(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20241107BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
A61B5/16 120
G06F3/01 510
(21)【出願番号】P 2021563437
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 IB2020061254
(87)【国際公開番号】W WO2021116816
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2019225818
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】木村 肇
(72)【発明者】
【氏名】和田 理人
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-255742(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0360970(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0078187(US,A1)
【文献】実開昭56-14343(JP,U)
【文献】特表2006-507855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/16
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出装置と、演算装置と、表示装置と、筐体と、第1の光学部材と、第2の光学部材と、を有し、
前記表示装置は、前記第1の光学部材と重なる第1の領域と、前記第2の光学部材と重なる第2の領域と、を有し、
前記筐体は、使用者の装着時に前記使用者の鼻と重なる位置に空間を有し、
前記検出装置は、前記筐体と前記使用者の鼻の間に位置し、
前記検出装置は、前記第1の光学部材と前記第2の光学部材とを結ぶ第1の方向において、前記筐体に挟まれた位置に配置されており、
前記筐体は、前記使用者の装着時に前記検出装置の上側に配置された領域を有し、
前記筐体は、前記使用者の装着時に前記検出装置の下側に配置された領域を有さず、
前記検出装置は、前記使用者の装着時に前記使用者と接しておらず、
前記検出装置は、前記使用者の感情に関する使用者データを取得し、前記使用者データを前記演算装置に出力する機能を有し、
前記演算装置は、前記使用者データに基づく表示データを生成し、前記表示データを前記表示装置に出力する機能を有する電子機器。
【請求項2】
検出装置と、演算装置と、表示装置と、筐体と、第1の光学部材と、第2の光学部材と、を有し、
前記表示装置は、前記第1の光学部材と重なる第1の領域と、前記第2の光学部材と重なる第2の領域と、を有し、
前記筐体は、使用者の装着時に前記使用者の鼻と重なる位置に空間を有し、
前記検出装置は、前記使用者の鼻と重なるように前記筐体の内部に位置し、
前記検出装置は、前記第1の光学部材と前記第2の光学部材とを結ぶ第1の方向において、前記筐体に挟まれた位置に配置されており、
前記筐体は、前記使用者の装着時に前記検出装置の上側に配置された領域を有し、
前記筐体は、前記使用者の装着時に前記検出装置の下側に配置された領域を有さず、
前記検出装置は、前記使用者の装着時に前記使用者と接しておらず、
前記検出装置は、使用者の感情に関する使用者データを取得し、前記使用者データを前記演算装置に出力する機能を有し、
前記演算装置は、前記使用者データに基づく表示データを生成し、前記表示データを前記表示装置に出力する機能を有する電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記検出装置は、温度センサ、湿度センサ、マイク、または撮像装置のいずれか一以上を有する電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記使用者データは、温度、湿度、音、または画像のいずれか一以上である電子機器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
調整機構を有し、
前記調整機構は、前記検出装置の前記筐体に対する角度を調整する機能を有する電子機器。
【請求項6】
請求項1または請求項2において、
前記検出装置は、撮像装置を有し、
前記検出装置は、撮像した前記使用者の画像を前記使用者データとして前記演算装置に出力する機能を有し、
前記演算装置は、前記使用者データから前記使用者の感情を推定し、推定された感情に基づく前記表示データを生成する機能を有する電子機器。
【請求項7】
請求項6において、
前記使用者データは、前記使用者の鼻を含む部分の画像である電子機器。
【請求項8】
請求項6において、
前記使用者データは、前記使用者の口を含む部分の画像である電子機器。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか一において、
前記推定は、ニューラルネットワークを用いる電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野として、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
拡張現実(AR:Augmented Reality)又は仮想現実(VR:Virtual Reality)用の表示装置として、ウェアラブル型の表示装置、及び据え置き型の表示装置が普及しつつある。ウェアラブル型の表示装置は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)、眼鏡型の表示装置等がある。据え置き型の表示装置は、例えば、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)等がある。
【0004】
ヘッドマウントディスプレイにセンサ、カメラ等を設けて使用者の身体の動きや表情を取得し、これらの情報を表示に反映させる技術が検討されている。特許文献1、特許文献2では、ヘッドマウントディスプレイにカメラを設け、使用者の表情を認識する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/122299号
【文献】特表2018-538593号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子機器に検出装置を設け、使用者の感情に関する情報を取得する場合、検出装置を使用者から離れた位置に設けると、検出精度が低くなり、使用者の感情を高い精度で認識できない可能性がある。また、検出装置が電子機器の筐体から突出していると、使用者または他の物と干渉することにより検出装置が損傷をうけ、電子機器の信頼性が低下してしまう恐れがある。
【0007】
本発明の一態様は、使用者の感情を高い精度で認識することができる電子機器を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、使用者の感情の種類やその程度を高い精度で推定することができる電子機器を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、信頼性の高い電子機器を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、新規な電子機器を提供することを課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項等の記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、検出装置と、演算装置と、筐体と、を有する電子機器である。筐体は、使用者の装着時に鼻と重なる位置に空間を有する。検出装置は、筐体と使用者の鼻との間に位置する。検出装置は、使用者の感情に関する使用者データを取得し、使用者データを演算装置に出力する機能を有する。演算装置は、使用者データに基づく表示データを生成し、表示データを出力する機能を有する。
【0010】
本発明の一態様は、検出装置と、演算装置と、筐体と、を有する電子機器である。筐体は、使用者の装着時に使用者の鼻と重なる位置に空間を有する。検出装置は、使用者の鼻と重なるように筐体の内部に位置する。検出装置は、使用者の感情に関する使用者データを取得し、使用者データを演算装置に出力する機能を有する。演算装置は、使用者データに基づく表示データを生成し、表示データを出力する機能を有する。
【0011】
本発明の一態様は、検出装置と、演算装置と、表示装置と、筐体と、を有する電子機器である。筐体は、使用者の装着時に鼻と重なる位置に空間を有する。検出装置は、筐体と使用者の鼻の間に位置する。検出装置は、使用者の感情に関する使用者データを取得し、使用者データを演算装置に出力する機能を有する。演算装置は、使用者データに基づく表示データを生成し、表示データを表示装置に出力する機能を有する。
【0012】
本発明の一態様は、検出装置と、演算装置と、表示装置と、筐体と、を有する電子機器である。筐体は、使用者の装着時に鼻と重なる位置に空間を有する。検出装置は、使用者の鼻と重なるように筐体の内部に位置する。検出装置は、使用者の感情に関する使用者データを取得し、使用者データを演算装置に出力する機能を有する。演算装置は、使用者データに基づく表示データを生成し、表示データを表示装置に出力する機能を有する。
【0013】
前述の電子機器において、検出装置は、温度センサ、湿度センサ、マイク、または撮像装置のいずれか一以上を有することが好ましい。
【0014】
前述の電子機器において、使用者データは、温度、湿度、音、または画像のいずれか一以上であることが好ましい。
【0015】
前述の電子機器において、さらに調整機構を有することが好ましい。調整機構は、検出装置の筐体に対する角度を調整する機能を有する。
【0016】
前述の電子機器において、検出装置は、撮像装置を有することが好ましい。検出装置は、撮像した使用者の画像を使用者データとして演算装置に出力する機能を有する。演算装置は、使用者データから使用者の感情を推定し、推定された感情に基づく表示データを生成する機能を有する。
【0017】
前述の電子機器において、使用者データは、使用者の鼻を含む部分の画像であることが好ましい。
【0018】
前述の電子機器において、使用者データは、使用者の口を含む部分の画像であることが好ましい。
【0019】
前述の電子機器において、推定は、ニューラルネットワークを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様により、使用者の感情を高い精度で認識することができる電子機器を提供できる。または、本発明の一態様により、使用者の感情の種類やその程度を高い精度で推定することができる電子機器を提供できる。または、本発明の一態様により、信頼性の高い電子機器を提供できる。または、本発明の一態様により、新規な電子機器を提供できる。
【0021】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項等の記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0024】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0025】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0026】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0027】
本明細書において、「上に」、「下に」、「左に」、「右に」等の配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0028】
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通又は非導通を制御するスイッチング動作等を実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、IGFET(Insulated Gate Field Effect Transistor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を含む。
【0029】
本明細書等において、トランジスタが有するソースとドレインの機能は、トランジスタの極性、又は回路動作において電流の方向が変化する場合等には入れ替わることがある。このため、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0030】
本明細書等において、「電気的に接続」には、直接接続している場合と、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。よって、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。また、「直接接続」と表現される場合であっても、異なる導電体がコンタクトを介して接続される場合が含まれる。なお、配線には、異なる導電体が一つ以上の同じ元素を含む場合と、異なる元素を含む場合と、がある。
【0031】
本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い(pチャネル型トランジスタでは、Vthよりも高い)状態をいう。
【0032】
本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合等も含む。
【0033】
本明細書等において、「抵抗」の抵抗値を、配線の長さによって決める場合がある。又は、抵抗値は、配線で用いる導電体とは異なる抵抗率を有する導電体と接続することにより決める場合がある。又は、半導体に不純物をドーピングすることで抵抗値を決める場合がある。
【0034】
本明細書等において、電気回路における「端子」とは、電流又は電圧の入力又は出力や、信号の受信又は送信が行なわれる部位をいう。よって、配線又は電極の一部が端子として機能する場合がある。
【0035】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductor又は単にOSともいう)等に分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FETと記載する場合においては、酸化物又は酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0036】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図面を参照して説明する。
【0037】
本発明の一態様は、表示装置と、検出装置と、演算装置と、筐体と、を有する電子機器である。検出装置は、使用者の感情に関するデータを取得し、当該データを演算装置に出力する機能を有する。演算装置は、当該データに基づいて表示データを生成し、表示データを表示装置に出力する機能を有する。
【0038】
使用者の感情に関するデータとして、例えば、鼻または口周辺の温度、湿度、または画像を用いることができる。電子機器を使用している使用者が興奮すると、鼻または口周辺の温度、湿度が高くなる場合がある。鼻または口周辺の温度、もしくは湿度を取得することで、使用者の興奮の程度を推定することができる。口の画像を取得することで、使用者の感情の種類やその程度を推定することができる。また、推定した使用者の感情を電子機器に表示させることにより、使用者は自身の状態を認識し、没入感を高めることができる。
【0039】
本発明の一態様である電子機器は、筐体の使用者の鼻が位置する部分に空間を有し、当該空間に前述の検出装置が位置する。使用者の鼻の近くに検出装置を設けることにより、使用者の感情をより高い精度で認識することができる。また、検出装置を空間に設け、筐体から検出装置が突出しないようにすることで、使用者または他の物と検出装置が干渉することを抑制でき、電子機器の信頼性を高めることができる。
【0040】
【0041】
なお、本明細書に添付した図面では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとしてブロック図を示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に係わることや、一つの機能を複数の構成要素で実現することもあり得る。
【0042】
電子機器10は、画像を表示する機能を有する。電子機器10は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)として用いることができる。電子機器10は、特に、拡張現実(AR)用、または仮想現実(VR)用の画像を表示する表示装置として好適に用いることができる。なお、電子機器10は、ゴーグル型電子機器ということもできる。
【0043】
図1A及び
図1Bに示すように、電子機器10は、筐体11と、検出装置17と、を有する。筐体11は下部に空間41を有し、空間41に検出装置17が設けられる。空間41は、筐体11の凹部ということもできる。空間41は、使用者が電子機器10を装着時に使用者の鼻と重なる位置に設けられる。なお、
図1Bでは、筐体11、及び検出装置17の位置関係を明瞭に示すため、筐体11を破線で示している。
図1A及び
図1Bに示す電子機器10は、表示部を有する別の電子機器と組み合わせることで、HMDとして用いることができる。
【0044】
図2A及び
図2Bに示すように、電子機器10は、筐体11と、表示装置13と、検出装置17と、演算装置19と、記憶装置18と、を有してもよい。また、電子機器10はさらに、光学部材15L、及び光学部材15Rを有してもよい。なお、
図2Bでは、筐体11、表示装置13、検出装置17、演算装置19、記憶装置18、光学部材15L、及び光学部材15Rの位置関係を明瞭に示すため、筐体11を破線で示している。
【0045】
表示装置13は、画素を有し、画像を表示する機能を有する。表示装置13として、例えば、液晶表示装置、発光装置(例えば、発光デバイスを各画素に備えた発光装置)、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などを用いることができる。
【0046】
発光デバイスとして、OLED(Organic Light Emitting Diode)やQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などを用いることが好ましい。発光デバイスが有する発光物質として、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)、無機化合物(量子ドット材料など)などが挙げられる。また、発光デバイスとして、マイクロLED(Light Emitting Diode)などのLEDを用いることもできる。
【0047】
電子機器10をヘッドマウントディスプレイとして用いる場合、使用者の目と表示装置13の距離が短くなるため、使用者が画素を視認しやすく、粒状感を強く感じてしまうことから、ARやVRの没入感や臨場感が薄れる場合がある。このため、表示装置13は、使用者に画素を視認されないように高精細であることが好ましい。精細度の高い表示装置13を用いることにより、電子機器10の使用者が粒状感を感じずに、表示装置13に表示される画像を視認することができる。表示装置13の精細度は、例えば、1000ppi以上が好ましく、さらには2000ppi以上が好ましく、さらには5000ppi以上が好ましい。また、AR用途においては仮想空間の画像を現実空間に重ねて表示するため、特に、使用環境が明るい場合は、表示装置13の輝度が高いことが望まれる。
【0048】
検出装置17は、電子機器10の周囲の環境の情報、または使用者の感情に関するデータ(以下、使用者データとも記す)を取得し、演算装置19に出力する機能を有する。使用者データとして、例えば、温度、湿度、音、画像などを用いることができる。検出装置17として、例えば、温度センサ、湿度センサ、マイク、または撮像装置を用いることができる。撮像装置として、例えば、カメラ、またはビデオカメラを用いることができる。なお、検出装置17として、これらを複数組み合わせて用いてもよい。
【0049】
演算装置19は、検出装置17から出力された使用者データを演算処理することにより、使用者の感情に応じた表示データを生成し、表示データを表示装置13に出力する機能を有する。
【0050】
演算装置19として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いることができる。また、演算装置19を、FPGA(Field Programmable Gate Array)やFPAA(Field Programmable Analog Array)といったPLD(Programmable Logic Device)によって実現した構成としてもよい。
【0051】
記憶装置18は、演算装置19が実行するプログラム、演算装置19に入力されるデータ、演算装置19から出力されたデータなどを保持する機能を有する。
【0052】
記憶装置18として、不揮発性の記憶素子が適用された記憶装置を好適に用いることができる。記憶装置18として、例えば、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、PRAM(Phase change RAM)、ReRAM(Resistive RAM)、FeRAM(Ferroelectric RAM)などを用いることができる。
【0053】
【0054】
図3Aに示す電子機器10は、入出力装置21を有する。入出力装置21は、電子機器10の外部から情報を取得する機能と、外部に情報を出力する機能とを有する。また、入出力装置21は、演算装置19から情報を取得する機能と、演算装置19に情報を出力する機能とを有する。電子機器10の外部から取得する情報は、例えば、映像、音楽、ゲームなどのコンテンツがある。電子機器10の外部に出力する情報は、例えば、電子機器10で取得した使用者の感情がある。
【0055】
入出力装置21は、有線または無線のネットワークと通信することができ、当該ネットワークを介してサーバ23と情報の入出力を行うことができる。ネットワークにおいて無線通信を用いる場合、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信手段の他に、第3世代移動通信システム(3G)に準拠した通信手段、LTE(3.9Gと呼ぶ場合もある)に準拠した通信手段、第4世代移動通信システム(4G)に準拠した通信手段、または第5世代移動通信システム(5G)に準拠した通信手段などの様々な通信手段を用いることができる。
【0056】
筐体11について、
図4A乃至
図4Cを用いて説明する。
図4A乃至
図4Cは、筐体11の構成を示す外観図である。
図4Bは、表示装置13及び検出装置17と、筐体11との位置関係を示すため、表示装置13及び検出装置17をそれぞれ破線で示している。
【0057】
筐体11は、第1の部分12aと、第2の部分12bと、第3の部分12cと、第4の部分12dと、第5の部分12eと、を有する。なお、
図4A及び
図4Bは、第1の部分12aの反対側(使用者側)からの斜視図を示しており、
図4Cは、第1の部分12a側(使用者の反対側)からの斜視図を示している。
【0058】
第2の部分12bは、第1の部分12aと接続される。第3の部分12cは、第1の部分12aを介して第2の部分12bと接続される。第3の部分12cは、
図4A及び
図4Bの一点鎖線で示す空間41を有する。第4の部分12dは、第1の部分12a、第2の部分12b、及び第3の部分12cと接続される。第5の部分12eは、第1の部分12a、第2の部分12b、及び第3の部分12cと接続される。また、第1の部分12a乃至第5の部分12eは、互いに脱着できてもよい。なお、
図4A等では、第4の部分12dと第5の部分12eとが接続されない構成例を示しているが、本発明の一態様はこれに限られない。第4の部分12dと第5の部分12eとが接続されてもよい。
【0059】
図4Bに示すように、表示装置13は、第2の部分12bと第3の部分12cとの間に位置する。表示装置13は、第1の部分12a及び第5の部分12eのいずれか一以上に固定されてもよい。検出装置17は、第3の部分12cの空間41に設けられる。
【0060】
筐体11、表示装置13、検出装置17、演算装置19、記憶装置18、光学部材15L、及び光学部材15Rの位置関係について、
図2A、
図2B、
図5A、
図5B、
図6A及び
図6Bを用いて説明する。
【0061】
図5Aは、第1の部分12aの反対側(使用者側)から見た電子機器10の外観図である。
図5Bは、第4の部分12d側(使用者の左側)から見た電子機器10の外観図である。
図6Aは、第2の部分12b側(使用者の上側)から見た電子機器10の外観図である。
図6Bは、第3の部分12c側(使用者の下側)から見た電子機器10の外観図である。
図5A、
図5B、
図6A及び
図6Bでは、第1の部分12a、第2の部分12b、第3の部分12c、第4の部分12d、及び第5の部分12eを破線で示している。また、
図5B及び
図6Aは、使用者が電子機器10を装着した際の一例を示している。なお、
図5Bでは、図の明瞭化のために、検出装置17、記憶装置18及び演算装置19を省略している。
【0062】
検出装置17は、第3の部分12cに固定されることが好ましい。また、
図5B等に示すように、検出装置17は、筐体11から突出しないことが好ましい。検出装置17が筐体11から突出する場合、検出装置17と使用者または他の物体が干渉し、検出装置17が破損してしまう恐れがある。検出装置17を空間41に設け、筐体11から突出しないことで、検出装置17の破損を防ぐことができる。したがって、電子機器10の信頼性を高めることができる。また、電子機器10を小型にすることができるとともに、利便性及びデザイン性を高めることができる。
【0063】
空間41について、説明する。第4の部分12d側(使用者の左側)から見た空間41の拡大図を、
図7Aに示す。第3の部分12c側(使用者の下側)から見た空間41の拡大図を、
図7Bに示す。
【0064】
図5B、
図7A及び
図7Bに示すように、空間41は上部から下部に向かって幅が広くなる形状であることが好ましい。また、空間41の側面は、検出装置17が使用者の鼻または口の情報を取得しやすい角度であることが好ましい。
【0065】
筐体11と空間41の下底部がなす角の角度θ1は、120度以上170度以下が好ましく、さらには130度以上165度以下が好ましく、さらには135度以上160度以下が好ましく、さらには140度以上160度以下が好ましく、さらには145度以上155度以下が好ましく、さらには150度以上155度以下が好ましい。また、空間41の長さLBは、30mm以上100mm以下が好ましく、さらには40mm以上95mm以下が好ましく、さらには50mm以上90mm以下が好ましく、さらには60mm以上85mm以下が好ましく、さらには70mm以上80mm以下が好ましい。空間41の長さLHは、30mm以上100mm以下が好ましく、さらには40mm以上95mm以下が好ましく、さらには50mm以上90mm以下が好ましく、さらには60mm以上85mm以下が好ましく、さらには70mm以上80mm以下が好ましい。空間41を前述の形状とすることで、使用者の鼻と干渉しない位置に検出装置17を設けることができる。さらに、検出装置17を使用者の鼻または口の情報を取得しやすい角度に設けることができる。
【0066】
図5Bに示すように、筐体11は、使用者の口を覆わないことが好ましい。筐体が口を覆う構成とする場合、使用者が不快感または圧迫感を感じてしまう場合がある。本発明の一態様である電子機器10は、筐体11が使用者の口を覆うことなく、使用者の口の情報を取得することができる。
【0067】
図2A等では、検出装置17が筐体11の外側に位置する構成を示したが、本発明の一態様はこれに限られない。
図8Aに示すように、検出装置17を筐体11の内部に設けてもよい。検出装置17を筐体11の内部に設けることにより、使用者と検出装置17が干渉することを抑制でき、電子機器の信頼性を高めることができる。また、筐体11は、検出装置17と使用者との間に位置する開口(図示しない)を有してもよい。筐体11が当該開口を有することにより、検出装置17の検出精度を高めることができる。
【0068】
空間41の拡大図を、
図8Bに示す。筐体11と空間41の下底部がなす角の角度θ1は、前述の範囲とすることが好ましい。
【0069】
電子機器10は、検出装置17の位置及び角度を調整する調整機構を有してもよい。
図9A及び
図9Bは、電子機器10が調整機構45を有する構成を示している。調整機構45は、検出装置17の位置及び角度を調整する機能を有し、使用者に合わせてそれぞれの鼻及び口の状態を取得しやすくすることができる。調整機構45は、筐体11に固定されていることが好ましい。
【0070】
筐体11と検出装置17がなす角の角度θ2は、前述の角度θ1の範囲とすることが好ましい。角度θ2を前述の範囲とすることで、使用者の鼻と干渉しない位置に検出装置17を設けることができる。さらに、検出装置17を使用者の鼻または口の情報を取得しやすい角度に設けることができる。例えば、角度2θを小さくすることで、使用者の鼻の情報を取得しやすくできる。例えば、角度2θを大きくすることで、使用者の口の情報を取得しやすくできる。
【0071】
図2A等において、空間41に1つの検出装置17を設ける構成を示しているが、本発明の一態様はこれに限られない。空間41に複数の検出装置17を設けてもよい。空間41に検出装置17L及び検出装置17Rを設けた電子機器10の外観図を、
図10Aに示す。電子機器10の構成を示すブロック図を、
図10Bに示す。
図10Aは、第1の部分12aの反対側(使用者側)から見た電子機器10の外観図である。なお、
図10Aでは、第1の部分12a、第2の部分12b、第3の部分12c、第4の部分12d、及び第5の部分12eを破線で示している。
【0072】
例えば、空間41において、検出装置17Lを使用者の左側、検出装置17Rを使用者の右側に設けることができる。この場合、検出装置17Lは使用者の鼻の左側の情報を、検出装置17Rは鼻の右側の情報を取得することができる。また、検出装置17Lが使用者の口の右側の情報を、検出装置17Rが使用者の口の左側の情報を取得できるように、検出装置17L及び検出装置17Rを設ける角度を調整してもよい。
【0073】
検出装置17L及び検出装置17Rで取得された使用者データはそれぞれ、演算装置19に出力される。複数の検出装置を用いることで、使用者の感情をより高い精度で取得することができる。
【0074】
演算装置19、及び記憶装置18はそれぞれ、第2の部分12bと第3の部分12cとの間に位置する。演算装置19、及び記憶装置18はそれぞれ、第1の部分12a、第2の部分12b、第3の部分12c、第4の部分12d、第5の部分12eのいずれか一以上に固定されてもよい。なお、
図2A等において、演算装置19、及び記憶装置18が第5の部分12e側に位置する例を示しているが、本発明の一態様はこれに限られない。
【0075】
光学部材15L、及び光学部材15Rはそれぞれ、第2の部分12bと第3の部分12cとの間に位置する。光学部材15L、及び光学部材15Rはそれぞれ、第1の部分12a、第2の部分12b、第3の部分12c、第4の部分12d、第5の部分12eのいずれか一以上に固定されてもよい。
【0076】
図5B等に示すように、検出装置17は空間41に設けられる。また、電子機器10の使用時は、空間41に使用者の鼻が位置する。空間41は、上部から下部に向かって、幅が広くなる形状であることが好ましい。つまり、空間41は、第2の部分12b側から第3の部分12c側に向かって、幅が広くなる形状であることが好ましい。空間41がこのような形状を有することにより、空間41に設けられる検出装置17が、使用者の鼻または口周辺の情報を取得しやすくなる。
【0077】
電子機器10の使用中に使用者が興奮すると、体温が高くなるとともに、鼻息、および呼気の温度も高くなり、鼻、及び口周辺の環境の温度が高くなる場合がある。検出装置17として温度センサを用い、鼻、または口周辺の環境の温度を取得することで、使用者の興奮の程度を推定することができる。例えば、鼻、または口周辺の環境の温度が高いほど、使用者の興奮の程度が高いと推定することができる。
【0078】
電子機器10の使用中に使用者が興奮すると、体温が高くなるとともに、鼻、または口周辺の皮膚温度が高くなる場合がある。検出装置17として温度センサを用い、鼻、及び口周辺の皮膚温度を取得することで、使用者の興奮の程度を推定することができる。例えば、鼻、及び口周辺の皮膚温度が高いほど、使用者の興奮の程度が高いと推定することができる。
【0079】
電子機器10の使用中に使用者が興奮すると、呼吸が速くなるとともに、鼻息、および呼気によって鼻、または口周辺の環境の湿度が高くなる場合がある。検出装置17として湿度センサを用い、鼻、及び口周辺の環境の湿度を取得することで、使用者の興奮の程度を推定することができる。例えば、鼻、及び口周辺の環境の湿度が高いほど、使用者の興奮の程度が高いと推定することができる。
【0080】
電子機器10の使用中に使用者が興奮すると、声が大きくなる場合がある。検出装置17としてマイクを用い、使用者の声を取得することで、使用者の興奮の程度を推定することができる。例えば、使用者の声の音量が大きいほど、使用者の興奮の程度が高いと推定することができる。
【0081】
電子機器10の使用中に使用者が興奮すると、体温が高くなるとともに、発汗する場合がある。検出装置17として撮像装置を用いて鼻、または鼻の下を撮像し、鼻、または鼻の下の発汗の状態を取得することで、使用者の興奮の程度を推定することができる。例えば、鼻、または鼻の下の発汗量が多いほど、使用者の興奮の程度が高いと推定することができる。
【0082】
電子機器10を使用中に、使用者の感情の種類やその程度が変化する場合がある。検出装置17として撮像装置を用いて口を撮像し、口の形を取得することで、使用者の感情の種類やその程度を推定することができる。
【0083】
なお、検出装置17として撮像装置を用いる場合、検出装置17は光源(図示せず)を有してもよい。光源を有することにより、光源から発せられた光が使用者の顔で反射し、当該反射光を検出装置17が検出することができる。例えば、光源は赤色光を発する機能を有し、撮像装置は赤色光を検出する機能を有することが好ましい。例えば、光源は近赤外光を発する機能を有し、撮像装置は近赤色光を検出する機能を有することが好ましい。例えば、光源は中赤外光を発する機能を有し、撮像装置は中赤色光を検出する機能を有することが好ましい。例えば、光源は遠赤外光を発する機能を有し、撮像装置は遠赤外光を検出する機能を有することが好ましい。これにより、電子機器10は、使用者の発汗状態や口の形を精度高く取得することができる。
【0084】
本明細書等において、赤外光とは、例えば波長が0.7μm以上1000μm以下の光を示す。また、近赤外光とは、例えば波長が0.7μm以上2.5μm以下の光を示し、中赤外光とは、例えば波長が2.5μm以上4μm以下の光を示す。さらに、遠赤外光とは、例えば波長が4μm以上1000μm以下の光を示す。なお、近赤外光、中赤外光、又は遠赤外光を、単に赤外光という場合がある。また、本明細書等において、赤色光とは、例えば波長が0.6μm以上0.75μm以下の光を示す。
【0085】
本発明の一態様である電子機器10は、検出装置17を有することで、使用者の興奮の程度、及び使用者の感情の種類やその程度を取得することができる。なお、本明細書等において、使用者の興奮の程度、及び使用者の感情の種類やその程度を総称して、使用者の感情と記す場合がある。また、本発明の一態様である電子機器10は、使用者の感情に応じた情報を表示装置13に表示させることができる。使用者の分身となるキャラクター(アバターともいう)に使用者の感情に応じた表情をさせて、表示装置13に表示させてもよい。使用者は自身の感情を認識することができ、没入感を高めることができる。また、使用者は、自身の感情を認識することで、休憩をとるなどの選択をすることもできる。
【0086】
図5Bに示すように、検出装置17が筐体11の外側に位置する構成とすることができる。この場合、検出装置17は、筐体11と使用者の鼻との間に位置する。検出装置17が筐体11の外側に位置する構成とすることで、使用者と検出装置17との間に筐体11が無いため、検出装置17の検出精度を高めることができる。
【0087】
第2の部分12bの第1の部分12aと反対側の領域は、使用者の額に接触する部分である。また、第3の部分12cの第1の部分12aと反対側の領域は、使用者の頬に接触する部分である。当該領域はそれぞれ、曲線状の形状を有することが好ましく、特に、第1の部分12a側に向かって円弧状の形状を有することが好ましい。当該領域が曲線状または円弧状の形状を有することにより、使用者の額または頬に第2の部分12bを密着させることができる。したがって、電子機器10の外部からの光漏れが抑制され、使用者は没入感をより高めることができる。なお、電子機器10の筐体11の形状は、
図2A等に示す構成に限定されない。
【0088】
光学部材15L、及び光学部材15Rはそれぞれ、表示装置13と重なる領域を有し、表示装置13と使用者との間に位置する。使用者は、光学部材15L及び光学部材15Rを通して、表示装置13に表示された画像を視認することができる。
図2A等では、左目用の光学部材15L、及び右目用の光学部材15Rを示している。光学部材15L及び光学部材15Rはそれぞれ、表示装置13に表示される画像を使用者に対して拡大投影する機能を有する。光学部材15L及び光学部材15Rとして、例えば、凸レンズを用いることができる。なお、
図2A等では光学部材15L及び光学部材15Rをそれぞれ1枚の凸レンズで示しているが、形状は特に限定されず、複数の光学部材を組みあわせて用いてもよい。
【0089】
光学部材15L及び光学部材15Rの材料として、例えば、プラスチック、またはガラスを用いることができる。プラスチックは、可視光に対する透過性が高い材料であることが好ましく、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、カーボン樹脂、アリル樹脂を用いることができる。また、これらのプラスチックに原子屈折の大きいハロゲン、芳香族環、または硫黄を添加した材料を用いることで、光学部材15L及び光学部材15Rの屈折率を高めることができる。当該ハロゲンとして、例えば、塩素、臭素、ヨウ素のいずれか一以上を用いることが好ましい。
【0090】
<電子機器の構成例2>
図2A等では、電子機器10が1つの表示装置を有する構成例を示したが、本発明の一態様はこれに限られない。本発明の一態様である電子機器は、複数の表示装置を有してもよい。2つの表示装置を有する電子機器10aの構成例を、
図11A及び
図11Bに示す。
図11Aは、電子機器10aの外観を説明する斜視図である。
図11Bは、第2の部分12b側から見た電子機器10aの外観を示している。
図11A及び
図11Bでは、筐体11を破線で示している。また、
図11Bは、使用者が電子機器10aを装着した際の一例を示している。
【0091】
図11A及び
図11Bに示す電子機器10aは、表示装置13L及び表示装置13Rを有する。電子機器10aが表示装置13L及び表示装置13Rを有することで、使用者は片方の目につき1つの表示装置に表示される画像を見ることができる。これにより、視差を用いた3次元表示等を行う際であっても、高い解像度の映像を表示することができる。
【0092】
電子機器10aの構成例を示すブロック図を、
図12に示す。演算装置19で生成される表示データは、表示装置13L、及び表示装置13Rにそれぞれ異なるデータとして出力される。
【0093】
図13に示すように、電子機器10aはさらに、セパレータ29を有してもよい。セパレータ29は、表示装置13L及び表示装置13Rの表示面と直交するように設けられることが好ましい。また、セパレータ29は、表示装置13L及び表示装置13Rよりも使用者側に設けられることが好ましい。セパレータ29によって、左右の目の視界を分離することにより、左右の目で視認する表示を異ならせ、両眼視差を生じさせることができる。この両眼視差によって、使用者に立体的な視認を感じさせることができる。
【0094】
図2A等では、電子機器が有する表示装置が平面である構成例を示したが、本発明の一態様はこれに限られない。本発明の一態様である電子機器が有する表示装置は、湾曲していてもよい。湾曲している表示装置を有する電子機器10bの構成例を、
図14A及び
図14Bに示す。
図14Aは、電子機器10bの外観を説明する斜視図である。
図14Bは、第2の部分12b側から見た電子機器10bの外観を示している。
図14A及び
図14Bでは、筐体11を破線で示している。また、
図14Bは、使用者が電子機器10bを装着した際の一例を示している。
【0095】
図14A及び
図14Bでは、表示装置13L、及び表示装置13Rがそれぞれ、使用者の目を概略中心とした円弧状に湾曲している構成を示している。これにより、使用者の目から表示部の表示面までの距離が一定となるため、使用者はより自然な映像を見ることができる。また、表示部からの光の輝度や色度が見る角度によって変化してしまうような場合であっても、表示部の表示面の法線方向に使用者の目が位置するため、実質的にその影響を無視することができるため、より現実感のある映像を表示することができる。
【0096】
<電子機器の構成例3>
前述の電子機器10、及び電子機器10aと異なる構成例を、
図15に示す。
図15は、電子機器10bの外観を説明する斜視図である。
【0097】
図15に示すように、電子機器10bは、筐体11と、検出装置17と、演算装置19、記憶装置18と、を有する。筐体11は下部に空間41を有し、空間41に検出装置17が設けられる。電子機器10bは、表示装置13を有さない点で前述の電子機器10及び電子機器10aと主に異なる。電子機器10bはさらに、光学部材15L、及び光学部材15Rを有してもよい。
【0098】
図16A及び
図16Bに示すように、電子機器10bは、表示部を有する別の電子機器と組み合わせて用いることができる。当該別の電子機器として、例えば、スマートフォン、携帯型ゲーム機などの電子機器を用いることができる。当該別の電子機器は、電子機器10bが有するコネクタ(図示せず)を介して、演算装置19と接続する。
【0099】
図16A及び
図16Bには、電子機器31として用いることができるスマートフォンの構成例を示している。電子機器31は、表示部33を有し、開口部43を介して電子機器10bの内部に取り付けることで、
図2Aにおける表示装置13と同様に機能することができる。
【0100】
なお、
図15及び
図16Aでは、第2の部分12bが開口部43を有する構成を示しているが、本発明の一態様はこれに限られない。開口部43は、第1の部分12a乃至第5の部分12eのいずれか一以上に設けてもよい。また、電子機器10bは、開口部43を有さなくてもよい。一部の部分が脱着できる構成とし、当該部分を取り外すことで電子機器31を電子機器10bの内部に取り付けることができる。例えば、第1の部分12aが脱着できる構成とすることで、使用者は第1の部分12aを取り外して電子機器31を電子機器10bの内部に取り付けることができる。開口部43を有さないことで、電子機器10b内に外部の光が入ることを抑制できる。
【0101】
<使用者の感情推定>
使用者の感情を推定する方法を説明する。ここでは、使用者の口を含む部分の画像を用いる例を挙げて、説明する。
【0102】
演算装置19の構成の一例を示すブロック図を、
図17に示す。演算装置19は、特徴抽出部53と、推定部54と、情報生成部55と、を有する。
【0103】
特徴抽出部53は、検出装置17から出力された使用者の口を含む部分の画像から特徴点を抽出し、そして特徴点の位置から特徴量を算出し、特徴量を推定部54に出力する機能を有する。
【0104】
検出装置17が取得する情報が口を含む部分の画像である場合、例えば、特徴点として上唇の上端、下唇の下端、右の口角、及び左の口角を用いることができる。
【0105】
特徴抽出部53による特徴抽出の手法として、様々なアルゴリズムを適用することができる。特徴抽出部53は、例えば、SIFT(Scaled Invariant Feature Transform)、SURF(Speeded Up Robust Features)、HOG(Histograms of Oriented Gradients)等のアルゴリズムを用いることができる。
【0106】
特徴抽出部53による特徴抽出には、ニューラルネットワークを用いることができる。特徴抽出部53に用いることのできるニューラルネットワークNN1の模式図を、
図18Aに示す。ニューラルネットワークNN1は、入力層61、中間層62、及び出力層63を有する。なお、
図18Aでは、特徴抽出部53が中間層62を3つ有する構成を示しているが、本発明の一態様がこれに限られない。特徴抽出部53は、1つ以上の中間層62を有する構成であればよい。
【0107】
ニューラルネットワークNN1には、データ71が入力される。データ71として、例えば、検出装置17で撮像された画像データを用いることができる。データ71は、各画素の座標と、階調値を含む。ニューラルネットワークNN1からは、データ72が出力される。データ72は、前述した特徴点を含むデータである。
【0108】
ニューラルネットワークNN1は、画像データ等のデータ71から、上述した特徴点を抽出し、その座標を出力するように、あらかじめ学習されている。ニューラルネットワークNN1では、中間層62で様々なフィルタを用いたエッジ処理等を行うことで、上述した特徴点の存在する座標に対応する出力層63のニューロン値が高くなるよう、学習されている。
【0109】
推定部54は、特徴抽出部53から入力される特徴点の情報から、電子機器10の使用者の感情を推定し、推定した情報を情報生成部55に出力する機能を有する。推定部54による推定には、ニューラルネットワークを用いることができる。
【0110】
推定部54に用いることのできるニューラルネットワークNN2の模式図を、
図18Bに示す。
図18Bでは、推定部54が、電子機器10の使用者の感情を推定する場合を示している。また、ニューラルネットワークNN2が、概ねニューラルネットワークNN1と同様の構成を有する例を示している。なお、ニューラルネットワークNN2の入力層61のニューロンの数は、ニューラルネットワークNN1よりも少なくすることができる。
【0111】
ニューラルネットワークNN2には、特徴抽出部53が生成したデータ72が入力される。データ72は、抽出した特徴点の座標に係る情報を含む。
【0112】
ニューラルネットワークNN2に入力されるデータとして、データ72を加工したデータを用いてもよい。例えば、任意の2つの特徴点間を結ぶベクトルを算出し、これを全ての特徴点、又は一部の特徴点について求めたものを、ニューラルネットワークNN2に入力するデータとしてもよい。また、算出したベクトルを正規化したデータとしてもよい。なお、以下では、ニューラルネットワークNN1が出力するデータ72を加工したデータも、データ72と表記する。
【0113】
データ72が入力されたニューラルネットワークNN2からは、データ73が出力される。データ73は、出力層63の各ニューロンから出力されるニューロン値に相当する。出力層63の各ニューロンは、それぞれ1つの感情に紐付けされている。
図18Bに示すように、データ73は、所定の感情(喜び、楽しさ、驚き、嫌悪等)に対応するニューロンのニューロン値が含まれたデータである。
【0114】
ニューラルネットワークNN2は、データ72から、各感情の程度を推定し、ニューロン値として出力するように、あらかじめ学習されている。ニューラルネットワークNN2により、使用者の口の形から使用者の感情を推定することができる。
【0115】
図18Cは、データ73について模式的に示した図である。各感情に対応するニューロン値の高さは、推定された感情の程度の高さを示している。また、推定部54は、推定された感情の程度から、別の感情の程度を推定してもよい。当該別の感情の程度を含むデータを、データ74とする。
図18Cでは、喜び、楽しさ、驚き、嫌悪等の感情の程度から、興味という感情の程度を推定する場合を示している。
【0116】
データ74に含まれる興味という感情の程度は、例えばデータ73に含まれる喜び、楽しさ、驚き、嫌悪等の感情の程度を所定の式に入力することにより推定することができる。例えば、喜び、楽しさ、驚きの感情の程度が大きいほど興味の感情の程度を大きくし、嫌悪の感情の程度が大きいほど興味の感情の程度が小さくなるように、式を設定することができる。
【0117】
なお、感情の推定は、ニューラルネットワークを用いずに行うこともできる。例えば、検出装置17で取得した、使用者の口を含む部分の画像と、テンプレート画像とを比較して、その類似度を用いるテンプレートマッチング法やパターンマッチング法等により行ってもよい。その場合、特徴抽出部53を有さない構成とすることもできる。
【0118】
情報生成部55は、推定部54で推定した感情に基づいて、使用者に提示する情報を決定又は生成し、表示装置13に出力する機能を有する。これにより、表示装置13は、情報生成部55で生成された情報に対応する情報を提示することができる。
【0119】
なお、特徴抽出部53から出力されたデータ72を、推定部54に入力せずに、情報生成部55に直接入力してもよい。例えば、推定部54による推定を行わなくても、特徴抽出部53による特徴点の抽出により使用者の感情を検出することができる。このような場合は、特徴抽出部53から出力されたデータ72を情報生成部55に直接入力することにより、電子機器10の消費電力を低減することができる。
【0120】
データ71として用いることができる使用者の口を含む部分の画像の例を、
図19A1乃至
図19A4に示す。
図19A1乃至
図19A4はそれぞれ、使用者の感情が“喜び”の程度が高い状態、“楽しい”の程度が高い状態、“驚き”の程度が高い状態、“嫌悪”の程度が高い状態の口を含む部分の画像の例を示している。
図19B1乃至
図19B4はそれぞれ、
図19A1乃至
図19A4に示した口を含む部分の画像の特徴点を抽出した例を示している。
図19B1乃至
図19B4では、上唇の上端LP
TL、LP
T、LP
TR、下唇の下端LP
BL、LP
B、LP
BR、右の口角LP
R、及び左の口角LP
Lを特徴点として抽出した例を示している。特徴抽出部53は、これらの特徴点を抽出し、特徴点の情報を推定部54に出力する。推定部54は、特徴点の情報から使用者の感情を推定し、使用者の感情の情報を情報生成部55に出力する。情報推定部は、使用者の感情の情報から使用者に提示する情報を決定又は生成し、使用者に提示する情報を表示装置13に出力する。そして、表示装置13は、使用者に提示する情報を表示させることができる。
【0121】
<使用者に提示する情報の例>
以下では、電子機器に提示する使用者の情報の一例について、説明する。
【0122】
【0123】
図20A及び
図20Bはそれぞれ、表示された画像に重ねて、視界の左下に使用者の興奮の程度を模した情報81及び情報82が提示されている。
【0124】
図20Aに示す情報81は、使用者データから使用者の興奮の程度が高いと判断された例を示している。例えば、使用者の鼻または口周辺の環境の温度が所定の温度以上、鼻または口周辺の皮膚温度が所定の温度以上、鼻または口周辺の環境の湿度が所定の湿度以上、声の音量が所定の音量以上、もしくは、鼻または鼻の下の発汗量が所定の量以上である場合は、使用者の興奮の程度が高いと判断することができる。
【0125】
情報81として、使用者データを提示してもよい。例えば、使用者の鼻または口周辺の環境の温度を情報81として提示することができる。例えば、声の音量を情報81として提示することができる。
【0126】
図20Bに示す情報82は、使用者データから使用者の興奮の程度が低いと判断された例を示している。例えば、使用者の鼻または口周辺の環境の温度が所定の温度未満、鼻または口周辺の皮膚温度が所定の温度未満、鼻または口周辺の環境の湿度が所定の湿度未満、声の音量が所定の音量未満、もしくは、鼻または鼻の下の発汗量が所定の量未満である場合は、使用者の興奮の程度が低いと判断することができる。
【0127】
以上のように、使用者の興奮の程度を使用者に提示することで、使用者は自身の興奮の程度を認識することができ、没入感を高めることができる。または、使用者は自身の興奮の程度を認識することで、休憩を取るなどの選択をすることができる。
【0128】
図21A及び
図21Bはそれぞれ、表示された画像に重ねて、視界の左下にキャラクターを模した情報91及び情報92が提示されている。
【0129】
図21Aは、使用者の感情が“楽しさ”の程度が高いと判断された例を示している。例えば、
図18Cにおいて、“楽しさ”のニューロン値が、最も高い場合に相当する。また、
図21Aは、使用者の興味の程度が高いと判断された例を示している。例えば、
図18Cにおいて、値が、しきい値Th2を超えた場合に相当する。
【0130】
図21Bは、使用者の感情が“喜び”、“楽しさ”、“驚き”、“嫌悪”の程度がいずれも低いと判断された例を示している。例えば、
図18Cにおいて、全てのニューロン値が、しきい値Th1を超えない場合に相当する。また、
図21Bは、使用者の興味の程度が低いと判断された例を示している。例えば、
図18Cにおいて、値が、しきい値Th2を超えない場合に相当する。
【0131】
図18Cにおいて、使用者の感情が“喜び”の程度が高いと判断された場合は、例えば、
図21Cに示す情報93を提示することができる。使用者の感情が“驚き”の程度が高いと判断された場合は、例えば、
図21Dに示す情報94を提示することができる。使用者の感情が“嫌悪”の程度が高いと判断された場合は、例えば、
図21Eに示す情報95を提示することができる。
【0132】
図21A及び
図21Bでは、1つの情報を提示する例を示したが、本発明の一態様はこれに限られない。表示された画像に重ねて、複数の情報を提示してもよい。例えば、
図18Cにおいて、“楽しさ”及び“驚き”のニューロン値がしきい値Th1を超えた場合は、それぞれに対応する情報を提示することができる。例えば、情報91及び情報94の一以上を提示することができる。
【0133】
以上のように、推定された使用者の感情に応じて、その感情を反映した表情を有するキャラクターを使用者に提示することで、使用者は自身の感情を認識することができ、没入感を高めることができる。または、使用者は、自身が認識していない感情に気づくことができる。なお、ここではキャラクターの表情を用いて感情の情報をユーザーに提示する方法を説明したが、これに限られず、感情の種類やその程度を可視化した画像であれば、様々な画像を用いることができる。
【0134】
<筐体の構成例>
本発明の一態様である電子機器において、筐体11は使用者の鼻に位置する空間41を有していればよく、構成、及び空間41以外の部分の形状は特に限定されない。
【0135】
【0136】
図22Aは、筐体11が、第1のパーツ11a乃至第5のパーツ11eを有する例を示している。
図22Aは、
図4A乃至
図4Cに示す第1の部分12a乃至第5の部分12eがそれぞれ、第1のパーツ11a乃至第5のパーツ11eに相当する構成を示している。第1のパーツ11a乃至第5のパーツ11eは、互いに連結して筐体11を構成する。また、第1のパーツ11a乃至第5のパーツ11eのいずれか一以上は、筐体11から脱着可能であってもよい。
【0137】
図22Bは、筐体11が、第4のパーツ11d、第5のパーツ11e及び第6のパーツ11fを有する例を示している。
図22Bは、
図4A乃至
図4Cに示す第1の部分12a乃至第3の部分12cが一体になった第6のパーツ11fを有する構成を示している。第4のパーツ11d、第5のパーツ11e及び第6のパーツ11fは、互いに連結して筐体11を構成する。また、第4のパーツ11d、第5のパーツ11e及び第6のパーツ11fのいずれか一以上は、筐体11から脱着可能であってもよい。
【0138】
図22Cは、筐体11が、第1のパーツ11a及び第7のパーツ11gを有する例を示している。
図22Cは、
図4A乃至
図4Cに示す第2の部分12b乃至第5の部分12eが一体になった第7のパーツ11gを有する構成を示している。第1のパーツ11a及び第7のパーツ11gは、互いに連結して筐体11を構成する。また、第1のパーツ11a及び第7のパーツ11gのいずれかは、筐体11から脱着可能であってもよい。
【0139】
図23Aは、筐体11が、第2のパーツ11b、第3のパーツ11c及び第8のパーツ11hを有する例を示している。
図23Aは、
図4A乃至
図4Cに示す第1の部分12a、第4の部分12d及び第5の部分12eが一体になった第8のパーツ11hを有する構成を示している。第2のパーツ11b、第3のパーツ11c及び第8のパーツ11hは、互いに連結して筐体11を構成する。また、第2のパーツ11b、第3のパーツ11c及び第8のパーツ11hのいずれか一以上は、筐体11から脱着可能であってもよい。
【0140】
図23Bは、筐体11が、第3のパーツ11c及び第9のパーツ11iを有する例を示している。
図23Bは、
図4A乃至
図4Cに示す第1の部分12a、第2の部分12b、第4の部分12d及び第5の部分12eが一体になった第7のパーツ11gを有する構成を示している。第3のパーツ11c及び第9のパーツ11iは、互いに連結して筐体11を構成する。また、第3のパーツ11c及び第9のパーツ11iのいずれかは、筐体11から脱着可能であってもよい。
【0141】
【0142】
複数のパーツを連結して筐体11を構成することにより、電子機器10に設けられる部品(演算装置19など)の装填を容易にすることができる。例えば、第1のパーツ11a乃至第5のパーツ11eを有する筐体11の場合、第1のパーツ11a乃至第5のパーツ11eのそれぞれに部品を装填し、その後に、第1のパーツ11a乃至第5のパーツ11eを連結させることができ、第1のパーツ11a乃至第5のパーツ11eを連結させてから部品を装填する場合より生産性を高めることができる。また、一部のパーツを筐体11から脱着可能とすることにより、例えば、故障時に部品を容易に交換することができる。
【0143】
筐体11の形状は、
図2A等に示した形状に特に限定されない。筐体11を構成するそれぞれの部分が曲面を有してもよい。曲面を有する筐体11の例を、
図24Aに示す。筐体11が曲面を有することで、本発明の一態様である電子機器のデザイン性を高めることができる。また、筐体11が曲面を有し、角部を少なくすることで、使用者が接触しても負傷を防ぐことができ、本発明の一態様である電子機器の安全性を高めることができる。
【0144】
本発明の一態様である電子機器は、
図24Bに示すように固定具25を有してもよい。固定具25を有することにより、使用者の頭部に筐体11を固定することができる。なお、
図24Bでは、固定具25をバンド状の形状で示しているが、本発明の一態様はこれに限られない。また、
図24Bでは、留め具27により固定具25の一端を筐体11に固定した構成を示しているが、別の構成としてもよい。例えば、留め具27を有さない構成としてもよい。
【0145】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0146】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器に適用することができる表示装置、光源、撮像装置等について説明する。
【0147】
<表示装置の構成例1>
本発明の一態様の電子機器に適用することができる表示装置の構成例を示すブロック図を、
図25に示す。
図25に示す表示装置810は、層820と、層820の上方に積層された層830を有する。層820はゲートドライバ回路821と、ソースドライバ回路822と、回路840と、を有する。層830は画素834を有し、画素834がマトリクス状に配列されて画素アレイ833が構成されている。層820と層830の間には、層間絶縁体を設けることができる。なお、層830の上方に層820を積層して設けてもよい。
【0148】
回路840は、ソースドライバ回路822と電気的に接続されている。なお、回路840は、その他の回路等と電気的に接続されていてもよい。
【0149】
同一行の画素834は、配線831を介してゲートドライバ回路821と電気的に接続され、同一列の画素834は、配線832を介してソースドライバ回路822と電気的に接続されている。配線831は、走査線としての機能を有し、配線832は、データ線としての機能を有する。
【0150】
なお、
図25では、1行の画素834が1本の配線831によって電気的に接続され、1列の画素834が1本の配線832によって電気的に接続されている構成を示しているが、本発明の一態様はこれに限らない。例えば、1行の画素834が2本以上の配線831によって電気的に接続されていてもよいし、1列の画素834が2本以上の配線832によって電気的に接続されていてもよい。つまり、例えば1個の画素834が、2本以上の走査線と電気的に接続されていてもよいし、2本以上のデータ線と電気的に接続されていてもよい。また、例えば1本の配線831が、2行以上の画素834と電気的に接続されていてもよいし、1本の配線832が2列以上の画素834と電気的に接続されていてもよい。つまり、例えば1本の配線831を2行以上の画素834で共有してもよいし、1本の配線832を2列以上の画素834で共有してもよい。
【0151】
ゲートドライバ回路821は、画素834の動作を制御するための信号を生成し、配線831を介して当該信号を画素834に供給する機能を有する。ソースドライバ回路822は、画像信号を生成し、配線832を介して当該信号を画素834に供給する機能を有する。回路840は、例えば、ソースドライバ回路822が生成する画像信号の基となる画像データを受信し、受信した画像データをソースドライバ回路822に供給する機能を有する。また、回路840は、スタートパルス信号及びクロック信号等を生成する、制御回路としての機能を有する。その他、回路840は、ゲートドライバ回路821及びソースドライバ回路822が有さない機能を有する回路とすることができる。
【0152】
画素アレイ833は、ソースドライバ回路822が画素834に供給した画像信号に対応する画像を表示する機能を有する。具体的には、上記画像信号に対応する輝度の光を画素834から射出することにより、画素アレイ833に画像が表示される。
【0153】
図25では、層820と層830の位置関係を一点鎖線及び白抜き丸印で示しており、一点鎖線で結ばれた、層820の白抜き丸印と層830の白抜き丸印が互いに重なっている。なお、他の図においても、同様の表記を行う。
【0154】
表示装置810は、層820に設けられたゲートドライバ回路821及びソースドライバ回路822が、画素アレイ833と重なる領域を有している。例えば、ゲートドライバ回路821及びソースドライバ回路822は、画素834と重なる領域を有している。ゲートドライバ回路821及びソースドライバ回路822と、画素アレイ833と、を、互いに重なる領域を有するように積層して設けることで、表示装置810を狭額縁化することができ、また小型化することができる。
【0155】
ゲートドライバ回路821とソースドライバ回路822は、明確に分離されず、重なる領域を有する。当該領域を、領域823とする。領域823を有することにより、ゲートドライバ回路821及びソースドライバ回路822の占有面積を小さくすることができる。よって、画素アレイ833の面積が小さい場合であっても、ゲートドライバ回路821及びソースドライバ回路822を、画素アレイ833からはみ出すことなく設けることができる。又は、ゲートドライバ回路821及びソースドライバ回路822の、画素アレイ833と重ならない領域の面積を小さくすることができる。以上より、領域823を有さない場合よりさらに狭額縁化することができ、また小型化することができる。
【0156】
回路840は、画素アレイ833と重ならないように設けることができる。なお、回路840を、画素アレイ833と重なる領域を有するように設けてもよい。
【0157】
図25には、層820にゲートドライバ回路821及びソースドライバ回路822が1個ずつ設けられ、層830に画素アレイ833が1個設けられた構成例を示しているが、層830に画素アレイ833を複数設けてもよい。つまり、層830に設けられた画素アレイを分割してもよい。
【0158】
図25には、層820に回路840を設ける構成例を示しているが、層820に回路840を設けなくてもよい。
図26は、
図25に示す構成の変形例であり、層830に回路840が設けられる場合の、表示装置810の構成例を示している。なお、回路840を構成する要素を、層820と層830に分散して設けてもよい。
【0159】
<画素834の構成例>
図27A乃至
図27Eは、表示装置810に設けられる画素834が呈する色について説明する図である。
図27Aに示すように、赤色光(R)を射出する機能を有する画素834、緑色光(G)を射出する機能を有する画素834、及び青色光(B)を射出する機能を有する画素834を、本発明の一態様である電子機器の表示装置に設けることができる。又は、
図27Bに示すように、シアン(C)の光を射出する機能を有する画素834、マゼンタ(M)の光を射出する機能を有する画素834、及び黄色(Y)の光を射出する機能を有する画素834が表示装置810に設けられていてもよい。
【0160】
図27Cに示すように、赤色光(R)を射出する機能を有する画素834、緑色光(G)を射出する機能を有する画素834、青色光(B)を射出する機能を有する画素834、及び白色光(W)を射出する機能を有する画素834が表示装置810に設けられていてもよい。又は、
図27Dに示すように、赤色光(R)を射出する機能を有する画素834、緑色光(G)を射出する機能を有する画素834、青色光(B)を射出する機能を有する画素834、及び黄色(Y)の光を射出する機能を有する画素834が表示装置810に設けられていてもよい。又は、
図27Eに示すように、シアン(C)の光を射出する機能を有する画素834、マゼンタ(M)の光を射出する機能を有する画素834、黄色(Y)の光を射出する機能を有する画素834、及び白色光(W)を射出する機能を有する画素834が表示装置810に設けられていてもよい。
【0161】
図27C、
図27Eに示すように、白色光(W)を射出する機能を有する画素834を表示装置810に設けることで、表示される画像の輝度を高めることができる。また、
図27D等に示すように、画素834が射出する色の種類を増やすことで、中間色の再現性を高めることができるため、表示品位を高めることができる。
【0162】
なお、
図27Fに示すように、表示装置810は、赤色光(R)を射出する機能を有する画素834、緑色光(G)を射出する機能を有する画素834、及び青色光(B)を射出する機能を有する画素834の他、赤外光(IR)を射出する機能を有する画素834を有してもよい。又は、
図27Gに示すように、表示装置810は、シアン(C)の光を射出する機能を有する画素834、マゼンタ(M)の光を射出する機能を有する画素834、黄色(Y)の光を射出する機能を有する画素834の他、赤外光(IR)を射出する機能を有する画素834を有してもよい。また、表示装置810は、
図27F、
図27Gに示す画素834の他、白色光(W)を射出する機能を有する画素834を有してもよい。
【0163】
図28A、
図28Bは、画素834の構成例を示す回路図である。
図28Aに示す構成の画素834は、トランジスタ552と、トランジスタ554と、容量素子562と、発光デバイス572と、を有する。発光デバイス572として、例えばエレクトロルミネッセンスを利用するELデバイスを適用することができる。ELデバイスは、一対の電極の間に発光性の化合物を含む層(以下、EL層ともいう。)を有する。一対の電極間に、ELデバイスのしきい値電圧よりも大きい電位差を生じさせると、EL層に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0164】
ELデバイスは、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機ELデバイス、後者は無機ELデバイスと呼ばれている。
【0165】
有機ELデバイスは、電圧を印加することにより、一方の電極から電子、他方の電極から正孔がそれぞれEL層に注入される。そして、それらキャリア(電子及び正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光デバイスは、電流励起型の発光デバイスと呼ばれる。
【0166】
なお、EL層は、発光性の化合物以外に、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を有していてもよい。
【0167】
EL層は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0168】
無機ELデバイスは、そのデバイス構成により、分散型無機ELデバイスと薄膜型無機ELデバイスとに分類される。分散型無機ELデバイスは、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー-アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機ELデバイスは、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。
【0169】
発光デバイスは発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透明であればよい。そして、基板上にトランジスタ及び発光デバイスを形成し、当該基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出(トップエミッション)構造、基板側の面から発光を取り出す下面射出(ボトムエミッション)構造、及び両面から発光を取り出す両面射出(デュアルエミッション)構造の発光デバイスがあり、どの射出構造の発光デバイスも適用することができる。
【0170】
なお、発光デバイス572以外の発光デバイスについても、発光デバイス572と同様のデバイスを用いることができる。
【0171】
トランジスタ552のソース又はドレインの一方は、配線832と電気的に接続されている。トランジスタ552のソース又はドレインの他方は、容量素子562の一方の電極、及びトランジスタ554のゲートと電気的に接続されている。容量素子562の他方の電極は、配線835aと電気的に接続されている。トランジスタ552のゲートは、配線831と電気的に接続されている。トランジスタ554のソース又はドレインの一方は、配線835aと電気的に接続されている。トランジスタ554のソース又はドレインの他方は、発光デバイス572の一方の電極と電気的に接続されている。発光デバイス572の他方の電極は、配線835bと電気的に接続されている。配線835aには電位VSSが供給され、配線835bには電位VDDが供給される。配線835a及び配線835bは、電源線としての機能を有する。
【0172】
図28Aに示す構成の画素834では、トランジスタ554のゲートに供給される電位に応じて、発光デバイス572に流れる電流が制御されることにより、発光デバイス572からの発光輝度が制御される。
【0173】
図28Aに示す構成の画素834と異なる構成を
図28Bに示す。
図28Bに示す構成の画素834において、トランジスタ552のソース又はドレインの一方は、配線832と電気的に接続されている。トランジスタ552のソース又はドレインの他方は、容量素子562の一方の電極、及びトランジスタ554のゲートと電気的に接続されている。トランジスタ552のゲートは、配線831と電気的に接続されている。トランジスタ554のソース又はドレインの一方は、配線835aと電気的に接続されている。トランジスタ554のソース又はドレインの他方は、容量素子562の他方の電極、及び発光デバイス572の一方の電極と電気的に接続されている。発光デバイス572の他方の電極は、配線835bと電気的に接続されている。配線835aには電位VDDが供給され、配線835bには電位VSSが供給される。
【0174】
図29Aは、画素834の構成例であり、メモリを有する点が
図28A及び
図28Bに示す構成の画素834と異なる。
図29Aに示す構成の画素834は、トランジスタ511、トランジスタ513、トランジスタ521、容量素子515、容量素子517、及び発光デバイス572を有する。また画素834には、走査線としての機能を有する配線831として配線831_1及び配線831_2が電気的に接続され、データ線としての機能を有する配線832として配線832_1及び配線832_2が電気的に接続されている。
【0175】
トランジスタ511のソース又はドレインの一方は、配線832_1と電気的に接続されている。トランジスタ511のソース又はドレインの他方は、容量素子515の一方の電極と電気的に接続されている。トランジスタ511のゲートは、配線831_1と電気的に接続されている。トランジスタ513のソース又はドレインの一方は、配線832_2と電気的に接続されている。トランジスタ513のソース又はドレインの他方は、容量素子515の他方の電極と電気的に接続されている。トランジスタ513のゲートは、配線831_2と電気的に接続されている。容量素子515の他方の電極は、容量素子517の一方の電極と電気的に接続されている。容量素子517の一方の電極は、トランジスタ521のゲートと電気的に接続されている。トランジスタ521のソース又はドレインの一方は、発光デバイス572の一方の電極と電気的に接続されている。容量素子517の他方の電極は、配線535と電気的に接続されている。トランジスタ521のソース又はドレインの他方は、配線537と電気的に接続されている。発光デバイス572の他方の電極は、配線539と電気的に接続されている。
【0176】
本明細書等において、発光デバイスに供給される電圧とは、当該発光デバイスの一方の電極に印加される電位と、当該発光デバイスの他方の電極に印加される電位と、の差を示す。
【0177】
トランジスタ511のソース又はドレインの他方と、容量素子515の一方の電極と、が電気的に接続されたノードをノードN1とする。トランジスタ513のソース又はドレインの他方と、容量素子517の一方の電極と、トランジスタ521のゲートと、が電気的に接続されたノードをノードN2とする。また、
図29Aにおいて、容量素子517と、トランジスタ521と、発光デバイス572と、から構成される回路を回路401とする。
【0178】
配線535は、表示装置810に設けられた例えば全ての画素834について、共通の配線とすることができる。この場合、配線535に供給される電位は共通電位となる。また、配線537及び配線539には、定電位を供給することができる。例えば、配線537には高電位を供給することができ、配線539には低電位を供給することができる。配線537及び配線539は、電源線としての機能を有する。
【0179】
トランジスタ521は、発光デバイス572に供給する電流を制御する機能を有する。容量素子517は保持容量としての機能を有する。容量素子517は省略してもよい。
【0180】
なお、
図29Aでは発光デバイス572のアノード側がトランジスタ521と電気的に接続される構成を示しているが、カソード側にトランジスタ521を電気的に接続してもよい。この場合は、配線537の電位の値と配線539の電位の値を適宜変更することができる。
【0181】
画素834は、トランジスタ511をオフ状態とすることで、ノードN1の電位を保持することができる。また、トランジスタ513をオフ状態とすることで、ノードN2の電位を保持することができる。さらに、トランジスタ513をオフ状態として、トランジスタ511を介してノードN1に所定の電位を書き込むことで、容量素子515を介した容量結合により、ノードN1の電位の変位に応じてノードN2の電位を変化させることができる。
【0182】
ここで、トランジスタ511及びトランジスタ513には、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタ(以下、OSトランジスタともいう。)を適用することができる。金属酸化物は、バンドギャップを2eV以上、又は2.5eV以上とすることができる。よって、OSトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流(オフ電流)が小さくなる。よって、トランジスタ511及びトランジスタ513にOSトランジスタを適用することにより、ノードN1及びノードN2の電位を長期間に亘って保持することができる。
【0183】
金属酸化物として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウム等から選ばれた一種、又は複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、又は錫を用いるとよい。また、金属酸化物として、酸化インジウム、酸化亜鉛、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、又は酸化ガリウムを用いてもよい。
【0184】
〔画素834の動作方法の一例〕
続いて、
図29Bを用いて、
図29Aに示す構成の画素834の動作方法の一例を説明する。
図29Bは、
図29Aに示す構成の画素834の動作に係るタイミングチャートである。なお、ここでは説明を容易にするため、配線抵抗等の各種抵抗、トランジスタや配線等の寄生容量、及びトランジスタのしきい値電圧等の影響は考慮しない。
【0185】
図29Bに示す動作では、1フレーム期間を期間T1と期間T2とに分ける。期間T1はノードN2に電位を書き込む期間であり、期間T2はノードN1に電位を書き込む期間である。
【0186】
期間T1では、配線831_1と配線831_2の両方に、トランジスタをオン状態にする電位を供給する。また、配線832_1には固定電位である電位Vrefを供給し、配線832_2には電位Vwを供給する。
【0187】
ノードN1には、トランジスタ511を介して配線832_1から電位Vrefが供給される。また、ノードN2には、トランジスタ513を介して配線832_2から電位Vwが供給される。したがって、容量素子515には電位差Vw-Vrefが保持された状態となる。
【0188】
続いて期間T2では、配線831_1にはトランジスタ511をオン状態とする電位を供給し、配線831_2にはトランジスタ513をオフ状態とする電位を供給する。また、配線832_1には電位Vdataを供給し、配線832_2には所定の定電位を供給する。なお、配線832_2の電位はフローティングとしてもよい。
【0189】
ノードN1には、トランジスタ511を介して電位V
dataが供給される。このとき、容量素子515による容量結合により、電位V
dataに応じてノードN2の電位が電位dVだけ変化する。すなわち、回路401には、電位V
wと電位dVを足した電位が入力されることとなる。なお、
図29BではdVが正の値であるように示しているが、負の値であってもよい。すなわち、電位V
dataが電位V
refより低くてもよい。
【0190】
ここで、電位dVは、容量素子515の容量値と、回路401の容量値によって概ね決定される。容量素子515の容量値が回路401の容量値よりも十分に大きい場合、電位dVは電位差Vdata-Vrefに近い電位となる。
【0191】
このように、画素834は、2種類のデータ信号を組み合わせてノードN2に供給する電位を生成することができるため、画素アレイ833に表示される画像を画素834の内部で補正することができる。ここで、2種類のデータ信号の一方は、前述の画像信号とすることができ、2種類のデータ信号の他方は、例えば補正信号とすることができる。例えば、期間T1に補正信号に対応する電位VwをノードN2に供給した後、期間T2に画像信号に対応する電位VdataをノードN1に供給することにより、画素アレイ833に表示される画像は、画像信号を補正信号により補正したものとすることができる。なお、画像信号だけでなく、補正信号等も表示装置810が有するソースドライバ回路822により生成することができる。
【0192】
図29Aに示す構成の画素834は、ノードN2の電位を、配線832_1及び配線832_2に供給可能な最大電位を超える電位とすることができる。これにより、発光デバイス572に高電圧を供給することができる。具体的には、例えば配線537の電位を高くすることができる。よって、発光デバイス572を有機ELデバイスとする場合は、発光デバイスを後述するタンデム構造とすることができる。これにより、発光デバイス572の電流効率及び外部量子効率を高めることができる。よって、表示装置810に高輝度の画像を表示することができる。また、表示装置810の消費電力を低減することができる。
【0193】
なお、
図29Aで例示した回路に限られず、別途トランジスタや容量素子等を追加した構成としてもよい。例えば、
図29Aに示す構成にトランジスタと容量素子を1個ずつ追加することにより、電位を保持することができるノードを3つとすることができる。つまり、電位を保持することができるノードを、ノードN1とノードN2以外にもう1個、画素834に設ける構成とすることができる。これにより、ノードN2の電位をさらに高いものとすることができる。よって、発光デバイス572にさらに大きな電流を流すことができる。
【0194】
図30A乃至
図30Eは、
図30Aとは異なる回路401の構成例を示す図である。
図30Aに示す構成の回路401は、
図29Aに示す構成の回路401と同様に、容量素子517と、トランジスタ521と、発光デバイス572と、を有する。
【0195】
図30Aに示す構成の回路401において、ノードN2には、トランジスタ521のゲート、及び容量素子517の一方の電極が電気的に接続されている。トランジスタ521のソース又はドレインの一方は、配線537と電気的に接続されている。トランジスタ521のソース又はドレインの他方は、容量素子517の他方の電極と電気的に接続されている。容量素子517の他方の電極は、発光デバイス572の一方の電極と電気的に接続されている。発光デバイス572の他方の電極は、配線539と電気的に接続されている。
【0196】
図30Bに示す構成の回路401も、
図29Aに示す構成の回路401と同様に、容量素子517と、トランジスタ521と、発光デバイス572と、を有する。
【0197】
図30Bに示す構成の回路401において、ノードN2には、トランジスタ521のゲート、及び容量素子517の一方の電極が電気的に接続されている。発光デバイス572の一方の電極は、配線537と電気的に接続されている。発光デバイス572の他方の電極は、トランジスタ521のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。トランジスタ521のソース又はドレインの他方は、容量素子517の他方の電極と電気的に接続されている。容量素子517の他方の電極は、配線539と電気的に接続されている。
【0198】
図30Cには、
図30Aに示す回路401にトランジスタ525を付加した場合の、回路401の構成例を示している。トランジスタ525のソース又はドレインの一方は、トランジスタ521のソース又はドレインの他方、及び容量素子517の他方の電極と電気的に接続されている。トランジスタ525のソース又はドレインの他方は、発光デバイス572の一方の電極と電気的に接続されている。トランジスタ525のゲートは、配線541と電気的に接続されている。配線541は、トランジスタ525の導通を制御する走査線としての機能を有する。
【0199】
図30Cに示す構成の回路401を有する画素834では、ノードN2の電位がトランジスタ521のしきい値電圧以上となっても、トランジスタ525をオン状態としなければ発光デバイス572に電流が流れない。このため、表示装置810の誤動作を抑制することができる。
【0200】
図30Dには、
図30Cに示す回路401にトランジスタ527を付加した場合の、回路401の構成例を示している。トランジスタ527のソース又はドレインの一方は、トランジスタ521のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。トランジスタ527のソース又はドレインの他方は、配線543と電気的に接続されている。トランジスタ527のゲートは、配線545と電気的に接続されている。配線545は、トランジスタ527の導通を制御する走査線としての機能を有する。
【0201】
配線543は、基準電位等の特定の電位の供給源と電気的に接続することができる。つまり、配線543は、電源線としての機能を有する。配線543からトランジスタ521のソース又はドレインの他方に特定の電位を供給することで、画像信号の画素834への書き込みを安定化させることができる。
【0202】
配線543は回路520と電気的に接続することができる。回路520は、上記特定の電位の供給源、トランジスタ521の電気特性を取得する機能、及び補正信号を生成する機能の1つ以上を有することができる。
【0203】
図30Eに示す構成の回路401は、容量素子517と、トランジスタ521と、トランジスタ529と、発光デバイス572と、を有する。
【0204】
図30Eに示す構成の回路401において、ノードN2には、トランジスタ521のゲート、及び容量素子517の一方の電極が電気的に接続されている。トランジスタ521のソース又はドレインの一方は、配線537と電気的に接続されている。トランジスタ529のソース又はドレインの一方は、配線543と電気的に接続されている。
【0205】
容量素子517の他方の電極は、トランジスタ521のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。トランジスタ521のソース又はドレインの他方は、トランジスタ529のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。トランジスタ529のソース又はドレインの他方は、発光デバイス572の一方の電極と電気的に接続されている。
【0206】
トランジスタ529のゲートは、配線831_1と電気的に接続されている。発光デバイス572の他方の電極は、配線539と電気的に接続されている。
【0207】
<表示装置の構成例2>
図31は、画素834が
図29Aに示す構成である場合の、表示装置810の構成例を示すブロック図である。
図31に示す構成の表示装置810には、
図25に示す表示装置810の構成要素に加え、デマルチプレクサ回路824が設けられる。デマルチプレクサ回路824は、
図31に示すように、例えば層820に設けることができる。なお、デマルチプレクサ回路824の個数は、例えば画素アレイ833に設けられた画素834の列数と同数とすることができる。
【0208】
ゲートドライバ回路821は、配線831-1を介して画素834と電気的に接続されている。ゲートドライバ回路821は、配線831-2を介して画素834と電気的に接続されている。配線831-1及び配線831-2は、走査線としての機能を有する。
【0209】
ソースドライバ回路822は、デマルチプレクサ回路824の入力端子と電気的に接続されている。デマルチプレクサ回路824の第1の出力端子は、配線832-1を介して画素834と電気的に接続されている。デマルチプレクサ回路824の第2の出力端子は、配線832-2を介して画素834と電気的に接続されている。配線832-1及び配線832-2は、データ線としての機能を有する。
【0210】
なお、ソースドライバ回路822と、デマルチプレクサ回路824と、をまとめてソースドライバ回路と呼んでもよい。つまり、デマルチプレクサ回路824は、ソースドライバ回路822に含まれるとしてもよい。
【0211】
図31に示す構成の表示装置810において、ソースドライバ回路822は、画像信号S1及び画像信号S2を生成する機能を有する。デマルチプレクサ回路824は、配線832-1を介して画像信号S1を画素834に供給する機能を有し、配線832-2を介して画像信号S2を画素834に供給する機能を有する。ここで、
図31に示す構成の表示装置810を
図29Bに示す方法で動作させるとすると、電位V
dataを画像信号S1に対応する電位とすることができ、電位V
wを画像信号S2に対応する電位とすることができる。
【0212】
図29Bに示すように、ノードN2に電位V
wを供給した後、ノードN1に電位V
dataを供給することにより、ノードN2の電位は“V
w+dV”となる。ここで、前述のように、電位dVは電位V
dataに対応する電位である。よって、画像信号S2に画像信号S1を付加することができる。つまり、画像信号S2に画像信号S1を重ね合わせることができる。
【0213】
画像信号S1に対応する電位Vdata、及び画像信号S2に対応する電位Vwの大きさは、ソースドライバ回路822の耐圧等に応じて制限される。そこで、画像信号S1と画像信号S2を重ね合わせることにより、ソースドライバ回路822が出力可能な電位より高い電位の画像信号に対応する画像を、画素アレイ833に表示することができる。これにより、発光デバイス572に大電流を流すことができるため、高輝度の画像を画素アレイ833に表示することができる。また、画素アレイ833が表示することができる画像の輝度の幅である、ダイナミックレンジを拡大することができる。
【0214】
画像信号S1に対応する画像と、画像信号S2に対応する画像と、は同一でもよいし、異なっていてもよい。画像信号S1に対応する画像と、画像信号S2に対応する画像と、が同一である場合、画素アレイ833には、画像信号S1に対応する画像の輝度、及び画像信号S2に対応する画像の輝度より高い輝度の画像を表示することができる。
【0215】
図32は、画像信号S1に対応する画像P1が、文字のみを含み、画像信号S2に対応する画像P2が、絵と文字を含む場合を示している。この場合、画像P1と画像P2を重ね合わせることで、文字の輝度を高めることができ、例えば文字を強調することができる。また、
図29Bに示すように、ノードN2に電位V
wが書き込まれた後に、ノードN2の電位が電位V
dataに応じて変化することから、画像信号S2に対応する電位V
wを書き換える場合は、画像信号S1の電位V
dataを再度書き込まなければならない。一方、電位V
dataを書き換える場合は、
図29Bに示す期間T1においてノードN2に書き込まれた電荷が、トランジスタ513等からリークせずに保持されている限り、電位V
wを書き換える必要がない。よって、
図32に示す場合において、電位V
dataの値を調整することにより、文字の輝度を調整することができる。
【0216】
ここで、前述のように、画像信号S2に対応する電位V
wを書き換える場合は、画像信号S1に対応する電位V
dataを再度書き込まなければならない。一方、電位V
dataを書き換える場合は、電位V
wを書き換える必要がない。よって、画像P2は、画像P1より書き換え頻度が低い画像とすることが好ましい。なお、
図32では画像P1が文字のみを含み、画像P2が絵と文字を含む例を示したが、本発明の一態様はこれに限られない。
【0217】
<表示装置の断面構成例>
図33は、表示装置810の構成例を示す断面図である。表示装置810は、基板701及び基板705を有し、基板701と基板705はシール材712により貼り合わされている。
【0218】
基板701として、単結晶シリコン基板等の単結晶半導体基板を用いることができる。なお、基板701として単結晶半導体基板以外の半導体基板を用いてもよい。
【0219】
基板701上にトランジスタ441、及びトランジスタ601が設けられる。トランジスタ441は、回路840に設けられるトランジスタとすることができる。トランジスタ601は、ゲートドライバ回路821に設けられるトランジスタ、又はソースドライバ回路822に設けられるトランジスタとすることができる。つまり、トランジスタ441及びトランジスタ601は、
図25等に示す層820に設けることができる。
【0220】
トランジスタ441は、ゲート電極としての機能を有する導電体443と、ゲート絶縁体としての機能を有する絶縁体445と、基板701の一部と、からなり、チャネル形成領域を含む半導体領域447、ソース領域又はドレイン領域の一方としての機能を有する低抵抗領域449a、及びソース領域又はドレイン領域の他方としての機能を有する低抵抗領域449bを有する。トランジスタ441は、pチャネル型又はnチャネル型のいずれでもよい。
【0221】
トランジスタ441は、素子分離層403によって他のトランジスタと電気的に分離される。
図33では、素子分離層403によってトランジスタ441とトランジスタ601が電気的に分離される場合を示している。素子分離層403は、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法、又はSTI(Shallow Trench Isolation)法等を用いて形成することができる。
【0222】
ここで、
図33に示すトランジスタ441は半導体領域447が凸形状を有する。また、半導体領域447の側面及び上面を、絶縁体445を介して、導電体443が覆うように設けられている。なお、
図33では、導電体443が半導体領域447の側面を覆う様子は図示していない。また、導電体443には仕事関数を調整する材料を用いることができる。
【0223】
トランジスタ441のような半導体領域が凸形状を有するトランジスタは、半導体基板の凸部を利用していることから、フィン型トランジスタと呼ぶことができる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとしての機能を有する絶縁体を有していてもよい。また、
図33では基板701の一部を加工して凸部を形成する構成を示しているが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体を形成してもよい。
【0224】
なお、
図33に示すトランジスタ441の構成は一例であり、その構成に限定されず、回路構成又は回路の動作方法等に応じて適切な構成とすればよい。例えば、トランジスタ441は、プレーナー型トランジスタであってもよい。
【0225】
トランジスタ601は、トランジスタ441と同様の構成とすることができる。
【0226】
基板701上には、素子分離層403、並びにトランジスタ441及びトランジスタ601の他、絶縁体405、絶縁体407、絶縁体409、及び絶縁体411が設けられる。絶縁体405中、絶縁体407中、絶縁体409中、及び絶縁体411中に導電体451が埋設されている。ここで、導電体451の上面の高さと、絶縁体411の上面の高さは同程度にできる。
【0227】
導電体451上、及び絶縁体411上に絶縁体413及び絶縁体415が設けられる。また、絶縁体413中、及び絶縁体415中に導電体457が埋設されている。
【0228】
導電体457上、及び絶縁体415上に絶縁体417及び絶縁体419が設けられる。また、絶縁体417中、及び絶縁体419中に導電体459が埋設されている。
【0229】
導電体459上、及び絶縁体419上に絶縁体421及び絶縁体214が設けられる。絶縁体421中、及び絶縁体214中に導電体453が埋設されている。ここで、導電体453の上面の高さと、絶縁体214の上面の高さは同程度にできる。
【0230】
導電体453上、及び絶縁体214上に絶縁体216が設けられる。絶縁体216中に導電体455が埋設されている。ここで、導電体455の上面の高さと、絶縁体216の上面の高さは同程度にできる。
【0231】
導電体455上、及び絶縁体216上に絶縁体222、絶縁体224、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274、及び絶縁体281が設けられる。絶縁体222中、絶縁体224中、絶縁体254中、絶縁体244中、絶縁体280中、絶縁体274中、及び絶縁体281中に導電体305が埋設されている。ここで、導電体305の上面の高さと、絶縁体281の上面の高さは同程度にできる。
【0232】
導電体305上、及び絶縁体281上に絶縁体361が設けられる。絶縁体361中に導電体317、及び導電体337が埋設されている。ここで、導電体337の上面の高さと、絶縁体361の上面の高さは同程度にできる。
【0233】
導電体337上、及び絶縁体361上に絶縁体363が設けられる。絶縁体363中に導電体347、導電体353、導電体355、及び導電体357が埋設されている。ここで、導電体353、導電体355、及び導電体357の上面の高さと、絶縁体363の上面の高さは同程度にできる。
【0234】
導電体353上、導電体355上、導電体357上、及び絶縁体363上に接続電極760が設けられる。また、接続電極760と電気的に接続されるように異方性導電体780が設けられ、異方性導電体780と電気的に接続されるようにFPC(Flexible Printed Circuit)716が設けられる。FPC716によって、表示装置810の外部から、表示装置810に各種信号等が供給される。
【0235】
図33に示すように、トランジスタ441のソース領域又はドレイン領域の他方としての機能を有する低抵抗領域449bは、導電体451、導電体457、導電体459、導電体453、導電体455、導電体305、導電体317、導電体337、導電体347、導電体353、導電体355、導電体357、接続電極760、及び異方性導電体780を介して、FPC716と電気的に接続されている。ここで、
図33では接続電極760と導電体347を電気的に接続する機能を有する導電体として、導電体353、導電体355、及び導電体357の3つを示しているが本発明の一態様はこれに限らない。接続電極760と導電体347を電気的に接続する機能を有する導電体を1つとしてもよいし、2つとしてもよいし、4つ以上としてもよい。接続電極760と導電体347を電気的に接続する機能を有する導電体を複数設けることで、接触抵抗を小さくすることができる。
【0236】
絶縁体214上には、トランジスタ750が設けられる。トランジスタ750は、画素834に設けられるトランジスタとすることができる。つまり、トランジスタ750は、
図25等に示す層830に設けることができる。トランジスタ750は、OSトランジスタを用いることができる。OSトランジスタは、オフ電流が極めて低いという特徴を有する。よって、画像信号等の保持時間を長くすることができるため、リフレッシュ動作の頻度を少なくできる。よって、表示装置810の消費電力を低減することができる。
【0237】
絶縁体254中、絶縁体244中、絶縁体280中、絶縁体274中、及び絶縁体281中に導電体301a、及び導電体301bが埋設されている。導電体301aは、トランジスタ750のソース又はドレインの一方と電気的に接続され、導電体301bは、トランジスタ750のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。ここで、導電体301a、及び導電体301bの上面の高さと、絶縁体281の上面の高さは同程度にできる。
【0238】
絶縁体361中に導電体311、導電体313、導電体331、容量素子790、導電体333、及び導電体335が埋設されている。導電体311及び導電体313はトランジスタ750と電気的に接続され、配線としての機能を有する。導電体333及び導電体335は、容量素子790と電気的に接続されている。ここで、導電体331、導電体333、及び導電体335の上面の高さと、絶縁体361の上面の高さは同程度にできる。
【0239】
絶縁体363中に導電体341、導電体343、及び導電体351が埋設されている。ここで、導電体351の上面の高さと、絶縁体363の上面の高さは同程度にできる。
【0240】
絶縁体405、絶縁体407、絶縁体409、絶縁体411、絶縁体413、絶縁体415、絶縁体417、絶縁体419、絶縁体421、絶縁体214、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体281、絶縁体361、及び絶縁体363は、層間膜としての機能を有し、それぞれの下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜としての機能を有してもよい。例えば、絶縁体363の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0241】
図33に示すように、容量素子790は下部電極321と、上部電極325と、を有する。また、下部電極321と上部電極325との間には、絶縁体323が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体として機能する絶縁体323が挟持された積層型の構造である。なお、
図33では絶縁体281上に容量素子790を設ける例を示しているが、絶縁体281と異なる絶縁体上に、容量素子790を設けてもよい。
【0242】
図33において、導電体301a、導電体301b、及び導電体305が同一の層に形成される例を示している。また、導電体311、導電体313、導電体317、及び下部電極321が同一の層に形成される例を示している。また、導電体331、導電体333、導電体335、及び導電体337が同一の層に形成される例を示している。また、導電体341、導電体343、及び導電体347が同一の層に形成される例を示している。さらに、導電体351、導電体353、導電体355、及び導電体357が同一の層に形成される例を示している。このように、複数の導電体を同一の層に形成することにより、表示装置810の作製工程を簡略にすることができるため、表示装置810を低価格なものとすることができる。なお、これらはそれぞれ異なる層に形成されてもよく、異なる種類の材料を有してもよい。
【0243】
図33に示す表示装置810は、発光デバイス572を有する。発光デバイス572は、導電体772、EL層786、及び導電体788を有する。導電体788は、基板705側に設けられ、共通電極としての機能を有する。また、導電体772は、導電体351、導電体341、導電体331、導電体313、及び導電体301bを介して、トランジスタ750のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。導電体772は絶縁体363上に形成され、画素電極としての機能を有する。また、EL層786は、有機化合物、又は量子ドット等の無機化合物を有する。
【0244】
有機化合物に用いることのできる材料として、蛍光性材料又は燐光性材料等が挙げられる。また、量子ドットに用いることのできる材料として、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料等が挙げられる。
【0245】
図33に示す表示装置810には、絶縁体363上に絶縁体730が設けられる。ここで、絶縁体730は、導電体772の一部を覆う構成とすることができる。また、発光デバイス572は透光性の導電体788を有し、トップエミッション型の発光デバイスとすることができる。なお、発光デバイス572は、導電体772側に光を射出するボトムエミッション構造、又は導電体772及び導電体788の双方に光を射出するデュアルエミッション構造としてもよい。
【0246】
発光デバイス572は、詳細は後述するが、マイクロキャビティ構造を有することができる。これにより、着色層を設けなくても所定の色の光(例えば、RGB)を取り出すことができ、表示装置810はカラー表示を行うことができる。着色層を設けない構成とすることにより、着色層による光の吸収を抑制することができる。これにより、表示装置810は高輝度の画像を表示することができ、また表示装置810の消費電力を低減することができる。なお、EL層786を画素毎に島状又は画素列毎に縞状に形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においても、着色層を設けない構成とすることができる。
【0247】
なお、遮光層738は絶縁体730と重なる領域を有するように設けられている。また、遮光層738は、絶縁体734で覆われている。また、発光デバイス572と絶縁体734の間は封止層732で充填されている。
【0248】
さらに、絶縁体730とEL層786との間に、構造体778が設けられる。また、絶縁体730と絶縁体734との間に、構造体778が設けられる。構造体778は柱状のスペーサであり、基板701と基板705の間の距離(セルギャップ)を制御する機能を有する。なお、構造体778として、球状のスペーサを用いてもよい。
【0249】
基板705側には、遮光層738と、これに接する絶縁体734と、が設けられる。遮光層738は、隣接する領域から発せられる光を遮る機能を有する。又は、遮光層738は、外光がトランジスタ750等に達することを遮る機能を有する。
【0250】
図34は、
図33に示す表示装置810の変形例であり、着色層736を設けている点が
図33に示す表示装置810と異なる。着色層736を設けることにより、発光デバイス572から取り出される光の色純度を高めることができる。これにより、表示装置810に高品位の画像を表示することができる。また、表示装置810の例えば全ての発光デバイス572を、白色光を発する発光デバイスとすることができるため、EL層786を塗り分けにより形成しなくてもよく、表示装置810を高精細なものとすることができる。
【0251】
図33及び
図34では、トランジスタ441及びトランジスタ601を、基板701の内部にチャネル形成領域が形成されるように設け、トランジスタ441及びトランジスタ601の上に積層して、OSトランジスタを設ける構成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。
図35は
図33の変形例、
図36は
図34の変形例であり、トランジスタ441及びトランジスタ601ではなく、OSトランジスタであるトランジスタ602及びトランジスタ603の上に積層して、トランジスタ750が設けられている点が
図33及び
図34に示す構成の表示装置810と異なる。つまり、
図35及び
図36に示す構成の表示装置810は、OSトランジスタが積層して設けられている。
【0252】
基板701上には絶縁体613及び絶縁体614が設けられ、絶縁体614上にはトランジスタ602及びトランジスタ603が設けられる。なお、基板701と、絶縁体613と、の間にトランジスタ等が設けられていてもよい。例えば、基板701と、絶縁体613と、の間に、
図33及び
図34で示したトランジスタ441及びトランジスタ601と同様の構成のトランジスタを設けてもよい。
【0253】
トランジスタ602は回路840に設けられるトランジスタとすることができる。トランジスタ603は、ゲートドライバ回路821に設けられるトランジスタ、又はソースドライバ回路822に設けられるトランジスタとすることができる。つまり、トランジスタ602及びトランジスタ603は、
図25等に示す層820に設けることができる。なお、
図26に示すように、回路840が層830に設けられている場合には、トランジスタ602は層830に設けることができる。
【0254】
トランジスタ602及びトランジスタ603は、トランジスタ750と同様の構成のトランジスタとすることができる。なお、トランジスタ602及びトランジスタ603を、トランジスタ750と異なる構成のOSトランジスタとしてもよい。
【0255】
絶縁体614上には、トランジスタ602及びトランジスタ603の他、絶縁体616、絶縁体622、絶縁体624、絶縁体654、絶縁体644、絶縁体680、絶縁体674、及び絶縁体681が設けられる。絶縁体654中、絶縁体644中、絶縁体680中、絶縁体674中、及び絶縁体681中に導電体461が埋設されている。ここで、導電体461の上面の高さと、絶縁体681の上面の高さは同程度にできる。
【0256】
導電体461上、及び絶縁体681上に絶縁体501が設けられる。絶縁体501中に導電体463が埋設されている。ここで、導電体463の上面の高さと、絶縁体501の上面の高さは同程度にできる。
【0257】
導電体463上、及び絶縁体501上に絶縁体503が設けられる。絶縁体503中に導電体465が埋設されている。ここで、導電体465の上面の高さと、絶縁体503の上面の高さは同程度にできる。
【0258】
導電体465上、及び絶縁体503上に絶縁体505が設けられる。また、絶縁体505中に導電体467が埋設されている。
【0259】
導電体467上、及び絶縁体505上に絶縁体507が設けられる。絶縁体507中に導電体469が埋設されている。ここで、導電体469の上面の高さと、絶縁体507の上面の高さは同程度にできる。
【0260】
導電体469上、及び絶縁体507上に絶縁体509が設けられる。また、絶縁体509中に導電体471が埋設されている。
【0261】
導電体471上、及び絶縁体509上に絶縁体421及び絶縁体214が設けられる。絶縁体421中、及び絶縁体214中に導電体453が埋設されている。ここで、導電体453の上面の高さと、絶縁体214の上面の高さは同程度にできる。
【0262】
図35及び
図36に示すように、トランジスタ602のソース又はドレインの一方は、導電体461、導電体463、導電体465、導電体467、導電体469、導電体471、導電体453、導電体455、導電体305、導電体317、導電体337、導電体347、導電体353、導電体355、導電体357、接続電極760、及び異方性導電体780を介して、FPC716と電気的に接続されている。
【0263】
絶縁体613、絶縁体614、絶縁体680、絶縁体674、絶縁体681、絶縁体501、絶縁体503、絶縁体505、絶縁体507、及び絶縁体509は、層間膜としての機能を有し、それぞれの下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜としての機能を有してもよい。
【0264】
表示装置810を
図35及び
図36に示す構成とすることにより、表示装置810を狭額縁化、小型化させつつ、表示装置810が有するトランジスタを全てOSトランジスタとすることができる。これにより、例えば層820に設けられるトランジスタと、層830に設けられるトランジスタと、を同一の装置を用いて作製することができる。よって、表示装置810の作製コストを低減することができ、表示装置810を低価格なものとすることができる。
【0265】
<発光デバイスの構成例>
図37A乃至
図37Eは、発光デバイス572の構成例を示す図である。
図37Aには、導電体772と導電体788の間にEL層786が挟まれた構造(シングル構造)を示す。前述のとおり、EL層786には発光材料が含まれ、例えば、有機化合物である発光材料が含まれる。
【0266】
図37Bは、EL層786の積層構造を示す図である。ここで、
図37Bに示す構造の発光デバイス572では、導電体772は陽極としての機能を有し、導電体788は陰極としての機能を有する。
【0267】
EL層786は、導電体772の上に、正孔注入層721、正孔輸送層722、発光層723、電子輸送層724、電子注入層725が順次積層された構造を有する。なお、導電体772が陰極としての機能を有し、導電体788が陽極としての機能を有する場合は、積層順は逆になる。
【0268】
発光層723は、発光材料や複数の材料を適宜組み合わせて有しており、所望の発光色を呈する蛍光発光や燐光発光が得られる構成とすることができる。また、発光層723を発光色の異なる積層構造としてもよい。なお、この場合、積層された各発光層に用いる発光物質やその他の物質は、それぞれ異なる材料を用いればよい。
【0269】
発光デバイス572において、例えば、
図37Bに示す導電体772を反射電極とし、導電体788を半透過・半反射電極とし、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造とすることにより、EL層786に含まれる発光層723から得られる発光を両電極間で共振させ、導電体788を透過して射出される発光を強めることができる。
【0270】
なお、発光デバイス572の導電体772が、反射性を有する導電性材料と透光性を有する導電性材料(透明導電膜)との積層構造からなる反射電極である場合、透明導電膜の膜厚を制御することにより光学調整を行うことができる。具体的には、発光層723から得られる光の波長λに対して、導電体772と、導電体788との電極間距離がmλ/2(ただし、mは自然数)近傍となるように調整するのが好ましい。
【0271】
発光層723から得られる所望の光(波長:λ)を増幅させるために、導電体772から発光層の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、導電体788から発光層723の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、をそれぞれ(2m’+1)λ/4(ただし、m’は自然数)近傍となるように調節するのが好ましい。なお、ここでいう発光領域とは、発光層723における正孔(ホール)と電子との再結合領域を示す。
【0272】
このような光学調整を行うことにより、発光層723から得られる特定の単色光のスペクトルを狭線化させ、色純度のよい発光を得ることができる。
【0273】
但し、上記の場合、導電体772と導電体788との光学距離は、厳密には導電体772における反射領域から導電体788における反射領域までの総厚ということができる。しかし、導電体772や導電体788における反射領域を厳密に決定することは困難であるため、導電体772と導電体788の任意の位置を反射領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。また、導電体772と、所望の光が得られる発光層との光学距離は、厳密には導電体772における反射領域と、所望の光が得られる発光層における発光領域との光学距離であるということができる。しかし、導電体772における反射領域、及び所望の光が得られる発光層における発光領域を厳密に決定することは困難であるため、導電体772の任意の位置を反射領域、所望の光が得られる発光層の任意の位置を発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
【0274】
図37Bに示す発光デバイス572は、マイクロキャビティ構造を有するため、同じEL層を有していても異なる波長の光(単色光)を取り出すことができる。従って、異なる発光色を得るための塗り分け(例えば、RGB)が不要となる。従って、高精細化を実現することが容易である。また、着色層との組み合わせも可能である。さらに、特定波長の正面方向の発光強度を強めることが可能となるため、低消費電力化を図ることができる。
【0275】
なお、
図37Bに示す発光デバイス572は、マイクロキャビティ構造を有していなくてもよい。この場合、発光層723が白色光を発する構造とし、着色層を設けることにより、所定の色の光(例えば、RGB)を取り出すことができる。また、EL層786を形成する際、異なる発光色を得るための塗り分けを行えば、着色層を設けなくても所定の色の光を取り出すことができる。
【0276】
導電体772と導電体788の少なくとも一方は、透光性を有する電極(透明電極、半透過・半反射電極等)とすることができる。透光性を有する電極が透明電極の場合、透明電極の可視光の透過率は、40%以上とする。また、半透過・半反射電極の場合、半透過・半反射電極の可視光の反射率は、20%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。
【0277】
導電体772又は導電体788が、反射性を有する電極(反射電極)である場合、反射性を有する電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、この電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。
【0278】
発光デバイス572の構成は、
図37Cに示す構成としてもよい。
図37Cには、導電体772と導電体788との間に2層のEL層(EL層786a及びEL層786b)が設けられ、EL層786aとEL層786bとの間に電荷発生層792を有する積層構造(タンデム構造)の発光デバイス572を示す。発光デバイス572をタンデム構造とすることで、発光デバイス572の電流効率及び外部量子効率を高めることができる。よって、表示装置810に高輝度の画像を表示することができる。また、表示装置810の消費電力を低減することができる。ここで、EL層786a及びEL層786bは、
図37Bに示すEL層786と同様の構成とすることができる。
【0279】
電荷発生層792は、導電体772と導電体788との間に電圧を供給したときに、EL層786a及びEL層786bのうち、一方に電子を注入し、他方に正孔(ホール)を注入する機能を有する。したがって、導電体772の電位が導電体788の電位より高くなるように電圧を供給すると、電荷発生層792からEL層786aに電子が注入され、電荷発生層792からEL層786bに正孔が注入されることになる。
【0280】
なお、電荷発生層792は、光取り出し効率の点から、可視光を透過する(具体的には、電荷発生層792の可視光の透過率が、40%以上である)ことが好ましい。また、電荷発生層792の導電率は、導電体772の導電率、又は導電体788の導電率より低くてもよい。
【0281】
発光デバイス572の構成は、
図37Dに示す構成としてもよい。
図37Dには、導電体772と導電体788との間に3層のEL層(EL層786a、EL層786b、及びEL層786c)が設けられ、EL層786aとEL層786bとの間、及びEL層786bとEL層786cとの間に電荷発生層792を有するタンデム構造の発光デバイス572を示す。ここで、EL層786a、EL層786b、及びEL層786cは、
図37Bに示すEL層786と同様の構成とすることができる。発光デバイス572を
図37Dに示す構成とすることにより、発光デバイス572の電流効率及び外部量子効率をさらに高めることができる。よって、表示装置810にさらに高輝度の画像を表示することができる。また、表示装置810の消費電力をさらに低減することができる。
【0282】
発光デバイス572の構成は、
図37Eに示す構成としてもよい。
図37Eには、導電体772と導電体788との間にn層のEL層(EL層786(1)乃至EL層786(n))が設けられ、それぞれのEL層786の間に電荷発生層792を有するタンデム構造の発光デバイス572を示す。ここで、EL層786(1)乃至EL層786(n)は、
図37Bに示すEL層786と同様の構成とすることができる。なお、
図37Eには、EL層786のうち、EL層786(1)、EL層786(m)、EL層786(m+1)、及びEL層786(n)を示している。ここで、mは2以上n未満の整数とし、nはmより大きい整数とする。nの値が大きいほど、発光デバイス572の電流効率及び外部量子効率を高めることができる。よって、表示装置810に高輝度の画像を表示することができる。また、表示装置810の消費電力を低減することができる。
【0283】
<発光デバイスの構成材料>
次に、発光デバイス572に用いることができる構成材料について説明する。
【0284】
<<導電体772及び導電体788>>
導電体772及び導電体788には、陽極及び陰極の機能が満たせるのであれば、以下に示す材料を適宜組み合わせて用いることができる。例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を適宜用いることができる。具体的には、In-Sn酸化物(ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOともいう)、In-Zn酸化物、In-W-Zn酸化物が挙げられる。その他、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)等の金属、及びこれらを適宜組み合わせて含む合金を用いることもできる。その他、上記例示のない元素周期表の第1族又は第2族に属する元素(例えば、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr))、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属及びこれらを適宜組み合わせて含む合金、その他グラフェン等を用いることができる。
【0285】
<<正孔注入層721及び正孔輸送層722>>
正孔注入層721は、陽極である導電体772又は電荷発生層792からEL層786に正孔を注入する層であり、正孔注入性の高い材料を含む層である。ここで、EL層786は、EL層786a、EL層786b、EL層786c、及びEL層786(1)乃至EL層786(n)を含むものとする。
【0286】
正孔注入性の高い材料として、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の遷移金属酸化物が挙げられる。この他、フタロシアニン系の化合物、芳香族アミン化合物、又は高分子化合物等を用いることができる。
【0287】
正孔注入性の高い材料として、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)を含む複合材料を用いることもできる。この場合、アクセプター性材料により正孔輸送性材料から電子が引き抜かれて正孔注入層721で正孔が発生し、正孔輸送層722を介して発光層723に正孔が注入される。なお、正孔注入層721は、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)を含む複合材料からなる単層で形成してもよいが、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とをそれぞれ別の層で積層して形成してもよい。
【0288】
正孔輸送層722は、正孔注入層721によって、導電体772から注入された正孔を発光層723に輸送する層である。なお、正孔輸送層722は、正孔輸送性材料を含む層である。正孔輸送層722に用いる正孔輸送性材料は、特に正孔注入層721のHOMO準位と同じ、あるいは近いHOMO準位を有するものを用いることが好ましい。
【0289】
正孔注入層721に用いるアクセプター性材料として、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムが挙げられる。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。その他、キノジメタン誘導体やクロラニル誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体等の有機アクセプターを用いることができる。
【0290】
正孔注入層721及び正孔輸送層722に用いる正孔輸送性材料として、10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。
【0291】
正孔輸送性材料として、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体やインドール誘導体)や芳香族アミン化合物を好適に用いることができる。正孔輸送性材料として、例えば、芳香族アミン骨格を有する化合物、カルバゾール骨格を有する化合物、チオフェン骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物を用いることができる。また、正孔輸送性材料として、高分子化合物を用いることもできる。
【0292】
但し、正孔輸送性材料は、上記に限られることなく公知の様々な材料を1種又は複数種組み合わせて正孔輸送性材料として正孔注入層721及び正孔輸送層722に用いることができる。なお、正孔輸送層722は、複数の層から形成されていてもよい。すなわち、正孔輸送層722は、例えば第1の正孔輸送層と第2の正孔輸送層とが積層されていてもよい。
【0293】
<<発光層723>>
発光層723は、発光物質を含む層である。なお、発光物質として、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色等の発光色を呈する物質を適宜用いる。ここで、
図37C、
図37D、(E)に示すように、発光デバイス572が複数のEL層を有する場合、それぞれのEL層に設けられる発光層723に異なる発光物質を用いることにより、異なる発光色を呈する構成(例えば、補色の関係にある発光色を組み合わせて得られる白色発光)とすることができる。例えば、発光デバイス572が
図37Cに示す構成である場合、EL層786aに設けられる発光層723に用いられる発光物質と、EL層786bに設けられる発光層723に用いられる発光物質と、を異ならせることにより、EL層786aが呈する発光色と、EL層786bが呈する発光色と、を異ならせることができる。なお、一つの発光層が異なる発光物質を有する積層構造であってもよい。
【0294】
発光層723は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種又は複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料)を有していてもよい。また、1種又は複数種の有機化合物として、正孔輸送性材料や電子輸送性材料の一方又は両方を用いることができる。
【0295】
発光デバイス572が
図37Cに示す構成である場合において、EL層786a及びEL層786bのいずれか一方に青色発光を呈する発光物質(青色発光物質)をゲスト材料として用い、他方に緑色発光を呈する物質(緑色発光物質)及び赤色発光を呈する物質(赤色発光物質)を用いることが好ましい。この方法は、青色発光物質(青色発光層)の発光効率や寿命が他よりも劣る場合に有効である。なお、ここでは、青色発光物質として一重項励起エネルギーを可視光領域の発光に換える発光物質を用い、緑色及び赤色発光物質として三重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質を用いると、RGBのスペクトルバランスが良くなるため好ましい。
【0296】
発光層723に用いることができる発光物質として、特に限定は無く、一重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質、又は三重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質を用いることができる。なお、上記発光物質として、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0297】
一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質として、蛍光を発する物質(蛍光材料)が挙げられ、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体等が挙げられる。特にピレン誘導体は発光量子収率が高いので好ましい。ピレン誘導体は、本発明の一態様における青色の色度を達成するのに有用な化合物群である。
【0298】
三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質として、例えば、燐光を発する物質(燐光材料)や熱活性化遅延蛍光を示す熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料が挙げられる。
【0299】
燐光材料として、有機金属錯体、金属錯体(白金錯体)、希土類金属錯体等が挙げられる。これらは、物質ごとに異なる発光色(発光ピーク)を示すため、必要に応じて適宜選択して用いる。
【0300】
青色又は緑色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が450nm以上570nm以下である燐光材料として、例えば、4H-トリアゾール骨格を有する有機金属錯体、1H-トリアゾール骨格を有する有機金属錯体、イミダゾール骨格を有する有機金属錯体、電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体等が挙げられる。
【0301】
緑色又は黄色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm以下である燐光材料として、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、ピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、有機金属錯体、希土類金属錯体が挙げられる。
【0302】
上述した中で、ピリジン骨格(特にフェニルピリジン骨格)又はピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、本発明の一態様における緑色の色度を達成するのに有用な化合物群である。
【0303】
黄色又は赤色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が570nm以上750nm以下である燐光材料として、例えば、ピリミジン骨格を有する有機金属錯体、ピラジン骨格を有する有機金属錯体、ピリジン骨格を有する有機金属錯体、白金錯体、希土類金属錯体が挙げられる。
【0304】
上述した中で、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、本発明の一態様における赤色の色度を達成するのに有用な化合物群である。特に、[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)]のようにシアノ基を有する有機金属イリジウム錯体は、安定性が高く好ましい。
【0305】
なお、青色の発光物質として、フォトルミネッセンスのピーク波長が430nm以上470nm以下、より好ましくは430nm以上460nm以下の物質を用いればよい。また、緑色の発光物質として、フォトルミネッセンスのピーク波長が500nm以上540nm以下、より好ましくは500nm以上530nm以下の物質を用いればよい。赤色の発光物質として、フォトルミネッセンスのピーク波長が610nm以上680nm以下、より好ましくは620nm以上680nm以下の物質を用いればよい。なお、フォトルミネッセンス測定は溶液、薄膜のいずれでもよい。
【0306】
このような化合物と、マイクロキャビティ効果を併用することで、より容易に上述した色度を達成することができる。この時、マイクロキャビティ効果を得るのに必要な半透過・半反射電極(金属薄膜部分)の膜厚は、20nm以上40nm以下が好ましい。より好ましくは25nmより大きく、40nm以下である。なお、40nmを超えると効率が低下してしまう可能性がある。
【0307】
発光層723に用いる有機化合物(ホスト材料、アシスト材料)として、発光物質(ゲスト材料)のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いればよい。なお、上述した正孔輸送性材料及び後述する電子輸送性材料は、それぞれ、ホスト材料又はアシスト材料として用いることもできる。
【0308】
発光物質が蛍光材料である場合、ホスト材料として、一重項励起状態のエネルギー準位が大きく、三重項励起状態のエネルギー準位が小さい有機化合物を用いるのが好ましい。例えば、アントラセン誘導体やテトラセン誘導体を用いるのが好ましい。
【0309】
発光物質が燐光材料である場合、ホスト材料として、発光物質の三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)よりも三重項励起エネルギーの大きい有機化合物を選択すればよい。なお、この場合には、亜鉛やアルミニウム系金属錯体の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体等の他、芳香族アミンやカルバゾール誘導体等を用いることができる。
【0310】
発光層723に複数の有機化合物を用いる場合、励起錯体を形成する化合物を発光物質と混合して用いることが好ましい。この場合、様々な有機化合物を適宜組み合わせて用いることができるが、効率よく励起錯体を形成するためには、正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性材料)と、電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性材料)とを組み合わせることが特に好ましい。なお、正孔輸送性材料及び電子輸送性材料の具体例については、本実施の形態で示す材料を用いることができる。
【0311】
TADF材料とは、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーによって一重項励起状態にアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態からの発光(蛍光)を効率よく呈する材料のことである。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得られる条件として、三重項励起準位と一重項励起準位のエネルギー差が0eV以上0.2eV以下、好ましくは0eV以上0.1eV以下であることが挙げられる。また、TADF材料における遅延蛍光とは、通常の蛍光と同様のスペクトルを持ちながら、寿命が著しく長い発光をいう。その寿命は、10-6秒以上、好ましくは10-3秒以上である。
【0312】
TADF材料として、例えば、フラーレンやその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙げられる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。金属含有ポルフィリンとして、例えば、プロトポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Proto IX))、メソポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Meso IX))、ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ錯体(SnF2(Copro III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(OEP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Etio I))、オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(PtCl2OEP)等が挙げられる。また、TADF材料として、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有する複素環化合物を用いることができる。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足型複素芳香環のアクセプター性が共に強くなり、一重項励起状態と三重項励起状態のエネルギー差が小さくなるため、特に好ましい。
【0313】
なお、TADF材料を用いる場合、他の有機化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0314】
<<電子輸送層724>>
電子輸送層724は、電子注入層725によって、導電体788から注入された電子を発光層723に輸送する層である。なお、電子輸送層724は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送層724に用いる電子輸送性材料は、1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。
【0315】
電子輸送性材料として、キノリン配位子、ベンゾキノリン配位子、オキサゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体等が挙げられる。その他、含窒素複素芳香族化合物のようなπ電子不足型複素芳香族化合物を用いることもできる。
【0316】
電子輸送層724は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が2層以上積層した構造であってもよい。
【0317】
<<電子注入層725>>
電子注入層725は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層725には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF3)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、電子注入層725にエレクトライドを用いてもよい。エレクトライドとして、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。なお、上述した電子輸送層724を構成する物質を用いることもできる。
【0318】
電子注入層725に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性及び電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物として、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層724に用いる電子輸送性材料(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体として、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
【0319】
<<電荷発生層792>>
電荷発生層792は、導電体772と導電体788との間に電圧を印加したときに、当該電荷発生層792に接する2つのEL層786のうち、導電体772と近い側のEL層786に電子を注入し、導電体788と近い側のEL層786に正孔を注入する機能を有する。例えば、
図37Cに示す構成の発光デバイス572において、電荷発生層792は、EL層786aに電子を注入し、EL層786bに正孔を注入する機能を有する。なお、電荷発生層792は、正孔輸送性材料に電子受容体(アクセプター)が添加された構成であっても、電子輸送性材料に電子供与体(ドナー)が添加された構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていてもよい。なお、上述した材料を用いて電荷発生層792を形成することにより、EL層が積層された場合における表示装置810の駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0320】
電荷発生層792において、正孔輸送性材料に電子受容体が添加された構成とする場合、電子受容体として、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウム等が挙げられる。
【0321】
電荷発生層792において、電子輸送性材料に電子供与体が添加された構成とする場合、電子供与体として、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又は希土類金属又は元素周期表における第2、第13族に属する金属及びその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、炭酸セシウム等を用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
【0322】
なお、発光デバイス572の作製には、蒸着法等の真空プロセス、又はスピンコート法やインクジェット法等の溶液プロセスを用いることができる。蒸着法を用いる場合には、スパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、分子線蒸着法、真空蒸着法等の物理蒸着法(PVD法)、又は化学蒸着法(CVD法)等を用いることができる。特に発光デバイスのEL層に含まれる機能層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層)及び電荷発生層については、蒸着法(真空蒸着法等)、塗布法(ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等)、印刷法(インクジェット法、スクリーン(孔版印刷)法、オフセット(平版印刷)法、フレキソ(凸版印刷)法、グラビア法、マイクロコンタクト法等)等の方法により形成することができる。
【0323】
なお、本実施の形態で示す発光デバイスのEL層を構成する各機能層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層)及び電荷発生層は、上述した材料に限られることはなく、それ以外の材料であっても各層の機能を満たせるものであれば組み合わせて用いることができる。一例として、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)、中分子化合物(低分子と高分子の中間領域の化合物:分子量400~4000)、無機化合物(量子ドット材料等)等を用いることができる。なお、量子ドット材料として、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料等を用いることができる。
【0324】
本実施の形態で示した表示装置810は、実施の形態1で示した検出装置17が有する光源にも適用することができる。表示装置810を実施の形態1で示した光源に適用することにより、光源を高密度に配置することができる。これにより、本発明の一態様の電子機器は、当該電子機器の使用者の情報をより高い精度で取得することができる。
【0325】
実施の形態1に示した検出装置17に用いることができる撮像装置の構成例を、
図38Aに示す。
図38Aは、撮像装置の構成を示す断面図である。
図38Aに示すように、基板1001と基板995との間に、トランジスタ1003、発光デバイス572、光電変換デバイス1010、着色層993R、及び着色層993IR等を挟持して設ける構成とすることができる。ここで、トランジスタ1003は、例えばOSトランジスタとすることができる。
図38Aでは、4個のトランジスタ1003を示している。
【0326】
基板1001上には絶縁体1002が設けられ、絶縁体1002上にトランジスタ1003が設けられる。トランジスタ1003上には絶縁体1004が設けられ、絶縁体1004上には絶縁体1005が設けられる。絶縁体1005上には発光デバイス572、及び光電変換デバイス1010が設けられ、発光デバイス572、又は光電変換デバイス1010と重なる領域を有するように着色層993R、及び着色層993IRが設けられる。
図38Aでは、2個の発光デバイス572(発光デバイス572_1、発光デバイス572_2)、及び2個の光電変換デバイス1010(光電変換デバイス1010_1、光電変換デバイス1010_2)を示しており、それぞれが異なるトランジスタ1003と電気的に接続されている構成を示している。また、
図38Aでは、発光デバイス572_1と重なる領域を有するように、赤色光を透過する機能を有する着色層993Rが設けられ、発光デバイス572_2と重なる領域を有するように、赤外光を透過する機能を有する着色層993IRが設けられる構成を示している。また、光電変換デバイス1010_1と重なる領域を有するように着色層993Rが設けられ、光電変換デバイス1010_2と重なる領域を有するように着色層993IRが設けられる構成を示している。
【0327】
光電変換デバイス1010は、撮像装置の外部から照射される光Lexを受光し、受光した光Lexの照度に対応する電気信号に変換する機能を有する。
【0328】
発光デバイス572は、白色光、及び赤外光を発する機能を有することが好ましい。これにより、発光デバイス572_1から発せられた光は、着色層993Rを通って赤色光Rとして撮像装置の外部に射出される。また、発光デバイス572_2から発せられた光は、着色層993IRを通って赤外光IRとして撮像装置の外部に射出される。撮像装置の外部に射出された赤色光R、及び赤外光IRは、物体に当たって反射され、光電変換デバイス1010に照射される。例えば、
図38Aに示す構成の撮像装置が実施の形態1に示す眼鏡型電子機器に適用される場合、当該眼鏡型電子機器の使用者の顔に赤色光R、及び赤外光IRが照射され、反射した光L
exを光電変換デバイス1010により検出することができる。
【0329】
撮像装置が赤色光と赤外光の両方を検出する機能を有することにより、赤色光又は赤外光の一方しか検出する機能を有しない場合より、当該撮像装置は例えば本発明の一態様の電子機器の使用者の目、及びその周辺の状態を高い精度で検出することができる。これにより、例えば本発明の一態様の電子機器の使用者の表情等の、使用者の顔の特徴を高い精度で認識することができるため、本発明の一態様の電子機器は、例えば使用者の疲労度、感情等を高い精度で推定する機能を有することができる。
【0330】
なお、本発明の一態様の表示装置が光電変換デバイスを有する場合、当該表示装置を
図38Aに示す構成とすることができる。この場合、当該表示装置には、赤色光を透過する機能を有する着色層993Rと重なる領域を有する発光デバイス572、及び赤外光を透過する機能を有する着色層993IRと重なる領域を有する発光デバイス572の他、緑色光を透過する機能を有する着色層と重なる領域を有する発光デバイス572、及び青色光を透過する機能を有する着色層と重なる領域を有する発光デバイス572が設けられる。
【0331】
導電体772と、EL層786と、導電体788と、により発光デバイス572が形成される。また、導電体772と、活性層1011と、導電体788と、により光電変換デバイス1010が形成される。ここで、トランジスタ1003は、導電体772と電気的に接続される。
【0332】
活性層1011として、p型半導体とn型半導体とを積層し、pn接合を実現した積層構造、又は、p型半導体、i型半導体、及びn型半導体を積層し、pin接合を実現した積層構造等とすることができる。
【0333】
活性層1011に用いる半導体として、シリコン等の無機半導体、又は有機化合物を含む有機半導体を用いることができる。特に、有機半導体材料を用いることで、発光デバイス572のEL層786と、活性層1011とを、それぞれ同じ真空蒸着法で形成することが容易となり、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0334】
活性層1011として、有機半導体材料を用いる場合、n型半導体の材料として、フラーレン(例えばC60、C70等)又はその誘導体等の電子受容性の有機半導体材料を用いることができる。また、p型半導体の材料として、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)やテトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)等の電子供与性の有機半導体材料を用いることができる。活性層1011は、電子受容性の半導体材料と電子供与性の半導体材料の積層構造(p-n積層構造)としてもよいし、これらの間に電子受容性の半導体材料と電子供与性の半導体材料を共蒸着したバルクヘテロ構造層を設けた積層構造(p-i-n積層構造)としてもよい。また光を照射していない時の、暗電流を抑制する目的で、上記のp-n積層構造又はp-i-n積層構造の周辺(上側又は下側)に、ホールブロック層として機能する層や、電子ブロック層として機能する層を設けてもよい。
【0335】
発光デバイス572において、導電体772上にEL層786が設けられている。また、光電変換デバイス1010において、導電体772上に活性層1011が設けられている。さらに、EL層786及び活性層1011を覆って、導電体788が設けられている。これにより、導電体788は、発光デバイス572の電極と、光電変換デバイス1010の電極との両方を兼ねる構成とすることができる。
【0336】
図38Bは、本発明の一態様の撮像装置の構成例を示す断面図であり、
図38Aに示す構成の変形例である。
図38Bに示す構成の撮像装置は、発光デバイス572が設けられていない点が、
図38Aに示す構成の撮像装置と異なる。
【0337】
本発明の一態様の電子機器が
図38Bに示す構成の撮像装置を有する場合、撮像装置の外部に光源を設けることにより、当該光源から発せられた光を撮像装置が検出することができる。例えば、
図38Bに示す構成の撮像装置が実施の形態1に示す眼鏡型電子機器に適用される場合、当該眼鏡型電子機器の使用者の顔に、当該光源から発せられた赤色光、及び赤外光が照射され、反射した光L
exを光電変換デバイス1010により検出することができる。
【0338】
本発明の一態様の電子機器が有する撮像装置を
図38Bに示す構成とすることにより、当該撮像装置には、光電変換デバイス1010を高密度に設けることができる。
【0339】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、又は図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0340】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0341】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタについて説明する。
【0342】
<トランジスタの構成例1>
図39A、
図39B、(C)は、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200A、並びにトランジスタ200A周辺の上面図及び断面図である。実施の形態1等に示す画素アレイ833、ゲートドライバ回路821、ソースドライバ回路822、及び回路840が有するトランジスタに、トランジスタ200Aを適用することができる。
【0343】
図39Aは、トランジスタ200Aの上面図である。また、
図39B、
図39Cは、トランジスタ200Aの断面図である。ここで、
図39Bは、
図39AにA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Aのチャネル長方向の断面図でもある。また、
図39Cは、
図39AにA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Aのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、
図39Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0344】
トランジスタ200Aは、基板(図示しない。)の上に配置された金属酸化物230aと、金属酸化物230aの上に配置された金属酸化物230bと、金属酸化物230bの上に、互いに離隔して配置された導電体242a、及び導電体242bと、導電体242a上、及び導電体242b上に配置され、導電体242aと導電体242bの間に開口が形成された絶縁体280と、開口の中に配置された導電体260と、金属酸化物230b、導電体242a、導電体242b、及び絶縁体280と、導電体260と、の間に配置された絶縁体250と、金属酸化物230b、導電体242a、導電体242b、及び絶縁体280と、絶縁体250と、の間に配置された金属酸化物230cと、を有する。ここで、
図39B、
図39Cに示すように、導電体260の上面は、絶縁体250、絶縁体254、金属酸化物230c、及び絶縁体280の上面と略一致することが好ましい。なお、以下において、金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230cをまとめて金属酸化物230という場合がある。また、導電体242a及び導電体242bをまとめて導電体242という場合がある。
【0345】
図39Bに示すように、トランジスタ200Aは、導電体242a及び導電体242bの導電体260側の側面が、概略垂直な形状を有している。なお、
図39に示すトランジスタ200Aは、これに限られるものではなく、導電体242a及び導電体242bの側面と底面がなす角が、10°以上80°以下、好ましくは、30°以上60°以下としてもよい。また、導電体242a及び導電体242bの対向する側面が、複数の面を有していてもよい。
【0346】
図39B、
図39Cに示すように、絶縁体224、金属酸化物230a、金属酸化物230b、導電体242a、導電体242b、及び金属酸化物230cと、絶縁体280と、の間に絶縁体254が配置されることが好ましい。ここで、絶縁体254は、
図39B、
図39Cに示すように、金属酸化物230cの側面、導電体242aの上面と側面、導電体242bの上面と側面、金属酸化物230aの側面、金属酸化物230bの側面、及び絶縁体224の上面と接する領域を有することが好ましい。
【0347】
なお、トランジスタ200Aでは、チャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域ともいう。)と、その近傍において、金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、金属酸化物230bと金属酸化物230cの2層構造、又は4層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ200Aでは、導電体260を2層の積層構造として示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体260が単層構造であってもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。また、金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230cのそれぞれが2層以上の積層構造を有していてもよい。
【0348】
例えば、金属酸化物230cが第1の金属酸化物と、第1の金属酸化物上の第2の金属酸化物からなる積層構造を有する場合、第1の金属酸化物は、金属酸化物230bと同様の組成を有し、第2の金属酸化物は、金属酸化物230aと同様の組成を有することが好ましい。
【0349】
ここで、導電体260は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体242a及び導電体242bは、それぞれソース電極又はドレイン電極として機能する。上記のように、導電体260は、絶縁体280の開口、及び導電体242aと導電体242bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。ここで、導電体260、導電体242a及び導電体242bの配置は、絶縁体280の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ200Aにおいて、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置することができる。よって、導電体260を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるため、トランジスタ200Aの占有面積の縮小を図ることができる。これにより、表示装置を高精細にすることができる。また、表示装置を狭額縁にすることができる。
【0350】
図39に示すように、導電体260は、絶縁体250の内側に設けられた導電体260aと、導電体260aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体260bと、を有することが好ましい。
【0351】
トランジスタ200Aは、
図39A、
図39B、
図39Cに示すように、基板(図示しない。)の上に配置された絶縁体214と、絶縁体214の上に配置された絶縁体216と、絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体205と、絶縁体216と導電体205の上に配置された絶縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁体224と、を有することが好ましい。また、絶縁体224の上に金属酸化物230aが配置されることが好ましい。
【0352】
トランジスタ200Aの上に、層間膜として機能する絶縁体274、及び絶縁体281が配置されることが好ましい。ここで、絶縁体274は、導電体260、絶縁体250、絶縁体254、金属酸化物230c、及び絶縁体280の上面に接して配置されることが好ましい。
【0353】
絶縁体222、絶縁体254、及び絶縁体274は、水素(例えば、水素原子、水素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222、絶縁体254、及び絶縁体274は、絶縁体224、絶縁体250、及び絶縁体280より水素透過性が低いことが好ましい。また、絶縁体222、及び絶縁体254は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222、及び絶縁体254は、絶縁体224、絶縁体250、及び絶縁体280より酸素透過性が低いことが好ましい。
【0354】
ここで、絶縁体224、金属酸化物230、及び絶縁体250は、絶縁体280及び絶縁体281と、絶縁体254、及び絶縁体274によって離隔されている。ゆえに、絶縁体224、金属酸化物230、及び絶縁体250に、絶縁体280及び絶縁体281に含まれる水素等の不純物、及び過剰な酸素が混入することを抑制することができる。
【0355】
トランジスタ200Aと電気的に接続し、プラグとして機能する導電体240(導電体240a、及び導電体240b)が設けられることが好ましい。なお、プラグとして機能する導電体240の側面に接して絶縁体241(絶縁体241a、及び絶縁体241b)が設けられる。つまり、絶縁体254、絶縁体280、絶縁体274、及び絶縁体281の開口の内壁に接して絶縁体241が設けられる。また、絶縁体241の側面に接して導電体240の第1の導電体が設けられ、さらに内側に導電体240の第2の導電体が設けられる構成にしてもよい。ここで、導電体240の上面の高さと、絶縁体281の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200Aでは、導電体240の第1の導電体及び導電体240の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体240を単層、又は3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
【0356】
トランジスタ200Aは、チャネル形成領域を含む金属酸化物230(金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230c)に、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。例えば、金属酸化物230のチャネル形成領域となる金属酸化物として、前述のようにバンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。
【0357】
図39Bに示すように、金属酸化物230bは、導電体242と重ならない領域の膜厚が、導電体242と重なる領域の膜厚より薄くなる場合がある。これは、導電体242a及び導電体242bを形成する際に、金属酸化物230bの上面の一部を除去することにより形成される。金属酸化物230bの上面には、導電体242となる導電膜を成膜した際に、当該導電膜との界面近傍に抵抗の低い領域が形成される場合がある。このように、金属酸化物230bの上面の導電体242aと導電体242bの間に位置する、抵抗の低い領域を除去することにより、当該領域にチャネルが形成されることを抑制することができる。
【0358】
本発明の一態様により、サイズが小さいトランジスタを有し、精細度が高い表示装置を提供することができる。又は、オン電流が大きいトランジスタを有し、輝度が高い表示装置を提供することができる。又は、動作が速いトランジスタを有し、動作が速い表示装置を提供することができる。又は、電気特性が安定したトランジスタを有し、信頼性が高い表示装置を提供することができる。又は、オフ電流が小さいトランジスタを有し、消費電力が低い表示装置を提供することができる。
【0359】
本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200Aの詳細な構成について説明する。
【0360】
導電体205は、金属酸化物230、及び導電体260と、重なる領域を有するように配置する。また、導電体205は、絶縁体216に埋め込まれて設けることが好ましい。ここで、導電体205の上面の平坦性を良好にすることが好ましい。例えば、導電体205上面の平均面粗さ(Ra)を1nm以下、好ましくは0.5nm以下、より好ましくは0.3nm以下にすればよい。これにより、導電体205の上に形成される、絶縁体224の平坦性を良好にし、金属酸化物230b及び金属酸化物230cの結晶性の向上を図ることができる。
【0361】
ここで、導電体260は、第1のゲート(トップゲートともいう。)電極として機能する場合がある。また、導電体205は、第2のゲート(バックゲートともいう。)電極として機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200AのVthを制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200AのVthを0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260に印加する電位が0Vのときのトランジスタ200Aのドレイン電流を小さくすることができる。
【0362】
導電体205は、金属酸化物230におけるチャネル形成領域よりも大きく設けるとよい。特に、
図39Cに示すように、導電体205は、金属酸化物230のチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても延伸していることが好ましい。つまり、金属酸化物230のチャネル幅方向における側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。
【0363】
上記構成を有することで、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電体205の電界によって、金属酸化物230のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。
【0364】
図39Cに示すように、導電体205は延伸させて、配線としても機能させている。ただし、これに限られることなく、導電体205の下に、配線として機能する導電体を設ける構成にしてもよい。
【0365】
導電体205は、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205を単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0366】
導電体205の下に水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2等)、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電体を設けてもよい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電体を設けることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、又は酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、又は上記酸素のいずれか一又はすべての拡散を抑制する機能とする。
【0367】
導電体205の下に、酸素の拡散を抑制する機能を有する導電体を設けることにより、導電体205が酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電体として、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、又は酸化ルテニウム等を用いることが好ましい。したがって、導電体205として、上記導電性材料を単層又は積層とすればよい。
【0368】
絶縁体214は、水又は水素等の不純物が、基板側からトランジスタ200Aに混入することを抑制するバリア絶縁膜としての機能を有することが好ましい。したがって、絶縁体214は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2等)、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。
【0369】
例えば、絶縁体214として、酸化アルミニウム又は窒化シリコン等を用いることが好ましい。これにより、水又は水素等の不純物が絶縁体214よりも基板側からトランジスタ200A側に拡散することを抑制することができる。又は、絶縁体224等に含まれる酸素が、絶縁体214よりも基板側に拡散することを抑制することができる。
【0370】
層間膜として機能する絶縁体216、絶縁体280、及び絶縁体281は、絶縁体214よりも比誘電率が低いことが好ましい。比誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体216、絶縁体280、及び絶縁体281として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、又は空孔を有する酸化シリコン等を適宜用いればよい。
【0371】
絶縁体222及び絶縁体224は、ゲート絶縁体としての機能を有する。
【0372】
ここで、金属酸化物230と接する絶縁体224は、加熱により酸素を脱離することが好ましい。本明細書等では、加熱により離脱する酸素を過剰酸素と呼ぶことがある。例えば、絶縁体224は、酸化シリコン又は酸化窒化シリコン等を適宜用いればよい。酸素を含む絶縁体を金属酸化物230に接して設けることにより、金属酸化物230中の酸素欠損を低減し、トランジスタ200Aの信頼性を向上させることができる。
【0373】
絶縁体224として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm3以上、又は3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度として100℃以上700℃以下、又は100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0374】
図39Cに示すように、絶縁体224は、絶縁体254と重ならず、且つ金属酸化物230bと重ならない領域の膜厚が、それ以外の領域の膜厚より薄くなる場合がある。絶縁体224において、絶縁体254と重ならず、且つ金属酸化物230bと重ならない領域の膜厚は、上記酸素を十分に拡散できる膜厚であることが好ましい。
【0375】
絶縁体222は、絶縁体214等と同様に、水又は水素等の不純物が、基板側からトランジスタ200Aに混入することを抑制するバリア絶縁膜としての機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。絶縁体222、絶縁体254、及び絶縁体274によって絶縁体224、金属酸化物230、及び絶縁体250等を囲むことにより、外方から水又は水素等の不純物がトランジスタ200Aに侵入することを抑制することができる。
【0376】
さらに、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。絶縁体222が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、金属酸化物230が有する酸素が、基板側へ拡散することを低減できるため、好ましい。また、導電体205が、絶縁体224が有する酸素、及び金属酸化物230が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0377】
絶縁体222は、絶縁性材料であるアルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウムを用いることが好ましい。又は、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体222を形成した場合、絶縁体222は、金属酸化物230からの酸素の放出、及びトランジスタ200Aの周辺部から金属酸化物230への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0378】
又は、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。又はこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコン、又は窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0379】
絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、又は(Ba,Sr)TiO3(BST)等のいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層又は積層で用いてもよい。トランジスタの微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流等の問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位を低減することが可能となる。
【0380】
なお、絶縁体222、及び絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。例えば、絶縁体222の下に絶縁体224と同様の絶縁体を設ける構成にしてもよい。
【0381】
金属酸化物230は、金属酸化物230aと、金属酸化物230a上の金属酸化物230bと、金属酸化物230b上の金属酸化物230cと、を有する。金属酸化物230b下に金属酸化物230aを有することで、金属酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、金属酸化物230bへ不純物が拡散することを抑制することができる。また、金属酸化物230b上に金属酸化物230cを有することで、金属酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、金属酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0382】
なお、金属酸化物230は、各金属原子の原子数比が異なる複数の酸化物層の積層構造を有することが好ましい。具体的には、金属酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、金属酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、金属酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、金属酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、金属酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、金属酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、金属酸化物230cは、金属酸化物230a又は金属酸化物230bに用いることができる金属酸化物を用いることができる。
【0383】
金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230cは、結晶性を有することが好ましく、特に、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)を用いることが好ましい。CAAC-OS等の結晶性を有する酸化物は、不純物や欠陥(酸素欠損等)が少なく、結晶性の高い、緻密な構造を有している。よって、ソース電極又はドレイン電極による、金属酸化物230bからの酸素の引き抜きを抑制することができる。これにより、熱処理を行った場合でも、金属酸化物230bから酸素が引き抜かれることを抑制することができる。よって、トランジスタ200Aは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対して安定である。
【0384】
金属酸化物230a及び金属酸化物230cの伝導帯下端のエネルギーが、金属酸化物230bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、金属酸化物230a及び金属酸化物230cの電子親和力が、金属酸化物230bの電子親和力より小さいことが好ましい。この場合、金属酸化物230cは、金属酸化物230aに用いることができる金属酸化物を用いることが好ましい。具体的には、金属酸化物230cに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、金属酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、金属酸化物230cに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、金属酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、金属酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、金属酸化物230cに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
【0385】
ここで、金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230cの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230cの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化又は連続接合するともいうことができる。このようにするためには、金属酸化物230aと金属酸化物230bとの界面、及び金属酸化物230bと金属酸化物230cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0386】
具体的には、金属酸化物230aと金属酸化物230b、金属酸化物230bと金属酸化物230cが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする。)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、金属酸化物230bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、金属酸化物230a及び金属酸化物230cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウム等を用いてもよい。また、金属酸化物230cを積層構造としてもよい。例えば、In-Ga-Zn酸化物と、当該In-Ga-Zn酸化物上のGa-Zn酸化物との積層構造、又はIn-Ga-Zn酸化物と、当該In-Ga-Zn酸化物上の酸化ガリウムとの積層構造を用いることができる。別言すると、In-Ga-Zn酸化物と、Inを含まない酸化物との積層構造を、金属酸化物230cとして用いてもよい。
【0387】
具体的には、金属酸化物230aとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、又は1:1:0.5[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、金属酸化物230bとして、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、又は3:1:2[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、金属酸化物230cとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、Ga:Zn=2:1[原子数比]、又はGa:Zn=2:5[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、金属酸化物230cを積層構造とする場合の具体例として、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]とGa:Zn=2:1[原子数比]との積層構造、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]とGa:Zn=2:5[原子数比]との積層構造、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]と酸化ガリウムとの積層構造等が挙げられる。
【0388】
このとき、キャリアの主たる経路は金属酸化物230bとなる。金属酸化物230a、及び金属酸化物230cを上述の構成とすることで、金属酸化物230aと金属酸化物230bとの界面、及び金属酸化物230bと金属酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200Aは高いオン電流、及び高い周波数特性を得ることができる。なお、金属酸化物230cを積層構造とした場合、上述の金属酸化物230bと、金属酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くする効果に加え、金属酸化物230cが有する構成元素が、絶縁体250側に拡散することを抑制することが期待される。より具体的には、金属酸化物230cを積層構造とし、積層構造の上方にInを含まない酸化物を位置させるため、絶縁体250側に拡散しうるInを抑制することができる。絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能するため、Inが拡散した場合、トランジスタの特性不良となる。したがって、金属酸化物230cを積層構造とすることで、信頼性の高い表示装置を提供することが可能となる。
【0389】
金属酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、金属酸化物230のチャネル形成領域となる金属酸化物として、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。このようなトランジスタを用いることで、低消費電力の表示装置を提供できる。
【0390】
金属酸化物230b上には、ソース電極、及びドレイン電極として機能する導電体242(導電体242a、及び導電体242b)が設けられる。導電体242として、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、又は上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物等を用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、又は酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため好ましい。
【0391】
金属酸化物230と接するように上記導電体242を設けることで、金属酸化物230の導電体242近傍において、酸素濃度が低減する場合がある。また、金属酸化物230の導電体242近傍において、導電体242に含まれる金属と、金属酸化物230の成分とを含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、金属酸化物230の導電体242近傍の領域においてキャリア密度が増加し、当該領域は低抵抗領域となる。
【0392】
ここで、導電体242aと導電体242bの間の領域は、絶縁体280の開口に重畳して形成される。これにより、導電体242aと導電体242bの間に導電体260を自己整合的に配置することができる。
【0393】
絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能する。絶縁体250は、金属酸化物230cの上面に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0394】
絶縁体250は、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水又は水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とすることが好ましい。
【0395】
絶縁体250と導電体260との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体250から導電体260への酸素拡散を抑制する機能を有することが好ましい。これにより、絶縁体250に含まれる酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。
【0396】
当該金属酸化物は、ゲート絶縁体の一部としての機能を有する場合がある。したがって、絶縁体250に酸化シリコンや酸化窒化シリコン等を用いる場合、当該金属酸化物は、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。ゲート絶縁体を、絶縁体250と当該金属酸化物との積層構造とすることで、トランジスタ200Aを熱に対して安定、かつ比誘電率の高いトランジスタとすることができる。したがって、ゲート絶縁体の物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位を低減することが可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)を薄くすることが可能となる。
【0397】
具体的には、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、又はマグネシウム等から選ばれた一種、又は二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。特に、アルミニウム、又はハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、又はアルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。
【0398】
導電体260は、
図39では2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
【0399】
導電体260aは、上述の、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2等)、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電体を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0400】
導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を有することで、絶縁体250に含まれる酸素により導電体260bが酸化して導電体260bの導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料として、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、又は酸化ルテニウム等を用いることが好ましい。
【0401】
導電体260bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体260は、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
【0402】
図39A、
図39Cに示すように、金属酸化物230bの導電体242と重ならない領域、言い換えると、金属酸化物230のチャネル形成領域において、金属酸化物230の側面が導電体260で覆うように配置されている。これにより、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界を、金属酸化物230の側面に作用させやすくなる。よって、トランジスタ200Aのオン電流を増大させ、トランジスタ200Aの周波数特性を向上させることができる。
【0403】
絶縁体254は、絶縁体214等と同様に、水又は水素等の不純物が、絶縁体280側からトランジスタ200Aに混入することを抑制するバリア絶縁膜としての機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体254は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。さらに、
図39B、
図39Cに示すように、絶縁体254は、金属酸化物230cの側面、導電体242aの上面と側面、導電体242bの上面と側面、金属酸化物230aの側面、金属酸化物230bの側面、及び絶縁体224の上面と接する領域を有することが好ましい。このような構成にすることで、絶縁体280に含まれる水素が、導電体242a、導電体242b、金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び絶縁体224の上面又は側面から金属酸化物230に侵入することを抑制することができる。
【0404】
さらに、絶縁体254は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。例えば、絶縁体254は、絶縁体280又は絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。
【0405】
絶縁体254は、スパッタリング法を用いて成膜されることが好ましい。絶縁体254を、酸素を含む雰囲気でスパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁体224の絶縁体254と接する領域近傍に酸素を添加することができる。これにより、当該領域から、絶縁体224を介して金属酸化物230中に酸素を供給することができる。ここで、絶縁体254が、上方への酸素の拡散を抑制する機能を有することで、酸素が金属酸化物230から絶縁体280へ拡散することを抑制することができる。また、絶縁体222が、下方への酸素の拡散を抑制する機能を有することで、酸素が金属酸化物230から基板側へ拡散することを抑制することができる。このようにして、金属酸化物230のチャネル形成領域に酸素が供給される。これにより、金属酸化物230の酸素欠損を低減し、トランジスタのノーマリーオン化を抑制することができる。
【0406】
絶縁体254として、例えば、アルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、又はアルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。
【0407】
水素に対してバリア性を有する絶縁体254によって絶縁体224、絶縁体250、及び金属酸化物230を覆うことで、絶縁体280は絶縁体254により絶縁体224、金属酸化物230、及び絶縁体250と離隔されている。これにより、トランジスタ200Aの外方から水素等の不純物が浸入することを抑制できるため、トランジスタ200Aの電気特性及び信頼性を良好なものとすることができる。
【0408】
絶縁体280は、絶縁体254を介して、絶縁体224、金属酸化物230、及び導電体242上に設けられる。例えば、絶縁体280として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、又は空孔を有する酸化シリコン等を有することが好ましい。特に、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。また、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、空孔を有する酸化シリコン等の材料は、加熱により脱離する酸素を含む領域を容易に形成することができるため好ましい。
【0409】
絶縁体280中の水又は水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。また、絶縁体280の上面は、平坦化されていてもよい。
【0410】
絶縁体274は、絶縁体214等と同様に、水又は水素等の不純物が絶縁体280に混入することを抑制するバリア絶縁膜としての機能を有することが好ましい。絶縁体274として、例えば、絶縁体214、絶縁体254等に用いることができる絶縁体を用いることができる。
【0411】
絶縁体274の上に、層間膜として機能する絶縁体281を設けることが好ましい。絶縁体281は、絶縁体224等と同様に、膜中の水又は水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0412】
絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、及び絶縁体254に形成された開口に、導電体240a及び導電体240bを配置する。導電体240a及び導電体240bは、導電体260を挟んで対向して設ける。なお、導電体240a及び導電体240bの上面の高さは、絶縁体281の上面と、同一平面上としてもよい。
【0413】
なお、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、及び絶縁体254の開口の内壁に接して、絶縁体241aが設けられ、その側面に接して導電体240aの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には導電体242aが位置しており、導電体240aが導電体242aと接する。同様に、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、及び絶縁体254の開口の内壁に接して、絶縁体241bが設けられ、その側面に接して導電体240bの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には導電体242bが位置しており、導電体240bが導電体242bと接する。
【0414】
導電体240a及び導電体240bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体240a及び導電体240bは積層構造としてもよい。
【0415】
導電体240を積層構造とする場合、金属酸化物230a、金属酸化物230b、導電体242、絶縁体254、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体281と接する導電体には、上述の、水又は水素等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電体を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム、又は酸化ルテニウム等を用いることが好ましい。また、水又は水素等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料は、単層又は積層で用いてもよい。当該導電性材料を用いることで、絶縁体280に添加された酸素が導電体240a及び導電体240bに吸収されることを抑制することができる。また、絶縁体281より上層から水又は水素等の不純物が、導電体240a及び導電体240bを通じて金属酸化物230に混入することを抑制することができる。
【0416】
絶縁体241a及び絶縁体241bとして、例えば、絶縁体254等に用いることができる絶縁体を用いればよい。絶縁体241a及び絶縁体241bは、絶縁体254に接して設けられるため、絶縁体280等から水又は水素等の不純物が、導電体240a及び導電体240bを通じて金属酸化物230に混入することを抑制することができる。また、絶縁体280に含まれる酸素が導電体240a及び導電体240bに吸収されることを抑制することができる。
【0417】
図示しないが、導電体240aの上面、及び導電体240bの上面に接して配線として機能する導電体を配置してもよい。配線として機能する導電体は、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。当該導電体は、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
【0418】
<トランジスタの構成例2>
図40A、
図40B、
図40Cは、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200B、及びトランジスタ200B周辺の上面図及び断面図である。トランジスタ200Bは、トランジスタ200Aの変形例である。
【0419】
図40Aは、トランジスタ200Bの上面図である。また、
図40B、及び
図40Cは、トランジスタ200Bの断面図である。ここで、
図40Bは、
図40AにB1-B2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Bのチャネル長方向の断面図でもある。また、
図40Cは、
図40AにB3-B4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Bのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、
図40Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0420】
トランジスタ200Bでは、導電体242a及び導電体242bが、金属酸化物230c、絶縁体250、及び導電体260と重なる領域を有する。これにより、トランジスタ200Bはオン電流が高いトランジスタとすることができる。また、トランジスタ200Bは制御しやすいトランジスタとすることができる。
【0421】
ゲート電極として機能する導電体260は、導電体260aと、導電体260a上の導電体260bと、を有する。導電体260aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0422】
導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を有することにより、導電体260bの材料選択性を向上することができる。つまり、導電体260aを有することで、導電体260bの酸化が抑制され、導電率が低下することを抑制することができる。
【0423】
導電体260の上面及び側面、絶縁体250の側面、及び金属酸化物230cの側面を覆うように絶縁体254を設けることが好ましい。なお、絶縁体254は、水又は水素等の不純物、及び酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。
【0424】
絶縁体254を設けることで、導電体260の酸化を抑制することができる。また、絶縁体254を有することで、絶縁体280が有する水、水素等の不純物がトランジスタ200Bへ拡散することを抑制することができる。
【0425】
<トランジスタの構成例3>
図41A、
図41B、
図41Cは、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200C、及びトランジスタ200C周辺の上面図及び断面図である。トランジスタ200Cは、トランジスタ200Aの変形例である。
【0426】
図41Aは、トランジスタ200Cの上面図である。また、
図41B及び
図41Cは、トランジスタ200Cの断面図である。ここで、
図41Bは、
図41AにC1-C2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Cのチャネル長方向の断面図でもある。また、
図41Cは、
図41AにC3-C4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Cのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、
図41Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0427】
トランジスタ200Cでは、金属酸化物230c上に絶縁体250を有し、絶縁体250上に金属酸化物252を有する。また、金属酸化物252上に導電体260を有し、導電体260上に絶縁体270を有する。また、絶縁体270上に絶縁体271を有する。
【0428】
金属酸化物252は、酸素拡散を抑制する機能を有することが好ましい。絶縁体250と導電体260との間に、酸素の拡散を抑制する金属酸化物252を設けることで、導電体260への酸素の拡散が抑制される。つまり、金属酸化物230へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、導電体260の酸化を抑制することができる。
【0429】
なお、金属酸化物252は、ゲート電極の一部としての機能を有してもよい。例えば、金属酸化物230として用いることができる酸化物半導体を、金属酸化物252として用いることができる。その場合、導電体260をスパッタリング法で成膜することで、金属酸化物252の電気抵抗値を低下させて導電体とすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
【0430】
金属酸化物252は、ゲート絶縁体の一部としての機能を有する場合がある。したがって、絶縁体250に熱安定性が高い材料である酸化シリコン又は酸化窒化シリコン等を用いる場合、金属酸化物252として、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。当該積層構造とすることで、トランジスタ200Cを熱に対して安定、かつ比誘電率の高いトランジスタとすることができる。したがって、物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
【0431】
トランジスタ200Cにおいて、金属酸化物252を単層で示したが、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、ゲート電極の一部として機能する金属酸化物と、ゲート絶縁体の一部として機能する金属酸化物とを積層して設けてもよい。
【0432】
トランジスタ200Cが金属酸化物252を有することで、金属酸化物252がゲート電極として機能する場合は、導電体260からの電界の影響を弱めることなく、トランジスタ200Cのオン電流を向上させることができる。また、金属酸化物252がゲート絶縁体として機能する場合は、絶縁体250及び金属酸化物252の物理的な厚みにより、導電体260と金属酸化物230との間の距離を保つことができる。これにより、導電体260と金属酸化物230との間のリーク電流を抑制することができる。したがって、トランジスタ200Cが絶縁体250と金属酸化物252との積層構造を有することで、導電体260と金属酸化物230との間の物理的な距離、及び導電体260から金属酸化物230へかかる電界強度を、容易に調整することができる。
【0433】
具体的には、金属酸化物252として、金属酸化物230に用いることができる酸化物半導体を低抵抗化したものを用いることができる。又は、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、又はマグネシウム等から選ばれた一種、又は二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0434】
特に、アルミニウム、又はハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウムよりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結晶化しにくいため好ましい。なお、金属酸化物252は、必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0435】
絶縁体270は、水又は水素等の不純物、及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウム又は酸化ハフニウム等を用いることが好ましい。これにより、絶縁体270よりも上方からの酸素で導電体260が酸化することを抑制することができる。また、水又は水素等の不純物が、絶縁体270よりも上方から、導電体260及び絶縁体250を介して、金属酸化物230に混入することを抑制することができる。
【0436】
絶縁体271はハードマスクとして機能する。絶縁体271を設けることで、導電体260の加工の際、導電体260の側面が概略垂直、具体的には、導電体260の側面と基板表面のなす角を、75度以上100度以下、好ましくは80度以上95度以下とすることができる。
【0437】
なお、絶縁体271に、水又は水素等の不純物、及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることで、バリア層としての機能を兼ねさせてもよい。その場合、絶縁体270は設けなくともよい。
【0438】
絶縁体271をハードマスクとして用いて、絶縁体270、導電体260、金属酸化物252、絶縁体250、及び金属酸化物230cの一部を選択的に除去することで、これらの側面を略一致させて、かつ、金属酸化物230b表面の一部を露出させることができる。
【0439】
トランジスタ200Cは、露出した金属酸化物230b表面の一部に領域243a及び領域243bを有する。領域243a又は領域243bの一方はソース領域として機能し、領域243a又は領域243bの他方はドレイン領域として機能する。
【0440】
領域243a及び領域243bの形成は、例えば、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、又はプラズマ処理等を用いて、露出した金属酸化物230b表面にリン又はボロン等の不純物元素を導入することで実現できる。なお、本実施の形態等において「不純物元素」とは、主成分元素以外の元素のことをいう。
【0441】
金属酸化物230b表面の一部を露出させた後に金属膜を成膜し、その後加熱処理を行うことにより、当該金属膜に含まれる元素を金属酸化物230bに拡散させて領域243a及び領域243bを形成することもできる。
【0442】
金属酸化物230bの不純物元素が導入された領域は、電気抵抗率が低下する。このため、領域243a及び領域243bを「不純物領域」又は「低抵抗領域」という場合がある。
【0443】
絶縁体271及び/又は導電体260をマスクとして用いることで、領域243a及び領域243bを自己整合(セルフアライメント)的に形成することができる。よって、領域243a及び/又は領域243bと、導電体260が重ならず、寄生容量を低減することができる。また、チャネル形成領域とソースドレイン領域(領域243a又は領域243b)の間にオフセット領域が形成されない。領域243a及び領域243bを自己整合(セルフアライメント)的に形成することにより、オン電流の増加、しきい値電圧の低減、動作周波数の向上等を実現できる。
【0444】
トランジスタ200Cは、絶縁体271、絶縁体270、導電体260、金属酸化物252、絶縁体250、及び金属酸化物230cの側面に絶縁体272を有する。絶縁体272は、比誘電率の低い絶縁体であることが好ましい。例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、又は樹脂等であることが好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを絶縁体272に用いると、後の工程で絶縁体272中に過剰酸素領域を容易に形成できるため好ましい。また、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。また、絶縁体272は、酸素を拡散する機能を有することが好ましい。
【0445】
なお、オフ電流を更に低減するため、チャネル形成領域とソースドレイン領域の間にオフセット領域を設けてもよい。オフセット領域とは、電気抵抗率が高い領域であり、前述した不純物元素の導入が行なわれない領域である。オフセット領域の形成は、絶縁体272の形成後に前述した不純物元素の導入を行なうことで実現できる。この場合、絶縁体272も絶縁体271等と同様にマスクとして機能する。よって、金属酸化物230bのうち、絶縁体272と重なる領域には不純物元素が導入されず、当該領域の電気抵抗率を高いままとすることができる。
【0446】
トランジスタ200Cは、絶縁体272、金属酸化物230上に絶縁体254を有する。絶縁体254は、スパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。スパッタリング法を用いることにより、水又は水素等の不純物の少ない絶縁体を成膜することができる。
【0447】
なお、スパッタリング法を用いて形成した酸化膜は、被成膜構造体から水素を引き抜く場合がある。したがって、絶縁体254をスパッタリング法により形成する場合、絶縁体254が金属酸化物230及び絶縁体272から水素及び水を吸収する。これにより、金属酸化物230及び絶縁体272の水素濃度を低減することができる。
【0448】
<トランジスタの構成材料>
トランジスタに用いることができる構成材料について説明する。
【0449】
<<基板>>
トランジスタ200A、トランジスタ200B、またはトランジスタ200Cを形成する基板として、例えば、絶縁体基板、半導体基板、又は導電体基板を用いればよい。絶縁体基板として、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板等)、樹脂基板等がある。また、半導体基板として、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の半導体基板、又は炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板等がある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板等がある。導電体基板として、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板等がある。又は、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板等がある。さらには、絶縁体基板に導電体又は半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体又は絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体又は絶縁体が設けられた基板等がある。又は、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子として、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、記憶素子等がある。
【0450】
基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ200A、トランジスタ200B、またはトランジスタ200Cを形成してもよい。または、基板と、当該トランジスタの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に当該トランジスタを一部あるいは全部を形成した後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、当該トランジスタは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
【0451】
<<絶縁体>>
絶縁体として、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物等がある。
【0452】
例えば、トランジスタの微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流等の問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながらトランジスタ動作時の低電圧化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて材料を選択するとよい。
【0453】
比誘電率の高い絶縁体として、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウム及びハフニウムを有する酸化物、アルミニウム及びハフニウムを有する酸化窒化物、シリコン及びハフニウムを有する酸化物、シリコン及びハフニウムを有する酸化窒化物、又はシリコン及びハフニウムを有する窒化物等がある。
【0454】
比誘電率が低い絶縁体として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、又は樹脂等がある。
【0455】
酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体(絶縁体214、絶縁体222、絶縁体254、及び絶縁体274等)で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム、又はタンタルを含む絶縁体を、単層で、又は積層で用いればよい。具体的には、水素等の不純物、及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、又は酸化タンタル等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムチタン、窒化チタン、窒化酸化シリコン、又は窒化シリコン等の金属窒化物を用いることができる。
【0456】
ゲート絶縁体として機能する絶縁体は、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する酸化シリコン又は酸化窒化シリコンを金属酸化物230と接する構造とすることで、金属酸化物230が有する酸素欠損を補償することができる。
【0457】
<<導電体>>
導電体として、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタン等から選ばれた金属元素、又は上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物等を用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、又は酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため好ましい。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイド等のシリサイドを用いてもよい。
【0458】
上記の材料で形成される導電体を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
【0459】
なお、トランジスタのチャネル形成領域に金属酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
【0460】
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素及び酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素及び窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタル等の窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。又は、外方の絶縁体等から混入する水素を捕獲することができる場合がある。
【0461】
<<金属酸化物>>
金属酸化物は、少なくともインジウム又は亜鉛を含むことが好ましい。特に、インジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、又は錫等が含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウム等から選ばれた一種、又は複数種が含まれていてもよい。
【0462】
ここでは、金属酸化物が、インジウム、元素M、及び亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、又は錫等とする。そのほかの元素Mに適用可能な元素として、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム等がある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0463】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0464】
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体として、例えば、CAAC-OS、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶質酸化物半導体等がある。
【0465】
[不純物]
金属酸化物中における各不純物の影響について説明する。金属酸化物にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。したがって、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、金属酸化物中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる金属酸化物中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0466】
金属酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になる。このため、金属酸化物に含まれる水素により、当該金属酸化物に酸素欠損が形成される場合がある。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。したがって、水素が含まれている金属酸化物を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。
【0467】
このため、金属酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、金属酸化物において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、当該トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
【0468】
トランジスタの半導体に用いる金属酸化物として、結晶性の高い薄膜を用いることが好ましい。当該薄膜を用いることで、トランジスタの安定性又は信頼性を向上させることができる。当該薄膜として、例えば、単結晶金属酸化物の薄膜、又は多結晶金属酸化物の薄膜が挙げられる。しかしながら、単結晶金属酸化物の薄膜、又は多結晶金属酸化物の薄膜を基板上に形成するには、高温又はレーザー加熱の工程が必要とされる。よって、製造工程のコストが増加し、さらに、スループットも低下してしまう。
【0469】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、又は図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0470】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0471】
:10:電子機器、10a:電子機器、10b:電子機器、11:筐体、11a:第1のパーツ、11b:第2のパーツ、11c:第3のパーツ、11d:第4のパーツ、11e:第5のパーツ、11f:第6のパーツ、11g:第7のパーツ、11h:第8のパーツ、11i:第9のパーツ、12a:第1の部分、12b:第2の部分、12c:第3の部分、12d:第4の部分、12e:第5の部分、13:表示装置、13L:表示装置、13R:表示装置、15L:光学部材、15R:光学部材、17:検出装置、17L:検出装置、17R:検出装置、18:記憶装置、19:演算装置、21:入出力装置、23:サーバ、25:固定具、27:留め具、29:セパレータ、31:電子機器、33:表示部、41:空間、43:開口部、45:調整機構、53:特徴抽出部、54:推定部、55:情報生成部、61:入力層、62:中間層、63:出力層、71:データ、72:データ、73:データ、74:データ、81:情報、82:情報、91:情報、92:情報、93:情報、94:情報、95:情報、200A:トランジスタ、200B:トランジスタ、200C:トランジスタ、205:導電体、214:絶縁体、216:絶縁体、222:絶縁体、224:絶縁体、230:金属酸化物、230a:金属酸化物、230b:金属酸化物、230c:金属酸化物、240:導電体、240a:導電体、240b:導電体、241:絶縁体、241a:絶縁体、241b:絶縁体、242:導電体、242a:導電体、242b:導電体、243a:領域、243b:領域、244:絶縁体、250:絶縁体、252:金属酸化物、254:絶縁体、260:導電体、260a:導電体、260b:導電体、270:絶縁体、271:絶縁体、272:絶縁体、274:絶縁体、280:絶縁体、281:絶縁体、301a:導電体、301b:導電体、305:導電体、311:導電体、313:導電体、317:導電体、321:下部電極、323:絶縁体、325:上部電極、331:導電体、333:導電体、335:導電体、337:導電体、341:導電体、343:導電体、347:導電体、351:導電体、353:導電体、355:導電体、357:導電体、361:絶縁体、363:絶縁体、401:回路、403:素子分離層、405:絶縁体、407:絶縁体、409:絶縁体、411:絶縁体、413:絶縁体、415:絶縁体、417:絶縁体、419:絶縁体、421:絶縁体、441:トランジスタ、443:導電体、445:絶縁体、447:半導体領域、449a:低抵抗領域、449b:低抵抗領域、451:導電体、453:導電体、455:導電体、457:導電体、459:導電体、461:導電体、463:導電体、465:導電体、467:導電体、469:導電体、471:導電体、501:絶縁体、503:絶縁体、505:絶縁体、507:絶縁体、509:絶縁体、511:トランジスタ、513:トランジスタ、515:容量素子、517:容量素子、520:回路、521:トランジスタ、525:トランジスタ、527:トランジスタ、529:トランジスタ、535:配線、537:配線、539:配線、541:配線、543:配線、545:配線、552:トランジスタ、554:トランジスタ、562:容量素子、572:発光デバイス、572_1:発光デバイス、572_2:発光デバイス、601:トランジスタ、602:トランジスタ、603:トランジスタ、613:絶縁体、614:絶縁体、616:絶縁体、622:絶縁体、624:絶縁体、644:絶縁体、654:絶縁体、674:絶縁体、680:絶縁体、681:絶縁体、701:基板、705:基板、712:シール材、716:FPC、721:正孔注入層、722:正孔輸送層、723:発光層、724:電子輸送層、725:電子注入層、730:絶縁体、732:封止層、734:絶縁体、736:着色層、738:遮光層、750:トランジスタ、760:接続電極、772:導電体、778:構造体、780:異方性導電体、786:EL層、786a:EL層、786b:EL層、786c:EL層、788:導電体、790:容量素子、792:電荷発生層、810:表示装置、820:層、821:ゲートドライバ回路、822:ソースドライバ回路、823:領域、824:デマルチプレクサ回路、830:層、831:配線、831-1:配線、831-2:配線、831_1:配線、831_2:配線、832:配線、832-1:配線、832-2:配線、832_1:配線、832_2:配線、833:画素アレイ、834:画素、835a:配線、835b:配線、840:回路、993IR:着色層、993R:着色層、995:基板、1001:基板、1002:絶縁体、1003:トランジスタ、1004:絶縁体、1005:絶縁体、1010:光電変換デバイス、1010_1:光電変換デバイス、1010_2:光電変換デバイス、1011:活性層