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特許7583802スクレーパ装置の清掃セッションの清掃スケジュールを調整するための方法および制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】スクレーパ装置の清掃セッションの清掃スケジュールを調整するための方法および制御装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/01 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
A01K1/01 A
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022530703
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 SE2020051116
(87)【国際公開番号】W WO2021107839
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】1951366-2
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521499848
【氏名又は名称】デラバル ホールディング アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリンク、マレク
(72)【発明者】
【氏名】フルダク、ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン、ピョートル
(72)【発明者】
【氏名】ヤクリク、バルトロミエイ
(72)【発明者】
【氏名】スルサルクジーク、バルトロミエイ
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/160480(WO,A2)
【文献】特開2019-034136(JP,A)
【文献】特開2019-034138(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109452183(CN,A)
【文献】特表2016-515311(JP,A)
【文献】特開2019-103618(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02839736(EP,A2)
【文献】特開2019-121189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/01
A01B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜エリア内の糞尿を除去するために配置されたスクレーパ装置(1)の清掃セッションの清掃スケジュールを調整する方法であって、1回の清掃セッションが、前記家畜エリア内の事前定義された経路に沿った1回の清掃を含み、前記方法が、
前記清掃スケジュールに従って清掃セッションを実行している間、前記スクレーパ装置(1)によって移動された物質量を表す負荷量を監視すること(S2)と、
前記監視された清掃セッション間における前記監視された負荷量の変動に基づいて、前記清掃スケジュールを調整すること(S5)と、を含む、方法。
【請求項2】
初期清掃スケジュールを取得すること(S1)を含み、前記監視すること(S2)が、前記初期清掃スケジュールに従って清掃セッションを実行している間、前記負荷量を監視すること(S2a)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記監視すること(S2)が、前記調整された清掃スケジュールに従って清掃セッションを実行している間、前記負荷量を監視すること(S2b)を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記調整すること(S5)が、個々の清掃セッション間における前記監視された負荷量の前記変動が低減されるように、前記清掃スケジュールを調整することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記調整すること(S5)が、前記監視された負荷量が、すべての前記清掃セッションの間、所定の負荷閾値を下回るか、または前記所定の負荷閾値にあるように、前記清掃スケジュールを調整することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記変動が、1つの期間内の異なる清掃セッション中に監視された負荷量間における変動を表す、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記変動が、複数の以前の期間の平均変動を表す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記期間が、1日間である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記調整すること(S5)が、1つの期間中に、清掃が、第1の平均負荷に対応する第1の時間間隔中に、第2の平均負荷に対応する第2の時間間隔中よりも頻繁に実行されるように、前記清掃スケジュールを調整することを含み、前記第1の平均負荷が、前記第2の平均負荷よりも大きい、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記監視された負荷量に基づいて、前記事前定義された経路に沿った物質蓄積率を表す物質蓄積率パターンを推定すること(S3)を含み、
前記清掃スケジュールを調整すること(S5)が、前記推定された物質蓄積率パターンに基づく、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記物質蓄積率パターンが、個々の清掃セッション中の推定物質蓄積率に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記調整すること(S5)が、
蓄積された物質パターンの蓄積された物質値が蓄積目標に到達する1つ以上の時点を予測することと、
清掃セッションのタイミングを、前記予測された1つ以上の時点に設定することと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記蓄積目標が、前記事前定義された経路の清浄度、前記事前定義された経路を清掃するために必要とされるエネルギー量、および/または動物妨害要因、のうちの少なくとも1つに基づいて判定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
所望の清浄度レベルを示すユーザ入力を取得して(S0)、前記取得した清浄度レベルに基づいて、前記蓄積目標を調整することを含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記監視された負荷量に基づいて、前記事前定義された経路に沿った将来の物質蓄積率を予測すること(S4)と、
前記事前定義された経路に沿った、前記予測される将来の物質蓄積率に基づいて、前記清掃スケジュールを調整すること(S5)と、を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記監視された負荷量が、推定オフセット負荷、および移動された物質の量を表す可変負荷を含み、前記方法が、前記事前定義された経路が清浄であると判定される間に、前記スクレーパ装置(1)が前記事前定義された経路を清掃しているとき、1つ以上の較正セッション中に前記負荷量を監視すること(S2c)と、前記1つ以上の較正セッション中に、前記監視された負荷量に基づいて、前記オフセット負荷を推定することと、を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記清掃スケジュールが、1日のうちの前記スクレーパ装置を動作させるためのタイミングを定義する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記負荷量が、前記スクレーパ装置を動作させるモータの電力消費量、エネルギー消費量、または電流消費量、駆動機構の機械的負荷または張力、および前記スクレーパ装置を動作させる油圧装置の圧力、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令が、前記プログラムがコンピュータによって実行されるとき、前記コンピュータに、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項20】
請求項19に記載のコンピュータプログラム製品を格納した、コンピュータ可読データキャリア。
【請求項21】
家畜エリア内の糞尿を除去するために配置されたスクレーパ装置(1)の清掃セッションの清掃スケジュールを調整する制御装置(8)であって、1回の清掃セッションが、前記家畜エリア内の事前定義された経路に沿った1回の清掃を含み、前記制御装置が、
前記清掃スケジュールに従って清掃セッションを実行している間、前記スクレーパ装置(1)によって移動された物質量を表す負荷量を監視し、かつ
前記監視された清掃セッション間における前記監視された負荷量の変動に基づいて、前記清掃スケジュールを調整するように構成されている、制御装置(8)。
【請求項22】
請求項2~18のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、請求項21に記載の制御装置(8)。
【請求項23】
スクレーパ装置(10)であって、
事前定義された経路に沿って物質を除去するように配置されたスクレーパ(1)と、
負荷量を監視するために配置された負荷センサ(9)と、
請求項21または22に記載の制御装置(8)と、を備える、スクレーパ装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、家畜エリア内における清掃、特に、乳牛舎などの家畜エリア内における事前定義された経路に沿った糞尿の除去に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜環境を清浄に保つことは重要である。家畜環境は、例えば、動物が自由に歩き回ることができるフリーストール納屋、または動物が繋がれている、タイストールバーンを含む。家畜環境における清浄な家畜エリアは、エリアに滞在している動物のひづめの問題を軽減し、それによって獣医の費用を低減させる。清浄な家畜エリアはまた、動物の一般的な汚染を軽減し、清潔な動物であることによって搾乳の準備時間が短縮する。
【0003】
家畜エリアにいる動物(牛または他の乳畜など)は、家畜エリアを清浄に保つために除去する必要のある糞尿を継続的に追加する。糞尿は通常、路地に堆積する。糞尿はスクレーパを使用して収集する場合がある。その時、スクレーパは路地の長さに沿って移動し、糞尿を最後のレセプションピットまたはタンクに堆積させる。路地に沿った床がスラットの場合、糞尿はスラット床の下の溝に収集される。次にスクレーパは、糞尿を床からスラットを介して溝に移動させる。動物のストールは路地の脇にある場合がある。
【0004】
路地は典型的には、自動的に開始するか、またはユーザによってトリガーされる可能性のある、固定のタイムスケジュールに従って清掃される。清掃セッション間の時間は、典型的には、固定値に設定される。しかしながら、家畜エリア内の糞尿量は1日の間で異なり、存在する動物の総数に応じて増減する場合もある。このため、比較的短時間のうちに多くの糞尿が路地内に蓄積することにより、路地があまりにも頻度が少なく清掃されることがある。これは、動物にとって劣悪な環境を引き起こす可能性がある。路地の清掃が多すぎると、電力消費量が増加し、糞尿設備がより早く摩耗する可能性がある。また、頻繁に清掃をしすぎると、動物にストレスがかかり、結果として乳量が減少する可能性がある。
【0005】
WO2019/160480A2には、糞尿の取り扱いのための方法および装置が記載されている。ここでは、糞尿スクレープの動作は、スクレーパの動作エリアの画像をキャプチャするために設置された、1台以上のカメラから取得した情報に基づいて制御される。1台以上のカメラによって大量の糞尿が観察された場合は、糞尿スクレーパを動作させることができる。
【発明の概要】
【0006】
効率的な糞尿除去を提供し、ユーザが糞尿除去に費やさなければならない時間を削減することが望まれる。また、糞尿を除去する設備の運用コストを削減することも望まれる。
【0007】
したがって、本開示の目的は、糞尿の効率的な除去のための方法を提供することである。糞尿を除去するためのコストを削減する方法を提供することが、さらなる目的である。糞尿を除去するためにユーザが費やさなければならない時間を削減することが、さらに他の目的である。
【0008】
これらの目的および他の目的は、独立請求項による方法および制御装置によって、ならびに従属請求項による実施形態によって、少なくとも部分的に達成される。
【0009】
第1の態様によれば、本開示は、家畜エリア内の糞尿を除去するために配置されたスクレーパ装置の清掃セッションの清掃スケジュールを調整するための方法に関する。1回の清掃セッションが、家畜エリア内の事前定義された経路に沿った1回の清掃を含む。方法は、清掃スケジュールに従って清掃セッションを実行している間、スクレーパ装置によって移動された物質量を表す負荷量を監視することと、監視された清掃セッション間における監視された負荷量の変動に基づいて、清掃スケジュールを調整することと、を含む。
【0010】
方法は、事前定義された経路を清掃するための調整された清掃スケジュールを生成する方法を提供し、スケジュールは、以前に実行された清掃セッションに基づいて調整される。これにより、例えば、事前定義された経路に沿って物質が多い場合は、期間中により多くの清掃を含み、事前定義された経路に沿って物質が少ない場合は、より少ない清掃を含む、最適化された清掃スケジュールを取得できる。方法は、人間の注意をほとんど必要とせずに、自律的に実行してもよく、したがって、人間の行動もしくは他に必要とされることを削減することができる。したがって、ユーザが清掃スケジュールを最適化する必要はない。家畜エリア内に変化があった場合、例えば、以前よりも動物が多く、または少なく、放出された糞尿量が変化する場合、方法は、スクレーパ装置への負荷が変化したことを自動的に見つけ出し、それに応じて清掃スケジュールを調整する。結果として、清掃デバイスの電力消費量および/または機械的摩耗もまた、局所的な作業条件に適応することによって最小化されてもよい。スクレーパ装置が動物に引き起こす影響および/または妨害も、低減する可能性がある。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、方法は、初期清掃スケジュールを取得することを含み、監視することが、初期清掃スケジュールに従って清掃セッションを実行している間、負荷量を監視することを含む。したがって、機械学習用のデータを提供するために、何度か最初の清掃セッションが実行される場合がある。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、監視することが、調整された清掃スケジュールに従って清掃セッションを実行している間、負荷量を監視することを含む。したがって、清掃スケジュールは、最新の調整された清掃スケジュールからの監視された負荷量を使用して、継続的に調整されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、調整することが、個々の清掃セッション間における監視された負荷量の変動が低減されるように、清掃スケジュールを調整することを含む。したがって、清掃スケジュール内のすべての清掃セッションで負荷がほぼ同じになるように、負荷の変動を均等にするのが望ましい。したがって、個々の清掃セッションにおける蓄積された物質の最大量は、典型的には、減少する。このことによって、そうしないとスクレーパ装置に摩耗を引き起こす可能性がある、スクレーパ装置への過度の高負荷を回避することができる。したがって、ピーク負荷が低減される可能性があるため、システムはその後設計され、結果として総コストが低くなる可能性がある。また、清掃は必要と考えられる場合にのみ実行されるため、糞尿の量が少ない期間中は、事前定義された経路の清掃回数が少なくなる。これにより、動物への妨害が少なくなる。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、調整することが、監視された負荷量が、すべての清掃セッションの間、所定の負荷閾値を下回るか、または所定の負荷閾値にあるように、清掃スケジュールを調整することを含む。これにより、ある一定の清浄度レベルを確実にすることができる。負荷量が所定の負荷閾値を超えることは決してないため、スクレーパ装置に対する摩耗が減少することとなる。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、変動が、1つの期間内の異なる清掃セッション中に監視された負荷量間における変動を表す。いくつかの実施形態によれば、変動が、複数の以前の期間の平均変動を表す。いくつかの実施形態によれば、期間が、1日間である。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、調整することが、1つの期間中に、清掃が、第1の平均負荷に対応する第1の時間間隔中に、第2の平均負荷に対応する第2の時間間隔中よりも頻繁に実行されるように、清掃スケジュールを調整することを含み、第1の平均負荷が、第2の平均負荷よりも大きい。これにより、負荷量の変動が軽減される可能性があり、さらには低減される可能性がある。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、方法が、監視された負荷量に基づいて、事前定義された経路に沿った物質蓄積率を表す物質蓄積率パターンを推定することを含み、清掃スケジュールを調整することが、推定された物質蓄積率パターンに基づく。物質蓄積率は、糞尿などの物質が、ある一定の時間に事前定義された経路に放出される率である。この蓄積率の値は、典型的には、日中に変化する。蓄積された物質量を確立することにより、物質蓄積率パターンを判定することができ、それによって、いつ、蓄積された物質量が、ある一定の制限に到達するかも判定できる。この情報に基づいて、清掃スケジュールを調整できる。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、物質蓄積率パターンは、個々の清掃セッション中に蓄積された物質の推定量に基づく。したがって、各清掃セッションは、個々の物質蓄積率を提供する。この個々の物質蓄積率に基づいて、各清掃セッション中の物質量を判定できる。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、調整することが、蓄積された物質パターンの蓄積された物質値が蓄積目標に到達する1つ以上の時点を予測することと、清掃セッションのタイミングを、予測された1つ以上の時点に設定することと、を含む。したがって、調整された清掃スケジュールは、清掃スケジュール内の清掃セッションの新しいタイミングを含む。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、蓄積目標が、事前定義された経路の清浄度、事前定義された経路を清掃するために必要とされるエネルギー量、動物妨害要因、スクレーパ装置および/または家畜エリアの摩耗、のうちの少なくとも1つに基づいて判定される。したがって、清浄度のレベルは、複数の要因に基づいて判定されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、方法は、所望の清浄度レベルを示すユーザ入力を取得して、取得した清浄度レベルに基づいて、蓄積目標を調整することを含む。したがって、ユーザが清浄度レベルを調整する場合がある。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、方法は、監視された負荷量に基づいて、事前定義された経路に沿った将来の物質蓄積率を予測することと、事前定義された経路に沿った、予測される将来の物質蓄積率に基づいて、清掃スケジュールを調整することと、を含む。したがって、清掃スケジュールの調整に使用できる予測物質蓄積率を判定する場合がある。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、監視された負荷量が、推定オフセット負荷、および移動された物質の量を表す可変負荷を含み、方法が、事前定義された経路が清浄であると判定される間に、スクレーパ装置が事前定義された経路を清掃しているとき、1つ以上の較正セッション中に負荷量を監視することと、1つ以上の較正セッション中に、監視された負荷量に基づいて、オフセット負荷を推定することと、を含む、したがって、重量、摩耗などの、比較的一定のパラメータを妨害することは、推定から除外されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、清掃スケジュールが、1日のうちのスクレーパ装置を動作させるためのタイミングを定義する。したがって、清掃スケジュールは、清掃セッションの明示的な開始時刻を含む場合がある。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、負荷量が、スクレーパ駆動機構において監視(すなわち、感知または測定)され、負荷量が、スクレーパ装置を動作させるモータの電力消費量、エネルギー消費量、または電流消費量、駆動機構の機械的負荷または張力、およびスクレーパ装置を動作させる油圧装置の圧力、のうちの少なくとも1つを含む。言い換えれば、監視された負荷量は、駆動機構の本質的な量である可能性がある。これは、事前定義された経路に沿ってスクレーパ装置を移動するために必要な力を表す。したがって、スクレーパ駆動機構において監視された負荷量は、スクレーパ装置によって移動された物質量の指標として使用してもよい。負荷量は、駆動機構に接続されており、かつ駆動機構に対する負荷を判定するために配置された負荷センサによって監視されてもよい。スクレーパ装置を事前定義された経路に沿って移動させるのに必要な力を表す、スクレーパ装置の駆動機構の本質的な負荷量を監視することによって、事前定義された経路に沿って蓄積された物質を評価してもよい。したがって、負荷量は、事前定義された経路の汚れまたは清浄度を測定する単位として使用してもよい。
【0026】
第2の態様によれば、本開示は、命令を含むコンピュータプログラム製品であって、命令が、プログラムがコンピュータによって実行されるとき、コンピュータに、第1の態様に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム製品に関する。
【0027】
第3の態様によれば、本開示は、第2の態様に記載のコンピュータプログラム製品をその上に格納した、コンピュータ可読データキャリアに関する。
【0028】
第4の態様によれば、本開示は、家畜エリア内の糞尿を除去するために配置されたスクレーパ装置の清掃セッションの清掃スケジュールを調整する制御装置に関する。1回の清掃セッションが、家畜エリア内の事前定義された経路に沿った1回の清掃を含む。制御装置は、清掃スケジュールに従って清掃セッションを実行している間、スクレーパ装置によって移動された物質量を表す負荷量を監視し、かつ監視された清掃セッション間における監視された負荷量の変動に基づいて、清掃スケジュールを調整するように構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、制御装置は、第1の態様に記載の方法を実行するように構成されている。
【0030】
第5の実施形態によれば、本開示は、事前定義された経路に沿って物質を除去するように配置されたスクレーパと、負荷量を監視するために配置された負荷センサと、第4の態様に記載の制御装置と、を含むスクレーパ装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】いくつかの実施形態による、家畜エリア内の路地内にあるスクレーパを示す。
図2】いくつかの実施形態による、上面からのスクレーパの事前定義された経路を示す。
図3】いくつかの実施形態による、事前定義された経路に沿って動作しているスクレーパを備えたスクレーパ装置を示す。
図4】いくつかの実施形態による、制御装置を示す。
図5】いくつかの実施形態による、スクレーパ装置の清掃セッションの清掃スケジュールを調整する方法のフローチャートを示す。
図6】いくつかの実施形態による、蓄積パラメータ率の計算方法を示す。
図7】いくつかの実施形態による、いくつかの以前の期間に基づく蓄積負荷パターン、および蓄積負荷パターンに基づいて計算された清掃セッションのタイミングを示す。
図8】方法を使用した場合と使用しない場合との負荷量の変動を示す。
図9】スクレーパ装置の1つの実施形態を示す。
図10】スクレーパ装置の1つの実施形態を示す。
図11】スクレーパ装置の1つの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の開示では、家畜エリア内の糞尿を除去するために配置されたスクレーパ装置の、清掃セッションの清掃スケジュールを調整するための解決策を説明する。スクレーパ装置は、典型的には、糞尿を除去するために家畜エリア内の路地などの事前定義された経路に沿って動作させられるスクレーパを備える。スクレーパは、スクレーパ装置のスクレーパ駆動機構によって移動可能である。スクレーパ駆動機構は、例えば、駆動ユニットと、ケーブル、ワイヤ、またはチェーンなどの機構と、を備えている。スクレーパは、駆動ユニットに対して移動可能であってもよい。したがって、スクレーパが動作させられており、経路に沿って移動している間、その時駆動ユニットは1つの常置の場所に留まったままでもよい。
【0033】
糞尿の発生量および路地内での糞尿の放出は、日によって異なる。例えば、家畜エリア内における動物の給餌中および給餌後、動物は給餌前の数時間よりも多くの糞尿をもたらす。家畜エリア内の動物の数も時々変動する可能性があり、したがって、路地内に放出される糞尿の量も変動する可能性がある。従来、糞尿スクレーパは、路地内の実際の糞尿量を考慮せずに、1日を通して同じ清掃セッション頻度で実行されていた。
【0034】
開示された解決策は、糞尿の量が日中に変動し、かつスクレーパ装置に対する負荷が路地内の物質量に依存するという洞察に依存している。物質量が多い場合、スクレーパ装置は典型的には、路地内の物質量が少ない場合よりも、物質を移動できるようにするためにより多くの電力を使用することとなる。したがって、スクレーパの負荷は、路地の汚れまたは清浄度を測定する単位として使用してもよい。ある期間の異なる時間、例えば、1日の間の負荷を示すデータを使用して、その期間を通して物質量がどのように変動するかを調べてもよく、それによってスクレーパ装置の清掃サイクルを最適化する。典型的には、清掃サイクルは、日中に除去された物質の量の変動を低減することによって最適化される。路地内の物質には、ここでは例えば、糞尿、および動物によって路地内に蹴り出された寝藁が含まれる場合がある。ただし、物質はまた、例えば、給餌の食べ残し、および同様に除去されるべきである他の種類の物質を含む可能性がある。動物には同じルーチン、つまり給餌時間などがあるため、同じ条件が当てはまる場合、通常、異なる日の間の放出率パターンはあまり変化せず、以前の期間からのデータを使用して、清掃スケジュールを最適化し、より良くかつより堅固なものにすることができる。
【0035】
以下では、スクレーパ装置の全体的な実施形態について説明する。その後、家畜エリア内の糞尿を除去するために配置されたスクレーパ装置の清掃セッションの清掃スケジュールを調整するための提案された方法、およびスクレーパ装置のいくつかのさらなる例についても説明する。
【0036】
図1は、1つの例示的な実施形態による納屋路地4の概略図を示している。スクレーパ装置10は、スクレーパ1およびスクレーパ駆動機構2を備える。スクレーパ駆動機構2は、モータの形態の駆動ユニット7(図3)と、ケーブル、ワイヤ、またはチェーンなどの、駆動ユニット7によりスクレーパ1を移動させる機構22(図3、符号12、図9図11も参照。)と、を備える。スクレーパ1は、路地4内で動作するように配置されている。スクレーパ1は、スクレーパ駆動機構2によって前方(および適切な場合は後方)に引っ張られるように配置されている。したがって、スクレーパ1は、駆動ユニット7に対して、スクレーパ駆動機構2によって移動可能である。したがって、スクレーパ1の動きに続くようには、駆動ユニット7は配置されていない。図1の矢印は、動作中のスクレーパ1の可能な移動方向を示している。スクレーパ1は、例えば、糞尿を下水道に排出できる場所3に向かって前方に動作させられたときにスクレーパ1が完全に拡張されるように、折り畳み機能を備えて配置されてもよい。スクレーパ1が後方に動作させられると、折り畳み機能により、スクレーパ1は少なくとも部分的にその中心に向かって折り畳む。これにより、スクレーパ1は、形状がより小さくなるため、後方への動作が容易になる。スクレーパ1は、V字形に配置されたブレードを有してもよい。代替的には、ブレードは真っ直ぐであることによって、前進するときに移動方向に対して垂直に配置されてもよい。路地4の脇に沿って、動物が滞在したり、縛られたり、解かれたりできるストール5がある。
【0037】
図2は、別の例示的な実施形態による、スクレーパ1およびスクレーパ駆動機構2の概略図を示している。スクレーパ1の動作の例示的な距離は、本明細書では70メートルであり、開始位置1aが0(ゼロ)メートルのところであり、終了位置1bが70メートルのところを示している。ただし、理解されているように、この距離は異なってもよい。開始位置は典型的には、スクレーパ1にとっての静止位置であるため、そこには動作させられていないときのスクレーパ1が置かれる。終了位置は典型的には、糞尿が堆積する場所3の境界にある。いくつかの実施形態によれば、この距離は、清掃経路の長さ、したがって路地を定義する。図示する経路は一例に過ぎず、糞尿は経路に沿った他の場所、例えば経路の中央位置に堆積させてもよい。
【0038】
図3は、いくつかの実施形態による、スクレーパ装置10の概略図を示している。スクレーパ装置10は、スクレーパ1およびスクレーパ駆動機構2を備える。スクレーパ駆動機構2は、駆動ユニット7と、機構22、例えば、ケーブル、ワイヤ、またはチェーンを含み得る、ケーブル駆動機構、油圧駆動機構、またはチェーン駆動機構と、を備える。ケーブル駆動機構では、モータを備えた駆動ユニット7が、スクレーパ1を引っ張る太いケーブル、例えば鋼ケーブルを動作させる。油圧駆動機構では、駆動ユニット7のモータが油圧シリンダに接続されており、欠点は、前後に移動することにより、スクレーパ1を段階的に移動させることである。チェーン駆動機構では、駆動ユニット7のモータが、スクレーパ1を引っ張るチェーンを動作させる。
【0039】
スクレーパ装置10はまた、制御装置8を備え、その例を図4に示している。制御装置8は、プロセッサ8aおよびメモリ8bを備える。プロセッサ8aは、1つ以上の中央処理装置(CPU)などの、1つ以上の処理ユニットを備えてもよい。メモリ8bは、1つ以上のメモリユニットを備えてもよい。制御装置8は、スクレーパ1を動作させるために、駆動ユニット7を制御するように構成されている。制御装置8はまた、通信インターフェース8cを備える。通信インターフェース8cは、制御装置8との間の信号および/またはデータ、例えば、スクレーパ駆動機構2への信号および/またはデータ、ならびに以下で説明する負荷センサ9からの信号および/またはデータの、通信のために構成されている。通信インターフェース8cはまた、ユーザインターフェース(図示せず)を備えてもよい。ユーザインターフェースは、リモートユーザインターフェースであってもよい。ユーザインターフェースは、タッチスクリーン、キーボード、またはマイクなどの入力デバイスを備えてもよい。制御装置8はまた、例えば「クラウド」のように、部分的にリモートであってもよい。次に、データは通信インターフェースを介してクラウドに通信されるか、またはセンサからクラウドに直接通信されてもよい。次に、データはクラウドで処理され(クラウドコンピューティング)、制御データまたは信号がスクレーパ装置10に送り返されてもよい。したがって、スクレーパ装置10は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、エッジコンピュータ、クラウド、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートデバイスなどを介して制御されてもよい。
【0040】
スクレーパ装置10は、負荷センサ9をさらに備える。負荷センサ9は、スクレーパ駆動機構の負荷量を間接的または直接的に監視するために配置されている。負荷量は、スクレーパ装置10を動作させるモータの電力消費量、エネルギー消費量、または電流消費量、駆動機構の機械的負荷または張力、およびスクレーパ装置10を動作させる油圧装置または空気圧装置の圧力、のうちの少なくとも1つを含む。したがって、負荷センサ9は、例えば、駆動ユニット7のモータによって消費される電力(kW)を感知するように構成されている、電力センサである。電力センサは、例えば、サーミスタ、熱電対、またはダイオード検出器を備える。負荷センサ9は、代替的にはエネルギーメータであり、経時的に電力を累算して、モータによって消費される総エネルギー(kWh)を計算する。負荷センサ9は、さらに代替的に、モータによって消費される電流を測定する電流センサである。このようなセンサの例は、ホールセンサである。代替的には、負荷センサ9は、モータの電圧を測定する電圧センサを含んでもよい。代替的には、負荷センサ9は、駆動機構のケーブルまたはワイヤの張力を測定するセンサなど、駆動機構の一部の機械的張力または負荷を検出するセンサである。負荷センサ9は、さらに代替的には、油圧センサまたは空気圧センサであり、スクレーパ装置10を動作させる油圧装置または空気圧装置の圧力を測定するように構成されている。そのような負荷センサ9は、例えば、負荷センサ9が測定する圧力に比例して電気信号を生成する変換器である。制御装置8は、例えば、通信インターフェース8cを介して負荷センサから、監視された負荷量を受信するように構成されている。
【0041】
1回の清掃セッションは、家畜エリア内の事前定義された経路に沿った1回の清掃を含む。事前定義された経路は、例えば1つの路地に沿っている。したがって、清掃セッションは、事前定義された経路の開始位置から終了位置までの事前定義された経路に沿ってスクレーパ1を動作させることを含む。清掃セッションはまた、スクレーパ1を終了位置から開始位置まで後方に引っ張ることを含んでもよい。代替的には、後方への動作は清掃セッションの一部とは見なされない。いずれにせよ、スクレーパ1は、後方に引っ張られているときには事前定義された経路を清掃するとは見なされない。清掃スケジュールは、典型的には、複数の清掃セッションを含む。
【0042】
清掃スケジュールは、所定の期間内に実行される。期間は、例えば1日間(24時間)である。代替的には、期間は1日の一部、例えば12時間である。代わりに、期間は1日のうちのより短い部分、例えば、給餌後3~6時間の期間であってもよい。期間は、家畜エリア内の動物の反復可能なパターンを含む必要がある。例えば、1日は、朝の給餌/食事、昼食の給餌/食事、および夕方の給餌/食事を含む可能性がある。このパターンは、毎日繰り返される。
【0043】
事前定義された経路は、経路の一端に糞尿用の場所3を有する、路地4に沿った経路であってもよい。代替的には、事前定義された経路に沿っていくつかの場所3があってもよく、そこで糞尿が収集され、スクレーパ1から除去される。したがって、場所3では、スクレーパ1によって収集および移動された物質が、スクレーパ1から除去される。物質は典型的には、場所3から下水道に排出される。代替的には、スクレーパ1によって移動された物質は、事前定義された経路に沿ってスラット床を介して継続的に排出される。
【0044】
事前定義された経路には、開始位置および終了位置があり、例えば、図2を参照されたい。事前定義された経路は、直線であってもよいし、または湾曲部もしくはカーブを含んでもよい。広い路地または長い路地には、各々が路地の一部を清掃する、2つ以上のスクレーパ1を設けてもよい。その時、スクレーパ1は、路地に沿って連続的に、または路地の同じセグメントに対して並列に配置されてもよい。そのような場合、スクレーパ1は、同じスクレーパ駆動機構2によって駆動されてもよいが、スクレーパ駆動機構2は、例えば、より長いチェーン、より強力なモータなどを含んでもよい。このように、スクレーパ装置10はかくして2つ以上のスクレーパを備えることとなり、事前定義された経路は、2つ以上のスクレーパ1の個々の事前定義された経路を含むこととなる。
【0045】
事前定義された経路に沿って、糞尿以外の種類の物質が存在する可能性があり、例えば、ストール5から蹴り出された寝藁である。したがって、スクレーパ装置10は、糞尿を除去するために配置されているが、スクレーパ装置10が動作させられると、典型的には、事前定義された経路に沿って糞尿を含む物質を移動および除去する。スクレーパ1は、事前定義された経路に沿って物質を移動し、例えば、物質が糞尿ピット内に落ちる場所まで物質を押すことによって物質を除去する。
【0046】
制御装置8は、プログラムがプロセッサ8aによって実行されるときに、スクレーパ装置にスクレーパ装置の清掃セッションの清掃スケジュールを調整するための方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラムを格納してもよい。スクレーパ装置は、例えば、本明細書に記載のスクレーパ装置10のうちのいずれかである。前述のように、スクレーパ装置10は、家畜エリア内の糞尿を除去するために配置されている。
【0047】
以下では、図5のフローチャートを参照して方法を説明する。最初に、方法は、所望の清浄度レベルを示すユーザ入力を取得S0し、かつ取得した清浄度レベルに基づいて蓄積目標を調整することを含んでもよい。蓄積目標については、以下で詳しく説明する。ユーザは、通信インターフェース8cを介して制御装置10に入力を行ってもよい。推奨される清浄度レベルは、ユーザインターフェースを介してユーザに伝達、例えば、表示されてもよい。推奨される清浄度レベルは、例えば、清掃コストと清浄度の向上との間でバランスが取れている、バランスの取れた清浄度レベルである。次に、ユーザは、バランスの取れた清浄度レベルを選択してもよく、または制限内における清浄度レベルの増減を決定してもよい。清浄度レベルは、清掃スケジュールごとの清掃セッションの回数を決定する。清掃スケジュールごとの清掃セッションの回数が多いということは、清掃スケジュールごとの清掃セッションの回数がより少ないのに比べて、清浄度がさらに高いことを意味する。清浄度レベルは、スクレーパ装置10に対する最大許容負荷を決定してもよく、したがって、以下で説明する所定の負荷閾値を決定することとなる。したがって、所定の負荷閾値は、清浄度レベルの選択を介してユーザによって設定されてもよい。所定の負荷閾値は、物質が除去される前の、事前定義された経路における物質の最大許容総量に対応する。所定の負荷閾値が低いということは、清掃スケジュールごとの清掃セッションの回数がより多く、したがって、物質が除去される前の、事前定義された経路における蓄積した物質をより多く許容する、より高い所定の負荷閾値に比べて、清浄度がさらに高いことを意味する。ユーザ入力は、清浄度レベルを決定するための、タッチスクリーン上における1回以上のタッチ、1回以上のキーボード入力、または音声コマンドであってもよい。したがって、ユーザは様々なレベルの清浄度の中から選択する可能性がある。
【0048】
方法はまた、初期清掃スケジュールに従って動作するようにスクレーパ装置10を構成することS1を含んでもよい。構成することS1は、製造元が事前に設定してもよく、またはユーザによって手動で実行されてもよい。したがって、構成することは、例えばメモリ8bから初期清掃スケジュールを取得することを含んでもよい。例えば、構成することS1は、清掃スケジュール内の清掃セッションの回数、および連続する清掃セッション間の期間の設定を含む。初期清掃スケジュールは、複数の清掃セッションに対するタイミングを含む。初期清掃スケジュールは、清掃セッション間に固定の同じ時間を有してもよく、したがって、2つの連続する清掃セッションごとに固定の時間になる可能性がある。構成することは、初期清掃スケジュールが実行すべき回数を設定することも含んでもよい。初期清掃スケジュールは、事前定義された経路に対する清掃スケジュールの適切な推定である可能性がある。
【0049】
方法は、事前定義された経路が選択された清浄度レベルに従って清掃されるように、またはその他の方法で十分に清掃されるように、清掃スケジュールを調整することを目的としている。ここで、十分に清掃するということは、事前定義された経路を清掃するための清浄度およびコストのバランスが取れていることを意味する。清掃スケジュールを調整できるようにするには、事前定義された経路内の物質量を示すデータが必要である。説明したように、スクレーパ装置10に対する負荷は、事前定義された経路内の物質量に依存する。したがって、負荷は、路地の汚れ度または清浄度を測定する単位として使用されてもよい。したがって、清掃セッションの実行中に負荷を監視することによって、事前定義された経路内の物質量を示すデータが取得される。最初に、初期清掃スケジュールが実行される可能性がある。次に、方法は、初期清掃スケジュールに従って清掃セッションを実行しながら、スクレーパ装置10によって移動された物質量を表す負荷量を監視することS2aを含む。最初の清掃セッションは、清掃スケジュールを調整するためのトレーニングデータ、つまり負荷量を提供する。方法は、各清掃セッション間に固定の時間を置いた初期清掃スケジュールを、複数回実行することを含んでもよい。初期清掃スケジュールは、各期間、例えば1日間の同時刻に開始されてもよい。したがって、初期清掃スケジュールを複数回実行することからのトレーニングデータを取得してもよい。清掃セッションの回数は、典型的には、事前定義された経路の十分な清掃を達成するための適切な推定であり、納屋内で現在使用されている清掃スケジュールにおいて使用される回数であってもよい。理解されているように、回数は納屋のサイズおよび納屋内の動物の数に大きく依存する。最初の清掃セッションからのこれらの負荷量データに基づいて、方法は、初期清掃スケジュールからの、監視された清掃セッション間における監視された負荷量の変動に基づいて、清掃スケジュールを調整することS5を含む。したがって、ステップS0~S1の後、方法は、初期清掃スケジュールに従ってスクレーパ装置10を動作させることによって開始し、その後、以下に説明するように、次の期間、例えば翌日の清掃スケジュールを調整してもよい。清掃スケジュールを実行すべき次の期間、例えば翌日、方法は、負荷量を監視しながら、調整された清掃スケジュールに従ってスクレーパ装置10を動作させることを含む。したがって、初期清掃スケジュールが実行され、調整された清掃スケジュールが推定された後、監視することS2は、調整された清掃スケジュールに従って清掃セッションを実行しながら、負荷量を監視することS2bを含む。調整された清掃スケジュールの清掃セッションからもデータが収集されると、方法は、監視された清掃セッション間における監視された負荷量の変動に基づいて、清掃スケジュールを調整することS5を含む。これらの監視された清掃セッションは、調整された清掃スケジュールに従って実行された清掃セッションを含むが、以前に実行された清掃スケジュールからの清掃セッションをも含んでもよい。いくつかの実施形態では、実行かつ監視され、データが使用される、新しい調整された清掃スケジュールごとに、最も古い実行された清掃スケジュールからのデータが破棄される。したがって、最初は初期清掃スケジュールが調整することに影響を与えることとなるが、しばらくすると失効となる。
【0050】
負荷量は、本明細書に記載されている負荷量のうちのいずれか1つであってもよい。監視することは、負荷センサを使用して負荷量を感知することを含む。監視することはまた、感知された負荷量の値をメモリ、例えば、制御装置8内のメモリ8b、または「クラウド」と呼ばれるリモートストレージ内に保存することを含んでもよい。このようにして、スクレーパ装置10に対する負荷が測定されている。その後、負荷はスクレーパ1の位置と相関してもよい。スクレーパ1の速度は所定であり、既知であるため、スクレーパ1の位置は、典型的には、速度、およびスクレーパ1が開始位置から動き始めてから経過した時間を使用して計算されてもよい。事前定義された経路が、事前定義された経路の最後に物質を置く場所3が1つしかない路地に沿っている場合、スクレーパ1内の物質量が最大であり、かつ物質がスクレーパ1から離れる直前である、所定の経路の最後で負荷量を測定すれば十分である。監視された負荷量は、時間および/または推定位置とともにデータベースに保存されてもよい。
【0051】
したがって、新しい調整された清掃スケジュールは、各実行された清掃スケジュールの後に、および/または1つ以上の最初に実行された清掃スケジュールの後に判定される可能性がある。したがって、スクレーパ1の将来のスケジューリングは、測定された負荷に基づいて適合される。この調整された清掃スケジュールは、次回、スクレーパ装置10が事前定義された経路を清掃するときに使用すべき清掃スケジュールである。変動は、例えば分散である。分散は、1日間の清掃セッションが互いにどのように異なるかの情報を提供する特徴である。分散の値が低いということは、事前定義された経路が実際に必要であるときに清掃されることを意味する。これにより、1日の全体的な清浄度が向上することとなる。言い換えれば、調整することS5は、個々の清掃セッション間における監視された負荷量の変動が低減されるように、清掃スケジュールを調整することを含む。方法は、例えば、監視された負荷量が高い(したがって、第1の所定の負荷量の値を超える)1つ以上の期間を識別することを含んでもよく、監視された負荷量が低い期間中(したがって、所定の第2の負荷量の値を下回り、第2の負荷量の値は第1の負荷量の値よりも低い)よりも、これらの期間中により頻繁に清掃してもよい。言い換えれば、いくつかの実施形態では、調整することS5は、1つの期間中に、清掃が、第1の平均負荷に対応する第1の時間間隔中に、第2の平均負荷に対応する第2の時間間隔中よりも頻繁に実行されるように、清掃スケジュールを調整することを含む。第1の平均負荷は、第2の平均負荷よりも大きい。したがって、平均負荷が高い期間に比べて平均負荷が低い期間と比較して、平均負荷が高い期間中に、より多くの清掃が実行されることとなる。期間は、同じ清掃スケジュールに含まれている。したがって、監視された負荷量の負荷間の変動を低減することができる。方法はまた、監視された負荷量に基づいて、個々の清掃セッションごとに蓄積された物質量を判定し、個々の清掃セッションの蓄積された物質量間の変動が低減するように、清掃スケジュールを調整することを含んでもよい。したがって、個々の清掃セッション間において監視される負荷量の変動が軽減される。いくつかの実施形態では、調整することS5は、監視された負荷量が、すべての清掃セッションの間、所定の負荷閾値を下回るか、または所定の負荷閾値にあるように、清掃スケジュールを調整することを含む。例えば、監視された負荷量が所定の負荷閾値を超えている場合は、事前定義された経路をより頻繁に清掃する必要がある。
【0052】
変動は、1つの期間内の異なる清掃セッション中に監視された負荷量間における変動を表してもよい。例えば、期間は1日間、例えば、24時間である。この期間は、複数の清掃セッションを含む。各清掃セッション中に、負荷量の少なくとも1つの測定値が取得され、これは典型的には、清掃セッション中のスクレーパ装置10に対する最大または平均負荷を表す。これらの値間の変動は、低減する場合がある。変動は、代替的には、またはさらに、異なる期間内の異なる清掃セッション中に監視された負荷量間における変動を表してもよい。例えば、期間は、複数の以前の日であってもよい。本明細書に記載の方法を使用することにより、異なる複数の日の間の異なる清掃セッション中に取得された負荷量の値間の変動が低減する可能性がある。その場合、変動は、複数の以前の期間、例えば数日間の平均変動を表してもよい。
【0053】
スクレーパ装置10の全体的な負荷に寄与するいくつかの要素は、牛の行動から独立しており、一定である(または非常にゆっくりと変化している)。これらは、事前定義された経路の長さ(路地の長さ)、スクレーパ装置10の種類、床の種類および表面品質、ならびにスクレーパ装置10の状態である。これらの要素は、オフセット負荷値として計算に導入されてもよい。
【0054】
したがって、監視された負荷量は、推定オフセット負荷、および移動された物質の量を表す可変負荷を含んでもよい。オフセット負荷を判定するために、いくつかの実施形態では、方法は、事前定義された経路が清浄であると判定される間に、スクレーパ装置10が事前定義された経路を清掃しているとき、1つ以上の較正セッション中に負荷量を監視することS2cを含む。したがって、較正セッション中、スクレーパ1は事前定義された経路に沿って動作させられ、その間、スクレーパ1は実質的には物質を含まない。したがって、物質の総量は所定の制限を下回る必要がある。例えば、較正セッションは、別の実行された清掃セッションの直後、または糞尿の放出が少ない夜間に実行してもよい。ユーザは、事前定義された経路が清浄であることを視覚的に確認し、制御装置に入力することによって手動で較正セッションを開始してもよい。較正セッション中に監視された負荷量は、スクレーパ装置10のオフセット負荷を示すこととなる。その後、方法は、1つ以上の較正セッション中に監視された負荷量に基づいて、オフセット負荷を推定することを含む。負荷は、較正セッション中は本質的に同じであるはずのため、オフセット負荷は、典型的には、較正セッション中のスクレーパ装置10の平均負荷、または個々の測定値である。したがって、オフセット負荷は、調整することS5において推定され、考慮され(例えば、除去され)てもよい。オフセット負荷は典型的には、それほど変動しない。ただし、1つ以上の較正セッションは、ある一定の間隔で、例えば、毎日、毎週、または毎月実行されてもよい。
【0055】
以下の例では、個々の清掃セッション間の変動がどのように低減される可能性があるのかを説明する。図6は、最上部の図に、セッションおよびセッションi-1の2つの実行された清掃セッションに対して監視された1つ以上の負荷量を示している。セッションは、時間i-1と時間との間のある時間に開始し、時間で終了した。セッションi-1は、時間i-2と時間i-1との間のある時間に開始し、時間i-1で終了した。清掃セッションごとに、監視された負荷量はオフセット負荷から開始し(清掃セッションの開始時にスクレーパが空であるため)、典型的には最大の取得された負荷量である、時間で取得された負荷量で終了する。説明したように、最大の取得された負荷量は、典型的には、清掃セッション中にスクレーパ1内に蓄積された物質がスクレーパ1から離れる直前に測定された負荷量であり、したがって、清掃セッション中の最大負荷を表すはずである。いくつかの実施形態では、この最大負荷が測定されることで十分である。最大負荷は、清掃セッション中に負荷量を監視することによって判定され、セッション中に監視された負荷量から最大負荷量を判定する場合がある。代替的には、負荷量は、清掃セッション中にスクレーパ1内に蓄積された物質がスクレーパ1を離れる直前に測定される。その場合、セッションからの最大負荷量は負荷である可能性があり、セッションi-1からの最大負荷量は負荷i-1である可能性がある。代替的には、スクレーパ1に対する負荷は、清掃経路の通過中の平均負荷、例えば、清掃経路の最後の5%の範囲、例えば、清掃経路の最後の1~2メートルの間に監視された負荷量の平均として判定される。代替的には、スクレーパ1に対する負荷は、全体の清掃セッション中の平均負荷が使用されるときに判定される。このように、スクレーパ1に対する平均負荷は、監視された負荷量から判定される。これは、スクレーパ1が不均一な摩擦にさらされ、スクレーパ1に対して高い瞬間的な負荷がかかる可能性がある場合に有益である。さらに代替的には、スクレーパに対する負荷は、期間にわたる負荷量を積分することによって判定してもよい(つまり、負荷量の平均値を計算し、スクレーパ1の全体的な負荷を表す)。理解されるように、平均は、平均の平均を計算し、中央値または最頻値を判定することによって判定されてもよい(最も頻繁に発生する値を判定する)。清掃セッションごとに、スクレーパによって除去された物質量に基づいて、物質蓄積率Accを計算してもよい。清掃セッション中、または清掃セッションの一部のうちの最大、または代替的には平均負荷は、前回の清掃セッションが終了してから放出された物質量を示す。この負荷を前回の清掃セッションが終了してからの時間で割ることにより、期間中の平均累積率を取得してもよい。したがって、この率は、前回のセッションi-1が終了してから、前回のセッションi-1の後に続いて実行された現在のセッションが終了するまでの期間に中の、平均して放出された物質/時間の量がどれだけかを表す。この平均物質蓄積率Accは、次のように判定してもよい。
【数1】

式中、負荷はセッション(またはセッションの一部)中の最大または平均負荷であり、オフセット負荷値は、最後に判定されたオフセット負荷であり、時間は、セッションが終了した時間であり、時間i-1は、前回のセッションi-1が終了した時間である。したがって、平均物質蓄積率Accは、各セッション中の負荷、およびセッション間の時間に基づいて計算される。平均物質蓄積率Accの単位は、例えば、ワット/時である。平均物質蓄積率Accの値は、典型的には、日中に変化する。また、異なる日にちにおける同じ期間に対して、異なる場合がある。
【0056】
個々の清掃セッションごとに計算された平均物質蓄積率Accは、図6の最下段の図に示されている。清掃スケジュールの期間中の物質蓄積率パターンAcc(t)は、清掃スケジュール中のすべての清掃セッションについて計算された物質蓄積率Accを使用して確立してもよい。言い換えれば、物質蓄積率パターンは、個々の清掃セッション中の推定物質蓄積率に基づいている。物質蓄積率パターンAcc(t)は、単に、図中に時間的に配置された、期間中における異なる計算された物質蓄積率Accである。こうして、清掃スケジュールが図6に示す2つの清掃セッションを含む場合、最下段の図は、この清掃スケジュールの物質蓄積率パターンを示している。したがって、物質蓄積率パターンAcc(t)は、清掃スケジュールの期間中に物質蓄積率が時間とともにどのように変化するかを示している。Acc(t)は、事前定義された経路に沿った糞尿の量がどれだけ速く増加しているかを示す関数でもある。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、監視された負荷量に基づいて、事前定義された経路に沿った物質蓄積率を表す物質蓄積率パターンを推定することS3を含む。よって、清掃スケジュールを調整することS5は、推定された物質蓄積率パターンに基づいている。
【0057】
実験は、物質蓄積率Accが日々変化することを示している。それでもやはり、毎日、特定の路地に対して固有の、同様の傾向を示している。データ、したがって以前の期間のうちの1つ以上からの、例えば数日間からの物質蓄積率Accまたは物質蓄積率パターンAcc(t)を使用して、次回の清掃セッションの、例えば翌日の予測された将来の物質蓄積率パターンAcc(t)を確立してもよい。言い換えれば、物質蓄積率パターンは、清掃セッションを伴う個々の期間中の推定物質蓄積率に基づいている。パターンを予測するために、機械学習アルゴリズムを使用してもよい。このようなアルゴリズムは、例えば、通常の平均化、単純移動平均、ナイーブ、または指数平滑法、または過去の数日間(例えば、4日間)の平均もしくは加重平均である。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、予測アルゴリズムを使用して、次回の清掃セッション、例えば翌日の物質蓄積率パターンを確立することを含む。そのような確立された物質蓄積率パターンAcc(t)の例は、図7の最下段の図に示されている。
【0058】
関数Acc(t)、したがって確立された物質蓄積率パターンAcc(t)に基づいて、時間x内のある一定の瞬間のスクレーパ1内に蓄積された物質の合計量A(x)を計算できる。関数Acc(t)をある一定の期間にわたって積分することにより、その特定の期間中にスクレーパ1内に蓄積された物質の総量を確立できる。したがって、蓄積された物質A(x)は、経時的な事前定義された経路に沿った予測物質蓄積率パターン、したがって、経時的な事前定義された経路に沿った将来の物質蓄積率を使用して計算してもよい。したがって、事前定義された経路に沿った予測物質蓄積率パターンにおける異なる予測物質蓄積率を使用して、蓄積された物質量A(x)を事前定義された経路に沿って連続的に計算できる。蓄積された物質A(x)は、図7の最上部の図に示されている。したがって、蓄積された物質A(x)の勾配は、関数Acc(t)の値に直接依存する。実際、ある一定の時間tにおける蓄積された物質A(x)の勾配は、同じ時間tにおいて予測された物質蓄積率パターンAcc(t)の値を表す。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、監視された負荷量に基づいて、事前定義された経路に沿った将来の物質蓄積率を予測することS4を含み、将来の物質蓄積率は、蓄積された物質A(x)の勾配である。次に、事前定義された経路に沿った予測された将来の物質蓄積率に基づいて、清掃スケジュールを調整S5してもよい。蓄積された物質A(x)が蓄積目標に到達すると、清掃セッションの開始時点が判定される。その後、スクレーパが空になると、蓄積された糞尿Aの総量は、オフセット負荷から再びやり直す。したがって、いくつかの実施形態では、清掃セッションを開始するタイミングは、蓄積された糞尿Aの総量が蓄積目標に到達する各時点として判定される。言い換えれば、調整することS5は、蓄積された物質パターンの蓄積された物質値が蓄積目標に到達する1つ以上の時点を予測することを含む。調整することS5はまた、清掃セッションのタイミングを、予測された1つ以上の時点に設定することを含む。したがって、次の期間、例えば翌日のための新しい調整された清掃スケジュールを確立することができる。新しい調整された清掃スケジュールは、清掃セッションが開始されるべき予測された時点を含む。例えば、清掃スケジュールは、1日のうちのスクレーパ装置10を動作させるタイミングを定義する。いくつかの実施形態では、蓄積された物質Aは、蓄積された糞尿と呼ばれてもよい。
【0059】
調整された新しい清掃スケジュールでは、スクレーパ装置10に対する負荷が蓄積目標を超えてはならないことが予測される。これにより、清掃セッションの負荷の変動が低減し、最適に除去されることとなる。次に、事前定義された経路内の物質量が蓄積目標に到達すると予測されたタイミングで、事前定義された経路が清掃されることとなる。しかしながら、実際には、最新の調整された清掃スケジュールが実行されると、各清掃セッションの物質量が再びわずかに変動する場合がある。したがって、これらの変動は、清掃スケジュールを新たに調整するときに考慮される。清掃サイクルを使用して、いくつかの以前の期間(例えば、数日)からデータを引き出すことにより、次回の清掃スケジュールをより正確に推定することができる。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の以前の期間中の清掃サイクルデータを考慮に入れてもよい。
【0060】
蓄積目標は、例えば、ユーザによって設定された所望の清浄度レベルから判定してもよい。例えば、蓄積目標は、事前定義された経路の清浄度、事前定義された経路を清掃するために必要とされるエネルギー量、動物妨害要因、スクレーパ装置10および/または家畜エリアの摩耗、のうちの少なくとも1つに基づいて判定される。事前定義された経路の清浄度は、例えば、事前定義された経路の所望の清浄度である。清掃セッションの回数が多いほど、清浄度が高くなる。エネルギー量は、例えば、清掃スケジュール中に経路を清掃するために必要な最大許容エネルギー量である。清掃セッションの回数が多いほど、より多くのエネルギー量が必要になる。しかしながら、清掃セッションの回数がより多いと、除去する物質量が少なくなるため、各清掃セッションの間で使用されるエネルギー量も低減する。したがって、清掃セッションの回数と使用されるエネルギー量との間のバランスを使用して、蓄積目標を判定してもよい。動物妨害要因は、例えば、最大の許容される動物妨害であり、ある期間中に許容される清掃サイクルの最大数として定義される。清掃セッションの回数が多いほど、動物がより妨害される可能性がある。スクレーパ装置10の摩耗は、ある期間中に許可された清掃セッションの最大数として判定された、スクレーパ装置10および/または家畜エリアの最大許容摩耗であってもよい。清掃セッションの回数が多いほど、スクレーパ装置10および/または家畜エリアにより多くの摩耗が引き起こされる可能性がある。例えば、スクレーパ1と事前定義された経路の床との間の摩擦により、スクレーパ1および床の両方が摩耗する可能性がある。これらの要因のうちのいずれかにより、期間中に実行できる清掃セッションの回数に下限および/または上限を付けてもよい。いくつかの実施形態では、蓄積目標は、前述の所定の負荷閾値に対応する。
【0061】
方法の結果は、スクレーパ装置10に対する負荷の「平坦化」である。図8は、最上部の図に、従来の清掃スケジュールを使用して、本明細書で説明する方法なしで確立された清掃スケジュールを使用して取得された、監視された負荷量の近似曲線を示している。図8の最下段の図は、本明細書で説明する方法に従って実行された清掃セッション中に監視された負荷量の近似曲線を示している。両方の図は、同じ時間スケールおよび同じセッション負荷スケールを有している。見て分かるように、最下段の図の各清掃セッションの個々の負荷量間における変動は、最上段の図の各清掃セッションの負荷量間の変動よりも小さくなっている。
【0062】
1つの非限定的な例示的な例では、ユーザは、納屋内のスクレーパ装置10の清掃スケジュールを調整したいと考えている。ユーザは、制御装置8に入力を行うことによって、例えば、ユーザの携帯電話またはコンピュータなどのリモートインターフェース(図示せず)上で「清掃スケジュールの調整」を選択することにより、清掃スケジュールを調整する手順を開始する。
【0063】
ユーザは、バランスの取れた清浄度レベルを望んでいる。ユーザは、リモートインターフェースを介して制御装置8に入力を行い、所望の清浄度レベルを要求する。したがって、制御装置8は、所望の清浄度レベルを示すユーザ入力を取得S0する。初期清掃スケジュールは、異なる個々の清掃セッション間において同じ固定の時間間隔を有する10の異なる個々の清掃セッションを含んでいた。初期清掃スケジュールは1日間の期間を有する。ここで、初期清掃スケジュールは、制御装置8に事前に設定されており、清掃スケジュールを調整する手順は、ユーザが清浄度レベルを入力した後、制御装置8によって自動的に開始および実行される。初期清掃スケジュールは複数日間実行される。この例では、清掃スケジュールは4日間で、1日1回実行される。また、毎日同じ時刻に開始する。こうして、毎日10回の清掃セッションが実行される。負荷量は、初期清掃スケジュール中に実行される清掃セッション中に監視S2aされる。負荷センサ9は、前もって(制御信号に干渉することなく)電源ライン上の駆動ユニット7のモータを制御するモータコントローラ(図示せず)の内部に設置されていた。モータコントローラは、例えば、可変周波数ドライブ(VFD)コントローラである。この負荷センサは、モータに対する負荷、ここではモータに供給される電力を監視する。データはクラウドに格納される。したがって、制御装置8は、ここでは「クラウド」と呼ばれるリモートストレージと通信するように構成されている。実行された各清掃スケジュールにより、その日の物質蓄積率パターンが生じる。予測された物質蓄積率パターンは、過去4日間の清掃セッション中に収集されたデータを使用して推定S3される。この例では、過去4日間のデータを使用して予測された物質蓄積率パターンは、単純移動平均を使用して推定された。次に、過去4日間の予測された物質蓄積率パターンを使用して、事前定義された経路に沿った将来の物質蓄積率を予測する。将来の物質蓄積率に応じて蓄積された物質が蓄積目標に到達すると、清掃セッションの時点が確立される。次に、蓄積された物質が除去されることとなり、蓄積された量が再びベースライン、例えば、オフセット負荷レベルから開始することが分かる。予測された物質蓄積率パターン全体の清掃セッションのタイミングが判定された後、翌日に使用できる新しい調整された清掃スケジュールS5が判定された。
【0064】
翌日、調整された清掃スケジュールが実行される。次に、調整されたスケジュールに従って清掃セッションを実行している間、負荷量が監視S2bされる。その後、ステップS5(および任意選択でステップS3~S4)が、4つの最新の清掃スケジュール中に実行された清掃セッションの監視データを使用して繰り返される。したがって、この場合、3つの最新の実行された初期清掃スケジュールのデータに加え、実行された、調整された清掃スケジュールのデータが使用される。翌日、2つの最新の実行された初期清掃スケジュールのデータに加え、2つの最新の実行された、調整された清掃スケジュールのデータが使用される、などとなる。したがって、最新のデータが使用されることとなる。
【0065】
このように、清掃スケジュールは、毎日の監視データの変動に合わせて調整されてもよい。方法は、多かれ少なかれ自動的に実行されてもよい。いくつかの実施形態では、所望の清浄度レベルを事前に決定してもよい。さらに、方法は完全に自動的に実行されてもよい。方法は自動的に清掃スケジュールを作成するため、ユーザは清掃スケジュールを手動で作成または適応させる必要はない。したがって、プロセスは、電力消費、機械の摩耗、保守およびサービス時間、動物福祉、安全性、のうちの1つ以上に関して改善される可能性がある。
【0066】
本開示はまた、スクレーパ装置の清掃セッションの清掃スケジュールを調整する制御装置8に関する。スクレーパ装置は、例えば、前述のようなスクレーパ装置である。制御装置8は、清掃スケジュールに従って清掃セッションを実行している間、スクレーパ装置10によって移動された物質量を表す負荷量を監視するように構成されている。制御装置8は、負荷量を監視するために、説明された負荷センサ9のうちのいくつかを使用する。制御装置8はまた、監視された清掃セッション間における監視された負荷量の変動に基づいて、清掃スケジュールを調整するよう構成されている。制御装置8は、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかによる方法を実行するように構成されてもよい。制御装置8は、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を実行するための命令を含むコンピュータプログラム製品をその上に格納したメモリ、したがってコンピュータ可読データキャリアを含んでもよい。
【0067】
本開示はまた、事前定義された経路に沿って物質を除去するように配置されたスクレーパ1を備える、スクレーパ装置10に関する。スクレーパ装置10は、負荷量を監視するために配置された負荷センサ9、および制御装置8を備える。スクレーパ装置10は、本明細書に記載されているようなスクレーパ装置のうちのいずれかであってもよい。例えば、図8図10には、複数の代替的なスクレーパ装置10が示されている。スクレーパ装置10はすべてチェーン駆動で動作させられる。スクレーパ装置10は、すべて1つの路地上で動作させられた、図1図3に示す前の例と比較して、すべて2つ以上の路地上で動作させられる。ただし、原理は同じであるため、方法は、2つ以上の路地を含む事前定義された経路上でも使用してもよい。図9では、スクレーパ装置10は、同じ長さの2つの等しい路地を清掃するために配置されている。駆動ユニット15は、コーナーホイール13を介して、チェーン12の連続ループを、チェーン12に取り付けられたスクレーパ1のスクレーパブレード11に引っ張る。駆動ユニット15は、電気制御デバイス14を備える制御装置によって制御される。スクレーパ装置10は、異なるレイアウトに適合するように様々な構成で組み立てられてもよい。スクレーパブレード11は、異なる条件に対応するために変更してもよい。図10では、異なる長さの路地を清掃するためにスクレーパ装置10が配置されている。路地の長さが等しくない場合、より短い距離を走行しなければならないスクレーパブレード11を、スライダースレッド16と呼ばれる特別な牽引キットに取り付けてもよい。チェーンは床に埋め込まれている場合もあれば、床上または床の上方にある場合もある。図11では、4つの路地を清掃するためにスクレーパ装置10が配置されている。このように、路地の数は異なる場合がある。しかしながら、制限がある場合があり、例えば、チェーンの長さは最大許容チェーン長を超えてはならない。
【0068】
本開示は、上記の好ましい実施形態に限定されない。様々な代替例、変更例、および同等のものを使用してもよい。したがって、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
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