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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】美顔器
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021570060
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(86)【国際出願番号】 JP2021000165
(87)【国際公開番号】W WO2021141034
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2020002109
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000126676
【氏名又は名称】株式会社アデランス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】池原 正博
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸満
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 昌臣
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-052462(JP,A)
【文献】特開2009-297088(JP,A)
【文献】特開2013-123473(JP,A)
【文献】特開2007-324026(JP,A)
【文献】株式会社アイキャッチ,アンティミル エルイーディー パッド,2018年07月12日
【文献】株式会社ビューティフルエンジェル,美ルルドレッシー,2017年06月21日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光を用いた美顔器であって、
前記LED光を発光するLED発光面と、当該LED発光面の裏面に、LED発光機能とは別の機能を有する他機能面と、を有するパネルと、
前記パネルを回転自在に支持するフレームと、を含み、
前記パネルは、正面から見た際、前記パネルの重心を通り、前記パネルの表面および裏面に平行、且つ、美顔器の設置面に平行な軸線上に、回転軸を有し、
前記フレームは、
前記パネルを回転自在に支持する支持部と、
前記支持部を支持する台座と、を含み、
前記支持部は、前記台座の後端部側に向かって所定の傾斜角度で傾斜するとともに、前記美顔器の正面から見て、左右それぞれに、上方に突出した突出部を有し、前記突出部の間で、前記回転軸を中心にしてヒンジによりパネルを回転自在に支持し、
前記突出部には、前記美顔器を操作するための複数の操作スイッチが設けられ、前記複数の操作スイッチが設けられた部分の厚みは、ユーザが把持可能な厚みを有し、
前記美顔器を載置した状態で、前記突出部を片手で掴みながら前記操作スイッチを操作可能であることを特徴とする美顔器。
【請求項2】
前記支持部には
記パネルが所定の回転角度の範囲内で回転するように規制する回転規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の美顔器。
【請求項3】
前記台座に、前記パネルの前記LED発光面または前記他機能面を使用するユーザに向かって風を吹き出す吹出口が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の美顔器。
【請求項4】
前記台座には、前記吹出口までの風路内で帯電粒子を発生する帯電粒子発生装置が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の美顔器。
【請求項5】
前記LED発光面は、鏡として機能するように形成されていることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の美顔器。
【請求項6】
前記LED発光面には、時刻を表示する時刻表示部が設けられていることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の美顔器。
【請求項7】
前記フレームの載置面の奥側の端は、
前記パネルのLED発光面または他機能面を、当該フレームの前記載置面に対して平行にしたとき、当該美顔器の正面から見て、当該パネルの奥側の先端よりも奥側に位置することを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の美顔器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美顔器に関し、特にLED(light emitting diode:発光ダイオード)を用いた美顔器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、LEDを用いた美顔器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2011-98207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、美顔器を使用する場合、一般に、美顔器を収納場所から使用場所まで取り出すことになる。美顔器を固定して設置できる場所があれば問題無いものの、特許文献1等のLEDを用いた美顔器のように、LED光を発光する機能に限定されている場合、美顔器を使用しなければ収納場所に片付けることになる。このように、従来の美顔器では、ユーザが使用する都度、美顔器を取り出したり、片付けたりする必要があり、非常に手間であった。
【0005】
本発明の一態様は、上記を鑑みてなされた美顔器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る美顔器は、LED光を用いた美顔器であって、前記LED光を発光するLED発光面と、当該LED発光面の裏面に、LED発光機能とは別の機能を有する他機能面と、を有するパネルと、前記パネルを回転自在に支持するフレームと、を含み、前記パネルは、正面から見た際、前記パネルの重心を通り、前記パネルの表面および裏面に平行、且つ、美顔器の設置面に平行な軸線上に、回転軸を有し、前記フレームは、前記パネルを回転自在に支持する支持部と、前記支持部を支持する台座と、を含み、前記支持部は、前記台座の後端部側に向かって所定の傾斜角度で傾斜するとともに、前記美顔器の正面から見て、左右それぞれに、上方に突出した突出部を有し、前記突出部の間で、前記回転軸を中心にしてヒンジによりパネルを回転自在に支持し、前記突出部には、前記美顔器を操作するための複数の操作スイッチが設けられ、前記複数の操作スイッチが設けられた部分の厚みは、ユーザが把持可能な厚みを有し、前記美顔器を載置した状態で、前記突出部を片手で掴みながら前記操作スイッチを操作可能であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、LEDを用いた美顔を行わないときに、別の機能を使用可能な美顔器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る美顔器の斜視図である。
図2図1に示す美顔器のXX線矢視断面図である。
図3図1に示す美顔器が備えるヒンジの斜視図である。
図4図1に示す美顔器のパネルの回転範囲を説明するための図である。
図5図1に示す美顔器の台座の奥行きとパネルの長さとの関係を示す図である。
図6図1に示す美顔器の台座の概略平面図である。
図7図1に示す美顔器を使用する際のユーザの姿勢の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0010】
(美顔器の概要)
図1は、本実施形態に係る美顔器の斜視図である。図2は、図1の符号1012に示す美顔器のXX線矢視断面図である。
【0011】
美顔器101は、図1に示すように、パネル1、パネル1を回転自在に支持するフレーム2を備えている。
【0012】
パネル1は、表裏2面のうち、一方の面(ここでは便宜上、第1面1aとする)にLED発光部11が形成され、他方の面(ここでは便宜上、第2面1bとする)に鏡が形成されている。パネル1の第1面1aには、LED発光部11の他に、当該LED発光部11の下側に、時刻を表示する時刻表示部12が形成されている。また、パネル1を正面から見た際、当該パネル1の重心を通り、当該パネル1の表面および裏面に平行、且つ、美顔器101の設置面に平行な軸線上に、後述する支持部21で支持される回転軸1cが設けられている。
【0013】
LED発光部11は、標準的な人の顔の大きさに合わせた大きさであり、表面に複数のLED11aが配置されている。配置されるLED11aは、美顔に効果的なピーク波長を有するものである。
【0014】
フレーム2は、パネル1を支持する支持部21、支持部21を支持する台座22を含む。支持部21は、台座22の先端部22bにおいて当該台座22と一体的に形成されている。また、支持部21は、台座22の後端部22c側に向かって所定の傾斜角度で傾斜するように形成されている。この場合の傾斜角度は、任意に設定される角度であり、美顔器101を所定の場所に設置した状態で、ユーザが安定して当該美顔器101を操作できるような角度であればよい。
【0015】
支持部21は、正面から見て略U字状に形成されており、美顔器101を載置した際に、正面から見て、左右それぞれに、上方に突出した突出部を有する。これら2つの突出部の間である中央付近でパネル1を回動自在に支持する。当該パネル1を支持している部分の近傍の正面から見て右側の突出部に操作部30が設けられている。この操作部30は、美顔器101の電源をオン・オフしたり、操作したりするためのスイッチを含む。この支持部21の操作部30が設けられている部分の厚みは、美顔器101を操作するユーザが把持可能な厚みとなっている。ここで、ユーザが把持可能な厚みは、例えば10mm~50mmの範囲の厚みが好ましく、さらに、15mm~25mmの範囲の厚みが好ましい。これにより、ユーザは、支持部21を片手(右手)で掴みながら操作部30を操作することが可能となる。これにより、台座22を載置する台が滑りやすい場合であっても、ユーザは支持部21を掴みながら操作することになるので、安定した状態で美顔器101の操作を行うことができる。このように、操作部30のスイッチ類を支持部21の右側に集めることで、ユーザの右手親指でボタンを押す際に人差し指や中指で当該支持部21の裏面を挟めるため美顔器101自体が奥に押されることがない。
【0016】
また、操作部30は、操作性を良くするために、電源のオン・オフを操作するスイッチ、美顔器のスタートを操作するスイッチ、美顔器のプログラム(モード)を設定するスイッチの順に上から配置されている。電源ONした際、美顔器101は、前回使用した美顔器のプログラム(モード)を記憶している。そのため、同じモードを使用する場合、電源オン・オフスイッチを操作したのち、すぐ下に位置するスタートスイッチをスムーズに操作することができ、利便性がよい。なお、モードを設定する場合、モード設定スイッチを押すごとにサイクリックで複数のモードから任意のモードを選択できるようにしてもよいし、上ボタン、下ボタンを押すことで複数のモードから任意のモードを選択できるようにしてもよい。
【0017】
美顔器101は、操作部30のスタートボタンを押下すると、予めセットした美顔プログラムに応じた時間のカウントダウンを行った後、LED照射を開始する。なお、時刻表示部12にはカウントダウンの数字が表示される。そして、所定時間が経過した後、LED照射を終了する。ここで、LED照射による照度は約1万ルックスである。このような照度のLED光を顔に照射し続けると、顔が温かくなり、汗ばむ。そこで、美顔器101では、LED発光面側のフレーム2から風を吹き出し、風の流れを作り出すことで、顔を冷却できるようにし、発汗を抑えられるようになっている。
【0018】
フレーム2を構成する台座22は、平板状の筐体であり、先端部22bに当該台座22内の風路26を経由した風を、美顔器101を使用しているユーザに向かって吹き出す吹出口22aが形成されている。吹出口22aには、当該吹出口22aから吹き出される風の向き、すなわち風向を制御するルーバ24が形成されている。ルーバ24は、吹出口22aから吹き出す風を下向きから上向きへと上下方向に風向を制御するものである。なお、ルーバ24は、手動で上下方向に動かしてもよいし、自動で上下方向に動かしてもよい。
【0019】
さらに、台座22には、帯電粒子(プラスイオン・マイナスイオン)を発生するイオン発生装置(帯電粒子発生装置)23が設けられている。イオン発生装置23は、送風ファン25、風路26、イオン発生部27、吸気口28を含んでいる。送風ファン25は、台座22の後端部22c側に配されている。風路26は、送風ファン25から吹き出す風を台座22の先端部22bに形成された吹出口22aに導く。イオン発生部27は、風路26内に突出した2つの電極27a・27bを有し、電極27aからプラスイオン、電極27bからマイナスイオンを発生する。例えば、正イオンは、H(HO)(mは任意の自然数)であり、負イオンは、O-(HO)(nは任意の自然数)である。なお、電極27a・27bは、送風方向に対して直交する方向に並列に配置されている。このため、図2では、電極27a・27bのうち、電極27aは図中奥側に存在しているため図示されているが、電極27bは手前側であるため図示を省略している。吸気口28は、送風ファン25が送風する際に、外部の空気を吸入するための開口である。従って、吸気口28から吸込まれた空気が、イオン発生部27によって発生されたプラスイオンおよびマイナスイオンを含んだ風となり、台座22の吹出口22aから吹き出される。
【0020】
また、台座22の側面には、美顔器101を駆動するための電源供給用の商用電源に接続するための図示しない電源コードを差し込むための差込み口22dが形成されている。なお、美顔器101は、バッテリーにより駆動する構造であってもよい。
【0021】
以上のように、美顔器101は、LED光による美顔効果に加えて、イオン発生装置23によって発生するプラスイオンおよびマイナスイオンを含む風を顔に吹き付けることによる保湿効果も得られる。
【0022】
また、美顔器101において、パネル1は、上述したように、フレーム2によって回転自在に支持されている。これにより、ユーザは、パネル1を回転させることで、第1面1aまたは第2面1bを自分の顔に対向させることができる。つまり、LED光を照射する美顔を実行する場合には、LED発光部11が形成された第1面1aをユーザの顔に対向させ、鏡を見る場合には、鏡が形成された第2面1bをユーザの顔に対向させる。
【0023】
パネル1は、回転軸1cを中心にしてヒンジ3によってフレーム2に回転自在に支持されている。ヒンジ3は、後述するように、パネル1の回転領域を規定するものである。なお、パネル1は、ヒンジ3のフリクションによって任意の位置で停止する。特に、回転軸1cがパネル1の重量の中心を通る場合には、ヒンジ3のフリクションが弱くても、任意の位置で止まる。
【0024】
このヒンジ3は、内部にLED発光部11のLED11aを駆動するための電源を供給する配線が配されている。このため、パネル1を回転させ過ぎると、ヒンジ3内の配線が捻れて、最終的に切れてしまうおそれがある。そこで、パネル1の回転範囲を規制する必要がある。パネル1の回転範囲の規制は、ヒンジ3によって行う。
【0025】
(ヒンジ3による回転範囲の規制)
図3は、ヒンジ3の構造を示す斜視図である。図4は、ヒンジ3を用いたパネル1の回転規制を説明するための図である。
【0026】
ヒンジ3は、図3に示すように、6つの部品(第1部材31,第2部材32,第3部材33,第4部材34,第5部材35,第6部材36)で構成されている。第1部材31~第4部材34は、パネル1の回転軸1cに固定され、第5部材35および第6部材36は、フレーム2に固定されている。第4部材34は、第5部材35に摺動可能に設けられている。これにより、第1部材31~第4部材34は、パネル1の回転に伴って回転するが、第5部材35および第6部材36は、パネル1が回転してもフレーム2に固定されているので、動かない。
【0027】
第4部材34と第5部材35のそれぞれの対向面には、パネル1の回転範囲を規制するための回転規制部材として突起部34a,35aが形成されている。つまり、第4部材34が回転することにより、突起部34aが第5部材35の突起部35aの何れかの側端面に当接することで、当該第4部材34の回転、すなわち、パネル1の回転範囲が規制される。パネル1の回転範囲は、突起部34aの円周方向の幅、突起部35aの円周方向の幅を調整することで決めることができる。
【0028】
例えば、図4の符号1041に示すように、美顔器101の右側面から見て時計回りの方向をプラス側とし、パネル1の第1面1aに形成された時計表示部12が下方に位置する状態で、当該パネル1が垂直な状態を0°とした時、-210°~+90°の範囲(回転範囲)でパネル1が回転可能である。このパネル1の回転範囲は、上記の範囲に限定されるものではなく、パネル1の第1面1aおよび第2面1bに付与された機能に応じて適宜設定すればよい。パネル1が+90°回転したとき、ヒンジ3は、図4の符号1042に示すように、第5部材35の突起部35aの左側面35a1に第4部材34の突起部34aの右側面34a2が当接して、当該パネル1がそれ以上の回転をしないように規制する。パネル1が-210°回転したとき、ヒンジ3は、図4の符号1043に示すように、第5部材35の突起部35aの右側面35a2に第4部材34の突起部34aの左側面34a1が当接して、当該パネル1がそれ以上の回転をしないように規制する。
【0029】
ここで、パネル1の第1面1aであるLED発光面は、-45°~+90°の範囲での使用を想定している。-45°(Y位置)は、美顔器101を顔よりも高い場所に載置した状態で、光目覚まし(LED発光面が照射する光を浴びる目覚まし)として使用する場合の最小角度として設定している。+90°(X位置)は、美顔器101を、ユーザの顔の位置よりも低い机に載置して、顔にLED光を照射する場合の最大角度として設定している。
【0030】
一方、パネル1の第2面1bであるミラー面は、-210°~-135°の範囲での使用を想定している。-210°(Z位置)は、美顔器101を顔より高い場所に載置した状態で、鏡として使用する場合の最小角度として設定している。-135°(W位置)は、美顔器101を、ユーザの顔よりも低い机に載置して、鏡として使う場合の最大角度として設定している。
【0031】
なお、上記例では、パネル1の回転を規制する部材として、ヒンジ3を構成する第4部材34の突起部34aと第5部材35の突起部35aとを用いたが、これに限定するものではない。例えば、ヒンジ3にスリップリングを設けて、当該スリップリングに電力供給する構成であってもよい。この場合、スリップリングに電力を供給することによって、パネル1を任意の角度に回転させることが可能となるため、パネル1の回転を規制するための、第4部材34の突起部34a、第5部材35の突起部35aは設ける必要がない。
【0032】
なお、ヒンジ3にスリップリングを設ける場合、当該ヒンジ3はある程度のフリクションがあればよい。
【0033】
上記構成の美顔器101では、台座22をできるだけ小さくすることで、当該美顔器101の設置面積を小さくすることが可能となる。しかしながら、美顔器101を後ろの壁に押し当てた状態で設置した場合、パネル1の回転により、当該パネル1の先端部1dが美顔器101の後ろの壁に当たるおそれがある。以下では、台座22の奥行きを意図的に伸ばすことで、パネル1が回転しても、後ろの壁に当たらないようにした例について説明する。
【0034】
(美顔器101の設置スペース(1))
図5は、美顔器101の壁200際への設置を説明する図である。
【0035】
美顔器101は、図5に示すように、台座22の後端部22cを壁200に接触させた状態で、パネル1が回転して壁200に接触しないように構成されている。具体的には、美顔器101におけるパネル1を第1面1aが上に向くようにして、水平になるまで回転させたとき、当該パネル1の先端部1dが壁200に接触しないように、台座22の先端部22bから後端部22cまでの長さ(台座22の奥行き)を設定する。つまり、パネル1を水平状態にしたときに、当該パネル1の先端部1dから壁200までの距離Aだけ長くなるように、台座22の奥行きを設定する。距離Aは、パネル1が回転して、当該パネル1の先端部1dが壁200に接触しない距離以上であればよい。すなわち、フレーム1の載置面(台座22の載置面)の奥側の端である後端部22cは、パネル1のLED発光面である第1面1aまたは他機能面である第2面1bを、フレーム2の設置面に対して平行にしたとき、当該パネル1よりも奥側に位置しいていればよい。
【0036】
上記構成によれば、台座22の後端部22cを壁200に接触させた状態で、美顔器101を設置することができるので、台座22の奥行き方向の設置スペースを小さくできる。美顔器101の設置スペースを考慮した場合、台座22の幅方向の設置スペースも考慮する必要がある。
【0037】
(美顔器101の設置スペース(2))
図6は、美顔器101の台座22の側面形状の一例を示す図である。
【0038】
台座22は、図6に示すように、B(後ろ)側からF(前)側を見たときのS1(右横)とBとの間にRを持たせたC1(カーブ)が形成され、S2(左側)とBとの間にRを持たせたC2(カーブ)が形成されている。そして、C1またはC2の何れかに、上述した電源コードを差し込むための差込み口22dを形成する。
【0039】
これにより、電源コードを差し込むための差込み口22dを使用可能とし、且つ、台座22の両サイドS1(右横)・S2(左側)にぴったりと物を置くことが可能となる。さらに、台座22の後ろ側であるB(後ろ)にも他の物(例えば壁200)にぴったりと当てることが可能となる。このように、台座22の両サイドおよび後にものをぴったりと当ててもコード取り出し部である差込み口22dを痛めることがない。
【0040】
(効果)
上記構成の美顔器101によれば、パネル1を回転させるだけで、当該パネル1の必要な機能を有する面を所望する向きに向けることが可能となる。つまり、ユーザは、パネル1を回転させるだけで、使用したい機能を有する面を自分に向けることが可能となる。従って、ユーザは、LED発光面である第1面1aを自分に向けることでLEDを用いた美顔を行い、美顔終了後は、パネル1を回転させて他機能面である第2面1bを自分に向けることで、他機能面を使用することが可能となる。このように、LEDを用いた美顔を行わないときには、パネル1を回転させてユーザが他機能面(本実施形態では鏡)を使用する状態にすれば、そのまま美顔器101を載置した状態としておけるので、LEDを用いた美顔終了後に美顔器を片付ける必要はない。
【0041】
しかも、美顔器101の第1面1aには、LED発光部11の下側に、時刻を表示する時刻表示部12が形成されているので、LED発光面に向いているユーザは、時刻を容易に確認することができる。例えば、LED発光面のLED光を顔に照射させることで、ユーザを目覚めさせるようにした場合、ユーザの顔はLED発光面を見ることが可能な位置に存在する。従って、目覚めたときに、美顔器101のLED発光面を見るだけで、現在時刻を容易に把握することができる。
【0042】
なお、上記構成の美顔器101の電源オフは、操作部30を操作する以外に、パネル1を回転させて電源をオフするようにしてもよい。この場合、美顔器101を用いて、LEDによる美顔を行っている際に、ユーザは操作部30を操作することなく、パネル1を回転させるだけで、LED照射を停止させることができる。さらに、パネル1の回転角度によって、LED照射のための電源オンと電源オフとを切替えることができる。例えば、パネル1の第1面1aであるLED発光面が、-90°~+90°の範囲では電源オン状態でLED照射されている状態であり、-90°を超えて―210°までの範囲では電源オフ状態でLED照射が停止されている状態とすることができる。このように、パネル1の回転角度により、電源オンと電源オフとを切り替えることで、美顔器101の操作性が良くなる。
【0043】
また、美顔器101のLED発光面は、LEDを用いた美顔に用いる他、LEDの光量を絞って間接照明として用いてもよい。この場合、美顔器101は、部屋のインテリアの一部となるため、片付ける必要がない。このように、美顔器101を間接照明として使用する場合、例えば、LED11aの発光色を桜色にするようにしてもよい。なお、間接照明として使用する場合、パネル1を回転させることで間接照明モードに自動で入るようにしてもよいし、操作部30を操作しては間接照明モードに入るようにしてもよい。
【0044】
美顔器101は、様々な角度でパネル1を停止させて使用することが可能となるため、ユーザは様々な姿勢で使用することができる。
【0045】
図7は、美顔器101を使用する際のユーザの姿勢の一例を示す図である。
【0046】
通常、ユーザの頭部よりも下に美顔器101を置いた場合、図7の符号1071に示すように、美顔器101から照射されるLED光の光軸310が水平よりも上向きの状態でLED光を浴びることになる。この場合、ユーザ300の頭部301の重心は、背骨303上にない状態となる。このため、頭部301を、当該頭部301と背骨303との間の首302近傍に存在する僧帽筋で支え続けることになり、肩(首)が凝る。
【0047】
一方、ユーザの頭部よりも上に美顔器101を置いた場合、図7の符号1072に示すように、光軸310が水平よりも下向きの状態でLED光を浴びることになる。この場合、ユーザ300の頭部301が背骨303上にある状態で、LED光を浴びることが可能となる。このため、頭部301を、当該頭部301と背骨303との間の僧帽筋で支え続ける必要がなく、肩(首)は凝りにくくなる。
【0048】
また、図7の符号1073に示すように、光軸310が水平よりも下向きとなる場合であって、ユーザ300の頭部301が背骨303上にない状態であれば、頭部301を枕400で支えて、LED光を浴びればよい。この場合、頭部301は枕400で支えられているため、頭部301を、当該頭部301と背骨303との間の僧帽筋で支え続ける必要がなく、肩(首)は凝りにくくなる。
【0049】
上記構成の美顔器101を使用すれば、頭部301の重心が背骨303に下りるような姿勢、もしくは枕400に下りるような姿勢をとることが可能となり、頭部301を僧帽筋で支える必要がなくなり、肩こりを解消できるという効果を奏する。
【0050】
〔変形例1〕
パネル1の第1面1aは、LED発光部11が設けられたLED発光面であるが、このLED発光面を鏡として機能するように形成されていてもよい。具体的には、LED発光部11のLED11a配設位置以外の部分を鏡面とすることで、実現することができる。このように、LED発光面を鏡として機能させることで、LEDを用いた美顔を行うユーザは、LED発光面を見ながらLED光の照射に適した位置に自分の顔の位置合わせを容易に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態では、パネル1の第2面1bに鏡を形成した例について説明したが、これに限定されるものではなく、第2面1bとしてスマートミラーを含む情報表示ディスプレイを形成してもよい。
【0052】
このような情報表示ディスプレイでは、ユーザの顔を撮影して記憶させることも可能なので、美顔器101による美顔前(LED光照射前)の顔と、美顔後(LED光照射後)の顔とを比較することができる。このように、美顔前後の顔を確認することで、顔のどの部分の美顔効果が高く、どの部分の美顔効果が低かったのか等の美顔後の情報をユーザに知らせることが可能となる。これにより、美顔器101の継続した使用を促すことを可能にする。
【0053】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る美顔器は、LED光を用いた美顔器(101)であって、前記LED光を発光するLED発光面(第1面1a)と、当該LED発光面の裏面に、LED発光機能とは別の機能を有する他機能面(第2面1b)と、を有するパネル(1)と、前記パネル(1)を回転自在に支持するフレーム(2)と、を含むことを特徴としている。
【0054】
上記構成によれば、LED光を発光するLED発光面と、当該LED発光面の裏面に、LED発光機能とは別の機能を有する他機能面と、を有するパネルが回転自在に支持されているので、当該パネルを回転させるだけで、当該パネルの必要な機能を有する面を所望する向きに向けることが可能となる。つまり、ユーザは、パネルを回転させるだけで、使用したい機能を有する面を自分に向けることが可能となる。従って、ユーザは、LED発光面を自分に向けることでLEDを用いた美顔を行い、美顔終了後は、パネルを回転させて他機能面を自分に向けることで、他機能面を使用することが可能となる。このように、LEDを用いた美顔を行わないときには、パネルを回転させてユーザが他機能面を使用する状態にすれば、LEDを用いた美顔終了後に美顔器を片付ける必要はない。ここで、他機能面としては、鏡面、ユーザに必要な情報を表示する表示ディスプレイ等がある。
【0055】
本発明の態様2に係る美顔器は、上記態様1において、前記フレーム(2)は、前記パネル(1)を回転自在に支持する支持部(21)と、前記支持部(21)を支持する台座(22)と、を含み、前記支持部(21)には、前記パネル(1)が所定の回転角度の範囲内で回転するように規制する回転規制部材(ヒンジ3)が設けられていてもよい。
【0056】
通常、パネルのLEDの発光を制御する制御回路、電源などは、パネルを支持する筐体に設けられている。従って、制御回路からの配線がフレームの支持部からパネルのLEDに接続されることになる。このため、パネルが一方向に回転し過ぎると、支持部を通る配線が捻れて切れるおそれがある。
【0057】
しかしながら、上記構成によれば、パネルが回転し過ぎるのを防止できるので、パネルが回転し過ぎることに起因する支持部を通る配線が捻れて切れことを抑制することが可能となる。
【0058】
本発明の態様3に係る美顔器は、上記態様2において、前記台座(22)に、前記パネル(1)の前記LED発光面(第1面1a)または前記他機能面(第2面1b)を使用するユーザに向かって風を吹き出す吹出口(22a)が設けられていてもよい。
【0059】
上記構成によれば、パネルよりも下側の台座に、パネルのLED発光面または他機能面を使用するユーザに向かって風を吹き出す吹出口が設けられていることで、パネルに向かっているユーザの顔の下から上に向けて風を吹き付けることが可能となる。これにより、LEDを用いた美顔中の顔の発汗を抑えつつ、前髪が顔に付くのを防ぐことが可能となるので、LED光を顔に適切に照射することができる。
【0060】
本発明の態様4に係る美顔器は、上記態様3において、前記台座(22)には、前記吹出口(22a)までの風路(26)内で帯電粒子を発生する帯電粒子発生装置(イオン発生装置23)が設けられていてもよい。
【0061】
上記構成によれば、載置台に形成された吹出口から、帯電粒子を含んだ風が吹き出される。これにより、パネルに向かっているユーザの顔の発汗を抑えつつ、前髪が顔に付くのを防ぐことに加えて、帯電粒子による効能(保湿等)を顔に与えることが可能となる。
【0062】
本発明の態様5に係る美顔器は、上記態様2~4の何れか1態様において、前記支持部(21)は、前記美顔器(101)を操作するための操作スイッチ(操作部30)が設けられ、当該操作スイッチ(操作部30)が設けられた部分の厚みは、ユーザが把持可能な厚みであることが好ましい。
【0063】
上記構成によれば、支持部に、美顔器を操作するための操作スイッチが設けられ、当該操作スイッチが設けられた部分の厚みが把持可能な厚みであることで、ユーザは、支持部を片手で掴みながら操作スイッチを操作することが可能となる。これにより、載置台を載置する台が滑りやすい場合であっても、ユーザは支持部を掴みながら操作することになるので、安定した状態で美顔器の操作を行うことができる。
【0064】
本発明の態様6に係る美顔器は、上記態様1~4の何れか1態様において、前記LED発光面(第1面1a)は、鏡として機能するように形成されていてもよい。
【0065】
上記構成によれば、LED発光面は、鏡として機能するように形成されていることで、LEDを用いた美顔を行うユーザの顔を当該LED発光面に映すことができる。これにより、LEDを用いた美顔を行うユーザは、LED発光面を見ながらLED光の照射に適した位置に自分の顔の位置合わせを容易に行うことができる。
【0066】
本発明の態様7に係る美顔器は、上記態様1~6の何れか1態様において、前記LED発光面(第1面1a)には、時刻を表示する時刻表示部(12)が設けられていてもよい。
【0067】
上記構成によれば、LED発光面に向いているユーザは、時刻を容易に確認することができる。例えば、LED発光面のLED光を顔に照射させることで、ユーザを目覚めさせるようにした場合、ユーザの顔はLED発光面を見ることが可能な位置に存在する。従って、目覚めたときに、LED発光面を見るだけで、現在時刻を容易に把握することができる。
【0068】
本発明の態様8に係る美顔器は、上記態様1~7の何れか1態様において、前記フレーム(2)の載置面の奥側の端(後端部22c)は、前記パネル(1)のLED発光面(第1面1a)または他機能面(第2面1b)を、当該フレーム(2)の設置面に対して平行にしたとき、当該パネル(1)よりも奥側に位置することが好ましい。
【0069】
上記構成によれば、美顔器のフレームを壁に接触するように載置した状態であっても、パネルを所望の位置まで回転させることが可能となる。
【0070】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 パネル
1a 第1面
1b 第2面
1c 回転軸
1d 先端部
2 フレーム
3 ヒンジ
11 LED発光部
11a LED
12 時刻表示部
21 支持部
22 台座
22a 吹出口
22b 先端部
22c 後端部
23 イオン発生装置(帯電粒子発生装置)
24 ルーバ
25 送風ファン
26 風路
27 イオン発生部
27a 電極
27b 電極
28 吸気口
30 操作部
31 第1部材
32 第2部材
33 第3部材
34 第4部材
34a 突起部
34a1 左側面
34a2 右側面
35 第5部材
35a 突起部
35a1 左側面
35a2 右側面
36 第6部材
101 美顔器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7