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  • 特許-加熱機構及び電子霧化装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】加熱機構及び電子霧化装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20241107BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20241107BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023101512
(22)【出願日】2023-06-21
(65)【公開番号】P2024007393
(43)【公開日】2024-01-18
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】202210755773.5
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】羅 永杰
(72)【発明者】
【氏名】楊 保民
(72)【発明者】
【氏名】范 吉昌
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-524602(JP,A)
【文献】特開2019-129820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/465
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱機構であって、
長手形状の構造を有し、且つ内部に自身の長手方向に延在する収容チャンバが形成される発熱体と、
前記発熱体の外側に嵌合される電磁加熱コイルと、を備え、
前記発熱体の長手方向において、前記電磁加熱コイルの軸方向の中心前記収容チャンバの長手方向の中心よりも第1方向側に位置しており、
前記発熱体は、自身の長手方向に沿って配置される高温領域、中温領域および低温領域を有し、前記電磁加熱コイルの軸方向の中心が前記高温領域に位置しており、前記第1方向と反対方向に向かって、前記高温領域、前記中温領域および前記低温領域が順に配置され、
前記電磁加熱コイルの前記発熱体への正射影は、前記発熱体の前記高温領域および前記中温領域を覆う一方、前記低温領域を覆わないことを特徴とする加熱機構。
【請求項2】
前記収容チャンバの自身の長手方向の中心は、前記高温領域と前記中温領域との境界線に位置していることを特徴とする請求項に記載の加熱機構。
【請求項3】
前記発熱体の長手方向において、前記電磁加熱コイルの軸方向の中心と前記収容チャンバの長手方向の中心とのずれ高さは3.5mm~4.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の加熱機構。
【請求項4】
前記収容チャンバは、長さ20mmのエアロゾル生成基質を収容するために用いられ、前記電磁加熱コイルの軸方向長さは18mmであり、前記電磁加熱コイルの先端は前記エアロゾル生成基質の先端よりも3mmだけ高いことを特徴とする請求項に記載の加熱機構。
【請求項5】
前記電磁加熱コイルは、軸方向に複数ターンのサブコイルを有し、前記複数ターンのサブコイルはいずれも均一な間隔をあけて巻回されていることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の加熱機構。
【請求項6】
取り付けフレームを更に備え、前記電磁加熱コイルは前記取り付けフレームの外側に嵌合され、前記発熱体は前記取り付けフレーム内に設けられ、
前記取り付けフレームには、前記軸方向に螺旋状に延在する位置決め溝が備えられ、前記位置決め溝に前記電磁加熱コイルが嵌設されることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の加熱機構。
【請求項7】
上記請求項1~のいずれか一項に記載の加熱機構を備えることを特徴とする電子霧化装置。
【請求項8】
前記加熱機構に取り付けられる吸い口をさらに備え、前記電磁加熱コイルの軸方向の中心は、前記収容チャンバの長手方向の中心に対して、前記吸い口寄りの上方にずれていることを特徴とする請求項に記載の電子霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電子霧化の技術分野に関し、特に、加熱機構及び電子霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾルは、固体又は液体の小さな粒子が気体媒体中に分散し懸濁して形成されるコロイド分散体である。エアロゾルが呼吸器系を介して人体に吸収され得るので、ユーザに新しい代替吸収手段が提供される。例えば、草本類又はペースト状のエアロゾル生成基質を焼けて加熱することでエアロゾルを生成できる電子霧化装置は、様々な分野に適用され、従来の製品形態及び吸収手段の代わりに、ユーザに吸入可能なエアロゾルを供給する。
【0003】
電子霧化装置は、加熱アセンブリによりエアロゾル生成基質を加熱することで、ユーザが吸うためのエアロゾルを発生させる。一方、電磁加熱方式を採用した電子霧化装置では、加熱アセンブリは電磁加熱コイル及び発熱体を備え、電磁加熱コイルに電力を供給して磁場を発生させるこれにより、電磁加熱コイルが発生した磁場中に配置される発熱体が昇温し、エアロゾル生成基質は発熱体と接触しているため、発熱体により加熱されて霧化する。
【0004】
しかし、従来の電磁加熱方式を採用した電子霧化装置には、霧の発生が遅いという問題があり、ユーザに不快な使用体験を与えていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このことに鑑みて、従来の電子霧化装置を用いた場合の霧の発生が遅いという問題に対して、霧の発生速度を速めることができる加熱機構及び電子霧化装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
加熱機構であって、
長手形状の構造を有し、且つ内部に自身の長手方向に延在する収容チャンバが形成される発熱体と、
前記発熱体の外側に嵌合される電磁加熱コイルと、を備え、
前記発熱体の長手方向において、前記電磁加熱コイルの軸方向の中心と前記収容チャンバの長手方向の中心とはずれている。
【0007】
上記の加熱機構において、電磁加熱コイルに電力が供給されると、電磁誘導の原理によって発熱体が発熱されることにより発熱体の内部に収容されたエアロゾル生成基質が加熱されて、ユーザが吸うためのエアロゾルを形成する。且つ、発熱体の長手方向において、電磁加熱コイルの軸方向の中心と収容チャンバの長手方向の中心とがずれている。電磁加熱コイルに電力が供給されると、自身の軸方向の中心に対応する位置に磁気誘導が最も強い加熱電場を形成することができ、発熱体は、電磁加熱コイルの中心に対応する位置で最も熱が高く、そして、この位置と収容チャンバの縦方向中心とが縦方向にずれているので、この熱の最も高い位置が収容チャンバの縦方向中心の一側に位置することに相当し、該高温場を収容チャンバ内のエアロゾル生成基質に対して頂部に分布させることができ、これによって、エアロゾル生成基質を頂部から速やかに霧を発生させることができ、そして、煙霧の量を多くすることができる。
【0008】
一実施例において、前記発熱体は、自身の長手方向に沿って配置される高温領域と中温領域を有し、前記電磁加熱コイルの軸方向の中心が前記高温領域に位置している。
【0009】
一実施例において、前記収容チャンバの自身の長手方向の中心は、前記高温領域と前記中温領域との境界線に位置している。
【0010】
一実施例において、前記発熱体は、低温領域を有し、前記中温領域は、前記低温領域と前記高温領域との間に接続され、前記電磁加熱コイルの前記発熱体への正射影は、前記高温領域および前記中温領域を覆うとともに、前記低温領域とずれている。
【0011】
一実施例において、前記発熱体の長手方向において、前記電磁加熱コイルの軸方向の中心と前記収容チャンバの長手方向の中心とのずれ高さは3.5mm~4.5mmである。
【0012】
一実施例において、前記収容チャンバは、長さ20mmのエアロゾル生成基質を収容するために用いられ、前記電磁加熱コイルの軸方向長さは18mmであり、前記電磁加熱コイルの先端は前記エアロゾル生成基質の先端よりも3mmだけ高い。
【0013】
一実施例において、前記電磁加熱コイルは、軸方向に複数ターンのサブコイルを有し、前記複数ターンのサブコイルはいずれも均一な間隔をあけて巻回されている。
【0014】
一実施例において、取り付けフレームを更に備え、前記電磁加熱コイルは前記取り付けフレームの外側に嵌合され、前記発熱体は前記取り付けフレーム内に設けられ、
【0015】
前記取り付けフレームには、前記軸方向に螺旋状に延在する位置決め溝が備えられ、前記位置決め溝に前記電磁加熱コイルが嵌設される。
【0016】
電子霧化装置であって、上記の加熱機構を備えることを特徴とする。
【0017】
一実施例において、前記加熱機構に取り付けられる吸い口をさらに備え、前記電磁加熱コイルの軸方向の中心は、前記収容チャンバの長手方向の中心に対して、前記吸い口寄りの上方にずれている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願の一実施例による加熱機構の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願の上記目的、特徴及び利点がより明確に理解されるように、以下は図面を参照しながら本願の具体的な実施形態について詳細に説明する。本願が十分に理解されるように、多くの具体的な詳細が以下の説明で説明されている。しかし、本願は、本明細書に記載された以外の多くの態様で実施することができ、当業者は、本願の思想から逸脱することなく類似な改良を行うことができ、したがって、本願は、以下に開示される具体的な実施例に限定されない。
【0020】
したがって、本願は以下に開示される具体的な実施例に限定されない。本願の説明において、理解すべきものとして、用語である「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などに指示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示されるものであり、本願を説明しやすいようにして説明を簡略化するためのものだけであり、言及される装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構造され操作されなければならないことを意味又は示唆するものではないので、本願を限定するものと解釈されるべきではない。
【0021】
なお、用語である「第1」、「第2」は説明のためのものだけであり、相対的な重要性を示す又は示唆し、又は示される技術的特徴の数を示唆するものと理解されるべきではない。したがって、「第1」、「第2」が限定される特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的または暗黙的に含むことができる。本願の説明において、「複数」とは、特に明示的かつ具体的に限定されない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0022】
本願において、別途明確な規定及び限定がない限り、「装着」、「つながる」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体になってもよい。また、机械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよい。また、別途明確に限定されない限り、直接につながってもよいし、中間媒体を介して間接的につながってもよいし、2つの要素の内部の連通又は2つの要素の互いの作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記の用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0023】
本願において、別途明確な規定及び限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接に接触してもよいし、第1特徴と第2特徴が中間媒体を介して間接的に接触してもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」、及び「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上又は斜め上にあるか、あるいは第1特徴の水平高さが第2特徴よりも大きいことを示すだけであってもよい。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」、及び「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の直下又は斜め下にあるか、あるいは第1特徴の水平高さが第2特徴よりも小さいことを示すだけであってもよい。
【0024】
説明すべきものとして、一つの要素が、他の要素に「固定される」または「設けられる」と言われる場合、他の要素に直接配置されてもよく、又は介在する要素が存在してもよい。一つの要素が他の要素に「接続される」と考えられる場合、他の要素に直接接続されてもよく、又は介在する要素が存在してもよい。本明細書で使用される用語である「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」及び類似の表現は、説明のためのものだけであり、唯一の実施形態を示すものではない。
【0025】
図1を参照すると、本願の一実施例における加熱機構100の概略構造図が示されており、本願の一実施例に提供される加熱機構100は、発熱体10と電磁加熱コイル30を備える。
【0026】
発熱体10内には、自身の長手方向に延在する収容チャンバ11が形成されており、収容チャンバ11はエアロゾル生成基質を収容するために用いられる。電磁加熱コイル30は、発熱体10の外側に嵌合されており、電磁加熱コイル30に電力が供給されると、電磁誘導の原理によって発熱体10が発熱されることにより発熱体10の内部に収容されたエアロゾル生成基質が加熱されて、ユーザが吸うためのエアロゾルを形成する。
【0027】
且つ、発熱体10の長手方向において、電磁加熱コイル30の軸方向の中心と収容チャンバ11の長手方向の中心とがずれている。電磁加熱コイル30に電力が供給されると、自身の軸方向の中心に対応する位置に磁気誘導が最も強い加熱電場を形成することができ、発熱体10は、電磁加熱コイル30の中心に対応する位置で最も熱が高く、そして、この位置と収容チャンバ11の縦方向中心とが縦方向にずれているので、この熱の最も高い位置が収容チャンバ11の縦方向中心の一側に位置することに相当し、該高温場を収容チャンバ11内のエアロゾル生成基質に対して頂部に分布させることができ、これによって、エアロゾル生成基質を頂部から速やかに霧を発生させることができ、そして、煙霧の量を多くすることができる。
【0028】
また、発熱体10は、自身の長手方向に沿って配置される高温領域12と中温領域14とを有し、電磁加熱コイル30の軸方向の中心が高温領域12に位置している。つまり、発熱体10を自身の長手方向に高温領域12と中温領域14とに区分し、電磁加熱コイル30の軸方向の中心を高温領域12のある範囲に位置させるこれにより、電磁加熱コイル30の磁気誘導の最も強い位置が高温領域12にずれており、また、発熱体10内のエアロゾル生成基質の頂部を高温領域12に位置させ、これにより、エアロゾル生成基質の頂部が先に高温領域12によって加熱され霧化し、速やかに霧を発生させることができる。
【0029】
理解されるように、加熱機構100が電子霧化装置に適用され、ユーザにより電子霧化装置が使用されるとき、ガス流は、中温領域14から高温領域12の方向に沿って流れ、高温領域12に位置するエアロゾル生成基質はより高い温度に曝され、先に霧化されてからガス流とともに流出し、ユーザが吸うことができるようになる。
【0030】
また、収容チャンバ11の自身の長手方向の中心は、高温領域12と中温領域14との境界線に位置している。つまり、電磁加熱コイル30の軸方向の中心は、収容チャンバ11の自身の長手方向の中心よりも上方に位置しており、収容チャンバ11の自身の長手方向の中心よりも上方の領域は高温領域12となり、収容チャンバ11の自身の長手方向の中心よりも下方の少なくとも一部の領域は中温領域14となっており、これにより、高温領域12と中温領域14とが区画されている。
【0031】
いくつかの実施例では、発熱体10は、低温領域16をさらに有し、中温領域14は、低温領域16と高温領域12との間に接続され、電磁加熱コイル30の発熱体10への正射影は、高温領域12および中温領域14を覆うとともに、低温領域16とずれている。つまり、電磁加熱コイル30は、高温領域12及び中温領域14の外側に嵌合され、そして低温領域16の外側に嵌合されなく、このように電磁加熱コイル30を持ち上げることで、電磁加熱コイル30の軸方向の中心が高温領域12まで上昇することになる。
【0032】
それと同時に、発熱体10の長手方向に沿って低温領域16、中温領域14、及び高温領域12が順に配置されて、高温、中温、低温の勾配の温度場が形成される。加熱機構100の加熱が開始されると、電磁加熱コイル30により発熱体10の高温領域12の熱が最も高くなってエアロゾル生成基質が局部的に加熱されて速やかに霧を発生させつつ、中温領域14及び低温領域16が予熱され、高温領域12の霧化が完了した後、中温領域14が介入し、続いて低温領域16が介入し、最終的にはエアロゾル生成基質全体の霧化は完了する。このように、高中低勾配の温度分布により、エアロゾル生成基質が速やかに霧を発生させて持続的に霧化することができ、且つ霧化の均質性が優れてエアロゾル生成基質の均一な霧化が可能になる。
【0033】
いくつかの実施例では、発熱体10の長手方向において、電磁加熱コイル30の軸方向の中心と収容チャンバ11の長手方向の中心との間のずれ高さは3.5mm~4.5mmであり、このように電磁加熱コイル30の軸方向の中心を3.5mm~4.5mmだけ上昇させることで、発熱体10の上部の温度を効率的に高めて高温領域12を形成することができる。オプションとして、発熱体10の長手方向において、電磁加熱コイル30の軸方向の中心と収容チャンバ11の長手方向の中心とのずれ高さは4mmである。
【0034】
さらに、収容チャンバ11は、長さ20mmのエアロゾル生成基質を収容するために用いられ、電磁加熱コイル30の軸方向長さは18mmであり、電磁加熱コイル30の先端はエアロゾル生成基質の先端よりも3mmだけ高い。上記の寸法でエアロゾル生成基質と電磁加熱コイル30を設計して電磁加熱コイル30をエアロゾル生成基質よりも3mm高くようにすることで、電磁加熱コイル30の軸方向の中心をエアロゾル生成基質の縦方向中心よりも4mm高くようにして、エアロゾル生成基質の頂部に高温領域12を形成し、霧の発生速度を向上させることができる。
【0035】
いくつかの実施例では、加熱機構100は取り付けフレーム50を更に備え、電磁加熱コイル30は取り付けフレーム50の外側に螺旋状に設けられ、発熱体10は取り付けフレーム50内に設けられる。このように、発熱体10と電磁加熱コイル30との固定や固定が容易になる。
【0036】
取り付けフレーム50には、軸方向に螺旋状に延在する位置決め溝が備えられ、この位置決め溝には電磁加熱コイル30が嵌設され、具体的には、位置決め溝は、電磁加熱コイル30を取り付けフレーム50にしっかり固定するように、電磁加熱コイル30の形状に倣って形成された倣い溝とされる。
【0037】
オプションとして、加熱アセンブリは、電磁加熱コイル30の外側に設けられる磁気シールド部材をさらに備える。一方では、磁気シールド部材は、電磁加熱コイル30を固定することができ、電磁加熱コイル30が外部に電磁を放射することを回避することができる。具体的には、磁気シールド部材は、電磁加熱コイル30に接着固定されている。
【0038】
上記のいずれの実施例においても、電磁加熱コイル30は、軸方向に複数ターンのサブコイルを有し、複数ターンのサブコイルはいずれも均一な間隔をあけて巻回されており、すなわち、電磁加熱コイル30の中の任意の隣接する2つのサブコイルの間のピッチは同じであり、電磁加熱コイル30が均一な螺旋状に巻回され、よって、電磁加熱コイル30によって形成される磁場が軸方向に均一に分布され、電磁加熱コイル30の磁気誘導の最も強い箇所が電磁加熱コイル30の軸方向の中心に位置することになり、これにより、電磁加熱コイル30を持ち上げることで発熱体10の頂部に位置する高温領域12を形成することができる。
【0039】
さらに、電磁加熱コイル30は、少なくとも1つのワイヤ束が軸方向に螺旋状に延在して形成されるものであり、各ワイヤ束はそれぞれ少なくとも2本のワイヤを備え、すなわち、各ワイヤ束は、少なくとも2本のワイヤを撚り合わせて形成されるものである。
【0040】
具体的には、本実施例では、加熱機構100は、発熱体10と電磁加熱コイル30を備え、発熱体10内には、自身の長手方向に延在する収容チャンバ11が形成されており、収容チャンバ11はエアロゾル生成基質を収容するために用いられる。電磁加熱コイル30は発熱体10の外側に嵌合されており、発熱体10の長手方向において、電磁加熱コイル30の軸方向の中心と収容チャンバ11の長手方向の中心とがずれており、且つ、発熱体10には、自身の長手方向に沿って配置される高温領域12、中温領域14、および低温域16が形成され、中温領域14は、低温領域16と高温領域12との間に接続され、電磁加熱コイル30の発熱体10への正射影は、高温領域12および中温領域14を覆うとともに、低温領域16とずれている。つまり、電磁加熱コイル30は、高温領域12及び中温領域14の外側に嵌合され、そして低温領域16の外側に嵌合されなく、このように電磁加熱コイル30を持ち上げることで、電磁加熱コイル30の軸方向の中心が高温領域12まで上昇することになる。
【0041】
それと同時に、発熱体10の長手方向に沿って低温領域16、中温領域14、及び高温領域12が順に配置されて、高温、中温、低温の勾配の温度場が形成される。加熱機構100の加熱が開始されると、電磁加熱コイル30により発熱体10の高温領域12の熱が最も高くなってエアロゾル生成基質が局部的に加熱されて速やかに霧を発生させつつ、中温領域14及び低温領域16が予熱され、高温領域12の霧化が完了した後、中温領域14が介入し、続いて低温領域16が介入し、最終的にはエアロゾル生成基質全体の霧化は完了する。このように、高中低勾配の温度分布により、エアロゾル生成基質が速やかに霧を発生させて持続的に霧化することができ、且つ霧化の均質性が優れてエアロゾル生成基質の均一な霧化が可能になる。
【0042】
本願の一実施例において、上記の加熱機構100を備える電子霧化装置を更に提供する。加熱機構100は、発熱体10と電磁加熱コイル30を備える。
【0043】
発熱体10内には、自身の長手方向に延在する収容チャンバ11が形成されており、収容チャンバ11はエアロゾル生成基質を収容するために用いられる。電磁加熱コイル30は、発熱体10の外側に嵌合されており、電磁加熱コイル30に電力が供給されると、電磁誘導の原理によって発熱体10が発熱されることにより発熱体10の内部に収容されたエアロゾル生成基質が加熱されて、ユーザが吸うためのエアロゾルを形成する。
【0044】
且つ、発熱体10の長手方向において、電磁加熱コイル30の軸方向の中心と収容チャンバ11の長手方向の中心とがずれている。電磁加熱コイル30に電力が供給されると、自身の軸方向の中心に対応する位置に磁気誘導が最も強い加熱電場を形成することができ、発熱体10は、電磁加熱コイル30の中心に対応する位置で最も熱が高く、そして、この位置と収容チャンバ11の縦方向中心とが縦方向にずれているので、この熱の最も高い位置が収容チャンバ11の縦方向中心の一側に位置することに相当し、該高温場を収容チャンバ11内のエアロゾル生成基質に対して頂部に分布させることができ、これによって、エアロゾル生成基質を頂部から速やかに霧を発生させることができ、そして、煙霧の量を多くすることができる。
【0045】
いくつかの実施例では、電子霧化装置は加熱機構100に取り付けられる吸い口(図示せず)をさらに備え、そして、電磁加熱コイル30の軸方向の中心は、収容チャンバ11の長手方向の中心に対して、吸い口寄りの上方にずれている。
【0046】
ここで、吸い口は、ユーザが吸う際に直接に接触する部品として、一般的には口内に含まれて内部からガスが吸われるものであり、その際に電子霧化装置内で加熱により発生したエアロゾル生成基質を口に吸い込むことができる。電磁加熱コイル30の軸方向の中心は、収容チャンバ11の長手方向の中心に対して吸い口寄りの上方にずれており、つまり、電磁加熱コイル30が吸い口寄りの上方に持ち上げられることで電磁加熱コイル30の軸方向の中心が吸い口に近い箇所まで上昇することに相当し、これにより、収容チャンバ11内のエアロゾル生成基質の吸い口寄りの頂部を速やかに加熱し、霧の発生速度を高めることができる。
【0047】
また、発熱体10は、自身の長手方向に沿って配置される高温領域12と中温領域14とを有し、電磁加熱コイル30の軸方向の中心が高温領域12に位置している。つまり、発熱体10を自身の長手方向に高温領域12と中温領域14とに区分し、電磁加熱コイル30の軸方向の中心を高温領域12のある範囲に位置させるこれにより、電磁加熱コイル30の磁気誘導の最も強い位置が高温領域12にずれており、また、発熱体10内のエアロゾル生成基質の頂部を高温領域12に位置させ、これにより、エアロゾル生成基質の頂部が先に高温領域12によって加熱され霧化し、速やかに霧を発生させることができる。
【0048】
具体的には、収容チャンバ11の自身の長手方向の中心は、高温領域12と中温領域14との境界線に位置している。つまり、電磁加熱コイル30の軸方向の中心は、収容チャンバ11の自身の長手方向の中心よりも上方に位置しており、収容チャンバ11の自身の長手方向の中心よりも上方の領域は高温領域12となり、収容チャンバ11の自身の長手方向の中心よりも下方の少なくとも一部の領域は中温領域14となっており、これにより、高温領域12と中温領域14とが区画されている。
【0049】
いくつかの実施例では、発熱体10は、低温領域16をさらに有し、中温領域14は、低温領域16と高温領域12との間に接続され、電磁加熱コイル30の発熱体10への正射影は、高温領域12および中温領域14を覆うとともに、低温領域16とずれている。つまり、電磁加熱コイル30は、高温領域12及び中温領域14の外側に嵌合され、そして低温領域16の外側に嵌合されなく、このように電磁加熱コイル30を持ち上げることで、電磁加熱コイル30の軸方向の中心が高温領域12まで上昇することになる。
【0050】
それと同時に、発熱体10の長手方向に沿って低温領域16、中温領域14、及び高温領域12が順に配置されて、高温、中温、低温の勾配の温度場が形成される。加熱機構100の加熱が開始されると、電磁加熱コイル30により発熱体10の高温領域12の熱が最も高くなってエアロゾル生成基質が局部的に加熱されて速やかに霧を発生させつつ、中温領域14及び低温領域16が予熱され、高温領域12の霧化が完了した後、中温領域14が介入し、続いて低温領域16が介入し、最終的にはエアロゾル生成基質全体の霧化は完了する。このように、高中低勾配の温度分布により、エアロゾル生成基質が速やかに霧を発生させて持続的に霧化することができ、且つ霧化の均質性が優れてエアロゾル生成基質の均一な霧化が可能になる。
【0051】
いくつかの実施例では、発熱体10の長手方向において、電磁加熱コイル30の軸方向の中心と収容チャンバ11の長手方向の中心との間のずれ高さは3.5mm~4.5mmであり、このように電磁加熱コイル30の軸方向の中心を3.5mm~4.5mmだけ上昇させることで、発熱体10の上部の温度を効率的に高めて高温領域12を形成することができる。オプションとして、発熱体10の長手方向において、電磁加熱コイル30の軸方向の中心と収容チャンバ11の長手方向の中心とのずれ高さは4mmである。
【0052】
具体的には、収容チャンバ11は、長さ20mmのエアロゾル生成基質を収容するために用いられ、電磁加熱コイル30の軸方向長さは18mmであり、電磁加熱コイル30の先端はエアロゾル生成基質の先端よりも3mmだけ高い。上記の寸法でエアロゾル生成基質と電磁加熱コイル30を設計して電磁加熱コイル30をエアロゾル生成基質よりも3mm高くようにすることで、電磁加熱コイル30の軸方向の中心をエアロゾル生成基質の縦方向中心よりも4mm高くようにして、エアロゾル生成基質の頂部に高温領域12を形成し、霧の発生速度を向上させることができる。
【0053】
いくつかの実施例では、加熱機構100は取り付けフレーム50を更に備え、電磁加熱コイル30は取り付けフレーム50の外側に螺旋状に設けられ、発熱体10は取り付けフレーム50内に設けられる。このように、発熱体10と電磁加熱コイル30との固定や固定が容易になる。取り付けフレーム50には、軸方向に螺旋状に延在する位置決め溝が備えられ、この位置決め溝に電磁加熱コイル30が嵌設され、具体的には、位置決め溝は、電磁加熱コイル30を取り付けフレーム50にしっかり固定するように、電磁加熱コイル30の形状に倣って形成された倣い溝とされる。
【0054】
上記のいずれの実施例においても、電磁加熱コイル30は、軸方向に複数ターンのサブコイルを有し、複数ターンのサブコイルはいずれも均一な間隔をあけて巻回されており、すなわち、電磁加熱コイル30の中の任意の隣接する2つのサブコイルの間のピッチは同じであり、電磁加熱コイル30が均一な螺旋状に巻回され、よって、電磁加熱コイル30によって形成される磁場が軸方向に均一に分布され、電磁加熱コイル30の磁気誘導の最も強い箇所が電磁加熱コイル30の軸方向の中心に位置することになり、これにより、電磁加熱コイル30を持ち上げることで発熱体10の頂部に位置する高温領域12を形成することができる。
【0055】
以上説明した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについては説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載される範囲内であると考えられるべきである。
【0056】
以上の実施例は、本願のいくつかの実施形態を表現したに過ぎず、その説明が具体的かつ詳細であるが、本願の特許の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。当業者にとっては、本願の思想から逸脱することなく、多くの変形や改良が可能であり、これらは本願の保護範囲に含まれることに留意されたい。したがって、本願の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に規定されるものとする。
【符号の説明】
【0057】
100 加熱機構
10 発熱体
11 収容チャンバ
12 高温領域
14 中温領域
16 低温領域
30 電磁加熱コイル
50 取り付けフレーム
図1