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特許7583928センサデータを使用して血友病関連予測を生成するための機械学習モデル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】センサデータを使用して血友病関連予測を生成するための機械学習モデル
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20241107BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20241107BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20241107BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
G16H50/20
A61B5/00 102A
A61B5/00 G
A61B5/11 200
A61B10/00 H
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023521127
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 US2021052615
(87)【国際公開番号】W WO2022076221
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】20200358.8
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】モレロ・レオン,シルビア・エレーナ
(72)【発明者】
【氏名】タソグル,テュラプ
(72)【発明者】
【氏名】サーリ,ヘレン・ジーン
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-509465(JP,A)
【文献】特表2020-510899(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0306945(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
A61B 5/00
A61B 5/11
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムによって実行される方法であって、
特定の被験者に対応する被験者固有データセットを受信することであって、前記被験者固有データセットが、
血友病のタイプ;
処置タイプ;
人口統計データ;および
特定の前記被験者の一部の写真、または特定の前記被験者の一部の写真に基づいて導出された情報
を含むかまたは識別する、被験者に対応する被験者固有データセットを受信することと、
前記被験者固有データセットの少なくとも一部を分類器モデルを使用して処理して、集団レベルの機械学習モデルのセットの中から1つ以上の集団レベルの機械学習モデルを識別することであって、前記集団レベルの機械学習モデルのセットのそれぞれが、血友病を有する他の被験者のセットのそれぞれについて血友病に関連する時間経過を予測するために血友病を有する前記他の被験者のセットに対応する訓練セットを使用して訓練された機械学習モデルを含前記訓練セットは、前記他の被験者のセットの静的データもしくは決定論的データ、または時点もしくは期間に対応するデータを含む、1つ以上の集団レベルの機械学習モデルを識別することと、
前記処置タイプの処置が前記被験者に実施された1つ以上の時間を識別する1つ以上の指示を受信することと、
前記1つ以上の時間を、データ処理ワークフローに含まれる前記1つ以上の集団レベルの機械学習モデルのうちの1つの集団レベルの機械学習モデルに入力することによって、前記被験者についての血友病関連時間経過を予測することと、
前記被験者と関連付けられたデバイスにおいて収集されたセンサデータの表現を受信することと、
前記被験者についての血友病関連予測を生成するために、前記センサデータの表現を使用してワークフロー遷移条件が満たされたとの判断に応答して、変換されたデータ処理ワークフローを決定することと、
前記変換されたデータ処理ワークフローに前記センサデータの表現を入力することによって、前記被験者についての血友病関連予測を生成することと、
前記血友病関連予測に対応する結果を出力することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記血友病関連予測を生成することが、
前記センサデータに基づいて後処理アルゴリズムを識別することを含み、前記変換されたデータ処理ワークフローを決定することが、
前記データ処理ワークフローを使用して初期結果を識別することと、
前記センサデータに基づいて後処理関数を決定することと、
前記初期結果および後処理関数を使用して前記初期結果を変換することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変換されたデータ処理ワークフローを決定することが、活性化関数を選択することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記集団レベルの機械学習モデルが薬物動態モデルを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記被験者固有データセットを前記分類器モデルを使用して処理して、前記1つ以上の集団レベルの機械学習モデルを識別することが、
前記被験者固有データセットを符号化することと、
距離ベースのアルゴリズムを使用して、前記被験者固有データセットの前記符号化と前記訓練セットに含まれる他の被験者固有データセットの符号化との間の距離を識別することと
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも前記血友病関連予測を予測された前記血友病関連時間経過に追加することであって、1つ以上の予測された因子レベルが予測された因子レベルを含む、少なくとも前記血友病関連予測を予測された前記血友病関連時間経過に追加することと、
前記被験者と関連付けられた前記デバイスにおいて収集された新たなセンサデータの別の表現を受信することと、
前記別の表現に基づいて、前記データ処理ワークフローの使用を再開することを決定することと、
前記データ処理ワークフローおよび追加された前記時間経過を使用して、前記被験者についての別の血友病関連予測を生成することと、
前記別の血友病関連予測に対応する別の結果を出力することと
をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記血友病関連予測を生成することが、
前記集団レベルの機械学習モデルによって最近の時間ステップについて計算された1つ以上の状態または暫定変数を決定することと、
前記1つ以上の状態または暫定変数を使用するように前記変換されたデータ処理ワークフローを構成することと、を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記センサデータが前記被験者の動きを表す、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記センサデータが、前記被験者の生理学的属性を表す、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
予測された前記血友病関連時間経過が、時点のセットのそれぞれについて、因子、治療薬または有効成分の予測されるレベルを含み、前記血友病関連予測が、別の時点に関連する因子、治療薬または有効成分の別の予測されるレベルを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
予測された前記血友病関連時間経過が、時点のセットのそれぞれについて、予測された凝固時間または異常な出血事象が発生する確率を含み、前記血友病関連予測が、別の時点に関連する別の予測された凝固時間または異常な出血事象が発生する別の確率を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記結果が、前記被験者の活動レベルを低下させる推奨を示す、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記結果が、異常な出血確率の増加を考慮して前記被験者を処置する推奨を示す、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記結果が、前記写真に表示された出血について医学的注意を求める推奨に対応する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記被験者固有データセットが、前記被験者に対応する電子医療レコードにおいて識別されたデータを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記結果が、チャットボットを介して前記被験者のデバイスにおいて出力される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
システムであって、
1つ以上のデータプロセッサと、
命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、前記1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、前記1つ以上のデータプロセッサに、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法を実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を備える、システム。
【請求項18】
1つ以上のデータプロセッサに、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法を実行させるように構成された命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月6日に出願された欧州特許出願第20200358.8号の利益および優先権を主張し、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本書に開示される方法およびシステムは、一般に、血友病に罹患している被験者についての処置戦略の知的選択を容易にするために機械学習モデルを使用することに関する。より具体的には、ワークフローは、1つ以上の機械学習モデルおよび被験者の状態を表すセンサデータ(例えば、動き、運動など)を使用して、特定の被験者についての処置選択、処置スケジュール、処置投与および/または活動推奨を通知または示すための結果を生成するように構成されることができる。
【背景技術】
【0003】
背景
血液循環は、身体の様々な部分への栄養素および酸素、ならびに器官からの二酸化炭素および廃棄物の流れを支援する。循環システムは、一般に、血液の自由な流れを支援するが、損傷が発生して血液が生物から流出し始めるときに血液凝固も望ましい場合がある。次いで、凝固因子カスケードは、しばしば凝固(すなわち、血栓形成)を支援する。より具体的には、複数の初期反応がトロンビンの形成をもたらし、これは、フィブリノーゲンをフィブリンに変換し、フィブリン塊が形成される。
【0004】
血液は、より多くのトロンビンの生成を支援し、したがって損傷後に血液を迅速に凝固させるタンパク質(凝固因子)を含む。血友病の人は、十分な凝固因子を欠いているため、損傷後により長い出血およびより多くの失血を経験する。その結果、血友病の人は、関節および脳に過剰な内出血を有する可能性がある。検出されない場合、この内出血は、発作、関節の永久的な損傷、または意識の低下を引き起こす可能性がある。
【0005】
血友病は、X染色体を介して遺伝することが最も多いが、別の方法で血友病を発症することも可能である。例えば、発生中に突然変異が起こることがあり、または凝固因子に対する抗体が後年に発生することがある。さらに、癌、自己免疫障害および妊娠は、血友病の発症に関連する。
【0006】
血友病の重症度は、被験者によって大きく異なる。一部の被験者は、重篤な血友病を有し、これは、傷害によって引き起こされない自然出血に対応することがある。これらの被験者は、内出血のリスクがあり、自然出血が起こる確率を低下させるために予防的処置を頻繁に受ける。一部の被験者は、軽度の血友病を有し、この場合、自然出血は、起こりにくいが、傷害(例えば、手術または歯の摘出)は、過剰な出血を誘発することがある。これらの被験者は、予防的処置を受けないことが多いが、処置は、手術の前または後に(例えば)実施されることがある。
【0007】
従来、血友病の処置は、欠損血液凝固因子の注射を受けることを伴っていた。最近、代替処置が利用可能になってきた。処置の大部分は、治療薬のレベルを十分に高いレベルに維持するために反復投与を必要とする。処置スケジュールの決定は、血友病自体が発現の高い多様性に対応し、被験者は、薬物動態(例えば、吸収速度、排泄速度など)に関して高い変動性を示すという事実によって複雑になる。さらに、血友病被験者のかなりの部分(例えば、血友病Aの5人に約1人)が、因子濃縮物処置の有効性を低下させる阻害剤を開発するであろう。
【0008】
米国特許第2019/365317号明細書は、生理学的データを追跡することによって患者に対する治療薬の投与を推奨するためのシステムを開示している。センサデータは、患者の身体活動の量および強度を定量化するために使用される。患者の薬物動態プロファイル、現在の血漿濃度レベルおよび患者の活性レベルが使用されて、患者が治療薬を代謝するおよび/または代謝するであろう速度を決定することができる。活動の頻度が使用されて、オンデマンド処置を推奨するか調整された処置スケジュールを推奨するかを決定することができる。
【0009】
しかしながら、血友病に罹患している個々の被験者についての処置有効性を改善するために、血友病処置の個人向け選択および処置スケジュールの個人向け識別を改善する必要性が依然として存在する。さらに、処置を正当化する血友病関連状況の迅速な検出および特徴付けを容易にするインターフェース、ネットワーク、および通信チャネルを確立する必要がある。
【発明の概要】
【0010】
概要
いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法が提供される。本方法は、1つ以上のデータ処理ワークフローを使用して、被験者(例えば、血友病と診断された被験者、血友病の疑いがある被験者、血友病の家族歴がある被験者、血友病の遺伝的素因がある被験者など)に関する血友病関連予測を生成する。データ処理ワークフローは、1つ以上の機械学習モデル、任意に1つ以上の前処理関数、および任意に1つ以上の後処理関数を使用することができる。例えば、人口統計情報、診断情報、検査室情報、処置情報、症状発現情報などの表現を含む入力データセットが被験者に対して生成されることができる。入力データセットの一部または全部が使用されて、被験者に使用される1つ以上のワークフローおよび/または1つ以上の機械学習モデルを(例えば)構成および/または選択(例えば、分類器機械学習モデルを介して)することができる。入力データセットの同じまたは異なる部分または全てがワークフローおよび/または機械学習モデルによって処理されて、血友病関連予測を生成することができる。予測を生成するために使用される機械学習モデルは、(例えば)薬物動態モデルおよび/またはニューラルネットワークモデルを含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、被験者に対応する被験者固有データセットを受信することであって、被験者固有データセットが、血友病のタイプ;処置タイプ;人口統計データ;および/または特定の被験者の一部の写真もしくは特定の被験者の一部の写真に基づいて導出された情報を含むかまたは識別する、被験者に対応する被験者固有データセットを受信することを含む方法が提供される。被験者固有データセットの少なくとも一部は、分類器モデルを使用して処理され、集団レベルの機械学習モデルのセットの中から1つ以上の集団レベルの機械学習モデルを識別する。集団レベルの機械学習モデルのセットのそれぞれは、血友病の他の被験者のセットに対応する訓練セットを使用して訓練された機械学習モデルを含む。処置タイプの処置が被験者に実施された1つ以上の時間を識別する1つ以上の指示が受信される。血友病関連の時間経過は、1つ以上の時間と、1つ以上の集団レベルの機械学習モデルのうちの1つの集団レベルの機械学習モデルを使用するデータ処理ワークフローとを使用して、被験者について予測される。被験者と関連付けられたデバイスにおいて収集されたセンサデータの表現が受信される。被験者の血友病関連予測を生成する変換されたデータ処理ワークフローが(センサデータの表現に基づいて)決定される。血友病関連予測は、変換されたデータ処理ワークフローを使用して被験者について生成される。血友病関連予測に対応する結果が出力される。
【0012】
血友病関連予測を生成することは、センサデータに基づいて後処理アルゴリズムを識別することを含むことができる。変換されたデータ処理ワークフローを決定することは、データ処理ワークフローを使用して初期結果を識別することと、センサデータに基づいて後処理関数を決定することと、初期結果および後処理関数を使用して初期結果を変換することと、を含むことができる。変換されたデータ処理ワークフローを決定することは、活性化関数を選択することを含むことができる。
【0013】
集団レベルの機械学習モデルは、薬物動態モデルを含むことができる。
【0014】
被験者固有データセットを分類器モデルを使用して処理して、1つ以上の集団レベルの機械学習モデルを識別することは、被験者固有データセットを符号化することと、被験者固有データセットの符号化と訓練セットに含まれる他の被験者固有データセットの符号化との間の距離を識別するために距離ベースのアルゴリズムを使用することと、を含み得る。
【0015】
本方法はまた、少なくとも血友病関連予測を予測された血友病関連時間経過に追加することであって、1つ以上の予測された因子レベルが、予測された因子レベルを含む、少なくとも血友病関連予測を予測された血友病関連時間経過に追加することと、被験者固有と関連付けられたデバイスにおいて収集された新たなセンサデータの別の表現を受信することと、別の表現に基づいて、データ処理ワークフローの使用を再開することを決定することと、データ処理ワークフローおよび追加された時間経過を使用して、被験者に対する別の血友病関連予測を生成することと、別の血友病関連予測に対応する別の結果を出力することと、も含むことができる。
【0016】
本方法は、センサデータに基づいて、ワークフロー遷移条件が満たされたと決定することであって、変換されたデータ処理ワークフローは、ワークフロー遷移条件が満たされたと決定したことに応答して決定される、ワークフロー遷移条件が満たされたことを決定することを含んでよい。
【0017】
血友病関連予測を生成することは、集団レベルの機械学習モデルによって最近の時間ステップについて計算された1つ以上の状態または暫定変数を決定することと、変換されたデータ処理ワークフローを、1つ以上の状態または暫定変数を使用するように構成することと、を含むことができる。
【0018】
センサデータは、被験者の動きを表すことができる。
【0019】
センサデータは、被験者の生理学的属性を表すことができる。
【0020】
予測された血友病関連時間経過は、時点のセットのそれぞれについて、因子、治療薬または有効成分の予測されるレベルを含むことができ、血友病関連予測は、別の時点に関連する因子、治療薬または有効成分の別の予測されるレベルを含む。
【0021】
予測された血友病関連時間経過は、時点のセットのそれぞれについて、予測された凝固時間または異常な出血事象が発生する確率を含むことができ、血友病関連予測は、別の時点に関連する別の予測された凝固時間または異常な出血事象が発生する別の確率を含む。
【0022】
結果は、被験者の活動レベルを下げる推奨を示すことができる。
【0023】
結果は、異常な出血確率の増加を考慮して被験者を処置するための推奨を示すことができる。
【0024】
本方法はまた、結果に基づいて血友病処置によって被験者を処置することを含むことができる。血友病処置は、1つ以上の時間において実施された処置タイプの処置とは異なることができる。
【0025】
結果は、写真に表示された出血について医学的注意を求める推奨に対応することができる。
【0026】
被験者固有データセットは、被験者に対応する電子医療レコードにおいて識別されたデータを含むことができる。
【0027】
結果は、チャットボットを介して被験者のデバイスにおいて出力されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ以上のデータプロセッサと、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、1つ以上のデータプロセッサに、本書に開示された1つ以上の方法の一部または全部を実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を含む、システムが提供される。
【0029】
いくつかの実施形態では、非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化され、1つ以上のデータプロセッサに、本書に開示された1つ以上の方法の一部または全部を実行させるように構成された命令を含む、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上のプロセッサを含むシステムを含む。いくつかの実施形態では、システムは、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、1つ以上のプロセッサ上で実行されると、1つ以上のプロセッサに、本書に開示された1つ以上の方法の一部または全部および/または1つ以上のプロセスの一部または全部を実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上のプロセッサに、本書に開示された1つ以上の方法の一部または全部および/または1つ以上のプロセスの一部または全部を実行させるように構成された命令を含む非一時的機械可読記憶媒体において、有形に具現化されたコンピュータプログラム製品を含む。
【0031】
使用された用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示されて説明された特徴のいかなる均等物またはその一部も除外する意図はないが、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明は、実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本書に開示された概念の変更および変形は、当業者によってあてにされてもよく、そのような変更および変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると見なされることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本開示は、以下の添付の図面と併せて説明される:
【0033】
図1】本開示のいくつかの態様にかかる、クラウドベースのアプリケーションがホストされるネットワーク環境を示している。
図2】本開示のいくつかの態様にかかる、縮約された被験者レコードを、被験者の処置に関する支援を要求する相談ブロードキャストに関連してユーザデバイスに配信するためにクラウドベースのアプリケーションによって実行されるプロセスの例を示すフローチャートである。
図3】本開示のいくつかの態様にかかる、処置計画定義のユーザ統合(例えば、決定木または処置ワークフロー)を監視し、監視の結果に基づいて処置計画定義を自動的に更新するプロセスの例を示すフローチャートである。
図4】本開示のいくつかの態様にかかる、被験者についての処置を推奨するためのプロセスの例を示すフローチャートである。
図5】本開示のいくつかの態様にかかる、データプライバシールールに準拠するようにクエリ結果を難読化するためのプロセスの例を示すフローチャートである。
図6】本開示のいくつかの態様にかかる、チャットボットなどのボットスクリプトを使用してユーザと通信するためのプロセスの例を示すフローチャートである。
図7】被験者の診断および/または処置を容易にするための出力を生成するために人工知能モデルを使用するためのネットワークを示している。
図8】血友病処置戦略の識別を容易にするための機械学習モデルを使用するプロセスを示している。
図9】センサデータを使用して血友病関連結果を生成するプロセスを示している。
図10】機械学習モデルおよびセンサベースの後処理を使用してモデル予測を生成するプロセスを示している。
【0034】
添付の図面において、同様のコンポーネントおよび/または特徴は、同じ参照ラベルを有することができる。さらに、同じタイプの様々なコンポーネントは、参照ラベルの後に同様のコンポーネントを区別するダッシュおよび第2のラベルを続けることによって区別されることができる。本明細書において第1の参照ラベルのみが使用される場合、説明は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する同様のコンポーネントのいずれかに適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
I.概要
いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法が提供される。本方法は、1つ以上のデータ処理ワークフローを使用して、被験者(例えば、血友病と診断された被験者、血友病の疑いがある被験者、血友病の家族歴がある被験者、血友病の遺伝的素因がある被験者など)に関する血友病関連予測を生成する。データ処理ワークフローは、1つ以上の機械学習モデル、任意に1つ以上の前処理関数、および任意に1つ以上の後処理関数を使用することができる。例えば、人口統計情報、診断情報、検査室情報、処置情報、症状発現情報などの表現を含む入力データセットが被験者に対して生成されることができる。入力データセットの一部または全部は、1つ以上の電子医療レコード(例えば、サーバおよび/またはケア提供者デバイスに記憶される)から受信されていてもよい。入力データセットの一部または全部が使用されて、被験者に使用される1つ以上のワークフローおよび/または1つ以上の機械学習モデルを(例えば)構成および/または選択(例えば、分類器機械学習モデルを介して)することができる。入力データセットの同じまたは異なる部分または全てがワークフローおよび/または機械学習モデルによって処理されて、血友病関連予測を生成することができる。予測を生成するために使用される機械学習モデルは、(例えば)薬物動態モデルおよび/またはニューラルネットワークモデルを含むことができる。
【0036】
予測は、(例えば)予測された因子レベル、治療レベル、有効成分レベル、異常出血事象確率、自発的な異常出血事象の確率などを含むことができる。場合によっては、予測は、処置仕様および/または処置アプローチを識別することを含むか、またはそれに使用することができる。例えば、予測は、所与の目的(例えば、治療薬、有効成分および/または因子のレベルを所定の閾値より高く維持すること;および/または、異常な出血事象のリスクおよび/または異常な自然出血事象のリスクを所定の閾値未満に維持すること)を促進するために、1つ以上の処置がいつ実施されるか、実施される処置の1つ以上の投与および/またはどの処置が実施されるかを予測することができる。処置は、予測にしたがって被験者に提供および/または推奨されることができる。
【0037】
場合によっては、所与の状況が様々な血友病処置戦略の有効性および/または出血事象リスクに影響を及ぼすことがある。例えば、ユーザは、高強度の活動に従事しているときに傷害(異常な出血事象を引き起こす可能性がある)を患う可能性がより高い場合がある。別の例として、高強度の活動に頻繁に従事するユーザは、関節を支えるための筋力の増加、協調の増加、および肥満の減少(それによって関節炎症を減少させる)により、関節出血のリスクが低くなる場合がある。さらに別の例として、高強度の活動は、血友病処置がどの程度迅速に行われ、(例えば、分布、代謝、吸収および排泄の速度の変化を介して)有効なままであるかに影響を及ぼす薬物動態学を変化させることがある。
【0038】
したがって、いくつかの実施形態は、被験者に関連するセンサデータに基づいて1つ以上の血友病関連予測を生成する。センサデータは、(例えば)被験者の動きおよび/または被験者の生理学的属性を示すことができる。例えば、センサデータは、加速度計、ジャイロスコープ、GPSセンサ、歩数計および/または心拍数モニタを介して収集されることができる。場合によっては、被験者が関与している活動のタイプ、被験者が関与している活動の強度、および/または被験者の活動状態に関して推測することができる。
【0039】
センサデータおよび/またはセンサデータに基づいて行われた推測は、(例えば)機械学習モデルを選択および/または構成し、前処理関数を選択および/または構成し、ならびに/あるいは後処理関数を選択および/または構成するために使用することができる。例えば、速度定数の第1のセットは、ユーザが静止していると推測されるときに使用されるべき薬物動態モデルに対して定義されることができる。速度定数の第2のセットは、ユーザが低強度の活動に関与していると推測されるときに使用されるべき薬物動態モデルについて定義されることができる。速度定数の第3のセットは、ユーザが高強度の活動に関与していると推測される場合に使用される薬物動態モデルについて定義されることができる。場合によっては、速度定数の第1、第2、および第3のセットは、異なる訓練セットを使用して別々に学習されていてもよい。場合によっては、速度定数の第1、第2、および第3のセットのうちの1つが訓練データセットを使用して学習されることができ、各速度定数が対応する絶対量または相対量によって調整されて、速度定数の第2または第3のセットのうちの別の速度定数に対応する速度定数を決定することができる。次いで、速度定数セットの動的選択を行うことができ、状態変数および/または他の暫定変数を利用および/または共有することによって滑らかな遷移が容易とされる。
【0040】
別の例として、速度定数をセンサデータに関連付ける1つ以上の速度定数のそれぞれについて関数が学習されることができる。1つ以上の時間ステップのそれぞれにおいて、速度定数は、最近のセンサデータに基づいて動的に決定されることができる。
【0041】
さらに別の例として、加速度計からの読み取り値の移動平均が閾値を下回るときに血友病関連予測を生成するために薬物動態モデルを使用することができ、加速度計読み取り値の移動平均が閾値を上回るときに血友病関連予測を生成するためにニューラルネットワークを使用することができる。
【0042】
さらに別の例として、閾値、活性化関数、および/または後処理関数は、センサデータに基づいて別個に定義されるように構成されることができる。例えば、警告(例えば、実施される処置および/または活動を変化させる処置のために)を発するため、および/または処置スケジュールの変更を推奨するための閾値は、センサデータに依存することができる。閾値は、センサデータ(および/またはその処理バージョン)に依存する論理、1つ以上の条件文、ステップ関数、単調関数などを使用して選択されることができる。
【0043】
(例えば、多様な血友病型、血友病重症度、人口統計学、処置、位置、遺伝子変異、活動レベルなどに関連する)血友病被験者の大きな集団にわたってデータを記憶するクラウドベースのアプリケーションは、様々な要因(センサデータを含む)に対する血友病関連予測の多次元依存性の学習を容易にすることができる。
【0044】
(例えば、デバイス上でローカルに動作する、および/または1つ以上の遠隔および/またはクラウドサーバで実行された計算の結果を少なくとも部分的に使用する)アプリケーションは、(例えば)血友病を有する被験者および/または血友病を有する被験者を介護する介護者によって使用することができる。本出願は、本書に開示される1つ以上の動作を実行することができる。場合によっては、1つ以上のアプリケーションは、血友病を有する被験者と介護者との間のコミュニケーションを容易にすることができる。そのような通信は、(例えば)異常な出血反応または損傷を介護者に警告することを容易にすることができ、および/または(例えば、被験者または地域社会の一部が伝染病を有する場合、被験者が運動障害を有する場合および/または被験者がケア提供者の施設から物理的に離れている場合に特に有益であり得る)遠隔医療を容易にすることができる。
【0045】
II.血友病サブタイプ、診断プロトコル、関連する医療検査、進行評価および利用可能な処置の概要
II.A.血友病のタイプ
医学界は、処置選択に影響を及ぼし、予後を知らせることができる複数のタイプの血友病を定義している。
【0046】
II.A.1.血友病A、血友病Bおよび血友病C
血友病A、血友病Bおよび血友病Cは、いずれも、出生時に存在する遺伝子変異に起因して生じる先天性障害である。FVIII(またはF8)遺伝子の変異は血友病Aを引き起こし、FIXまたは(F9)遺伝子の変異は血友病Bを引き起こし、FXI(またはF11)の変異は血友病Cを引き起こす。血友病を有する人々のうち、約80%が血友病Aであり、約15%が血友病Bであり、約5%が血友病Cである。
【0047】
FVIII遺伝子およびFIX遺伝子は、X染色体(それぞれXq28およびXq27.1)の長腕にある。FXI遺伝子は、第4染色体の長腕(4q35.2)に位置する。FVIII遺伝子の変異は、凝固第VIII因子産生の低下またはこの因子の異常型の産生をもたらす。同様に、FIX遺伝子の変異は、凝固第IX因子の産生低下またはこの因子の異常型の産生をもたらす。FXI遺伝子の変異は、第XI因子欠損をもたらす。第VIII因子、第IX因子および第XI因子は、いずれも凝固反応に関与する。
【0048】
より具体的には、第VIII因子は、典型的には、フォン・ヴィレブランド因子に結合した結果として安定な形態である。しかしながら、傷害が発生すると、トロンビンが生成される。トロンビンは、第VIII因子に結合して「活性化」し、それをフォン・ヴィレブランド因子から分離させる。第XI因子は、第XIIa因子、トロンビンおよび活性化FXI自体によって活性化される。
【0049】
活性因子VIIIは、内因性凝固カスケード中の第IX因子(それ自体は活性化された第XI因子による傷害に応答して活性化される)の必須補因子として働き、第VIII因子の第IX因子の活性化がその後の反応鎖の引き金となって血栓が生じる。第VIII因子、第IX因子または第XI因子のレベルが低いかまたは存在しないことは、血液が最初に凝固しない可能性がある、または形成された血餅が破壊される可能性があるという点で、安定な血餅の形成を妨げる。
【0050】
II.A.2.軽度、中程度および重度の血友病
血友病Aおよび血友病Bは、さらに典型的には、被験者の血液中の凝固因子(例えば、第VIII因子または第IX因子)の活性レベルに基づいて、軽度、中等度または重度であることを特徴とする。血友病は、因子活性レベルが6%~49%(例えば、成人の場合、0.06~0.49IU/mL)の間である場合、軽度であると特徴付けられる。因子活性レベルが1~5%である場合、中程度(例えば、成人の場合、0.01~0.05IU/mL)であると特徴付けられる。因子活性レベルが1%未満(例えば、成人では0.05IU/mL未満)である場合、重度であると特徴付けられる。非常に若い年齢(例えば、出生時または6ヶ月未満)の被験者の第IX因子の正常レベルは、成人被験者の正常因子レベルよりも低くなり得る。したがって、第IX因子レベルの試験は、場合によっては、子供が特定の年齢(例えば、6ヶ月)に到達するまで遅延されてもよく、または低レベルがより低い年齢で検出された場合、子供が特定の年齢であるときに繰り返されてもよい。
【0051】
重篤な症例が最も一般的であり、60%の血友病患者がこの形態を有する。一方、血友病症例の15%は中等度であり、25%は軽度である。典型的には、重症度は、血友病Bライデンと呼ばれる第IX因子欠乏症の形態が思春期後にあまり重症にならない可能性があることを除いて、生涯を通じて変化しない。
【0052】
重度の血友病を有する個人は、小さな傷であっても頻繁な自然出血および異常な出血を経験する(例えば、長期間の出血)。自然出血は、関節で最も頻繁に起こるが、内出血(例えば、腎臓、脳および消化管において)は珍しくない。再発性の関節出血は、炎症を引き起こし、軟骨を損傷し、関節を永久的に損傷する可能性がある。軽度の損傷は、最初の損傷の数日後に現れることがある筋肉血腫または内出血をもたらすことがある。
【0053】
中等度の血友病を有する個人はまた、(例えば、潜在的により少ない程度であるが)軽度の損傷後に異常な出血を経験するが、自然出血を経験することはまれである。軽度の血友病を有する個人は、大きな損傷、手術および/または抜歯後に異常な出血を経験するが、小さな損傷後または自発的には経験しない。したがって、重度の血友病は、典型的には、人生の早い時期に診断され(例えば、最初の1年以内)、中等度の血友病は、典型的には後に、しかしながら幼児期に診断され、重度の血友病は、しばしば、人生の遅い時期に診断される(例えば、手術または歯の摘出後)。
【0054】
血友病Cは、一般に、第XI因子の活性が「重症」の範囲(0.15~0.20U/mL)に入る場合であっても、出血異常がかなり軽微である(例えば、自然出血を経験していないが、手術後の出血は異常であり得る)ため、軽度、中等度または重度として特徴付けられない。
【0055】
II.B.血友病の診断
血友病の診断プロトコルは、被験者の年齢、および被験者の家族に血友病の病歴があるかどうかに依存することができる。
【0056】
血友病および血友病サブタイプの診断は、プロトロンビン時間(PT)アッセイおよび/または部分トロンボプラスチン時間(PTT)アッセイ;血小板数(例えば、および/または完全な血球数);混合アッセイ;および/または因子アッセイを頻繁に含む。
【0057】
II.B.1.完全血液数/血小板数
血友病の血小板数は、一般に正常である。血小板数は、血液スメア上の計数を推定することによって決定されることができる。
【0058】
II.B.2.プロトムビン時間アッセイ
血友病のプロトロンビン時間もまた、一般に正常である。プロトロンビン時間を決定するために、まず、被験者の血液のサンプルを抗凝固薬(例えば、3.2%緩衝クエン酸ナトリウム)と混合する。次いで、サンプル混合物を、抗凝固剤の抗凝固性を克服するプロトロンビン時間試薬(トロンボプラスチンおよび塩化カルシウムを含む)と混合する。凝固までの時間を光学的に測定する。通常のプロトロンビン時間は、約15~19秒である。PTの延長は、第II因子、第V因子、第VII因子または第X因子のいずれかの欠乏と一致する;経口抗凝固薬、肝疾患またはビタミンK欠乏と一致する。特に、PTの延長は、第VIII因子、第IX因子または第XI因子の欠損と一致しない。
【0059】
II.B.3.部分トロンボプラスチン時間アッセイ
血友病患者の部分トロンボプラスチン時間(PTT)および/または活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)は、一般に延長される。PTTまたはaPTTを測定するために、部分トロンボプラスチン時間(PTT)法または活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)法を使用してアッセイを行い、さらに、因子欠損基質を使用してもよい。より具体的には、血漿を被験者から得て、特定量の抗凝固剤(例えば、3.2%緩衝クエン酸ナトリウム)と混合することができる。次いで、aPTTに基づくおよび/またはPTTに基づく凝固時間アッセイを使用してサンプルを評価することができる。凝固時間アッセイは、1段階凝固時間アッセイを含むことができる。
【0060】
アッセイは、サンプル混合物を、特定の因子(例えば、第VIII因子、第IX因子または第XI因子)が欠損しているが、正常レベルの他の因子を含む基質と組み合わせることによって行うことができる。aPTTを得るために、aPTT試薬をさらに導入し、その後、特定の時間インキュベートする。次いで、PTTアッセイまたはaPTTアッセイのいずれかのために、凝固を引き起こすためにカルシウムを添加することができ、凝固時間を光学的に測定することができる。サンプルの凝固時間は、対照血漿(例えば、複数の被験者からプールされた)の凝固時間と比較することができる。正常なPTTは、60~70秒の間であり、正常なaPTTは、30~40秒の間である。100秒を超えるPTTは、自然出血を経験した被験者を示し、70秒を超えるaPTTは、自然出血を経験した被験者を示す。
【0061】
場合によっては、サンプル混合物(または対照混合物)および基質を使用して複数の異なる希釈を行う。希釈物は、(例えば)1/10(サンプルの因子の全活性を有すると仮定)、1/20(サンプルの因子の50%の活性を有すると仮定)、1/50および1/100を含むことができる。PTTまたはaPTT値は、希釈ごとに決定されることができる。サンプル混合物および対照混合物のそれぞれについて、凝固時間および希釈を使用してlog-linフィットを決定する。因子凝固活性は、(例えば)サンプル混合物が1/10希釈で適合するのと同じ推定凝固時間に対応する対照混合物適合上の点に基づいて決定されることができる。
【0062】
II.B.4.混合試験
被験者のPTTまたはaPTTが延長されることができる複数の潜在的な理由がある。先天性血友病の場合、延長は、凝固因子の欠乏に起因する。しかしながら、別の潜在的な説明(例えば、他の被験者に適用可能)は、血漿サンプルが後天性血友病で発生する可能性がある因子の阻害剤を含むというものである。混合試験は、これらの状況間の区別を容易にすることができる。混合試験では、被験者の血漿が、正常な因子レベルを含む対照血漿と混合される。この混合が被験者の血漿の長時間の凝固を否定または「修正」する場合、被験者の血漿には因子が不足していたと推測されることがある。一方、修正の失敗は、被験者の血漿に阻害剤(凝固阻害剤など)が含まれていることを示したり、示唆したりする可能性がある。
【0063】
一部の対照血漿は、血友病ではなく、因子欠乏症ではなく、抗凝固剤を使用していない被験者に関連する「正常な血漿」を含むことがある。正常血漿との混合によって延長された凝固を修正することができるという決定は、第VIII因子、第IX因子および第XI因子の欠乏と一致する。いくつかの対照血漿は、因子(例えば、第IX因子)および抗凝固薬(例えば、経口抗凝固薬)を欠損した被験者に関連する「吸着血漿」を含むことができる。吸着血漿との混合によって長期の凝固を修正することができるとの決定は、単一の凝固因子の欠乏と一致する。
【0064】
混合しても凝固が持続すると決定された場合、血液中にループスアンチコアグラントが含まれていたり、被験者が後天性血友病であったりすることがある。低レベルの因子(例えば、第VIII因子または第XI因子)および因子阻害剤(例えば、第VIII因子阻害剤または第XI因子阻害剤)の存在は、後天性血友病と一致する。一方、ループスアンチコアグラントの存在は、ループスと一致する。
【0065】
II.B.5.発色因子アッセイ
発色アッセイ(例えば、発色第VIII因子アッセイ、発色第IX因子アッセイまたは発色第XI因子アッセイ)は、サンプル中の特定の因子の量を識別することができる。これらのアッセイのそれぞれにおける律速段階は、サンプル中に存在する第VIII因子、第IX因子または第XI因子の量である。
【0066】
発色第VIII因子アッセイに関して、第1の段階では、被験者からのサンプル血漿を、活性化第IX因子および第X因子を含む試薬と組み合わせる。被験者の血漿中の第VIII因子は、第X因子の活性化を支援する(第VIII因子および第VIIIa因子のトロンビン活性化に応答して、第VIII因子および第VIIIa因子は、Ca2、リン脂質および第IXa因子と一緒になって、第X因子を活性化する)。第2の段階では、発色基質が活性化因子Xによって切断される。次いで、(例えば、特定の波長における吸光度を識別する)被験者サンプル中の第VIII因子活性が光学的測定値に基づいて決定されることができる。
【0067】
発色第IX因子アッセイに関して、第1の段階では、サンプル血漿を、活性化第XI因子および第VIII因子、カルシウムおよびリン脂質を含む試薬と組み合わせて、第IX因子および第X因子の活性化を引き起こす。次いで、基質を切断し、これを(例えば、特定の波長における吸光度を識別する)光学的読み取り値によって測定する。
【0068】
発色第VIII因子アッセイまたは発色第IX因子アッセイに関して、因子濃度は、所与の周波数での吸光度を因子濃度に関連付ける参照関係(例えば、基準線形関係)を使用して決定されることができる。
【0069】
II.B.6.ベセスダアッセイ
因子アッセイは、他の原因による因子阻害剤と因子欠乏との区別を容易にすることができるベセスダアッセイ(またはベセスダアッセイの改変、例えばベセスダアッセイのナイムゲン改変)を含むことができる。ベセスダアッセイは、IgGサブクラス4および/またはIgGサブクラス1などの特定の因子阻害剤(例えば、第IX因子阻害剤または第XI因子阻害剤)の力価を検出することができる。1ベセスダ単位(Bu)は、37℃で2時間インキュベートした後、所与の因子の単一単位の50%を中和するのに必要な血漿サンプル中の阻害剤の量に対応する。アッセイは、被験者由来の希釈血漿と複数の他の被験者由来の対照血漿(1:1の比)とを混合し、37℃で2時間インキュベートし、残留因子活性を検出して実行される。この残留因子活性を、対照血漿と緩衝液との混合物を37℃で2時間インキュベートした後に検出された参照因子活性と比較する。ベセスダ力価は、阻害剤濃度と残留因子活性とを関連付ける定義された関係を使用することによる比較に基づいて決定される。
【0070】
ベセスダアッセイのナイメーヘン修飾は、同じ方法でベセスダ力価を導出するが、残留因子活性を検出するために使用される混合物は異なる。第1の混合物は、希釈された被験者血漿と緩衝対照サンプルとの組み合わせであり、第2の混合物は、目的因子を欠く血漿サンプルと緩衝対照サンプルとの組み合わせである。
【0071】
II.B.7.フォン・ヴィレブランド因子アッセイ
フォン・ヴィレブランド因子は、第VIII因子の担体タンパク質である。血友病におけるフォン・ヴィレブランド因子のレベルは、一般に正常である。ウィルブランド因子の量および品質を決定するために、1つ以上のフォンウィルブランド因子アッセイが実行されることができる。フォン・ヴィレブランド因子アッセイは、多量体アッセイ(VWF:多量体分析)、抗原アッセイ(VWF:Ag)、リストセチン補因子アッセイ(VWF:RCof)またはコラーゲン結合活性アッセイ(VWF:CBA)を含むことができる。抗原アッセイ(VSF:Agアッセイ)は、被験者の血漿中のフォン・ヴィレブランド因子のレベルを示すが、多くの質の欠陥(例えば、2型フォン・ヴィレブランド病を有する被験者に存在することがあるもの)を検出しない定量的アッセイである。VSF:CBAおよびVSF:多量体分析は、フォン・ヴィレブランド因子の質を示す出力を提供するが、限られた定量的データしか提供しない。VSF:RCofは、事実上のフォン・ヴィレブランドの定量的レベルおよび因子の品質の双方を検出する。しかしながら、VSF:RCofアッセイは、一貫性および信頼性の課題を有する。
【0072】
定性的および定量的なフォン・ヴィレブランド因子欠損の双方が、血友病診断を決定するときに検出するために重要である。2型フォン・ヴィレブランド病に関連するものなどの定性的な欠陥は、第VIII因子とフォン・ヴィレブランド因子との結合を損なう可能性があり、したがって、血友病Aのものを模倣する症状および様々な他のアッセイ測定基準に関連することができる。同様に、レベルがフォン・ヴィレブランド因子が低い定量的欠陥は、第VIII因子の結合能の低下をもたらす可能性がある。
【0073】
II.B.8.因子活性および診断基準
したがって、因子活性は、PTTアッセイ、aPTTアッセイ、発色因子アッセイまたは酵素免疫アッセイ法を含む様々な技術を使用して測定されることができる。測定された活性は、正常な因子レベルに基づいて設定された1つ以上の閾値と比較されることができる。測定された活性が閾値未満であり、低下した活性についての代替的な説明が他のアッセイ(例えば、正常な血漿数、正常なフォン・ヴィレブランド因子活性、凝固阻害剤の非存在などの指示を介して)によって除外される場合、データは、血友病または血友病のサブタイプを有する被験者の診断と一致することができる、および/または診断を示唆することができる。
【0074】
観察された第VIII因子活性の低下(例えば、正常レベルの50%または40%未満などの正常範囲閾値未満)は、血友病Aと一致している。しかしながら、上記のように、第VIII因子活性の低下はまた、1つ以上の他の突然変異、出血障害または疾患に起因することがある。第VIII因子レベルは、肥満度指数、グルコース(例えば、真性糖尿病)、インスリン、フィブリノーゲン、トリグリセリド、年齢、避妊使用、妊娠および様々な疾患(例えば、腎疾患、甲状腺機能亢進症および肝疾患)などの因子に依存することができる。場合によっては、潜在的な交絡状態が分かっている場合、被験者の凝固時間を、同じもしくは類似の状態を有する個人からの対照血漿に基づいて生成された基準凝固時間と比較してもよく、および/または被験者のレベル(または基準閾値)の正規化を行ってもよい。代替的な説明が適用できない場合(例えば、被験者がもはや妊娠していない場合)、別の試験が実行されてもよい。
【0075】
観察された第IX因子活性の低下(例えば、正常レベルの50%または40%未満などの正常範囲閾値未満)は、血友病Bと一致している。しかしながら、上記で示されるように、低下した第IX因子活性はまた、1つまたはそれを超える他の変異、出血障害または疾患に起因することがある。第IX因子レベルはまた、妊娠、肝疾患、ヘパライン使用、ワルファリン使用、または播種性血管内凝固薬使用などの他の因子に依存することができる。場合によっては、潜在的な交絡状態が分かっている場合、被験者の凝固時間を、同じもしくは類似の状態を有する個人からの対照血漿に基づいて生成された基準凝固時間と比較してもよく、および/または被験者のレベル(または基準閾値)の正規化を行ってもよい。代替的な説明が適用できない場合(例えば、被験者がもはや妊娠していない場合、または被験者が少なくとも定義された期間にわたってヘパリンまたはワルファリンを受けていない場合)、別の試験が実行されてもよい。
【0076】
観察された第XI因子活性の低下(例えば、正常レベルの70%または50%未満などの正常範囲閾値未満)は、血友病Cと一致する。しかしながら、低下した第XI因子活性はまた、1つまたはそれを超える他の変異、出血障害または疾患(例えば、ヌーナン症候群)に起因することがある。
【0077】
II.C.血友病の遺伝学
血友病は、一般に先天性(例えば、血友病A症例の約2/3および血友病B症例の約4/5について)であるが、代替的に後天性であってもよい。先天性血友病AおよびBは、X染色体に関連する劣性疾患である(血友病Aは、FVIII遺伝子の1つ以上の変異に対応し、血友病Bは、FIX遺伝子の1つ以上の変異に対応する)。男性は単一のX染色体を有するが、女性は2つ有する。したがって、先天性血友病患者の大部分は男性である。一方、FIXまたはFVIII変異を有する女性は、血友病のキャリアであり得る。
【0078】
時折、女性は、血友病AまたはBを呈することがある。例えば、女性は、罹患した父親もしくはキャリアマザーを有する結果として、または1つのX染色体のみを有する結果となる障害(例えば、ターナー症候群)を有することによって、血友病AまたはBを有することがある。別の例として、女性は、2本のX染色体のうちの1本のみにFIXまたはFVIII変異を有するにもかかわらず、血友病と診断されることがある。出血症状は、正常なX染色体機能の凍結または部分的不活性化に起因して生じることがある。第VIII因子または第IX因子のレベルが特定の閾値(例えば、40%)を下回る場合、血友病診断基準が満たされる。
【0079】
血友病Cは、1つ以上の劣性第4染色体変異に対応する。したがって、血友病Cの女性の数は、血友病Cの男性の数とほぼ同数である。血友病Cの有病率が最も高いのは、アシュケナージ系またはアフリカ系イスラエル人の一般人の間で観察されている。
【0080】
II.C.1.遺伝的カウンセリングおよび血友病
遺伝カウンセリングが使用されて、片方または双方の親が血友病患者および/または保因者である場合に子供が血友病を有する確率について親に知らせることができる。例えば、父親が血友病AまたはBを有し、母親がキャリアでない場合、それぞれの娘はキャリアとなり、それぞれの子供は血友病患者でもキャリアでもない。一方、母親が血友病AまたはBのキャリアであり、父親が血友病患者でない場合、それぞれの子供が血友病AまたはBになる可能性は50%である(そしてそれぞれの娘がキャリアになる可能性は50%である)。父親が血友病患者を有し、母親が保因者である場合、各子孫が血友病患者である可能性は50%である(子孫が娘であるか子孫であるかにかかわらず)。これらの先天性確率を超えて、血友病は、自然突然変異(血友病A症例の1/3および血友病B症例の1/5を占める)に応答して提示する可能性がある。
【0081】
遺伝カウンセリングがさらに使用されて、子孫の血友病の潜在的な重症度を予測することができる。例えば、典型的には重度の表現型に関連する遺伝子型は、以下を含む:FVIIIイントロン22反転;FVIIIイントロン1の反転変異、FVIIIイントロン22の反転変異、FVIIIまたはFIXのナンセンス点変異(新たな終止コドンをもたらす);FIX遺伝子におけるスプライス接合変異。第IX因子のミスセンス変異は、軽度または中程度の表現型に特徴的であり、第VIII因子の5’プロモーター領域における一塩基変異は、軽度の表現型に関連する。
【0082】
II.C.2.血友病の出生前/乳児検査
出生前検査または乳児検査は、母親が血友病の保因者であると識別された場合、いずれかの親が血友病を有する場合、家族内で連鎖が確立されているかどうかの検査を行うことができる。羊水(例えば、妊娠のおよそ16週~20週に羊水穿刺によって子宮から収集される)または臍帯血(例えば、妊娠の約20週または出生時に収集される)が使用されて、被験者(例えば、胎児または新生児)が血友病を有するかどうかを決定し、被験者の血友病サブタイプを識別し、および/または被験者が血友病のキャリアであるかどうかを決定することができる。絨毛サンプリングに関しては、子宮壁付着部(例えば、妊娠のおよそ10~12週目に)において胎盤から少量のサンプルが収集される。羊水、臍帯血または胎盤サンプルが使用されて、血友病変異が存在するかどうかを確立するための遺伝子配列決定を行うことができる。
【0083】
臍帯血検査は、出生時に血友病Aを有する被験者を診断するのに十分であり得る。しかしながら、第IX因子はビタミンKに依存し、一般に出生時に低下したレベルで存在する。したがって、血友病Bを有することが疑われる被験者(例えば、家族歴に起因する)は、特にその被験者が軽度の形態の血友病Bを有する場合、後に(例えば、約6月齢)診断されることが多い。第XI因子も出生時に低下し、6月齢前後で比較的正常なレベルに到達する。
【0084】
II.D.血友病処置
血友病処置は、定期的または連続的に実施される予防的処置;臨床的に明白な出血事象または合併症軽減のための監視に応じて実施される症状発現(または偶発的)処置を含むことができる。
【0085】
II.D.1.予防的処置
予防的処置は、出血事象に結び付けられていないスケジュールを使用して実施されることができる。予防的処置は、重度の血友病を有する被験者、および潜在的に中等度の血友病を有する被験者に実施されることができる。予防的処置は、一般に、血友病Cの被験者、軽度の血友病の被験者、および潜在的に中等度の血友病の被験者には提供されない。
【0086】
持続的な予防的処置は、年間45回よりも頻繁に送達されることができる。連続的な予防的処置は、一次予防的処置(現在または最近の骨または関節の出血を示さずに開始され、大関節で2回の出血が発生することなく開始される);二次予防(大関節で2回以上の出血が発生した後に開始され、関節疾患が開始されていない);または三次予防(例えば、関節疾患の検出後に開始される)に分けることができる。一次予防的処置は、週に複数回の注入を含むことができる。出血エピソードを予防するために間欠的な予防的処置が送達されることができるが、年間46週間未満で送達されることができる。
【0087】
予防的処置は、被験者が欠損している因子(例えば、組換え因子、血漿由来因子)の投与を含むことができる。組換え産物は、より重度の突然変異(例えば、イントロン22の反転)を有する個人に特に有益であり得るが、精製された非組換え産物は、より軽度の突然変異を有する個人に適することができる。投与される因子は、因子濃縮物を含むことができる。予防的処置の投与は、疾患重症度に基づいて決定されることができる。このアプローチの1つの問題は、(同じ疾患重症度に対応するものであっても)被験者が異なる薬物動態を示すため、同等の被験者に投与された所与の投与量が異なる半減期、クリアランスおよびインビボ回復を有することがあるということである。さらに、第VIII因子および第IX因子の半減期は比較的短く、そのため、第VIII因子濃縮物は、週に複数回(例えば、3回)頻繁に(静脈内に)投与される。
【0088】
最近では、個別化されたレジメンがより頻繁に使用されるようになってきている。薬物動態コンピュータシミュレーションは、被験者の集団からのデータを使用して訓練されることができる。特定の被験者に対応する被験者属性および/または検査室測定値が選択され、次いで、推奨される投与量および/または処置スケジュールを識別することができる訓練済みモデルに供給される。
【0089】
特定の被験者のモデルおよび/または入力を訓練するために使用される被験者固有測定は、ボーラスの時間に対する因子レベルの時系列を含む薬物動態曲線を含むことができる。このモデルは、(例えば)被験者からの最近の因子レベル(例えば、最近の薬物動態曲線の一部または全部)および/または目標最小(またはトラフ)因子レベルに基づいて、投薬および/または処置スケジュールの推奨を反復的に識別するために使用することができる。モデルは、これらの推奨を生成するためにベイズ解析を使用することができる。モデルの出力は、体重、血液型および/またはフォン・ヴィレブランド因子レベルなどの1つ以上の他の動的または静的な被験者属性にさらに依存することができる。
【0090】
モデルを訓練するために使用され、モデルによって処理され(例えば、被験者固有の出力を生成するために)、および/または任意の処置評価について監視される検査室測定値は、処置実施に対して特定の時間間隔で測定された因子レベルを含むことができる。レベルおよび時間間隔が分析されて、投与量または処置スケジュールの変更を推奨するかどうかを決定することができる。
【0091】
場合によっては、因子レベルは、トラフレベルである。トラフレベル試験は、最小因子レベルを識別することを含むことができる。最小因子レベルは、維持処置の予防薬が投与される直前に存在する可能性が最も高い。したがって、このレベルを識別するために、処置の直前に採血が収集されることができる。トラフ因子レベルをベースライン因子活性の特定の閾値(例えば、1%、5%、10%または15%)よりも上に維持することが有利であり得る。トラフが閾値を下回る場合、処置の投与および/または処置の同一性が調整されることができる。
【0092】
因子レベルを増加させるための別のアプローチとして遺伝子治療が最近検討されている。このアプローチは、改変ウイルスのベクター(例えば、アデノ随伴ウイルスベクター)を使用して、非変異FVIII遺伝子またはFIX遺伝子を被験者の細胞に導入することを含む。このウイルス導入は、定期的なボーラス処置なしで凝固因子の持続レベルが増加するように、被験者による同じ遺伝子の産生を誘発するように設計されている。血友病Bについて研究されている現在の遺伝子治療は、AMT-060、AMT-061、FLT180a、SB-FIXおよびSPK-9011を含む。血友病Aについて研究されている現在の遺伝子治療は、SPK-8001、SPK-8016、BMN270およびSB-525を含む。
【0093】
後天性血友病の被験者には、活性阻害剤を低減または根絶するように設計された療法が実施されることができる。治療は、免疫抑制剤、ステロイド、化学療法剤(例えば、シクロホスファミド)、リツキシマブ、カルシニューリン阻害剤および/またはミコフェノール酸モフェチルを含むことができる。治療の投与量は、標的の開または閉範囲(例えば、閾値を超える)内の因子レベルを支持するために、ゆっくりと漸減し、および/または反復的に調整されることができる。
【0094】
いくつかの研究努力は、因子補充に基づかない血友病治療を識別しようと試みてきた。そのようなアプローチは、被験者が阻害剤を発症する(したがって、治療に対してあまり応答しなくなる)リスクを低減または回避することができる。例えば、エミシズマブは、第IXa因子および第X因子に結合し、それによって第VIII因子を模倣する二重特異性抗体である。別の例として、酢酸デスモプレシンは、組織からの第VIII因子の放出を誘発する。さらに別の例として、凝固因子(例えば、第IX因子および/または活性化第IX因子)に結合する第1の抗原結合部位および凝固因子Xに結合する第2の抗原結合部位を含む多重特異性抗体(例えば、Q499-z121-J327-z119/L404-k)が、第VIII因子の機能的代替物として機能するために第IX因子とともに投与されることができる。
【0095】
II.D.2.発現処置
血友病症状は、被験者が説明できないまたは過剰な出血;長時間の、大きな、または深い傷;および/または関節異常(例えば、腫脹、疼痛または緊張)を経験する場合を含むことができる。症状は、血液凝固を促進することによって出血を遅らせるまたは止めるために処置されることができる。血友病の症状は、典型的には、全てのタイプの血友病にわたって処置される。処置は、血漿由来または組換え因子(例えば、第VIII因子または第IX因子)を投与すること(例えば、静脈内)を含むことができ、これはその濃縮バージョンを含むことができる。より最近の処置オプションは、延長半減期因子濃縮物(例えば、ポリエチレングリコール、IgG1-Fcまたはアルブミンを因子に融合させるもの)、二重特異性抗体(例えば、第IX因子および第X因子への結合に関して第VIIIa因子を部分的に模倣するエミシズマブ)および抗凝固経路を活性化する薬剤を含む。症状発現が始まった直後に処置を提供することは、血液が被験者の関節に入る可能性を低減し、被験者の関節に導入される血液の量を低減し、および/または出血が本質的な身体機能(例えば、呼吸)を破壊する可能性を低減することができる。
【0096】
世界血友病連盟によって提案されている目標は、出血事象の発症から2時間以内に投与される症状発現処置である。そうでなければ、関節内の血液は、関節の滑膜における鉄およびその後のマクロファージ動員をもたらし、軟組織損傷をもたらし、その後に軟骨および骨に対する損傷をもたらす可能性がある。関節損傷は、慢性疼痛、可動域の減少、および活動障害をもたらす可能性がある。被験者が関節内で出血を経験していることを示すことがある症状は、関節痛、関節刺痛、関節内の泡立ち感、関節痛の関節における運動抵抗を含むことができる。標的関節は、6ヶ月以内に少なくとも3回の自然出血を有する関節として定義される。各出血は、自然出血しやすい新たな脆弱な血管をもたらし、永久的な関節損傷をもたらすことがあるポジティブフィードバック状況をもたらす可能性がある。
【0097】
(例えば、濃縮因子、因子濃縮物および/または輸血を介して)迅速な処置を必要とする医学的緊急事態に対応することができる他の出血は、頭蓋内出血、中枢神経系出血および/または舌下出血(例えば、特に気道が小さいために小児において)を含む。
【0098】
筋肉の出血および鼻腔の出血にもまた、迅速な処置によって対応すべきである。筋出血は、血友病被験者の身体障害の顕著な原因である。より具体的には、筋肉血腫は、大きな可動性制限筋痙攣、表在性斑状出血および炎症を誘発することがある。
【0099】
血友病患者では、手術、包皮切除または抜歯後の過剰な出血が一般的である。医療提供者が被験者の血友病を認識している場合、手技の前後に凝固因子および場合によっては抗線溶剤を投与してもよい。
【0100】
一般に、投与量および/またはスケジュール症状発現処置は、所与の症状発現下限閾値を下回らないように1つ以上の因子のレベルを維持する努力で処方されることができる。閾値は、出血のタイプに基づいて決定されることができる。例えば、第VIII因子のより低い閾値は、初期の関節炎、歯肉の出血および鼻出血については正常な被験者のベースライン値の30%に設定されることができ、一方、閾値は、出血または筋肉の出血の後期処置については50%に設定されることができ、重篤な出血エピソードは、80%の閾値と関連付けられることができる。投与量は、下限閾値、現在の因子レベルおよび被験者の体重に基づいて計算されることができる。
【0101】
場合によっては、症状発現に応じて追加または代替処置が提供される。例えば、追加または代替処置は、出血の停止を促進することができる。追加または代替処置は、(例えば)酢酸デスモプレシン(DDAVP)を含んでもよく、またはバソプレシンは出血の停止を促進することができる。DDAVPは、筋肉または関節の出血、粘膜の出血に応答して、および手術のために投与されることが多い。アミノカプリン酸などの他の薬剤が使用されて、血栓の破壊を阻害することができる。
【0102】
後天性血友病を有する被験者によって示される出血に応答して処置を施すことは、阻害剤と動態との間の関係が非線形であり、多相であり、第1の相が急速な不活性化を示し、第2の相がより一貫性を示すという事実によって複雑である。軽度の出血は、それ自体で解消されることができるか、因子(例えば、血漿由来因子または組換え因子)を使用して、またはDDAVPもしくはバソプレシンを使用して処置されることができる。大量出血は、DDAVP、バソプレシン、またはバイパス剤(例えば、血漿由来活性化プロトロンビン複合体濃縮物または組換え活性化第VII因子)を使用して処置されることができる。バイパス剤は、トロンビンの生成を引き起こし、止血をもたらす可能性がある。今日まで、バイパス剤は、有効性に関して高度に予測可能ではない。
【0103】
II.E.血友病の監視
上述したように、頻繁に行われる1つのタイプの監視は、(投与量および/または処置スケジュールを潜在的に調整するために)薬物投与時の様々な時点での因子レベルの監視である。
【0104】
特に、より新たな非因子療法(例えば、エミシズマブまたはfitusiran)を評価する場合、因子活性レベルはあまり有益でない可能性がある。例えば、aPTTに基づく1段階凝固アッセイの結果および2段階発色活性アッセイの結果は、典型的には、因子活性の量に基づいて同様にスケーリングするが、これらの2つのアッセイの結果は、非因子療法について同じ対応を示さない。aPTTに基づく1段階凝固アッセイは、非因子処置の濃度に単調に関連する因子活性レベル結果をもたらさないかもしれないが、このタイプの関係は、発色アッセイを使用して観察される。これらの結果は、リン脂質結合、トロンビン活性化またはAPC不活性化などの因子-VIII-典型的な作用を誘発しないエミシズマブの結果とすることができる。非因子療法を監視するための1つのアプローチは、トロンビン生成アッセイパラメータ(例えば、ピークトロンビン)、例えば非標準的な第XIa因子を使用して開始された反応からのパラメータを監視することである。非因子療法を監視するための別のアプローチは、発色因子アッセイを使用すること(例えば、全てのヒト試薬を使用すること)である。次いで、変換係数を使用して結果がスケーリングされて、従来の要因活動レベルに対応するメトリックを推定することができる。さらに別のアプローチは、治療の活性薬剤のレベルを測定すること(例えば、ELISAベースのアッセイを使用すること)である。
【0105】
頻繁に行われる別のタイプの監視は、血友病を有する被験者が因子阻害剤を発症しているかどうかを決定することである。血友病A被験者の約20%および血友病B被験者の約3%が、凝固因子処置製品に対する阻害剤を開発している。
【0106】
阻害剤試験は、被験者が凝固因子に対する阻害剤を開発したかどうかおよび/またはどの程度まで開発したかを決定するために行われることができる。阻害剤試験の前に、被験者は、(試験設計に応じて)ウォッシュアウト期間(例えば、または1日、2日または3日)を経てもよく、その間、因子処置は受けられない。あるいは、サンプルの熱処置が行われてもよい。被験者が阻害剤を開発したかどうかを決定するために、2つのサンプルが収集されることができる:1つは処置(例えば、血漿由来または組換え因子)が実施される前であり、1つはその後である。注入された因子のより短い半減期は、阻害剤の存在を示すことができる。阻害剤スクリーニングは、定期的に、および/または予定されたもしくは予定されていない侵襲的もしくは集中的な処置に基づいて行われることができる。
【0107】
いくつかの非因子療法(例えば、エミシズマブ)は、ベセスダアッセイの測定を妨害する。代替的なアプローチは、因子阻害剤レベルを生成することがある色素生成ベースの阻害剤アッセイを使用すること(例えば、ウシ試薬を使用すること)である。
【0108】
阻害剤が検出された場合、被験者は、免疫寛容誘導を受けることができる。免疫寛容誘導中、高投与量の因子が濃縮される。免疫寛容誘導は、血友病A被験者の約70%および血友病B被験者の約30%の阻害剤の除去に成功するが、除去のタイムラインは被験者によって著しく異なる(例えば、数ヶ月から数年の間)。免疫寛容誘導は、因子(または因子濃縮物)を繰り返し投与することを含む。処置レジメンは、発症から被験者の予後状態まで固定または調整されることができる。処置レジメンは、投与量(例えば、25U/kg、50U/kgまたは100U/kg)および/または頻度(例えば、毎日、週に2回または週に3回)に基づいて変化する。
【0109】
場合によっては、免疫寛容誘導を受けるのではなく(または免疫寛容誘導の失敗時に)、代わりに、発現および/または予防的処置は、因子濃縮物の代わりにバイパス剤を使用するように調整されてもよい。バイパス剤は、(例えば)FEIBA、NovoSeven RGまたはObizurを含むことができる。場合によっては、バイパス剤は、組換え因子を含む。
【0110】
いくつかの処置(例えば、非因子療法)は、その処置に対する抗体の発生をもたらすことがある。従来のaPTTアッセイからの長時間の検出および/または因子クロベースアッセイもしくは発色アッセイからの低活性メトリックの検出は、抗体の開発と一致しており、潜在的な抗体の存在を調べるためのさらなるアッセイが必要であることを示すことができる。
【0111】
II.インテリジェント機能によって構成されたクラウドベースのアプリケーションをホストするためのネットワーク環境
図1は、クラウドベースのアプリケーションの実施形態がホストされるネットワーク環境100を示している。ネットワーク環境100は、クラウドサーバ135およびデータレジストリ140を含むクラウドネットワーク130を含むことができる。クラウドサーバ135は、クラウドベースのアプリケーションの基礎となるソースコードを実行することができる。データレジストリ140は、コンピュータ105、ラップトップ110、およびモバイルデバイス115などの、1つ以上のユーザデバイスから取り込まれたまたはそれを使用して識別されたデータレコードを記憶することができる。
【0112】
データレジストリ140に記憶されるデータレコードは、固定部分(例えば、データ要素)のスケルトン構造にしたがって構造化されてもよい。コンピュータ105、ラップトップ110、およびモバイルデバイス115は、それぞれ、様々なユーザによって操作されることができる。例えば、コンピュータ105は、医師によって操作されてもよく、ラップトップ110は、エンティティの管理者によって操作されてもよく、モバイルデバイス115は、被験者によって操作されてもよい。モバイルデバイス115は、ゲートウェイ120およびネットワーク125を使用してクラウドネットワーク130に接続することができる。場合によっては、コンピュータ105、ラップトップ110、およびモバイルデバイス115のそれぞれは、同じエンティティ(例えば、同じ病院)に関連付けられる。他の例では、コンピュータ105、ラップトップ110、およびモバイルデバイスは、異なるエンティティ(例えば、異なる病院)に関連付けられる。コンピュータ105、ラップトップ110、およびモバイルデバイス115のユーザデバイスは、例示の目的のための例であり、したがって、本開示は、これに限定されない。ネットワーク環境100は、任意のデバイスタイプの任意の数または構成のユーザデバイスを含むことができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、コンピュータ105、ラップトップ110、またはモバイルデバイス115のいずれかと相互作用することによって、データレジストリ140に記憶するためのデータ(例えば、被験者レコード)を取得することができる。例えば、コンピュータ105は、インターフェースを使用することによってクラウドサーバ135と相互作用して、被験者レコードまたはデータレジストリ140に取り込むためにローカルに(例えば、コンピュータ105に対してローカルなネットワークに記憶される)記憶された他のデータレコードを選択する。他の例として、コンピュータ105は、インターフェースと相互作用して、被験者レコードまたは他のデータレコードを記憶するデータベースのアドレス(例えば、ネットワーク位置)をクラウドサーバ135に提供する。次いで、クラウドサーバ135は、データベースからデータレコードを取得し、データレコードをデータレジストリ140に取り込む。
【0114】
いくつかの実施形態では、コンピュータ105、ラップトップ110、およびモバイルデバイス115は、異なるエンティティ(例えば、医療センター)に関連付けられる。クラウドサーバ135がコンピュータ105、ラップトップ110、およびモバイルデバイス115から取得するデータレコードは、異なるデータレジストリに記憶されてもよい。コンピュータ105、ラップトップ110、およびモバイルデバイス115のそれぞれからのデータレコードは、クラウドネットワーク130内に記憶されることができるが、データレコードは混在しない。例えば、コンピュータ105は、データプライバシールールによって課される制約のために、ラップトップ110から取得されたデータレコードにアクセスすることができない。しかしながら、クラウドサーバ135は、データレコードが異なるエンティティによってクエリされるときに、データレコードの一部を自動的に難読化、不明瞭化、またはマスクするように構成されてもよい。したがって、エンティティから取り込まれたデータレコードは、データプライバシールールに準拠するために、難読化、不明瞭化、またはマスクされた形式で異なるエンティティに公開されることができる。
【0115】
データレコードがコンピュータ105、ラップトップ110、およびモバイルデバイス115から収集されると、データレコードは、本書に記載のインテリジェント分析機能を提供するために機械学習モデルまたは人工知能モデルを訓練するための訓練データとして使用することができる。エンティティに関連付けられたユーザデバイスがデータレジストリ140にクエリを行い、クエリ結果が異なるエンティティに由来するデータレコードを含む場合、これらのデータレコードは、データプライバシールールに準拠する難読化された形式でユーザデバイスに提供または公開されることができることを考えると、データレコードは、任意のエンティティによるクエリに利用可能であってもよい。
【0116】
クラウドサーバ135は、実行されると、被験者レコードの変換表現(例えば、被験者レコードに記憶された情報を数値的に表すベクトル)を使用してインテリジェント機能を実行させるコードを実行するように特殊な方法で構成されることができる。例えば、インテリジェント機能は、クラウドサーバ135を使用してコードを実行することによって実行されることができる。実行されたコードは、訓練されたニューラルネットワークモデルを表すことができる。ニューラルネットワークモデルは、処置レジメンに対する被験者の反応性を予測すること、類似の患者を識別すること、患者についての処置レジメンの推奨を生成すること、および他のインテリジェント機能などのインテリジェント機能を実行するように訓練されていてもよい。ニューラルネットワークモデルは、ある症状について以前に処置され、結果(例えば、症状を克服すること、症状の重大度を上げること、症状の重大度を下げることなど)を経験したことがある被験者の被験者レコードを含む訓練データセットを使用して訓練されることができる。さらに、実行されたコードは、クラウドサーバ135に、既存の被験者レコードの非数値を、訓練されたニューラルネットワークモデルによって処理されることができる数値表現(例えば、変換表現)に変換させるように構成されることができる。例えば、クラウドサーバ135によって実行されるコードは、被験者レコードのセットの各被験者レコードを入力として受信するように構成されることができ、各被験者レコードについて、コードは、実行されると、クラウドサーバ135に、各被験者レコードの各データ要素をベクトル表現などの変換表現に変換するための本書に記載の動作を実行させることができる。インテリジェント機能を実行することは、さらなる分析のための出力を生成するために、データレジストリ140に記憶されたデータレコードの少なくとも一部を訓練された機械学習モデルまたは人工知能モデルに入力することを含むことができる。いくつかの実施形態では、出力は、データレコード内のパターンを抽出するために、またはデータレコードのデータフィールドに関連付けられた値または結果を予測するために使用することができる。クラウドサーバ135によって実行されるインテリジェント機能の様々な実施形態を以下に説明する。
【0117】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、ユーザデバイス(例えば、医師によって操作される)がクラウドベースのアプリケーションにアクセスして、送信先デバイスのセットに相談ブロードキャストを送信することを可能にするように構成される。相談ブロードキャストは、被験者レコードに関連付けられた被験者の処置に関するサポートまたは支援の要求とすることができる。宛先デバイスは、他のエンティティに関連付けられた他のユーザ(例えば、他の医療センターの医師)によって操作されるユーザデバイスとすることができる。宛先デバイスが相談ブロードキャストに関連付けられた支援の要求を受け入れる場合、クラウドベースのアプリケーションは、被験者レコードの特定のデータフィールドを省略または隠す被験者レコードの縮約表現を生成することができる。縮約表現は、データプライバシールールに準拠することができ、したがって、被験者レコードの縮約表現は、被験者レコードによって関連付けられた被験者を一意に識別するために使用することができない。クラウドベースのアプリケーションは、被験者レコードの縮約表現を、支援の要求を受け入れた宛先デバイスに送信することができる。宛先デバイスを操作するユーザは、縮約表現を評価し、通信チャネルを使用してユーザデバイスと通信して、被験者を処置するためのオプションを論じることができる。例えば、通信チャネルは、ユーザデバイス(例えば、診察を要求する医師によって操作される)が宛先デバイス(例えば、相談を提供する他の医師によって操作される)とセキュアに通信することを可能にするセキュアなチャットルームとして構成されることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、処置計画定義インターフェースをユーザデバイスに提供するように構成される。処置計画定義インターフェースは、ユーザデバイスが症状についての処置計画を定義することを可能にする。例えば、処置計画は、その症状によって被験者を処置するためのワークフローとすることができる。ワークフローは、症状を有するものとして被験者の集団を定義するための1つ以上の基準を含むことができる。ワークフローはまた、症状についての特定のタイプの処置を含むことができる。クラウドサーバ135は、ユーザデバイスの集合の各ユーザデバイスから特定の条件についての処置計画定義を受信して記憶する。クラウドベースのアプリケーションは、所与の症状についての処置計画をユーザデバイスのセットに配信することができる。ユーザデバイスのセットのうちの2つ以上のユーザデバイスは、異なるエンティティに関連付けられてもよい。2つ以上のユーザデバイスのそれぞれは、処置計画の任意の部分または全体を顧客ルールセットに統合するオプションを提供することができる。クラウドサーバ135は、ユーザデバイスが共有処置計画全体を統合するか、または処置計画の一部を統合するかを監視することができる。ユーザデバイスと共有処置計画との間の相互作用を使用して、処置計画または処置計画に基づいて作成されたルールを更新するかどうかを決定することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、ユーザデバイスを操作するユーザがクラウドベースのアプリケーションにアクセスして、ある症状を有する被験者に対する提案処置を決定することを可能にする。ユーザデバイスは、クラウドベースのアプリケーションに関連付けられたインターフェースをロードする。インターフェースは、ユーザデバイスを操作するユーザが、ユーザによって処置されている被験者に関連付けられた被験者レコードを選択することを可能にする。クラウドベースのアプリケーションは、ユーザによって処置されている被験者に類似する以前に処置された被験者を識別するために他の被験者レコードを評価することができる。被験者間の類似性は、例えば、被験者レコードの配列表現を使用して決定されることができる。配列表現(例えば、ベクトル、N次元行列、または非数値の任意の数値表現などの変換表現)は、被験者レコードのデータフィールドの値の任意の数値および/またはカテゴリ表現とすることができる。例えば、被験者レコードの配列表現は、ユークリッド空間内などのドメイン空間内の被験者レコードのベクトル表現であってもよい。場合によっては、クラウドサーバ135は、被験者レコード全体をベクトルなどの数値表現に変換するように構成されることができる。所与の被験者レコードについて、クラウドサーバ135は、各データ要素を評価して、そのデータ要素に含有されるまたは含まれるデータのタイプを決定することができる。データのタイプは、そのデータ要素の数値または非数値を数値表現に変換するためにどのプロセスまたは技術を実行するかについてクラウドサーバ135に通知することができる。例示的な例として、クラウドサーバ135は、被験者レコードのデータ要素の非数値(例えば、医師のメモのテキスト)を数値表現(例えば、ベクトル)に変換することができる。変換は、テキストの各単語を表す数値を生成するために、Word2Vecまたは他のテキストベクトル化技術などの自然言語処理技術を使用することを含むことができる。生成された数値は、インテリジェント分析を実行するために訓練されたニューラルネットワークに入力されることができるベクトルとして機能することができる。他の例示的な例として、ビデオの画像(例えば、MRIデータ)または画像フレーム(例えば、超音波のビデオデータ)を含むデータ要素の場合、各画像または画像フレームは、入力画像の潜在空間表現を生成するように訓練された訓練されたオートエンコーダニューラルネットワークを使用して数値表現(例えば、ベクトル)に変換されることができる。入力画像の縮約表現(例えば、潜在空間表現)は、入力画像の数値表現として機能することができる。この数値表現は、関連付けられた被験者レコードのインテリジェント分析を実行するためにニューラルネットワークまたは他の機械学習モデルに入力されることができる。さらに他の例として、時変情報シーケンス(例えば、ある期間にわたって被験者から発生した事象または得られた測定値)を含むデータ要素の場合、時変情報は、いくつかの例示的な変換を使用して数値表現として表されることができる。場合によっては、事象のカウントは、時変情報を表すベクトルとして使用されてもよい。例えば、被験者に対して1年間に4回の測定が行われた場合、数値表示は「4」とすることができる。他の例では、発生する事象の頻度または比率(例えば、週に1回、月に1回、年に1回など)は、時変情報を表すベクトルとして使用することができる。さらに他の例では、時変情報内の各事象に関連付けられた測定値の平均または組み合わせは時変情報を表すベクトルとして使用することができる。本開示は、これらの例に限定されず、時変情報の他の数値表現が数値表現を表すベクトルとして使用することができる。
【0120】
場合によっては、配列表現内の複数の値は、単一のデータ要素またはデータフィールドに対応する。例えば、データ要素の値は、ワンホット符号化を介して生成された複数のバイナリ値によって表されてもよい。他の例として、被験者レコードの単一のデータ要素内の複数の値の各値は、上述したように、数値表現に個別に変換されてもよい。複数の値の各値を表す数値表現は、データ要素に対応する単一の数値表現に結合されることができる。複数の数値表現の結合は、ベクトルの大きさの平均化、ベクトルの追加、または複数のベクトルの単一のベクトルへの連結など、任意のベクトル結合技術を使用して実行されることができる。場合によっては、クラウドベースのアプリケーションは、被験者レコードのグループの各被験者レコードの配列表現を生成することができる。2つの被験者レコード間の類似性は、2つの配列表現を比較してそれらの間の距離を決定することによって表されることができる。被験者レコード全体の数値表現を他の被験者レコードの他の数値表現と比較する代わりに、次元(例えば、データ要素)に沿って被験者レコードが比較されることもできる。例えば、次元に沿って2つの被験者レコードを比較することは、被験者レコードのデータ要素の数値表現を他の被験者レコードの一致するデータ要素の他の数値表現と比較することを含むことができる。さらに、クラウドベースのアプリケーションは、インターフェースを使用してユーザデバイスによって選択された被験者レコードに最近傍である被験者を識別するように構成されることができる。最近傍は、様々な被験者レコードの数値表現を標的被験者レコードの数値表現と比較することによって決定されてもよい。クラウドベースのアプリケーションは、最近傍である被験者に対して以前に行われた処置を識別することができる。クラウドベースのアプリケーションは、最も近い隣接者に対して以前に実行された処置をインターフェース上で利用することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、以前に処置された被験者のデータベースを検索するクエリを作成するように構成される。クラウドサーバ135は、クエリを実行し、クエリの制約を満たす被験者レコードを取得することができる。しかしながら、クエリ結果を提示する際に、クラウドベースのアプリケーションは、クエリを作成したユーザによって処置されたことがある被験者または処置されている被験者についてのみ被験者レコードを完全に提示することができる。クラウドベースのアプリケーションは、クエリを作成するユーザによって処置されていない被験者の被験者レコードの部分をマスクするか、そうでなければ難読化する。クエリ結果に含まれる被験者レコードの部分のマスキングまたは難読化は、ユーザがデータプライバシールールに準拠することを可能にする。いくつかの実施形態では、(クエリ結果が難読化されているか否かにかかわらず)クエリ結果は、被験者レコード内のパターンまたは共通属性について自動的に評価されることができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、クラウドベースのアプリケーションにチャットボットを埋め込む。チャットボットは、ユーザデバイスと自動的に通信するように構成される。チャットボットは、ユーザデバイスとチャットボットとの間でメッセージが交換される通信セッションにおいて、ユーザデバイスと通信することができる。チャットボットは、ユーザデバイスから受信した質問に対する回答を選択するように構成されてもよい。チャットボットは、クラウドベースのアプリケーションにアクセス可能な知識ベースから回答を選択することができる。ユーザデバイスがチャットボットに質問を送信し、そのチャットボットが知識ベースに記憶された既存の回答を有していない場合、既存の回答がある質問の異なる表現は、知識ベースに記憶されている。チャットボットと通信するユーザは、チャットボットによって提供された回答が正確であるかまたは有用であるかについて促されることができる。
【0123】
本書に記載の訓練された機械学習モデルのいずれかを生成するために、任意の機械学習または人工知能アルゴリズムが実行されることができることが理解されよう。人工知能ベースモデルおよび機械学習モデルの様々な異なるタイプおよび技術が訓練され、次いで実行されて、プロトコルまたは機能を実行するためのユーザ結果を予測する1つ以上の出力を生成することができる。モデルの非限定的な例は、ナイーブベイズモデル、ランダムフォレストまたは勾配ブースティングモデル、ロジスティック回帰モデル、深層学習ニューラルネットワーク、アンサンブルモデル、教師あり学習モデル、教師なし学習モデル、協調フィルタリングモデル、および任意の他の適切な機械学習モデルまたは人工知能モデルを含む。
【0124】
クラウドベースのアプリケーションは、外部の医師に相談し、診断を決定し、肺、乳房、結腸直腸、前立腺、胃、肝臓、子宮頸部(子宮頸部)、食道、膀胱、腎臓、膵臓、子宮内膜、口腔、甲状腺、脳、卵巣、皮膚、および胆嚢の癌、肉腫および癌腫などの固形腫瘍、リンパ腫(ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫など)を含む免疫系の癌、ならびに血液(血液学的癌)および白血病(急性リンパ性白血病(ALL)および急性骨髄性白血病(AML)など)などの骨髄の癌、リンパ腫および骨髄腫を含む、COVID-19、腫瘍学を含むがこれらに限定されない、任意の疾患、症状、研究領域、または障害についての処置を提案することに関してインテリジェント機能を実行するように構成されることができることが理解されよう。さらなる障害は、貧血などの血液障害、血友病、血餅などの出血障害、糖尿病性網膜症、緑内障、および黄斑変性を含む眼科障害、多発性硬化症、パーキンソン病、疾患、脊髄性筋萎縮症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、およびアルツハイマー病を含む神経障害、多発性硬化症、糖尿病、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、グレーブス病、橋本甲状腺炎、湿疹、血管炎、アレルギー、および喘息を含む自己免疫障害を含む。
【0125】
他の疾患および障害は、腎臓疾患、肝疾患、心疾患、脳卒中、胃腸障害、例えばセリアック病、クローン病、憩室疾患、過敏性腸症候群(IBS)、胃食道逆流症(GERD)および消化性潰瘍、関節炎、性感染症、高血圧、細菌およびウイルス感染症、寄生虫感染症、結合組織病、セリアック病、骨粗鬆症、糖尿病、狼瘡、中枢神経系および末梢神経系の疾患、例えば注意欠陥/多動性障害(ADHD)、カタレプシー、脳炎、てんかんおよび発作、末梢神経障害、髄膜炎、片頭痛、ミエロパシー、自閉症、双極性障害およびうつ病を含むが、これらに限定されない。
【0126】
II.A.クラウドベースのアプリケーションは、ユーザデバイスが他のユーザデバイスに相談要求をブロードキャストし、データプライバシールールに準拠するように被験者レコードを自動的に縮約することを可能にする。
図2は、被験者の処置に関する支援を要求する相談ブロードキャストに関連して、縮約された被験者レコードをユーザデバイスに配信するためにクラウドベースのアプリケーションによって実行されるプロセス200を示すフローチャートである。プロセス200は、データプライバシールールに準拠しながら、異なるエンティティ(例えば、病院)に関連付けられたユーザデバイスが被験者についての処置に関して協働または相談することを可能にするためにクラウドサーバ135によって実行されることができる。
【0127】
プロセス200は、ブロック210において開始し、クラウドサーバ135は、ユーザデバイスから属性のセットを受信する。属性のセットのうちの各属性は、被験者(例えば、患者)の任意の特性を表すことができる。属性のセットは、クラウドサーバ135によって提供されるインターフェースを使用してユーザによって識別されることができる。例えば、属性のセットは、被験者の人口統計情報および被験者によって経験された最近の症候を識別する。人口統計情報の非限定的な例は、年齢、性別、民族、居住州または都市、所得範囲、教育レベル、または任意の他の適切な情報を含む。最近の症候の非限定的な例は、特定の症候(例えば、呼吸困難、閾値温度を超える発熱、閾値血圧を超える血圧など)を現在または最近(例えば、最後の来院時、摂取時、24時間以内、1週間以内)経験した被験者を含む。
【0128】
ブロック220において、クラウドサーバ135は、被験者についてのレコードを生成する。レコードは、1つ以上のデータフィールドを含むデータ要素とすることができる。レコードは、被験者に関連付けられた属性のセットのそれぞれを示す。レコードは、データレジストリ140または任意の他のクラウドベースのデータベースなどの中央データストアに記憶されることができる。ブロック230において、クラウドサーバ135は、インターフェースを使用してユーザによって提出された要求を受信する。要求は、相談ブロードキャストを開始することとすることができる。例えば、エンティティに関連付けられたユーザは、被験者を処置する医療センターの医師である。ユーザは、ユーザデバイスを操作してクラウドベースのアプリケーションにアクセスし、被験者の処置を支援する要求をブロードキャストすることができる。ブロードキャストは、異なるエンティティに関連付けられた他のユーザデバイスのセットに送信されてもよい。
【0129】
ブロック240において、クラウドサーバ135は、被験者に関連付けられた属性のセットに含まれる1つ以上の最近の症候を使用して中央データストアにクエリする。クエリ結果は、他のレコードのセットを含む。他のレコードのセットのうちの各レコードは、別の被験者に関連付けられている。場合によっては、クラウドサーバ135は、中央データストアにクエリして、被験者レコードに類似する他の被験者レコードを識別することができる。類似性は、被験者レコード全体の変換表現を他の各被験者レコードの変換表現と比較することによって決定されることができる。変換表現の比較は、2つの被験者レコード間の類似性を表す距離(例えば、ユークリッド距離)をもたらすことができる。他の例では、類似性は、データ要素に含まれる値に基づいて決定されてもよい。例えば、標的被験者レコードは、被験者が経験した症状を表すテキストを含む被験者データ要素を含むことができる。中央データストアに記憶された他の各被験者レコードはまた、関連付けられた被験者の症状を表すテキストを含むデータ要素を含むことができる。クラウドサーバ135は、上述した技術(例えば、訓練された畳み込みニューラルネットワーク、Word2Vecなどのテキストベクトル化技術など)を使用して、被験者データ要素に含まれるテキストを数値表現に変換することができる。被験者データ要素に含まれるテキストの数値表現は、互いに一致する被験者レコードのデータ要素に含まれるテキストの数値表現と比較されることができる。2つの数値表現間の比較(例えば、ユークリッド空間などのドメイン空間において)の結果は、被験者データ要素に含まれるテキストが他の被験者レコードのデータ要素に含まれるテキストに類似する程度を示すことができる。ブロック250において、クラウドサーバ135は、宛先アドレス(例えば、異なるエンティティに関連付けられた他のユーザデバイス)のセットを識別する。宛先アドレスのセットのうちの各宛先アドレスは、ブロック240において識別された他のレコードのセットのうちの1つ以上の他のレコードに関連付けられた別の被験者のケア提供者に関連付けられる。ブロック260において、クラウドサーバ135は、被験者についてのレコードの縮約表現を生成する。レコードの縮約表現は、レコードの少なくとも一部を省略、不明瞭化、または難読化する。レコードの縮約表現は、レコードに関連付けられた被験者を一意に識別するために使用することができないため、データプライバシールールに違反することなく外部システム間で交換されることができる。クラウドサーバ135は、任意のマスキングまたは難読化技術を実行して、レコードの縮約表現を生成することができる。
【0130】
ブロック270において、クラウドサーバ135は、接続入力コンポーネント(例えば、通信チャネルを確立させるハイパーリンクなどの選択可能なリンク)を有する記録の縮約表現を、宛先アドレスのセットの各宛先アドレスに利用する。接続入力コンポーネントは、各宛先アドレスに提示される選択可能な要素であってもよい。接続入力コンポーネントの非限定的な例は、ボタン、リンク、入力要素、および他の適切な選択可能な要素を含む。ブロック280において、クラウドサーバ135は、宛先アドレスに関連付けられた宛先デバイスからの通信を受信する。通信は、宛先デバイスを操作するユーザがレコードの縮約表現に関連付けられた接続入力コンポーネントを選択したという指示を含む。ブロック290において、クラウドサーバ135は、接続入力コンポーネントが選択されたユーザデバイスと宛先デバイスとの間の通信チャネルを確立する。通信チャネルは、ユーザデバイスを操作するユーザ(例えば、被験者を処置する医師)が、接続入力コンポーネントが選択された宛先アドレスに関連付けられた宛先デバイス(例えば、患者の処置を支援することに同意した他の病院の医師)とメッセージまたは他のデータ(例えば、ビデオフィード)を交換することを可能にする。
【0131】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、ユーザデバイスの位置および接続入力コンポーネントが選択された宛先デバイスの位置を自動的に決定するように構成される。クラウドサーバ135はまた、位置を比較して、レコードの縮約表現を生成するかどうかを決定することができる。例えば、ブロック260において、クラウドサーバ135は、宛先アドレスのセットのうちの各宛先アドレスが、相談ブロードキャストを開始したユーザデバイスとコロケートされていないとクラウドサーバ135が決定するため、レコードの縮約表現を生成することができる。この場合、クラウドサーバ135は、データプライバシールールに準拠するためにレコードの縮約表現を生成することを自動的に決定することができる。別の例として、宛先アドレスのセットが、相談ブロードキャストを開始したユーザデバイスと同じエンティティに関連付けられている場合、クラウドサーバ135は、データプライバシールールに準拠しながら、宛先アドレスに関連付けられた宛先デバイスにレコードを完全に(例えば、レコードの一部を難読化することなく)送信することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、複数の他の縮約されたレコード表現を生成する。複数の他の縮約されたレコード表現のそれぞれは、別の被験者に関連付けられている。クラウドサーバ135は、複数の他の縮約されたレコード表現をユーザデバイスに送信し、ユーザデバイスから、複数の他の縮約されたレコード表現のサブセットの選択を識別する通信を受信する。宛先アドレスのセットのそれぞれは、縮約されたレコード表現のうちの1つによって表される。例えば、縮約されたレコード表現を生成することは、縮約されたレコード表現に関連付けられた別の被験者の管轄区域を決定することと、管轄区域内の被験者レコードの交換を管理するデータプライバシールールを決定することと、データプライバシールールに準拠するように縮約されたレコード表現を生成することと、を含む。複数の他の縮約されたレコード表現のうちの第1の他の縮約されたレコード表現は、特定のタイプのデータを含むことができる。複数の他の縮約されたレコード表現のうちの第2の他の縮約されたレコード表現は、特定のタイプのデータを省略または不明瞭にすることができる。例えば、特定のタイプのデータは、連絡先情報、氏名、社会保障番号などの識別情報、および他の被験者を一意に識別するために使用することができる他の適切な情報とすることができる。
【0133】
いくつかの実装形態では、通信は、中央データストアにおいて受信されることができる。通信は、ユーザによって操作されるユーザデバイスによって送信されてもよく、標的被験者の標的被験者レコードの識別子を含んでもよい。通信は、中央データストアにおいて受信されると、中央データストアに、記憶された被験者レコードのセットをクエリさせて、被験者レコードのセットの不完全なサブセットを識別させることができる。被験者レコードが少なくとも1つの次元に沿って標的被験者レコードに類似していると決定されるため、不完全なサブセットの各被験者レコードは、識別されて不完全なサブセットに含まれることができる。次元に沿った2つの被験者レコード間の類似性は、症状、診断、処置、または任意の他の適切なデータ要素に関する類似性など、被験者レコードのデータ要素に関する類似性を表すことができる。類似性または非類似性が決定される1つ以上の次元は、自動的に定義されてもよく、またはユーザ定義されてもよい。標的被験者レコードと中央データストアに記憶された被験者レコードのセットの各被験者レコードとの間の類似性または非類似性を決定することは、少なくとも以下の動作、すなわち、通信に含まれる識別子に基づいて標的被験者レコードを取得すること、標的被験者レコードの変換表現を生成する(または標的被験者レコードの既存の変換表現を取得する)こと、および標的被験者レコードの変換表現および被験者レコードのセットの各被験者レコードの変換表現を使用してクラスタリング演算を実行することを含むことができる。クラスタリング演算は、1つ以上の次元(例えば、被験者レコードの1つ以上の特徴)に対して実行されてもよい。例えば、クラスタリング演算は、被験者の症状を表す値を含むデータ要素に基づいて、中央データストアに記憶された被験者レコードのセットをクラスタリングすることができる。標的被験者レコードの変換表現は、被験者の症状を表す値を含むデータ要素のベクトル表現を含むことができる。標的被験者レコードのこのデータ要素のベクトル表現と、被験者レコードのセットの各被験者レコード内の対応するデータ要素のベクトル表現とが比較されて、被験者レコードのクラスタを定義することができる。被験者レコードの各クラスタは、類似性の次元として選択されたデータ要素に関連付けられた共通の特性を共有する1つ以上の被験者レコードのグループを定義することができる。被験者レコードの各クラスタにおいて、標的被験者レコードの変換表現と被験者レコードのセットの他の変換表現との間のユークリッド距離が計算されることができる。被験者レコードは、例えば、被験者レコードの変換表現と標的被験者レコードの変換表現との間のユークリッド距離が閾値内にある場合に、標的被験者レコードに類似していると決定されることができる。
【0134】
III.B.集約ユーザ統合に基づく共有可能な処置計画定義の更新
図3は、ユーザによる処置計画定義の統合(例えば、決定木または処理ワークフロー)を監視し、監視結果に基づいて処置計画定義を自動更新するプロセス300を示すフローチャートである。プロセス300は、クラウドサーバ135によって実行されて、ユーザデバイスが症状を有する被験者の集団を処置するための処置計画を定義することを可能にすることができる。ユーザデバイスは、内部または外部のネットワークに接続されたユーザデバイスに処置計画定義を配信してもよい。処置計画定義を受信したユーザデバイスは、処置計画定義をカスタムルールベースに統合するかどうかを決定することができる。カスタムルールベースへの統合は、監視され、処置計画定義を自動的に修正するために使用することができる。
【0135】
ブロック310において、クラウドサーバ135は、ユーザデバイスがインターフェースデータをロードしたときに処置計画定義インターフェースを表示させるインターフェースデータを記憶する。処置計画定義インターフェースは、ユーザデバイスが処置計画定義インターフェースにナビゲートするためにクラウドサーバ135にアクセスするときに、ユーザデバイスのセットのうちの各ユーザデバイスに提供される。いくつかの実施形態では、処置計画定義インターフェースは、症状(例えば、血友病)を有する被験者の集団を処置するための処置計画をユーザが定義することを可能にする。
【0136】
ブロック320において、クラウドサーバ135は、通信のセットを受信する。通信のセットのうちの各通信は、ユーザデバイスのセットのうちのユーザデバイスから受信され、ユーザデバイスと処置計画定義インターフェースとの間の相互作用に応答して生成された。いくつかの実施形態では、通信は、例えば、被験者レコードの集団を定義するための1つ以上の基準を含む。各基準は、変数型によって表されてもよい。例えば、変数型は、基準の条件として用いられる値や変数であってもよい。ルールの基準の変数型はまた、被験者の集団を不完全なサブグループに制約する条件の任意の値であってもよい。例えば、妊婦の集団を規定するルールの変数型は、「IF「被験者は妊娠している」」である。基準は、被験者レコードのプールをフィルタリングするためのフィルタ条件とすることができる。例えば、重症型の血友病Aである可能性が高い被験者に関する被験者レコードの集団を規定する基準は、「第VIII因子遺伝子の変異」および「凝固第VIII因子の量が0.01IU/mL未満」というフィルタ条件を含むことができる。通信はまた、症状についての特定のタイプの処置を含むことができる。特定のタイプの処置は、被験者レコードの集団によって表される被験者に関連する状態を処置するために提案される行動(例えば、予防的処置を受ける)または非行動(例えば、必須ではない手術を最小限に抑える)に関連付けられることができる。
【0137】
ブロック330において、クラウドサーバ135は、データレジストリ140またはクラウドネットワーク130内の任意の他の集中サーバなどの中央データストアにルールのセットを記憶する。ルールのセットのうちの各ルールは、ユーザデバイスからの通信に含まれる1つ以上の基準および特定の処置タイプを含む。例示的な例として、ルールは、被験者の血友病を処置するための処置ワークフローを表す。ルールは、以下の基準(例えば、「IF」文に続く条件)および次のアクション(例えば、「THEN」文に続く、ユーザによって定義または選択された特定の処置タイプ)を含む:「IF「阻害剤力価」が5BUを超え、且つ「先月中の自然出血」である場合、「処置の投与を増加させる」、「バイパス剤を使用して処置する」または「処置を変更する」」。さらに、ルールのセットのうちの各ルールは、通信が受信されたユーザデバイスに対応する識別子と関連付けて記憶される。
【0138】
ブロック340において、クラウドサーバ135は、処置計画定義インターフェースを介してエンティティ間で利用可能なルールのセットのサブセットを識別する。ルールのサブセットは、症状に関連付けられ、評価のために他の医療センターなどの外部システムに配信されるルールのセットのサブセットを含むことができる。例えば、ルールの特性またはルールに関連付けられた識別子を評価することによって、ルールのサブセットに含めるためにルールが選択されることができる。ルールの特性は、記憶されたルールに記憶または追加されたコードまたはフラグを含むことができる。コードまたはフラグは、ルールが外部システによって一般に利用可能である(例えば、エンティティによって利用される)ことを示す。
【0139】
ブロック350において、ブロック340において識別されたルールのサブセットのうちの各ルールについて、クラウドサーバ135は、ルールとの相互作用を監視する。相互作用は、ルールをカスタムルールベースに統合する外部エンティティ(例えば、ルールに関連付けられた処置計画を定義したユーザに関連付けられたエンティティの外部)を含むことができる。例えば、外部エンティティ(例えば、別の病院)に関連付けられたユーザデバイスは、外部エンティティによって利用可能なルールを評価する。評価は、ルールが外部エンティティによって定義されたルールセットに統合するのに適しているかどうかを決定することを含む。ルールは、外部エンティティに関連付けられたユーザデバイスが、ルールを使用して定義された処置ワークフローがルールに対応する条件を処置するのに適していることを示す場合に適することができる。上記の例示的な例を続けると、血友病を処置するためのルールは、外部の医療センターによって利用可能とすることができる。外部の医療センターに関連付けられたユーザは、血友病を処置するためのルールが外部の医療センターによって定義されたルールセットに統合するのに適していると決定する。したがって、ルールが外部医療センターによって定義されたカスタムルールベースに統合された後、外部医療センターに関連付けられた他のユーザは、カスタムルールベースから統合ルールを選択することによって統合ルールを実行することができる。さらに、クラウドサーバ135は、処置計画定義インターフェースが、外部エンティティに関連付けられたユーザデバイスからカスタムルールベースへのルールの統合に対応する入力を受信した場合に生成または生成させる信号を検出することにより、利用可能なルールの統合を監視する。
【0140】
別の例示的な例として、外部エンティティに関連付けられたユーザデバイスは、処置計画定義を使用して、相互作用によって指定されたルールの修正バージョンをカスタムルールベースに統合する。相互作用によって指定されたルールの修正バージョンは、カスタムルールベースへの統合のために選択されたルールの一部である。統合のためのルールの一部を選択することは、カスタムルールベースへの統合のためのルールに含まれる全ての基準よりも少ない基準を選択することを含む。上記の例示的な例を続けると、外部エンティティに関連付けられたユーザデバイスは、カスタムルールベースへの統合のために「IF「インヒビター力価が5BUよりも大きい」という基準を選択するが、ユーザデバイスは、カスタムルールベースへの統合のために「先月中の自然出血」という基準を選択しない。したがって、カスタムルールベースに統合されたルールの相互作用固有の修正バージョンは、「IF「阻害剤力価」が5BUよりも大きい場合、「処置の投与を増加させる」、「バイパス剤を使用して処置する」または「処置を変更する」」である。「先月中の自然出血」という基準は、相互作用指定されたルールの修正バージョンを作成するためにルールから削除され、カスタムルールベースに統合される。
【0141】
ブロック360において、クラウドサーバ135は、相互作用によって指定されたルールの修正バージョンが外部エンティティによって定義されたカスタムルールベースに統合されたことを検出することができる。検出されると、クラウドサーバ135は、クラウドネットワーク130の中央データストアに記憶されたルールを更新することができる。ルールは、監視された相互作用に基づいて更新されてもよい。この例における「ベース」という用語は、監視された相互作用を「評価した後」または「評価の結果を使用した」ことに対応する。例えば、クラウドサーバ135は、外部エンティティに関連付けられたユーザデバイスが、相互作用によって指定されたルールの修正バージョンを統合したことを検出する。相互作用によって指定されたルールの修正バージョンの検出に応答して、クラウドサーバ135は、中央データストアに記憶されたルールを既存のルールから相互作用によって指定されたルールの修正バージョンに更新することができる。
【0142】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、外部エンティティにわたって利用される更新バージョンを生成することによってルールを更新する。別の元のバージョンは、更新されないままとすることができ、基準および特定のタイプの処置を識別した、受信された1つ以上の通信の送信元としてのユーザデバイスに関連付けられたユーザによって利用可能である。例えば、クラウドサーバ135は、中央データストアに記憶されたルールを更新するが、クラウドサーバ135は、中央データストアに記憶されたルールのセットのうちの別のルールを更新しない。
【0143】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、更新条件が満たされたときにルールを更新することができる。更新条件は、閾値であってもよい。例えば、閾値は、ルールの修正バージョンをそれらのカスタムルールベースに統合した外部エンティティの数または割合とすることができる。他の例として、更新条件は、訓練された機械学習モデルの出力を使用して決定されてもよい。例示すると、クラウドサーバ135は、外部エンティティから受信した検出信号を、ルールを利用するかどうかおよび/またはいつ利用するか、および/またはルールの更新バージョンを利用するかどうかおよびいつ利用するかを自動的に決定するマルチアームバンディットモデルに入力することができる。非限定的な例としてのみ例示するために、ルールは、実行可能コードとして定義されてもよく、その結果、ルールは、実行時に、さらに分析する被験者レコードのセットのサブセットを識別するために中央データストアに自動的にクエリする。さらに、ルールは、被験者レコードの識別されたサブセットに関連付けられた被験者を処置するための1つ以上の処置プロトコルを含むことができる。ルールは、被験者レコードのセットのサブセットを定義し、被験者レコードのサブセットに関連付けられたサブセットを処置するためのワークフローとして定義されることができる。例えば、ルールは、被験者レコードのセットから被験者レコードをフィルタリングし、残りの被験者レコード(例えば、被験者レコードのセットに対してフィルタリングが実行された後に残っている被験者レコード)に関連付けられた被験者に対して特定の処置プロトコルを実行するための1つ以上の基準を含むことができる。ルールは、第1のエンティティのユーザによって定義されるが、ルールは、第2のエンティティ(例えば、第1のエンティティおよび第2のエンティティは、2つの異なる医療施設である)の外部ユーザ(例えば、他の病院に勤務する医師)によって受け入れられ(例えば、第2のエンティティのルールベースに統合される)、変更され、または完全に拒否されることができる。場合によっては、第2のエンティティの外部ユーザがルールを受け入れ、したがってそのコードベースにルールを完全に統合するたびに、フィードバック信号がクラウドサーバ135に送信されることができる。他の例では、第2のエンティティのユーザがルールを変更するたびに、フィードバック信号がクラウドサーバ135に送信されてもよい。他の例では、第2のエンティティのユーザがルールを完全に拒否するたびに、フィードバック信号がクラウドサーバ135に送信されてもよい。上記の各例では、フィードバック信号は、ルール(例えば、ルール識別子)、およびルールが受け入れられたか、変更されたか、または拒否されたかを示すデータを含むことができる。マルチアームバンディットモデル(クラウドサーバ135によって実行可能)は、元のルール、変更されたルール、または他のエンティティの外部ユーザにブロードキャストするための完全に異なるルールのうちの1つをインテリジェントに選択するように構成されることができる。元のルール、変更されたルール、または異なるルールの選択は、マルチアームバンディットの構成に少なくとも部分的に基づいてもよい。場合によっては、マルチアームバンディットは、εグリーディ検索技術によって構成されてもよい。εグリーディ検索技術では、マルチアームバンディットモデルは、「1-ε」の確率で他のエンティティの外部ユーザにブロードキャストするための元のルールを選択することができ、εは、新たなまたは変更されたルールを探索する確率を表す。したがって、マルチアームバンディットモデルは、元のルールの変更バージョンまたは定義されたεの確率を有する完全に新たなルールを選択することができる。マルチアームバンディットモデルは、他のエンティティから受信したフィードバック信号に基づいてεを変更することができる。例えば、フィードバック信号が、ルールが閾値回数にわたって異なる外部ユーザによって特定の方法で変更されたことを示す場合、マルチアームバンディットモデルは、元のルールをブロードキャストする代わりに、外部ユーザにブロードキャストするために、特定の方法で変更されたルールを選択するように学習することができる。
【0144】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、同じ変数型に対応する基準を含み、同じまたは類似のタイプの処置を識別するルールのセットのうちの複数のルールを識別する。変数型は、基準の条件として用いられる値や変数であってもよい。ルールの基準の変数型はまた、被験者の集団をサブグループに制約する条件の任意の値であってもよい。例えば、妊婦の集団を規定するルールの変数型は、「IF「被験者は妊娠している」」である。クラウドサーバ135は、新たなルールが一般に他のエンティティによって操作されるサーバに送信されるとき、複数のルールの縮約表現である新たなルールを決定する。
【0145】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、被験者の属性のセットを受信するように構成された他のインターフェースを提供する。例えば、ユーザデバイスを操作するユーザは、他のインターフェースにアクセスし、他のインターフェースを使用して属性のセットを含む被験者レコードを選択する。被験者レコードの選択は、クラウドサーバ135に被験者の属性のセットを受信させることができる。クラウドサーバ135は、基準が満たされる特定のルールを、被験者の属性のセットに基づいて識別する(例えば、決定する)。例えば、中央データストアに記憶されたルールの基準に対して被験者レコードの属性のセットを評価する。例示すると、属性のセットが「妊娠している」という値を含むデータフィールドを含む場合、およびルールが「IF「被験者が妊娠している」」という単一の基準を含む場合、クラウドサーバ135は、このルールを識別する。クラウドサーバ135は、特定のルールおよび特定のルールに関連付けられた各特定のタイプの処理を提示するために他のインターフェースを更新する。
【0146】
いくつかの実施形態では、ルールの基準は、特定の人口統計変数および/または特定の症候型変数に関連する変数型である。人口統計変数の非限定的な例は、年齢、性別、民族性、人種、収入レベル、教育レベル、場所、および人口統計情報の他の適切な項目などの、被験者の人口統計学を特徴付ける任意の項目の情報を含む。症候型変数の非限定的な例は、被験者が現在または最近(例えば、最後の来院時、摂取時、24時間以内、1週間以内)特定の症候(例えば、呼吸困難、意識消失、閾値温度を超える発熱、閾値血圧を超える血圧など)を経験したかどうかを示す。
【0147】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、データレジストリ140に記憶された被験者レコードなどの被験者レコードのレジストリ内のデータを監視する。クラウドサーバ135は、(ブロック340において識別された)ルールのサブセットのうちの各ルールについて、被験者レコードのレジストリ内のデータを監視する。クラウドサーバ135は、ルールの基準が満たされ、特定の処置が被験者に以前に規定された被験者のセットを識別する。クラウドサーバ135は、被験者セットのそれぞれについて、評価もしくは検査から、または評価もしくは検査を使用して示されるような被験者の報告された状態を識別する。例えば、報告された状態は、被験者が退院したかどうか、被験者が生存しているかどうか、被験者の血圧の測定値、被験者が睡眠段階中に目覚めた回数、および他の適切な状態などの態様における被験者の状態を特徴付ける任意の情報である。クラウドサーバ135は、報告された状態に基づいて、特定の処置に対する被験者のセットの推定反応性メトリックを決定する。例えば、ルールの特定の処置が投薬を処方することである場合、推定反応性メトリックは、投薬が被験者によって経験された症候または症状に対処した程度の表現である。非限定的な例として、被験者のセットの推定反応性メトリックは、被験者のセットのうちの各被験者に割り当てられたスコアの平均、加重平均、または任意の合計とすることができる。スコアは、処置に対する被験者の反応性の有効性を表すかまたは測定することができる。場合によっては、クラウドサーバ135は、クラスタリング技術を使用することによって、処置に対する被験者の反応性の有効性を表すスコアを生成することができる。例示すると、非限定的な例として、被験者レコードのセットは、症状を処置するための特定の処置プロトコルを以前に受けた被験者を表すことができる。被験者レコードのセットの各被験者レコードは、特定の処置プロトコルに対する肯定的な反応性、特定の処置プロトコルに対する中立的な反応性、または特定の処置プロトコルに対する否定的な反応性のうちの1つを有するとして(例えば、ユーザによって)とラベル付けされることができる。被験者レコードのセットは、その後、3つのサブセット(例えば、クラスタ)に分割されることができる。被験者レコードの第1のサブセットは、特定の処置プロトコルに対して肯定的な反応性を有した被験者に対応することができ、被験者レコードの第2のサブセットは、特定の処置プロトコルに対して中立的な反応性を有した被験者に対応することができ、被験者レコードの第3のサブセットは、特定の処置プロトコルに対して中立的な反応性を有した被験者に対応することができる。クラウドサーバ135は、上述した実装形態にしたがって、被験者レコードの第1のサブセットの各被験者レコードを変換表現に変換することができる。クラウドサーバ135はまた、上述した技術を使用して、被験者レコードの第2のサブセットの各被験者レコードを変換表現に変換することができる。最後に、クラウドサーバ135は、上述した技術を使用して、被験者レコードの第3の被験者の各被験者レコードを変換表現に変換することができる。いくつかの実装形態では、特定の処置プロトコルに対する新たな被験者の予測される反応性を決定することは、新たな被験者の新たな被験者レコードを新たな変換表現に変換することを含むことができる。新たな変換表現は、ドメイン空間(例えば、ユークリッド空間)において、各クラスタまたは被験者レコードのサブセットの変換表現と比較されることができる。新たな変換表現が第1のサブセットに関連付けられた変換表現の重心に最も近い場合、新たな被験者は、特定の処置に対して肯定的な反応性を有すると予測される。新たな変換表現が第2のサブセットの変換表現の重心に最も近い場合、新たな被験者は、特定の処置に対して中立的な反応性を有すると予測される。最後に、新たな変換表現が第3のサブセットの変換表現の重心に最も近い場合、新たな被験者は、特定の処置プロトコルに対して負の反応性を有すると予測される。重心は、サブセットに関連付けられた変換表現の多次元平均であってもよい。クラウドサーバ135は、ルールのセットのうちのサブセットおよび被験者のセットの推定反応性メトリックを処置計画定義インターフェースに表示または提示させることができる。
【0148】
II.C.類似の被験者に処方された処置を使用して関連付けられた有効性を有する処置推奨の提示
図4は、被験者の処置を推奨するためのプロセス400を示すフローチャートである。プロセス400は、被験者についての推奨処置および各推奨処置の有効性を医療エンティティに関連付けられたユーザデバイスに表示するために、クラウドサーバ135によって実行されることができる。推奨される処置は、類似の被験者に以前に処方された処置の有効性を評価した結果を使用して識別されることができる。
【0149】
ブロック410において、クラウドサーバ135は、被験者の態様を特徴付ける被験者レコードに対応する入力を受信する。入力は、エンティティに関連付けられたユーザデバイスから受信される。さらに、入力は、被験者レコードのレジストリを管理するように構成されたプラットフォームのインスタンスに関連付けられたインターフェースを使用して被験者レコードを選択または識別するユーザデバイスに応答して受信される。ユーザデバイスは、クラウドネットワーク130内に接続されたウェブサーバ(図示せず)に記憶されたインターフェースデータをロードすることによってインターフェースにアクセスすることができる。ウェブサーバは、クラウドサーバ135に含まれてもよく、またはクラウドサーバ上で実行されてもよい。
【0150】
ブロック420において、クラウドサーバ135は、ブロック410において受信された被験者レコードから被験者属性のセットを抽出する。被験者属性は、被験者の態様を特徴付ける。被験者属性の非限定的な例は、電子健康レコードに見られる任意の情報、任意の人口統計情報、年齢、性別、民族、最近または過去の症候、症状、症状の重症度、および被験者を特徴付ける任意の他の適切な情報を含む。
【0151】
ブロック430において、クラウドサーバ135は、被験者属性のセットを使用して被験者レコードの配列表現を生成する。例えば、配列表現は、被験者レコードに含まれる値のベクトル表現である。ベクトル表現は、ユークリッド空間などのドメイン空間内のベクトルとすることができる。しかしながら、配列表現は、被験者レコードのデータフィールドの値の任意の数値表現とすることができる。いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、被験者レコードの配列表現の被験者属性のセットを表す値を生成するために、特異値分解(SVD)などの特徴分解技術を実行することができる。
【0152】
ブロック440において、クラウドサーバ135は、複数の他の被験者を特徴付ける他の配列表現のセットにアクセスする。他の配列表現のセットに含まれる配列表現は、別の被験者(例えば、複数の他の被験者のうちの1人)を特徴付ける被験者レコードのベクトル表現とすることができる。
【0153】
ブロック450において、クラウドサーバ135は、被験者を表す配列表現と他の被験者のそれぞれの配列表現との間の類似性を表す類似性スコアを決定する。例えば、類似性スコアは、被験者を表す配列表現と他の被験者を表す配列表現との間の(ドメイン空間における)距離の関数を用いて計算される。例示および非限定的な例として、「0」から「1」の範囲を使用して類似性スコアが計算されることができ、「0」は定義された閾値を超える距離を表し、「1」は配列表現がそれらの間に距離を有しないことを表す。例示すると、非限定的な例としてのみ、類似性スコアは、2つの配列表現(例えば、ベクトル)間のユークリッド距離に基づいてもよい。
【0154】
ブロック460において、クラウドサーバ135は、複数の他の被験者の第1のサブセットを識別する。被験者に関連付けられた類似性スコアが所定の絶対範囲または相対範囲内にある場合、被験者は第1のサブセットに含められてもよい。同様に、ブロック470において、クラウドサーバは、複数の他の被験者の第2のサブセットを識別する。しかしながら、被験者の類似性スコアが他の所定の範囲内にある場合、被験者は第2のサブセットに含まれてもよい。
【0155】
ブロック480において、クラウドサーバ135は、複数の他の被験者の第1のサブセットおよび第2のサブセットにおける各被験者についてのレコードデータを取得する。レコードデータは、被験者を特徴付ける被験者レコードに含まれる属性を含む。例えば、被験者レコードデータは、被験者が受けた処置および処置に対する被験者の反応性を識別する。処置に対する反応性は、テキスト(例えば、「被験者は処置に肯定的に反応した」)または被験者が処置に対して肯定的または否定的に反応した程度を示すスコア(例えば、「0」が否定的な反応性を示し、「1」が肯定的な反応性を示す、「0」から「1」までのスコア)によって表されることができる。場合によっては、処置反応性は、被験者に対して以前に行われた処置に対して被験者が肯定的に反応した程度を示すことができる。例えば、処置反応性は、数値(例えば、「0」から「10」までのスコア)または非数値(例えば、「肯定的」、「中立」、または「否定的」などの反応性を表すように割り当てられた単語)であってもよい。場合によっては、以前に処置された被験者に対する処置反応性は、ユーザ定義されてもよい。他の例では、処置反応性は、ユーザからの試験または測定の結果に基づいて自動的に決定されてもよい。例えば、被験者に対して行われた血液検査に含まれる値に基づいて、処置反応性が自動的に決定されてもよい。
【0156】
ブロック490において、クラウドサーバ135は、ユーザデバイス上のインターフェースに提示される出力を生成する。出力は、例えば、被験者に対する1つ以上の処置の推奨を示すことができる。1つ以上の処置の推奨は、例えば、第1および第2のサブセットにおいて他の被験者によって受けられた処置、第1および第2のサブセットにおける被験者の処置反応性、ならびに第2のサブセットにおける被験者の被験者属性と被験者の被験者属性との間の差に基づいて決定されることができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、被験者および第1または第2のサブセットからの被験者のうちの1人が同じ医療エンティティによって処置されているかまたは処置されたと決定する。クラウドサーバ135は、第1または第2のサブセットの被験者および別の被験者が、異なる医療エンティティによって処置されているかまたは処置されたと決定する。クラウドサーバ135は、インターフェースを介して被験者のレコードの異なる難読化バージョンを利用することができる。クラウドベースのアプリケーションは、異なる管轄区域のデータプライバシールールによってデータ共有に課される様々な制約に基づいて、エンティティに記録の異なる難読化バージョンを自動的に提供することができる。いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、被験者レコードのセットの変換表現に対してクラスタリング演算を実行することによって、被験者レコードの第1のサブセットおよび第2のサブセットを識別する。
【0158】
II.D.外部エンティティからのクエリ結果の自動的難読化
図5は、データプライバシールールに準拠するようにクエリ結果を難読化するためのプロセス500を示すフローチャートである。プロセス500は、外部エンティティとの被験者レコードのデータ共有がデータプライバシールールに準拠していることを保証する実行ルールとしてクラウドサーバ135によって実行されてもよい。クラウドベースのアプリケーションは、ユーザデバイスがクエリ制約を満たす被験者レコードについてデータレジストリ140にクエリすることを可能にすることができる。しかしながら、クエリ結果は、外部エンティティから生じるデータレコードを含むことができる。したがって、プロセス500は、クラウドサーバ135が、データプライバシールールに準拠しながら、外部エンティティからの処置に関する追加情報をユーザデバイスに提供することを可能にする。
【0159】
ブロック510において、クラウドサーバ135は、第1のエンティティに関連付けられたユーザデバイスからクエリを受信する。例えば、第1のエンティティは、被験者レコードの第1のセットに関連付けられた医療センターである。クエリは、病状に関連する症候のセット、またはデータレジストリ140のクエリ検索を制約する任意の他の情報を含むことができる。
【0160】
ブロック520において、クラウドサーバ135は、ユーザデバイスから受信したクエリを使用してデータベースにクエリする。ブロック530において、クラウドサーバ135は、症候のセットに対応し、病状に関連付けられたクエリ結果のデータセットを生成する。例えば、ユーザデバイスは、血友病と診断された被験者の被験者レコードに対するクエリを送信する。クエリ結果は、(第1のエンティティに由来するか、または第1のエンティティにおいて作成された)第1の被験者レコードのセットからの少なくとも1つの被験者レコードと、第2のエンティティに関連付けられた被験者レコードの第2のセットからの少なくとも1つの被験者レコード(例えば、第1のエンティティとは異なる医療センター)とを含む。第1の被験者レコードのセットからの被験者レコードおよび第2の被験者レコードのセットからの被験者レコードのそれぞれは、被験者属性のセットを含むことができる。被験者属性は、被験者の任意の態様を特徴付けることができる。
【0161】
ブロック540において、クラウドサーバ135は、第1の被験者レコードセットに含まれる被験者レコードについて、これらのレコードが第1のエンティティに由来するため、被験者属性セット全体をユーザデバイスに提示する(例えば、利用するか、そうでなければ利用可能とする)。被験者レコードを完全に提示することは、被験者レコードに含まれる属性のセットを、インターフェースを使用した評価または相互作用のためにユーザデバイスによって利用可能にすることを含む。ブロック550において、クラウドサーバ135はまた、または代替として、第2の被験者レコードセットに含まれる各被験者レコードについての被験者属性セットの不完全なサブセットをユーザデバイスに利用する。被験者属性のセットの不完全なサブセットを提供することは、被験者属性の不完全なサブセットを使用して被験者を一意に識別することができないため、被験者に匿名性を提供する。例えば、不完全なサブセットを提供することは、10個の被験者属性に関連付けられた被験者を匿名化するために10個の被験者属性のうちの利用可能な4つを含むことができる。いくつかの実施形態では、ブロック550において、クラウドサーバ135は、第2の被験者に含まれる各被験者レコードについて難読化された被験者属性のセットを利用する。属性のセットを難読化することは、提供される情報の粒度を低減することを含む。例えば、被験者の住所の被験者属性を利用する代わりに、難読化属性は、郵便番号または被験者が生きている州であってもよい。不完全な被験者または難読化サブセットが利用可能であるかどうかにかかわらず、クラウドサーバ135は、被験者レコードに関連付けられた被験者を匿名化する。
【0162】
II.E.自己学習知識ベースとのチャットボット統合
図6は、チャットボットなどのボットスクリプトを使用してユーザと通信するためのプロセス600を示すフローチャートである。プロセス600は、ユーザによって提供された新たな質問を知識ベース内の既存の質問に自動的にリンクして、新たな質問に対する応答を提供するためにクラウドサーバ135によって実行されることができる。チャットボットは、症状に関連付けられた質問に回答を提供するように構成されることができる。
【0163】
ブロック605において、クラウドサーバ135は、回答のセットを含む知識ベースを定義する。知識ベースは、メモリに記憶されたデータ構造であってもよい。データ構造は、定義された質問に対する回答のセットを表すテキストを記憶する。各回答は、通信セッション中にユーザデバイスから受信した質問に応答して、チャットボットによって選択可能とすることができる。知識ベースは、自動的に定義されてもよく(例えば、データソースからテキストを取得し、自然言語処理技術を使用してテキストをパースすることによって)、またはユーザ定義されてもよい(例えば、研究者または医師によって)。
【0164】
ブロック610において、クラウドサーバ135は、特定のユーザデバイスから通信を受信する。通信は、特定のチャットボットとの通信セッションを開始する要求に対応する。例えば、医師または被験者は、チャットセッションにおいてチャットボットと通信するためにユーザデバイスを操作することができる。クラウドサーバ135(またはクラウドサーバ135内に記憶されたモジュール)は、ユーザデバイスとチャットボットとの間の通信セッションを管理または確立することができる。ブロック615において、クラウドサーバ135は、通信セッション中に特定のユーザデバイスから特定の質問を受信する。質問は、自然言語処理技術を使用して処理される文字列とすることができる。
【0165】
ブロック620において、クラウドサーバ135は、特定の質問から抽出された少なくともいくつかの単語を使用して知識ベースにクエリする。単語は、自然言語処理技術を使用して、特定の質問を表す文字列から抽出されてもよい。ブロック625において、クラウドサーバ135は、知識ベースが特定の質問の表現を含まないと決定する。この場合、受信された質問は、チャットボットに新たに投稿されてもよい。ブロック630において、クラウドサーバ135は、知識ベースから他の質問表現を識別する。クラウドサーバ135は、ユーザデバイスから受信した質問を知識ベースに記憶された他の質問表現と比較することによって、他の質問表現を識別することができる。例えば、自然言語処理技術を使用した質問表現の分析に基づいて類似性が決定された場合、クラウドサーバ135は、他の質問表現を識別する。
【0166】
ブロック635において、クラウドサーバ135は、他の質問表現と知識ベースにおいて関連付けられた回答のセットのうちの回答を取得する。ブロック640において、ブロック635において取得された回答は、たとえ知識ベースが受信された質問の表現を含まなかったとしても、受信された質問に対する回答として特定のユーザデバイスに送信される。ブロック645において、クラウドサーバ135は、特定のユーザデバイスから指示を受信する。例えば、指示は、チャットボットによって提供された回答が特定の質問に応答したことを示すユーザデバイスに応答して受信されてもよい。
ブロック650において、クラウドサーバ135は、特定の質問の表現または特定の質問の異なる表現を含むように知識ベースを更新する。例えば、質問の表現を記憶することは、質問に含まれるキーワードをデータ構造に記憶することを含む。クラウドサーバ135はまた、特定の質問の同じまたは異なる表現を、特定のユーザデバイスに送信されたより多くの回答と関連付けることができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバ135は、特定のユーザデバイスに関連付けられた被験者レコードにアクセスする。クラウドサーバ135は、特定の質問に対する複数の回答を決定する。次いで、クラウドサーバ135は、回答のセットから回答を選択する。しかしながら、回答の選択は、特定のユーザデバイスに関連付けられた被験者レコードに含まれる1つ以上の値に少なくとも部分的に基づく。例えば、被験者レコードに含まれる値は、被験者が最近経験した症状を表すことができる。チャットボットは、被験者が最近経験した症状に応じた回答を選択するように構成されてもよい。場合によっては、クラウドサーバ135は、回答のセット内の各回答の順序を予測するように訓練された学習対ランク機械学習モデルにアクセスすることができる。学習対ランク機械学習モデルは、回答の訓練セットを使用して訓練されることができる。回答の訓練セットの各回答は、1つ以上の症状およびその症状の関連性スコアによってラベル付けされてもよい。関連性スコアは、1つ以上の症状の所与の症状に対する関連する回答の関連性を表すことができる。関連性スコアは、ユーザ定義されてもよく、または訓練回答における単語(例えば、症状についての単語)の頻度などの特定の要因に基づいて自動的に決定されてもよい。訓練の回答のセットは、チャットボットが生産環境において動作しているときに使用される回答のセットとは異なる場合がある。学習対ランク機械学習モデルは、学習対ランクモデルによって学習されたパターン(例えば、1つ以上の症状の各症状に対するラベル化された回答の訓練セットと関連する関連性スコアとの間のパターン)に基づいて、(被験者プロファイルから検出された)症状との関連性に関して(生産環境において使用される)回答のセットをどのように順序付けるかを学習することができる。チャットボットは、予測された回答の順序に基づいて、生産環境において使用される回答のセットから回答を選択することができる。場合によっては、回答のセットの各回答は、回答に関連付けられた1つ以上の症状を示すタグまたはコードに関連付けられてもよい。クラウドサーバ135は、被験者が最近経験した症状を表す値を、各回答に関連付けられたタグまたはコードと比較することができる。
【0168】
場合によっては、チャットボットは、血友病被験者が経験した傷害または出血事象に関する入力を受信するように構成される。入力は、(例えば)損傷または打傷の写真、損傷位置に関する表示、および/または出血の特性(例えば、出血の不完全または完全な持続時間)を含むことができる。チャットボットは、被験者が特定の処置を自己で実施すべきかどうか、被験者が緊急の医療処置を求めるべきかどうか、被験者が介護者との予約を取るべきかどうかなどに関する推奨を返すように構成されてもよい。場合によっては、チャットボットは、人工知能エンジンが(知識ベースを使用して)被験者が特定の処置を自己で実施し、緊急の医療処置を求め、および/または予約をスケジュールすべきであると予測した場合に、推奨を選択的に伝達し、チャットボットは伝達しない(反対の潜在的なアクションを識別する推奨ではない)。
【0169】
推奨は、知識ベースおよび/または知識ベースに基づくことができる。場合によっては、知識ベースは、入力に基づいて出力を生成するように構成される。例えば、知識ベースは、特定の被験者に関連するデータに基づいて更新および/または構成されることができる所与の集団(例えば、血友病を有する被験者、特定のタイプの血友病を有する被験者および/または血友病の特定の重症度を有する被験者)に対して定義された薬物動態モデルを含むことができる。更新および/または構成は、(例えば)予測(例えば、異常な出血事象が発生しない可能性が高いこと)が正確であったかどうかに基づいて実行されていてもよい。
【0170】
III.F.血友病処置の選択および監視を容易にするためのモジュール
図7は、血友病処置の選択および評価を容易にするための相互作用システム700を示している。相互作用システム700は、血友病と診断された被験者によって使用することができる、血友病と診断された被験者によって操作されることができる、および/または血友病と診断された被験者によって所有されることができる、ユーザデバイス705を含む。ユーザデバイス705は、(例えば)スマートフォン、スマートウェアラブルデバイス、モバイル電子デバイスなどを含むことができる。
【0171】
ユーザデバイス705は、1つ以上のシングルコア、マルチコア、デュアルコア、クワッドコア、ヘキサコアまたはオクタコアプロセッサを含むことができる1つ以上のプロセッサ710を含むことができる。1つ以上のプロセッサのそれぞれは、(例えば)50MHz、100MHz、500MHz、1GHz、1.5GHz、または2.5GHzを超えるクロック速度を有することができる。1つ以上のプロセッサ710は、ユーザデバイス705のシステムオンチップ(SoC)に含まれてもよい。1つ以上のプロセッサは、1つ以上の中央処理ユニットおよび/または1つ以上のグラフィカル処理ユニットを含むことができる。
【0172】
ユーザデバイス705は、1つ以上の揮発性メモリ(例えば、RAM)、内蔵ストレージチップ、および/または1つ以上の不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリなどのROM)を含むことができる1つ以上のストレージ715を含むことができる。1つ以上のストレージ715に記憶されるデータは、1つ以上のプロセッサ710のうちの少なくとも1つによって実行されると、一連の動作を実行させるコードを含むことができる。あるいは、1つ以上のストレージ715に記憶されるデータは、実行不可能な情報(例えば、実行可能コードによって取得および/または使用することができる)を含んでもよい。
【0173】
1つ以上のストレージ715は、オペレーティングシステム716、血友病アプリケーション717、1つ以上のモデル718および/または被験者データ719を記憶することができる。オペレーティングシステム716は、計算リソース(例えば、処理サイクルおよびメモリ使用量)の使用を管理し、および/または(例えば、アプリケーションの実行によって生成される)タスクをスケジュールすることができる。オペレーティングシステム716は、シングルタスキングのオペレーティングシステムまたはマルチタスキングのオペレーティングシステムとすることができる。オペレーティングシステム716は、(例えば)Windows、Linux(登録商標)、iOS、Android、macOS(登録商標)などのバージョンを含むことができる。
【0174】
血友病アプリ717は、ユーザデバイス705を使用して被験者の血友病処置の選択および/または評価に関連するデータの収集を容易にするため、および/またはユーザデバイス705を介して被験者に血友病関連情報を提示することを容易にするためのコードを含むことができる。収集されたデータは、(例えば)出血事象の発生、出血事象の1つ以上の症状、処置を受ける時間および/または投与の識別、活動レベル、運動関与(または計画された関与)、睡眠時間、体重、脈拍、心拍数および/または高度を識別することができる。
【0175】
血友病アプリ717は、被験者の現在または将来の因子レベル、因子活性および/または出血事象リスクを予測するために使用されるべき1つ以上のモデル718を識別することができる。各モデル718は、ユーザデバイス705および/または他の被験者と関連付けられた被験者に対応する訓練データを使用して訓練された1つ以上の機械学習モデルを含むことができる。例えば、所与のモデルを訓練するために使用される訓練データは、(特定のタイプまたは血友病を有する)他の被験者のセットのそれぞれについて、人口統計情報(例えば、体重および年齢)、特定の処置(例えば、因子濃縮物または組換え因子)が投与された時間に対する時間遅延のセットのそれぞれにおける所与の因子(例えば、aPTTに基づく1段階凝固アッセイまたは2段階発色活性アッセイを使用することによって測定される場合)の測定された活動レベル、および実施された特定の処置の投与を含むことができる。場合によっては、1つ以上のモデル718は、(例えば)1つ以上の時点での活性剤の濃度、1つ以上の時間での因子活性レベル、1つ以上の時間での凝固時間または凝固傾向、凝固傾向が閾値を下回るか閾値に到達する時間、および/または活性剤濃度が閾値を下回るか閾値に到達する時間を予測する機械学習モデルおよび/または薬物動態モデルを含む。
【0176】
特定の処置に関連する所与のモデルを訓練するために使用することができる訓練データの別の例は、(特定のタイプまたは血友病を有する)他の被験者のセットのそれぞれについて、人口統計情報(例えば、体重および年齢)、受けた処置の詳細(例えば、投与)、任意の出血事象が連続する処置間で発生したかどうかの指示、任意の出血事象が発生した直近の処置に対する時間、任意の出血事象を処置するときに測定された処置関連レベル(例えば、因子活性レベル、凝固時間、aPTT時間など)、任意の出血事象の任意のトリガ状況などを含むことができる。
【0177】
モデル718は、(例えば)AIモデルおよび/または機械学習モデルを含むことができる。AIおよび/または機械学習モデルは、(例えば)一定期間または特定の時間にわたって治療剤の予測レベルを生成するように、治療剤(例えば、因子濃縮物、組換え因子または非因子療法)の動力学をモデル化するために速度定数(例えば、吸収、分布、代謝および/または排泄)を使用する薬物動態モデルを含むことができる。薬物動態学は、区画モデル、非区画モデル、または生理学的モデルを含むことができる。
【0178】
区画モデルでは、動的変数が各区画に対して定義されることができる。各区画は、動力学的に均質であると仮定される組織および/または器官に対応する。区画モデルは、さらに一般に、治療薬が区画間を移動することが一次速度論を使用して表されることができると仮定する。動的変数(例えば、速度定数)が識別されると、(例えば)非線形回帰分析を使用して薬物動態学的出力が生成されることができる。場合によっては、区画モデルは、血漿を表す中央区画および1つ以上の周辺区画を含む。速度定数は、中心コンポーネントと各周辺コンポーネントとの間の血漿の流れを表すことができる。モデルの結果が解釈されることができ、および/またはモデルは、系による活性剤の吸収、分布の体積(ある時点で存在すると予測される活性剤の量を保持するのに必要な血漿体積)、および/または活性剤のクリアランスを示すように構成されることができる。治療剤の半減期がさらに計算されることができる。
【0179】
非区画モデルは、推定された生理学的または解剖学的特性に対応する変数を使用しない。むしろ、非区画モデルは、固定方程式(例えば、代数方程式)を使用する。したがって、非区画モデルは、一般に、区画モデルと比較して、より高速で信頼性の高い結果を生成する。しかしながら、非区画モデルは、典型的には、被験者および状況にわたる変動性を正確に予測する点で区画モデルよりも劣る。非区画モデルパラメータは、一般に、時系列薬物濃度データに基づいて決定される。
【0180】
上述したように、区画モデル内の各区画は、生理学的被験者(例えば、器官または組織)に対応する必要はない。一方、生理学的モデルは、解剖学的な意味を取り入れ、身体の様々な部分を通る血流(および治療薬の流れ)、様々な身体部分内の治療薬の吸収などをモデル化する。いくつかの組織は、それらが急速に平衡化している場合(例えば、肺、肝臓、脳および腎臓)、一緒にグループ化されることができ、モデルは、治療剤の吸光度が低いと仮定されるか、または低いことが知られている場合、特定のヒト特徴(例えば、骨)を除外することができる。生理学的モデルは、観察された生理学に対応する経験的データを使用してパラメータ化される。生理学的モデルは、個々の器官または組織の予測サイズ、灌流速度、および組織-血漿分配係数を使用して、様々な器官または組織における治療薬の濃度を推定することができる。
【0181】
これらのタイプの薬物動態モデルのいずれかに関して、パラメータ(例えば、速度定数、動態、組織体積などに対応する)は、被験者の特性(例えば、年齢、体重、性別、血友病のタイプ、併存症など)に依存することができる。場合によっては、関連する被験者の特徴は、かなり実用的且つ正確に決定されることができる。場合によっては、被験者の特徴の少なくとも一部は利用できない。モデルは、欠けている被験者情報を推測することができ、および/またはフレームワーク(例えば、ベイジアンフレームワーク)を使用して、集団レベルのデータに基づいてパラメータ依存性を推定することができる。場合によっては、マルコフ連鎖モンテカルロシミュレーションが使用されて、集団パラメータおよび被験者固有パラメータの事後分布を推定することができ、共変量モデルは、測定可能な被験者特性(例えば、年齢、身長、疾患のタイプ)によって説明可能な系統的変動を識別することができる。
【0182】
場合によっては、修正された敵対的生成ネットワーク(GAN)が使用されて、関連する被験者データを予測することができる。具体的には、1つ以上の変数(例えば、速度定数、動力学など)にわたる集団分布を識別することができる。生成器ネットワークは、1つ以上の次元に沿った分布の変換を識別することができる。変換は、被験者固有の特性(例えば、体重、年齢)および/またはデータ(例えば、1つ以上の被験者関連速度定数、動的変数など)に少なくとも部分的に基づいて定義されることができる。サンプリング技術(例えば、モンテカルロ法)は、変換された分布からサンプリングすることができ、判別器ネットワークは、サンプルが集団または被験者に対応するかどうかを予測することができる。予測の精度は、閾値精度が得られるまで、または閾値回数の反復が行われるまで、生成器ネットワークにフィードバックされることができる。次いで、変換が使用されて、個々の被験者に対応する薬物動態を表す被験者固有メトリック(および/またはその一次元もしくは多次元分布)を推定することができる。このアプローチは、生物学的活性をより完全に表すことができる被験者固有分布を生成するために、限られたおよび/または少数の被験者固有変数値を使用することを容易にすることができる。サンプリング技術(例えば、モンテカルロ法)は、分布からサンプリングして、別のモデル(例えば、薬物動態モデルまたはニューラルネットワーク)を訓練するために使用するデータを生成することができる。
【0183】
場合によっては、ニューラルネットワークを含むモデル718が使用される。ニューラルネットワークは、フィードフォワードニューラルネットワークを含むことができる。フィードフォワードニューラルネットワークは、(例えば)人口統計情報、検査室データ、診断データ、生理学的データ、および/または他のメトリックを含む入力データセットを受信することができる。フィードフォワードニューラルネットワークは、1つ以上の生理学的メトリック(例えば、半減期、時定数、スケーリング係数)を学習するために集団データを使用して訓練されていてもよい。
【0184】
場合によっては、フィードフォワードネットワークは、処置が被験者にいつ実施されたか(および、例えば、投与された投与量)を示す入力をさらに受信し、フィードフォワードニューラルネットワークは、凝固傾向(例えば、アッセイにおける凝固時間に対応する)が特定の閾値を下回るかまたはそれに到達する時間、予測される現在の凝固傾向、有効成分の予測される現在のレベルもしくは活性、および/または有効成分のレベルもしくは活性が特定の閾値を下回るかまたはそれに到達する予測される時間の予測を出力することができる。そのような場合、フィードフォワードニューラルネットワークは、特定のタイプの処置についての予測を生成するように訓練されていてもよく、または追加の入力が処置のタイプを識別してもよい。
【0185】
フィードフォワードネットワークは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの隠れ層を含むことができる。各隠れ層は、(例えば)少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも25個、または少なくとも30個のノードを含むことができる。
【0186】
1つ以上のストレージ715内で、記憶されたモデルデータは、モデルアーキテクチャ、予め定義された未学習のハイパーパラメータおよび/または学習されたパラメータを含むことができる。記憶されたモデルデータは、被験者データ719(ユーザデバイス705のユーザとすることができる特定の被験者に対応するおよび/または特定の被験者を特徴付けるデータ)の一部または全部を含むかまたはそれに基づいて決定される変数(例えば、機械学習モデルによって使用される1つ以上の未学習ハイパーパラメータ、または薬物動態モデルによって使用される1つ以上の未学習パラメータ)を含むことができる。血友病アプリ717は、被験者データ719の一部または全部に基づいてモデルに供給される入力を定義するために、モデルのアーキテクチャおよびデータルーティングルーチンを構成することができる。場合によっては、血友病アプリ717は、被験者データ719の一部または全部を使用してモデルを選択および/または訓練する。
【0187】
被験者データ719は、人口統計データ(例えば、年齢、性別、人種および/または居住場所の識別)、(例えば、血友病のタイプの診断、血友病の重症度の診断、1つ以上の他の疾患の診断、および/または1つ以上の以前の出血症状の特徴付けを識別する)医学的履歴データ、(例えば、現在の血友病処置のタイプ、処置実施の日付および/または時間、処置実施の投与、以前の血友病処置のタイプおよび日付、および/または現在または以前の血友病処置で経験した任意のタイプの有害事象を識別する)処置履歴データ、(例えば、関節損傷および/または運動障害を識別する)症状データおよび/または(例えば、1つ以上の突然変異、例えば1つ以上のX染色体突然変異および/または1つ以上の染色体-4突然変異を識別する)遺伝データを含むことができる。場合によっては、遺伝子データは、各血友病関連変異の重症度分類(例えば、国際血栓止血学会の基準に基づいて分類される)および/または特定の重症度レベル(例えば、重度)を有すると特徴付けられる被験者に関連するいくつかの変異を含む。被験者データ719は、検査室結果(例えば、血液試験、アッセイ、混合試験または本書で識別される他の試験の結果)またはその処理されたバージョンをさらに含むことができる。
【0188】
被験者データ719は、1つ以上の予定された将来の処置の日付および/または時間をさらに含んでいてもよい。場合によっては、血友病アプリ717は、(例えば、特定の仮定的状況、例えば、出血またはアッセイに関連する状況が与えられた場合)予測因子レベル、有効成分濃度、凝固傾向、または凝固時間などの、予定処置時期に対応する予測をモデルが生成するように処理が構成されてもよい。場合によっては、血友病アプリ717は、(例えば、特定の仮定的状況、例えば、出血またはアッセイに関連する状況が与えられた場合)予測された因子活性レベル、有効成分の濃度、凝固傾向または凝固時間が閾値を下回る時間を予測し、予測された閾値交差時間が予定された処置時間の前であるか後であるかを決定するように構成されてもよい。場合によっては、予測時間は、(例えば、より低い要因レベル閾値を下回る要因レベルを有する)閾値交差の確率が確率閾値(例えば、35%、50%、75%など)を超える時間に対応する。
【0189】
ユーザデバイス705は、ユーザ入力を受信し、および/または出力を提示するように構成された1つ以上のユーザインターフェースコンポーネント720を含むことができる。場合によっては、被験者データ719の少なくとも一部は、ユーザインターフェースコンポーネント720を介して入力として受信されたデータおよび/またはユーザインターフェースコンポーネント720を介して受信された入力に基づいて生成されたデータを含む。例えば、ユーザ入力は、時間および損傷のタイプ(例えば、掻き取り、切断など)、ならびに結果として正常であると被験者が認識したか、または異常であるか(例えば、凝固時間に関して)を識別することができる。別の例として、ユーザ入力は、血友病関連症状(例えば、関節痛)、症状の重症度、症状のおおよその発症時間、および/またはユーザが症状の発症前に潜在的に誘発する事象を思い出すかどうかを識別することができる。場合によっては、血友病アプリ717の動作の少なくとも一部(例えば、提示されるインターフェースおよび/またはデータの識別、他のデバイスへのデータの送信、警報アラートのための1つ以上の閾値の定義など)は、ユーザインターフェースコンポーネントを介して1つ以上の特定のタイプの入力を受信すると実行される。
【0190】
場合によっては、血友病アプリ717は、ユーザインターフェースコンポーネント720の出力コンポーネントを介して提示されるべき1つ以上の出力をトリガする。例えば、予測された要因レベルが視覚的に提示されてもよく、警告条件(例えば、予測値が次の予定処置の前に閾値を下回ること、または予測値の変化率が変化閾値を超えることを示すこと)の満足の通知が可聴または触覚刺激を介して提示されてもよい。
【0191】
ユーザインターフェースコンポーネント720の1つ以上の入力コンポーネントは、(例えば)タッチスクリーン、キーボード、トラックパッド、マウスおよび/またはマイクロフォンを含むことができる。ユーザインターフェースコンポーネント720の1つ以上の出力コンポーネントは、(例えば)ディスプレイスクリーン、スピーカおよび/または触覚出力を含むことができる。
【0192】
ユーザデバイス705は、1つ以上のセンサを含むことができる。センサは、1つ以上の動きセンサ725および/または1つ以上の生理学的センサ730を含んでもよい。動きセンサ725は、(例えば)加速度計および/またはジャイロスコープを含むことができる。ユーザデバイス705は、加速度計データおよび/またはジャイロスコープデータを変換して、最近の期間にわたってユーザが取った歩数および/またはユーザが関与している運動活動(例えば、走っている、歩いている、立っている/座っている)を予測するように構成された1つ以上のアプリケーション(例えば、血友病アプリ717および/または別のアプリ)を含むことができる。生理学的センサ730は、光(例えば、LEDを介して、および/または既知の周波数プロファイルを有する)を出力し、光学センサ(例えば、1つ以上の周波数帯域における強度を検出するために)を介して収集されたデータを監視することによって動作することができる心拍数またはパルスモニタを含むことができる。特定の周波数(例えば、緑色光)の吸収は、心拍数または脈拍が光センサデータを使用して(例えば、ユーザデバイス705上のアプリケーションを介して、および/または血友病アプリ717によって)計算されることができるように、心拍サイクル全体で生じる僅かな血液量の差に基づいて変化することができる。場合によっては、心拍数または脈拍は、最近のユーザ活動の予測をさらに知らせることができる。
【0193】
他のセンサは、(例えば)GPS信号を受信するGPS受信機を含むことができる。ユーザデバイス705上のアプリケーション(例えば、血友病アプリ717または別のアプリ)は、GPS信号を使用してユーザの位置(例えば、GPS座標、住所、都市、州、国など)を推測することができる。他のセンサは、さらにまたは代替的に、気圧計を含んでもよい。気圧計を介して収集された測定値および/またはGPS受信機によって受信された信号が使用されて、ユーザの高度を推測することができる。
【0194】
場合によっては、血友病アプリ717は、血友病関連情報を伝達するために、(例えば、1つ以上の使用インターフェースコンポーネント720を介して)入力データおよび/または1つ以上のセンサ730からの入力データを受信および処理するように構成されてもよい。血友病関連情報は、(例えば)出血事象および/または処置反応の識別および/または特徴付けを含むことができる。血友病関連情報は、(例えば)傷、出血、発疹、または他の反応の写真(例えば、ユーザデバイス705のカメラを使用して収集される)を含むことができる。血友病関連情報は、さらにまたは代替的に、出血事象または損傷を特徴付けるテキスト情報(例えば、タッチスクリーン、カーソル、キーボード、またはスピーカを介して受信され、オーディオコマンドを受信する)を含んでもよい。血友病アプリ717は、血友病関連情報を1つ以上の通信に変換してもよい。
【0195】
通信は、ケア提供者システムおよび/または中央サーバに送信されることができ、例えば、通信は、傷害および/または異常な出血事象(例えば、出血事象の任意のトリガの識別、損傷または出血事象を経験した身体の領域の写真、傷が存在するかどうかに関する識別、および/または出血の持続時間に関する識別を含むことができる)を報告および/または特徴付けることができる。被験者デバイス705において実行される血友病アプリケーション717は、入力を処理し(例えば、画像の解像度またはサイズを所定の解像度または所定のサイズに調整すること;および/または様々なテキスト入力に基づいてキー値対を生成すること)、処理されたデータを介護者のデバイスに送信してもよい。提供者システム(例えば、提供者システム745)において実行される同じまたは異なるアプリケーションは、通信を処理して、(例えば)警告を提示するか、被験者レコードの更新を開始するか、および/または(例えば、血友病関連情報の少なくとも一部を識別する)提示の生成および表示を容易にするかを決定することができる。
【0196】
場合によっては、血友病アプリ717は、少なくとも一部のセンサデータにアクセスするおよび/またはセンサデータを処理することができる。血友病アプリ717は、生および/または処理されたセンサデータを被験者データ719の一部として記憶することができる。例えば、血友病アプリ717は、加速度計および/または心拍数データを使用して、ユーザが個々の日の様々な部分について最小活動(例えば、主に座っている)、低強度活動または高強度活動のいずれに関与していたかを予測し、そのような推測を被験者データ719として記憶することができる。別の例として、血友病アプリ717は、心拍数データを使用して、ユーザがどの時間に眠っていたかを1日ごとに予測し、睡眠時間予測を記憶することができる。さらに別の例として、血友病アプリ717は、GPSおよび/または気圧計データを使用してユーザの位置および/または高度を推測することができる。
【0197】
場合によっては、血友病アプリ717は、センサデータおよび他の被験者データを処理して、センサデータ(またはその処理バージョン)と血友病関連の発生との間の1つ以上の関係を予測する。処理は、多次元分析を実行することを含んでもよく、または、もしあれば、運動強度またはユーザの運動が止血にどのような影響を及ぼすか(例えば、出血事象が正常であったか異常であったか、および/または自発的な出血が生じたかによって示されるように)を予測するために機械学習モデルを使用してもよい。例えば、高強度の運動に特徴的な動きおよび/または運動は、出血事象の確率を一時的に増加させると決定することができる(ただし、そのような増加の大きさおよび/または持続時間は被験者に固有であり得る)。評価は、最後の処置からの時間および/または最近の予測された有効成分レベル、凝固傾向などをさらに説明することができる。例えば、評価は、運動強度および/またはユーザの運動が薬物動態モデルの1つ以上の時定数にどのように一時的に影響するかを予測することができる。別の例として、評価は、薬物動態モデルの出力が止血の一過性変化に対してどのように後処理されるか(例えば、一時的に後処理される)を予測することができる。後処理は、(例えば)結果(例えば、異常な出血のリスク、予測される凝固時間、次の処置を受けるべき推奨される時間間隔など)に値を乗算すること、結果に量を加算または減算すること、および/または非線形関数を使用して結果を変換することを含むことができる。場合によっては、後処理の効果は、後処理が実行される予測に限定される。場合によっては、モデルは、反復アプローチを実装し、それによって連続する時点の処理は前の時点からの値に依存する。したがって、後処理は、持続する効果を有することができる。
【0198】
場合によっては、血友病アプリ717は、センサデータを処理して、被験者の血友病関連予測を生成するために使用されるモデルを選択する。異なるモデル選択は、異なるデータを使用して訓練され、異なる損失関数および/または目的関数を使用して訓練され、異なる固定ハイパーパラメータを有し、および/または異なるアーキテクチャを有するモデルを選択することを含むことができる。例えば、血友病アプリ717が被験者に対して選択するデフォルトモデルは、活性処置剤のレベルを正確に予測することを優先するモデルを含むことができる。一方、血友病アプリ717は、ユーザが高強度の活動を行っていると推測した場合、異常な出血事象の発生を正確に予測することを優先するモデルに遷移してもよい。モデル間の遷移は、モデル間の動的変数対応関係を定義することによって容易にされることができる。例えば、複数のモデルのそれぞれは、予測された有効成分レベル(例えば、前の時間ステップの処理によって生成されていてもよい)を受信するように構成されることができる。他の入力は、客観的および/または固定的とすることができる(例えば、被験者の身体的属性および/または人口統計属性および/またはセンサ変数に基づくもしくはセンサ変数を含む変数)。したがって、あるモデルから別のモデルに切り替えるとき、他のモデルの入力変数が容易に利用されることができる。場合によっては、後処理は、2つのモデルによって生成された予測をさらに平滑化および/またはフィルタリングするために実装される。
【0199】
ユーザデバイス705は、1つ以上の他のデバイスからの通信の受信および/または1つ以上の他のデバイスへの通信の送信を容易にすることができる1つ以上の通信コンポーネント735をさらに含む。通信コンポーネント735は、有線または無線接続を介して信号を送信するように構成されてもよい。通信コンポーネント735は、(例えば)受信機、送信機、および/またはトランシーバを含むことができる。通信コンポーネント735は、(例えば、無線周波数信号を送信または受信するための)1つ以上のアンテナを含むことができる。
【0200】
場合によっては、ユーザデバイス705は、別のユーザデバイスとペアリングされてもよいことが理解されよう。次いで、ユーザデバイス705およびペアリングされたユーザデバイスは、図7に示すコンポーネントを集合的に含むことができ、血友病アプリ717の動作を容易にするために双方のデバイスとの相互作用を容易にすることができる。例えば、第1のユーザデバイスは、図示されたコンポーネントの全てを含むウェアラブルデバイスを含んでもよく、第2のユーザデバイスは、生理学的センサ730を除く図示されたコンポーネントの全てを含むスマートフォンを含んでもよい。2つのデバイスは、第2のユーザデバイスが生理学的測定値に対応するデータを受信するように、ネットワーク(例えば、BluetoothまたはWiFi)を介して通信することができる。第1のデバイス上で動作する血友病アプリ717は、関連するデータ収集、(例えば、光信号を心拍数に変換するための)初期処理および処理されたセンサデータの送信を調整することができ、第2のデバイス上で作動する血友病アプリ717は、前処理されたセンサデータおよび他の関連する被験者データ719を処理するために、1つ以上のモデルの選択、構成および実行を調整することができる。
【0201】
相互作用システム700は、1つ以上の検査室システム740、1つ以上のケア提供者システム745、および中央人工知能システム750をさらに含むことができる。ユーザデバイス705、検査室システム740、ケア提供者システム745、および/または中央人工知能システム750のうちの2つ以上は、1つ以上のネットワーク(例えば、インターネット)を介して通信することができる。
【0202】
検査室システム740は、1つ以上の医療検査室および/または検査施設に関連付けられることができる。検査室システム740は、(例えば)1つ以上の検査室試験結果を生成、評価、アクセスおよび/または通信するように構成されたシステムを含むことができる。例えば、検査室システム740は、被験者からサンプル(例えば、血液サンプル、尿サンプルまたは唾液サンプル)を受け取り、そのサンプルを処理して結果を生成するように構成されることができる。サンプルを処理することは、(例えば)本書に開示される技術(例えば、セクションIIに開示されている処理)を実行すること、アッセイを実行すること、および/または試験を実行することを含むことができる。処理は、(例えば)診断段階中に、疾患管理/監視の一部として、出血事象への応答に応答して、処置実施前に、および/または処置実施に対して1つ以上の定義された時間に実行されることができる。1つ以上の検査室システムにおいておよび/または1つ以上の検査室システムによって生成された1つ以上の結果は、凝固時間、因子活性レベル、処置濃度、混合試験結果、血小板数などの、(例えば、セクションIIにおいて)本書に開示されているタイプの結果、測定基準または変数を含むことができる。検査室システム740は、1つ以上の結果、実行された評価の1つ以上の識別、および/または1つ以上の被験者識別(例えば、氏名、社会保障番号など)をユーザデバイス705および/または1つ以上のケア提供者システム745に送信することができる。
【0203】
ケア提供者システム745は、(例えば)医師、医院、看護師、緊急治療、病院、外科医、または他の医療提供者に関連付けられることができる。提供者システム745は、被験者の症状、血友病危険因子、診断(例えば、血友病の特定のタイプおよび/または重症度)、予後、処方された予防的処置、処方された症状発現処置などの識別に対応することができるケア提供者によって行われた評価に対応する入力を(例えば、ユーザインターフェースを介して)受信することができる。処置の識別は、処置のタイプ、処置の投与、処置のスケジュール(例えば、負荷投与量および維持投与量の処置間隔および/またはスケジュール)、および/または処置に付随して実行される監視を識別することができる。
【0204】
様々な事例では、被験者のケア提供者および/または被験者によって使用されるユーザデバイス705に関連付けられたケア提供者システム745は、中央人工知能システム750に被験者の登録および被験者のための1つ以上のデータレコードの生成を開始させる入力を提供する。データレコードは、(例えば)以下を含むことができる:
● 被験者に関する情報(例えば、人口統計情報、住居情報、教育レベル、結婚歴、職業など);
● 血友病診断情報(例えば、血友病のタイプおよび/または重症度、診断が疑われるか確認されるか、診断日);
● 1つ以上の併存症(例えば、喘息、自己免疫疾患、心筋症、心血管疾患、脳血管疾患、うっ血性心不全、COPD、冠動脈疾患、深部静脈血栓症、糖尿病、HIV、血栓性微小血管障害の病歴、血栓症事象の病歴、頭蓋内出血の病歴、肝炎、高血圧、心筋梗塞、肺塞栓症の診断);
●(例えば、手術のタイプ、手術の日付、および異常な出血が発生したかどうかを識別する)1回以上の以前の手術;
● 検査室および/または医療検査情報(例えば、1つ以上の因子レベル、阻害剤力価レベル、検出されたDNA変異体、好塩基球数、好酸球数、ヘモグロビン数、INR、リンパ球数、単球数、好中球数、NK細胞数、血小板数、プロトロンビン時間、部分トロンボプラスチン時間、赤血球数、T細胞数、白血球数、総タンパク質数、アルブミン数、SGOT/AST数、SGPT/ALT数、ガンマ-GT数、ビルムビン数、アルカリホスファターゼ数、カルシウム数、尿素数、尿酸数、クレアチン数、アミラーゼ数、ビタミンDレベル、抗JCウイルス、抗HCV、抗HIV、抗水痘、HIV抗原、尿JCウイルスDNA);
● イメージングデータ(例えば、1つ以上のCT、MRI、PET、またはX線写真からのスキャンまたは要約を含む)
●(例えば、各オンデマンド血友病処置、各予防的血友病処置、各手術関連血友病処置、各選択的出血予防処置、各免疫寛容誘導処置、各非血友病処置、各処置の日付、各処置の実施経路、各処置の理由、各処置に関連する任意の有害事象を識別する)処置情報;
●(例えば、各有害状態の発生に関連する日付、有害状態のタイプ、有害状態に応答して実施される処置、有害状態の処置に対応するアウトカムを識別する)副次的条件情報;
● 連結条件情報(例えば、1つ以上の関節のそれぞれにおける疼痛および可動性);
● 健康スコア情報(例えば、血友病共同健康スコア、生活の質スコア);
●(例えば、支援されたモビリティデバイスが使用されるかどうかを示す、どの支援されたモビリティデバイスが使用されるかを示す、支援されたモビリティデバイスがいつ使用され始めたかを示す)障害情報、および/または
●(例えば、各出血の日付、一度にまたは合計して被験者が経験した出血の数、各出血の位置、各出血の重症度、各出血の任意の原因、各出血が自発的であったか、または損傷に反応したかどうか、出血に関連して一度に実行された阻害剤試験の結果、被験者が出血に応じて入院したかどうか、および/またはどのくらいの期間にわたって、各出血に対して実施された任意の処置、ならびに各出血に起因する任意の持続的な障害または医学的問題を識別する)出血事象情報。
【0205】
データレコードは、1つ以上のアクション(例えば、限られたデータ共有および/または限られたデータ処理)のうちのどれに被験者が同意したかをさらに示すことができる。例えば、提供者は、提供者システム745を使用して、被験者が同意した特定のタイプのデータ処理を識別する同意フォーム(例えば、被験者によって署名されている)をアップロードすることができる。データレコードは、1つ以上のタイプのデータ処理を使用して(例えば、機械学習モデルを使用して)被験者について生成された予測をさらに記憶することができる。異なるエンティティは、被験者レコードの少なくとも一部にアクセスすることを許可されることができるが、どの部分がアクセス可能にされるかに関して相違があり得る。例えば、被験者のケア提供者および遠隔コンピューティングシステムの1人以上のオペレータは、完全なアクセスを有することができ、一方、検査室および被験者は、選択フィールドの情報にアクセスすることができる。
【0206】
1つ以上の検査室システムのそれぞれおよび/または1つ以上の提供者システムのそれぞれは、(例えば)1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリ、1つ以上の入力/出力コンポーネント、および/または1つ以上の通信コンポーネントを含むコンピューティングシステムを含むことができる。検査室システム740は、1つ以上のサンプル評価関連測定基準を自動的に決定する検査室装置をさらに含んでもよい。
【0207】
中央人工知能システム750は、血友病アプリ717の動作を支援する処理を行うように構成された遠隔システム(例えば、クラウドシステム)を含むことができる。場合によっては、中央人工知能システム750を制御および/または管理するエンティティはまた、血友病アプリ717を制御、管理および/または所有する。
【0208】
場合によっては、中央人工知能システム750は、クラウドコンピューティングシステムを含む。中央人工知能システム750は、1つ以上のサーバおよび/または1つ以上の仮想サーバを含むことができる。
【0209】
中央人工知能システム750は、1つ以上の他のデバイス(例えば、ユーザデバイス705、検査室システム740および/または提供者システム745)との無線通信(例えば、インターネットを介して)を可能にすることを含むことができる、1つ以上の通信コンポーネント755を含むことができる。通信コンポーネント755は、1つ以上の送信機、1つ以上の受信機、および/または1つ以上のトランシーバを含むことができる。通信コンポーネント755は、1つ以上のアンテナを含んでもよい。
【0210】
中央人工知能システム750は、1つ以上のシングルコア、マルチコア、デュアルコア、クワッドコア、ヘキサコア、またはオクタコアプロセッサを含むことができる1つ以上のプロセッサ760を含むことができる。1つ以上のプロセッサ760のそれぞれは、(例えば)50MHz、100MHz、500MHz、1GHz、1.5GHz、または2.5GHzを超えるクロック速度を有することができる。1つ以上のプロセッサ760は、1つ以上の中央処理ユニットおよび/または1つ以上のグラフィカル処理ユニットを含むことができる。
【0211】
中央人工知能システム750は、1つ以上の揮発性メモリ(例えば、RAM)、埋め込みストレージチップ、および/または1つ以上の不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリなどのROM)を含むことができる、1つ以上のデータストレージ765を含むことができる。1つ以上のストレージ765に記憶されるデータは、1つ以上のプロセッサ760のうちの少なくとも1つによって実行されると、一連の動作を実行させるコードを含むことができる。あるいは、1つ以上のストレージ765に記憶されるデータは、実行不可能な情報(例えば、実行可能コードによって取得および/または使用することができる)を含んでもよい。
【0212】
ストレージ765は、集団レベル訓練コード766、1つ以上の人工知能コード767、1つ以上の損失関数768、被験者固有調整コード769、1つ以上の前処理関数769、1つ以上の後処理関数770、モデル使用データ772、および/または発現データ773を記憶することができる。中央人工知能システム750は、ユーザデバイス705と比較して、より広範な血友病関連データ(複数の被験者に対応する)および/またはより強力なプロセッサにアクセスすることができる。したがって、中央人工知能システム750が、集団レベルモデルの訓練を支配的または完全に制御し、および/または被験者固有モデルを定義する部分的または完全に制御することが有利であり得る。
【0213】
集団レベルの訓練コード766は、血友病関連予測を生成する1つ以上の集団レベルの人工知能(AI)モデルの訓練および/または定義を制御することができる。各集団レベルの人工知能モデルは、複数の被験者に対応する訓練データに基づいて生成されることができ、複数の被験者の潜在的な使用のために生成されることができる。場合によっては、図2に示すプロセス200からのブロック210~260の一部または全部、および/または図5に示すプロセス500の一部または全部にしたがって、レコードのセットを使用して、集団レベルの人工知能モデルが訓練されることができる。
【0214】
集団レベルAIモデルは、薬物動態モデル、機械学習モデル、本書で識別される任意のタイプのモデル、または他のモデルを含むことができる。例えば、集団レベルの人工知能モデルは、区画ベースのモデル、非区画モデル、生理学的モデル、修正敵対的生成ネットワーク、ニューラルネットワーク、ベイジアンフレームワークを使用する機械学習モデル、マルコフ連鎖モンテカルロシミュレーションを使用するモデルなどを含むことができる。
【0215】
集団レベルのAIモデルは、モデルを訓練するために使用されるデータの属性に対応することができる特定のタイプの使用のために定義されることができる。例えば、所与の集団レベルAIモデルは、特定のタイプの血友病(例えば、血友病A、血友病Bまたは血友病C)、特定の重症度(例えば、軽度、中等度または重度)、特定の現在の処置(例えば、特定の因子濃縮物、特定の組換え因子、エミシズマブ、予防的処置なしなど)、特定の被験者の可動性(例えば、補助なしで完全に歩行可能、規定の閾値までの距離で補助なしで歩行可能、片側補助なしで歩行可能、両側補助または歩行者で歩行可能、車椅子補助)、特定のタイプの遺伝子変異などに対応することができる。
【0216】
集団レベルの訓練コード766は、被験者が訓練目的でデータの使用を許可したデータ、および/またはAIモデルの制約が満たされるデータを識別することによって、(1つ以上のAIモデル767の)特定のAIモデルを訓練するために使用する訓練データを識別することができる。例えば、エミシズマブによって処置されている血友病A被験者に対応する集団レベルAIモデルの場合、集団レベル訓練コード766は、血友病A診断データ、エミシズマブ処置データ、およびモデル訓練にデータを使用する許可の表示に関連する被験者を識別することができる。
【0217】
場合によっては、訓練データは、AIモデルが使用されると予測される予測された被験者グループを表すようにさらに選択されてもよい。例えば、血友病AまたはBと診断される人の大部分(例えば、約90%)は男性である。したがって、訓練データセットは、AIモデル制約の所与のセットに対して生じるのと同様の男性:女性比に対応するように定義されることができる。一方、血友病Cは、男性と女性の罹患数がかなり均等である。したがって、訓練データセットは、男性および女性を均等に表すように定義されることができる。この例は、単一の属性に関するものであるが、属性の様々な組み合わせの普及をさらに考慮することができる。場合によっては、分類器が使用されて、訓練セットにおいて表された被験者の属性が、代表的な潜在的ユーザ被験者セットにおいて表された属性と区別されることができるかどうかを決定することができる。
【0218】
場合によっては、異なる被験者グループに対して異なるAIモデルが定義される。例えば、血友病の特定のタイプおよび重症度ならびに特定の処置に関連する複数のAIモデルが生成されることができる。複数のAIモデルのそれぞれは、1つ以上の血友病非依存性属性(例えば、特定の地理的地域、特定の年齢層、特定の性別)および/または1つ以上の血友病関連被験者属性(例えば、阻害剤が開発され、血友病関連の関節損傷を有する遺伝子変異)に対応する被験者に関連することができる。被験者グループは、(例えば)成分分析(例えば、主成分分析または独立成分分析)、相互情報分析、クラスタリング分析などを実行することによって識別されることができる。例えば、成分分析は、被験者属性のセットのそれぞれが血友病関連メトリック(例えば、出血事象が発生するかどうか、因子レベルまたは有効成分濃度に関する時定数など)の変動性を説明する程度を示すことができる。最も変動性の高い2つの属性のそれぞれに関して、合計4つのグループが定義されるように、(例えば、閾値またはバイナリ基準に基づいて)2つの属性固有のサブグループが定義されることができる。別の例として、血友病関連メトリックのエントロピーを最も実質的に減少させる被験者属性を識別するために相互情報分析が実行されることができ、相互情報が閾値を超えた各属性について、属性が使用されて被験者グループを定義することができる。さらに別の例として、クラスタリング分析が使用されて、訓練されるターゲットAIモデルの出力に対応する血友病関連メトリックとは無関係に被験者の表現をクラスタリングすることができ、各クラスタに対して異なるAIモデルが生成されることができる。さらに別の例として、クラスタリング分析を使用して、1つ以上の血友病関連メトリックをクラスタリングすることができ、クラスタと別個に関連付けられた被験者属性が続いて識別され、被験者グループを定義するために使用することができる。
【0219】
訓練データは、静的もしくは決定論的データ(例えば、被験者の年齢、人種、血友病診断の年齢など)、または特定の時点もしくは特定の期間(例えば、最初の血友病診断のタイプ、所与の日の時点での血友病の重症度、所与の日の時点での関節損傷の程度、事前に識別された時間枠で始まる所与の処置の実施など)に対応するデータを含むことができる。そのような静的、決定論的、および/またはスナップショットデータは、入力データ変数に対応することができる。訓練データは、1つ以上の後続の時点および/または期間(例えば、所与の処置を開始した後2年の期間内の出血事象の数、処置開始後3年の時点での関節損傷の程度、所与の期間内に発生した有害事象血栓の数、処置実施に対する設定時間でのインビボ有効成分濃度などを示す)に対応するデータをさらに含むことができる。この追加のデータは、訓練中の真のラベルおよび/または結果として使用することができる。
【0220】
場合によっては、訓練データは、フィッティング技術を使用して様々な変数および/またはパラメータを定義するために使用される。例えば、有効成分濃度の減衰の時定数は、所与のアルゴリズム(例えば、指数関数的減衰、回帰など)を適合させることによって計算されることができる。場合によっては、訓練データは、1つ以上の損失関数768にしたがって動作する学習技術を使用して、様々な変数および/またはパラメータを定義するために使用される。損失関数は、予測のどの態様が最適化されるべきか、および対応する真のラベルに対してどのように最適化されるべきかを識別することができる。例えば、所与の入力データセットについて、AIモデルは、所与の有効成分の濃度がレベルcであり、第VIII因子の活性レベルがaであり、出血事象が発生する確率がpであると推定することができる。損失関数は、訓練に関して、重要な変数がpであり、出血事象の予測確率が低かったときに出血事象が発生した場合に大きなペナルティが課されることを示すことができる。損失関数は、線形、非線形、1つの予測値に依存する、複数の予測値に依存するなどとすることができる。損失関数は、AIモデルが、(例えば)所与の期間内に出血事象が発生するかどうか(例えば、処置実施と比較して所与の時間に起こる)、出血事象の重症度(例えば、処置実施と比較して所与の時間に起こる)、出血事象が発生したとき(例えば、処置実施と比較して)、被験者が処置を継続しているかどうか、有害事象の発生、血液凝固有害事象の発生、所与の時点での有効成分の濃度(例えば、処置実施と比較して)、所与の時点での因子の活性レベル(例えば、処置実施と比較して)、所与の時点での凝固時間(例えば、処置実施と比較して)、所与の時点でのアッセイ結果(例えば、処置実施と比較して)、被験者の可動性、被験者の可動性の変化(例えば、所与の期間にわたって)、および/またはそれらの組み合わせに対応する予測を最適化するように訓練されるべきであることを示すことができる。
【0221】
被験者固有調整コード769は、特定の被験者に対応するデータに基づいてAIモデルの選択、訓練、および/または構成を実行するように構成されることができる。場合によっては、各モデル関連使用条件が特定の被験者について満たされるAIモデルのセットが選択される。例えば、使用条件は、血友病の特定のタイプ、特定の処置、特定のインヒビターの状態(例えば、阻害剤ありまたはなし)などを識別することができる。AIモデルのセットは、(例えば)異なるタイプのAIモデルアーキテクチャおよび/または異なるパラメータを含むことができる。被験者固有調整コード769は、特定の被験者に使用されるAIモデルのセットの中からAIモデルを選択することができる。
【0222】
選択は、(例えば)AIモデルのセットの各AIモデルについて、AIモデルを訓練するために使用される訓練データおよび/またはAIモデルによって使用される適合を生成するために使用されるデータにおいて特定の被験者の属性が表された程度を決定し、そのような表現のメトリックがAIモデルのセットにわたって閾値または最高を超えるAIモデルを選択することによって行われることができる。表現を決定するために、特定の被験者と訓練データ内の各被験者との間で属性類似性メトリックが決定されることができる。例えば、属性類似性メトリックは、複数の特定の属性のそれぞれが訓練データ被験者の属性と一致するか否かおよび/または一致する程度の加重和として計算されてもよい。例えば、年齢に関して、類似性メトリックは、(例えば、無限値の可能性を回避するために潜在的にキャップされる)特定の被験者と訓練データの被験者との間の年齢差の逆数に依存することができる。別の例として、年齢に関して、複数の年齢差範囲が定義され、類似性メトリックに寄与する対応する点値と関連付けられてもよい。類似性メトリックを計算するために使用される重みは、(例えば)属性が試験データにおける予測精度に関連した程度(例えば、正確な予測の属性値と不正確な予測の属性値との差がより大きいおよび/またはより有意である場合、より高い重みが割り当てられるように)、属性が血友病被験者の集団にわたって独特である程度(例えば、被験者属性がより一意である場合、より高い重みが割り当てられるように)、および/または訓練データにおける属性の変動性(例えば、属性の変動性が低い場合、より高い重みが割り当てられるように)に基づいて決定されることができる。場合によっては、類似性メトリックおよび/または重みは、AIモデルのセットのそれぞれに対して異なるように定義される(例えば、類似性メトリックのスケールは、モデル間比較を容易にするために同じままであってもよい)。場合によっては、類似性メトリックおよび/または重みは、AIモデルのセットのそれぞれに対して同じ方法で定義される。
【0223】
選択されたAIモデルは、(例えば)最高または閾値を超える中央値、平均、モード、最大またはパーセンタイル類似性メトリック(訓練データ内の特定の被験者と各被験者との間の全てのペアについて計算されたメトリックにわたる)に関連付けられたAIモデルに対応することができる。したがって、場合によっては、AIモデル選択は、特定の被験者の「最近傍」が訓練データにおいて表されたAIモデルを選択することを含むことができる。
【0224】
場合によっては、試験データは、AIモデル予測が観察データと一致または対応するかどうかおよび/または範囲を示すことができる。AIモデルは、AIモデルのセットのそれぞれについて、特定の被験者の属性と、予測が正確であった(またはより正確であった)試験データにおいて表された被験者の属性との間の類似性メトリックを、潜在的に、特定の被験者の属性と、予測が不正確であった(またはあまり正確でなかった)試験データにおいて表された他の被験者の属性との間の類似性メトリックと比較して、決定することによって、特定の被験者に対して選択されることができる。選択されたAIモデルは、正確な予測に関連する(例えば、潜在的に、不正確な予測に関連する被験者への対応に関連する)被験者に対する最高または閾値を超える対応に関連するものであってもよい。
【0225】
場合によっては、被験者固有調整コード769は、被験者固有の訓練を実行することができる。そのような訓練は、(例えば)転移学習を使用することを含むことができ、(本書に開示される技術を使用してAIモデルのセットの中から選択される可能性がある)被験者のセットに関連するデータを使用して訓練されたAIモデルがアクセスされ、パラメータが後続の訓練の一部として使用される。後続の訓練は、特定の被験者および/または他の同様の被験者に関連するデータを使用して実行されることができる。例えば、複数の他の被験者のそれぞれについて、(例えば、本書に開示される技術を使用して)他の被験者の属性および特定の被験者の属性に基づいて類似性メトリックが決定されてもよい。類似の被験者は、閾値を超える類似性メトリックに関連付けられた複数の他の被験者のサブセットおよび/または最高の類似性メトリックに関連付けられた特定の数の他の被験者として識別されることができる。
【0226】
転移学習は、(例えば)1つ以上の学習されたパラメータ(例えば、重み)を初期値として、または被験者固有AIモデルに組み込まれる凍結値として使用することを含むことができる。パラメータは、(例えば)1つ以上の時定数、ニューラルネットワーク内のノード間の接続に関連する1つ以上の重み、1つ以上のサブネットワークおよび/または1つ以上の層を含むことができる。場合によっては、被験者固有のAIモデルは、集団レベルのAIモデルに含まれず、特定の被験者および/または他の同様の被験者に関連するデータに基づいて訓練される1つ以上の追加のフィルタ、時定数、ニューラルネットワークレイヤなどを含む。場合によっては、被験者固有AIモデルは、集団レベルAIモデル内のものと比較して、1つ以上の異なるパラメータ(例えば、重み、時定数など)、関数、および/またはニューラルネットワーク層を含む。被験者固有調整コード769は、1つ以上のパラメータに対して制約および/または制限を実装することができ、制約は、集団レベルAIモデル内の対応するパラメータ値に基づいて決定される。
【0227】
場合によっては、被験者固有調整コード769は、1つ以上のAIモデルを使用して被験者固有ワークフローを生成することができる。ワークフローは、1つ以上の前処理関数770、1つ以上のAIモデル767、および/または1つ以上の後処理関数771を含むことができる。前処理関数は、データをAIモデルに供給する前に、(例えば)データを正規化、標準化、符号化、カテゴリ化、フィルタリング、および/または他の方法で処理することができる。例えば、生データは、以前の処理の直前に収集された凝固因子のレベルまたは有効成分の濃度を含むことができる。前処理は、加算および/または乗算利得制御を実装すること、および/またはAIモデルによって予測されたレベルまたは濃度に対する生のレベルまたは濃度の比に生データを変換することを含むことができる。前処理は、線形または非線形の関係を使用して生データ点を変換することを含むことができ、これは、被験者固有データと、モデルを訓練および/または試験するために使用される集団データとの間の変換に対応することができる。場合によっては、変換は、加法的および/または乗法的利得制御を含むことができる。別の例として、被験者固有コードは、異常な出血事象を経験している間に特定の被験者について行われたアッセイからの結果を、時間的に同じまたは同様のインスタンスに対応するAIモデルによって生成された予測結果と比較することができ、対応する加法的または乗的変換は、被験者のデータを前処理するために、または集団レベルのAIモデルによって生成された出力を後処理するために使用することができる。
【0228】
前処理変換は、(例えば)AIモデルを訓練および/または試験するために使用される被験者に対する特定の被験者の1つ以上の属性間の関係、ならびに/あるいは特定の被験者に関連するラベルおよび/または結果とAIモデルを訓練および/または試験するために使用される対応するデータとの間の関係を決定することによって決定されることができる。例えば、変換は、特定の被験者の特定の状況中の異常な出血の頻度に基づいて決定され、訓練データに表された被験者に対応することができる。別の例として、訓練データ内の被験者の属性を観察結果の統計値に関連付ける多次元表面を生成することができる。(例えば、人口統計データ、診断データ、検査室データなどを含む属性データに基づいて)特定の被験者に対応する多次元平面内の被験者関連位置が識別されることができる。多次元表面(例えば、平均重心または中央重心)を有する表面代表位置が識別されることができ、被験者関連位置および表面代表位置に基づいて変換が識別されることができる。
【0229】
後処理変換は、(例えば)特定の被験者について生成された1つ以上の出力予測を1つ以上の観察結果または予測結果(例えば、特定の被験者に対応する観察結果、モデルを訓練するために使用される他の被験者に対応する観察結果、特定の被験者に類似していると見なされ、モデルを訓練または試験するために使用される他の被験者に対応する観察結果、モデルを訓練または試験するために使用される他の被験者について生成された予測結果、特定に類似していると見なされ、モデルを訓練または試験するために使用される他の被験者についての予測結果など)に関連付けることによって決定されることができる。後処理は、(例えば)加法的もしくは乗法的利得制御および/または別の変換(例えば、活性化関数)を実装することを含むことができる。
【0230】
場合によっては、後処理関数771は、(例えば)分布、傾向、および/または点分析に基づいて定義されることができる。例えば、特定の被験者に関連するポイントサンプルが訓練データ分布に対応する所定の確率閾値を下回ると決定されてもよく、これはポイントサンプルの変換の実施をトリガすることができる(例えば、重心および/または分布統計量に基づいて)。別の例として、時定数は、有効成分/因子レベルの濃度/レベルの減衰について計算されることができ、訓練および/または試験データに対応する時定数と比較されることができ、後処理は、時定数に基づいて定義されることができる。
【0231】
場合によっては、後処理関数771は、訓練データに表される特定の処置状況に対応する統計的アッセイメトリック(例えば、aPTTメトリックまたはaPTTメトリックの分布の平均または中央値)に対する特定の処置状況(例えば、所与の処置の特定の投与を受けた2日後)について特定の被験者について決定されたアッセイメトリック(例えば、aPTTメトリック)に基づいて決定されてもよい。例えば、凝固時間アッセイは、ウォッシュアウト後に特定の処置投与を実施した後に収集された血液を使用して特定の被験者について実施されることができ、結果は、同様の状況に基づいて決定された訓練データに表された被験者に関連する同等の凝固時間と比較されることができる。後処理技術は、比較に基づいてAIモデルからの出力を(例えば)指数関数的にスケーリングするために実装されることができる。
【0232】
場合によっては、後処理関数は、数値モデル予測を行動または推奨行動(例えば、ケア提供者または被験者への通信の送信、被験者が医療を求める推奨、被験者が処置実施をスケジュールし直す推奨など)と関連付ける。予測を推奨に関連させる1つ以上のルールおよび/または関数は、被験者固有データ(例えば、過去の出血事象頻度、突然変異ベースの重大度、移動性の状態など)に基づいて定義および/または調整されることができる。例えば、診察の推奨は、被験者が出血の有病率の増加、出血の感受性の増加および/または運動性の低下に関連する場合、より自由に推奨されることができる(例えば、より広い範囲の予測出力に関連付けられる)。
【0233】
場合によっては、中央人工知能システム750は、集団レベルのAIモデル、被験者固有のAIモデル、被験者固有のワークフロー、前処理関数、後処理関数、および/またはワークフローをユーザデバイス705に送信する。場合によっては、ユーザデバイス705は、中央人工知能システム750にデータを送信し、中央人工知能システムは、結果を生成するために1つ以上のモデル、機能、および/またはワークフローを実行し、次いでユーザデバイス705に返される。
【0234】
場合によっては、集団レベルのAIモデル、被験者固有のAIコード、前処理関数、後処理関数および/またはワークフローの結果は、ユーザデバイス705において収集されたセンサデータに依存する。センサデータの依存関係は、ユーザデータおよび/または集団データに基づいて学習されることができる。例えば、集団レベルのAIモデルは、出血事象の確率および/またはタイプと先行する移動データ(例えば、加速度計および/またはジャイロスコープを使用して収集される)との間の関係を学習することができ、被験者レベルのAIモデルは、集団ベースの予測を被験者ベースの予測に変換するための1つ以上の後処理の変更を学習することができる。別の例として、集団レベルのAIモデルは、被験者に関連する以前のセンサデータと比較した、被験者に関連する最近のセンサデータがどの程度異なるかに基づいて、出血事象(または自然出血事象などの所与のタイプの出血事象)が発生する確率を予測することができる。
【0235】
前処理関数770は、センサデータに基づいて活動タイプを推定するように構成されてもよい。例えば、加速度および/またはジャイロスコープデータが使用されて、ユーザが静止しているか、歩いているか、走っているかを推測することができる。特に、そのような推測は、ユーザが静止しているが移動車両内にある可能性を考慮することができる。次いで、AIモデル(例えば、集団レベルおよび/または被験者固有のAIモデル)は、所与のタイプの活動(例えば、ランニング)が最近の時間間隔内に発生したかどうか、最近の時間間隔にわたる所与のタイプの活動(例えば、ランニングまたはウォーキング)の累積期間、推測された最近の活動に基づく最近の時間間隔に関連する推定生理学的データ(例えば、最大心拍数、中央心拍数または平均心拍数)などに基づいて、出血事象に関する予測(例えば、所与のタイプの可能性がある出血事象の発生の確率)を生成することができる。
【0236】
集団レベルのAIモデルは、さらにまたは追加的に、1つ以上の前処理関数770および/または1つ以上の後処理関数771を含むワークフローにおいて実装されてもよいことが理解されよう。前処理関数770および/または後処理関数771は、入力データ、被験者属性、被験者人口統計データ、被験者アッセイデータ、被験者遺伝データ、出血事象タイミング、出血事象頻度、出血事象重症度、モデル予測などのうちの1つ以上の変動に基づいて定義されることができる。場合によっては、被験者固有のAIモデルは、集団レベルのAIモデル(例えば、複数の集団レベルAIモデルの中から選択される)である、および/またはそれを含むように定義される。
【0237】
モデル使用データ772は、様々な被験者に関連するデバイスがどのモデルを利用しているか、および/または使用しているかを示すことができる。例えば、所与の被験者に関して、モデル使用データ772は、10個の集団レベルモデルが被験者の現在の状況に潜在的に適用されること、1個の被験者固有モデルが被験者に対して生成されたこと、被験者に関連するユーザデバイスで動作する血友病アプリを介して被験者固有モデルの結果が提示されていること、および被験者固有モデルが最近、ユーザデバイスを介して提示された特定の予測セットを生成したことを示すことができる。モデル使用データ772は、モデル結果データとの相互作用をさらに示すことができ、これは、(例えば)モデル結果データが提供者システム745に送信されること、処理が再スケジュールされること、および/または再計算が実行されることを要求することを含むことができる。場合によっては、モデル使用データ772は、モデル予測の精度を示し、例えば、モデル使用データ772は、特定の日付までに発生した出血事象のモデル予測が不正確であったというユーザ入力指示を含むことができる。モデル使用データ772は、集団レベルのAIモデルおよび/または被験者固有のAIモデルをさらに訓練するために使用することができる。場合によっては、モデル使用データ772は、どの被験者(および/またはその属性)がモデルを使用しているかを示し、集団レベル訓練コード766および/または被験者固有調整コード769は、同様の被験者および/またはモデルを現在使用していない他の被験者の精度を改善するために、集団レベルAIモデルおよび/または被験者レベルAIモデルをさらに訓練することができる。
【0238】
発現データ773は、中央人工知能システム750によって受信され、利用され、および/または記憶されることができる経験的結果データの例である。発現データ773(または他の経験的結果データ)が使用されて、1つ以上の集団レベルモデル、被験者固有モデル、集団レベルのワークフローおよび/または被験者固有のワークフローの精度を評価することができる。発現データ773(または他の経験的結果データ)が監視されて、AIモデルの再訓練を開始するかどうか、異なるAIモデルを選択するかどうか、所与の被験者に使用される前処理関数および/または後処理関数を調整するかどうかなどを決定することができる。発現データ773(または他の経験的結果データ)は、様々なモデル予測の精度をさらに示すことができ、これは、そのようなモデルがその後に使用されるかおよび/または再訓練されるかに影響を及ぼし得る。
【0239】
図7の表示および説明は、ユーザデバイスおよび中央人工知能システム750においてどのタイプの動作が実行されることができるかに関する例示的な実装形態に対応する。別の動作性能が考えられることが理解されよう。例えば、ユーザデバイス705において発生すると説明された1つ以上の動作は、代わりに、中央人工知能システム750および/またはその逆において実行されてもよい。さらに、ユーザデバイス705に記憶されていると説明および/または表示された1つ以上のタイプのデータ(例えば、コード、関数、モデルなど)は、代替的にまたは追加的に、中央人工知能システム750に記憶されてもよく、および/または中央人工知能システム750に記憶されていると説明および/または表示された1つ以上のタイプのデータは、追加的にまたは代替的に、ユーザデバイス705に記憶されてもよい。
【0240】
コンピューティングネットワークは、図7に関連する1つ以上のコンポーネント、1つ以上の特性および/または複数の機能に加えて、図1に関連して識別された1つ以上のコンポーネント、1つ以上の特性および/または1つ以上の機能を含むことができることが理解されよう。例えば、提供者システム745は、コンピュータ105、ラップトップ110、および/またはモバイルデバイス115のうちの1つ以上を含むことができ(および/またはその1つ以上の特性を有することができ)、ならびに/あるいはコンピュータ105、ラップトップ110、および/またはモバイルデバイス115のうちのいずれかは、提供者システム745を含むことができる(および/またはその1つ以上の特性を有することができる)。別の例として、中央人工知能システム750は、クラウドサーバ135を含むことができ(および/またはその1つ以上の特性を有することができ)、および/またはクラウドサーバ135は、人工知能システム750を含むことができる(および/またはその1つ以上の特性を有することができる)。
【0241】
IV.機械学習モデルを使用して血友病処置を知らせるためのプロセス
図8は、血友病処置戦略の識別を容易にするための機械学習モデルを使用するためのプロセス800を示している。プロセス800は、ビッグデータが収集されたブロック805において開始する。ビッグデータは、複数の被験者を含む被験者セットに対応するデータを含むことができる。複数の被験者のそれぞれは、血友病と診断された人を含むことができる。データは、複数の被験者の一部または全部について、人口統計データ(例えば、年齢、人種、性別)、身体データ(例えば、体重、身長)、(例えば、一塩基多型変異および/またはコピー数変異体を識別する)遺伝データ、(例えば、現在の処置、1つ以上の以前の処置、ならびに/または現在の処置および/もしくは以前の処置が使用された1つ以上の期間を識別する)処置データ、健康データ(例えば、被験者が診断された血友病のタイプ、併存症、被験者が罹患している任意の他の疾患、生理学的メトリック)、(例えば、最近の処置の有無にかかわらず投与された因子レベル、最近の処置の有無にかかわらず投与された因子レベル、最近の処置の有無にかかわらず投与された処置濃度レベルを識別する)検査室データおよび/または症状データ(例えば、出血事象の頻度、最後の出血事象からの時間)を含むことができる。処置データは、被験者が所与の処置(例えば、セクションII.Dにおいて識別された処置)を受けたかどうかおよび/またはいつ受けたかを示すことができることが理解されよう。検査室データは、アッセイまたは試験(例えば、セクションII.Bにおいて識別されたアッセイまたは試験)の結果を含むことができることも理解されよう。
【0242】
場合によっては、複数の被験者のそれぞれが同じ血友病処置を受けている。場合によっては、複数の被験者のそれぞれは、血友病処置ではないかおよび/または受けていない。場合によっては、複数の被験者のそれぞれは、同じタイプの血友病(例えば、血友病A、BまたはC)を有する。場合によっては、複数の被験者のそれぞれは、血友病の同じまたは類似の重症度を有する。場合によっては、複数の被験者の少なくとも一部は、現在の血友病処置、過去の血友病処置、血友病型および/または血友病重症度および/または人口統計学に関して異なる。
【0243】
ブロック810において、分類器機械学習モデルが使用されて、被験者セットをサブグループに分割することができる。場合によっては、被験者セットは、静的被験者情報(例えば、人口統計情報、被験者が最初に診断された血友病のタイプ、被験者が最初に診断された血友病の重症度など)および/または最近の被験者情報(例えば、現在の処置、出血事象の最近の頻度、最近の運動状態など)に基づいて分割される。追加的または代替的に、被験者セットは、被験者が現在受けているかまたは最近の時間枠内で受けられている1つ以上のアッセイ(例えば、セクションII.Bに開示されている)および/または1つ以上の血友病処置(例えば、セクションII.Dに開示されている)からの結果に基づいて分割されることができる。任意の変数がクラス割り当てに影響を及ぼす程度は、分類器の学習されたパラメータおよび/または被験者セットにわたる多次元空間内の値の分布に依存することができることが理解されよう。
【0244】
分類器機械学習モデルは、(例えば)パーセプトロン、決定木、回帰、最近傍、サポートベクターマシン、または成分(例えば、主成分)モデルを含むことができる。分類器機械学習モデルは、ブロック805において収集されたフィールドの少なくともいくつかを入力変数として使用して訓練されることができる。場合によっては、サブグループは、1つ以上の初期時点に対応する(例えば、診断日および/または処置選択日に対応する)データに基づいて、静的情報(例えば、被験者が最初に診断された血友病のタイプおよび/または重症度)に基づいて識別され、および/または後続の疾患特性を識別するラベルに基づいて識別されない。例えば、サブグループは、被験者の初期人口統計データ、診断データおよび/または検査室データを反映するデータに基づいて識別されることができる。分類器は、サブグループが入力データに基づいて定義され、対応するラベルに基づいて定義されないように、教師なし学習を使用して訓練されることができる。場合によっては、サブグループは、1つ以上の初期時点に対応するデータに基づいて、また1つ以上の後続の時点に基づいて識別される。例えば、入力データは、1つ以上の初期期間に関連する人口統計データ、診断データおよび/または検査室データを反映することができ、ラベルデータは、出血事象の発生、因子濃度、凝固時間、被験者の可動性および/または1つ以上の後続期間における生存を反映することができる。分類器は、サブグループが入力データ(例えば、1つ以上の初期時間に関連する)およびラベルデータ(例えば、1つ以上の後続の時間に関連する)に基づいて定義されるように、教師あり学習を使用して訓練されることができる。
【0245】
ブロック815において、各サブグループについて、サブグループのデータを使用して集団レベルの機械学習モデルが訓練される。場合によっては、異なるサブグループについて訓練された集団レベルの機械学習モデルの一部または全部は、同じタイプの機械学習モデル(例えば、同じタイプの薬物動態モデル、薬物動態モデル、機械学習モデル、または同じタイプの機械学習モデルなど)である。
【0246】
訓練は、被験者のセットに関連付けられた訓練データを使用する教師あり学習を含むことができる。集団レベルの機械学習モデルのそれぞれは、(例えば)所定の期間内に出血事象(例えば、任意のタイプの出血事象または自然出血事象)が発生する確率、出血事象の数(例えば、所与の期間内の)、因子レベルの減衰率、治療薬のレベルの減衰率、処置の実施時間に対する所与の時間における因子レベルの変化率などを予測するように訓練されることができる。場合によっては、集団レベルの機械学習モデルを訓練するために使用されるラベルはバイナリである。場合によっては、使用されるラベルは、非バイナリ(例えば、連続的なスケールの数値、カテゴリなど)である。
【0247】
ブロック820において、特定の被験者についてデータが受信される。特定の被験者は、血友病と診断されていてもよい。特定の被験者は、血友病被験者セットに含まれないものを含んでいてもよい。
【0248】
データは、(例えば)特定の被験者の人口統計データ、遺伝的データ、処置の健康状態データ、検査室データおよび/または症状データを含むことができる。例えば、ブロック820において受信したデータは、(例えば)特定の被験者が診断された血友病のタイプ、特定の被験者が診断された血友病の重症度、特定の被験者のサンプルの処理を介して検出された変異のタイプ、1つ以上の検査結果(例えば、1つ以上の凝固時間の識別)、特定の被験者が現在受けている血友病処置、特定の被験者が以前に受けた1つ以上の血友病処置、過去の出血事象情報(例えば、自然出血事象および/または非自然出血事象の頻度の識別)および/または可動性のレベルを識別することができる。
【0249】
ブロック825において、ブロック820において受信されたデータの少なくとも一部または全部を使用して、特定の被験者について被験者固有の機械学習ワークフローが定義される。ワークフローを定義することは、(例えば)特定の被験者の特定の集団レベルの機械学習モデルを選択および/または訓練することを含むことができる。ワークフローを定義することは、代替的または追加的に、特定の被験者に使用するための1つ以上の前処理技術および/または後処理技術を選択および/または構成することを含むことができる。
【0250】
場合によっては、さらに別のモデルが使用されて、特定の被験者に使用する集団レベルの機械学習モデルを選択する。他のモデルは、(例えば)決定木、分類器、ルールベースのモデルなどを含むことができる。選択は、被験者セットをサブグループに分割するために使用されるクラスタにデータを(例えば)割り当てるために(そして、次いで、クラスタに関連付けられた集団レベルの機械学習モデルを選択するために)、血友病被験者セットに関連付けられた訓練データセットから最近傍を識別するために(そして、次いで、最近傍からのデータを使用して訓練された集団レベルの機械学習モデルを選択するために)、被験者に関連付けられたデータを使用することによって行うことができる。場合によっては、選択された集団レベルの機械学習モデルは、被験者固有データを使用してさらに訓練されることができる。
【0251】
別の例として、ブロック825は、特定の被験者に適用されるべき後処理および/または前処理を識別することを含むことができる。例えば、データを機械学習モデルに供給する前に、1つ以上の線形または非線形変換(または1つ以上のモデル)が特定の被験者に関する変換データに適用されることができる。別の例として、1つ以上の変換(または1つ以上のモデル)が適用されて、機械学習モデルによって生成された結果を被験者固有の結果に変換することができる。前処理および/または後処理技術は、機械学習モデルを訓練するために使用される他の被験者の表現と比較して、(例えば、機械学習モデルに関連付けられた入力データセットの全部または一部に基づいて)特定の被験者の多次元表現間の距離および/またはベクトルを識別すること、同様の距離および/またはベクトル(例えば、および同じ被験者レベルの機械学習モデル)に関連する被験者データセットの部分に基づいて変換を決定すること、および/またはスケーリング係数を識別すること(例えば、ルックアップデータおよび/または定義された関係を使用すること)に基づいて決定されることができる。
【0252】
一例として、治療薬のレベルは、治療薬の特定の投与量の投与後の特定の時間に特定の被験者のサンプルにおいて測定されることができる。レベル(および場合によっては特定の時間および/または特定の投与量)が使用されて、特定の被験者のクリアランスメトリックを計算することができ、次いで、これを使用して後処理アルゴリズム(例えば、非線形後処理アルゴリズム)を構成し、(例えば、特定の被験者のクリアランスメトリックと、モデルを訓練するために使用される被験者に関連するクリアランスメトリックとの間の比較に基づいて)集団レベルの機械学習モデルの出力を修正することができる。
【0253】
ブロック830において、特定の被験者と関連付けられた最近の動的データが受信される。最近の動的データは、ブロック820において受信されたデータが(ブロック820において)識別および/または受信された1つ以上の時間の後に発生する1回以上の発生(例えば、処置処方、処置実施、出血事象の発生、検査結果の識別など)を特徴付けることができる。場合によっては、最近のデータは、ブロック825においてワークフローが定義された後に発生する1つ以上の発生を特徴付けることができる。
【0254】
動的データは、(例えば)処置スケジュール、治療薬の特定の投与がいつ発生したか(例えば、および/またはどの治療薬が投与されたか、および/またはその投与量)、(潜在的に、出血事象が引き起こされたかどうか、出血事象が内部的であったかどうか、出血事象に対して受信された任意の治療反応、および/または出血事象が何らかの持続的損傷をもたらしたかどうかを示す)最近の異常な出血事象が発生したこと、および/または(例えば、いかなる処置も存在しない凝固時間、治療濃度および/または因子レベル、ならびに/あるいは特定の処置の実施と比較した特定の時間を識別する)新たな検査結果を示すことができる。
【0255】
ブロック835において、動的データが使用されて、被験者の新たなまたは変更されたワークフローを定義することができる。例えば、特定の被験者に対して新たな集団レベルの機械学習モデルが選択されてもよい。新たな選択は、(例えば)最近の動的データが、集団レベルの機械学習モデルを訓練するために使用されるサブグループに関連付けられた訓練データセット内の対応するデータ、特定の科目のワークフローにおいて使用される前処理技術または後処理技術と区別可能に異なると決定したことに応答して行われることができる。代替的または追加的に、新たな選択は、(例えば)最近の動的データが、特定の被験者のワークフローによって生成された、または生成されたであろう対応する予測と少なくとも閾値量(例えば、10%、20%、30%)異なるという決定に応答して行われてもよい。代替的または追加的に、(例えば)ブロック825において定義されたワークフローを介して予測されたように最近の動的データが発生する確率が所定の閾値(例えば、80%、60%、50%、33%、)を下回ったとの決定に応答して、新たな選択を行うことができる。
【0256】
ブロック840において、新たなまたは修正されたワークフローを使用して、被験者について血友病関連予測が生成される。予測は、(例えば)予測される速度定数(例えば、治療薬の吸収、分布、代謝および/または排泄)、治療薬または因子(例えば、特定の時点、処置実施に対する特定の時点など)の予測されるレベル(例えば、濃度)、予測される凝固時間を所定の範囲内に維持するのに十分な治療薬の予測される投与量および/または投与間隔、ある時間間隔内に出血事象が発生する予測される確率などを含むことができる。
【0257】
ブロック845において、予測に基づいて処置仕様が識別される。ブロック845は、(例えば)治療剤を選択すること、実施される処置(または有効成分)の投与を選択すること、処置の実施頻度を選択すること、処置実施スケジュールを識別することなどを含むことができる。ブロック845は、代替的にまたはさらに、短期予防処置を推奨するかどうかを決定することを含むことができる。例えば、処置仕様は、予測が満足のいくものである場合(例えば、治療薬の予測濃度が所定の閾値を上回り、出血事象の予測確率が所定の閾値を下回り、予測凝固時間が所定の範囲内である場合)、現在の処置仕様を含むおよび/またはそれと一致してもよい。別の代替または追加の例として、新たなまたは修正されたワークフローが使用されて、調整された処置投与および/または処置スケジュールを識別することができる。
【0258】
処理仕様は出力されてもよい。例えば、特定の被験者のデバイスおよび/または特定の被験者の介護者のデバイスに関する情報の表示を介して処置仕様が(例えば、推奨として)出力されてもよい。別の例として、処置仕様は、特定の被験者の介護者のデバイスに送信されてもよい。
【0259】
プロセス800の一部または全部は、特定の被験者のデバイスにおいて実行されることができ、プロセス800の一部または全部は、特定の被験者に関連する医療提供者に関連するコンピューティングシステムにおいて実行されることができ、および/またはプロセス800の一部または全部は、遠隔コンピューティングシステムにおいて実行されることができることが理解されよう。
【0260】
図9は、センサデータを使用して血友病関連結果を生成するためのプロセス900を示している。プロセス900は、血友病と診断された特定の被験者に対応する被験者固有データセットが受信されるブロック905において開始する。被験者固有データセットは、(例えば)人口統計データ(例えば、年齢、人種、性別)、身体データ(例えば、体重、身長)、遺伝データ(例えば、一塩基多型変異および/またはコピー数変異体の識別)、(例えば、現在の処置、1つ以上の以前の処置、および/または現在の処置および/または以前の処置が使用された1つ以上の期間を識別する)処置データ、健康データ(例えば、被験者が診断された血友病のタイプ、併存症、被験者が罹患している任意の他の疾患、生理学的メトリック)、(例えば、最近の処置の有無にかかわらず投与された因子レベル、最近の処置の有無にかかわらず投与された因子レベル、最近の処置の有無にかかわらず投与された治療濃度レベルを識別する)検査室データおよび/または症状データ(例えば、出血事象の頻度、最後の出血事象からの時間)を含むことができる。場合によっては、被験者固有データセットの少なくとも一部は、被験者のデバイスからの通信(例えば、ケア提供者デバイスおよび/または遠隔サーバで受信される)を介して最初に識別された。場合によっては、被験者固有データセットの少なくともいくつかは、1つ以上の写真(例えば、被験者のデバイスにおいて収集される)を含むか、またはそれに基づいていた。写真は、(例えば)以前の出血、損傷、打傷、または部位を表示することができる。場合によっては、被験者固有のデータの少なくとも一部は、被験者に対応する電子医療レコードを介して最初に識別され、および/または電子医療レコードから受信された。被験者固有データセットは、最近の、現在の、および/または静的な情報を含むことができ、および/またはそれらからなることができる。処置データは、被験者が受けているまたは最近受けた処置(例えば、セクションII.Dにおいて識別された処置)を識別することができることが理解されよう。検査室データは、アッセイまたは試験(例えば、セクションII.Bにおいて識別されたアッセイまたは試験)の結果を含むことができることも理解されよう。
【0261】
ブロック910において、被験者固有データセットの少なくとも一部は、分類器を使用して処理され、特定の被験者の予測を生成するために使用される機械学習モデルを識別する。被験者固有データセットの少なくとも一部は、血友病のタイプ、人口統計データ、および/または処置データを含むことができる。被験者固有データセットの少なくとも一部は、代替的または追加的に写真を含んでもよい。分類器は、(例えば)パーセプトロン、決定木、回帰、最近傍、サポートベクターマシン、または成分(例えば、主成分)モデルを含むことができる。分類器は、ブロック905において受信された被験者固有データセットに含まれるフィールドの少なくともいくつかの値を含む訓練データを使用して訓練されることができる。値またはその表現は、モデルへの入力として提供されてもよく、訓練中にモデルによって生成された出力は、損失関数を介して訓練データセット内のラベル(例えば、数値ラベルまたはカテゴリラベル)と比較されてもよい。分類器は、(例えば)写真を処理するように構成されたニューラルネットワーク(例えば、畳み込みニューラルネットワーク)を含むことができる。ニューラルネットワークは、(例えば)写真が出血事象および/または表示されている出血のタイプ(例えば、出血または傷が表示されているかどうか、出血/傷の位置、出血/傷の大きさなど)を表示しているかどうかを予測する出力を生成することができる。
【0262】
場合によっては、初期の被験者データ(例えば、特定の被験者または訓練セット内の被験者に対応する)が符号化されることができ、符号化された表現は、モデルへの入力として提供されることができる。符号化は、ワンホット符号化、順序符号化、コントラスト符号化、バイナリ符号化などのカテゴリ符号化技術を含むことができる。例えば、ワンホット符号化は、各潜在的カテゴリを表す2進数のセットとしてカテゴリ値を表すことができる。場合によっては、数値(例えば、年齢)は、カテゴリ値(例えば、年齢ビン)に変換され、次いでワンホット符号化を介して符号化されることができる。場合によっては、数値データは、範囲のセットを使用してカテゴリデータに変換され、カテゴリデータは、カテゴリ符号化技術を使用して符号化されることができる。
【0263】
次いで、値の符号化表現が集約され、モデルに供給されることができる。場合によっては、符号化表現の各値は、ニューラルネットワークの入力層内の別個のノードに供給される。場合によっては、符号化された表現は連結され、(例えば、分類器機械学習モデルを使用して)特徴ベクトルに変換される。特徴ベクトルは、機械学習モデルを識別するために使用することができる。例えば、モデルのセットのそれぞれは、多次元空間内の位置に対応することができ、各モデルの表現の位置と被験者に関連する特徴ベクトルに関連する位置との間の距離が計算されることができる。最小距離に関連付けられたモデルが選択されることができる。
【0264】
場合によっては、機械学習モデルは、静的情報(例えば、被験者が最初に診断された血友病のタイプおよび/または重症度)に基づいて、1つ以上の初期時点に対応する(例えば、診断日および/または処置選択日に対応する)被験者固有データを使用して識別され、および/または後続の疾患特性を識別するラベルに基づいて識別されない。例えば、機械レベルモデルは、特定の被験者の初期人口統計データ、診断データ、および/または検査室データを反映するデータに基づいて識別されることができる。識別された機械学習モデルは、(例えば)本書に開示された1つ以上の特性を有するモデル(例えば、セクションIII.F)、薬物動態モデルおよび/またはニューラルネットワークを含むことができる。
【0265】
機械学習モデルは、被験者の集団に対応する訓練データを使用して訓練された集団レベルの機械学習モデルを含むことができ、または特定の被験者に関連する訓練データを使用して少なくとも部分的に訓練された被験者固有の機械学習モデルであってもよい。例えば、被験者固有の機械学習モデルは、集団レベルの機械学習モデルからのパラメータによって初期化されていてもよく、特定の被験者からのデータを使用してさらに訓練されていてもよい。被験者固有の機械学習モデルおよび/または被験者固有のモデルは、本書に開示された技術(例えば、ネットワーク700および/またはプロセス800に関連して開示されるように)を使用して生成されてもよく、および/または本書に開示された特性(例えば、ネットワーク700および/またはプロセス800に関連して開示されるように)を有してもよい。
【0266】
分類器の代わりにルールベースのアプローチを使用することができることが理解されよう。例えば、機械学習モデルのセットのそれぞれは、1つ以上の同じ特性を有する(例えば、血友病A、血友病B、血友病C、特定の重症度、特定の現在の処置、阻害剤の存在などを有する)被験者のセットに対応する訓練データを使用して訓練されることができる。特定の被験者について使用されるべきブロック910において選択されたモデルは、特定の被験者と1つ以上の特性(例えば、血友病型、血友病重症度、処置、人口統計属性など)を共有する他の被験者と関連付けられた訓練データを使用して訓練されたモデルを含むことができる。例えば、集団レベルの機械学習モデルのセットは、4つのモデル、すなわち、軽度または中等度の血友病Aを有する被験者に関連する訓練データを使用して訓練された第1のモデル;重度の血友病Aを有する被験者に関連付けられた訓練データを使用して訓練された第2のモデル;軽度または中等度の血友病Bを有する被験者に関連付けられた訓練データを使用して訓練された第3のモデル;および重度の血友病Bを有する被験者に関連する訓練データを使用して訓練された第4のモデルを含むことができる。所与の被験者が中等度の血友病Bを有する場合、第3のモデルが選択されることができる。
【0267】
場合によっては、単一の機械学習モデルのみが記憶および/または訓練され、ブロック910において使用するために単一の機械学習モデルが識別されることができる。場合によっては、ブロック910は、代替的にまたはさらに、(例えば、分類器を使用すること))1つ以上の前処理および/または後処理関数を識別することを含む。場合によっては、ブロック910は、代替的にまたはさらに、ワークフローを識別すること(例えば、分類器を使用すること)を含む。
【0268】
ブロック915において、血友病処置が特定の被験者によって受けられた1つ以上の時間を識別する指示が受信される。適応症は、どのタイプの処置を受けたか、および/または受けた処置の投与を識別することができる(またはそれを示す情報が利用可能であり得る)。ブロック915は、1つ以上の予防的処置が受けられた時間および/または1つ以上の症状発現処置が受けられた時間に関する情報を受信することを含むことができる。場合によっては、ブロック915は、特定の被験者が所与の期間内に血友病処置を何も受けていないことを示す。
【0269】
ブロック920において、処置情報(例えば、処置実施時間、処置時間および/または処置投与)および選択された機械学習モデルを使用して、血友病関連の時間経過が予測される。時間経過は、血友病関連変数が経時的にどのように変化するかを予測することができる。血友病関連変数は、(例えば)凝固時間(例えば、本書に開示される任意の凝固時間)、因子レベル、治療薬の濃度(例えば、処置の、または処置に関連する)、および/または出血事象の発生確率を含むことができる。ブロック920は、(例えば)1つ以上の速度定数を予測すること、1つ以上の時間のそれぞれについて血友病関連変数の値を予測すること、および/または血友病関連変数が時間的にどのように変化するかを識別する関数を予測することを含むことができる。
【0270】
特定の被験者の予測を生成するために使用されるワークフローは、処置がいつ受信されたかを示す入力を受信するように構成されてもよく、さらに他のタイプの情報を受信してもよいことが理解されよう。他のタイプの情報は、(例えば)ブロック905において受信された被験者固有データセットの一部または全部を含むことができる。例えば、ワークフローは、処置実施時間に加えて、特定の被験者の体重、身長および年齢、および/または特定の被験者に関連する過去の検査室データを受信することができる。ワークフローは、ブロック910において識別された集団レベルの機械学習モデル(またはブロック910において識別された集団レベルの機械学習モデルに基づいて構築された被験者固有の機械学習モデル)を含むことができる。場合によっては、ワークフローは、1つ以上の前処理関数および/または1つ以上の後処理関数をさらに含む。
【0271】
処置情報は、(例えば、ブロック910に関連して開示された技術を使用して)符号化されてもよく、および/または特徴ベクトルとして表されてもよいことが理解されよう。次いで、符号化されたおよび/または特徴ベクトル表現は、ワークフローおよび/または機械学習モデルに供給されることができる。場合によっては、ワークフローおよび/または機械学習モデルに供給される入力は、ブロック905において受信された被験者固有データセットの少なくとも一部をさらに表す。例えば、入力は、被験者の身長、体重、年齢および/または性別、および/または被験者の血友病重症度レベルを表すことができる。
【0272】
ブロック920において生成された予測は、警報が提示されることができるように、予測値が閾値(例えば、異常な出血事象のリスクの増加を表す)を超えるかどうかおよび/またはいつ超えるかを(例えば)決定するために使用することができる。予測は、代替的または追加的に、(例えば、異常な出血事象の予測確率、予測凝固時間、予測因子レベルおよび/または予測治療レベルを許容可能な所定の閉鎖範囲または開放範囲内に維持するために)推奨される処置スケジュールを生成するために使用されてもよい。
【0273】
ブロック925において、被験者と関連付けられたデバイスにおいて収集されたセンサデータの表現が受信されることができる。デバイスは、(例えば)スマートフォン、ウェアラブルスマートデバイス、スマートウォッチ、スマートヘッドセット、スマートヘッドフォンなどを含むことができる。センサデータは、(例えば)加速度計データ、ジャイロスコープデータおよび/またはGPSデータを含むことができる。センサデータは、生理学的データを含むことができ、(例えば)心拍数を含むことができる。データの表現は、センサデータ自体またはその処理されたバージョンを含むことができる。例えば、処理されたバージョンは、(例えば、同じセンサによって収集された他のデータ、同じデバイスにおいて収集された他のデータ、および/または他のデバイスにおいて収集された他のデータに対して)正規化または正則化されたメトリックおよび/または1つ以上の統計(例えば、ある期間にわたる生データまたは処理データの合計値、平均値、最大値または中央値)を含むことができる。別の例として、処理バージョンは、所与の期間中に被験者によって取られた推定歩数、所与の期間中に被験者が移動した推定距離、ある期間にわたる推定速度統計(例えば、平均、中央値または最大速度)、または被験者が静止していた期間の推定部分を含むことができる。センサデータは、(例えば)比較的連続的に、定期的に、プル要求に応答して、または更新された予測の要求を受信したことに応答して、受信されることができる。
【0274】
ブロック930において、(例えば、ブロック910において識別された機械学習モデルを含むワークフローから)新たなまたは修正されたワークフローに遷移するか否かに関する決定が行われる。場合によっては、ブロック930は、ブロック910において血友病関連時間経過を予測するために使用されるワークフローがワークフロー遷移条件が満たされない限り使用され続けるように、ワークフロー遷移条件が満たされるかどうかを決定することを含む。
【0275】
ブロック930の決定は、センサデータの表現、センサデータの処理されたバージョン、写真、および/または写真の処理されたバージョンに基づくことができる。例えば、統計分析(例えば、モンテカルロ解析)が、センサデータ(またはその表現および/または処理されたバージョン)を検出した確率が所定の閾値を下回ること、または被験者が所与のタイプの出血事象または出血事象を経験した確率が所定の閾値を下回ることを示す場合に、ワークフロー遷移が発生すると決定されてもよい。所定の閾値は、デバイスから収集された過去のセンサデータ、特定の被験者に関連して収集された過去のセンサデータ、他の被験者のセットに関連して収集された過去のセンサデータ、特定の被験者に関連して以前に検出された出血事象の頻度、および/または他の被験者のセットに関連して以前に検出された出血事象の頻度に基づいて決定されることができる。例示すると、分析的および/または確率ベースのアプローチは、所与のデータセットにおいてそのようなセンサデータ(または出血事象)が観察される確率が5%(または他のパーセンテージ)であることを表すセンサデータに関連付けられた閾値を識別することができる。特定のセンサデータ(またはその処理されたバージョンおよび/またはその表現)が所与の基礎となるデータ分布内で観察される可能性が十分に低いことを閾値交差または他の条件満足度が示す場合、ブロック930において、ワークフローの使用を中止する(例えば、恒久的に中断するか、または一時的に中断する)、および/または血友病関連予測のための新たなもしくは修正されたワークフローに遷移することを決定することができる。
【0276】
ワークフローを使用し続けることが決定された場合、プロセス900は、ブロック920に戻ることができ、ワークフローを使用して新たな予測を生成することができる。ワークフローを遷移しないと決定された場合、プロセス900は、ブロック935に進むことができ、変換されたデータ処理ワークフローは、センサデータ表現に基づいて決定されることができる。
【0277】
異常な、異なる、または外れ値のセンサデータは、(例えば)被験者が血友病によってますます制限されている、および/または不能になりつつあること、および/または薬物動態学的速度定数が変化した、変化している、または変化するであろうことを示すことができる。例えば、障害の増加は、以前の処置が十分に積極的でなかったことを示すことができる。別の例として、運動の増加は、運動がより少ないかまたは全くない場合と比較して、より迅速な分布、吸収、代謝および/または排泄に対応することができる。異常な、異なる、または外れたセンサデータは、代替的または追加的に、被験者が異常な出血事象(例えば、自発的な異常な出血事象または誘発された異常な出血事象のリスクがより高い)のリスクが高いことを示すことができる。さらに、予測されない出血事象(例えば、写真に表示される)は、以前に被験者に使用された薬物動態学的速度定数が被験者の生理学を適切に表していないことを示唆することができる。
【0278】
データ処理ワークフローを変換することは、ブロック920において使用されるモデルと同じまたは異なるアーキテクチャを有することができる新たな機械学習モデルを選択することを含むことができる。例えば、双方のモデルは、(例えば、異なる訓練データを使用して訓練される)異なる学習パラメータを有する同じタイプの薬物動態モデルを含むことができる。別の例として、ブロック920において使用される機械学習モデルは、第1のタイプの薬物動態モデルを含むことができ、変換されたデータ処理ワークフローにおいて使用される機械学習モデルは、異なる第2のタイプの薬物動態モデルを含むことができる。一例では、ブロック920において機械学習モデルにおいて使用される1つ以上の活性化関数、重みおよび/または閾値は、変換されたデータ処理ワークフローにおいて使用される1つ以上の活性化関数、重みおよび/または閾値とは異なる。
【0279】
活性化関数または閾値の変化は、(例えば)同じレベルの治療薬、因子レベルまたは損傷によって引き起こされる出血事象が異常である確率であっても、異なる活動シナリオにおける異なるリスクに対応することができることを表すことができる。傷害のリスクは、高強度の活動中に高くなる可能性があり、したがって、機械学習モデルは、活性化関数をシフトさせるおよび/または閾値を下げるように学習することができる。代替的または追加的に、予測されない出血事象の表示は、活性化関数のシフトおよび/または閾値の低下をトリガすることができる。この調整は、(例えば、傷害リスクの差を考慮することによって)異常な出血事象が発生するかどうかをより正確におよび/または慎重に予測すること、および/または(異常な出血のリスクを低減するために)活動を変更するかどうか、および/または処置を受けるかどうかを被験者に助言することをより適切に容易にすることができる。
【0280】
活性化関数または閾値が異なる場合、1つ以上の他のパラメータもモデル間で異なることができる(しかしながら、そうである必要はない)ことが理解されよう。例えば、係数および/または重みの差は、薬物動態値の差を表すことができ、活性化関数または閾値の差は、予測傷害確率の差を表すことができる。
【0281】
データ処理ワークフローを変換することは、(例えば)前処理または後処理を導入または変更することを含むことができる。例えば、高い動きを示すセンサデータを検出したことに応答して、または出血事象を表示した写真に応答して、異常な出血事象のリスクを識別する警報が発生する可能性がより高くなるように、警報を発するかどうかを決定するために後処理において使用される閾値が調整されることができる。別の例として、機械学習モデルにおいて使用されるパラメータは、吸収、排泄、代謝および/または分布の異なる速度定数(より速い速度に対応する)を反映するように調整されることができる。さらに別の例として、ブロック910において識別された機械学習モデルの代わりに使用するために、異なる機械学習モデル(例えば、薬物動態モデルまたはニューラルネットワーク)が選択されることができる。異なる機械学習モデルは、ブロック910において選択された機械学習モデルに対して同じまたは異なるアーキテクチャを有することができる。異なる機械学習モデルは、ブロック910において識別された機械学習モデルを訓練するために使用された訓練データセットに関連する血友病被験者に対してより活動的であった(またはより活動的でなかった)血友病被験者に対応する訓練データを使用して訓練されていてもよい。
【0282】
場合によっては、ブロック925において使用される機械学習モデル(例えば、および/または1つ以上の前処理関数および/または1つ以上の後処理関数)を訓練するために第1の訓練データセットが使用され、変換されたデータ処理ワークフローにおいて機械学習モデル(例えば、および/または1つ以上の前処理関数および/または1つ以上の後処理関数)を訓練するために第2の訓練データセットが使用される。第1の訓練データセットに対応する被験者は、第2の訓練データセットに対応する被験者と同じであってもよく、完全に異なっていてもよく、または部分的に異なっていてもよい。場合によっては、ブロック925において使用される機械学習モデル(例えば、および/または1つ以上の前処理関数および/または1つ以上の後処理関数)をさらに訓練するために使用される第1の訓練データセットまたは別の訓練データセットは、プロセス900において予測が生成される被験者に対応するデータを含むことができる(しかしながら、そうである必要はない)。ブロック935において使用される機械学習モデル(例えば、および/または1つ以上の前処理関数および/または1つ以上の後処理関数)をさらに訓練するために使用される第2の訓練データセットまたは別の訓練データセットは、プロセス900において予測が生成される被験者に対応するデータを含むことができる(しかしながら、そうである必要はない)。
【0283】
場合によっては、第1の訓練データセットは、ブロック925において使用される機械学習モデル(例えば、および/または1つ以上の前処理関数および/または1つ以上の後処理関数)を訓練するために使用され、第3の訓練データセットは、様々なタイプのセンサデータの検出、様々なタイプの活動の推測、様々な被験者の運動または強度レベルの推測などに応答して、機械学習モデル(例えば、および/または1つ以上の前処理関数および/または1つ以上の後処理関数)をどのように修正するかを学習するために使用される。第3の訓練データセットは、プロセス900において予測が生成される被験者に対応するデータを含むことができる(しかしながら、そうである必要はない)。
【0284】
第1、第2および/または第3の訓練データセットは、(例えば)アッセイ結果および/または異常な出血が観察されたかどうかに対応する標識を含むことができる。
【0285】
ブロック940において、変換されたデータ処理ワークフローを使用して、特定の被験者について新たな血友病関連予測が生成される。場合によっては、処置情報(例えば、1回以上の処置実施の時間、投与量および/またはタイプの識別)、ブロック905において受信した被験者固有データセットの一部もしくは全部、および/またはセンサデータに基づく、および/またはセンサデータを含む活動データが、変換されたワークフローに入力される。場合によっては、1つ以上の状態変数および/または中間変数は、最初に識別された機械学習モデルおよび/または最初に識別された機械学習モデルを使用するワークフローから識別される。変換されたデータ処理ワークフローは、構成されてもよく、および/または状態変数および/または中間変数に供給されてもよい。例えば、ブロック920は、治療薬、因子および/または阻害剤の現在のレベルを繰り返し予測することを含むことができ、変換されたデータ処理ワークフローは、予測された現在のレベルを含むように初期化されることができる。
【0286】
血友病関連予測は、因子および/または治療のレベル(例えば、濃度)、凝固時間、異常な出血事象が発生するリスク(例えば、自発的にまたは損傷後に)を予測することができる。血友病関連予測は、ブロック920において生成されたのと同じタイプの予測に対応することができる。変換されたデータ処理ワークフロー内の後処理関数は、変換されたデータ処理ワークフローにおいて使用される機械学習モデルからの出力に基づいて、所与の条件が満たされているかどうかを決定することができる。例えば、後処理関数は、予測値が閾値を超えるか否か(例えば、因子レベル閾値を下回る、治療レベル閾値を下回る、凝固時間閾値を上回る、または異常出血リスク閾値を上回る)を決定することができる。変換されたデータ処理ワークフローにおいて使用される閾値は、初期ワークフローにおいて使用される閾値とは異なることができる。
【0287】
場合によっては、変換されたデータ処理ワークフローに基づいて生成された結果がブロック945において出力される。結果を出力することは、(例えば、特定の被験者に関連するデバイスまたは医療提供者に)結果を表示または送信することを含むことができる。結果は、変換されたデータ処理ワークフローまたはその処理されたバージョンからの出力を含むことができる。場合によっては、結果は(例えば、低い予測因子レベルを識別する)警告または(例えば、被験者が医療提供者に接触するか、またはその逆に、または被験者の処置を容易にするための)命令に対応する。例えば、推奨は、被験者が因子濃縮物、組換え因子濃縮物および/または他の速効性処置の投与を受けることとすることができる。推奨されるおよび/または提供される処置は、被験者が予防的に受けるいずれか、1つまたは全ての処置と異なっていてもよく、または同じであってもよい。
【0288】
結果が出力されるかどうかは、所定の条件が満たされるかどうかに依存することができる。例えば、結果は、変換されたデータ処理ワークフローからの予測が所定の開範囲または閉範囲内にあるときに選択的に出力されてもよい。別の例として、変換されたデータ処理ワークフローからの予測が警告条件の満足を示す1に等しい場合に、結果が選択的に出力されることができる。
【0289】
プロセス900は、さらに、ブロック940からブロック925に戻り、ワークフローが動的に選択され、新たなセンサデータを処理するために使用される。
【0290】
プロセス900の一部または全部は、特定の被験者のデバイスにおいて実行されることができ、プロセス900の一部または全部は、特定の被験者に関連する医療提供者に関連するコンピューティングシステムにおいて実行されることができ、および/またはプロセス900の一部または全部は、遠隔コンピューティングシステムにおいて実行されることができることが理解されよう。
【0291】
図10は、機械学習モデルおよびセンサベースの後処理を使用してモデル予測を生成するためのプロセス1000を示している。プロセス1005は、ブロック1005において始まり、ここで被験者データが受信される。被験者データセットは、(例えば)人口統計データ(例えば、年齢、人種、性別)、身体データ(例えば、体重、身長)、遺伝データ(例えば、一塩基多型変異および/またはコピー数変異体の識別)、(例えば、現在の処置、1つ以上の以前の処置、および/または現在の処置および/または以前の処置が使用された1つ以上の期間を識別する)処置データ、健康データ(例えば、被験者が診断された血友病のタイプ、併存症、被験者が罹患している任意の他の疾患、生理学的メトリック)、(例えば、最近の処置の有無にかかわらず投与された因子レベル、最近の処置の有無にかかわらず投与された因子レベル、最近の処置の有無にかかわらず投与された治療濃度レベルを識別する)検査室データおよび/または症状データ(例えば、出血事象の頻度、最後の出血事象からの時間)を含むことができる。被験者データセットは、最近の、現在の、および/または静的な情報を含むことができ、および/またはそれらからなることができる。処置データは、被験者が受けているまたは最近受けた処置(例えば、セクションII.Dにおいて識別された処置)を識別することができることが理解されよう。検査室データは、アッセイまたは試験(例えば、セクションII.Bにおいて識別されたアッセイまたは試験)の結果を含むことができることも理解されよう。
【0292】
ブロック1010において、処置実施のスケジュールが受信される。スケジュールは、1つ以上の処置が実施された1つ以上の時間を含むことができる。時間は、等間隔であってもよいが、そうである必要はない。ブロック1010は、1つ以上の予防的処置が受けられた時間および/または1つ以上の症状発現処置が受けられた時間に関する情報を受信することを含むことができる。場合によっては、ブロック1010は、特定の被験者が所与の期間内に血友病処置を何も受けていないことを示す。
【0293】
ブロック1015において、センサデータの表現が受信される。センサデータは、被験者に関連するユーザデバイスにおいて収集されていてもよい。デバイスは、(例えば)スマートフォン、ウェアラブルスマートデバイス、スマートウォッチ、スマートヘッドセット、スマートヘッドフォンなどを含むことができる。センサデータは、(例えば)加速度計データ、ジャイロスコープデータおよび/またはGPSデータを含むことができる。センサデータは、生理学的データ(例えば、瞬間心拍数または時間平均心拍数)を含むことができる。複数のタイプのセンサデータ(例えば、加速度計および心拍数データ)が収集されてもよく、その場合、複数のタイプのセンサデータは、同じまたは異なる周波数で収集および/または受信されてもよいことが理解されよう。
【0294】
データの表現は、センサデータ自体またはその処理されたバージョンを含むことができる。例えば、処理されたバージョンは、(例えば、同じセンサによって収集された他のデータ、同じデバイスにおいて収集された他のデータ、および/または他のデバイスにおいて収集された他のデータに対して)正規化または正則化されたメトリックおよび/または1つ以上の統計(例えば、ある期間にわたる生データまたは処理データの合計値、平均値、最大値または中央値)を含むことができる。別の例として、処理バージョンは、所与の期間中に被験者によってとられた推定歩数、所与の期間中に被験者が移動した推定距離、ある期間にわたる推定速度統計(例えば、平均、中央値または最大速度)、または被験者が静止していた期間の推定部分を含むことができる。
【0295】
センサデータは、(例えば)比較的連続的に、定期的に、プル要求に応答して、または更新された予測の要求を受信したことに応答して、受信されることができる。例えば、センサデータの表現を受信することは、被験者デバイスにおいて実行され、被験者デバイスにおいて収集されたセンサデータにローカルにアクセスするアプリケーションを含むことができる。別の例として、センサデータの表現を受信することは、被験者デバイスにおいて収集されたセンサデータの処理されたバージョンを含む、被験者デバイスからの通信を受信する遠隔コンピューティングシステムを含むことができる。
【0296】
ブロック1020において、ある期間にわたる被験者の身体活動が推測される。期間は、(例えば)センサデータが受信された期間またはセンサデータが受信された時点で終了する期間に対応することができる。例えば、センサデータは、被験者デバイスにおいて収集および/または毎分受信されることができ、プロセス1000は、各5分間について、その期間中に収集および/または受信された5つのセンサデータポイントの表現に基づいて身体活動を推測することを含むことができる。別の例として、センサデータは、被験者デバイスにおいて収集され、および/または15分ごとに受信されてもよく、プロセス1000は、15分ごとに、その期間を終了する時点に関連する最近のセンサデータに基づいて、前の期間中に被験者が関与した身体活動を生成することを含んでもよい。
【0297】
身体活動を推測することは、センサデータの表現を使用して、被験者がどの特定のタイプの身体活動に関与したかを推測することを含むことができる。例えば、活動クラスのセットが事前定義されることができ、センサデータ表現が分類器に供給されて活動を予測することができる。所定のクラスは、特定の活動(例えば、睡眠、着席、歩行、ランニング、自転車)および/または活動特性カテゴリ(例えば、非活動、低強度活動、および高強度活動)を含むことができる。
【0298】
分類器は、機械学習モデルまたはルールベースのモデルを含むことができる。例えば、機械学習モデルは、クラスタリングベースのアプローチ(例えば、K平均クラスタリング、ノイズを伴うアプリケーションの密度ベースの空間クラスタリング、平均シフトクラスタリング、期待値最大化クラスタリング、決定木クラスタリング、またはコンポーネントベースのクラスタリング)を使用して、センサデータの別個のクラスタを識別し、初期ルールまたはシグネチャ(例えば、走行が歩行よりも大きな加速度計データに対応する可能性が高いことなどを示す)に基づいて各クラスタの身体活動を推測することができる。別の例として、ルールベースのアプローチは、所定の範囲のセット(例えば、一次元または多次元範囲)のうちのどれがセンサデータ表現を含むかを識別することができ、次いでその範囲に対応する活動を推測することができる。
【0299】
場合によっては、ブロック1020は、時間間隔にわたって被験者によってとられたいくつかの歩数を推測することを含む。歩数計センサからのデータは、歩数を直接識別することができる。歩数は、1つ以上の加速度計、1つ以上のジャイロスコープおよび/または1つ以上のGPSセンサからのデータを使用して推測されることができる。
【0300】
ブロック1025において、ある期間にわたる被験者の生理学的状態が推測される。時間期間は、ブロック1020において身体活動が推測された同じ時間期間に対応することができるが、そうである必要はない。場合によっては、推測された身体活動に基づいて生理学的状態が推測される。例えば、高強度の活動(例えば、ランニング、スピードウォーキング、高強度自転車)は、筋血流を増加させ(これは、治療薬の分布、運動している部位での速度吸収、および運動していない部位での遅い吸収を速めることができる)、血漿量を減少させ(これは、治療薬の分布を遅くすることができる)、腎血流を減少させ(これは、治療薬の排泄を遅くすることができる)、および/または発汗を増加させる(これは、治療薬の排泄を促進することができる)と推測されることができる。
【0301】
場合によっては、生理学的状態は、センサデータの1つ以上の表現に基づいて推測される。例えば、(例えば、皮膚下の酸素化血流を検出し、したがって心拍数を検出するために光信号を使用することができる)加速度計または心拍数モニタからのセンサデータの表現が高い場合、高強度の活動(例えば、ランニング、スピードウォーキング、高強度自転車)は、筋血流を増加させ(これは、治療薬の分布、運動している部位での速度吸収、および運動していない部位での遅い吸収を速めることができる)、血漿量を減少させ(これは、治療薬の分布を遅くすることができる)、腎血流を減少させ(これは、治療薬の排泄を遅くすることができる)、および/または発汗を増加させる(これは、治療薬の排泄を促進することができる)と推測されることができる。
【0302】
場合によっては、プロセス1000は、ブロック1020および1025を含む。場合によっては、プロセス1000は、ブロック1020を含み、1025を含まない。場合によっては、プロセス1000は、ブロック1025を含み、1020を含まない。場合によっては、ブロック1000は、ブロック1020またはブロック1025を含まない。
【0303】
ブロック1030において、血友病関連予測が、機械学習モデルおよびセンサデータ表現(例えば、および/またはセンサデータ表現に基づいて推測される身体活動および/または生理学的状態)を使用して生成される。血友病関連予測は、因子および/または治療のレベル(例えば、濃度)、凝固時間、異常な出血事象が発生するリスク(例えば、自発的におよび/または損傷後に)を予測することができる。
【0304】
機械学習モデルは、本書に開示された1つ以上のモデル(例えば、セクションIII.F)を含むことができる。機械学習モデルは、(例えば)薬物動態モデルおよび/またはニューラルネットワークを含むことができる。血友病関連予測は、機械学習モデルを含み、任意に1つ以上の前処理関数を含み、任意に1つ以上の後処理関数を含むワークフローを使用して生成されることができる。機械学習モデルおよび/またはワークフローは、被験者が血友病処置をいつ受けたか、血友病処置の投与および/またはどの血友病処置を受けたかを示す処置情報に基づいて、受信および/または別の方法で構成されることができる。機械学習モデルおよび/またはワークフローは、処置の可用性、濃度、および/または有効性が時間的にどのように変化するか(例えば、分布、代謝、吸収および/または排泄の結果として)を予測するように、および/または異常な出血事象のリスクを予測するように構成されることができる。身体活動は、(例えば)薬物動態の変化および/または損傷のリスクの変化(非自発的な異常出血のリスクを変化させる可能性がある)のために血友病関連予測に影響を及ぼす可能性があり、機械学習モデルはそのような関係を捕捉することができることが理解されよう。
【0305】
場合によっては、機械学習モデルおよび/またはワークフローは、センサデータが関心のある変数にどのように影響するかを学習するように訓練された。例えば、アッセイ結果(例えば、凝固時間および/または薬物濃度を示す)および/または症状発現データ(例えば、異常な出血事象が発生したかどうかおよび/またはいつ発生したか)は、所与の処置を受けている血友病被験者から、処置の実施と比較してある期間にわたって収集されていてもよい。センサデータは、この期間中にさらに収集されてもよく、モデルおよび/またはワークフローは、センサデータが出力(例えば、アッセイ結果または発現予測に対応する)に影響を及ぼす結果となる1つ以上のパラメータ(例えば、1つ以上の重み、速度定数、スケーリング係数)を学習することができる。血友病被験者の一部または全部は、監視されている時間の一部の間に、1つ以上の活動(例えば、歩行、ランニングなど)に関与するように求められていてもよく、および/または求められていてもよい。場合によっては、訓練された機械学習モデルおよび/または訓練されたワークフローは、その後、入力としてセンサデータの表現を受信することができる。場合によっては、別個のモデルが訓練され、各モデルは、異なるタイプの活動、活動強度および/または生理学的状態に関連付けられる。次いで、ワークフローは、センサデータに基づいて使用するモデルを動的に選択することができ、円滑な遷移および正確な結果を容易にするために、状態変数および/または中間値を前のモデルから現在のモデルに渡すことができる。
【0306】
場合によっては、1つ以上のルールまたは技術が使用されて、速度定数(例えば、薬物動態モデルにおいて使用される)および/または重み(例えば、ニューラルネットワーク、分類器、前処理関数または後処理関数において使用される)が、様々なセンサデータ表現、推測される活動タイプ、推測される活動強度レベルおよび/または推測される生理学的状態に応答してどのように変化するかを決定する。例えば、ルールは、排泄速度定数が高強度活動中に5%増加する(または別の相対量もしくは絶対量だけ速度定数を増加させる、または絶対量もしくは相対量だけ速度定数を減少させる)ことを示すことができる。増加は、一時的であってもよく、および/または(例えば、新たな予測を生成するために以前の予測を使用するモデルに応答して)後続の予測に影響を及ぼしてもよい。別の例として、高強度活動中に異常な出血事象の確率を5%増加させる(または別の相対的もしくは絶対的な量だけ出力を増加させる、もしくは絶対的もしくは相対的な量だけ出力を減少させる)後処理が適用されるべきであるというルールが示されることができる。
【0307】
場合によっては、後処理関数において評価される条件は、様々なセンサデータ表現、推測される活動のタイプ、推測される活動強度レベルおよび/または推測される生理学的状態に応じて変更される。例えば、警告を発するかどうかを決定するために使用される閾値または範囲は、センサデータ表現、推測される活動タイプ、推測される活動強度レベルおよび/または推測される生理学的状態に基づいて定義されてもよい。閾値(または範囲境界)は、(例えば)線形関係、非線形関係、ステップ関数および/または論理ベースの解析に基づいて定義されることができる。例示すると、後処理関数(および/または様々なセンサデータ表現、推測される活動タイプ、推測される活動強度レベルおよび/または推測される生理学的状態に基づいて選択的に使用することができる後処理関数の集合)は、被験者が静止していると推測される場合には、異常な出血が発生する予測確率が10%以上であり、被験者が低強度の活動を行っていると推測される場合には、8%以上であり、被験者が高強度の活動を行っていると推測される場合には、5%以上である場合に、警告を発するように指示してもよい。別の例として、条件は、閾値と運動データ(例えば、推測された強度データ、時間間隔ごとの推測されたステップ)とを関連付ける、または閾値と心拍データとを関連付けるシグモイド関数を使用して、係数閾値が決定されるべきであることを示すことができる。条件は、予測された因子レベル(例えば、機械学習モデルを使用して予測されるように)が閾値を下回る場合に警告が発せられるべきであることを指示することができる。
【0308】
場合によっては、ブロック1035において、血友病関連予測を含む、またはそれに基づく結果が生成および出力されることができる。結果を出力することは、(例えば、特定の被験者に関連するデバイスまたは医療提供者に)結果を表示または送信することを含むことができる。結果は、(例えば)血友病関連予測および/または血友病関連予測に基づいて選択された含有量を含むことができる。例えば、結果は、低い予測治療レベルおよび/または異常な出血事象の高い予測リスクを識別する警告を含むことができる。別の例として、出力される結果は、被験者と医療提供者(例えば、被験者が医療提供者に連絡するために、またはその逆に)との間の通信を容易にするため、現在の活動レベルまたは活動選択を一般的に(例えば、被験者が特定の身体的活動または高強度活動における摂取を停止するために)変更するため、または処置を施すための推奨または指示を含むことができる。例えば、推奨は、被験者が因子濃縮物、組換え因子濃縮物および/または他の速効性処置の投与を受けることとすることができる。推奨されるおよび/または提供される処置は、被験者が予防的に受けるいずれか、1つまたは全ての処置と異なっていてもよく、または同じであってもよい。
【0309】
結果が出力されるかどうかは、(例えば、血友病関連予測を生成するワークフローの一部として評価されてもよく、または別々に評価されてもよい)所定の条件かどうかに依存することができる。例えば、結果は、変換されたデータ処理ワークフローからの予測が所定の開範囲または閉範囲内にあるときに選択的に出力されてもよい。別の例として、変換されたデータ処理ワークフローからの予測が警告条件の満足を示す1に等しい場合に、結果が選択的に出力されることができる。
【0310】
プロセス1000は、血友病関連予測が、動的に選択され、動的に構成され、および/またはセンサデータ表現を処理する1つ以上のワークフローを使用して繰り返し決定されるように、ブロック1030からブロック1015にさらに戻ることができる。
【0311】
プロセス1000の一部または全部は、特定の被験者のデバイスにおいて実行されることができ、プロセス1000の一部または全部は、特定の被験者に関連する医療提供者に関連するコンピューティングシステムにおいて実行されることができ、および/またはプロセス1000の一部または全部は、遠隔コンピューティングシステムにおいて実行されることができることが理解されよう。
【0312】
V.さらなる考察
本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上のデータプロセッサを含むシステムを含む。いくつかの実施形態では、システムは、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、1つ以上のデータプロセッサに、本書に開示された1つ以上の方法の一部または全部および/または1つ以上のプロセスの一部または全部を実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上のデータプロセッサに、本書に開示された1つ以上の方法の一部または全部および/または1つ以上のプロセスの一部または全部を実行させるように構成された命令を含む非一時的機械可読記憶媒体において、有形に具現化されたコンピュータプログラム製品を含む。
【0313】
使用された用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示されて説明された特徴のいかなる均等物またはその一部も除外する意図はないが、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明は、実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本書に開示された概念の変更および変形は、当業者によってあてにされてもよく、そのような変更および変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると見なされることを理解されたい。
【0314】
本説明は、好ましい例示的な実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用可能性または構成を限定することを意図しない。むしろ、好ましい例示的な実施形態の本説明は、様々な実施形態を実装するための可能な説明を当業者に提供する。添付の特許請求の範囲に記載の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更を加えることができることが理解される。
【0315】
実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明において具体的な詳細が与えられる。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで実施形態が実施されることができることが理解されよう。例えば、回路、システム、ネットワーク、プロセス、および他のコンポーネントは、実施形態を不必要に詳細に不明瞭にしないために、ブロック図形式のコンポーネントとして示されてもよい。他の例では、実施形態を不明瞭にすることを避けるために、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技術が不必要な詳細なしに示されてもよい。
【0316】
VI.さらなる例
第1の例は、被験者に対応する被験者固有データセットを受信することであって、被験者固有データセットが、特定の被験者に対応する血友病のタイプ、処置タイプおよび人口統計データを示す、被験者に対応する被験者固有データセットを受信することと、被験者固有データセットを分類器モデルを使用して処理して、集団レベルの機械学習モデルのセットの中から1つ以上の集団レベルの機械学習モデルを識別することであって、集団レベルの機械学習モデルのセットのそれぞれが、血友病を有する他の被験者のセットに対応する訓練セットを使用して訓練された機械学習モデルを含む、1つ以上の集団レベルの機械学習モデルを識別することと、処置タイプの処置が被験者に実施された1つ以上の時間を識別する1つ以上の指示を受信することと、1つ以上の時間を使用して被験者についての血友病関連時間経過を予測し、かつ1つ以上の集団レベルの機械学習モデルのうちの1つの集団レベルの機械学習モデルを使用してデータ処理ワークフローを予測することと、被験者と関連付けられたデバイスにおいて収集されたセンサデータの表現を受信することと、被験者についての血友病関連予測を生成するために、センサデータの表現に基づいて、変換されたデータ処理ワークフローを決定することと、変換されたデータ処理ワークフローを使用して、被験者についての血友病関連予測を生成することと、血友病関連予測に対応する結果を出力することと、を含む、方法を含む。
【0317】
第2の例は、血友病関連予測を生成することは、センサデータに基づいて後処理アルゴリズムを識別することを含み、変換されたデータ処理ワークフローを決定することが、データ処理ワークフローを使用して初期結果を識別することと、センサデータに基づいて後処理関数を決定することと、初期結果および後処理関数を使用して初期結果を変換することと、を含む、例を含む。
【0318】
第3の例は、変換されたデータ処理ワークフローを決定することが、活性化関数を選択することを含む、第1または第2の例を含む。
【0319】
第4の例は、集団レベルの機械学習モデルが薬物動態モデルを含む、第1から第3の例のいずれかを含む。
【0320】
第5の例は、分類器モデルを使用して被験者固有データセットを処理して、1つ以上の集団レベルの機械学習モデルを識別することが、被験者固有データセットを符号化することと、距離ベースのアルゴリズムを使用して、被験者固有データセットの符号化と訓練セットに含まれる他の被験者固有データセットの符号化との間の距離を識別することと、を含む、第1から第4の例のいずれかを含む。
【0321】
第6の例は、少なくとも予測された血友病関連予測を予測された血友病関連時間経過に追加することであって、1つ以上の予測された因子レベルが予測された因子レベルを含む、少なくとも予測された血友病関連予測を予測された血友病関連時間経過に追加することと、被験者と関連付けられたデバイスにおいて収集された新たなセンサデータの別の表現を受信することと、別の表現に基づいて、データ処理ワークフローの使用を再開することを決定することと、データ処理ワークフローおよび追加された時間経過を使用して、被験者についての別の血友病関連予測を生成することと、別の血友病関連予測に対応する別の結果を出力することと、をさらに含む、第1から第5の例のいずれかを含む。
【0322】
第7の例は、センサデータに基づいて、ワークフロー遷移条件が満たされたことを決定することであって、変換されたデータ処理ワークフローが、ワークフロー遷移条件が満たされたとの決定に応答して決定される、ワークフロー遷移条件が満たされたことを決定することをさらに含む、第1から第6の例のいずれかを含む。
【0323】
第8の例は、血友病関連予測を生成することが、集団レベルの機械学習モデルによって最近の時間ステップについて計算された1つ以上の状態または暫定変数を決定することと、1つ以上の状態または暫定変数を使用するように変換されたデータ処理ワークフローを構成することと、を含む、第1から第7の例のいずれかを含む。
【0324】
第9の例は、センサデータが被験者の動きを表す、第1から第8の例のいずれかを含む。
【0325】
第10の例は、センサデータが、被験者の生理学的属性を表す、第1から第8の例のいずれかを含む。
【0326】
第11の例は、予測された血友病関連時間経過が、時点のセットのそれぞれについて、因子、治療薬または有効成分の予測されるレベルを含み、血友病関連予測が、別の時点に関連する因子、治療薬または有効成分の別の予測されるレベルを含む、第1から第10の例のいずれかを含む。
【0327】
第12の例は、予測された血友病関連時間経過が、時点のセットのそれぞれについて、予測された凝固時間または異常な出血事象が発生する確率を含み、血友病関連予測が、別の時点に関連する別の予測された凝固時間または異常な出血事象が発生する別の確率を含む、第1から第10の例のいずれかを含む。
【0328】
第13の例は、結果が、被験者の活動レベルを低下させる推奨を示す、第1から第12の例のいずれかを含む。
【0329】
第14の例は、結果が、異常な出血確率の増加を考慮して被験者を処置する推奨を示す、第1から第12の例のいずれかを含む。
【0330】
第15の例は、結果に基づいて、被験者を血友病処置によって処置することをさらに含む、第1から第14のいずれかの例を含む。
【0331】
第16の例は、血友病処置が、1つ以上の時間において実施される処置タイプの処置とは異なる、第15の例のいずれかを含む。
【0332】
第17の例は、1つ以上のデータプロセッサと、1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、1つ以上のデータプロセッサに、本書に開示されている1つ以上の方法の一部または全部(例えば、第1から第16の例のいずれか)を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を含むシステムを含む。
【0333】
第18の例は、1つ以上のデータプロセッサに、本書に開示される1つ以上の方法の一部または全部(例えば、第1から第16の例のいずれか)を実行させるように構成された命令を含む非一時的機械可読記憶媒体において、有形に具現化されたコンピュータプログラム製品を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10