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特許7583913商品管理システム、器具通信装置、及び商品管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】商品管理システム、器具通信装置、及び商品管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20241107BHJP
【FI】
G06Q30/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023513014
(86)(22)【出願日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 JP2022017054
(87)【国際公開番号】W WO2022215684
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2021066117
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】加瀬林 千里
(72)【発明者】
【氏名】岡田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 隆史
(72)【発明者】
【氏名】高木 一行
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 文宏
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-009460(JP,A)
【文献】国際公開第2021/024852(WO,A1)
【文献】特開2007-001751(JP,A)
【文献】特開2019-207447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部を有するサーバと、
商品に設けられ、前記商品に関する第1商品情報が記憶された商品無線タグと、
器具通信装置を有し、前記商品を保持する保持用器具と、を備え、
前記器具通信装置は、前記商品無線タグから前記第1商品情報を読み取る無線タグリーダと、前記保持用器具に関する保持用器具情報を記憶したメモリと、前記無線タグリーダが読み取った前記第1商品情報と前記メモリから読み出した前記保持用器具情報とを前記サーバへ送信する制御部と、を有し、
前記記憶部は、前記第1商品情報と前記保持用器具情報とを紐づけて記憶
前記商品無線タグは、第1固着部材と第2固着部材とを有し、
前記器具通信装置は、センサと第3固着部材とを有し、
前記第1固着部材と前記センサは、前記第2固着部材と前記第3固着部材とが固着したときに、対面するように、前記商品無線タグと前記器具通信装置にそれぞれ設けられる、
商品管理システム。
【請求項2】
前記第1固着部材は磁着部材であり、前記センサは磁気センサであり、
前記無線タグリーダは、
前記磁気センサによって検出される検出結果が閾値を超える場合、前記商品無線タグの検出動作を開始し、
前記磁気センサによって検出される検出結果が前記閾値以下の場合、前記商品無線タグの検出動作を停止する、
請求項記載の商品管理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記記憶部に前記第1商品情報と前記保持用器具情報とが紐づけて記憶されている場合であって、かつ、前記検出動作の直前に前記無線タグリーダが読み取った第2商品情報と、前記第1商品情報とが同じ商品情報ではない場合、前記商品とは異なる商品が前記保持用器具に戻された判定し、前記第2商品情報と前記保持用器具情報とを前記サーバへ送信し、
前記記憶部は、前記第2商品情報と前記保持用器具情報とを紐づけて記憶する、
請求項記載の商品管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記記憶部に前記第1商品情報と前記保持用器具情報とが紐づけて記憶されている場合であって、かつ、前記検出動作の直前に前記無線タグリーダが読み取った第2商品情報と、前記第1商品情報とが同じ商品情報である場合、同一の前記商品が前記保持用器具に戻されたと判定する、
請求項記載の商品管理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記磁気センサが磁気を検出した場合、前記器具通信装置の一部に対して電源供給しないスリープ状態から、前記一部に対して電源供給するアクティブ状態へ復帰させる、
請求項記載の商品管理システム。
【請求項6】
商品を保持する保持用器具に設けられた器具通信装置であって、
前記商品に設けられ、前記商品に関する第1商品情報が記憶された商品無線タグから前記第1商品情報を読み取る無線タグリーダと、
前記保持用器具に関する保持用器具情報を記憶したメモリと、
前記無線タグリーダが読み取った前記第1商品情報と前記メモリから読み出した前記保持用器具情報とをサーバへ送信する制御部と、を備え、
前記第1商品情報と前記保持用器具情報は、前記サーバにおいて紐づけて記憶され
前記商品無線タグは、第1固着部材と第2固着部材とを有し、
前記器具通信装置は、センサと第3固着部材とをさらに備え、
前記第1固着部材と前記センサは、前記第2固着部材と前記第3固着部材とが固着したときに、対面するように、前記商品無線タグと前記器具通信装置にそれぞれ設けられる、
器具通信装置。
【請求項7】
サーバと、
商品に設けられ、前記商品に関する第1商品情報が記憶された商品無線タグと、
器具通信装置を有し、前記商品を保持する保持用器具と、を有する商品管理システムにおける商品管理方法であって、
前記器具通信装置において、前記商品無線タグから読み取った前記第1商品情報と、メモリから読み出した前記保持用器具に関する保持用器具情報とを、前記サーバへ送信することと、
前記サーバにおいて、前記第1商品情報と前記保持用器具情報とを紐づけて記憶することと、を備
前記商品無線タグは、第1固着部材と第2固着部材とを有し、
前記器具通信装置は、センサと第3固着部材とを有し、
前記第1固着部材と前記センサは、前記第2固着部材と前記第3固着部材とが固着したときに、対面するように、前記商品無線タグと前記器具通信装置にそれぞれ設けられる、
商品管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、商品管理システム、器具通信装置、及び商品管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アパレル業界向けのマーケティング支援用のシステムであって、商品を保持するセンサ付きRFID(Radio Frequency Identification)ハンガーと、RFIDハンガーが配置されるRF(Radio Frequency)受信器付きハンガーラックと、サーバとを備えるシステムが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のシステムにおいて、センサ付きRFIDハンガーがRF受信器付きハンガーラックから取り出されたことをセンサにより検知すると、センサ付きRFIDハンガーがハンガー識別子を送信する。RF受信器付きハンガーラックは、RFIDハンガーからハンガー識別子を受信し、受信したハンガー識別子をサーバへ送信する。
【0004】
サーバは、商品識別子とハンガー識別子との関連付けテーブルを有している。サーバは、関連付けテーブルを用いて、RF受信器付きハンガーラックからのハンガー識別子を商品識別子に変換し、どの商品がユーザ(顧客)により選択されたかを判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-308429号公報
【発明の概要】
【0006】
第1の態様に係る商品管理システムは、記憶部を有するサーバと、商品に設けられ、前記商品に関する第1商品情報が記憶された商品無線タグと、器具通信装置を有し、前記商品を保持する保持用器具と、を備える。前記器具通信装置は、前記商品無線タグから前記第1商品情報を読み取る無線タグリーダと、前記保持用器具に関する保持用器具情報を記憶したメモリと、前記無線タグリーダが読み取った前記第1商品情報と前記メモリから読み出した前記保持用器具情報とを前記サーバへ送信する制御部と、を有する。また、前記記憶部は、前記第1商品情報と前記保持用器具情報とを紐づけて記憶する。
【0007】
第2の態様に係る器具通信装置は、商品を保持する保持用器具に設けられた器具通信装置である。前記器具通信装置は、前記商品に設けられ、前記商品に関する第1商品情報が記憶された商品無線タグから前記第1商品情報を読み取る無線タグリーダと、前記保持用器具に関する保持用器具情報を記憶したメモリと、前記無線タグリーダが読み取った前記第1商品情報と前記メモリから読み出した前記保持用器具情報とをサーバへ送信する制御部と、を備える。前記第1商品情報と前記保持用器具情報は、前記サーバにおいて紐づけて記憶される。
【0008】
第3の態様に係る商品管理方法は、サーバと、商品に設けられ、前記商品に関する第1商品情報が記憶された商品無線タグと、器具通信装置を有し、前記商品を保持する保持用器具と、を有する商品管理システムにおける商品管理方法である。前記商品管理方法は、前記器具通信装置において、前記商品無線タグから読み取った前記第1商品情報と、メモリから読み出した前記保持用器具に関する保持用器具情報とを、前記サーバへ送信することと、前記サーバにおいて、前記第1商品情報と前記保持用器具情報とを紐づけて記憶することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るハンガーと商品の例を示す図である。
図2図2(A)は一実施形態に係る器具通信装置、図2(B)は一実施形態に係る商品タグの構成例をそれぞれ示す図である。
図3図3(A)と図3(B)は、一実施形態に係る器具通信装置と商品タグの側面図の例を示す図である。
図4図4は、一実施形態に係る商品管理システムの構成例を示す図である。
図5図5は、一実施形態に係る器具通信装置の構成例を示す図である。
図6図6(A)から図6(D)は、磁石の配置例を示す図である。
図7図7は、一実施形態に係る器具通信装置における動作例を示す図である。
図8図8は、一実施形態に係る器具通信装置における動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特許文献1に記載のシステムでは、商品識別子とハンガー識別子とを紐づける関連付けテーブルが事前にサーバに登録されることが条件である。この際、店員が、バーコードリーダ又はパーソナルコンピュータなどを利用して、手動(又は手動入力)で、商品識別子とハンガー識別子とを紐づけて(ペアリングして)サーバに登録する場合がある。
【0011】
しかし、手動でペアリングを行うと、店員の作業が増加する。また、ペアリング実施後に、顧客が商品を別のハンガーに戻すなどにより、ハンガーと商品との組み合わせが変わる場合がある。この場合、店員が気付かないと、手動で再ペアリングできない。さらに、ハンガーに商品が掛かっていなくても、ハンガーに取り付けられたセンサが動作し、電力を消費してしまう場合がある。
【0012】
そこで、本開示は、店員の負担軽減を図ることを目的とする。また、本開示は、保持用器具と商品との組み合わせが変化しても、保持用器具情報と商品情報との紐づけを可能にすることを目的とする。さらに、本開示は、消費電力削減を図ることを目的とする。
【0013】
図面を参照して実施形態について説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0014】
(器具通信装置と商品タグの例)
図1は、アパレル店舗S内のハンガーラックに掛けられている商品PとハンガーHの例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、商品Pには商品タグTが設けられている。
【0016】
商品タグTは、商品Pのブランド名、商品名、価格などを表示したタグである。商品タグTは、値札、又は下げ札と称される場合がある。商品タグTは、商品無線タグを有する。商品無線タグは、商品Pに関する商品情報を記憶する。商品情報としては、商品Pを他の商品と識別する商品識別子がある。以下において、商品情報として商品識別子を一例として主に説明するが、商品Pを他の商品と識別することができればよく、例えば、商品P毎の製造番号、又は商品名などであってもよい。
【0017】
また、図1に示すように、ハンガーHには器具通信装置100が設けられている。
【0018】
器具通信装置100は、商品タグTの商品無線タグと通信可能な装置である。すなわち、器具通信装置100は、無線タグリーダを有し、商品タグTの商品無線タグに記憶された商品情報を読み取ることができる。この読み取りを可能とするため、器具通信装置100と商品タグTの双方に磁石が設けられている。すなわち、磁石の固着作用を利用して、商品タグTを器具通信装置100の表面の所定の位置に固着させることが可能である。この場合、無線タグリーダは、その近傍に、商品タグTの商品無線タグが配置されるため、商品無線タグから商品情報を読み取ることができる。図1の例では、商品タグTの背後に器具通信装置100が固着されている様子が示されている。
【0019】
また、器具通信装置100は、ハンガーに関するハンガー情報を記憶する。ハンガー情報としては、ハンガーHを他のハンガーと識別するハンガー識別子がある。以下において、ハンガー情報として、ハンガー識別子を一例として主に説明するが、ハンガー情報は、ハンガーHを他のハンガーと識別することができればよく、例えば、ハンガーH毎の製造番号などであってもよい。
【0020】
さらに、器具通信装置100は、ハンガー識別子と商品識別子とを、無線で送信する通信機能を有する。無線方式は、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)方式でもよいし、5G(5th Generation)などのセルラー通信方式でもよい。器具通信装置100は、このような無線通信方式を利用して、ハンガー識別子と商品識別子とを、無線通信装置へ送信することが可能である。なお、ハンガー識別子と商品識別子とは、無線通信装置を介してサーバへ送信される。サーバにおいて、ハンガー識別子と商品識別子とが紐づけられて記憶される。
【0021】
なお、以下では、ハンガー識別子と商品識別子とを紐づけて、メモリなどに記憶することを「ペアリング」と称する場合がある。ペアリングは、サーバと器具通信装置100の双方で行われてもよい。ペアリングが器具通信装置100で行われても、ハンガー識別子と商品識別子とはサーバへ送信される。
【0022】
(器具通信装置と商品タグの構成例)
図2(A)は器具通信装置100、図2(B)は商品タグTの外観構成例を示す図である。
【0023】
図2(A)に示すように器具通信装置100は、ハンガーHの表面に取り付けられている。器具通信装置100の位置は、図2(A)に示す例では、ハンガーHの中央付近に取り付けられているが、それ以外の任意の位置に取り付けられてもよい。また、器具通信装置100は、ハンガーHの表面及び裏面のいずれか一方の面に取り付けられてもよいし、ハンガーHの内部に組み込まれてもよい。
【0024】
器具通信装置100において、図面上、表面側にアンテナシート130が配置される。また、アンテナシート130の表面に磁気センサ110と3つの磁石120a~120cが配置される。さらに、アンテナシート130とハンガーHとの間に、器具通信装置100の本体部100bが配置される。
【0025】
磁気センサ110は、磁気の大きさを検出するセンサである。磁気センサ110は、商品タグTに設けられた磁石220bを磁気センサ110の近傍に接近させると、磁石220bからの磁気の大きさを検出し、検出結果を本体部100bへ出力する。これにより、器具通信装置100は、商品タグTが器具通信装置100に固着されたか否か(又は、商品PがハンガーHに掛けられたか否か)を検出することが可能となる。
【0026】
磁石120a~120cは、商品タグTの磁石220a,220d,220cとそれぞれ固着するための磁石である。すなわち、磁石120aは磁石220bと、磁石120bは磁石220dと、磁石120cは磁石220cと、それぞれ対面して、各磁石の磁力を利用して固着することが可能である。
【0027】
アンテナシート130は、器具通信装置100の本体部100b内の無線タグリーダと接続される。アンテナシート130は、無線タグリーダと、商品タグTに取り付けられている商品無線タグ200との間で通信を行うためのアンテナである。アンテナシート130は、その範囲内で、商品無線タグ200と通信可能であり、商品タグTが器具通信装置100とが多少ずれて固着されても、商品無線タグ200と通信可能である。
【0028】
器具通信装置100の本体部100bは、上述したように無線タグリーダを含む。詳細は、後述する。
【0029】
図2(B)に示すように、商品タグTには、商品無線タグ200と4つの磁石220a~220dとが取り付けられている。なお、図2(B)に示す商品タグTの面は、裏面である。表面には、ブランド名、ブランドロゴ、商品名などが表示されている。
【0030】
商品無線タグ200には、商品識別子が書き込まれている。商品無線タグ200は、ICタグ、RFID、又はRFタグと呼ばれることがある。上述したように、商品無線タグ200がパッシブ型の無線タグである例について説明したが、アクティブ型の無線タグであってもよい。図2(B)の例では、商品無線タグ200は、商品タグTの裏面に設けられているが、商品タグTの表面に設けられてもよい。
【0031】
磁石220a~220dは、商品タグTを器具通信装置100に固着させるための磁石である。ただし、磁石220bは、商品タグTが器具通信装置100に固着されたか否かを、器具通信装置100の磁気センサ110に検出させるための機能を有する磁石となっている。図2(A)と図2(B)との関係では、磁石220aが、器具通信装置100の磁石120a、磁石220cが磁石120b、磁石220dが磁石120cと固着することで、商品タグTの裏面が器具通信装置100の表面に固着させることが可能となる。磁石220a~220dと、器具通信装置100の磁石120a~120cとにより、器具通信装置100において商品タグTを正しい位置に固着させることが可能となる。これにより、例えば、磁気センサ110の検出精度が高まり、商品無線タグ200からの商品識別子の読み取り精度も高くすることが可能となる。
【0032】
なお、磁石120a~120cと磁石220a~220dの配置関係については後述する。
【0033】
図3(A)と図3(B)は、器具通信装置100と商品タグTの外観側面図の例を示す図である。ただし、商品無線タグ200が商品タグTの表面側に取り付けられた場合の例を示している。
【0034】
図3(A)は、器具通信装置100に、商品タグTが固着した場合の例を示す図である。この場合に、器具通信装置100は、商品タグTの商品無線タグ200に記憶された商品識別子を読み取ることが可能となる。
【0035】
他方、図3(B)は、商品タグTが器具通信装置100から離れた場合の例を示す図である。図3(B)に示すように、例えば、アンテナシート130による商品無線タグ200の検出範囲が点線範囲で示される。この場合、その検出範囲を超えて、商品タグTが器具通信装置100から離れると、器具通信装置100は、商品無線タグ200の商品識別子を読み取ることができない。また、その検出範囲が狭いため、器具通信装置100は、近くに存在する他の商品Pの商品無線タグ200を誤検出することもない。
【0036】
なお、商品タグTを移動させて、器具通信装置100に固着させる操作は、主に、店舗S内の店員によって行われる。ただし、このような操作が、顧客によって行われてもよい。
【0037】
(商品管理システムの構成例)
図4は、商品管理システム10の構成例を示す図である。
【0038】
商品管理システム10は、保持用器具H1,H2,H3,…と、商品タグT1,T2,T3,…、無線通信装置300、及びサーバ400を備える。
【0039】
保持用器具H1,H2,H3,…は、いずれも同一構成のため、代表して保持用器具H1について説明する。また、商品タグT1,T2,T3,…も、同一構成のため、代表して商品タグT1について説明する。
【0040】
保持用器具H1は、例えば、ハンガーである。保持用器具H1は、以下では、主にハンガーについて説明するが、商品Pを保持する器具であればどのような器具でもよく、マネキンなどの商品固定具、又はトレー等であってもよい。
【0041】
保持用器具H1は、器具通信装置100-1を有する。器具通信装置100-1の詳細については後述する。
【0042】
商品タグT1は、各商品Pに取り付けられているタグである。商品タグT1には、上述したように、商品Pのブランド名、ロゴ、価格などが表示される。商品タグT1は、商品無線タグ200-1を有する。
【0043】
図4の例では、保持用器具H1と商品タグT1とが磁石により固着された例を表している。上述したように、器具通信装置100-1は、商品無線タグ200-1から商品識別子を読み取って、また、内部のメモリに記憶したハンガー識別子を読み出して、2つの識別子を、無線通信装置300へ送信することが可能である。
【0044】
保持用器具H1と商品タグT1は、店舗S内に設けられている。店舗Sは、例えば、アパレル店舗である。以下では、店舗Sとして、アパレル店舗の例について主に説明するが、店舗Sは、商品Pを販売する店舗であればどのような店舗でもよく、例えば、スーパー、八百屋、又は魚屋等であってもよい。
【0045】
無線通信装置300は、器具通信装置100-1と無線通信を行うとともに、NW(Net Work)と有線接続されて、サーバ400と通信することが可能である。無線通信装置300は、上述したように、無線LAN方式で器具通信装置100-1と通信してもよいし、セルラー方式で通信してもよい。無線通信装置300は、器具通信装置100-1から送信された商品識別子とハンガー識別子とを、NWを介して、サーバ400へ送信する。
【0046】
なお、NWは有線回線ではなく、無線回線であってもよい。無線回線の場合、無線通信装置300は、無線LAN方式又はセルラー方式等の無線通信を利用して、2つの識別子をサーバ400へ送信する。
【0047】
サーバ400は、NWと接続される。サーバ400は、NWを介して無線通信装置300から送信された、商品識別子とハンガー識別子とを受信する。サーバ400は、記憶部410を有する。
【0048】
記憶部410は、商品識別子とハンガー識別子とを紐づけて記憶する(又はペアリングする)。
【0049】
サーバ400では、このようなペアリングを行った後、商品識別子とハンガー識別子との関係から、商品Pに関するマーケティングに利用することが可能である。例えば、器具通信装置100-1は加速度センサを有し、当該センサによって、顧客がハンガーHを手に取ったことが検出されると、その情報が無線通信装置300を介してサーバ400へ送信される。その情報がサーバ400へ所定回数送信されることで、サーバ400では、そのハンガーHに保持されている商品Pの興味度が高い、と判定できる。これにより、商品Pに対するマーケティングの利用に供されることが可能となる。
【0050】
(器具通信装置の構成例)
図5は、器具通信装置100の構成例を示す図である。
【0051】
図5に示すように、器具通信装置100は、磁気センサ110、固着部材120、アンテナシート130、無線タグリーダ140、アンテナ150、及び制御部160を備える。
【0052】
磁気センサ110は、磁気の大きさを検出するセンサである。磁気センサ110は、磁気の大きさを検出できればよく、ホール効果を利用するホールセンサ、又は磁気抵抗(MR:Magneto Resistance)効果を利用したMRセンサなどでもよい。磁気センサ110は、検出結果を、制御部160へ出力する。
【0053】
固着部材120は、商品タグTを器具通信装置100に固着させるための部材である。具体的には、固着部材120は、磁着部材、粘着部材、又は引っ掛け器具などである。
【0054】
磁着部材は、磁石の吸引力を利用して固着させる部材であって、例えば、磁石、又は磁石の機能を有する金属である。磁石の機能を有する金属は、例えば、磁石を近づけると磁石と同様に、その磁石に固着することが可能な金属であって、鉄、ニッケル、コバルトなどがある。図2(A)などで説明した磁石120a~120cは、固着部材120の一例である。
【0055】
粘着部材は、例えば、マジックテープ(登録商標)又は粘着テープなどである。例えば、図2(A)などで説明した磁石120a~120cに代えて、マジックテープ(登録商標)とすることが可能である。この場合、商品タグTの磁石220a~220dについても、マジックテープ(登録商標)に代替することになる。そして、この場合、磁気センサ110に代えて、照度センサにより、商品タグTが器具通信装置100に固着されたか否かを判定することが可能である。すなわち、照度センサは、商品タグTがマジックテープ(登録商標)等で器具通信装置100に固着された場合、所定値以下の検出結果を出力し、固着されない場合、周囲が明るくなるため、所定値を超える検出結果を出力できる。
【0056】
引っ掛け器具は、例えば、フックなどであって、器具通信装置100の所定位置で商品タグTを引っ掛けて、両者を固着させるものである。この場合も、磁気センサ110に代えて、照度センサによって、固着の有無を判定できる。
【0057】
以下では、固着部材120として、磁石、又は磁石の機能を有する金属を例にして説明する。
【0058】
商品タグTについても、固着部材が取り付けられており、図2(A)などで説明した磁石220(220a~220d)も、固着部材の一例である。
【0059】
図5に戻り、アンテナシート130は、商品タグTの商品無線タグ200と通信し、受信信号を得る。アンテナシート130は、受信信号を無線タグリーダ140へ出力する。例えば、アンテナシート130は、電波を送信して、商品無線タグ200からの反射波を受信し、受信信号を無線タグリーダ140へ出力する。反射波には、商品無線タグ200に記憶された商品識別子が含まれる。
【0060】
無線タグリーダ140は、受信信号から商品識別子を抽出する(又は読み取る)。無線タグリーダ140は、読み取った商品識別子を制御部160へ出力する。
【0061】
アンテナ150は、無線通信装置300と無線通信を行うためのアンテナである。アンテナ150は、制御部160から出力された無線信号を無線通信装置300へ送信する。また、アンテナ150は、無線通信装置300から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号を制御部160へ出力する。
【0062】
制御部160は、器具通信装置100を制御する。制御部160は、少なくとも1つのメモリ162と、メモリ162と電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサ161と、プロセッサ161と電気的に接続された少なくとも1つの通信モジュール(通信部)163とを有する。プロセッサ161は、メモリ162に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、ペアリング処理など、各種処理を行う。プロセッサ161は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサ又はコントローラであってもよい。メモリ162は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含み、プロセッサ161に用いる情報と、プログラムとを記憶する。本実施形態では、メモリ162は、器具通信装置100が取り付けられている保持用器具の保持用器具情報を記憶する。
【0063】
なお、上述したハンガー識別子は、保持用器具識別子の一例である。保持用器具がトレーの場合、保持用器具識別子はトレー識別子となり、保持用器具が商品固定具の場合、保持用器具識別子は商品固定具識別子となる。
【0064】
また、保持用器具識別子は、保持用器具情報の一例である。保持用器具がトレーの場合、保持用器具情報はトレー情報となり、保持用器具が商品固定具の場合、保持用器具情報は商品固定具情報となる。
【0065】
以下では、保持用器具情報としてハンガー識別子を例にして説明を続ける。
【0066】
制御部160のプロセッサ161は、メモリ162からハンガー識別子を読み出し、読み出したハンガー識別子と、無線タグリーダ140から受け取った商品識別子とを、通信モジュール163へ出力する。通信モジュール163は、商品識別子とハンガー識別子とを無線信号に変換し、変換した無線信号をアンテナ150へ出力する。アンテナ150からは、変換後の無線信号が無線通信装置300へ送信される。
【0067】
なお、無線通信装置300では、無線信号を受信し、受信した無線信号から、商品識別子とハンガー識別子とを抽出する。無線通信装置300は、商品識別子とハンガー識別子とを、NWを介して、サーバ400へ送信する。サーバ400は、商品識別子とハンガー識別子とを記憶部410に記憶する。
【0068】
なお、制御部160のメモリ162と通信モジュール163とは、制御部160の外部にあってもよい。この場合、メモリ162は制御部160と接続され、通信モジュール163は、制御部160とアンテナ150との間に設けられる。
【0069】
また、図5に示すように、本体部100bは、無線タグリーダ140、アンテナ150、及び制御部160を含む。
【0070】
(磁石の配置関係)
図6(A)から図6(D)は、器具通信装置100に取り付けられた磁石120と、商品タグTに取り付けられた磁石220aとの配置関係例を表す図である。これらの図において、「N」と「S」は、磁石のN極、S極をそれぞれ表す。また、丸部分に何も表記されていないものは、磁石ではなく、磁石の機能を有する金属を表している。図6(A)の例では、220bはこのような金属(以下では、単に「金属」と称する場合がある。)を表している。
【0071】
図6(A)の例では、器具通信装置100は、器具通信装置100の表面に磁石120a,120bを有し、商品タグTの裏面に磁石220aと金属220bを有する。器具通信装置100の磁石120a,120bは、器具通信装置100の対角線上に設けられ、他方の対角線上には磁石は設けられていない。矢印で示されるように、商品タグTの裏面を器具通信装置100の表面に張り合わせるように対面させた場合に、器具通信装置100の磁石120a,120bと対面する位置に、商品タグT側の磁石220aと金属220bがそれぞれ設けられている。そして、磁石120aと磁石220a、磁石120bと金属220bとを固着させると、商品タグTが器具通信装置100と正しい位置で固着される。
【0072】
しかし、必ずしも、商品タグTが正しい位置で器具通信装置100に固着されるとは限らない。
【0073】
例えば、図6(A)の例において、商品タグTが裏返しされて、その状態で270°、矢印とは反対方向に回転させると、その状態で、磁石120aと磁石220aとが固着する。或いは、磁石120aと金属220bとを対面させて固着させることも可能である。
【0074】
その一方、商品タグTを器具通信装置100に固着させるのは、店舗S内の店員であることが想定される。商品タグTは、一般には、表面にブランド名、ロゴマークなどが表示され、裏面には商品Pの価格が表示される。店員は、商品タグTが表面になっているのか裏面になっているのか、すぐに把握することが可能である。そのため、店員は、器具通信装置100に商品タグTを固着させる際に、商品タグTの表面を顧客に見えるように商品タグTを仕向けるとともに、商品タグTの裏面を器具通信装置100に貼り付けて固着させることは、容易である。
【0075】
ただし、磁石120,220は、正方形の4つの角の1個ずつに配置されるのではなく、長方形の4つの角の1個ずつに配置される。これにより、少なくとも、商品タグTが回転した状態で、器具通信装置100に固着されることを防止することが可能となる。
【0076】
図6(A)の例では、器具通信装置100において、長方形の対角線上に、2つの磁石120a,120bが設けられ、他方の対角線上には磁石は設けられていない。また、商品タグTが正しい位置で器具通信装置100と固着されるように、2つの磁石120a,120bと対面する位置に、商品タグTの磁石220aと金属220bが設けられている。これにより、全ての角に磁石120,220が設けられた場合と比較して、部品点数が少なくなり、コスト削減を図ることができる。さらに、金属220bは、磁石よりも低価格である。そのため、磁石ではなく、金属220bを配置させることで、さらに、コスト削減を図ることができる。
【0077】
図6(B)は、図6(A)における磁石120a,220aの極性を反転させた例である。また、図6(C)は、図6(A)とは異なる対角線上に、磁石120aと金属120bが設けられている例を示している。この場合、商品タグTを器具通信装置100に張り合わせるときに、磁石120aと金属120bとそれぞれ対面する位置に、金属220aと磁石220bとが商品タグTに設けられている。さらに、図6(D)は、図6(C)に対して、商品タグTの磁石220の極性を反転させた例を表している。
【0078】
図6(A)と図6(B)は、商品タグTに金属220bが1つ設けられている例を表し、図6(C)と図6(D)は、さらに、器具通信装置100にも金属120bが設けられている例を表している。後者の場合、前者よりも、金属の個数が多くなっているため、後者の方が、前者よりも、さらに、コスト削減を図ることが可能である。
【0079】
なお、図6(A)と図6(B)は、商品タグT側に金属220bを有する例を示しているが、器具通信装置100側の磁石120bが金属となり、商品タグTの金属220bが磁石となってもよい。
【0080】
(動作例)
図7図8は、器具通信装置100におけるペアリング処理に関する動作例を示す図である。主に、当該動作例は、制御部160で行われる動作である。
【0081】
図7に示すように、ステップS10において、制御部160がペアリング処理を開始すると、ステップS11において、制御部160は、器具通信装置100をスリープ状態にさせる。スリープ状態は、例えば、器具通信装置100の一部が給電されずに、その一部の機能が動作しない状態のことである。図5の例の場合、スリープ状態は、例えば、アンテナシート130と無線タグリーダ140、及びアンテナ150が給電されずに、動作しない状態のことである。制御部160は、アンテナシート130、無線タグリーダ140、及びアンテナ150に電源を供給しないように制御することで、器具通信装置100をスリープ状態にさせることが可能である。
【0082】
図7に戻り、ステップS12において、制御部160は、器具通信装置100をスリープ状態からアクティブ状態へ復帰させる。制御部160は、磁気センサ110から、磁気を検出したことを示す検出結果を受け取った場合に、アクティブ状態に復帰させてもよい。又は、制御部160は、その検出結果が閾値より大きい場合に、アクティブ状態に復帰させてもよい。又は、制御部160は、周期的に、アクティブ状態に復帰させてもよい。
【0083】
なお、制御部160は、例えば、アンテナシート130と無線タグリーダ140、及びアンテナ150に給電することで、器具通信装置100をアクティブ状態に復帰させる。
【0084】
ステップS13において、制御部160は、磁気センサ110が磁気を検知したか否かを判定する。
【0085】
例えば、制御部160は、ステップS12から所定時間経過後に、ステップS13を判定してもよい。この場合、制御部160は、磁気センサ110から検出結果を得ることができたか否かにより、ステップS13を判定してもよい。又は、制御部160は、磁気センサ110からの検出結果が閾値より大きいか否かにより、ステップS13を判定してもよい。
【0086】
例えば、制御部160は、ステップS12において、周期的にアクティブ状態へ復帰させた場合、磁気センサ110から検出結果を得たか否かにより、又は、その検出結果が閾値より大きいか否かにより、ステップS13を判定してもよい。
【0087】
ステップS13において、磁気センサ110が磁気を検知したと制御部160が判定したとき(ステップS13において「検知した」)、ステップS14において、無線タグリーダ140は、ハンガーセンサリングを開始する。
【0088】
ステップS15において、無線タグリーダ140は、商品タグTの商品無線タグ200から、商品無線タグ200に記憶された商品識別子を読み取る。無線タグリーダ140は、読み取った商品識別子を制御部160へ出力する。
【0089】
図8のステップS16において、制御部160は、ペアリング済みか否かを判定する。例えば、制御部160は、ペアリングを行うと、ペアリングを行ったことを示すフラグ情報をメモリ162に記憶する。そのため、制御部160は、メモリ162にフラグ情報が記憶されているか否かにより、ペアリング済みか否かを判定してもよい。又は、制御部160は、サーバ400へ、ペアリング済みか否かの問い合わせ要求メッセージを送信し、サーバ400からペアリング済みを示す応答メッセージを受信したか否かにより判定してもよい。サーバ400では、器具通信装置100から送信された要求メッセージに含まれるハンガー識別子を検索キーにして、記憶部410を検索する。そして、サーバ400は、当該ハンガー識別子と商品識別子とが紐づけて記憶部410に記憶されていれば、ペアリング済みの応答メッセージを送信し、記憶されていなければ、ペアリング未実施であることを示す応答メッセージを送信する。
【0090】
ステップS16において、制御部160は、ペアリング未実施であると判定したとき(ステップS16において「ペアリング未」)、ステップS17において、制御部160は、ペアリングを実施する。ペアリングは、例えば、以下のように行われる。すなわち、制御部160は、メモリ162からハンガー識別子を読み出す。そして、制御部160は、読み出したハンガー識別子と、無線タグリーダ140から受け取った商品識別子(ステップS15)とを、無線通信装置300を介して、サーバ400へ送信する。この際、制御部160は、2つの識別子をサーバ400へ送信したこと(又はペアリングが行われたこと)を示すフラグ情報を、メモリ162に記憶してもよい。
【0091】
ステップS18において、制御部160は、ペアリング処理を終了する。ただし、制御部160は、ステップS11へ移行して、上述した処理を繰り返してもよい。
【0092】
一方、ステップS16において、制御部160は、ペアリング済みであると判定したとき(ステップS16において「ペアリング済み」)、ステップS19において、制御部160は、前回と同じ商品無線タグ200か否かを判定する。ステップS19では、制御部160は、ステップS15において、今回、無線タグリーダ140が読み取った商品識別子と、その直前に無線タグリーダ140が読み取った商品識別子とが同一か否かを判定する。判定は、例えば、以下のようにして行われる。すなわち、制御部160は、図7のステップS15の処理を行う毎に、無線タグリーダ140から受け取った商品識別子をメモリ162に記憶する。そして、制御部160は、今回の処理で、ステップS15によりメモリ162に記憶された商品識別子と、その直前の処理で、ステップS15によりメモリ162に記憶された商品識別子とが、同一か否かにより判定する。
【0093】
ステップS19において、制御部160は、前回と同じ商品無線タグ200と判定すると(ステップS19において「同じ無線タグ」)、ステップS20において、制御部160は、同じ商品PがハンガーHに戻されたと判定する。例えば、商品PがハンガーHに掛けられたため、再度、ペアリングしようとしたところ、既に、同一商品Pについて(ステップS19で「同じ無線タグ」)、ペアリング済みであった(ステップS16で「ペアリング済み」)。そのため、制御部160は、同じ商品PがハンガーHに戻されたと判定している。
【0094】
そして、ステップS18において、制御部160は、ペアリング処理を終了する。ただし、制御部160は、ステップS11へ移行して、上述した処理を繰り返してもよい。
【0095】
一方、ステップS19において、制御部160は、前回と同じ商品無線タグ200ではないと判定したとき(ステップS19において「異なる無線タグ」)、ステップS21において、制御部160は、異なる商品PがハンガーHに戻されたと判定する。例えば、ペアリングは既に行われた(ステップS16で「ペアリング済み」)ものの、無線タグリーダ140で読み取った商品識別子が、前回の処理で読み取った商品識別子とは異なっていた(ステップS19において「異なる無線タグ」)。そのため、制御部160は、異なる商品PがハンガーHに戻されたと判定している。
【0096】
ステップS22で、制御部160は、再ペアリングを実施する。すなわち、制御部160は、異なる商品PがハンガーHに掛けられたため、今回の処理で無線タグリーダ140が読み取った商品識別子と、メモリ162から読み出したハンガー識別子とを、サーバ400へ向けて送信する。サーバ400は、2つの識別子と紐づけて記憶部410に記憶する。この際、制御部160は、2つの識別子をサーバ400へ送信したこと(又はペアリングが行われたこと)を示すフラグ情報を、メモリ162に記憶してもよい。
【0097】
ステップS18において、制御部160は、ペアリング処理を終了する。この場合も、制御部160は、ステップS11へ移行して、上述した処理を繰り返してもよい。
【0098】
一方、図7に戻り、ステップS13において、制御部160は、磁気センサ110が磁気を検出しないと判定したとき(ステップS13で「検出しない」)、ステップS23において、ハンガーセンサリングを停止させる。制御部160は、アンテナシート130と無線タグリーダ140への給電を停止させることで、ハンガーセンサリングを停止させてもよい。
【0099】
ステップS24において、制御部160は、ペアリング済みか否かを判定する。上述した図8のステップS16と同様に、制御部160は、ペアリングを行ったことを示すフラグ情報がメモリ162に記憶されているか否かにより判定してもよい。又は、制御部160は、サーバ400へ、ペアリング済みか否かの問い合わせ要求メッセージを送信し、サーバ400からペアリング済みを示す応答メッセージを受信したか否かにより判定してもよい。
【0100】
ステップS24において、制御部160は、ペアリング未実施であると判定したとき(ステップS24で「ペアリング未」)、ステップS11へ移行して、上述した処理を繰り返す。この場合は、例えば、器具通信装置100が定期的にスリープ状態からアクティブ状態へ復帰した(ステップS12)ものの、磁気センサ110が磁気を検出せず(ステップS13で「検知しない」)、ペアリングも未実施となっている場合である。例えば、ハンガーHがまだ使用されておらず、ハンガーHが倉庫などに保存されている状態などの場合である。
【0101】
一方、ステップS24において、制御部160は、ペアリング済みであると判定したとき(ステップS24で「ペアリング済み」)、ステップS25において、制御部160は、商品PがハンガーHから外されたと判定する。例えば、制御部160は、磁気センサ110が商品タグTから磁気を検知しなかった(ステップS13で「検知しない」)が、既に、ペアリング済みであれば、直前にペアリングが実施された商品がハンガーHから外されたと判定する。
【0102】
ステップS26において、制御部160は、ペアリング処理を終了する。ただし、制御部160は、ステップS11へ移行して、上述した処理を繰り返してもよい。
【0103】
以上説明したように、器具通信装置100は、磁気センサ110で磁気を検出する(ステップS13で「検知した」)と、商品無線タグ200から商品情報を読み取り、ペアリングを実施している(ステップS15、ステップS17)。従って、器具通信装置100は、磁気センサ110で磁気を検出できれば、自動的にペアリングを行うことができるため、手動でペアリングを行っていた場合と比較して、店員の負担軽減を図ることができる。
【0104】
また、器具通信装置100は、今回読み取った商品情報と、前回の処理で読み取った商品情報とが同じか否かを判定する(ステップS19)。そして、器具通信装置100は、今回読み取った商品情報が前回読み取った商品情報と異なっていれば(ステップS19で「異なる無線タグ」)、今回読み取った商品情報と保持用器具情報とで再ペアリングを行う(ステップS22)。従って、ハンガーHと商品Pの組み合わせが変化した場合でも、商品情報と保持用器具情報との紐づけが可能となる。
【0105】
さらに、器具通信装置100は、スリープ状態がある(ステップS11)。従って、常にアクティブ状態の場合と比較して、器具通信装置100の消費電力削減を図ることが可能となる。
【0106】
さらに、器具通信装置100は、保持用器具Hに設けられて、店舗S内で無線通信装置300と無線通信可能であればどのような位置に配置されてもよく、ハンガーラックの近くに配置させなくてもよい。
【0107】
さらに、器具通信装置100は、磁気センサ110で磁気を検出できれば、自動的にペアリングを行うことができるため、全商品Pを集めて、ペアリングさせることもない。
【0108】
さらに、上述したように、器具通信装置100は、保持用器具Hに商品Pが保持されれば、ペアリングが可能である。
【0109】
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、磁気センサ110を利用する例について説明した。例えば、磁気センサ110に代えて、照度センサが用いられてもよい。上述したように、器具通信装置100に商品タグTが固着されると、照度センサ周辺は暗くなる。一方、器具通信装置100に商品タグTが固着されないと、照度センサ周辺は明るくなる。例えば、制御部160は、図7のステップS13において、照度センサによる検出結果が所定値より低いとき、ステップS14の処理を行い、そうでないとき、ステップS23の処理を行う。
【0110】
上述した各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、又はDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0111】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、上述した例は、矛盾しない範囲で組み合わせることも可能である。
【0112】
本願は、日本国特許出願第2021-066117号(2021年4月8日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0113】
10 :商品管理システム
100 :器具通信装置
100b :本体部
110 :磁気センサ
120(120a~120c):磁石(固着部材)
130 :アンテナシート
140 :無線タグリーダ
150 :アンテナ
160 :制御部
161 :プロセッサ
162 :メモリ
163 :通信モジュール
200 :商品無線タグ
300 :無線通信装置
400 :サーバ
410 :記憶部
H :ハンガー(保持用器具)
P :商品
T :商品タグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8