(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】新規の濾過材料を有するエアロゾル発生物品フィルター
(51)【国際特許分類】
A24D 3/14 20060101AFI20241107BHJP
A24D 3/10 20060101ALI20241107BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20241107BHJP
【FI】
A24D3/14
A24D3/10
A24D3/17
(21)【出願番号】P 2022533093
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2020083959
(87)【国際公開番号】W WO2021110596
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-11-30
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】パパキリロー ステファノス
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/007400(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/000480(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/14
A24D 3/10
A24D 3/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
エアロゾル発生基体と、
前記エアロゾル発生基体と軸方向で整列したフィルターであって、前記フィルターが、ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む複数の繊維から形成された濾過材料の少なくとも一つのフィルターセグメントを備え、前記繊維が5.0~12.0のフィラメント当たりのデニール(dpf)を有し、前記少なくとも一つのフィルターセグメントが、前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物の少なくとも20重量パーセントを含み、前記少なくとも一つのフィルターセグメントの引き出し抵抗(RTD)が、10ミリメートルH
2O~25ミリメートルH
2Oである、フィルターと、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物の前記複数の繊維が、丸い断面形状を有し、かつ0.08平方メートル/グラム~0.12平方メートル/グラムの前記フィルターセグメント内の総外表面積を提供する、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物の前記複数の繊維が、Y字形状の断面形状を有し、かつ0.15平方メートル/グラム~0.21平方メートル/グラムの前記フィルターセグメント内の総外表面積を提供する、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記繊維の前記総デニールが、15,000~30,000である、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記濾過材料が、少なくとも一つの追加的な生分解性ポリマーの複数の繊維をさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維を含む前記フィルターセグメントが、少なくとも5重量パーセントのポリエチレングリコールをさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維を含む前記フィルターセグメントが、少なくとも80パーセントの平均半径方向硬度を有する、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維を含む前記フィルターセグメントが、少なくとも100グラム/平方メートル(gsm)の坪量を有するラッパーによって囲まれている、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維を含む前記フィルターセグメントが、中空の管状要素の形態である、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記エアロゾル発生基体が5ミリメートル~15ミリメートルの長さを有する、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記フィルターセグメントが、前記ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む前記複数の繊維内にカプセルをさらに備える、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
エアロゾル発生物品用のフィルターであって、前記フィルターが、ポリヒドロキシアルカン酸化合物を含む複数の繊維を含む濾過材料の少なくとも一つのフィルターセグメントを備え、前記繊維が、5.0デニール~12.0デニールのフィラメント当たりのデニール(dpf)を有し、前記少なくとも一つのフィルターセグメントが、少なくとも20重量パーセントのポリヒドロキシアルカン酸化合物を含み、前記少なくとも一つのフィルターセグメントの引き出し抵抗(RTD)が、10ミリメートルH
2O~25ミリメートルH
2Oである、フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品用のフィルターと、フィルターを備えるエアロゾル発生物品とに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルター付き紙巻たばこなどの従来のエアロゾル発生物品は典型的に、紙ラッパーによって包囲されたたばこカットフィラーの円筒状のロッドと、巻かれたたばこロッドと(大抵の場合、端と端とが当接する関係で)軸方向に整列した円筒状のフィルターとを備える。円筒状のフィルターは典型的に、紙プラグラップによって囲まれた繊維質の濾過材料(セルロースアセテートトウなど)の一つ以上のプラグを備える。従来的に、巻かれたたばこロッドおよびフィルターは、フィルターの全長および巻かれたたばこロッドの隣接部分を囲む、通常は不透明の紙材料から形成されたチッピングラッパーの帯によって結合されている。
【0003】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品もまた、当業界で周知である。典型的に、こうした物品において、エアロゾルは熱源から、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料への熱の伝達によって発生される。
【0004】
一例として、エアロゾル発生基体の電気加熱によってエアロゾルが発生されるエアロゾル発生物品が提案されている。数多くの先行技術文書は、エアロゾル発生物品を消費するためのエアロゾル発生装置を開示している。こうした装置としては、例えばエアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱の伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式のエアロゾル発生装置が挙げられる。別の例としては、可燃性燃料要素または熱源からエアロゾル発生基体への熱の伝達によってエアロゾルが発生されるエアロゾル発生物品もまた周知である。可燃性燃料要素または熱源は、エアロゾル発生基体に接触して、またはエアロゾル発生基体内に、またはエアロゾル発生基体の周りに、またはエアロゾル発生基体の下流に位置してもよい。
【0005】
一つのこうしたエアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、また揮発性化合物はエアロゾル発生物品を通して引き出される空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0006】
典型的に、記載のタイプのエアロゾル発生物品は、セルロースアセテートなどの多孔性濾過材料を含むマウスピースを含んでもよい。一部の周知のエアロゾル発生物品において、エアロゾル発生基体と物品の口側端との間の場所に、セルロースアセテートなどの濾過材料から形成された中空管状セグメントが提供されていて、物品に構造強度を付与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
セルロースアセテートおよび一般的に使用される他の数多くの濾過材料は、高度に生分解性ではない。しかしながら、代替的な分散性または分解性材料は、消費者に許容可能な濾過効率および喫煙体験を提供することができないことが多い。さらに、数多くの周知の分散性および分解性材料は、既存の製造プロセスでの使用に適さず、それらの使用を商業的に実現可能にするためには、既存の方法および機器の過度に大幅な修正を必要とすることになる。
【0008】
セルロースアセテートなどの従来の濾過材料を含む周知の物品と比較して、生分解特性が強化された、新規かつ改善されたエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。改善された喫煙体験を消費者に提供する、こうした新規のエアロゾル発生物品を提供することが、特に望ましいことになる。濾過材料セグメントの引き出し抵抗(RTD)を、物品全体の許容可能なRTDを達成するように調整することができる、一つのこうしたエアロゾル発生物品を提供することがさらに望ましいことになる。さらに、既存の機器の多大な修正を必要とせずに、自動化された高速の製造プロセスにおいて効果的に製造されることができる、こうしたエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、加熱または燃焼に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品に関する。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、ロッドと軸方向で整列したフィルターセグメントとを備えてもよい。フィルターセグメントは、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)化合物を含む複数の繊維から形成された濾過材料を含んでもよい。PHA化合物の繊維は、5.0~12.0のフィラメント当たりのデニール(dpf)を有してもよい。
【0010】
さらに本開示は、エアロゾル発生物品用のフィルターに関する。フィルターは、濾過材料の少なくとも一つのフィルターセグメントを備えてもよい。フィルターセグメントは、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)化合物を含む複数の繊維から形成された濾過材料を含んでもよい。PHA化合物を含む繊維は、5.0~12.0のフィラメント当たりのデニール(dpf)を有してもよい。
【0011】
本発明によると、エアロゾル発生基体と、エアロゾル発生基体と軸方向で整列したフィルターとを含むエアロゾル発生物品が提供されていて、フィルターは、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)化合物を含む複数の繊維を含む濾過材料の少なくとも一つのフィルターセグメントを備える。繊維のフィラメント当たりのデニール(dpf)は約5.0~約12.0である。
【0012】
本発明によると、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)化合物を含む複数の繊維を含む濾過材料の少なくとも一つのフィルターセグメントを備えるフィルターがさらに提供されている。繊維のフィラメント当たりのデニール(DPF)は約5.0~約12.0である。
【0013】
「エアロゾル発生物品」という用語は本明細書において本発明に関して、エアロゾル発生基体が加熱または燃焼されて、エアロゾルを生成して消費者に送達する物品を記述するために使用される。本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱または燃焼に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する基体を意味する。
【0014】
従来の紙巻たばこは、ユーザーが紙巻たばこの一方の端に炎を当て、もう一方の端を通して空気を引き出す時に点火される。炎と、紙巻たばこを通して引き出された空気中の酸素とによってもたらされた局在化した熱は、紙巻たばこの端を点火させ、その結果生じる燃焼は吸入可能な煙を発生する。これに反して、加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは、例えば、たばこ由来の基体、またはエアロゾル形成体および風味剤を含有する基体などの風味発生基体を加熱することによって発生される。周知の加熱式エアロゾル発生物品としては、例えば電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源から、物理的に分離されたエアロゾル形成材料への熱の伝達によってエアロゾルが発生されるエアロゾル発生物品とが挙げられる。
【0015】
本発明のフィルターは、基体を燃焼することなくエアロゾルを発生するためにエアロゾル発生基体が加熱される加熱式エアロゾル発生物品において、マウスピースのフィルターとして特定の用途がある。しかしながら、本発明のフィルターは、煙を発生するために使用中にエアロゾル発生基体が燃焼される可燃性喫煙物品のフィルターとしての使用にも適している。
【0016】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱(燃焼を含む)後に放出する能力を有する基体を記述する。エアロゾル発生基体から発生したエアロゾルは、可視または不可視であってもよく、またベイパー(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の、気体状態の微粒子)、ならびに気体および凝縮されたベイパーの液滴を含んでもよい。本明細書で使用される「エアロゾル」という用語は、加熱式エアロゾル発生物品内の基体の加熱に伴い生成されるエアロゾル、および可燃性喫煙物品内の基体の燃焼に伴い生成される煙を包含する。
【0017】
上記で定義の通り、本発明は、エアロゾル発生物品用のフィルターを提供し、フィルターは、約5.0~12.0の範囲内のフィラメント当たりのデニールの値を有するPHA化合物を含む複数の繊維で形成された濾過材料を含む少なくとも一つのフィルターセグメントを備える。PHA含有繊維は以下で、「PHA繊維」と呼ばれる。複数のPHA含有繊維を含むフィルターセグメントは以下で、「PHAフィルターセグメント」と呼ばれる。
【0018】
PHAは、3-、4-、5-、および6-ヒドロキシアルカン酸のポリヒドロキシエステルのファミリーであり、過剰な炭素が存在する栄養制限条件下で、様々な細菌種によって産生され、また細菌細胞中の個別の細胞質内封入体として見いだされている。PHA分子は典型的に、600~35,000(R)-ヒドロキシ脂肪酸単量体単位からなる。PHA単量体内の炭素原子の総数に応じて、PHAは、短鎖長PHA(scl-PHA;3~5個の炭素原子)、中鎖長PHA(mcl-PHA;6~14個の炭素原子)、または長鎖長PHA(lcl-PHA;15個以上の炭素原子)のいずれかに分類されることができる。
【0019】
PHA繊維は、セルロースアセテートなどの他の濾過材料の繊維と比較して、はるかに高いレベルの生分解性を有するため、本発明による物品は全体としてより高い生分解性を有する。同時に、PHA繊維は、天然の発酵プロセスによって得られるため、本発明によるエアロゾル発生物品はまた、製造プロセスにとっての持続可能性の改善も提供する。
【0020】
本発明によると、フィルターセグメントは、約5.0~約12.0の比較的に高いフィラメント当たりのデニール(dpf)を有するPHA繊維で形成されている。この範囲内のdpfを有する比較的に高い繊維重量を提供することによって、PHAフィルターセグメントは、フィルターを通過するエアロゾルからの水の保持量の改善を提供することが見いだされた。特に、PHAフィルターセグメントが捕捉・保持できる、エアロゾルからの水の比率は、セルロースアセテートトウで形成された同等のフィルターセグメントの場合よりも大きい。PHAフィルターセグメントのこの特性は、エアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されてエアロゾルを生成するエアロゾル発生物品において特に望ましい場合がある。こうした加熱式エアロゾル発生物品から発生したエアロゾルは、例えば追加的な水を放出するグリセリンまたはポリプロピレングリコールなどの追加的な湿潤剤の包含に起因して、比較的に高い含水量を有してもよい。
【0021】
加えて、PHAフィルターセグメントによる水の保持の改善は有利なことに、消費者にもたらされる感覚的な体験を改善することが見いだされている。
【0022】
5.0~12.0の比較的に高いdpfを有するPHA繊維を有するPHAフィルターセグメントの提供は追加的に、例えば低い濾過効率が好ましい特定のフィルターの設計に望ましい場合がある、比較的に低い引き出し抵抗(RTD)を提供することが見いだされている。PHAフィルターセグメントは、50パーセント未満、またはより好ましくは30パーセント未満の濾過効率を提供することが好ましい。比較的に低いRTDの提供は、エアロゾル発生基体が燃焼ではなく加熱されてエアロゾルを生成する加熱式エアロゾル発生物品にとって特に望ましい場合がある。こうした物品において、上記で画定された通りのPHAフィルターセグメントの使用は有利なことに、低い濾過効率に起因して、消費者にとっての感覚の体験を最適化することができる。
【0023】
比較的に低いRTDの提供は、比較的に長いフィルターセグメントが必要とされる場合、さらに望ましい場合がある。これは、例えばフィルターが、特定の加熱式エアロゾル発生物品においての通り、比較的に短いエアロゾル発生基体と組み合わされる場合であってもよい。低いRTDに起因して、比較的に長いPHAフィルターセグメントは、消費者にとって許容可能なレベルを上回ってエアロゾル発生物品の全体的なRTDを増加させることなく、組み込まれることができる。
【0024】
さらに、比較的に低いRTDを提供することは、エアロゾル発生物品上に提供された通気穴を遮断することによって喫煙の体験に及ぼされる潜在的な影響を低減するうえで、消費者にとって有益である場合がある。例えば、通気穴は、使用中にエアロゾル発生物品のエアロゾル発生装置の中への間違った挿入に起因して遮断される場合がある。同様に、比較的に低いRTDの提供は、非多孔性外側ラッパーが使用されるエアロゾル発生物品において望ましい場合がある。両方の場合において、エアロゾル発生物品への通気の提供を有しない場合でさえも、RTDは許容可能な喫煙の体験を提供するのに十分に低いままである。
【0025】
5.0~12.0のdpfの値を有するPHA繊維は、従来使用される繊維(セルロースアセテート繊維など)よりも著しく大きい断面を有する場合がある。PHAフィルターセグメント内の比較的に大きいPHA繊維の包含は、PHAフィルターセグメントを形成するために必要とされる繊維の数が、より低いdpfを有する繊維の場合よりも少ないことになるため、PHAフィルターセグメント内で比較的に低暴露の表面積をもたらす。暴露された表面積を最小化することによって、水分、気体、または細菌などの潜在的に望ましくない因子へのPHA繊維の暴露の程度も最小化することができる。これは有利なことに、特定の保管条件下でのフィルターの安定性を改善する場合があり、これによってエアロゾル発生物品の貯蔵寿命の改善を提供する場合がある。
【0026】
PHA繊維を用いて形成されたフィルターはまた、良好なフィルター硬度を提供することも分かっていて、これは、フィルターセグメントを堅いプラグラップで囲むことによって、さらに強化されることができる。
【0027】
フィルター内の個別のPHA繊維の平均デニールに相当するフィラメント当たりのデニールは、約5.0~約12.0である。「フィラメント当たりのデニール」(dpf)という用語は、9000メートルの長さを有する単一の繊維またはフィラメントの重量(グラム)に相当する。従って、本発明においてdpfの値は、フィルターセグメント内の個別のPHA繊維の各々の厚さを示す。フィラメント当たりのデニールはデニールの単位で表され、1デニールは9000メートル当たり1グラムに相当する。フィルターまたはフィルターセグメントのdpfは、フィルターまたはフィルターセグメントからの代表的な繊維のサンプルの重量および長さの測定に基づいて容易に決定することができる。
【0028】
従って、PHA繊維のフィラメント当たりのデニール(dpf)は、少なくとも約5.0である。好ましくは、dpfは少なくとも約5.5、より好ましくは少なくとも約6.0、より好ましくは少なくとも約6.5、より好ましくは少なくとも約7.0である。
【0029】
PHA繊維のフィラメント当たりのデニール(dpf)はさらに、12.0以下である。好ましくは、dpfは約11.0以下、より好ましくは約10.0以下、より好ましくは約9.0以下、より好ましくは約8.0以下である。
【0030】
特定の実施形態において、フィラメント当たりのデニール(dpf)は、最高約15.0であってもよい。例えば、フィラメント当たりのデニール(dpf)は、約5.0~約15.0であってもよい。
【0031】
一部の実施形態において、フィラメント当たりのデニールは、約5.5~約11.0、または約6.0~約10.0、または約6.5~約9.0、または約7.0~約8.0であってもよい。
【0032】
他の実施形態において、フィラメント当たりのデニールは、約5.0~約7.5、または約5.0~約7.0、または約5.0~約6.5、または約5.0~約6.0、または約5.5であってもよい。
【0033】
他の実施形態において、フィラメント当たりのデニールは、約7.0~約10.0、または約7.5~約10.0、または約8.0~約9.5、または約8.0~約9.0、または約8.0であってもよい。
【0034】
好ましくは、PHA繊維を含む濾過材料の総デニールは、約10,000~約40,000、より好ましくは約15,000~約35,000、より好ましくは約15,000~約30,000、より好ましくは約20,000~約30,000である。濾過材料の「総デニール」は、濾過材料を形成する組み合わされた繊維の9000メートルの総重量(グラム)を画定する。従って、フィルターセグメントの総デニールは、フィラメント当たりのデニールに、フィルターセグメント内の繊維の総数を乗じたものに相当する。
【0035】
PHA繊維の横断断面形状は、例えばフィルター内の繊維の外表面積を制御するために変化させてもよい。PHA繊維の外表面積を制御することによって、フィルターセグメントを通過する際にエアロゾルに暴露されるPHA繊維の総表面積も制御されてもよい。これは結果として、例えば繊維によって吸着される水の量など、PHA繊維の濾過特性をある程度制御することになる。
【0036】
フィルターセグメント内のPHA繊維の総外表面積は、好ましくは約0.08平方メートル/グラム~約0.21平方メートル/グラム、より好ましくは約0.10平方メートル/グラム~約0.18平方メートル/グラム、より好ましくは約0.12平方メートル/グラム~約0.15平方メートル/グラムである。
【0037】
PHA繊維は、実質的に丸い断面を有してもよい。こうした実施形態において、フィルターセグメント内のPHA繊維の総外表面積は、約0.08平方メートル/グラム~約0.12平方メートル/グラムであることが好ましい。
【0038】
PHA繊維は、Y字形状の断面を有してもよい。こうした実施形態において、フィルターセグメント内のPHA繊維の総外表面積は、約0.15平方メートル/グラム~約0.21平方メートル/グラムであることが好ましい。
【0039】
本発明によるエアロゾル発生物品のフィルター内に提供されるPHA繊維は、任意の適切なPHA化合物(PHAポリマーまたはコポリマーを含む)で形成されてもよい。適切なPHA化合物としては、ポリヒドロキシプロピオネート、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシヘキサノエート、ポリヒドロキシオクタノエートが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい一実施形態において、PHA化合物はポリ(3-ヒドロキシ酪酸)である。
【0040】
PHAフィルターセグメントは、好ましくは少なくとも約5重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは少なくとも約10重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは少なくとも約20重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは少なくとも約30重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは少なくとも約40重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは少なくとも約50重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは少なくとも約60重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは少なくとも約70重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは少なくとも約80重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは少なくとも約90重量パーセントのPHA繊維、より好ましくは少なくとも約95重量パーセントのPHA繊維を含む。
【0041】
PHAフィルターセグメント内の残りの繊維は、任意の適切な材料を含んでもよい。適切な繊維質材料は当業者に周知であろう。また、適切な繊維質材料としては、ポリ乳酸(PLA)、セルロースアセテートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
従って、PHAフィルターセグメントは、比較的に高いレベルのPHA繊維を用いて形成されている。これは、フィルターとエアロゾル発生物品の全体の強化された生分解性を提供する。上述の通り、許容可能な濾過特性を提供する、分解性ポリマーの比率が高いフィルターセグメントを形成することは、技術的に困難であることが以前に分かっている。しかしながら、発明者らは驚くべきことに、望ましいレベルの濾過特性(濾過効率、引き出し抵抗など)を提供する比較的に高いレベルのPHA繊維を組み込んでいるフィルターセグメントを製造することが可能であることを見いだした。
【0043】
本発明によるフィルターのPHA繊維は、任意の適切な方法を使用して製造されてもよい。PHA繊維の製造のための適切な技法は当業者に周知であろう。またPHA繊維の製造のための適切な技法としては、溶融紡糸、ゲル紡糸、電界紡糸が挙げられるが、これらに限定されない。PHA繊維は溶融紡糸によって生産されることが好ましい。溶融紡糸は、溶媒を回収するまたは蒸発させる必要がないので、溶液紡糸の場合と比較して、最も経済的な紡糸プロセスであると見なされることが多い。さらに、溶融紡糸を用いた紡糸速度は一般的にかなり高く、これは全体的な生産性および製造効率の観点で有利である。
【0044】
PHA繊維は随意に、既存のフィルターセグメントにおけるセルロースアセテート繊維と同じやり方で捲縮されてもよい。
【0045】
PHAフィルターセグメントは、PHA繊維のみで形成された繊維質の濾過材料から形成されてもよい。しかしながら、本発明の特定の好ましい実施形態において、PHA繊維は、追加的な生分解性ポリマーの複数の繊維と組み合わされて、フィルターセグメントを形成してもよい。例えば、フィルターセグメントは、デンプン、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレートアジペートテレフタレート(PBAT)、熱可塑性デンプンおよび熱可塑性デンプンブレンド(TPS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコリド(PGA)、ポリビニルアルコール(PVOH/PVA)、ビスコース、再生セルロース、多糖類、2.1未満の置換度(DS)を有するセルロースアセテート、ポリアミド、タンパク質ベースのバイオポリマー、キトサン-キチンベースのバイオポリマー、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、少なくとも約5重量パーセントの少なくとも一つの生分解性ポリマーを含むことが好ましい。発明者らは、フィルターセグメントの繊維質材料を形成するブレンドにこれらの成分のうちの一つ以上を含むことが、フィルターセグメントの生分解性およびエアロゾル発生物品全体の生分解性の強化にさらに寄与することを見いだした。
【0046】
好ましい実施形態において、PHAフィルターセグメントは、少なくとも約10重量パーセントの一つのこうした追加的な生分解性ポリマーを含む。より好ましくは、PHAフィルターセグメントは、少なくとも約11重量パーセント、または少なくとも12重量パーセント、または少なくとも13重量パーセント、または少なくとも14重量パーセントの追加的な生分解性ポリマーを含む。なおより好ましくは、PHAフィルターセグメントは、少なくとも約15重量パーセントの一つのこうした追加的な生分解性ポリマーを含む。
【0047】
発明者らは、フィルターセグメントの繊維質材料を形成するブレンドにこれらの成分のうちの一つ以上を含むことが、フィルターセグメントの生分解性およびエアロゾル発生物品全体の生分解性の強化にさらに寄与することを見いだした。
【0048】
加えて、既存の技法および設備を使用してPHA含有フィラメントまたは繊維を製造することは技術的に困難であることが以前に分かっていた一方で、発明者らは驚くべきことに、PHAが上述の通りのブレンドで組み合わされた時、これが紡糸技法によってフィラメントを形成するのをより簡単にするため、高いレベルのPHAを組み込んでいるフィラメントまたは繊維を生産することが可能であることを見いだした。
【0049】
特に好ましい実施形態において、少なくとも一つの生分解性ポリマーは、PBAT、PCL、PBSのうちの一つ以上である。理論に拘束されることを望むものではないが、発明者らは、これらの選択された生分解性ポリマーのうちの一つ以上の使用が、ポリマー混合物の機械的特性、熱的特性、および形態学的特性の改善に寄与することを見いだした。特に、PBATとPBSを組み合わせて使用することは、特に引張強さおよび伸長に関して、特にバランスが良好な機械的特性を提供することが分かっている。
【0050】
PHA繊維は、PHA化合物単独で、またはポリ乳酸(PLA)などの一つ以上の他のポリマーと組み合わせて形成されてもよい。従って、PHA繊維は、PHA化合物を含むポリマーのブレンドから形成されている。
【0051】
PHAフィルターセグメントは、好ましくは少なくとも約5重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは少なくとも約10重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは少なくとも約20重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは少なくとも約30重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは少なくとも約40重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは少なくとも約50重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは少なくとも約60重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは少なくとも約70重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは少なくとも約80重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは少なくとも約90重量パーセントのPHA化合物、より好ましくは少なくとも約95重量パーセントのPHA化合物を含む。
【0052】
本発明によるエアロゾル発生物品のPHAフィルターセグメントは、エアロゾル発生基体から発生したエアロゾル中の特定の煙成分を低減するための添加物をさらに含むことが好ましい。例えば、PHAフィルターセグメントは、フェノールおよびフェノール誘導体の低減のための添加物をさらに含むことが好ましい。適切な添加物は当業者に周知であろう。また適切な添加物としては、ポリエチレングリコール(PEG)、トリアセチン、クエン酸トリエチル、セルロースアセテートフレーク、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
フィルターセグメントは、約3重量パーセント~約15重量パーセントの添加物を含むことが好ましく、約5重量パーセント~9重量パーセントの添加物を含むことがより好ましい。
【0054】
本発明の特定の好ましい実施形態において、PHAフィルターセグメントは、PEG400などのポリエチレングリコールを含む。PHA繊維と、エアロゾル発生基体から発生したエアロゾルからのフェノール化合物の減少のためのPEGなどの添加物との組み合わせは、特に効果的であることが分かっている。PHA繊維は一般的に、望ましくない煙成分に対して良好な濾過効率を提供するが、フェノール化合物の除去にはあまり効果的ではない。エアロゾル発生基体から発生したエアロゾル中のフェノール化合物のレベルを特異的に低減する化合物を組み込むことによって、PHA繊維を含む本発明によるフィルターの濾過能力をさらに最適化することが可能である。これは結果として、消費者に送達されるエアロゾルの感覚特性を改善する。
【0055】
特に好ましい実施形態において、PHAフィルターセグメントは、濾過材料の総重量に基づいて、少なくとも約5重量パーセントのポリエチレングリコールをさらに含む。フィルターセグメントは、濾過材料の総重量に基づいて、10重量パーセント以下のポリエチレングリコールを含むことが好ましい。
【0056】
本発明の他の好ましい実施形態において、PHAフィルターセグメントは、セルロースアセテートとトリアセチンの混合物をさらに含む。好ましくは、混合物は、少なくとも90重量パーセントのトリアセチンと、最大10重量パーセントのセルロースアセテートとを含む。混合物は、トリアセチンにセルロースアセテートフレークを添加して溶液を形成することによって形成されてもよい。次いで、PHAフィルターセグメント内のPHA繊維上に溶液をスプレーしてもよい。この組み合わせは、従来の紙巻たばこのフィルター中のトリアセチンとセルロースアセテート繊維の組み合わせ効果を、有利に複製することが分かっている。
【0057】
本発明によるエアロゾル発生物品のPHAフィルターセグメントは、望ましいレベルの引き出し抵抗(RTD)を提供するために適合されてもよい。PHA繊維の比較的に大きいサイズに起因して、PHA繊維は、PHAフィルターセグメントに比較的に低いRTDを提供するように配設されることができる。従って、PHAフィルターセグメントは、比較的に低いRTDが典型的に望ましい、加熱式エアロゾル発生物品のフィルターまたはマウスピースでの使用に特に適切である。別の方法として、または追加的に、許容可能なRTDを依然として提供することができるため、PHAフィルターセグメントは、比較的に長いマウスピースまたはフィルターが好ましいエアロゾル発生物品において特に適切である場合がある。
【0058】
本発明によるエアロゾル発生物品において、27ミリメートルのフィルターセグメントの場合のPHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約10ミリメートルH2Oであることが好ましい。27ミリメートルのフィルターセグメントの場合のPHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約12ミリメートルH2Oであることがより好ましく、少なくとも約15ミリメートルH2Oであることがより好ましい。本発明によるエアロゾル発生物品において、27ミリメートルのフィルターセグメントの場合のPHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約18ミリメートルH2Oであることがなおより好ましく、少なくとも約20ミリメートルH2Oであることがより好ましい。27ミリメートルのフィルターセグメントの場合のPHAフィルターセグメントのRTDは、約50ミリメートルH2O以下あることが好ましく、約45ミリメートルH2O以下であることがより好ましく、約40ミリメートルH2O以下であることがより好ましい。例えば、27ミリメートルのフィルターセグメントの場合のPHAフィルターセグメントのRTDは、約10ミリメートルH2O~約50ミリメートルH2O、または約12ミリメートルH2O~約50ミリメートルH2O、または約15ミリメートルH2O~約45ミリメートルH2O、または約18ミリメートルH2O~約45ミリメートルH2O、または約20ミリメートルH2O~約40ミリメートルH2O、またはおよそ25ミリメートルH2Oであってもよい。
【0059】
本発明の特定の好ましい実施形態において、PHAフィルターセグメントは、少なくとも約10ミリメートルH2OのRTD(本物品内のPHAフィルターセグメントの長さに基づく)を有する。PHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約15ミリメートルH2Oであることがより好ましく、少なくとも約20ミリメートルH2Oであることがより好ましい。本発明によるエアロゾル発生物品において、PHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約25ミリメートルH2Oであることがなおより好ましく、少なくとも約30ミリメートルH2Oであることがより好ましい。PHAフィルターセグメントのRTD(本物品内のPHAフィルターセグメントの長さに基づく)は、約100ミリメートルH2O以下であることが好ましく、80ミリメートルH2O以下であることがより好ましく、約60ミリメートルH2O以下であることがより好ましい。例えば、PHAフィルターセグメントのRTDは、約10ミリメートルH2O~約100ミリメートルH2O、または約15ミリメートルH2O~約80ミリメートルH2O、または約20ミリメートルH2O~約80ミリメートルH2O、または約25ミリメートルH2O~約60ミリメートルH2O、または約30ミリメートルH2O~約60ミリメートルH2Oであってもよい。こうした範囲は、可燃性喫煙物品にとって特に適切である場合がある。
【0060】
本発明の他の好ましい実施形態において、PHAフィルターセグメントは、少なくとも約10ミリメートルH2OのRTD(本物品内のPHAフィルターセグメントの長さに基づく)を有する。PHAフィルターセグメントのRTDは、少なくとも約11ミリメートルH2Oであることがより好ましく、少なくとも約12ミリメートルH2Oであることがより好ましい。PHAフィルターセグメントのRTD(本物品内のPHAフィルターセグメントの長さに基づく)は、約25ミリメートルH2O以下であることが好ましく、20ミリメートルH2O以下であることがより好ましく、約15ミリメートルH2O以下であることがより好ましい。例えば、PHAフィルターセグメントのRTDは、約10ミリメートルH2O~約25ミリメートルH2O、または約11ミリメートルH2O~約25ミリメートルH2O、または約12ミリメートルH2O~約20ミリメートルH2O、または約12ミリメートルH2O~約15ミリメートルH2O、またはおよそ約13ミリメートル2Oであってもよい。こうした範囲は、エアロゾル発生基体が燃焼ではなく加熱されてエアロゾルを生成する加熱式エアロゾル発生物品にとって特に適切である場合がある。
【0061】
「引き出し抵抗」は、体積流量が出力端で17.5ミリリットル/秒である安定した条件下で気流が横断した時の、サンプルの二つの端の間の静的圧力差を指す。サンプルのRTDは、ISO規格6565:2002に記載の方法を使用して測定することができる。
【0062】
本発明によるエアロゾル発生物品のPHAフィルターセグメントは、RTDにおける良好な安定性を提供することが追加的に見いだされていて、これは、RTDにおける高い変動性を有利に回避することができることを意味する。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品の20個のサンプル中では典型的に、2パーセント~10パーセント、より好ましくは2パーセント~5パーセントの標的RTDからの標準偏差があるであろう。
【0063】
好ましくは、本発明によるエアロゾル発生物品のPHAフィルターセグメントは、少なくとも80パーセント、より好ましくは少なくとも85パーセントの平均半径方向硬度を有する。従って、PHAフィルターセグメントは、従来のセルロースアセテートトウフィルターによって提供されるものに匹敵する、望ましいレベルのフィルター硬度を提供することができる。望ましい場合、例えば少なくとも約80グラム/平方メートル(gsm)、または少なくとも約100gsm、または少なくとも約110gsmの坪量を有するプラグラップなどの堅いプラグラップでPHAフィルターセグメントを囲むことによって、PHAフィルターセグメントの半径方向硬度をさらに増加させてもよい。
【0064】
本明細書で使用される「半径方向硬度」という用語は、長軸方向軸を横断する方向での圧縮に対する抵抗を指す。フィルターの周りのエアロゾル発生物品の半径方向硬度は、物品の長軸方向軸に対して横断方向に、フィルターの場所にて物品を横切って負荷を加えることと、物品の押圧された直径の平均(平均値)を測定することとによって決定されてもよい。半径方向硬度は以下によって与えられる。
式中、D
Sは元の(押圧されていない)直径であり、またD
dは設定継続時間の間、設定された負荷を加えた後の押圧された直径である。材料が硬いほど硬度は100%に近づく。
【0065】
エアロゾル物品の一部分(フィルターなど)の硬度を決定するには、エアロゾル発生物品を平面内で平行に整列させるべきであり、試験される各エアロゾル発生物品の同一の部分は、設定継続時間の間、設定された負荷を受けるべきである。この試験は、周知のDD60A Densimeter装置(Heinr.Borgwaldt GmbH(ドイツ)によって製造・市販)を使用して実施され、これには紙巻たばこなどのエアロゾル発生物品用の測定ヘッドが装着され、またエアロゾル発生物品容器付きである。
【0066】
一度にすべてのエアロゾル発生物品の直径を横切って延びる、二つの負荷印加円筒状ロッドを使用して負荷が加えられる。この機器のための標準的な試験方法によって、エアロゾル発生物品と負荷印加円筒状ロッドとの間に20か所の接触点が生じるように試験が実施されるべきである。一部の場合において、試験されるフィルターは、各々の喫煙物品が両方の負荷印加ロッドに接触する20か所の接触点を形成するためにエアロゾル発生物品10本のみが必要となるように、十分に長くてもよい(これらが両方のロッド間に延びるだけ十分長いため)。他の場合において、これを達成するにはフィルターが過度に短い場合、以下にさらに考察する通り、20か所の接触点を形成するためにエアロゾル発生物品20本を使用するべきであり、各々のエアロゾル発生物品は負荷印加ロッドのうちの一つのみに接触している。
【0067】
エアロゾル発生物品を支持し、かつ負荷印加円筒状ロッドの各々によって加えられる負荷に対抗するために、2本のさらなる固定された円筒状ロッドがエアロゾル発生物品の下に位置する。
【0068】
このような装置のための標準作業手順については、2kgの全体的な負荷が20秒間印加される。20秒が経過した後(かつまだ負荷が喫煙物品に加えられている状態で)、負荷印加円筒状ロッドにおける押し下げが判定され、次いで上記の方程式から硬度を算出するために使用される。温度は摂氏22度±2度の領域内に保たれる。上述の試験は、DD60A試験と呼ばれる。フィルター硬度を測定する標準的な方法は、エアロゾル発生物品がまだ消費されていない時である。平均半径方向硬度の測定に関する追加情報は、例えば米国公開特許出願公報第2016/0128378号に見いだすことができる。
【0069】
上述の通り、本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターセグメントを製造するためのPHA繊維の使用は有利なことに、従来のセルロースアセテートフィルターと比較して改善された生分解性を提供する。
【0070】
好ましくは、PHAフィルターセグメントは、ISO 14851水性媒体中のプラスチック材料の最終的な好気的生分解性の決定-閉鎖呼吸計での酸素要求量の測定による方法(2005年)に記載の試験方法に従って測定された場合、少なくとも約45パーセント、より好ましくは少なくとも約50パーセント、最も好ましくは少なくとも約55パーセントの、水性媒体中の生分解性を有する。
【0071】
同じ試験条件下で、セルロースアセテートフィルターセグメントは、およそ30パーセントの生分解性を示す。従って、フィルターセグメントを形成するために、セルロースアセテート繊維の代わりにPHA繊維を使用することは、フィルターセグメントの生分解性において有意な改善を提供すると見ることができる。
【0072】
PHAフィルターセグメントのサイズは、それが組み込まれるエアロゾル発生物品のタイプに応じて変えられてもよい。
【0073】
好ましくは、PHAフィルターセグメントは、少なくとも約4ミリメートルの長さ、より好ましくは少なくとも約5ミリメートルの長さ、より好ましくは少なくとも約7ミリメートルの長さ、最も好ましくは少なくとも約10ミリメートルの長さを有する。
【0074】
好ましくは、PHAフィルターセグメントは、約30ミリメートル以下の長さ、約27ミリメートル以下の長さ、より好ましくは約25ミリメートル以下の長さ、最も好ましくは約20ミリメートル以下の長さを有する。
【0075】
例えば、PHAフィルターセグメントの長さは、好ましくは約5ミリメートル~約30ミリメートルであり、より好ましくは約10ミリメートル~約30ミリメートルであり、なおより好ましくは約15ミリメートル~約30ミリメートルであり、最も好ましくは約20ミリメートル~約30ミリメートルである。別の方法として、こうした実施形態において、PHAフィルターセグメントの長さは、約4ミリメートル~約27ミリメートルであってもよく、好ましくは約5ミリメートル~約27ミリメートルであり、より好ましくは約10ミリメートル~約27ミリメートルであり、なおより好ましくは約15ミリメートル~約27ミリメートルであり、最も好ましくは約20ミリメートル~約27ミリメートルである。さらなる別の方法として、こうした実施形態において、PHAフィルターセグメントの長さは、約4ミリメートル~約25ミリメートルであってもよく、好ましくは約5ミリメートル~約25ミリメートルであり、より好ましくは約10ミリメートル~約25ミリメートルであり、なおより好ましくは約15ミリメートル~約30ミリメートルであり、最も好ましくは約20ミリメートル~約25ミリメートルである。
【0076】
エアロゾル発生物品が可燃性喫煙物品の形態である本発明の実施形態について、以下により詳細に記述する通り、PHAフィルターセグメントの長さは、好ましくは約20ミリメートル~約30ミリメートル、より好ましくは約25ミリメートル~約30ミリメートル、最も好ましくはおよそ27ミリメートルである。
【0077】
エアロゾル発生物品が、電気加熱手段または一体型の熱源によって加熱されることが意図されているエアロゾル発生基体を有する加熱式エアロゾル発生物品の形態である本発明の代替的な実施形態について、以下により詳細に記述する通り、PHAフィルターセグメントの長さは、好ましくは約5ミリメートル~約15ミリメートル、より好ましくは約5ミリメートル~約10ミリメートル、最も好ましくは約7ミリメートルである。
【0078】
PHAフィルターセグメントは、エアロゾル発生物品の外径とほぼ等しい外径を有することが好ましい。フィルターセグメントは、少なくとも5ミリメートルの外径を有することが好ましい。PHAフィルターセグメントは、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径、例えば約5ミリメートル~約10ミリメートル、または約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有してもよい。好ましい一実施形態において、PHAフィルターセグメントは7.2ミリメートルから10パーセント以内までの外径を有する。
【0079】
PHAフィルターセグメントの形状はまた、エアロゾル発生物品の所望の構造に依存して異なっていてもよい。特定の実施形態において、PHAフィルターセグメントは、PHA繊維を含む繊維質の濾過材料の固体の円筒状のプラグの形態であってもよい。従って、こうしたフィルターセグメントは、セルロースアセテートトウの従来のプラグと類似の構造を提供することになる。
【0080】
代替的な実施形態において、PHAフィルターセグメントは、中空管セグメントの形態であってもよい。中空管セグメントは、等価直径の円筒状プラグよりも大きい暴露表面積を有し、これはPHAフィルターセグメントの生分解性をさらに改善する場合がある。
【0081】
中空管セグメントは、少なくとも約0.3ミリメートルの壁厚さを有することが好ましい。中空管セグメントは、少なくとも約0.4ミリメートルの壁厚さを有することがより好ましい。中空管セグメントは、少なくとも約0.5ミリメートルの壁厚さを有することがなおより好ましい。
【0082】
中空管セグメントは、約1.9ミリメートル以下の壁厚さを有することが好ましい。中空管セグメントは、約1.5ミリメートル以下の壁厚さを有することがより好ましい。中空管セグメントは、約1.2ミリメートル以下の壁厚さを有することがなおより好ましい。中空管セグメントは、約0.9ミリメートル以下の壁厚さを有することが特に好ましい。
【0083】
一部の実施形態において、中空管セグメントは典型的に、少なくとも約4ミリメートルの長さを有してもよい。中空管セグメントの長さは、少なくとも約5ミリメートルであることが好ましい。中空管セグメントの長さは、少なくとも約7ミリメートルであることがより好ましい。中空管セグメントの長さは、少なくとも約10ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0084】
PHAフィルターセグメントが中空管セグメントの形態である場合、濾過材料は、PHA繊維に加えて、いくらかのセルロースアセテートを含んでもよい。例えば、中空管セグメントは、約5重量パーセント~約15重量パーセントのセルロースアセテートを含んでもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、中空管セグメント中の特定の量のセルロースアセテートは、中空管セグメントの製造を容易にする場合があるだけでなく、中空管セグメントに望ましい濾過特性および機械的特性を付与する場合があることが理解される。
【0085】
本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは、PHAフィルターセグメントのみからなる単一セグメントフィルターであってもよい。別の方法として、本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは、上述の通りのPHAフィルターセグメントの上流または下流に提供されてもよい、濾過材料から形成された一つ以上の追加的なフィルターセグメントをさらに備えてもよい。例えば、PHAフィルターセグメントは、PHA繊維を含んでもよく、または含まなくてもよい繊維質の濾過材料から形成された一つ以上の軸方向に整列したフィルタープラグと組み合わされてもよい。別の方法として、または追加的に、PHAフィルターセグメントは、中空アセテート管または厚紙管などの一つ以上の管状要素と組み合わされてもよい。例えば、特定の実施形態において、フィルターは中空アセテート管の形態の支持要素を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、PHAフィルターセグメントはエアロゾル冷却要素と組み合わされてもよい。
【0086】
追加的なフィルターセグメントは、セルロースアセテート以外の材料から形成されていることが好ましい。追加的なフィルターセグメントは、PVAなどの適切な接着剤によって所望の形状に随意に保持されてもよいPHA繊維を含むことが特に好ましい。好ましくは、追加的なフィルターセグメントの各々は、少なくとも約25重量パーセントのPHA化合物を含み、より好ましくは少なくとも約50重量パーセントのPHA化合物を含む。
【0087】
本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは随意に、風味剤を含んでもよい。風味剤は、様々な異なる手段を使用して組み込まれることができ、これは当業者に周知であろう。例えば、風味剤は、PHAフィルターセグメント内、または追加的なフィルターセグメント内に提供されてもよいカプセルの形態で組み込まれてもよい。
【0088】
本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは、PHAフィルターセグメント内にカプセルを含み、カプセルは、使用中にエアロゾル発生基体から発生したエアロゾルを修正するための添加物を含有することが好ましい。添加物は風味剤であることが好ましい。5.0~12.0の範囲内のdpf値を有するPHA繊維の使用は、上記で考察した通り、PHA繊維が比較的に大きい断面を有することを意味する。これは結果として、より低いdpf値を有する繊維から形成されたフィルターと比較して、個別の繊維間で使用可能なスペースの量が増大することを意味する。従って、この範囲内のdpfを有するPHA繊維から形成されたPHAフィルターセグメントは、カプセルの組み込みに特に適切である。カプセルは、製造中にPHAフィルターセグメントの中へと容易に組み込まれることができる。さらに、カプセルは、PHAフィルターセグメント内の望ましい軸方向位置に効果的に保持されることになる。
【0089】
本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターは、フィルターセグメントと、エアロゾル発生基体の下流端と、その間に提供されてもよい任意の追加的な構成要素とを囲む外側ラッパー(例えばチッピングラッパー)によって囲まれていることが好ましい。チッピングラッパーは、国際公開第WO-A-2017/162838号に記載の通り、取り外し可能なチッピングラッパー部分を備えてもよい。これは、エアロゾル発生物品が処分される前に、チッピングラッパーの少なくとも一部分を除去することを可能にする。チッピングラッパーの除去は、下にあるフィルターセグメントを暴露させ、従って有利なことに、フィルター材料の生分解の速度を速める場合がある。
【0090】
上記で定義の通り、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体をさらに備え、これはエアロゾル発生基体のロッドの形態であることが好ましい。エアロゾル発生基体は、たばこ材料のロッドであることが好ましい。
【0091】
エアロゾル発生基体は、約5ミリメートル~約100mmの長さを有してもよい。エアロゾル発生基体は、好ましくは少なくとも約5ミリメートルの長さを有し、より好ましくは少なくとも約7ミリメートルの長さを有する。加えて、または代替として、エアロゾル発生基体は、好ましくは約80ミリメートル未満の長さを有し、より好ましくは約65ミリメートル未満の長さを有し、なおより好ましくは約50ミリメートル未満の長さを有する。特に好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体は、約35ミリメートル未満の長さを有し、より好ましくは25ミリメートル未満の長さを有し、なおより好ましくは約20ミリメートル未満の長さを有する。一実施形態において、エアロゾル発生基体は約10ミリメートルの長さを有してもよい。好ましい一実施形態において、エアロゾル発生基体は約12ミリメートルの長さを有する。
【0092】
特定の実施形態において、本発明によるエアロゾル発生物品は、燃焼して煙を形成するたばこ材料を含むエアロゾル発生基体が中に含まれているフィルター付き紙巻たばこまたは他の可燃性喫煙物品である。いずれかのこうした実施形態において、エアロゾル発生基体は、たばこロッドを備えてもよい。たばこロッドは、カットフィラーおよび再構成たばこのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0093】
エアロゾル発生物品が可燃性喫煙物品の形態である実施形態について、典型的にたばこロッドであるエアロゾル発生基体は、好ましくは約10ミリメートル~約100ミリメートルの長さを有し、より好ましくは約30ミリメートル~約70ミリメートルの全長を有する。たばこロッドは、カットフィラーおよび再構成たばこのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0094】
上記で考察した通り、PHAセグメントを備える本発明のフィルターは、たばこ材料が燃焼されるのではなく加熱されてエアロゾルを形成する加熱式エアロゾル発生物品において特定の用途がある。これは、上述の通り、定義された範囲のdpfを有するPHAセグメントに対して比較的に低いレベルのRTDを提供する可能性に、少なくとも部分的に起因する。一つのタイプの加熱式エアロゾル発生物品において、たばこ材料は一つ以上の電気発熱体によって加熱されてエアロゾルを生成する。別のタイプの加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは、可燃性の熱源または化学的な熱源から、熱源内に、熱源の周りに、または熱源の下流に位置してもよい物理的に分離されたたばこ材料への熱の伝達によって生成される。本発明は、燃焼することなく、また一部の場合において加熱することなく、例えば化学反応によって、たばこ材料、たばこ抽出物、または他のニコチン供与源からニコチン含有エアロゾルが発生されるエアロゾル発生物品をさらに包含する。
【0095】
エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生基体を中で加熱してエアロゾルを形成することが意図されている加熱式エアロゾル発生物品の形態である実施形態の場合、エアロゾル発生基体は、好ましくは約5ミリメートル~約40ミリメートル、より好ましくは約9ミリメートル~約15ミリメートルの長さを有する。
【0096】
エアロゾル発生物品が加熱式エアロゾル発生物品の形態であるこうした実施形態の場合、エアロゾル発生基体は、たばこ粒子の凝集から形成された均質化したたばこ材料から形成されていることが好ましい。エアロゾル発生基体は、一つ以上の均質化したたばこ材料のシートの集合体を含んでもよい。一つ以上のシートはテクスチャ加工されてもよい。本明細書で使用される「テクスチャ加工されたシート」という用語は、捲縮された、エンボス加工された、デボス加工された、穿孔された、または別の方法で変形されたシートを意味する。別の方法として、エアロゾル発生基体は、均質化したたばこ材料の複数の細片または撚糸を含んでもよい。細片または撚糸は、長軸方向に相互に実質的に整列されてもよく、または無作為な向きにされてもよい。
【0097】
エアロゾル発生基体に使用する均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で少なくとも約40重量パーセントのたばこ含有量を有してもよく、より好ましくは乾燥重量基準で少なくとも約60重量パーセントのたばこ含有量を有してもよく、より好ましくは乾燥基準で少なくとも約70重量パーセントのたばこ含有量を有してもよく、また最も好ましくは乾燥重量基準で少なくとも約90重量パーセントのたばこ含有量を有してもよい。
【0098】
エアロゾル発生基体に使用する均質化したたばこ材料は、粒子状たばこの凝集を補助するために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体に使用する均質化したたばこ材料は、たばこ繊維および非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填材、水性および非水性の溶媒、およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の添加物を含んでもよい。
【0099】
エアロゾル発生基体に使用する均質化したたばこ材料に含める適切な外来的な結合剤は当業界で周知であり、それらにはガム(例えば、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、ローカストビーンガムなど)、セルロース系結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、およびエチルセルロースなど)、多糖類(例えば、デンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウムなどの有機酸の共役塩基塩、寒天、ペクチンなど)、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
エアロゾル発生基体に使用する均質化したたばこ材料に含める適切な非たばこ繊維は当業界で周知であり、それらにはセルロース繊維、針葉樹繊維、広葉樹繊維、ジュート繊維、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。エアロゾル発生基体に使用する均質化したたばこ材料に含める前に、非たばこ繊維は、当業界で周知の適切なプロセスによって処理されてもよく、プロセスには機械パルプ化、精製、化学パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
加熱式エアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体は典型的に、「エアロゾル形成体」、すなわち使用時にエアロゾルの形成を容易にする、および好ましくはエアロゾル発生物品の使用温度で熱分解に対して実質的に耐性がある化合物または化合物の混合物を含む。適切なエアロゾル形成体の例としては、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられる。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、最も好ましくはグリセリンなど)である。
【0102】
エアロゾル発生基体は、少なくとも10重量パーセントのエアロゾル形成体を含むことが好ましく、より好ましくは少なくとも12重量パーセントのエアロゾル形成体、より好ましくは少なくとも約15重量パーセントのエアロゾル形成体を含む。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体は、好ましくは30重量パーセント以下のエアロゾル形成体、より好ましくは約25重量パーセント以下のエアロゾル形成体、より好ましくは約20重量パーセント以下のエアロゾル形成体を含む。例えば、エアロゾル発生基体は、約10重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体、または約12重量パーセント~約25重量パーセントのエアロゾル形成体、または約15重量パーセント~約20重量パーセントのエアロゾル形成体を含んでもよい。特に好ましい一実施形態において、エアロゾル発生基体は、およそ18重量パーセントのエアロゾル形成体を含む。
【0103】
本発明によるエアロゾル発生物品は、フィルターとエアロゾル発生基体の間に一つ以上の追加的な構成要素をさらに備えてもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、支持要素、エアロゾル冷却要素、伝達要素のうちの一つ以上をさらに備えてもよい。こうした構成要素の構造は当業者に周知であろう。
【0104】
例えば、本発明の特定の好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体と、エアロゾル発生基体のすぐ下流の支持要素と、支持要素のすぐ下流に位置するエアロゾル冷却要素と、フィルターの下流端にてPHAフィルターセグメントを備えるマウスピースとを直線的な連続的配設で備える。
【0105】
本発明の他の好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体と、伝達要素と、エアロゾル冷却要素と、スペーサー要素と、マウスピースフィルターとを直線的な連続的配設で備える。
【0106】
本発明の特定の好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体の上流端と接触して、エアロゾル発生物品の上流端にて可燃性熱源をさらに備える。例えば、エアロゾル発生物品は、使用中にエアロゾルを発生するためにエアロゾル発生基体を加熱するために、上流端にて炭素質の熱源を備えてもよい。適切な炭素質の熱源は当業者に周知であろう。
【0107】
ここで、図を参照しながら本発明をさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【
図1】
図1は、ヒーター要素を備えるエアロゾル発生装置で使用する、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の断面図を示す。
【
図2】
図2は、一体型の熱源を備える、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の断面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の断面図を示す。
【
図4】
図4は、電気的に作動するエアロゾル発生装置と、
図1に示すエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムの概略的な長軸方向の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0109】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体12のロッド、中空の管状要素として提供された支持要素14、冷却要素16、および口側端フィルターセグメント18を備える。これらの四つの要素は連続的に、かつ同軸に整列して配設されていて、また基体ラッパー20によって囲まれていて、エアロゾル発生物品10を形成する。エアロゾル発生物品10は、口側端22と、口側端22に対して物品の反対側の端に位置する遠位端24とを有する。
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッドを加熱するためのヒーターを備える、電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するために特に適切である。
【0110】
使用時に、空気は、ユーザーによってエアロゾル発生物品を通して遠位端24から口側端22に引き出される。エアロゾル発生物品の遠位端24はまた、エアロゾル発生物品10の上流端として記述される場合があり、エアロゾル発生物品10の口側端22はまた、エアロゾル発生物品10の下流端として記述される場合がある。口側端22と遠位端24の間に位置するエアロゾル発生物品10の要素を、口側端22の上流にあると記述することができ、または別の方法として、遠位端24の下流にあると記述することができる。
【0111】
エアロゾル発生基体12は、エアロゾル発生物品10の最遠の遠位端または上流端に位置する。
図1に図示する実施形態において、エアロゾル発生基体12は、ラッパーによって囲まれた、捲縮した均質化したたばこ材料シートの集合体を備える。均質化したたばこ材料の捲縮したシートはエアロゾル形成体としてグリセリンを含む。
【0112】
支持要素14はエアロゾル発生基体12のすぐ下流に位置し、エアロゾル発生基体12に当接する。
図1に示す実施形態において、支持要素は、繊維質の濾過材料で形成された中空管である。支持要素14は、エアロゾル発生装置の発熱体によって貫通されることができるように、エアロゾル発生物品10の最遠の遠位端24にエアロゾル発生基体12を位置させる。実際において、支持要素14は、エアロゾル発生装置の発熱体がエアロゾル発生基体12の中に挿入されている時に、エアロゾル発生基体16がエアロゾル冷却要素16に向かってエアロゾル発生物品10内で下流に押しやられるのを防止するように働く。支持要素14はまた、エアロゾル発生物品10のエアロゾル冷却要素16をエアロゾル発生基体12から離隔するためのスペーサーとしても働く。
【0113】
エアロゾル冷却要素16は支持要素14のすぐ下流に位置し、支持要素16に当接する。使用時に、エアロゾル発生基体12から放出された揮発性物質は、エアロゾル発生物品10の口側端22に向かって、エアロゾル冷却要素16に沿って通る。揮発性物質は、エアロゾル冷却要素16内で冷えて、ユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成してもよい。
図1に図示する実施形態において、エアロゾル冷却要素は管状要素20を備える。ポリ乳酸の捲縮したシートの集合体は、エアロゾル冷却要素40の長さに沿って延びる複数の長軸方向のチャネルを画定する。
【0114】
フィルターセグメント18はエアロゾル冷却要素16のすぐ下流に位置し、エアロゾル冷却要素16に当接する。
図1に図示する実施形態において、フィルターセグメント18は、およそ8.0のフィラメント当たりのデニールおよびおよそ15,000の総デニールを有する複数のPHA繊維から形成された繊維質の濾過材料の単一の円筒状プラグを備える。PHA繊維は丸い断面形状を有し、フィルターセグメントの長さに沿って相互に実質的に長軸方向に整列している。PHA繊維の外表面積は、約0.1平方メートル/グラムに相当する。PHA繊維は、溶融紡糸プロセスによって形成されていて、かつ捲縮されている。繊維質濾過材料のプラグは、プラグラップ(図示せず)によって囲まれている。
【0115】
図2に示すエアロゾル発生物品100は、可燃性熱源112と、エアロゾル発生基体のロッド114と、伝達要素116と、エアロゾル冷却要素118と、スペーサー要素120と、マウスピースフィルターセグメント122とを備える。これらの要素は連続的に、かつ同軸に整列して配設されていて、また基体ラッパーによって囲まれていて、エアロゾル発生物品100を形成する。
【0116】
可燃性熱源112は、約10ミリメートルの長さを有する、炭素質の材料の実質的に円形の円筒状本体を備える。可燃性熱源112はブラインド熱源である。言い換えれば、可燃性熱源112は、これを通して延びるいかなる空気チャネルも備えない。
【0117】
エアロゾル発生基体114のロッドは、可燃性熱源112の近位端に配設されている。エアロゾル発生基体114は、フィルタープラグラップ126によって囲まれたたばこ材料の実質的に円形の円筒状プラグ124を備える。
【0118】
不燃性で実質的に空気不透過性の第一のバリア128は、可燃性熱源112の近位端とエアロゾル発生基体114の遠位端との間に配設されている。第一のバリア128は、アルミ箔のディスクを備える。第一のバリア128はまた、可燃性熱源112の近位面からエアロゾル発生基体114の遠位面に熱を伝導するために、可燃性熱源112とエアロゾル発生基体114の間に熱伝導性部材を形成する。
【0119】
熱伝導性要素130は、可燃性熱源112の近位部分およびエアロゾル形成基体114の遠位部分を囲む。熱伝導性要素130はアルミ箔の管を備える。熱伝導性要素130は、可燃性熱源112の近位部分、およびエアロゾル発生基体114のフィルタープラグラップ126と直接接触している。
【0120】
マウスピースフィルター122は、およそ8.0のフィラメント当たりのデニールおよびおよそ15,000の総デニールを有する複数のPHA繊維から形成された繊維質の濾過材料の単一の円筒状プラグ126を備える。PHA繊維は丸い断面形状を有し、フィルターセグメントの長さに沿って相互に実質的に長軸方向に整列している。PHA繊維の総外表面積は、約0.1平方メートル/グラムに相当する。PHA繊維は、溶融紡糸プロセスによって形成されていて、かつ捲縮されている。繊維質濾過材料のプラグは、プラグラップ(図示せず)によって囲まれている。
【0121】
図3に示すエアロゾル発生物品310は、相互に同軸の整列で配設されたエアロゾル発生基体312とフィルター314とを備える可燃性喫煙物品である。エアロゾル発生基体312は、外側ラッパー(図示せず)によって囲まれたたばこロッドを備える。チッピングラッパー316は、フィルター314とエアロゾル発生基体312の端部分との両方を囲み、フィルター314をエアロゾル発生基体312に取り付ける。
【0122】
フィルター314は、およそ8.0のフィラメント当たりのデニールおよびおよそ15,000の総デニールを有するPHA繊維から形成された繊維質の濾過材料の単一の円筒状プラグ318を備える。PHA繊維は丸い断面形状を有し、フィルターセグメントの長さに沿って相互に実質的に長軸方向に整列している。PHA繊維の総外表面積は、約0.1平方メートル/グラムに相当する。PHA繊維は、溶融紡糸プロセスによって形成されていて、かつ捲縮されている。繊維質濾過材料のプラグは、プラグラップ(図示せず)によって囲まれている。
【0123】
図4は、
図1に示すエアロゾル発生物品10のエアロゾル発生基体12のロッドを加熱するためのヒーターブレード210を利用する電気的に作動するエアロゾル発生システム200の一部分を示す。ヒーターブレード210は、電気的に作動するエアロゾル発生装置212のハウジング内のエアロゾル発生物品チャンバー内に据え付けられている。エアロゾル発生装置212は、
図4に矢印で図示されている通り、空気がエアロゾル発生物品10に流れることを可能にするための複数の空気穴214を画定する。エアロゾル発生装置212は電源および電子部品を備え、これらは
図4で図示されていない。