▶ レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッドの特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20241107BHJP
G06F 1/3218 20190101ALI20241107BHJP
G06F 1/3246 20190101ALI20241107BHJP
【ＦＩ】
G06F21/32
G06F1/3218
G06F1/3246
【請求項の数】
8
(21)【出願番号】P 2023212196
(22)【出願日】2023-12-15
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】西尾 匡史
(72)【発明者】
【氏名】志水 恵里
【審査官】▲柳▼谷 侑
(56)【参考文献】
【文献】特開２０１９－１７４８５５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００７－１２２４９３（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００１－０１４４６３（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０２３－１３４２２５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１４－１８００２４（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｇ０６Ｆ ２１／００
Ｇ０６Ｆ ２１／３０ － ２１／４６
Ｇ０６Ｆ １／３２１８
Ｇ０６Ｆ １／３２４６
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、撮像部により撮像された撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出し、検出された顔画像に基づく情報と登録済みのユーザの顔画像に基づく情報とに基づいて、検出された顔画像の人物が登録済みのユーザであるか否かを認証する顔認証処理を実行する第１プロセッサと、
前記顔認証処理による認証が成功したことに基づいて、前記システムのプログラムを実行することにより前記システムを待機状態から起動させる第２プロセッサと、
を備え、
前記第１プロセッサは、
前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理を実行し、前記人物検出処理により人物の存在が検出された場合には前記人物検出処理から前記顔認証処理へ移行し、
前記顔認証処理による認証が失敗した場合には再び前記顔認証処理を実行し、前記顔認証処理による認証の失敗により前記顔認証処理を繰り返し実行した場合には、前記顔認証処理を実行した回数に基づいて、前記人物検出処理により人物の存在が検出されてから前記顔認証処理を実行した回数が予め設定された回数に達したことに基づいて、前記顔認証処理を停止し、
前記顔認証処理による認証の失敗により前記顔認証処理を停止した場合には前記人物検出処理へ移行し、
前記顔認証処理の停止後に前記人物検出処理により人物の存在が検出されている場合には存在する人物の数が変化したか否かを判定し、存在する人物の数が変化したと判定した場合には再び前記人物検出処理から前記顔認証処理へ移行する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第１プロセッサは、前記顔認証処理の停止後に前記人物検出処理により人物の存在が検出されなくなった場合には前記顔認証処理には移行せずに前記人物検出処理を継続し、人物の存在が検出された場合には前記人物検出処理から前記顔認証処理へ移行する、
請求項１に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記人物検出処理は、前記顔認証処理よりも消費電力が低い処理である、請求項１に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記人物検出処理は、前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出する際のフレームレートが前記顔認証処理よりも低く、前記第１プロセッサは、
前記人物検出処理から前記顔認証処理へ移行する際および前記顔認証処理から前記人物検出処理へ移行する際にフレームレートを切り替える、
請求項１に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第２プロセッサは、前記システムの起動後に、前記撮像部により撮像された撮像画像の中から検出された顔画像に基づいて、前記システムへのログインを許可するか否かを認証するログイン認証処理を実行し、
前記システムの起動前の前記待機状態で実行される前記顔認証処理は、前記ログイン認証処理よりも消費電力が低い処理である、
請求項１に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記システムの起動前の前記待機状態で実行される前記顔認証処理は、前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出する際のフレームレートが前記ログイン認証処理において前記撮像部が撮像する撮像画像のフレームレートよりも低い、請求項５に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第１プロセッサは、前記情報処理装置を使用するユーザの顔画像に基づく情報を登録するユーザ登録処理を実行する、
請求項１に記載の情報処理装置。
【請求項8】
システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、第１プロセッサと、第２プロセッサとを備える情報処理装置における制御方法であって、前記第１プロセッサが、撮像部により撮像された撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出し、検出された顔画像に基づく情報と登録済みのユーザの顔画像に基づく情報とに基づいて、検出された顔画像の人物が登録済みのユーザであるか否かを認証する顔認証処理を実行するステップと、
前記第２プロセッサが、前記顔認証処理による認証が成功したことに基づいて、前記システムのプログラムを実行することにより前記システムを待機状態から起動させるステップと、
前記第１プロセッサが、前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理を実行し、前記人物検出処理により人物の存在が検出された場合には前記人物検出処理から前記顔認証処理へ移行するステップと、
前記第１プロセッサが、前記顔認証処理による認証が失敗した場合には再び前記顔認証処理を実行するステップと、
前記第１プロセッサが、前記顔認証処理による認証の失敗により前記顔認証処理を繰り返し実行した場合には、前記顔認証処理を実行した回数に基づいて、前記人物検出処理により人物の存在が検出されてから前記顔認証処理を実行した回数が予め設定された回数に達したことに基づいて、前記顔認証処理を停止するステップと、
前記第１プロセッサが、前記顔認証処理による認証の失敗により前記顔認証処理を停止した場合には前記人物検出処理へ移行するステップと、
前記第１プロセッサが、前記顔認証処理の停止後に前記人物検出処理により人物の存在が検出されている場合には存在する人物の数が変化したか否かを判定し、存在する人物の数が変化したと判定した場合には再び前記人物検出処理から前記顔認証処理へ移行するステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人物が近づくと使用可能な状態に遷移し、人物が離れると一部の機能を除いて停止した待機状態に遷移する情報処理装置がある。例えば、特許文献１には、赤外線センサを用いて、人物が近づいてきたか否か、或いは人物が遠ざかったか否かを検出している。
【0003】
近年、コンピュータビジョンなどの発展により、画像から顔を検出する際の検出精度が高くなってきている。そのため、赤外線センサによる人物の検出に代えて、顔検出による人物の検出も一般的になりつつある。また、情報処理装置の起動後に、登録されたユーザであるか否かを認証するログイン認証が行われるが、この認証方法として、顔認証が用いられるようになってきている。例えば、情報処理装置は、人物が近づくと、その人物の顔を検出することにより起動し、その後、顔認証などのログイン認証を行うことにより登録済みのユーザであればシステムへのログインを許可して使用可能な状態に遷移する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開２０１６－１４８８９５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような顔検出により起動する方法では、登録済みのユーザ以外の人物が近づいた場合も起動してしまうという課題がある。この課題を解決するために、顔検出により人物を検出した場合に、さらに顔認証により登録済みのユーザであるか否かを判定し、登録済みのユーザであると判定した場合のみ起動させる方法が考えられる。しかしながら、起動前の待機状態では、消費電力を低く抑える必要があるため、顔認証時の認識率が低下してしまう。認識率が低下すると、登録されていない人物が登録済みのユーザであると誤判定されてしまうことが低確率であったとしても発生する可能性がある。そのため、登録されていない人物が長時間にわたって情報処理装置の前にいた場合、その間に誤判定が発生し起動してしまう懸念があった。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、登録済みのユーザが近付いたときに適切にシステムを起動させることができる情報処理装置、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第１態様に係る情報処理装置は、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、撮像部により撮像された撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出し、検出された顔画像に基づく情報と登録済みのユーザの顔画像に基づく情報とに基づいて、検出された顔画像の人物が登録済みのユーザであるか否かを認証する顔認証処理を実行する第１プロセッサと、前記顔認証処理による認証が成功したことに基づいて、前記システムのプログラムを実行することにより前記システムを待機状態から起動させる第２プロセッサと、を備え、前記第１プロセッサは、前記顔認証処理による認証が失敗した場合には再び前記顔認証処理を実行し、前記顔認証処理による認証の失敗により前記顔認証処理を繰り返し実行した場合には、前記顔認証処理を実行した回数に基づいて停止する。
【0008】
上記情報処理装置において、前記第１プロセッサは、前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理を実行し、前記人物検出処理により人物の存在が検出された場合には前記人物検出処理から前記顔認証処理へ移行し、前記人物検出処理により人物の存在が検出されてから前記顔認証処理を実行した回数が予め設定された回数に達したことに基づいて、前記顔認証処理を停止してもよい。
【0009】
上記情報処理装置において、前記第１プロセッサは、前記顔認証処理による認証の失敗により前記顔認証処理を停止した場合には前記人物検出処理へ移行してもよい。
【0010】
上記情報処理装置において、前記第１プロセッサは、前記顔認証処理の停止後に前記人物検出処理により人物の存在が検出されている場合には存在する人物の数が変化したか否かを判定し、存在する人物の数が変化したと判定した場合には再び前記人物検出処理から前記顔認証処理へ移行してもよい。
【0011】
上記情報処理装置において、前記第１プロセッサは、前記顔認証処理の停止後に前記人物検出処理により人物の存在が検出されなくなった場合には前記顔認証処理には移行せずに前記人物検出処理を継続し、人物の存在が検出された場合には前記人物検出処理から前記顔認証処理へ移行してもよい。
【0012】
上記情報処理装置において、前記人物検出処理は、前記顔認証処理よりも消費電力が低い処理であってもよい。
【0013】
上記情報処理装置において、前記人物検出処理は、前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出する際のフレームレートが前記顔認証処理よりも低く、前記第１プロセッサは、前記人物検出処理から前記顔認証処理へ移行する際および前記顔認証処理から前記人物検出処理へ移行する際にフレームレートを切り替えてもよい。
【0014】
上記情報処理装置において、前記第２プロセッサは、前記システムの起動後に、前記撮像部により撮像された撮像画像の中から検出された顔画像に基づいて、前記システムへのログインを許可するか否かを認証するログイン認証処理を実行し、前記システムの起動前の前記待機状態で実行される前記顔認証処理は、前記ログイン認証処理よりも消費電力が低い処理であってもよい。
【0015】
上記情報処理装置において、前記システムの起動前の前記待機状態で実行される前記顔認証処理は、前記撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出する際のフレームレートが前記ログイン認証処理において前記撮像部が撮像する撮像画像のフレームレートよりも低くてもよい。
【0016】
上記情報処理装置において、前記第１プロセッサは、前記情報処理装置を使用するユーザの顔画像に基づく情報を登録するユーザ登録処理を実行してもよい。
【0017】
また、本発明の第２態様に係る、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、第１プロセッサと、第２プロセッサとを備える情報処理装置における制御方法は、前記第１プロセッサが、撮像部により撮像された撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出し、検出された顔画像に基づく情報と登録済みのユーザの顔画像に基づく情報とに基づいて、検出された顔画像の人物が登録済みのユーザであるか否かを認証する顔認証処理を実行するステップと、前記第２プロセッサが、前記顔認証処理による認証が成功したことに基づいて、前記システムのプログラムを実行することにより前記システムを待機状態から起動させるステップと、前記第１プロセッサが、前記顔認証処理による認証が失敗した場合には再び前記顔認証処理を実行するステップと、前記第１プロセッサが、前記顔認証処理による認証の失敗により前記顔認証処理を繰り返し実行した場合には、前記顔認証処理を実行した回数に基づいて停止するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の上記態様によれば、登録済みのユーザが近付いたときに適切にシステムを起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る情報処理装置のＨＰＤ処理の概要を説明する図。
【図2】実施形態に係る情報処理装置の人物の検出範囲の一例を示す図。
【図3】実施形態に係るＨＰＤ処理の概要を示すフローチャート。
【図4】実施形態に係る情報処理装置の外観の構成例を示す斜視図。
【図5】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【図6】実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示す図。
【図7】実施形態に係る待機状態におけるＨＰＤ処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る情報処理装置の概要について説明する。本実施形態に係る情報処理装置１は、例えば、ノート型（クラムシェル型）のＰＣ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｃｏｍｐｕｔｅｒ；パーソナルコンピュータ）である。なお、情報処理装置１は、デスクトップ型ＰＣ、タブレット型ＰＣ、スマートフォンなど、いずれの形態の情報処理装置であってもよい。
まず、本実施形態に係る情報処理装置の概要について説明する。本実施形態に係る情報処理装置１は、例えば、ノート型（クラムシェル型）のＰＣ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｃｏｍｐｕｔｅｒ；パーソナルコンピュータ）である。なお、情報処理装置１は、デスクトップ型ＰＣ、タブレット型ＰＣ、スマートフォンなど、いずれの形態の情報処理装置であってもよい。
【0021】
情報処理装置１は、システムの動作状態として少なくとも通常動作状態（パワーオン状態）と待機状態との間を遷移可能である。通常動作状態とは、特に制限なく処理の実行が可能な動作状態であり、例えば、ＡＣＰＩ（Ａｄｖａｎｃｅｄ Ｃｏｎｆｉｇｕｒａｔｉｏｎ ａｎｄ Ｐｏｗｅｒ Ｉｎｔｅｒｆａｃｅ）で規定されているＳ０状態に相当する。待機状態とは、システム処理の少なくとも一部が制限されている状態である。例えば、待機状態は、スタンバイ状態、スリープ状態等であってもよく、Ｗｉｎｄｏｗｓ（登録商標）におけるモダンスタンバイや、ＡＣＰＩで規定されているＳ３状態（スリープ状態）等に相当する状態であってもよい。例えば、待機状態は、通常動作状態よりも電力の消費量が低い動作状態である。
【0022】
以下では、システムの動作状態が待機状態から通常動作状態へ遷移することを起動と呼ぶことがある。待機状態では、一般的に通常動作状態よりも動作の活性度が低いため、情報処理装置１のシステムを起動させることは、情報処理装置１におけるシステムの動作を活性化させることになる。
【0023】
図１は、本実施形態に係る情報処理装置１のＨＰＤ処理の概要を説明する図である。情報処理装置１は、情報処理装置１の近傍に存在する人物（即ちユーザ）を検出する。この人物の存在を検出する処理のことを、ＨＰＤ（Ｈｕｍａｎ Ｐｒｅｓｅｎｃｅ Ｄｅｔｅｃｔｉｏｎ）処理と称する。情報処理装置１は、ＨＰＤ処理により人物の存在の有無を検出し、検出結果に基づいて情報処理装置１のシステムの動作状態を制御する。例えば、情報処理装置１は、図１（Ａ）に示すように、情報処理装置１の前（正面）に人物が存在しない状態（Ａｂｓｅｎｃｅ）から存在する状態（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ）への変化、即ち情報処理装置１へ人物が接近したこと（Ａｐｐｒｏａｃｈ）を検出した場合、ユーザが接近したと判定し、自動でシステムを起動して通常動作状態へ遷移させる。また、情報処理装置１は、図１（Ｂ）に示すように、情報処理装置１の前に人物が存在している状態（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ）では、ユーザが存在すると判定し、通常動作状態を継続させる。そして、情報処理装置１は、図１（Ｃ）に示すように、情報処理装置１の前（正面）に人物が存在している状態（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ）から存在しない状態（Ａｂｓｅｎｃｅ）への変化、即ち情報処理装置１から人物が離脱したこと（Ｌｅａｖｅ）を検出した場合には、ユーザが離脱したと判定し、システムを待機状態へ遷移させる。
【0024】
情報処理装置１は、前方（正面側）の所定の範囲における人物の存在を検出する。
図２は、本実施形態に係る情報処理装置１の人物の検出範囲の一例を示す図である。図示する例において、情報処理装置１の前方（正面側）の検出範囲ＦｏＶ（Ｆｉｅｌｄ ｏｆ Ｖｉｅｗ：検出視野角）が、人物の検出可能な範囲である。例えば、情報処理装置１は、前方（正面側）を撮像した撮像画像から顔が撮像されている顔画像の領域（以下、「顔領域」と称する）を検出することにより、情報処理装置１の前（正面）に存在する人物を検出する。検出範囲ＦｏＶは、情報処理装置１が撮像する撮像画角に相当する。情報処理装置１は、撮像画像から顔領域が検出された場合、人物が存在すると判定する。一方、情報処理装置１は、撮像画像から顔領域が検出されなかった場合、人物が存在しないと判定する。
図２は、本実施形態に係る情報処理装置１の人物の検出範囲の一例を示す図である。図示する例において、情報処理装置１の前方（正面側）の検出範囲ＦｏＶ（Ｆｉｅｌｄ ｏｆ Ｖｉｅｗ：検出視野角）が、人物の検出可能な範囲である。例えば、情報処理装置１は、前方（正面側）を撮像した撮像画像から顔が撮像されている顔画像の領域（以下、「顔領域」と称する）を検出することにより、情報処理装置１の前（正面）に存在する人物を検出する。検出範囲ＦｏＶは、情報処理装置１が撮像する撮像画角に相当する。情報処理装置１は、撮像画像から顔領域が検出された場合、人物が存在すると判定する。一方、情報処理装置１は、撮像画像から顔領域が検出されなかった場合、人物が存在しないと判定する。
【0025】
ここで、情報処理装置１は、ＨＰＤ処理において撮像画像から顔領域を検出するのみでシステムを待機状態から起動させた場合には、情報処理装置１を使用する正規のユーザ以外の人物が近づいた場合も起動してしまうことになる。そのため、情報処理装置１は、待機状態において撮像画像から顔領域を検出したことにより人物が存在すると判定した場合、その人物が登録済みのユーザ（情報処理装置１を使用する正規のユーザ）であるか否かの判定（認証）をさらに行う。情報処理装置１は、登録済みのユーザであると判定した場合には、システムを待機状態から起動させる。一方、情報処理装置１は、登録済みのユーザでは無いと判定した場合には、システムを起動させずに待機状態のままとする。
【0026】
登録済みのユーザとは、情報処理装置１を使用するユーザとして予め登録されたユーザ（正規のユーザ）である。情報処理装置１は、ＨＰＤ処理において検出された人物が登録済みのユーザであるか否かを認証するために、この正規のユーザの顔画像に基づく特徴情報を正規のユーザのユーザＩＤとして登録する。このＨＰＤ処理において認証に用いるユーザＩＤのことを、以下では「ＨＰＤユーザＩＤ」と称する。また、ＨＰＤ処理において検出された人物が登録済みのユーザであるか否かを、ＨＰＤユーザＩＤを用いて認証することを、以下では「ＨＰＤユーザ認証」と称する。
【0027】
ＨＰＤユーザＩＤの登録は、情報処理装置１において、ユーザ登録用のアプリ（アプリケーションプログラム）を用いて行われてもよい。例えば、情報処理装置１は、ユーザ登録用のアプリを実行し、実行したアプリでユーザの操作によりユーザ自身の顔画像を撮像し、撮像した顔画像に基づく特徴情報をＨＰＤユーザＩＤとして登録（記憶）してもよい。また、このＨＰＤユーザＩＤの登録は、ユーザが操作することなく情報処理装置１によって所定のタイミングで行われてもよい。例えば、情報処理装置１は、システムの起動の際にシステムへのログインを許可するためのログイン認証で認証成功となってからの所定時間内（例えば、５秒以内）に検出された顔画像（例えば、正面を向いたときの顔画像）に基づく特徴情報をＨＰＤユーザＩＤとして登録（記憶）してもよい。
【0028】
システムのログイン認証の方法としては、ユーザがパスワードをキーボードから入力することで認証するパスワード認証、ユーザがＰＩＮ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｉｄｅｎｔｉｆｉｃａｔｉｏｎ Ｎｕｍｂｅｒ）を入力することで認証するＰＩＮ認証、ユーザの顔で認証する顔認証、ユーザの指紋で認証する指紋認証などがある。
【0029】
ここで、システムのログイン認証に顔認証を用いる場合には、システムが動作中であり且つ高精度での顔認証が必要であることから、消費電力が高くなることを許容している。一方、ＨＰＤユーザ認証を行う場合は、システムが待機状態であることから、なるべく低消費電力にすることが望ましい。例えば、ログイン認証における顔認証の場合には、ＩＲ（Ｉｎｆｒａｒｅｄ Ｒａｙｓ）カメラで撮像した撮像画像（ＩＲ画像）を用いるが、待機状態におけるＨＰＤユーザ認証では、ＩＲカメラよりも低消費電力のＲＧＢカメラ（通常の可視光カメラ）で撮像した撮像画像（ＲＧＢ画像）を用いる。また、ログイン認証において撮像画像を撮像するフレームレートより、ＨＰＤユーザ認証おいて撮像画像を撮像するフレームレートは低く設定される。
【0030】
このように、待機状態におけるＨＰＤユーザ認証は、ログイン認証における顔認証よりも消費電力を低く抑える必要があるため、顔認証の認識率が低下する。認識率が低下すると、登録されている人物で例えば８０％程度の確率で登録済みのユーザであると正しく判定されたとしても、登録されていない人物でも例えば０～４０％程度の確率で登録済みのユーザであると誤判定されてしまう可能性がある。登録されていない人物が長時間にわたって存在した場合、その間に誤判定が１回でも発生してしまうと起動してしまうため、登録されていない人物でも誤って起動してしまう懸念がある。
【0031】
そこで、本実施形態に係る情報処理装置１は、ＨＰＤユーザ認証による認証が成功した場合にはシステムを待機状態から起動させるが、ＨＰＤユーザ認証による認証が失敗した場合にはＨＰＤユーザ認証を継続するものの、認証の失敗が続く場合にはＨＰＤユーザ認証を繰り返し実行する回数を制限する。
【0032】
図３を参照して、情報処理装置１がＨＰＤユーザ認証を用いて登録済みのユーザが検出されたときにシステムを起動させるＨＰＤ処理の概要を説明する。図３は、本実施形態に係るＨＰＤ処理の概要を示すフローチャートである。
【0033】
情報処理装置１は、待機状態において検出範囲ＦｏＶ（図２参照）を撮像した撮像画像から顔領域を検出（顔検出）することにより人物の存在を検出する人物検出処理を実行する（ステップＳ１１）。情報処理装置１は、ステップＳ１１で人物の存在を検出した場合、ステップＳ１３へ進む。
【0034】
ステップＳ１３において、情報処理装置１は、人物検出処理からＨＰＤユーザ認証処理へ移行する。情報処理装置１は、ＨＰＤユーザ認証処理において、検出範囲ＦｏＶ（図２参照）を撮像した撮像画像から顔領域を検出（顔検出）し、検出された顔画像に基づく特徴情報と登録されているＨＰＤユーザＩＤ（登録済みのユーザの顔画像に基づく特徴情報）とに基づいて、検出された人物が登録済みのユーザであるか否かを判定（認証）する。情報処理装置１は、ステップＳ１３で認証成功（検出された人物が登録済みのユーザであると判定）した場合には、システムを起動させる（ステップＳ１５）。
【0035】
一方、情報処理装置１は、ステップＳ１３で認証失敗（検出された人物が登録済みのユーザでは無いと判定）した場合には、ステップＳ１７へ進む。
【0036】
ステップＳ１７において、情報処理装置１は、認証失敗によってＨＰＤユーザ認証処理を実行した回数が上限に達したか否かを判定する。情報処理装置１は、上限に達していないと判定した場合（ＮＯ）、ステップＳ１３に戻り、再びＨＰＤユーザ認証処理を実行する。一方、情報処理装置１は、認証失敗によってＨＰＤユーザ認証処理を実行した回数が上限に達したと判定した場合（ＹＥＳ）、ＨＰＤユーザ認証処理を停止する（ステップＳ１９）。ＨＰＤユーザ認証処理を停止する上限の回数は予め設定されており、一例として「１０回」などである。なお、情報処理装置１は、ＨＰＤユーザ認証処理を停止した後は人物検出処理を実行する。
【0037】
このように、情報処理装置１は、ＨＰＤユーザ認証処理による認証が失敗した場合には再びＨＰＤユーザ認証処理を実行し、認証の失敗によりＨＰＤユーザ認証処理を繰り返し実行した場合には、実行した回数が上限（予め設定された回数）に達したことに基づいてＨＰＤユーザ認証処理を停止する。
【0038】
これにより、情報処理装置１は、登録されていない人物を登録済みのユーザであると誤判定して意図せずに起動してしまうことを抑制することができる。よって、情報処理装置１は、登録済みのユーザが近付いたときに適切にシステムを起動させることができる。
【0039】
次に、本実施形態に係る情報処理装置１の構成について詳しく説明する。
［情報処理装置の外観構成］
図４は、本実施形態に係る情報処理装置１の外観の構成例を示す斜視図である。
情報処理装置１は、第１筐体１０、第２筐体２０、及びヒンジ機構１５を備える。第１筐体１０と第２筐体２０は、ヒンジ機構１５を用いて結合されている。第１筐体１０は、第２筐体２０に対して、ヒンジ機構１５がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。第１筐体１０と第２筐体２０との回動による開き角を「θ」として図示している。
［情報処理装置の外観構成］
図４は、本実施形態に係る情報処理装置１の外観の構成例を示す斜視図である。
情報処理装置１は、第１筐体１０、第２筐体２０、及びヒンジ機構１５を備える。第１筐体１０と第２筐体２０は、ヒンジ機構１５を用いて結合されている。第１筐体１０は、第２筐体２０に対して、ヒンジ機構１５がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。第１筐体１０と第２筐体２０との回動による開き角を「θ」として図示している。
【0040】
第１筐体１０は、Ａカバー、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。第２筐体２０は、Ｃカバー、システム筐体とも呼ばれる。以下の説明では、第１筐体１０と第２筐体２０の側面のうち、ヒンジ機構１５が備わる面を、それぞれ側面１０ｃ、２０ｃと呼ぶ。第１筐体１０と第２筐体２０の側面のうち、側面１０ｃ、２０ｃとは反対側の面を、それぞれ側面１０ａ、２０ａと呼ぶ。図示において、側面２０ａから側面２０ｃに向かう方向を「後」と呼び、側面２０ｃから側面２０ａに向かう方向を「前」と呼ぶ。後方に対して右方、左方を、それぞれ「右」、「左」と呼ぶ。第１筐体１０、第２筐体２０の左側面をそれぞれ側面１０ｂ、２０ｂと呼び、右側面をそれぞれ側面１０ｄ、２０ｄと呼ぶ。また、第１筐体１０と第２筐体２０とが重なり合って完全に閉じた状態（開き角θ＝０°の状態）を「閉状態」と呼ぶ。閉状態において第１筐体１０と第２筐体２０との互いに対面する側の面を、それぞれの「内面」と呼び、内面に対して反対側の面を「外面」と呼ぶ。また、閉状態に対して第１筐体１０と第２筐体２０とが開いた状態のことを「開状態」と呼ぶ。
【0041】
図４に示す情報処理装置１の外観は開状態の例を示している。開状態は、第１筐体１０の側面１０ａと第２筐体２０の側面２０ａとが離れた状態である。開状態では、第１筐体１０と第２筐体２０とのそれぞれの内面が表れる。開状態はユーザが情報処理装置１を使用する際の状態の一つであり、典型的には開き角θ＝１００～１３０°程度の状態で使用されることが多い。なお、開状態となる開き角θの範囲は、ヒンジ機構１５よって回動可能な角度の範囲等に応じて任意に定めることができる。
【0042】
第１筐体１０の内面には、表示部１１０が設けられている。表示部１１０は、液晶ディスプレイ（ＬＣＤ：Ｌｉｑｕｉｄ Ｃｒｙｓｔａｌ Ｄｉｓｐｌａｙ）や有機ＥＬ（Ｅｌｅｃｔｒｏ Ｌｕｍｉｎｅｓｃｅｎｃｅ）ディスプレイなどを含んで構成されている。また、第１筐体１０の内面のうち表示部１１０の周縁の領域に、撮像部１２０が設けられている。例えば、撮像部１２０は、表示部１１０の周縁の領域のうち側面２０ａ側に配置されている。なお、撮像部１２０が配置される位置は一例であって、第１筐体１０の内面に対面する方向（前方）を撮像することが可能であれば他の位置に配置されてもよい。
【0043】
撮像部１２０は、開状態において、第１筐体１０の内面に対面する方向（前方）の所定の撮像範囲を撮像する。所定の撮像範囲とは、撮像部１２０が有する撮像素子と撮像素子の撮像面の前方に設けられた光学レンズとによって定まる画角の範囲であり、図２に示す人物（顔）の検出範囲ＦｏＶに相当する。例えば、撮像部１２０は、情報処理装置１の前方（正面側）に存在する人物（例えば、ユーザ）を含む画像を撮像することができる。
【0044】
また、第２筐体２０の側面２０ｂには、電源ボタン１４０が設けられている。電源ボタン１４０は、電源のオンまたはオフ、待機状態から通常動作状態へ遷移、通常動作状態から待機状態への遷移などをユーザが指示するための操作子である。また、第２筐体２０の内面には、ユーザの操作入力を受け付ける入力デバイスとして、キーボード１５１及びタッチパッド１５３が設けられている。なお、入力デバイスとして、キーボード１５１及びタッチパッド１５３に代えて、または加えて、タッチセンサが設けられてもよいし、マウスや外付けのキーボードが接続されてもよい。タッチセンサが設けられた構成の場合、表示部１１０の表示面に対応する領域が操作を受け付けるタッチパネルとして構成されてもよい。また、入力デバイスには、音声が入力されるマイクが含まれてもよい。
【0045】
［情報処理装置のハードウェア構成］
図５は、本実施形態に係る情報処理装置１のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図である。情報処理装置１は、表示部１１０、撮像部１２０、電源ボタン１４０、入力デバイス１５０、通信部１６０、記憶部１７０、ＥＣ（Ｅｍｂｅｄｄｅｄ Ｃｏｎｔｒｏｌｌｅｒ）２００、顔検出部２１０、メイン処理部３００、及び電源部４００を含んで構成される。表示部１１０は、メイン処理部３００により実行されるシステム処理及びシステム処理上で動作するアプリケーションプログラムの処理等に基づいて生成された表示データ（画像）を表示する。
図５は、本実施形態に係る情報処理装置１のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図である。情報処理装置１は、表示部１１０、撮像部１２０、電源ボタン１４０、入力デバイス１５０、通信部１６０、記憶部１７０、ＥＣ（Ｅｍｂｅｄｄｅｄ Ｃｏｎｔｒｏｌｌｅｒ）２００、顔検出部２１０、メイン処理部３００、及び電源部４００を含んで構成される。表示部１１０は、メイン処理部３００により実行されるシステム処理及びシステム処理上で動作するアプリケーションプログラムの処理等に基づいて生成された表示データ（画像）を表示する。
【0046】
撮像部１２０は、第１筐体１０の内面に対面する方向（前方）の所定の画角（例えば、図２に示す検出範囲ＦｏＶ）内の物体の像を撮像し、撮像した画像を顔検出部２１０及びメイン処理部３００へ出力する。例えば、撮像部１２０は、ＲＧＢカメラとＩＲ（Ｉｎｆｒａｒｅｄ Ｒａｙｓ）カメラとを備えている。ＲＧＢカメラとは、可視光線に基づいて撮像する通常のカメラである。ＩＲカメラは、赤外線を用いて撮像するカメラであり、撮像する際に赤外線を照射して物体に反射した赤外線に基づいて撮像する。
【0047】
ＩＲカメラは、例えば撮像する際に赤外線を照射するため、撮像する際の消費電力がＲＧＢカメラよりも高い。そのため、待機状態において撮像画像から顔領域の検出および顔認証を行う際には、待機電力をなるべく抑えたいことから、ＩＲカメラではなく例えばＲＧＢカメラが用いられる。一方、ログイン認証において撮像画像から顔領域を検出して顔認証する際には、より認証精度を高めるために、例えばＩＲカメラが用いられる。なお、顔認証によるログイン認証の際には、ＩＲカメラとＲＧＢカメラとの両方が用いられてもよい。
【0048】
電源ボタン１４０は、ユーザの操作に応じて操作信号をＥＣ２００へ出力する。入力デバイス１５０は、ユーザの入力を受け付ける入力部であり、例えばキーボード１５１及びタッチパッド１５３を含んで構成されている。入力デバイス１５０は、キーボード１５１及びタッチパッド１５３に対する操作を受け付けることに応じて、操作内容を示す操作信号をＥＣ２００へ出力する。
【0049】
通信部１６０は、無線または有線による通信ネットワークを介して他の機器と通信可能に接続し、各種のデータの送信および受信を行う。例えば、通信部１６０は、イーサネット（登録商標）等の有線ＬＡＮインターフェースやＷｉ－Ｆｉ（登録商標）等の無線ＬＡＮインターフェース等を含んで構成されている。
【0050】
記憶部１７０は、ＨＤＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ Ｄｒｉｖｅ）、ＳＳＤ（Ｓｏｌｉｄ Ｓｔａｔｅ Ｄｒｉｖｅ）、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）などの記憶媒体を含んで構成される。記憶部１７０は、ＯＳ、デバイスドライバ、アプリケーションなどの各種のプログラム、その他、プログラムの動作により取得した各種のデータを記憶する。
【0051】
電源部４００は、情報処理装置１の各部の動作状態に応じて各部へ電力を供給する。電源部４００は、ＤＣ（Ｄｉｒｅｃｔ Ｃｕｒｒｅｎｔ）／ＤＣコンバータを備える。ＤＣ／ＤＣコンバータは、ＡＣ（Ａｌｔｅｒｎａｔｅ Ｃｕｒｒｅｎｔ）／ＤＣアダプタもしくはバッテリー（電池パック）から供給される直流電力の電圧を、各部で要求される電圧に変換する。ＤＣ／ＤＣコンバータで電圧が変換された電力が各電源系統を介して各部へ供給される。例えば、電源部４００は、ＥＣ２００から入力される制御信号に基づいて各電源系統を介して各部に電力を供給する。
【0052】
ＥＣ２００は、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）、ＲＡＭ、ＲＯＭおよびＩ／Ｏ（Ｉｎｐｕｔ／Ｏｕｔｐｕｔ）ロジック回路などを含んで構成されたマイクロコンピュータである。ＥＣ２００のＣＰＵは、自部のＲＯＭに予め記憶した制御プログラム（ファームウェア）を読み出し、読み出した制御プログラムを実行して、その機能を発揮する。ＥＣ２００は、メイン処理部３００とは独立に動作し、メイン処理部３００の動作を制御し、その動作状態を管理する。また、ＥＣ２００は、電源ボタン１４０、入力デバイス１５０、及び電源部４００等と接続されている。
【0053】
例えば、ＥＣ２００は、電源部４００と通信を行うことにより、バッテリーの状態（残容量など）の情報を電源部４００から取得するとともに、情報処理装置１の各部の動作状態に応じた電力の供給を制御するための制御信号などを電源部４００へ出力する。また、ＥＣ２００は、電源ボタン１４０や入力デバイス１５０から操作信号を取得し、取得した操作信号のうちメイン処理部３００の処理に関連する操作信号についてはメイン処理部３００へ出力する。
【0054】
顔検出部２１０は、撮像部１２０により撮像された撮像画像の画像データを処理するプロセッサを含んで構成されている。顔検出部２１０は、撮像部１２０により撮像された撮像画像の画像データを取得し、取得した画像データをメモリに一時的に保存する。画像データを保存するメモリは、システムメモリ３０４であってもよいし、顔検出部２１０内の不図示のメモリであってもよい。
【0055】
顔検出部２１０は、撮像部１２０から取得した撮像画像の画像データを処理することにより、撮像画像の中から顔領域を検出する顔検出処理、検出した顔領域の顔画像を認証する顔認証処理などを行うことにより、人物の存在の検出および当該人物が登録済みのユーザであるか否かの認証を行うＨＰＤ処理を実行する。例えば、顔検出部２１０は、待機状態におけるＨＰＤ処理では、撮像部１２０のＲＧＢカメラで撮像された撮像画像の中から顔領域を検出することにより、人物の存在を検出する人物検出処理を行う。また、顔検出部２１０は、待機状態におけるＨＰＤ処理では、人物検出処理により人物の存在が検出された場合、撮像部１２０のＲＧＢカメラで撮像された撮像画像の中から顔領域を検出し、検出された人物が登録済みのユーザであるか否かを顔認証処理により認証するＨＰＤユーザ認証処理を行う。
【0056】
また、顔検出部２１０は、待機状態からシステムが起動した際には、システムのログイン認証用として、撮像部１２０のＩＲカメラで撮像された撮像画像の中から顔領域を検出する顔検出処理と顔認証処理とを行う。また、顔検出部２１０は、通常動作状態では、ＨＰＤ処理を行う際も、撮像部１２０のＩＲカメラで撮像された撮像画像を用いて処理を行ってもよい。
【0057】
顔検出部２１０は、ＨＰＤ処理による検出結果、ログイン用の顔認証処理の認証結果などを、メイン処理部３００のチップセット３０３へ送信する。ＨＰＤ処理に関する機能構成について詳しくは後述する。
【0058】
メイン処理部３００は、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）３０１、ＧＰＵ（Ｇｒａｐｈｉｃ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）３０２、チップセット３０３、及びシステムメモリ３０４を含んで構成され、ＯＳ（Ｏｐｅｒａｔｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）に基づくシステム処理によって、ＯＳ上で各種のアプリケーションプログラムの処理が実行可能である。
【0059】
ＣＰＵ３０１は、ＢＩＯＳによる処理、ＯＳによる処理、ＯＳ上で動作するアプリケーションプログラムによる処理などを実行する。ＣＰＵ３０１は、チップセット３０３などからの指示に基づいてシステムの動作状態を制御する。例えば、ＣＰＵ３０１は、システムを待機状態から起動させる起動処理を実行する。また、ＣＰＵ３０１は、待機状態からの起動後に、システムへのログインを許可するか否かのユーザ認証を行うログイン認証処理を実行し、認証成功の場合に通常動作状態へ遷移させる。例えば、ＣＰＵ３０１は、ログイン認証において顔認証による認証処理を実行する。なお、ＣＰＵ３０１は、ログイン認証において顔認証以外（例えば、パスワード認証、ＰＩＮ認証、指紋認証など）の認証処理を実行してもよい。
【0060】
ＧＰＵ３０２は、表示部１１０に接続されている。ＧＰＵ３０２は、ＣＰＵ３０１の制御に基づいて画像処理を実行して表示データを生成する。ＧＰＵ３０２は、生成した表示データを表示部１１０に出力する。
【0061】
チップセット３０３は、メモリコントローラとしての機能及びＩ／Ｏコントローラとしての機能などを有する。例えば、チップセット３０３は、ＣＰＵ３０１及びＧＰＵ３０２によるシステムメモリ３０４、記憶部１７０などからのデータの読出し、書込みを制御する。また、チップセット３０３は、通信部１６０、表示部１１０およびＥＣ２００からのデータの入出力を制御する。また、チップセット３０３は、センサハブとしての機能を有する。例えば、チップセット３０３は、ＨＰＤ処理において、顔検出部２１０から人物検出処理の検出結果、ＨＰＤユーザ認証処理の認証結果、ログイン用の顔認証処理の認証結果などを取得し、当該検出結果に基づいてシステムの動作状態の指示などを行う。
【0062】
システムメモリ３０４は、ＣＰＵ３０１で実行されるプログラムの読み込み領域ならびに処理データを書き込む作業領域などとして用いられる。また、システムメモリ３０４は、撮像部１２０で撮像された撮像画像の画像データを一時的に記憶する。
【0063】
なお、ＣＰＵ３０１、ＧＰＵ３０２、及びチップセット３０３は、一体化された一つのプロセッサとして構成されてもよいし、一部またはそれぞれが個々のプロセッサとして構成されてもよい。例えば、通常動作状態では、ＣＰＵ３０１、ＧＰＵ３０２、及びチップセット３０３のいずれも動作している状態となるが、待機状態では、チップセット３０３の少なくとも一部のみが動作している状態となる。待機状態では、少なくとも起動時のＨＰＤ処理に必要な機能が動作している。
【0064】
［情報処理装置の機能構成］
次に、情報処理装置１がＨＰＤ処理によりシステムの動作状態を制御する機能構成について説明する。
次に、情報処理装置１がＨＰＤ処理によりシステムの動作状態を制御する機能構成について説明する。
【0065】
図６は、本実施形態に係る情報処理装置１の機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置１は、顔検出部２１０と、システム処理部３１０と、ＨＰＤ制御処理部３３０とを備えている。顔検出部２１０は、図５に示す顔検出部２１０に対応し、顔検出部２１０内のプログラムを実行することにより実現される機能構成である。システム処理部３１０と、ＨＰＤ制御処理部３３０とは、図５に示すメイン処理部３００がＯＳ及びＯＳ上で動作するプログラムを実行することにより実現される機能構成である。例えば、システム処理部３１０は、ＣＰＵ３０１がＯＳのプログラムを実行することにより実現される機能構成である。また、ＨＰＤ制御処理部３３０は、チップセット３０３がＯＳ上で動作するプログラムを実行することにより実現される機能構成である。
【0066】
顔検出部２１０は、顔検出処理部２１１と、顔認証処理部２１２と、ＨＰＤユーザＩＤ登録部２１３と、ＨＰＤ処理部２１４とを備えている。また、システム処理部３１０は、動作制御部３１１と、認証処理部３１２とを備えている。また、ＨＰＤ制御処理部３３０は、動作指示部３３１と、認証結果通知部３３２とを備えている。
【0067】
顔検出処理部２１１は、所定のフレームレート（所定の頻度）で撮像部１２０により撮像された撮像画像の画像データをシステムメモリ３０４から読み出し、それぞれの撮像画像の中から顔領域を検出する。顔の検出方法としては、顔の特徴情報を基に顔を検出する顔検出アルゴリズムや、顔の特徴情報を基に機械学習された学習データ（学習済みモデル）や顔検出ライブラリなどを用いた顔検出など、任意の検出方法を適用することができる。
【0068】
また、撮像部１２０が撮像する際のフレームレートは、例えば、待機状態において人物の存在を検出するための顔検出処理を行う際には１ｆｐｓ、検出された人物が登録済みのユーザであるかを認証するためのＨＰＤユーザ認証処理を行う際には４ｆｐｓなどに制御される。また、撮像部１２０が撮像する際のフレームレートは、例えば、待機状態から起動してログイン認証処理を行う際には１５ｆｐｓ、ログイン認証処理後の通常動作状態では１ｆｐｓなどに制御される。
【0069】
例えば、顔検出処理部２１１は、待機状態において人物の存在を検出するための顔検出処理を行う際には、撮像部１２０のＲＧＢカメラを用いて１ｆｐｓで撮像された撮像画像（ＲＧＢ画像）の中から顔領域を検出する。また、例えば、顔検出処理部２１１は、ＨＰＤユーザ認証処理を行う際には、撮像部１２０のＲＧＢカメラを用いて４ｆｐｓで撮像された撮像画像（ＲＧＢ画像）の中から顔領域を検出する。また、例えば、顔検出処理部２１１は、起動後のログイン認証の際には、撮像部１２０のＩＲカメラを用いて１５ｆｐｓで撮像された撮像画像（ＩＲ画像）の中から顔領域を検出する。なお、顔検出処理部２１１は、ログイン認証の際には、撮像部１２０のＩＲカメラ及びＲＧＢカメラを用いて撮像された撮像画像（ＩＲ画像及びＲＧＢ画像）の中から顔領域を検出してもよい。
【0070】
顔認証処理部２１２は、検出された顔領域内の顔画像に基づいて顔認証する顔認証処理を実行する。例えば、顔認証処理部２１２は、ＨＰＤユーザ認証処理を行う際には、撮像部１２０のＲＧＢカメラを用いて４ｆｐｓで撮像された撮像画像（ＲＧＢ画像）の中から顔検出処理部２１１により検出された顔領域の顔画像に基づく特徴情報と、ＨＰＤユーザＩＤとして登録された登録済みのユーザの顔画像に基づく特徴情報とに基づいて顔認証処理を行う。
【0071】
また、顔認証処理部２１２は、起動後のログイン認証の際には、撮像部１２０のＩＲカメラを用いて１５ｆｐｓで撮像された撮像画像（ＩＲ画像）の中から検出された顔画像を、システムにログインするためのユーザ情報（アカウント情報）として予め登録されているユーザの顔画像と照合することにより顔認証を行う。具体的には、例えば、顔認証処理部２１２は、ログイン認証の際には、撮像画像（ＩＲ画像）の中から検出された顔画像に基づく特徴情報と予め登録されているユーザの顔画像に基づく特徴情報とを照合することにより顔認証を行う。
【0072】
なお、ログインするためのユーザ情報（アカウント情報）として登録されているユーザの顔画像は、例えば、システム設定の顔認証用画像の登録メニューにおいて、撮像部１２０のＩＲカメラを用いて１５ｆｐｓで撮像された撮像画像（ＩＲ画像）の中から検出された顔画像である。
【0073】
ＨＰＤユーザＩＤ登録部２１３は、ＨＰＤユーザ認証に用いるＨＰＤユーザＩＤを登録する。例えば、ＨＰＤユーザＩＤ登録部２１３は、ＨＰＤユーザＩＤをシステムメモリ３０４または顔検出部２１０内の不図示のメモリ等に記憶させて登録する。前述したように、ＨＰＤユーザＩＤの登録は、情報処理装置１において、ユーザ登録用のアプリ（アプリケーションプログラム）を用いて行われてもよいし、ユーザが操作することなく情報処理装置１によって所定のタイミングで行われてもよい。
【0074】
例えば、ＨＰＤユーザＩＤ登録部２１３は、ユーザ登録用のアプリでユーザの操作により撮像されたユーザ自身の顔画像に基づく特徴情報をＨＰＤユーザＩＤとして登録する。また、例えば、ＨＰＤユーザＩＤ登録部２１３は、ログイン認証処理による認証が成功してからの所定時間内（例えば、５秒以内）において、顔検出処理部２１１により検出された顔画像（例えば、正面を向いたときの顔画像）に基づく特徴情報をＨＰＤユーザＩＤとして登録してもよい。ＨＰＤユーザＩＤ登録部２１３は、ＨＰＤユーザＩＤを登録する際に、ＨＰＤユーザＩＤが登録されていない場合には新規に登録し、ＨＰＤユーザＩＤが既に登録されている場合には登録済みのＨＰＤユーザＩＤに対して更新する。
【0075】
ＨＰＤ処理部２１４は、顔検出処理部２１１による顔検出処理の検出結果と、顔認証処理部２１２による顔認証処理の認証結果に基づいて、ＨＰＤ処理の検出結果を示す情報を出力する。例えば、ＨＰＤ処理部２１４は、待機状態において、顔検出処理部２１１による顔検出処理の検出結果に基づいて人物の存在を検出する人物検出処理を実行する。ＨＰＤ処理部２１４は、顔検出処理部２１１により撮像画像（ＲＧＢ画像）の中から顔領域が検出された場合、人物の存在を検出する、即ち人物が存在する（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ＝ｔｒｕｅ）と判定する。一方、ＨＰＤ処理部２１４は、顔検出処理部２１１により撮像画像（ＲＧＢ画像）の中から顔領域が検出されない場合、人物が存在しない（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ＝ｆａｌｓｅ）と判定する。
【0076】
また、ＨＰＤ処理部２１４は、人物検出処理により人物の存在が検出された場合には人物検出処理からＨＰＤユーザ認証処理へ移行する。例えば、ＨＰＤ処理部２１４は、顔検出処理部２１１により撮像画像（ＲＧＢ画像）の中から検出された顔領域の顔画像に基づく特徴情報と、ＨＰＤユーザＩＤとに基づいて顔認証処理部２１２が顔認証処理を行ったＨＰＤユーザ認証の認証結果に基づいて、検出された顔画像の人物が登録済みのユーザであるか否かを判定する。
【0077】
ＨＰＤ処理部２１４は、ＨＰＤユーザ認証の認証結果が認証成功の場合、情報処理装置１の前方に登録済みのユーザが存在することを示すプレゼンス（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ）情報をＨＰＤ制御処理部３３０へ出力する。
【0078】
一方、ＨＰＤ処理部２１４は、ＨＰＤユーザ認証の認証結果が認証失敗の場合には再びＨＰＤユーザ認証処理を実行し、認証失敗が継続する場合にはＨＰＤユーザ認証処理を繰り返し実行する。ただし、ＨＰＤ処理部２１４は、認証失敗によりＨＰＤユーザ認証処理を繰り返し実行した場合には、ＨＰＤユーザ認証処理を実行した回数が予め設定された回数（例えば、１０回）に達したことに基づいてＨＰＤユーザ認証処理を停止する。ＨＰＤ処理部２１４は、ＨＰＤユーザ認証処理を停止した場合には人物検出処理へ移行する。
【0079】
ここで、ＨＰＤ処理部２１４は、ＨＰＤユーザ認証処理を停止して人物検出処理へ移行した場合、登録済みのユーザ以外の人物ではあるが、人物の存在を検出する、即ち人物が存在する（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ＝ｔｒｕｅ）と判定する。ＨＰＤ処理部２１４は、ＨＰＤユーザ認証処理の停止後に人物検出処理により人物の存在が検出されている場合には、存在する人物の数が変化したか否かを判定する。ＨＰＤ処理部２１４は、存在する人物の数が変化したと判定した場合には、登録済みのユーザが存在する可能性があるため、再び人物検出処理からＨＰＤユーザ認証処理へ移行する。
【0080】
なお、ＨＰＤ処理部２１４は、存在する人物の数が変化した場合であっても、人物の存在が検出されなくなった場合には人物が存在しない（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ＝ｆａｌｓｅ）と判定し、ＨＰＤユーザ認証処理には移行せずに人物検出処理を継続する。再び、ＨＰＤ処理部２１４は、人物検出処理により、人物の存在が検出された場合には人物が存在する（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ＝ｔｒｕｅ）と判定し、人物検出処理からＨＰＤユーザ認証処理へ移行する。
【0081】
なお、ＨＰＤ処理部２１４は、検出範囲ＦｏＶ内に登録済みのユーザが存在することを検出した場合には、プレゼンス（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ）情報をＨＰＤ制御処理部３３０へ出力するが、検出範囲ＦｏＶ内に人物の存在を検出しない場合には、情報処理装置１の前方にユーザが存在しないことを示すアブセンス（Ａｂｓｅｎｃｅ）情報をＨＰＤ制御処理部３３０へ出力する。また、ＨＰＤ処理部２１４は、検出範囲ＦｏＶ内に人物の存在を検出しても当該人物が登録済みのユーザでは無いと判定した場合もアブセンス（Ａｂｓｅｎｃｅ）情報をＨＰＤ制御処理部３３０へ出力する。
【0082】
動作指示部３３１は、待機状態において、ＨＰＤ処理部２１４から出力されたプレゼンス情報を取得すると、システムを待機状態から起動させる指示を行う。例えば、動作指示部３３１は、システムを待機状態から起動させる指示を示す起動指示情報を動作制御部３１１へ出力する。また、動作指示部３３１は、待機状態において、ＨＰＤ処理部２１４からアブセンス情報を取得している間は、システムを起動させる指示を行わない。
【0083】
なお、動作指示部３３１は、通常動作状態において、ＨＰＤ処理部２１４からアブセンス情報を取得した場合には、システムを待機状態へ遷移させる指示を行う。例えば、動作指示部３３１は、システムを待機状態へ遷移させる指示を示す待機指示情報を動作制御部３１１へ出力する。
【0084】
動作制御部３１１は、動作指示部３３１から出力された起動指示情報を取得すると、システムのプログラムを実行して待機状態から起動させる。また、動作制御部３１１は、待機状態から起動させた後、ログイン認証のイベントを発生させる。そして、動作制御部３１１は、認証成功となるまでログインを許可しないで待機する。動作制御部３１１は、認証成功となった場合には、ログインを許可し、通常動作状態へ遷移させる。
【0085】
なお、通常動作状態において、動作制御部３１１は、動作指示部３３１から出力された待機指示情報を取得すると、システムを通常動作状態から待機状態へ遷移させる。
【0086】
認証処理部３１２は、ログイン認証のイベントが発生すると、システムのログイン認証処理を実行する。例えば、認証処理部３１２は、顔認証、パスワード認証、ＰＩＮ認証、または指紋認証などのいずれかによるログイン認証処理を実行する。例えば、認証処理部３１２は、顔認証による認証処理を実行する場合、顔検出部２１０から顔認証の認証結果を取得し、取得した認証結果に基づいてログイン認証処理を実行する。認証処理部３１２は、ログイン認証処理の認証結果が認証成功の場合に正規のユーザであると判定し、認証失敗の場合に正規のユーザではないと判定する。
【0087】
なお、認証処理部３１２は、パスワード認証またはＰＩＮ認証の場合には、キーボード１５１に対するユーザの操作に基づく操作信号をＥＣ２００を介して取得する。そして、認証処理部３１２は、取得した操作信号に基づいて、ユーザの操作により入力されたパスワードまたはＰＩＮと予め登録されているパスワードまたはＰＩＮとを照合することにより認証処理を実行する。また、認証処理部３１２は、指紋認証の場合には、不図示の指紋センサを用いて取得した指紋と予め登録されている指紋とを照合することにより認証処理を実行する。
【0088】
なお、認証結果通知部３３２は、認証処理部３１２によるログイン認証の認証結果を顔検出部２１０へ通知してもよい。そして、顔検出部２１０のＨＰＤユーザＩＤ登録部２１３は、このログイン認証の認証結果の通知をトリガとして、ログイン認証処理による認証が成功してからの所定時間内（例えば、５秒以内）において、正面になったときの顔画像に基づく特徴情報をＨＰＤユーザＩＤとして登録してもよい。
【0089】
【0090】
（ステップＳ１０１）顔検出部２１０は、待機状態において撮像部１２０のＲＧＢカメラを用いて撮像された撮像画像（ＲＧＢ画像）を取得する。例えば、顔検出部２１０は、１ｆｐｓのフレームレートで撮像部１２０により撮像された撮像画像（ＲＧＢ画像）を取得する。そして、顔検出部２１０は、フレーム毎に撮像画像（ＲＧＢ画像）の中から顔領域を検出することにより、人物の存在を検出する人物検出処理を実行する。ここでは、待機状態において当初は人物が存在しない（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ＝ｆａｌｓｅ）状態であるとする。そして、ステップＳ１０３の処理へ進む。
【0091】
（ステップＳ１０３）顔検出部２１０は、ステップＳ１０１における人物検出処理により、人物の存在を検出したか否かを判定する。顔検出部２１０は、撮像画像（ＲＧＢ画像）の中から顔領域を検出しない場合には人物が存在しない（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ＝ｆａｌｓｅ）と判定し（ＮＯ）、ステップＳ１０１の処理へ戻る。一方、顔検出部２１０は、撮像画像（ＲＧＢ画像）の中から顔領域を検出した場合には人物が存在する（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ＝ｔｒｕｅ）と判定し（ＹＥＳ）、ステップＳ１０５の処理へ進む。
【0092】
（ステップＳ１０５）顔検出部２１０は、ＨＰＤユーザ認証処理の実行回数ｎを計数するカウンタを「ｎ＝０」にセットし、計数を開始する。そして、ステップＳ１０７の処理へ進む。
【0093】
（ステップＳ１０７）顔検出部２１０は、撮像部１２０のフレームレートを４ｆｐｓに切り替え、人物検出処理からＨＰＤユーザ認証処理へ移行する。顔検出部２１０は、４ｆｐｓのフレームレートで撮像部１２０により撮像された撮像画像（ＲＧＢ画像）を取得する。顔検出部２１０は、フレーム毎に撮像画像（ＲＧＢ画像）の中から顔領域を検出し、検出された顔画像に基づく特徴情報と、ＨＰＤユーザＩＤ（登録済みのユーザの顔画像に基づく特徴情報）とに基づいて、検出された顔画像の人物が登録済みのユーザであるか否かを認証する。そして、ステップＳ１０９の処理へ進む。
【0094】
（ステップＳ１０９）顔検出部２１０は、ステップＳ１０７におけるＨＰＤユーザ認証処理による認証結果が認証成功であるか否かを判定する。）顔検出部２１０は、認証成功であると判定した場合（ＹＥＳ）、ステップＳ１１１の処理へ進む。一方、顔検出部２１０は、認証失敗であると判定した場合（ＮＯ）、ステップＳ１１５の処理へ進む。
【0095】
（ステップＳ１１１）顔検出部２１０は、ステップＳ１０９で認証成功であると判定された場合、プレゼンス情報をＨＰＤ制御処理部３３０へ出力する。ＨＰＤ制御処理部３３０は、顔検出部２１０から出力されたプレゼンス情報を取得すると、ＨＰＤ処理による起動指示として、システムを待機状態から起動させる指示を示す起動指示情報をシステム処理部３１０へ出力する。システム処理部３１０は、ＨＰＤ制御処理部３３０から出力された起動指示情報を取得すると、システムのプログラムを実行して待機状態から起動させる。
【0096】
なお、システム処理部３１０は、ＨＰＤ処理による起動指示以外の起動指示があった場合、この待機状態におけるＨＰＤ処理を中断し、システムをから起動させる。ＨＰＤ処理による起動指示以外の起動指示とは、例えば入力デバイス１５０または電源ボタン１４０などのようなＨＩＤ（Ｈｕｍａｎ Ｉｎｔｅｒｆａｃｅ Ｄｅｖｉｃｅ）に対する入力（操作）などである。
【0097】
（ステップＳ１１３）システム処理部３１０は、ステップＳ１１１でシステムを待機状態から起動させた後、ログイン認証処理を実行する。例えば、システム処理部３１０は、顔認証、パスワード認証、ＰＩＮ認証、または指紋認証などのいずれかによる認証処理を実行する。システム処理部３１０は、ログイン認証処理により認証成功となった場合には、ログインを許可し、通常動作状態へ遷移させる。
【0098】
（ステップＳ１１５）顔検出部２１０は、ステップＳ１０９で認証失敗であると判定された場合、ＨＰＤユーザ認証処理の実行回数ｎを計数するカウンタに１を加算（ｎ＝ｎ＋１）し、ステップＳ１１７の処理へ進む。
【0099】
（ステップＳ１１７）顔検出部２１０は、ＨＰＤユーザ認証処理の実行回数ｎが１０未満（ｎ＜１０）であるか否かを判定する。顔検出部２１０は、ＨＰＤユーザ認証処理の実行回数ｎが１０未満であると判定した場合（ＹＥＳ）、ステップＳ１０７の処理へ戻り、再びＨＰＤユーザ認証処理を実行する。一方、顔検出部２１０は、ＨＰＤユーザ認証処理の実行回数ｎが１０に達したと判定した場合（ＮＯ）、ステップＳ１１９の処理へ進む。
【0100】
（ステップＳ１１９）顔検出部２１０は、ＨＰＤユーザ認証処理を停止し、撮像部１２０のフレームレートを１ｆｐｓに切り替えて人物検出処理へ移行する。顔検出部２１０は、１ｆｐｓのフレームレートで撮像部１２０により撮像された撮像画像（ＲＧＢ画像）を取得する。そして、顔検出部２１０は、フレーム毎に撮像画像（ＲＧＢ画像）の中から顔領域を検出することにより、人物の存在を検出する人物検出処理を実行する。ここでは、登録済みのユーザ以外の人物が存在する（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ＝ｔｒｕｅ）状態である。そして、ステップＳ１２１の処理へ進む。
【0101】
（ステップＳ１２１）顔検出部２１０は、ステップＳ１１９で検出された人物の人数が変化したか否かを判定する。顔検出部２１０は、検出された人数が変化していないと判定した場合（ＮＯ）、ステップＳ１１９の処理へ戻り、再び人物検出処理を実行する。一方、顔検出部２１０は、検出された人数が変化したと判定した場合（ＹＥＳ）、ステップＳ１２３の処理へ進む。
【0102】
（ステップＳ１２３）顔検出部２１０は、ステップＳ１１９で検出された人物の人数が１以上か否かを判定する。顔検出部２１０は、検出された人数が１以上であると判定した場合（ＹＥＳ）、登録済みのユーザが存在する可能性があるとして、ステップＳ１０５の処理へ戻り、ＨＰＤユーザ認証処理の実行回数ｎを「ｎ＝０」にセットして計数を再開し、ステップＳ１０７の処理へ進み、再びＨＰＤユーザ認証処理を実行する。一方、顔検出部２１０は、検出された人数が０になった（即ち人物が存在しなくなった）場合（ＮＯ）、ステップＳ１０１の処理へ戻り、人物が存在しない（Ｐｒｅｓｅｎｃｅ＝ｆａｌｓｅ）状態で、引き続き人物検出処理を実行する。
【0103】
なお、図７に示すＨＰＤ処理の例では、人物検出処理により人物の存在が検出されてからＨＰＤユーザ認証処理を実行した回数が１０回に達したことに基づいてＨＰＤユーザ認証処理を停止する例を説明したが、ＨＰＤユーザ認証処理を停止する回数は、１０回に限られるものではなく、任意の回数に設定することができる。
【0104】
［実施形態のまとめ］
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置１は、システムのプログラムを一時的に記憶するシステムメモリ３０４（メモリの一例）と、顔検出部２１０（第１プロセッサの一例）と、メイン処理部３００（例えば、ＣＰＵ３０１、第２プロセッサの一例）とを備えている。顔検出部２１０は、撮像部１２０により撮像された撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域（顔領域）を検出し、検出された顔画像に基づく特徴情報（情報の一例）とＨＰＤユーザＩＤ（登録済みのユーザの顔画像に基づく特徴情報（情報の一例））とに基づいて、検出された顔画像の人物が登録済みのユーザであるか否かを認証するＨＰＤユーザ認証処理（顔認証処理の一例）を実行する。メイン処理部３００は、ＨＰＤユーザ認証処理による認証が成功したことに基づいて、システムのプログラムを実行することによりシステムを待機状態から起動させる。また、顔検出部２１０は、ＨＰＤユーザ認証処理による認証が失敗した場合には再びＨＰＤユーザ認証処理を実行し、ＨＰＤユーザ認証処理による認証の失敗によりＨＰＤユーザ認証処理を繰り返し実行した場合には、ＨＰＤユーザ認証処理を実行した回数に基づいてＨＰＤユーザ認証処理を停止する。
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置１は、システムのプログラムを一時的に記憶するシステムメモリ３０４（メモリの一例）と、顔検出部２１０（第１プロセッサの一例）と、メイン処理部３００（例えば、ＣＰＵ３０１、第２プロセッサの一例）とを備えている。顔検出部２１０は、撮像部１２０により撮像された撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域（顔領域）を検出し、検出された顔画像に基づく特徴情報（情報の一例）とＨＰＤユーザＩＤ（登録済みのユーザの顔画像に基づく特徴情報（情報の一例））とに基づいて、検出された顔画像の人物が登録済みのユーザであるか否かを認証するＨＰＤユーザ認証処理（顔認証処理の一例）を実行する。メイン処理部３００は、ＨＰＤユーザ認証処理による認証が成功したことに基づいて、システムのプログラムを実行することによりシステムを待機状態から起動させる。また、顔検出部２１０は、ＨＰＤユーザ認証処理による認証が失敗した場合には再びＨＰＤユーザ認証処理を実行し、ＨＰＤユーザ認証処理による認証の失敗によりＨＰＤユーザ認証処理を繰り返し実行した場合には、ＨＰＤユーザ認証処理を実行した回数に基づいてＨＰＤユーザ認証処理を停止する。
【0105】
これにより、情報処理装置１は、ＨＰＤユーザ認証処理による認証が失敗した場合、認証失敗が続いてもＨＰＤユーザ認証処理を実行し続けるのではなく実行した回数に基づいて停止するため、登録されていない人物が長時間にわたって情報処理装置１の前にいた場合でも、登録済みのユーザであると誤判定して意図せずに起動してしまうことを抑制することができる。よって、情報処理装置１は、登録済みのユーザが近付いたときに適切にシステムを起動させることができる。
【0106】
例えば、顔検出部２１０は、撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域（顔領域）を検出することにより人物の存在を検出する人物検出処理を実行し、人物検出処理により人物の存在が検出された場合には人物検出処理からＨＰＤユーザ認証処理へ移行する。また、顔検出部２１０は、人物検出処理により人物の存在が検出されてからＨＰＤユーザ認証処理を実行した回数が予め設定された回数（例えば、１０回）に達したことに基づいてＨＰＤユーザ認証処理を停止する。
【0107】
これにより、情報処理装置１は、情報処理装置１の前に人物が存在する場合にＨＰＤユーザ認証処理を実行し、認証失敗が続いてもＨＰＤユーザ認証処理を実行し続けるのではなく実行した回数に基づいて停止するため、登録されていない人物が長時間にわたって情報処理装置１の前にいた場合でも、登録済みのユーザであると誤判定して意図せずに起動してしまうことを抑制することができる。よって、情報処理装置１は、登録済みのユーザが近付いたときに適切にシステムを起動させることができる。
【0108】
また、顔検出部２１０は、ＨＰＤユーザ認証処理による認証の失敗によりＨＰＤユーザ認証処理を停止した場合には人物検出処理へ移行する。
【0109】
これにより、情報処理装置１は、登録されていない人物が情報処理装置１の前にいてＨＰＤユーザ認証処理を停止した後は、情報処理装置１の前に存在する人物の状況を検出することができる。
【0110】
また、顔検出部２１０は、ＨＰＤユーザ認証処理の停止後に人物検出処理により人物の存在が検出されている場合には存在する人物の数が変化したか否かを判定し、存在する人物の数が変化したと判定した場合には再び人物検出処理からＨＰＤユーザ認証処理へ移行する。
【0111】
これにより、情報処理装置１は、ＨＰＤユーザ認証処理を停止した後は、情報処理装置１の前にいる人物の数が変化した場合には、登録済みのユーザが存在する可能性があるため、再びＨＰＤユーザ認証処理により登録済みのユーザが存在するか否かを判定することができる。
【0112】
また、顔検出部２１０は、ＨＰＤユーザ認証処理の停止後に人物検出処理により人物の存在が検出されなくなった場合にはＨＰＤユーザ認証処理には移行せずに人物検出処理を継続し、人物の存在が検出された場合には人物検出処理からＨＰＤユーザ認証処理へ移行する。
【0113】
これにより、情報処理装置１は、ＨＰＤユーザ認証処理を停止した後は、情報処理装置１の前にいる人物の数が変化した場合でも人物の存在が検出されなくなった場合には、不要にＨＰＤユーザ認証処理を行うことなく、人物検出処理を継続することができる。
【0114】
また、人物検出処理は、ＨＰＤユーザ認証処理よりも消費電力が低い処理である、
【0115】
これにより、情報処理装置１は、待機状態では不必要にＨＰＤユーザ認証処理を実行させないため、登録済みのユーザであると誤判定してしまうことを抑制するだけでなく、消費電力も抑制できる。
【0116】
例えば、人物検出処理は、撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域（顔領域）を検出する際のフレームレートがＨＰＤユーザ認証処理よりも低い。顔検出部２１０は、人物検出処理からＨＰＤユーザ認証処理へ移行する際およびＨＰＤユーザ認証処理から人物検出処理へ移行する際にフレームレートを切り替える。
【0117】
これにより、情報処理装置１は、ＨＰＤユーザ認証処理を停止して人物検出処理に移行する場合にはフレームレートを下げることで消費電力を低減できる。また、情報処理装置１は、ＨＰＤユーザ認証処理を実行する際にはフレームレートを人物検出処理のときよりは上げることで、顔認証処理を行うことができる。
【0118】
また、メイン処理部３００は、システムの起動後に、撮像部１２０により撮像された撮像画像の中から検出された顔画像に基づいて、システムへのログインを許可するか否かを認証するログイン認証処理を実行してもよい。その場合、システムの起動前の待機状態で実行されるＨＰＤユーザ認証処理は、ログイン認証処理よりも消費電力が低い処理である。
【0119】
これにより、情報処理装置１は、待機状態ではなるべく消費電力を抑えた状態でＨＰＤユーザ認証処理（顔認証処理）を行い、システムの起動後のログイン認証処理では高精度の顔認証を行うことができる。
【0120】
例えば、システムの起動前の待機状態で実行されるＨＰＤユーザ認証処理は、撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出する際のフレームレートがログイン認証処理において撮像部１２０が撮像する撮像画像のフレームレートよりも低い。
【0121】
これにより、情報処理装置１は、待機状態では低フレームレートでなるべく消費電力を抑えた状態でＨＰＤユーザ認証処理（顔認証処理）を行い、システムの起動後のログイン認証処理では高フレームレートで高精度の顔認証を行うことができる。
【0122】
また、顔検出部２１０は、情報処理装置１を使用するユーザの顔画像に基づく特徴情報（情報の一例）を登録（例えば、ＨＰＤユーザＩＤとして登録）するユーザ登録処理を実行する。
【0123】
これにより、情報処理装置１は、情報処理装置１の前に存在する人物が情報処理装置１を使用する正規のユーザであるか否かを判定することができる。
【0124】
また、本実施形態に係る、システムのプログラムを一時的に記憶するシステムメモリ３０４（メモリの一例）と、顔検出部２１０（第１プロセッサの一例）と、メイン処理部３００（例えば、ＣＰＵ３０１、第２プロセッサの一例）とを備える情報処理装置１における制御方法は、顔検出部２１０が、撮像部１２０により撮像された撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域（顔領域）を検出し、検出された顔画像に基づく特徴情報（情報の一例）とＨＰＤユーザＩＤ（登録済みのユーザの顔画像に基づく特徴情報（情報の一例））とに基づいて、検出された顔画像の人物が登録済みのユーザであるか否かを認証するＨＰＤユーザ認証処理（顔認証処理の一例）を実行するステップと、メイン処理部３００が、ＨＰＤユーザ認証処理による認証が成功したことに基づいて、システムのプログラムを実行することによりシステムを待機状態から起動させるステップと、顔検出部２１０が、ＨＰＤユーザ認証処理による認証が失敗した場合には再びＨＰＤユーザ認証処理を実行するステップと、顔検出部２１０が、ＨＰＤユーザ認証処理による認証の失敗によりＨＰＤユーザ認証処理を繰り返し実行した場合には、ＨＰＤユーザ認証処理を実行した回数に基づいてＨＰＤユーザ認証処理を停止するステップと、を含む。
【0125】
これにより、情報処理装置１における制御方法は、ＨＰＤユーザ認証処理による認証が失敗した場合、認証失敗が続いてもＨＰＤユーザ認証処理を実行し続けるのではなく実行した回数に基づいて停止するため、登録されていない人物が長時間にわたって情報処理装置１の前にいた場合でも、登録済みのユーザであると誤判定して意図せずに起動してしまうことを抑制することができる。よって、情報処理装置１における制御方法は、登録済みのユーザが近付いたときに適切にシステムを起動させることができる。
【0126】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【0127】
なお、撮像部１２０は、ＩＲカメラとＲＧＢカメラとのいずれか一方を備えてもよい。例えば、ＨＰＤ処理とログイン認証処理の両方においてＩＲカメラを用いる構成としてもよいし、ＨＰＤ処理とログイン認証処理の両方においてＲＧＢカメラを用いる構成としてもよい。
【0128】
また、各動作状態及び処理における撮像部１２０のフレームレートは、一例であって、上述したフレームレートの例に限定されるものではない。例えば、待機状態で人物検出処理及びＨＰＤユーザ認証処理を実行する際のフレームレートは、起動後のログイン処理を実行する際のフレームレートよりも低く設定されるがことが好ましいが、上述したフレームレートの値は一例であって、この例に限られるものではない。
【0129】
また、上記実施形態では、情報処理装置１に撮像部１２０が内蔵されている構成例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、撮像部１２０は、情報処理装置１に内蔵されていなくてもよく、情報処理装置１の外部アクセサリとして情報処理装置１（例えば、側面１０ａ、１０ｂ、１０ｃ等のいずれか）に取り付け可能に構成され、無線または有線で情報処理装置１と通信接続されるものであってもよい。
【0130】
また、ＣＰＵ３０１及びチップセット３０３（第２プロセッサの一例）は、それぞれ個別のプロセッサとして構成されてもよいし、１つのプロセッサとして一体化して構成されてもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、顔検出部２１０がチップセット３０３とは別に備えられている例を示したが、顔検出部２１０の一部または全部は、チップセット３０３に備えられてもよいし、チップセット３０３と一体化されたプロセッサに備えられてもよい。また、顔検出部２１０とチップセット３０３とＣＰＵ３０１とが１つのプロセッサとして一体化して構成されてもよい。また、顔検出部２１０の一部または全部は、ＥＣ２００に備えられてもよい。
【0132】
また、上述した待機状態には、ハイバネーション状態やパワーオフ状態等が含まれてもよい。ハイバネーション状態は、例えば、ＡＣＰＩで規定されているＳ４状態に相当する。パワーオフ状態は、例えば、ＡＣＰＩで規定されているＳ５状態（シャットダウンした状態）相当する。なお、待機状態のうちスタンバイ状態、スリープ状態、ハイバネーション状態、パワーオフ状態などは、通常動作状態よりも電力の消費量が低い状態（電力の消費を抑えた状態）である。
【0133】
なお、上述した情報処理装置１は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理装置１が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理装置１が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、ＯＳや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやＷＡＮ、ＬＡＮ、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ＲＯＭ、ＣＤ－ＲＯＭ等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、ＣＤ－ＲＯＭ等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0134】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理装置１が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ（ＲＡＭ）のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル（差分プログラム）であってもよい。
【0135】
また、上述した実施形態における情報処理装置１が備える各機能の一部、または全部を、ＬＳＩ（Ｌａｒｇｅ Ｓｃａｌｅ Ｉｎｔｅｇｒａｔｉｏｎ）等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はＬＳＩに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりＬＳＩに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0136】
１ 情報処理装置、１０ 第１筐体、２０ 第２筐体、１５ ヒンジ機構、１１０ 表示部、１２０ 撮像部、１４０ 電源ボタン、１５０ 入力デバイス、１５１ キーボード、１５３ タッチパッド、１６０ 通信部、１７０ 記憶部、２００ ＥＣ、２１０ 顔検出部、２１１ 顔検出処理部、２１２ 顔認証処理部、２１３ ＨＰＤユーザＩＤ登録部、２１４ ＨＰＤ処理部、３００ メイン処理部、３０１ ＣＰＵ、３０２ ＧＰＵ、３０３ チップセット、３０４ システムメモリ、３１０ システム処理部、３１１ 動作制御部、３１２ 認証処理部、３３０ ＨＰＤ制御処理部、３３１ 動作指示部、３３２ 認証結果通知部、４００ 電源部
【要約】
【課題】登録済みのユーザが近付いたときに適切にシステムを起動させること。
【解決手段】情報処理装置は、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、撮像部により撮像された撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出し、検出された顔画像に基づく情報と登録済みのユーザの顔画像に基づく情報とに基づいて、検出された顔画像の人物が登録済みのユーザであるか否かを認証する顔認証処理を実行する第１プロセッサと、顔認証処理による認証が成功したことに基づいて、システムのプログラムを実行することによりシステムを待機状態から起動させる第２プロセッサと、を備え、第１プロセッサは、顔認証処理による認証が失敗した場合には再び顔認証処理を実行し、顔認証処理による認証の失敗により顔認証処理を繰り返し実行した場合には、顔認証処理を実行した回数に基づいて停止する。
【選択図】図３
【解決手段】情報処理装置は、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、撮像部により撮像された撮像画像の中から顔が撮像されている顔画像の領域を検出し、検出された顔画像に基づく情報と登録済みのユーザの顔画像に基づく情報とに基づいて、検出された顔画像の人物が登録済みのユーザであるか否かを認証する顔認証処理を実行する第１プロセッサと、顔認証処理による認証が成功したことに基づいて、システムのプログラムを実行することによりシステムを待機状態から起動させる第２プロセッサと、を備え、第１プロセッサは、顔認証処理による認証が失敗した場合には再び顔認証処理を実行し、顔認証処理による認証の失敗により顔認証処理を繰り返し実行した場合には、顔認証処理を実行した回数に基づいて停止する。
【選択図】図３
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】