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特許7583804新規の濾過材料を有するエアロゾル発生物品フィルター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】新規の濾過材料を有するエアロゾル発生物品フィルター
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/14 20060101AFI20241107BHJP
   A24D 3/10 20060101ALI20241107BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20241107BHJP
【FI】
A24D3/14
A24D3/10
A24D3/17
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022533080
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2020083971
(87)【国際公開番号】W WO2021110602
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】19386048.3
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】パパキリロー ステファノス
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/096783(US,A1)
【文献】国際公開第2017/036588(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/14
A24D 3/10
A24D 3/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
エアロゾル発生基体と、
前記エアロゾル発生基体と軸方向に整列したフィルターであって、前記フィルターが、ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む複数の繊維から形成された少なくとも一つの濾過材料のフィルターセグメントを含み、前記繊維が1.5~2.7の単繊維当たりデニール(dpf)を有し、前記繊維の合計デニールが25,000~40,000であり、前記少なくとも一つのフィルターセグメントが、少なくとも20重量パーセントの前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む、フィルターと、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維が、円形の断面形状を有し、前記フィルターセグメント内に0.15平方メートル/グラム~0.3平方メートル/グラムの総外表面積を提供する、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維が、Y型の断面形状を有し、前記フィルターセグメント内に0.3平方メートル/グラム~0.55平方メートル/グラムの総外表面積を提供する、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記濾過材料が、少なくとも一つの追加の生分解性ポリマーの、複数の繊維をさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維を含む前記フィルターセグメントの引き出し抵抗(RTD)が、150ミリメートルH2O~約250ミリメートルH2Oである、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維を含む前記フィルターセグメントが、ISO14851に従って試験された場合、水性媒体中で少なくとも50パーセントの生分解性を有する、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維を含む前記フィルターセグメントが、少なくとも5重量パーセントのポリエチレングリコールをさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維を含む前記フィルターセグメントが、少なくとも80パーセントの平均半径方向硬度を有する、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維を含む前記フィルターセグメントが、少なくとも100グラム/平方メートル(gsm)の坪量を有するラッパーによって囲まれている、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維を含む前記フィルターセグメントが、中空の管状要素の形態である、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記エアロゾル発生基体が、少なくとも30ミリメートルの長さを有するたばこのロッドである、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
エアロゾル発生物品用のフィルターであって、前記フィルターが、ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む複数の繊維から形成される濾過材料のフィルターセグメントを少なくとも一つ含み、前記繊維が、1.5デニール~2.7デニールの単繊維当たりデニール(dpf)を有し、前記繊維の合計デニールが25,000~40,000であり、前記少なくとも一つのフィルターセグメントが、少なくとも20重量パーセントの前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む、フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品のためのフィルターに関し、およびフィルターを備えるエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルター付き紙巻たばこなどの従来のエアロゾル発生物品は典型的に、紙ラッパーによって包囲されたたばこカットフィラーの円筒状のロッドと、巻かれたたばこロッドとほとんどの場合端と端とが当接する関係で軸方向に整列した円筒状のフィルターとを備える。円筒状のフィルターは典型的に、紙プラグラップによって囲まれたセルロースアセテートトウなどの繊維質の濾過材料の一つ以上のプラグを備える。従来、巻かれたたばこロッドおよびフィルターは、フィルターの長さ全体および巻かれたたばこロッドの隣接部分を囲む、通常は不透明の紙材料から形成されたチッピングラッパーの帯によって結合される。
【0003】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品もまた、当業界で周知である。典型的には、こうした物品では、エアロゾルは熱源から物理的に別個のエアロゾル発生基体または材料への熱伝達によって発生される。
【0004】
一例として、エアロゾル発生物品が提案されており、エアロゾルは、エアロゾル発生基体の電気加熱によって生成される。数多くの先行技術文書は、エアロゾル発生物品を消費するためのエアロゾル発生装置を開示している。こうした装置としては、例えばエアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式のエアロゾル発生装置が挙げられる。別の例としては、エアロゾルが、可燃性燃料要素または熱源からエアロゾル発生基体への熱の伝達によって生成されるエアロゾル発生物品もまた周知である。可燃性燃料要素または熱源は、エアロゾル発生基体に接触して、エアロゾル発生基体の中に、エアロゾル発生基体の周りに、またはエアロゾル発生基体の下流に位置してもよい。
【0005】
このようなエアロゾル発生物品の一つの使用中、揮発性化合物は、熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して吸い込まれた空気中に同伴される。放出された化合物は冷えるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0006】
典型的には、記載されるタイプのエアロゾル発生物品は、セルロースアセテートなどの多孔性濾過材料を含むマウスピースを含み得る。一部の公知のエアロゾル発生物品では、エアロゾル発生基体と物品の口側端との間の場所に、セルロースアセテートなどの濾過材料から形成される中空管状セグメントが提供され、物品に構造強度を付与する。
【0007】
最も一般的に使用される濾過材料であるセルロースアセテートは、比較的高い濾過効率を提供し得、セルロースアセテートトウのフィルターは、エアロゾル発生基体から生成される主流煙の効果的な濾過を提供する。しかしながら、セルロースアセテートは、主流煙からの水を比較的高いレベルで吸収し、閉じ込めることも見出されている。そのため、消費者に届けられる主流煙は水分含有量が大幅に減少し、特定の条件下では、好ましくない「乾燥」と受け取られる可能性がある。これは、全体的な喫煙体験に悪影響を及ぼし得る。
【0008】
セルロースアセテートおよび他の多くの一般的に使用される濾過材料は、高度に生分解性ではない。しかしながら、代替的な分散性または分解性の材料は、消費者に許容可能な濾過効率および喫煙体験を提供することができないことが多い。さらに、多くの周知の分散性および分解性材料が、既存の製造プロセスでの使用に適しておらず、そしてそれらの使用を商業的に実現可能にするためには、既存の方法および設備の過度に大幅な修正が必要となることになる。
【0009】
セルロースアセテートなどの従来的な濾過材料を含む公知の物品と比較して、生分解特性が強化された、新規かつ改善されたエアロゾル発生物品を提供することが望ましいであろう。特に、例えば、上述のように、濾過材料としてセルロースアセテートを含む物品でしばしば見られる、「乾燥」煙効果を低減することができる、消費者が許容可能な喫煙の体験を提供することができる新規のエアロゾル発生物品を提供することが特に望ましいであろう。濾過材料セグメントの引き出し抵抗(RTD)が、物品の全体としての許容可能なRTDを達成するために調整され得るような、こうしたエアロゾル発生物品の一つを提供することが望ましいであろう。さらに、既存の設備の大きな修正を必要とせずに、自動的かつ高速の製造プロセスにおいて効率的に製造され得る、こうしたエアロゾル発生物品を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、加熱および燃焼に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品に関する。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、ロッドと軸方向で整列したフィルターセグメントと、を備え得る。フィルターセグメントは、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)化合物を含む複数の繊維から形成される濾過材料を含み得る。PHA化合物の繊維は、1.5~3.2の単繊維当たりデニール(dpf)を有してもよい。
【0011】
さらに、本開示は、エアロゾル発生物品用のフィルターに関する。フィルターは、濾過材料のフィルターセグメントを少なくとも一つ含んでもよい。フィルターセグメントは、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)化合物を含む複数の繊維から形成される濾過材料を含み得る。PHA化合物の繊維は、1.5~3.2の単繊維当たりデニール(dpf)を有してもよい。
【0012】
本発明によれば、エアロゾル発生基体と、エアロゾル発生基体と軸方向で整列したフィルターとを含むエアロゾル発生物品が提供され、フィルターは、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)化合物を含む複数の繊維を含む濾過材料のフィルターセグメントを少なくとも一つ含む。繊維の単繊維当たりデニール(dpf)は約1.5~約3.2である。
【0013】
本発明によれば、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)化合物を含む複数の繊維を含む濾過材料のフィルターセグメントを少なくとも一つ含むフィルターがさらに提供される。繊維の単繊維当たりデニール(dpf)は約1.5~約3.2である。
【0014】
「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾル発生基体が加熱、または燃焼されて、エアロゾルを生成して消費者に送達する物品を記述するために、本発明に関して本明細書で使用される。本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱または燃焼に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する基体を意味する。
【0015】
従来の紙巻たばこは、ユーザーが紙巻たばこの一方の端に炎を当てて、もう一方の端を通して空気を吸い込む時に点火される。炎によって提供された局在化した熱と、紙巻たばこを通して吸い込まれた空気中の酸素とが、紙巻たばこの端部を点火させて、その結果生じる燃焼は吸入可能な煙を発生する。これに反して、加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは、例えば、たばこ由来の基体、またはエアロゾル形成体および風味剤を含有する基体などの風味発生基体を加熱することによって発生する。周知の加熱式エアロゾル発生物品としては、例えば電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源から、物理的に分離されたエアロゾル形成材料への熱伝達によってエアロゾルが発生するエアロゾル発生物品とが挙げられる。
【0016】
本発明のフィルターは、煙を生成するために使用中にエアロゾル発生基体が燃焼される、従来的な喫煙物品における特定の適用を見出す。しかしながら、本発明のフィルターは、上述のように、使用中に適切な手段によって加熱式エアロゾル発生基体を有する加熱式エアロゾル発生物品のフィルターまたはマウスピースとしての使用にも適している。
【0017】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱(燃焼を含む)されると、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を記述する。エアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、見えても見えなくてもよく、ベイパー(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の気体状の微粒子)、ならびに凝縮されたベイパーの気体および液滴を含んでもよい。本明細書で使用される「エアロゾル」という用語は、加熱式エアロゾル発生物品内の基体の加熱時に生成されるエアロゾル、および燃焼性喫煙物品内の基体の燃焼時に生成される煙を包含する。
【0018】
上記で定義されるように、本発明は、エアロゾル発生物品用のフィルターを提供し、フィルターは、約1.5~3.2の範囲内の単繊維当たりデニール値を有するPHA化合物の複数の繊維を含む少なくとも一つのフィルターセグメントを含む。PHA化合物を含む繊維は、以下、“PHA繊維”と称される。複数のPHA繊維を含むフィルターセグメントは、以下、「PHAフィルターセグメント」と称される。
【0019】
PHAは、3-、4-、5-、および6-ヒドロキシアルカン酸のポリヒドロキシエステルのファミリーであり、過剰な炭素を有する栄養制限条件下で、様々な細菌種によって産生され、細菌細胞内の別個の細胞質内封入体として見出される。PHA分子は、典型的には、600~35,000(R)-ヒドロキシ脂肪酸単量体単位からなる。PHA単量体内の炭素原子の総数に応じて、PHAは、短鎖長PHA(scl-PHA;3~5個の炭素原子)、中鎖長PHA(mcl-PHA;6~14個の炭素原子)、または長鎖長PHA(lcl-PHA;15個以上の炭素原子)のいずれかに分類することができる。
【0020】
PHA繊維は、同等の重量の、セルロースアセテートなどの他の濾過材料の繊維と比較して、親水性が低い。したがって、本発明のエアロゾル発生物品では、フィルターセグメントは、使用中にエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルから水/蒸気を吸収する傾向が著しく低いことが見出されている。結果として、エアロゾル中の水のレベルは有利に、より高いレベルに維持され得る。これは、従来の喫煙物品でよく生じる「乾燥煙」の問題に直接対処し、消費者に改善された喫煙体験を提供する。
【0021】
PHA繊維は、セルロースアセテートなどの他の濾過材料の繊維と比較して、はるかに高いレベルの生分解性を有するため、本発明による物品は全体としてより高い生分解性を有する。同時に、PHA繊維は、天然の発酵プロセスによって得られるため、本発明によるエアロゾル発生物品はまた、製造プロセスに対して改善された持続可能性を提供する。
【0022】
低い範囲のdpfはまた、有利なことに、フィルターセグメントの全体的な重量を減少させ、エアロゾル発生物品の生分解性をさらに大幅に改善する。
【0023】
本発明によれば、フィルターセグメントは、約1.5~約3.2の比較的低い単繊維当たりデニール(dpf)を有するPHA繊維で形成される。しかしながら、PHA繊維は、特定のフィルターの設計に望ましい場合がある、比較的高い引き出し抵抗(RTD)を提供するように形成され得る。例えば、比較的高い濾過効率が好ましい可燃性の喫煙物品では、高い値のRTDが望ましい場合がある。別の方法として、比較的短いフィルターセグメントが好ましい場合が望ましい場合がある。
【0024】
PHA繊維で形成されたフィルターはまた、良好なフィルター硬度を提供することが見出され、これは、フィルターセグメントを硬いプラグラップで囲むことによってさらに強化され得る。
【0025】
フィルター内の個々のPHA繊維の平均デニールに対応する単繊維当たりデニールは約1.5~約3.2である。用語「単繊維当たりデニール」(dpf)は、9000メートルの長さを有する単一の繊維またはフィラメントのグラムでの重量に相当する。したがって、本発明では、dpfの値は、フィルターセグメント内の個々のPHA繊維の各々の厚さを示す。単繊維当たりデニールはデニールの単位で表され、1デニールは9000メートル当たり1グラムに相当する。PHAフィルター
【0026】
したがって、PHA繊維の単繊維当たりデニール(dpf)は、少なくとも約1.5であることが好ましい。好ましくは、dpfは、少なくとも約1.6、より好ましくは少なくとも約1.7、より好ましくは少なくとも約1.8、より好ましくは少なくとも約1.9、より好ましくは少なくとも約2.0である。
【0027】
PHA繊維の単繊維当たりデニール(dpf)は、加えて、約3.2以下である。好ましくは、dpfは、約3.1以下、より好ましくは約3.0以下、より好ましくは約2.9以下、より好ましくは約2.8以下、より好ましくは約2.7以下である。
【0028】
一部の実施形態では、単繊維当たりデニールは、約1.6~約3.1、または約1.7~約3.0、または約1.8~約2.9、または約1.9~約2.8、または約2.0~約2.7であってもよい。
【0029】
他の実施形態では、単繊維当たりデニールは、約1.5~約2.0、または約1.5~約1.9、または約1.5~約1.8であってもよい。
【0030】
他の実施形態では、単繊維当たりデニールは、約2.0~約3.2、または約2.2~約3.0、または約2.4~約3.0、または約2.6~約2.8であってもよい。 好ましくは、PHA繊維を含む濾過材料の合計デニールは、約20,000~約50,000、より好ましくは約25,000~約40,000である。濾過材料の「合計デニール」は、濾過材料を形成する組み合わせられた繊維9000メートルの総重量をグラムで定義する。したがって、フィルターセグメントの合計デニールは、単繊維当たりデニールに、フィルターセグメント内の繊維の総数を乗じたものに相当する。
【0031】
PHA繊維の横断断面形状は、例えば、フィルター内の繊維の外表面積を制御するために変化しうる。PHA繊維の外表面積を制御することによって、エアロゾルがフィルターセグメントを通過する際に、それに曝露されるPHA繊維の総表面積も制御されうる。これにより、次に、例えば、繊維によって吸収される水の量など、PHA繊維の濾過特性をある程度制御するであろう。
【0032】
フィルターセグメント内のPHA繊維の総外表面積は、好ましくは、約0.15平方メートル/グラム~約0.55平方メートル/グラムで、より好ましくは、約0.2平方メートル/グラム~約0.5平方メートル/グラムで、より好ましくは、約0.25平方メートル/グラム~約0.45平方メートル/グラムである。
【0033】
PHA繊維は、実質的に丸い断面を有してもよい。このような実施形態では、フィルターセグメント内のPHA繊維の総外表面積は、好ましくは、約0.15平方メートル/グラム~約0.30平方メートル/グラムである。
【0034】
PHA繊維は、Y字型の断面を有してもよい。このような実施形態では、フィルターセグメント内のPHA繊維の総外表面積は、好ましくは、約0.25平方メートル/グラム~約0.55平方メートル/グラムである。
【0035】
本発明によるエアロゾル発生物品のフィルター内に提供されるPHA繊維は、PHAポリマーまたはコポリマーを含む、任意の適切なPHA化合物で形成され得る。適切なPHA化合物としては、限定されるものではないが、ポリヒドロキシプロピオネート、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシヘキサノエート、およびポリヒドロキシオクタノエートが挙げられる。特に好ましい実施形態では、PHA化合物は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)である。
【0036】
PHAフィルターセグメントは、好ましくは、少なくとも約5重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは、少なくとも約10重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは、少なくとも約20重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは、少なくとも約30重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは、少なくとも約40重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは、少なくとも約50重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは、少なくとも約60重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは、少なくとも約70重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは、少なくとも約80重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは、少なくとも約90重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは、少なくとも約95重量パーセントのPHA繊維、を含む。
【0037】
PHAフィルターセグメント内の残りの繊維は、任意の適切な材料を含んでもよい。適切な繊維質材料は、当業者に既知であり、ポリ乳酸(PLA)およびセルロースアセテートを含むが、これらに限定されない。
【0038】
したがって、PHAフィルターセグメントは、比較的高レベルのPHA繊維で形成される。これにより、フィルターおよびエアロゾル発生物品全体の生分解性が強化される。上述のように、許容可能な濾過特性を提供する、分解性ポリマーの割合が高いフィルターセグメントを形成することは、技術的に困難であることが以前に見出されている。しかしながら、発明者らは驚くべきことに、比較的高いレベルのPHA繊維を組み入れる、濾過効率および引き出し抵抗などの濾過特性を望ましいレベルで提供するフィルターセグメントを製造することが可能であることを見出した。
【0039】
本発明によるフィルターのPHA繊維は、任意の適切な方法を使用して製造され得る。PHA繊維の製造のための適切な技術は、当業者に既知であり、限定されるものではないが、融解紡糸、ゲルスピニング、およびエレクトロスピニングを含む。好ましくは、PHA繊維は融解紡糸によって生産される。融解紡糸は、溶媒を回収または蒸発させる必要がないため、多くの場合、最も経済的にスピニングを行うプロセスとみなされ、溶液紡糸とは対照的である。さらに、融解紡糸によるスピニング速度は概してかなり高く、これは全体的な生産性および製造効率の点で有利である。
【0040】
PHA繊維は、随意に、既存のフィルターセグメントにおけるセルロースアセテート繊維と同じ方法で、捲縮されてもよい。
【0041】
PHAフィルターセグメントは、PHA繊維のみで形成される繊維質の濾過材料から形成されてもよい。しかしながら、本発明の特定の好ましい実施形態では、PHA繊維は、追加の生分解性ポリマーの複数の繊維と組み合わされて、フィルターセグメントを形成してもよい。例えば、フィルターセグメントは、好ましくは、デンプン、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレートアジペートテレフタレート(PBAT)、熱可塑性デンプンおよび熱可塑性デンプンブレンド(TPS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコライド(PGA)、ポリビニルアルコール(PVOH/PVA)、ビスコース、再生セルロース、多糖類、2.1未満の置換度(DS)を有するセルロースアセテート、ポリアミド、タンパク質系バイオポリマー、キトサン-キチン系バイオポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの生分解性ポリマーの少なくとも約5重量パーセントを含む。
【0042】
好ましい実施形態では、PHAフィルターセグメントは、少なくとも約10重量パーセントのこうした追加の生分解性ポリマーの一つを含む。より好ましくは、PHAフィルターセグメントは、少なくとも約11重量パーセント、または少なくとも12重量パーセント、または少なくとも13重量パーセント、または少なくとも14重量パーセントの追加の生分解性ポリマーを含む。なおより好ましくは、PHAフィルターセグメントは、少なくとも約15重量パーセントのこうした追加の生分解性ポリマーの一つを含む。
【0043】
発明者らは、フィルターセグメントの繊維性材料が形成されるブレンドにこれらの成分のうちの一つ以上を含むことが、フィルターセグメントおよびエアロゾル発生物品全体の生分解性の強化にさらに寄与することを発見した。
【0044】
さらに、既存の技術および装置を使用してPHA含有フィラメントまたは繊維を製造することは技術的に困難であることが以前に見出されてきたが、発明者らは驚くべきことに、PHAが上述のようにブレンドで組み合わされた場合は、紡糸技術によってフィラメントを形成することがより容易になるため、高いレベルのPHAを組み込んだフィラメントまたは繊維を製造できることを発見した。
【0045】
特に好ましい実施形態では、少なくとも一つの生分解性ポリマーは、PBAT、PCLおよびPBSのうちの一つ以上である。理論に拘束されることを意図するものではないが、発明者らは、これらの選択された生分解性ポリマーのうちの一つ以上の使用が、ポリマー混合物の機械的、熱的、および形態学的特性の改善に寄与することを発見した。特に、PBATとPBSを組み合わせて使用することは、特に引張強度および伸長に関して、特にバランスのとれた機械的特性を提供することが判明している。
【0046】
PHA繊維は、PHA化合物のみで、またはポリ乳酸(PLA)などの一つ以上の他のポリマーと組み合わせて形成されてもよい。したがって、PHA繊維は、PHA化合物を含むポリマーのブレンドから形成される。
【0047】
PHAフィルターセグメントは、好ましくは、少なくとも約5重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは、少なくとも約10重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは、少なくとも約20重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは、少なくとも約30重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは、少なくとも約40重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは、少なくとも約50重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは、少なくとも約60重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは、少なくとも約70重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは、少なくとも約80重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは、少なくとも約90重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは、少なくとも約95重量パーセントのPHA化合物、を含む。
【0048】
本発明によるエアロゾル発生物品のPHAフィルターセグメントは、エアロゾル発生基体から生成されるエアロゾル中の特定の煙成分を低減するための添加剤をさらに備えることが好ましい。例えば、PHAフィルターセグメントは、フェノールおよびフェノール誘導体の低減のための添加剤をさらに含むことが好ましい。好適な添加物は、当業者に周知であり、以下に限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、トリアセチン、クエン酸トリエチル、セルロースアセテートフレーク、またはこれらの組み合わせを含む。
【0049】
フィルターセグメントは、約3重量パーセント~約15重量パーセントの添加剤を含むことが好ましく、約5重量パーセント~9重量パーセントの添加剤を含むことがより好ましい。
【0050】
本発明の特定の好ましい実施形態では、PHAフィルターセグメントは、PEG400などのポリエチレングリコールを含む。PHA繊維と、エアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルからのフェノール化合物の減少のための、PEGなどの添加剤との組み合わせは、特に効果的であることが見出されている。PHA繊維は一般的に望ましくない煙成分に対して良好な濾過効率を提供するが、フェノール化合物の除去ではあまり効果的ではない。エアロゾル発生基体から生成されるエアロゾル中のフェノール化合物のレベルを特異的に低減する化合物を組み込むことによって、PHA繊維を含む本発明によるフィルターの濾過能力をさらに最適化することが可能である。これにより、消費者に送達されるエアロゾルの知覚特性が改善される。
【0051】
特に好ましい実施形態では、PHAフィルターセグメントは、濾過材料の総重量に基づいて、少なくとも約5重量パーセントのポリエチレングリコールをさらに含む。好ましくは、フィルターセグメントは、濾過材料の総重量に基づいて、10重量パーセント以下のポリエチレングリコールを含む。
【0052】
本発明の他の好ましい実施形態では、PHAフィルターセグメントは、セルロースアセテートとトリアセチンとの混合物をさらに含む。好ましくは、混合物は、少なくとも90重量パーセントのトリアセチンと、最大10重量パーセントのセルロースアセテートとを含む。混合物は、トリアセチンにセルロースアセテートフレークを加えて溶液を形成することによって形成され得る。次いで、溶液を、PHAフィルターセグメント内のPHA繊維上に噴霧してもよい。この組み合わせは、従来の紙巻たばこのフィルターにおけるトリアセチンおよびセルロースアセテート繊維の組み合わせ効果を、有利に複製することが見出された。
【0053】
上述のように、PHA繊維は、水に対するPHA繊維の親和性が低いため、同等の量のセルロースアセテート繊維よりも、エアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルから水を吸収することが少ないことが見出された。以下の実施例で示されるように、PHAフィルターセグメントによって吸収される水の量は、同等の重量のセルロースアセテート繊維で形成される比較フィルターセグメントによって吸収される水の量よりも有意に低い。
【0054】
例えば、液体形態の水に曝露された場合、本発明のPHAフィルターセグメントは、セルロースアセテート繊維から形成される等価のフィルターセグメントによって同じ条件下で吸収される水の量の半分未満しか吸収しないことが好ましい。
【0055】
セルロースアセテートと比較した、本発明のフィルターにおけるPHA繊維による水の吸収の減少は、使用中にエアロゾル発生物品から送達されるエアロゾル中のより高レベルの水をもたらす。
【0056】
例えば、ISO条件下でのPHA繊維を用いた本発明によるフィルターを含む燃焼性喫煙物品の喫煙中に収集されるエアロゾル中の水分量は、同じ条件下でのセルロースアセテートトウのフィルターセグメントを有する同等の燃焼性喫煙物品の喫煙中に収集されるエアロゾル中の水分量よりも少なくとも10パーセント高く、好ましくは少なくとも15パーセント高かった。
【0057】
PHAフィルターセグメントを含むフィルターを含むエアロゾル発生物品は、したがって、より高い水分レベルを有するエアロゾルを送達することができ、これは消費者により知覚的に許容される。特に、従来的なセルロースアセテートフィルターを用いたエアロゾル発生物品の喫煙中に経験され得る「乾燥煙」効果は、有利に低減され得る。
【0058】
本発明によるエアロゾル発生物品のPHAフィルターセグメントは、所望のレベルの引き出し抵抗(RTD)を提供するために適合され得る。有利なことに、PHA繊維は、比較的高いRTDをPHAフィルターセグメントに提供するように配置され得る。したがって、PHAフィルターセグメントは、比較的高いRTDが典型的には望ましい可燃性喫煙物品のフィルターでの使用に特に好適である。別の方法として、許容可能なRTDが依然として提供され得るため、PHAフィルターセグメントは、比較的短いマウスピースまたはフィルターが好ましいエアロゾル発生物品に特に好適であり得る。
【0059】
好ましくは、本発明によるエアロゾル発生物品では、27ミリメートルのフィルターセグメント用のPHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約25ミリメートルH2Oである。より好ましくは、27ミリメートルのフィルターセグメント用のPHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約50ミリメートルH2Oであり、より好ましくは少なくとも約100ミリメートルH2Oである。なおより好ましくは、本発明によるエアロゾル発生物品では、27ミリメートルのフィルターセグメント用のPHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約150ミリメートルH2Oであり、より好ましくは少なくとも約180ミリメートルH2Oである。27ミリメートルのフィルターセグメント用のPHAフィルターセグメントのRTDは、好ましくは、約300ミリメートルH2O以下、より好ましくは、250ミリメートルH2O以下である。例えば、27ミリメートルのフィルターセグメント用のPHAフィルターセグメントのRTDは、約25ミリメートルH2O~約300ミリメートルH2O、または約50ミリメートルH2O~約300ミリメートルH2O、または約100ミリメートルH2O~約250ミリメートルH2O、または約150ミリメートルH2O~約250ミリメートルH2O、または約180ミリメートルH2O~約250ミリメートルH2O、または約200ミリメートルH2Oであり得る。
【0060】
好ましくは、本発明によるエアロゾル発生物品では、PHAフィルターセグメントのRTD(物品中のPHAフィルターセグメントの長さに基づく)は、少なくとも約25ミリメートルH2Oである。より好ましくは、PHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約50ミリメートルH2Oであり、より好ましくは少なくとも約100ミリメートルH2Oである。なおより好ましくは、本発明によるエアロゾル発生物品では、PHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約150ミリメートルH2Oであり、より好ましくは少なくとも約180ミリメートルH2Oである。PHAフィルターセグメントのRTD(物品中のPHAフィルターセグメントの長さに基づく)は、好ましくは、約300ミリメートルH2O以下、より好ましくは、250ミリメートルH2O以下である。例えば、PHAフィルターセグメントのRTDは、約25ミリメートルH2O~約300ミリメートルH2O、または約50ミリメートルH2O~約300ミリメートルH2O、または約100ミリメートルH2O~約250ミリメートルH2O、または約150ミリメートルH2O~約250ミリメートルH2O、または約180ミリメートルH2O~約250ミリメートルH2O、または約200ミリメートルH2Oであり得る。
【0061】
好ましくは、本発明によるエアロゾル発生物品では、PHAフィルターセグメントのRTD(物品中のPHAフィルターセグメントの長さに基づく)は、少なくとも約20ミリメートルH2Oである。より好ましくは、PHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約22ミリメートルH2Oであり、より好ましくは少なくとも約25ミリメートルH2Oである。なおより好ましくは、本発明によるエアロゾル発生物品では、PHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約28ミリメートルH2Oであり、より好ましくは少なくとも約30ミリメートルH2Oである。PHAフィルターセグメントのRTD(物品中のPHAフィルターセグメントの長さに基づく)は、好ましくは、約45ミリメートルH2O以下、より好ましくは、40ミリメートルH2O以下である。例えば、PHAフィルターセグメントのRTDは、約20ミリメートルH2O~約45ミリメートルH2O、または約22ミリメートルH2O~約45ミリメートルH2O、または約25ミリメートルH2O~約40ミリメートルH2O、または約28ミリメートルH2O~約40ミリメートルH2O、または約30ミリメートルH2O~約40ミリメートルH2O、または約37ミリメートルH2Oであり得る。
【0062】
「引き出し抵抗」は、体積流量が出力端で17.5ミリリットル/秒である安定した条件下で気流が通過する時の、サンプルの二つの端部間の静的圧力差を指す。サンプルのRTDは、ISO規格6565:2002に記載の方法を使用して測定することができる。
【0063】
本発明によるエアロゾル発生物品のPHAフィルターセグメントは、RTDに良好な安定性を提供することが追加的に見出されており、これは、RTDにおける高い変動性が有利に回避され得ることを意味する。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品の20のサンプル内で、典型的には、2パーセント~10パーセント、より好ましくは2パーセント~5パーセントの標的RTDからの標準偏差があるであろう。
【0064】
好ましくは、本発明によるエアロゾル発生物品のPHAフィルターセグメントは、少なくとも80パーセント、より好ましくは少なくとも85パーセントの平均半径方向硬度を有する。したがって、PHAフィルターセグメントは、従来のセルロースアセテートトウフィルターによって提供されるものに匹敵する、所望のレベルのフィルター硬度を提供することができる。必要に応じて、PHAフィルターセグメントの半径方向硬度は、PHAフィルターセグメントを、例えば、少なくとも約80グラム/平方メートル(gsm)、または少なくとも約100gsm、または少なくとも約110gsmの坪量を有するプラグラップなどの硬いプラグラップで囲むことによって、さらに増加させ得る。
【0065】
本明細書で使用される「半径方向硬度」という用語は、長軸方向軸を横断する方向での圧縮に対する抵抗を指す。フィルターの周りのエアロゾル発生物品の半径方向硬度は、物品の長軸方向軸に対して横断方向に、フィルターの位置にて物品を横切って負荷をかけることによって、および物品の押し下げられた直径の平均(平均値)を測定することによって決定されうる。半径方向硬度は以下によって与えられる:
【数1】

式中DSは元の(押し下げられていない)直径であり、Ddは設定継続時間にわたり、設定された負荷をかけた後の押し下げられた直径である。材料が硬いほど硬度は100%に近づく。
【0066】
エアロゾル物品の一部分(フィルターなど)の硬度を決定するには、エアロゾル発生物品を平面内で平行に整列させるべきであり、試験される各エアロゾル発生物品の同一の部分は、設定継続時間の間、設定された負荷を受けるべきである。この試験は、周知のDD60A Densimeter装置(Heinr. Borgwaldt GmbH(ドイツ)が製造・市販)を使用して実施され、これは紙巻たばこなどのエアロゾル発生物品用の測定ヘッドが装着されていて、またエアロゾル発生物品容器付きである。
【0067】
一度にすべてのエアロゾル発生物品の直径を横切って延びる、二つの負荷印加円筒状ロッドを使用して負荷がかけられる。この機器のための標準的な試験方法によって、エアロゾル発生物品と負荷印加円筒状ロッドとの間に二十箇所の接触点が生じるように試験が実施されるべきである。一部の場合において、試験されるフィルターは、エアロゾル発生物品十本のみが二十箇所の接触点を形成するために必要となるように、十分に長くてもよく、各々の喫煙物品が両方の負荷印加ロッドに接触する(これらがロッド間に延びるのに十分なほど長いため)。その他の場合において、これを達成するにはフィルターが過度に短い場合、以下にさらに考察する通り、二十箇所の接触点を形成するためにエアロゾル発生物品二十本を使用するべきであり、各々のエアロゾル発生物品は負荷印加ロッドのうちの一つのみに接触する。
【0068】
エアロゾル発生物品を支持し、かつ負荷印加円筒状ロッドの各々によってかけられる負荷に対抗するために、二本のさらなる固定された円筒状ロッドがエアロゾル発生物品の下に位置する。
【0069】
このような装置のための標準作業手順については、2kgの全体的な負荷が20秒間かけられる。20秒が経過した後(かつまだ負荷が喫煙物品にかけられている状態)、負荷印加円筒状ロッドにおける押し下げが判定され、次いで上記の方程式から硬度を算出するために使用される。温度は摂氏22度±2度の領域内に保たれる。上述の試験は、DD60A試験と呼ばれる。フィルター硬度を測定する標準的な方法は、エアロゾル発生物品がまだ消費されていない時である。平均半径方向硬度の測定に関する追加情報は、例えば米国公開特許出願公報第2016/0128378号に見いだすことができる。
【0070】
上述のように、本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターセグメントを作製するためのPHA繊維の使用は、従来のセルロースアセテートフィルターと比較して、改善された生分解性を有利に提供する。
【0071】
好ましくは、PHAフィルターセグメントは、ISO 14851 水性媒体中のプラスチック材料の最終的な好気的生分解性の決定-閉鎖呼吸計での酸素要求量の測定による方法(2005年)に記載される試験方法に従って測定された場合、少なくとも約45パーセント、より好ましくは少なくとも約50パーセント、最も好ましくは少なくとも約55パーセントの、水性媒体中の生分解性を有する。
【0072】
同じ試験条件下で、セルロースアセテートフィルターセグメントは、約30パーセントの生分解性を示す。したがって、セルロースアセテート繊維の代わりにPHA繊維を使用してフィルターセグメントを形成することは、フィルターセグメントの生分解性において有意な改善をもたらすと考えられる。
【0073】
PHAフィルターセグメントのサイズは、それが組み込まれるエアロゾル発生物品のタイプに応じて変化し得る。
【0074】
好ましくは、PHAフィルターセグメントは、少なくとも約4ミリメートルの長さ、より好ましくは少なくとも約5ミリメートルの長さ、より好ましくは少なくとも約7ミリメートルの長さ、最も好ましくは少なくとも約10ミリメートルの長さを有する。
【0075】
好ましくは、PHAフィルターセグメントは、約30ミリメートル以下の長さ、約27ミリメートル以下の長さ、より好ましくは、約25ミリメートル以下の長さ、最も好ましくは約20ミリメートル以下の長さを有する。
【0076】
例えば、PHAフィルターセグメントの長さは、好ましくは約5ミリメートル~約30ミリメートルであり、より好ましくは約10ミリメートル~約30ミリメートルであり、なおより好ましくは、約15ミリメートル~約30ミリメートルであり、最も好ましくは約20ミリメートル~約30ミリメートルである。別の方法として、こうした実施形態では、PHAフィルターセグメントの長さは、約4ミリメートル~約27ミリメートルであり、好ましくは約5ミリメートル~約27ミリメートルであり、より好ましくは約10ミリメートル~約27ミリメートルであり、なおより好ましくは約15ミリメートル~約27ミリメートルであり、最も好ましくは約20ミリメートル~約27ミリメートルであってもよい。さらなる別の方法として、こうした実施形態では、PHAフィルターセグメントの長さは、約4ミリメートル~約25ミリメートルであってもよく、好ましくは約5ミリメートル~約25ミリメートルであり、より好ましくは約10ミリメートル~約25ミリメートルであり、なおより好ましくは約15ミリメートル~約30ミリメートルであり、最も好ましくは約20ミリメートル~約25ミリメートルである。
【0077】
エアロゾル発生物品が燃焼性喫煙物品の形態である本発明の実施形態については、以下により詳細に説明するように、PHAフィルターセグメントの長さは、好ましくは約20ミリメートル~約30ミリメートル、より好ましくは約25ミリメートル~約30ミリメートル、最も好ましくは約27ミリメートルである。
【0078】
エアロゾル発生物品が、電気加熱手段または一体型の熱源によって加熱されることが意図されるエアロゾル発生基体を有する加熱式エアロゾル発生物品の形態である本発明の代替的な実施形態については、以下により詳細に説明するように、PHAフィルターセグメントの長さは、好ましくは約5ミリメートル~約15ミリメートル、より好ましくは約5ミリメートル~約10ミリメートル、最も好ましくは約7ミリメートルである。
【0079】
PHAフィルターセグメントは、エアロゾル発生物品の外径とほぼ等しい外径を有することが好ましい。フィルターセグメントは、少なくとも5ミリメートルの外径を有することが好ましい。PHAフィルターセグメントは、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径、例えば約5ミリメートル~約10ミリメートル、または約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径、を有してもよい。好ましい実施形態において、PHAフィルターセグメントは7.2ミリメートルから10パーセント以内までの外径を有する。
【0080】
PHAフィルターセグメントの形状はまた、エアロゾル発生物品の所望の構造に応じて変化させてもよい。特定の実施形態では、PHAフィルターセグメントは、PHA繊維を含む繊維質濾過材料の固体の円筒形プラグの形態であってもよい。したがって、こうしたフィルターセグメントは、従来のセルロースアセテートトウのプラグと類似の構造を提供するであろう。
【0081】
代替的な実施形態では、PHAフィルターセグメントは、中空管セグメントの形態であってもよい。中空管セグメントは、同等の直径の円筒形プラグより露出表面積が大きく、これにより、PHAフィルターセグメントの生分解性がさらに改善され得る。
【0082】
中空管セグメントは、少なくとも約0.3ミリメートルの壁厚さであることが好ましい。中空管セグメントは、少なくとも約0.4ミリメートルの壁厚さであることがより好ましい。中空管セグメントは、少なくとも約0.5ミリメートルの壁厚さであることが、なおより好ましい。
【0083】
中空管セグメントは、約1.9ミリメートル以下の壁厚さであることが好ましい。中空管セグメントは、約1.5ミリメートル以下の壁厚さであることがより好ましい。中空管セグメントは、約1.2ミリメートル以下の壁厚さであることが、なおより好ましい。中空管セグメントは、約0.9ミリメートル以下の壁厚さであることが特に好ましい。
【0084】
いくつかの実施形態では、中空管セグメントは、典型的には、少なくとも約4ミリメートルの長さを有してもよい。中空管セグメントの長さは、少なくとも約5ミリメートルであることが好ましい。中空管セグメントの長さは、少なくとも約7ミリメートルであることがより好ましい。中空管セグメントの長さは、少なくとも約10ミリメートルであることが、なおより好ましい。
【0085】
PHAフィルターセグメントが中空管セグメントの形態である場合、濾過材料は、PHA繊維に加えて、いくらかのセルロースアセテートを含んでもよい。例えば、中空管セグメントは、約5重量パーセント~約15重量パーセントのセルロースアセテートを含んでもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、中空管セグメント中の一定量のセルロースアセテートは、中空管セグメントの製造を容易にし得るのみならず、中空管セグメントに望ましい濾過特性および機械的特性を付与し得ることが理解される。
【0086】
本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは、PHAフィルターセグメントのみからなる単一のセグメントフィルターであってもよい。別の方法として、本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは、濾過材料から形成される一つ以上の追加のフィルターセグメントをさらに含んでもよく、これは上述のようにPHAフィルターセグメントの上流または下流に提供され得る。例えば、PHAフィルターセグメントは、繊維質の濾過材料から形成される軸方向に整列したフィルタープラグの一つ以上と組み合わされてもよく、これはPHA繊維を含む場合、または含まない場合がある。代替的にまたは追加的に、PHAフィルターセグメントは、中空アセテート管または厚紙管などの一つ以上の管状要素と組み合わされてもよい。例えば、特定の実施形態では、フィルターは、中空アセテート管の形態の支持要素を含み得る。代替的にまたは追加的に、PHAフィルターセグメントは、エアロゾル冷却要素と組み合わされてもよい。
【0087】
好ましくは、追加のフィルターセグメントは、セルロースアセテート以外の材料から形成される。特に好ましくは、追加のフィルターセグメントはPHA繊維を含み、これは随意にPVAなどの適切な接着剤によって所望の形状に保持されてもよい。好ましくは、追加のフィルターセグメントの各々は、少なくとも約25重量パーセントのPHA化合物を含み、より好ましくは、少なくとも約50重量パーセントのPHA化合物を含む。
【0088】
本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは、随意で風味剤を含んでもよい。風味剤は、当業者に周知であろう様々な異なる手段を用いて組み込まれ得る。例えば、風味剤は、PHAフィルターセグメント、または追加のフィルターセグメントに提供され得るカプセルの形態で組み込まれてもよい。
【0089】
本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは、好ましくは、外側ラッパー、例えば、フィルターセグメント、エアロゾル発生基体の下流端、およびその間に提供され得る任意の追加構成要素を囲むチッピングラッパーによって囲まれる。チッピングラッパーは、WO-A-2017/162838に記載されるように、取り外し可能なチッピングラッパー部分を備えてもよく、このことが、エアロゾル発生物品が廃棄される前に、チッピングラッパーの少なくとも一部分が除去されるのを可能にする。チッピングラッパーの除去は、下にあるフィルターセグメントを露出させ、したがって、有利には、フィルター材料の生分解速度を速めることができる。
【0090】
上記で定義されるように、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体をさらに含み、これは好ましくはエアロゾル発生基体のロッドの形態である。エアロゾル発生基体は、たばこ材料のロッドであることが好ましい。
【0091】
エアロゾル発生基体は、約5ミリメートル~約100mmの長さを持ちうる。エアロゾル発生基体は、少なくとも約5ミリメートルの長さを有することが好ましく、少なくとも約7ミリメートルの長さを有することがより好ましい。加えて、または代替として、エアロゾル発生基体は、約80ミリメートル未満の長さを有することが好ましく、約65ミリメートル未満の長さを有することがより好ましく、約50ミリメートル未満の長さを有することがなおより好ましい。特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生基体は、約35ミリメートル未満の長さを有し、25ミリメートル未満の長さを有することがより好ましく、約20ミリメートル未満の長さを有することがなおより好ましい。一実施形態において、エアロゾル発生基体は、約10ミリメートルの長さを有してもよい。好ましい一実施形態において、エアロゾル発生基体は、約12ミリメートルの長さを有する。
【0092】
上で論じたように、PHAセグメントを含む本発明のフィルターは、dpfの定義された範囲を有するPHAセグメントに対して比較的高レベルのRTDを提供する可能性のために、可燃性喫煙物品における特定の適用を見出す。好ましい実施形態において、本発明によるエアロゾル発生物品は、それゆえ、燃焼して煙を形成するたばこ材料を含むエアロゾル発生基体が中に含まれているフィルター付き紙巻きたばこまたは他の喫煙物品である。従って、上述の実施形態のいずれかにおいて、エアロゾル発生基体はたばこロッドを備えてもよい。たばこロッドは、一つ以上のカットフィラーおよび再構成たばこを含んでもよい。
【0093】
エアロゾル発生物品が燃焼性喫煙物品の形態である実施形態については、エアロゾル発生基体は、典型的にはたばこロッドであり、好ましくは約10ミリメートル~約100ミリメートルの長さ、より好ましくは約30ミリメートル~約70ミリメートルの合計長さを有する。
【0094】
別の方法として、本発明によるエアロゾル発生物品は、中のたばこ材料が燃焼するのではなく、加熱されてエアロゾルを形成する物品であってもよい。一つのタイプの加熱式エアロゾル発生物品において、たばこ材料は一つ以上の電気発熱体によって加熱されてエアロゾルを生成する。別のタイプの加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは、可燃性の熱源または化学的な熱源から、熱源の内部、周り、または下流に位置してもよい物理的に分離されたたばこ材料への熱の伝達によって生成される。本発明は、燃焼を経ずに、一部の場合では加熱を経ずに、例えば化学反応によって、たばこ材料、たばこ抽出物、または他のニコチン供給源からニコチン含有エアロゾルが生成されるエアロゾル発生物品をさらに包含する。
【0095】
エアロゾル発生物品が加熱式エアロゾル発生物品の形態であり、加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾル発生基体が加熱されてエアロゾルを形成することが意図される実施形態について、エアロゾル発生基体は、好ましくは、約5ミリメートル~約40ミリメートル、より好ましくは約9ミリメートル~約15ミリメートルの長さを有する。
【0096】
エアロゾル発生物品が加熱式エアロゾル発生物品の形態であるこうした実施形態について、エアロゾル発生基体は、たばこ粒子の凝集から形成される均質化したたばこ材料から形成されることが好ましい。エアロゾル発生基体は、均質化したたばこ材料のシートの集合体の一つ以上を含むことができる。一つ以上のシートは、テクスチャ加工されてもよい。本明細書で使用される「テクスチャ加工されたシート」という用語は、捲縮された、エンボス加工された、デボス加工された、穿孔された、またはその他の方法で変形されたシートを意味する。別の方法として、エアロゾル発生基体は、均質化したたばこ材料の複数の細片またはストランドを含み得る。細片またはストランドは、長軸方向に互いに実質的に整列されてもよく、またはランダムに配向されてもよい。
【0097】
エアロゾル発生基体での使用のための均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で少なくとも約40重量パーセントのたばこ含有量を有してもよく、より好ましくは乾燥重量基準で少なくとも約60重量パーセントのたばこ含有量を有してもよく、より好ましくは乾燥重量基準で少なくとも約70重量パーセントのたばこ含有量を有してもよく、最も好ましくは乾燥重量基準で少なくとも約90重量パーセントのたばこ含有量を有してもよい。
【0098】
エアロゾル発生基体での使用のための均質化したたばこ材料は、粒子状たばこの凝集を補助するために、たばこ内因性結合剤である一つ以上の内因性結合剤、たばこ外来性結合剤である一つ以上の外因性結合剤、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。代替的に、または追加的に、エアロゾル発生基体での使用のための均質化したたばこ材料は、たばこ繊維および非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水性の溶媒、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の添加物を含んでもよい。
【0099】
エアロゾル発生基体での使用のための均質化したたばこ材料に含める適切な外因性結合剤は当業界で周知であり、ゴム(例えば、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、ローカストビーンガムなど)、セルロース系結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなど)、多糖類(例えば、デンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウムなどの有機酸の共役塩基塩、寒天、ペクチンなど)、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0100】
エアロゾル発生基体での使用のための均質化したたばこ材料に含むのに適切な非たばこ繊維は当業界で周知であり、セルロース繊維、針葉樹繊維、広葉樹繊維、ジュート繊維、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。エアロゾル発生基体での使用のための均質化したたばこ材料に含める前に、非たばこ繊維は、当業界で周知の適切なプロセスによって処理されてもよく、プロセスには機械パルプ化、精製、化学パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
加熱式エアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体は典型的に、「エアロゾル形成体」、すなわち使用時にエアロゾルの形成を容易にする、および好ましくはエアロゾル発生物品の使用温度で熱分解に対して実質的に耐性がある化合物または化合物の混合物を含む。好適なエアロゾル形成体の例には、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられる。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、最も好ましくはグリセリンなど)である。
【0102】
エアロゾル発生基体は、少なくとも約10重量パーセントのエアロゾル形成体を含むことが好ましく、少なくとも約12重量パーセントのエアロゾル形成体を含むことがより好ましく、少なくとも約15重量パーセントのエアロゾル形成体を含むことがより好ましい。代替的にまたは追加的に、エアロゾル発生基体は、好ましくは30重量パーセント以下のエアロゾル形成体、より好ましくは約25重量パーセント以下のエアロゾル形成体、より好ましくは約20重量パーセント以下のエアロゾル形成体を含む。例えば、エアロゾル発生基体は、約10重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体、または約12重量パーセント~約25重量パーセントのエアロゾル形成体、または約15重量パーセント~約20重量パーセントのエアロゾル形成体を含んでもよい。特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生基体は、約18重量パーセントのエアロゾル形成体を含む。
【0103】
本発明によるエアロゾル発生物品は、フィルターとエアロゾル発生基体との間に一つ以上の追加的な構成要素をさらに備え得る。例えば、エアロゾル発生物品は、支持要素、エアロゾル冷却要素および移動要素のうちの一つ以上をさらに備え得る。こうした構成要素の構造は、当業者に周知であろう。
【0104】
例えば、本発明の特定の好ましい実施形態では、エアロゾル発生物品は、直線状の連続的な配設で、エアロゾル発生基体、エアロゾル発生基体のすぐ下流の支持要素、支持要素のすぐ下流に位置するエアロゾル冷却要素、およびフィルターの下流端に、PHAフィルターセグメントを含むマウスピースを含む。
【0105】
本発明の他の好ましい実施形態では、エアロゾル発生物品は、直線状の連続的な配設で、エアロゾル発生基体、移動要素、エアロゾル冷却要素、スペーサー要素、およびマウスピースフィルターを含む。
【0106】
本発明の特定の好ましい実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体の上流端部と接触して、エアロゾル発生物品の上流端に可燃性熱源をさらに備える。例えば、エアロゾル発生物品は、使用中にエアロゾル発生基体を加熱してエアロゾルを生成するための、炭素質熱源を上流端に備えてもよい。適切な炭素質熱源は、当業者に周知であろう。
【0107】
ここで、図を参照しながら本発明をさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図1図1は、ヒーター要素を備えるエアロゾル発生装置で使用するための、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の断面図を示す。
図2図2は、一体型の熱源を備える、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の断面図を示す。
図3図3は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の断面図を示す。
図4図4は、電気的に作動するエアロゾル発生装置と、図1に示すエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムの概略的な長軸方向の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0109】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体12のロッド、中空の管状要素として提供される支持要素14、冷却要素16、および口側端フィルターセグメント18を備える。これら四つの要素は連続的に、かつ同軸に整列して配設されていて、基体ラッパー20によって囲まれていて、エアロゾル発生物品10を形成する。エアロゾル発生物品10は、口側端22と、口側端22に対して物品の反対側の端に位置する遠位端24とを有する。図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッドを加熱するためのヒーターを含む、電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するために特に適切である。
【0110】
使用時に、空気は、ユーザーによってエアロゾル発生物品を通して遠位端24から口側端22に吸い込まれる。エアロゾル発生物品の遠位端24はまた、エアロゾル発生物品10の上流端として記述されてもよく、エアロゾル発生物品10の口側端22はまた、エアロゾル発生物品10の下流端として記述されてもよい。口側端22と遠位端24との間に位置するエアロゾル発生物品10の要素を、口側端22の上流にあると記述することができ、または別の方法として、遠位端24の下流にあると記述することができる。
【0111】
エアロゾル発生基体12は、エアロゾル発生物品10の最遠の遠位端または上流端に位置する。図1に図示した実施形態において、エアロゾル発生基体12は、ラッパーによって囲まれた、捲縮した均質化したたばこ材料シートの集合体を備える。均質化したたばこ材料の捲縮したシートはエアロゾル形成体としてグリセリンを含む。
【0112】
支持要素14はエアロゾル発生基体12のすぐ下流に位置し、またエアロゾル発生基体12に当接する。図1に示す実施形態では、支持要素は、繊維質の濾過材料から形成される中空管である。支持要素14は、エアロゾル発生装置の発熱体によって貫通されることができるように、エアロゾル発生物品10の最遠の遠位端24にエアロゾル発生基体12を位置させる。実際には、支持要素14は、エアロゾル発生装置の発熱体がエアロゾル発生基体12の中に挿入されている時に、エアロゾル発生基体16がエアロゾル冷却要素16に向かってエアロゾル発生物品10内で下流に押し込まれるのを防止する役目を果たす。支持要素14はまた、エアロゾル発生物品10のエアロゾル冷却要素16をエアロゾル発生基体12から離隔するためのスペーサーとしての役目を果たす。
【0113】
エアロゾル冷却要素16は支持要素14のすぐ下流に位置し、支持要素16に隣接する。使用時に、エアロゾル発生基体12から放出される揮発性物質は、エアロゾル発生物品10の口側端22に向かって、エアロゾル冷却要素16に沿って通る。揮発性物質は、エアロゾル冷却要素16内で冷却されて、ユーザーが吸入するエアロゾルを形成してもよい。図1に示す実施形態では、エアロゾル冷却要素は管状要素20を含む。ポリ乳酸の捲縮したシートの集合体は、エアロゾル冷却要素40の長さに沿って延びる複数の長軸方向チャネルを画定する。
【0114】
フィルターセグメント18はエアロゾル冷却要素16のすぐ下流に位置し、エアロゾル冷却要素16に隣接する。図1に示す実施形態では、フィルターセグメント18は、約3の単繊維当たりデニールおよび約27,000の合計デニールを有する複数のPHA繊維から形成される繊維質の濾過材料の単一の円筒形プラグを備える。PHA繊維は、円形の断面形状を有し、フィルターセグメントの長さに沿って互いに実質的に長軸方向に整列している。PHA繊維の総外表面積は、約0.16平方メートル/グラムに相当する。PHA繊維は、融解紡糸プロセスによって形成されており、かつ捲縮される。繊維質濾過材料のプラグは、プラグラップ(図示せず)によって囲まれる。
【0115】
図2に示すエアロゾル発生物品100は、可燃性熱源112、エアロゾル発生基体114のロッド、移動要素116、エアロゾル冷却要素、118、スペーサー要素120、およびマウスピースフィルターセグメント122を含む。これらの要素は連続的に、かつ同軸に整列して配設されていて、基体ラッパーによって囲まれていて、エアロゾル発生物品100を形成する。
【0116】
可燃性熱源112は、約10ミリメートルの長さをもつ炭素質の材料の実質的に環状の円筒状の本体を含む。可燃性熱源112は、ブラインド熱源である。言い換えると、可燃性熱源112は、それを通じて延在する任意の空気チャネルを含まない。
【0117】
エアロゾル発生基体114のロッドは、可燃性熱源112の近位端に配置される。エアロゾル形成基体114は、フィルタープラグラップ126によって囲まれるたばこ材料の実質的に環状の円筒形プラグ124を備える。
【0118】
不燃性で、実質的に不通気性の第一のバリア128は、可燃性熱源112の近位端とエアロゾル発生基体114の遠位端との間に配置される。第一のバリア128は、アルミ箔のディスクを備える。第一のバリア128はまた、可燃性熱源112の近位面からエアロゾル発生基体114の遠位面に熱を伝導するために、可燃性熱源112とエアロゾル発生基体114との間に熱伝導性部材を形成する。
【0119】
熱伝導性要素130は、可燃性熱源112の近位部分およびエアロゾル形成基体114の遠位部分を囲む。熱伝導性要素130は、アルミ箔の管を含む。熱伝導性要素130は、可燃性熱源112の近位部分およびエアロゾル発生基体114のフィルタープラグラップ126と直接接触する。
【0120】
マウスピースフィルター122は、約3の単繊維当たりデニールおよび約27,000の合計デニールを有する複数のPHA繊維から形成される繊維質の濾過材料の単一の円筒形プラグ126を備える。PHA繊維は、円形の断面形状を有し、フィルターセグメントの長さに沿って互いに実質的に長軸方向に整列している。PHA繊維の総外表面積は、約0.16平方メートル/グラムに相当する。PHA繊維は、融解紡糸プロセスによって形成されており、かつ捲縮される。繊維質濾過材料のプラグは、プラグラップ(図示せず)によって囲まれる。
【0121】
図3に示すエアロゾル発生物品310は、互いに同軸配列に配置されたエアロゾル発生基体312とフィルター314とを含む燃焼性喫煙物品である。エアロゾル発生基体312は、外側ラッパー(図示せず)によって囲まれたたばこロッドを含む。チッピングラッパー316は、フィルター314およびエアロゾル発生基体312の端部の両方を囲み、フィルター314をエアロゾル発生基体312に取り付ける。
【0122】
フィルター314は、約3の単繊維当たりデニールおよび約27,000の合計デニールを有するPHA繊維から形成される繊維質の濾過材料の単一の円筒形プラグ318を備える。PHA繊維は、円形の断面形状を有し、フィルターセグメントの長さに沿って互いに実質的に長軸方向に整列している。PHA繊維の総露出表面積は、約0.16平方メートル/グラムに相当する。PHA繊維は、融解紡糸プロセスによって形成されており、かつ捲縮される。繊維質濾過材料のプラグは、プラグラップ(図示せず)によって囲まれる。
【0123】
図4は、図1に示すエアロゾル発生物品10のエアロゾル発生基体12のロッドを加熱するためのヒーターブレード210を利用する電気的に作動するエアロゾル発生システム200の一部分を示す。ヒーターブレード210は、電気的に作動するエアロゾル発生装置212のハウジング内にあるエアロゾル発生物品チャンバー内に取り付けられている。エアロゾル発生装置212は、図4に矢印で図示されている通り、空気がエアロゾル発生物品10に流れることを可能にするための複数の空気穴214を画定する。エアロゾル発生装置212は、電源および電子部品を備えるが、これらは図4で図示されていない。
【0124】
比較例
本発明によるPHAフィルターセグメントは、以下の表1に示されるパラメータで、PHA繊維から調製される。PHA繊維は、融解紡糸プロセスを使用して形成され、その後、繊維は捲縮され、標準的なフィルター製造装置を使用してフィルターセグメント内に形成される。比較の目的で、従来のセルロースアセテート(CA)トウフィルターセグメントを、同様の値の単繊維当たりデニール(dpf)および合計デニールで調製する。
【表1】
【0125】
第一の試験では、本発明によるPHAフィルターセグメントとCAフィルターセグメントの水への曝露による吸水を比較する。各フィルターセグメントについて、プラグラップが取り除かれ、フィルターセグメントが、フォース張力計(KRUSSフォース張力計、モデルK100)のプローブに取り付けられる。フィルターセグメントは、プローブによって水の容器に向かって下に移動し、フィルターセグメントが水に接触すると自動的に停止する。フィルターセグメントは、フィルター材料が水を吸収できるように300秒間水と接触したまま保持され、次いで、フィルターセグメントは、試験期間中に吸収された水の量を決定するために計量される。PHAフィルターセグメントおよびCAフィルターセグメントのそれぞれについて、以下の表2に示すように、この試験を三回繰り返し、吸水の平均値を計算した。
【表2】
【0126】
したがって、試験中に本発明によるPHAフィルターセグメントによって吸収された水の量は、CAフィルターセグメントによって吸収された水の量の40パーセント未満であった。したがって、この試験は、従来のCAフィルターセグメントと比較して、本発明によるPHAフィルターセグメントの水との親和性が著しく低いことを示す。
【0127】
第二の試験では、本発明によるPHAフィルターセグメントとCAフィルターセグメントの水分への曝露による吸水を比較する。各フィルターセグメントについて、プラグラップが取り除かれ、フィルターセグメントを形成する繊維がペトリ皿に置かれ、22°Cおよび50パーセントの相対湿度で70時間、空気に曝露される。これは、蒸気吸着分析器(ProUmid SPSx-1μ)で実施される。各フィルターセグメントについて、試験開始時に繊維の重量を測定し、繊維の水蒸気の吸収による経時的な重量の変化を測定する。PHAフィルターセグメントおよびCAフィルターセグメントのそれぞれについて、サンプルの質量におけるパーセンテージ差(%dm)の値を計算し、サンプルの重量の増加を元の重量のパーセンテージとして表す。70時間試験終了時の各サンプルの%dmの値を以下の表3に示す:
【表3】
【0128】
結果は、70時間の試験中にセルロースアセテート繊維によって吸収された水蒸気の量が、PHA繊維によって吸収された水蒸気の量よりも50倍超大きかったことを示す。PHA繊維は、試験中にほとんど水蒸気を吸収しなかった。これは、従来のCAフィルターセグメントと比較して、本発明によるPHAフィルターセグメントの水との親和性が著しく低いことをさらに示す。
【0129】
第三の試験では、本発明によるPHAフィルターセグメントと従来のCAフィルターセグメントとによる主流煙からの吸水を比較する。フィルターセグメントのそれぞれについて、従来の喫煙物品を、燃焼式たばこロッドおよびフィルターを形成する濾過材料の単一のセグメントを用いて、図3を参照して上述したように調製する。次いで、喫煙物品の各々を、ISO3308:2000(パフ体積35ml、60秒毎に2秒のパフ持続時間)に記載されるISO条件下で、紙巻きたばこ喫煙機で喫煙し、結果として生じる煙の分析を実施する。フィルターセグメントのそれぞれについて、表4に示すように、喫煙試験中に収集された主流煙中の水の量を測定する:
【表4】
【0130】
このことは、同等の条件下で喫煙した場合、PHAフィルターセグメントを組み入れた喫煙物品は、CAフィルターセグメントを含む喫煙物品からの主流煙の含水量よりも約20パーセント高い含水量を有する主流煙を生成することを示す。これは、PHAフィルターセグメントが、CAフィルターセグメントほど主流煙からの水を吸収しないことを示し、それによって上述のような乾燥煙の潜在的な問題を減少させる。
図1
図2
図3
図4