特許 7583910 アダプタ部材、電池単体、電池、電力使用装置、電池単体の製造方法および製造装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-11-06

(45)【発行日】2024-11-14

(54)【発明の名称】アダプタ部材、電池単体、電池、電力使用装置、電池単体の製造方法および製造装置

(51)【国際特許分類】

   H01M 50/533 20210101AFI20241107BHJP

   H01M 50/103 20210101ALI20241107BHJP

   H01M 50/176 20210101ALI20241107BHJP

   H01M 50/548 20210101ALI20241107BHJP

   H01M 50/567 20210101ALI20241107BHJP

   H01M 50/536 20210101ALI20241107BHJP

【ＦＩ】

H01M50/533

H01M50/103

H01M50/176

H01M50/548 101

H01M50/567

H01M50/536

【請求項の数】 12

(21)【出願番号】P 2023507603

(86)(22)【出願日】2021-09-30

(65)【公表番号】

(43)【公表日】2023-11-08

(86)【国際出願番号】 CN2021121994

(87)【国際公開番号】W WO2023050245

(87)【国際公開日】2023-04-06

【審査請求日】2023-02-03

(73)【特許権者】

【識別番号】524304976

【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司

【氏名又は名称原語表記】ＣＯＮＴＥＭＰＯＲＡＲＹ ＡＭＰＥＲＥＸ ＴＥＣＨＮＯＬＯＧＹ （ＨＯＮＧ ＫＯＮＧ） ＬＩＭＩＴＥＤ

【住所又は居所原語表記】ＬＥＶＥＬ １９， ＣＨＩＮＡ ＢＵＩＬＤＩＮＧ， ２９ ＱＵＥＥＮ’Ｓ ＲＯＡＤ ＣＥＮＴＲＡＬ， ＣＥＮＴＲＡＬ， ＣＥＮＴＲＡＬ ＡＮＤ ＷＥＳＴＥＲＮ ＤＩＳＴＲＩＣＴ， ＨＯＮＧ ＫＯＮＧ， ＣＨＩＮＡ

(74)【代理人】

【識別番号】110001818

【氏名又は名称】弁理士法人Ｒ＆Ｃ

(72)【発明者】

【氏名】肖 ▲海▼河

(72)【発明者】

【氏名】▲張▼ 小文

(72)【発明者】

【氏名】▲劉▼ ▲強▼

(72)【発明者】

【氏名】周 ▲錫▼根

(72)【発明者】

【氏名】林 明翔

(72)【発明者】

【氏名】▲鍾▼ ▲ウェイ▼

【審査官】窪田 陸人

(56)【参考文献】

【文献】米国特許出願公開第２０１５／０００４４４７（ＵＳ，Ａ１）

【文献】米国特許出願公開第２０１１／０１０４５６２（ＵＳ，Ａ１）

【文献】中国実用新案第２０８０１４７５３（ＣＮ，Ｕ）

【文献】中国実用新案第２０９３１２８８３（ＣＮ，Ｕ）

【文献】中国特許出願公開第１１３１１３７３８（ＣＮ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０１Ｍ ５０／５０－５０／５９８

Ｈ０１Ｍ ５０／１０－５０／１９８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

ハウジング、電極柱（２３）、電極アセンブリ（２２）およびアダプタ部材を含み、
前記アダプタ部材は、別体の第１アダプタシート（２６１）と第２アダプタシート（２６２）を含み、前記第１アダプタシート（２６１）は電極柱またはラグ中の一方に接続され、前記第２アダプタシート（２６２）は電極柱（２３）またはラグ（２２２）中の他方に接続され、前記第１アダプタシート（２６１）は大体第１方向（Ｚ）に沿って延伸し、前記第２アダプタシート（２６２）は大体第２方向（Ｘ）に沿って延伸し、前記第１方向（Ｚ）と前記第２方向（Ｘ）が交差し、前記第１アダプタシート（２６１）と前記第２アダプタシート（２６２）とが導電構造を介して接続され、
前記ハウジングは収容チャンバーを有し、前記電極アセンブリ（２２）は前記収容チャンバー内に収容され、前記ハウジングはケーシング（２１）およびエンドキャップ（２４）を含み、前記ケーシング（２１）は一体的に成形され、前記ケーシング（２１）は第２方向（Ｘ）に対向して設けられた２つの第１側壁（２１１）および第３方向（Ｙ）に対向して設けられた２つの第２側壁（２１２）を含み、前記２つの第１側壁（２１１）と前記２つの第２側壁（２１２）によって前記収容チャンバーが形成され、前記ケーシング（２１）は少なくとも第１方向（Ｚ）に開口（２１３）が設けられ、前記第１方向（Ｚ）、前記第２方向（Ｘ）と前記第３方向（Ｙ）は互いに垂直であり、前記電極アセンブリ（２２）は本体部（２２１）と前記本体部（２２１）から開口一側に延出するラグ（２２２）を含み、前記電極柱（２３）は前記第１側壁（２１１）に設けられ、前記エンドキャップ（２４）は前記開口に設けられて前記収容チャンバーを密閉し、前記第１アダプタシート（２６１）は前記電極柱（２３）に接続され、前記第２アダプタシート（２６２）は前記ラグ（２２２）に接続される、電池単体。

【請求項2】

前記電極柱（２３）は２つであり、２つの前記電極柱（２３）はそれぞれ２つの前記第１側壁（２１１）に設けられる、請求項１に記載の電池単体。

【請求項3】

前記ラグ（２２２）は正極ラグと負極ラグを含み、前記正極ラグと前記負極ラグは前記本体部（２２１）の同一側に設けられる、請求項１に記載の電池単体。

【請求項4】

前記電極柱（２３）はリベットまたは射出成形によって前記第１側壁（２１１）に形成される、請求項１に記載の電池単体。

【請求項5】

前記第１アダプタシート（２６１）は、第１本体セグメント（２６１１）と前記第１本体セグメント（２６１１）の端部に設けられた第１接続セグメント（２６１２）を含み、前記第１本体セグメント（２６１１）は前記電極柱（２３）またはラグ（２２２）中の一方に接続され、前記第１本体セグメント（２６１１）は前記第１方向（Ｚ）に沿って延伸し、前記第１接続セグメント（２６１２）は前記第２方向（Ｘ）に沿って延伸し、前記第１接続セグメント（２６１２）と前記第２アダプタシート（２６２）が接続される、請求項１に記載の電池単体。

【請求項6】

前記第２アダプタシート（２６２）は、第２本体セグメント（２６２１）および前記第１接続セグメント（２６１２）に接続された第２接続セグメント（２６２２）を含み、前記第２本体セグメント（２６２１）は前記電極柱（２３）またはラグ（２２２）中の他方に接続され、前記第１接続セグメント（２６１２）は前記第１本体セグメント（２６１１）に対して前記第２本体セグメント（２６２１）に近接する側に延伸し、または、前記第１接続セグメント（２６１２）は前記第１本体セグメント（２６１１）に対して前記第２本体セグメント（２６２１）から離間する側に延伸し、または、前記第２方向（Ｘ）に、前記第１接続セグメント（２６１２）は前記第１本体セグメント（２６１１）に対して両側に延伸する、請求項５に記載の電池単体。

【請求項7】

前記第１接続セグメント（２６１２）と前記第１本体セグメント（２６１１）は一体的に成形される、請求項５または６に記載の電池単体。

【請求項8】

前記導電構造は、溶接構造、導電性ゴム接着構造、リベット構造または導電デバイスを有する、請求項１に記載の電池単体。

【請求項9】

請求項１～８のいずれか１項に記載の電池単体を含む、電池。

【請求項10】

請求項９に記載の電池を含む、電力使用装置。

【請求項11】

以下のステップを含む電池単体の製造方法であって、
一体的に成形されたケーシング（２１）、電極柱（２３）およびエンドキャップ（２４）を用意し、前記ケーシング（２１）は少なくとも１つの第１方向（Ｚ）の開口（２１３）を有し、第２方向（Ｘ）に対向して設けられた２つの第１側壁（２１１）および第３方向（Ｙ）に対向して設けられた２つの第２側壁（２１２）を含み、前記２つの第１側壁（２１１）と前記２つの第２側壁（２１２）によって収容チャンバーが形成され、前記第１方向（Ｚ）、前記第２方向（Ｘ）と前記第３方向（Ｙ）は互いに垂直であり、
電極アセンブリ（２２）を用意し、前記電極アセンブリ（２２）は本体部（２２１）と前記本体部（２２１）から前記開口（２１３）の一側に延出するラグ（２２２）を含み、
アダプタ部材（２６）を用意し、前記アダプタ部材（２６）は別体の第１アダプタシート（２６１）と第２アダプタシート（２６２）を含み、前記電極柱（２３）は前記第１側壁（２１１）に設けられ前記第１アダプタシート（２６１）と前記電極柱（２３）を接続させ、前記第２アダプタシート（２６２）と前記ラグ（２２２）を接続させて前記電極アセンブリ（２２）を前記ケーシング（２１）内に設置し、前記第１アダプタシート（２６１）と前記第２アダプタシート（２６２）を電気的に接続させ、前記エンドキャップ（２４）を前記開口に設置して前記収容チャンバーを密閉する、電池単体の製造方法。

【請求項12】

以下のモジュールを含む電池単体の製造装置であって、
一体的に成形されたケーシング（２１）、電極柱（２３）およびエンドキャップ（２４）を用意するように構成される第１提供モジュール（３１）と、前記ケーシング（２１）は、第２方向（Ｘ）に対向して設けられた２つの第１側壁（２１１）および第３方向（Ｙ）に対向して設けられた２つの第２側壁（２１２）を含み、前記２つの第１側壁（２１１）と前記２つの第２側壁（２１２）によって収容チャンバーが形成され、前記ケーシング（２１）は少なくとも１つの第１方向（Ｚ）の開口（２１３）を有し、
本体部（２２１）と前記本体部（２２１）から外側に延出するラグ（２２２）を含む電極アセンブリ（２２）を用意するように構成される第２提供モジュール（３２）と、
別体の第１アダプタシート（２６１）と第２アダプタシート（２６２）を含むアダプタ部材（２６）を用意するように構成される第３提供モジュール（３３）と、
前記電極柱（２３）を前記第１側壁（２１１）に取り付け前記第１アダプタシート（２６１）と前記電極柱（２３）を接続させ、前記第２アダプタシート（２６２）と前記ラグ（２２２）を接続させ、前記電極アセンブリ（２２）を前記収容チャンバー内に設置し、前記第１アダプタシート（２６１）と前記第２アダプタシート（２６２）を電気的に接続させ、前記エンドキャップ（２４）を前記開口に設置して前記収容チャンバーを密閉するように構成される組立モジュール（３４）と、を含む、電池単体の製造装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本出願は、電池の技術分野に関し、特にアダプタ部材、電池単体、電池、電力使用装置、電池単体の製造方法および製造装置に関する。

【背景技術】

【0002】

自動車産業の持続可能な発展のためには、省エネルギーと排出ガス削減が重要であり、電気自動車はその省エネルギーと環境面での優位性から、自動車産業の持続可能な発展のために重要な役割を担っている。電気自動車では、電池技術も重要な開発要素の一つである。

【0003】

電池単体は、ケーシング、エンドキャップ、およびケーシング内に設けられた電極アセンブリを含み、エンドキャップに電極柱が設けられる。電池単体の組立工程中、電極アセンブリをケーシング内に配置して電極アセンブリとエンドキャップ上の電極柱を接続させ、エンドキャップとケーシングを溶接して組立を完了する必要があるため、上記の電池単体の組立工程が複雑である。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記の問題を鑑み、本出願は、アダプタ部材、電池単体、電池、電力使用装置、電池単体の製造方法および製造装置を提供して、電池単体の組立を簡略化する。

【課題を解決するための手段】

【0005】

第１側面によれば、本出願は、電池単体用のアダプタ部材を提供し、アダプタ部材は、別体の第１アダプタシートと第２アダプタシートを含み、第１アダプタシートは電極柱またはラグ中の一方に接続され、第２アダプタシートは電極柱またはラグ中の他方に接続され、第１アダプタシートは大体第１方向に沿って延伸し、第２アダプタシートは大体第２方向に沿って延伸し、第１方向と第２方向は交差しており、第１アダプタシートと第２アダプタシートの間は導電構造を介して接続される。

【0006】

本出願の実施例の技術手段では、アダプタ部材を別体の第１アダプタシートと第２アダプタシートに設定することで、装着時、予め第１アダプタシートと電極柱を接続させ、第２アダプタシートと電極アセンブリのラグを接続させた後、電極アセンブリをケーシング内に配置し、この時第１アダプタシートと第２アダプタシートの端部を導電構造を介して接続させ、電極アセンブリの配置を容易にする。

【0007】

いくつかの実施例では、第１アダプタシートは、第１本体セグメントと第１本体セグメント端部に設けられた第１接続セグメントを含み、第１本体セグメントは電極柱またはラグ中の一方に接続され、第１本体セグメントは第１方向に沿って延伸し、第１接続セグメントは第２方向に沿って延伸し、第１接続セグメントと第２アダプタシートは接続される。第１接続セグメントの設置により、第１アダプタシートと第２アダプタシート間の接続面積を増加させ、接続を容易にする。

【0008】

いくつかの実施例では、第２アダプタシートは、第２本体セグメントおよび第１接続セグメントに接続された第２接続セグメントを含み、第２本体セグメントは電極柱またはラグ中の他方に接続され、第１接続セグメントは第１本体セグメントに対して第２本体セグメントに近接する一側に向かって延伸し、または、第１接続セグメントは第１本体セグメントに対して第２本体セグメントから離間する一側に向かって延伸し、または、第２方向において、第１接続セグメントは第１本体セグメントに対して両側に向かって延伸する。

【0009】

いくつかの実施例では、第１接続セグメントと第１本体セグメントは一体的に成形される。

【0010】

導電構造は、溶接構造、導電性ゴム接着構造、リベット構造または導電デバイスからなる。

【0011】

第２側面によれば、本出願は、電池単体を提供し、ハウジング、電極柱、電極アセンブリおよび上記アダプタ部材を含み、ハウジングは収容チャンバーを有し、電極アセンブリは収容チャンバー内に収容され、ハウジングはケーシングおよびエンドキャップを含み、ケーシングは一体的に成形され、ケーシングは第２方向に対向して設けられた２つの第１側壁および第３方向に対向して設けられた２つの第２側壁を含み、２つの第１側壁と２つの第２側壁によって収容チャンバーが形成され、ケーシングは少なくとも第１方向に開口が設けられ、第１方向、第２方向と第３方向が互いに垂直であり、電極アセンブリは本体部と本体部から開口一側に延出するラグを含み、電極柱は第１側壁に設けられ、エンドキャップは開口に設けられ収容チャンバーを密閉し、第１アダプタシートは電極柱に接続され、第２アダプタシートはラグに接続される。

【0012】

いくつかの実施例では、電極柱は２つであり、２つの電極柱はそれぞれ２つの第１側壁に設けられる。

【0013】

いくつかの実施例では、ラグは正極ラグ和負極ラグを含み、正極ラグと負極ラグは本体部の同一側に設けられる。

【0014】

いくつかの実施例では、電極柱は第１側壁にリベットまたは射出成形される。

【0015】

第３側面によれば、本出願は、上記電池単体を含む電池を提供する。

【0016】

第４側面によれば、本出願は、上記電池を含む電力使用装置を提供する。

【0017】

第５側面によれば、本出願は、電池単体の製造方法を提供し、この方法は、
少なくとも１つの第１方向上の開口を有し、第２方向に対向して設けられた２つの第１側壁および第３方向に対向して設けられた２つの第２側壁を有し、２つの第１側壁と２つの第２側壁によって収容チャンバーが形成され、第１方向、第２方向と第３方向は互いに垂直である、一体的に成形されたケーシング、電極柱およびエンドキャップを用意するステップと、
本体部と本体部から開口一側に延出するラグを含む電極アセンブリを用意するステップと、
別体の第１アダプタシートと第２アダプタシートを含み、電極柱を第１側壁に設けて第１アダプタシートと電極柱を接続させ、第２アダプタシートとラグを接続させて電極アセンブリをケーシング内に配置し、第１アダプタシートと第２アダプタシートを電気的に接続させ、エンドキャップを開口に設置して収容チャンバーを密閉するアダプタ部材を用意するステップと、を含む。

【0018】

第５側面によれば、本出願は、電池単体の製造装置を提供し、この装置は、
第２方向に対向して設けられた２つの第１側壁および第３方向に対向して設けられた２つの第２側壁を有し、２つの第１側壁と２つの第２側壁によって収容チャンバーが形成され、少なくとも１つの第１方向上の開口を有する、一体的に成形されたケーシング、電極柱およびエンドキャップを用意するために使用される第１提供モジュールと、
本体部と本体部から外側に延出するラグを含む電極アセンブリを用意する第２提供モジュールと、
別体の第１アダプタシートと第２アダプタシートを含むアダプタ部材を用意するために使用される第３提供モジュールと、および
電極柱を第１側壁に取り付けて第１アダプタシートと電極柱を接続させ、第２アダプタシートとラグを接続させ、電極アセンブリを収容チャンバー内に配置し、第１アダプタシートと第２アダプタシートを電気的に接続させ、エンドキャップを開口に設置して収容チャンバーを密閉するために使用される組立モジュールと、を含む。

【0019】

上記は本出願の技術手段を概略的に説明し、本出願の技術手段をより明確にするために、明細書の内容に従い実施し、本出願の上記および他の目的、特徴および利点をより明確にするために、以下本出願の具体的な実施形態を挙げる。

【図面の簡単な説明】

【0020】

本出願の実施例の技術手段をより明確にするために、以下本出願の実施例に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下で説明される図面は本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働をすることなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。

【0021】

添付図面では、図面は必ずしも実際の縮尺で描かれていない。

【0022】

【図1】本出願のいくつかの実施例の車両の構造概略図である。

【図2】本出願のいくつかの実施例の電池の分解構造概略図である。

【図3】本出願のいくつかの実施例の電池単体の立体構造概略図である。

【図4】本出願のいくつかの実施例の電池単体のケーシングの立体構造概略図である。

【図5】本出願のいくつかの実施例の電池単体の平面構造概略図である。

【図6】図５に示す電池単体のＡ-Ａ方向に沿った断面構造概略図である。

【図7】図６のＭ部分の一部拡大構造概略図である。

【図8】図６のＮ部分の一部拡大構造概略図である。

【図9】本出願のいくつかの実施例のアダプタ部材の立体構造概略図である。

【図10】図９に示すアダプタ部材の正面構造概略図である。

【図11】本出願のいくつかの実施例の電池単体の製造方法のステップ原理図である。

【図12】本出願のいくつかの実施例の電池単体の製造装置の構造図である。

【発明を実施するための形態】

【0023】

以下、図面を参照して本出願の技術手段の実施例を詳細に説明する。以下の実施例は、本出願の技術手段を明確にする目的でのみ使用され、例示的であり、本出願の保護範囲を制限するものではない。

【0024】

特に定義しない限り、本出願で使用されるすべての技術および科学用語は本出願の技術分野の当業者が通常に理解する意味と同じであり、本出願の明細書で使用される用語は具体的な実施例を説明する目的でのみ使用され、本出願を限定するものではなく、本出願の明細書および特許請求の範囲並びに上記図面で説明される「含む」、「有する」などの用語およびそれらの変形は、非排他的な包含を含むことを意図している。

【0025】

本出願の実施例の説明において、「第１」、「第２」などの技術的用語は異なる対象を区別する目的でのみ使用され、相対的な重要性またはかかる技術特徴の数、特定順序または優先関係を指示または暗示するものではない。本出願の実施例の説明において、特に明確に限定しない限り、「複数」とは２つ以上を意味する。

【0026】

本出願で言及される「実施例」とは、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本出願の少なくとも１つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な場所でのこのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例に言及しているわけではなく、他の実施例と相互に排他的である別個のまたは代替の実施例に言及しているわけでもない。本出願に記載された実施例は、他の実施例と組み合わせることができることは、明示的にも暗黙的にも、当業者には理解されたい。

【0027】

本出願の「および／または」の用語は、単に関連対象の関連関係を説明するものであり、例えば、Ａおよび／またはＢは、Ａ単独、ＡおよびＢの両方、Ｂ単独という３つの意味を有する。また、本出願の「／」の文字は、一般に、前後の関連対象が「または」の関係を有することを意味する。

【0028】

本出願の実施例の説明において、「複数」の用語とは２つ以上（２つを含む）を意味し、同様に、「複数組」とは２組以上（２組を含む）を意味し、「複数枚」とは２枚以上（２枚を含む）を意味する。

【0029】

本出願の実施例の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの技術的用語で示す方位または位置関係は、図面に示す方位または位置関係であり、本出願の実施例の説明および説明の簡略化の目的でのみ使用され、かかる装置またはデバイスは必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成および操作されることを指示または暗示しないため、本出願の実施例の制限として理解されない。

【0030】

本出願の説明において、明示的に規定され限定されない限り、技術的用語「取付」、「連結」、「接続」、「固定」という用語は広義に理解されるべきであることに留意すべきであり、例えば、固定的に接続してもよいし、着脱可能に接続してもよいし、または一体的に接続してもよく、機械的に接続してもよいし、電気的に接続してもよく、直接連結してもよいし、中間媒体を介して間接的に連結してもよいし、２つのデバイス内部の連通または２つのデバイスの相互作用関係であってもよい。当業者にとって本出願における上記用語の具体的な意味は、特定の状況に応じて理解することができる。

【0031】

現在の電池単体は通常ケーシング、エンドキャップおよびケーシング内に収容された電極アセンブリを含み、ケーシング内に電解質が充填されている。電極アセンブリは電池単体で電気化学反応が発生する部材であり、ケーシングは電池単体の内部環境を形成するアセンブリであり、エンドキャップはケーシングの開口をカバーして電池単体の内部環境を外部環境から隔離する部材である。従来のある電池単体は一般に、正負電極柱を同一エンドキャップに設けて、電極柱の設置方向は電極アセンブリのラグの延出方向と同じである。このような設計により、電池単体間の正負極は同一側にしか接続されない。この問題を解決するために、従来の別の電池単体のケーシングは長さ方向に対向して設けられた２つの開口およびそれぞれ２つの開口に設けられたエンドキャップを含み、正負電極柱はそれぞれ２つのエンドキャップに設けられる。本出願の発明者の研究によると、これらの電池単体の装着過程中、電極アセンブリは一方の開口からケーシング内に入り他方の開口に移動して、電極アセンブリがケーシングに入った後の移動ストロークが長い。ケーシングに入る前に、まず電極アセンブリのラグを一方のエンドキャップ上の電極柱に接続させ、次に電極アセンブリをケーシング内入った後このエンドキャップとケーシングを溶接する必要があるため、装着工程が複雑で困難度が高い。

【0032】

以上の電池単体の装着が複雑であるという問題を解決するために、発明者の研究によると、電池単体は一体的に成形されたケーシングを含み、２つの電極柱をケーシングの２つの対向する側壁に積層して装着し、このように、電極アセンブリがケーシングに入る時事前にエンドキャップと接続する必要がないため、ケーシングに容易に入り、電池単体の装着工程を簡略化する。

【0033】

本出願の実施例で開示された電池単体は、車両、船舶または航行器などの電力使用装置に適用され得るが、これらに限定されない。本出願の電池単体、電池などを使用してこの電力使用装置の電源システムを構成することができる。

【0034】

本出願の実施例は電池を電源として使用する電力使用装置を提供し、電力使用装置は、携帯電話、タッブレト、ノートパソコン、電動玩具、電動工具、電気自転車、電気自動車、船舶、航行器などに適用される。その中で、電動玩具は固定式または移動式電動玩具、例えばゲームマシーン、電気自動車玩具、電動船舶玩具および電動飛行機玩具などを含み、航行器は飛行機、ロケット、スペースシャトルおよび宇宙船等を含む。

【0035】

以下の実施例では、説明の便宜上、本出願の一実施例の電力使用装置が車両１０００である例を挙げて説明する。

【0036】

図１を参照すると、図１は本出願のいくつかの実施例によって提供される車両１０００の構造概略図である。車両１０００は燃料自動車、ガス自動車または新エネルギー自動車であり得、新エネルギー自動車は純電自動車、ハイブリッド自動車または長距離自動車などであり得る。車両１０００の内部に電池１００が配置され、電池１００は車両１０００の底部、前部または後部に電池１００を設けられる。電池１００は車両１０００に電力を供給し、例えば、電池１００は車両１０００の操作電源として使用する。車両１０００はコントローラー２００とモータ３００をさらに含み、コントローラー２００は電池１００を制御してモータ３００に供電し、例えば、車両１０００の起動、ナビゲーションまたは走行時の動作電力使用要件を満たす。

【0037】

本出願のいくつかの実施例では、電池１００は車両１０００の操作電源とするだけでなく、車両１０００の駆動電源として、燃料またはガスの全部または一部を代替して車両１０００に駆動力を提供する。

【0038】

図２を参照すると、図２は本出願のいくつかの実施例によって提供される電池１００の分解図である。電池１００は箱体１０と電池単体２０を含む。電池単体２０は箱体１０内に収容される。その中で、箱体１０は電池単体２０に収容空間を提供し、箱体１０は様々な構造を有し得る。いくつかの実施例では、箱体１０は第１部分１１と第２部分１２を含み、第１部分１１と第２部分１２とは互いにキャプされ、第１部分１１は第２部分１２とともに電池単体２０を収容する収容空間を限定する。第２部分１２は一端が開口した中空構造であり、第１部分１１は板状構造であり、第１部分１１は第２部分１２の開口側をカバーして第１部分１１と第２部分１２によって収容空間を限定する。第１部分１１と第２部分１２も一側が開口した中空構造であり、第１部分１１の開口側が第２部分１２の開口側をカバーする。もちろん、第１部分１１と第２部分１２によって形成された箱体１０は、円筒体、直方体などの様々な形状であってもよい。

【0039】

電池１００では、電池単体２０は複数であり得、複数の電池単体２０間は直列、並列または混合して接続されてもよく、混合接続とは複数の電池単体２０が直列および並列して接続されるのを意味する。複数の電池単体２０間は直接に直列、並列または混合して接続され、複数の電池単体２０からなる全体が箱体１０内に収容され、もちろん、電池１００は、複数の電池単体２０をまず直列、並列または混合接続して電池モジュールを形成してから、複数の電池モジュールを直列、並列または混合接続して全体を形成し、箱体１０内に収容してもよい。電池１００は他の構造であってもよく、例えば、この電池１００は、複数の電池単体２０間の電気的な接続を実現するためのバス部材をさらに含んでもよい。

【0040】

その中で、各電池単体２０は二次電池または一次電池であり得、リチウム硫黄電池、ナトリウムイオン電池またはマグネシウムイオン電池でもあるが、これらに限定されない。電池単体２０は円筒体、平板形、直方体または他の形状などであり得る。

【0041】

図３を参照すると、図３は本出願のいくつかの実施例によって提供される電池単体２０の立体構造概略図である。図３および図５を参照すると、電池単体２０はケーシング２１、電極アセンブリ２２、電極柱２３およびその他の機能性部材を含む。

【0042】

ケーシング２１は電池単体２０の内部環境を形成するためのアセンブリであり、形成された内部環境に電極アセンブリ２２、電解液およびその他の部材を収容する。ケーシング２１は様々な形状や寸法であり得、例えば直方体形、円筒形、六角柱形などであり得る。具体的に、ケーシング２１の形状は、電極アセンブリ２２の具体的な形状および寸法に応じて決定される。ケーシング２１の材質は、銅、鉄、アルミニウム、ステンレススチール、アルミニウム合金、プラスチックなど様々な材質であり得るが、本出願の実施例ではこれに限定されない。

【0043】

電極アセンブリ２２は電池単体２０で電気化学反応が発生する部材である。ケーシング２１内に１つまたは複数の電極アセンブリ２２が含まれる。電極アセンブリ２２は主に正極ラグと負極ラグが巻取または積層されて形成され、一般に正極ラグと負極ラグの間にダイヤフラムが設けられる。正極ラグと負極ラグの活物質を有する部分が電極アセンブリの本体部２２１を構成し、正極ラグと負極ラグの活物質を有しない部分がそれぞれラグ２２２を構成する。電池の充放電過程中、正極活物質および負極活物質が電解液と反応し、電極柱２３は電極アセンブリ２２に電気的に接続されて、電池単体２０の電気エネルギーを出力または入力する。

【0044】

エンドキャップ２４とはケーシング２１の開口をカバーして電池単体２０の内部環境を外部環境から隔離するための部材である。エンドキャップ２４の形状はケーシング２１の形状に適応されてケーシング２１との嵌合を実現するが、これに限定されない。選択可能に、エンドキャップ２４は一定の硬さおよび強度を有する材質（例えばアルミニウム合金）から形成され、エンドキャップ２４が押圧や衝突されるとき変形しにくく、電池単体２０がより高い構造強度を有し、安全性も向上する。いくつかの実施例では、エンドキャップ２４上に、電池単体２０の内部圧力または温度が閾値に達すると内部圧力を解放する圧力解放機構が設けられ、エンドキャップ２４の材質は、銅、鉄、アルミニウム、ステンレススチール、アルミニウム合金、プラスチックなど様々な材質であり得るが、本出願の実施例ではこれに限定されない。

【0045】

図３～図６を参照すると、図３は本出願のいくつかの実施例の電池単体の立体構造概略図を示し、図４は本出願のいくつかの実施例の電池単体のケーシングの立体構造概略図を示す。図５は本出願のいくつかの実施例の電池単体の俯視構造概略図を示す。図６は図５の電池単体のＡ-Ａ方向に沿った断面構造概略図を示す。電池単体２０は、ケーシング２１、電極アセンブリ２２および２つの電極柱２３を含む。ケーシング２１は一体的に成形され、少なくとも１つの第１方向Ｚの開口を有し、第２方向Ｘに対向して設けられた２つの第１側壁２１１および第３方向Ｙに対向して設けられた２つの第２側壁２１２をさらに有し、２つの第１側壁２１１と２つの第２側壁２１２によって収容チャンバーを形成する。第１方向Ｚに、第２方向Ｘと第３方向Ｙが互いに垂直である。電極アセンブリ２２は収容チャンバー内に収容され、電極アセンブリ２２は本体部２２１と本体部２２１から外側に延出する逆極性の２つのラグ２２２を含む。２つの電極柱２３はそれぞれ２つの第１側壁２１１に設けられそれぞれ２つのラグ２２２に電気的に接続される。

【0046】

図３に示すように、図では、第１方向Ｚは電池単体２０の高さ方向であり、第２方向Ｘは電池単体２０の長さ方向であり、第３方向Ｙは電池単体２０の厚さ方向である。以上で説明される第１側壁２１１が第２方向Ｘに設けられるとは、第１側壁２１１が第２方向Ｘの延伸方向に位置し第１側壁２１１と第２方向Ｘが垂直であることを意味する。同様に、第２側壁２１２が第３方向Ｙに設けられれるとは、第２側壁２１２が第３方向Ｙの延伸方向に位置し、第２側壁２１２と第３方向Ｙが垂直であることを意味する。開口２１３が第１方向Ｚに位置するとは、ケーシング２１の第１方向Ｚの少なくとも１つの面が開放して設けられることを意味する。

【0047】

図４に示すように、ケーシング２１の第１側壁２１１に電極柱取付穴２１１ａが設けられ、電極柱２３は電極柱取付穴２１１ａに取り付けられる。図５および図６に示すように、電極アセンブリ２２の２つのラグ２２２は本体部２２１の同一側から延出する。他の実施例では、電極アセンブリ２２の２つのラグ２２２もそれぞれ本体部２２１の異なる側から延出し、例えば、図６を参照すると、２つのラグ２２２はそれぞれ本体部２２１の左右両端から延出してもよく、ラグ２２２と電極柱２３の接続を容易化させ、例えば貫通溶接などによって電極柱２３とラグ２２２間の接続を実現する。

【0048】

２つの電極柱２３はそれぞれ一体的に成形されたケーシング２１の２つの第１側壁２１１に設けられ、電極アセンブリ２２がケーシングに入る時、移動するストロークはケーシング２１の幅方向であり、ストロークが短縮するためケーシングに容易に入る。また、２つの電極柱がケーシングの２つの対向する側壁に積層され、電極アセンブリがケーシングに入る時予めエンドキャップに接続される必要がないため、ケーシングに容易に入り、電池単体の装着工程を簡略化することができる。また、電池単体２０の２つの電極柱が２つの第１側壁２１１に設けられ、電池単体２０の上下両側にそれぞれ水冷部材を設けることができ、水冷部材の配置面積を増加させ、電池の放熱性能を高める。

【0049】

いくつかの実施例では、ケーシング２１はアルミニウムプレスまたは引張プロセスによって一体的に成形される。

【0050】

本出願のいくつかの実施例によれば、ケーシング２１は、開口２１３に対向して設けられた底壁をさらに含む。電池単体２０は、開口２１３に設けられて収容チャンバーを密閉するためのエンドキャップ２４をさらに含む。

【0051】

図４に示すように、第１側壁２１１の面積が第２側壁２１２の面積よりも小さく、このケーシング２１は、２つの大きな面（第２側壁２１２）、２つの小さな面（第１側壁２１１）および底面という５つの面を有する。電極柱２３が直接ケーシング２１の２つの小さな面、つまり第１側壁２１１に装着される。このように、電極アセンブリ２２をケーシング２１内に配置した後、１つのエンドキャップ２４とケーシング２１を溶接すればケーシング２１を密閉でき、従来技術における２つのエンドキャップを溶接することよりも、電池単体の装着工程を簡略化することができる。

【0052】

本出願のいくつかの実施例によれば、ケーシング２１は、第１方向Ｚに対向して設けられた２つの開口２１３を有し、電池単体２０は２つのエンドキャップ２４を含み、２つのエンドキャップ２４が２つの開口２１３に対応して設けられて収容チャンバーを密閉する。

【0053】

このとき、ケーシング２１は、２つの大きな面および２つの小さな面という４つの面を有し、第１方向Ｚにおいて上下に連通し、それぞれ第１方向Ｚに位置する２つの開口を有する。このケーシング２１は第１方向Ｚにおいて連通するため、一次引張によって成形され、引張成形の工程が簡単である。

【0054】

本出願のいくつかの実施例によれば、第１側壁２１１の面積が第２側壁２１２の面積よりも小さい。このように、ケーシング２１の第２側壁２１２と電極アセンブリ２２の大きな面が同一方向に設けられ、ケーシング２１の第１側壁２１１と電極アセンブリ２２の厚さ方向が同一方向に設けられ、電極アセンブリ２２をケーシングにさらに容易に入る。

【0055】

本出願のいくつかの実施例によれば、電極柱２３はリベットまたは射出成形によって第１側壁２１１に形成される。図４に示すように、第１側壁２１１に電極柱取付穴２１１ａが設けられ、電極アセンブリ２３がケーシングに入る前に、電極柱２３がリベットまたは射出成形によって２つの第１側壁２１１の電極柱取付穴２１１ａ内に直接装着される。

【0056】

図８を参照すると、電極柱２３は内側電極柱２３１、外側電極柱２３２、密閉スリーブ２３３、シールリング２３４、第１絶縁シート２３５および第２絶縁シート２３６を含む。内側電極柱２３１は第１側壁２１１の電極柱取付穴２１１ａを貫通して第１側壁２１１の外側に一部露出し、外側電極柱２３２が内側電極柱２３１の外側に嵌設される。密閉スリーブ２３３が内側電極柱２３１の外側に嵌設されて第１側壁２１１と内側電極柱２３１を隔離する。シールリング２３４が密閉スリーブ２３３の外壁に当接されて密閉スリーブ２３３の内壁と内側電極柱２３１の外壁を接触させ、図では装着過程中両者が接触しない状態が示されるが、装着完了後、密閉スリーブ２３３の内壁と内側電極柱２３１の外壁が互いに接触する。電極柱２３とケーシング２１の電気的な接続を避けるために、内側電極柱２３１とケーシング２１の第１側壁２１１の内壁面の間に第１絶縁シート２３５が設けられる。内側電極柱２３１の両側にそれぞれ第１絶縁シート２３５が設けられる。外側電極柱２３２とケーシング２１の第１側壁２１１の外壁面の間に第２絶縁シート２３６が設けられる。第２絶縁シート２３６は外側電極柱２３２が係合する溝を有する。

【0057】

シールリング２３４はフッ素ゴムである。

【0058】

図６に示すように、２つのラグ２２２は本体部２２１から開口２１３の一側に延出する。電極柱２３はケーシング２１の第１側壁２２１に設けられ、つまりラグ２２２と電極柱２３の延出方向が一致していないので、ラグ２２２と電極柱２３がアダプタ部材２６を介して接続される。発明者が研究した結果、一体的なアダプタ部材２６を用いてラグ２２２と電極柱２３を接続すると、電池単体２０を装着することができない。例えば、まずアダプタ部材２６とラグ２２２を接続させ、アダプタ部材２６が接続された電極アセンブリ２２をケーシング２１内に配置すると、アダプタ部材２６と電極柱２３を溶接する余分の空間がなくなる。例えば、まずアダプタ部材２６と電極柱２３を溶接すると、アダプタ部材２６が電極アセンブリ２２のケーシングへの設置を阻害し、電極アセンブリ２２をケーシングに設置することができない。

【0059】

この問題に対して、本出願の発明者は、アダプタ部材２６を別体の第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２に設定することを考えた。第１アダプタシート２６１は電極柱またはラグ中の一方に接続され、第２アダプタシート２６２は電極柱２３またはラグ２２２中の他方に接続され、第１アダプタシート２６１は大体第１方向Ｚに沿って延伸し、第２アダプタシート２６２は大体第２方向Ｘに沿って延伸し、第１方向Ｚと第２方向Ｘは交差し、第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２間は導電構造を介して接続される。

【0060】

図６に示すように、２つのラグ２２２は本体部２２１から開口２１３の一側に延出する。電池単体２０はアダプタ部材２６をさらに含む。アダプタ部材２６は別体の第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２を含む。第１アダプタシート２６１は電極柱２３に接続され、第２アダプタシート２６２はラグ２２２に接続される。第１アダプタシート２６１は大体第１方向Ｚに沿って延伸し、第２アダプタシート２６２は大体第２方向Ｘに延伸し、第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２間は導電構造を介して接続される。

【0061】

アダプタ部材２６を別体の第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２に設定すると、装着時、予め第１アダプタシート２６１と電極柱２３を接続させ、第２アダプタシート２６２と電極アセンブリ２２のラグ２２２を接続させた後、電極アセンブリ２２をケーシング２１内に設置し、この時、第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２の端部を導電構造を介して接続させ、さらに電極アセンブリ２２をケーシングに設置する。第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２の端部が導電構造を介して接続された後、エンドキャップ２４とケーシング２１を溶接して電池単体２０の密閉を完了する。

【0062】

他の実施例では、第１アダプタシート２６１がラグに接続され、第２アダプタシート２６２が電極柱に接続されてもよい。

【0063】

いくつかの実施例では、第１アダプタシート２６１の延伸方向と第２アダプタシート２６２の延伸方向が互いに垂直である。別のいくつかの実施例では、第１アダプタシート２６１の延伸方向と第２アダプタシート２６２の延伸方向が交差して２つの延伸方向が夾角をなす。

【0064】

本出願のいくつかの実施例によれば、導電構造は溶接構造または導電性ゴム接着構造またはリベット構造または導電デバイスを有する。溶接構造により電気的に接続するとは、第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６１がレザー溶接などの溶接手段によって両者を接続させることを意味する。導電性ゴム接着構造により電気的に接続するとは、導電性ゴムを用いて第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２を接着させることを意味し、導電性ゴムは導電性ゴム膜であり得、この導電性ゴムは第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２間の電気的な接続を実現するだけでなく、両者間の機械的接続を実現することもできる。リベット構造により電気的に接続するとは、第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２がリベットを介して互いに接続されることを意味する。

【0065】

本出願のいくつかの実施例によれば、図９に示すように、第１アダプタシート２６１は第１本体セグメント２６１１と第１本体セグメント２６１１の端部に設けられた第１接続セグメント２６１２を含む。第１本体セグメント２６１１は電極柱２３に接続され、第１本体セグメント２６１１は第１方向Ｚに沿って延伸し、第１接続セグメント２６１２は第２方向Ｘに沿って延伸し、かつ第１接続セグメント２６１２と第２アダプタシート２６２が接続される。

【0066】

第１アダプタシート２６１は第１本体セグメント２６１１と第１本体セグメント２６１１の端部に設けられた第１接続セグメント２６１２を含み、第１接続セグメント２６１２は第２アダプタシート２６２に接続され、第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２間の接続面積を増加させ、接続しやすくなる。

【0067】

第１接続セグメント２６１２と第１本体セグメント２６１１が一体的に成形され、例えばベンディングツールにより第１接続セグメント２６１２を第１本体セグメント２６１１に対して一側に曲げて形成される。

【0068】

もちろん、他の実施例では、第１アダプタシート２６１は第１本体セグメント２６１１のみを含み、第１本体セグメント２６１１は第２アダプタシート２６２に直接に接続される。

【0069】

本出願のいくつかの実施例によれば、第２アダプタシート２６２は第２本体セグメント２６２１および第１接続セグメント２６１２に接続された第２接続セグメント２６２２を含み、第２本体セグメント２６２１は電極柱２３に接続され、その中で、第１接続セグメント２６１２は第１本体セグメント２６１１に対して第２本体セグメント２６２１に近接する側に延伸する。または、第１接続セグメント２６１２は第１本体セグメント２６１１に対して第２本体セグメント２６２１から離間する側に延伸する。

【0070】

１つの可能な実施例では、第１接続セグメント２６１２は第１本体セグメント２６１１に対して第２本体セグメント２６２１に近接する側に延伸する。別の可能な実施例では、第１接続セグメント２６１２は第１本体セグメント２６１１に対して第２本体セグメント２６２１から離間する側に延伸する。この２つの実施例中の第１アダプタシート２６１の断面形状はいずれもＬ字形であり、第１接続セグメント２６１２が第１本体セグメント２６１１に対して反対方向に延伸する点で異なる。

【0071】

本出願のいくつかの実施例によれば、第２方向Ｘに、第１接続セグメント２６１２は第１本体セグメント２６１１に対して両側に延伸する。この時、第１接続セグメント２６１２と第１本体セグメント２６１１によって形成される第１アダプタシート２６１の断面形状がＴ字形であり、第１接続セグメント２６１２と第２アダプタシート２６２間の接続面積を増加させることができる。

【0072】

他の実施例では、第１アダプタシート２６１は第１方向Ｚに延伸する第１本体セグメント２６１１のみを含んでもよい。第２アダプタシート２６２は第２方向Ｘに延伸する第２本体セグメント２６２１および第１アダプタシート２６１に接続された第２接続セグメント２６２２を含む。第２接続セグメント２６２２は第２本体セグメント２６２１に対して曲げて設けられ、例えば第２接続セグメント２６２２は第１方向Ｚに沿って延伸する。

【0073】

本出願のいくつかの実施例によれば、本出願は、ハウジング、電極柱２３、電極アセンブリ２２および上記アダプタ部材２６を含む電池単体をさらに提供する。ハウジングは収容チャンバーを有し、電極アセンブリ２２が収容チャンバー内に収容され、ハウジングはケーシング２１およびエンドキャップ２４を含み、ケーシング２１が一体的に成形され、ケーシング２１は第２方向Ｘに対向して設けられた２つの第１側壁２１１および第３方向Ｙに対向して設けられた２つの第２側壁２１２を含み、２つの第１側壁２１１と２つの第２側壁２１２によって収容チャンバーが形成され、ケーシング２１は少なくとも第１方向Ｚに開口２１３が形成され、第１方向Ｚ、第２方向Ｘと第３方向Ｙが互いに垂直であり、電極アセンブリ２２は本体部２２１と本体部２２１から開口一側に延出するラグ２２２を含み、ラグ２２２は開口２１３の一側に延出し、電極柱２３は第１側壁２１１に設けられ、エンドキャップ２４は開口に設けられて収容チャンバーを密閉し、第１アダプタシート２６１が電極柱２３に接続され、第２アダプタシート２６２がラグ２２２に接続される。

【0074】

本出願のいくつかの実施例によれば、電池単体２０は、２つの電極柱２３を含む。２つの電極柱２３はそれぞれ２つの第１側壁２１１に設けられる。電極アセンブリ２２の２つのラグはそれぞれ正極ラグと負極ラグであり、正極ラグと負極ラグが本体部２２１の同一側に設けられる。この時、電池単体２０は２つのアダプタ部材２６を含み、正極ラグと負極ラグがそれぞれ１つのアダプタ部材２６を介して対応の電極柱２３に接続される。

【0075】

他のいくつかの実施例では、電池単体２０は２つ以上の電極アセンブリを含んでもよく、この時２つ以上の電極アセンブリの正極ラグは１つのアダプタ部材を介して対応の一方の電極柱２３に接続され、２つ以上の電極アセンブリの負極ラグも１つのアダプタ部材を介して対応の他方の電極柱２３に接続される。

【0076】

本出願のいくつかの実施例によれば、本出願は、以上のいずれか１項の電池単体を含む電池をさらに提供する。

【0077】

本出願のいくつかの実施例によれば、本出願は、電力エネルギを提供するための以上のいずれか１項の電池を含む電力使用装置をさらに提供する。

【0078】

電力使用装置は、前記のいずれか１項の電池を適用する機器またはシステムであり得る。

【0079】

図１１を参照すると、本出願のいくつかの実施例によれば、本出願は、電池単体の製造方法をさらに提供し、この方法は、以下のステップを含み：
Ｓ１０１、一体的に成形されたケーシング２１、電極柱２３およびエンドキャップ２４を用意する。ケーシング２１は少なくとも１つの第１方向Ｚの開口２１３を有し、第２方向Ｘに対向して設けられた２つの第１側壁２１１、および第３方向Ｙに対向して設けられた２つの第２側壁２１２を含む。２つの第１側壁２１１と２つの第２側壁２１２によって収容チャンバーが形成され、第１方向Ｚ、第２方向Ｘと第３方向Ｙが互いに垂直である。
Ｓ１０２、電極アセンブリ２２を用意し、電極アセンブリ２２は本体部２２１と本体部２２１から開口２１３の一側に延出するラグ２２２を含む。
Ｓ１０３、アダプタ部材２６を用意し、アダプタ部材２６は別体の第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２を含む。
Ｓ１０４、電極柱２３を第１側壁２１１に設置し、第１アダプタシート２６１と電極柱２３に接続させ、第２アダプタシート２６２とラグ２２２を接続させて電極アセンブリ２２をケーシング２１内に設置し、第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２を電気的に接続させ、エンドキャップ２４を開口に設置して収容チャンバーを密閉する。

【0080】

この電池単体の製造方法は、電極柱２３を一体的に成形されたケーシング２１の第１側壁２１１に設置することで、電極アセンブリをケーシングに設置するとき事前にエンドキャップに接続される必要がないため、ケーシングを容易に設置し、電池単体の装着工程を簡略化することができる。また、アダプタ部材２６を別体の第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２に設定することで、装着時、予め第１アダプタシート２６１と電極柱２３を接続させ、第２アダプタシート２６２と電極アセンブリ２２のラグ２２２を接続させた後、電極アセンブリ２２をケーシング２１内に設置し、この時第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２の端部を導電構造を介して接続させ、電極アセンブリ２２をケーシングにさらに容易に設置する。

【0081】

なお、以上の各ステップ間に他のステップを追加することができる。

【0082】

図１２を参照すると、本出願のいくつかの実施例によれば、本出願は、電池単体の製造装置３０をさらに提供し、この製造装置は、第１提供モジュール３１、第２提供モジュール３２、第３提供モジュール３３、および組立モジュール３４を含む。

【0083】

その中で、第１提供モジュール３１は、一体的に成形されたケーシング２１、電極柱２３およびエンドキャップ２４を用意するように構成される。ケーシング２１は少なくとも１つの第１方向Ｚの開口２１３を有し、第２方向Ｘに対向して設けられた２つの第１側壁２１１および第３方向Ｙに対向して設けられた２つの第２側壁２１２を含む。２つの第１側壁２１１と２つの第２側壁２１２によって収容チャンバーが形成され、第１方向Ｚ、第２方向Ｘと第３方向Ｙが互いに垂直である。

【0084】

第２提供モジュール３２は、電極アセンブリ２２を用意するように構成され、電極アセンブリ２２は本体部２２１と本体部２２１から外側に延出するラグ２２２を含む。

【0085】

第３提供モジュール３３は、アダプタ部材２６を用意するように構成され、アダプタ部材２６は別体の第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２を含む。

【0086】

組立モジュール３４は、電極柱２３を第１側壁２１１に取り付け第１アダプタシート２６１と電極柱２３を接続させ、第２アダプタシート２６２とラグ２２２を接続させ、電極アセンブリ２２を収容チャンバー内に放置し、第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２を電気的に接続させ、エンドキャップ２４を開口に設置して収容チャンバーを密閉する。

【0087】

この電池単体の製造装置は、電極柱２３を一体的に成形されたケーシング２１の第１側壁２１１に設置することで、電極アセンブリをケーシングに設置する時事前にエンドキャップに接続される必要がないため、ケーシングに容易に設置し、電池単体の装着工程を簡略化することができる。

【0088】

以下、図３～図１０を参照して本出願の具体的な実施例の電池単体の構造を詳細に説明する。

【0089】

図３に示すように、電池単体２０は、ケーシング２１、エンドキャップ２４およびケーシング２１に設けられた２つの電極柱２３を含む。電池単体２０の高さ方向は第１方向Ｚに沿って延伸し、長さ方向が第２方向Ｘに沿って延伸し、厚さ方向が第３方向Ｙに沿って延伸する。

【0090】

図４に示すように、ケーシング２１は２つの対向して設けられた第１側壁２１１、２つの対向して設けられた第２側壁２１２、底壁、および底壁に対向して設けられた開口２１３を含む。

【0091】

図５および図６に示すように、電池単体２０は、ケーシング２１内に設けられた電極アセンブリ２２、および電極アセンブリ２２と電極柱２３を接続するためのアダプタ部材２６を含む。電極アセンブリ２２は、本体部２２１と本体部２２１から開口一側に延出する２つのラグ２２２を含む。２つのラグ２２２の極性が逆であり、一方が正極ラグであり、他方が負極ラグである。各ラグ２２２がいずれもアダプタ部材２６を介して対応の電極柱２３に接続される。

【0092】

図７に示すように、アダプタ部材２６は別体の第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２を含む。第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２は互いに垂直であり、第１アダプタシート２６１はケーシング２１の第１側壁２１１の内側に設けられ電極柱２３に接続され、第２アダプタシート２６２はエンドキャップ２４の内側に設けられラグ２２２に接続される。

【0093】

図８に示すように、電極柱２３は、内側電極柱２３１、外側電極柱２３２、密閉スリーブ２３３、シールリング２３４、第１絶縁シート２３５および第２絶縁シート２３６を含む。

【0094】

内側電極柱２３１は、電極柱取付穴２１１ａ内に設けられた電極柱体、および第１アダプタシート２６１に接続された接続シートを含む。接続シートは電極柱体の端部に接続される。密閉スリーブ２３３は内側電極柱２３１の外側に嵌設されて第１側壁２１１と内側電極柱２３１を隔離する。シールリング２３４は密閉スリーブ２３３の外壁に当接されて密閉スリーブ２３３の内壁と内側電極柱２３１の外壁とを接触させ、図では装着過程中両者が接触しない状態を示したが、装着完了後、密閉スリーブ２３３の内壁と内側電極柱２３１の外壁が互いに接触してもよい。電極柱２３とケーシング２１の電気的な接続を避けるために、内側電極柱２３１の接続シートとケーシング２１の第１側壁２１１の内壁面の間に第１絶縁シート２３５が設けられる。第１絶縁シート２３５は第１方向Ｚに沿って延伸し、エンドキャップ２４に近い位置まで延伸する。このように、第１絶縁シート２３５は内側電極柱２３とケーシング２１を電気的に接続させることができ、第１アダプタシート２６１とケーシングを電気的に接続させることもできる。

【0095】

図８に示すように、電極柱体は第１側壁２１１の電極柱取付穴２１１ａを貫通して第１側壁２１１の外側に一部露出する。外側電極柱２３２は内穴を有する電極柱環である。外側電極柱２３２は内側電極柱２３１の外側に嵌設される。外側電極柱２３２とケーシング２１の第１側壁２１１の外壁面の間に第２絶縁シート２３６が設けられる。第２絶縁シート２３６は、外側電極柱２３２が係合する溝を有する。

【0096】

図９および図１０に示すように、アダプタ部材２６は、別体の第１アダプタシート２６１と第２アダプタシート２６２を含む。第１アダプタシート２６１は電極柱２３に接続され、第２アダプタシート２６２はラグ２２２に接続される。第１アダプタシート２６１は第１方向Ｚに延伸する第１本体セグメント２６１１、および第２方向Ｘに延伸する第１接続セグメント２６１２を含む。第２アダプタシート２６２は、第２方向Ｘに延伸する第２本体セグメント２６２１と第２接続セグメント２６２２を含む。第１本体セグメント２６１１は電極柱２３に接続され、第１接続セグメント２６１２は第２アダプタシート２６２に接続される。

【0097】

本実施例の電池単体２０の製造方法は、一体的に成形されたケーシング２１、２つの電極柱２３、電極アセンブリ２２、２つのアダプタ部材２６およびエンドキャップ２４を用意し、２つの電極柱２３をそれぞれケーシング２１の２つの第１側壁２１１に設置し、２つのアダプタ部材２６の２つの第１アダプタシート２６１をそれぞれ２つの電極柱２３に接続させ（例えば溶接）、具体的に、第１アダプタシート２６１が内側電極柱２３１に接続される。２つのアダプタ部材２６の第２アダプタシート２６２はそれぞれ２つのラグ２２２に溶接され（例えば超音波溶接またはレザー溶接）、その後第２アダプタシート２６２が溶接された電極アセンブリ２２をケーシング２１内に設置し、２つの第１アダプタシート２６１をそれぞれ２つの第２アダプタシート２６２の端部に電気的に接続させ、一方の電極柱２３と一方のラグ２２２を電気的に接続させる。他方の電極柱２３と他方のラグ２２２の接続方法も同様である。最後に、エンドキャップ２４とケーシング２１を溶接して電池単体２０を密閉する。

【0098】

電極アセンブリ２２とケーシング２１の間に対して絶縁処理し、マイラー(Ｍｙｌａｒ)からなる絶縁膜または青膜で被覆する。

【0099】

好ましい実施例を参照して本出願を説明したが、本出願の範囲から逸脱しない限り、様々な改良を加え、その中の部材を同等物で置換することができる。特に、構造上矛盾しない限り、各実施例で言及した各技術的特徴を任意に組み合わせることができる。本出願は、開示された特定の実施例に限定されなく、特許請求の範囲内のすべての技術手段を含むものとする。

【符号の説明】

【0100】

１０００ 車両
１００ 電池
２００ コントローラー
３００ モータ
１０ 箱体
１１ 第１部分
１２ 第２部分
２０ 電池単体
２１ ケーシング
２１１ 第１側壁
２１１ａ 電極柱取付穴
２１２ 第２側壁
２１３ 開口
２２ 電極アセンブリ
２２１ 本体部
２２２ ラグ
２３ 電極柱
２３１ 内側電極柱
２３２ 外側電極柱
２３３ 絶縁スリーブ
２３４ シールリング
２３５ 第１絶縁シート
２３６ 第２絶縁シート
２４ エンドキャップ
２６ アダプタ部材
２６１ 第１アダプタシート
２６１１ 第１本体セグメント
２６１２ 第１接続セグメント
２６２ 第２アダプタシート
２６２１ 第２本体セグメント
２６２２ 第２接続セグメント
３０ 電池単体の製造装置
３１ 第１提供モジュール
３２ 第２提供モジュール
３３ 第３提供モジュール
３４ 組立モジュール

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】