロンサイズ粒子の数は、ナノメートルおよびミクロサイズの両方の粒子の総数の、10^-7%である。2日目と30日目との間で、粒径および分布に著しい変化はないことが観察され、Lipo-M1Pが、冷蔵貯蔵中に凝集するという、非常に限られた傾向を有することが実証された。ナノメートルおよびミクロンサイズの範囲に関して、NanoSightおよびFlowCam粒子撮像システムをそれぞれ使用して、データを収集した。
【0186】
さらなる安定性データを、最初に37℃で18時間インキュベートし、その後、4℃で21日間保存した、10%FBS中のLipo-M1Pナノ粒子の凝集に関して収集した。PBS中2日目とFBS中21日目(データは図示せず)との間で、粒径分布のシフトは観察されなかった。ミクロンサイズ粒子の濃度のわずかな増大が観察されたが、全体的に低いパーセンテージ10^-7%は変化しなかった。
(実施例3)
PMM2-CDG線維芽細胞におけるLipo-M1P生物活性のin vitro研究
【0187】
この実施例は、患者由来の培養された線維芽細胞における、様々なLipo-M1P製剤の生物活性について調査する。3種のLipo-M1P製剤を使用した:
【0188】
製剤A: DOPE/DOPC/DSPE-PEG(2000)=58.2:38.8:3;
製剤B: N-C12-DOPE/DOPC/DSPE-PEG(2000)=69.6:27.4:3
製剤C: DSPC/Chol/DSPE-PEG/DOTAP/Rh-DHPE=24:45:5:25:0.5
【0189】
患者由来の培養された線維芽細胞を、0.15から0.72mMに及ぶ濃度の製剤Aで、18時間処置した。未処置の患者および正常な線維芽細胞に勝るGDP-マンノースの増大を示す質量分光分析を、
図3Aに示す。M1P代謝産物のレベルを、およそ0.35mMの低用量のLipo-M1Pで一晩処置したものに正規化した。予測されたように、GDP-マンノースは、Lipo-M1Pの濃度の増大と共に増大した。細胞生存率は、調査されたLipo-M1P濃度範囲にわたり、ほぼ100%で維持された、
図3B。
【0190】
全長成熟LLOの減少したレベルが製剤Bで修正できるか否かを決定するために、患者の線維芽細胞を、LLO研究用に0.24mMのLipo-M1Pと共に、およびICAM-1用に0.06から0.48mMの間の濃度の範囲のLipo-M1Pと共にインキュベートした。18時間処置した後、細胞を採取し、LLOを抽出し、蛍光タグで標識し、フルオロフォア支援炭水化物電気泳動(FACE)により試験した。定性結果を
図4に表示する。Lipo-M1P処置は、全長LLOのレベルを増大させ、送達されたM1PがGDP-マンノースに代謝され、LLO生合成経路に進入していることを示す。
【0191】
タンパク質バイオマーカー細胞間接着分子1(ICAM-1)のレベルに対する、処置の影響を評価するために、ICAM-1を、Mem-PERTM Plus膜タンパク質抽出キット(Thermo Fisher Scientific)を使用して抽出し、抗ICAM-1抗体(R&D)を使用するウェスタンブロットにより視覚化した。結果を
図5に提示する。ICAM-1の濃度依存的増大は、製剤CがN-グリカン生合成経路を回復させ、および患者の細胞におけるタンパク質低グリコシル化を修正するという証拠を提供する。
(実施例4)
CD-1マウスにおけるLipo-M1Pの生体内分布および薬物動態
【0192】
メスCD-1マウスにおけるLipo-M1Pの薬物動態を評価する研究を、Bayside Biosciences(Santa Clara、CA)で行った。16匹のCD-1メスマウスに、尾静脈注射を介して、用量が250mg/kgの脂質および12.5mg/kgのM1Pとなる、Oregon Greenで標識したLipo-M1Pを注射した。リポソームの組成はDOPE:DOPC:DSPE-PEGであり、DOPEとDOPCとの比は1:1(mol%)であった。マウスを4つのグループに分け、採血のために各時点で1つのグループを選択するか、または48時間までの様々な時点で血液および肝臓の収集を行った。血漿およびホモジナイズされた肝臓におけるリポソームの濃度を、Oregon Green標識の蛍光を使用して測定した。Lipo-M1Pの薬物動態特性を、表2にまとめる。
【表2】
【0193】
血漿PKに加え、肝臓中のリポソームPKを評価し、
図6Aに示す。肝臓内の排泄半減期は、6.22時間であった。Lipo-M1Pの肝臓内分布を評価し、肝細胞へのLipo-M1Pの送達を確認した。4匹のCD-1メスマウスに、Oregon Green標識されたLipo-M1Pを、290mg/kgの脂質および15mg/kgのM1Pで投薬した。注射から1時間後にマウスを犠牲にし、肝臓を潅流し、肝臓消化媒体(Thermo Fisher Scientific)を使用して消化した。肝細胞および非実質細胞(NPC)を、Percoll密度勾配遠心分離を使用して、消化された肝臓懸濁液から単離した。肝細胞およびNPCにおけるリポソームからの蛍光を、フローサイトメトリーを使用して測定した。細胞からの自家蛍光を差し引いた。
図6Bは、肝細胞によってLipo-M1Pが優先的に取り込まれ、一方、NPCへのLipo-M1Pの統計的に有意な取込みは観察されなかったことを示す。
【0194】
Lipo-M1Pの肝臓取込みに対する、PEG化ならびにリポソームの表面のガラクトース部分の存在の影響を、徹底的に評価した(データは図示せず)。3%から5%の間のPEGおよび分子量2000Daで、肝臓取込みにおける有意差はなかった。PEG長を350Daに低減させ、そのパーセンテージを7.5%に増大した結果、細胞取込みが1倍よりも多くなり;しかしながら、血漿半減期は著しく低下した。ガラクトース部分は、in vitroまたはin vivoでリポソームの肝細胞標的能力を著しく改善しなかった。
(実施例5)
ラットにおけるLipo-M1Pの安全性および毒性
【0195】
Sprague Dawleyラットにおける用量漸増および反復用量研究を、Charles River Laboratoriesで行った。動物は、研究開始時に約5週齢であった。Lipo-M1Pを、静脈内(低速ボーラス)注射を介して尾静脈に注射した。用量漸増段階では、4つのグループの3匹のオスに、単回用量のLipo-M1P(DOPE/DOPC/DSPE-PEG/M1P;脂質比:48.5:48.5:3)を投与した。グループ1には、kg体重当たり100mgの脂質を投与し、グループ2には250mg/kgを投与し、グループ3には500mg/kgを投与し、グループ4には652.8mg/kgを投与した。投与された最大M1P用量(グループ4)は、47.1mg/kgのM1Pであった。グループ4の用量は、最大限実行可能な用量体積が10ml/kgであった。24時間の観察期間を、後続の投薬グループに進む前に維持した。いずれの濃度でも臨床効果は観察されなかった。1つのグループの3匹のメスに、最大用量652.8mg/kgの脂質を与えた。臨床効果は観察されなかった。投与から7日後に全ての動物から採血し、臨床化学および血液学分析を行った。オスでは、赤血球および血小板の両方で、小さな用量依存的増加が観察された。結果を表3にまとめる。類似のプロトコールを使用して、ラットにLipo-M1P(N-C12-DOPE/DOPC/DSPE-PEG/M1P;脂質比:69.6:27.4:3)を投薬し、この場合、最大限実行可能な用量は864.2mg/kg(10ml/kgの用量体積、86.42mg/mlの脂質で)であり、いかなる用量においても、有害な臨床作用は観察されなかった。臨床病理結果を、表3にまとめる。
【表3】
反復用量研究は、脂質濃度62mg/mlのLipo-M1Pを使用して行った。1つのグループの3匹のオスおよび3匹のメスのそれぞれに、毎日、IVボーラス注射を620mg/kgの脂質(34.3mg/kg M1P)で、7日間連続して与えた。この用量は、最大限実現可能な用量体積10ml/kgであった。投薬段階中、臨床効果は観察されなかった。最終用量投与の1日後、臨床化学および血液学分析用に採血し、剖検を行った。目に見える病変は観察されなかった。臨床病理結果を表4および5にまとめる。
【表4】
【表5】
【0196】
Lipo-M1Pが652.8mg/kgまでの(即ち、47.1mg/kgのM1P)、ラットにおける単回用量漸増研究は、いかなる臨床効果も示さなかった。次いでLipo-M1Pが620mg/kg(即ち、34.3mg/kgのM1P)での反復投薬を、3匹のオスおよび3匹のメスラットに毎日、7日間、ボーラス注射として行った。目に見える臨床症状および目に見える病変は剖検で存在しなかった。オスおよびメスの両方において血漿中コレステロールが増大した。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
リポソームであって、
i) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンまたはその塩;および
ii) (a) グリセロール、コリン、ホスフェート、およびセリンを含む極性頭部基と、C
10~28
脂肪族鎖を含む脂肪酸尾部とを有する、1つまたは1つより多くのリン脂質、または
(b) 酸性コレステロールエステル、
または(a)および(b)の両方;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたポリエチレングリコール(PEG)を含むリポソームと、
前記リポソームに被包された少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物と
を含む組成物。
(項目2)
極性頭部基を有する前記1つまたは1つより多くのリン脂質が、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;
1,2-ジパルミトイル-ホスファチジル-グリセロール;
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール;
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート;もしくは
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン、
またはその塩、
あるいは前述の任意の組合せを含む、項目1に記載の組成物。
(項目3)
極性頭部基を有する前記1つまたは1つより多くのリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンまたはその塩を含む、項目2に記載の組成物。
(項目4)
リポソームであって、
i) N-ドデカノイル-1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、またはその塩;および
ii) 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、またはその塩
を含むリポソームと、
前記リポソームに被包された少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物と
を含む組成物。
(項目5)
前記リポソームが、少なくとも1つのリン脂質に共役されたPEGをさらに含む、項目4に記載の組成物。
(項目6)
リポソームであって、
i) エタノールアミン頭部基と少なくとも1つの不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、各不飽和脂肪酸尾部が独立して少なくとも1つのC
10~28
炭素鎖を含む、少なくとも1つのリン脂質;
ii) (a)から(c):
a) 極性頭部基と少なくとも1つの飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質、
b) 極性頭部基と少なくとも1つの不飽和脂肪酸尾部とを有する少なくとも1つのリン脂質であって、前記極性頭部基が、第4級アンモニウムカチオン、グリセロール基、またはセリン基を含む、少なくとも1つのリン脂質、および
c) 少なくとも1つの酸性コレステロールエステル
のうちの1つまたは1つより多く;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役された、ポリエチレングリコール(PEG)
を含むリポソームと、
前記リポソームに被包された少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物と
を含む組成物。
(項目7)
i)における前記少なくとも1つのリン脂質の各不飽和脂肪酸尾部が、少なくとも1つの二重結合を含む、項目6に記載の組成物。
(項目8)
i)における前記少なくとも1つのリン脂質の各不飽和脂肪酸尾部が、1つの二重結合を含む、項目6または7に記載の組成物。
(項目9)
前記不飽和脂肪酸尾部が、少なくとも1つのC
16~20
炭素鎖を含む、項目6から8のいずれか一項に記載の組成物。
(項目10)
エタノールアミン頭部基と少なくとも1つの不飽和脂肪酸尾部とを有する前記リン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンまたはその塩である、項目6から9のいずれか一項に記載の組成物。
(項目11)
a)における前記少なくとも1つのリン脂質の前記飽和脂肪酸尾部が、少なくともC
16~20
炭素鎖を含む、項目6から10のいずれか一項に記載の組成物。
(項目12)
極性頭部基と飽和脂肪酸尾部とを有する前記少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホリルグリセロールもしくは1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、またはその塩、あるいは前述の組合せである、項目6から11のいずれか一項に記載の組成物。
(項目13)
b)における前記少なくとも1つのリン脂質の前記極性頭部基が、コリンである、項目6から12のいずれか一項に記載の組成物。
(項目14)
第4級アンモニウムカチオンを持つ極性頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する前記少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンまたはその塩である、項目6から12のいずれか一項に記載の組成物。
(項目15)
b)における前記少なくとも1つのリン脂質の前記極性頭部基が、セリンである、項目6から12のいずれか一項に記載の組成物。
(項目16)
セリン基を持つ極性頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する前記少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリンまたはその塩である、項目6から12のいずれか一項に記載の組成物。
(項目17)
b)における前記少なくとも1つのリン脂質の前記極性頭部基が、グリセロールである、項目6から12のいずれか一項に記載の組成物。
(項目18)
グリセロール基を持つ極性頭部基と不飽和脂肪酸尾部とを有する前記少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロールまたはその塩である、項目6から12のいずれか一項に記載の組成物。
(項目19)
前記少なくとも1つの酸性コレステロールエステルが、ヘミコハク酸コレステリルである、項目6から18のいずれか一項に記載の組成物。
(項目20)
PEGに共役された前記少なくとも1つのリン脂質が、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンまたはその塩である、項目1から3または5から19のいずれか一項に記載の組成物。
(項目21)
リポソームであって、
i) 式(PL-1):
【化88】
(式中、
T
1a
およびT
1b
の少なくとも1つは、C
10~28
アルケニルまたはC
10~28
アルキニルを含む不飽和炭素鎖であり;
R
1
は、アミノアルキルである)のリン脂質、またはその塩;
ii) 式(PL-2)の少なくとも1つのリン脂質、式(PL-3A)の少なくとも1つのリン脂質、または式(CE)の少なくとも1つのコレステロールエステル:
【化89】
(式中、
T
2a
およびT
2b
のそれぞれは、C
10~28
アルケニルまたはC
10~28
アルキニルを含む不飽和炭素鎖であり;
R
2
は、第4級アンモニウムで置換されたアルキル、グリセロール、または-COOHおよび-NH
2
で置換されたアルキルである)またはその塩;
【化90】
(式中、
T
3a
およびT
3b
のそれぞれは、炭素鎖であり;
G
3
は、H、または少なくとも1個の-OHで置換されたアルキルである)またはその塩;および
【化91】
(式中、
Z
1
は、-COOHで置換されたアルキルである)またはその塩、
または前述の任意の組合せ;および
iii) 少なくとも1つのリン脂質に共役されたポリエチレングリコール(PEG)を含むリポソームと、
前記リポソームに被包された少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物と
を含む組成物。
(項目22)
T
1a
、T
1b
、T
2a
、およびT
2b
のそれぞれが、独立して、1つの二重結合を含む不飽和炭素鎖である、項目21に記載の組成物。
(項目23)
前記不飽和炭素鎖が、cis異性体である、項目22に記載の組成物。
(項目24)
各炭素鎖が、10~28個の炭素原子を有する、項目21から23のいずれか一項に記載の組成物。
(項目25)
式(PL-1)の前記少なくとも1つのリン脂質が、
【化92】
またはその塩である、項目24に記載の組成物。
(項目26)
式(PL-2)の前記少なくとも1つのリン脂質が、
【化93】
またはその塩である、項目21から25のいずれか一項に記載の組成物。
(項目27)
式(PL-3A)の少なくとも1つのリン脂質が、
【化94】
【化95】
またはその塩である、項目21から26のいずれか一項に記載の組成物。
(項目28)
式(CE)の前記少なくとも1つのコレステロールエステルが、
【化96】
またはその塩である、項目21から27のいずれか一項に記載の組成物。
(項目29)
PEGに共役された前記少なくとも1つのリン脂質が、
【化97】
またはその塩である、項目21から28のいずれか一項に記載の組成物。
(項目30)
リポソームであって、
式(PL-4):
【化98】
(式中、
T
1a
およびT
1b
の少なくとも1つは、C
10~28
アルケニルまたはC
10~28
アルキニルを含む不飽和炭素鎖であり;
R
4
は、アミド部分を含む脂肪族鎖である)のリン脂質、またはその塩
を含むリポソームと、
前記リポソームに被包された少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物と
を含む組成物。
(項目31)
式(PL-4)が、
【化99】
またはその塩である、項目30に記載の組成物。
(項目32)
前記少なくとも1つの内在性リン酸化炭水化物が、リン酸化単糖、リン酸化二糖、リン酸化オリゴ糖、リン酸化多糖、リン酸化マンノース、リン酸化マンノフラノース、リン酸化マンノピラノース、もしくはヌクレオチド糖、またはこれらの任意の組合せである、項目1から31のいずれか一項に記載の組成物。
(項目33)
前記リン酸化マンノースが、マンノース-1-ホスフェートである、項目32に記載の組成物。
(項目34)
先行する項目のいずれか一項に記載の組成物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
(項目35)
それを必要とするヒトに炭水化物を送達するための方法であって、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を前記ヒトに投与することを含む方法。
(項目36)
それを必要とする対象の細胞内部に炭水化物を送達するための方法であって、項目1から34のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に投与することを含み、投与された前記組成物の少なくとも一部は、細胞形質膜を横断して前記炭水化物を前記細胞内部に送達する方法。
(項目37)
それを必要とするヒトにおける先天性グリコシル化異常症(CDG)を処置するための方法であって、項目1から34のいずれか一項に記載の組成物を前記ヒトに投与することを含む方法。
(項目38)
前記先天性グリコシル化異常症(CDG)が、CDG-Ia障害である、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記組成物の投与が、前記ヒトへの前記組成物の投与がない状態での前記ヒトにおける高次脂質結合オリゴ糖の細胞生成と比較して、前記ヒトにおける高次脂質結合オリゴ糖の細胞生成において0.05倍から少なくとも3倍の増大を誘発させる、項目37または38に記載の方法。
(項目40)
項目1から34のいずれか一項に記載の組成物、
容器、および
前記容器の表面のまたは前記容器に関連付けられたラベルまたは添付文書
を含むキット。