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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】電圧調整装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/12 20060101AFI20241107BHJP
   H02J 3/18 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
H02J3/12
H02J3/18 178
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023181284
(22)【出願日】2023-10-20
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】前田 博宣
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-203756(JP,A)
【文献】特開2018-133982(JP,A)
【文献】特開2023-085614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/12
H02J 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流を変電所から負荷に配電する配電線に配置され、複数のタップを有する調整変圧器を有し、配電線の電圧が規定の電圧範囲を逸脱したときに調整変圧器のタップを切り換えて電圧を電圧範囲内に自動的に調整する電圧調整装置であって、
前記タップに関する処理を行う制御部を備え、
前記制御部は、
所定の周期にて1次側電圧と2次側電圧とを取得し、
前記周期に応じて、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分を算出し、
算出した差分の絶対値が、予め定められた閾値を超えた瞬間を、前記タップの切り換えが行われた切換タイミングとして検出し、
検出した前記切換タイミングを含む期間における1次側電圧の変化量の積算値と、2次側電圧の変化量の積算値を算出し、
算出した1次側電圧の変化量の積算値と、2次側電圧の変化量の積算値との差異を示す積算差分に基づき、前記変電所が1次側又は2次側のいずれの側に位置するかを判定し、
現時点における1次側電圧と2次側電圧による電圧比を算出し、
現時点よりも前となる過去の1次側電圧と2次側電圧による電圧比を算出し、
現時点の電圧比から、過去の電圧比を減算することにより、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分を算出する
電圧調整装置。
【請求項2】
交流を変電所から負荷に配電する配電線に配置され、複数のタップを有する調整変圧器を有し、配電線の電圧が規定の電圧範囲を逸脱したときに調整変圧器のタップを切り換えて電圧を電圧範囲内に自動的に調整する電圧調整装置であって、
前記タップに関する処理を行う制御部を備え、
前記制御部は、
所定の周期にて1次側電圧と2次側電圧とを取得し、
前記周期に応じて、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分を算出し、
算出した差分の絶対値が、予め定められた閾値を超えた瞬間を、前記タップの切り換えが行われた切換タイミングとして検出し、
検出した前記切換タイミングを含む期間における1次側電圧の変化量の積算値と、2次側電圧の変化量の積算値を算出し、
算出した1次側電圧の変化量の積算値と、2次側電圧の変化量の積算値との差異を示す積算差分に基づき、前記変電所が1次側又は2次側のいずれの側に位置するかを判定し、
現時点における1次側電圧から、現時点よりも前となる過去の1次側電圧を減算した、1次側電圧の変化量を算出し、
現時点における2次側電圧から、現時点よりも前となる過去の2次側電圧を減算した、2次側電圧の変化量を算出し、
2次側電圧の変化量から、1次側電圧の変化量を減算することにより、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分を算出する
電圧調整装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記積算差分が、予め定められた判定閾幅に収まる場合、前記変電所が1次側又は2次側のいずれの側に位置するかの判定を保留し、
前記積算差分が前記判定閾幅を上回る場合、前記変電所は2次側に位置すると判定し、
前記積算差分が前記判定閾幅を下回る場合、前記変電所は1次側に位置すると判定する
請求項1又は請求項2に記載の電圧調整装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記タップの切り換えに関する電圧調整指令が出力された際、1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値の算出を開始する
請求項1又は請求項2に記載の電圧調整装置。
【請求項5】
1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値の算出期間は、前記電圧調整指令の出力期間よりも短い
請求項4に記載の電圧調整装置。
【請求項6】
1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値の算出期間は、前記周期の5倍以下である
請求項5に記載の電圧調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧調整装置は、2次巻線が配電線に直列に接続される直列変圧器と、1次巻線が配電線に並列に接続され、2次巻線に複数のタップが設けられた調整変圧器と、該複数のタップを切り換えて直列変圧器の1次巻線に接続するタップ切換器とを備えている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-312612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された電圧調整装置は、電源となる変電所が、1次側又は2次側のいずれの側に位置するかを効率的に判定する点について考慮されていない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、変電所が、1次側又は2次側のいずれの側に位置するかを効率的に判定することが可能な電圧調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電圧調整装置は、交流を変電所から負荷に配電する配電線に配置され、複数のタップを有する調整変圧器を有し、配電線の電圧が規定の電圧範囲を逸脱したときに調整変圧器のタップを切り換えて電圧を電圧範囲内に自動的に調整する電圧調整装置であって、前記タップに関する処理を行う制御部を備え、前記制御部は、所定の周期にて1次側電圧と2次側電圧とを取得し、前記周期に応じて、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分を算出し、算出した差分の絶対値が、予め定められた閾値を超えた瞬間を、前記タップの切り換えが行われた切換タイミングとして検出し、検出した前記切換タイミングを含む期間における1次側電圧の変化量の積算値と、2次側電圧の変化量の積算値を算出し、算出した1次側電圧の変化量の積算値と、2次側電圧の変化量の積算値との差異を示す積算差分に基づき、前記変電所が1次側又は2次側のいずれの側に位置するかを判定する。
【0007】
本態様にあたっては、電圧調整装置は、例えば直接切換方式のSVR(Step Voltage Regulator)であり、複数のタップを含む調整変圧器、コモン端子を含む負荷時タップ切換器、及びこれらタップの切り換えに関する処理を行う制御部を備える。電圧調整装置は、配電線に配置(接続)されるにあたり、1次側の配電線と、2次側の配電線とに接続される。すなわち、負荷時タップ切換器及び調整変圧器が配電線に配置(接続)されるにあたり、負荷時タップ切換器(コモン端子)は1次側の配電線に接続され、調整変圧器(素通しタップ)は2次側の配電線に接続される。制御部は、例えば、10msec等の所定の周期にて、1次側電圧の値(1次側電圧値)と、2次側電圧の値(2次側電圧値)とを実質的に同時点(同じ検出時点)となるように、1次側及び2次側の配電線それぞれに設けられた計測用変圧器(1次側計測用変圧器(PT1)、2次側計測用変圧器(PT2))から取得する。制御部は、取得した1次側電圧値及び2次側電圧値を、取得時点と関連付けて、記憶部に記憶することにより、所定の周期にて実質的に同時点(同じ検出時点)となる1次側電圧値及び2次側電圧値を、時系列に管理するものであってもよい。これら1次側電圧の値(1次側電圧値)及び2次側電圧の値(2次側電圧値)の取得周期(検出周期)は、変電所からの商用電源の周波数におけるハーフサイクルに応じて(ハーフサイクル以上)決定されるものであってもよい。例えば、商用電源の周波数が60Hzの場合、取得周期(検出周期)は16.667msecであり、商用電源の周波数が50Hzの場合、取得周期(検出周期)は20msecであってもよい。当該取得周期(検出周期)によって取得及び検出される1次側電圧値及び2次側電圧値それぞれは、複数の時点(例えば12周期(サイクル))にて取得した実効値(RMS:root mean square value)の平均値であってもよい。この場合、電圧調整装置(制御部)は、1次側電圧値及び2次側電圧値の検出都度、移動平均処理を行うことにより、これら1次側電圧値及び2次側電圧値それぞれにおいて平均化された実効値を算出し、算出した値を各種の演算処理に用いるものであってもよい。制御部は、所定の周期にて取得した、時系列に並ぶ複数の1次側電圧及び2次側電圧それぞれを用いて、これら1次側電圧及び2次側電圧の時間変化量を示す差分を算出する。制御部は、当該算出した差分に基づき、タップの切り換えが行われたタイミングを検出するため、当該検出精度(タップの切り換えが行われた否かの判定精度)を向上させることができる。すなわち、制御部は例えば、記憶部を有するマイコン等により構成されており、当該マイコンの記憶部には、算出した差分との対比に用いられる閾値が、記憶されている。当該閾値は、例えばSVR等の電圧調整装置の型式、機種又は製品仕様に基づき、予め定められているものであってもよい。制御部は、所定の周期にて1次側電圧値及び2次側電圧値を取得(検出)する都度、当該差分を算出し、算出した差分の絶対値が、閾値を超えた瞬間を、タップの切り換えが行われたタイミングとして検出する。これにより、制御部は、1次側電圧値及び2次側電圧値の取得(検出)タイミングと同期させて、タップの切り換えが行われたタイミングとして検出するため、当該検出精度(タップの切り換えが行われた否かの判定精度)を向上させることができる。その上で、制御部は、検出した切換タイミングを含む期間において算出した、1次側電圧の変化量の積算値(Σ|ΔV1|)と2次側電圧の変化量の積算値(Σ|ΔV2|)との差分(積算差分:ΣΔΔV12=Σ|ΔV1|-Σ|ΔV2|)に基づき、変電所が1次側又は2次側のいずれの側に位置するかを判定する。このように、高い精度にて切換タイミングを検出することができるため、当該切換タイミングの時点を含む最短期間でのタップ切換の前後における計測値(1次側電圧の変化量の積算値、2次側電圧の変化量の積算値)を比較することが可能となり、変電所の方向判定の判定精度を向上させることができる。従って、タップ切換の前後における計測値(1次側電圧、2次側電圧)を取得するために要する期間を短縮することができ、計測時点を減少でき、これによりノイズ又は外乱的要素を含む計測値が混入することを抑制することができるため、演算負荷を低減しつつ、変電所の方向判定の判定精度を向上させることができる。
【0008】
本開示の一態様に係る電圧調整装置は、前記制御部は、前記積算差分が、予め定められた判定閾幅に収まる場合、前記変電所が1次側又は2次側のいずれの側に位置するかの判定を保留し、前記積算差分が前記判定閾幅を上回る場合、前記変電所は2次側に位置すると判定し、前記積算差分が前記判定閾幅を下回る場合、前記変電所は1次側に位置すると判定する。
【0009】
本態様にあたっては、制御部は例えば、記憶部を有するマイコン等により構成されており、当該マイコンの記憶部には、変電所の方向判定の処理にて用いられる判定閾幅等、各種のパラメータ又は定数が予め記憶されている。当該判定閾幅は、上限値(例えば、K[Vrms(Voltage Root-Mean-Square)])から下限値(-K[Vrms])が定められた数値範囲(-KからK[Vrms])として定義されている。当該判定閾幅は、電圧調整装置の配置態様に応じて、例えばSVR等の電圧調整装置の型式、機種又は製品仕様に基づき、予め定められているものであってもよい。制御部は、積算差分(ΣΔΔV12)が、判定閾幅を上回る(上限値を超える)場合、変電所は2次側に位置すると判定し、判定閾幅を下回る(下限値を下回る)場合、変電所は1次側に位置すると判定する。更に、制御部は、積算差分(ΣΔΔV12)が、判定閾幅に収まる(下限値以上であって上限値以下)場合、変電所の方向判定を実行することなく、判定保留とするものであってもよい。このようにタップの切り換えが行われた切換タイミングを検出した場合であっても、積算差分(ΣΔΔV12)が判定閾幅を逸脱しない場合は、判定保留とすることにより、変電所の方向判定が過度に実施されることを抑制することができる。制御部は、電圧調整装置の配置態様に応じて入力される判定閾幅を取得し(受付け)、記憶部に記憶することにより、当該判定閾幅は変更可能に設定されるため、電圧調整装置の可用性を向上させることができる。
【0010】
本開示の一態様に係る電圧調整装置は、前記制御部は、現時点における1次側電圧と2次側電圧による電圧比を算出し、現時点よりも前となる過去の1次側電圧と2次側電圧による電圧比を算出し、現時点の電圧比から、過去の電圧比を減算することにより、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分を算出する。
【0011】
本態様にあたっては、制御部は、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分を算出するにあたり、1次側電圧と2次側電圧による電圧比を用いた電圧比差を算出する。制御部は、所定の周期にて1次側電圧と2次側電圧とを取得しており、これら実質的に同時点にて取得した1次側電圧(V1)と2次側電圧(V2)とによる電圧比(V2/V1)を算出する。この場合、現時点(今回([m]サイクル目)の取得)における1次側電圧と2次側電圧による電圧比(V2(m)/V1(m))から、過去(前回([m-1]サイクル目)の取得)における1次側電圧と2次側電圧による電圧比(V2(m-1)/V1(m-1))を減算することにより、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分(電圧比差)を算出する。当該差分は、タップ切り換えが検出される場合(タップ切り換えが行われた場合)、1タップ分の巻数比偏差に準じた値となることが想定される。従って、この1タップ分の巻数比偏差に対し、計測精度や外乱の許容値を考慮して、検出閾値(予め定められた閾値)が、決定されるものであってもよい。制御部は、算出した差分(電圧比差)の絶対値が、検出閾値(予め定められた閾値)を超える場合、当該閾値を超えた瞬間をタップの切り換えが行われたタイミングとして検出するため、当該検出精度(タップの切り換えが行われた否かの判定精度)を向上させることができる。制御部は、差分(電圧比差)が、正の値である場合、1次側に対し2次側が昇圧されたと判定し、負の値である場合、1次側に対し2次側が降圧されたと判定するものであってもよい。このようにタップの切り換えが行われたタイミングを比較的に精度良く検出することができるため、当該切換タイミングの時点を含む最短期間でのタップ切換の前後における計測値(1次側電圧の変化量の積算値、2次側電圧の変化量の積算値)を比較することが可能となり、変電所の方向判定の判定精度を向上させることができる。
【0012】
本開示の一態様に係る電圧調整装置は、前記制御部は、現時点における1次側電圧から、現時点よりも前となる過去の1次側電圧を減算した、1次側電圧の変化量を算出し、現時点における2次側電圧から、現時点よりも前となる過去の2次側電圧を減算した、2次側電圧の変化量を算出し、2次側電圧の変化量から、1次側電圧の変化量を減算することにより、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分を算出する。
【0013】
本態様にあたっては、制御部は、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分を算出するにあたり、1次側電圧及び2次側電圧それぞれにおける、現時点(今回([m]サイクル目)の取得)における電圧値(V1(m)、V2(m))に対する、過去(前回([m-1]サイクル目)の取得)における電圧値(V1(m-1)、V2(m-1))からの変化量を算出する。すなわち、制御部は、現時点(今回([m]サイクル目)の取得)における1次側電圧(V1(m))から、過去(前回([m-1]サイクル目)の取得)における1次側電圧(V1(m-1))を減算することにより、1次側電圧における変化量(ΔV1)を算出する。制御部は、現時点(今回([m]サイクル目)の取得)における2次側電圧(V2(m))から、過去(前回([m-1]サイクル目)の取得)における2次側電圧(V2(m-1))を減算することにより、2次側電圧における変化量(ΔV2)を算出する。制御部は、2次側電圧における変化量(ΔV2)から、1次側電圧における変化量(ΔV1)を減算することにより、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分(電圧変化量差)を算出する。制御部は、算出した差分(電圧変化量差)の絶対値が、検出閾値(予め定められた閾値)を超える場合、当該閾値を超えた瞬間をタップの切り換えが行われたタイミングとして検出する。当該検出閾値(予め定められた閾値)は、定格電圧印加時のステップ電圧を基準として、決定されるものであってもよい。このように算出した差分(電圧変化量差)及び検出閾値(予め定められた閾値)を用いることにより、タップの切り換えに関する検出精度(タップの切り換えが行われた否かの判定精度)を向上させることができる。更に、制御部は、差分(電圧変化量差)が、正の値である場合、1次側に対し2次側が昇圧されたと判定し、負の値である場合、1次側に対し2次側が降圧されたと判定するものであってもよい。このようにタップの切り換えが行われたタイミングを比較的に精度良く検出することができるため、当該切換タイミングの時点を含む最短期間でのタップ切換の前後における計測値(1次側電圧の変化量の積算値、2次側電圧の変化量の積算値)を比較することが可能となり、変電所の方向判定の判定精度を向上させることができる。
【0014】
本開示の一態様に係る電圧調整装置は、前記制御部は、前記タップの切り換えに関する電圧調整指令が出力された際、1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値の算出を開始する。
【0015】
本態様にあたっては、例えば2次側電圧が2次側の目標電圧範囲(不感帯)から逸脱すると、2次側電圧を目標電圧範囲内に収めるための電圧調整指令(昇降圧信号)が、電圧調整装置が備える電圧調整指令回路又は制御部によって出力される。制御部は、タップの切り換えに関する電圧調整指令が出力された際、1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値の算出(積算差分の算出)を開始するため、変電所の方向判定に要する演算負荷を低減しつつ、変電所の方向判定の判定精度を向上させることができる。すなわち、電圧調整指令が出力されていない期間においては、制御部は、所定の取得周期(検出周期)にて検出した1次側電圧値及び2次側電圧値それぞれに対する実効値(RMS)の移動平均処理を実行するものとし、積算差分の算出を不要とすることができ、電圧調整装置の運用期間全体における制御部の演算負荷を低減させることができる。
【0016】
本開示の一態様に係る電圧調整装置は、1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値の算出期間は、前記電圧調整指令の出力期間よりも短い。
【0017】
本態様にあたっては、1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値の算出期間において、タップの切り換えが行われた切換タイミングの時点が含まれるものとなり、その上で、当該積算値の算出対象となる期間(算出期間)は、電圧調整指令の出力期間(例えば、2秒間)よりも短い。従って、電圧調整指令の出力に応じて、1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値の算出を開始する場合であっても、タップ切換の前後における計測値(1次側電圧、2次側電圧)を取得するために要する期間を短縮することができ、変電所の方向判定の判定精度を向上させることができる。
【0018】
本開示の一態様に係る電圧調整装置は、1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値の算出期間は、前記周期の5倍以下である。
【0019】
本態様にあたっては、1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値の算出期間は、所定の周期の5倍以下(5サイクル以下)であり、制御部は、例えば、5周期(5サイクル以下)の期間において演算した1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値を用いて、変電所の方向判定に関する処理を行うものであってもよい。この場合、5周期(5サイクル以下)は、1次側電圧及び2次側電圧の計測時点を5つ含むものとなり、当該5つの計測時点は、タップの切り換えが行われた判定された時点(切換タイミングの時点)の前後の2つの計測時点から成るものであってもよい。このように切換タイミングの時点を含む最短期間に近いものとなる比較的に短い期間でのタップ切換の前後における計測値(1次側電圧の変化量の積算値、2次側電圧の変化量の積算値)を比較処理することが可能となり、変電所の方向判定の判定精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
変電所が、1次側又は2次側のいずれの側に位置するかを効率的に判定することが可能な電圧調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1に係る電圧調整装置の構成例を示すブロック図である。
図2】制御部の処理手順(電圧比差)を示すフローチャートである。
図3】実施形態2に係る制御部の処理手順(電圧変化量差)を示すフローチャートである。
図4】実施形態3に係る制御部の処理手順(電圧調整指令での電圧比差)を示すフローチャートである。
図5】実施形態4に係る制御部の処理手順(電圧調整指令での電圧変化量差)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態1)
以下、実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る電圧調整装置1の構成例を示すブロック図である。電圧調整装置1は、例えば直接切換方式のSVR(Step Voltage Regulator)であり、単相又は3相の配電線100に配置される。本実施形態において、電圧調整装置1は、単相の配電線100に配置されるものにて説明するが、後述するとおり、3相の配電線100に配置された場合においても各線間電圧に基づき各種の演算処理を行う。電圧調整装置1(SVR=Step Voltage Regulator)は、順送電状態において、紙面左側の電源側(変電所)から供給される単相交流又は3相交流の電圧を調整し、紙面右側の負荷側へ、配電線100を介して単相交流又は3相交流を配電する。電圧調整装置1は、逆送電状態において、紙面右側の負荷側から供給される単相交流又は3相交流の電圧を調整し、紙面左側の電源側(変電所)へ、配電線100を介して単相交流又は3相交流を配電する。
【0023】
電圧調整装置1が配置される配電線100は、1次側の配電線100と、2次側の配電線100とを含み、すなわち、電圧調整装置1は、1次側の配電線100と、2次側の配電線100との間に介在して配置されるものとなる。本実施形態においては、電圧調整装置1が含む調整変圧器2の1次側(負荷時タップ切換器3のコモン端子tc)に接続される配電線100を1次側とし、調整変圧器2の2次側(負荷時タップ切換器3の素通しタップ)に接続される配電線100を2次側とする。1次側の配電線100には、1次側電圧の値(1次側電圧値)を検出する計測用変圧器PT(1次側計測用変圧器)が、接続されている。2次側の配電線100には、2次側電圧の値(2次側電圧値)を検出する計測用変圧器PT(2次側計測用変圧器)が、接続されている。配電線100には電源である変電所(電力を供給する源変電所)が接続されるものとなるが、変電所が1次側に接続され、負荷が2次側に接続されることが、電圧調整装置1の配置における初期設定として想定される。
【0024】
電圧調整装置1は、負荷時タップ切換器3、調整変圧器2、電圧調整指令回路5、及び制御部4を含む。負荷時タップ切換器3は、コモン端子tcと、n個のタップ端子tn(nは、タップの番号(t1、t2、t3・・・tn)を示す)と、コモン端子tcとn個のタップ端子tnのいずれかを接続する接触子とを有し、コモン端子tcに1次側の配電線100が接続されている。負荷時タップ切換器3は、負荷が接続された状態でコモン端子tcに接続するタップ端子tnを切り換えることにより、1次側電圧又(V1)は2次側電圧(V2)を調整する。n個のタップ端子tnの内、いずれかのタップ端子tn(本実施形態では)が、素通しタップ(本実施形態における図示ではタップ4)として機能する。当該素通しタップには、巻線を介することなく、配電線100(2次側の配電線100)が接続される。
【0025】
調整変圧器2は、複数個のタップ(t1~tn)を有する単巻変圧器で構成されている。調整変圧器2のタップ付き巻線の一方端は、負荷時タップ切換器3の第1タップ端子tn(t1)に接続されている。タップ付き巻線の他方端は、他方の配電線100に接続、又は中性点Nに接続されるものであってもよい。タップ付き巻線の一方端寄りの部分の所定の位置から(n-1)個のタップが引き出され、それぞれ負荷時タップ切換器3の第2タップ端子tn(t2)から第nタップ端子tnに接続されている。また、タップ付き巻線の第rタップ(1<r<n:本図ではタップ4)の位置は、素通しタップの位置となっており、その位置に2次側の配電線100が接続されている。負荷時タップ切換器3は、コモン端子tcと、n個のタップ端子tnと、コモン端子tcとn個のタップ端子tnのいずれかを接続する接触子とを有し、コモン端子tcに1次側の配電線100が接続されている。負荷時タップ切換器3は、負荷が接続された状態でコモン端子tcに接続するタップ端子tnを切り換えることにより、1次側電圧又は2次側電圧を調整する。
【0026】
電圧調整指令回路5は、電圧調整継電器51及び計器用変圧器52を含む。電圧調整指令回路5は、2次側電圧を監視し、2次側電圧が2次側の目標電圧範囲(不感帯)から逸脱すると、2次側電圧を目標電圧範囲内に収めるための昇降圧信号(電圧調整指令)を出力する。電圧調整装置1は、1次側電圧を監視する1次側の電圧調整装置1と、2次側電圧を監視する2次側の電圧調整装置1とを含むものであってもよい。電圧調整継電器51は、例えば、90リレーで構成されている。電圧調整継電器51は、継電器両端の電圧を検出し、その検出電圧が目標電圧範囲から外れている場合にタップの切り換えを指示する昇降圧信号(電圧調整指令)を生成し、制御部4に出力する。計器用変圧器52は、1次巻線に高圧が印加されると、2次巻線から高圧を巻線比に応じた低圧に変成して出力する。計器用変圧器52は、2次側の計測用変圧器PT(2次側計測用変圧器)として機能する。
【0027】
制御部4は、例えばマイコン等により構成され、不図示のCPU(Central Processing Unit)及び、ROM又はRAM等の記憶部を有する。ROM等の記憶部に予め記憶された制御プログラムに従って、電圧の調整を制御する。一時的に発生した情報はRAMに記憶されるものであってもよい。制御部4は、電圧調整指令回路5(電圧調整継電器51)から出力された昇降圧信号(電圧調整指令)を取得し、当該昇降圧信号に応じて、負荷時タップ切換器3に対し、タップ切り換えに関する処理を行う。制御部4は、1次側又は2次側に配置された計測用変圧器PTそれぞれが、実質的に同時点にて計測した1次側電圧(V1)及び2次側電圧(V2)を取得し、取得した1次側電圧及び2次側電圧の値を取得時点(検出時点)と共に記憶部に記憶する。
【0028】
制御部4は、1次側(1次側電圧値:V1)と2次側(2次側電圧値:V2)の電圧比差、又は電圧変化量差を常時計測し、その変化量(傾き)が閾値を超えた瞬間をタップ切換と判断することで、正確なタップ切換タイミングを検出する。制御部4は、例えば、計測用変圧器PTから10msec等の所定の周期にて1次側電圧の値(1次側電圧値)及び2次側電圧の値(2次側電圧値)を取得し、取得時点と関連付けて記憶部に記憶する。
【0029】
電圧比差は、Δa_21(m)として定義し、下記(1)式にて示される。ここで、mは周期的に電圧値を取得する際のサイクルを示す。
【0030】
【数1】
【0031】
すなわち、電圧比差(Δa_21 (m))は、今回(m)取得した1次側(1次側電圧値:V1)と2次側(2次側電圧値:V2)の実効値(RMS)において、2次側電圧値を1次側電圧値で除算した値から、前回(m-1)取得した2次側電圧値を1次側電圧値で除算した値を減算したものである。当該実効値(直近1サイクルの実効値)は、一定時間の実効値平均、フィルタ計算した値等の電圧データに基づくものであればよい。
【0032】
上述した(1)式では、タップ切換を検出すると電圧比差(Δa_21 (m))は1タップ分の巻数比偏差に準じた値となるため、これに計測精度や外乱の許容値を考慮して検出閾値を決定するものであってもよい。例えば1タップ分の巻数比偏差が0.005で、許容範囲を20%とする場合、電圧比差が絶対値で0.004以上(検出閾値)の変化があれば、タップ切換として検出する。このときの符号が正の場合は、1次側から見て2次側を昇圧、負の場合は降圧したものとして検知できる。従って、制御部4は、導出した電圧比差(Δa_21 (m))の絶対値が、検出閾値(例えば0.004)以上となる場合、タップ切換として検出(タップ切り換えにおける電気的な切り換えタイミングとして検出)するものであってもよい。更に、制御部4は、導出した電圧比差(Δa_21 (m))が、正の場合は1次側から見て2次側を昇圧したと判定し、負の場合は1次側から見て2次側を降圧したと判定する。
【0033】
電圧変化量差は、ΔΔV_21RMS(m)として定義し、下記(2)式にて示される。ここで、mは周期的に電圧値を取得する際のサイクルを示す。
【0034】
【数2】
【0035】
すなわち、電圧変化量差(ΔΔV_21RMS (m))は、今回に対する前回の2次側電圧値の実効値(RMS)における変化量から、今回に対する前回の1次側電圧値の実効値(RMS)における変化量を減算したものである。当該実効値(直近1サイクルの実効値)は、一定時間の実効値平均、フィルタ計算した値等の電圧データに基づくものであればよい。
【0036】
上述した(2)式の場合は、定格電圧印加時のステップ電圧を基準として、同様に閾値を決定することができる。例えば定格電圧が6600V、定格ステップ電圧が100V、許容電圧範囲を6000から7200Vとした場合、ステップ電圧換算の許容範囲は9.1%≒600/6600となり、絶対値で91Vrms以上(検出閾値)の変化があれば、タップ切換として検出する。従って、制御部4は、導出した電圧変化量差(ΔΔV_21RMS (m))の絶対値が、検出閾値(91Vrms)以上となる場合、タップ切換として検出(タップ切り換えにおける電気的な切り換えタイミングとして検出)するものであってもよい。更に、制御部4は、導出した電圧変化量差(ΔΔV_21RMS (m))が、正の場合は1次側から見て2次側を昇圧したと判定し、負の場合は1次側から見て2次側を降圧したと判定する。電圧変化量差を用いた処理の流れについては、実施形態2にて詳述する。
【0037】
このように、制御部4は、所定の周期にて取得した1次側電圧と2次側電圧とによる比率又は変化量を算出する。その上で、制御部は、今回算出した比率又は変化量と、前回算出した比率又は変化量とに基づき、タップの切り換えが行われている際中であるか否かを判定する。SVR等の電圧調整装置1において、負荷時タップ切換器3は機械接点を用いるものであり、タップ切り換えにおける電気的な切り換えタイミングを、タップ切り換えの機構的動作から特定することが困難となる。すなわち、タップ切り換えの信号(昇降圧信号:34M信号)が負荷時タップ切換器3に出力されることにより、タップ切り換えの機構的動作が行われる期間が2秒(2[s])程度に対し、切り換え前後のタップが橋絡中の状態(橋絡抵抗導通中)となるのは、50[msec]の極めて短い期間となる。これに対し、制御部4は、例えば10[msec]等の所定の周期にて常時計測している1次側電圧と2次側電圧とによる比率又は変化量(傾き)に基づき、当該比率又は変化量(傾き)が予め定められた閾値を超えた瞬間を、タップの切り換えが行われたと判断することで、タップ切り換えにおける電気的な切り換えタイミングを精度良く検出することができる。
【0038】
タップ切り換えの前後では一時的に橋絡抵抗が導通する。このとき、負荷電流による橋絡抵抗の電圧降下は、タップ切り換え自体の電圧変化量差や電圧比変化量の閾値を上回ることもある。更に3相である場合はこれらのタイミングには相毎にズレもあるので、閾値検出だけでタップ切換判定をした場合、実際には1回のタップ切換動作を連続で複数回検出してしまう可能性がある。これに対し、特定のサイクル数の中で複数回閾値検出した場合は、1回の検出として判定するものであってもよい。当該特定のサイクル数は、負荷時タップ切換器3の実力値又は製品仕様等によって決定されるものであってもよい。例えば切換時間の実測値が80から100msecの負荷時タップ切換器3に対しては、60Hzなら6サイクル、50Hzなら5サイクルとするものであってもよい。上記のように複数回閾値検出した場合、いずれの負荷時タップ切換器3も、初めの閾値検出は橋絡抵抗の導通であり、最後の閾値検出は切換完了となる。このように、制御部4は、初めから最後までを一連のタップ切換動作として検出する。
【0039】
図2は、制御部4の処理手順(電圧比差)を示すフローチャートである。制御部4は、ROM等の記憶部に予め格納されている制御プログラム(プログラム製品)に従って、負荷時タップ切換器3の運用中に本処理を実行する。
【0040】
制御部4は、1次側電圧値及び2次側電圧値を取得する(S101)。制御部4は、実質的に同時点にて取得した1次側電圧値及び2次側電圧値を、取得時点を関連付けて、記憶部に記憶する。このように取得時点を関連付けて記憶することにより、取得した1次側電圧値及び2次側電圧値における経時変化を把握することができる。
【0041】
制御部4は、電圧比差を算出する(S102)。制御部4は、1次側電圧値及び2次側電圧値を取得(検出)する都度、1次側(1次側電圧値:V1)と2次側(2次側電圧値:V2)の電圧比(V2/V1)を常時計測(算出)している。制御部4は、1次側電圧値及び2次側電圧値の取得(検出)に併せて、算出した電圧比を当該算出時点(1次側電圧値及び2次側電圧値の検出時点)と関連付けて、記憶部に記憶するものであってもよい。これにより、1次側電圧値及び2次側電圧値の検出周期(サンプリング周期)に同期させて、1次側電圧値及び2次側電圧値の電圧比の変化履歴を保存管理することができる。制御部4は、前述した(1)式を用いて、今回検出([m]サイクル目)した1次側電圧値及び2次側電圧値の電圧比と、前回検出([m-1]サイクル目)した1次側電圧値及び2次側電圧値の電圧比との差異である電圧比差(Δa_21 (m))を算出する。
【0042】
制御部4は、電圧比差の絶対値が閾値を超えたか否かを判定する(S103)。閾値は、制御部4を構成するマイコンが備える記憶部に記憶されており、1タップ分の巻数比偏差に計測精度や外乱の許容値を考慮して決定されるものであってもよい。この際、例えば1タップ分の巻数比偏差が0.005で、許容範囲を20%とする場合、閾値(検出閾値)は、0.004(0.004=0.005*(1-0.2))とするものであってもよい。制御部4は、電圧比差の絶対値を算出し、当該絶対値(電圧比差の絶対値)が、閾値(検出閾値)を超えたか否かを判定する。当該電圧比差の絶対値と、閾値との対比に関しては、電圧比差の絶対値が閾値以上であるか否かにて判定するものであってもよい。
【0043】
電圧比差の絶対値が閾値を超えていない場合(S103:NO)、制御部4は、タップの切り換えは行われていないと判定する(S1031)。電圧比差の絶対値が閾値を超えていない場合、制御部4は、タップの切り換えは行われていないと判定し、再度S101から実行すべくループ処理を行う。
【0044】
電圧比差の絶対値が閾値を超えた場合(S103:YES)、制御部4は、タップの切り換えは行われたと判定する(S104)。電圧比差の絶対値が閾値を超えた場合、制御部4は、今回の1次側電圧値及び2次側電圧値の取得(検出)タイミングにおいて、タップの切り換えが、行われたと判定する。すなわち、制御部4は、電圧比差の絶対値が閾値を超えたと判定した瞬間を、タップの切り換えが行われたタイミングとして検出(タップ切り換えにおける電気的な切り換えタイミングとして検出)する。制御部4は、当該閾値との対比に用いた電圧比差の算出元である1次側電圧値及び2次側電圧値における、2つの検出時点(検出周期における今回(m)のサイクル、前回(m-1)のサイクル)にて定まる期間(前回(m-1)の検出時点から今回(m)の検出時点)に含まれる瞬間を、タップの切り換えが行われたタイミングとして検出するものであってもよい。制御部4は、このようにタップの切り換えを検出した場合、変電所が1次側又は2次側のいずれの側に位置するかを判定(変電所方向判定)する処理を行うものであってもよい。
【0045】
制御部4は、検出した切換タイミングを含む期間における1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値を算出する(S105)。上述のとおり、制御部4は、所定の取得周期(検出周期)にて検出した1次側電圧値及び2次側電圧値それぞれの実効値(RMS:root mean square value)を取得時点と関連付けて記憶部に記憶している。更に、制御部4は、時系列にて連続する複数の取得時点における1次側電圧値の平均値を算出し、算出した平均値を現時点(最新の取得時点)の1次側電圧値(計測値)として、取得時点と関連付けて記憶部に記憶している。制御部4は、1次側電圧値と同様に、2次側電圧値についても平均値を算出し記憶する。
【0046】
このように制御部4は、現時点にて検出した1次側電圧値及び2次側電圧値それぞれに対し、過去の時点にて検出し、時系列にて連続する複数の取得周期(検出周期)による複数の1次側電圧値及び2次側電圧値を用いて、移動平均化処理を継続的に実施している。当該移動平均化処理を行うにあたり、制御部4は、例えば、12時点(12サイクル)での移動平均を、1次側電圧値及び2次側電圧値の実効値(RMS)それぞれに対し、算出するものであってもよい。当該12サイクルにおける1サイクルは、取得周期(検出周期)を示すものであり、商用電源の周波数が60Hzの場合、取得周期(検出周期)である1サイクルは16.667msecであり、商用電源の周波数が50Hzの場合、取得周期(検出周期)である1サイクルは20msecであってもよい。
【0047】
制御部4は、1次側電圧の変化量を算出するにあたり、現時点(今回の取得周期:n)での1次側電圧値(移動平均値:V1[n])と、直前の取得時点(前回の取得周期:n-1)での1次側電圧値(移動平均値:V1[n-1])との差分の絶対値(|ΔV1|=|V1[n]-V1[n-1]|)を、1次側電圧の変化量として算出する。制御部4は、1次側電圧の変化量と同様に、2次側電圧の変化量(|ΔV2|=|V2[n]-V2[n-1]|)を算出する。
【0048】
制御部4は、このように取得周期(検出周期)に基づき、隣り合う2つの検出時点における検出値の差分の絶対値を算出するにあたり、検出した切換タイミングを含む期間内となる、複数の検出時点における検出値の差分の絶対値それぞれを算出する。制御部4は、検出した切換タイミングを含む期間を特定するにあたり、タップの切り換えが行われたタイミングとして検出した際の時点(m)を基準に、当該切り換えタイミングの時点(m)の前後2サイクル(2時点)から成る5時点の期間を、切換タイミングを含む期間、すなわち1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量を算出する期間として特定するものであってもよい。この場合、当該5時点の期間は、切り換えタイミングの時点[m]を中心として、直前の時点[m-1]、2つ前の時点[m-2]、直後の時点[m+1]、及び、2つ後の時点[m+2]により、特定(時点[m-2]、[m-1]、[m]、[m+1]、[m+2])されるものとなる。
【0049】
1次側電圧値の差分(変化量)については、2つ前の時点[m-2]と直前の時点[m-1]との差分(変化量:V1[m-1]-V1[m-2])、直前の時点[m-1]と切り換えタイミングの時点[m]との差分(変化量:V1[m]-V1[m-1])、切り換えタイミングの時点[m]と直後の時点[m+1]との差分(変化量:V1[m+1]-V1[m])、及び直後の時点[m+1]と2つ後の時点[m+2]との差分から成る4つの差分(変化量:V1[m+2]-V1[m]+1)を、制御部4は算出し、各時点それぞれと関連付けて記憶部に記憶する。制御部4は、1次側電圧値の差分(変化量)と同様に、2次側電圧値の差分(変化量)について算出及び記憶する。
【0050】
本実施形態において、切換タイミングを含む期間に相当する変化量を算出する期間として、5時点(5サイクル)の期間を例示したが、これに限定されるものでなく、3時点(3サイクル)、又は7時点(7サイクル)以上であってもよく、すなわち当該変化量を算出する期間が、切り換えタイミングの時点[m]の前後の時点を含むものであれば良い。又は、切り換えタイミングの時点[m]の前後における時点数が異なるものであってもよい。その上で、当該期間を短くすることにより、タップの切り換えとは関連性が無いノイズ又は外乱的要素を含む計測値が混入することを抑制することができるため、演算負荷を低減しつつ、変電所の方向判定の判定精度を向上させることができる。
【0051】
制御部4は、本処理を行うにあたり用いる時点数、すなわち変化量を算出する期間を定める時点数を、例えば、電圧調整装置1に備えられた操作盤等からの入力によって受付け、受付けた時点数を記憶部に記憶することにより、当該時点数を変更可能に設定するものであってもよい。すなわち、変化量を算出する期間を定める時点数等、各種処理に用いられるパラメータ又は定数は、例えばSVR等の電圧調整装置1の型式、機種、製品仕様、又は接続される系統特性等の設置環境に基づき、変更可能に設定されるものであってもよい。
【0052】
このように制御部4は、例えば、切換タイミングを含む期間であって、変化量を算出する期間として5時点(5サイクル)の期間を適用するにあたり、1次側電圧及び2次側電圧それぞれにおける、4つの変化量それぞれ(隣り合う時点間の差分)を算出する。制御部4は、1次側電圧及び2次側電圧それぞれにおいて、算出した複数の変化量の積算値を算出する。すなわち、制御部4は、切換タイミングを含む期間(変化量を算出する期間)を対象とした算出した、1次側電圧の複数の変化量の積算値(Σ|ΔV1|)と、2次側電圧の複数の変化量の積算値(Σ|ΔV2|)を算出する。
【0053】
本実施形態の例示にて、変化量を算出する期間を5時点(5サイクル)とした場合、上述のとおり4つの1次側電圧値の差分(変化量)を合算することにより、1次側電圧の複数の変化量の積算値(Σ|ΔV1|)を算出する。制御部4は、切換タイミングを含む期間(変化量を算出する期間)を対象とした算出した、2次側電圧の複数の変化量の積算値(Σ|ΔV2|)を算出する。本実施形態の例示にて、変化量を算出する期間を5時点(5サイクル)とした場合、上述のとおり4つの2次側電圧値の差分(変化量)を合算することにより、2次側電圧の複数の変化量の積算値(Σ|ΔV2|)を算出する。
【0054】
制御部4は、算出した1次側電圧の変化量の積算値と、2次側電圧の変化量の積算値との差異を示す積算差分を算出する(S106)。制御部4は、算出した1次側電圧の変化量の積算値(Σ|ΔV1|)から、2次側電圧の変化量の積算値(Σ|ΔV2|)を減算することにより、1次側電圧の変化量の積算値と2次側電圧の変化量の積算値との差異を示す積算差分(ΣΔΔV12=Σ|ΔV1|-Σ|ΔV2|)を算出する。
【0055】
制御部4は、算出した積算差分が判定閾幅に収まるか否かを判定する(S107)。判定閾幅は、上限値から下限値が定められた数値範囲として定義されており、制御部4を構成するマイコン等の記憶部に予め記憶されている。又は、制御部4は、電圧調整装置1の配置態様等に応じて入力される判定閾幅を取得し(受付け)、記憶部に記憶することにより、当該判定閾幅は変更可能に設定するものであってもよい。判定閾幅は、算出した積算差分(ΣΔΔV12)が判定閾幅に収まるか否か、すなわち、積算差分(ΣΔΔV12)が、判定閾幅の上限値以下であって、更に判定閾幅の下限値以上であるか否かを判定する。
【0056】
判定閾幅に収まる場合(S107:YES)、制御部4は、変電所が1次側又は2次側のいずれの側に位置するかの判定を保留する(S1071)。積算差分(ΣΔΔV12)が判定閾幅に収まると判定した場合、制御部4は、変電所が1次側又は2次側のいずれの側に位置するかの判定を保留し、前回行った変電所方向判定の判定結果を維持するものとなる。制御部4は、当該判定を保留とした場合、保留とした旨を、本処理を行った時点と関連付けて、記憶部に記憶するものであってもよい。制御部4は、このように判定保留とした事項及び処理時点を記憶部に記憶することにより、判定保留とした回数が所定期間内にて所定値以上となった場合、判定閾幅の数値範囲を適正化する補正処理を行うものであってもよい。
【0057】
判定閾幅に収まらない場合(S107:NO)、制御部4は、積算差分が判定閾幅を上回るか否かを判定する(S108)。積算差分(ΣΔΔV12)が判定閾幅に収まらない場合、すなわち積算差分(ΣΔΔV12)が判定閾幅から逸脱した場合、制御部4は、積算差分が判定閾幅を上回るか否かを判定する。
【0058】
積算差分が判定閾幅を上回る場合(S108:YES)、制御部4は、変電所は2次側に位置すると判定する(S109)。積算差分が判定閾幅を上回る場合、すなわち積算差分(ΣΔΔV12)が判定閾幅の上限値を超える場合、制御部4は、変電所は2次側に位置すると判定する。
【0059】
積算差分が判定閾幅を上回らない場合(S108:NO)、制御部4は、変電所は1次側に位置すると判定する(S1081)。積算差分が判定閾幅を上回らない(下回る)場合、すなわち積算差分(ΣΔΔV12)が判定閾幅の下限値未満である場合、制御部4は、変電所は1次側に位置すると判定する。
【0060】
制御部4は、S1031、S1071、S109、又はS1081の処理の実行後、再度S101からの処理を実行すべく、ループ処理を行う。これにより、制御部4は、1次側電圧値及び2次側電圧値の取得(検出)タイミングと同期させて、すなわち、これら電圧値の検出周期(サンプリング周期)に応じて、タップ切り換えが発生したか否かの判定(タップ切り換え有無判定)を周期的に継続して行うことができる。
【0061】
本実施形態において、電圧調整装置1は、単相の配電線100に配置されるものにて説明したが、これに限定されず、電圧調整装置1は、3相の配電線100に配置されるものであってもよい。この場合(3相の場合)、電圧調整装置1は、三相交流における線間電圧(UV,VW,WU)それぞれの電圧調整を行うにあたり、これら線間電圧(UV,VW,WU)それぞれに応じたタップ位置を同じとする三相一括切換を行う。従って、制御部4は、3相における線間電圧(UV,VW,WU)それぞれのうち、いずれかの線間電圧における、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分を算出することにより、タップの切り換えが行われたタイミングを検出するものであってもよい。
【0062】
又は、制御部4は、3相における線間電圧(UV,VW,WU)それぞれにおいて、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分を算出し、算出した線間電圧(UV,VW,WU)それぞれの差分に基づき、タップの切り換えが行われたタイミングを検出するものであってもよい。このように3相における線間電圧(UV,VW,WU)それぞれの差分を用いて判定する場合、これら差分それぞれによる判定結果が全て一致した場合、当該一致した結果に基づき、タップの切り換えが行われたタイミングを検出するものであってもよい。すなわち、制御部4は、これら差分それぞれによる判定結果が、タップの切り換えが実施されたと示す場合、タップの切り換えが行われた判定するものであってもよい。又は、制御部4は、これら差分それぞれによる判定結果において、いずれか2つの差分による判定結果が、タップの切り換えが実施されたと示す場合、タップの切り換えが行われた判定するものであってもよい。このように3相における線間電圧(UV,VW,WU)それぞれの差分を用いて判定することにより、外乱等に対する影響を低減させ、判定精度を向上させることが期待される。
【0063】
(実施形態2)
図3は、実施形態2に係る制御部4の処理手順(電圧変化量差)を示すフローチャートである。制御部4は、ROM等の記憶部に予め格納されている制御プログラム(プログラム製品)に従って、負荷時タップ切換器3の運用中に本処理を実行する。
【0064】
制御部4は、1次側電圧値及び2次側電圧値を取得する(S201)。制御部4は、所定の周期にて、実質的に同じ検出時点となる1次側電圧値及び2次側電圧値を取得し、取得した1次側電圧値及び2次側電圧値と、取得時点(検出時点)とを関連付けて、マイコンの記憶部に記憶している。
【0065】
制御部4は、電圧変化量差を算出する(S202)。制御部4は、現時点(今回([m]サイクル目)の取得)における1次側電圧(V1(m))から、過去(前回([m-1]サイクル目)の取得)における1次側電圧(V1(m-1))を減算することにより、1次側電圧における変化量(ΔV1)を算出する。制御部4は、現時点(今回([m]サイクル目)の取得)における2次側電圧(V2(m))から、過去(前回([m-1]サイクル目)の取得)における2次側電圧(V2(m-1))を減算することにより、2次側電圧における変化量(ΔV2)を算出する。制御部4は、前述した(2)式を用いて、2次側電圧における変化量(ΔV2)から、1次側電圧における変化量(ΔV1)を減算することにより、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分である、電圧変化量差(ΔΔV_21RMS (m))を算出する。
【0066】
制御部4は、電圧変化量差の絶対値が閾値を超えたか否かを判定する(S203)。閾値は、制御部4を構成するマイコンが備える記憶部に記憶されており、定格電圧印加時のステップ電圧(1タップ分のステップ電圧)を基準として決定されるものであってもよい。この際、例えば定格電圧が6600V、定格ステップ電圧が100V、許容電圧範囲を6000から7200Vとした場合、ステップ電圧換算の許容範囲は9.1%≒600/6600となり、閾値(検出閾値)は、91Vrmsとするものであってもよい。制御部4は、電圧変化量差の絶対値を算出し、当該絶対値(電圧変化量差の絶対値)が、閾値(検出閾値)を超えたか否かを判定する。当該電圧変化量差の絶対値と、閾値との対比に関しては、電圧比差の絶対値が閾値以上であるか否かにて判定するものであってもよい。
【0067】
電圧変化量差の絶対値が閾値を超えていない場合(S203:NO)、制御部4は、タップの切り換えは行われていないと判定する(S2031)。電圧変化量差の絶対値が閾値を超えていない場合、制御部4は、タップの切り換えは行われていないと判定し、再度S201から実行すべくループ処理を行う。
【0068】
電圧変化量差の絶対値が閾値を超えた場合(S203:YES)、制御部4は、タップの切り換えは行われたと判定する(S204)。電圧変化量差の絶対値が閾値を超えた場合、制御部4は、今回の1次側電圧値及び2次側電圧値の取得(検出)タイミングにおいて、タップの切り換えが、行われたと判定する。すなわち、制御部4は、電圧変化量差の絶対値が閾値を超えたと判定した瞬間を、タップの切り換えが行われたタイミングとして検出(タップ切り換えにおける電気的な切り換えタイミングとして検出)する。制御部4は、当該閾値との対比に用いた電圧変化量差の算出元である1次側電圧値及び2次側電圧値における、2つの検出時点(検出周期における今回(m)のサイクル、前回(m-1)のサイクル)にて定まる期間(前回(m-1)の検出時点から今回(m)の検出時点)に含まれる瞬間を、タップの切り換えが行われたタイミングとして検出するものであってもよい。
【0069】
制御部4は、実施形態1の処理S105からS1071、S109又はS1081と同様に、S205からS2071、S209又はS2081の処理を行う。
【0070】
(実施形態3)
図4は、実施形態3に係る制御部4の処理手順(電圧調整指令での電圧比差)を示すフローチャートである。制御部4は、実施形態1の処理S101,102,103,104,1031と同様に、S301,302,303,304,3031の処理を行う。
【0071】
制御部4は、タップの切り換えに関する電圧調整指令が出力されているか否かを判定する(S305)。電圧調整指令回路5は、2次側電圧を監視し、2次側電圧が2次側の目標電圧範囲(不感帯)から逸脱すると、2次側電圧を目標電圧範囲内に収めるための電圧調整指令(昇降圧信号)を生成し、制御部4に出力する。制御部4は、当該電圧調整指令回路5からの電圧調整指令(昇降圧信号)の出力の有無に基づき、タップの切り換えに関する電圧調整指令が出力されているか否かを判定する。電圧調整指令が出力されている期間(例えば2秒)は、1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値の算出期間よりも長い期間となる。従って、制御部4は、電圧調整指令が出力されている期間において、1次側電圧及び2次側電圧それぞれの変化量の積算値の算出に関する処理を行うことができる。本実施形態における図示において、電圧調整指令が出力されているか否かの判定処理は、タップの切り換えは行われたと判定する処理の後に実行するものとしたがこれに限定されず、当該タップの切り換えは行われたと判定する処理の前に実行するものであってもよい。
【0072】
電圧調整指令が出力されていない場合(S305:NO)、制御部4は、再度S301からの処理を実行すべくループ処理を行う。電圧調整指令が出力されている場合(S305:YES)、制御部4は、実施形態1の処理S105からS1071、S109又はS1081と同様に、S306からS3081、S310又はS3091の処理を行う。
【0073】
(実施形態4)
図5は、実施形態4に係る制御部4の処理手順(電圧調整指令での電圧変化量差)を示すフローチャートである。制御部4は、実施形態2の処理S201,202,203,204,2031と同様に、S401,402,403,404,4031の処理を行う。
【0074】
制御部4は、実施形態3の処理S305と同様に、S405の処理を行う。制御部4は、電圧調整指令が出力されていない場合(S405:NO)、制御部4は、再度S401からの処理を実行すべくループ処理を行う。電圧調整指令が出力されている場合(S405:YES)、制御部4は、実施形態1の処理S105からS1071、S109又はS1081と同様に、S406からS4081、S410又はS4091の処理を行う。
【0075】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0076】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項が記載されている。特許請求の範囲では、多項従属請求項に従属する多項従属請求項は記載されていないが、多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 電圧調整装置、 2 調整変圧器、 3 負荷時タップ切換器、 tc コモン端子、 tn タップ端子(タップ)、 4 制御部(記憶部を含むマイコン)、 5 電圧調整指令回路、 51 電圧調整継電器、 52 計器用変圧器、 100 配電線、 PT 計測用変圧器
【要約】      (修正有)
【課題】変電所が1次側又は2次側のいずれの側に位置するかを判定することが可能な電圧調整装置を提供する。
【解決手段】調整変圧器2及び負荷時タップ切換器3を有する電圧調整装置1において、制御部4は、所定の周期にて1次側電圧V1と2次側電圧V2とを取得し、所定周期に応じて、時系列に並ぶ1次側電圧及び2次側電圧それぞれによる差分を算出し、算出した差分の絶対値が、予め定められた閾値を超えた瞬間を、タップtnの切り換えが行われた切換タイミングとして検出し、検出した切換タイミングを含む期間における1次側電圧の変化量の積算値と、2次側電圧の変化量の積算値を算出し、算出した1次側電圧の変化量の積算値と、2次側電圧の変化量の積算値との差異を示す積算差分に基づき、変電所が1次側又は2次側のいずれの側に位置するかを判定する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5