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特許7583937ロッキングピンの容易な設置のために溝付きロッキング突起部を備えた杭の機械的継手
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  • 特許-ロッキングピンの容易な設置のために溝付きロッキング突起部を備えた杭の機械的継手 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ロッキングピンの容易な設置のために溝付きロッキング突起部を備えた杭の機械的継手
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/24 20060101AFI20241107BHJP
   E02D 5/30 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
E02D5/24 103
E02D5/30 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023532704
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 MY2021050085
(87)【国際公開番号】W WO2022139571
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】PI2020006938
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(73)【特許権者】
【識別番号】523198280
【氏名又は名称】ケニー タン ツェー ケン
【氏名又は名称原語表記】Kenny Tan Tze Ken
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ケニー タン ツェー ケン
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-108411(JP,A)
【文献】特開2004-150010(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2015-0017079(KR,A)
【文献】特開平01-198919(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0377012(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/24
E02D 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭の機械的継手において、
ねじ山付き基部/軸部を備えた単一または複数の溝付き突起部(3)、並びに、それと対応する杭継手プレート(1)の中の1つ/複数のねじ山付きボルト孔(2)と、
単一または複数の受付け中空部(4)と、
前記杭継手プレート(1)の単一または複数のミル研削された溝/スロット(6)、並びに、それと対応する任意の断面形状の1つ/複数のロッキングピン(7)と
を含み、
前記1つ/複数の溝付き突起部(3)の前記溝の形状は、前記1つ/複数のロッキングピン(7)の断面形状に応じたものであり、
前記1つ/複数の溝付き突起部(3)は、前記1つ/複数のロッキングピン(7)の表面と部分的に接触して、該溝付き突起部(3)が該1つ/複数のロッキングピン(7)の周囲を部分的にのみ囲む不連続の態様により、該1つ/複数の溝付き突起部(3)を、撓み可能にして、それにより、該1つ/複数のロッキングピン(7)の容易な挿入を可能にすることを特徴とする杭の機械的継手。
【請求項2】
前記1つ/複数の突起部(3)は、前記1つ/複数のロッキングピン(7)の小さい部分と接触し、該1つ/複数の溝付き突起部(3)が該1つ/複数のロッキングピン(7)の小さい部分と部分的に接触することにより、該1つ/複数のロッキングピン(7)の容易な設置を可能にし、それにより、ロッキング機構が杭打ち段階中に入り込む典型的な破片で汚れた場合でも、該1つ/複数のロッキングピン(7)の容易な取付けを可能にするものである、請求項1に記載の杭の機械的継手。
【請求項3】
前記1つ/複数の溝付き突起部(3)は、正確に旋盤加工され、前記継手プレート(1)の中の前記ねじ山付き孔(2)にねじ留めされる前記ねじ山付き基部/軸部を備え、該1つ/複数の溝付き突起部(3)の頭部が該継手プレート(1)から正確な量で突出して、該継手プレート(1)が僅かに変形または破損するか、並びに/若しくは、不正確な公差で製造された場合でも、正確な動作許容範囲(前記1つ/複数のロッキングピン(7)の容易な設置)を確実にするものである、請求項1に記載の杭の機械的継手。
【請求項4】
前記1つ/複数の溝付き突起部(3)が前記継手プレート(1)と別に製造された場合に、該溝付き突起部(3)の一方の端部は、ねじ山を有し、他方の端部は、該溝付き突起部(3)の頭部を有して、前記1つ/複数のロッキングピン(7)を設置した時に、該1つ/複数のロッキングピン(7)の進行により、ロッキング機構を更にトルク締めして、結果的に、該1つ/複数のロッキングピン(7)と該1つ/複数の溝付き突起部(3)の間で摩擦接触を生じて、該1つ/複数の溝付き突起部(3)を回転させるものである、請求項1に記載の杭の機械的継手。
【請求項5】
前記1つ/複数の溝付き突起部(3)が前記継手プレート(1)と別に製造された場合に、該溝付き突起部(3)の一方の端部は、ねじ山を有し、他方の端部は、該溝付き突起部(3)の頭部を有して、該1つ/複数の溝付き突起部(3)が該継手プレート(1)に溶接されていない場合には、該1つ/複数の溝付き突起部(3)を、撓み/横移動可能にし、それにより、前記1つ/複数のロッキングピン(7)の容易な設置を可能にするものである、請求項1に記載の杭の機械的継手。
【請求項6】
2つの対向する前記継手プレート(1)同士の分離を、前記1つ/複数の溝付き突起部(3)の間の適切な位置に押し込まれた前記1つ/複数のロッキングピン(7)によって防ぐものである、請求項1に記載の杭の機械的継手。
【請求項7】
任意の引張荷重が、2つの対向する前記溝付き突起部(3)の間で、該溝付き突起部(3)の間の適切な位置に押し込まれた前記1つ/複数のロッキングピン(7)を通って伝達されるものである、請求項1に記載の杭の機械的継手。
【請求項8】
前記杭の機械的継手は、完全に組み立てられた時に、上側の前記杭継手プレート(1)および下側の前記杭継手プレート(1)の両方について、前記1つ/複数のロッキングピン(7)のためのミル研削された溝/スロット(6)が、該1つ/複数のロッキングピン(7)が前記1つ/複数の溝付き突起部(3)に接触するための完全な経路を形成するものである、請求項1に記載の杭の機械的継手。
【請求項9】
前記杭の機械的継手のロッキング機構は、1つ/複数の溝付き突起部(3)と、ミル研削された溝/スロット(6)と、1つ/複数の受付け中空部(4)とを含み、それらは開放または露出した特性があることで、破片を容易に取り除き、物理的障害物があるかを目視検査して、前記1つ/複数のロッキングピン(7)の容易な設置に成功するものである、請求項1に記載の杭の機械的継手。
【請求項10】
前記1つ/複数の受付け中空部(4)は、Tスロットサイドミルカッターを用いて形成され、更にロッキング強度を高めるために、前記1つ/複数の溝付き突起部(3)が、その上に収まる縁部を有するものである、請求項1に記載の杭の機械的継手。
【請求項11】
分割された杭同士の杭の機械的継手を用いた接続方法において、
前記機械的継手は、
単一または複数の溝付き突起部(3)であって、それと対応する1つ/複数のロッキングピン(7)を設置した時に、前記機械的継手を固定する該単一または複数の溝付き突起部(3)を、
含むものであり、
正確に旋盤加工された前記1つ/複数の突起部(3)は、継手プレート(1)のねじ山付き孔(2)にねじ留めされるねじ山付き基部/軸部を有し、更に、該継手プレート(1)は、対応する前記1つ/複数のロッキングピン(7)のための該ミル研削された溝/スロット(6)、および、1つ/複数の受付け中空部(4)を有するものであり、
前記方法は、
(i)前記ねじ山付き孔(2)の中に、各々、完全に組み立てられた前記1つ/複数の溝付き突起部(3)を有する上側杭(5)および下側杭(8)は、前記継手プレート(1)同士が接触するように、共に配置され、
(ii)前記1つ/複数のロッキングピン(7)は、前記溝/スロット(6)によって生成された経路の中に配置され、
(iii) 前記1つ/複数のロッキングピン(7)が、完全に設置/打ち込まれた時に、全処理が完了するものである方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の基礎部で用いられる杭に関し、特に、杭部および杭継手に関する。
【背景技術】
【0002】
概して、既製の杭は、部分に分けられて製造される。これらの杭を、地中深くに(杭の個々の部分を超える深さに)施工可能にするために、個々の杭部を、鋼継手を介して連結して長くする。基本的には、鋼継手には、機械型と溶接型の2種類がある。
【0003】
特に、従来の溶接型の杭用鋼継手は、以下の鋼構成要素からなる:
アンカーバー(プレストレスト杭の場合は、任意で)、
ねじ孔(プレストレスト杭の場合には、典型的に)、
継手プレート、および、
スカート部。
【0004】
典型的な溶接型の鋼継手は、継手プレートの周囲に沿って溶接される。溶接型の鋼継手プレートは、(突出鋼バーを有する)雄型継手プレート、および、(雄型継手プレートの突出鋼バーを受け付けるパイプを有する)雌型継手プレートとして製造されることがあり、更に、溶接型の継手プレートは、突出鋼バーを有さないか、鋼パイプを有さずに、同一に製造されることもある。
【0005】
継手プレートに接続されたアンカーバーは、杭に生じた応力を伝達するように機能するが、通常、プレストレスト杭については、いくつかの継手プレートはアンカーバーを有さずに、継手プレートは、応力を、プレストレスト杭のプレストレスト・ワイヤ、ストランド、または、テンドンに伝達する。
【0006】
現在のプレストレスト杭は、従来のように、継手プレートを、更なる処理が行われて端部が圧縮拡大されてマッシュルーム状ボタンになったプレストレスト・ワイヤ、ストランド、または、テンドンを介して、杭に引っ掛けることによって取り付け、拡大したマッシュルーム状ボタン端部を継手プレートに引っ掛けて、継手プレートを杭に固定する。
【0007】
プレストレスト杭を製造する間、継手プレートは、杭の型枠の両端に配置されて、鋼継手プレートは、反対の端に位置する。継手プレートは、(プレストレスト杭の場合は)プレストレスト・ワイヤ、ストランド、または、テンドンに固定されることによって、または、(プレストレスト杭でない場合は)杭の型枠の開閉部に固定されることによって、適切に固定される。
【0008】
概して、そのように杭部を連結するための杭継手に、大きな改良が行われてきた。そのような継手の例は、「Spigot And Socket Pile Connection」という名称の特許文献1に開示され、差込み部を受け口の中に導入することによって、杭部を連結することを記載している。高温の溶融接着剤を受け口の中に導入しうるが、更なる材料を受け口の中に導入することなく、差込み部を干渉せずに受け付けるのに十分な内部寸法を有する受け口、したがって、継手を形成する。しかしながら、この方法は、費用が高く、普及していない。
【0009】
「Pile Joint」という名称の特許文献2において、1つ/複数の各ジベルは、機械加工孔を有して、1つ/複数のロッキングピンを受け付ける(1つ/複数のロッキングピンが1つ/複数のジベルの機械加工孔に挿入されて、1つ/複数のジベルが外れるのを防ぐ)。ロッキングピンは、杭の外側から導入され、1つ/複数のジベルと接触する前に円筒中空部を通って進行する。この種類の杭の機械的継手は、広く用いられてきて、かなり性能が一定であるが、1つ/複数のジベルを継手プレートに溶接することで熱的歪を生じるので、かなり厚い継手プレートが必要になる。この種類の杭の機械的継手に共通する更なる問題は、ロッキングピンが進行する円筒中空部は、杭コンクリート成型段階からのコンクリートによって、または、杭打ち段階からの典型的な破片によって、ブロックされるか、遮られて、この種類の杭の機械的継手の取付けを困難にするか、動作不能にもさせうる。
【0010】
「End Plate For Concrete Piles」という名称の特許文献3において、1つ/複数のロッキングピンは、完全に打ち込まれて、1つ/複数のロッキングピンの全長(または、大部分の長さ)自体が、杭継手の固定に貢献する。この種類の杭の機械的継手は、費用が高く、(杭打ち段階中に、いつでも入り込みうる)破片の影響を非常に受け易く、確実に動作に成功するためには、杭の機械的継手の構成要素を製造する際に非常に高いレベルの機械加工公差が要求される。高いコスト、および、高い製造品質の必要性が、この杭の機械的継手が破片または寸法の不正確さにより故障し易いことと組み合わさり、この種類の杭の機械的継手は、普及していない。
【0011】
更に、杭の連結を完了するために周囲に沿って溶接する必要がある継手プレートは、溶接品質が疑わしいことが多いという共通の問題を有する。継手プレート周囲の溶接が、工場内ではなく、屋外で行われることを考慮すれば、環境条件が、溶接品質に悪影響を与えうる。更に、溶接品質は溶接工の能力に直に応じたもので、溶接された杭継手の性能に大きな影響を与えうる品質変動および人為ミスの問題になりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】英国特許出願公開第2363150号明細書
【文献】国際公開第2020/094923号
【文献】国際公開第2015/026223号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
より安価で、より効率的で、適切な強さを有し、一定で信頼性の高い性能を果たしながら、任意の荷重に耐える要求を満たすことが可能で、実行が簡単な杭連結システムを設計する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従来の溶接された継手設計の場合には、時間が掛かり、溶接された杭継手の最終性能が溶接工のスキルに大きく依存する継手プレート周囲の溶接が必要であるが、本発明は、継手プレート周囲の溶接を不要にする。
【0015】
次に、本発明の主な構成要素を詳細に記載する。
【0016】
(1)1つ/複数の溝付き突起部
1つ/複数の溝付き突起部の頭部は旋盤加工でマッシュルーム状に形成されて、ねじ山付きボルト基部/軸部を有する。頭部の直径は、ねじ山付き基部/軸部の直径より大きい。1つ/複数の溝付き突起部の頭部は正確に旋盤加工されて、断面が円形でありうるロッキングピンと均一な接触を生成し、更に、継手プレートから正確な量で突出することにより、継手プレートの寸法が不正確であっても、確実に一貫して動作許容範囲にする。
【0017】
(2)1つ/複数の溝付き突起部のための1つ/複数のねじ山付きボルト孔
1つ/複数の溝付き突起部は、ねじ山付きボルト基部/軸部を有して製造される。杭継手プレートは、孔開けされ、更に、ねじ山を刻まれて、ねじ山付き孔を生成し、1つ/複数の溝付き突起部のねじ山付きボルト基部/軸部を受け付ける。
【0018】
(3)対向する杭継手プレートの1つ/複数の溝付き突起部の頭部を受け付けるための1つ/複数の受付け中空部
1つ/複数の溝付き突起部の頭部の直径より僅かに大きい直径を有する平坦エンドミルカッターを用いて、1つ/複数のねじ山付きボルト孔の横に所定の距離で位置する1つ/複数の丸い中空部をミル研削する。この1つ/複数の中空部は、対向する杭継手プレートから、1つ/複数の溝付き突起部を受け付ける。更に、Tスロット型のサイドミルカッターを用いて、ロッキング強度を更に高めるために、1つ/複数の溝付き突起部の縁部が、その上に収まる切欠き部を、更に生成しうる。
【0019】
(4)杭継手プレートにおけるロッキングピンのためのミル研削された溝/スロット
溝/スロットは、1つ/複数のねじ山付きボルト孔と1つ/複数の受付け中空部の間に、エンドミルカッターの代わりにサイドミルカッターを用いてミル研削され、ロッキングピンが進行する経路を生成する。溝/スロットは、2つの継手プレートを組み合わせた時に、2つの溝/スロットから完全な経路が形成されるように機械加工され、ロッキングピンが杭の外側から挿入されて、溝付き突起部に接触するようにする。基本的に、各溝/スロットは、ロッキングピンが横切る経路の半分を形成し、2つの溝/スロットが完全な経路を形成する。
【0020】
(5)1つ/複数のロッキングピン
1つ/複数のロッキングピンは、典型的には円筒形の鋼ロッドで、2つの杭継手プレートが接触した後に、2つの(一方は、頭部が上に向き、他方は、頭部が下に向いた)溝付き突起部の間に挿入されるように機能する。1つ/複数のロッキングピンは、2つの接触した継手プレートの2つの溝/スロットによって生成された経路に挿入され、更に、1つ/複数のロッキングピンが溝付き突起部と接触した後に、ロッキングピンは、打ち込まれて、杭継手同士を固定する。
【0021】
本発明は、本質的には、杭継手のための機械的継手ロッキング機構であり、それは、ねじ山付き基部/軸部を有する単一または複数の溝付き突起部、並びに、それと対応する杭継手プレートの中の1つ/複数のねじ山付きボルト孔と、(対向する継手からの対向する単一または複数の突起部を受け付けるための)単一または複数の受付け中空部と、杭継手プレートの中のミル研削された単一または複数の溝/スロット、並びに、それと対応する任意の断面形状でありうる1つ/複数のロッキングピンとを含む。1つ/複数の溝付き突起部の溝の形状は、1つ/複数のロッキングピンの断面形状に応じたものである。1つ/複数の溝付き突起部は、1つ/複数のロッキングピンの表面と部分的に接触する。更に、1つ/複数の溝付き突起部が1つ/複数のロッキングピンの周囲を部分的にのみ囲む不連続の態様により、1つ/複数の溝付き突起部を、いくらかは撓み可能にし、それにより、1つ/複数のロッキングピンの容易な挿入を可能にする。荷重伝達(引張荷重など)は、ロッキングピンを間にして、上側溝付き突起部から下側溝付き突起部へ生じる。
【0022】
本発明は、1つ/複数の溝付き突起部を継手プレートに溶接することを必要とせず、1つ/複数の溝付き突起部は、1つ/複数の溝付き突起部のねじ山付き部分を継手プレート自体にねじ留めすることによって、杭継手プレート上に組み立てられる。溶接の必要がないので、溶接による熱的歪を生じず、したがって、熱的歪を分布させ/それに耐えるための厚い継手プレートを必要とせず、更に、1つ/複数の溝付き突起部の間で継手プレートに溶接されないので、1つ/複数の溝付き突起部を、いくらかは撓み/横移動可能にして、ロッキングピンの容易な設置を可能にする。
【0023】
更に、1つ/複数のロッキングピンは進行し、1つ/複数の溝付き突起部との摩擦は、1つ/複数の溝付き突起部のねじ山付き基部/軸部により、締付けトルクを生じる。この結果、ロッキング機構を更にプレストレスし、ロッキングピンの設置/打込みが完了するとロッキング機構が適切に組み立てられるという形態で品質を確実にする。溝付き突起部が継手プレートにねじ留めされ、継手プレートに溶接されるのではないことから、溝付き突起部は回転可能なので、ロッキングピンも、容易に設置/打込みされる。各ロッキングピンが2つの溝付き突起部(対向する各継手プレートから1つ)に接触することで、引張荷重に確実に応えうる。
【0024】
本発明の1つ/複数の溝付き突起部は、杭継手プレートにねじ留めされ、1つ/複数の各溝付き突起部は、動作許容公差内になるように正確に旋盤加工される。従来例の機械的継手では、困難か動作不能にする程の継手プレートの不正確な機械加工公差、破損、または、変形は、本発明では、1つ/複数の溝付き突起部自体が要求された公差を有して共に製造されれば、問題ではない。1つ/複数の溝付き突起部を継手プレートにねじ留めすると、溝付き突起部自体に正確さが組み込まれたことにより、(本発明の動作許容範囲には重要な)突出量は、継手プレートの寸法条件に関わらず、常に正確である。
【0025】
本発明を用いて、杭の機械的継手動作の処理を典型的に実行するのに、(各々のねじ山付き孔に適切にねじ留めされる溝付き突起部を有する)2つの対向する杭継手は、両方の杭継手プレートが完全に接触するまで、溝付き突起部が全て受付け中空部に入るように、共に配置される。1つ/複数のロッキングピンが(2つの対向する杭継手からミル研削された2つの溝/スロットが合体して生成される経路を介して)挿入されると、典型的には、1つ/複数のロッキングピンを、1つ/複数の突起部の溝部に接触するように打ち込むことによって杭継手の固定が完成し、それにより、2つの杭継手の分離を防ぐ。1つ/複数のロッキングピンは、引張荷重を伝達し、更に、1つ/複数のロッキングピンを設置した後に継手プレートの分離を防ぐように機能する。
【0026】
1つ/複数の溝付き突起部と、1つ/複数のロッキングピンに対するミル研削された溝/スロットと、1つ/複数の受付け中空部とが解放または露出した特性があることは、破片を容易に取り除き、物理的障害物があるかを目視検査して、1つ/複数のロッキングピンの容易な設置に成功しうることを意味する。
【0027】
本発明と3つの従来例の杭の機械的継手との違いを、次に記載する。
【0028】
(a)「Pile Joint」という名称の特許文献2において、機械加工孔を有する1つ/複数のジベルに挿入した1つ/複数のロッキングピンを用いているが、費用が高く、1つ/複数のロッキングピンをかなり容易に設置するのを確実にするためには、構成要素の高い機械加工公差を必要とするという短所がある。(典型的な杭打ち中によく生じる)杭継手プレートの典型的な変形、または、構成要素が機械加工公差を超えることで、1つ/複数のロッキングピンの打込みを困難か不可能にしうる。更に、この種類の従来例は、機構が、典型的に杭打ち中に入り込む破片で汚れた場合に、1つ/複数のロッキングピンの設置が非常に困難か不可能になる。本発明は、機械加工孔を有さずに、1つ/複数の突起部上に溝を刻み(または、ミル研削し)、それは、不連続な特性を有する。分かり易く説明すると、従来例の機械加工孔は、連続して存在する鋼材料が1つ/複数のロッキングピンの周囲を完全に囲む中空部であるが、本発明の1つ/複数の溝付き突起部は、1つ/複数のロッキングピンの周囲を完全に囲まないので、不連続と記載している。本発明が不正確な機械加工公差を生じるか、または、杭打ちにより、継手プレートが破損および僅かに変形した場合でも、本発明の1つ/複数の溝付き突起部が不連続である特性は、従来例(機械加工孔を有する1つ/複数のジベル)は、撓み/曲げ可能ではないのに対して、1つ/複数の溝付き突起部は、少しは撓み/曲げ可能であることにより、結果的に、1つ/複数のロッキングピンを容易に打込み/設置しうる。機構において、杭打ち段階中に典型的な破片が存在しても、本発明は、本来から1つ/複数の溝付き突起部が撓み可能なので、従来例とは異なり、破片の悪影響を実際に受けずに、1つ/複数のロッキングピンの容易な設置を可能にする。
【0029】
この種類の従来例は、1つ/複数のジベルを継手プレートに溶接する必要があるが、本発明は、1つ/複数の溝付き突起部について、ねじ山付き基部/軸部を用いて、溶接の必要がなく、1つ/複数のロッキングピンを完全に設置した時の締付けトルク、および、更なるプレストレスの生成を可能にする。本発明が溶接を行わないことで、1つ/複数の溝付き突起部において、更なる撓みを可能にし、それにより、1つ/複数のロッキングピンの容易な設置を可能にする。
【0030】
(b)第2の種類の従来例である「End Plate For Concrete Piles」という名称の特許文献3において、1つ/複数のロッキングピンの全長(または、大部分の長さ)が、ロッキング機構に関わるか、または、貢献する必要がある。この種類の従来例の問題は、高い機械加工公差が要求され、更に、1つ/複数のロッキングピンの大部分の長さ、または、全長を、ロッキング機構に押し込む必要があることである。機械加工の不正確さ、または、杭打ちによる変形/破損は、結果的に、1つ/複数のロッキングピンの打込み/設置を非常に困難か不可能にする。この種類の従来例の1つ/複数のロッキングピンの挿入が全ての状況で困難であるとは言えず、1つ/複数のロッキングピンの挿入が容易な場合もありうるが、この従来例の場合は、本発明と比べると、1つ/複数のロッキングピンの挿入が困難な可能性が、かなり高い。杭打ち段階中に入り込んだ典型的な破片が存在することで、従来例の1つ/複数のロッキングピンは、設置が非常に困難か不可能になる。本発明は、従来例とは異なり、1つ/複数のロッキングピンの長さの大部分を適切な位置に押し込む必要がない。本発明は、1つ/複数のロッキングピンの小さい部分のみが、1つ/複数の溝付き突起部と接触することを必要とし、一方、従来例では、1つ/複数のロッキングピンの大部分の長さが、ロッキング機構の力の伝達に直に貢献する必要がある。本発明の1つ/複数のロッキングピンは、継手プレートと接触することを全く必要としない(なぜなら、1つ/複数の溝付き突起部が、張力または曲げ力を1つ/複数のロッキングピンに直に伝達し、継手プレートの貢献も影響も受けないからであり)、これは、従来例の継手プレートが1つ/複数のロッキングピンと接触し、実際に、張力または曲げ力が、継手プレートから1つ/複数のロッキングピンに直に伝達されるのと異なる。本発明の部分的に接触する態様は、実際、破片の悪影響を受けず、1つ/複数のロッキングピンの容易な挿入を可能にする。
【0031】
本発明は、1つ/複数の溝付き突起部のねじ山付き基部/軸部を用いて、溶接を必要とせずに、1つ/複数のロッキングピンを完全に設置した時の締付けトルク、および、更なるプレストレスの生成を可能にし、1つ/複数の溝付き突起部を、いくらかは撓み可能にして、1つ/複数のロッキングピンの容易な設置が可能にするが、この種類の従来例では、そのような1つ/複数の溝付き突起部のねじ山付き基部/軸部を用いない。
【0032】
本発明の主な目的は、1つ/複数の溝付き突起部の不連続性により、1つ/複数のロッキングピンの容易な設置を可能にする機械的な杭継手を提供することであり、更に、1つ/複数のロッキングピンが溝付き突起部に部分的に接触することで、1つ/複数のロッキングピンの容易な設置を可能にし、杭継手プレートの機械的ロックが完全な性能まで働くために、1つ/複数のロッキングピンの大部分を適切な位置に押し込むことを必要としない。
【0033】
本発明の他の目的は、杭のための機械的継手であって、本来の簡略性により、本来から簡略な機械的継手を製造し、一貫した性能を提供することである。
【0034】
本発明の更なる目的は、経済的でありながら、性能を妥協せずに、経済的な機械的杭継手を製造することである。
【0035】
本発明のこれらの、および、他の目的、特徴、および、利点は、明細書の次の記載を添付の図面と共に読むことで明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】簡略化した典型的正方形杭、および、簡略化した典型的遠心中空円筒杭について標準的な溶接された継手プレートを示している。
図2】本発明を、典型的な遠心杭上の典型的な遠心杭継手プレートについて示している。
図3】ロッキングピンの断面形状が正方形である本発明の典型的な実施形態を示している。
図4】ロッキングピンの断面形状が円形である本発明の典型的な実施形態を示している。
図5】本発明の典型的な実施形態を示し、図中の左側に溝付き突起部を、右側にロッキングピンを示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明が、簡略化した典型的正方形杭、および、簡略化した典型的遠心中空円筒杭について、取り替わろうとする従来の溶接された継手プレート(1)を簡略に示している。左上は、典型的な遠心杭継手プレート(1)の平面図であり、右上は、典型的な正方形杭継手プレート(1)の平面図であり、左下は、典型的な遠心杭継手プレート(1)の側面図であり、最後に、右下は、典型的な正方形杭継手プレート(1)の側面図である。継手プレート(1)は、成型され/予め成型された杭の端部が取り付けられて、深い杭打ち侵入深さが要求される場合に、継手プレート(1)は、接触する継手プレート(1)の周囲に沿って全て溶接されることを介して、予め成型された杭の個々の部分を長さ方向に延伸可能にする。
【0038】
図2は、遠心杭継手プレート(1)上の本発明の杭の機械的継手を示している。図2において、遠心杭継手プレート(1)は、元々、遠心杭の製造処理中に、プレストレスを遠心杭のプレストレス・ワイヤ、ストランド、または、テンドンに与えるため、および、継手プレート(1)を杭の型枠に固定するために用いられたねじ山付き孔(2)を有し、本発明は、これらの同じねじ山付き孔(2)を、溝付き突起部(3)を取り付けるために用い、遠心杭継手プレート(1)は、更に、上側遠心杭(5)の対向する継手プレート(1)の溝付き突起部(3)を受け付けることを意味する受付け中空部(4)、および、上側継手プレート(1)と下側継手プレート(1)の両方のミル研削された溝/スロット(6)を有し、両方の溝/スロット(6)は、完全に接触した時に、上側杭継手プレート(1)を下側杭継手プレート(1)に取り付ける継手プレート(1)のロッキング処理を完成するために設置されるロッキングピン(7)の完全な経路を形成する。単一のミル研削された溝/スロット(6)は、1つのロッキングピン(7)について、完全な経路の半分を形成し、上側プレート(1)と下側継手プレート(1)の両方が完全に接触すると、上側継手プレート(1)と下側継手プレート(1)からミル研削された2つの接触した溝/スロット(6)は、単一の完全なロッキングピン(7)の溝付き突起部(3)までの経路を形成する。図2に示すように、1つ/複数のロッキングピン(7)が完全に設置された時に、上側杭(5)と下側杭(8)は連結される。
【0039】
図3は、ロッキングピン(7)の断面形状が正方形である本発明の典型的な実施形態を示している。上側の図は、組み立てていない本発明のロックを示し、上側継手プレート(1)および下側継手プレート(1)は、各々、溝付き突起部(3)、対向する溝付き突起部(3)を受け付けるための受付け中空部(4)、および、ミル研削された溝/スロット(6)を有する。下側の図は、本発明の複雑な部分を明瞭に示すために、ロッキングピン(7)だけは設置せずに本発明を示している。下側の図は、上側継手プレート(1)と下側継手プレート(1)の両方が接触し、上側継手プレート(1)と下側継手プレート(1)の両方の溝付き突起部(3)が、各々、各中空部(4)の中にあり、ロッキングピン(7)を、2つのミル研削された溝/スロット(6)によって生成された経路に設置することだけが残されている。ロッキングピン(7)を設置することで、ロッキングピン(7)が溝付き突起部(3)が外れてしまう経路を塞ぐことにより、2つの溝付き突起部(3)が外れるのを防ぎ、それにより、2つの杭継手プレート(1)同士をロックする。
【0040】
図4は、ロッキングピン(7)の断面形状が円形である本発明の典型的な実施形態を示している。上側の図は、組み立てていない本発明のロックを示し、上側継手プレート(1)および下側継手プレート(1)は、各々、溝付き突起部(3)、対向する溝付き突起部(3)を受け付けるための中空部(4)、および、ミル研削された溝/スロット(6)を有する。下側の図は、本発明の複雑な部分を明瞭にするために、ロッキングピン(7)だけは設置せずに本発明を示している。下側の図は、上側継手プレート(1)と下側継手プレート(1)の両方が接触し、上側杭(5)の継手プレート(1)と下側継手プレート(1)の両方の溝付き突起部(3)が、各々、各中空部(4)の中にあり、ロッキングピン(7)を、2つのミル研削された溝/スロット(6)によって生成された経路に設置することだけが残されている。ロッキングピン(7)を設置することで、ロッキングピン(7)が溝付き突起部(3)が外れてしまう経路を塞ぐことにより、2つの溝付き突起部(3)が外れるのを防ぎ、それにより、2つの杭継手プレート(1)同士をロックする。
【0041】
図5は、本発明の典型的な実施形態を示し、左側に、溝付き突起部(3)を示し、右側に、ロッキングピン(7)を示している。
【0042】
本開示において、本発明の好適な実施形態を示し、様々な変形例および変更例を示唆しているが、これらは、排他的なものを意図せず、本発明の範囲内で他の変形および変更が可能であると理解すべきである。本明細書において、これらの示唆は、当業者が本発明および原理を完全に理解するために選択されて、含められたものであり、更に、特定の事例の条件に最も適するように変更しうる。
【符号の説明】
【0043】
1 継手プレート
2 ねじ山付き孔
3 溝付き突起部
4 中空部
5 上側杭
6 溝/スロット
7 ロッキングピン
8 下側杭
図1
図2
図3
図4
図5