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特許7583940ボール回転を検出可能とするマークを備えた卓球ボール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ボール回転を検出可能とするマークを備えた卓球ボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 43/00 20060101AFI20241107BHJP
   A63B 39/00 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
A63B43/00 E
A63B39/00 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023537625
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2022057660
(87)【国際公開番号】W WO2022200447
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021202843.8
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】524132863
【氏名又は名称】スピンサイト イーエスエヌ デジタル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス オッテンブルク
(72)【発明者】
【氏名】コンラート ティーフェンバッハ-
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クラウス
【審査官】酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/169179(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0008417(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0353828(US,A1)
【文献】実開昭60-195063(JP,U)
【文献】特表2012-517603(JP,A)
【文献】特開2006-234485(JP,A)
【文献】特開2008-259721(JP,A)
【文献】米国特許第05013046(US,A)
【文献】米国特許第03630601(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 43/00
A63B 39/00
A63B 69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状のボール表面(6)と、ボール回転を測定検出可能とするために前記ボール表面(6)上に設けられたマーク(8)とを備えた卓球ボール(2)であって、
前記マーク(8)は、所定数(N)のマーク点(P)を含む、卓球ボール(2)において、
前記マーク点(P)が、前記ボール表面(6)上に、
前記各マーク点(P)とその3つの直近の近傍点(14,16,18)との間の大円経路(20)の長さ(Zi,j)の標準偏差が、前記長さ(Zi,j)の平均値(μ)の少なくとも12%であるように、及び
前記各マーク点(P)とその3つの直近の近傍点(14,16,18)との間の前記大円経路(20)の最小の長さが、前記長さ(Zi,j)の前記平均値(μ)の少なくとも40%であるように、及び/又は、ボール半径(R)を前記マーク点(P)の数(N)の平方根によって割った商の少なくとも120%であるように、
分布されていることを特徴とする、卓球ボール(2)。
【請求項2】
前記マーク点(P)が、前記ボール表面(6)上に、
前記各マーク点(P)とその3つの直近の近傍点(14,16,18)との間の前記大円経路(20)の前記長さ(Zi,j)の前記標準偏差が、前記長さ(Zi,j)の前記平均値(μ)の少なくとも15%であるように、分布されている、請求項1に記載の卓球ボール(2)。
【請求項3】
前記各マーク点(P)とその3つの直近の近傍点(14,16,18)との間の前記大円経路(20)の前記最小の長さが、前記長さ(Zi,j)の前記平均値(μ)の少なくとも50%である、請求項1又は2に記載の卓球ボール(2)。
【請求項4】
前記各マーク点(P)とその3つの直近の近傍点(14,16,18)との間の前記大円経路(20)の前記最小の長さが、前記ボール半径(R)を点の数(N)の平方根によって割った商の少なくとも150%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の卓球ボール(2)。
【請求項5】
球状のボール表面(6)と、ボール回転を測定検出可能とするために前記ボール表面(6)上に設けられたマーク(8)とを備え、
前記マーク(8)は所定数のマーク点(P)を含み、
前記マーク点(P)が、前記ボール表面(6)上に、
前記各マーク点(P)の3つの直近の近傍点(14,16,18)を互いに接続する前記大円経路(20)の長さ(Qi,k)の差長(ΔQ)が、前記各マーク点(P)とその3つの直近の近傍点(14,16,18)との間の前記大円経路(20)の前記長さ(Zi,j)の前記平均値(μ)よりも、30%より大きいように、分布されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の卓球ボール(2)。
【請求項6】
前記マーク点(P)の数が13~25である、請求項1~5のいずれか一項に記載の卓球ボール(2)。
【請求項7】
前記各マーク点(P)の直径(d)が、前記ボール半径(R)の10%~24%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の卓球ボール(2)。
【請求項8】
前記各マーク点(P)の前記直径(d)が、2.0mm~4.8mmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の卓球ボール(2)。
【請求項9】
全てのマーク点(P)が同一の形状及び大きさを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の卓球ボール(2)。
【請求項10】
前記マーク点(P)が、前記ボール表面(6)の残りの部分とは異なる赤外線吸収及び/又は赤外線再放出特性を有しており、それによって、電磁放射スペクトルの赤外線領域において、特に前記卓球ボール(2)の赤外線画像において、前記マーク点(P)が前記ボール表面(6)の残りの部分からコントラストをなして際立っている、請求項1~9のいずれか一項に記載の卓球ボール(2)。
【請求項11】
前記マーク点(P)が、前記ボール表面(6)の残りの部分と異なる色を有しており、それによって、電磁放射スペクトルの可視範囲において、特に前記卓球ボール(2)のカラーフィルタリングされた写真において、前記マーク点(P)が、前記ボール表面(6)の残りの部分からコントラストをなして際立っている、請求項1~10のいずれか一項に記載の卓球ボール(2)。
【請求項12】
球状のボール表面(6)と、ボール回転を測定検出可能とするために前記ボール表面(6)上に設けられたマーク(8)とを備え、
前記マーク(8)は、所定数のマーク点(P )を含み、
前記マーク点(P )が、前記ボール表面(6)上に、
前記各マーク点(P )の3つの直近の近傍点(14,16,18)を互いに接続する前記大円経路(20)の長さ(Q i,k )の差長(ΔQ )が、前記各マーク点(P )とその3つの直近の近傍点(14,16,18)との間の前記大円経路(20)の前記長さ(Z i,j )の前記平均値(μ)よりも、30%より大きいように、分布されている、卓球ボール(2)。
【請求項13】
前記マーク点(P )の数が13~25である、請求項12に記載の卓球ボール(2)。
【請求項14】
前記各マーク点(P )の直径(d)が、前記ボール半径(R)の10%~24%である、請求項12又は13に記載の卓球ボール(2)。
【請求項15】
前記各マーク点(P )の前記直径(d)が、2.0mm~4.8mmである、請求項12~14のいずれか一項に記載の卓球ボール(2)。
【請求項16】
全てのマーク点(P )が同一の形状及び大きさを有する、請求項12~15のいずれか一項に記載の卓球ボール(2)。
【請求項17】
前記マーク点(P )が、前記ボール表面(6)の残りの部分とは異なる赤外線吸収及び/又は赤外線再放出特性を有しており、それによって、電磁放射スペクトルの赤外線領域において、特に前記卓球ボール(2)の赤外線画像において、前記マーク点(P )が前記ボール表面(6)の残りの部分からコントラストをなして際立っている、請求項12~16のいずれか一項に記載の卓球ボール(2)。
【請求項18】
前記マーク点(P )が、前記ボール表面(6)の残りの部分と異なる色を有しており、それによって、電磁放射スペクトルの可視範囲において、特に前記卓球ボール(2)のカラーフィルタリングされた写真において、前記マーク点(P )が、前記ボール表面(6)の残りの部分からコントラストをなして際立っている、請求項12~17のいずれか一項に記載の卓球ボール(2)。
【請求項19】
球状のボール表面(6)と、ボール回転を測定検出可能とするために前記ボール表面(6)上に設けられたマーク(8)とを備え、前記マーク(8)が所定数のマーク点(P)を含み、
前記マーク(8)が、18個のマーク点(P)を含み、
第1のマーク点(P)を起点として、
その直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z1,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.54±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z1,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.91±20%、であり、
その第3の直近の近傍点(P17)までの大円経路(20)の長さ(Z1,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.99±20%であり、
第2のマーク点(P)を起点として、
その直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z2,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.54±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z2,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.72±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z2,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.83±20%であり、
第3のマーク点(P)を起点として、
その直近の近傍点(P10)までの大円経路(20)の長さ(Z3,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.78±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P15)までの大円経路(20)の長さ(Z3,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.84±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z3,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.87±20%であり、
第4のマーク点(P)を起点として、
その直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z4,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.72±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P12)までの大円経路(20)の長さ(Z4,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.84±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z4,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.85±20%であり、
第5のマーク点(P)を起点として、
その直近の近傍点(P12)までの大円経路(20)の長さ(Z5,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.79±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z5,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.83±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z5,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.85±20%であり、
第6のマーク点(P)を起点として、
その直近の近傍点(P12)までの大円経路(20)の長さ(Z6,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.67±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P18)までの大円経路(20)の長さ(Z6,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.73±20%であり
その第3の直近の近傍点(P15)までの大円経路(20)の長さ(Z6,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.94±20%であり、
第7のマーク点(P)を起点として、
その直近の近傍点(P16)までの大円経路(20)の長さ(Z7,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.59±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P17)までの大円経路(20)の長さ(Z7,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.76±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P15)までの大円経路(20)の長さ(Z7,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.90±20%であり、
第8のマーク点(P)を起点として、
その直近の近傍点(P15)までの大円経路(20)の長さ(Z8,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.82±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z8,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.87±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P11)までの大円経路(20)の長さ(Z8,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.89±20%であり、
第9のマーク点(P)を起点として、
その直近の近傍点(P14)までの大円経路(20)の長さ(Z9,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.51±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P18)までの大円経路(20)の長さ(Z9,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.91±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z9,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.95±20%であり、
第10のマーク点(P10)を起点として、
その直近の近傍点(P13)までの大円経路(20)の長さ(Z10,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.75±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P17)までの大円経路(20)の長さ(Z10,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.75±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z10,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.78±20%であり、
第11のマーク点(P11)を起点として、
その直近の近傍点(P13)までの大円経路(20)の長さ(Z11,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.82±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P10)までの大円経路(20)の長さ(Z11,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.88±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z11,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.89±20%であり、
第12のマーク点(P12)を起点として、
その直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z12,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.67±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z12,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.79±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z12,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.84±20%であり、
第13のマーク点(P13)を起点として、
その直近の近傍点(P10)までの大円経路(20)の長さ(Z13,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.75±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P11)までの大円経路(20)の長さ(Z13,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.82±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z13,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.02±20%であり、
第14のマーク点(P14)を起点として、
その直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z14,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.51±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z14,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.92±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P11)までの大円経路(20)の長さ(Z14,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.98±20%であり、
第15のマーク点(P15)を起点として、
その直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z15,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.82±20%±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z15,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.84±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z15,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.90±20%であり、
第16のマーク点(P16)を起点として、
その直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z16,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.59±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P17)までの大円経路(20)の長さ(Z16,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.74±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z16,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.10±20%であり、
第17のマーク点(P17)を起点として、
その直近の近傍点(P16)までの大円経路(20)の長さ(Z17,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.74±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P10)までの大円経路(20)の長さ(Z17,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.75±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z17,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.76±20%であり、
第18のマーク点(P18)を起点として、
その直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Z18,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.73±20%であり、
その第2の直近の近傍点(P12)までの大円経路(20)の長さ(Z18,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.88±20%であり、
その第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)長さ(Z18,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.91±20%である、卓球ボール(2)。
【請求項20】
前記第1のマーク点(P)について、
直近の近傍点(P)と第2の直近の近傍点(P)との間の大円経路(20)の長さ(Q1,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.83±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P)からその第3の直近の近傍点(P17)までの大円経路(20)の長さ(Q1,2)の、ボール半径(R)に対する比が、1.57±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P17)からその直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q1,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.53±20%であり、
前記第2のマーク点(P)について、
直近の近傍点(P)と第2の直近の近傍点(P)との間の大円経路(20)の長さ(Q2,1)の、ボール半径(R)に対する比が、1.24±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q2,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.85±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q2,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.91±20%であり、
前記第3のマーク点(P)について、
直近の近傍点(P10)と第2の直近の近傍点(P15)との間の大円経路(20)の長さ(Q3,1)の、ボール半径(R)に対する比が、1.61±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P15)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q3,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.82±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P10)までの大円経路(20)の長さ(Q3,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.45±20%であり、
前記第4のマーク点(P)について、
直近の近傍点(P)と第2の直近の近傍点(P12)との間の大円経路(20)の長さ(Q4,1)の、ボール半径(R)に対する比が、1.39±20%、であり、
前記第2の直近の近傍点(P12)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q4,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.79±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q4,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.83±20%であり、
前記第5のマーク点(P)について、
直近の近傍点(P12)と第2の直近の近傍点(P)との間の大円経路(20)の長さ(Q5,1)の、ボール半径(R)に対する比が、1.39±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q5,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.72±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P12)までの大円経路(20)の長さ(Q5,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.84±20%であり、
前記第6のマーク点(P)について、
直近の近傍点(P12)と第2の直近の近傍点(P18)との間の大円経路(20)の長さ(Q6,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.88±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P18)からその第3の直近の近傍点(P15)までの大円経路(20)の長さ(Q6,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.97±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P15)からその直近の近傍点(P12)までの大円経路(20)の長さ(Q6,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.57±20%であり、
前記第7のマーク点(P)について、
直近の近傍点(P16)と第2の直近の近傍点(P17)との間の大円経路(20)の長さ(Q7,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.74±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P17)からその第3の直近の近傍点(P15)までの大円経路(20)の長さ(Q7,2)の、ボール半径(R)に対する比が、1.60±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P15)からその直近の近傍点(P16)までの大円経路(20)の長さ(Q7,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.38±20%、であり、
前記第8のマーク点(P)について、
直近の近傍点(P15)と第2の直近の近傍点(P)との間の大円経路(20)の長さ(Q8,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.84±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P)からその第3の直近の近傍点(P11)までの大円経路(20)の長さ(Q8,2)の、ボール半径(R)に対する比が、1.00±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P11)からその直近の近傍点(P15)までの大円経路(20)の長さ(Q8,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.59±20%であり、
前記第9のマーク点(P)について、
直近の近傍点(P14)と第2の直近の近傍点(P18)との間の大円経路(20)の長さ(Q9,1)の、ボール半径(R)に対する比が、1.39±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P18)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q9,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.96±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P14)までの大円経路(20)の長さ(Q9,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.33±20%であり、
前記第10のマーク点(P10)について、
直近の近傍点(P13)と第2の直近の近傍点(P17)との間の大円経路(20)の長さ(Q10,1)の、ボール半径(R)に対する比が、1.22±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P17)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q10,2)の、ボール半径(R)に対する比が、1.11±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P13)までの大円経路(20)の長さ(Q10,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.45±20%であり、
前記第11のマーク点(P11)について、
直近の近傍点(P13)と第2の直近の近傍点(P10)との間の大円経路(20)の長さ(Q11,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.75±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P10)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q11,2)の、ボール半径(R)に対する比が、1.45±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P13)までの大円経路(20)の長さ(Q11,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.71±20%であり、
前記第12のマーク点(P12)について、
直近の近傍点(P)と第2の直近の近傍点(P)との間の大円経路(20)の長さ(Q12,1)の、ボール半径(R)に対する比が、1.21±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q12,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.85±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q12,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.51±20%であり、
前記第13のマーク点(P13)について、
直近の近傍点(P10)と第2の直近の近傍点(P11)との間の大円経路(20)の長さ(Q13,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.88±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P11)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q13,2)の、ボール半径(R)に対する比が、1.84±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P10)までの大円経路(20)の長さ(Q13,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.33±20%であり、
前記第14のマーク点(P14)について、
直近の近傍点(P)と第2の直近の近傍点(P)との間の大円経路(20)の長さ(Q14,1)の、ボール半径(R)に対する比が、1.12±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P)からその第3の直近の近傍点(P11)までの大円経路(20)の長さ(Q14,2)の、ボール半径(R)に対する比が、1.88±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P11)からその直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q14,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.05±20%であり、
前記第15のマーク点(P15)について、
直近の近傍点(P)と第2の直近の近傍点(P)との間の大円経路(20)の長さ(Q15,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.87±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q15,2)の、ボール半径(R)に対する比が、0.90±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q15,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.58±20%であり、
前記第16のマーク点(P16)について、
直近の近傍点(P)と第2の直近の近傍点(P17)との間の大円経路(20)の長さ(Q16,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.76±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P17)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q16,2)の、ボール半径(R)に対する比が、1.57±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q16,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.67±20%であり、
前記第17のマーク点(P17)について、
直近の近傍点(P16)と第2の直近の近傍点(P10)との間の大円経路(20)の長さ(Q17,1)の、ボール半径(R)に対する比が、1.47±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P10)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q17,2)の、ボール半径(R)に対する比が、1.21±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P16)までの大円経路(20)の長さ(Q17,3)の、ボール半径(R)に対する比が、0.59±20%であり、
前記第18のマーク点(P18)について、
直近の近傍点(P)と第2の直近の近傍点(P12)との間の大円経路(20)の長さ(Q18,1)の、ボール半径(R)に対する比が、0.67±20%であり、
前記第2の直近の近傍点(P12)からその第3の直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q18,2)の、ボール半径(R)に対する比が、1.37±20%であり、
前記第3の直近の近傍点(P)からその直近の近傍点(P)までの大円経路(20)の長さ(Q18,3)の、ボール半径(R)に対する比が、1.62±20%である、請求項19記載の卓球ボール(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係る卓球ボール(以下、「ボール」とも略称する)に関し、そのボールは、球状のボール表面と、ボール回転を測定検出可能とするためにボール表面上に設けられたマークとを備える。その際、上記マークは、所定数のマーク点を含む。このような卓球ボールは、例えば、国際公開第2020/096120号パンフレットによって知られている。
【背景技術】
【0002】
卓球においては、ボールスピードのほかに、ボール回転(「スピン」とも呼ぶ)が非常に重要である。なぜなら、ボール回転は、ボールの飛行経路、卓球台及び相手プレーヤのラケットにおけるボールの跳ね返りに決定的な影響を与えるからである。そのため、特に卓球競技においては、例えば、コーチが卓球選手のストローク技術の客観的な制御、及び目的に適応した改善のために、飛行中のスピンをできるだけ正確に決定することが強く求められている。さらに、卓球の試合においては、試合の司会又はスポーツ報知の一環として、できればリアルタイムにおいて、卓球ボールの動きを測定及び分析することが求められている。
【0003】
卓球ボールの飛行中のスピンを視認するために、ボール表面上にマークを設けることが一般的に知られている。例えば、ドイツ語版Wikipediaの「卓球ボール」という項目(https://de.wikipedia.org/wiki/Tischtennisball、2020年4月17日20時51分のバージョン)には、卓球のトレーニングボールが描かれている。そのボール表面上には、スピン認識のマークとして、大きなカラー面積のカラーパターンが印刷されている。
【0004】
一方、国際公開第2020/096120号パンフレットから知られる卓球ボールにおいては、スピン検出のために設けられたマークが、ボール表面に渡って均質に分布する6つのマーク点を含んでいる。各マーク点の直径は、5mm(ミリメートル)~13mmである。
【0005】
卓球と同様、ゴルフにおいても飛行中のボール回転を測定する必要がある。ここにおいても、ティーショット時のボール回転を測定可能とするために、ボール表面上に設けられたマーク、特に点パターンが利用される。対応するゴルフボールは、例えば、中国特許出願公開第107543530号明細書、韓国特許第102101512号明細書、米国特許出願公開第2018/0353828号明細書、及び米国特許第7062082号明細書から知られている。ここにおいて開示されるマークは、それぞれ、密接に隣接する複数のマーク点を有する1つ以上のグループを有する。
【0006】
代替的には、中国特許出願公開第106643662号明細書によると、ゴルフボールのスピン認識のために、1次元又は2次元構造、例えばマーク線を有するマークが使用されている。さらに代替的には、特開2016-218014号公報においては、ゴルフボールに設けられた製造者マークを、スピンを検出可能とするためのマークとして使用することが提案されている。
【0007】
ゴルフボールのスピン測定の自動的な方法はすでに成功しているが、卓球においてはそれに対応する測定方法は、まだ確立されていない。その主な理由は、卓球において有効に使用可能であるためには、従来の測定方法においてはその速度が遅すぎることにある。なぜなら、ゴルフと比較すると、卓球はストロークの頻度が高いスポーツであり、ボールの打ち合い時には、通常1秒間に1回以上ネットの上を通過する。さらに、ゴルフとは異なり、ボールの位置及び向きが測定開始時にわからないという難しさもある。ゴルフのスピン測定は、通常、その前にボールが静止しているティーショットにおいて行われるが(そのためボールの位置と向きが正確に定義される)、卓球のボールのスピンは飛行中(通常はネットを横切るとき)に測定される。しかしながら、卓球ボールの軌道は先験的に不正確にしか予測できないため、卓球ボールのスピンを計算するための測定装置は、スピンを測定する前にまずボールを探さなければならず、それは、かなりの測定時間を要する。さらに、測定装置に検出されるときの卓球ボールの向きは事前に分からないため、まずその向きを決定する必要がある。このような理由から、これまで飛行中の卓球ボールのスピン測定は、好状況のもとにおいてのみ、且つ、試合経過と比べて長い時間遅れを伴ってのみ可能であった。あらゆるゲーム状況において(特におおよそリアルタイムにおいて、つまり約2ストローク間の時間において)信頼性の高いスピン確定は、まだ利用可能ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、卓球ボールの飛行中のボール回転(スピン)の、特に高速で、且つより確実な自動的な確定を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴によって解決される。それによれば、球状のボール表面(球面)と、ボール回転(スピン)を測定検出可能とするためにボール表面上に設けられたマークとを備えた卓球ボールが提示されている。国際公開第2020/096120号パンフレットから知られているように、マークは、所定数のマーク点を含む。マーク点の数を、以下、変数Nによって記述する。卓球ボールの半径を、以下、変数Rによって記述する。
【0010】
好ましくは、スピンを検出可能とするために関連するマークは、マーク点のみから成る。この場合、マークは、言い換えれば、当該マーク点以外の構造を有さない純粋な点パターンである。しかしながら、本発明の変形例においては、卓球ボールは、そのボール表面にさらなる構造又はパターンを有し得る。そのようなさらなる構造は、しかしながら、スピン確定に関連するマークに属さず、また、スピン確定の際に評価されない。
【0011】
本発明によれば、ボール表面上のマーク点の分布は、所定数の基準によって特徴付けられている。
【0012】
第1の基準によれば、各マーク点とその3つの直近の近傍点との間の大円経路(大円距離)の長さの標準偏差は、大円経路の長さの平均値の少なくとも12%である。そのため、標準偏差の計算の際に、それぞれの3つの直近の近傍点に対する、すべてのマーク点の点距離が考慮される。
【0013】
第2の基準によれば、各マーク点とその3つの直近の近傍点の間の大円経路の最小の長さは、これらの大円経路の長さの平均値の少なくとも40%である。言い換えれば、第2の基準によれば、マーク点の1つとその3つの直近の近傍点の1つとの間の大円経路は、これらの大円経路の長さの平均値の40%未満である長さを有していない。
【0014】
第2の基準に加えて、又は代替的に、点分布は、各マーク点とその3つの直近の近傍点の間の大円経路の最小の長さが、ボール半径を点の数の平方根によって割った商の少なくとも120%であるという事実によって特徴付けられる。言い換えれば、第3の基準によれば、マーク点の1つとその3つの直近の近傍点の1つとの間の大円経路は、ボール半径を点の数の平方根によって割った商の120%未満の長さを有していない。
【0015】
第2及び第3の基準については、それぞれ、すべてのマーク点とその3つの直近の近傍点との点距離にも考慮される。
【0016】
本発明は、以下の認識に基づいている。すなわち、誤差のない、並びに数値的に十分に単純であり、それによって高速な、卓球ボールのスピンの確定の実現可能性は、卓球ボール上に設けられたマークの態様に本質的に依存する、という認識である。
【0017】
第1の段階として、本発明は、その際、1次元又は2次元構造を有するマークは、自動的なスピン確定に不利であるという考察に基づいている。なぜなら、そのような構造は、数値的に負担があり、それによって、比較的時間のかかる画像認識方法によって(特に分割によって)のみ検出可能となるからである。それに対して、点状の構造は、非常に少ない数値的な負担によって検出することができる。そのため、本発明は、所定数のマーク点からなる、あるいは少なくともそのようなマーク点を含むマークの開発に集中したものである。
【0018】
国際公開第2020/096120号パンフレットによって提案されたマーク点の均質な分布は、卓球ボールの写真画像からボールの向きを明確に認識することができないため、不利であると認識されている。むしろ、そこに提案されたボールの場合、6つの異なる方向があり、それら方向自体がマークを示し、それによって、それらは、ボールの写真撮影においては区別がつかない。このマークの冗長性によって、ボールの時間的連続画像の比較評価において、異なる画像によって認識可能なマーク点が互いに誤って割り当てられ、それは、スピン計算の際に誤りを生じさせる可能性がある。
【0019】
また、中国特許出願公開第107543530号明細書、韓国特許第102101512号明細書、米国特許出願公開第2018/0353828号明細書、及び米国特許第7062082号明細書によって提案されたマーク点のグループ化も、卓球のスピン確定に適さないことが判明している。これは主に、ゴルフのティーショットとは異なって、卓球においてはボールの向きが測定検出の開始時にわからないことに起因する。卓球ボールは任意の向きにおいて測定装置の検出範囲に入り得るため、グループに集中している測定点の多くは、検出時に比較的高い確率において、測定装置に面するボール側に位置していない。そのため、その測定点は、うまく撮像できない、又は、全く撮像できない。このような状況下においては、ボールの時系列画像の評価に基づく従来のスピン確定は、しばしば、うまくいかない可能性がある。この問題は、ボール表面上の点グループのより密な配置によって解決できると認識されている。しかしながら、これは、マーク点の数が多くなり、且つ、それらの密な詰め込みによって、マーク点の特定にかかる数値的な負担が増え、スピン確定の精度が低下することになる。
【0020】
従来技術の短所を考慮し、本発明はその折衷案を採用する。本発明は、マーク点をグローバルには(すなわち、マーク点全体との関係においては)できるだけ均質に、しかしながら、ローカルには(すなわち、個々のマーク点とその直近の近傍点との関係においては)できるだけ不均質、且つ不規則に(擬似ランダムに)分布させる、という考えに基づいている。
【0021】
点分布のグローバルな均質性によって、マークが全体的に比較的少数のマーク点のみによって構成されている場合においても、ボールのあらゆる可能な方向において、マーク点の特定の大きなサブグループを容易に認識することが達成される。このことは、検出されたマーク点の数値的に負担のない識別を保証する。その際、しかしながら、点分布のローカルな不均質性によって、個々のマーク点の識別は、かなり簡素化されている。それは、個々のマーク点が、近傍点との関係におけるその配置に基づいて、簡単に、一義的に、且つ確実に認識することができるためである。
【0022】
上記した特性、すなわち、本発明によるマークの点分布の、一方においてはグローバルな均質性、他方においてローカルな不均質性は、各マーク点とその3つの直近の近傍点との間の大円経路の長さに基づいて、特に簡単に、且つ一義的に記述することが可能である。用語「大円経路」は、この場合、球状のボール表面上のそれぞれの考慮されるマーク点間の最短接続を意味する。
【0023】
考慮されるマーク点(「中心点」)の「直近の近傍点」は、常に、最短長さの大円経路を介して中心点と結ばれるマーク点を意味する。中心点の「第2の直近の近傍点」及び「第3の直近の近傍点」は、常に、それぞれ2番目に最短長の、或いは3番目に最短長の大円経路を介して中心点と結ばれるマーク点を意味する。この定義によれば、各マーク点は、直近の近傍点、第2の直近の近傍点、第3の直近の近傍点を有し、この定義に従って中心点を表現することができる。好ましくは、マークは、その際、各中心点に対して、直近の3つの近傍点がペアにおいて異なる距離に位置するように、選択される。それによって、これらの近傍点は、直近の、第2(2番目)の直近の、及び第3(3番目)の直近の近傍点として、それぞれの中心点に対して一義的に割り当てられ得る。しかしながら、本発明の範囲内において、1つ以上のマーク点は、それらの3つの直近の近傍点のうちの2つから等距離にあることも可能である。言い換えれば、個々の場合において、直近の近傍点と第2の直近の近傍点とは、及び/又は、第2の直近の近傍点と第3の直近の近傍点とは、中心点から等距離にあり得る。
【0024】
以下においては、それぞれの考慮されるマーク点(中心点)とその3つの直近の近傍点とによって形成されるマーク点のグループを「4点ネットワーク」とも呼ぶ。マークは、マーク点の数に対応する、所定数のそのような4点ネットワークを有する。
【0025】
言葉上の簡略化のため、以下において、大円経路の長さを「点距離」と呼ぶ。それぞれの点距離は、関連する大円経路の走り具合に対応して、ボール表面に沿って測定される。
【0026】
以下において、考慮される4点ネットワークのそれぞれの中心点とその3つの直近の近傍点のうちの1点を結ぶ大円経路の長さを「中心-点距離」と呼び、式記号Zi,jによって記述する。変数i(ここでi=1,2,…,N)は、その際、それぞれの関連において中心点とみなされるマーク点を示す。変数j(ここでj=1,2,3)は、i番目の中心点に対する、直近の近傍点、第2の直近の近傍点、或いは、第3の直近の近傍点を示す。この意味において、例えば、式記号Z5,2は、中心点とみなされる第5のマーク点とその第2の直近の近傍点との間の中心-点距離を示す。
【0027】
マーク点がほぼ均質分布している場合、特に、3つの直近の近傍点がそれぞれの中心点の周りに多かれ少なかれ、明確な、且つ閉じた暫定的なシェルを形成することが認識されるため、上記4点ネットワークの考察は特に有利であることが証明されている。その3つの直近の近傍点は、互いに中心点までの似た点距離を有することが特徴であり、その点距離は、点の数及びパターンの均質性に応じて、より遠い近傍点の点距離とは多かれ少なかれ明確に異なる。
【0028】
点分布の上記の第1の基準である、すなわち、各マーク点とその3つの直近の近傍点との間の大円経路の長さの標準偏差(以下、σ)が、大円経路の長さの平均値(以下、μ)の少なくとも12%以上であるという基準は、したがって、次のように記載することができる。
【0029】
【数1】
ここで
【数2】
及び
【数3】
【0030】
好ましくは、中心-点距離Zi,jの上記標準偏差σは、関連する平均値μの少なくとも15%である。式2及び式3から認識できるように、標準偏差σ及び平均値μを計算する際に、すべてのマーク点Pの3つの直近の(中心-)点距離Zi,j、すなわちZ1,1,Z1,2,Z1,3,Z2,1,Z2,2,Z2.3,…,ZN,1,ZN,2,ZN,3が合計される。
【0031】
標準偏差σの値が低いということは、少なくともほとんどのマーク点Pについて、3つの直近の近傍点が、中心点とみなされるそれぞれの考慮されるマーク点Pの周囲の比較的薄い円環内にあること、又は、言い換えれば、少なくとも、ほとんどのマーク点Pがその3つの直近の近傍点から非常に似た距離に配置されていることを意味する。そのため、特性量σ及びσ/μは、それぞれ点分布の均質性の尺度を表している。上記の標準偏差の最小値は、4点ネットワーク内の点分布が均質になり過ぎないことを確保する。
【0032】
点分布の上記した第2の基準、すなわち、各マーク点とその3つの直近の近傍点との間の大円経路の最小の長さ、すなわちボール表面上の最小(中心-)点距離dminが、大円経路の長さの平均値の少なくとも30%であるという基準は、次のように記載することができる。
【0033】
【数4】
【0034】
好ましくは、この最小の(すなわち最小限の)点距離dminは、関連する平均値μのさらに少なくとも50%、特に少なくとも60%である。式4から認識されるように、第2の基準は、すべてのマーク点Pのそれぞれの3つの直近の(中心-)点距離Zi,jにも適用され、すなわち、Z1,1,Z1,2,Z1,3,Z2,1,Z2,2,Z2,3,…,ZN,1,ZN,2,ZN,3について適用される。
【0035】
この点分布の第2の基準は、マーク点間の距離が小さ過ぎるものを除外することである。それによって、特にマーク点の、かたまり形成が除外される。それによって、第2の基準は、点分布の近似的でグローバルな均質性を保証する。
【0036】
点分布のグローバルな均質性を示すさらなる尺度は、ボール半径Rに対する最小(中心-)点距離dminの比である。ボール表面上のN個のマーク点が可能な限り均質分布している場合、マーク点Pは平均して可能な限り互いに離れている。つまり、点距離が極端に小さい点ペア(すなわち、近接したマーク点の点グループ)は言い換えると、回避される。近似として次のように見なすことができる。すなわち、最良の均質分布の場合、各マーク点は、ボール表面の異なるN分の1の部分に配置され、そのため、各マーク点は、他のマーク点が位置しない、割り当てられたボール表面の部分表面に多かれ少なかれ中央に配置され、その際、これらの部分表面のそれぞれは、ボール表面のN分の1の面積Aを有する。
【0037】
【数5】
【0038】
今、これらの部分表面がほぼ平坦な円形表面であると仮定すると、式5と円の面積の公式(A≒0.25・π・d )とから、部分表面の直径dを推定することができる。
【0039】
【数6】
【0040】
そのため、直径dは、均質分布されたマーク点からボール表面のそれぞれの近傍点までの典型的な距離を示す尺度である。式6から認識されるように、この典型的な距離は、点の数Nの平方根によってほぼ減少する。ボール表面の大きさは限られているため、通常、ボール表面の他の箇所との点距離を狭めずにマーク点間の距離を広げることはできない。したがって、直径dに対する最小の点距離dminの比は、点分布がどの程度グローバルな均質性から逸脱しているかを示す尺度となる。
【0041】
上記第3の基準によれば、最小の点距離dminは、式6に従って算出された典型的な距離dの少なくとも30%である、又は、等価的に表現すると、ボール半径Rを、点の数Nの平方根によって割った商の少なくとも120%(すなわち1.2倍)である。
【0042】
【数7】
【0043】
好ましくは、最小の点距離dminは、典型的な距離dの少なくとも37.5%、特に少なくとも45%である。等価的に表現すると、最小の点距離dminは、好ましくは、ボール半径Rを点の数Nの平方根によって割った商の少なくとも150%(すなわち1.5倍)、特に少なくとも180%(すなわち1.8倍)である。マーク点が18個(N=18)のパターンにおいては、最小の点距離dminは、したがってボール半径Rの少なくとも28%、好ましく少なくとも35%、特に少なくとも42%である。
【0044】
上記のように、第2の基準及び第3の基準は、本発明によるボールパターンを特徴付けるために、互いに交替に、又は互いに組み合わせて、しかし常に第1の基準と組み合わせて、本発明の範囲内において考慮される。
【0045】
3つの直近の近傍点を結ぶ大円経路の長さを、中心-点距離Zi,jと区別して、「周囲-点距離」Qi,kと呼ぶ。その際、変数iは、ここでも同様に、中心点と考慮されるマーク点を示す。それに対して、変数k(ここでk=1,2,3)は次のように表す。
【0046】
k=1の場合は、直近の近傍点と第2の直近の近傍点の間の点距離、
k=2の場合は、第2の直近の近傍点と第3の直近の近傍点の間の点距離、
k=3の場合は、第3の直近の近傍点とi番目のマーク点の直近の近傍点との間の点距離を表す。この意味において、例示的に選び出した式記号Q5,2は、中心点として考慮される第5のマーク点の第2の直近の近傍点と第3の直近の近傍点との間の周囲-点距離を示す。
【0047】
本発明の好ましい実施形態において、マーク点は、以下のような第4の基準に従ってボール表面上に分布されている。すなわち、各4点ネットワークの周囲-点距離Qi,kの差長(以下ΔQ)が、言い換えれば、各マーク点の3つの直近の近傍点間の最長大円経路と最短大円経路との差が、上記定義した中心-点距離Zi,jの平均値μの30%より大きいように、マーク点が分布されている。
【0048】
各i=1,2,...,Nについて
【数8】
【0049】
式8による点分布のこの第4の特性は、有利には、特に好適な点分布を特徴付けるために、請求項1のプリアンブルによる卓球ボールにおいて、上記のマークの特徴の1つと組み合わせても、そこから切り離しても使用でき、この点においても独立した発明と見なされる。好ましくは、差長ΔQは、平均値μの35%より大きく、特に40%よりさらに大きい。
【0050】
差長ΔQの好ましい下限の定義は、この差長ΔQが、4点ネットワークの3つの直近の近傍点によって形成される三角形が正三角形から、したがってローカルに均質な点分布からどれだけ逸脱しているかを記述するという知識に基づいている。その結果、差長ΔQの十分に大きな値は、点分布の望ましいローカルな不均質性の特に意味のある尺度であると認識される。
【0051】
本発明の好ましい実施形態においては、マーク点の数は、13~25、好ましくは16~21、特に18又は19である。これは、ボール表面上に分布する18又は19のマーク点の数によって、数値的な負担と信頼性の点において最適化されたスピン検出が可能になるという経験に基づいている。
【0052】
マーク点の数が少ないマークの場合、認識可能なマーク点を明確に特定するために、ボールの画像においてマーク点が十分によく認識できないという状況が、マーク点の数が少なくなるとより頻繁に、発生する。そのため、スピンの計算が不正確になる、又は誤差が生じることがあり得る。
【0053】
他方、マーク点の数が増えれば増えるほど、測定検出されたマーク点のグループを識別するために比較しなければならない可能性の数が不釣り合いに増加する。そのため、19以上のマーク点を使用するマークは、スピン確定の際の数値的な負担を大きくする。
【0054】
しかし、より少ない程度ではあるが、16,17,20又は21のマーク点を有するマークにおいても、本発明の意図する利点は得られる。さらにより少ない程度ではあるが、13~15又は22~25のマーク点を含むマークにおいても、本発明の意図する利点は得られる。
【0055】
好ましくは、各マーク点の直径は、ボール半径の10%~24%、好ましくは15%~20%、特に17.5%に選ばれる。各マーク点の直径は、絶対的な表現においては、好ましくは2.0mm~4.8mm、好ましくは3.0mm~4.0mm、特に3.5mmである。マーク点のこの寸法は、特に有利であることが証明されている。なぜなら、マーク点は、一方においては、好ましくない状況下(例えば、測定装置からボールが比較的遠くにある場合)においても、ボールの画像上において確実に検出できるように十分に大きいからである。他方においては、このように寸法化されたマーク点は十分に小さいため、有用な近似において点状(すなわち、無次元)構造として扱うことができ、それによって数値的に簡単な画像評価が可能である。さらに任意の実施形態においては、全てのマーク点が同一の形状及びサイズであることによって、簡単な画像評価に有利となる。
【0056】
有利な一実施形態においては、マーク点は、ボール表面の残りの部分とは異なる、赤外線吸収又は赤外線再放出の特性によって特徴付けられる。そのため、マーク点は、電磁放射スペクトルの赤外線(IR)範囲において、特に卓球ボールの赤外線画像において、ボール表面の残りの部分とコントラストをなして際立っている。特に、マーク点は、赤外線感光性のラッカーによってボール表面上に設けられる(その際、この赤外線感光性のラッカーはマーク点にのみ使用され、ボール表面上に場合によっては存在する他のマーク又はパターンには使用されない)。この特徴は、可視光のスペクトル領域の外乱(例えば、ヘッドライト又は懐中電灯の眩しい光)に特に鈍感な赤外線カメラを用いてボールを撮影することによって、自動的なスピン決定を可能にする。さらに、コントラストをなす赤外線吸収又は赤外線再放射の特性によって、スピン確定を目的としたマークの選択的な撮影も可能である。それによって、ボールにはマークの他に、スピン確定に支障のない範囲において自由にさらなるパターン又は印刷を設けることができる。
【0057】
本発明のさらなる一実施形態においては、電磁放射スペクトルの可視領域における所定の共通色を使用することによって、マーク点が、ボール表面の残りの部分の背景からコントラストをなして際立つように、マークが形成されている。この特徴によって、例えば、卓球ボールの、カラーフィルタリングされた写真の撮影によって、又は、その後の画像処理によって、スピン確定を目的としたマークの選択的な撮影が可能となる。そのため、この特徴によって、スピン確定に支障をきたすことなく、ボールにさらなるパターン又は印刷(1つ以上の他の色において)を設けることも可能になる。
【0058】
特に有利な一実施形態においては、卓球ボールは、18個のマーク点を有するマークを備える。以下において、これらのマーク点を総称してP(ここでi=1,2,…,18)と示す。この18個のマーク点は、それぞれボールの半径Rと比較され、以下に詳説する、その直近の近傍点に対する中心-点距離Zi,jにおいて配置されている。
【0059】
【表1】
【0060】
表1によるマーク点Pの配置は、請求項1のプリアンブルによる卓球ボールにおいて、上記したマークの特徴の1つと組み合わせても、また、それから切り離しても有利に用いることができ、この点においても独立した発明と見なすことができる。
【0061】
好ましくは、各4点ネットワークの近傍点は、以下の周囲-点距離Qi,kにおいて配置されている。
【0062】
【表2】
【0063】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】球状のボール表面と、飛行中のスピンの測定検出可能とするためにそれに設けられたマークとを備えた卓球ボールの、6つの互いに直交する視線方向の1つの視線方向からの平面図であり、そのマークは、ボール表面上に分布された18個のマーク点から形成されている。
図2】上記卓球ボールの、6つの互いに直交する視線方向の別の1つの視線方向からの平面図である。
図3】上記卓球ボールの、6つの互いに直交する視線方向の別の1つの視線方向からの平面図である。
図4】上記卓球ボールの、6つの互いに直交する視線方向の別の1つの視線方向からの平面図である。
図5】上記卓球ボールの、6つの互いに直交する視線方向の別の1つの視線方向からの平面図である。
図6】上記卓球ボールの、6つの互いに直交する視線方向の別の1つの視線方向からの平面図である。
図7図1に従った表現において、中心点とされるマークの第1のマーク点とその3つの直近の近傍点とから形成される、マークのサブグループ(「4点ネットワーク」)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
すべての図において、互いに対応する部分、大きさ、及び構造には、常に同一の参照符号を付す。
【0066】
図1図6において、(卓球)ボール2は、互いに直交する6つの視線方向から見た6つの平面図によって示されている。図1図6に示した図面の空間的な関係を、これらの図においてそれぞれローマ数字でラベル付けした矢印によって表している。ローマ数字は、それぞれ、数値に対応する図の基礎を成す視線方向を示す。そのため、例えば、図1においてローマ数字IIによって示された矢印は、図2による図面が得られる視線方向を示している。
【0067】
ボール2は、通常の態様においては、特にプラスチック製の中空球形の外殻4を有する。ボール2は、特に、卓球のルールに適合する、20mm(ミリメートル)のボール半径R、又は40mmのボール直径を有する。
【0068】
ボール2の飛行中のボール回転(スピン)を測定可能にするために、外殻4(ひいてはボール2全体)の球形のボール表面6には、マーク8が設けられている。図示の実施例においては、マーク8は、ボール表面6上に分布する18個のマーク点P(ここでi=1,2,…,18)から構成されている。図1図6においては、説明の便宜上、マーク8を概略的に示している。なお、ボール表面6のそれぞれの可視部分の端部に位置するマーク点Pの遠近法的な歪は、図示されていない。
【0069】
各マーク点Pは、直径d(図7)が3.5mm(ボール半径Rの17.5%に相当)の円形領域によって形成されている。マーク点Pはその際、強くIRを吸収する及び/又はIR(赤外線)を再放出するラッカー、強くIRを吸収する及び/又はIRを再放出する印刷用インク/インク(例えば独国特許公開第102008049595号公報を参照)、又は、他の強くIRを吸収する及び/又はIRを再放出するコーティングを用いて、ボール表面6上に設けられている。電磁放射スペクトルの可視スペクトル範囲(すなわち、可視光のスペクトル範囲)において、マーク点Pは、その際、周囲のボール表面6に対して色コントラストを形成する色を有し得る。この場合、マーク点Pはまた、周囲のボール表面6から視覚的に目立つ。しかしながら、好ましくは、マーク点Pは、人間の目には透明であるか、又は、周囲のボール表面6と同じ又は類似の色を有する。後者の場合、マーク点Pは、ボール2の赤外線画像においてのみ明確に認識可能であるが、人間の観察者及びボール2の写真においては、見えないか、又は少なくとも目立ない。
【0070】
マーク8の上記したIR感応的な実施によって、マーク点Pは、ボール2のIR画像においてボール表面6の残りの部分から強くコントラストをなして際立つことと成る。任意において、ボール2には、少なくとも1つの非又は低IR吸収性のインクによってボール表面6に設けられる追加の構造(例えば、印刷又はパターン)が、追加的に設けられる。マーク8はまた、IR画像において、場合によっては存在するこの追加の構造に対して強く目立つ。その結果、逆の推論においては、場合によっては存在するその構造は、マーク8によって伝えられる、空間におけるボール2の向きに関する情報内容を損なったり偽ったりすることはない。
【0071】
球表面6上のマーク点Pの位置は、球面座標において、すなわち極角θと方位角φとによって、以下の表に示される。
【0072】
【表3】
【0073】
この配置においては、マーク点Pは、グローバルな観点から、大まかな近似において、球表面6上に均質に分布している。しかしながら、理想的な均質分布に対して、マーク点Pは、認識可能な方法において、擬似ランダムにオフセットされて配置されている。
【0074】
このような点分布の特性は、4点ネットワーク10と呼ばれるローカルな点環境を考慮にする場合、特に明確になる。その4点ネットワーク10は、中心点12としてのマーク点Pの1つと、その3つの直近の近傍点Pとによってそれぞれ形成される。マーク点Pの数に応じて、マーク8は、部分的に重なる18個の4点ネットワーク10に分割することができる。
【0075】
第1のマーク点Pの4点ネットワーク10を、図7に例として示す。ここにおいて、
マーク点Pの直近の近傍点14は、マーク点Pによって、
マーク点Pの第2の直近の近傍点16は、マーク点Pによって、
マーク点Pの第3の直近の近傍点18は、マーク点P17によって、
形成されている、いうことが認識される。
【0076】
上記に定義したように、各4点ネットワーク10の中心点12(図7に示す例においては、マーク点P)と、その近接する各点14,16,及び18(すなわち図7に示す例においては、それぞれマーク点P,P又はP17)とを結ぶ大円経路20の長さを中心-点距離Zi,jと呼ぶ。それに対して各4点ネットワーク10の近傍点14,16,18を結ぶ大円経路20の長さは、上記においても定義したように、周囲-点距離Qi,kと呼ぶ。第1のマーク点Pの4点ネットワーク10について、対応する中心-点距離Z1,1,Z1,2,Z1,3、及び、周囲-点距離Q1,1,Q1,2,Q1,3図7に記入されている。
【0077】
表3に示した18個のマーク点Pの配置について、中心-点距離Zi,jの値は、表1の右欄から得られる。
【0078】
式3によると、中心-点距離Zi,jの平均値μは、ボール半径Rの0.80倍に相当する(すなわち、μ/R=0.80)。ボール半径Rを20mmとすると、各マーク点Pの3つの直近の近傍点からの平均の点距離は、それによって16.1mm(すなわちμ=16.1mm)である。式2による標準偏差σについて、表3の点分布においては、0.126の値が得られた。したがって、平均値μに対して正規化された標準偏差σは15.7%(すなわち、σ/μ=15.7%)となる。最小(中心-)点距離dminは点Pと点P14の間に形成され、上記ボール半径の場合に10.1mmである。これは、平均値μの63%に相当する(すなわち、dmin=min{Zi,j|i=1,...,N;j=1,2,3}=63%・μ)。
【0079】
最小点距離dminは、式6に従って計算された代表的な距離d(式6)の53.6%である。又は、等価的に表現すると、ボール半径Rを、点の数Nの平方根によって割った商の少なくとも214%、或いはボール半径Rの50.5%である。
【0080】
特性量σ/μに関しては、表3の点分布は、最も理想的なマーク点Pの均質分布を超えており、このような18個のマーク点Pの均質分布について、σ/μ=10.1%の比較値が試験によって確認された。他方、表3に示された点分布は、また、平均値μによって正規化された標準偏差σが著しく大きい平均的なランダム点分布とは異なる。しかしながら、最小の中心-点距離は、規則的に、式4による条件に合致していない。
【0081】
表3の点配置の周囲-点距離Qi,kは、表2の右欄から得られる。この点配置の、式8に従って平均値μによって正規化した差長ΔQは、すべての4点ネットワーク10において、42.8%以上である(min{ΔQ/μ;i=1,2,...,18}=ΔQ10/μ=42.8%)。
【0082】
点分布のローカルな不規則性の尺度を示すこの特性量ΔQの最小値は、表3に示した点分布の場合、できるだけ理想的な均質分布、又は18個のマーク点Pの平均的なランダム配置の場合よりも大幅に大きい。
【0083】
それによって、表3による点分布は、グローバルには顕著な均質性によって、しかしながら、ローカルには特に高い不規則性によって、際立っている。両方の特徴は、その組み合わせによって、ボール2の任意の眺めにおいてそれぞれ見えるマーク点Pの明確な識別を容易にし、それによって、スピン確定を決定的に有利にする。
【0084】
ボール2のスピンを決定するために、カメラによって飛行するボール2の画像の時系列が撮影される。その際、IRスペクトルにおけるマーク点Pの強いコントラストを利用可能とするために、好ましくは、赤外線カメラを使用する。カメラを、好ましくは、ネットの高さにおいて卓球台の側方に配置し、それによって、カメラは卓球台の横断方向と平行に向けられる。
【0085】
ボール2の撮影された画像は、スピン(特にボール2の回転軸、回転方向、及び回転速度に関して)を決定するために、例えば米国特許第7062082号明細書から知られる方法を用いて評価される。
【0086】
本発明によるマーク8は、特に図に示され、表3に詳細に示される実施形態において、数値的に特に負担がなく、それによって、特に速いスピン確定を可能にする。これによって、初めて、卓球における自動スピン確定方法の賢明な使用、特に準リアルタイムにおける使用を可能にする。
【0087】
本発明は、上記した実施形態において特に明らかであり、しかしながら、これに限定されるものではない。本発明のさらなる実施形態は、特許請求の範囲、及び上記の説明から導き出すことができる。
【符号の説明】
【0088】
2 ボール
4 外殻
6 ボール表面
8 マーク
10 4点ネットワーク
12 中心点
14 (直近の)近傍点
16 (第2の直近の)近傍点
18 (第3の直近の)近傍点
20 大円経路
d 直径(マーク点の)
マーク点(i=1,2,...,18)
i,j 中心-点距離(i=1,2,...,18;j=1,2,3)
i,k 周囲-点距離(i=1,2,...,18;k=1,2,3)
R ボール半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7