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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】電動アクチュエーター
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/08 20060101AFI20241107BHJP
   H02K 41/02 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
G01N3/08
H02K41/02 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022522062
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 US2020055398
(87)【国際公開番号】W WO2021076504
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】62/914,546
(32)【優先日】2019-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/090,597
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505383383
【氏名又は名称】エムティーエス システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリ ポクヒル
(72)【発明者】
【氏名】バイロン サアリ
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ グロエッパー
(72)【発明者】
【氏名】ポール キャロル
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/106910(WO,A1)
【文献】米国特許第05767402(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0235651(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0103745(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/08
H02K 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片に負荷を加えるための電動アクチュエーターであって、
固定支持体と、
前記固定支持体に接合された単一の固定ガイドであって軸を有する固定ガイドを備えるガイドシステムと、
前記固定支持体に固定された固定アセンブリと、
前記ガイド上で前記固定支持体に対して移動可能な動アセンブリであって、該動アセンブリ及び前記固定アセンブリは、等しい角度間隔を置いて前記ガイド回りに配置された少なくとも2つのセットの相互作用磁場を提供する、動アセンブリと、
前記動アセンブリの移動と共に前記軸に沿って移動するように、前記動アセンブリに接合されて前記固定支持体の片側に配置された試験片支持体であって、前記軸が該試験片支持体を通して延在している、試験片支持体と、
を備え
前記移動アセンブリが、前記ガイド上でガイドされる軸受及び第2の軸受を備え、該第2の軸受が前記軸受から離れており、
前記軸受及び前記第2の軸受のそれぞれが、前記ガイドと直接又は間接的に接触する軸受表面と、軸受支持体と、前記軸受表面を前記軸受支持体に接合するフレキシャとを備え、該フレキシャは、前記ガイドに直交する軸回りのモーメントに対して適応性があるとともに、前記ガイドに直交する軸に沿った力に対して剛性がある、
電動アクチュエーター。
【請求項2】
前記動アセンブリがコイルを含む、請求項1に記載の電動アクチュエーター。
【請求項3】
前記固定アセンブリが磁石を含む、請求項1又は2に記載の電動アクチュエーター。
【請求項4】
前記動アセンブリが、支持レールによって支持された平面コイルを含み、前記軸受及び前記第2の軸受が前記支持レールに接合されている、請求項に記載の電動アクチュエーター。
【請求項5】
前記動アセンブリに連結された二次的な力発生装置を更に備える、請求項1に記載の電動アクチュエーター。
【請求項6】
前記ガイドがボアを備え、前記二次的な力発生装置は、前記ボア内を移動可能な従動部材を備える、請求項に記載の電動アクチュエーター。
【請求項7】
前記二次的な力発生装置がばねである、請求項に記載の電動アクチュエーター。
【請求項8】
前記ボア及び前記従動部材が、気体で充填された密封チャンバーを形成している、請求項に記載の電動アクチュエーター。
【請求項9】
前記動アセンブリ及び前記固定アセンブリに連結された回転防止軸受アセンブリを更に備える、請求項1に記載の電動アクチュエーター。
【請求項10】
前記回転防止軸受アセンブリが、前記動アセンブリと共に移動するように該動アセンブリに接合されたガイド面構造と、前記固定アセンブリに接合された軸受要素とを備える、請求項に記載の電動アクチュエーター。
【請求項11】
電動アクチュエータであって、
固定支持体と、
前記固定支持体に接合された固定ガイドと、
前記固定支持体に固定された固定アセンブリと、
第1の軸受及び該第1の軸受から離れている第2の軸受であって、それぞれが前記ガイド上でガイドされる、第1の軸受及び第2の軸受と、
前記第1の軸受及び前記第2の軸受に固定されるとともに、該第1の軸受及び該第2の軸受と共に前記ガイド上で前記固定支持体に対して移動可能な動アセンブリであって、各軸受が、前記ガイドと直接又は間接的に接触する軸受表面と、軸受支持体と、前記軸受表面を前記軸受支持体に接合する可動連結部とを備え、該動アセンブリは、前記軸受支持体のそれぞれに固定される、
電動アクチュエーター。
【請求項12】
前記可動連結部は、前記ガイドに直交する軸回りのモーメントに対して適応性があり、前記ガイドに直交する軸に沿った力に対して剛性がある、請求項11に記載の電動アクチュエーター。
【請求項13】
前記可動連結部はフレキシャを含む、請求項12に記載の電動アクチュエーター。
【請求項14】
前記可動連結部はフレキシャを含む、請求項11に記載の電動アクチュエーター。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景技術
下記の論考は、概略的な背景情報のために提供されるにすぎず、請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることを意図していない。
【0002】
材料、構成要素、民生品、及び電子機器並びに医療機器及び他の機器(すなわち、試験片)のパラメーター及び/又は性能を試験するために試験機又は装置が使用される。典型的には、試験機は、入力負荷及び変位をもたらすために1つ以上のアクチュエーターを含む。
【発明の概要】
【0003】
概要
本開示におけるこの概要及び要約は、詳細な説明において下記に更に説明される選り抜きの概念を、簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要及び要約は、請求される主題の重要となる特徴又は不可欠な特徴を識別することを意図せず、請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることも意図していない。請求される主題は、背景技術に記載される任意又は全ての欠点を解決する実装に限定されるものではない。
【0004】
1つの包括的な態様は、試験片に負荷を加える電動アクチュエーターを含む。電動アクチュエーターは、固定支持体と、固定支持体に接合されかつ軸を有する単一の固定ガイドを有するガイドシステムとを備える。アクチュエーターは、固定支持体に固定される固定アセンブリも備える。可動アセンブリが、ガイド上で固定支持体に対して移動可能であり、可動アセンブリ及び固定アセンブリは、等しい角度間隔を置いてガイド回りに配置される、少なくとも2つのセットの相互作用磁場を提供する。可動アセンブリの移動と共に軸に沿って移動するように、試験片支持体が、可動アセンブリに接合され、固定支持体の片側に配置され、軸は試験片支持体を通して延在する。
【0005】
上記態様の実装には、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。1つの実施の形態において、可動アセンブリは、コイルを含むことができ、一方、固定アセンブリは、磁石を含む。可動アセンブリは、ガイド上でガイドされる1つの軸受、好ましくは、互いに離れている第1の軸受及び第2の軸受を備える。可動アセンブリは、支持レールによって支持される平面コイルを含むことができ、第1の軸受及び第2の軸受は、支持レールに接合される。軸受及び第2の軸受のそれぞれは、ガイドと直接又は間接的に接触する軸受表面と、軸受支持体と、軸受表面を軸受支持体に接合するフレキシャとを備えることができ、フレキシャは、ガイドに直交する軸回りのモーメントに対しては適応性があり、ガイドに直交する軸に沿った力に対しては剛性がある。
【0006】
電動アクチュエーターは、可動アセンブリに連結された二次的な力発生装置を備えることができる。ガイドはボアを備えることができ、二次的な力発生装置は、ボア内で移動可能な従動部材を備えることができる。二次的な力発生装置は、機械ばね(圧縮、引張等)等のばねとすることができる。加えて、又は代わりに、ボア及び従動部材は、気体で充填された密封チャンバーを構成する。
【0007】
回転防止軸受アセンブリを、可動アセンブリ及び固定アセンブリに連結することができる。回転防止軸受アセンブリは、可動アセンブリと共に移動するように可動アセンブリに接合されるガイド面構造と、固定コンポーネントに接合される軸受要素とを備えることができ、その逆も同様である。
【0008】
別の包括的な態様は、固定支持体と、固定支持体に接合される固定ガイドとを有する電動アクチュエーターを含む。固定支持体には固定アセンブリが固定される。第1の軸受及び第1の軸受から離れている第2の軸受が、それぞれガイド上でガイドされる。可動アセンブリが、第1の軸受及び第2の軸受に固定されるとともに、第1の軸受及び第2の軸受と共にガイド上で固定支持体に対して移動可能であり、各軸受は、ガイドと直接又は間接的に接触する軸受表面と、軸受支持体と、軸受表面を軸受支持体に接合する可動連結部とを備えることができ、可動アセンブリは、軸受支持体のそれぞれに固定される。
【0009】
上記態様の実装には、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。可動連結部は、ガイドに直交する軸回りのモーメントに対しては適応性があり、ガイドに直交する軸に沿った力に対しては剛性がある、電動アクチュエーター。可動連結部は、フレキシャを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電動アクチュエーターの斜視図である。
【0011】
図2】第1の位置にある電動アクチュエーターの斜視図である。
【0012】
図3】第2の位置にある電動アクチュエーターの斜視図である。
【0013】
図4】部品を取り外した状態の電動アクチュエーターの部分斜視図である。
【0014】
図5】部品を取り外した状態の電動アクチュエーターの別の部分斜視図である。
【0015】
図6】可動アセンブリの斜視図である。
【0016】
図7】部品を取り外した状態の可動アセンブリの軸受の斜視図である。
【0017】
図8】部品を取り外した状態の可動アセンブリの軸受の別の斜視図である。
【0018】
図9】軸受の斜視図である。
【0019】
図10】部品を取り外した状態の図9の軸受の斜視図である。
【0020】
図11】部品を取り外した状態の図9の軸受の別の斜視図である。
【0021】
図12】ガイドの曲げ運動に対する補償が軸受にもたらされない状態の、ガイド上で移動可能な軸受の概略図である。
【0022】
図13】軸受がガイドの曲げ運動を補償する状態の、軸受及びガイドの概略図である。
【0023】
図14】電動アクチュエーターの別の部分斜視図である。
【0024】
図15】部品を取り外した状態の電動アクチュエーターの部分上面図である。
【0025】
図16】第2の力発生装置を備える電動アクチュエーターの概略図である。
【0026】
図17】第2の力発生装置を備える電動アクチュエーターの部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
例示的実施形態の詳細な説明
本開示は、直線変位が可能な電動アクチュエーター20を提供する。アクチュエーター20は、多くの異なる用途に使用してもよい。1つの非限定的で有利な実施形態において、電動アクチュエーター20は、限定しないがダンパー等の試験片に所望の負荷又は変位を付与するために試験機内に設けられる。そのような試験機は既知のものであり、1つの実施形態において、試験機は、クロスヘッドドライブ(モーター、歯車減速機、ドライブベルト等)によって鉛直柱において移動可能なクロスヘッドを備える。そして柱は基部によって支持される。図1図3に示し、本開示に態様を記載した電動アクチュエーター20は、限定しないが、典型的には試験機の基部に取り付けられるが、クロスヘッドに取り付けてもよい。代替実施形態において、試験機は、テーブルトップによって支持されるサイズとしてもよい。アクチュエーター20が使用される用途を考慮して必要に応じてアクチュエーター20を方向付けできることを理解すべきである。当業者に理解されるように、以下に説明する電動アクチュエーター20のコンポーネントは、所望の負荷を付与するために必要なサイズとすることができる。
【0028】
概して、アクチュエーター20は、固定マウント又はフレーム21と、固定マウント21に取り付けられる固定アセンブリ24と、磁場の相互作用によって固定アセンブリ24に対して移動する可動アセンブリ26とを備える。可動アセンブリ26は、ガイド28によって規定される軸27に沿って移動する。アクチュエーター20において、ガイド28は、好ましくは、各端部がマウント21に固定されるロッド等の単一のガイドを含む。少なくとも1つの軸受がガイドされる単一のガイドロッド28のみを使用することにより、ガイドシステム(ガイドロッド及び/又は軸受(複数の場合もある))は、軸27に沿った直線移動に関して過剰な制約を受けない。従来のアクチュエーターにおいては、2つ以上の離れたガイドアセンブリが、離れたガイド経路又は軸に沿って移動する。アクチュエーター内の可動部材のガイドされる単一の直線移動のために2つ以上のガイド経路が設けられることから、離れたガイド経路により、実現されるガイドシステムは過剰な制約を受ける。ガイド経路又は軸が互いに対して完全に平行でない場合が多い、又は、例えば、アクチュエーターの輸送、アクチュエーターの要素の熱膨張、及び/又は正常摩耗が原因で容易に歪む若しくは平行でなくなる場合があるため、そのようなアクチュエーターの操作には困難が生じる。これらの問題は、単一のガイドロッド28の使用により最小限になる。
【0029】
好ましくは、アクチュエーター20は、少なくとも2つのセットの相互作用磁場を含み、第1のセットの相互作用磁場は、軸27及びガイド28の片側に配置され、第2のセットの相互作用磁場は反対側(すなわち、軸27を中心に180度反対の位置)に配置される。各セットの相互作用磁場は、固定アセンブリ24の一部を構成する固定コンポーネント34と、可動アセンブリ26の一部を構成する可動コンポーネント36とを含む。各関連する対の固定コンポーネント34及び可動コンポーネント36のうちの少なくとも一方は、選択的に励磁することができる巻数を有するコイルであるのに対し、固定コンポーネント34及び関連する可動コンポーネント36のうちの他方は、永久磁石又は他のコイルから構成することができる。図示の実施形態において、可動コンポーネント36のそれぞれはコイルであるのに対し、固定コンポーネント34のそれぞれは、軸27及びガイド28に対して平行になるように連続して配置される複数の磁石を含む。可動コンポーネントであるコイル36は、固定コンポーネントである磁石34よりも質量が小さいため、アクチュエーター20の応答がより良好になり得る。ただし、コイル及び磁石のこの配置は限定するものとみなされるべきではない。
【0030】
図6及び図14を参照すると、各可動コンポーネント36のコイルは、概ね平坦なブレード40の形態であり、コイルは、平坦な支持体41上で支持され、平坦な支持体41は、これよりも剛性がある支持レール42を有する。1つの実施形態において、平坦な支持体41及び支持レール42は、場合によっては異なる材料から作製され、共に接合される別個のコンポーネントである。一方、図14に最も良く示すような代替実施形態においては、平坦な支持体41及びレール42は、単体から共に一体成形される。
【0031】
図示の実施形態において、各関連する固定コンポーネント34は、少なくとも1つのセット、好ましくは2つのセットの磁石43を含み、第1のセットの磁石43Aは、平坦な支持体41の第1の主面を向くように配置され、第2のセットの磁石43Bは、平坦な支持体41のうち第1の主面とは反対方向を向く第2の主面を向くように配置される。第1のセットの磁石43A及び第2のセットの磁石43Bの両方を磁気結合するように、平坦な支持体41上には単一のセットのコイルを設けることができることに留意すべきである。代替的には、平坦な支持体41は、第1のセットの磁石43Aを向くように第1のセットのコイルを平坦な支持体41の片側で支持し、第2のセットの磁石43Bを向くように第2のセットのコイルを平坦な支持体41の反対側で支持してもよい。各セットの磁石は、U字形状の支持フレーム45の延在する支持部材45A、45Bに取り付けられ、U字形状の支持フレーム45の中心部分45Cは、マウント21に固定される。本開示において、「磁気結合ユニット」というのは、各U字形状の支持フレーム45によってもたらされるような、固定コンポーネント34上のその関連する磁気コンポーネント(複数の場合もある)(磁石又はコイル)に磁気結合する、各平坦な支持体41上の磁気コンポーネント(複数の場合もある)(磁石又はコイル)である。
【0032】
平坦な支持体41のように、支持フレーム45の支持部材45A、45B及び中心部分45Cは、共に接合した又は単体から一体成形した個々の部品から構成することができる。例示的な実施形態において、固定コンポーネント34及び対応する可動コンポーネント36は、対になって軸27の両側に配置され、図14に示すように、3対の固定コンポーネント34及び可動コンポーネント36(又は、6つの別個の磁気結合した操作ユニットであり、単一の磁気結合した操作ユニットは、単一の固定コンポーネント34及び可動コンポーネント36である)は、軸に対して不釣り合いな負荷を誘発しないように、50Aで示される第1のセットの磁気結合した操作ユニットが、概して軸27の片側に設けられ、50Bで示される第2のセットの磁気結合した操作ユニットが、概して軸27の反対側に設けられた状態で存在する。ただし、所望の操作仕様に応じて3対よりも多い又は少ない対が存在し得ることから、これは限定するものとみなされるべきではない。さらに、更に別の代替実施形態において、セット50Aのように磁気結合した操作ユニットのセットは、同様に、軸に対して不釣り合いな負荷を誘発しないように、等しい角度間隔を置いて軸27回りに配置してもよいことに留意すべきである。例えば、3つのセットの磁気結合した操作ユニットを、互いに本質的に120度離すように軸27回りに配置することができる。概して、各磁気結合した操作ユニットにおいて複数の平坦な支持体が存在する場合、軸27回りに等しく離れている複数のセットの等しく離れた平坦な支持体(各セットは、磁気結合した操作ユニットのセットのそれぞれからの単一の平坦な支持体を含む)が存在することになり、固定コンポーネントは、関連する磁気コンポーネントを同様に支持する。したがって、図15に示すように2つのセットの磁気結合した操作ユニット50A、50B(各セットは3つの平坦な支持体41(ブレード40)を有する)がある場合、等しく離れた平坦な支持体の複数のセットの数は3つとなり、第1のセットは平坦な支持体57Aを含み、第2のセットは平坦な支持体57Bを含み、第3のセットは平坦な支持体57Cを含む。ブレード40の形態の可動コンポーネント36、及びU字形状の磁気トラックの形態の固定コンポーネント34は、米国ペンシルベニア州ピッツバーグ所在のAerotech, Inc.社から入手可能である。
【0033】
上記で示したように、可動アセンブリ26は、本開示においてガイドロッドとして具現されるガイド28によってガイドされる。特に、可動アセンブリ26は、ガイドロッド28に対して移動可能な少なくとも1つの軸受アセンブリ70、1つの実施形態において、2つの軸受アセンブリ70を備える。好ましい実施形態において、軸受アセンブリ70は、互いに離れており、それぞれ、支持レール(複数の場合もある)42から離れた別個の構造ではなく、可動コンポーネント36の支持レール(複数の場合もある)42にのみ接続されている。このようにして、ブレード40以外に軸受70を共に接続する更なる構造が存在しないため、可動アセンブリ26の質量が有利に低減される。
【0034】
可動アセンブリ26は、試験片が端部22に接続される試験片支持体76を更に備える。試験片支持体76は、固定アセンブリ24又はそのマウント21の上方に延在する。例示的な実施形態において、試験片支持体76は、2つの支持ロッド78と、端部22を構成する横材81とを備える。横材81の反対の端部において、支持体78は、軸受アセンブリ70のうちの一方に接合され、支持ロッド78は、マウント21における穴83を通して延在する。試験片支持体76及び軸受アセンブリ70が共に移動するように互いに固定されるため、アクチュエーター20の側面負荷容量は、軸受アセンブリが対応するマウントに固定される従来のアクチュエーターの場合と同様に、試験片支持体76がマウント21から延在していても変化しない。このようにして、側面負荷容量は、有利には、可動アセンブリ26の移動全長にわたって一定である。好ましくは、試験片支持体76は、試験片支持体76に取り付けられた試験片が軸27に中心合わせされ、複数の支持ロッド78を使用する場合には支持ロッド78が軸27回りに等しく離れるように、軸27が試験片支持体76を通して延在するように、構成される。代替実施形態において、支持ロッドは、軸27に中心合わせされるとともに、軸受アセンブリ70の両方又は固定マウント21から離れるように軸27に沿って軸受アセンブリ70のうちの一方から延在するロッド、シリンダー等の単一の要素に置き換えてもよい。
【0035】
図7図9は、軸受アセンブリ70、特に、フレキシャ84を使用した軸受80と軸受支持体82との接続(ガイドロッド28と直接又は間接的に接触する)の有利な構造を示す。軸受支持体82は支持レール(複数の場合もある)42に固定され、試験片支持体76も、上側軸受支持体82に接合される。
【0036】
軸受80は、径方向負荷に反応することが可能な軸受表面を提供し、これは、特性評価試験に使用される典型的な電動アクチュエーターのガイダンスシステムを提供するのに必要なものである。一方、フレキシャ84は、ガイドロッドが曲がる事例においても軸受表面をガイドロッド28と同一線上に置く機械手段を提供する。
【0037】
図9を参照すると、フレキシャ84は、軸90(「x」)及び92(「y」)と、軸94(「z」)とに沿った直線力に対して実質的に剛性があるように構成される。軸90及び92は、いずれも軸27に直交する。一方、フレキシャ84は、軸90及び92回りのモーメントに対しては適応性がある。これにより、軸受80は、ガイドロッド28が曲がることがあっても必要に応じて回転することが可能になる。図示の実施形態において、フレキシャ84は、ガイドロッドの28が延在する中心穴を有して平坦である。アーム85がフレキシャを軸受支持体82に取り付け、例えば、軸受支持体82の共に接合される部分87と88との間に位置する。アーム85の間でフレキシャ84の各端部において切欠部97が設けられる。ガイドロッド28用の拡張された穴により、切欠部97は、軸90に沿ったフレキシャ84の旋回軸として機能する小部分89(図10)を提供する。同様に、フレキシャ84の幅は、ガイドロッド28の拡張された穴が、同様に軸92に沿った旋回軸として機能する小部分91(図11)も構成するように、選択される。好ましい実施形態において、軸受80は、各軸受80の質量中心を通してフレキシャ84に取り付けられる。フレキシャ84は、モーメント曲げ剛性が軸受80のピッチ剛性よりも大幅に小さい。
【0038】
ガイドロッド28及び軸受80は、図13において誇張して概略的に示されている。試験片に負荷を加えることで側面負荷が存在する場合、この側面負荷は軸受80を通して伝達され、ガイドロッド28において反応する。ガイドロッド28において反応した負荷により、図13に示すように、ガイドロッド28の側方に角度付きの撓みが生じ得る。しかしながら、軸90及び92回りのモーメントに関して、軸受80のピッチ剛性と比較してフレキシャ84のモーメント剛性が低いことを考慮すると、ガイドロッド28と直接又は間接的に接触している軸受表面は、ガイドロッド28の角度付きの撓みに追従することが可能である。この結果として、軸受表面が軸受80の長さに沿ってガイドロッド28と実質的に同一線上にある状態を維持し、したがって、外部の径方向側面負荷に反応するための最適な軸受負荷容量を提供する。
【0039】
図12は、フレキシャ84が存在しないときに起こり得ることを概略的に示す。そのような構造においては、ガイドロッド28は曲がるが、軸受80が回転しないため、軸受縁部負荷が存在し得る。これにより、アクチュエーターの定格側面負荷が大幅に低下するおそれがある。
【0040】
軸受80は、限定しないが、潤滑剤を付けた又は付けていない接触軸受表面(回転又は非回転)等の任意の数の従来の形態を取ってもよいことに留意すべきである。しかしながら、好ましい実施形態において、軸受80は、摩擦のない非接触の空気軸受表面を提供する空気軸受を含むことができる。図10及び図11を参照すると、円筒形で有孔の空気ブッシング110が、ガイドロッド28の外面の近くに位置決めされるようなサイズである。上外側軸受ハウジング112及び下外側軸受ハウジング114が、空気ブッシング110を囲んでおり、共に固定されることでその間にフレキシャ84の環状部分が挟まれる。そのような軸受は、米国ペンシルベニア州アストン所在のNewway Air Bearings社が販売している。
【0041】
図2及び図3を再び参照すると、ガイド28がロッドであり、軸受70が円筒形の表面を有することから、軸27回りの可動アセンブリ26の回転を阻止するために、回転防止軸受アセンブリ120が設けられることが好ましい。概して、回転防止軸受アセンブリ120及び後述する代替物は、軸27から径方向にオフセットされており、ガイド構造に過剰な制約を生み出さない。図示の実施形態において、軸受アセンブリ120は、軸受要素122、例えば、軸27に対して平行にガイド表面と直接又は好ましくは間接的に(例えば、空気軸受ブッシング)接触する、転動体又はブッシング等を含む。図2及び図3において、軸受要素122は、可動アセンブリ26と共に移動するように可動アセンブリ26に接合され、一方、固定アセンブリ24上には固定ガイド表面が存在する。
【0042】
図14及び図15は、別の回転防止軸受アセンブリ130を示す。回転防止軸受アセンブリ130は、可動アセンブリ26と共に移動するように可動アセンブリ26に接合されるレール又はプレート等のガイド表面構造132を含み、一方、軸受要素134が、固定アセンブリ24に、好ましくはガイド表面構造132の両側に固定される。好ましくは、軸受要素134は、スイベル軸継手136に取り付けられ、スイベル軸継手136は、マウント139を介して固定アセンブリ24に固定される。空気ブッシングとして具現される場合、給気ホース138が、図示しない供給源から空気又は他の気体を軸受要素134に供給する。給気ホース138は可動アセンブリ26の移動に伴って移動する必要も曲がる必要もないため、回転防止軸受アセンブリ130は回転防止軸受アセンブリ120よりも好ましいものであり得る。
【0043】
空芯リニア電動アクチュエーターは、強い連続的な力が発生すると過熱する傾向にある。したがって、1つの実施形態において、アクチュエーター20が望む静的な又は連続的な力に対処するために、図15及び図16に示す二次的な力発生装置150が設けられる。概して、二次的な力発生装置150は、可動アセンブリ26に対して重力に抗する上向きの力を与えるばね又は他の力発生コンポーネントを含む。1つの実施形態において、ガイドロッド28は、ばね又は他の力発生コンポーネントが位置する空洞又はボア152と、ばね又は他の力発生コンポーネント及び可動アセンブリ26に動作可能に連結される従動要素154とを備える。本開示においてロッドとして具現される従動要素154は、ガイドロッド28における穴28A(及びマウント21における穴158)を通して延在し、固定した状態で、又は同様にガイド構造の過剰な制約に寄与しないように、少なくとも軸27に直交する移動の制限を可能にする連結を介して試験片支持体76に係合する。従動要素154は、軸27に沿った移動に伴って試験片支持体76と共に常に移動するように試験片支持体76に恒久的に固定することもできるし、少なくとも何らかの移動時に可動アセンブリ26が従動要素154の質量を含まないように連結解除可能に固定することもできる。
【0044】
二次的な力発生装置150は、空洞若しくはボア152内に位置する機械ばねを含むことができ、及び/又は、空洞若しくはボア152がシリンダーとして機能し、従動要素154が、シリンダー内で移動可能であり155で示されるシールが設けられるピストンとして機能することができる。機械ばねは、質量、摩擦を増加し、望ましくない共振が起こる可能性がある。ピストン-シリンダーの機構は、空気圧式、油窒素(oil over nitrogen)等とすることができる。油窒素システムは、オイル慣性(移動質量)と、油圧制御システムの必要性と、漏れの可能性等とを増加する。空気加圧システムは、典型的には、最大約100psiまでしか使用されない(燃料源が存在する場合に自己燃焼を避けるため)。窒素圧ベースのシステムは、より高い動作圧を許容するものであり、通風環境又は開放環境(unconfined environment)において漏れが生じても概して問題にならない。単端部ピストンとして図示したが、シリンダー内の上下にばねが効果的に作製された両端部ピストンは、双方向の静的な支持負荷を許容することに留意すべきである。
【0045】
本開示において様々な実施形態及び例を図示及び説明してきたが、本開示は例示にすぎず、本開示の範囲から逸脱することなく構造、配置、及び方法に関して詳細な変更を行うことができる。
[構成1]
試験片に負荷を加えるための電動アクチュエーターであって、
固定支持体と、
前記固定支持体に接合された単一の固定ガイドであって軸を有する固定ガイドを備えるガイドシステムと、
前記固定支持体に固定された固定アセンブリと、
前記ガイド上で前記固定支持体に対して移動可能な可動アセンブリであって、該可動アセンブリ及び前記固定アセンブリは、等しい角度間隔を置いて前記ガイド回りに配置された少なくとも2つのセットの相互作用磁場を提供する、可動アセンブリと、
前記可動アセンブリの移動と共に前記軸に沿って移動するように、前記可動アセンブリに接合されて前記固定支持体の片側に配置された試験片支持体であって、前記軸が該試験片支持体を通して延在している、試験片支持体と、
を備える、電動アクチュエーター。
[構成2]
前記可動アセンブリがコイルを含む、構成1に記載の電動アクチュエーター。
[構成3]
前記固定アセンブリが磁石を含む、構成1又は2に記載の電動アクチュエーター。
[構成4]
前記可動アセンブリが、前記ガイド上でガイドされる軸受を備える、構成1に記載の電動アクチュエーター。
[構成5]
前記可動アセンブリが、前記ガイド上でガイドされる第2の軸受を備え、該第2の軸受が前記軸受から離れている、構成4に記載の電動アクチュエーター。
[構成6]
前記可動アセンブリが、支持レールによって支持された平面コイルを含み、前記軸受及び前記第2の軸受が前記支持レールに接合されている、構成5に記載の電動アクチュエーター。
[構成7]
前記軸受及び前記第2の軸受のそれぞれが、前記ガイドと直接又は間接的に接触する軸受表面と、軸受支持体と、前記軸受表面を前記軸受支持体に接合するフレキシャとを備え、該フレキシャは、前記ガイドに直交する軸回りのモーメントに対して適応性があるとともに、前記ガイドに直交する軸に沿った力に対して剛性がある、構成5に記載の電動アクチュエーター。
[構成8]
前記可動アセンブリに連結された二次的な力発生装置を更に備える、構成1に記載の電動アクチュエーター。
[構成9]
前記ガイドがボアを備え、前記二次的な力発生装置は、前記ボア内を移動可能な従動部材を備える、構成8に記載の電動アクチュエーター。
[構成10]
前記二次的な力発生装置がばねである、構成9に記載の電動アクチュエーター。
[構成11]
前記ボア及び前記従動部材が、気体で充填された密封チャンバーを形成している、構成10に記載の電動アクチュエーター。
[構成12]
前記可動アセンブリ及び前記固定アセンブリに連結された回転防止軸受アセンブリを更に備える、構成1に記載の電動アクチュエーター。
[構成13]
前記回転防止軸受アセンブリが、前記可動アセンブリと共に移動するように該可動アセンブリに接合されたガイド面構造と、前記固定コンポーネントに接合された軸受要素とを備える、構成12に記載の電動アクチュエーター。
[構成14]
電動アクチュエータであって、
固定支持体と、
前記固定支持体に接合された固定ガイドと、
前記固定支持体に固定された固定アセンブリと、
第1の軸受及び該第1の軸受から離れている第2の軸受であって、それぞれが前記ガイド上でガイドされる、第1の軸受及び第2の軸受と、
前記第1の軸受及び前記第2の軸受に固定されるとともに、該第1の軸受及び該第2の軸受と共に前記ガイド上で前記固定支持体に対して移動可能な可動アセンブリであって、各軸受が、前記ガイドと直接又は間接的に接触する軸受表面と、軸受支持体と、前記軸受表面を前記軸受支持体に接合する可動連結部とを備え、該可動アセンブリは、前記軸受支持体のそれぞれに固定される、
電動アクチュエーター。
[構成15]
前記可動連結部は、前記ガイドに直交する軸回りのモーメントに対して適応性があり、前記ガイドに直交する軸に沿った力に対して剛性がある、構成14に記載の電動アクチュエーター。
[構成16]
前記可動連結部はフレキシャを含む、構成15に記載の電動アクチュエーター。
[構成17]
前記可動連結部はフレキシャを含む、構成14に記載の電動アクチュエーター。
図1
図2
図3
図4-5】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17