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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20241107BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20241107BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2023521321
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2021078220
(87)【国際公開番号】W WO2022079052
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】2016481.0
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ロクトマン, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ビュロー, デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン, ジェームズ
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504134(JP,A)
【文献】特表2019-518432(JP,A)
【文献】特表2019-522985(JP,A)
【文献】特表2020-527952(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0049472(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0191769(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスチャンバを有するデバイスハウジングと、
前記デバイスチャンバに少なくとも一部が受容されるように構成された取り外し可能なレセプタクルであり、
基部と、
前記基部から延びた壁構造体で、前記基部及び前記壁構造体が、エアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を取り外し可能に受容するように構成された加熱チャンバを規定する、壁構造体と、
前記加熱チャンバに受容されたエアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を加熱する加熱要素と、
を備えた、レセプタクルと、
を備えたエアロゾル供給デバイスであって、
前記レセプタクルが、前記壁構造体内に閉鎖チャネルを有し、前記壁構造体内の前記閉鎖チャネルが、前記レセプタクルが前記デバイスチャンバ内に受容された場合に空気流を前記加熱チャンバに供給するように前記デバイスチャンバ内において少なくとも部分的に受容され
前記閉鎖チャネルは、空気入口、空気出口、及び前記空気入口と前記空気出口との間の流体隔離部を有する、エアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記加熱要素が、前記基部から前記加熱チャンバ中に突き出た、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記レセプタクルが、軸を規定し、前記閉鎖チャネルが、前記軸の方向に延びた、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記レセプタクルの近位端に前記加熱チャンバへの開口を備え、前記基部が、前記レセプタクルの遠位端にあり、前記閉鎖チャネルが、前記遠位端と前記近位端との間で延びた、請求項3に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記空気入口前記近位端にある、請求項4に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
前記空気入口が、前記開口の周りに延びた、請求項5に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記閉鎖チャネルが、前記加熱チャンバへの前記空気出口を備えた、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記空気出口が、前記基部に近い、請求項7に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
前記壁構造体が、外壁及び内壁を備え、前記閉鎖チャネルが、前記外壁と前記内壁との間に形成された、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記外壁が、前記基部から延び、
前記外壁及び前記基部が、カップを形成する、請求項9に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記空気出口が、前記内壁に形成された、請求項9又は10に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
前記空気出口が、前記内壁の周りに環状である、請求項11に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項13】
前記内壁が、前記外壁に取り外し可能に取り付けられた、請求項9~12のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項14】
前記空気出口が、前記基部と前記内壁との間である、請求項9~13のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項15】
前記レセプタクルが、複数の閉鎖チャネルを備えた、請求項~14のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項16】
前記内壁を前記外壁に固定するリブを備え、前記リブが、前記内壁に沿って軸方向に延び、前記外壁と前記内壁との間に複数の閉鎖チャネルを規定する、請求項15に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項17】
前記レセプタクルが前記エアロゾル供給デバイスに固定された場合に、前記加熱要素と熱連通するように構成された熱センサを備えた、請求項1~16のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項18】
前記加熱要素を前記熱センサに対して熱的に接続するプレートを備えた、請求項17に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項19】
前記プレートが、前記レセプタクルの一部を形成し、前記エアロゾル供給デバイスから取り外し可能となっている、請求項18に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項20】
前記加熱要素が、前記基部に対して取り外し可能に固定された、請求項1~19のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項21】
前記レセプタクルが、前記エアロゾル供給デバイスに対する前記基部の回転によって前記レセプタクルが前記エアロゾル供給デバイスに対して固定可能又は取り外し可能となるように構成された、請求項20に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、
前記エアロゾル供給デバイスの前記レセプタクル内に受容された取り外し可能な物品と、
を備えたシステム。
【請求項23】
エアロゾル供給デバイス用の取り外し可能なインサートであって、
エアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を取り外し可能に受容するように構成された加熱チャンバを規定するレセプタクルと、
前記加熱チャンバに受容されたエアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を加熱する加熱要素と、
を備え、
前記レセプタクルが、近位端の開口と、遠位端の基部と、前記近位端と前記遠位端との間で延びた壁構造体と、を備え、前記壁構造体に沿って空気流を供給する閉鎖チャネルが前記壁構造体内に規定され
前記閉鎖チャネルは、空気入口、空気出口、及び前記空気入口と前記空気出口との間の流体隔離部を有する、インサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイスに関する。また、本発明は、エアロゾル供給デバイス及びエアロゾル生成材料を含む物品を備えたエアロゾル供給システム、エアロゾル供給デバイスを含む部品キット、並びにエアロゾル供給デバイスを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シガレット、シガー等の喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させて、タバコ煙を生成する。燃焼なしに化合物を放出させる製品の創出によって、これらタバコを燃焼させる物品の代替物を提供しようとする試みがなされている。このような製品の例は、材料を燃焼させずに加熱することによって化合物を放出させる加熱デバイスである。この材料は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品が考えられ、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様によれば、デバイスチャンバを有するデバイスハウジングと、デバイスチャンバに少なくとも一部が受容されるように構成された取り外し可能なレセプタクルであり、基部と、基部から延びた壁構造体で、基部及び当該壁構造体が、エアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を取り外し可能に受容するように構成された加熱チャンバを規定する、壁構造体と、加熱チャンバに受容されたエアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を加熱する加熱要素と、を備えた、レセプタクルと、を備えたエアロゾル供給デバイスであって、レセプタクルが、壁構造体内に閉鎖チャネルを有し、壁構造体内の閉鎖チャネルが、レセプタクルがデバイスチャンバ内に受容された場合に空気流を加熱チャンバに供給するようにデバイスチャンバ内において少なくとも部分的に受容される、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0004】
上記の一実施形態において、加熱要素は、基部から加熱チャンバ中に突き出ている。
【0005】
上記のいずれかの別の実施形態において、レセプタクルは、軸を規定し、閉鎖チャネルは、軸の方向に延びている。
【0006】
上記のいずれかの別の実施形態において、このエアロゾル供給デバイスは、レセプタクルの近位端に加熱チャンバへの開口を備え、基部は、レセプタクルの遠位端にあり、閉鎖チャネルは、遠位端と近位端との間に延びている。
【0007】
上記のいずれかの別の実施形態において、閉鎖チャネルは、半径方向に延びた空気入口を近位端に備える。
【0008】
上記のいずれかの別の実施形態において、空気入口は、開口の周りに延びている。
【0009】
上記のいずれかの別の実施形態において、閉鎖チャネルは、加熱チャンバへの空気出口を備える。
【0010】
上記のいずれかの別の実施形態において、空気出口は、基部に近い。
【0011】
上記のいずれかの別の実施形態において、空気出口は、半径方向に延びている。
【0012】
上記のいずれかの別の実施形態において、壁構造体は、外壁及び内壁を備え、閉鎖チャネルは、外壁と内壁との間に形成されている。
【0013】
上記のいずれかの別の実施形態において、外壁は、基部から延びている。
【0014】
上記のいずれかの別の実施形態において、外壁及び基部は、カップを構成する。
【0015】
上記のいずれかの別の実施形態において、カップは、流体バリアを構成する。
【0016】
上記のいずれかの別の実施形態において、空気出口は、内壁に形成されている。
【0017】
上記のいずれかの別の実施形態において、空気出口は、内壁の周りに環状である。
【0018】
上記のいずれかの別の実施形態において、内壁は、外壁に取り外し可能に取り付けられている。
【0019】
上記のいずれかの別の実施形態において、外壁及び基部は、一体的に形成されている。
【0020】
上記のいずれかの別の実施形態において、内壁の内部は、加熱チャンバを規定する。
【0021】
上記のいずれかの別の実施形態において、空気出口は、基部と内壁との間である。
【0022】
上記のいずれかの別の実施形態において、レセプタクルは、複数の閉鎖チャネルを備える。
【0023】
上記のいずれかの別の実施形態において、このエアロゾル供給デバイスは、内壁を外壁に固定するリブを備え、リブは、内壁に沿って軸方向に延び、外壁と内壁との間に複数の閉鎖チャネルを規定する。
【0024】
上記のいずれかの別の実施形態において、閉鎖チャネルは、環状であり、内壁の周りで周方向に延びている。
【0025】
上記のいずれかの別の実施形態において、このエアロゾル供給デバイスは、加熱アセンブリが当該エアロゾル供給デバイスに固定された場合に、加熱要素と熱連通するように構成された熱センサを備える。
【0026】
上記のいずれかの別の実施形態において、熱センサは、熱電対である。
【0027】
上記のいずれかの別の実施形態において、このエアロゾル供給デバイスは、加熱要素を熱センサに対して熱的に接続するプレートを備える。
【0028】
上記のいずれかの別の実施形態において、プレートは、加熱アセンブリとともに当該エアロゾル供給デバイスから取り外し可能となるように、加熱アセンブリに接続されている。
【0029】
上記のいずれかの別の実施形態において、プレートは、加熱アセンブリがプレート及び当該エアロゾル供給デバイスから取り外し可能となるように、当該エアロゾル供給デバイスに接続されている。
【0030】
上記のいずれかの別の実施形態において、加熱要素は、基部に対して取り外し可能に固定されている。
【0031】
上記のいずれかの別の実施形態において、加熱アセンブリは、当該エアロゾル供給デバイスに対する基部の回転によって当該加熱アセンブリが当該エアロゾル供給デバイスに対して固定可能又は取り外し可能となるように構成されている。
【0032】
上記のいずれかの別の実施形態において、当該エアロゾル供給デバイス及び加熱アセンブリは、当該エアロゾル供給デバイスに対する基部の回転に応答して係合するように構成された相補係止機構を備える。
【0033】
上記のいずれかの別の実施形態において、加熱要素は、サセプタを備え、当該エアロゾル供給デバイスは、サセプタへのエネルギー供給により加熱するように構成された少なくとも1つの誘導コイルを備える。
【0034】
上記のいずれかの別の実施形態において、少なくとも1つの誘導コイルは、別々にエネルギー供給可能な2つの誘導コイルを含む。
【0035】
本開示の一態様によれば、上記のいずれかに記載のエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル供給デバイスの加熱アセンブリ内に受容された取り外し可能な物品と、を備えたシステムが提供される。
【0036】
本開示の一態様によれば、エアロゾル供給デバイス用の取り外し可能なインサートであって、エアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を取り外し可能に受容するように構成された加熱チャンバを規定するレセプタクルと、加熱チャンバに受容されたエアロゾル生成材料を含む物品の少なくとも一部を加熱する加熱要素と、を備え、レセプタクルが、近位端の開口と、遠位端の基部と、近位端と遠位端との間に延びた壁構造体と、を備え、壁構造体に沿って空気流を供給する閉鎖チャネルが壁構造体内に規定された、インサートが提供される。
【0037】
本発明の別の特徴及び利点については、本発明の好適な実施形態に関する以下の説明から明らかとなるであろうが、これは、添付の図面を参照しつつ、一例として示しているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】エアロゾル供給デバイスの一例の斜視図である。
図2図1のエアロゾル供給デバイスの正面断面図である。
図3図2の部分拡大図である。
図4A】デバイスのその他の部分から切り離した加熱アセンブリの斜視図である。
図4B図4Aの加熱アセンブリの断面図である。
図5図4A及び図4Bの加熱アセンブリがデバイスハウジングに挿入されたデバイスの上面図である。
【0039】
[詳細な説明]
本明細書において、用語「エアロゾル生成材料(aerosol generating material)」は、通常はエアロゾルの形態で、加熱時に揮発成分を与える材料を含む。エアロゾル生成材料には、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、エアロゾル生成材料としては、他の非タバコ製品も挙げられ、製品によっては、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。エアロゾル生成材料は、例えば固体、液体、ゲル、ワックス等の形態であってもよい。また、エアロゾル生成材料は例えば、材料の組み合わせ又は混合であってもよい。また、エアロゾル生成材料は、「喫煙材」として知られる場合もある。
【0040】
エアロゾル生成材料を加熱して当該エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させることにより、通常はエアロゾル生成材料の燃焼(burn又はcombust)なく吸引可能なエアロゾルを形成する装置が知られている。このような装置は、「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」、又は「タバコ加熱デバイス」等として記載される場合がある。同様に、通常は液体の形態のエアロゾル生成材料(ニコチンを含む場合もあれば、含まない場合もある)を気化させる、いわゆるeシガレットデバイスが存在する。エアロゾル生成材料は、装置に挿入可能なロッド、カートリッジ、又はカセット等の一部の形態であってもよいし、一部として提供されるようになっていてもよい。
【0041】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を含む物品を受容して加熱することができる。これに関連して、「物品」は、使用時にエアロゾル生成材料を具備又は含有し、加熱されてエアロゾル生成材料及び任意選択として使用中の他の成分を揮発させるコンポーネントである。ユーザが物品をエアロゾル供給デバイスに挿入した後、当該エアロゾル生成デバイスが加熱されて、ユーザが後で吸引するエアロゾルが生成されるようになっていてもよい。物品は、例えば当該物品を受容するようにサイズ規定されたデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように構成された予め定められたサイズであってもよいし、特定のサイズであってもよい。
【0042】
図1は、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給デバイス100の一例を示している。概略として、デバイス100は、消耗品としても知られるエアロゾル生成媒体を含む交換式物品110を加熱して、当該デバイス100のユーザが吸引するエアロゾル又は他の吸引可能媒体を生成するのに用いられるようになっていてもよい。
【0043】
デバイス100は、当該デバイス100の様々な構成要素を囲んで収容する(外カバー108を含む)ハウジング102を備える。デバイス100は、物品110を挿通して加熱アセンブリ200(図2参照)により加熱可能な開口104を一端に有する。使用時、物品110は、加熱アセンブリ200に全部又は一部が挿入され、加熱アセンブリ200の1つ又は複数の構成要素により加熱されるようになっていてもよい。
【0044】
また、デバイス100は、ボタン又はスイッチ等、押された場合に当該デバイス100を動作させるユーザ操作可能な制御要素112を具備していてもよい。例えば、ユーザは、スイッチ112の操作によって、デバイス100をオンするようにしてもよい。
【0045】
デバイス100は、長手方向軸101を規定する。
【0046】
図2は、図1のデバイス100の模式正面断面図である。デバイス100は、外カバー108、第1の端部材106、及び第2の端部材116を備える。デバイス100は、筐体109、動力源118、及び加熱アセンブリ200を含むエアロゾル生成アセンブリ111を具備する。デバイス100は、少なくとも1つの電子機器モジュール122をさらに備える。
【0047】
外カバー108は、デバイスシェルの一部を形成する。第1の端部材106は、デバイス100の一端に配置されており、第2の端部材116は、デバイス100の反対端に配置されている。第1及び第2の端部材106、116が外カバー108を閉じている。また、第1及び第2の端部材106、116は、シェルの一部を形成している。実施形態において、デバイス100は、物品110が適所にない場合に、第1の端部材106に対する移動によって開口104を閉鎖し得る蓋(図示せず)を備える。
【0048】
また、デバイス100は、コネクタ/ポート120等、ケーブルを受容して当該デバイス100のバッテリを充電可能な電気的構成要素を備えていてもよい。例えば、コネクタは、USB充電ポート等の充電ポートであってもよい。いくつかの例において、コネクタは、上記の追加又は代替として、デバイス100とコンピュータデバイス等の別のデバイスとの間のデータの転送に用いられるようになっていてもよい。
【0049】
デバイス100は、筐体109を具備する。筐体109は、外カバー108により受容される。エアロゾル生成アセンブリ111は加熱アセンブリ200を備え、そこに使用時に物品110の全部又は一部を挿入して物品110を加熱アセンブリ200の1つ又は複数の構成要素により加熱可能である。エアロゾル生成アセンブリ111及び動力源118は、筐体109に搭載されている。筐体109は、一体型の構成要素である。
【0050】
一体型の構成要素は、デバイス100の組み立て後に2つ以上の構成要素に分離できないデバイス100の構成要素を表す。一体的な形態は、製造段階において一体型の構成要素となるように形成された2つ以上の特徴に関連する。
【0051】
第1及び第2の端部材106、116は一体的に、デバイス100の端面を少なくとも部分的に規定する。例えば、第2の端部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に規定する。また、外カバー108の縁部が端面の一部を規定していてもよい。第1の端部材及び第2の端部材116が外カバー108の開放端を閉じている。第2の端部材116は、筐体109の一端に存在する。
【0052】
開口104に最も近いデバイス100の端部は、使用時にユーザの口に最も近いため、デバイス100の近位端(又は、口端)として知られていると考えられる。使用時、ユーザは、物品110を開口104に挿入し、ユーザ制御要素112を操作してエアロゾル生成材料の加熱を開始し、デバイス中で生成されたエアロゾルを利用する。これにより、流路に沿ってデバイス100の近位端に向かって、エアロゾルがデバイス100を流れる。
【0053】
開口104から最も遠いデバイスの他端は、使用時にユーザの口から最も遠くなる端部であるため、デバイス100の遠位端として知られていると考えられる。デバイス中で生成されたエアロゾルをユーザが利用する場合、エアロゾルは、デバイス100の近位端に向かう方向に流れる。デバイス100の特徴に適用する場合の近位(proximal)及び遠位(distal)という用語は、軸101に沿った近位-遠位方向におけるそのような特徴相互の相対的な配置を参照することにより説明される。
【0054】
動力源118は、例えば充電式バッテリ又は非充電式バッテリ等のバッテリである。好適なバッテリの例としては、例えばリチウムバッテリ(リチウムイオンバッテリ等)、ニッケルバッテリ(ニッケルカドミウムバッテリ等)、及びアルカリバッテリが挙げられる。バッテリは、エアロゾル生成アセンブリ111に対して電気的に結合され、必要に応じて電力を供給するとともに、コントローラ121の制御下でエアロゾル生成材料を加熱する。
【0055】
動力源118及びエアロゾル生成アセンブリ111は、動力源118がデバイス100の遠位端、エアロゾル生成アセンブリ111がデバイス100の近位端となるように軸方向配置にて配設されている。他の配置も考えられる。
【0056】
電子機器モジュール122は、例えばプリント配線板(PCB)123を備えていてもよい。PCB123は、プロセッサ等の少なくとも1つのコントローラ121及びメモリを支持していてもよい。また、PCB123は、デバイス100の様々な電子的構成要素を電気的に一体接続する1つ又は複数の電気的トラックを備えていてもよい。例えば、電力をデバイス100全体に配分可能となるように、バッテリ端子119a、119bがPCB123に対して電気的に接続されていてもよい。また、コネクタ120は、電気的トラックを介して、バッテリ118に対して電気的に結合されていてもよい。
【0057】
エアロゾル生成アセンブリ111は、誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスによって物品110のエアロゾル生成材料を加熱する様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電体(サセプタ等)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素(例えば、1つ又は複数のインダクタコイル)と、交流等の変動電流を誘導要素に通過させるデバイスとを備えていてもよい。誘導要素中の変動電流は、変動磁場を生成する。変動磁場は、誘導要素に対して好適に配置されたサセプタに侵入して、サセプタの内側に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対する電気抵抗を有するため、この抵抗に対する渦電流の流れによって、サセプタがジュール加熱により加熱される。また、サセプタが鉄、ニッケル、又はコバルト等の強磁性材料を含む場合は、サセプタ中の磁気ヒステリシス損すなわち変動磁場との位置合わせの結果としての磁性材料中の磁気双極子の変動配向によっても熱が生成される。誘導加熱においては、例えば伝導による加熱と比較して、サセプタの内側で熱が生成されるため、急速加熱が可能となる。さらに、誘導加熱器とサセプタとの間の物理的な接触が一切不要なため、構成及び用途の自由度が増す。
【0058】
温度センサ150、例えば熱電対がサセプタと熱連通して、電子機器モジュール122に接続されている。図示の実施形態においては、熱電対150とサセプタとの間に伝熱プレート140が配置され、熱電対150とサセプタとの間の熱連通を促進する。
【0059】
熱電対150は、デバイス100の使用時にサセプタの温度をモニタリングして、この情報を電子機器モジュール122に供給する。これにより、電子機器モジュール122及びコントローラ121は、例えば動力源118によって供給される電力の量を調整することにより、デバイス100の使用時の必要に応じて、サセプタの温度をモニタリング・調整可能となる。熱電対150としては、白金ロジウム熱電対(すなわち、B型)等の任意の好適な熱電対が可能である。
【0060】
温度を検知する他のデバイスと比較して、熱電対150は、より堅牢で耐久性があり、電力効率がよく、正確な温度測定を容易化可能である。それにも関わらず、本開示の範囲内の他の例において、温度センサとしては、抵抗温度検出器、サーミスタ、赤外線センサ等、その他任意の好適な温度センサが可能である。
【0061】
図3は、加熱アセンブリ200及びインダクタコイルアセンブリ127を含むエアロゾル生成アセンブリ111の部分拡大断面図である。
【0062】
エアロゾル生成アセンブリ111は、インダクタコイルアセンブリ127及び加熱アセンブリ200を備える。インダクタコイルアセンブリ127は、加熱アセンブリ200の周りに延びている。インダクタコイルアセンブリ127は、コイル支持部126を備える。インダクタコイルアセンブリ127は、加熱アセンブリ200に巻き付けられ(すなわち、加熱アセンブリ200を囲み)、支持部126により規定された溝129に配設されたインダクタコイル124を含む。また、インダクタコイルアセンブリ127は、デバイスハウジング102に固定して取り付けられている。コイル支持部126は、デバイスハウジング102の一部を形成していてもよい。
【0063】
加熱アセンブリ200は、使用時に物品110を加熱する加熱要素210を含む。図3の例示的な実施形態において、加熱要素は、サセプタ構成体210である(本明細書においては、「サセプタ」と称する)。他の例において、加熱要素としては、別の種類(例えば、抵抗加熱器)も可能である。本例のサセプタ210は、ブレード状サセプタ210である。物品110は、サセプタ210の上又は周りに挿入可能である。ブレード状サセプタ210は、その軸方向長さの大部分に沿って一定の矩形断面を有し、ブレード先端212へと先細りしていてもよい。他の例において、軸方向断面は、サセプタ210の軸方向長さに沿ってブレード先端212まで変化していてもよい。
【0064】
ブレード状サセプタ210を図示しているが、本開示の範囲内においては、サセプタ210のその他任意の好適な形状又は形態も使用可能であることが了解されるものとする。例えば、サセプタ210としては、例えばその軸方向長さに沿った一定の円形断面がピン先端へと先細りするピン状も可能であるし、先端又はテーパ部を省略した軸方向長さに沿った断面が一定又は可変のロッド状(例えば、円筒状ロッド又は正方形ロッド)も可能である。別の例において、サセプタ210は、物品110/エアロゾル生成材料が受容される管状部材であってもよい。このようなサセプタは、外側サセプタである。このような例において、サセプタは、物品110を受容して加熱可能な加熱チャンバの少なくとも一部を規定する周壁(例えば、環状壁)を規定していてもよい。このような例においては、上述のブレード状の実施形態のように物品110がサセプタを囲む代わりに、サセプタが物品110を囲んでいる。外側サセプタの断面プロファイルは、多様なプロファイル形状に形成され得ることが了解される。
【0065】
また、他の例においては、複数のサセプタ(例えば、2つ以上の別個のサセプタ)が設けられていてもよく、必要に応じて異なる構成であってもよいし、類似の構成であってもよい(例えば、ピン状、ブレード状、ロッド状、又は管型等)。
【0066】
サセプタ210は、電磁誘導による加熱に適した導電材料により形成されている。本例におけるサセプタは、炭素鋼により形成されている。他の好適な材料(例えば、鉄、ニッケル、又はコバルト等の強磁性材料)も使用可能であることが了解される。
【0067】
他の実施形態において、加熱要素として作用する機構は、誘導加熱に限定されなくてもよい。したがって、加熱要素として作用する機構は、電気抵抗により加熱可能であってもよい。このため、加熱アセンブリ200は、装置との電気的接続によって、電気エネルギーを加熱要素に流すことで加熱要素を電気的に起動するための電気接点を備えていてもよい。このような実施形態においては、必要に応じてインダクタコイルアセンブリ127を省略可能である。
【0068】
インダクタコイル124は、導電材料により構成されている。本例において、インダクタコイル124は、螺旋状に巻回されてヘリカルインダクタコイル124を提供するリッツ線/ケーブルにより構成されている。リッツ線は、個別に絶縁され、一体的な撚り合わせによって単一のワイヤを形成する複数の個々のワイヤを備える。リッツ線は、導電体の表皮効果損を抑えるように設計されている。例示的なデバイス100において、インダクタコイル124は、断面が円形の銅リッツ線により構成されている。他の例において、リッツ線は、矩形等、他の形状の断面を有し得る。インダクタコイル124は、PCB123への接続により、電子機器モジュール122及びスイッチ112を用いた誘導加熱の起動を制御可能である。
【0069】
また、使用するインダクタコイルの数が異なっていてもよい。例えば、図3に示す加熱アセンブリ200のインダクタコイルアセンブリ127は、コイル124を1つしか備えていないが、任意数の好適なコイルを特徴とし得ることが了解されるものとする。付加的なコイルの使用により、サセプタ210に対して異なる加熱特性を有する異なる加熱ゾーンを提供する(例えば、サセプタ210の軸方向長さに沿った異なるエリアへの異なる加熱条件の付与並びに/又は異なる時間若しくは異なる使用事例におけるサセプタ210への異なる加熱条件の付与を行う)ようにしてもよい。また、付加的なコイルの提供により、加熱アセンブリ200に配設し得る付加的なサセプタ(図示せず)において熱を生成するようにしてもよい。
【0070】
また、加熱アセンブリ200は、レセプタクル230を具備する(図4A及び図4Bにより詳しく示す)。レセプタクル230は、使用時に物品110が受容される加熱チャンバ220を規定する。図示の実施形態において、レセプタクル230は、サセプタ210を囲み、使用時に物品110を受容して加熱可能な環状空間をサセプタ210との間に提供する環状体である。
【0071】
コイル支持部126及び開口104は、レセプタクル230を受容して相互作用することにより、加熱アセンブリ200を適所に固定するデバイスチャンバ105をデバイスハウジング102内に規定する。実施形態において、デバイスチャンバ105は、コイル支持部126以外の別の特徴により規定される。コイル支持部105は、内壁を構成する。内壁は、カップ状である。
【0072】
レセプタクル230は、使用時に取り外し及び交換が可能となるように、チャンバ105内において取り外し可能に配設されている。この特徴によって、レセプタクル230(及び、その他の加熱アセンブリ構成部品)の洗浄のほか、破損又は故障の際のレセプタクル230(及び、その他の加熱アセンブリ構成部品)の交換が容易となる。
【0073】
図示の例において、レセプタクル230は完全に、チャンバ105の内側に配設されている。他の例においては、レセプタクル230がチャンバ105に受容された場合に、レセプタクル230の一部(例えば、その近位端におけるリップ又はフランジ等)が依然として、デバイスチャンバ105の外側に延びていてもよい。したがって、このような例においては、レセプタクル230がチャンバ105において「部分的に取り外し可能に配設」されていてもよい。本開示は、このようなすべての例を網羅する。
【0074】
図4A及び図4Bは、加熱アセンブリ200及びレセプタクル230をより詳しく示している。レセプタクル230は、加熱アセンブリ200の長手方向軸201に関して互いに同心状の環状の外壁及び内壁231a、231bを具備する。外壁231aは、外側シェルを形成する。内壁231bは、内側シェルを形成する。図2及び図3に示すように、加熱アセンブリ200がデバイスハウジングチャンバ205に挿入された場合、加熱アセンブリ200の長手方向軸201は、デバイス100の長手方向軸101と実質的に同軸である。
【0075】
外壁231aは、レセプタクル230の開口/入口端233aから反対の基部233bまで軸方向に延びている。外壁231aは、基部233b自体を規定していてもよく、また、基部233bと一体的に形成されていてもよい。或いは、基部233bを外壁231aに別途取り付けることも可能である。外壁231aは、カップを形成する。開口/入口端233aは、レセプタクルがデバイスハウジングチャンバ105に挿入された場合にデバイス100の入口104に位置する加熱アセンブリ200の端部であるため、そのように称する。したがって、デバイス100に関連して上述した通り、開口/入口端233aを加熱アセンブリ200の近位端(又は、口端)とも称し得る一方、基部233bを加熱アセンブリ200の遠位端とも称し得る。
【0076】
基部233bは、加熱要素210が受容されて(軸方向に)突き出る開口部238を規定する。加熱要素210は、基部214及び開口部238に受容される基部214の周りの固定フランジ216を規定する。固定フランジ216及び基部214は、開口部218に圧入されていてもよい。ただし、例えばインサート成形、締まり嵌め、ねじ込み式嵌合等、レセプタクル230の適所に加熱要素210を固定するその他任意の好適な方法が用いられるようになっていてもよい。実施形態において、開口部238としては、代わりにブラインドキャビティ/凹部も可能であるし、レセプタクル230の適所への加熱要素210の取り付けに用いられる固定方法に依っては、完全に省略されていてもよい。
【0077】
加熱要素210は、レセプタクル230自体の一部となって支持されるように、レセプタクル230に固定して取り付けられている。このように、加熱要素210は、レセプタクル230ととものその一部としてデバイスハウジングチャンバ105から取り外し可能である。
【0078】
加熱要素210は、レセプタクル230の基部233bが流体を透過させないように、レセプタクル230の基部233bと流体密封シールを形成する。したがって、加熱チャンバ220は、その遠位端が流体密封に構成されている。したがって、エアロゾル化プロセスにおいて生成された如何なる残留又は凝縮副生成物もレセプタクル230に閉じ込められ、基部233bに集まる。その後、デバイス100の内部構成要素の損傷の原因となり得る残留物又は凝縮物へのデバイス100の曝露なく、レセプタクル230をデバイス100から取り外して洗浄又は交換することができる。
【0079】
図示の実施形態において、レセプタクル230の外壁231a及び基部233bは、流体密封の加熱チャンバ220を規定するカップを一体的に形成しており、デバイス100の内部が曝露される残留物及び凝縮物を制限することによって、デバイス100をさらに保護可能である。図示の実施形態において、外壁231a及び基部233bは、一体的な形成によって、カップ及び流体密封の加熱チャンバ220を提供する。
【0080】
デバイス100に熱電対150又は他の熱センサが設けられた実施形態においては、(図3に関連して上述した通り)加熱要素210及び熱電対150を熱的に接続するためのプレート140が設けられていてもよい。プレート140は、レセプタクル230の一部を形成していてもよく、また、一体的に取り外し可能であってもよい。レセプタクル230のデバイス100への挿入により、プレート140は、熱電対150と係合して熱連通する。或いは、プレートは、デバイス100の一部を形成していてもよく、レセプタクル230のデバイス100への挿入により、加熱要素210の底部がプレート140と係合して熱連通する。
【0081】
加熱要素210は追加として、レセプタクル230自体から別個に取り外し可能であってもよい。例えば、加熱要素210は、レセプタクル230に対して、固定取り付けの代わりに、取り外し可能に固定することも可能である。例えば、ねじ込み受容、バヨネット嵌合による受容、又は引き離しが可能な対応するコネクタと締まり嵌める加熱要素210上のコネクタの使用によって可能である。
【0082】
これによって、加熱要素210の洗浄及び/又は交換が容易となり得る。この加熱要素210の交換に関する改良は、加熱要素210の破損若しくは故障のため、レセプタクル230全体を交換することなく交換する必要がある場合、又は、加熱要素210が依然として新たなレセプタクルで使用可能であることによりレセプタクル230を交換する必要がある場合に有用となり得るが、取り外し可能であることは、異なる使用事例に対する異なる加熱要素210の交換にも有用となり得る。例えば、特定の使用事例又は物品110では、別のものに異なる形状/種類の発熱要素210を求める場合がある。
【0083】
内壁231bは、近位端233aから基部233bに向かって軸方向に延びているが、基部233bにつながってはいない。内壁231bは、基部233bの軸方向手前で停止して、当該内壁231bと基部233bとの間の基部近くに軸方向間隙G又は空気出口を形成している。図示の例において、軸方向間隙Gは、基部233bと内壁231bとの間で加熱要素210の周りに環状の空隙を提供する。
【0084】
内壁231bは、近位端233aにおけるテーパ状表面235を特徴とする。テーパ状表面235は、近位端231bから長手方向軸201に向かってある角度で先細りとなっている。テーパ状表面235は、物品110の加熱アセンブリ200及び加熱チャンバ220への挿入の容易化に役立ち得る。例えば、加熱要素210の周りでの加熱チャンバ220への挿入時の物品110の正しい位置合わせを容易化し得る。
【0085】
外壁231a及び内壁231bは、半径方向に離隔するとともに、例えば半径方向に延びたリブ236によって接続されている。リブ236は、内壁231bを外壁231a内の適所に固定する。外壁231aと内壁231bとの間には、壁231a、231bの周方向に多くのリブ236が離散的に配設されている。図示の例においては、このような4つのリブ236が壁231a、231bの周方向に等間隔で存在する。ただし、任意の好適な数及び間隔のリブ236を使用することも可能である。
【0086】
他の例において、外壁及び内壁231a、231bは、他の手段(例えば、単一の実質的に環状の通路又はチャネルなどにおける空気流のため、外壁及び内壁231a、231b間でほぼ連続した空間を可能にするピン接続)によって接続することも可能である。
【0087】
図示の実施形態において、リブ236は、内壁231bの長さ全体に沿って軸方向に延びている。ただし、リブ236は、壁231a、231bを互いに適所で同心状に保持するのに必要な支持を与えるのに十分な任意の好適の軸方向距離だけ壁231a、231b間に延びていてもよい。
【0088】
外壁231a、内壁231b、及びリブ236の組み合わせによって、近位端233aにスロット234又は空気入口が規定されるとともに、レセプタクル230内で軸方向に延びた通路237又はチャネルが形成される。通路又はチャネルは、閉じている。すなわち、これらは、入口、出口、及び入口と出口との間の流体隔離部を備え、空気が入口から出口まで通過するようになっている。流体隔離部は、入口及び出口を除いて、加熱チャンバ220及びレセプタクル230の外部から流体的に隔離されている。
【0089】
スロット234及び通路237の数及びサイズは、リブ236のサイズ、間隔、及び数に依り必要に応じて変更可能である。さらに、スロット234及び通路237は、近位端233aにおいて規定する必要がない。例えば、リブ236は、レセプタクル230内の任意の好適な軸方向位置(例えば、基部231b寄り又は壁231a、231bの軸方向長さに沿った途中)に存在可能である。さらに、スロット234及び通路237は代替として、内壁及び外壁231a、231b間で軸方向に延びた単一の(例えば、実質的に環状で、実質的に内壁の全周に延びた)スロット234/通路237を提供することも可能である。
【0090】
通路237は、使用時にデバイス100の外部から加熱チャンバ220及び内部のエアロゾル生成材料への空気流の連通を可能にする空気流通路として用いられる。近位端233aからスロット234及び通路237を介した空気流の流入は都合が良い。デバイス100を使用する際に、ユーザがそのような領域への空気流を遮断する可能性が低いためである。
【0091】
通路237は、間隙Gが提供する環状空間又は空気出口に出る。これは使用時に、空気流が通路237から加熱チャンバ220に入って、内部のエアロゾル生成材料/物品110と連通することを可能にする。
【0092】
内壁及び外壁231a、231b間に通路237が存在することで、通路237を通る空気流の制御及び空気流に対する抵抗を改善可能となり得る。例えば、より一貫した空気流及び/又は望ましい空気流抵抗が物品110を通って使用中のユーザに伝えられるように、(例えば、壁231a、231b間及び/又はリブ236から延びた)空気流変更機構(例えば、空気流制限器)を通路237に配置して使用することが可能となり得る。
【0093】
デバイス100及び/又は加熱アセンブリ200は、デバイス100の使用に空気流を供給する追加の空気流通路構成を提供することも可能である。例えば、(1つ又は複数の)空気流通路をデバイスの側面に設けることも可能であるし、内壁231bと物品110自体との間に規定することも可能である。また、この代替又は追加として、デバイス100の遠位端から上方に基部233bを通って、(1つ又は複数の)空気流通路を案内することも可能である。
【0094】
レセプタクル230の外壁及び内壁231a、231bの構成は、(例えば、単一壁のレセプタクル230と比較して)加熱要素210とデバイスハウジング102との間に提供される断熱量の改善を促進し得る。空気流通路として使用される通路237は、(例えば、(比較的冷たい外部の)空気流が内壁及び外壁231a、231bから過剰な熱を吸収し得るため)加熱要素210とデバイスハウジング102との間に提供される断熱量のさらなる改善が促進され得る。加熱アセンブリ200により提供される断熱量は、デバイス100がユーザの手の中で熱くなりすぎたり、温度が他のデバイス構成要素にとって問題になったりすることを防ぐために必要と考えられるため、デバイス100の重要な考慮事項となり得る。レセプタクル230に空隙を設けることで、デバイスハウジングに必要な断熱量の改善を促進することができ、デバイスハウジングの小型化につながる。
【0095】
上記一節において論じた通り、レセプタクル230は、使用時に取り外し及び交換が可能となるように、チャンバ105内において取り外し可能に配設されている。また、取り外し可能であることにおいて、レセプタクル230は、構成(例えば、空気通路の構成)が異なるレセプタクルにより交換可能である。これは、消費者の利益となるデバイス100のカスタマイズ性又は異なる消耗品との相互作用を可能にし得る。
【0096】
特に、図示の実施形態において、レセプタクル230は、チャンバ105との相互作用によって、デバイスハウジング102に対するレセプタクル230の回転によりレセプタクル230の回転に応答して係合及び係合解除がなされ得るように構成されている。
【0097】
レセプタクル230及びデバイスハウジング102は、デバイスハウジング102に対するレセプタクル230の回転に応答して係合又は係合解除するように構成された相補係止機構を具備する。
【0098】
本開示の背景において、「係合する(engage)」は、デバイス100の使用に十分なデバイスハウジング102の適所にレセプタクル230を保持する係合に関連し、「係合解除する(disengage)」は、(例えば、デバイスハウジング102の他の構成要素の取り外しもデバイスハウジング102の部品の破壊も必要なく)デバイスハウジング102からのレセプタクル230の取り外しを可能にする上記のような係合の解除に関連する。
【0099】
図4A図4B、及び図5に示すように、相補係止機構は、レセプタクル230の外面232(すなわち、外壁231aの半径方向外方面)の溝240、242(若しくは、凹部)並びにデバイスハウジング102上の対応する突起244により提供される。突起244は、デバイス100の長手方向軸101に対して、デバイスハウジングチャンバ105の内面から半径方向内方に延びている。
【0100】
図5に最もよく示すように、加熱アセンブリ200がデバイスハウジングチャンバ105に挿入される場合、これは、突起244が溝240と半径方向に一致した状態で(すなわち、長手方向軸201に対して)なされる。突起244及び溝240は、突起244が溝240に挿入された場合のレセプタクル230と(上述のような)「係合」を生じないようにサイズ規定されている。
【0101】
その後、デバイスハウジング105に対して加熱アセンブリ200が長手方向軸201の周りに回転した場合は、溝240と半径方向に一致した状態から突起244が回転して、外面232を横切り、溝242と半径方向に一致する。突起244及び溝242は、突起244が溝242に挿入された場合のレセプタクル230と「係合」を生じるようにサイズ規定及び成形されている。この係合は、突起244と溝242との間の十分な締まり嵌め/接触によりもたらされ得る。例えば、溝242は、当該溝242から半径方向に延びて外面232と会合する山部245を規定する。突起244は、溝242と一致した場合、軸方向では山部245の上方に位置し、半径方向では山部245と重なり合う。突起244がこの位置にある状態でレセプタクル230をデバイスハウジングチャンバ105から取り外そうとしても(例えば、長手方向軸101に沿ってチャンバ105から引き抜こうとしても)、山部245が突起244との干渉接触をもたらすため、その取り外しが阻止される。
【0102】
後でレセプタクル230を回転させ、溝242/山部245と半径方向に一致した状態から溝240と半径方向に一致した状態に戻すと、結果としてレセプタクル230が突起244ひいてはデバイスハウジング102から「係合解除」されることが了解される。これにより、チャンバ105及びデバイスハウジング102からレセプタクル230を後で取り外し可能となる。
【0103】
溝240、242は、外面232及び突起244と併せて、溝240、242間の回転に特定の抵抗を与えるための必要に応じた成形/形成が可能なテーパ状/輪郭表面241、243を特徴とし得る。さらに、溝242の形状、(半径方向の)深さ及び(軸方向の)高さ、並びに突起244の対応する(半径方向及び軸方向の)長さは、(例えば、係合位置における突起244と溝242及び山部245との間の締まり嵌め/接触の程度の調整による)レセプタクル230とデバイスハウジング102との間の係合の程度及びこれによりもたらされる関連する回転抵抗の変更にも使用可能である。
【0104】
このように回転抵抗及び係合の程度を調整することは、使用のため加熱アセンブリ200が係合位置に十分保持されるのを確実にするのみならず、係合解除位置までの回転による取り外しの促進が十分に容易となるようにするためにも使用可能である。また、これらの機構の調整は、加熱アセンブリ200の回転及び取り外しプロセスに対してユーザが知覚する「滑らかさ」及び/又は「質」の改善にも使用可能である。
【0105】
チャンバ105及び加熱アセンブリ200の周方向に離隔した4組の溝240、242及び突起244を図示しているが、本開示の範囲においては、任意の好適な数及び間隔を使用することも可能である。
【0106】
図示の例において、溝240は、外壁231aの軸方向全長にわたって(すなわち、近位端233aから基部233bまで)延びている。これは、デバイスハウジング102への挿入時の加熱アセンブリ200の軸方向及び半径方向の正しい位置合わせを確実にすることを容易にし得る。挿入プロセスにおいては、突起244を溝240に沿って容易に位置合わせ及びガイド可能なためである。
【0107】
また、溝240は、長手方向軸202に対してリブ236と半径方向に一致するように示している。これは、加熱アセンブリ200の挿入時の曲げに抵抗する付加的な構造的支持を溝240に与え得る。ただし、溝240をこのような位置に配置する必要はなく、その他任意の好適な半径方向位置に配置可能である。
【0108】
突起244及び溝242は、入口104及び近位端231aに示している。ただし、本開示の範囲内において、突起244及び/又は溝242はそれぞれ、チャンバ105内及び外面232に沿う任意の好適な軸方向位置に配置可能である。また、これに応じて、溝240の軸方向長さ及び配置も変更可能である。
【0109】
図示の例においては、溝240、242がレセプタクル230に配設され、突起244がデバイスハウジング102上に配設されているが、本開示の範囲内においては代替として、溝240、242をデバイスハウジング102(すなわち、チャンバ105)に配設し、その代わりに突起244をレセプタクル230上に配設することも可能である。
【0110】
以上、レセプタクル230とデバイスハウジング102との間の溝240、242及び突起246の形態の取り外し可能な回転係合を実現するための特定の一組の相補係止機構を図示及び説明したが、本開示は、このような回転相補係止機構のその他任意の好適な実施態様にも及ぶ。
【0111】
一例において、相補係止機構としては、レセプタクル230(例えば、外面232)上且つチャンバ105内に配設された相補ねじ部も可能である。このような例においては、レセプタクル230のデバイスハウジング102に対する回転によって、レセプタクル230のねじ込みによるデバイスハウジング102との係合及び係合解除が可能である。
【0112】
別の例において、相補係止機構は、バヨネット嵌合式回転係合を提供することも可能である。このような例において、レセプタクル230は、チャンバ105に設けられた対応するL字状スロット又は凹部に受容可能な外面232上の半径方向延伸ピンを特徴とすることも可能である。L字状スロットに対するピンの位置合わせ及び回転によってピンが適所に固定されることにより、レセプタクル230がデバイスハウジング102に「係合」される(一般にバヨネット嵌合として知られる)。また、L字状スロット及びピンは代替として、それぞれレセプタクル230及びチャンバ105に設けることも可能である。
【0113】
上述の回転係合の例のいずれかにおいては、ばね等の付勢部材(図示せず)をチャンバ105/デバイスハウジング102内に供給することも可能である。付勢部材は、レセプタクル230のデバイスハウジングチャンバ105への挿入に応答して(例えば、基部233bによって)圧縮されることにより、挿入に対抗する付勢力を与えるように構成可能である(ただし、レセプタクル230がハウジング102内の係合位置に配置された場合には係合を解除しない)。
【0114】
このような付勢部材及び付勢力によって、後でハウジング102からレセプタクル230を取り外すことが容易となり得る。これらは、ハウジング102から係合解除された場合のレセプタクル230のチャンバ105からの押し出しに役立ち得るためである。また、レセプタクル230のハウジング102への挿入に対する好適な抵抗をもたらすことから、レセプタクル230の挿入及び取り外しプロセスに対してユーザが知覚する「滑らかさ」及び/又は「質」の改善に役立ち得る。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5