(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】半導体構造及び半導体構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/768 20060101AFI20241107BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20241107BHJP
H01L 21/288 20060101ALI20241107BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20241107BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
H01L21/90 B
H01L21/288 E
H01L21/88 R
H01L21/90 J
(21)【出願番号】P 2023193497
(22)【出願日】2023-11-14
【審査請求日】2024-05-01
(32)【優先日】2023-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523271505
【氏名又は名称】リン チュン-ミン
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】リン チュン-ミン
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-186328(JP,A)
【文献】特開平01-207950(JP,A)
【文献】特開2001-220667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0085031(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2023/0395504(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205-21/3215
H01L 21/768
H01L 23/52
H01L 23/522-23/532
H01L 21/28-21/288
H01L 21/44-21/445
H01L 29/40-29/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造であって、
第Nの金属層の導電線であって、Nは1以上の整数である第Nの金属層の導電線と、
前記導電線上にあり、前記導電線の一部を覆うことはない第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上にあり、前記導電線の前記一部及び前記第1の絶縁層の一部を覆うことはない第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層上にあり、前記導電線の前記一部を覆うことはない第2の絶縁層と、
前記第1の誘電体層、前記第1の絶縁層、及び前記第2の絶縁層によって側面が取り囲まれているインターコネクトベースであって、前記インターコネクトベースの上面及び前記第2の絶縁層の上面は同一平面上にあるインターコネクトベースと、
前記第2の絶縁層の上にあり、前記インターコネクトベースの前記上面と接しているインターコネクト本体と、
前記インターコネクト本体を前記第2の絶縁層の上の導電性トレースから隔てるように構成されている第2の誘電体層と
を含み、前記インターコネクト本体は、
前記インターコネクトベース及び前記第2の誘電体層の側壁と直接接している第1のバリア層、
前記
第1のバリア層によって取り囲まれた少なくとも1つの導電層、
前記第1のバリア層と前記少なくとも1つの導電層とで挟まれた第1の銅-リン合金層、
前記少なくとも1つの導電層上に形成された第2の銅-リン合金層、及び
前記第2の銅-リン合金層上に形成された第2のバリア層
を含む、半導体構造。
【請求項2】
前記第1の誘電体層の誘電率は、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層の誘電率よりも低い請求項1に記載の半導体構造。
【請求項3】
前記インターコネクトベースは、
前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層と直接接しているバリア層、
前記バリア層によって取り囲まれた銅層、並びに
前記バリア層と前記銅層とで挟まれた銅-リン合金層
を含む請求項1に記載の半導体構造。
【請求項4】
前記第2の絶縁層上にある第1の導電性トレースをさらに含み、
前記インターコネクト本体及び前記第1の導電性トレースは第(N+1)の金属層の導電線の一部であり、第2の誘電体層によって側方に離間しており、
前記第1の導電性トレースは、前記半導体構造の積層方向に沿って前記第1の誘電体層と重なる
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項5】
前記第1の導電性トレース
内又は前記インターコネクト本体
内に形成された誘電体をさらに含む請求項4に記載の半導体構造。
【請求項6】
前記第1の導電性トレースに隣接する第2の導電性トレースをさらに含み、前記第1の導電性トレースは高周波信号を伝送するように構成されており、前記第2の導電性トレースは接地に結合され、前記第1の導電性トレースは、第2の誘電体層によって前記第2の導電性トレースから分離されている請求項4に記載の半導体構造。
【請求項7】
前記第2の導電性トレースは前記第1の導電性トレースを取り囲む請求項6に記載の半導体構造。
【請求項8】
前記第1の導電性トレースとともに前記高周波信号を伝送するように構成されている第3の導電性トレースをさらに含み、前記第2の導電性トレースは前記第1の導電性トレース及び前記第3の導電性トレースを取り囲み、前記第1の導電性トレースは、前記第2の誘電体層によって前記第3の導電性トレースから分離されている請求項7に記載の半導体構造。
【請求項9】
前記接地に結合される第4の導電性トレースをさらに含み、前記第1の導電性トレースは前記第2の導電性トレースと前記第4の導電性トレースとの間に配置され、前記第1の導電性トレースは、前記第2の誘電体層によって前記第4の導電性トレースから分離されている請求項6に記載の半導体構造。
【請求項10】
前記第1の導電性トレースとともに前記高周波信号を伝送するように構成されている第5の導電性トレースをさらに含み、前記第1の導電性トレース及び前記第5の導電性トレースは前記第2の導電性トレースと前記第4の導電性トレースとの間に配置されている請求項9に記載の半導体構造。
【請求項11】
前記インターコネクト本体の厚さは、前記第1の導電性トレースの厚さとは異なる請求項4に記載の半導体構造。
【請求項12】
前記少なくとも1つの導電層は、銅、コバルト、及びルテニウムの少なくとも1つの金属材料を含む請求項1に記載の半導体構造。
【請求項13】
多層3Dモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)が前記半導体構造内に形成されており、前記多層3D MMICは前記インターコネクトベースを含む請求項1に記載の半導体構造。
【請求項14】
前記インターコネクトベースは、導波管、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、π型インピーダンス整合フィルタ、又はT型インピーダンス整合フィルタの一部である請求項1に記載の半導体構造。
【請求項15】
半導体構造の製造方法であって、
表面において第Nの金属層の導電線を有するウェハを受け取る工程であって、Nは1以上である工程と、
前記ウェハの表面上にあり前記導電線の一部を覆うことはない第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上にあり、前記導電線の一部及び前記第1の絶縁層の一部を覆うことはない第1の誘電体層を形成する工程と、
前記第1の誘電体層及び前記第1の絶縁層上に第2の絶縁層を形成する工程であって、前記第2の絶縁層は、前記導電線の前記一部の上にあり前記導電線の前記一部を覆うことはないベース領域を少なくとも含む工程と、
前記ベース領域にインターコネクトベースを形成する工程であって、
前記第2の絶縁層の上にフォトレジスト層を形成する工程であって、前記第2の絶縁層の前記ベース領域は前記フォトレジスト層によって覆われることはない工程、
前記フォトレジスト層、前記第2の絶縁層、及び前記導電線の上に少なくとも1つの導電材料を形成する工程であって、前記導電線の上にある前記導電材料の上面は、前記第2の絶縁層の上面と略同一平面上にある工程、並びに
前記フォトレジスト層を除去することによって前記第2の絶縁層の上の前記導電材料を除去して、前記インターコネクトベースを形成する工程
を含む工程と、
前記第2の絶縁層の上に第2の誘電体層を形成する工程と、
前記第2の絶縁層上に第1の導電性トレースを形成する工程と、
前記インターコネクトベース上にインターコネクト本体を形成する工程と
を含み、
前記インターコネクトベースは、前記第1の誘電体層、前記第1の絶縁層、及び前記第2の絶縁層によって側面が取り囲まれており、
前記インターコネクト本体は、前記第2の誘電体層によって前記第1の導電性トレースから隔てられており、
前記インターコネクトベース上に前記インターコネクト本体を形成する工程の操作は、
前記インターコネクトベース及び前記第2の誘電体層の側壁と直接接して第1のバリア層を形成すること、
第1の銅-リン合金層を形成すること、
前記
第1のバリア層によって取り囲まれた少なくとも1つの導電層を形成することであって、前記第1の銅-リン合金層は、前記第1のバリア層と前記少なくとも1つの導電層とで挟まれること、
前記少なくとも1つの導電層上に第2の銅-リン合金層を形成すること、並びに
前記第2の銅-リン合金層上に第2のバリア層を形成すること
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1の誘電体層の誘電率は、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層の誘電率よりも低い請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フォトレジスト層、前記第2の絶縁層、及び前記導電線の上に少なくとも1つの導電材料を形成する工程の操作は、
前記ベース領域にバリア層を形成することであって、前記バリア層は前記第1の絶縁層の側面及び前記第2の絶縁層の側面と接すること、
前記バリア層上に銅-リン合金層を形成すること、並びに
前記銅-リン合金層上に銅層をめっきすること
を含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記銅-リン合金層上に前記銅層をめっきすることの操作は、
電気めっき又は無電解めっきを使用して、前記第2の絶縁層の上面及び前記ベース領域に形成される前記インターコネクトベースの上面が同一平面上にあるような所定の厚さを有する前記銅層を形成すること
を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の導電性トレースは、前記半導体構造の積層方向に沿って前記第1の誘電体層と重なる
請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の導電性トレース
内に少なくとも1つの誘電体を形成する工程
をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項21】
q個の異なる厚さを有する導電性トレース及びインターコネクト本体を含む第(N+1)の金属層を形成する工程をさらに含み、
qは1より大きい整数であり、
前記導電性トレース及びインターコネクト本体は、最小の厚さを有する導電性トレース又はインターコネクト本体から最大の厚さを有する導電性トレース又はインターコネクト本体へのq回の金属めっきプロセス及びq回の異なるリフトオフプロセスによって形成される
請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記半導体構造は、p個の異なる厚さを有する複数のインターコネクトベースをさらに含み、pは1より大きい整数であり、前記インターコネクト
ベースは、最小の厚さを有するインターコネクトベースから最大の厚さを有するインターコネクトベースへのp回の金属めっきプロセス及びp回の異なるリフトオフプロセスによって形成される請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記導電線は、前記ウェハに形成されたトランジスタの入力/出力電極を含み、前記方法は、前記入力/出力電極を形成する工程であって、
前記ウェハの基板に形成されたトランジスタの上に層間誘電体層を形成すること、
前記層間誘電体層上に第1のケイ酸塩ガラス層を形成すること、
前記トランジスタの第1の端子に第1の深さで配置された前記第1のケイ酸塩ガラス層の一部に第1の窒化ケイ素(SiN)層を形成すること、
前記第1のケイ酸塩ガラス層及び前記第1のSiN層上に第2のケイ酸塩ガラス層を形成すること、
前記第2のケイ酸塩ガラス層上に第2のSiN層を形成すること、
前記トランジスタの第2の端子に、前記第1の深さよりも深い第2の深さで第1の開口部を形成すること、
電極金属の第1の層を堆積させて、前記第1の開口部を充填すること、
前記第2のケイ酸塩ガラス層の露出部分を除去すること、
前記トランジスタの前記第1の端子に第2の開口部を形成すること、
電極金属の第2の層を堆積させて、前記第2の開口部を充填すること、並びに
前記第1のSiN層及び前記第2のSiN層を除去すること
を含む工程をさらに含み、前記電極金属はタングステン、コバルト又はルテニウムを含む
請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記半導体構造は、r個の異なる厚さを有する複数の電極をさらに含み、rは1より大きい整数であり、前記電極は、最小の厚さを有する電極から最大の厚さを有する電極へのr回の金属めっきプロセス及びr回のリフトオフプロセスによって形成される請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2023年10月4日出願の、以前に出願された米国出願第18/480,567号の利益を主張する。この出願は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、半導体構造に関し、より具体的には、化学機械研磨(CMP)プロセスの使用を低減するために改良ダマシン(Damascene)法により製造されたインターコネクトを含む半導体構造に関する。
【背景技術】
【0003】
ダマシンプロセスは、銅インターコネクトを製作するために使用される周知の半導体製造プロセスである。銅ダマシンプロセスは、銅成分をエッチングする必要なくビアに結合された導電性トレースを形成するための解決手段を提供する。デュアルダマシンプロセスは、一回の銅堆積プロセスを通して導電性ビア及び導電性トレースの両方の形成を可能にする。概して、ダマシンプロセスは、銅層の表面を平坦化するためにCMPプロセスを必要とする。しかしながら、CMPプロセスは時間がかかり、信頼性の問題を引き起こす可能性があり、金属を研磨するために採用されるスラリーは高価である。それゆえ、インターコネクト及び導電線の形成方法として、より費用効率が高く省資源化できる方法が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様は、半導体構造を開示する。この半導体構造は、第Nの金属層の導電線と、第1の絶縁層と、誘電体層と、第2の絶縁層と、インターコネクトベースと、インターコネクト本体とを含み、Nは1以上の整数である。第1の絶縁層は、上記導電線上にあり、その導電線の一部を覆うことはない。誘電体層は、第1の絶縁層上にあり、上記導電線の一部及び第1の絶縁層の一部を覆うことはない。第2の絶縁層は、誘電体層上にあり、上記導電線の一部を覆うことはない。インターコネクトベースは、誘電体層、第1の絶縁層、及び第2の絶縁層によって側面が(側方で、laterally)取り囲まれている。インターコネクトベースの上面と第2の絶縁層の上面とは同一平面上にある(面一)。インターコネクト本体は、第2の絶縁層の上にあり、インターコネクトベースの上面と接している。
【0005】
本開示の別の態様は、半導体構造の製造方法を提供する。当該方法は、表面において第Nの金属層の導電線を有するウェハを受け取る工程であって、Nは1以上の整数である工程と、このウェハの表面上にあり上記導電線の一部を覆うことはない第1の絶縁層を形成する工程と、第1の絶縁層上に誘電体層(例えば、low-k誘電体材料を使用する)を形成する工程と、この誘電体層及び第1の絶縁層上に第2の絶縁層を形成する工程であって、この第2の絶縁層は、導電線の一部の上にベース領域を少なくとも含む工程と、このベース領域にインターコネクトベースを形成する工程とを含む。ベース領域にインターコネクトベースを形成する工程の操作は、上記第2の絶縁層の上にフォトレジスト層を形成する工程であって、この第2の絶縁層のベース領域はこのフォトレジスト層によって覆われない工程と、このフォトレジスト層、第2の絶縁層、及び導電線の上に少なくとも1つの導電材料を形成する工程であって、導電線の上にある導電材料の上面は、第2の絶縁層の上面と略同一平面上にある工程と、リフトオフプロセスを使用することによってフォトレジスト層を除去ことによって第2の絶縁層の上にある導電材料を除去して、インターコネクトベースを形成する工程とを含む。さらには、別のフォトリソグラフィプロセスが適用され、リフトオフプロセスが再び適用されて、インターコネクト本体及び導電性トレースが、インターコネクトベースを伴うか伴わない異なる領域上に形成される。提案された改良ダマシン法の結果は、シングルダマシン法と同様である。すなわち、それぞれ2回のリフトオフにより、インターコネクトベース及びインターコネクトベースの上の導電線を形成することができる。その結果、CMPプロセスの回数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示のより完全な理解は、図面と関連して考慮されるとき、詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって導き出されてもよい。図面では、同様の参照番号は、図面全体を通して同様の要素を指す。
【
図1】
図1は、本開示の1つの実施形態に係る半導体導電性ビア構造を示す。
【
図2A】
図2A~2Dは、本開示の1つの実施形態に係るCMOSトランジスタの入力/出力端子を形成する製造プロセスを示す断面図である。
【
図2B】
図2A~2Dは、本開示の1つの実施形態に係るCMOSトランジスタの入力/出力端子を形成する製造プロセスを示す断面図である。
【
図2C】
図2A~2Dは、本開示の1つの実施形態に係るCMOSトランジスタの入力/出力端子を形成する製造プロセスを示す断面図である。
【
図2D】
図2A~2Dは、本開示の1つの実施形態に係るCMOSトランジスタの入力/出力端子を形成する製造プロセスを示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の半導体構造のインターコネクトベースの製造を示す断面図である。
【
図4A】
図4A~4Bは、1つの実施形態に係るインターコネクトベースの製造プロセスを示す断面図である。
【
図4B】
図4A~4Bは、1つの実施形態に係るインターコネクトベースの製造プロセスを示す断面図である。
【
図5】
図5は、本開示の1つの実施形態に係る金属層の断面図を示す。
【
図6】
図6は、本開示の別の実施形態に係る金属層の断面図を示す。
【
図7】
図7は、本開示の別の実施形態に係る、増加した伝導面積を有する金属層の断面図を示す。
【
図8】
図8は、本開示の別の実施形態に係る、増加した伝導面積を有する金属層の断面図を示す。
【
図9】
図9は、本開示の別の実施形態に係る同軸ケーブルとしての金属層の断面図を示す。
【
図10】
図10は、本開示の別の実施形態に係る金属層の上面図を示す。
【
図11】
図11は、本開示の別の実施形態に係る、一対の導波路としての金属層の断面図を示す。
【
図12】
図12は、本開示の別の実施形態に係る、中心に複数の導電性トレースを有する同軸ケーブルとしての金属層の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明は図面を伴い、この図面は本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を例示するが、本開示は、その実施形態に限定されない。加えて、以下の実施形態を適宜組み合わせて別の実施形態を完成させることができる。
【0008】
「1つの実施形態」、「一実施形態」、「例示的な実施形態」、「他の実施形態」、「別の実施形態」等への言及は、そのように記載される本開示の実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含んでもよいが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造、又は特性を含むわけではないことを示す。さらに、「実施形態では」という語句の繰り返しの使用は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではないが、同じ実施形態を指す場合もある。
【0009】
本開示を完全に理解できるようにするために、詳細な工程及び構造を以下の説明で提供する。明らかに、本開示の実施は、当業者によって公知である特別な詳細を限定しない。加えて、公知の構造及び工程は、本開示を不必要に限定しないように、詳細には説明されない。以下で、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。しかしながら、詳細な説明に加えて、本開示は、他の実施形態においても広く実施されてもよい。本開示の範囲は、詳細な説明に限定されず、請求項によって定義される。
【0010】
本開示の実施形態は、半導体構造の製造方法及びその半導体構造を提供する。当該半導体構造の製造方法は、CMPプロセスの使用を低減するために、それぞれ1回又は複数回のリフトオフプロセスを利用することによって、基板工程(フロントエンド、FEOL)での導電性端子及び配線工程(バックエンド、BEOL)での導電線の両方を形成することができるダマシンプロセスの改良版を含む。それゆえ、CMPプロセスによって必要とされる大量の資源及び時間を節約することができる。さらには、本開示の実施形態によって提供される半導体構造は、高周波信号伝送に適しており、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)又はその中の3D MMICを形成するためにさえ適用することができる。
【0011】
図1は、本開示の1つの実施形態に係る半導体構造100を示す。半導体構造100は、ウェハ102と、ウェハ102に形成された導電線104と、層間誘電体層110と、層間誘電体層110に形成され、導電線104と接するインターコネクトベース122と、インターコネクトベース122の上に(を覆って、over)形成されたインターコネクト本体124を含む金属層130とを含む。本実施形態では、導電線104は第Nの金属層内にあることができ、インターコネクト本体124は第(N+1)の金属層(すなわち金属層130)内の導電線の一部であることができる。このような場合、インターコネクトベース122及びインターコネクト本体124を含むインターコネクト(金属配線、interconnect)120は、2つの異なるレベルの金属層内の導電線間に垂直(vertical)電子接続を提供することができる。すなわち、インターコネクト120は、導電線104が他の導電性トレース又は外部回路に結合されることが可能であるように、導電線104への追加の電子接続を提供することができる。
【0012】
以下の説明では、半導体構造100内の要素を、個々に及びそれぞれで紹介する。最初に、導電線104のいくつかの可能な製造方法及び構造を紹介し、次いで、インターコネクトベース122のいくつかの可能な製造方法及び構造を提示する。最後に、金属層130等のいくつかの可能な製造方法及び構造を説明する。
【0013】
本実施形態では、導電線104は、ウェハ102に形成されたFET(又は他のタイプのトランジスタの他の端子)の入力/出力電極(すなわち、ソース、ドレイン、及びゲートを含む)であってもよい。このような場合、導電線104は、基板工程(FEOL)プロセスで形成され、銅、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、タングステン、他の導体、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。しかしながら、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、導電線104は、配線工程(BEOL)プロセスで製造される金属層の一部とすることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、導電線104及びウェハ102上に層間誘電体層110及びインターコネクトベース122を形成する前に、導電線104及びウェハ102の表面が平坦でなく、フォトリソグラフィ焦点深度(DoF)の要件を満たさない場合、CMPプロセス等の研磨プロセスが実行され、これにより、層間誘電体層110及びインターコネクトベース122の形成が容易になってもよい。しかしながら、本開示では、CMPプロセスの使用を低減し、必要なコスト及び時間を低減するために、DoFの要件を満たすことができる平坦な表面を有するウェハ102内に導電線104を形成する方法も提案される。
【0015】
いくつかの実施形態では、CMPプロセスの使用を低減するために、導電線104及びウェハ102の凹凸表面をスピンオングラス(SoG)プロセスによって平坦化することができる場合、SoGプロセスがその低コストのために好ましい。しかしながら、導電線104及びウェハ102の表面の凹凸の程度がSoGプロセスの平坦化能力を超える場合、導電線104及びウェハ102がそれらの形成時に平坦な表面を有することができるように、高温下で金属材料(例えば、タングステン)をウェハ102上に堆積させるためのリフトオフプロセスが最初に考慮されてもよい。
【0016】
本開示の1つの実施形態は、リフトオフプロセスを利用することによってトランジスタの入力/出力電極(高温下で形成される)の製造方法M1を提供する。
図2A~2Dは、方法M1によりCMOSトランジスタの入力/出力電極を形成する製造プロセスを示す断面図である。
図2Aでは、NMOSトランジスタT1及びPMOSトランジスタT2がP型基板10に形成されている。NMOSトランジスタT1は、基板10に形成されたPウェル11と、Pウェル11に形成された2つのN型ドープ領域14(すなわち、ソース/ドレイン)とを含む。PMOSトランジスタT2は、基板10に形成されたNウェル12と、Nウェル12に形成された2つのP型ドープ領域15(すなわち、ソース/ドレイン)とを含む。
図2Aに示すように、NMOSトランジスタT1とPMOSトランジスタT2とは、浅溝型素子分離(shallow trench isolation、STI)構造13によって分離することができる。本実施形態では、方法M1は、トランジスタT1、T2の入力/出力電極(すなわち、入力/出力プラグ)を形成するために採用されている。方法M1は、以下のように工程S110~S190を含む。
【0017】
S110:
図2Aに示すように、P型基板10上に形成されたトランジスタT1及びT2の上に(を覆って)層間誘電体層16を形成する。
【0018】
S120:
図2Bに示すように、層間誘電体層16上に第1のケイ酸塩ガラス層18を形成する。
【0019】
S130:トランジスタT1及びT2の第1の端子17上に配置された第1のケイ酸塩ガラス層18の部分上にのみ第1の窒化ケイ素(SiN)層19を形成する。
【0020】
S140:第1のケイ酸塩ガラス層18及び第1のSiN層19上に第2のケイ酸塩ガラス層20を形成する。
【0021】
S150:第2のケイ酸塩ガラス層20上に第2のSiN層21を形成する。
【0022】
S160:トランジスタT1及びT2の第2の端子14及び15に第1の開口部H1を形成する。
【0023】
S162:TiNの層(図示せず)及び電極金属(タングステン、コバルト又はルテニウムを含む)の第1の層22を堆積させて、第1の開口部H1を充填する。
【0024】
S170:第2のケイ酸塩ガラス層20の露出部分を除去する。
【0025】
S180:
図2Cに示すように、トランジスタT1及びT2の第1の端子に第2の開口部H2を形成する。
【0026】
S182:
図2Cに示すように、TiNの層(図示せず)及び電極金属(タングステン、コバルト又はルテニウムを含む)の第2の層23を堆積させて、第2の開口部H2を充填する。
【0027】
S190:第1のSiN層19及び第2のSiN層21を除去する。
【0028】
方法M1の概要は以下の通りである。
図2Aに示すように、トランジスタT1、T2上に層間誘電体層16が形成される(S120)。層間誘電体層16が形成された後、
図2Bに示すように、第1のケイ酸塩ガラス層18、第1のSiN層19(S130)、第2のケイ酸塩ガラス層20(S140)、第2のSiN層21(S150)が順次形成される。なお、第1のSiN層19は、第1のケイ酸塩ガラス層18のうちトランジスタT1、T2の第1の端子17上に配置される部分にのみ形成されている。また、工程S160において、第2のSiN層21がパターニングされ、トランジスタT1及びT2の、それぞれ、第2の端子14及び15に第1の開口部H1が形成される。本実施形態では、第2の端子14及び15は、第1の端子17が配置される深さよりも深い深さにある。例えば、第1の端子17をトランジスタT1及びT2のゲートとし、第2の端子14及び15をトランジスタT1及びT2のソース/ドレインとすることができる。
【0029】
なお、層間誘電体層16、第1のケイ酸塩ガラス層18、第1のSiN層19、第2のケイ酸塩ガラス層20、及び第2のSiN層21は、FEOLにおける高温プロセスによって形成されてもよい。従って、リフトオフ法は、本開示における「高温で形成される材料のためのリフトオフプロセス」として記載される。
【0030】
次に、工程S162において、
図2Cに示すように、TiN(2~10nm、図示せず)の層及び電極金属(タングステン、コバルト又はルテニウムを含む)の層22が第2のSiN層21上に堆積され、トランジスタT1及びT2の第2の端子14及び15上の第1の開口部H1を充填し、これにより、トランジスタT1及びT2の第2の端子14及び15に結合される入力/出力電極を形成することができる。いくつかの実施形態では、TiN層は、タングステン堆積のための濡れ層(wetting layer)であることができ、TiN層は、例えば、限定されないが、2nm~10nmの厚さを有してもよい。
【0031】
トランジスタT1及びT2の第2の端子14及び15に結合される入力/出力電極が形成された後、第2のケイ酸塩ガラス層20の露出した部分は、工程S170において、深掘り反応性イオンエッチング(deep reactive ion etching、DRIE)によって除去することができる。このような場合、露出した第2のケイ酸塩ガラス層20上に形成された第2のSiN層21、TiN(図示せず)及び電極金属層22も除去されることになる。いくつかの実施形態では、ケイ酸塩ガラス層18及び20は、好ましくはリンケイ酸塩ガラス(PSG)層であってもよい。あるいは、ケイ酸塩ガラス層18及び20は、ホウリンケイ酸(BPSG)層であってもよい。
【0032】
その後、工程S180において、リソグラフィプロセスを連続的に実行して、第1の端子17上に形成された第1のSiN層19の一部、第1のケイ酸塩ガラス層18の一部、及び層間誘電体層16の一部をエッチングし、第1の端子17上に第2の開口部H2を形成することができる。次に、工程S182において、
図2Cに示すように、TiNの別の層(図示せず)と電極金属層23(タングステン、コバルト、ルテニウムを含む)の層とが堆積されて、第1の端子17上の第2の開口部H2が充填される。最後に、工程S190において、DRIEによりSiN層19及び21が除去され、従って、TiN(図示せず)及び第2の電極金属層23の不要部分も除去されることが可能である。この結果、
図2Dに示すように、トランジスタT1及びT2の入力/出力電極を、それらの表面がケイ酸塩ガラス層18及び20の表面と略同一平面上あるように形成することができる。すなわち、方法M1は、高温で形成される材料のためのリフトオフプロセスを利用することによって、FEOLにおける平坦な表面を形成することを可能にし、CMPプロセスの使用を低減する。いくつかの実施形態では、
図1の導電線104はトランジスタの入力/出力電極であり、方法M1は、平坦な表面を有するウェハ102上に導電線104を形成するために採用することができる。しかしながら、本開示はこれに限定されない。
【0033】
別の実施形態では、上述の電極(すなわちタングステンプラグ)を充填することができることに留意されたい。ソース及びドレイン上のタングステン、コバルト、又はルテニウムを含む電極が、ゲート上の電極の厚さよりも厚さ差ΔT1だけ大きい厚さを有する場合、ゲート、ソース、及びドレイン上の電極を同時に、最初は同じ厚さで充填することができる(いくつかの実施形態では、タングステンを堆積させる前にTiNのバリア層も充填されてもよい)。次いで、高温で形成される材料のための第1のリフトオフプロセスを実施して、ゲート上に電極を形成することができる。このような場合、ソース及びドレイン上の電極の一部も形成される。その後、ゲートを覆い、ソース及びドレイン上に開口部H1を形成するために、別のフォトレジスト層(図示せず)が設けられる(applied)。次に、ソース及びドレイン上の電極の残りの部分を、厚さ差ΔT1に等しい厚さだけ開口部内に埋め込むことができる(この実施形態では、TiNのバリア層は電極を堆積する前に充填されなくてもよい。これは、電極がソース及びドレイン上の開口部H1の側壁に既に存在するためである)。最後に、高温で形成される材料のための第2のリフトオフプロセスを連続的に実行して、ソース及びドレイン上の電極の残りの部分を形成することができる。その結果、ゲート上の電極の厚さよりも厚さ差ΔT1だけ大きい厚さを有するソース及びドレイン上に電極を形成することができる。いくつかの実施形態では、そのようなプロセスは、r回(例えば、rは1より大きい整数である)繰り返され、r個の異なる厚さを有する電極を形成することができる。すなわち、好ましくは、電極は、その厚さの順序に従って形成することができ、最も薄い電極を最初に形成し、最後に最も厚い電極を形成することで、製造プロセスの効率をr倍(times)だけ向上させることができる。
【0034】
導電線104(例えば、タングステンプラグ)が、導電線104及びウェハ102の表面がDoFの要件を満たして、ウェハ102内に形成された後、
図1及び
図3に示されるようなインターコネクトベース122及びインターコネクト本体124(たとえば、銅)を含むインターコネクト120も、別のリフトオフプロセスによって形成することができ、費用のかかるCMPプロセスの使用を低減することができる。
【0035】
本実施形態では、インターコネクト本体124を形成する前に、まず層間誘電体層110を形成することができる。層間誘電体層110は、第1の絶縁層112と、誘電体層114と、第2の絶縁層116とを含む。絶縁層112はウェハ102上に形成され、誘電体層114は第1の絶縁層112上に形成されるが、絶縁層112の少なくとも一部は覆わずに残される。第2の絶縁層116は、誘電体層114及び第1の絶縁層112上に形成され、第2の絶縁層116は、誘電体層114の側壁を覆ってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の絶縁層112及び116は、酸窒化ケイ素(SiOxNY)等の同じ材料を含んでもよく、誘電体層114は、例えば、限定されないが、第1及び第2の絶縁層112及び116の誘電率よりも低い誘電率を有するlow-k材料を含んでもよい。例えば、酸窒化ケイ素の誘電率は3よりも大きく、誘電体層114の誘電率は2.5未満である。誘電体層114は、メチルシルセスキオキサン(MSQ)、フルオロカーボンシルセスキオキサン(FSQ)、及び/又は他の好適な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、low-k誘電体材料は低硬度材料であってもよいので、第2の絶縁層116は、誘電体層114に構造的支持を提供するように誘電体層114を取り囲んでもよい。
【0037】
以下、本開示の1つの実施形態に係るインターコネクトベース122を製造する改良ダマシン法M2について詳細に紹介する。
図3は、方法M2によるインターコネクトベース122の製造を示す断面図を示す。方法M2は、以下のように工程S210~S240を含む。
【0038】
S210:第1の絶縁層112を形成する。
【0039】
S220:第1の絶縁層112の少なくとも一部が覆われていない状態で、第1の絶縁層112上に誘電体層114を形成する。
【0040】
S230:誘電体層114及び第1の絶縁層112上に第2の絶縁層116を形成する。
【0041】
S240:第1の絶縁層112及び第2の絶縁層116にインターコネクトベース122を形成する。
【0042】
方法M2の概要は以下の通りである。いくつかの実施形態では、方法M2は、半導体構造100を製造するために採用することができる。
【0043】
工程S210において、第1の絶縁層112は、導電線104上に形成される。本実施形態では、第1の絶縁層112は、導電線104の少なくとも一部が露出するようにリソグラフィプロセスを行うことによってパターニングされて開口部113が形成されてもよい。
【0044】
次に、工程S220において、誘電体層114が第1の絶縁層112上に形成される。本実施形態では、誘電体層114は、第1の絶縁層112の少なくとも一部及び導電線104の少なくとも一部が露出することができるようにリソグラフィプロセスを行うことによってパターニングされて開口部115が形成されてもよい。誘電体層114に形成された開口部115は、投影的に見て、第1の絶縁層112に予め形成された開口部113を覆っている。いくつかの実施形態では、誘電体層114は、第1の絶縁層112より厚くてもよい。例えば、第1の絶縁層112の厚さは100nm~150nmであってもよく、誘電体層114の厚さは200nm~400nmであってもよいが、これに限定されない。
【0045】
工程S230において、第2の絶縁層116が誘電体層114及び第1の絶縁層112上に形成される。本実施形態では、第2の絶縁層116は、インターコネクトベース122と結合されることになる導電線104の少なくとも一部が露出するようにリソグラフィプロセスを行うことによってパターニングされて開口部117が形成されてもよい。開口部117は、導電線104の一部の上の第2の絶縁層116のベース領域119(例えば、
図4Aの点線で囲まれた領域)に位置する。いくつかの実施形態では、第1の絶縁層112に形成された開口部113は、その全体的が開口部117に含まれる。また、
図3に示すように、第2の絶縁層116は誘電体層114を取り囲み、誘電体層114の側壁を覆うので、第2の絶縁層116は誘電体層114のための構造的支持を提供することができ、これにより半導体構造100の構造的安定性を維持することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1の絶縁層112及び第2の絶縁層116は酸窒化ケイ素を含んでもよい。このような場合、酸窒化ケイ素の形成は、例えば、約350℃までの堆積温度を必要とする場合があるので、誘電体層114は、第2の絶縁層116の形成中の誘電体層114の安定性を確保するために、約350℃を超える温度に耐えることができる材料を含んでもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、工程S230で第2の絶縁層116が形成された後、
図3に示すように、開口部117を充填することによって、第1の絶縁層112及び第2の絶縁層116のベース領域119にインターコネクトベース122が形成される。本実施形態では、CMPプロセスの使用を削減するために、インターコネクトベース122を形成する工程S240を行うことができる。本開示の1つの実施形態によれば、工程S240は、以下のように下位工程S241~S245(方法M3)を含んでもよい。
図4A~4Bは、下位工程S241~S245によるインターコネクトベース122の製造プロセスを示す断面図である。
【0048】
S241:第2の絶縁層116上にフォトレジスト層PR1をパターニングするが、第1の絶縁層112及び第2の絶縁層116のベース領域119を覆わずに残す。
【0049】
S242:フォトレジスト層PR1上及びベース領域119内にバリア層1221を形成する。
【0050】
S243:バリア層1221上に銅-リン合金層1222を形成する。
【0051】
S244:銅-リン合金層1222上に銅層1223をめっきし、ベース領域119を充填する。
【0052】
S245:フォトレジスト層PR1を、フォトレジスト層PR1上に積層されたバリア層1221の一部、銅-リン合金層1222の一部及び銅層1223の一部とともに除去する。
【0053】
方法M3の概要は以下の通りである。工程S241において、
図4Aに示すように、フォトレジスト層PR1が第2の絶縁層116上に設けられ、パターニングされてベース領域119を覆わない開口部PR1-1が形成される。本実施形態では、フォトレジスト層PR1は、第2の絶縁層116をパターニングするために使用されるマスクと同じマスクを用いてパターニングされる。それゆえ、
図4Aに示される開口部PR1-1の幅は、
図3に示される第1の絶縁層112の開口部113の幅及び第2の絶縁層116の開口部117の幅と同じである。このような場合、絶縁層112及び116の開口部113のパターニングに使用されるマスクを再利用してフォトレジスト層PR1の開口部PR1-1をパターニングすることができるため、新たなマスクの製造コストを削減できる。
【0054】
フォトレジスト層PR1の開口部PR1-1が形成された後、インターコネクトベース122を形成するために、少なくとも1つの導電性材料を、フォトレジスト層PR1を含むウェハの上に設けることができる。本実施形態では、以下の3種類の導電性材料が用いられる。工程S242において、
図4Bに示すように、バリア材料の第1の導電層1221が、フォトレジスト層PR1上に、並びに第1の絶縁層112及び第2の絶縁層116のベース領域119(
図3)の上に形成される。このような場合、バリア材料1221は、第1の絶縁層112の側面及び第2の絶縁層116の側面と接すると共に、導電線104とも接する。本実施形態では、バリア材料1221は、例えば、窒化チタン(TiN)を含んでもよいが、これに限定されない。
【0055】
工程S243において、
図4Bに示すように、第2導電性銅-リン合金層1222がバリア層1221上に形成される。本実施形態では、銅-リン合金層1222は、後続の工程において銅を堆積させるための濡れ層と見なすことができる。加えて、銅-リン合金層1222は、無電解めっきプロセスを行うことにより形成される。銅-リン合金層1222の濡れ性が良好であるため、銅-リン合金層1222はバリア層1221を覆う良好な密着膜として形成される。加えて、バリア材料1221及び銅-リン合金層1222がフォトレジスト層PR1の側壁に付着することを防止するために、めっき液中の適切な添加剤、例えば失活剤(クエンチャー)又は阻害剤が採用されてもよい。
【0056】
銅-リン合金層1222が形成された後、
図3に示すように、工程S244において、第3の導電性銅層1223が、銅-リン合金層1222上に、ベース領域119を充填するようにめっきされる。続いて、工程S245において、フォトレジスト層PR1と、フォトレジスト層PR1の上のバリア層1221、銅-リン合金層1222及び銅層1223の各部分とが除去される。これにより、
図3に示すように、このようなリフトオフ動作により、半導体構造100におけるインターコネクトベース122を形成することができる。
【0057】
従って、先の改良ダマシン法M2を用い、めっき材料の厚さを適切に制御することによって、必要とされるCMPプロセスの回数を大幅に減らすことができる。いくつかの実施形態では、銅めっき厚さは、AI学習及び監視方法によって制御されてもよい。その結果、CMPプロセスの使用を減らすことができ、従って、CMPプロセスによって必要とされる資源(例えば、水、スラリー、電気、人力、導電材料等)及びダミーロードの余分な設計を節約することができる。それゆえ、半導体構造のコスト及び歩留まりの両方を最適化することができ、これは、ESG(環境・社会・ガバナンス)の精神に沿う。
【0058】
いくつかの実施形態では、フォトレジスト層PR1の上にあるバリア層1221、銅-リン合金層1222、及び銅層1223の不要な部分を、ベース領域内に形成されたバリア層1221、銅-リン合金層1222、及び銅層1223の所望の部分を損傷することなく除去できるということを確実にするために、フォトレジスト層PR1はネガ型フォトレジストであってもよい。ネガ型フォトレジストは露光後にフォトレジスト現像液に不溶となるため、フォトレジスト層PR1の開口部をアンダーカット形状(図示せず)とすることができ、これにより、フォトレジスト層PR1上のバリア層1221、銅-リン合金層1222、銅層1223等の不要な部分と、ベース領域119内の銅層1223等の所望の部分との接続を低減することができる。これは、開口部PR1-1のアンダーカット形状により、めっきプロセス時に銅層1223がフォトレジスト層PR1の側壁に付着することを抑制できるためである。
【0059】
さらには、いくつかの実施形態では、めっき金属の不要な部分と所望の部分との間の接続をさらに低減するために、2つのフォトレジスト層が採用されてもよい。例えば、フォトレジスト層PR1が設けられ、開口部PR1-1を有するようにパターニングされた後、追加のフォトレジスト層が設けられ、開口部を有するようにパターニングされてもよい。この追加のフォトレジスト層は、フォトレジスト層PR1によって採用される材料とは異なるネガ型フォトレジスト材料を含んでもよい。このような場合、追加のフォトレジスト層がパターニングされた後、フォトレジスト層PR1のフォトレジスト現像液を塗布して、フォトレジスト層PR1をさらにエッチングし、開口部PR1-1を広げることができる。この追加のフォトレジストは、フォトレジスト層PR1のフォトレジスト現像液に専ら不溶であるため、追加のフォトレジストの開口部の幅は変化しない。その結果、2つのフォトレジスト層を適用することによって、下層のより大きいアンダーカット構造を形成することができ、銅のより厚い層を形成するためのフォトレジストのより厚い層によるリフトオフ作業をさらに円滑に行うことができる。いくつかの実施形態では、銅層1223は、コバルト層、ルテニウム層、又は上述の金属材料のうちの少なくとも1つを含む合金層によって置換されてもよい。より詳細な構造は
図5に見ることができ、関連する説明を以下に提供する。
【0060】
本実施形態では、インターコネクトベース122は、2つの異なるレベルの金属層における導電線間の垂直電子接続を提供するために、半導体構造100に形成される。このような場合、インターコネクトベース122は導電性ビアと見なすことができ、インターコネクト本体124は金属層130の導電線の一部とすることができる。しかしながら、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、インターコネクトベース122は、異なる金属層の導電線間のビア結合に必要ではない。あるいは、インターコネクトベース122は、いくつかの利点を有する3D MMICの受動デバイスを作製するためにも適用されてもよい。例えば、インターポーザ(例えば、PI)又はPCB上に通常形成される従来のMMICと比較して、本開示の実施形態によって提供される方法及び半導体構造は、設計者が、インターコネクトベース122を形成するための半導体製造プロセスを利用することによって、より小さいフォームファクタ及びより高い精度(帯域幅及びゲイン(利得)等)並びに歩留まりを取得するために、より良好な性能を有する3D MMICを作製することを可能にする。
【0061】
具体的には、本開示のインターコネクトベース122の形成方法は柔軟であり、多層3D MMICの受動デバイスを集積するために採用されてもよい。例えば、インターコネクトベース122は、導波路、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、並列又は直列に寄生L及びCを有する共振器、π型又はT型のインピーダンス整合フィルタの一部として採用することができる。さらには、CMPプロセスの使用を減らすことができる改良ダマシン法を使用することによって、これらの3D MMICの埋め込み受動デバイスを低コストで形成することができる。さらに、これらの埋め込み(受動デバイスは、半導体構造内の他の平面デバイスに対して垂直であってもよいので、インターコネクトベース122内に形成される3D MMICの受動デバイスの大部分の電流は、垂直方向に沿って流れることになり、従って、これらの3D MMICによって生成される電磁場は、平面半導体デバイスによって生成される電磁場に対して垂直であることができ、これにより、回路間の相互干渉を著しく低減することができる。
【0062】
さらには、従来の銅ビアと比較して、3D MMICを作製するために採用されるインターコネクトベース122は、より大きいフォームファクタを有してもよい。例えば、インターコネクトベース122は、1μm~500μmの範囲の直径及び10μm~400μmの範囲の厚さを有してもよく、一方、同じウェハ上の従来の銅ビアは、10nm~100nmの範囲の直径及び10nm~1μmの範囲の厚さを有してもよい。
【0063】
インターコネクトベース122が形成された後、その上に、
図1に示すような金属層130及び誘電体層140を形成することができる。本実施形態では、銅めっき(電気めっき及び無電解めっきを含む)プロセスにより、例えばAI学習及び監視方法による正確な厚さ制御が可能となるため、銅層1223の厚さをベース領域119の深さとほぼ同じに制御することができる。それゆえ、インターコネクト本体124の表面と絶縁層116の表面とを略同一平面にすることができるので、インターコネクト本体124の上に誘電体層140を形成することができ、絶縁層116の表面を適切にパターニングすることができる。
【0064】
誘電体層140がパターニングされた後、金属層130を形成することができる。本実施形態では、金属層130は、インターコネクト本体124と、導電性トレース132及び134とを含む。インターコネクト本体124はインターコネクトベース122上に配置され、導電性トレース132及び134は絶縁層116上に配置される。いくつかの実施形態では、導電性トレース132及び134は、金属層130内の他の導電線の一部であってもよい。
【0065】
本実施形態では、金属層130は、上述したインターコネクトベース122の形成方法(リフトオフ法)と同様の方法によって形成することができる。すなわち、金属層130は、所望のラインを形成するため及びCMPプロセスの使用を低減するために、誘電体層140の開口部を充填するように堆積されてもよく、これにより、半導体製造プロセスが簡略化され、資源(例えば、水、スラリー、電気、人力、導電性材料等)、ダミーロードの余分な設計、ディッシュ効果(dish effect)、信頼性の問題、時間並びにコストが低減される。従って、本開示のいくつかの実施形態では、インターコネクトベース122及びインターコネクト本体124の形成は両方とも、CMPプロセスの使用を低減することができる改良ダマシン法に基づく。
【0066】
さらには、いくつかの実施形態では、導電性トレース132、134及びインターコネクト本体124は、種々の厚さを有することができ、さらには従来の方法によって形成される導電性トレースの厚さを上回ることさえできる。CMP法は、長時間の銅の層とlow-k誘電体材料との間の劣化した付着性によって制限される可能性があるが、改良ダマシン法及びリフトオフプロセスは、より厚い銅層をめっきするために適用することができ、その結果、導電性トレース132、134及びインターコネクト本体124の抵抗を低下させることができる。いくつかの実施形態では、より厚い銅層及びより低い抵抗を伴うそのような導電性トレース132及び134は、チップの外側領域だけでなく、高電力デバイスを形成するために非常に有用であることができる。
【0067】
加えて、本実施形態では、インターコネクト本体124並びに導電性トレース132及び134の厚さが同じであるため、インターコネクト本体124並びに導電性トレース132及び134のすべてを1回の銅めっきプロセスと1回のリフトオフプロセスとで形成することができる。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、金属層130内の導電性トレース132、134及びインターコネクト本体124は、異なる厚さを有することが可能である。例えば、導電性トレース132がより高い電力伝送のために採用される場合、導電性トレース132は、導電性トレース132がより低い抵抗を有し、これにより電力伝送効率を増加させることができるように、厚さ差ΔT2だけ一般導電性トレース134及びインターコネクト本体124の厚さ(124及び134の厚さは等しい)より大きい厚さを有してもよい。このような場合、銅層は、金属層130中の導電性トレース134(いくつかの実施形態では、バリア層及び銅-リン合金層も銅層とともにめっきされてもよい)、インターコネクト本体124、及び導電性トレース132の第1の部分を同じ厚さで形成するためにめっきされてもよい。次いで、第1のリフトオフプロセスを行って、より高い電力伝送のために、導電性トレース134及びインターコネクト本体124、並びに導電性トレース132の第1の部分を形成することができる。その後、導電性トレース134及びインターコネクト本体124を覆うように別のフォトレジスト層が設けられる一方で、導電性トレース132の第1の部分上に開口部が形成される。次に、フォトレジストの開口部内(すなわち、導電性トレース132上)及びフォトレジスト層上に、厚さ差ΔT2に等しい厚さだけ別の銅層をめっきすることができる(いくつかの実施形態では、バリア層及び銅-リン合金層も銅層とともにめっきされてもよい)。最後に、第2のリフトオフプロセスを連続的に行って、導電性トレース132の第2の部分を形成することができる。その結果、導電性トレース134又はインターコネクト本体124の厚さよりも厚さ差ΔT2だけ大きい厚さを有する、より高い電力伝送用の導電性トレース132を形成することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、そのようなプロセスは、複数の異なる厚さを有する導電性トレース及び/又はインターコネクト本体を形成するように、複数回繰り返されることが可能である。すなわち、q(1より大きい整数)個の異なる厚さを有する導電性トレース及び/又はインターコネクト本体がある場合、その導電性トレース及び/又はインターコネクト本体は、それらの厚さの順序に従って形成することができ、最も薄い導電性トレース及び/又はインターコネクト本体を最初に形成し、最も厚い導電性トレース及び/又はインターコネクト本体を最後に形成することで、製造プロセスの効率をq倍だけ向上させることができる。
【0069】
同様に、インターコネクトベース122も、異なる厚さで形成されてもよい。例えば、p(1より大きい整数)個の異なる厚さを有するインターコネクトベース122がある場合、金属めっきプロセス及びリフトオフプロセスを含む前の段落で与えられた方法を適用して、p回で最小の厚さを有するものから最大の厚さを有するものまでインターコネクトベースを形成することができる。
【0070】
以下では、本開示のいくつかのさらなる実施形態が、金属層の他の可能な製造方法及び構造を紹介するために提示される。
【0071】
図5は、本開示の1つの実施形態に係る金属層230の断面図である。金属層230は、第2の絶縁層216の上に配置された導電性トレース232と、インターコネクトベース222の上に配置されたインターコネクト本体224とを含む。
図5に示すように、導電性トレース232及びインターコネクト本体224は、誘電体層240によって互いに隔てられてもよい。いくつかの実施形態では、誘電体層140と同様に、誘電体層240は、low-k定数(低誘電率)を有する材料を含むことができる。本実施形態では、導電性トレース232及びインターコネクト本体224は、上述したインターコネクトベース122の形成に採用されるプロセスと同様のプロセスによって形成することができ、金属層230の形成に用いられるプロセスも金属層130の形成に採用されるプロセスと同様である。例えば、絶縁層216が形成された後、その上にフォトレジスト層をパターニングすることができ、次いで、バリア層B1、銅-リン合金P1、銅層C1を順次形成することができる。
【0072】
その後、バリア層B1、銅-リン合金P1及び銅層C1の不要な部分は、フォトレジスト層とともにリフトオフプロセスにより除去することができる。本開示の1つの実施形態では、フォトレジスト層上に残っている不要な銅をフォトレジスト層とともに確実に除去できるようにするために、絶縁層216の開口部を充填するように大きい厚さの銅層C1を一度にめっきする代わりに、AI学習技法による厚さ測定及び監視とともにいくつかのめっきプロセスが実行される。
図5に示すように、銅層C1、C2、C3は、それぞれ3回のめっきプロセスによって形成されてもよく、銅層C1、C2、C3の各々は、誘電体層240の厚さの3分の1程度の厚さを有してもよい。しかしながら、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、インターコネクト本体224又は導電性トレース232は、必要性に応じて、ただ1つの銅層又は他の数の銅層を含んでもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、絶縁層216の開口部は、銅層C2及びC3をさらにめっきすることなく、バリア層B1、銅-リン合金P1、及び銅層C1によって充填されてもよい。
【0073】
絶縁層216の開口部が(絶縁層216の開口部を一度に充填することができる全厚を有する1つの銅層C1によって、又は連続的にC1、C2、及びC3等の複数の銅層によって(これは以下の図で採用される))充填された後、第3の絶縁層250を形成する前に、別の銅-リン合金層P2及び別のバリア層B2が順次形成される。このような場合、銅-リン合金層P1及びP2は銅層C1、C2及びC3とバリア層B1及びB2とで挟まれ、銅層C1、C2、C3はバリア層B1、B2の下層と上層との内に閉じ込められる。銅層C1、C2、C3上の銅-リン合金層P2は、銅層C1、C2、C3を酸化から保護することができる。いくつかの実施形態では、銅層C1、C2、及びC3は、コバルト層、ルテニウム層、又は上述の金属材料のうちの少なくとも1つを含む合金層によって置換されてもよい。いくつかの実施形態では、製作プロセスがまだ良好に開発されていない場合、銅層C1、C2、又はC3がめっきされた後、毎回オフライン測定が行われてもよい。このような場合、銅層C1、C2、C3がめっきされるたびに、銅層C1、C2、C3を保護するためにその上に銅-リン合金の層が形成されてもよい。しかしながら、本開示はこれに限定されない。
【0074】
さらには、本実施形態では、金属層230が最上部金属層である場合、平坦な上面を形成するために、ポリイミド層260が第3の絶縁層250上にさらに形成されてもよい(
図5では、外部回路に接続するための上部及び下部の構造物は示されていない)。しかしながら、本開示はこれに限定されない。
【0075】
いくつかの実施形態では、半導体構造内の導電性トレースは、高周波信号伝送のために使用されてもよい。そのような実施形態では、表皮効果が顕著になり、低い信号伝送効率を引き起こす可能性がある。本開示において、信号伝送効率を向上させるために、次のように、トレース及びインターコネクト本体の総表面積を増加させるように導電性トレース及び/又はインターコネクト本体にlow-k誘電体が形成され、これにより、信号伝送効率を高めてもよい。
【0076】
図6は、本開示の1つの実施形態に係る金属層330の断面図である。いくつかの実施形態では、金属層330は、金属層130を置換するために採用されてもよい。いくつかの実施形態では、
図6に示すように、誘電体層340は、第2の絶縁層316及びインターコネクトベース322上に形成される。本実施形態では、誘電体層340がパターニングされて複数の開口部341、342、343及び344が形成され、誘電体345が開口部341及び342の間に残され、誘電体346が開口部343及び344の間に残される。いくつかの実施形態では、誘電体層340並びに誘電体345及び346は、低誘電率を有する誘電体材料(すなわち、low-k材料)を含むことができる。
【0077】
図6に示すように、誘電体層340がパターニングされた後、先に説明したプロセスと同様のプロセスを行うことにより、バリア層B1、銅-リン合金層P1、銅層C1を誘電体層340の開口部341、342、343及び344に形成することができる。同様に、別の銅層C2が銅層C1上にめっきされる。
【0078】
さらには、
図6に示すように、別の銅層C3が銅層C2及び誘電体345、346の上に堆積される。次に、銅-リン合金層P2及びバリア層B2が銅層C3上に順次形成され、銅層C1、C2及びC3はバリア層B1及びB2内に閉じ込められる。これにより、金属層330の導電性トレース332及びインターコネクト本体324が形成される。本実施形態では、誘電体345が導電性トレース332内に形成され、誘電体346がインターコネクト本体324内に形成されるので、導電性トレース332の表面積及びインターコネクト本体324の表面積が増加する。その結果、表皮効果による信号伝送効率の低下を軽減することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、
図6に示すように、第3の絶縁層350が金属層330上に形成される。加えて、金属層330が最上部金属層である場合、すなわち、金属層330の上にさらなる金属層が形成されない場合、平坦な上面を得るために、ポリイミド層360が第3の絶縁層350上に形成されてもよい(
図6では、外部回路に接続するための上部及び下部の構成物は示されていない)。
【0080】
図6に示すように、誘電体345及び346は、金属層330の底部から形成される。しかしながら、本開示はこれに限定されない。いくつかの他の実施形態では、誘電体は金属層330内に埋め込むことができる。
【0081】
図7は、本開示の1つの実施形態に係る、増加した伝導表面積を有する金属層430を示す断面図である。
図7に示すように、誘電体層440は、第2の絶縁層416及びインターコネクトベース422上に形成することができる。本実施形態では、誘電体層440は、左MMICの導電性トレース432を形成するための第2の絶縁層416と、右MMICのインターコネクト本体424を形成するためのインターコネクトベース422との両方の上に2つの開口部を形成するようにパターニングされる。
【0082】
いくつかの実施形態では、
図7に示すように、先に説明したプロセスと同様のプロセスを行うことにより、バリア層B1、銅-リン合金層P1、及び銅層C1を誘電体層440の開口部に形成して、導電性トレース432及びインターコネクト本体424を製作することができる。
【0083】
次に、フォトリソグラフィプロセスを用いて、2つの誘電体445及び446が銅層C1上に形成される。さらには、次いで、銅層C2が銅層C1並びに誘電体445及び446上にめっきされる。その結果、誘電体445及び446は、導電性トレース432及びインターコネクト本体424内の銅層C1及びC2内に埋め込まれる。
【0084】
さらには、
図7に示すように、銅-リン合金層P2及びバリア層B2を銅層C2上に形成することができ、第3の絶縁層450を金属層430上に形成することができる。加えて、金属層430が最上部金属層である場合(すなわち、金属層430の上にさらなる金属層が形成されない場合)、平坦な上面を得るために、ポリイミド層460(又は同様のもの)が第3の絶縁層450上に形成される。いくつかの実施形態では、平坦なポリイミド層460を用いて、3D MMICのコプレーナ導波路(図示せず)をその上に形成することができる(
図7では、外部回路に接続するための上部及び下部の構造物は示されていない)。
【0085】
図7に示される実施形態では、導電性トレース432及びインターコネクト本体424のそれぞれにおいて、誘電体445又は446のいずれかが埋め込まれている。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、導電性トレース432及びインターコネクト本体424の表面積をさらに増加させるように、銅金属のより多くの層を形成することができるだけでなく、より多くの誘電体を埋め込むことができる。
【0086】
図8は、本開示の別の実施形態に係る、増加した伝導表面積を有する金属層530の断面図を示す。
図8に示すように、誘電体層540を、第2の絶縁層516及びインターコネクトベース522上に形成することができる。本実施形態では、誘電体層540は、左MMICの導電性トレース532を形成するための第2の絶縁層516と、右MMICのインターコネクト本体524を形成するためのインターコネクトベース522との両方の上に2つの開口部を形成するようにパターニングされる。
【0087】
導電性トレース532及びインターコネクト本体524のそれぞれにおいて、少なくとも1つの誘電体545が埋め込まれている。加えて、銅堆積物の厚さを制御することにより、誘電体545を覆うことなく銅層C1上に銅層C2を形成することができる。加えて、銅層C2の表面と誘電体545の表面とは、略同一平面上にあることができる。このような場合、銅層C2及び誘電体545の上に銅層C3を形成することができる。また、銅層C3の上に、別のバリア層B2及び別の銅-リン合金層P2を形成することができる。これにより、
図8に示すように、第3の絶縁層550及びポリイミド層560の平坦な層を形成することができる(
図8では、外部回路に接続するための上部及び下部の構造物は示されていない)。
【0088】
図7及び
図8に示される実施形態では、誘電体を導電線(例えば、導電性トレース432、532及びインターコネクト本体424、524)内に挿入する(組み込む)ことによって、表面積を増加させることができ、これにより、そのような導電線は高周波用途にとりわけ好適なものになる。他方、寸法を適切に設計することによって、
図7及び
図8の回路の両方を、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ及びノッチフィルタ等のフィルタを形成するために適用することができる。
【0089】
上記のように伝送線路の表面積を大きくすることにより高周波信号伝送の効率を向上させることができるが、ダイサイズが小さいほど伝送線路間の距離が短くなるため、異なる高周波信号伝送間の干渉、すなわち電磁干渉(electromagnetic interference、EMI)がなお問題となる可能性がある。
【0090】
図9は、本開示の別の実施形態に係る同軸ケーブルとしての金属層630の断面図を示す。本実施形態では、金属層630は、誘電体層640によって分離される導電性トレース632、634及び636を含む。導電性トレース632は、高周波信号を伝送するために使用することができる一方、導電性トレース634及び636は、接地に結合されることが可能である。このような場合、導電性トレース632、634及び636は、3D導波路として使用することができる。しかしながら、本開示はこれに限定されない。いくつかの他の実施形態では、導電性トレース632、634及び636は、π型又はT型のインピーダンス整合フィルタとしても使用することができる(
図9では、外部回路及び接地点に接続するための上部及び下部の構造物は示されていない)。
【0091】
いくつかの実施形態では、導電性トレース632、634及び636は、上記で説明され図示されるプロセスによって形成されてもよい。このような場合、導電性トレース632、634及び636の各々は、第1のバリア層B1と、第1の銅-リン合金層P1と、少なくとも1つの銅層C1と、第2のバリア層B2と、第2の銅-リン合金層P1とを含んでもよい。しかしながら、本開示はこれに限定されない。
【0092】
いくつかの実施形態では、導電性トレース634及び636は、導電性トレース632によって伝送される高周波信号によって引き起こされる電磁場を封じ込めるように、導電性トレース632と平行に走ってもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、導電性トレース632、634及び636は、X-Y平面に沿って水平に延在する。しかしながら、本開示はこれに限定されない。他の実施形態では、導電性トレースがZ方向に沿って垂直に延在する場合、同様の電磁シールド構造が採用される。
【0094】
図10は、本開示の1つの実施形態に係る金属層730の上面図を示す。本実施形態では、金属層730は、方向Zに沿って上方に延在する導電性トレース732及び734を含む。このような実施形態では、接地に結合される導電性トレース734は、高周波信号を伝送するために使用される導電性トレース732を取り囲む。その結果、導電性トレース734は、EMIの問題を軽減するための(同軸ケーブル等の)完全なシールド壁を提供する。しかしながら、本開示はこれに限定されない。いくつかの他の実施形態では、内側導電性トレース732を接地することができるのに対し、高周波信号を伝送するために外側導電性トレース734を適用することができ、その場合、回路はπ型又はT型のインピーダンス整合フィルタの1つとして適用することができる(
図10では、外部回路及び接地点に接続するための上部及び下部の構造物は示されていない)。
【0095】
さらには、いくつかの実施形態では、高周波電流が流れることを可能にする表面積を増加させるために、複数の導電性トレースが、同じ高周波信号を伝送するために採用されてもよい。
【0096】
図11は、本開示の別の実施形態に係る、一対の導波路としての金属層830の断面図を示す。本実施形態では、金属層830は、X-Y平面に沿って延在する導電性トレース832、834、836及び838を含む。導電性トレース832及び834は、同じ高周波信号を送信するために使用され、導電性トレース836及び838は接地に結合される。このような実施形態では、金属層830を、高周波信号を伝送するための一対の導波路として採用することができ、高周波電流が流れる総表面積を増やすことができ、これにより、信号伝送効率を向上させることができる。他方、金属層830は、π型又はT型のインピーダンス整合フィルタとしても使用することができる(
図11では、外部回路及び接地点に接続するための上部及び下部の構造物は示されていない)。
【0097】
図12は、本開示の1つの実施形態に係る、中心に複数の導電性トレースを有する同軸ケーブルとしての金属層930の上面図を示す。本実施形態では、金属層930は、Z方向に沿って延在する導電性トレース931、932、933、934及び936を含む。導電性トレース931、932、933及び934は、同じ高周波信号を伝送するために使用され、導電性トレース936は接地に結合される。
【0098】
そのような実施形態では、導電性トレース931、932、933及び934は導電性トレース936によって取り囲まれているので、導電性トレース931、932、933及び934によって伝送される高周波信号によって引き起こされるEMIを遮蔽することができる。それゆえ、いくつかの実施形態では、導電性トレース931、932、933及び934は、一対の上部及び下部の回路の間の同軸ケーブルとして適用されることができる。さらには、同じ高周波信号を伝送するためにさらに多くの導電性トレースが採用されるにつれて、高周波電流が流れる総表面積をさらに増加させることができる。適切な設計を通じて、この基本回路は、半導体(例えばSi)インターポーザ(例えばTSV)のピン接続の1つとして適用することができ、その場合には、ピン間の結合を低減することができる。他方、内側導電性トレース931、932、933及び934は接地することができるのに対し、外側導電性トレース936は高周波信号を伝送するために適用することができ、その場合、回路はπ型又はT型のインピーダンス整合フィルタの1つとして適用することができる(
図12では、外部回路及び接地点に接続するための上部及び下部の構造物は示されていない)。
【0099】
要約すると、本開示の実施形態によって提供される半導体構造及び半導体の製造方法は、銅CMPプロセスの使用を低減するようなインターコネクト及び導電性トレースの形成を可能にする。それゆえ、製造時間及びコストを削減することができる。加えて、半導体構造内のインターコネクト及び/又は導電性トレースは、回路面積を減少させるだけでなく回路性能も増加させる3D MMICを作製するために採用されることができる。さらには、導電性トレース及びインターコネクト内に誘電体を埋め込むことによって、導電性トレース及びインターコネクトの表面積を増加させることができる。その結果、高周波信号の伝送効率を向上させることもできる。
【0100】
本開示及びその利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定められる本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない範囲で、本開示において様々な変更、置換、及び改変を行うことができるということを理解されたい。たとえば、上で論じられたプロセスの多くは、異なる方法論で実行することができ、他のプロセス、又はそれらの組み合わせによって置き換えることができる。
【0101】
さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、及び工程の特定の実施形態に限定されることを意図されていない。当業者であれば本開示から容易に理解するように、本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか若しくは実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか若しくは後に開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又は工程が、本開示に従って利用されてもよい。従って、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法及び工程をその範囲内に含むことが意図される。
【符号の説明】
【0102】
10 P型基板
11 Pウェル
12 Nウェル
13 浅溝型素子分離構造
14 N型ドープ領域、第2の端子
15 P型ドープ領域、第2の端子
16 層間誘電体層
17 第1の端子
18 第1のケイ酸塩ガラス層
19 第1の窒化ケイ素(SiN)層
20 第2のケイ酸塩ガラス層
21 第2のSiN層
22、23 電極金属(層)
100 半導体構造
102 ウェハ
104 導電線
110 層間誘電体層
112 第1の絶縁層
114 誘電体層
113 開口部
115 開口部
116 第2の絶縁層
117 開口部
119 ベース領域
120 インターコネクト
122 インターコネクトベース
1221 バリア材料の第1の導電層(バリア層)
1222 銅-リン合金層
1223 銅層
124 インターコネクト本体
130 金属層
132、134 導電性トレース
140 誘電体層
216 第2の絶縁層
222 インターコネクトベース
224 インターコネクト本体
230 金属層
232 導電性トレース
240 誘電体層
250 第3の絶縁層
260 ポリイミド層
316 第2の絶縁層
322 インターコネクトベース
324 インターコネクト本体
330 金属層
332 導電性トレース
340 誘電体層
341、342、343、344 開口部
345、346 誘電体
350 第3の絶縁層
360 ポリイミド層
416 第2の絶縁層
422 インターコネクトベース
424 インターコネクト本体
430 金属層
432 導電性トレース
440 誘電体層
445、446 誘電体
450 第3の絶縁層
460 ポリイミド層
516 第2の絶縁層
522 インターコネクトベース
524 インターコネクト本体
530 金属層
532 導電性トレース
540 誘電体層
545 誘電体
550 第3の絶縁層
560 ポリイミド層
630 金属層
632、634、636 導電性トレース
640 誘電体層
730 金属層
732、734 導電性トレース
830 金属層
832、834、836及び838 導電性トレース
930 金属層
931、932、933、934、936 導電性トレース
B1、B2 バリア層
C1、C2、C3 銅層
H1 第1の開口部
H2 第2の開口部
PR1 フォトレジスト層
P1 銅-リン合金層
P2 銅-リン合金層
PR1-1 開口部
T1 NMOSトランジスタ
T2 PMOSトランジスタ
【要約】 (修正有)
【課題】化学機械研磨(CMP)プロセスの使用を低減するために改良ダマシン(Damascene)法により製造されたインターコネクトを含む半導体構造及び半導体構造の製造方法を開示する。
【解決手段】半導体構造100は、第Nの金属層130の導電線104と、第1の絶縁層112と、誘電体層114と、第2の絶縁層116と、インターコネクトベース122と、インターコネクト本体124と、を含む。第1の絶縁層は、導電線上にあり、その導電線の一部を覆うことはない。誘電体層は、第1の絶縁層上にあり、導電線の一部を覆うことはない。第2の絶縁層は、誘電体層上にあり、導電線の一部を覆うことはない。インターコネクトベースは、誘電体層、第1の絶縁層及び第2の絶縁層によって側面が取り囲まれている。インターコネクトベースの上面と第2の絶縁層の上面とは同一平面上にある。
【選択図】
図1