(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】統合管理装置、管理方法、サーバ、プログラム、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20240101AFI20241107BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20241107BHJP
【FI】
G06Q10/083 320
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2023542401
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 JP2022030926
(87)【国際公開番号】W WO2023022140
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2021135131
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 純
(72)【発明者】
【氏名】貞野 計
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-060570(JP,A)
【文献】特開2015-138501(JP,A)
【文献】特開2018-124674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)エネルギを管理するエネルギ管理装置から送られる、エネルギ需要に関する需要量、及び需要時間を含む第1需要と、(II)移動体を管理する移動体管理装置から送られる、前記移動体の需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第2需要と、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記第1需要及び前記第2需要に基づいて、前記移動体が移動する位置及び時間を決定するための処理、又は、前記第1需要と前記第2需要との双方の需要を満たすことができるか判断する処理の少なくとも一方を行う処理部と、
前記エネルギ及び前記移動体を管理するためのモードとして、前記第2需要を満たしながら前記第1需要を可能な範囲で満たす第1モードと、前記第1需要を満たしながら前記第2需要を可能な範囲で満たす第2モードと、を含む複数のモードを切替えるモード判別部と、
を備える統合管理装置。
【請求項2】
前記モード判別部は、前記エネルギ及び前記移動体を管理するためのモードとして、前記複数のモードのうち将来実行すべきモードを判別する
請求項1に記載の統合管理装置。
【請求項3】
前記モード判別部は、前記エネルギ及び前記移動体を管理するためのモードとして、実行中のモードに関わらず、前記複数のモードのうち現在実行すべきモードを判別する
請求項1又は2に記載の統合管理装置。
【請求項4】
前記モード判別部は、前記モード判別部が判別したモードに従って決定された前記移動体が移動する位置及び時間に基づいて前記移動体が移動を開始した後、予め定められた緊急条件が満たされた場合に、前記複数のモードのうち現在実行するべきモードを判別する
請求項3に記載の統合管理装置。
【請求項5】
前記第1モードは、前記第2需要を満たすように前記移動体が移動する位置及び時間を決定し、前記第2需要を満たしながら前記第1需要を可能な範囲で満たすように前記移動体が移動する時間を調節するモードである
請求項1又は2に記載の統合管理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記モード判別部によって前記第1モードが判別された場合に、前記第2需要を満たすように決定された前記移動体が移動する位置及び時間に従って前記移動体が移動することによって前記第1需要と前記第2需要との双方の需要を満たすことができるかを判断し、前記第1需要と前記第2需要との双方の需要を満たすことができないと判断した場合に、前記第2需要を満たしながら前記第1需要を可能な範囲で満たすように前記移動体が移動する時間を調節する処理を行う
請求項5に記載の統合管理装置。
【請求項7】
前記第2モードは、複数の移動体のうち前記第1需要を満たすために必要な移動体を選択し、前記複数の移動体のうち前記選択された移動体以外の移動体を前記第2需要を可能な範囲で満たすように移動させるモードである
請求項1又は2に記載の統合管理装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記モード判別部によって前記第2モードが判別された場合に、
複数の移動体のうち前記第1需要を満たすために必要な移動体を選択し、前記複数の移動体のうち前記選択された移動体以外の移動体が移動する位置及び時間を、前記第2需要を可能な範囲で満たすように決定するための処理を行う
請求項7に記載の統合管理装置。
【請求項9】
前記第1需要は、前記エネルギ管理装置から送られる、エネルギ需要に関する需要位置をさらに含む
請求項1又は2に記載の統合管理装置。
【請求項10】
(I)エネルギを管理するエネルギ管理装置から送られる、エネルギ需要に関する需要量、及び需要時間を含む第1需要と、(II)移動体を管理する移動体管理装置から送られる、前記移動体の需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第2需要と、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記第1需要及び前記第2需要に基づいて、前記移動体が移動する位置及び時間を決定するための処理、又は、前記第1需要と前記第2需要との双方の需要を満たすことができるか判断する処理の少なくとも一方を行う処理部と、
前記エネルギ及び前記移動体を管理するためのモードとして、前記第2需要を満たしながら前記第1需要を可能な範囲で満たす第1モードと、前記第1需要を満たしながら前記第2需要を可能な範囲で満たす第2モードと、を含む複数のモードを切替えるモード判別部と
を備えるサーバ。
【請求項11】
統合管理装置が備える取得部が、エネルギの需要に関する需要量、及び需要時間を含む第1需要を取得するステップと、
前記取得部が、移動体の需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第2需要を取得するステップと、
前記統合管理装置が備える処理部が、前記第1需要及び前記第2需要に基づいて、前記移動体が移動する位置及び時間を決定するための処理、又は、前記第1需要と前記第2需要との双方の需要を満たすことができるか判断する処理の少なくとも一方を行うステップと、
前記統合管理装置が備えるモード判別部が、前記エネルギ及び前記移動体を管理するためのモードとして、前記第2需要を満たしながら前記第1需要を可能な範囲で満たす第1モードと、前記第1需要を満たしながら前記第2需要を可能な範囲で満たす第2モードと、を含む複数のモードを切替えるステップと、
を備える管理方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1又は2に記載の統合管理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合管理装置、管理方法、サーバ、プログラム、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「V2Gシステムは、複数の電力供給源から電力網への電力の売買を管理する親アグリゲータと、複数の輸送機器を管理し、当該複数の輸送機器のそれぞれに搭載された蓄電器の少なくとも1つと電力網との間の充放電を、親アグリゲータに対して保障する子アグリゲータとを備える」ことが開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2018-124674号公報
【一般的開示】
【0003】
第1の態様において、統合管理装置が提供される。統合管理装置は、(I)エネルギを管理するエネルギ管理装置から送られる、エネルギ需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第1需要と、(II)移動体を管理する移動体管理装置から送られる、移動体の需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第2需要と、を取得する取得部を備える。統合管理装置は、取得部が取得した第1需要及び第2需要に基づいて、移動体が移動する位置及び時間を決定するための処理、又は、第1需要と第2需要との双方の需要を満たすことができるか判断する処理の少なくとも一方を行う処理部を備える。統合管理装置は、エネルギ及び移動体を管理するためのモードとして、第2需要を満たしながら第1需要を可能な範囲で満たす第1モードと、第1需要を満たしながら第2需要を可能な範囲で満たす第2モードと、を含む複数のモードを切替えるモード判別部とを備える。
【0004】
モード判別部は、エネルギ及び移動体を管理するためのモードとして、複数のモードのうち将来実行すべきモードを判別してよい。
【0005】
モード判別部は、エネルギ及び移動体を管理するためのモードとして、実行中のモードに関わらず、複数のモードのうち現在実行すべきモードを判別してよい。
【0006】
モード判別部は、モード判別部が判別したモードに従って決定された移動体が移動する位置及び時間に基づいて移動体が移動を開始した後、予め定められた緊急条件が満たされた場合に、複数のモードのうち現在実行すべきモードを判別してよい。
【0007】
第1モードは、第2需要を満たすように移動体が移動する位置及び時間を決定し、第2需要を満たしながら第1需要を可能な範囲で満たすように移動体が移動する時間を調節するモードであってよい。
【0008】
処理部は、モード判別部によって第1モードが判別された場合に、第2需要を満たすように決定された移動体が移動する位置及び時間に従って移動体が移動することによって第1需要と第2需要との双方の需要を満たすことができるかを判断し、第1需要と第2需要との双方の需要を満たすことができないと判断した場合に、第2需要を満たしながら第1需要を可能な範囲で満たすように移動体が移動する時間を調節する処理を行ってよい。
【0009】
第2モードは、複数の移動体のうち第1需要を満たすために必要な移動体を選択し、複数の移動体のうち選択された移動体以外の移動体を、第2需要を可能な範囲で満たすように移動させるモードであってよい。
【0010】
処理部は、モード判別部によって第2モードが判別された場合に、複数の移動体のうち第1需要を満たすために必要な移動体を選択し、複数の移動体のうち選択された移動体以外の移動体が移動する位置及び時間を、第2需要を可能な範囲で満たすように決定するための処理を行ってよい。
【0011】
第2の態様において、サーバが提供される。サーバは、(I)エネルギを管理するエネルギ管理装置から送られる、エネルギ需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第1需要と、(II)移動体を管理する移動体管理装置から送られる、移動体の需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第2需要と、を取得する取得部を備える。サーバは、取得部が取得した第1需要及び第2需要に基づいて、移動体が移動する位置及び時間を決定するための処理、又は、第1需要と第2需要との双方の需要を満たすことができるか判断する処理の少なくとも一方を行う処理部を備える。サーバは、エネルギ及び移動体を管理するためのモードとして、第2需要を満たしながら第1需要を可能な範囲で満たす第1モードと、第1需要を満たしながら第2需要を可能な範囲で満たす第2モードと、を含む複数のモードを切替えるモード判別部とを備える。
【0012】
第3の態様において、管理方法が提供される。管理方法は、エネルギ需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第1需要を取得するステップを備える。管理方法は、移動体の需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第2需要を取得するステップを備える。管理方法は、第1需要及び第2需要に基づいて、移動体が移動する位置及び時間を決定するための処理、又は、第1需要と第2需要との双方の需要を満たすことができるか判断する処理の少なくとも一方を行うステップを備える。管理方法は、エネルギ及び移動体を管理するためのモードとして、第2需要を満たしながら第1需要を可能な範囲で満たす第1モードと、第1需要を満たしながら第2需要を可能な範囲で満たす第2モードと、を含む複数のモードを切替えるステップを備える。
【0013】
第4の態様において、プログラムが提供される。プログラムは、コンピュータを、上記の統合管理装置として機能させる。
【0014】
第5の態様において、記憶媒体が提供される。記憶媒体は、上記のプログラムを記憶する。記憶媒体は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であってよい。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る制御システム100を模式的に示す。
【
図2】事業所11からの品物の配送ルートを概略的に示す。
【
図3】統合管理装置51が備えるシステム構成を模式的に示す。
【
図4】通常モードにおける電力制御装置41、統合管理装置51及び車両制御装置61の実行シーケンスを示す。
【
図5】車両制御装置61の利用者から入力される配送情報の一例を模式的に示す。
【
図6】配車計画の立案時に車両制御装置61が品物を配送する車両181を割り当てる処理を模式的に示す。
【
図7】配車計画の立案時に車両制御装置61が決定した配送先の位置及び配送ルートを示す情報である。
【
図8】立案された配車計画に基づいて各車両181が品物を配送する件数を模式的に示す。
【
図9】電力計画の立案時に電力制御装置41が決定した事業所11における充電需要及び給電需要を示す。
【
図10】電力需要に合わせて統合管理装置51が配送計画を調整する処理を模式的に示す。
【
図11】調停された電力需要及び配送需要量を概略的に示す。
【
図12】特別モードと判別される場合における電力制御装置41、統合管理装置51及び車両制御装置61の実行シーケンスを示す。
【
図13】特別モードにおいて統合管理装置51からの調整要求に対して車両制御装置61が品物を配送する車両181を割り当て直す処理を模式的に示す。
【
図15】非常モードにおける電力制御装置41、統合管理装置51及び車両制御装置61の実行シーケンスを示す。
【
図16】非常モードにおいて統合管理装置51からの調整要求に対して車両制御装置61が品物を配送する車両181を割り当て直す処理を模式的に示す。
【
図18】統合管理装置50が備えるシステム構成を模式的に示す。
【
図19】制御システム100における車両110の移動に関するシステムの全体的な実行シーケンスの概要を示す。
【
図20】統合管理装置50、電力制御装置40、車両制御装置60、及び車両110が実行する処理の実行シーケンスを示す。
【
図21】処理部220が管理する配送情報のデータ構造の一例を示す。
【
図22】拠点10を出発して事業所11~14を経由して拠点10に戻るまでの車両110の車速の変化を模式的に示す。
【
図23】各拠点10及び事業所11~14における翌日の消費電力、発電電力及び定置バッテリの残量の時間変化の予測値を模式的に示すグラフである。
【
図24】運行情報及び電力の授受情報に基づく車両110の制御を模式的に示す。
【
図25】
図20のS306からS310までの間の処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図26】車両110が拠点10を出発する当日に実行する処理を示すフローチャートである。
【
図27】車両110が事業所11~14に到着した場合に実行する処理を示すフローチャートである。
【
図28】第2実施形態における処理部220の処理を説明するための概略図である。
【
図29】第3実施形態における制御システム1200における処理部220の処理を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、第1実施形態に係る制御システム100を模式的に示す。制御システム100は、電力制御装置40、電力制御装置41、電力制御装置42、電力制御装置43、及び電力制御装置44と、車両制御装置60、車両制御装置61、車両制御装置62、車両制御装置63、及び車両制御装置64と、統合管理装置50、統合管理装置51、統合管理装置52、統合管理装置53、及び統合管理装置54と、電力制御装置140とを備える。
【0019】
本実施形態において、車両110a、車両110b、及び車両110cは、走行用の駆動電力を蓄積する走行用バッテリを備える車両である。車両110a、車両110b、及び車両110cは、例えば電気自動車である。車両110a、車両110b、及び車両110cは、事業所11、事業所12、事業所13、及び事業所14に品物を運搬することができる配送車両である。なお、本実施形態において、車両110a、車両110b、及び車両110cを「車両110」と総称する場合がある。車両110は、車両制御装置60と移動体通信網等を通じて通信可能に設けられる。
【0020】
拠点10は、例えば事業所11、事業所12、事業所13、及び事業所14への品物の配送業務を管理するための事業所である。拠点10は、車両110が駐車するための拠点として機能する。拠点10及び事業所11~14は、車両110が備える走行用バッテリとの間で電力の授受を行うことが可能である。すなわち、車両110は、拠点10及び事業所11~14におけるエネルギマネジメントに使用可能である。統合管理装置50及び車両制御装置60は、例えば拠点10において管理される。統合管理装置50と車両制御装置60とは通信回線によって通信可能に設けられる。統合管理装置50及び車両制御装置60は、拠点10の外部に設けられてよい。統合管理装置50及び車両制御装置60は、インターネット等の通信回線を通じて通信可能に設けられてよい。統合管理装置50及び車両制御装置60の一方又は両方は、クラウドサーバ等のサーバによって実現されてよい。
【0021】
拠点10は、発電装置20と、定置バッテリ30と、電力制御装置40とを備える。発電装置20は、例えば、太陽光発電装置等の再生可能エネルギを用いた発電装置である。定置バッテリ30は、拠点10に設けられるバッテリである。電力制御装置40は、拠点10における電力需要を満たすように、発電装置20の発電量及び電力需要に応じて、定置バッテリ30の充放電を制御する。電力制御装置40は、インターネット等の通信回線を通じて統合管理装置50と通信可能である。
【0022】
事業所11~14のそれぞれは、品物を運搬するための車両を備える。例えば、事業所11は、車両181a、車両181b、車両181c及び車両181dを備える。本実施形態において、車両181a、車両181b、車両181c、及び車両181dを「車両181」と総称する場合がある。事業所11は、事業所11に運搬された品物を、特定のエリア121内の住宅等に配送するための事業所である。事業所12は、事業所12に運搬された品物を、特定のエリア122内の住宅等に配送するための事業所である。事業所13は、事業所13に運搬された品物を、特定のエリア123内の住宅等に配送するための事業所である。事業所14は、事業所14に運搬された品物を、特定のエリア124内の住宅等に配送するための事業所である。なお、事業所11~14からの品物の配送先は、住宅に限られず、コンビニエンスストア等の店舗等であってよい。
【0023】
事業所11は、発電装置21と、定置バッテリ31と、電力制御装置41と、統合管理装置51と、車両制御装置61とを備える。発電装置21は、例えば、太陽光発電装置等の再生可能エネルギを用いた発電装置である。定置バッテリ31は、事業所11に設けられるバッテリである。電力制御装置41は、事業所11における電力需要を満たすように、発電装置21の発電量及び電力需要に応じて、定置バッテリ31の充放電を制御する。電力制御装置41は、事業所11に停車している車両181が備える走行用バッテリと事業所11との間で電力の授受を行わせる。車両制御装置61は、配送需要を満たすように、事業所11が備える車両181が事業所11を出発する時刻及び帰着する時刻を決定する。統合管理装置50は、品物の配送予定情報が示す配送需要と、事業所11における電力需要情報を満たすように、車両181が事業所11を出発する時刻及び帰着する時刻を調整する。
【0024】
事業所12は、発電装置22と、定置バッテリ32と、電力制御装置42と、統合管理装置52と、車両制御装置62とを備える。事業所13は、発電装置23と、定置バッテリ33と、電力制御装置43と、統合管理装置53と、車両制御装置63とを備える。事業所14は、発電装置24と、定置バッテリ34と、電力制御装置44と、統合管理装置54と、車両制御装置64とを備える。発電装置22、発電装置23及び発電装置24は、発電装置21と同様の機能を備える。定置バッテリ32、定置バッテリ33及び定置バッテリ34は、定置バッテリ31と同様の機能を備える。電力制御装置42、電力制御装置43及び電力制御装置44は、電力制御装置41と同様の機能を備える。統合管理装置52、統合管理装置53及び統合管理装置54は、統合管理装置51と同様の機能を備える。車両制御装置62、車両制御装置63及び車両制御装置64は、車両制御装置61と同様の機能を備える。そのため、事業所12~14における発電装置、定置バッテリ及び電力制御装置については説明を省略する。
【0025】
本実施形態において、車両110は、拠点10を出発した後、事業所11、事業所12、及び事業所13を順に経由して拠点10に帰着することが定められているとする。車両制御装置60は、事業所11~14から各事業所が翌日に納入することを希望する品物を示す配送需要を取得して、配送予定情報として統合管理装置50に送信する。また、電力制御装置40~44は、各拠点10及び事業所11~14における翌日の消費電力及び発電装置20~24の発電量を予測して、電力需要情報として統合管理装置50に送信する。統合管理装置50は、配送予定情報が示す配送需要と、各拠点10及び事業所11~14における電力需要情報とを満たすように、車両110が各事業所11~14に到着する時刻及び出発する時刻を決定し、車両110が各事業所11~14に停車して品物を降ろしている場合に、車両110の走行用バッテリと事業所11~14との間で電力の授受を行わせる。なお、スタンド71~74は、事業所11~14外に設置された充電スタンドである。統合管理装置50は、車両110のバッテリをスタンド71~74のうちのいずれかのスタンドで補充電する必要があると判断した場合に、スタンドを経由する運行情報を決定して、決定した運行情報に従ってスタンドで走行用バッテリを充電させてよい。
【0026】
なお、電力制御装置140は、電力制御装置40~44と通信し、拠点10及び事業所11~14における全体的な電力制御を統括する。例えば、電力制御装置140は、電力制御装置40~44から電力需給に関する情報を収集し、系統との間の電力取引を含む全体的な電力需給の調整を行うことで拠点10及び事業所11~14の全体として電力コストを最小化するように、電力制御装置40~44に制御させてよい。
【0027】
図2は、事業所11からの品物の配送ルートを概略的に示す。本実施形態において、エリア121内には、エリアA内の配送先111a、配送先112a、配送先113a、配送先114a及び配送先115aと、エリアB内の配送先111b、配送先112b、配送先113b、配送先114b及び配送先115bと、エリアC内の配送先111c、配送先112c、配送先113c、配送先114c及び配送先115cと、エリアD内の配送先111d、配送先112d、配送先113d、配送先114d及び配送先115dとが存在する場合を説明する。
【0028】
事業所11が備える車両181a、車両181b、車両181c、及び車両181dは、走行用の駆動電力を蓄積する走行用バッテリを備える車両である。車両181a、車両181b、車両181c、及び車両181dは、例えば電気自動車である。車両181a、車両181b、車両181c、及び車両181dは、配送先111~115に品物を運搬するための配送車両である。車両181は、車両制御装置61と移動体通信網等を通じて通信可能に設けられる。
【0029】
車両制御装置61は、配送情報に基づいて、エリアA内の配送先111a~115aに車両181aで品物を配送し、エリアB内の配送先111b~115bに車両181bで品物を配送し、エリアC内の配送先111c~115cに車両181cで品物を配送し、エリアD内の配送先111d~115dに車両181dで品物を配送することを決定する。車両制御装置61は、事業所11から各配送先が翌日に納入することを希望する品物を示す配送需要を取得して、配送予定情報として、車両181a~181dのそれぞれの走行ルートと、事業所11の出発時刻及び帰着時刻を決定して、統合管理装置51に送信する。また、電力制御装置41は、事業所11における翌日の消費電力及び発電装置21の発電量を予測して、電力需要情報として統合管理装置51に送信する。統合管理装置51は、配送予定情報が示す配送需要と、事業所11における電力需要情報とを満たすように、事業所11の出発時刻と、車両181の配送ルートと、事業所11への帰着時刻とを決定し、車両181が事業所11に停車している場合に、車両181の走行用バッテリと事業所11との間で電力の授受を行わせる。
【0030】
なお、事業所12~14における品物の配送制御及び電力制御は、事業所11における品物の配送制御及び電力制御と同様である。そのため、本実施形態では、事業所11における品物の配送制御及び電力制御を説明し、事業所12~14における配送制御及び電力制御については説明を省略する。
【0031】
図3は、統合管理装置51が備えるシステム構成を模式的に示す。統合管理装置51は、演算部300と、記憶部380と、通信部390とを備える。演算部300は、取得部310と、処理部320と、モード判別部330とを備える。
【0032】
演算部300は、例えば、プロセッサを含む演算処理装置により実現される。記憶部380は、不揮発性の記憶媒体を備えて実現される。演算部300は、記憶部380に格納された情報を用いて処理を行う。通信部390は、電力制御装置41、車両制御装置61、及び車両181との間の通信を担う。演算部300は、通信部390を通じて、外部との通信を行う。
【0033】
取得部310は、(I)エネルギを管理するエネルギ管理装置から送られる、エネルギ需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第1需要と、(II)移動体を管理する移動体管理装置から送られる、移動体の需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第2需要と、を取得する。処理部320は、取得部310が取得した第1需要及び第2需要に基づいて、移動体が移動する位置及び時間を決定するための処理、又は、第1需要と第2需要との双方の需要を満たすことができるか判断する処理の少なくとも一方を行う処理部を備える。モード判別部330は、エネルギ及び移動体を管理するためのモードとして、第2需要を満たしながら第1需要を可能な範囲で満たす第1モードと、第1需要を満たしながら第2需要を可能な範囲で満たす第2モードと、を含む複数のモードを切替える。なお、本実施形態における電力制御装置41は、エネルギを管理するエネルギ管理装置の一例である。本実施形態において電力制御装置41は、エネルギの一例としての電力の管理及び制御を行うが、電力制御装置41は電力の制御を行わずに電力の管理を行ってよい。本実施形態における車両制御装置61は、移動体管理装置の一例である。本実施形態において車両制御装置61は、移動体の一例としての車両181の管理及び制御を行うが、車両制御装置61は車両181の制御を行わずに車両181の管理を行ってよい。
【0034】
なお、後述する「通常モード」は、第1モードの一例である。後述する「特別モード」及び「非常モード」は、第2モードの一例である。モード判別部330は、電力制御装置41により立案された電力計画において電力のピークシェービングを行う必要があると判断した場合に、「特別モード」を選択してよい。モード判別部330は、電力制御装置41により立案された電力計画において電力のピークシェービングを行う必要がないと判断した場合に、「通常モード」を選択してよい。なお、モードは、事業所11において設定されてよい。例えば、事業所11において「非常モード」が選択された場合には、モード判別部330は常に「非常モード」を選択してよい。
【0035】
モード判別部330は、エネルギ及び移動体を管理するためのモードとして、複数のモードのうち将来実行すべきモードを判別してよい。モード判別部330は、エネルギ及び移動体を管理するためのモードとして、実行中のモードに関わらず、複数のモードのうち現在実行すべきモードを判別してよい。モード判別部330は、モード判別部330が判別したモードに従って決定された移動体が移動する位置及び時間に基づいて移動体が移動を開始した後、予め定められた緊急条件が満たされた場合に、複数のモードのうち現在実行すべきモードを判別してよい。
【0036】
第1モードは、第2需要を満たすように移動体が移動する位置及び時間を決定し、第2需要を満たしながら第1需要を可能な範囲で満たすように移動体が移動する時間を調節するモードであってよい。
【0037】
処理部320は、モード判別部330によって第1モードが判別された場合に、第2需要を満たすように決定された移動体が移動する位置及び時間に従って移動体が移動することによって第1需要と第2需要との双方の需要を満たすことができるかを判断し、第1需要と第2需要との双方の需要を満たすことができないと判断した場合に、第2需要を満たしながら第1需要を可能な範囲で満たすように移動体が移動する時間を調節する処理を行ってよい。
【0038】
第2モードは、複数の移動体のうち第1需要を満たすために必要な移動体を選択し、複数の移動体のうち選択された移動体以外の移動体を第2需要を可能な範囲で満たすように移動させるモードであってよい。
【0039】
処理部320は、モード判別部330によって第2モードが判別された場合に、複数の移動体のうち第1需要を満たすために必要な移動体を選択し、複数の移動体のうち選択された移動体以外の移動体が移動する位置及び時間を、第2需要を可能な範囲で満たすように決定するための処理を行ってよい。
【0040】
図4は、通常モードにおける電力制御装置41、統合管理装置51及び車両制御装置61の実行シーケンスを示す。
図4の処理は、翌日の電力計画及び配車計画を前日に立案し、立案した計画にしたがって計画を実行するまでの処理を表す。
【0041】
電力制御装置41に関する制御として、S4010において、電力制御装置41の利用者及び電力制御装置140の少なくとも一方は、事業所11における電力計画に関する制約条件を設定して、電力制御装置41に通知する。電力制御装置140は、拠点10及び事業所11~14の全体として電力コストを最小化するように、事業所11における制約条件を設定してよい。なお、利用者は、事業所11において電力管理に関する情報を電力制御装置41に入力する人物又はシステムである。制約条件は、電力計画を立案する上で制約となる条件である。制約条件は、電力需要を満たすために必要となる制約を含んでよい。制約条件は、例えば、発電量の現況、電力消費量の現況、及び電力料金に関する情報を含む。発電量は、例えば、発電装置21における発電量である。電力消費量は、事業所11における電力消費量である。電力料金は、買電価格や売電価格を含む。買電価格は、例えば事業所11が系統からの受電したことの対価として課される金額に関する条件である。売電価格は、例えば事業所11が系統への電力供給したことの対価として得られる金額に関する条件である。
【0042】
S4012において、電力制御装置41は、事業所11における翌日の電力計画を立案する。電力計画は、一日における時間帯毎の発電量、蓄電量及び消費電力を含む。電力計画によって、事業所11において各時間帯にどれだけ発電され、どれだけ電力が消費され、定置バッテリ31にどれだけ充電されるか又は定置バッテリ31からどれだけ放電させるかが定まる。翌日における時間帯毎の発電量は、翌日の気象情報等の環境情報と過去の実績データから予測されてよい。電力計画はピークシェービングを行うためのピークシェーブ情報を含んでよい。ピークシェーブ情報は、事業所11においてどの時間帯においてどれだけの量の消費電力を抑制すべきかを示す情報を含んでよい。ピークシェーブ情報は、事業所11においてどの時間帯に外部からどれだけの量の電力を受け取るかべきかを示す情報を含んでよい。
【0043】
電力制御装置41は、事業所11における最適な電力計画を立案してよい。例えば、電力制御装置41は、事業所11において系統から受電する電力量が最小となるように、電力計画を立案してよい。電力制御装置41は、事業所11において系統から受電することの対価として課される金額が最小となるように、電力計画を立案してよい。電力制御装置41は、事業所11において系統に電力供給することに対する対価として得られる金額が最大となるように、電力計画を立案してよい。このように、電力制御装置41は、制約条件に基づいて、事業所11における翌日の電力計画として最適な電力計画を立案する。この電力計画によって、翌日の各時間帯に外部から受け取る必要がある電力量が定まる。外部から受け取る必要がある電力量は、事業所11に駐車中の車両181が備える走行用バッテリから供給されてよい。電力制御装置41は、立案した電力計画を統合管理装置51に送信する。
【0044】
車両制御装置61に関する制御として、S4210において、利用者は、車両181の配車に関する制約条件を入力する。車両制御装置61の利用者は、例えば事業所11において配送需要データを入力する人物やシステム等である。配車の制約条件は、エリア121における品物の配送需要を満たすために必要となる制約を含んでよい。配車の制約条件は、配車計画を立案する上で制約となる条件である。配車の制約条件は、例えば、配送元及び配送先、事業所11の出発時刻及び帰着時刻、積載物としての品物の種類、品物の容量、及び品物の重量等を含む。配送元及び配送先により、どの場所からどの場所まで車両181を走行させる必要があるかが定まる。出発時刻は車両181が事業所11を出発する時刻であり、帰着時刻は車両181が事業所11に帰着する時刻である。出発時刻及び帰着時刻には、車両181の出発時刻及び帰着時刻の変更を許容できる時間を示す時間調整許容量が設定されてよい。
【0045】
S4212において、車両制御装置61は、利用者から通知された制約条件に基づいて、事業所11における翌日の配車計画を立案する。例えば、車両制御装置61は、制約条件により定まる配送需要が満たされるように、配送に使用する車両181の台数、品物の配送に使用する車両181、車両181が品物を配送するエリア、車両181の走行ルート及び車両181の走行速度を決定する。車両制御装置61は、立案した配車計画を統合管理装置51に送信する。
【0046】
S4110において、統合管理装置51は、電力制御装置41から送信された電力計画と、車両制御装置61から送信された配車計画とを受け付ける。
【0047】
S4112において、統合管理装置51のモード判別部330が電力計画に基づいて通常モードで制御すると判別すると、処理部320は、電力計画及び配車計画を通常モードで調停する。例えば、処理部320は、配車計画に従って車両181を運行した場合に、事業所11における電力計画を満たすか否かを判断する。例えば、配車計画から、車両181が事業所11に存在することが予測される期間が定まる。処理部320は、車両181が事業所11に存在する期間において、車両181が備える走行用バッテリから、事業所11が外部から供給される必要がある電力を必要な時間帯に受け取ることができると予測される場合に、電力計画を満たすと判断する。また、処理部320は、事業所11において、各事業所11が外部に放出する必要がある電力を、放出する必要がある時間帯に車両181が備える走行用バッテリに供給することができると予測される場合に、電力計画を満たすと判断する。
【0048】
処理部320は、配車計画に従って配車した場合に電力計画を満たすことができないと判断した場合、配車計画をどのように修正すれば電力計画を満たすことができるかを判断する。例えば、処理部320は、配車計画における時間調整許容量の範囲内で、車両制御装置61から受け取った配車計画に対する車両181の出発時刻及び到着時刻の調整量を決定する。
【0049】
S4112において、統合管理装置51は、配車計画に対する修正を含む時刻調整量を車両制御装置61に送信する。車両制御装置61は、統合管理装置51から時間調停量を受信すると、S4212で立案した配車計画に時間調整量を反映する(S4213)。例えば、車両制御装置61は、立案した配車計画における出発時刻及び帰着時刻を時間調整量に従って修正する。車両制御装置61は、修正した出発時刻及び帰着時刻を示す配車計画を、時間調整量の反映結果として統合管理装置51に送信する。
【0050】
S4114において、統合管理装置51は、車両制御装置61から修正された配車計画を受信すると、修正された配車計画を示す調停結果を電力制御装置41に送信する。電力制御装置41は、統合管理装置51から調停結果を受信すると、調停結果に基づいて電力計画に反映し(S4014)、調停結果を反映することによって確定した電力計画を利用者に通知する(S4015)。S4016において、利用者及び電力制御装置140は、通知された電力計画に従って制御を実行する。S4018において、利用者及び電力制御装置140は、電力計画の実行に関する実績処理を行う。例えば、利用者は、各時間帯における定置バッテリの充放電量の実績データ、発電電力の実績データ、消費電力量の実績データを含む電力管理の実績データを収集して入力する処理を行う。S4020において、電力制御装置41は、利用者及び電力制御装置140のそれぞれから入力された実績データを履歴情報として管理する。なお、電力制御装置41は、電力制御装置41が管理している履歴情報を、後に電力計画を立案する場合に使用してよい。
【0051】
また、車両制御装置61は、S4213において時刻調整量を反映することによって配車計画を確定し(S4214)、確定した配車計画を利用者に通知する。S4216において、利用者は通知された配車計画に従って車両181の運行制御を実行する。S4218において、利用者は、配車計画の実行に関する実績処理を行う。例えば、利用者は、各車両181の走行データや走行用バッテリの残容量等を含む走行実績データを収集して入力する処理を含む。S4220において、車両制御装置61は、利用者から入力された走行実績データを履歴情報として管理する。なお、車両制御装置61は、車両制御装置61が管理している履歴情報を、後に配車計画を立案する場合に使用してよい。
【0052】
図5は、車両制御装置61の利用者から入力される配送情報の一例を模式的に示す。配送情報は、配送エリア、管理番号、配送先住所、重量、及び指定時間帯を含む。配送エリアには、エリアA~Dを識別する情報が指定される。管理番号には配送される品物の識別情報が指定される。配送先住所には、配送先の住所が指定される。配送エリアに指定される情報は配送先住所から定まる。重量には、配送される品物の重量が指定される。指定時間帯には、品物が配送されるべき時間帯が指定される。
【0053】
図6は、配車計画の立案時に車両制御装置61が品物を配送する車両181を割り当てる処理を模式的に示す。車両制御装置61は、配送情報に含まれる各品物の配送先住所に基づいて、各品物の配送先のエリアA~エリアDに応じて品物をグループ化して、どの品物をどの車両181が配送するかを決定する。
図6に示すように、車両制御装置61は、配送先がエリアAの品物を配送する車両として車両181aを割り当て、配送先がエリアBの品物を配送する車両として車両181bを割り当て、配送先がエリアCの品物を配送する車両として車両181cを割り当てし、配送先がエリアDの品物を配送する車両として車両181dを割り当てる。
【0054】
図7は、配車計画の立案時に車両制御装置61が決定した配送先の位置及び配送ルートを示す情報である。車両制御装置61は、配送情報に含まれる配送先住所、指定時間帯及び重量に基づいて、配送ルート及び配送時間帯を決定する。車両制御装置61は、車両181の走行によって消費される電力量が最小となるように配送ルート及び配送時間帯を決定する。また、車両制御装置61は、決定した配送ルートで配送した場合に事業所11を出発してから事業所11に到着するまでにかかる配送所要時間を計算する。これにより、車両制御装置61は、各車両181の出発時刻及び帰着時刻を決定する。
【0055】
図8は、立案された配車計画に基づいて各車両181が品物を配送する件数を模式的に示す。
図8に示される配車計画によると、車両181aは、午前8時に事業所11を出発して午前9時30分に事業所11に一度帰着し、午後13時に事業所11を再出発して午後17時に事業所11に帰着する。また、車両181bは、午前8時に事業所11を出発して午前11時に事業所11に一度帰着し、午後13時に事業所11を再出発して午後16時30分に事業所16に帰着する。車両181cは、午前8時に事業所11を出発して午前10時に事業所11に一度帰着し、午後13時に事業所11を再出発して午後17時に事業所16に帰着する。また、車両181dは、午前8時に事業所11を出発して午前11時に事業所11に一度帰着し、午後13時に事業所11を再出発して午後17時に事業所16に帰着する。
【0056】
図9は、電力計画の立案時に電力制御装置41が決定した事業所11における充電需要及び給電需要を示す。充電需要は事業所11に設けられた定置バッテリ31を充電する必要があることを示し、給電需要は定置バッテリ31から電力を放出する必要があることを示す。
【0057】
図10は、電力需要に合わせて統合管理装置51が配送計画を調整する処理を模式的に示す。
図10に示されるように、統合管理装置51の処理部320は、事業所11における充電需要の開始時刻より前に車両181aが事業所11に帰着するように、車両181aの午前の出発時刻を30分前倒しする。また、処理部320は、事業所11における給電需要の開始時刻より前に車両181bが事務所11に帰着するように、車両181bの午後の出発時刻を30分前倒しする。これにより、
図11に示されるように、時間調整量に基づいて配車計画を調整することによって、充電需要の開始時刻より予め定められた時間だけ前に車両181aが事業所11に帰着して、車両181aの走行用バッテリからの電力で定置バッテリ31を充電できるようにすることができる。また、給電需要の開始時刻より予め定められた時間だけ前に車両181bが事業所11に帰着して、定置バッテリ31から放出した電力で車両181bの走行用バッテリを充電できるようにすることができる。このように、処理部320は、充電需要の開始時刻及び給電需要の開始時刻より予め定められた時間だけ前にいずれかの車両181が事業所11に帰着するように、配車計画における時間調整量を決定する。
【0058】
図12は、特別モードと判別される場合における電力制御装置41、統合管理装置51及び車両制御装置61の実行シーケンスを示す。
図12の処理は、翌日の電力計画及び配車計画を前日に立案し、立案した計画にしたがって計画を実行するまでの処理を表す。
【0059】
S4010、S4012、S4110、及びS4210の処理は、
図4のS4010、S4012、S4110及びS4210の処理と同一であるので、ここでの説明を省略する。
【0060】
S5112において、統合管理装置51のモード判別部330が電力計画に基づいて特別モードで制御すると判別すると、処理部320は、電力計画及び配車計画を特別モードで調停する。モード判別部330は、電力計画に含まれるピークシェーブ情報に基づいて、事業所11において抑制すべき消費電力量が予め定められた値を超えると判断した場合に、特別モードで制御すると判別してよい。特別モードで制御すると判別された場合、処理部320は、ピークシェーブ情報に基づいて、事業所11のピークシェービング用に確保すべき走行用バッテリの電力容量を決定する。処理部320は、決定した電力容量を含む確保要求を、車両制御装置61に送信する。
【0061】
車両制御装置61は、統合管理装置51から確保要求を受信すると、確保要求に含まれる電力容量に基づいて、事業所11に常駐させるべき車両181の台数を決定して、決定した台数の車両181以外の車両181を用いた配車計画を組み直し、組み直した配車計画を統合管理装置51に送信する(S5213)。組み直した配車計画には、事業所11に常駐する車両181の台数を示す情報が含まれる。
【0062】
S5114において、統合管理装置51は、車両制御装置61から組み直された配車計画を受信すると、組み直された配車計画を調停結果として電力制御装置41に送信する。電力制御装置41は、統合管理装置51から調停結果を受信すると、調停結果に基づいて電力計画に反映し(S5014)、調停結果を反映することによって確定した電力計画を利用者に通知する(S5015)。以後のS4016、S4018及びS4020の処理は、
図4のS4016、S4018及びS4020の処理と同じであるので、ここでの説明を省略する。
【0063】
また、車両制御装置61は、S5213において組み直した配車計画を確定し(S5214)、確定した配車計画を利用者に通知する。以後のS4216、S4218及びS4220の処理は、
図4のS4216、S4218及びS4220の処理と同じであるので、ここでの説明を省略する。
【0064】
図13は、特別モードにおいて統合管理装置51からの調整要求に対して車両制御装置61が品物を配送する車両181を割り当て直す処理を模式的に示す。車両制御装置61は、バックアップ電源として事業所11に常駐するべき車両181aを選択する。このとき、車両制御装置61は、車両181の走行用バッテリの残容量と、統合管理装置51から通知された確保要求とに基づいて、バックアップ電源として事業所11に常駐するべき車両181の台数を決定し、決定した台数の車両181を、バックアップ電源として事業所11に常駐するべき車両181として選択する。
【0065】
事業所11に常駐するべき車両として車両181aを選択すると、車両制御装置61は、配送先の住所に基づいて、エリアAの配送先に配送する品物を、車両181a以外の車両181b、車両181c及び車両181dに割り当てる。例えば、車両制御装置61は、
図13に示されるように、配送先がエリアAの5個の品物のうち2個の品物と配送先がエリアBの品物とを車両181bに割り当てる。また、車両制御装置61は、配送先がエリアAの5個の品物のうち2個の品物と配送先がエリアCの品物とを車両181cに割り当てる。また、車両制御装置61は、配送先がエリアAの5個の品物のうち1個の品物と配送先がエリアDの品物とを車両181dに割り当てる。これにより、
図14に示されるように、車両181b、車両181c及び車両181dが分担するエリアが定まる。車両制御装置61は、車両181b、車両181c及び車両181dに割り当てられた品物の配送先に基づいて配車計画を組み直して、車両181b、及び車両181c及び車両181dのそれぞれの走行ルート、出発時刻及び帰着時刻を決定する。これにより、電力制御装置41は、事業所11に常駐している車両181aの走行用バッテリの充放電を制御して、事業所11の電力需要の少なくとも一部が満たすことが可能になる。
【0066】
図15は、非常モードにおける電力制御装置41、統合管理装置51及び車両制御装置61の実行シーケンスを示す。
図15の処理は、通常モード又は特別モードで作成された電力計画及び配車計画に従って車両181の運行及び電力制御装置41による制御を実行中に、予め定められた事象が発生した場合に開始される。予め定められた事象は、例えば停電、地震等の災害事象であってよい。
【0067】
電力制御装置41に関する制御として、S6010において、電力制御装置41の利用者及び電力制御装置140の少なくとも一方は、事業所11における電力計画に関する制約条件を設定して、電力制御装置41に通知する。制約条件は、停電状況、発電量の現況、及び電力消費量の現況を含む。発電量は、例えば、発電装置21における発電量である。電力消費量は、事業所11における電力消費量である。
【0068】
S6012において、電力制御装置41は、事業所11における当日以後の電力計画を立案する。電力計画は、一日における時間帯毎の発電量、蓄電量及び消費電力を含む。電力制御装置41は、電力計画に基づいて、事業所11において電源容量の確保必要量を、統合管理装置51に送信する。電力制御装置41は、事業所11において夜間に消費される電力を少なくとも確保できるように確保必要量を決定してよい。
【0069】
車両制御装置61に関する制御として、S6210において、利用者は、車両181の配車に関する制約条件を入力する。制約条件は、未配送の品物を示す情報、配送先の安否情報、配送先が品物の受け取り可能か否かを示す受取可否情報、道路の通行可否を含む道路状況を含んでよい。
【0070】
S6212において、車両制御装置61は、利用者から通知された制約条件に基づいて、事業所11における当日以後の配車計画を立案する。例えば、車両制御装置61は、未配送の品物の配送需要が満たされるように、配送に使用する車両181の台数、品物の配送に使用する車両181、車両181が品物を配送するエリア、車両181の走行ルート及び車両181の走行速度を決定する。なお、車両制御装置61は、道路状況及び受取可否情報に基づいて、配送が可能な品物のみの配送計画を立案する。車両制御装置61は、立案した配車計画を統合管理装置51に送信する。
【0071】
S6110において、統合管理装置51は、電力制御装置41から送信された確保必要量と、車両制御装置61から送信された配車計画とを受け付ける。
【0072】
S6112において、統合管理装置51のモード判別部330は予め定められた事象が発生したことにより非常モードで制御すると判別すると、処理部320は、電力計画及び配車計画を非常モードで調停する。例えば、処理部320は、電力制御装置41から受信した確保必要量に基づいて、事業所11において確保すべき走行用バッテリの電力容量を決定する。統合管理装置51は、決定した電力容量を含む確保要求を、車両制御装置61に送信する。
【0073】
車両制御装置61は、統合管理装置51から確保要求を受信すると、確保要求に含まれる電力容量に基づいて、事業所11に常駐させるべき車両181の台数を決定して、決定した台数の車両181以外の車両181を用いて未配送の品物を配車する配車計画を組み直し、組み直した配車計画を統合管理装置51に送信する(S6213)。組み直した配車計画には、事業所11に常駐する車両181の台数を示す情報が含まれる。
【0074】
なお、本実施形態では、予め定められた事象が発生した時点で配送中であり事業所11に帰着していない車両181は、事業所11に一旦戻り、発電装置20で全ての車両181の走行用バッテリを満充電まで充電するものとする。また、車両制御装置61の利用者は、予め定められた事象の発生に応じて道路状況を収集するとともに、配送先の安否確認及び品物の受取可否情報を収取する。また、車両制御装置61は、車両181の走行用バッテリの充電完了後に、確保要求に基づいて事業所11に常駐させるべき車両181を選択し、選択した車両181以外の車両181を、品物の配送用の車両181として選択するものとする。車両制御装置61は、可能な範囲内で配送需要を満たすように、当日以後の配車計画を組み直してよい。
【0075】
S6114において、統合管理装置51は、車両制御装置61から組み直された配車計画を受信すると、組み直された配車計画を調停結果として電力制御装置41に送信する。電力制御装置41は、統合管理装置51から調停結果を受信すると、調停結果に基づいて電力計画に反映し(S6014)、調停結果を反映することによって確定した電力計画を利用者に通知する(S6015)。以後のS4016、S4018及びS4020の処理は、
図4のS4016、S4018及びS4020の処理と同じであるので、ここでの説明を省略する。
【0076】
また、車両制御装置61は、S6213において組み直した配車計画を確定し(S6214)、確定した配車計画を利用者に通知する。以後のS4216、S4218及びS4220の処理は、
図4のS4216、S4218及びS4220の処理と同じであるので、ここでの説明を省略する。
【0077】
図16は、非常モードにおいて統合管理装置51からの調整要求に対して車両制御装置61が品物を配送する車両181を割り当て直す処理を模式的に示す。車両制御装置61は、バックアップ電源として事業所11に常駐するべき車両181として、車両181a及び車両181bを選択する。このとき、車両制御装置61は、車両181の走行用バッテリの残容量と、統合管理装置51から通知された確保要求とに基づいて、バックアップ電源として事業所11に常駐するべき車両181の台数を決定し、決定した台数の車両181を、バックアップ電源として事業所11に常駐するべき車両181として選択する。
【0078】
事業所11に常駐するべき車両として車両181a及び車両181bを選択すると、車両制御装置61は、配送先の住所に基づいて、エリアAの配送先に配送する品物を、車両181a及び車両181b以外の車両181c及び車両181dに割り当てる。例えば、車両制御装置61は、
図16に示されるように、配送先がエリアAの5個の品物のうち4個の品物と配送先がエリアBの5個の品物のうちの1個の品物と、配送先がエリアCの品物とを、車両181cに割り当てる。また、車両制御装置61は、配送先がエリアAの5個の品物のうち1個の品物と、配送先がエリアBの5個の品物のうち4個の品物と、配送先がエリアDの品物とを、車両181dに割り当てる。これにより、
図17に示されるように、車両181c及び車両181dが分担するエリアが定まる。車両制御装置61は、車両181c及び車両181dに割り当てられた品物の配送先に基づいて当日以後の配車計画を組み直して、及び車両181c及び車両181dのそれぞれの走行ルート、出発時刻及び帰着時刻を決定する。これにより、電力制御装置41は、事業所11に常駐している車両181aの走行用バッテリの及び車両181bの走行用バッテリの充放電を制御して、事業所11の電力需要の少なくとも一部が満たすことが可能になる。
【0079】
次に、
図18から
図30に関連して、事業所11における電力需要及び配送需要を車両110の移動によって満たすように制御する形態を説明する。
【0080】
図18は、統合管理装置50が備えるシステム構成を模式的に示す。統合管理装置50は、演算部200と、記憶部280と、通信部290とを備える。演算部200は、取得部210と、処理部220とを備える。
【0081】
演算部200は、例えば、プロセッサを含む演算処理装置により実現される。記憶部280は、不揮発性の記憶媒体を備えて実現される。演算部200は、記憶部280に格納された情報を用いて処理を行う。通信部290は、電力制御装置40~44、車両制御装置60、及び車両110との間の通信を担う。演算部200は、通信部290を通じて、外部との通信を行う。
【0082】
取得部210は、(I)エネルギを管理するエネルギ管理装置から送られる、エネルギ需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第1需要と、(II)移動体を管理する移動体管理装置から送られる、移動体の需要に関する需要量、需要時間、及び需要位置を含む第2需要と、を取得する。処理部220は、取得部210が取得した第1需要及び第2需要に基づいて、移動体が移動する位置及び時間を決定する処理、又は、第1需要と第2需要との双方の需要を満たすことができるか判断する処理の少なくとも一方を行う。なお、電力制御装置40及び電力制御装置42~44は、エネルギ管理装置の一例である。電力制御装置40及び電力制御装置42~44はエネルギの一例としての電力の管理及び制御を行うが、電力制御装置40及び電力制御装置42~44は電力の制御を行わずに電力の管理を行ってよい。車両制御装置60は、移動体管理装置の一例である。車両制御装置60は、移動体の一例としての車両110の管理及び制御を行うが、車両制御装置60は車両110の制御を行わずに車両110の管理を行ってよい。
【0083】
処理部220は、移動体が第1需要が含む需要量を超えて更に供給可能な第1供給情報、及び、移動体が第2需要が示す需要量を超えて更に供給可能な第2供給情報を管理し、取得部210が新たに取得した第1需要及び第2需要に応じて、移動体が移動する位置及び時間を再決定してよい。
【0084】
処理部220は、第1需要と第2需要との双方の需要を満たすことはできないと判断した場合に、第1需要及び第2需要の一方を他方より優先して、移動体が移動する位置及び時間を決定してよい。
【0085】
処理部220は、第1需要と第2需要との双方の需要を満たすことはできないと判断した場合に、少なくとも第2需要を満たし、かつ、第1需要に含まれる複数の需要位置のうち予め定められた一部の需要位置における需要量及び需要時間を少なくとも満たすように、移動体が移動する位置及び時間を決定してよい。
【0086】
処理部220は、第1需要に基づいて移動体が移動する位置及び時間を決定し、第1需要に基づいて決定した移動体が移動する位置及び時間に基づいて、第2需要を満たすか判断してよい。
【0087】
処理部220は、第1需要及び第2需要に基づいて決定した移動体が移動する位置及び時間に基づいて移動体が移動を開始した後、予め定められた条件が満たされる毎に、移動体が移動する位置及び時間を再決定してよい。
【0088】
処理部220は、移動体が需要位置に到着する毎に、移動体が移動する位置及び時間を再決定してよい。処理部220は、移動体が需要位置を出発する毎に、移動体が移動する位置及び時間を再決定してよい。
【0089】
図19は、制御システム100における車両110の移動に関するシステムの全体的な実行シーケンスの概要を示す。
図19を参照して、各部の処理の流れを説明する。
図19の処理は、翌日の電力計画及び配車計画を前日に立案し、立案した計画にしたがって計画を実行するまでの処理を表す。
【0090】
電力制御装置40に関する処理として、S3010において、電力制御装置40の利用者及び電力制御装置140の少なくとも一方は、拠点10及び事業所11~14における電力計画に関する制約条件を設定して、電力制御装置41に通知する。なお、「利用者」は、電力制御装置40を管理する利用者やシステム等である。S3010において、利用者は、電力計画に関する制約条件を設定して、電力制御装置40に通知する。制約条件は、電力計画を立案する上で制約となる条件である。制約条件は、電力需要を満たすために必要となる制約を含んでよい。制約条件は、例えば、発電量の現況、電力消費量の現況、及び電力料金に関する情報を含む。発電量は、例えば、発電装置20~24における発電量である。電力消費量は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおける電力消費量である。電力料金は、買電価格や売電価格を含む。買電価格は、例えば拠点10及び事業所11~14のそれぞれが系統からの受電したことの対価として課される金額に関する条件である。売電価格は、例えば拠点10及び事業所11~14のそれぞれが系統への電力供給したことの対価として得られる金額に関する条件である。
【0091】
S3012において、電力制御装置40は、翌日の電力計画を立案する。例えば、電力制御装置40は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおける電力計画を立案する。電力制御装置40は、電力制御装置41~電力制御装置44が立案した電力計画を取得してもよい。電力計画は、一日における時間帯毎の発電量、蓄電量及び消費電力を含む。電力計画は、例えば、翌日における電力計画である。電力計画によって、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおいて、各時間帯にどれだけ発電され、どれだけ電力が消費され、定置バッテリにどれだけ充電されるか又は定置バッテリからどれだけ放電させるかが定まる。翌日における時間帯毎の発電量は、翌日の気象情報等の環境情報と過去の実績データから予測されてよい。電力計画は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおいて、どの時間帯に消費電力の抑制(ピークカット)を実行するかを示してよい。電力計画は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおいて、どの時間帯に外部からどれだけの量の電力を受け取るかを示してよい。
【0092】
電力制御装置40は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおける最適な電力計画を立案してよい。例えば、電力制御装置40は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおいて系統から受電する電力量が最小となるように、電力計画を立案してよい。電力制御装置40は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおいて系統から受電することの対価として課される金額が最小となるように、電力計画を立案してよい。電力制御装置40は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおいて系統に電力供給することに対する対価として得られる金額が最大となるように、電力計画を立案してよい。このように、電力制御装置40は、制約条件に基づいて、翌日の電力計画として最適な電力計画を立案する。電力計画によって、翌日の各時間帯に外部から受け取る必要がある電力量が定まる。後述するように、外部から受け取る必要がある電力量は、車両110が備える走行用バッテリから供給され得る。電力制御装置40は、電力計画を統合管理装置50に送信する。
【0093】
車両制御装置60に関する制御として、車両制御装置60の利用者は、S3210において、配車の制約条件を入力する。車両制御装置60の利用者は、配送会社において配送需要データを入力する人物やシステム等である。配車の制約条件は、配送需要を満たすために必要となる制約を含んでよい。配車の制約条件は、配車計画を立案する上で制約となる条件である。配車の制約条件は、例えば、配送元及び配送先、出発時刻及び帰着時刻、積載物としての品物の種類、品物の容量、及び品物の重量等を含む。配送元及び配送先により、どの場所からどの場所まで車両を運行させる必要があるかが定まる。出発時刻及び帰着時刻から、車両をどの場所からどの時刻に出発し、どの場所にどの時刻に帰着させる必要があるかが定まる。出発時刻は拠点10を出発する時刻であり、帰着時刻は拠点10に帰着する時刻であってよい。出発時刻及び帰着時刻には、変更を許容できる時間幅が設定されてよい。品物の種類、容量、及び重量から、それらの品物をどの車両で配送できるかが定まる。
【0094】
S3212において、車両制御装置60は、利用者から通知された制約条件に基づいて、翌日の配送計画を立案する。例えば、車両制御装置60は、配車制約条件により定まる配送需要が満たされるように、配送に使用する車両110の台数、配送に使用する車両110、拠点10及び事業所11~14の出発時刻及び到着時刻、車両110の走行ルート、車両110の走行速度、スタンド71~74のうち補充電を行うべきスタンドを決定する。車両制御装置60は、配車計画を統合管理装置50に送信する。
【0095】
S3110において、統合管理装置50は、電力制御装置41から送信された電力計画と、車両制御装置60から送信された配車計画とを受け付ける。
【0096】
S3112において、統合管理装置50は、電力計画と配車計画とを調停する。例えば、統合管理装置50は、配車計画に従って配車した場合に、電力計画を満たすか否かを判断する。例えば、配車計画から、車両110が拠点10及び事業所11~14に存在することが予測される期間が定まる。統合管理装置50は、車両110が拠点10及び事業所11~14に存在する期間において、車両110が備える走行用バッテリから、事業所11~14が外部から供給される必要がある電力を必要な時間帯に受け取ることができる場合、電力計画を満たすと判断する。また、統合管理装置50は、車両110の移動先の事業所11~14において、各事業所11~14が外部に放出する必要がある電力を、放出する必要がある時間帯に車両110が備える走行用バッテリに供給することができる場合、電力計画を満たすと判断する。
【0097】
統合管理装置50は、配車計画に従って配車した場合に電力計画を満たすことができないと判断した場合、電力計画をどのように修正すれば配車計画を満たすことができるかを判断する。例えば、統合管理装置50は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおいて、電力計画に対して各時間帯の消費電力をどれだけ変更すればよいかを判断する。また、統合管理装置50は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおいて、各時間帯に系統から受電する電力量をどれだけ変更すればよいかを判断する。統合管理装置50は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおいて、各時間帯に系統に放出する電力量をどれだけ変更すればよいかを判断する。
【0098】
また、統合管理装置50は、配車計画に従って配車した場合に電力計画を満たすことができないと判断した場合、配車計画をどのように修正すれば電力計画を満たすことができるかを判断する。例えば、統合管理装置50は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおいて、車両制御装置60から受け取った配車計画に対して、出発時刻や帰着時刻をどれだけ変更すればよいかを判断する。また、統合管理装置50は、配車計画に対して、車両110の走行ルートをどのように修正すればよいかを判断する。また、統合管理装置50は、配車計画に対して、配送に使用する車両110の台数をどれだけ修正すればよいかを判断する。また、統合管理装置50は、配車計画に対して、拠点10をスタンド71~74のどのスタンドでどの時刻に補充電を行えばよいかを判断する。また、統合管理装置50は、配車計画に対して、車両110の走行速度をどれだけ修正すればよいかを判断する。
【0099】
また、統合管理装置50は、配車計画に従って配車した場合に電力計画を満たすことができないと判断した場合、電力計画及び配車計画の双方をどのように修正すれば、修正後の配車計画及び電力計画を満たすことができるかを判断する。上述したように、統合管理装置50は、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおける各時間帯の消費電力、各時間帯に系統から受電する電力量、及び各時間帯に系統に放出する電力量をどのように修正し、かつ、出発時刻、帰着時刻、走行ルート、走行速度、配送に使用する車両110の台数、及び補充電を行うスタンドをどのように修正すればよいかを判断する。
【0100】
S3112において、統合管理装置50は、電力計画及び配車計画に対する修正を含む調停提案を、電力制御装置40及び統合管理装置50に送信する。電力制御装置40は、統合管理装置50からの調停提案を受信すると、S3014において、S3012で立案した電力計画に、統合管理装置50から受信した調停提案を反映する。例えば、電力制御装置40は、電力計画に対し、拠点10及び事業所11~14のそれぞれにおける各時間帯の消費電力、各時間帯に系統から受電する電力量、及び各時間帯に系統に放出する電力量等を、調停提案に従って修正する。電力制御装置40は、調停提案に従って拠点10及び事業所11~14におけるエネルギ管理が実現できると判断すると、調停提案を反映した電力計画を、反映結果として統合管理装置50に送信する。
【0101】
同様に、車両制御装置60は、統合管理装置50からの調停提案を受信すると、S3214において、S3212で立案した配車計画に、統合管理装置50から受信した調停提案を反映する。例えば、車両制御装置60は、配車計画に対し、出発時刻、帰着時刻、走行ルート、走行速度、及び配送に使用する車両110の台数、補充電を行うスタンド等を、調停提案に従って修正する。車両制御装置60は、調停提案に従って配送需要を満たすと判断すると、調停提案を反映した配車計画を、反映結果として統合管理装置50に送信する。
【0102】
S3114において、電力制御装置40及び車両制御装置60から調停提案の反映結果を受信すると、統合管理装置50は、調停提案が反映された電力計画及び配車計画によって配送需要及び電力需要が満たされることを確認する。配車需要及び電力需要が満たされることを確認すると、統合管理装置50は、調停提案の反映結果に従って計画を実行する旨を、調停結果として電力制御装置40及び車両制御装置60に送信する。なお、統合管理装置50は、調停提案が反映された電力計画及び配車計画によって配送需要及び電力需要が満たされない場合は、電力計画及び配車計画の修正を更に行い、調停結果として送信してよい。電力制御装置41、車両制御装置60及び車両制御装置60は、S3112、S3014、S3214、S3114の処理を、配送需要及び電力需要が満たされるまで繰り返してよい。
【0103】
電力制御装置40は、統合管理装置50から調停結果を受信すると、S3014において電力計画を確定し、確定した電力計画を利用者に通知する。S3016において、利用者は通知された電力計画に従ってエネルギ管理を実行する。S3018において、利用者は、電力計画の実行に関する実績処理を行う。例えば、利用者は、各時間帯における定置バッテリの充放電量の実績データ、発電電力の実績データ、消費電力量の実績データを含むエネルギ管理の実績データを収集して入力する処理を行う。S3020において、電力制御装置40は、利用者のそれぞれから入力された実績データを履歴情報として管理する。なお、電力制御装置40は、電力制御装置40が管理している履歴情報を、後に電力計画を立案する場合に使用してよい。
【0104】
また、車両制御装置60は、統合管理装置50から調停結果を受信すると、S3214において、配車計画を確定し、確定した配車計画を利用者に通知する。S3216において、利用者は通知された配車計画に従って計画を実行する。S3218において、利用者は、配車計画の実行に関する実績処理を行う。例えば、利用者は、各車両110の走行データや走行用バッテリの残容量等を含む走行実績データを収集して入力する処理を含む。S3020において、車両制御装置60は、利用者から入力された走行実績データを履歴情報として管理する。なお、車両制御装置60は、車両制御装置60が管理している履歴情報を、後に配車計画を立案する場合に使用してよい。
【0105】
図20は、統合管理装置50、電力制御装置40、車両制御装置60、及び車両110が実行する処理の実行シーケンスを示す。S302において、電力制御装置40は、電力需要情報を統合管理装置50に送信する。例えば、電力制御装置40は、翌日の発電装置20の発電電力と、拠点10における翌日の消費電力とを予測する。一例として、電力制御装置40は、過去の発電装置20の発電電力と、拠点10における過去の消費電力とを天気情報に対応づけた履歴情報を記憶している。電力制御装置40は、翌日の天気予報情報と、履歴情報とに基づいて、翌日の発電装置20の発電電力と、翌日の消費電力とを予測する。例えば、電力制御装置40は、履歴情報の中から、翌日の天気予報情報が示す天気情報に適合する天気情報に対応づけられた情報を取得するとこにより、翌日の発電装置20の発電電力と、翌日の消費電力とを予測する。同様に、電力制御装置41~45は、それぞれの事業所における翌日の発電電力と消費電力とを予測する。電力制御装置40は、電力制御装置41~45のそれぞれが予測した翌日の発電電力及び消費電力を示す情報を含む電力需要情報を受信して、電力制御装置40~45の電力需要情報を統合管理装置50に送信する。
【0106】
S304において、車両制御装置60は、翌日における事業所11~14への品物の配送予定情報を統合管理装置50に送信する。例えば、車両制御装置60は、各事業所11~14から取得した翌日の商品の配送要求に基づいて、配送情報を取得する。具体的には、車両制御装置60は、配送要求として、翌日に配送するべき品物情報と、配送先の事業所を識別する情報とを取得する。品物情報は、各事業所に配送する品物の数量及び各品物の重量情報、事業所が配送を希望する時間を示す配送時間情報等を含む。また、車両制御装置60は、車両110の台数、車両110が備える走行用バッテリの現在の残容量を含む車両情報を管理する。車両制御装置60は、翌日の配送予定情報及び車両情報を含む配送情報を、統合管理装置50に送信する。
【0107】
S306において、処理部220は、配送情報と、電力需要情報とに基づいて、車両110の運行制御及び電力制御装置41~44の制御に関する処理を行う。例えば、処理部220は、車両110が事業所11~14間を移動する位置及び時間と、車両110の走行ルートとを含む運行情報を生成する。また、処理部220は、拠点10及び事業所11~14において車両110の走行用バッテリと拠点10及び事業所11~14との間で行われる電力の授受情報を生成する。電力の授受情報は、例えば、電力の授受を行う時間及び授受電力量を含む。S306の処理については後述する。S308において、処理部220は、電力の授受情報を電力制御装置40~44へ送信する。なお、処理部220は、電力の授受を行わないと決定した拠点10及び事業所11~14の電力制御装置40~44には、電力制御装置40~44のそれぞれが生成した電力需要情報に基づく制御を了承したことを示す了承情報を送信する。S310において、処理部220は、運行情報を車両制御装置60に送信する。
【0108】
S312において、電力制御装置40~44は、それぞれの拠点10及び事業所11~14における電力制御を開始する。S314において、車両制御装置60は、運行情報に従って、車両110の運行制御を開始する。例えば、車両制御装置60は、運行情報に従って、車両110が拠点10から出発するよう、拠点10にいる車両110の運転手に指示する。
【0109】
S320において車両110が事業所11に到着すると、処理部220は、車両110から送信されるGPS信号に基づく位置情報から、車両110が事業所11に到着したと判断する。S322において、処理部220は、車両110と通信して、車両110の走行用バッテリの残量を受信する。S330において、処理部220は、現時点で予測される天気予報情報と車両110のバッテリ残量情報とに基づいて、車両110の運行情報と、拠点10及び事業所11~14における電力の授受情報を補正する。S330の具体的な処理については後述する。S332において、処理部220は、補正した電力の授受情報を電力制御装置40~44へ送信する。S334において、処理部220は、運行情報を車両制御装置60に送信する。なお、車両110は、事業所11~14に到着する毎に、S320からS334までの処理と同様の処理を繰り返す。これにより、最新の情報に基づいて、電力の授受情報及び運行情報を更新することができる。
【0110】
図21は、処理部220が管理する配送情報のデータ構造の一例を示す。配送情報は、各事業所11~14から送信される配送予定情報に基づいて生成される。配送情報は、位置と、事業所名と、品物と、時刻とを含む。「位置」は、各事業所の地理的な位置を示す情報である。「位置」は、例えば住所、緯度及び経度情報を含んでよい。「事業所名」は事業所の名称を示す情報である。「品物」は、各事業所に納入するべき品物を示す品物情報である。品物情報は、事業所11~14に納入する各商品の個数を示す情報を含む。「時刻」は、各事業所11~14が商品の配送を希望する時刻を示す情報である。処理部220は、各事業所11~14が希望する時刻までに品物を配送できるように、車両110の運行情報を決定する。
【0111】
図22は、拠点10を出発して事業所11~14を経由して拠点10に戻るまでの車両110の車速の変化を模式的に示す。
図22のグラフは、0時に拠点10を出発して1時に事業所11に到着し、2時に事業所11を出発して2時半に事業所12に到着し、4時に事業所12を出発して、4時半に事業所13に到着し、6時に事業所13を出発して6時半に事業所14に到着し、8時に事業所14を出発して10時に拠点10に戻るまでの車速を表す。
【0112】
処理部220は、運行情報を決定する場合、配送情報を参照して、配送予定情報を満たし、かつ、翌日に車両110の走行に必要な消費電力が最小となるように、各拠点10及び事業所11~14間で車両110が走行する走行ルート及び車速を決定する。一例として、処理部220は、翌日に予測される道路の渋滞情報、道路の勾配情報、信号情報等に基づいて、車両110の走行に必要な消費電力が最小となるように、走行ルート及び走行ルートを走行中の車速を決定してよい。処理部220は、走行ルート及び車速情報を含む運行情報を車両制御装置60に送信すると、車両制御装置60は、走行ルート及び車速情報に従って車両110が走行するように、車両110が備えるナビゲーション装置を通じて車両110のドライバに指示する。
【0113】
図23は、各拠点10及び事業所11~14における翌日の消費電力、発電電力及び定置バッテリの残量の時間変化の予測値を模式的に示すグラフである。
図23の各グラフの横軸は、一日における時刻を表す。
図23の線610は、拠点10及び事業所11~14において予測される消費電力の時間変化の一例を示す。
図23の線620は、予測される発電装置20~24の発電電力の時間変化の一例を示す。電力制御装置40~44は、例えば、過去の天気と消費電力との間の相関と、翌日の天気予報情報と基づいて、翌日の消費電力及び発電電力を予測してよい。
【0114】
電力制御装置40~44はそれぞれ、電力管理の一環として、発電電力が消費電力を上回る場合に、余剰電力で定置バッテリ30~34を充電し、消費電力が発電電力を上回る場合に、定置バッテリ30~34を放電させることによって消費電力の少なくとも一部を賄う。これにより、電力制御装置40~44は、消費電力のピークシフトを行うように制御する。
【0115】
定置バッテリ30~34には、バッテリ残量の下限値としての閾値が予め設定される。電力制御装置40~44は、バッテリ残量が予め設定された閾値を下回らないように、定置バッテリ30~34の放電を制限する。
図23の線630は、消費電力が発電電力を上回る場合に消費電力に応じて定置バッテリ30~34から放電させたと仮定した場合のバッテリ残量の変化を示す。
図23の線630に示されるように、バッテリ残量は7時に閾値に到達し、9時45分に最低値に達する。したがって、
図23に示されるような消費電力、発電電力及びバッテリ残量が予測される場合、例えば7時までの間に、バッテリ残量の最低値に対応する電力量以上の定置バッテリに供給できれば、定置バッテリの放電と発電電力によって消費電力を賄うことが可能になる。したがって、
図23に示されるような消費電力、発電電力及びバッテリ残量が予測される場合、処理部220は、7時までに車両110から定置バッテリに電力を供給できるように、運行情報を決定する。
【0116】
図24は、運行情報及び電力の授受情報に基づく車両110の制御を模式的に示す。処理部220は、拠点10の出発時刻、事業所11~14の到着時刻及び出発時刻、拠点10への到着時刻、拠点10及び事業所11~14の間の車両110の車速を含む運行情報を生成する。また、スタンド71~74で走行用バッテリを補充電する場合は、補充電を行うスタンドへの到着時刻及び出発時刻を含む運行情報を生成する。また、処理部220は、拠点10及び各事業所11~14との間で電力を授受する時間及び電力量を含む電力の授受情報を生成する。
【0117】
例えば、事業所11において、
図23に示されるような消費電力、発電電力及びバッテリ残量が予測される場合、7時までに車両110から事業所11に必要な電力量を供給することができるように、運行情報を決定する。車両110が拠点10を5時に出発し、6時に事業所11に到着した後、事業所11に納入する品物を車両110から降ろしている間に、処理部220は、車両110が備える走行用バッテリを放電させることにより、7時までに必要な電力量を事業所11に供給できるように、運行情報を決定する。
【0118】
また、事業所13においても定置バッテリ33の電力量が不足することが予測される場合、事業所12から事業所13を走行する途中でスタンド72で走行用バッテリを補充電し、事業所13に到着した後、事業所13に納入する品物を車両110から降ろしている間に、処理部220は、車両110が備える走行用バッテリを放電させて事業所13に供給できるように、運行情報を決定する。また、事業所14において電力が余剰となることが予測される場合には、事業所14に到着した後、事業所14に納入する品物を車両110から降ろしている間に、処理部220は、事業所14の発電装置24又は定置バッテリ34から供給される電力で走行用バッテリを補充電する。
【0119】
図25は、
図20のS306からS310までの間の処理の詳細を示すフローチャートである。
図25のフローチャートの処理は、車両110が拠点10を出発する前日に実行される。例えば、
図25のフローチャートの処理は、車両110が拠点10を出発する前日の23時から0時までの間に実行されるとしてよい。
【0120】
処理部220は、配送情報を参照して、各事業所11~14が品物の配送を希望する時間を満たし、かつ、車両110の走行に必要な電力量が最小となるように、車両110の走行ルート及び車速と、拠点10の出発時刻、事業所11~事業所14のそれぞれの事業所への到着時刻及びそれぞれの事業所からの出発時刻と、拠点10への到着時刻とを含む運行情報を決定する。このとき、処理部220は、渋滞予報情報を含むインフラ情報に基づいて、車両110の走行に必要な電力量が最小となるように、運行情報を決定する。
【0121】
S820において、処理部220は、運行情報に従って車両110が走行するために必要な電力量と、電力需要情報とに基づいて、走行用バッテリの補充電を行うスタンド及び事業所と補充電力量、並びに、走行用バッテリの放電を行う事業所及び放電電力量を決定する。例えば、運行情報から、事業所11~事業所14のそれぞれに車両110が停車することが予測される時間が定まる。また、電力需要情報から、事業所11~14のそれぞれに車両110が停車することが予測される時間において電力の余剰が発生するか電力が不足する否かが定まる。そこで、処理部220は、事業所11~14のそれぞれに車両110が停車することが予測される時間内において、事業所11~14のそれぞれに車両110が停車している間に電力が余剰となる場合、その事業所11~14に停車している間に補充電が可能であると判断する。また、処理部220は、車両110の走行ルートとスタンド71~スタンド74が設置された位置とが基づいて、走行ルートから予め定められた距離内にスタンド71~74が設置されている場合に、そのスタンド71~74で補充電が可能であると判断する。また、処理部220は、事業所11~14のそれぞれにおいて電力が不足する場合、その事業所11~14に車両110が停車している間に走行用バッテリの放電が可能であると判断する。
【0122】
S830において、補充電を行うスタンド71~74及び事業所11~14、及び、放電を行う事業所11~14を運行情報へ反映する。S840において、補充電を行うスタンド71~74及び事業所11~14、並びに、放電を行う事業所11~14を考慮して、車両110の運行が成立することを確認する。S850において、処理部220は、運行情報に従って車両110が拠点10に帰着した時の車両110の走行用バッテリの残量を予測する。S860において、処理部220は、拠点10の電力制御装置40に、S850で予測したバッテリ残量を通知する。S870において、処理部220は、各事業所11~14の電力制御装置41~44に、電力制御装置40を通じて、車両110の走行用バッテリとの間の電力の授受情報を送信する。S880において、処理部220は、車両制御装置60に運行情報を送信する。
【0123】
図26は、車両110が拠点10を出発する当日に実行する処理を示すフローチャートである。処理部220は、車両110が拠点10を出発する時刻の予め定められた時間だけ前のタイミングで、最新の天気予報情報及びインフラ情報に基づいて、車両110の走行ルート及び車速を含む運行情報と、車両110の走行に必要な電力量を補正する。S920において、処理部220は、S910で補正した情報に基づき、走行用バッテリの補充電を行うスタンド及び事業所と補充電力量、並びに、走行用バッテリの放電を行う事業所及び放電電力量を補正する。
【0124】
S930において、処理部220は、S920で補正した情報に基づき、補充電を行うスタンド71~74及び事業所11~14、及び、放電を行う事業所11~14を運行情報へ反映する。S940において、処理部220は、S920で補正した情報に基づき、補充電を行うスタンド71~74及び事業所11~14、並びに、放電を行う事業所11~14を考慮して、車両110の運行が成立することを確認する。S950において、処理部220は、補正した運行情報に従って車両110が拠点10に帰着した時の車両110の走行用バッテリの残量を予測する。S960において、処理部220は、拠点10の電力制御装置40に、S950で予測したバッテリ残量を通知する。S970において、処理部220は、各事業所11~14の電力制御装置41~44に、車両110の走行用バッテリとの間の電力の授受情報を送信する。S980において、処理部220は、車両制御装置60に運行情報を送信する。
【0125】
図26に関連して説明した処理により、車両110が拠点10を出発する前の最新の情報に基づいて、車両110の運行情報及び電力の授受情報を更新することができる。
【0126】
図27は、車両110が事業所11~14に到着した場合に実行する処理を示すフローチャートである。
図27のフローチャートの処理は、
図20のS330からS334までの処理に適用できる。ここでは、車両110が事業所11に到着した場合を取り上げて説明する。処理部220は、車両110から受信した車両110の現在位置情報に基づき、事業所11に到着したと判断すると、S1010において、最新の天気予報情報、インフラ情報、及び車両110の走行用バッテリの残量に基づいて、事業所11を出発後の車両110の走行ルート及び車速を含む運行情報と、車両110の走行に必要な電力量を再計算する。S1020において、処理部220は、S1010で再計算した情報に基づき、走行用バッテリの補充電を行うスタンド及び事業所と補充電力量、並びに、走行用バッテリの放電を行う事業所及び放電電力量を再決定する。
【0127】
S1030において、処理部220は、S1020で決定した情報に基づき、補充電を行うスタンド71~74及び事業所12~14、及び、放電を行う事業所12~14を運行情報へ反映する。S1040において、処理部220は、S1020で決定した情報に基づき、補充電を行うスタンド71~74及び事業所12~14、並びに、放電を行う事業所12~14を考慮して、車両110の運行が成立することを確認する。S1050において、処理部220は、決定した運行情報に従って車両110が拠点10に帰着した時の車両110の走行用バッテリの残量を再予測する。S1060において、処理部220は、拠点10の電力制御装置40に、S1050で予測したバッテリ残量を通知する。S1070において、処理部220は、各事業所12~14の電力制御装置42~44に、車両110の走行用バッテリとの間の電力の授受情報を送信する。S1080において、処理部220は、車両制御装置60に運行情報を送信する。
【0128】
図27に関連して説明した処理と同様の処理は、車両110が事業所12、事業所13、及び事業所14に到着する毎に実行される。これにより、最新の情報に基づいて、車両110の運行情報及び電力の授受情報を更新することができる。
【0129】
なお、
図20のS330及び
図27に関連して、車両110が事業所11~14に到着した場合の処理を説明した。処理部220は、
図20のS303及び
図27に関連して説明した処理と同様の処理を、車両110が事業所11~14を出発する場合に実行してよい。例えば、処理部220は、車両110が事業所11に到着した後、車両110のイグニッションスイッチがオンされた場合に、
図20のS303及び
図27に関連して説明した処理と同様の処理を実行してよい。
【0130】
図28は、第2実施形態における処理部220の処理を説明するための概略図である。上述したように、第1実施形態は、事業所11、事業所12、事業所13、事業所14の順に1台の車両110で運行することが定められている場合の実施形態である。これに対し、第2実施形態は、事業所11、事業所12、事業所13、及び事業所14の順に車両110で運行することが定められている場合において、2台の車両110で同時に運行することを許容する場合の実施形態である。
【0131】
第2実施形態において、処理部220は、配送情報及び電力需要情報に基づいて、車両110aが拠点10を出発した後、事業所11及び事業所12を経由して拠点10に帰着する運行情報及び電力の授受情報を決定する。また、処理部220は、車両110aが拠点10を出発した後、車両110aが拠点10に帰着するまでの間に、配送情報及び電力需要情報に基づいて、車両110bが拠点10を出発し、事業所13及び事業所14を経由して拠点10に帰着する運行情報及び電力の授受情報を決定する。なお、第2実施形態において、処理部220は、第1実施形態における拠点10、事業所11、事業所12、事業所13、事業所14、及び拠点10の順で運行することが定められていることに代えて、拠点10、事業所11、事業所12、及び拠点10の順で運行することと、拠点10、事業所13、事業所14、及び拠点10の順で運行することが定められているものとして、それぞれ独立して運行情報及び電力の授受情報を決定する処理を行えばよい。
【0132】
なお、第2実施形態において、処理部220は、車両110aが拠点10を出発した後、事業所11に到着し、事業所11を出発した後、他の事業所12~14を経由せずに拠点10に戻り、拠点10を出発した後、事業所12に到着し、事業所12を出発した後、他の事業所13~14を経由せずに拠点10に戻る運行情報及び電力の授受情報を生成してもよい。
【0133】
第2実施形態は、第1実施形態に関連して説明した処理によって、配送情報及び電力需要を満たす運行情報及び電力の授受情報を決定することができない場合に適用される実施形態であってよい。第2実施形態によれば、各事業所11~14への配送要求及び電力要求に柔軟に対応することが可能になる。
【0134】
第1実施形態及び第2実施形態において、処理部220は、各事業所11~14における配送需要より、各事業所11~14における電力需要を優先して、運行情報及び電力の授受情報を決定する形態を採用してよい。例えば、処理部220は、車両110が走行するために必要な電力量及び各事業所11~14において各事業所11~14が系統から受電する電力量を最小化するための運行情報及び電力の授受情報を決定し、当該運行情報によって配送情報を満たすことができる場合に、当該運行情報及び電力の授受情報を確定してよい。なお、処理部220は、当該運行情報及び電力の授受情報によって配送情報を満たすことができない場合には、配送情報を少なくとも満足する範囲内で、車両110が走行するための電力量及び各事業所11~14において各事業所11~14が系統から受電する電力量を極小化するようにするための運行情報及び電力の授受情報を決定してよい。処理部220は、配送情報及び電力需要の双方を満たすことができない場合、事業所11~14における配送情報を満足し、かつ、事業所11~14のうちの予め定められた一部の事業所の電力需要を満足するように、運行情報及び電力の授受情報を決定してよい。また、処理部220は、配送情報及び電力需要の双方を満たすことができない場合、事業所11~14の電力需要を少なくとも満足する範囲内で、事業所11~14のうちの予め定められた一部の事業所の配送情報を満足するように、運行情報及び電力の授受情報を決定してよい。処理部220は、配送情報及び電力需要の双方を満たすことができない場合、事業所11~14のうちの予め定められた一部の事業所の配送需要及び電力需要を少なくとも満足するように、運行情報及び電力の授受情報を決定してよい。なお、事業所11~14のうちの予め定められた一部の事業所は、停電時や地震発生時等の緊急時に維持すべきことが予め定められた事業所であってよい。
【0135】
図29は、第3実施形態における制御システム1200における処理部220の処理を説明するための概略図である。上述したように、第1実施形態は、事業所11、事業所12、事業所13、事業所14の順に1台の車両110で運行することが定められている場合の実施形態である。これに対し、第3実施形態は、事業所を経由する順序が定められていない場合の実施形態である。制御システム1200において、第1実施形態の構成に加えて、事業所1211、事業所1212、事業所1213、及び事業所1214と、スタンド1271、スタンド1272、スタンド1273、及びスタンド1274を備えるものとして説明する。
【0136】
第3実施形態において、処理部220は、配送情報及び電力需要情報に基づいて、車両110aが拠点10を出発した後、事業所11、事業所12、事業所13、及び事業所14を経由して拠点10に帰着する運行情報及び電力の授受情報を決定する。また、処理部220は、車両110bが拠点10を出発した後、事業所1214、事業所1213、事業所1212、及び事業所1211を経由して拠点10に帰着する運行情報及び電力の授受情報を決定する。
【0137】
この場合において、車両110aが拠点10を出発した後、処理部220は、車両110が事業所14に到着するまでの間に、最新のインフラ情報及び車両110aの走行用バッテリ情報等から、事業所14に対する配送情報及び電力需要情報の少なくとも一方を満たすことができないと判断した場合、車両110bが事業所1211を出発した後に、事業所14を経由して拠点10に帰着する新たな運行情報及び電力の授受情報を生成する。処理部220は、車両110bの走行用バッテリの残量を定期的に取得し、事業所1214、事業所1213、事業所1212、及び事業所1211、及び拠点10の電力需要を超えて電力供給可能である場合に、事業所14を経由して拠点10に帰着する新たな運行情報及び電力の授受情報を生成してよい。これにより、事業所14に対する配送情報及び電力需要情報を満たせる可能性を高めることができる。
【0138】
以上に説明したように、上述した各実施形態に係る制御システム100及び1200によれば、車両110が備える走行用バッテリを用いて、拠点10外の事業所11~14における配送需要を満たしつつ、拠点10におけるエネルギ管理及び事業所11~14におけるエネルギ管理を行うことができる。これにより、拠点10及び事業所11~14全体において、最適なエネルギ管理を行うことが可能になる。
【0139】
車両110及び車両181は、輸送機器の一例としての車両である。車両は、少なくともバッテリを備える。車両は、走行用の駆動力を発生する内燃機関を備えてよい。車両は、バッテリを充電するための電力を発生する内燃機関を備えてよい。車両は、電気自動車、燃料電池自動車(FCV)等の自動車であってよい。自動車は、バス、トラック、二輪自動車等を含む。車両は、鞍乗型車両等であってよく、バイクであってよい。輸送機器としては、車両の他に、無人航空機を含む航空機、船舶等の機器を含む。輸送機器は、人又は物品を輸送する任意の機器であってよい。輸送機器は移動体の一例である。移動体は、輸送機器に限らず、移動可能な任意の機器であってよい。
【0140】
なお、上述した実施形態において、車両110が品物を配送する配送先は、配送を行うための事業所11~14である。しかし、車両110が品物を配送する配送先は事業所に限られない。車両110が品物を配送する配送先は、コンビニエンスストア等の店舗であってよい。また、事業所11からの品物の配送先が、車両181からの電力の授受が可能な店舗等である場合、電力制御装置41、統合管理装置51及び車両制御装置61は、
図18から
図29等に関連して説明した電力制御装置40、統合管理装置50及び車両制御装置60の制御と同様に、品物の配送先の電力需要及び配送需要を満たすように制御してよい。
【0141】
図30は、本発明の複数の実施形態が全体的又は部分的に具現化され得るコンピュータ2000の例を示す。コンピュータ2000にインストールされたプログラムは、コンピュータ2000を、実施形態にかかる制御システム又は制御システムの各部、もしくは制御装置等の装置又は当該装置の各部として機能させる、当該システム又はシステムの各部もしくは当該装置又は当該装置の各部に関連付けられるオペレーションを実行させる、及び/又は、実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2000に、本明細書に記載の処理手順及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU2012によって実行されてよい。
【0142】
本実施形態によるコンピュータ2000は、CPU2012、及びRAM2014を含み、それらはホストコントローラ2010によって相互に接続されている。コンピュータ2000はまた、ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040を含む。ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040は、入力/出力コントローラ2020を介してホストコントローラ2010に接続されている。
【0143】
CPU2012は、ROM2026及びRAM2014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0144】
通信インタフェース2022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。フラッシュメモリ2024は、コンピュータ2000内のCPU2012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ROM2026は、アクティブ化時にコンピュータ2000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2000のハードウエアに依存するプログラムを格納する。入力/出力チップ2040はまた、キーボード、マウス及びモニタ等の様々な入力/出力ユニットをシリアルポート、パラレルポート、キーボードポート、マウスポート、モニタポート、USBポート、HDMI(登録商標)ポート等の入力/出力ポートを介して、入力/出力コントローラ2020に接続してよい。
【0145】
プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、又はメモリカードのようなコンピュータ可読記憶媒体又はネットワークを介して提供される。RAM2014、ROM2026、又はフラッシュメモリ2024は、コンピュータ可読記憶媒体の例である。プログラムは、フラッシュメモリ2024、RAM2014、又はROM2026にインストールされ、CPU2012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2000に読み取られ、プログラムと上記様々なタイプのハードウエアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0146】
例えば、コンピュータ2000及び外部デバイス間で通信が実行される場合、CPU2012は、RAM2014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2022に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2022は、CPU2012の制御下、RAM2014及びフラッシュメモリ2024のような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取った送信データをネットワークに送信し、ネットワークから受信された受信データを、記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0147】
また、CPU2012は、フラッシュメモリ2024等のような記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2014に読み取られるようにし、RAM2014上のデータに対し様々な種類の処理を実行してよい。CPU2012は次に、処理されたデータを記録媒体にライトバックする。
【0148】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理にかけられてよい。CPU2012は、RAM2014から読み取られたデータに対し、本明細書に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々な種類のオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々な種類の処理を実行してよく、結果をRAM2014にライトバックする。また、CPU2012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2012は、第1の属性の属性値が指定されている、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0149】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ2000上又はコンピュータ2000近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能である。コンピュータ可読記憶媒体に格納されたプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2000に提供してよい。
【0150】
コンピュータ2000にインストールされ、コンピュータ2000を統合管理装置50として機能させるプログラムは、CPU2012等に働きかけて、コンピュータ2000を、統合管理装置50の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ2000に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段である統合管理装置50の各部として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ2000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の統合管理装置50が構築される。
【0151】
コンピュータ2000にインストールされ、コンピュータ2000を統合管理装置51として機能させるプログラムは、CPU2012等に働きかけて、コンピュータ2000を、統合管理装置51の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ2000に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段である統合管理装置51の各部として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ2000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の統合管理装置51が構築される。
【0152】
様々な実施形態が、ブロック図等を参照して説明された。ブロック図において各ブロックは、(1)オペレーションが実行されるプロセスの段階又は(2)オペレーションを実行する役割を持つ装置の各部を表わしてよい。特定の段階及び各部が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウエア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、及び他の論理オペレーション、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウエア回路を含んでよい。
【0153】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく実行され得る命令を含む製品の少なくとも一部を構成する。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0154】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0155】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はプログラマブル回路に対し、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、説明された処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0156】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0157】
請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0158】
10 拠点
11 事業所
12 事業所
13 事業所
14 事業所
20 発電装置
21 発電装置
22 発電装置
23 発電装置
24 発電装置
30 定置バッテリ
31 定置バッテリ
32 定置バッテリ
33 定置バッテリ
34 定置バッテリ
40 電力制御装置
41 電力制御装置
42 電力制御装置
43 電力制御装置
44 電力制御装置
50 統合管理装置
51 統合管理装置
52 統合管理装置
53 統合管理装置
54 統合管理装置
61 車両制御装置
62 車両制御装置
63 車両制御装置
64 車両制御装置
60 車両制御装置
71 スタンド
72 スタンド
74 スタンド
100 制御システム
110 車両
111 配送先
112 配送先
113 配送先
114 配送先
115 配送先
121 エリア
122 エリア
123 エリア
124 エリア
140 電力制御装置
181 車両
200 演算部
210 取得部
220 処理部
280 記憶部
290 通信部
300 演算部
310 取得部
320 処理部
330 モード判別部
380 記憶部
390 通信部
1200 制御システム
1211 事業所
1212 事業所
1213 事業所
1214 事業所
1271 スタンド
1272 スタンド
1273 スタンド
1274 スタンド
2000 コンピュータ
2010 ホストコントローラ
2012 CPU
2014 RAM
2020 入力/出力コントローラ
2022 通信インタフェース
2024 フラッシュメモリ
2026 ROM
2040 入力/出力チップ