(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】演出制御システム、方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
A63J 7/00 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
A63J7/00
(21)【出願番号】P 2023102899
(22)【出願日】2023-06-23
(62)【分割の表示】P 2020125728の分割
【原出願日】2019-08-02
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】504440133
【氏名又は名称】株式会社ポケモン
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】秋山 玄陽
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-296337(JP,A)
【文献】特開2008-073265(JP,A)
【文献】特開2005-202849(JP,A)
【文献】特開2018-158046(JP,A)
【文献】特開2000-350874(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0358263(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0285757(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0001193(US,A1)
【文献】米国特許第04660033(US,A)
【文献】国際公開第2018/087968(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/102313(WO,A2)
【文献】特開2012-079150(JP,A)
【文献】特開平07-201205(JP,A)
【文献】特開2019-080899(JP,A)
【文献】特開2019-022072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63J 1/00-A63J 99/00
A63K 1/00-A63K 99/00
A63H 1/00-A63H 37/00
A63F 9/24
A63F 13/00-A63F 13/98
H04M 3/00-H04M 11/10
G01B 11/00-G01B 11/30
YouTube
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着ぐるみによる演出を観客が見物することで前記観客を楽しませるイベントにおいて、プロセッサとメモリとを備えるコンピュータが、前記着ぐるみに演出を行わせる方法であって、
前記
着ぐるみ
に搭載される位置情報センサによる検出情報、又は前記イベントを撮影する撮影装置による撮影画像を取得するステップと、
前記検出情報、又は前記撮影画像に基づいて前記着ぐるみの位置を特定するステップと、
前記
特定した前記着ぐるみの位置
に基づいて、前記着ぐるみが前記イベントにおいて特定の位置にいる場合に、前記着ぐるみに
取り付けられている複数の発光部に、特定の演出パターンで
発光させる演出を行わせるステップと、
を実行する、方法。
【請求項2】
着ぐるみによる演出を観客が見物することで前記観客を楽しませるイベントにおいて、プロセッサとメモリとを備えるコンピュータが、前記着ぐるみに演出を行わせる方法であって、
前記
着ぐるみ
に搭載される位置情報センサによる検出情報、又は前記イベントを撮影する撮影装置による撮影画像を取得するステップと、
前記検出情報、又は前記撮影画像に基づいて前記着ぐるみの位置を特定するステップと、
前記
特定した前記着ぐるみの位置
の履歴に基づいて、前記着ぐるみに
取り付けられている複数の発光部に、特定の演出パターンで
発光させる演出を行わせるステップと、
を実行する、方法。
【請求項3】
前記演出を行わせるステップにおいて、
前記着ぐるみの位置
の履歴に基づいて、前記着ぐるみが特定の方向に移動している場合に、前記着ぐるみに特定の演出パターンで
発光させる演出を行わせる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記演出を行わせるステップにおいて、
前記着ぐるみの位置
の履歴に基づいて、前記着ぐるみが前記イベントにおいて所定の範囲に移動しようとしている、または、遠ざかろうとしている場合に、前記着ぐるみに特定の演出パターンで
発光させる演出を行わせる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記演出を行わせるステップにおいて、
前記所定の範囲として、前記着ぐるみの接近を検出可能な設置物がある範囲に移動しようとしている、または、遠ざかろうとしている場合に、前記着ぐるみに特定の演出パターンで
発光させる演出を行わせる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記イベントにおいて、前記イベントの観客に、前記イベントに関する演出を行う携帯アイテムを保持させることを要することなく、前記演出を行わせる、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記イベントにおいて、前記イベントの観客に、前記着ぐるみが位置して演出を行う一定のエリアに立ち入らず前記着ぐるみによる演出を見物可能とするものである、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
着ぐるみによる演出を観客が見物することで前記観客を楽しませるイベントにおいて、プロセッサとメモリとを備えるコンピュータに、前記着ぐるみに演出を行わせるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記
着ぐるみ
に搭載される位置情報センサによる検出情報、又は前記イベントを撮影する撮影装置による撮影画像を取得するステップと、
前記検出情報、又は前記撮影画像に基づいて前記着ぐるみの位置を特定するステップと、
前記
特定した前記着ぐるみの位置
に基づいて、前記着ぐるみが前記イベントにおいて特定の位置にいる場合に、前記着ぐるみに
取り付けられている複数の発光部に、特定の演出パターンで
発光させる演出を行わせるステップと、
を実行させる、プログラム。
【請求項9】
着ぐるみによる演出を観客が見物することで前記観客を楽しませるイベントにおいて、プロセッサとメモリとを備える情報処理装置が、前記着ぐるみに演出を行わせることであって、
前記情報処理装置が、
前記
着ぐるみ
に搭載される位置情報センサによる検出情報、又は前記イベントを撮影する撮影装置による撮影画像を取得するステップと、
前記検出情報、又は前記撮影画像に基づいて前記着ぐるみの位置を特定するステップと、
前記
特定した前記着ぐるみの位置
に基づいて、前記着ぐるみが前記イベントにおいて特定の位置にいる場合に、前記着ぐるみに
取り付けられている複数の発光部に、特定の演出パターンで
発光させる演出を行わせるステップと、
を実行する、情報処理装置。
【請求項10】
着ぐるみによる演出を観客が見物することで前記観客を楽しませるイベントにおいて、プロセッサとメモリとを備えるコンピュータに、前記着ぐるみに演出を行わせるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記
着ぐるみ
に搭載される位置情報センサによる検出情報、又は前記イベントを撮影する撮影装置による撮影画像を取得するステップと、
前記検出情報、又は前記撮影画像に基づいて前記着ぐるみの位置を特定するステップと、
前記
特定した前記着ぐるみの位置
の履歴に基づいて、前記着ぐるみに
取り付けられている複数の発光部に、特定の演出パターンで
発光させる演出を行わせるステップと、
を実行させる、プログラム。
【請求項11】
着ぐるみによる演出を観客が見物することで前記観客を楽しませるイベントにおいて、プロセッサとメモリとを備える情報処理装置が、前記着ぐるみに演出を行わせることであって、
前記情報処理装置が、
前記
着ぐるみ
に搭載される位置情報センサによる検出情報、又は前記イベントを撮影する撮影装置による撮影画像を取得するステップと、
前記検出情報、又は前記撮影画像に基づいて前記着ぐるみの位置を特定するステップと、
前記
特定した前記着ぐるみの位置
の履歴に基づいて、前記着ぐるみに
取り付けられている複数の発光部に、特定の演出パターンで
発光させる演出を行わせるステップと、
を実行する、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、演出制御システム、方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム、漫画、アニメ、小説、ドラマ等のコンテンツの世界観を表現するショーが開催されている。例えば、ゲームに登場するキャラクタの着ぐるみを登場させて、イベント会場などで、着ぐるみを装着した演者が歩行すること等により、着ぐるみを移動させること等が行われている。
【0003】
これら着ぐるみによるショーの演出をするために、着ぐるみに発光装置を装着させ、予め規定されたパターンで光らせることもある。例えば、着ぐるみを装着する演者が、着ぐるみに搭載される制御装置を操作することで、着ぐるみの発光装置の発光パターンを制御させる。演者は、着ぐるみを装着するために視界が限られることが多いため、ショーで演奏されるバックグラウンドミュージック(BGM)を聴きながら、発光パターンを制御することが行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】“ピカチュウ大量発生チュウ 2018 ピカチュウ大行進 夜ダンス”、[online]、平成30年8月11日、[令和1年7月27日検索]、インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=1Ps4LGoiZ-M>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、演者が着ぐるみの演出を制御する場合、演出のバリエーションを増やすことが難しいという課題がある。例えば、着ぐるみを装着する演者の視界が限られる場合、BGMなど音声を聞きながらアクターが演出を切り替えることに限られてしまう可能性もある。
【0006】
そこで、本開示では、ショーの演出を制御する別の手段を提供することにより、ショーのエンタテインメント性をよりいっそう向上させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によると、複数の着ぐるみと、無線制御装置とにより構成される、演出制御システムが提供される。複数の着ぐるみのそれぞれは、無線制御装置からの無線信号を受信する無線受信機と、発光部を含む演出部と、演出部の演出パターンを制御するための制御部とを備える。無線制御装置は、各着ぐるみの無線受信機それぞれを特定し、当該特定した無線受信機に対し、着ぐるみそれぞれの演出パターンを送信する。着ぐるみの制御部は、無線制御装置から演出パターンを示す無線信号を受信したことに応答して、演出部を、演出パターンにより動作させる。
【0008】
一実施形態によると、複数の着ぐるみと、無線制御装置とにより構成される、演出制御システムによる演出の方法が提供される。複数の着ぐるみのそれぞれは、無線制御装置からの無線信号を受信する無線受信機と、発光部を含む演出部と、演出部の演出パターンを制御するための制御部とを備える。方法は、無線制御装置が、各着ぐるみの無線受信機それぞれを特定し、当該特定した無線受信機に対し、着ぐるみそれぞれの演出パターンを送信する。着ぐるみの制御部が、無線制御装置から演出パターンを示す無線信号を受信したことに応答して、演出部を、演出パターンにより動作させる。
【0009】
一実施形態によると、複数の着ぐるみと、無線制御装置とにより構成される、演出制御システムの無線制御装置が提供される。複数の着ぐるみのそれぞれは、無線制御装置からの無線信号を受信する無線受信機と、発光部を含む演出部と、演出部の演出パターンを制御するための制御部とを備える。無線制御装置は、各着ぐるみの無線受信機それぞれを特定し、当該特定した無線受信機に対し、着ぐるみそれぞれの演出パターンを送信する。着ぐるみの制御部は、無線制御装置から演出パターンを示す無線信号を受信したことに応答して、演出部を、演出パターンにより動作させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、エンタテインメント性をよりいっそう向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】演出制御システム1の全体の構成を示す図である。
【
図2】演出制御システム1の全体の構成を示す図である。
【
図3】無線制御装置20が複数の着ぐるみ10の演出パターンを制御するための構成の詳細を示す図である。
【
図4】無線制御装置20が着ぐるみ10の演出パターンを制御する処理を示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施の形態における演出制御システムの全体の構成を示す図である。
【
図6】着ぐるみの位置の履歴と、ユーザの位置の履歴とを保持するための各種データのデータ構造を示す図である。
【
図7】観客ユーザ4の反応を判定することにより、着ぐるみ10の演出パターンを制御する場合の各装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】第3の実施の形態における各装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
<第1の実施の形態>
<1 演出制御システム全体の構成図>
図1は、演出制御システム1の全体の構成を示す図である。
【0014】
図1に示すように、演出制御システム1は、イベント会場3で行われるショー、イベント(以下、「イベント等」ともいう)の演出を制御するためのシステムである。演出制御システム1は、複数の着ぐるみ10と、無線制御装置20とにより構成される。
【0015】
イベント等は、例えば、ゲーム、漫画、アニメ、小説、ドラマ等のコンテンツの世界観を表現するものである。イベント等は、屋外または屋内で開催される。イベント等を構成する演出として、コンテンツに登場するキャラクタを表す着ぐるみ10が登場することが含まれる。着ぐるみ10は、演者が着ぐるみ10の内部から着ぐるみ10の手足等の可動部を動かせる構造を有する。例えば、演者が着ぐるみ10を装着した際に、演者の手足を、着ぐるみ10の手足の部分に挿入できる構造としている。着ぐるみ10が尻尾等を有する場合に、これらを演者が操作することができることとしてもよい。
【0016】
イベント等の演出には、図示するように、複数の着ぐるみ10(着ぐるみ10A、10B、10C、10Dの4つの着ぐるみ10を図示している)が登場すること、複数の着ぐるみ10が自ら移動すること(つまり、着ぐるみ10を装着する演者によって歩行すること)、船や車両などの移動体に乗ることで移動すること等が含まれる。イベント等において複数の着ぐるみ10を登場させる場合、様々な外観の着ぐるみを登場させることとしてもよいし、略同一の外観の複数の着ぐるみを登場させることとしてもよい。例えば、コンテンツに登場する仮想的なキャラクタの外観を模したキャラクタを、複数、登場させることとしてもよい。ここで、略同一の外観の複数の着ぐるみを登場させる場合に、各着ぐるみに装着させる演出部が、それぞれ異なることとしてもよい。また、仮想的なキャラクタの外観を模した着ぐるみと、当該キャラクタに関連のあるキャラクタの外観を模した着ぐるみ(例えば、当該キャラクタを進化または変形させたキャラクタ、または、当該キャラクタとの人間関係等があるキャラクタ、の外観を模した着ぐるみ)とをイベント等において登場させることとしてもよい。
【0017】
着ぐるみ10を用いた演出として、光による視覚的な演出と、音による聴覚的な演出とが含まれる。例えば、着ぐるみ10に、LEDなどの発光部材を装着させ、音楽にあわせて発光パターンを制御することが含まれる。図示する例では、着ぐるみ10に、発光部材としての演出部16(演出部16A、16B、16C、16D)が備え付けられている。例えば、着ぐるみ10の頭部、腕部、脚部、胴体部、尻尾部に、演出部16を備え付けることとしてもよい。
【0018】
なお、光による演出の方法としては、LED(light emitting diode)による発光に限らず、レーザー光など直進性の高い光を照射することとしてもよい。また、光以外の演出の方法として、音による演出をする場合、BGMにあわせて着ぐるみ10がダンス等を行うこと、指向性の高いスピーカにより、特定の位置で聞こえる音声を提供することとしてもよい。
【0019】
無線制御装置20は、複数の着ぐるみ10による演出を制御するための装置である。オペレータ2は、無線制御装置20を操作する。オペレータ2が、複数の着ぐるみ10のそれぞれと、演出パターンとを指定することで、複数の着ぐるみ10それぞれによる演出を制御する。
【0020】
観客ユーザ4は、イベント会場3に来訪することにより、イベント会場3で開催されるイベント等を楽しむユーザである。イベント等は、イベント会場3への入退場に対して無料で開催されている場合もあれば、イベント会場3への入退場に対して制限を加えて有料で開催されている場合もある。例えば、イベント等が有料で開催される場合には、観客ユーザ4は、事前にイベント等のチケットを入手し、イベント会場3で受け付け処理を行うことにより、イベント会場3で開催されるイベント等を見ることができる。すなわち、演出制御システム1は、観客ユーザ4が来訪したことを記録するための受付システムを含むこととしてもよい。
【0021】
図2は、演出制御システム1の全体の構成を示す図である。
図2の例では、複数の着ぐるみ10として、着ぐるみ10A、着ぐるみ10Bを示している。
【0022】
着ぐるみ10Aは、無線受信機12と、入力装置13と、出力装置14と、記憶部15と、演出部16と、制御部19とを含む。
【0023】
無線受信機12は、着ぐるみ10Aが他の無線機器と通信するため、アンテナを介して信号を受信するための変復調処理などを行う。無線受信機12は、無線信号を送信する構成を有していてもよい。無線受信機12は、チューナー、RSSI(Received Signal Strength Indicator)算出回路、CRC(Cyclic Redundancy Check)算出回路、高周波回路などを含む通信モジュールである。無線受信機12は、着ぐるみ10Aが送受信する無線信号の変復調や周波数変換を行い、受信信号を制御部19等へ与える。
【0024】
入力装置13は、着ぐるみ10Aを装着する演者からの操作を受け付けるための装置であり、例えば物理的なボタンである。
【0025】
出力装置14は、着ぐるみ10Aを装着する演者、または、観客ユーザ4に対して情報を出力するための装置である。例えば、ディスプレイ、スピーカ等により構成される。例えば、無線制御装置20の制御により着ぐるみ10Aの演出パターンが変更された場合に、着ぐるみ10Aの演者に対し、演出パターンが変更された旨を示す音声をスピーカから出力する。また、例えば、着ぐるみ10Aの周囲の観客ユーザ4に対し、ディスプレイにより所定の情報を提示する。
【0026】
記憶部15は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等により構成され、着ぐるみ10Aが使用するデータおよびプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部15は、演出部16により演出をするための各種設定を記憶する。記憶部15は、例えば、演出部16を構成する発光部の発光パターンの設定を記憶する。着ぐるみ10Aは、無線制御装置20から発光パターンの指定を受信する都度、発光パターンの設定を更新する。
【0027】
制御部19は、記憶部15に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、着ぐるみ10Aの動作を制御する。制御部19は、例えばプロセッサである。
【0028】
なお、図示していないが、着ぐるみ10Aは、電池等の電力供給源を保持しており、制御部19、演出部16等に電力を供給する。例えば、着ぐるみ10Aを装着する演者が所定の操作を行うことにより、これら演出部16等へ電力を供給するモードを切り替え可能であるとしてもよい。例えば、イベント等の演出が始まる前では、省電力モードとし、イベント等の演出が始まることにあわせて省電力モードを解除するよう、演者が操作することができるようにしてもよい。また、無線制御装置20の制御により、演者の操作によらずとも着ぐるみ10Aの電力の供給を制御できることとしてもよい。例えば、着ぐるみ10Aが、無線制御装置20から信号を受信したことに応答して、電力の消費モードを切り替えることとしてもよい。
【0029】
無線制御装置20は、無線送信機22と、操作卓23と、記憶部25と、制御部29とを含む。
【0030】
無線送信機22は、無線制御装置20が他の無線機器と通信するため、アンテナを介して信号を送信するための変復調処理などを行う。無線送信機22は、無線信号を受信する構成を有していてもよい。無線送信機22は、チューナー、RSSI算出回路、CRC算出回路、高周波回路などを含む通信モジュールである。無線送信機22は、無線制御装置20が送受信する無線信号の変復調や周波数変換を行い、受信信号を制御部29等へ与える。
【0031】
操作卓23は、オペレータ2からの操作を受け付けるための装置である。詳細は後述するが、操作卓23は、複数の着ぐるみ10のそれぞれの演出パターンを制御するための操作を受け付ける。例えば、無線制御装置20が無線信号の送信に使用できる無線チャネルについて、複数の着ぐるみ10のそれぞれに無線チャネルを割り当てる場合に、オペレータ2が無線チャネルの範囲を特定することで、どの着ぐるみ10の演出パターンを制御するかをオペレータ2が指定することができる。
【0032】
記憶部25は、着ぐるみ10の演出部16により演出をするための演出パターンを記憶する。例えば、演出部16が発光部により構成される場合、記憶部25は、演出パターンとして、発光部を発光させるタイミングを規定した情報を記憶する。
【0033】
制御部29は、記憶部25に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、無線制御装置20の動作を制御する。制御部29は、例えばプロセッサである。制御部29は、操作卓23に対するオペレータ2の入力操作に応答して、複数の着ぐるみ10それぞれの演出を制御するための無線信号を生成し、着ぐるみ10それぞれに送信する処理を行う。
【0034】
図3は、無線制御装置20が複数の着ぐるみ10の演出パターンを制御するための構成の詳細を示す図である。
【0035】
着ぐるみ10と無線制御装置20とは、無線信号による制御を可能とするために、所定の通信プロトコルに対応した装置構成を有している。本実施形態では、着ぐるみ10を11体登場させる(着ぐるみ10A、10B、・・・10K)こととする。
【0036】
無線制御装置20は、着ぐるみ10それぞれに対応して、複数の無線送信機22(無線送信機22A、22B、・・・22K)を有している。本実施形態では、無線制御装置20は、最大で512チャネルを使用することができるものとし、そのうち363チャネルを使用する。
【0037】
着ぐるみ10Aは、無線受信機12Aと、演出部16Aとを含む。演出部16Aは、複数の発光部(発光部16A1、16A2、・・・)を含む。各発光部は、複数の単色発光部材により構成される。例えば、各発光部は、3色(RGB)を混合することで任意の色を表現できるよう、赤色を発光するLEDと、青色を発光するLEDと、緑色を発光するLEDとにより構成されることとしてもよい。図示する例では、着ぐるみ10Aは、演出部16Aとして、11系統の発光部(発光部16A1、A2、・・・A11)を備える。各発光部は、3つの発光部材を備えることとし、それぞれの発光部材に対応して3チャネルを割り当てている。したがって、着ぐるみ10Aには、33チャネル(11系統の発光部、および、各発光部に3チャネル)が割り当てられている(第1チャネル~第33チャネル)。
【0038】
同様に、着ぐるみ10Bは、無線受信機12Bと、演出部16Bとを備える。演出部16Bは、11系統の発光部を備える。着ぐるみ10Aの場合と同様に、着ぐるみ10Bには、33チャネルが割り当てられている(第34チャネル~第66チャネル)。同様に、着ぐるみ10Kには、33チャネルが割り当てられている(第331チャネル~第363チャネル)。無線受信機12は、無線制御装置20から送信される無線信号を受信して、自機に割り当てられているチャネルの信号を取得する。
【0039】
無線制御装置20において、操作卓23と、複数の無線送信機22それぞれとを、デイジーチェインにより接続する。操作卓23、複数の無線送信機22のそれぞれには、信号の入力を受け付けるコネクタと、信号を出力するコネクタとがあり、各コネクタをケーブルで接続する。
【0040】
無線制御装置20は、512チャネルに対応した8ビットのコードを記憶部25に記憶させる。オペレータ2が操作卓23に対して操作をすることにより、記憶部25に記憶される8ビットのコードが更新される。無線制御装置20の制御部29は、記憶部25に記憶される8ビットのコードをもとに送信信号を生成する。送信信号は、例えば、スタートビットとストップビットとを含む。無線制御装置20は、記憶部25に記憶されるコードに基づいて、逐次、複数の着ぐるみ10に対して無線信号を送信する。
【0041】
無線制御装置20は、512チャネルの信号を送信し終える前に、次の信号を送信することとしてもよい。本実施形態では、512チャネルのうち、11体の着ぐるみ10を制御するために363チャネルを使用することとしているため、363チャネルの信号を送信し終えたことに応答して、次の信号を送信することとしてもよい。
【0042】
また、複数の着ぐるみ10の個体数が増減することに応じて、無線制御装置20から着ぐるみ10へ送信する信号の周期を変更することとしてもよい。例えば、イベント会場3に登場する着ぐるみ10の数が11体から5体に減少する場合、着ぐるみ10の演出に必要なチャネルの数は165チャネル(例えば、第1チャネル~第165チャネル)となる。無線制御装置20は、オペレータ2の操作に応じて、無線信号を着ぐるみ10へ送信する周期を変更することとしてもよい。これにより、オペレータ2の操作に応じて着ぐるみ10の演出パターンを切り替える場合に、より短い期間で切り替えることができる。
【0043】
<動作>
図4は、無線制御装置20が着ぐるみ10の演出パターンを制御する処理を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS405において、無線制御装置20は、オペレータ2から、操作卓23を介して、各着ぐるみ10に対応する情報と、演出部16を構成するLEDの演出パターンとの指定を受け付ける。無線制御装置20は、ユーザの指定に応じて、複数の着ぐるみ10の無線受信機12へ送信する無線信号を生成するためのコードを更新する。
【0045】
ステップS409において、無線制御装置20は、各着ぐるみ10の演出パターンの指定に応じて、無線信号を生成する。無線制御装置20は、記憶部25に記憶されるコードに基づいて、363チャネルの信号を生成する。
【0046】
ステップS413において、無線制御装置20は、各無線送信機22(22A、22B、・・・)により、無線受信機12(12A、12B、・・・)へ、各着ぐるみ10の演出パターンを示す無線信号を送信する。
【0047】
ステップS455において、各着ぐるみ10は、無線受信機12により、対応するチャネルの無線信号を受信する。
【0048】
ステップS457において、各着ぐるみ10は、無線信号に示される演出パターンに応じて、演出部16の発光部(LED)を発光させる。
【0049】
例えば、無線制御装置20が、演出パターンとして、特定の着ぐるみ10の発光部を点滅させる演出を行う場合、特定の着ぐるみ10に対応するチャネルにおいて、特定の着ぐるみ10の発光部を発光させる無線信号と、当該発光部を発光させない無線信号とを交互に生成して当該着ぐるみ10に送信する。着ぐるみ10は、無線信号に基づいて、発光部を発光させること及び発光させないことにより、発光部を点滅させることとしてもよい。
【0050】
また、着ぐるみ10において、演出パターンごとに発光部の発光パターンを保持する場合、無線制御装置20は、演出パターンを識別する情報を着ぐるみ10へ送信することとしてもよい。これにより、着ぐるみ10は、演出パターンを識別する情報に基づいて演出部16による演出を行うことができ、各発光部の発光を制御することができる。
【0051】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、(i)複数の着ぐるみ10それぞれの位置に応じて無線制御装置20が着ぐるみ10による演出パターンを制御する例を説明する。これにより、オペレータ2の操作によらずとも、イベント等の演出を制御することができ得る。
【0052】
(ii)また、イベント等を見る観客ユーザ4の位置に応じて着ぐるみ10による演出パターンを制御する例を説明する。以上のように構成することで、イベント等の会場における観客ユーザの反応に応じて、演出を制御することができる。
【0053】
(iii)また、無線制御装置20が演出を制御する対象として、着ぐるみ10の他に、イベント会場3の周囲にある建物、イベント会場3の周囲を飛行する飛行体がある例を説明する。
【0054】
図5は、第2の実施の形態における演出制御システムの全体の構成を示す図である。
【0055】
図5に示すように、イベント会場3の周囲に、建造物60が配置されている。建造物60は、演出部61を備える。演出部61は、例えば、発光部、ディスプレイ、スピーカ等により構成される。また、イベント会場3の上空に、飛行体50が飛行している。飛行体50は、例えば1または複数のドローンである。飛行体50は、レーザー光を照射する発光部等を備える。
【0056】
無線制御装置20は、建造物60の演出部61による演出を制御することができる。すなわち、建造物60の演出部61は、実施の形態1で説明したような無線受信機12等と同等の構成を有することにより、無線制御装置20から送信される無線信号に応じて、発光部の発光等を行う。
【0057】
無線制御装置20は、飛行体50の演出部による演出を制御することができる。例えば、無線制御装置20は、飛行体50からイベント会場3へのレーザー光の照射などの演出を制御する。
【0058】
第2の実施の形態において、演出制御システムは、複数の着ぐるみ10の位置と、観客ユーザ4の位置と、イベント等を見物する観客ユーザ4の反応等を検出する検出装置を備える。
【0059】
着ぐるみ10および観客ユーザ4の位置は、カメラの撮影画像または位置情報センサにより取得することとしてもよい。
【0060】
例えば、着ぐるみ10のそれぞれにGPS(Global Positioning System,)センサを搭載することにより、着ぐるみ10の位置を特定することとしてもよい。また、観客ユーザ4の端末に位置情報センサが搭載される場合、これら端末の位置情報センサの出力に基づいて、観客ユーザ4の位置を特定することとしてもよい。
【0061】
例えば、建造物60に、カメラ70が設置される。カメラ70は、イベント会場3における複数の着ぐるみ10の位置を検出することができる。なお、飛行体50が有する図示しないカメラによってイベント会場3を撮影し、撮影した画像を解析することにより、複数の着ぐるみ10の位置を検出することとしてもよい。
【0062】
また、カメラ70は、観客ユーザ4を撮影することにより、撮影エリアに含まれる特定の観客ユーザ4の位置を検出することや、不特定多数の観客ユーザ4の人数を検出することができることとしてもよい。これにより、イベント会場3において観客ユーザ4が集まる位置を検出することができる。例えば、観客ユーザ4が集まる位置は、イベント等において観客ユーザ4の関心が高い位置ともいえるため、イベント等の構成において観客ユーザ4の反応が高い演出の内容をイベント中に、またはイベント後において特定することができる。
【0063】
イベント等を見物する観客ユーザ4の反応は、カメラの撮影画像または音声に基づいて検出することとしてもよい。
【0064】
カメラ70等によって観客ユーザ4を撮影することにより、イベント等を見物する観客ユーザ4の反応を検出することができる。例えば、カメラ70等の撮影画像に基づいて、観客ユーザ4の目線、観客ユーザ4の感情を判定することができ、イベント等の演出における観客ユーザ4の反応が高い内容を特定することができ得る。なお、飛行体50が有する図示しないカメラによってイベント会場3を含む一帯を撮影することにより、観客ユーザ4の反応を検出することとしてもよい。また、観客ユーザ4の反応を検出する方法としては、撮影画像による例の他に、観客ユーザ4の音声を検出することにより実現してもよい。例えば、イベント会場3の周囲一帯にマイク等を設置することにより、観客ユーザ4の歓声等を検出し得る。
【0065】
<データ構造>
第2の実施の形態にかかる無線制御装置20等が記憶する各種データのデータ構造について説明する。
【0066】
図6は、着ぐるみの位置の履歴と、ユーザの位置の履歴とを保持するための各種データのデータ構造を示す図である。例えば、無線制御装置20は、記憶部25において、着ぐるみ位置履歴281と、ユーザ位置履歴282とを記憶する。なお、無線制御装置20以外の装置において、着ぐるみ10の位置の検出、および、観客ユーザ4の位置の検出をすることとしてもよい。
【0067】
着ぐるみ位置履歴281は、複数の着ぐるみ10がイベント等において移動した履歴を示す。図示するように、着ぐるみ位置履歴281の各レコードは、項目「着ぐるみ識別情報(ID)」と、項目「日時」と、項目「位置」と、項目「移動方向」と、項目「移動速度」とを含む。
【0068】
項目「着ぐるみ識別情報(ID)」は、着ぐるみ10それぞれを識別するための情報である。
【0069】
項目「日時」は、着ぐるみ10の位置を検出したタイミングを示す。
【0070】
項目「位置」は、イベント会場3における着ぐるみ10の位置を示す。例えば、緯度および経度により着ぐるみ10の位置を示すこととしてもよい。
【0071】
項目「移動方向」は、着ぐるみ10がイベント会場3において移動している方向を示す。例えば、着ぐるみ10の時系列の位置の情報に基づいて、着ぐるみ10が移動している方向を特定することができる。
【0072】
項目「移動速度」は、着ぐるみ10がイベント会場3において移動しているときの移動速度を示す。例えば、着ぐるみ10の時系列の位置の情報に基づいて、着ぐるみ10が移動しているときの移動速度を特定することができる。
【0073】
ユーザ位置履歴282は、観客ユーザ4がイベント会場3において位置している履歴を示す。ユーザ位置履歴282は、ユーザそれぞれについて位置の履歴を保持することとしてもよいし(例えば、観客ユーザ4の端末から位置情報を取得する場合)、イベント会場3に位置する複数のユーザを特定せずに位置の履歴を保持することとしてもよい。
【0074】
ユーザ位置履歴282の各レコードは、項目「日時」と、項目「位置」と、項目「密集度合」と、項目「反応(感情)」とを含む。
【0075】
項目「日時」は、観客ユーザ4の位置を検出したタイミングを示す。
【0076】
項目「位置」は、観客ユーザ4の位置を示す。
【0077】
項目「密集度合」は、項目「位置」に示される位置における、観客ユーザ4の密度を示す。例えば、カメラ70、飛行体50の撮影画像に基づいて観客ユーザ4の位置を検出する場合に、イベント会場3における一定範囲に位置する人の密度を推定することができる。イベント会場3において、人の密度が比較的高い範囲がある場合、イベント等の演出に対する観客ユーザ4の関心が高いと推定し得る。
【0078】
項目「反応(感情)」は、項目「位置」に示される位置における、観客ユーザ4の反応を示す。観客ユーザ4の反応としては、観客ユーザ4の反応が良好であることを示す反応「Good」、観客ユーザ4の反応が通常であることを示す反応「Normal」、観客ユーザ4の反応が低調であることを示す反応「Bad」等を設定することとしてもよい。例えば、カメラの撮影画像に基づいて、観客ユーザ4の感情を判定することができる。また、イベント会場3における音声の検出結果(観客ユーザ4の歓声の大きさなど)に基づいて、観客ユーザ4の反応を判定することができる。すなわち、無線制御装置20は、撮影画像または音声データに基づいて、観客ユーザ4の感情を判定することとしてもよい。
【0079】
<動作>
図7は、観客ユーザ4の反応を判定することにより、着ぐるみ10の演出パターンを制御する場合の各装置の動作を示すフローチャートである。
【0080】
ステップS705において、無線制御装置20は、着ぐるみ10の位置の情報と、イベント会場3の撮影画像とを取得する。
【0081】
ステップS709において、無線制御装置20は、イベント会場3の撮影画像に基づいて、イベント会場3の各位置における観客ユーザ4の反応を判定する。無線制御装置20は、観客ユーザ4の反応の判定結果に応じて、各着ぐるみ10の演出パターンを特定する。これにより、無線制御装置20は、着ぐるみ10へ送信するための無線送信信号を生成する。例えば、観客ユーザ4の反応の判定結果が特定の反応(反応「Good」など)となる位置の近くの着ぐるみ10に対して、観客ユーザ4の反応の判定結果に応じた演出パターンを設定することとしてもよい。これにより、オペレータ2は、イベント会場3において、着ぐるみ10の演出パターンを見ることにより、観客ユーザ4が特定の反応を示しているかを知ることができる。また、オペレータ2の操作によらずとも、イベント等を見物する観客ユーザ4の反応に応じて着ぐるみ10の演出パターンを制御することができる。また、無線制御装置20は、観客ユーザ4の密集度合いが所定の条件を満たす場合に(観客ユーザ4が集まっている場合に)、観客ユーザ4が密集する位置の近くの着ぐるみ10の演出パターンを特定することとしてもよい。
【0082】
ステップS713において、無線制御装置20は、無線制御装置20の各無線送信機により、着ぐるみ10の無線受信機へ、各着ぐるみ10の演出パターンを示す無線信号を送信する。
【0083】
以上のように、無線制御装置20は、観客ユーザ4の動作を検出し、検出結果に応じて、演出パターンを送信する対象の着ぐるみ10を特定する。
【0084】
(1)着ぐるみ10の位置に応じた演出パターン:
この他に、無線制御装置20は、着ぐるみ10の位置に基づいて、各着ぐるみ10の演出パターンを決定することとしてもよい。例えば、イベント会場3において、特定のエリアに着ぐるみ10が位置している場合に、着ぐるみ10に特定の演出パターンで発光させるなどの演出を行うことができる。例えば、コンテンツの世界観として、キャラクタ同士が戦う場、キャラクタが回復する場など所定の効果を発揮させる場があるとする。イベント会場3において、当該所定の効果を発揮させる場を表した設置物を設置するとする。この場合に、当該設置物の位置に着ぐるみ10が移動することにより、無線制御装置20が、当該着ぐるみ10の演出パターンを、特定の演出パターンに決定することとしてもよい。無線制御装置20は、観客ユーザ4の動作を検出する場合においても、観客ユーザ4の動作によらず、着ぐるみ10の位置に基づいて、各着ぐるみ10の演出パターンを決定することとしてもよい。
【0085】
(2)着ぐるみ10の移動方向、または、着ぐるみ10が所定の範囲に移動しようとすることに応じた演出パターン:
この他に、無線制御装置20は、着ぐるみ10の位置の履歴に基づいて、各着ぐるみ10の演出パターンを決定することとしてもよい。例えば、着ぐるみ10が、特定の方向に移動していることを検出した場合に、着ぐるみ10に特定の演出パターンで発光させるなどの演出を行うことができる。例えば、着ぐるみ10が、東西南北など特定の方角に移動しているときに、方角毎に異なる着ぐるみ10の演出パターンを決定してもよい。
【0086】
また、無線制御装置20は、着ぐるみ10が、イベント会場3の特定の範囲に向かうように、または、特定の範囲から遠ざかるように移動している場合に、着ぐるみ10に特定の演出パターンで発光させるなどの演出を行うことができる。例えば、コンテンツの世界観として、仮想キャラクタを模した着ぐるみ10Aと着ぐるみ10Bが特定の場でバトルを行う演出があるとする。そして、イベント会場3において、着ぐるみ10の接近を検知可能な当該特定の場を示す設置物を設置するとする。無線制御装置20は、当該設置物へと向かう着ぐるみ10、または、当該設置物から遠ざかる着ぐるみ10に対し、それぞれ特定の演出パターンで演出をさせることができる。
【0087】
以上のように、着ぐるみ10の位置に応じて演出パターンを制御する場合に、特定の演出パターンにより演出が行われることに応答して、着ぐるみ10の演者に対して出力装置14により通知をすることとしてもよい。これにより、着ぐるみ10の演者は、演出が特定の演出パターンに切り替わったことを認識することができる。
【0088】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態では、観客ユーザ4の端末から、演出パターンを指定する操作を受け付ける。すなわち、観客ユーザ4も、イベント等の演出に参加することができる。
【0089】
図8は、第3の実施の形態における各装置の動作を示すフローチャートである。
【0090】
ステップS805において、無線制御装置20は、観客ユーザ4の端末から、着ぐるみ10の発光部(LED)の演出パターンの指定を受け付ける。観客ユーザ4の端末は、例えば、着ぐるみ10を指定することなく、演出パターンの指定を受け付けることとしてもよいし、観客ユーザ4の端末の近くの着ぐるみ10の演出パターンの指定を受け付けることとしてもよい。
【0091】
ステップS809において、無線制御装置20は、観客ユーザ4の端末から受けた、各着ぐるみ10の演出パターンの指定に応じて、無線送信信号を生成する。例えば、無線制御装置20は、観客ユーザ4の端末において着ぐるみ10の指定を受け付けていない場合に、複数の着ぐるみ10の演出パターンを、着ぐるみ10の端末により指定された演出パターンとしてもよいし、観客ユーザ4の端末の位置に基づいて、当該観客ユーザ4の端末の位置と所定の位置関係にある(例えば、観客ユーザ4の端末の位置から一定距離内にある着ぐるみ10である、または、観客ユーザ4の端末の位置から最も近い位置にある着ぐるみ10である、等)着ぐるみ10の演出パターンを、指定された演出パターンとしてもよい。
【0092】
ステップS813において、無線制御装置20は、無線制御装置20の各無線送信機により、着ぐるみ10の無線受信機へ、各着ぐるみ10の演出パターンを示す無線信号を送信する。
【0093】
<変形例>
観客ユーザ4の端末において、観客ユーザ4の端末の位置と、着ぐるみ10の位置とが所定の条件を満たす場合に、観客ユーザ4の端末において特定の処理を実行できるようにしてもよい。例えば、観客ユーザ4の端末において、着ぐるみ10の位置を、無線制御装置20から取得してもよい。また、観客ユーザ4の端末のカメラで撮影し、撮影画像に含まれる着ぐるみ10を検出することとしてもよい。これにより、観客ユーザ4の端末の位置と、着ぐるみ10の位置とが、例えば一定距離内にあるときに、観客ユーザ4の端末で動作するアプリケーションにおいて、特定の機能をユーザが利用可能であるとしてもよい。例えば、観客ユーザ4の端末で動作するアプリケーションがゲームプログラムである場合に、観客ユーザ4の端末のカメラで撮影する撮影画像に着ぐるみ10が含まれていることにより、着ぐるみ10のキャラクタに対応するゲームコンテンツをユーザが獲得可能であることとしてもよい。
【0094】
また、ゲームプログラムにおいて、バトルなどの特定の機能が利用可能であるとしてもよい。例えば、観客ユーザ4の端末のカメラで撮影する撮影画像に着ぐるみ10が含まれていることにより、着ぐるみ10のキャラクタに対応するゲームキャラクタとゲームプログラムにおいて対戦が可能であるとする。このとき、当該ゲームキャラクタとは、イベント会場3において着ぐるみ10を検出している複数のユーザで戦闘に参加できることとしてもよい。例えば、着ぐるみ10の位置と、観客ユーザ4の端末のうち着ぐるみ10を検出している端末の位置とに基づいて、戦闘に参加できるユーザの総数をゲームプログラムにおいて管理することとしてもよい。
【0095】
以上の各実施形態で説明したように、各実施形態によると、オペレータ2が、イベント会場3のイベント等を見物する観客ユーザ4の反応を観察しつつ、また、イベント会場3における複数の着ぐるみ10の移動を観察しつつ、随時、各着ぐるみ10の演出パターンを制御することができるため、ショー、イベントのエンタテインメント性をよりいっそう向上させることができる。
【0096】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0097】
(付記1)
一実施形態によると、複数の着ぐるみ(10)と、無線制御装置(20)とにより構成される、演出制御システム(1)が提供される。複数の着ぐるみのそれぞれは、無線制御装置からの無線信号を受信する無線受信機(12)と、発光部を含む演出部(16)と、演出部の演出パターンを制御するための制御部(19)とを備える。無線制御装置は、各着ぐるみの無線受信機それぞれを特定し、当該特定した無線受信機に対し、着ぐるみそれぞれの演出パターンを送信する(22)。着ぐるみの制御部は、無線制御装置から演出パターンを示す無線信号を受信したことに応答して、演出部を、演出パターンにより動作させる。
【0098】
(付記2)
無線制御装置は、無線制御装置を操作する操作者(2)からの入力操作を受け付ける受付部(23)を備え、操作者から、着ぐるみ及び演出パターンを指定する操作を受け付けることにより、当該特定される着ぐるみの無線送信機に対し、指定される演出パターンを示す信号を送信する(22)、(付記1)に記載の演出制御システム。
【0099】
(付記3)
複数の着ぐるみそれぞれの無線受信機で無線信号を受信可能なチャネルが無線受信機ごとに設定されており(22A、22B、・・・)、無線制御装置は、操作者がチャネルを指定することにより、演出パターンを送信する着ぐるみを特定する、(付記2)に記載の演出制御システム。
【0100】
(付記4)
無線制御装置は、複数の着ぐるみによる演出が行われる会場(3)を含む周囲に設置されている建造物(60)の演出部、または、会場の上空を飛行する飛行体(50)の演出パターンを制御可能に構成されており、操作者から、演出部または飛行体を指定する操作を受け付けることにより、当該演出部または当該飛行体の演出パターンを送信する、(付記2)または(付記3)に記載の演出制御システム。
【0101】
(付記5)
無線制御装置は、着ぐるみによる演出を視聴する観客ユーザ(4)から、演出パターンを指定する操作を受信する受信部を備え、観客ユーザが指定した演出パターンを、無線受信機に対して送信する(S805、S809、S813)、(付記1)から(付記4)のいずれかに記載の演出制御システム。
【0102】
(付記6)
無線制御装置は、着ぐるみによる演出を視聴する観客ユーザの動作を検出し(282)、検出結果に応じて、演出パターンを送信する対象の着ぐるみを特定する(S709)、(付記1)から(付記5)のいずれかに記載の演出制御システム。
【0103】
(付記7)
無線制御装置は、各着ぐるみの位置を取得し、着ぐるみの位置(281)に基づいて、各着ぐるみの演出パターンを決定する、(付記1)から(付記6)のいずれかに記載の演出制御システム。
【0104】
(付記8)
無線制御装置は、着ぐるみの周囲の観客ユーザの動作にかかわらず、各着ぐるみの位置に基づいて、各着ぐるみの演出パターンを決定する、(付記7)に記載の演出制御システム。
【0105】
(付記9)
無線制御装置は、着ぐるみの位置の履歴(281)に基づいて、所定の条件を満たす着ぐるみを特定し、特定した着ぐるみに演出パターンを送信する、(付記1)から(付記8)のいずれかに記載の演出制御システム。
【0106】
(付記10)
無線制御装置は、着ぐるみの周囲の観客ユーザを検出することにより(282)、無線制御装置の操作者の操作によらず、当該着ぐるみに対し、特定の演出パターンを送信する(S709)、(付記1)から(付記)9のいずれかに記載の演出制御システム。
【0107】
(付記11)
無線制御装置は、着ぐるみの周囲の観客ユーザの音声を検出すること、または、着ぐるみによる演出が行われる会場を撮影した撮影画像(70)の少なくともいずれかに基づいて、観客ユーザを検出する、(付記10)に記載の演出制御システム。
【0108】
(付記12)
無線制御装置は、音声または撮影画像の少なくともいずれかに基づいて観客ユーザの感情を判定し(282)、判定結果に応じて、着ぐるみの無線受信機に演出パターンを送信する(S709)、(付記11)に記載の演出制御システム。
【0109】
(付記13)
無線制御装置は、各着ぐるみの位置に基づいて、着ぐるみの密集度合が所定の条件を満たす場合に(282)、当該所定の条件を満たす着ぐるみに対して演出パターンを送信する、(付記8)に記載の演出制御システム。
【0110】
(付記14)
着ぐるみの制御部は、無線制御装置による制御に応じて演出部の演出パターンを変更する場合に、着ぐるみの演者に通知する通知部(14)を備える、(付記1)から(付記13)のいずれかに記載の演出制御システム。
【0111】
(付記15)
観客ユーザの端末において、観客ユーザの端末の位置と、着ぐるみの位置とが所定の条件を満たす場合に、顧客ユーザの端末において特定の処理を実行可能とする、(付記5)に記載の演出制御システム。
【符号の説明】
【0112】
1 演出制御システム、2 オペレータ、3 イベント会場、4 観客ユーザ、10 着ぐるみ、12 無線受信機、16 演出部、20 無線制御装置、22 無線送信機。