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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ファイバ集合体
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/04 20060101AFI20241107BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20241107BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
G02B6/04 A
G02B6/02 461
G02B6/44 371
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023023215
(22)【出願日】2023-02-17
(65)【公開番号】P2024117232
(43)【公開日】2024-08-29
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓弥
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-187862(JP,A)
【文献】特開2013-210602(JP,A)
【文献】特開平05-257028(JP,A)
【文献】特開2004-354125(JP,A)
【文献】特開2016-051059(JP,A)
【文献】特開平06-109541(JP,A)
【文献】特開昭61-137104(JP,A)
【文献】特開平03-192307(JP,A)
【文献】特開2013-092801(JP,A)
【文献】SOMA, Daiki et al.,Trans-Pacific class transmission over a standard cladding ultralow-loss 4-core fiber,Optics Express,2022年03月08日,Vol. 30、No. 6,pp.9482-9493,DOI: 10.1364/oe.453597
【文献】TAKAHASHI, Masanori et al.,Multicore Fiber Fusion Splicer Suitable for Practical Applications,2022 27th OptoElectronics and Communications Conference (OECC) and 2022 International Conference on Photonics in Switching and Computing (PSC),2022年07月03日,DOI: 10.23919/OECC/PSC53152.2022.9850065
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02-6/10, 6/24, 6/255-6/27, 6/30-6/34, 6/36-6/44
G01M 11/00-11/08
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコア、マーカー、及びそれぞれの前記コア及び前記マーカーを囲うクラッドを含む2以上のマルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられたファイバ集合体であって、
前記2以上のマルチコアファイバの各マルチコアファイバの各コアは、前記マーカーの位置によって識別可能であり、
前記2以上のマルチコアファイバのうち特定のマルチコアファイバにおける前記マーカーの位置によって識別される特定のコアの特定波長の光の伝搬損失が、前記2以上のマルチコアファイバのうち他のマルチコアファイバにおける前記特定のコアと前記マーカーの位置によって共通の規則で識別されるコアの前記特定波長の光の伝搬損失と0.005dB/km以上異なり、
前記特定波長は、通信波長帯域以外の波長である
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項2】
複数のコア、マーカー、及びそれぞれの前記コア及び前記マーカーを囲うクラッドを含む2以上のマルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられたファイバ集合体であって、
前記2以上のマルチコアファイバの各マルチコアファイバの各コアは、前記マーカーの位置によって識別可能であり、
前記2以上のマルチコアファイバのうち特定のマルチコアファイバにおける前記マーカーの位置によって識別される特定のコアの特定波長の光の伝搬損失が、前記2以上のマルチコアファイバのうち他のマルチコアファイバにおける前記特定のコアと前記マーカーの位置によって共通の規則で識別されるコアの前記特定波長の光の伝搬損失と0.005dB/km以上異なり、
前記特定波長は、1360nm以上1460nm以下である
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項3】
複数のコア、マーカー、及びそれぞれの前記コア及び前記マーカーを囲うクラッドを含む2以上のマルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられたファイバ集合体であって、
前記2以上のマルチコアファイバの各マルチコアファイバの各コアは、前記マーカーの位置によって識別可能であり、
前記2以上のマルチコアファイバのうち特定のマルチコアファイバにおける前記マーカーの位置によって識別される特定のコアの特定波長の光の伝搬損失が、前記2以上のマルチコアファイバのうち他のマルチコアファイバにおける前記特定のコアと前記マーカーの位置によって共通の規則で識別されるコアの前記特定波長の光の伝搬損失と0.005dB/km以上異なり、
前記特定波長は、800nm以上950nm以下である
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項4】
複数のコア、マーカー、及びそれぞれの前記コア及び前記マーカーを囲うクラッドを含む2以上のマルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられたファイバ集合体であって、
前記2以上のマルチコアファイバの各マルチコアファイバの各コアは、前記マーカーの位置によって識別可能であり、
前記2以上のマルチコアファイバのうち特定のマルチコアファイバにおける前記マーカーの位置によって識別される特定のコアの特定波長の光の伝搬損失が、前記2以上のマルチコアファイバのうち他のマルチコアファイバにおける前記特定のコアと前記マーカーの位置によって共通の規則で識別されるコアの前記特定波長の光の伝搬損失と0.01dB/km以上異なる
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項5】
複数のコア、マーカー、及びそれぞれの前記コア及び前記マーカーを囲うクラッドを含む2以上のマルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられたファイバ集合体であって、
前記2以上のマルチコアファイバの各マルチコアファイバの各コアは、前記マーカーの位置によって識別可能であり、
前記2以上のマルチコアファイバのうち特定のマルチコアファイバにおける前記マーカーの位置によって識別される特定のコアの特定波長の光の伝搬損失が、前記2以上のマルチコアファイバのうち他のマルチコアファイバにおける前記特定のコアと前記マーカーの位置によって共通の規則で識別されるコアの前記特定波長の光の伝搬損失と0.03dB/km以上異なる
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項6】
複数のコア、マーカー、及びそれぞれの前記コア及び前記マーカーを囲うクラッドを含む2以上のマルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられたファイバ集合体であって、
前記2以上のマルチコアファイバの各マルチコアファイバの各コアは、前記マーカーの位置によって識別可能であり、
前記2以上のマルチコアファイバのうち特定のマルチコアファイバにおける前記マーカーの位置によって識別される特定のコアの特定波長の光の伝搬損失が、前記2以上のマルチコアファイバのうち他のマルチコアファイバにおける前記特定のコアと前記マーカーの位置によって共通の規則で識別されるコアの前記特定波長の光の伝搬損失と0.005dB/km以上異なり、
前記特定波長は、360nm以上830nm以下である
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項7】
複数のコア、マーカー、及びそれぞれの前記コア及び前記マーカーを囲うクラッドを含む複数のマルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられたファイバ集合体であって、
2以上の前記マルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられた複数のファイバ束を備え、
前記複数のファイバ束の各ファイバ束の各マルチコアファイバは、外観によって識別可能であり、
前記2以上のマルチコアファイバの各マルチコアファイバの各コアは、前記マーカーの位置によって識別可能であり、
前記複数のファイバ束のうち特定のファイバ束において前記外観によって識別される特定のマルチコアファイバにおける前記マーカーの位置によって識別される特定のコアの特定波長の光の伝搬損失が、前記複数のファイバ束のうち他のファイバ束において前記特定のマルチコアファイバと共通の外観で識別されるマルチコアファイバにおける前記特定のコアと前記マーカーの位置によって共通の規則で識別されるコアの前記特定波長の光の伝搬損失と0.005dB/km以上異なり、
前記特定波長は、通信波長帯域以外の波長である
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項8】
複数のコア、マーカー、及びそれぞれの前記コア及び前記マーカーを囲うクラッドを含む複数のマルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられたファイバ集合体であって、
2以上の前記マルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられた複数のファイバ束を備え、
前記複数のファイバ束の各ファイバ束の各マルチコアファイバは、外観によって識別可能であり、
前記2以上のマルチコアファイバの各マルチコアファイバの各コアは、前記マーカーの位置によって識別可能であり、
前記複数のファイバ束のうち特定のファイバ束において前記外観によって識別される特定のマルチコアファイバにおける前記マーカーの位置によって識別される特定のコアの特定波長の光の伝搬損失が、前記複数のファイバ束のうち他のファイバ束において前記特定のマルチコアファイバと共通の外観で識別されるマルチコアファイバにおける前記特定のコアと前記マーカーの位置によって共通の規則で識別されるコアの前記特定波長の光の伝搬損失と0.005dB/km以上異なり、
前記特定波長は、1360nm以上1460nm以下である
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項9】
複数のコア、マーカー、及びそれぞれの前記コア及び前記マーカーを囲うクラッドを含む複数のマルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられたファイバ集合体であって、
2以上の前記マルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられた複数のファイバ束を備え、
前記複数のファイバ束の各ファイバ束の各マルチコアファイバは、外観によって識別可能であり、
前記2以上のマルチコアファイバの各マルチコアファイバの各コアは、前記マーカーの位置によって識別可能であり、
前記複数のファイバ束のうち特定のファイバ束において前記外観によって識別される特定のマルチコアファイバにおける前記マーカーの位置によって識別される特定のコアの特定波長の光の伝搬損失が、前記複数のファイバ束のうち他のファイバ束において前記特定のマルチコアファイバと共通の外観で識別されるマルチコアファイバにおける前記特定のコアと前記マーカーの位置によって共通の規則で識別されるコアの前記特定波長の光の伝搬損失と0.005dB/km以上異なり、
前記特定波長は、800nm以上950nm以下である
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項10】
複数のコア、マーカー、及びそれぞれの前記コア及び前記マーカーを囲うクラッドを含む複数のマルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられたファイバ集合体であって、
2以上の前記マルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられた複数のファイバ束を備え、
前記複数のファイバ束の各ファイバ束の各マルチコアファイバは、外観によって識別可能であり、
前記2以上のマルチコアファイバの各マルチコアファイバの各コアは、前記マーカーの位置によって識別可能であり、
前記複数のファイバ束のうち特定のファイバ束において前記外観によって識別される特定のマルチコアファイバにおける前記マーカーの位置によって識別される特定のコアの特定波長の光の伝搬損失が、前記複数のファイバ束のうち他のファイバ束において前記特定のマルチコアファイバと共通の外観で識別されるマルチコアファイバにおける前記特定のコアと前記マーカーの位置によって共通の規則で識別されるコアの前記特定波長の光の伝搬損失と0.01dB/km以上異なる
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項11】
複数のコア、マーカー、及びそれぞれの前記コア及び前記マーカーを囲うクラッドを含む複数のマルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられたファイバ集合体であって、
2以上の前記マルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられた複数のファイバ束を備え、
前記複数のファイバ束の各ファイバ束の各マルチコアファイバは、外観によって識別可能であり、
前記2以上のマルチコアファイバの各マルチコアファイバの各コアは、前記マーカーの位置によって識別可能であり、
前記複数のファイバ束のうち特定のファイバ束において前記外観によって識別される特定のマルチコアファイバにおける前記マーカーの位置によって識別される特定のコアの特定波長の光の伝搬損失が、前記複数のファイバ束のうち他のファイバ束において前記特定のマルチコアファイバと共通の外観で識別されるマルチコアファイバにおける前記特定のコアと前記マーカーの位置によって共通の規則で識別されるコアの前記特定波長の光の伝搬損失と0.03dB/km以上異なる
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項12】
複数のコア、マーカー、及びそれぞれの前記コア及び前記マーカーを囲うクラッドを含む複数のマルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられたファイバ集合体であって、
2以上の前記マルチコアファイバが長手方向に沿って束ねられた複数のファイバ束を備え、
前記複数のファイバ束の各ファイバ束の各マルチコアファイバは、外観によって識別可能であり、
前記2以上のマルチコアファイバの各マルチコアファイバの各コアは、前記マーカーの位置によって識別可能であり、
前記複数のファイバ束のうち特定のファイバ束において前記外観によって識別される特定のマルチコアファイバにおける前記マーカーの位置によって識別される特定のコアの特定波長の光の伝搬損失が、前記複数のファイバ束のうち他のファイバ束において前記特定のマルチコアファイバと共通の外観で識別されるマルチコアファイバにおける前記特定のコアと前記マーカーの位置によって共通の規則で識別されるコアの前記特定波長の光の伝搬損失と0.005dB/km以上異なり、
前記特定波長は、360nm以上830nm以下である
ことを特徴とするファイバ集合体。
【請求項13】
前記特定波長は、前記通信波長帯域より短い
ことを特徴とする請求項1または7に記載のファイバ集合体。
【請求項14】
前記外観は、前記マルチコアファイバの色、前記マルチコアファイバの外周面に付されるマーキング、前記ファイバ束における前記マルチコアファイバの位置、前記マルチコアファイバの外径、及び前記マルチコアファイバの外形の少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項7から12のいずれか1項に記載のファイバ集合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバ集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信装置の伝送容量増大を実現するために、導波路としての複数のコアの外周が1つのクラッドにより囲まれたマルチコアファイバを用いて、それぞれのコアを伝搬する光により、複数の信号を伝送させることが知られている。下記特許文献1には、このようなマルチコアファイバを束ねたファイバ集合体としてのテープ心線が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-173514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなファイバ集合体では、他のファイバ集合体等といった光通信部材に接続される場合において、特定のマルチコアファイバを識別したいとの要望がある。
【0005】
そこで、本発明は、光通信部材に接続される場合において、特定のマルチコアファイバを識別し得るファイバ集合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1は、複数のコア及びそれぞれの前記コアを囲うクラッドを含む2以上のマルチコアファイバが束ねられたファイバ集合体であって、特定の前記マルチコアファイバにおける特定の前記コアの光学特性が、他の前記マルチコアファイバにおける特定の前記コアに対応する前記コアの光学特性と異なることを特徴とするファイバ集合体である。
【0007】
態様1によれば、光通信部材に接続される場合において、コアの光学特性を調べることで、特定のマルチコアファイバを識別し得る。光学特性は、例えば、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)、OFDR(Optical Frequency Domain Reflectometry)、OLTS(Optical Loss Test Sets)等による測定結果に基づいて測定できる。
【0008】
本発明の態様2は、複数のコア及びそれぞれの前記コアを囲うクラッドを含む複数のマルチコアファイバが束ねられたファイバ集合体であって、2以上の前記マルチコアファイバが束ねられた複数のファイバ束を備え、特定の前記ファイバ束の特定の前記マルチコアファイバにおける特定の前記コアの光学特性が、他の前記ファイバ束における特定の前記マルチコアファイバに対応する前記マルチコアファイバにおける特定の前記コアに対応する前記コアの光学特性と異なることを特徴とするファイバ集合体である。
【0009】
態様2によれば、態様1と同様にして、光通信部材に接続される場合において、光学特性を調べることで、特定のマルチコアファイバを識別し得、その結果、特定のファイバ束を識別し得る。
【0010】
本発明の態様3は、特定の前記コアの数は複数であり、前記光学特性は、複数の前記コアの特定波長の光の損失に基づいて求められる所定値であることを特徴とする態様1または2のファイバ集合体である。
【0011】
態様3では、所定値がマルチコアファイバにおける複数のコアに起因にする値であるため、所定値がマルチコアファイバにおける1つのコアに起因する値である場合と比べて、高い精度で特定のマルチコアファイバを識別し得る。
【0012】
本発明の態様4は、特定の前記コアは、特定の前記マルチコアファイバの全ての前記コアであることを特徴とする態様3のファイバ集合体である。
【0013】
態様4では、所定値がマルチコアファイバにおける全てのコアに起因にする値であるため、所定値がマルチコアファイバにおける1つのコアに起因する値である場合と比べて、より高い精度で特定のマルチコアファイバを識別し得る。
【0014】
態様5は、前記特定波長は、通信波長帯域以外の波長であることを特徴とする態様3または4のファイバ集合体である。
【0015】
光通信においては、それぞれのコアを伝搬する光の損失のばらつきが少ない方が好ましい。態様5によれば、特定のマルチコアファイバを調べるために通信波長帯域以外の特定波長の光を用いることで、コアでの通信波長帯域の波長の光の伝搬のばらつきが少ない場合であっても、特定のマルチコアファイバを識別することができる。
【0016】
態様6は、前記特定波長は、前記通信波長帯域より短いことを特徴とする態様5のファイバ集合体である。
【0017】
コアを伝搬する光の波長が短いほど当該光のコア間クロストークが抑制される傾向にある。このため、態様6によれば、通信波長帯域が同じかつ特定波長が通信波長帯域より長い場合と比べて、通信波長帯域以外の特定波長の光を用いて特徴値を調べる際にコアを伝搬する特定波長の光のコア間クロストークを抑制し得る。このため、態様8によれば、特定のマルチコアファイバをより容易に識別し得る。
【0018】
態様7は、前記特定波長は、1360nm以上1460nm以下であることを特徴とする態様3から6のいずれか1つのファイバ集合体である。
【0019】
コアを伝搬する光の波長が所謂E帯である1360nm以上1460nm未満である場合、コアに含有される水酸基による光の損失が大きくなることが知られており、OHロスと言われることがある。態様7によれば、特定のマルチコアファイバにおける特定のコアと他のマルチコアファイバの特定のコアに対応するコアとで水酸基の含有量を異ならせることで、特定のコアの伝搬損失と特定のコアに対応するコアの伝搬損失を異ならせることができる。また、光通信で使用する光の波長は、1360nm以上1460nm未満とされることがあり、当該波長帯域の光を用いた既存のOTDR、OFDR、OLTS等がある。このため、態様9によれば、例えば、既存のOTDR、OFDR、OLTS等であっても伝搬損失を測定でき得る。このため、特定のマルチコアファイバを識別し易くし得る。
【0020】
態様8は、前記特定波長は、800nm以上950nm以下であることを特徴とする態様3から6のいずれか1つのファイバ集合体である。
【0021】
マルチモードファイバ通信で使用する光の波長は、800nm以上950nm以下とされることがあり、当該波長帯域の光を用いた既存のOTDR、OLTS等がある。このため、態様8によれば、例えば、既存のOTDR、OLTS等であっても伝搬損失を測定でき得る。このため、特定のマルチコアファイバを識別し易くし得る。
【0022】
態様9は、特定の前記マルチコアファイバは、複数の光ファイバ部の端部が互いに接続されて成り、特定の前記マルチコアファイバにおける前記光ファイバ部同士の接続部での光の損失が、他の前記マルチコアファイバにおける特定の前記マルチコアファイバの前記接続部に対応する位置での光の損失と異なることを特徴とする態様1のファイバ集合体である。
【0023】
ここで、短尺のマルチコアファイバの場合、伝搬損失が小さいため測定される当該伝搬損失の誤差が大きくなる場合がある。しかし、態様9によれば、接続部による光の損失を用いるため、マルチコアファイバが短尺であっても、誤差を抑制して特定のマルチコアファイバを識別し得る。
【0024】
態様10は、特定の前記マルチコアファイバは、複数の光ファイバ部の端部が互いに接続されて成り、特定の前記マルチコアファイバにおける前記光ファイバ部同士の接続部での光の損失が、特定の前記マルチコアファイバに対応する前記マルチコアファイバにおける特定の前記マルチコアファイバの前記接続部に対応する位置での光の損失と異なることを特徴とする態様2のファイバ集合体である。
【0025】
態様10によれば、態様9と同様にして、接続部による光の損失を用いるため、マルチコアファイバが短尺であっても、誤差を抑制して特定のマルチコアファイバを識別し得る。
【0026】
態様11は、特定の前記マルチコアファイバ及び他の前記マルチコアファイバは、複数の光ファイバ部の端部が互いに接続されて成り、特定の前記マルチコアファイバにおける前記光ファイバ部同士の接続部の数が、他の前記マルチコアファイバにおける前記光ファイバ部同士の接続部の数と異なることを特徴とする態様1のファイバ集合体である。
【0027】
態様11によれば、接続部の数という離散的な自然数に基づいて特定のマルチコアファイバを識別するが、例えば伝搬損失などの損失は一般的に自然数にはならない。このため、伝搬損失などの損失の違いに基づいて特定のマルチコアファイバを識別する場合と比べて容易に識別し得る。
【0028】
態様12は、特定の前記マルチコアファイバ及び特定の前記マルチコアファイバに対応する前記マルチコアファイバは、複数の光ファイバ部の端部が互いに接続されて成り、特定の前記マルチコアファイバにおける前記光ファイバ部同士の接続部の数が、特定の前記マルチコアファイバに対応する前記マルチコアファイバにおける前記光ファイバ部同士の接続部の数と異なることを特徴とする態様2のファイバ集合体である。
【0029】
態様12によれば、態様11と同様にして、伝搬損失などの損失の違いに基づいて特定のマルチコアファイバを識別する場合と比べて容易に識別し得る。
【0030】
態様13は、特定の前記マルチコアファイバの特定の前記コアにおける特定波長の光の伝搬損失と他の前記マルチコアファイバにおける特定の前記コアに対応する前記コアにおける前記特定波長の光の伝搬損失との差が、0.1dB/km以上であることを特徴とする態様1のファイバ集合体である。
【0031】
態様14は、特定の前記マルチコアファイバの特定の前記コアにおける特定波長の光の伝搬損失と特定の前記マルチコアファイバに対応する前記マルチコアファイバにおける特定の前記コアに対応する前記コアにおける前記特定波長の光の伝搬損失との差が、0.1dB/km以上であることを特徴とする態様2のファイバ集合体である。
【0032】
態様13及び14によれば、伝搬損失の測定可能な最小の値が大きい測定装置(例えば、汎用の測定装置)であっても伝搬損失の差を測定でき得るため、特定のマルチコアファイバを識別し易くし得る。
【0033】
態様15は、前記光学特性は、前記コアの特定波長の伝搬損失であり、前記特定波長は、360nm以上830nm以下であることを特徴とする態様1、2、13及び14のいずれか1つのファイバ集合体である。
【0034】
波長が360nm以上830nm未満の光は可視光であり、当該光はエネルギーが減少するにつれて暗く見える。このため、態様15によれば、例えば、それぞれのマルチコアファイバの一端側からコアに上記の特定波長の光を入射させた際の戻り光の明るさを目視で調べることで、特定のマルチコアファイバを識別し得る。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明によれば、光通信部材に接続される場合において、特定のマルチコアファイバを識別し得るファイバ集合体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の第1実施形態に係るファイバ集合体を備える光通信装置を示す概念図である。
図2】テープ心線を概略的に示す斜視図である。
図3】テープ心線の長手方向に垂直な断面を示す図である。
図4】シングルコアファイバの長手方向に垂直な断面を示す図である。
図5】第1実施形態の光通信装置の光学特性を示す図である。
図6】第2実施形態に係る光通信装置を示す概念図である。
図7】第3実施形態におけるバンドルユニットの長手方向に垂直な断面を概略的に示す図である。
図8】第4実施形態におけるケーブルの長手方向に垂直な断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係るファイバ集合体の好適な実施形態について図を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、実施形態から変更、改良することができる。なお、理解の容易のため、それぞれの図のスケールと、以下の説明に記載するスケールとが異なる場合がある。
【0038】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係るファイバ集合体を備える光通信装置を示す概念図である。本実施形態のファイバ集合体は、テープ心線Tであり、光通信装置1は、2つのテープ心線Tと、複数のファン・イン/ファン・アウトデバイス20と、を主な構成として備える。
【0039】
本実施形態では、それぞれのテープ心線Tの構成は互いに同じである。このため、以下では、一方のテープ心線Tについて説明し、他方のテープ心線Tについては、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0040】
図2は、テープ心線Tを概略的に示す斜視図である。本実施形態のテープ心線Tは所謂間欠接着型のテープ心線である。本実施形態では、テープ心線Tは、2以上のマルチコアファイバ10a~10dが長手方向に垂直な方向に沿って並べられ、隣接するマルチコアファイバ10a~10d同士が間欠的に設けられる連結材T1によって連結されて束ねられた構成を有する。連結材T1を構成する材料としては、例えば、紫外線硬化性樹脂等の樹脂が挙げられる。このテープ心線Tは容易に変形することができ、例えば概ね四角柱状に丸めたりすることができる。図2では、テープ心線Tが4本のマルチコアファイバ10a~10dから構成される例が示されているが、テープ心線Tを構成するマルチコアファイバの数は、2以上であればよい。
【0041】
図3は、テープ心線Tの長手方向に垂直な断面を示す図である。なお、図3は、連結材T1と交わらない位置におけるテープ心線Tの断面図である。図3に示すように、本実施形態では、それぞれのマルチコアファイバ10a~10dの構成は概ね同じである。このため、以下では、マルチコアファイバ10aについて説明し、他方のマルチコアファイバ10b~10dについては、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0042】
本実施形態のマルチコアファイバ10aは、複数のコア11a~11dと、それぞれのコア11a~11dの外周面を隙間なく囲むクラッド12と、クラッド12を被覆するプライマリ被覆層13と、プライマリ被覆層13を被覆するセカンダリ被覆層14と、セカンダリ被覆層14を被覆する着色層15と、マーカー16とを主な構成として備える。なお、図3では、4つのコア11a~11dを備える例が示されているが、コアの数は複数であればよく、制限されるものではない。
【0043】
本実施形態では、クラッド12の長手方向に垂直な断面における外形は、概ね円形であり、それぞれのコア11a~11dはクラッド12の中心を中心として概ね4回回転対称となる位置に配置されている。なお、コアの配置は、制限されるものではない。
【0044】
それぞれのコア11a~11dの屈折率はクラッド12の屈折率よりも高く、本実施形態では、それぞれのコア11a~11dのクラッド12に対する比屈折率差は、互いに同じである。このようなコア11a~11dは、例えば、ゲルマニウム等の屈折率が高くなるドーパントが添加されたシリカガラスから成り、クラッド12は、例えば、ドーパントが添加されていないシリカガラスから成る。また、コア11a~11dが何らドーパントを添加されていないシリカガラスから成り、クラッド12がフッ素等の屈折率が低くなるドーパントが添加されたシリカガラスから成る構成であってもよい。
【0045】
本実施形態では、コア11aの水酸基の含有量が、コア11b~11dの水酸基の含有量より多い。コア11aの水酸基をコア11b~11dの水酸基より多くする方法として、例えば、マルチコアファイバ10aの母材を製造する過程において、コア11aとなるコアロッドの脱水工程の時間を11b~11dとなるコアロッドの脱水工程の時間より短くすることが挙げられる。なお、マルチコアファイバ10b~10dにおけるコア11a~11dの水酸基の含有量は互いに概ね同じであり、マルチコアファイバ10aにおけるコア11b~11dの水酸基の含有量と概ね同じである。
【0046】
マーカー16は、クラッド12内に配置されている。マーカー16の屈折率は、クラッド12の屈折率と異なっており、クラッド12の屈折率より高くても低くてもよい。本実施形態では、コア11aとマーカー16との距離は他のコア11b~11dとマーカー16との距離より小さく、マーカー16によってコア11a~11dを識別できる。そして、マルチコアファイバ10aのコア11aは、マルチコアファイバ10b~10dのコア11aに対応し、マルチコアファイバ10aのコア11bは、マルチコアファイバ10b~10dのコア11bに対応し、マルチコアファイバ10aのコア11cは、マルチコアファイバ10b~10dのコア11cに対応し、マルチコアファイバ10aのコア11dは、マルチコアファイバ10b~10dのコア11dに対応している。
【0047】
プライマリ被覆層13及びセカンダリ被覆層14は紫外線硬化性樹脂等の樹脂から成る。
【0048】
着色層15はマルチコアファイバ10aの最外層をなす層であり、紫外線硬化性樹脂等の樹脂から成る。本実施形態では、マルチコアファイバ10a~10dにおける着色層15の色が互いに異なる。
【0049】
このような構成の一方のテープ心線Tのそれぞれのマルチコアファイバ10a~10dの一端が他方のテープ心線Tのそれぞれのマルチコアファイバ10a~10dの他端に接続される。この際、着色層15の色が同じマルチコアファイバ10a~10d同士が接続される。そして、一方のテープ心線Tのそれぞれのマルチコアファイバ10a~10dのコア11a~11dは、マーカー16に対する位置が当該コア11a~11dの位置と同じ他方のテープ心線Tのマルチコアファイバ10a~10dのコア11a~11dに光学的に接続される。なお、以下では、理解を容易にするため、マルチコアファイバ10aのコア11a~11dをコア11aa~11adとし、マルチコアファイバ10bのコア11a~11dをコア11ba~11bdとし、マルチコアファイバ10cのコア11a~11dをコア11ca~11cdとし、マルチコアファイバ10dのコア11a~11dをコア11da~11ddとする場合がある。
【0050】
次に、ファン・イン/ファン・アウトデバイス20について説明する。ファン・イン/ファン・アウトデバイスはFIFOと呼ばれることがあり、以下では、ファン・イン/ファン・アウトデバイス20をFIFO20と呼ぶ場合がある。
【0051】
図1に示すように、複数のFIFO20とテープ心線Tが備える複数のマルチコアファイバ10a~10dとは1対1で対応し、それぞれのFIFO20には対応するマルチコアファイバ10a~10dが接続される。このため、本実施形態のFIFO20の数は4つである。本実施形態では、それぞれのFIFO20の構成は互いに同じである。このため、以下では、マルチコアファイバ10aに接続されるFIFO20について説明し、他のFIFO20については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0052】
本実施形態のFIFO20は、複数のシングルコアファイバ30と、導波路部材40とを主な構成として備える。シングルコアファイバ30の数は、マルチコアファイバ10aのコアの数と同じであり、本実施形態では、4本である。
【0053】
それぞれのシングルコアファイバ30の構成は互いに同じである。図4は、シングルコアファイバ30の長手方向に垂直な断面を示す図である。本実施形態のシングルコアファイバ30は、コア31、コア31の外周面を隙間なく囲むクラッド32、クラッド32の外周面を被覆する被覆層33を備える。
【0054】
本実施形態では、クラッド32の長手方向に垂直な断面における外形は、概ね円形であり、コア31はクラッド32の中心に配置されている。コア31の直径は、テープ心線Tのマルチコアファイバ10a~10dのコア11a~11dの直径と概ね同じである。
【0055】
コア31の屈折率はクラッド32の屈折率よりも高い。このようなコア31は、例えば、屈折率が高くなるドーパントが添加されたシリカガラスから成り、クラッド32は、例えば、ドーパントが添加されていないシリカガラスから成る。また、コア31が何らドーパントを添加されていないシリカガラスから成り、クラッド32が屈折率が低くなるドーパントが添加されたシリカガラスから成る構成であってもよい。
【0056】
被覆層33は紫外線硬化性樹脂等の樹脂から成なる。
【0057】
導波路部材40は、シングルコアファイバ30のコア31とテープ心線Tのマルチコアファイバ10aのコア11a~11dとを個別に光学的に結合する部材である。本実施形態では、導波路部材40は、マルチコアファイバ50とピッチ変換部60とを含む。
【0058】
本実施形態のマルチコアファイバ50は、コア11a~11dの水酸基の含有量が互いに同じである点、着色層15を備えない点において、テープ心線Tのマルチコアファイバ10aと異なる。このため、マルチコアファイバ50は、4つのコア11a~11d、クラッド12、プライマリ被覆層13、セカンダリ被覆層14、及びマーカー16を備える。マルチコアファイバ50の一端は、当該マルチコアファイバ50のそれぞれのコア11a~11dがテープ心線Tのマルチコアファイバ10aのコア11a~11dに個別に光学的に結合されるように、テープ心線Tのマルチコアファイバ10aの一端に接続される。なお、それぞれのFIFO20におけるマルチコアファイバ50の長さは互いに概ね同じであるが、図が煩雑になることを抑制するため、図1では、マルチコアファイバ50の長さを異ならせている。
【0059】
本実施形態のピッチ変換部60は、不図示の導波路によって、それぞれのシングルコアファイバ30のコア31とテープ心線Tのマルチコアファイバ10aのコア11a~11dとを個別に光学的に結合する部材である。導波路部材40としては、例えば、光透過性の基材にフェムト秒レーザを照射することで導波路が形成される導波路基板、シリカガラスから成る基板に元素を添加して導波路を形成するPLC(Planer Lightwave Circuit)、導波路がシリコンから成るシリコンフォトニクス、ポリマー導波路等が挙げられる。
【0060】
なお、導波路部材40は、それぞれのシングルコアファイバ30のコア31とテープ心線Tのマルチコアファイバ10aのコア11a~11dとを個別に光学的に結合可能であればよい。例えば、導波路部材40は、ピッチ変換部60のみから成っていてもよい。また、ピッチ変換部60は、複数のレンズから成る空間光学系であってもよい。また、ピッチ変換部60は、複数のシングルコアファイバ30と一体に形成され、シングルコアファイバ30と導波路部材40との接続部が非形成であってもよい。このような導波路部材40は、例えば、複数のシングルコアファイバ30が束ねられたファイバ束の端部を延伸することで形成することができる。また、導波路部材40は、複数のシングルコアファイバ30の一端部を束ねたり、一端部においてクラッドの外径が小さくされた複数のシングルコアファイバ30の一端部を束ねたりすることでも形成できる。これらの場合、シングルコアファイバ30のそれぞれのコア31と導波路部材40のそれぞれの導波路とが境界面を介さずに光学的に結合する。
【0061】
図5は、本実施形態の光通信装置1の光学特性を示す図であり、図1に示されるOTDR70によって測定された波形を示す図である。特定波長の光としてのOTDR70の測定光の入射位置は、それぞれのFIFO20におけるそれぞれのシングルコアファイバ30の導波路部材40側と反対側の端である。また、測定光は通信波長帯域以外の波長の光であり、測定光の波長は、所謂E帯である1360nm以上1460nm未満である。また、測定光の波長は、通信波長帯域より短く、本実施形態では、通信波長帯域は、所謂C帯である1530nm以上1565nm未満、及び所謂L帯である1565nm以上1625nm未満である。図5には、テープ心線Tのマルチコアファイバ10aのコア11aaに光学的に結合されるシングルコアファイバ30に測定光を入射した際の波形WFaとマルチコアファイバ10aのコア11abに光学的に結合されるシングルコアファイバ30に測定光を入射した際の波形WFbとが上下方向に並べられて示されている。
【0062】
図5に示すように、本実施形態では、波形WFaにおける2つのテープ心線Tに対応する部位の傾きが、波形WFbにおける2つのテープ心線Tに対応する部位の傾きより大きい。つまり、測定光のマルチコアファイバ10aのコア11aaにおける伝搬損失がコア11abにおける伝搬損失より大きい。コアを伝搬する光の波長がE帯である場合、コアに含有される水酸基による光の損失が大きくなることが知られており、OHロスと言われることがある。本実施形態では、OHロスによって、測定光のマルチコアファイバ10aのコア11aaにおける伝搬損失がコア11abにおける伝搬損失より大きい。
【0063】
なお、図示による説明は省略するが、マルチコアファイバ10aのコア11ac,11ad、及びマルチコアファイバ10b~10dのコア11ba~11bd,11ca~11cd,11da~11ddに光学的に結合されるシングルコアファイバ30に測定光を入射した際のそれぞれの波形は、波形WFbと概ね同じである。このため、測定光のマルチコアファイバ10aにおけるコア11aaの伝搬損失は、他のマルチコアファイバ10b~10dにおける当該コア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daの伝搬損失と異なる。また、シングルコアファイバ30のそれぞれに通信波長帯域の光を入射した際の波形は、波形WFbと概ね同じである。このため、測定光のコア11aaにおける伝搬損失とコア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daにおける伝搬損失との差が、通信波長帯域の波長の光のコア11aaにおける伝搬損失とコア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daにおける伝搬損失との差より大きい。ここで、コア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daとは、マーカー16を基準とする位置がコア11aaと概ね同じコアである。
【0064】
以上説明したように、本実施形態のファイバ集合体としてのテープ心線Tは、2以上のマルチコアファイバ10a~10bが束ねられて構成される。マルチコアファイバ10aにおける測定光のコア11aaの伝搬損失は、他のマルチコアファイバ10b~10dにおけるコア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daの測定光の伝搬損失と異なる。このため、本実施形態のテープ心線Tによれば、光通信部材としての別のテープ心線TやFIFO20に接続される場合において、コア11aa,11ba,11ca,11daの測定光の伝搬損失を調べることで、マルチコアファイバ10aを識別し得る。
【0065】
光通信においては、それぞれのコアを伝搬する光の損失のばらつきが少ない方が好ましい。本実施形態のテープ心線Tでは、測定光の波長は、通信波長帯域以外の波長である。このため、本実施形態のテープ心線Tによれば、マルチコアファイバ10aを調べるために測定光を用いることで、コアでの通信波長帯域の波長の光の伝搬のばらつきが少ない場合であっても、マルチコアファイバ10aを識別することができる。
【0066】
なお、伝搬損失を調べる方法は、OTDR70による測定に限定されるものではなくて、例えばOFDR、OLTS等による測定であってもよい。OTDR及びOFDRを用いる場合、テープ心線Tの一端側から光を入射させるだけで伝搬損失を調べることができ、テープ心線Tの他端側に作業員を要しないことに起因してコストを低減し得る。
【0067】
本実施形態では、測定光の波長が通信波長帯域より短い。コアを伝搬する光の波長が短いほど当該光のコア間クロストークが抑制される傾向にある。このため、本実施形態のテープ心線Tによれば、通信波長帯域が同じかつ測定光の波長が通信波長帯域より長い場合と比べて、上記の測定光を用いてコア11aa,11ba,11ca,11daの伝搬損失を調べる際にコア11aa,11ba,11ca,11daを伝搬する測定光のコア間クロストークを抑制し得る。このため、本実施形態のテープ心線Tによれば、マルチコアファイバ10aをより容易に識別し得る。
【0068】
本実施形態では、測定光の波長が、所謂E帯であり、1360nm以上1460nm未満である。本実施形態によれば、前述のように、コア11aaの水酸基の含有量をコア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daの水酸基の含有量より多くすることで、測定光のコア11aaにおける伝搬損失をコア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daにおける伝搬損失より大きくできる。従って、測定光のコア11aaにおける伝搬損失とコア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daにおける伝搬損失との差を、通信波長帯域の波長の光のコア11aaにおける伝搬損失とコア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daにおける伝搬損失との差より大きくできる。また、光通信で使用する光の波長は、E帯とされることがあり、当該波長帯域の光を用いた既存のOTDR、OFDR、OLTS等がある。このため、本実施形態によれば、例えば、既存のOTDR、OFDR、OLTS等であっても伝搬損失を測定でき得る。このため、マルチコアファイバ10aを識別し易くし得る。
【0069】
また、特定波長の光の伝搬損失がコア11aaと、コア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daとで異なっていればよい。例えば、測定光の波長は通信波長帯域の波長であってもよく、特定波長の光のコア11aaにおける伝搬損失が、特定波長の光のコア11ba,11ca,11daの伝搬損失より小さくてもよく、特定波長の光のコア11ba,11ca,11daの伝搬損失が互いに異なっていてもよい。また、それぞれのマルチコアファイバ10a~10dにおいて、特定波長の光のコア11aa~11daの伝搬損失が互いに同じであってもよい。
【0070】
また、通信波長帯域及び測定光の波長は制限されるものではない。例えば、コアを伝搬する光の波長が400nm以上600nm未満である場合、コアのニッケル・クロム・コバルト・鉄・銅の含有量に応じて光の損失が大きくなる傾向にある。コアを伝搬する光の波長が600nm以上800nm未満である場合、コアのニッケル・クロム・コバルト・鉄の含有量に応じて光の損失が大きくなる傾向にある。コアを伝搬する光の波長が800nm以上900nm未満である場合、コアのクロムの含有量に応じて光の損失が大きくなる傾向にある。コアを伝搬する光の波長が900nm以上1000nm未満である場合、コアのクロム・水酸基の含有量に応じて光の損失が大きくなる傾向にある。コアを伝搬する光の波長が所謂T帯である1000nm以上1260nm未満である場合、コアのニッケル・コバルト・水酸基の含有量に応じて光の損失が大きくなる傾向にある。コアを伝搬する光の波長が所謂O帯である1260nm以上1360nm未満である場合、コアのニッケル・コバルトの含有量に応じて光の損失が大きくなる傾向にある。コアを伝搬する光の波長がE帯である場合、コアのニッケル・コバルト・水酸基の含有量に応じて光の損失が大きくなる傾向にある。コアを伝搬する光の波長が所謂S帯である1460nm以上1530nm未満である場合、所謂C帯である1530nm以上1565nm未満である場合、所謂L帯である1565nm以上1625nm未満である場合、及び所謂U帯である1625nm以上1675nm未満である場合、コアのニッケル・コバルトの含有量に応じて光の損失が大きくなる傾向にある。コアを伝搬する光の波長が1675nm以上である場合、コアの水酸基・コバルト・ニッケルの含有量に応じて光の損失が大きくなる傾向にある。このため、例えば、マルチコアファイバ10aのコア11aの上記物質の含有量を調節することによって、上記の構成にすることができる。このため、例えば、通信波長帯域をC帯、L帯、O帯、及びS帯の少なくとも1つの帯域とし、通信波長帯域以外の波長帯域をT帯、E帯、U帯、波長が10nm以上360nm未満である紫外線帯域、波長が360nm以上830nm未満である可視光帯域、及び波長が830nm以上2.5μm以下である赤外線領域における、C帯、L帯、O帯及びS帯を除く帯域の少なくとも1つとしてもよい。なお、伝搬損失を異ならせる方法は、コアの上記物質の含有量の調節に限定されるものではない。
【0071】
また、測定光の波長は、800nm以上950nm以下であってもよい。マルチモードファイバ通信で使用する光の波長は、800nm以上950nm以下とされることがあり、当該波長帯域の光を用いた既存のOTDR、OLTS等がある。このため、このような構成によれば、例えば、既存のOTDR、OLTS等であっても伝搬損失を測定でき得る。このため、マルチコアファイバ10aを識別し易くし得る。
【0072】
また、測定光の波長は、所謂U帯である1625nm以上1675nm未満であってもよい。マルチモードファイバ通信で使用する光の波長は、U帯の波長とされることがあり、当該波長帯域の光を用いた既存のOTDR、OLTS等がある。このため、このような構成によれば、例えば、既存のOTDR、OLTS等であっても伝搬損失を測定でき得る。このため、マルチコアファイバ10aを識別し易くし得る。
【0073】
また、測定光の波長は、360nm以上830nm未満であってもよい。波長が360nm以上830nm未満の光は可視光であり、当該光はエネルギーが減少するにつれて暗く見える。このため、このような構成によれば、例えば、テープ心線Tの一端側からそれぞれのコア11aa,11ba,11ca,11daに上記の測定光を入射させた際の戻り光の明るさを目視で調べることで、マルチコアファイバ10aを識別し得る。また、伝搬損失を測定する装置を用いなくてもマルチコアファイバ10aを識別し得るため、コストを軽減し得る。
【0074】
また、測定光のコア11aaにおける伝搬損失とコア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daにおける伝搬損失との差は、測定光の波長が通信波長帯域の場合、0.005dB/km以上であることが好ましく、0.01dB/km以上であることがより好ましく、0.03dB/km以上であることが更に好ましく、0.05dB/km以上であることがより更に好ましい。このような構成にすることで伝搬損失の測定可能な最小の値が大きい測定装置(例えば、汎用の測定装置)であっても伝搬損失の差を測定でき得るため、マルチコアファイバ10aを識別し易くし得る。また、光の波長が通信波長帯域の波長の場合、上記の伝搬損失の差は、0.1dB/km以下であることが好ましく、0.06dB/km以下であることがより好ましい。このような構成にすることで、コアごとによる通信品質のばらつきを抑制し得る。また、光の波長が通信波長帯域以外の波長の場合、上記の伝搬損失の差は、0.1dB/km以上であることが好ましく、0.5dB/km以上であることがより好ましく、1.0B/km以上であることが更に好ましい。光の波長が通信波長帯域以外の波長であるため、当該光の損失が大きくても通信品質に影響を与えることがなく、このような構成にすることで、マルチコアファイバ10aを識別し易くし得るまた、上記の差は0.1dB/km以上である場合、伝搬損失の測定可能な最小の値が大きい測定装置(例えば、汎用の測定装置)であっても伝搬損失の差を測定でき得るため、マルチコアファイバ10aを識別し易くし得る。ここで、特に短尺のマルチコアファイバの場合、伝搬損失が小さいため、測定される伝搬損失の誤差が大きくなる場合がある。しかし、上記の伝搬損失の差が0.1dB/km以上であることで、短尺のマルチコアファイバ10aであっても誤差を抑制してマルチコアファイバ10aを容易に識別し易くし得る。また、一般的なマルチコアファイバにおけるコア同士の伝搬損失の差は0.1dB/km未満となる傾向にある。このため、このような構成にすることで、マルチコアファイバ10aを識別し易くし得る。
【0075】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0076】
図6は、本実施形態に係る光通信装置を示す概念図である。図6に示すように、本実施形態の光通信装置1は、テープ心線Tのマルチコアファイバ10aが第1実施形態のマルチコアファイバ10aと異なる。なお、マルチコアファイバ10aのコア11aaの水酸基の含有量がコア11aaに対応するマルチコアファイバ10b~10dのコア11ba,11ca,11daの水酸基の含有量と概ね同じである。
【0077】
本実施形態では、マルチコアファイバ10aは、複数の光ファイバ部の端部が互いに接続されて成り、マルチコアファイバ10b~10dは1つの光ファイバ部から成る。このため、マルチコアファイバ10aのコア11aa,11ab,11ac,11adでは、光ファイバ部同士の接続部10CTにおいて光の損失である接続損失が生じる。従って、コア11aaにおける接続部10CTでの光の損失が、コア11aaに対応するマルチコアファイバ10b~10dのコア11ba,11ca,11daにおけるコア11aaの接続部10CTに対応する位置P1での光の損失と異なる。この位置P1は、具体的には、マルチコアファイバ10aの長手方向に沿った導波路部材40側におけるマルチコアファイバ10aの先端から接続部10CTまでの距離D1だけ導波路部材40側における他のマルチコアファイバ10b~10dの先端から長手方向に沿って離れた位置と同等の位置であり、図6では、破線で示されている。本実施形態であっても、例えばOTDR70で容易にマルチコアファイバ10aを識別することができる。ここで、短尺のマルチコアファイバの場合、伝搬損失が小さいため測定される当該伝搬損失の誤差が大きくなる場合がある。しかし、本実施形態によれば、マルチコアファイバ10a~10dが短尺であっても、誤差を抑制してマルチコアファイバ10aを識別し得る。
【0078】
なお、コア11aaにおける接続部10CTでの光の損失が、コア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daにおける上記の位置P1での光の損失と異なっていればよい。この限りにおいて、例えば、他のマルチコアファイバ10b~10dも複数の光ファイバ部が長手方向に互いに接続されて成る構成であってもよい。また、コア11aaにおける接続部10CTでの光の損失が、コア11ba,11ca,11daにおける上記の位置P1での光の損失と異なっている限りにおいて、マルチコアファイバ10b~10dにおける上記の位置P1に光ファイバ部同士の接続部10CTが設けられてもよい。この場合、例えば、マルチコアファイバ10b~10dの接続部10CTでの光ファイバ部の接合面の傾きを、マルチコアファイバ10aの光ファイバ部同士の接続部10CTでの光ファイバ部の接合面の傾きと異ならせる。光ファイバ部の接合面の傾きは、当該光ファイバ部の延在方向と垂直な方向に対する傾きである。このような構成にすることで、コア11aaにおける接続部10CTでの光の損失と、コア11ba,11ca,11daにおける上記の位置P1での光の損失とを異ならせることができる。コア11aaにおける接続部10CTでの光の損失とコア11ba,11ca,11daにおける上記の位置P1での光の損失との差は、0.01dB以上であることが好ましく、0.1dB以上であることがより好ましく、0.5dB以上であることが更に好ましい。
【0079】
接続部10CTの数は制限されるものではなく、マルチコアファイバ10aの接続部10CTの数が、他のマルチコアファイバ10b~10dの接続部10CTの数と異なっていてもよい。この場合、コア11aaにおける接続部10CTでの光の損失が、コア11ba,11ca,11daにおける上記の位置P1での光の損失と同じであっても、例えばOTDR70等によって接続部10CTの数を測定することによってマルチコアファイバ10aを識別することができる。また、接続部10CTの数という離散的な自然数に基づいてマルチコアファイバ10aを識別するが、例えば伝搬損失などの損失は一般的に自然数にはならない。このため、伝搬損失などの損失の違いに基づいてマルチコアファイバ10aを識別する場合と比べて容易に識別し得る。また、マルチコアファイバ10aが短尺であっても、誤差を抑制してマルチコアファイバ10aを識別し得る。
【0080】
また、マルチコアファイバ10aの接続部10CTの数が、他のマルチコアファイバ10b~10dの接続部10CTの数と同じ場合、他のマルチコアファイバ10b~10dの少なくとも1つの接続部10CTが上記の位置P1以外に位置していてもよい。
【0081】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0082】
本実施形態の光通信装置1は、2つのテープ心線Tに替わってファイバ集合体としての2つのバンドルユニットBを備える点において、第1実施形態の光通信装置1と異なる。このため、図1を参照しつつ図1のテープ心線Tをバンドルユニットに置き換えて説明する。
【0083】
本実施形態では、それぞれのバンドルユニットの構成は互いに同じである。このため、以下では、一方のバンドルユニットについて説明し、他方のバンドルユニットについては、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0084】
図7は、本実施形態におけるバンドルユニットの長手方向に垂直な断面を概略的に示す図である。なお、図7では、マルチコアファイバのハッチングが省略され、マルチコアファイバの外径とコアとが示されている。図7に示すように、バンドルユニットBは、2以上のマルチコアファイバが束ねられたファイバ束である複数のテープ心線Ta~Tdと、バンドル材B1とを主な構成として備える。本実施形態のバンドル材B1は、テープ状の部材であり、バンドル材B1が複数のテープ心線Ta~Tdに巻き付けられることでこれらテープ心線Ta~Tdが束ねられている。バンドル材B1は、複数のテープ心線Ta~Tdを束ねることができればよく、例えば糸状や網状の部材であってもよい。バンドル材B1を構成する材料としては、例えば樹脂が挙げられる。図7では、バンドルユニットBが4つのテープ心線Ta~Tdから構成される例が示されているが、バンドルユニットBを構成するテープ心線の数は制限されるものではない。
【0085】
本実施形態のテープ心線Ta~Tdの構成は第1実施形態のテープ心線Tと同様の構成である。本実施形態では、それぞれのテープ心線Ta~Tdの外周面に互いに異なる識別マークが設けられている。
【0086】
本実施形態では、テープ心線Taにおけるマルチコアファイバ10aのコア11aaの測定光の伝搬損失が、このコア11aaに対応する他のテープ心線Tb~Tdにおけるマルチコアファイバ10aのコア11aaの測定光の伝搬損失と異なる。伝搬損失を異ならせる方法としては、例えば、それぞれのコア11aaに添加される測定光を吸収し易い元素の量を変えることが挙げられる。
【0087】
このような構成の一方のバンドルユニットBのそれぞれのテープ心線Ta~Tdの一端が他方のバンドルユニットBのそれぞれのテープ心線Ta~Tdの他端に接続される。この際、識別マークが同じテープ心線Ta~Td同士が接続される。そして、互いに接続されるテープ心線Ta~Td間では、第1実施形態と同様に、着色層15の色が同じマルチコアファイバ10a~10d同士が接続される。このようにして、一方のバンドルユニットBにおけるそれぞれのマルチコアファイバ10a~10dのコア11aa~11adは、他方のバンドルユニットBにおける当該コア11aa~11adに対応するコア11aa~11adに光学的に接続される。
【0088】
本実施形態では、FIFO20の数がバンドルユニットBにおけるマルチコアファイバの数と同じであり、それぞれのマルチコアファイバにFIFO20が接続され、それぞれのマルチコアファイバのそれぞれのコアとFIFO20のそれぞれのシングルコアファイバ30のコア31とが光学的に結合される。
【0089】
本実施形態では、上記のように、特定のテープ心線Taの特定のマルチコアファイバ10aにおける特定のコア11aaの測定光の伝搬損失が、他のテープ心線Tb~Tdにおける上記の特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aにおける上記の特定のコア11aaに対応するコア11aaの測定光の伝搬損失と異なる。このため、本実施形態のバンドルユニットBによれば、光通信部材としての別のバンドルユニットBやFIFO20に接続される場合において、それぞれのテープ心線Ta~Tdにおけるマルチコアファイバ10aのコア11aaの測定光の伝搬損失を調べることで、テープ心線Taにおけるマルチコアファイバ10aを識別し得、その結果、テープ心線Taを識別し得る。ここで、他のテープ心線Tb~Tdにおけるテープ心線Taの特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aは、着色層15の色が特定のマルチコアファイバ10aと同じマルチコアファイバである。
【0090】
なお、特定波長の光の伝搬損失がテープ心線Taにおけるマルチコアファイバ10aのコア11aaと、他のテープ心線Tb~Tdにおける当該マルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aの当該コア11aaに対応するコア11aaとで異なっていればよい。例えば、それぞれのテープ心線Ta~Tdにおいて、マルチコアファイバ10aのコア11aaに対応する他のマルチコアファイバ10b~10dのコア11ba,11ca,11daの特定波長の光の伝搬損失が互いに同じであってもよい。
【0091】
(第4実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0092】
本実施形態の光通信装置1は、2つのテープ心線Tに替わってファイバ集合体としての2つのケーブルを備える点において、第1実施形態の光通信装置1と異なる。このため、図1を参照しつつ図1のテープ心線Tをケーブルに置き換えて説明する。
【0093】
本実施形態では、それぞれのケーブルの構成は互いに同じである。このため、以下では、一方のケーブルについて説明し、他方のケーブルについては、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0094】
図8は、本実施形態におけるケーブルの長手方向に垂直な断面を概略的に示す図である。なお、図8では、マルチコアファイのハッチングが省略され、マルチコアファイの外径が示されている。図8に示すように、ケーブルCは、2以上のマルチコアファイバが束ねられたファイバ束である複数のバンドルユニットBa~BdとシースC1とを主な構成として備える。
【0095】
シースC1は、管状の部材である。シースC1の内部空間に複数のバンドルユニットBa~Bdが収容され、シースC1によって複数のバンドルユニットBa~Bdが束ねられる。シースC1を構成する材料としては、例えば樹脂が挙げられる。
【0096】
本実施形態のバンドルユニットBa~Bdの構成は第3実施形態のバンドルユニットBと同様の構成である。本実施形態では、それぞれのバンドルユニットBa~Bdにおけるバンドル材B1の色が互いに異なっている。
【0097】
本実施形態では、バンドルユニットBaのテープ心線Taにおけるマルチコアファイバ10aのコア11aaの測定光の伝搬損失が、他のバンドルユニットBb~Bdのテープ心線Taにおける上記の特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aの当該コア11aaに対応するコア11aaの測定光の伝搬損失と異なる。伝搬損失を異ならせる方法としては、例えば、それぞれのコア11aaに添加される測定光を吸収し易い元素の量を変えることが挙げられる。
【0098】
このような構成の一方のケーブルCのそれぞれのバンドルユニットBa~Bdの一端が他方のケーブルCのそれぞれのバンドルユニットBa~Bdの他端に接続される。この際、バンドル材B1の色が同じバンドルユニットBa~Bdが接続され、互いに接続されるバンドルユニットBa~Bd間では、第3実施形態と同様に、識別マークが同じテープ心線Ta~Td同士が接続される。そして、互いに接続されるテープ心線Ta~Td間では、第1実施形態と同様に、着色層15の色が同じマルチコアファイバ10a~10d同士が接続される。このようにして、一方のケーブルCにおけるそれぞれのマルチコアファイバ10a~10dのコア11aa~11adは、他方のケーブルCにおける当該コア11aa~11adに対応するコア11aa~11adに光学的に接続される。
【0099】
本実施形態では、FIFO20の数がケーブルCにおけるマルチコアファイバの数と同じであり、それぞれのマルチコアファイバにFIFOが接続され、それぞれのマルチコアファイバのそれぞれのコアとFIFO20のそれぞれのシングルコアファイバ30のコア31とが光学的に結合される。
【0100】
本実施形態では、上記のように、特定のバンドルユニットBaの特定のマルチコアファイバ10aにおける特定のコア11aaの測定光の伝搬損失が、他のバンドルユニットBb~Bdにおける上記の特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aにおける上記の特定のコア11aaに対応するコア11aaの測定光の伝搬損失と異なる。このため、本実施形態のケーブルCによれば、光通信部材としての別のケーブルCやFIFO20に接続される場合において、それぞれのバンドルユニットBb~Bdにおけるテープ心線Taのマルチコアファイバ10aのコア11aaの測定光の伝搬損失を調べることで、バンドルユニットBaにおけるテープ心線Taのマルチコアファイバ10aを識別し得、その結果、バンドルユニットBaを識別し得る。ここで、バンドルユニットBaの特定のマルチコアファイバ10aに対応する他のバンドルユニットBb~Bdにおけるマルチコアファイバ10aは、特定のマルチコアファイバ10aが含まれるテープ心線Taの識別マークと同じ識別マークが設けられたテープ心線に含まれるマルチコアファイバのうち、着色層15の色が特定のマルチコアファイバ10aと同じマルチコアファイバである。
【0101】
なお、特定波長の光の伝搬損失がバンドルユニットBaのテープ心線Taにおけるマルチコアファイバ10aのコア11aaと、他のバンドルユニットBb~Bdのテープ心線Taにおける当該マルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aの当該コア11aaに対応するコア11aaとで異なっていればよい。例えば、それぞれのバンドルユニットBb~Bdにおけるそれぞれのテープ心線Ta~Taにおいて、マルチコアファイバ10aのコア11aaに対応する他のマルチコアファイバ10b~10dのコア11ba,11ca,11daの特定波長の光の伝搬損失が互いに同じであってもよい。
【0102】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。第1実施形態では、マルチコアファイバ10aにおけるコア11aaと、他のマルチコアファイバ10b~10dにおけるコア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daとで、測定光の伝搬損失が異なるテープ心線Tを例に説明した。また、第2実施形態では、マルチコアファイバ10aにおけるコア11aaと、他のマルチコアファイバ10b~10dにおけるコア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daとで、接続損失が異なるテープ心線Tを例に説明した。しかし、特定のマルチコアファイバにおける特定のコアの光学特性が、他のマルチコアファイバにおける上記の特定のコアに対応するコアの光学特性と異なっていればよい。また、上記の特定のコアは複数であってもよく、この場合、上記の光学特性は、複数のコアの特定波長の光の損失に基づいて求められる所定値であってもよい。所定値としては、例えば、コア間クロストーク、特定波長の光の伝搬損失における平均値、最大値、最小値、最大値から最小値を減じた値、中央値、最頻値、分位数、及び分散などが挙げられる。また、上記の特定のコアが3つ以上の場合、所定値としてのコア間クロストークは、複数のコアの組におけるコア間クロストークの平均値、最大値、最小値、最大値から最小値を減じた値、中央値、最頻値、分位数、及び分散などあってもよい。また、分位数としては、例えば、第1四分位数、第3四分位数が挙げられる。
【0103】
これら所定値は、マルチコアファイバにおける複数のコアに起因にする値である。このため、上記の光学特性をこれら所定値とすることで、所定値がマルチコアファイバにおける1つのコアに起因する値である場合と比べて、高い精度で特定のマルチコアファイバを識別し得る。また、特定のマルチコアファイバを識別するための光学特性の種類の自由度が高まり、特定のマルチコアファイバを識別し易くなる。また、算術結果である所定値を用いる場合、損失の大きいコアを特定のコアとして選択する自由度を高め得るので、特定のマルチコアファイバを識別し易くなる。なお、上記の特定のコアは、特定のマルチコアファイバの全てのコアであることが好ましい。この場合、所定値はマルチコアファイバにおける全てのコアに起因にする値である。このため、このような構成にすることで、所定値がマルチコアファイバにおける1つのコアに起因する値である場合と比べて、より高い精度で特定のマルチコアファイバを識別し得る。
【0104】
また、所定値が特定波長の光の伝搬損失における平均値、最大値、最小値、最大値から最小値を減じた値、最頻値のいずれかである場合、特定のマルチコアファイバにおける所定値と他のマルチコアファイバにおける所定値の差は、0.005dB/km以上であることが好ましい。また、マルチコアファイバにおけるコアごとによる通信品質のばらつきを抑制する観点では、この差は0.1dB/km以下であることが好ましく、0.06dB/km以下であることがより好ましい。
【0105】
また、所定値が特定波長の光の伝搬損失における中央値、分位数、分散のいずれかである場合、特定のマルチコアファイバにおける所定値と他のマルチコアファイバにおける所定値の差は、0.005dB/km以上であることが好ましい。また、マルチコアファイバにおけるコアごとによる通信品質のばらつきを抑制する観点では、この差は0.03dB/km以下であることが好ましく、0.01dB/km以下であることがより好ましい。
【0106】
また、所定値が特定波長の光のコア間クロストーク、当該コア間クロストークの平均値、最大値、最小値、最大値から最小値を減じた値、中央値、最頻値、分位数、及び分散のいずれかである場合、特定のマルチコアファイバにおける所定値と他のマルチコアファイバにおける所定値の差は、1dB以上であることが好ましく、2dB以上であることがより好ましく、3dB以上であることが更に好ましく、5dB以上であることがより更に好ましい。このような構成によれば、コア間クロストークの測定可能な最小の値が大きい測定装置であっても特定のマルチコアファイバを識別し易くし得る。また、上記の差が1dB以上である場合、測定誤差によって特定のマルチコアファイバが識別しにくくなることを抑制し得る。また、コアごとによる通信品質のばらつきを抑制する観点では、上記の差が5dB以下であることが好ましい。
【0107】
また、第3実施形態では、特定のテープ心線Taの特定のマルチコアファイバ10aにおける特定のコア11aaの測定光の伝搬損失が、他のテープ心線Tb~Tdにおける上記の特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aにおける上記の特定のコア11aaに対応するコア11aaの測定光の伝搬損失と異なるバンドルユニットBを例に説明した。また、第4実施形態では、特定のバンドルユニットBaの特定のマルチコアファイバ10aにおける特定のコア11aaの測定光の伝搬損失が、他のバンドルユニットBb~Bdにおける上記の特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aにおける上記の特定のコア11aaに対応するコア11aaの測定光の伝搬損失と異なるケーブルCを例に説明した。しかし、特定のファイバ束の特定のマルチコアファイバにおける特定のコアの光学特性が、他のファイバ束における特定のマルチコアファイバに対応するマルチコアファイバにおける特定のコアに対応するコアの光学特性と異なっていればよい。
【0108】
例えば、第3実施形態に例示されるバンドルユニットBや第4実施形態に例示されるケーブルCにおいて、光学特性は接続損失であってもよい。例えば、第3実施形態において、第2実施形態と同様に、特定のテープ心線Taの特定のマルチコアファイバ10aが、複数の光ファイバ部の端部が互いに接続されて成っていてもよい。また、第4実施形態において、バンドルユニットBaの特定のマルチコアファイバ10aが、複数の光ファイバ部の端部が互いに接続されて成っていてもよい。そして、これらの場合において、特定のマルチコアファイバ10aにおける光ファイバ部同士の接続部での光の損失を、他のテープ心線Tb~Tdや他のバンドルユニットBb~Bdにおいて特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aにおける特定のマルチコアファイバ10aの接続部に対応する位置での光の損失と異ならせる。このようにすることで、第2実施形態と同様にして、マルチコアファイバ10a~10dが短尺であっても、誤差を抑制してマルチコアファイバ10aを識別し得る。
【0109】
また、第3実施形態に例示されるバンドルユニットBや第4実施形態に例示されるケーブルCにおいて、特定のマルチコアファイバ10aにおける光ファイバ部同士の接続部での光の損失が、他のテープ心線Tb~Tdや他のバンドルユニットBb~Bdにおいて特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aにおける特定のマルチコアファイバ10aの接続部に対応する位置での光の損失と異なる限りにおいて、以下のようにしてもよい。特定のマルチコアファイバ10aと共に他のテープ心線Tb~Tdや他のバンドルユニットBb~Bdにおいて特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aも複数の光ファイバ部が長手方向に互いに接続されて成る構成であってもよい。この場合、他のテープ心線Tb~Tdや他のバンドルユニットBb~Bdにおいて特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aにおける特定のマルチコアファイバ10aの接続部に対応する位置に光ファイバ部同士の接続部が設けられてもよい。
【0110】
また、第3実施形態に例示されるバンドルユニットBや第4実施形態に例示されるケーブルCにおいて、特定のマルチコアファイバ10aと共に他のテープ心線Tb~Tdや他のバンドルユニットBb~Bdにおいて特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aも複数の光ファイバ部が長手方向に互いに接続されて成る構成にする場合、それぞれの接続部の数は制限されるものではない。例えば、特定のマルチコアファイバ10aにおける光ファイバ部同士の接続部の数は、他のテープ心線Tb~Tbや他のバンドルユニットBb~Bdにおいて特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aにおける光ファイバ部同士の接続部の数と異なっていても同じであってもよい。接続部の数が同じ場合、他のテープ心線Tb~Tdや他のバンドルユニットBb~Bdにおいて特定のマルチコアファイバ10aに対応するマルチコアファイバ10aの少なくとも1つの接続部を、特定のマルチコアファイバ10aの接続部に対応する位置以外に位置させてもよい。
【0111】
また、第3実施形態に例示されるバンドルユニットBや第4実施形態に例示されるケーブルCにおいて、特定のコアは複数であってもよく、特定のマルチコアファイバの全てのコアであってもよい。この場合、特定のマルチコアファイバ10aにおける特定のコアと、他のテープ心線Tb~Tdや他のバンドルユニットBb~Bdにおいて特定のコアに対応するコアとで異なる光学特性は、前述したコアの特定波長の光の損失に基づいて求められる所定値であってもよい。
【0112】
また、第3実施形態に例示されるバンドルユニットBや第4実施形態に例示されるケーブルCにおいて、第1実施形態と同様に、測定光の波長は、800nm以上950nm以下であってもよく、1625nm以上1675nm未満であってもよく、360nm以上830nm未満であってもよい。
【0113】
また、第3実施形態に例示されるバンドルユニットBや第4実施形態に例示されるケーブルCにおいて、特定のマルチコアファイバ10aの特定のコアにおける測定光の伝搬損失と、他のテープ心線Tb~Tdや他のバンドルユニットBb~Bdにおいて特定のコアに対応するコアにおける測定光の伝搬損失との差は、第1実施形態と同様にすることが好ましい。つまり、測定光の波長が通信波長帯域の場合、上記の伝搬損失の差は、0.005dB/km以上であることが好ましく、0.01dB/km以上であることがより好ましく、0.03dB/km以上であることが更に好ましく、0.05dB/km以上であることがより更に好ましい。また、測定光の波長が通信波長帯域の波長の場合、上記の伝搬損失の差は、0.1dB/km以下であることが好ましく、0.06dB/km以下であることがより好ましい。また、測定光の波長が通信波長帯域以外の波長の場合、上記の伝搬損失の差は、0.1dB/km以上であることが好ましく、0.5dB/km以上であることがより好ましく、1.0B/km以上であることが更に好ましい。
【0114】
また、第1から第4実施形態では、他のマルチコアファイバ10b~10dにおける特定のマルチコアファイバ10aのコア11aaに対応するコア11ba,11ca,11daは、識別子としてのマーカー16を基準とする位置がコア11aaと概ね同じコアであった。しかし、互いに対応するコアは、マーカー16を基準とする位置が同じコアに限定されるものではなく、マルチコアファイバはマーカー16を備えなくてもよい。例えば、マルチコアファイバ10a~10dの外周面の一部に識別子としての印字、バーコード等のマーキングが施される場合、互いに対応するコアは、当該マーキングを基準とする位置が同じコアであってもよい。また、複数のコアの配置が非回転対称である場合、互いに対応するコアは、それぞれのマルチコアファイバにおける互いに同じ位置に配置されるコアであってもよい。また、マルチコアファイバがクラッド12の中心に配置されるコアを含む場合、互いに対応するコアは、クラッド12の中心に配置されるコアであってもよい。また、マーカー16等の識別子がなく複数のコアの配置が回転対称であっても、マルチコアファイバのねじれや回転がない前提において、それぞれのマルチコアファイバを断面視した際に同等のコア配列になっている場合、互いに対応するコアは、クラッドの12の中心に対して同じ方向に配置されるコアであってもよい。また、複数のマルチコアファイバがそれぞれ複数のトランシーバに複数のシングルコアファイバを介して1対1で接続される場合、互いに対応するコアは、それぞれのマルチコアファイバと接続されるそれぞれのトランシーバのポートの番号が同じコアであってもよい。
【0115】
また、第3実施形態では、テープ心線Taの特定のマルチコアファイバ10aに対応する他のテープ心線Tb~Tdにおけるマルチコアファイバ10aは、識別子としての着色層15の色が特定のマルチコアファイバ10aと同じマルチコアファイバであった。しかし、互いに対応するマルチコアファイバは、着色層15の色が同じマルチコアファイバに限定されるものではなく、それぞれのマルチコアファイバの着色層15の色は互いに同じであってもよく、着色層15を備えなくてもよい。例えば、マルチコアファイバ10a~10dの外周面に識別子としての印字、バーコード等のマーキングが施される場合、互いに対応するマルチコアファイバは、当該マーキングが同じマルチコアファイバであってもよい。テープ心線におけるマルチコアファイバの配置に規則性があり当該規則性から特定のマルチコアファイバを識別できる場合、例えば、テープ心線におけるマルチコアファイバが図2に示されるように直線状に配列される場合、互いに対応するマルチコアファイバは、それぞれのテープ心線における互いに同じ位置に配置されるマルチコアファイバであってもよい。また、テープ心線において、特定のマルチコアファイバの外径又は外形やクラッド12の外径又は外形が他のマルチコアファイバと異なる場合、互いに対応するマルチコアファイバは、上記テープ心線及び他のテープ心線のそれぞれにおけるマルチコアファイバの外径又は外形やクラッド12の外径又は外形が互いに同じマルチコアファイバであってもよい。なお、マルチコアファイバの外径が異なる例として、例えば、クラッド12の外径が同じで被覆層の厚みが異なる場合を挙げることができる。
【0116】
また、第4実施形態では、バンドルユニットBaの特定のマルチコアファイバ10aに対応する他のバンドルユニットBb~Bdにおけるマルチコアファイバ10aは、特定のマルチコアファイバ10aが含まれるテープ心線Taの識別マークと同じ識別マークが設けられたテープ心線に含まれるマルチコアファイバのうち、着色層15の色が特定のマルチコアファイバ10aと同じマルチコアファイバであった。しかし、互いに対応するマルチコアファイバは、当該マルチコアファイバが含まれるテープ心線の識別マークが同じで着色層15の色が同じマルチコアファイバに限定されるものではない。例えば、マルチコアファイバ10a~10dの外周面に識別子としての印字、バーコード等のマーキングが施される場合、互いに対応するマルチコアファイバは、当該マルチコアファイバが含まれるテープ心線の識別マークが同じで、当該マーキングが同じマルチコアファイバであってもよい。また、テープ心線におけるマルチコアファイバの配置に規則性があり当該規則性から特定のマルチコアファイバを識別できる場合、互いに対応するマルチコアファイバは、当該マルチコアファイバが含まれるそれぞれのテープ心線の識別マークが同じで、それぞれのテープ心線におけるマルチコアファイバにおける互いに同じ位置に配置されるマルチコアファイバであってもよい。また、テープ心線において、特定のマルチコアファイバの外径又は外形やクラッド12の外径又は外形が他のマルチコアファイバと異なる場合、互いに対応するマルチコアファイバは、当該マルチコアファイバが含まれるそれぞれのテープ心線の識別マークが同じで、それぞれのテープ心線において、マルチコアファイバの外径又は外形やクラッド12の外径又は外形が互いに同じマルチコアファイバであってもよい。なお、マルチコアファイバの外径が異なる例として、例えば、クラッド12の外径が同じで被覆層の厚みが異なる場合を挙げることができる。
【0117】
また、ケーブルCは、複数のバンドルユニットBa~Bdを個別に保持する保持体を備える所謂スロット型のケーブルであってもよい。図示による説明は省略するが、保持体は円柱状の部材であり、外周面には長手方向に沿って延在する溝である複数のスロットが形成される。バンドルユニットBa~Bdはスロットに個別に収容されて保持体に保持される。そして、シースC1の内部空間に保持体が収容される。また、保持体の端面には、識別子としての印字、バーコード等のマーキングが施されてもよい。このような構成によれば、識別子に対するスロットの位置に基づいて、スロットに収容されるバンドルユニットBa~Bdを区別して認識できる。このようにバンドルユニットBa~Bdを区別して認識できる場合、バンドルユニットBa~Bdのバンドル材B1の色は互いに同じであってもよく、バンドル材B1を備えなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上説明したように、本発明によれば、光通信部材に接続される場合において、特定のマルチコアファイバを識別し得るファイバ集合体が提供され、光ファイバ通信等の分野で利用することが期待される。
【符号の説明】
【0119】
1・・・光通信装置
10a~10d・・・マルチコアファイバ
11a~11d,11aa~11ad,11ba~11bd,11ca~11cd,11da~11dd・・・コア
12・・・クラッド
B,Ba~Bd・・・バンドルユニット
C・・・ケーブル
T,Ta~Td・・・テープ心線

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8