(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】光電変換装置及び光検出システム
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241107BHJP
H04N 25/773 20230101ALI20241107BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H04N25/773
(21)【出願番号】P 2023221368
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2021008649の分割
【原出願日】2021-01-22
【審査請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】前橋 雄
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140524(JP,A)
【文献】特開2019-140531(JP,A)
【文献】特開2019-007877(JP,A)
【文献】特開2004-111572(JP,A)
【文献】国際公開第2014/002361(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/773
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光子の入射に応じた信号を出力するアバランシェフォトダイオードを含む光電変換部と、前記光電変換部から出力される信号を処理する処理回路と、前記処理回路によって処理された信号の出力を制御する画素出力回路と、を各々が有する複数の画素と、
前記複数の画素に接続されたデータ線と、
前記複数の画素から前記データ線を介して出力される画素信号を受信する受信回路と、を有し、
前記受信回路を構成する第1のトランジスタのゲート絶縁膜は、前記画素出力回路を構成する第2のトランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記複数の画素の各々は前記処理回路に入力される信号を整形する波形整形回路を含み、
前記波形整形回路を構成するトランジスタのゲート絶縁膜は、前記第2のトランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い
ことを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第1のトランジスタのオフリーク電流は、前記第2のトランジスタのオフリーク電流よりも小さい
ことを特徴とする請求項1又は2記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第1のトランジスタの閾値電圧の絶対値は、前記第2のトランジスタの閾値電圧の絶対値よりも大きい
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記受信回路を構成する第1のトランジスタは、前記第1のトランジスタの導電型と同じ導電型の不純物のチャネル領域における不純物濃度が第1の濃度であり、
前記画素出力回路を構成する第2のトランジスタは、前記第2のトランジスタの導電型と同じ導電型の不純物のチャネル領域における不純物濃度が、前記第1の濃度よりも高い第2の濃度である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタの各々は、電源電圧ノードから前記データ線を介して基準電圧ノードへと至る電気的経路の一部を構成している
ことを特徴とする請求項5記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記データ線は、前記画素信号の非反転信号及び反転信号が出力される一対の信号線を有する
ことを特徴とする請求項5又は6記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記第1のトランジスタのゲート幅は、前記第2のトランジスタのゲート幅よりも大きい
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記受信回路は、前記データ線の電圧をリセットするリセット回路を有する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記受信回路は、前記データ線の信号レベルを判定する判定回路を有する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記アバランシェフォトダイオードが設けられた第1基板と、前記処理回路、前記画素出力回路及び前記受信回路が設けられた第2基板と、が積層されてなる
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項12】
光子の入射に応じた信号を出力するアバランシェフォトダイオードを含む光電変換部と、前記光電変換部から出力される信号を整形する波形整形回路と、前記波形整形回路によって整形された信号を処理する処理回路と、前記処理回路によって処理された信号の出力を制御する画素出力回路と、を各々が有する複数の画素を有し、
前記波形整形回路を構成するトランジスタのゲート絶縁膜は、前記画素出力回路を構成する第2のトランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項13】
前記波形整形回路を構成するトランジスタのゲート絶縁膜は、前記処理回路を構成するトランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い
ことを特徴とする請求項12記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記光電変換部は前記アバランシェフォトダイオードに接続されたクエンチ素子を含み、
前記クエンチ素子を構成するトランジスタのゲート絶縁膜は、前記画素出力回路を構成する第2のトランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い
ことを特徴とする請求項12又は13記載の光電変換装置。
【請求項15】
前記クエンチ素子を構成するトランジスタのゲート絶縁膜は、前記処理回路を構成するトランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い
ことを特徴とする請求項14記載の光電変換装置。
【請求項16】
前記処理回路は、カウンタを有する
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項17】
前記処理回路は、時間・デジタル変換回路を有する
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項18】
前記画素出力回路は、オープンドレインバッファ回路である
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置から出力される信号を処理する信号処理装置と
を有することを特徴とする光検出システム。
【請求項20】
前記信号処理装置は、前記信号に基づいて対象物までの距離情報を表す距離画像を生成する
ことを特徴とする請求項19記載の光検出システム。
【請求項21】
移動体であって、
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置から出力される信号に基づく視差画像から、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段と
を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置及び光検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
単一光子レベルの微弱光を検出可能な検出器として、単一光子アバランシェダイオード(SPAD:Single Photon Avalanche Diode)が知られている。SPADは、半導体のpn接合部に誘起された強電界により発生するアバランシェ増倍現象を用いることで、光子により励起された信号電荷を数倍~数百万倍程度に増幅するものである。アバランシェ増倍現象により発生した電流をパルス信号に変換し、そのパルス信号の数をカウントすることで、入射するフォトンの個数を直接計測することが可能となる。特許文献1には、アバランシェフォトダイオードを含む画素を2次元アレイ状に配してなる光電変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SPADを用いたイメージセンサはSPADを用いないイメージセンサと比較して1つの画素を構成する素子数が多く、1つの画素に様々な機能ブロックが含まれる。これら機能ブロックにはそれらの機能に応じた特性が求められるが、各機能ブロックの特性に応じた素子設計はこれまで行われていなかった。そのため、SPADを用いた光電変換装置における高機能化や低消費電力化は必ずしも十分ではなかった。
【0005】
本発明の目的は、光電変換装置及び光検出システムの更なる高機能化及び低消費電力化を実現するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、光子の入射に応じた信号を出力するアバランシェフォトダイオードを含む光電変換部と、前記光電変換部から出力される信号を処理する処理回路と、前記処理回路によって処理された信号の出力を制御する画素出力回路と、を各々が有する複数の画素と、前記複数の画素に接続されたデータ線と、前記複数の画素から前記データ線を介して出力される画素信号を受信する受信回路と、を有し、前記受信回路を構成する第1のトランジスタのゲート絶縁膜は、前記画素出力回路を構成する第2のトランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い光電変換装置が提供される。
【0007】
また、本発明の他の一観点によれば、光子の入射に応じた信号を出力するアバランシェフォトダイオードを含む光電変換部と、前記光電変換部から出力される信号を整形する波形整形回路と、前記波形整形回路によって整形された信号を処理する処理回路と、前記処理回路によって処理された信号の出力を制御する画素出力回路と、を各々が有する複数の画素を有し、前記波形整形回路を構成するトランジスタのゲート絶縁膜は、前記画素出力回路を構成する第2のトランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い光電変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光電変換装置の高機能化及び低消費電力化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図(その1)である。
【
図2】本発明の第1実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図(その2)である。
【
図3】本発明の第1実施形態による光電変換装置における画素の構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による光電変換装置の構成例を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による光電変換装置における光電変換部の基本動作を説明する図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による光電変換装置における画素部と読み出し回路部との間の接続の概略を示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態による光電変換装置における画素出力回路及びリセット回路の構成例を示す回路図である。
【
図8】MOSトランジスタの閾値電圧を制御する方法を説明する図である。
【
図9】本発明の第2実施形態による光電変換装置における画素出力回路及びリセット回路の構成例を示す回路図である。
【
図10】本発明の第3実施形態による光検出システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第4実施形態による距離画像センサの概略構成を示すブロック図である。
【
図12】本発明の第5実施形態による内視鏡手術システムの構成例を示す概略図である。
【
図13】本発明の第6実施形態による移動体の構成例を示す概略図である。
【
図14】本発明の第6実施形態による光検出システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図15】本発明の第6実施形態による光検出システムの動作を示すフロー図である。
【
図16】本発明の第7実施形態による光検出システムの概略構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を限定するものではない。各図面が示す部材の大きさや位置関係は、説明を明確にするために誇張していることがある。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による光電変換装置について、
図1乃至
図8を用いて説明する。
図1及び
図2は、本実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。
図3は、本実施形態による光電変換装置の画素の構成例を示すブロック図である。
図4は、本実施形態による光電変換装置の構成例を示す斜視図である。
図5は、本実施形態による光電変換装置の光電変換部の基本動作を説明する図である。
図6は、本実施形態による光電変換装置における画素部と読み出し回路部との間の接続の概略を示す図である。
図7は、本実施形態による光電変換装置における画素出力回路及びリセット回路の構成例を示す回路図である。
図8は、MOSトランジスタの閾値電圧を制御する方法を説明する図である。
【0012】
本実施形態による光電変換装置100は、
図1に示すように、画素部10と、垂直走査回路部40と、読み出し回路部50と、水平走査回路部60と、出力回路部70と、制御パルス生成部80と、を有する。
【0013】
画素部10には、複数の行及び複数の列をなすようにアレイ状に配された複数の画素12が設けられている。各々の画素12は、後述するように、光子検知素子を含む光電変換部と、光電変換部から出力される信号を処理する画素信号処理部と、により構成され得る。なお、画素部10を構成する画素12の数は、特に限定されるものではない。例えば、一般的なデジタルカメラのように数千行×数千列のアレイ状に配された複数の画素12により画素部10を構成することができる。或いは、1行又は1列に並べた複数の画素12により画素部10を構成してもよい。或いは、1つの画素12により画素部10を構成してもよい。
【0014】
画素部10の画素アレイの各行には、第1の方向(
図1において横方向)に延在して、制御線14が配されている。制御線14は、第1の方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。制御線14の延在する第1の方向は、行方向或いは水平方向と表記することがある。制御線14の各々は、複数種類の制御信号を画素12に供給するための複数の信号線を含み得る。各行の制御線14は、垂直走査回路部40に接続されている。
【0015】
また、画素部10の画素アレイの各行には、第1の方向に延在して、データ線16が配されている。データ線16は、第1の方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。データ線16の各々は、画素12から出力される複数ビットのデジタル信号をビット毎に転送するための複数の信号線を含み得る。各行のデータ線16は、読み出し回路部50に接続されている。
【0016】
画素部10の画素アレイの各列には、第1の方向と交差する第2の方向(
図1において縦方向)に延在して、制御線18が配されている。制御線18は、第2の方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。制御線18の延在する第2の方向は、列方向或いは垂直方向と表記することがある。制御線18の各々は、複数種類の制御信号を画素12に供給するための複数の信号線を含み得る。各行の制御線18は、水平走査回路部60に接続されている。
【0017】
垂直走査回路部40は、制御パルス生成部80から出力される制御信号を受け、画素12を駆動するための制御信号を生成し、制御線14を介して画素12に供給する機能を備える制御部である。垂直走査回路部40には、シフトレジスタやアドレスデコーダといった論理回路が用いられ得る。垂直走査回路部40は、画素部10の画素12に行単位で順次制御信号を供給し、画素部10の画素12を行単位で順次駆動する。
【0018】
水平走査回路部60は、制御パルス生成部80から出力される制御信号を受け、画素12を駆動するための制御信号を生成し、制御線18を介して画素12に供給する機能を備える制御部である。水平走査回路部60には、シフトレジスタやアドレスデコーダといった論理回路が用いられ得る。水平走査回路部60は、画素部10内の画素12を列単位で順次走査し、各画素12が保持する画素信号を、データ線16を介して読み出し回路部50へと出力する。
【0019】
読み出し回路部50は、画素部10の画素アレイの各行に対応して設けられた複数の判定回路及び複数の保持部(図示せず)を有する。読み出し回路部50は、データ線16を介して画素部10から行単位で出力される各列の画素12の画素信号を対応する列の保持部にて保持する機能を備える。読み出し回路部50は、制御パルス生成部80から制御線58を介して供給される制御信号を受け、各行の保持部に保持されている画素信号を順次出力回路部70へと出力する。
【0020】
出力回路部70は、外部インターフェース回路を有し、読み出し回路部50から出力された画素信号を光電変換装置100の外部へ出力するための回路部である。出力回路部70が備える外部インターフェース回路は、特に限定されるものではない。外部インターフェース回路には、例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)回路、SLVS(Scalable Low Voltage Signaling)回路等のSerDes(SERializer/DESerializer)送信回路を適用可能である。
【0021】
制御パルス生成部80は、垂直走査回路部40、読み出し回路部50、水平走査回路部60の動作やそのタイミングを制御する制御信号を生成し、各機能ブロックに供給するための制御回路である。なお、垂直走査回路部40、読み出し回路部50、水平走査回路部60の動作やそのタイミングを制御する制御信号の少なくとも一部は、光電変換装置100の外部から供給してもよい。
【0022】
なお、光電変換装置100の各機能ブロックの接続態様は
図1の構成例に限定されるものではなく、例えば
図2に示すように構成することもできる。
【0023】
図2の構成例では、画素部10の画素アレイの各列に、第2の方向に延在するデータ線16を配している。データ線16は、第2の方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。各列のデータ線16は、読み出し回路部50に接続されている。
【0024】
読み出し回路部50は、データ線16を介して出力される画素信号を受ける受信回路であり、データ線16を介して画素部10から行単位で出力される各列の画素12の画素信号を対応する行の保持部にて保持する機能を備える。読み出し回路部50は、画素部10の画素アレイの各列に対応して設けられた複数の判定回路及び複数の保持部(図示せず)を有する。
【0025】
水平走査回路部60は、制御パルス生成部80から出力される制御信号を受け、読み出し回路部50の各列の保持部から画素信号を読み出すための制御信号を生成し、読み出し回路部50に供給する。水平走査回路部60は、読み出し回路部50の各列の保持部を順次走査し、各々に保持されている画素信号を順次出力回路部70へと出力する。
図2の構成例におけるその他の機能ブロックは、
図1の構成例と同様であり得る。
【0026】
各々の画素12は、
図3に示すように、光電変換部20と、画素信号処理部30と、を有する。光電変換部20は、光子検知素子22と、クエンチ素子24と、を有する。画素信号処理部30は、波形整形回路32と、処理回路34と、画素出力回路36と、を有する。
【0027】
光子検知素子22は、アバランシェフォトダイオード(以下、「APD」と表記する)であり得る。光子検知素子22を構成するAPDのアノードは、電圧VLが供給されるノードに接続されている。光子検知素子22を構成するAPDのカソードは、クエンチ素子24の一方の端子に接続されている。光子検知素子22とクエンチ素子24との接続ノードが、光電変換部20の出力ノードである。クエンチ素子24の他方の端子は、電圧VLよりも高い電圧VHが供給されるノードに接続されている。電圧VL及び電圧VHは、APDがアバランシェ増倍動作をするに十分な逆バイアス電圧が印加されるように設定されている。一例では、電圧VLとして負の高電圧が与えられ、電圧VHとして電源電圧程度の正電圧が与えられる。例えば、電圧VLは-30Vであり、電圧VHは1Vである。
【0028】
光子検知素子22は、前述のようにAPDにより構成され得る。アバランシェ増倍動作をするに十分な逆バイアス電圧をAPDに供給した状態とすることで、APDへの光入射によって生じた電荷がアバランシェ増倍を起こし、アバランシェ電流が発生する。APDに逆バイアス電圧を供給した状態における動作モードには、ガイガーモードとリニアモードとがある。ガイガーモードは、アノードとカソードとの間に印加する電圧をAPDの降伏電圧よりも大きい逆バイアス電圧とする動作モードである。リニアモードは、アノードとカソードとの間に印加する電圧をAPDの降伏電圧近傍又はそれ以下の逆バイアス電圧とする動作モードである。ガイガーモードで動作させるAPDは、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)と呼ばれる。光子検知素子22を構成するAPDは、リニアモードで動作するようにしてもよいし、ガイガーモードで動作するようにしてもよい。特に、SPADはリニアモードのAPDに比べて電位差が大きくなり耐圧の効果が顕著となるため好ましい。
【0029】
クエンチ素子24は、光子検知素子22で生じたアバランシェ電流の変化を電圧信号に変換する機能を備える。また、クエンチ素子24は、アバランシェ増倍による信号増倍時に負荷回路(クエンチ回路)として機能し、光子検知素子22に印加される電圧を低減してアバランシェ増倍を抑制する機能を備える。クエンチ素子24がアバランシェ増倍を抑制する動作は、クエンチ動作と呼ばれる。また、クエンチ素子24は、クエンチ動作によって電圧降下した分の電流を流すことにより、光子検知素子22に供給する電圧を電圧VHへと戻す機能を備える。クエンチ素子24が光子検知素子22に供給する電圧を電圧VHへと戻す動作は、リチャージ動作と呼ばれる。クエンチ素子24は、抵抗素子やMOSトランジスタなどにより構成され得る。
【0030】
波形整形回路32は、光電変換部20の出力信号が供給される入力ノードと、出力ノードと、を有する。波形整形回路32は、光電変換部20から供給されるアナログ信号をパルス信号に変換する機能を備える。波形整形回路32は、NOT回路(インバータ回路)、NOR回路、NAND回路等を含む論理回路により構成され得る。波形整形回路32の出力ノードは、処理回路34に接続されている。
【0031】
処理回路34は、波形整形回路32の出力信号が供給される入力ノードと、制御線14に接続された入力ノードと、出力ノードと、を備え得る。処理回路34は、波形整形回路32から出力されるパルス信号に対して所定の処理を行う機能ブロックであり、一例としてカウンタが挙げられる。処理回路34がカウンタの場合、処理回路34は、波形整形回路32から出力される信号に重畳するパルスを計数し、計数結果であるカウント値を保持する機能を備え得る。垂直走査回路部40から制御線14を介して処理回路34に供給される信号には、パルスの計数期間(露光期間)を制御するためのイネーブル信号や、処理回路34が保持するカウント値をリセットするためのリセット信号などが含まれ得る。処理回路34の出力ノードは、画素出力回路36を介してデータ線16に接続されている。
【0032】
画素出力回路36は、処理回路34とデータ線16との間の電気的な接続状態(接続又は非接続)を切り替える機能を備える。画素出力回路36は、水平走査回路部60から制御線18を介して供給される制御信号(
図2の構成例にあっては、垂直走査回路部40から制御線14を介して供給される制御信号)に応じて、処理回路34とデータ線16との間の接続状態を切り替える。画素出力回路36は、信号を出力するためのバッファ回路を含み得る。
【0033】
画素12は、典型的には、画像を形成するための画素信号を出力する単位構造体である。ただし、TOF(Time of Flight)方式を用いた測距などを目的とする場合にあっては、画素12は、必ずしも画像を形成するための画素信号を出力する単位構造体である必要はない。すなわち、画素12は、光が到達した時刻と光量とを測定するための信号を出力する単位構造体でもあり得る。
【0034】
なお、画素信号処理部30は、必ずしも各々の画素12に1つずつ設けられている必要はなく、複数の画素12に対して1つの画素信号処理部30を設けるようにしてもよい。この場合、1つの画素信号処理部30を用い、複数の画素12の信号処理を順次実行することができる。
【0035】
本実施形態による光電変換装置100は、1枚の基板に形成してもよいし、複数の基板を積層した積層型の光電変換装置として構成してもよい。後者の場合、例えば
図4に示すように、センサ基板110と回路基板120とを積層して電気的に接続した積層型の光電変換装置として構成可能である。センサ基板110には、画素12の構成要素のうち少なくとも光子検知素子22を配置することができる。また、回路基板120には、画素12の構成要素のうち、クエンチ素子24と画素信号処理部30とを配置することができる。光子検知素子22とクエンチ素子24及び画素信号処理部30とは、画素12毎に設けられた接続配線を介して電気的に接続される。また、回路基板120には、垂直走査回路部40、読み出し回路部50、水平走査回路部60、出力回路部70、制御パルス生成部80等を更に配置することができる。
【0036】
各画素12の光子検知素子22とクエンチ素子24及び画素信号処理部30とは、平面視において重なるようにセンサ基板110と回路基板120とに設けられる。垂直走査回路部40、読み出し回路部50、水平走査回路部60、出力回路部70、制御パルス生成部80は、複数の画素12により構成される画素部10の周囲に配置することができる。なお、本明細書において「平面視」とは、センサ基板110の光入射面に対して垂直な方向から視ることを指す。
【0037】
積層型の光電変換装置100を構成することにより、素子の集積度を上げ、高機能化を図ることができる。特に、光子検知素子22とクエンチ素子24及び画素信号処理部30とを別々の基板に配置することで、光子検知素子22の受光面積を犠牲にすることなく光子検知素子22を高密度で配置することができ、光子検知効率を向上することができる。
【0038】
なお、光電変換装置100を構成する基板の数は2枚に限定されるものではなく、3枚以上の基板を積層して光電変換装置100を構成するようにしてもよい。
【0039】
また、
図4ではセンサ基板110及び回路基板120としてダイシングされたチップを想定しているが、センサ基板110及び回路基板120はチップに限定されるものではない。例えば、センサ基板110及び回路基板120の各々はウェーハであってもよい。また、センサ基板110及び回路基板120は、ウェーハ状態で積層した後にダイシングしてもよいし、各々をチップ化した後に積層・接合してもよい。
【0040】
図5は、光電変換部20及び波形整形回路32の基本動作を説明する図である。
図5(a)は光電変換部20及び波形整形回路32の回路図であり、
図5(b)は波形整形回路32の入力ノード(ノードA)における信号の波形を示し、
図5(c)は波形整形回路32の出力ノード(ノードB)における信号の波形を示している。
【0041】
時刻t0において、光子検知素子22には(VH-VL)に相当する電位差の逆バイアス電圧が印加されている。光子検知素子22を構成するAPDのアノードとカソードとの間にはアバランシェ増倍を生じるに十分な逆バイアス電圧が印加されているが、光子検知素子22に光子が入射していない状態ではアバランシェ増倍の種となるキャリアが存在しない。そのため、光子検知素子22においてアバランシェ増倍は起こらず、光子検知素子22に電流は流れない。
【0042】
続く時刻t1において、光子検知素子22に光子(フォトン)が入射したものとする。光子検知素子22に光子が入射すると、光電変換によって電子-正孔対が生成され、これらキャリアを種としてアバランシェ増倍が生じ、光子検知素子22にアバランシェ増倍電流が流れる。このアバランシェ増倍電流がクエンチ素子24を流れることによりクエンチ素子24による電圧降下が生じ、ノードAの電圧が降下し始める。ノードAの電圧降下量が大きくなり、時刻t3においてアバランシェ増倍が停止すると、ノードAの電圧レベルはそれ以上降下しなくなる。
【0043】
光子検知素子22におけるアバランシェ増倍が停止すると、電圧VLが供給されるノードから光子検知素子22を介してノードAに電圧降下分を補う電流が流れ、ノードAの電圧は徐々に増加する。その後、時刻t5においてノードAは元の電圧レベルに静定する。
【0044】
波形整形回路32は、ノードAから入力される信号を所定の判定閾値に応じて二値化し、ノードBから出力する。具体的には、波形整形回路32は、ノードAの電圧レベルが判定閾値を超えているときはノードBからLowレベルの信号を出力し、ノードAの電圧レベルが判定閾値以下のときはノードBからHighレベルの信号を出力する。例えば、
図5(b)に示すように、時刻t2から時刻t4の期間においてノードAの電圧が判定閾値以下であるとする。この場合、
図5(c)に示すように、ノードBにおける信号レベルは、時刻t0から時刻t2の期間及び時刻t4から時刻t5の期間においてLowレベルとなり、時刻t2から時刻t4の期間においてHighレベルとなる。
【0045】
こうして、ノードAから入力されたアナログ信号は、波形整形回路32によってデジタル信号へと波形整形される。光子検知素子22への光子の入射に応じて波形整形回路32から出力されるパルス信号が、光子検知パルス信号である。
【0046】
処理回路34がカウンタを構成している場合、処理回路34は、このようにして波形整形回路32から出力される光子検知パルス信号を計数し、計数値をデジタル信号として保持する。画素出力回路36は、水平走査回路部60から制御線18を介して供給される制御信号に応じて、処理回路34が保持するデジタル信号(画素信号)を、データ線16へと出力する。
【0047】
図6は、画素部10と読み出し回路部50との間の接続の概略を示す図である。
図6には、
図1の構成例を想定した場合の接続関係を示している。
図2の構成例の場合、行と列とが入れ替わるが基本的には同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0048】
画素部10には、前述のように、複数の行及び複数の列をなすように、複数の画素12が配されている。
図6では図面の簡略化のため左上の画素12についてのみ内部回路を記載しているが、他の画素12も同様である。画素アレイの各行には、行方向に配されたデータ線16が設けられている。なお、
図6にはデータ線16として各行に1本の信号線を示しているが、画素12から出力される画素信号はデジタル信号であり、各行のデータ線16は画素信号のビット数に対応した複数の信号線を含む。
【0049】
読み出し回路部50は、データ線16の各々に接続されたリセット回路52と、判定回路54と、を備え得る。なお、
図6では記載を省略しているが、読み出し回路部50は、画素アレイの各行に対応して、画素信号のビット数に応じた複数のリセット回路52及び複数の判定回路54を有している。判定回路54の後段には、判定回路54による判定の結果に応じた“0”又は“1”の情報を保持するメモリ(図示せず)が設けられている。
【0050】
図7は、画素出力回路36及びリセット回路52の構成例を示す回路図である。画素出力回路36は、例えば
図7に示すように、N型トランジスタMN11,MN12を有するオープンドレインバッファ回路により構成され得る。また、リセット回路52は、P型トランジスタMP21により構成され得る。
【0051】
N型トランジスタMN11のゲートは、処理回路34の出力ノードに接続されている。N型トランジスタMN11のソースは、基準電圧ノードに接続されている。N型トランジスタMN11のドレインは、N型トランジスタMN12のソースに接続されている。N型トランジスタMN12のドレインは、データ線16に接続されている。N型トランジスタMN12のゲートは、制御線18に接続されている。N型トランジスタMN12のゲートには、水平走査回路部60から制御線18を介して制御信号P_SELが供給される。P型トランジスタMP21のソースは、電源電圧ノード(電圧Vdd)に接続されている。P型トランジスタMP21のドレインは、データ線16に接続されている。P型トランジスタMP21のゲートは、制御線58に接続されている。P型トランジスタMP21のゲートには、制御パルス生成部80から制御線58を介して制御信号P_RESが供給される。データ線16に接続された容量Cpは、データ線16の配線寄生容量を表している。
【0052】
次に、画素出力回路36及びリセット回路52における画素信号の読み出し動作について、
図7を用いて説明する。
【0053】
まず、制御パルス生成部80から制御線58を介してLowレベルの制御信号P_RESを供給し、P型トランジスタMP21をオンにする。これにより、データ線16がP型トランジスタMP21を介して電源電圧ノードに接続され、配線寄生容量Cpに電圧Vddがチャージされる。すなわち、データ線16が電圧Vddにリセットされる。
【0054】
次いで、水平走査回路部60から制御線18を介してHighレベルの制御信号P_SELを供給し、N型トランジスタMN12をオンにする。これにより、N型トランジスタMN11のドレインがN型トランジスタMN12を介してデータ線16に接続される。
【0055】
次いで、処理回路34の出力信号(処理回路34が保持する画素信号)をN型トランジスタMN11のゲートに供給する。これにより、N型トランジスタMN11は、処理回路34の出力信号のレベルに応じてオン又はオフになる。なお、N型トランジスタMN12は、処理回路34の出力信号をN型トランジスタMN11のゲートに供給した後にオンにしてもよい。
【0056】
このとき、N型トランジスタMN11がオフであれば、データ線16の電圧は電圧Vddのまま保持される。一方、N型トランジスタMN11がオンであれば、配線寄生容量Cpに蓄積された電荷がN型トランジスタMN12,MN11を介して引き抜かれ、データ線16の電圧は基準電圧へと降下する。
【0057】
次いで、一定時間経過した後、判定回路54はデータ線16の電圧レベルを検知する。判定回路54は、データ線16の電圧が電圧VddであればLowレベルの信号を出力し、データ線16が電圧Vddよりも低い電圧であればHighレベルの信号を出力する。このようにして、画素12からの画素信号の読み出し動作が実行される。
【0058】
ここで、画素出力回路36及びリセット回路52を構成するMOSトランジスタに好適な特性について説明する。
【0059】
MOSトランジスタに求められる代表的な特性としては、オフリーク電流が少ないことや駆動力が高いことが挙げられる。オフリーク電流(サブスレショルドリーク電流とも言う)とは、MOSトランジスタのゲート電圧が閾値電圧未満の電圧領域(サブスレショルド領域)においてソース-ドレイン間に流れる電流である。オフリーク電流が少ないことは、スタンバイ電流が少ないことを意味し、消費電力の低減に寄与し得る。駆動力が高いことは、オン抵抗が低くオン電流が多いことを意味し、高速動作に寄与し得る。
【0060】
しかしながら、これら特性はトレードオフの関係にあり、両立することは難しい。例えば、オフリーク電流及び駆動力に関係するパラメータの1つとして閾値電圧が挙げられる。閾値電圧を下げれば駆動力は向上できるが、オフリーク電流は増加する。逆に、閾値電圧を上げればオフリーク電流は低減できるが、駆動力は低下する。したがって、光電変換装置100の各部の回路を構成するトランジスタは、各々の回路に求められる特に重要な特性に着目し、設計することが望ましい。
【0061】
画素出力回路36は、処理回路34の出力信号に応じてデータ線16を電源電圧及び基準電圧のうちの一方の電圧に収束させる機能を備える。ここで、データ線16には列数或いは行数に応じた複数の画素12、すなわち多数のトランジスタが接続されているため、データ線16に連なる寄生容量は大きい。また、データ線16は配線長が長く、寄生抵抗も大きい。そのため、画素出力回路36には、高負荷配線上の信号を駆動しうる駆動力の高いトランジスタで構成することが求められる。したがって、画素出力回路36のトランジスタは、閾値電圧を下げ、駆動力を向上することが好ましい。
【0062】
処理回路34や画素出力回路36を構成するトランジスタは、高性能化や高機能化の観点から微細なMOSトランジスタによって構成される。そのため、N型トランジスタMN11,MN12のトランジスタの閾値電圧を下げることによるオフリーク電流の増加は避けられない。しかしながら、N型トランジスタMN11,MN12に流れる電流は、電源電圧ノードからP型トランジスタMP21及びデータ線16を介してこれらトランジスタに流れ込む電流である。換言すると、N型トランジスタMN11,MN12及びP型トランジスタMP21の各々は、電源電圧ノードからデータ線16を介して基準電圧ノードへと至る電気的経路の一部を構成している。つまり、N型トランジスタMN11,MN12に流れるオフリーク電流は、N型トランジスタMN11,MN12及びP型トランジスタMP21のうち最もオフリーク電流の少ないトランジスタのオフリーク電流と同じになる。したがって、P型トランジスタMP21をオフリーク電流の少ないトランジスタで構成すれば、仮にN型トランジスタMN11,MN12をオフリーク電流の多いトランジスタで構成しても、結果として流れるオフリーク電流を低減することができる。
【0063】
このような観点から、リセット回路52を構成するトランジスタ(P型トランジスタMP21)は、画素出力回路36を構成するトランジスタ(N型トランジスタMN11,MN12)よりもオフリーク電流が少ないことが好ましい。換言すると、リセット回路52を構成するトランジスタ(P型トランジスタMP21)の閾値電圧の絶対値は、画素出力回路36を構成するトランジスタ(N型トランジスタMN11,MN12)の閾値電圧の絶対値よりも大きいことが好ましい。
【0064】
なお、リセット回路52は、データ線16の電位を電源電圧にリセットする機能を備える。そのため、リセット回路52を構成するトランジスタは、画素出力回路36を構成するトランジスタと同様、高負荷の配線を駆動しうる駆動力の高いトランジスタで構成することが好ましい。リセット回路52により高い駆動力が求められる場合には、リセット回路52を構成するトランジスタの素子サイズ(ゲート幅)を大きくして駆動力を高めるとよい。リセット回路52における集積度は画素部10における集積度よりも低いため、リセット回路52を構成するトランジスタのサイズを大きくして駆動力を確保することによる回路規模への影響は少ない。したがって、このように構成することで、リセット回路52を構成するトランジスタについてオフリーク電流を低減しつつ駆動力を改善することも可能である。
【0065】
リセット回路52のトランジスタの閾値電圧を画素出力回路36のトランジスタの閾値電圧よりも高くする方法は特に限定されるものではなく、例えば、以下に示すいずれかの方法やこれらの方法の組み合わせによって実現することが可能である。
【0066】
図8(a)は、画素出力回路36を構成するトランジスタの構成例を示す概略図である。
図8(b)乃至
図8(f)は、リセット回路52を構成するトランジスタの構成例を示す概略図である。
図8(a)乃至
図8(f)に示す各トランジスタは、ウェル130の表面部に設けられたソース/ドレイン領域132と、エクステンション領域134(LDD領域)と、チャネルドープ層136と、を有する。また、各トランジスタは、ウェル130の上に設けられたゲート絶縁膜138と、ゲート絶縁膜138の上に設けられたゲート電極140と、を有する。なお、ウェル130はトランジスタの導電型と逆の導電型である。すなわち、P型のウェル130上にはN型トランジスタが形成され、N型のウェル130上にはP型トランジスタが形成される。さらに、チャネルドープ層136は、トランジスタの導電型と同じ導電型の不純物が添加された領域である。すなわち、チャネルドープ層136は、N型トランジスタであればN型不純物が添加された領域であり、P型トランジスタであればP型不純物が添加された領域である。あるいは、トランジスタの導電型と逆の導電型の不純物が添加されてもよい。すなわち、チャネルドープ層136は、N型トランジスタであればP型不純物が添加された領域であり、P型トランジスタであればN型不純物が添加された領域であってもよい。このとき、トランジスタの導電型と同じ導電型の不純物濃度が高いほど閾値電圧が低くなり、また、トランジスタの導電型と逆の導電型の不純物濃度が低いほど閾値電圧が低くなる。なお、
図8(a)乃至
図8(f)では各トランジスタが、エクステンション領域134、チャネルドープ領域132を有しているが、これらの構成は必須ではない。例えば、エクステンション領域134、チャネルドープ層136を有さないトランジスタにおいて、絶縁膜の厚みを変えることにより閾値電圧を変えてもよい。
【0067】
図8(b)に示すトランジスタでは、
図8(a)のトランジスタよりもゲート絶縁膜138を厚くしている。その他の点は、
図8(a)のトランジスタと同様である。
図8(c)に示すトランジスタでは、
図8(a)のトランジスタよりもゲート長を長くしている。その他の点は、
図8(a)のトランジスタと同様である。
図8(d)に示すトランジスタでは、
図8(a)のトランジスタよりもエクステンション領域134の濃度を低くしている。その他の点は、
図8(a)のトランジスタと同様である。
図8(e)に示すトランジスタでは、トランジスタの導電型と同じ導電型の不純物のチャネル領域における不純物濃度(チャネルドープ層136の不純物濃度)を、
図8(a)のトランジスタの場合よりも低くしている。あるいは、トランジスタの導電型と逆の導電型の不純物のチャネル領域における不純物濃度を、
図8(a)のトランジスタの場合よりも高くしている。その他の点は、
図8(a)のトランジスタと同様である。
図8(f)に示すトランジスタでは、
図8(a)のトランジスタにおけるエクステンション領域134よりも深部に、ソース/ドレイン領域132及びエクステンション領域134とは逆導電型のハロー注入層142を設けている。その他の点は、
図8(a)のトランジスタと同様である。
図8(b)乃至
図8(f)に示すいずれの構造においても、トランジスタの閾値電圧は
図8(a)のトランジスタよりも高くなる。
【0068】
また、画素部10や読み出し回路部50の他の機能ブロックを構成するトランジスタも、それらに求められる特性等に応じて適宜設計することが望ましい。
【0069】
処理回路34は、画素サイズの縮小や高機能化を図る観点から集積度を高くすることが求められるが、駆動力は求められない。したがって、処理回路34は、消費電力の低減の観点からオフリーク電流の少ないトランジスタで構成することが好ましい。画素出力回路36と比較すると、処理回路34を構成するトランジスタは、画素出力回路36を構成するトランジスタよりもオフリーク電流が少ないことが好ましい。換言すると、処理回路34を構成するトランジスタの閾値電圧の絶対値は、画素出力回路36を構成するトランジスタの閾値電圧の絶対値よりも大きいことが好ましい。
【0070】
判定回路54は、データ線16の電位レベルを判定する回路であり、画素出力回路36やリセット回路52に求められるような駆動力は要求されない。したがって、判定回路54は、消費電力の低減の観点からオフリーク電流の少ないトランジスタで構成することが好ましい。画素出力回路36と比較すると、判定回路54を構成するトランジスタは、画素出力回路36を構成するトランジスタよりもオフリーク電流が少ないことが好ましい。換言すると、判定回路54を構成するトランジスタの閾値電圧の絶対値は、画素出力回路36を構成するトランジスタの閾値電圧の絶対値よりも大きいことが好ましい。判定回路54の集積度は画素部10よりも低いため、判定回路54を構成するトランジスタは、素子サイズを大きくすることも可能である。
【0071】
波形整形回路32には電圧Vddよりも高い電圧が印加されるため、波形整形回路32は、処理回路34、画素出力回路36及び読み出し回路部50を構成するトランジスタよりも高耐圧のトランジスタにより構成される。高耐圧のトランジスタは、処理回路34や画素出力回路36を構成するトランジスタよりもゲート絶縁膜の厚いトランジスタであり得る。クエンチ素子24がトランジスタにより構成される場合は、波形整形回路32と同様、処理回路34、画素出力回路36及び読み出し回路部50を構成するトランジスタよりも高耐圧のトランジスタにより構成される。
【0072】
波形整形回路32及びクエンチ素子24は、電圧マージンを取らない電圧設計をクエンチ素子24の側で行う場合は、処理回路34を構成するトランジスタよりもオフリーク電流の少ないトランジスタで構成することが好ましい。また、処理回路34の集積度を最大化する設計の場合は、処理回路34を、波形整形回路32及びクエンチ素子24を構成するトランジスタよりもオフリーク電流の少ないトランジスタで構成することが好ましい。
【0073】
また、垂直走査回路部40、水平走査回路部60、出力回路部70及び制御パルス生成部80は、消費電力低減の観点からオフリーク電流の少ないトランジスタで構成することが好ましい。画素出力回路36と比較すると、垂直走査回路部40、水平走査回路部60、出力回路部70及び制御パルス生成部80を構成するトランジスタは、画素出力回路36を構成するトランジスタよりもオフリーク電流が少ないことが好ましい。
【0074】
このように、本実施形態によれば、光電変換装置の高機能化及び低消費電力化を実現することができる。
【0075】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による光電変換装置について、
図9を用いて説明する。第1実施形態による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
【0076】
画素出力回路36やリセット回路52は、第1実施形態において説明した構成に限定されるものではない。本実施形態では、画素出力回路36が差動信号を出力するオープンドレインバッファ回路により構成された光電変換装置について説明する。
【0077】
図9は、本実施形態による光電変換装置における画素出力回路36及びリセット回路52の構成例を示す回路図である。本実施形態において、処理回路34は、非反転信号を出力する非反転信号出力ノードと、反転信号を出力する反転信号出力ノードと、を有する。画素出力回路36は、N型トランジスタMN11A,MN12A,MN11B,MN12Bを有するオープンドレインバッファ回路により構成されている。リセット回路52は、P型トランジスタMP21,MP22,MP23により構成されている。データ線16は、一対のデータ線16A,16Bを有する。第1実施形態における判定回路54は、差動増幅回路56により構成されている。
【0078】
N型トランジスタMN11Aのゲートは、処理回路34の非反転信号出力ノードに接続されている。N型トランジスタMN11Aのソースは、基準電圧ノードに接続されている。N型トランジスタMN11Aのドレインは、N型トランジスタMN12Aのソースに接続されている。N型トランジスタMN12Aのドレインは、データ線16Aに接続されている。N型トランジスタMN12Aのゲートは、制御線18に接続されている。N型トランジスタMN12Aのゲートには、水平走査回路部60から制御線18を介して制御信号P_SELが供給される。
【0079】
同様に、N型トランジスタMN11Bのゲートは、処理回路34の反転信号出力ノードに接続されている。N型トランジスタMN11Bのソースは、基準電圧ノードに接続されている。N型トランジスタMN11Bのドレインは、N型トランジスタMN12Bのソースに接続されている。N型トランジスタMN12Bのドレインは、データ線16Bに接続されている。N型トランジスタMN12Bのゲートは、制御線18に接続されている。N型トランジスタMN12Bのゲートには、水平走査回路部60から制御線18を介して制御信号P_SELが供給される。
【0080】
P型トランジスタMP21のソース及びP型トランジスタMP22のソースは、電源電圧ノード(電圧Vdd)に接続されている。P型トランジスタMP21のドレインは、データ線16Bに接続されている。P型トランジスタMP22のドレインは、データ線16Aに接続されている。P型トランジスタMP23のソースは、データ線16Aに接続されている。P型トランジスタMP23のドレインは、データ線16Bに接続されている。P型トランジスタMP21,MP22,MP23のゲートは、制御線58に接続されている。P型トランジスタMP21,MP22,MP23のゲートには、制御パルス生成部80から制御線58を介して制御信号P_RESが供給される。なお、リセット回路52は、P型トランジスタMP21,MP22,MP23のうち、少なくともいずれか2つを有していればよい。
【0081】
データ線16Aは、差動増幅回路56の反転入力ノードに接続されている。データ線16Bは、差動増幅回路56の非反転入力ノードに接続されている。
【0082】
次に、画素出力回路36及びリセット回路52における画素信号の読み出し動作について、
図9を用いて説明する。
【0083】
まず、制御パルス生成部80から制御線58を介してLowレベルの制御信号P_RESを供給し、P型トランジスタMP21,MP22,MP23をオンにする。これにより、データ線16A,16BがP型トランジスタMP21,MP22,MP23を介して電源電圧ノードに接続され、データ線16A,16Bの配線寄生容量に電圧Vddがチャージされる。すなわち、データ線16A,16Bが電圧Vddにリセットされる。
【0084】
次いで、水平走査回路部60から制御線18を介してHighレベルの制御信号P_SELを供給し、N型トランジスタMN12A,MN12Bをオンにする。これにより、N型トランジスタMN11AのドレインがN型トランジスタMN12Aを介してデータ線16Aに接続され、N型トランジスタMN11BのドレインがN型トランジスタMN12Bを介してデータ線16Bに接続される。
【0085】
次いで、処理回路34の出力信号をN型トランジスタMN11A,MN11Bのゲートに供給する。これにより、N型トランジスタMN11A,MN11Bは、処理回路34の出力信号のレベルに応じてオン又はオフになる。なお、N型トランジスタMN12A,MN12Bは、処理回路34の出力信号をN型トランジスタMN11A,MN11Bのゲートに供給した後にオンにしてもよい。
【0086】
このとき、N型トランジスタMN11Aがオフ、N型トランジスタMN11Bがオンであれば、データ線16Aの電圧は電圧Vddのまま保持され、データ線16Bの電圧は基準電圧へと降下する。一方、N型トランジスタMN11Aがオン、N型トランジスタMN11Bがオフであれば、データ線16Aの電圧は基準電圧へと降下し、データ線16Bの電圧は電圧Vddのまま保持される。
【0087】
次いで、一定時間経過した後、差動増幅回路56はデータ線16A,16Bの電圧レベルを検知する。差動増幅回路56は、データ線16Bの電圧がデータ線16Aの電圧よりも高ければHighレベルの信号を出力し、データ線16Aの電圧がデータ線16Bの電圧よりも高ければLowレベルの信号を出力する。
【0088】
画素出力回路36及びリセット回路52を構成するMOSトランジスタに好適な特性は、第1実施形態の場合と同様である。すなわち、リセット回路52を構成するトランジスタは、画素出力回路36を構成するトランジスタよりもオフリーク電流が少ないことが好ましい。トランジスタの閾値電圧で比較すると、リセット回路52を構成するトランジスタの閾値電圧の絶対値は、画素出力回路36を構成するトランジスタの閾値電圧の絶対値よりも高いことが好ましい。ここで言うリセット回路52を構成するトランジスタには、P型トランジスタMP21,MP22,MP23が含まれる。また、画素出力回路36を構成するトランジスタには、N型トランジスタMN11A,MN12A,MN11B,MN12Bが含まれる。
【0089】
また、光電変換装置100の他の機能ブロックを構成するトランジスタについても、第1実施形態の場合と同様である。例えば、処理回路34や差動増幅回路56を構成するトランジスタは、画素出力回路36を構成するトランジスタよりもオフリーク電流が少ないことが好ましい。トランジスタの閾値電圧で比較すると、処理回路34や差動増幅回路56を構成するトランジスタの閾値電圧の絶対値は、画素出力回路36を構成するトランジスタの閾値電圧の絶対値よりも高いことが好ましい。差動増幅回路56の集積度は画素部10よりも低いため、差動増幅回路56を構成するトランジスタは、素子サイズを大きくすることも可能である。クエンチ素子24や波形整形回路32を構成するトランジスタは、処理回路34、画素出力回路36及び読み出し回路部50を構成するトランジスタよりも高耐圧のトランジスタにより構成することが好ましい。
【0090】
このように、本実施形態によれば、光電変換装置の高機能化及び低消費電力化を実現することができる。
【0091】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による光検出システムについて、
図10を用いて説明する。
図10は、本実施形態による光検出システムの概略構成を示すブロック図である。本実施形態では、第1及び第2実施形態の光電変換装置100を適用した光検出センサについて説明する。
【0092】
上記第1及び第2実施形態で述べた光電変換装置100は、種々の光検出システムに適用可能である。適用可能な光検出システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などの撮像システムが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、光検出システムに含まれる。
図10には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0093】
図10に例示した光検出システム200は、光電変換装置201、被写体の光学像を光電変換装置201に結像させるレンズ202、レンズ202を通過する光量を可変にするための絞り204、レンズ202の保護のためのバリア206を有する。レンズ202及び絞り204は、光電変換装置201に光を集光する光学系である。光電変換装置201は、第1及び第2実施形態のいずれかで説明した光電変換装置100であって、レンズ202により結像された光学像を画像データに変換する。
【0094】
光検出システム200は、また、光電変換装置201より出力される出力信号の処理を行う信号処理部208を有する。信号処理部208は、光電変換装置201が出力するデジタル信号から画像データの生成を行う。また、信号処理部208は必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。光電変換装置201は、信号処理部208で処理されるデジタル信号を生成するAD変換部を備え得る。AD変換部は、光電変換装置201の光子検知素子が形成された半導体層(半導体基板)に形成されていてもよいし、光電変換装置201の光子検知素子が形成された半導体層とは別の半導体基板に形成されていてもよい。また、信号処理部208が光電変換装置201と同一の半導体基板に形成されていてもよい。
【0095】
光検出システム200は、更に、画像データを一時的に記憶するためのバッファメモリ部210、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)212を有する。更に光検出システム200は、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体214、記録媒体214に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)216を有する。なお、記録媒体214は、光検出システム200に内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。また、記録媒体制御I/F部216と記録媒体214との間の通信や外部I/F部212からの通信は無線によってなされてもよい。
【0096】
更に光検出システム200は、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部218、光電変換装置201と信号処理部208に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部220を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、光検出システム200は少なくとも光電変換装置201と、光電変換装置201から出力された出力信号を処理する信号処理部208とを有すればよい。タイミング発生部220は、光電変換装置201に搭載されていてもよい。また、全体制御・演算部218及びタイミング発生部220は、光電変換装置201の制御機能の一部又は全部を実施するように構成されていてもよい。
【0097】
光電変換装置201は、撮像信号を信号処理部208に出力する。信号処理部208は、光電変換装置201から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。信号処理部208は、撮像信号を用いて、画像を生成する。信号処理部208は、光電変換装置201から出力される信号に対して測距演算を行うように構成されていてもよい。
【0098】
このように、本実施形態によれば、第1及び第2実施形態の光電変換装置を用いて光検出システムを構成することにより、より良質の画像が取得可能な光検出システムを実現することができる。
【0099】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による距離画像センサについて、
図11を用いて説明する。
図11は、本実施形態による距離画像センサの概略構成を示すブロック図である。本実施形態では、第1及び第2実施形態の光電変換装置100を適用した光検出システムの一例として距離画像センサを説明する。
【0100】
本実施形態による距離画像センサ300は、
図11に示すように、光学系302と、光電変換装置304と、画像処理回路306と、モニタ308と、メモリ310と、を含んで構成され得る。この距離画像センサ300は、光源装置320から被写体330に向かって照射され被写体330の表面で反射された光(変調光やパルス光)を受光し、被写体330までの距離に応じた距離画像を取得するものである。
【0101】
光学系302は、1枚又は複数枚のレンズにより構成され、被写体330からの像光(入射光)を光電変換装置304の受光面(センサ部)に結像させる役割を有する。
【0102】
光電変換装置304は、第1及び第2実施形態のいずれかで説明した光電変換装置100であって、被写体330からの像光に基づいて被写体330までの距離を示す距離信号を生成し、生成した距離信号を画像処理回路306へと供給する機能を備える。
【0103】
画像処理回路306は、光電変換装置304から供給された距離信号に基づいて距離画像を構築する画像処理を行う機能を備える。
【0104】
モニタ308は、画像処理回路306における画像処理によって得られた距離画像(画像データ)を表示する機能を備える。また、メモリ310は、画像処理回路306における画像処理によって得られた距離画像(画像データ)を記憶(記録)する機能を備える。
【0105】
このように、本実施形態によれば、第1及び第2実施形態の光電変換装置を用いて距離画像センサを構成することにより、画素12の特性向上に相俟って、より正確な距離情報を含む距離画像を取得可能な距離画像センサを実現することができる。
【0106】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による内視鏡手術システムについて、
図12を用いて説明する。
図12は、本実施形態による内視鏡手術システムの構成例を示す概略図である。本実施形態では、第1及び第2実施形態の光電変換装置100を適用した光検出システムの一例として内視鏡手術システムを説明する。
【0107】
図12には、術者(医師)460が、内視鏡手術システム400を用いて、患者ベッド470上の患者472に手術を行っている様子が図示されている。
【0108】
本実施形態の内視鏡手術システム400は、
図12に示すように、内視鏡410と、術具420と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート430と、を含んで構成され得る。カート430には、CCU(カメラコントロールユニット:Camera Control Unit)432、光源装置434、入力装置436、処置具制御装置438、表示装置440などが搭載され得る。
【0109】
内視鏡410は、先端から所定の長さの領域が患者472の体腔内に挿入される鏡筒412と、鏡筒412の基端に接続されるカメラヘッド414と、を含んで構成される。
図12には、硬性の鏡筒412を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡410を図示しているが、内視鏡410は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。内視鏡410は、アーム416により移動可能な状態で保持されている。
【0110】
鏡筒412の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡410には光源装置434が接続されており、光源装置434によって生成された光が、鏡筒412の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者472の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡410は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0111】
カメラヘッド414の内部には図示しない光学系及び光電変換装置が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該光電変換装置に集光される。当該光電変換装置は、観察光を光電変換し、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号を生成する。当該光電変換装置としては、第1及び第2実施形態のいずれかで説明した光電変換装置100を用いることができる。当該画像信号は、RAWデータとしてCCU432に送信される。
【0112】
CCU432は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡410及び表示装置440の動作を統括的に制御する。更に、CCU432は、カメラヘッド414から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0113】
表示装置440は、CCU432からの制御により、当該CCU432によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0114】
光源装置434は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡410に供給する。
【0115】
入力装置436は、内視鏡手術システム400に対する入力インターフェースである。ユーザは、入力装置436を介して、内視鏡手術システム400に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。
【0116】
処置具制御装置438は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具450の駆動を制御する。
【0117】
内視鏡410に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置434は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置434において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド414の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0118】
また、光源装置434は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド414の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0119】
また、光源装置434は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用する。具体的には、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置434は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0120】
このように、本実施形態によれば、第1及び第2実施形態の光電変換装置を用いて内視鏡手術システムを構成することにより、より良質の画像が取得可能な内視鏡手術システムを実現することができる。
【0121】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による光検出システム及び移動体について、
図13乃至
図15を用いて説明する。
図13は、本実施形態による移動体の構成例を示す概略図である。
図14は、本実施形態による光検出システムの概略構成を示すブロック図である。
図15は、本実施形態による光検出システムの動作を示すフロー図である。本実施形態では、第1及び第2実施形態の光電変換装置100を適用した光検出システムとして、車載カメラへの適用例を示す。
【0122】
図13は、本実施形態による移動体(車両システム)の構成例を示す模式図である。
図13には、第1及び第2実施形態による光電変換装置を適用した光検出システムが組み込まれた車両システムの一例として、車両500(自動車)の構成を示している。
図13(a)は車両500の正面模式図であり、
図13(b)は車両500の平面模式図であり、
図13(c)は車両500の背面模式図である。車両500は、正面に一対の光電変換装置502を備えている。ここで、光電変換装置502は、第1及び第2実施形態のいずれかで説明した光電変換装置100である。また、車両500は、集積回路503、警報装置512及び主制御部513を備える。
【0123】
図14は、車両500に搭載された光検出システム501の構成例を示すブロック図である。光検出システム501は、光電変換装置502と、画像前処理部515と、集積回路503と、光学系514と、を含む。光電変換装置502は、第1及び第2実施形態のいずれかで説明した光電変換装置100である。光学系514は、光電変換装置502に被写体の光学像を結像する。光電変換装置502は、光学系514により結像された被写体の光学像を電気信号に変換する。画像前処理部515は、光電変換装置502から出力された信号に対して所定の信号処理を行う。画像前処理部515の機能は、光電変換装置502内に組み込まれていてもよい。光検出システム501には、光学系514、光電変換装置502及び画像前処理部515の組が、少なくとも2組設けられており、各組の画像前処理部515からの出力が集積回路503に入力されるようになっている。
【0124】
集積回路503は、撮像システム用途向けの集積回路であり、画像処理部504、光学測距部506、視差演算部507、物体認知部508、異常検出部509を含む。画像処理部504は、画像前処理部515から出力された画像信号を処理する。例えば、画像処理部504は、画像前処理部515の出力信号に対して、現像処理や欠陥補正等の画像処理を行う。画像処理部504は、画像信号を一時的に保持するメモリ505を備える。メモリ505には、例えば光電変換装置502内の既知の欠陥画素の位置が記憶され得る。
【0125】
光学測距部506は、被写体の合焦や測距を行う。視差演算部507は、複数の光電変換装置502により取得された複数の画像データ(視差画像)から測距情報(距離情報)の算出を行う。光電変換装置502の各々が、距離情報などの各種情報を取得可能な構成を備えていてもよい。物体認知部508は、車、道、標識、人等の被写体の認知を行う。異常検出部509は、光電変換装置502の異常を検出すると、主制御部513に異常を通知する。
【0126】
集積回路503は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0127】
主制御部513は、光検出システム501、車両センサ510、制御ユニット520等の動作を統括・制御する。なお、車両500が主制御部513を備えていなくてもよい。この場合、光電変換装置502、車両センサ510、制御ユニット520が通信ネットワークを介して制御信号の送受を行う。この制御信号の送受には、例えばCAN規格が適用され得る。
【0128】
集積回路503は、主制御部513からの制御信号を受け或いは自身の制御部によって、光電変換装置502へ制御信号や設定値を送信する機能を有する。
【0129】
光検出システム501は、車両センサ510に接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの自車両走行状態及び自車外環境や他車・障害物の状態を検出することができる。車両センサ510は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段でもある。また、光検出システム501は、自動操舵、自動巡行、衝突防止機能等の種々の運転支援を行う運転支援制御部511に接続されている。特に、衝突判定機能に関しては、光検出システム501や車両センサ510の検出結果を基に他車・障害物との衝突推定・衝突有無を判定する。これにより、衝突が推定される場合の回避制御、衝突時の安全装置起動を行う。
【0130】
また、光検出システム501は、衝突判定部での判定結果に基づいて、ドライバーに警報を発する警報装置512にも接続されている。例えば、衝突判定部の判定結果として衝突可能性が高い場合、主制御部513は、ブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして、衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置512は、音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムやメーターパネルなどの表示部画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0131】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を光検出システム501で撮影する。
図14(b)に、車両前方を光検出システム501で撮像する場合の光検出システム501の配置例を示す。
【0132】
光電変換装置502は、前述のように、車両500の前方に配される。具体的には、車両500の進退方位又は外形(例えば車幅)に対する中心線を対称軸に見立て、その対称軸に対して2つの光電変換装置502が線対称に配されると、車両500と被写対象物との間の距離情報の取得や衝突可能性の判定を行う上で好ましい。また、光電変換装置502は、運転者が運転席から車両500の外の状況を視認する際に運転者の視野を妨げない配置が好ましい。警報装置512は、運転者の視野に入りやすい配置が好ましい。
【0133】
次に、光検出システム501における光電変換装置502の故障検出動作について、
図15を用いて説明する。光電変換装置502の故障検出動作は、
図15に示すステップS110~S180に従って実施され得る。
【0134】
ステップS110は、光電変換装置502のスタートアップ時の設定を行うステップである。すなわち、光検出システム501の外部(例えば主制御部513)又は光検出システム501の内部から、光電変換装置502の動作のための設定を送信し、光電変換装置502の撮像動作及び故障検出動作を開始する。
【0135】
次いで、ステップS120において、有効画素から画素信号を取得する。また、ステップS130において、故障検出用に設けた故障検出画素からの出力値を取得する。この故障検出画素は、有効画素と同じく光電変換素子を備える。この光電変換素子には、所定の電圧が書き込まれる。故障検出用画素は、この光電変換素子に書き込まれた電圧に対応する信号を出力する。なお、ステップS120とステップS130とは逆でもよい。
【0136】
次いで、ステップS140において、故障検出画素の出力期待値と、実際の故障検出画素からの出力値との該非判定を行う。ステップS140における該非判定の結果、出力期待値と実際の出力値とが一致している場合は、ステップS150に移行し、撮像動作が正常に行われていると判定し、処理ステップがステップS160へと移行する。ステップS160では、走査行の画素信号をメモリ505に送信して一次保存する。そののち、ステップS120に戻り、故障検出動作を継続する。一方、ステップS140における該非判定の結果、出力期待値と実際の出力値とが一致していない場合は、処理ステップはステップS170に移行する。ステップS170において、撮像動作に異常があると判定し、主制御部513又は警報装置512に警報を通知する。警報装置512は、表示部に異常が検出されたことを表示させる。その後、ステップS180において光電変換装置502を停止し、光検出システム501の動作を終了する。
【0137】
なお、本実施形態では、1行毎にフローチャートをループさせる例を例示したが、複数行毎にフローチャートをループさせてもよいし、1フレーム毎に故障検出動作を行ってもよい。ステップS170の警報の発報は、無線ネットワークを介して、車両の外部に通知するようにしてもよい。
【0138】
また、本実施形態では、他の車両と衝突しない制御を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、光検出システム501は、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機或いは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0139】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態による光検出システムについて、
図16を用いて説明する。
図16は、本実施形態による光検出システムの構成例を示す概略図である。本実施形態では、第1及び第2実施形態の光電変換装置100を適用した光検出システムとして、眼鏡(スマートグラス)への適用例を説明する。
【0140】
図16(a)は、1つの適用例に係る眼鏡600(スマートグラス)を示している。眼鏡600は、レンズ601と、光電変換装置602と、制御装置603と、を有する。
【0141】
光電変換装置602は、第1及び第2実施形態のいずれかで説明した光電変換装置100であって、レンズ601に設けられている。光電変換装置602は1つでもよいし、複数でもよい。また、複数の光電変換装置602を用いる場合にあっては、複数種類の光電変換装置602を組み合わせて用いてもよい。光電変換装置602の配置位置は
図16(a)に限定されるものではない。レンズ601の裏面側には、OLEDやLED等の発光装置を含む表示装置(図示せず)が設けられていてもよい。
【0142】
制御装置603は、光電変換装置602と上記の表示装置に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置603は、光電変換装置602及び表示装置の動作を制御する機能を備える。レンズ601には、光電変換装置602に光を集光するための光学系が設けられている。
【0143】
図16(b)は、他の1つの適用例に係る眼鏡610(スマートグラス)を示している。眼鏡610は、レンズ611と、制御装置612と、を有する。制御装置612には、光電変換装置602に相当する不図示の光電変換装置と表示装置とが搭載され得る。
【0144】
レンズ611には、制御装置612内の光電変換装置と、表示装置からの光を投影するための光学系とが設けられており、画像が投影される。制御装置612は、光電変換装置及び表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、光電変換装置及び表示装置の動作を制御する機能を備える。
【0145】
制御装置612は、装着者の視線を検知する視線検知部を更に有してもよい。この場合、制御装置612に赤外発光部を設け、赤外発光部から発せられた赤外線を視線の検知に用いることができる。具体的には、赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減することができる。
【0146】
表示画像に対するユーザの視線は、赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から検出することができる。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザの視線が検出される。
【0147】
本実施形態の表示装置は、受光素子を有する光電変換装置を備え、光電変換装置からのユーザの視線情報に基づいて表示画像を制御するように構成されてもよい。具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザが注視する第1の視界領域と、第1の視界領域以外の第2の視界領域とを決定する。第1の視界領域及び第2の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定してもよい。外部の制御装置が決定する場合は、通信を介して表示装置に伝えられる。表示装置の表示領域において、第1の視界領域の表示解像度は、第2の視界領域の表示解像度よりも高くなるように制御してもよい。つまり、第2の視界領域の解像度は、第1の視界領域の解像度よりも低くしてもよい。
【0148】
また、表示領域は、第1の表示領域、第1の表示領域とは異なる第2の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第1の表示領域及び第2の表示領域から優先度が高い領域を決定するように構成されてもよい。第1の表示領域及び第2の表示領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定してもよい。外部の制御装置が決定する場合は、通信を介して表示装置に伝えられる。優先度の高い領域の解像度は、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高くなるように制御してもよい。つまり、優先度が相対的に低い領域の解像度は低くしてもよい。
【0149】
なお、第1の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、光電変換装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して表示装置に伝えられる。
【0150】
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する光電変換装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0151】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
【0152】
また、上記第1実施形態では、光子検知素子22のカソードとクエンチ素子24との間の接続ノードから信号を出力する構成としたが、光電変換部20の構成はこれに限定されるものではない。例えば、光子検知素子22のアノード側にクエンチ素子24を接続し、光子検知素子22のアノードとクエンチ素子24との間の接続ノードから信号を出力する構成としてもよい。
【0153】
また、光子検知素子22とクエンチ素子24との間や光電変換部20と画素信号処理部30との間にトランジスタ等のスイッチを設け、これらの間の電気的な接続状態を制御するようにしてもよい。また、電圧VHが供給されるノードとクエンチ素子24との間及び/又は電圧VLが供給されるノードと光子検知素子22との間にトランジスタ等のスイッチを設け、これらの間の電気的な接続状態を制御するようにしてもよい。
【0154】
また、上記第1実施形態では処理回路34としてカウンタを例示したが、処理回路34をTDC(時間・デジタル変換回路:Time to Digital Converter)とメモリとにより構成してもよい。この場合、波形整形回路32から出力されるパルス信号の発生タイミングを、TDCによってデジタル信号に変換する。TDCには、パルス信号のタイミングの測定時に、垂直走査回路部40から制御線14を介して制御パルスpREF(参照信号)が供給される。TDCは、制御パルスpREFを基準として、各画素12から出力された信号の入力タイミングを相対的な時間としたときの信号をデジタル信号として取得する。
【0155】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0156】
10…画素部
12…画素
14,18,58…制御線
16…データ線
20…光電変換部
22…光子検知素子
24…クエンチ素子
30…画素信号処理部
32…波形整形回路
34…処理回路
36…画素出力回路
40…垂直走査回路部
50…読み出し回路部
52…リセット回路
60…水平走査回路部
70…出力回路部
80…制御パルス生成部
100…光電変換装置