(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】エアマットレス
(51)【国際特許分類】
A47C 27/10 20060101AFI20241107BHJP
A47C 27/08 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
A47C27/10
A47C27/08 Z
(21)【出願番号】P 2023130933
(22)【出願日】2023-08-10
(62)【分割の表示】P 2022111547の分割
【原出願日】2018-12-07
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2018142817
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】大野 健太
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-125255(JP,A)
【文献】特開2005-192883(JP,A)
【文献】特開2018-051108(JP,A)
【文献】特表2016-523639(JP,A)
【文献】特開2005-034392(JP,A)
【文献】特開2009-297269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/10
A47C 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルと、
前記複数のセルを制御する制御部と、
前記複数のセルを
一体に保持する
第1部材と、
前記複数のセル、前記
第1部材及び前記制御部を覆う外カバーと、を備えたエアマットレスであって、
前記外カバーは、
前記制御部を覆い、前記セルの通気性と同じか、または前記セルよりも通気性が低い第1部分と、
前記第1部分より通気性が高い第2部分と、
を有することを特徴とする、エアマットレス。
【請求項2】
前記第2部分は、前記エアマットレスの使用者の背中部を支持する部分に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のエアマットレス。
【請求項3】
前記第2部分は、前記エアマットレスの使用者の背中部及び臀部を支持する部分に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のエアマットレス。
【請求項4】
前記外カバーは、
前記使用者の腰部を支持する部分に配置され、
防水性を有する第3部分を、有することを特徴とする、請求項2に記載のエアマットレス。
【請求項5】
前記
第1部材は、前記複数のセル間の相対的な変位、及び、前記複数のセルそれぞれの回転を規制することを特徴とする、請求項
1に記載のエアマットレス。
【請求項6】
前記複数のセルと前記外カバーとの間に配置され、前記セルよりも前記通気性が高いシートを更に備えることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1つに記載のエアマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアマットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウレタン製のマットレスでは、内部への汚れの侵入を防ぐ防水性を有するカバー(第1カバー)と並んで、ニット生地等で形成された通気性が高いカバーが用いられている。通気性が高いカバーは、蒸れを嫌ったり、寝心地を重視する現場において用いられている。一般的に、通気性が高いカバーは強度が低い。
複数のセルを備えるエアマットレスでは、対象となる使用者がウレタン製のマットレスの使用者よりも残存能力が低く、より汚れが発生しやすい。さらに、エアマットレスでは、複数のセルを固定するためにホックや固定バンドといった固定部材がカバーに必要になる。従って、通気性が高いカバーは用いられず、専ら防水性を有するカバーのみが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたエアマットレスのカバーは、透湿性を有する。しかし、このカバーは、湿度のみを通過させ、ウレタン製のマットレスの通気性が高いカバーのように風を通過させることができない。このため、使用者の身体とカバーとの間に熱が発生してしまい、使用者が発汗することにより使用者が蒸れてしまう。蒸れは、床ずれの原因の一つとなる。
従来のエアマットレスでは、複数のセルを固定するためにホックや固定バンドといった部材が必要となる(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-040180号公報
【文献】特開2005-006939号公報
【文献】特開2008-125798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、それらの部材をカバーに取付けるためには、強度が高い織物生地等をカバーに用いる必要がある。一般的に、強度が高くなるほど通気性が低くなる。このため、ウレタン製のマットレスで用いられた通気性が高いニット生地で、高い強度が必要なエアマットレスのカバーを作ることができない。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、第1カバーをセルよりも通気性を高くしつつ、複数のセル間の位置がずれるのを抑えたエアマットレスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係るエアマットレスは、複数のセルと、前記複数のセルを一体に保持する第1部材と、前記複数のセル及び前記第1部材を覆い、少なくとも一部が前記セルよりも通気性が高い第1カバーと、を備えることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、複数のセルは、第1カバーにより互いに位置を保持されることなく、第1部材により一体に保持されている。従って、例えば、前記従来技術のように、ホックや固定バンドといった部材を第1カバーに取付ける必要がなく、第1カバーを、セルよりも通気性が高く、強度が低くて変形しやすい材料で形成することができる。その際に第1カバーの強度が低くなっても、第1部材により複数のセル間の位置がずれるのを抑えることができる。
【0009】
(2) (1)に記載のエアマットレスであって、前記第1部材は、前記複数のセル間の相対的な変位、及び、前記複数のセルそれぞれの回転を規制してもよい。
この発明によれば、複数のセル間の相対的な変位、及び、前記複数のセルそれぞれの回転を規制することにより、複数のセル間の位置がずれるのをより確実に抑えることができる。
【0010】
(3) (1)又は(2)に記載のエアマットレスであって、前記複数のセルと前記第1カバーとの間に配置され、前記セルよりも前記通気性が高いシートを備えてもよい。
この発明によれば、第1カバー上でエアマットレスを使用する使用者から出た汗を、第1カバー及びシートを介して、エアマットレスの外部に容易に排出することができる。
【0011】
(4) (1)から(3)のいずれか一つに記載のエアマットレスであって、電子機器と、前記電子機器と前記第1カバーとの間に配置され、防水性を有する第2カバーと、を備えてもよい。
この発明によれば、使用者から出た汗等は、第1カバーを通過しても、第2カバーを通過するのが抑制される。このため、例えば、電子機器に水分が到達して電子機器が故障するのを抑制することができる。
【0012】
(5) (4)に記載のエアマットレスであって、前記第2カバーは、前記第1カバーに着脱できてもよい。
この発明によれば、第1カバーから第2カバーを取外すことにより、第1カバー及び第2カバーの清掃作業等を容易に行うことができる。そして、清掃作業等が終了した第1カバーに第2カバーを容易に取付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のエアマットレスによれば、第1カバーをセルよりも通気性を高くしつつ、複数のセル間の位置がずれるのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態のエアマットレスの外カバーを透過した斜視図である。
【
図2】同エアマットレスのマットにおける要部の縦断面図である。
【
図3】同マットにおける複数のセルの斜視図である。
【
図5】同エアマットレスの外カバーの斜視図である。
【
図9】同外カバー及び内カバーを展開したときの要部の平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態の変形例におけるエアマットレスの要部の斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態の変形例におけるエアマットレスの要部の一部を分解した斜視図である。
【
図15】本発明の一実施形態の変形例におけるエアマットレスの要部の斜視図である。
【
図17】本発明の一実施形態の変形例におけるエアマットレスの要部の一部を分解した斜視図である。
【
図18】本発明の一実施形態の変形例における複数のセルの斜視図である。
【
図19】本発明の一実施形態の変形例におけるエアマットレスの要部の斜視図である。
【
図21】本発明の一実施形態の変形例におけるシートの斜視図である。
【
図22】本発明の一実施形態の変形例におけるエアマットレスの要部を分解した斜視図である。
【
図23】本発明の一実施形態の変形例におけるエアマットレスの要部を分解した斜視図である。
【
図24】本発明の一実施形態の変形例におけるエアマットレスの要部を分解した斜視図である。
【
図25】本発明の一実施形態の変形例におけるエアマットレスの要部を分解した斜視図である。
【
図26】本発明の一実施形態の変形例におけるエアマットレスの要部を分解した斜視図である。
【
図28】本発明の一実施形態の変形例におけるエアマットレスの要部の斜視図である。
【
図29】同エアマットレスの製造工程を説明する、要部を分解した斜視図である。
【
図30】同エアマットレスの製造工程を説明する、各フィルムを溶着した状態の斜視図である。
【
図31】同エアマットレスの製造工程を説明する、複数の隔壁フィルムに折り目を形成した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るエアマットレスの一実施形態を、
図1から
図31を参照しながら説明する。
エアマットレスとしては、使用者が横たわるベッド装置や使用者が着座するクッション装置が挙げられ、本実施形態では、エアマットレスの一例として、ベッド装置を採用している。
【0016】
図1を含む各図において、符号Xは、エアマットレス1の長手方向に沿った第1方向Xを示す。符号Yは、エアマットレス1の幅方向に沿った第2方向Yを示し、符号Zは、エアマットレス1の高さ方向(上下方向)に沿った第3方向Zを示す。
エアマットレス1を第3方向Zに沿って平面視した場合に、エアマットレス1は、第1方向Xよりも、第1方向Xに直交(交差)する第2方向Yに短い。第1方向Xは、エアマットレス1上に横たわる使用者の身長の方向となる。
なお、第1方向Xは、後述する複数のセル12のが並ぶ方向である。第2方向Yは、各セル12が延びる方向である。第3方向Zは、マット11の厚さ方向である。
図1では、エアマットレス1の1つの隅部における後述する連結部材20,41,53,54を示していない。
【0017】
図1及び
図2に示すように、エアマットレス1は、マット11と、第1部材26と、シート36と、外カバー(第1カバー)46と、内カバー(第2カバー)66と、給排気部71と、制御部(電子機器)76と、を備えている。
なお、
図2では給排気部71は示していない。
【0018】
マット11は、第3方向Zに見た平面視で矩形の板状に形成されている。マット11上には、エアマットレス1を使用する使用者が横たわる。
マット11は、複数のセル12を備えている。複数のセル12の内部に給気することにより、複数のセル12内に空気(流体)が充填される。空気が充填された複数のセル12は、マット11上に横たわる使用者の体重を支える。
【0019】
複数のセル12のうち、第1方向Xの第1端部及び中央部に配置された複数のセル12は、マット11の第2方向Yの全長にわたって延びている(以下、これらのセル12をセル12Aとも言う)。複数のセル12のうち、第1方向Xの第2端部に配置された複数のセル12は、第2方向Yの一方の端部には配置されていなく、セル12Aに比べて第2方向Yの長さが短い(以下、これらのセル12をセル12Bとも言う)。複数のセル12A及び複数のセル12Bが第1方向Xに並べて配設されることにより、マット11を構成している。
複数のセル12A及び複数のセル12Bにより、マット11の隅部に、平面視で矩形状の切欠き11aが形成されている。
【0020】
セル12の構成は、特に限定されない。
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、セル12は、可撓筒15と、閉塞部16と、区画壁17と、を備えている。
可撓筒15は、例えば塩化ビニルフィルム又はウレタンフィルム等の可撓性を有するフィルム材を、角筒状に形成して構成されている。可撓筒15は、軸線が第2方向Yに延びるように配置されている。
閉塞部16は、可撓筒15の第2方向Yの各端部に配置されている。閉塞部16は、可撓筒15の第2方向Yの各端部を溶着等により閉塞して形成されている。
区画壁17は、可撓筒15内に第2方向Yに延びるように配置されている。区画壁17は、可撓筒15と同一の材料で形成されている。区画壁17は、可撓筒15内を第3方向Zに並べて配置された2つの充填室に区画している。
2つの充填室の内部には、空気がそれぞれ充填可能である。
【0021】
本実施形態では、第1方向Xに並べられた複数(本実施形態では3つ)のセル12が互いに連結され、セルユニット19が構成されている。なお、互いに連結されるセル12の数に制限はなく、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
セルユニット19を構成する複数のセル12は、第1ベルト27、第2ベルト28により互いに固定されている。
第1ベルト27の第1端部は、各セル12の閉塞部16に固定されている。第2ベルト28の第1端部は、各セル12の可撓筒15の下部に固定されている。一対の第1ベルト27の第2端部は、例えば嵌合により互いに固定されている。互いに固定されて組となる一対の第1ベルト27は、第1方向Xの一方側から他方側に向かうに従い、第3方向Zの位置が交互にずれるように配置されている。
【0022】
一対の第2ベルト28の第2端部は、一対の第1ベルト27の第2端部と同様に互いに固定されている。第1ベルト27及び第2ベルト28により、セルユニット19内で第1方向Xに隣り合うセル12の間に隙間がほぼ形成されないように、複数のセル12が保持されている。
なお、一対の第1ベルト27、及び一対の第2ベルト28が互いに固定される方式はこれに限定されず、面ファスナーを用いた方式等でもよい。
【0023】
セルユニット19を構成する複数のセル12のうち、第1方向Xの外側に配置されたセル12の閉塞部16には、第3ベルト29が固定されている。なお、第1ベルト27、第2ベルト28、及び第3ベルト29によって、第1部材26が構成される。第3ベルト29により、第1方向Xに隣り合うセルユニット19の第1方向Xに隣り合うセル12間に隙間がほぼ形成されないように保持される。
第1部材26は、複数のセル12間の相対的な変位、及び、複数のセル12それぞれの回転を規制する。ここで言う複数のセル12間の相対的な変位とは、複数のセル12間の第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zのそれぞれの相対的な変位のことを意味する。複数のセル12それぞれの回転とは、複数のセル12の第1方向Xに平行な軸線周りの回転、第2方向Yに平行な軸線周りの回転、及び第3方向Zに平行な軸線周りの回転のことを意味する。
こうして、第1部材26は、マット11の複数のセル12を一体に保持する。
【0024】
図1に示すように、マット11の隅部には、紐等の連結部材20がそれぞれ固定されている。
【0025】
図4に示すように、シート36は、平面視で矩形の板状に形成されている。シート36は、例えば無膜処理された発泡ウレタン等で形成されている。シート36の通気性は、セル12の通気性よりも高い。ここで言う通気性は、例えばJIS L 1096:2010、織物及び編物の生地試験方法の8.26 通気性のA法(フラジール形法)により規定される値である。シート36の厚さは、10mm以上、50mm以下であることが好ましい。
本実施形態では、シート36は袋37内に収容されている。袋37は、シート36の第1方向Xの各端部を収容する一対の袋部39と、一対の袋部39同士を連結する接続部材40と、を備えている。袋37は、ナイロン又はポリエステル等の材料を縫製することによって形成されている。
袋37の隅部には、紐等の連結部材41がそれぞれ固定されている。
図2に示すように、シート36及び袋37は、マット11と外カバー46の後述する第1カバー片51との間に配置されている。
【0026】
外カバー46の構成は、特に限定されない。
図5及び
図6に示すように、本実施形態では外カバー46は直方体状をなしている。外カバー46は、上方に位置する上カバー47と、下方に位置する下カバー48と、を備えている。
上カバー47は、マット11の上面を覆う第1カバー片51と、マット11の第2方向Yを向く面を覆う一対の第2カバー片52と、を備えている。
一方で、下カバー48は、マット11の下面を覆う第3カバー片56と、マット11の第1方向Xを向く面を覆う一対の第4カバー片57と、を備えている。
一対の第4カバー片57の第2方向Yの各端部における内側の部分には、紐等の連結部材53,54がそれぞれ固定されている。
【0027】
上カバー47の縁部、及び下カバー48の縁部には、第1開閉部59がそれぞれ設けられている。この例では、カバー47,48において、第1開閉部59が同一平面上のみに配置されないように、カバー47,48の形状が決められている。第1開閉部59は、例えばファスナー(線ファスナー)であり、上カバー47の縁部と下カバー48の縁部とを着脱可能に連結する。
図6に示すように、下カバー48の第3カバー片56におけるマット11の切欠き11aに対応する部分には、第2開閉部(開閉部)60が固定されている。例えば、第2開閉部60は、第3カバー片56の縁部における第1開閉部59よりも内側に、第1方向Xに沿って延びるように配置されている。
上カバー47及び下カバー48(の全体)は、ニット生地等のように通気性が高い。上カバー47及び下カバー48は、セル12よりも通気性が高い。
なお、外カバーにおける使用者の背中や臀部等を支持する部分(一部)のみが、セル12よりも通気性が高く、外カバーにおける残部が、セル12の通気性に等しいか、セル12よりも通気性が低くてもよい。
【0028】
外カバーの一部のみの通気性が高い仕様には、例えば、外カバーのうち、腰部を支持する部分は失禁対策で防水性にして、背中部を支持する部分は蒸れ対策で通気性を高くする仕様が挙げられる。この場合、使用者の身体のうちの支持する部位に対応して、外カバーの機能を分けることができる。ただし、外カバーの一部のみの通気性が高い場合には、外カバーのうち、防水性の部分と通気性が高い部分とで、生地や固定部材が互いに異なり、外カバーを製造するコストが増加する。
一方で、外カバーの全体の通気性を高くすると、マットの全面に対して蒸れ対策ができる。ただし、外カバーの全体の通気性が高い場合には、失禁等が外カバーの内部に入りやすくなる。このとき、外カバーのうち洗浄が必要な範囲が多くなる。
【0029】
図1及び
図2に示すように、外カバー46内に、マット11、第1部材26、シート36、袋37、給排気部71、及び制御部76が配置されている。すなわち、外カバー46内で、マット11、第1部材26、シート36、袋37、給排気部71、及び制御部76が覆われている。外カバー46の連結部材53,54と、マット11の連結部材20、袋37の連結部材41とが連結されることにより、外カバー46内でのマット11及びシート36の位置がずれるのが抑えられる。
なお、外カバー46及び袋37が縫製等により一体化されることにより、外カバー46内に袋37及びシート36が固定されてもよい。
【0030】
図7から
図9に示すように、内カバー66は、シート状に形成され、第1方向Xに沿う軸線周りに筒状に折り曲げられている。なお、
図7から
図9には、シート36及び袋37は示されていない。
図9に示すように、展開した状態の内カバー66における第2方向Yの端部には、ボタン、ホック等の固定部材67が設けられている。この固定部材67等により、内カバー66は、折り曲げられた状態を保持可能であるとともに、この状態を解除することができる。
図1に示すように、内カバー66は、マット11の切欠き11a内に配置されている。
図7から
図9に示すように、内カバー66の第1方向Xの端部には、緩衝部材68がそれぞれ固定されている。すなわち、第1方向Xに並べて配置された一対の緩衝部材68の間には、隙間が形成されている。例えば、緩衝部材68は発泡ウレタン等で形成されている。
一対の緩衝部材68は、折り曲げられた内カバー66の内側に配置されている。
【0031】
内カバー66における第2方向Yの端部には、第2開閉部60が固定されている。この内カバー66の第2開閉部60、及び外カバー46の第2開閉部60により、内カバー66は外カバー46に着脱可能に取付けられている。
内カバー66は、ウレタンフィルムをラミネート又はコーティングした生地等で形成されている。内カバー66は、外カバー46よりも通気性が低く、防水性を有する。ここで言う防水性を有するとは、水圧をかけても水が浸入しないこと、又は水が浸入しづらいことを意味する。防水性を有すると判断される他の基準には、例えば、JIS C 0920:2013、電気機械器具の外郭による保護等級に定める等級で、内カバーを制御部に取付けた状態において、IPX1以上であることが挙げられる。
内カバー66は、外カバー46内に配置されている。
図7に示す内カバー66の上部66aは、外カバー46の第1カバー片51と制御部76との間に配置されている。
【0032】
給排気部71は、マット11への給気及び排気を行う。
給排気部71は、図示はしないが、配管、及び配管から各セル12の充填室に分岐する分岐部材に等により構成されている。
【0033】
制御部76は、給排気部71の制御を行う。制御部76は、図示しないポンプ及び制御回路を備えている。ポンプは、配管に空気を供給したり、配管から空気を排出したりする。制御回路は、ポンプを制御する。
ポンプ及び制御回路は、外部から供給される電力により駆動される。
図7及び
図8に示すように、制御部76は、筒状に折り曲げられた内カバー66の内側かつ、一対の緩衝部材68の間に配置されている。制御部76は、外カバー46の第1カバー片51の下方に配置されている。
制御部76は、複数のセル12のうち、一部のセル12と、他の一部のセル12と、を交互に膨張、及び収縮させる交互膨縮できるものでもよい。
【0034】
次に、以上のように構成されたエアマットレス1の動作について、説明する。
使用者は、制御部76を操作して、給排気部71を通して空気を供給し、マット11の複数のセル12内に空気を充填充させる。使用者は、外カバー46上に横たわり、エアマットレス1を使用する。
エアマットレス1の使用を終えると、使用者は、制御部76を操作して、複数のセル12内の空気を給排気部71を通して外部に排出する。空気が排出されると、複数のセル12がしぼみ、複数のセル12が第1方向X等に移動したり、回転しやすくなる。
【0035】
しかし、複数のセル12がしぼんだ場合等であっても、複数のセル12は、外カバー46により互いに位置を保持されることなく、第1部材26により一体に保持されている。このため、前記従来技術のように、ホックや固定バンドといった部材を外カバー46に取付ける必要がなく、外カバー46を、セル12よりも通気性が高く、強度が低くて変形しやすい材料で形成することがでる。
従って、本実施形態のエアマットレス1によれば、外カバー46の強度が低くなっても、第1部材26により複数のセル12間の位置がずれるのを抑えることができる。
【0036】
第1部材26は、複数のセル12間の相対的な変位、及び、前記複数のセル12それぞれの回転を規制する。これにより、複数のセル12間の位置がずれるのをより確実に抑えることができる。
エアマットレス1が、シート36を備えている。これにより、エアマットレス1を使用する使用者から出た汗を、外カバー46及びシート36を介して、エアマットレス1の外部に容易に排出することができる。
【0037】
エアマットレス1が、内カバー66を備えている。このため、エアマットレス1を使用する使用者から出た汗等は、外カバー46を通過しても、内カバー66を通過するのが抑制される。このため、例えば、制御部76に水分が到達して制御部76が故障するのを抑制することができる。
内カバー66は、外カバー46に着脱できる。外カバー46から内カバー66を取外すことにより、外カバー46及び内カバー66の清掃作業等を容易に行うことができる。そして、清掃作業等が終了した外カバー46に内カバー66を容易に取付けることができる。
【0038】
本実施形態のエアマットレス1の第1部材26等は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図10及び
図11に示すエアマットレス1Aのように、第1部材81が、複数のセル82に固定された係合部83と、一対の側板84と、固定バンド85と、を備えてもよい。 この変形例のセル82は、例えば1つの充填室を備えるセルである。なお、セル82として、本実施形態のセル12を用いてもよい。
【0039】
係合部83は、例えばボタン(フック)である。係合部83は、各セル82の第2方向Yの各端面に複数(本実施形態では2つ)ずつ固定されている。各端面に配置された複数の係合部83は、第3方向Zに互いに離間した状態で並べて配置されている。
側板84は、強度が高い布や、樹脂板等で形成されている。側板84には、係合部83に対応する位置に、係合部83と嵌め合うボタン孔等の被係合部84aが形成されている。複数のセル82は、第2方向Yに間隔を空けて配置された一対の側板84の間に配置されている。
固定バンド85は、筒状のバンド片87を複数備えている。複数のバンド片87は、第1方向Xに並べて配置されている。第1方向Xに隣り合う一対のバンド片87は、例えば縫合することにより互いに固定されている。各バンド片87内には、セル82がそれぞれ配置されている。
【0040】
本実施形態の第1部材81は、固定バンド85を一対備えている。一対の固定バンド85は、第2方向Yに間隔を空けて、一対の側板84の間に配置されている。
このように構成されたエアマットレス1Aでは、第1部材81により複数のセル82が一体に保持されている。
【0041】
図12から
図14に示すエアマットレス1Bのように、第1部材91が、複数のセル92同士を連結する連結部材93と、複数のセル92を収容する収容部材94と、複数のセル92を収容部材94に固定する固定部材95と、を備えてもよい。
図13に示すように、複数のセル92は、例えば、第1シート97及び第2シート98を溶着又は真空成型等により所定の形状に形成し、第1シート97及び第2シート98を互いに溶着することにより形成されている。セル92は、第2方向Yに延びる棒状に形成されている(
図12参照)。
第1シート97及び第2シート98の一部はドーム状に形成され、第1シート97及び第2シート98の残部は平坦に形成されている。第1シート97及び第2シート98のうちドーム状に形成された部分が、互いの開口が対向するように配置された状態で、第1シート97及び第2シート98のうち平坦に形成された部分が互いに溶着されている。
【0042】
第1シート97及び第2シート98のうちドーム状に形成された部分により、複数のセル92が形成される。第1シート97及び第2シート98のうち平坦に形成された部分により、連結部材93が形成される。
図12に示すように、本実施形態では、第1方向Xに並べられた複数のセル92が連結部材93により互いに連結され、セルユニット99が構成されている。エアマットレス1Bは、第1方向Xに並べられた複数のセルユニット99を備えている。
【0043】
図12から
図14に示すように、収容部材94は、底壁部102と、一対の第1側壁部103と、一対の第2側壁部104と、を備えている。
底壁部102は、平面視で矩形の板状に形成されている。底壁部102は、第1方向Xよりも第2方向Yに短い。第1側壁部103は、底壁部102の第1方向Xの各端部に設けられ、第2方向Yに延びている。第2側壁部104は、底壁部102の第2方向Yの各端部に設けられ、第1方向Xに延びている。このように構成された収容部材94は、底壁部102上における一対の第1側壁部103の間、かつ一対の第2側壁部104の間に、収容部105が形成されている。収容部材94は、発泡ウレタン等で形成されている。 収容部105内には、複数のセルユニット99が収納されている。
【0044】
図14に示すように、第2側壁部104における収容部105側の側面には、凹部104aが形成されている。凹部104aの下面には、下方に向かってのびるスリット104bが形成されている。スリット104bは、底壁部102の下面に達している。
固定部材95は、例えば樹脂製のバンドであり、スリット104b内に配置されている。固定部材95の第1端部は、底壁部102の下面に、底壁部102の下方から係止している。固定部材95の第2端部は、公知の嵌合構造により連結部材93に着脱できる。 このように構成されたエアマットレス1Bでは、第1部材91により複数のセル92が一体に保持されている。
【0045】
図15及び
図16に示すエアマットレス1Cのように、第1部材111が、複数のセル82同士を連結する給排気部112と、前述の固定バンド85と、を備えてもよい。
給排気部112は、給排気配管113,114と、分岐部材115と、を備えている。 給排気配管113,114は、複数のセル82への給気及び排気を行うための配管である。給排気配管113,114は、複数のセル82の第2方向Yの各端部に設けられている。
給排気配管113,114は、第1方向Xに延びるとともに、第3方向Zに互いに間隔を空けて配置されている。
【0046】
分岐部材115の一部は、給排気配管113,114に形成された切欠き113a,114a内に配置されている。給排気配管113,114、及び分岐部材115は、複数のセル82を一体に保持するために、所定の強度を有することが好ましい。
このように構成されたエアマットレス1Cでは、第1部材111により複数のセル82が一体に保持されている。
【0047】
図17に示すエアマットレス1Dのように、第1部材121が、ベースエアマット122と、前述の複数のセルユニット99をベースエアマット122に固定する固定部材(不図示)と、を備えてもよい。
ベースエアマット122は、例えば1つの充填室を備えている。固定部材には、例えばホック、バンド、紐等が用いられる。
なお、エアマットレス1Dが備えるセル92は、第2方向Yに延びる棒状に限定されず、
図18に示すセル124のように、立方体状であってもよい。複数のセル124には、複数のセル124のうち、千鳥状に配置された複数のセル124Aと複数のセル124Bとが交互膨縮するように、図示しない流路が形成されている。
【0048】
図19及び
図20に示すエアマットレス1Eのように、マット126が複数のセル127,128,129を備えてもよい。複数のセル127,128,129は、第1シート131、第2シート132、第3シート133、及び第4シート134を、互いの間に空間を形成しつつ、互いに溶着することにより形成されている。セル127,128,129が交互膨縮するように、図示しない流路が形成されている。
この変形例では、マット126の上にシート36を配置して、エアマットレス1Eを用いてもよい。
【0049】
シート36に代えて、
図21に示すシート141を用いてもよい。シート141は、例えば1つの充填室を備えるセルである。シート141には、第3方向Zに貫通する孔142が互いに間隔を空けて複数形成されている。
【0050】
図22に示すエアマットレス1Fのように、第1部材146が、幅が広い固定バンド147と、前述の複数のセル82に固定された係合部83と、を備えてもよい。
固定バンド147は、前述の固定バンド85と同様に形成されている。固定バンド147の第2方向Yの長さ、及びセル82の第2方向Yの長さは、互いに同程度である。固定バンド147は、複数のバンド片148を備えている。バンド片148の第2方向Yの各端部には、係合部83と嵌め合う被係合部84aが形成されている。
バンド片148内には、セル82が配置されている。セル82の係合部83は、バンド片148被係合部84aと嵌め合っている。
このように構成されたエアマットレス1Fでは、第1部材146により複数のセル82が一体に保持されている。
【0051】
図23に示すエアマットレス1Gのように、第1部材151に、複数のセル82を保持する貫通孔151aが形成されてもよい。
第1部材151は、発泡ウレタン等で形成されている。貫通孔151aは、第1部材151を第2方向Yに貫通している。
各セル82は、第1部材151の貫通孔151a内に配置されている。
このように構成されたエアマットレス1Gでは、第1部材151により複数のセル82が一体に保持されている。
【0052】
図24に示すエアマットレス1Hのように、第1部材156が、複数のセル82に固定された前述の係合部83と、固定具157と、を備えてもよい。
係合部83は、前述のボタン(フック)以外にも、紐等でもよい。係合部83は、セル82の第2方向Yの両端部、及びセル82の下面にそれぞれ固定されている。係合部83は、セル82の第2方向Yの両端部に第3方向Zに互いに間隔を空けて複数配置されている。係合部83は、セル82の下面に第2方向Yに互いに間隔を空けて複数配置されている。
固定具157は、厚さ方向が第3方向Zとなるように配置された底板158と、底板158の第2方向Yの各端部から上方に向かって延びる一対の側板159と、を備えている。
底板158及び一対の側板159は、強度が高い布や、樹脂板等で形成されている。底板158及び一対の側板159には、係合部83と嵌め合うボタン孔等の被係合部160がそれぞれ形成されている。底板158に形成された被係合部160は、セル82の下面に固定された係合部83に嵌め合っている。一対の側板159に形成された被係合部160は、セル82の第2方向Yの両端部に固定された係合部83に嵌め合っている。
このように構成されたエアマットレス1Hでは、第1部材156により複数のセル82が一体に保持されている。
【0053】
なお、
図25に示すエアマットレス1HAのように、外カバー157Aにより複数のセル82を一体に保持してもよい。
外カバー157Aは、材質以外は前述の固定具157と同様に構成されている。すなわち、外カバー157Aは、固定具157の底板158及び一対の側板159と材質以外は同様に構成された底板158A及び一対の側板159Aを備えている。底板158A及び一対の側板159Aには、被係合部160がそれぞれ形成されている。外カバー157Aは、ニット生地等のように通気性が高い。この変形例では、複数のセル82に固定された係合部83、及び外カバー157Aにより、複数のセル82を一体に保持する第1部材156Aが構成される。
【0054】
図26及び
図27に示すエアマットレス1Jのように、第1部材166が、各セル82における第1方向Xの第1の外面に固定された係合部83と、各セル82における第1方向Xの第1の外面とは反対の第2の外面に固定され、係合部83と嵌め合うボタン孔等の被係合部167と、を備えてもよい。
この変形例では、各セル82における第1の外面に、複数の係合部83が第2方向Y及び第3方向Zに互いに間隔を空けて配置されている。各セル82における第2の外面に、複数の被係合部167が第2方向Y及び第3方向Zに互いに間隔を空けて配置されている。
このように構成されたエアマットレス1Jでは、第1部材166により複数のセル82が一体に保持されている。
【0055】
図28に示すエアマットレス1Kのように、第1方向Xに並べられた複数のセル171が溶着等により一体に構成されることで、複数のセル171を一体に保持する第1部材172が構成されてもよい。なお、
図28及び
図31では、後述する溶着部178を示していない。
一体になった複数のセル171は、例えば以下のように製造される。
図29に示すように、上部フィルム175と、下部フィルム176と、複数の隔壁フィルム177と、を準備する。フィルム175,176及び複数の隔壁フィルム177は、溶着可能な材料で形成されている。
【0056】
図30に示すように、フィルム175,176と、複数の隔壁フィルム177と、を溶着して溶着部178を形成する。この工程により、フィルム175,176及び複数の隔壁フィルム177で囲われた直方体状のトンネル(貫通孔)179を複数形成する。複数のトンネル179は、第1方向Xに並べて配置されている。
図31に示すように、複数の隔壁フィルム177に折り目177aを第2方向Yに延びるように形成し、複数の隔壁フィルム177を第3方向Zに変形しやすくする。
図28に示すように、フィルム175,176及び複数の隔壁フィルム177の第2方向Yの両端部を溶着して図示しない溶着部を形成する。
以上の工程により、一体になった複数のセル171が製造される。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、外カバー46は連結部材53,54を備えなくてもよいし、エアマットレス1はシート36、袋37、及び内カバー66を備えなくてもよい。
電子機器が制御部76であるとしたが、電子機器はこれに限定されず、各種のセンサ、電磁弁等でもよい。
内カバー66は、外カバー46に固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1HA,1J,1K エアマットレス
12,82,92,124,127,128,129 セル
26,81,91,111,121,146,151,156,156A,166,172 第1部材
36,141 シート
46,157A 外カバー(第1カバー)
66 内カバー(第2カバー)
76 制御部(電子機器)