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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】表示制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
G06F3/01 510
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023543777
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2022029702
(87)【国際公開番号】W WO2023026798
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2024-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2021135589
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】水田 怜央
(72)【発明者】
【氏名】森永 康夫
(72)【発明者】
【氏名】西▲崎▼ 達哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 有希
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102232(JP,A)
【文献】国際公開第2019/220729(WO,A1)
【文献】特開2019-028638(JP,A)
【文献】特開2016-082411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他のディスプレイとの間で共通の仮想空間に共通して配置された表示情報を、仮想空間のディスプレイ毎の視線に応じて表示するディスプレイにおける表示を制御する表示制御装置であって、
前記他のディスプレイを装着するユーザの状態を検出する検出部と、
前記他のディスプレイにおける仮想空間の視線に応じた仮想空間の視界情報を取得する視界情報取得部と、
前記検出部によって検出されたユーザの状態、及び前記視界情報取得部によって取得された仮想空間の視界情報に応じて、前記ディスプレイの表示に係る操作に対する制御を行う制御部と、
を備え
前記検出部は、前記他のディスプレイを装着するユーザの状態として、当該ユーザの現実空間の視線を検出し、
前記検出部は、前記他のディスプレイを装着するユーザの状態として、当該ユーザの現実空間の視線の焦点距離を検出して、
前記制御部は、前記検出部によって検出された焦点距離に応じて、前記制御を行うか否かを判断する、表示制御装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記他のディスプレイを装着するユーザの状態として、当該ユーザの現実空間の視線の方向を検出して、
前記制御部は、前記検出部によって検出された現実空間の視線の方向に応じて、前記制御に係る領域を設定する、請求項に記載の表示制御装置。
【請求項3】
他のディスプレイとの間で共通の仮想空間に共通して配置された表示情報を、仮想空間のディスプレイ毎の視線に応じて表示するディスプレイにおける表示を制御する表示制御装置であって、
前記他のディスプレイを装着するユーザの状態を検出する検出部と、
前記他のディスプレイにおける仮想空間の視線に応じた仮想空間の視界情報を取得する視界情報取得部と、
前記検出部によって検出されたユーザの状態、及び前記視界情報取得部によって取得された仮想空間の視界情報に応じて、前記ディスプレイの表示に係る操作に対する制御を行う制御部と、
を備え
前記検出部は、前記他のディスプレイを装着するユーザの状態として、当該ユーザの移動状態を検出する表示制御装置。
【請求項4】
他のディスプレイとの間で共通の仮想空間に共通して配置された表示情報を、仮想空間のディスプレイ毎の視線に応じて表示するディスプレイにおける表示を制御する表示制御装置であって、
前記他のディスプレイを装着するユーザの状態を検出する検出部と、
前記他のディスプレイにおける仮想空間の視線に応じた仮想空間の視界情報を取得する視界情報取得部と、
前記検出部によって検出されたユーザの状態、及び前記視界情報取得部によって取得された仮想空間の視界情報に応じて、前記ディスプレイの表示に係る操作に対する制御を行う制御部と、
を備え
前記制御部は、前記視界情報取得部によって取得された仮想空間の視界情報に応じて前記制御に係る領域を設定し、設定した領域に関連する前記ディスプレイの表示に係る操作に対する制御を行い、
前記制御部は、設定した領域において表示情報の表示を変更する操作を禁止する制御を行う表示制御装置。
【請求項5】
他のディスプレイとの間で共通の仮想空間に共通して配置された表示情報を、仮想空間のディスプレイ毎の視線に応じて表示するディスプレイにおける表示を制御する表示制御装置であって、
前記他のディスプレイを装着するユーザの状態を検出する検出部と、
前記他のディスプレイにおける仮想空間の視線に応じた仮想空間の視界情報を取得する視界情報取得部と、
前記検出部によって検出されたユーザの状態、及び前記視界情報取得部によって取得された仮想空間の視界情報に応じて、前記ディスプレイの表示に係る操作に対する制御を行う制御部と、
を備え
前記検出部は、前記他のディスプレイを装着するユーザの状態として、当該ユーザの心拍又は発汗に係る状態を検出する表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイにおける表示を制御する表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透過型のヘッドマウントディスプレイが用いられている(例えば、特許文献1参照)。透過型のヘッドマウントディスプレイによれば、ユーザは、現実世界を見ると共にディスプレイに表示された情報を参照することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-91882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、透過型のヘッドマウントディスプレイにおいて、仮想空間に配置される情報を仮想空間の視線に応じて表示することが行われている。また、この場合、上記の視線を、ヘッドマウントディスプレイの向き等に応じて移動するように制御することが行われている。このような制御によって、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザは、自身の頭部の向き等に応じた仮想空間の情報を参照することができると共に現実世界を見ることができる。
【0005】
また、従来、ディスプレイにおける表示を別のユーザのディスプレイと共有する技術が用いられている。別のユーザとの表示の共有は、上記の態様の表示においても行われ得る。例えば、ヘッドマウントディスプレイ間で仮想空間を共通させて、共通する情報を表示することが考えられる。この場合、ユーザが仮想空間において表示される情報を移動させると、他のユーザのディスプレイでは情報の表示位置が移動する。
【0006】
この際、ヘッドマウントディスプレイのユーザが、ディスプレイを見る以外の行動をしていた場合、他のユーザによる情報の移動は、当該ユーザの邪魔になり得る。例えば、当該他のヘッドマウントディスプレイのユーザが、ディスプレイの表示ではなく現実世界のものを見ている際に、表示される情報が目の前に移動されると、ユーザの行動の邪魔になる。
【0007】
本発明の一実施形態は、上記に鑑みてなされたものであり、複数のディスプレイ間で共通の仮想空間の情報を表示する場合に適切に表示を行うことができる表示制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る表示制御装置は、他のディスプレイとの間で共通の仮想空間に共通して配置された表示情報を、仮想空間のディスプレイ毎の視線に応じて表示するディスプレイにおける表示を制御する表示制御装置であって、他のディスプレイを装着するユーザの状態を検出する検出部と、他のディスプレイにおける仮想空間の視線に応じた仮想空間の視界情報を取得する視界情報取得部と、検出部によって検出されたユーザの状態、及び視界情報取得部によって取得された仮想空間の視界情報に応じて、ディスプレイの表示に係る操作に対する制御を行う制御部と、を備える。
【0009】
本発明の一実施形態に係る表示制御装置では、他のディスプレイを装着するユーザの状態、及び仮想空間の視界情報に応じて、ディスプレイの表示に係る操作に対する制御が行われる。例えば、他のディスプレイを装着するユーザの状態に応じて、ディスプレイの表示による他のディスプレイの表示がユーザの邪魔にならないように表示を制御することができる。従って、本発明の一実施形態に係る表示制御装置によれば、複数のディスプレイ間で共通の仮想空間の情報を表示する場合に適切に表示を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、複数のディスプレイ間で共通の仮想空間の情報を表示する場合に適切に表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る表示制御装置であるディスプレイの機能構成を示す図である。
図2】ディスプレイにおける表示に係る仮想空間、仮想空間に配置される表示情報、及び表示される領域の例を示す図である。
図3】ディスプレイ間での仮想空間及び表示情報の共有を示す図である。
図4】ディスプレイにおける表示の制御の例を示す図である。
図5】制御に係る領域の例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る表示制御装置であるディスプレイで実行される処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る表示制御装置であるディスプレイのハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面と共に本発明に係る表示制御装置の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1に本実施形態に係る表示制御装置であるディスプレイ10を示す。表示装置であるディスプレイ10は、ディスプレイ10自身における表示を制御する。ディスプレイ10は、他のディスプレイ20との間で共通の仮想空間に共通して配置された表示情報を、仮想空間のディスプレイ毎の視線に応じて表示する。例えば、ディスプレイ10,20は、仮想的な三次元空間に配置された表示情報を仮想空間の視線に応じて表示する。表示情報は、ディスプレイ10,20に表示される情報である。表示情報は、例えば、文字、画像及び動画像等のコンテンツである。あるいは、表示情報は、スケジューラ又はブラウザ等の表示される内容が変更され得るものであってもよい。また、表示情報は、ディスプレイ10,20のユーザ間でチャット等のコミュニケーションを取れるものであってもよい。また、表示情報は、上記以外のものであっても、仮想空間に配置されて仮想空間の視線に応じて表示できるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0014】
ディスプレイ10,20は、例えば、AR(Augmented Reality)等によって仮想のコンテンツ(表示情報)の表示を行うディスプレイである。ディスプレイ10,20は、ユーザの眼の部分に装着される透過型のディスプレイである。例えば、ディスプレイ10,20は、眼鏡型のヘッドマウントディスプレイ、即ち、シースルーグラス(スマートグラス、ARグラス)であってもよい。なお、ディスプレイ10,20は、互いに異なるユーザによって用いられる。また、ディスプレイ10は、ユーザに装着されるものである必要はない。
【0015】
ディスプレイ10,20は、仮想空間における視線の基準位置から仮想空間の視線の方向に見える領域の表示情報を見えた状態で表示する。仮想空間の視線は、仮想空間の視線の基準位置と、仮想空間の視線の方向とを含んで構成される。ディスプレイ10,20では、仮想空間の視線を移動させて表示を行うことができる。仮想空間の視線を移動することで、仮想空間において見える表示情報が変化し、ディスプレイ10,20による表示も変化する。
【0016】
仮想空間の視線の移動は、予め設定された方法で行われる。例えば、仮想空間の視線の移動は、予め設定した自由度で行われる。予め設定した自由度は、例えば、3DoF(Degree of Freedom)である。3DoFでは、仮想空間の視線の基準位置が固定されており、仮想空間の視線の方向のみが仮想空間のX軸、Y軸、Z軸の3軸周りに回転することができる。但し、上記以外の自由度及び上記以外の方法で仮想空間の視線の移動が行われてもよい。
【0017】
例えば、図2に示すように仮想空間に球(全天球)100を設けて、球100に沿って表示情報200を配置する。例えば、平面的な表示情報200については、球100の接平面に沿って球100の中心に向うように配置する。即ち、表示情報200は、球100の中心から見えるように配置される。この場合、球100の中心を仮想空間の視線の基準位置とする。
【0018】
ディスプレイ10,20は、仮想空間の視線の基準位置から仮想空間の視線の方向に見える球100の領域300の表示情報200を見えた状態で表示する。当該領域300の形状は、ディスプレイ10,20における表示画面の形状、例えば、図2に示すように矩形の形状である。上記のようにディスプレイ10,20の視野角(仮想空間の表示できる角度)は限られているため、球100の一部分のみが表示される。図2に示す例では、仮想空間の視線の方向が変わることで、球100の領域300の位置が変化し、ディスプレイ10,20による表示が変化する。このようにディスプレイ10,20は、全天球ディスプレイであってもよい。ディスプレイ10,20における上記の表示は、当該表示を行うアプリケーションによって行われてもよい。アプリケーションの起動時の視線の方向は、予め設定されたデフォルトの方向であってもよいし、ディスプレイ10,20毎に異なる方向であってもよい。
【0019】
ディスプレイ10,20には、ディスプレイ10,20自身の動き及び向きを検出するセンサが設けられていてもよい。例えば、加速度を検出する加速度センサ及び角速度を検出するジャイロセンサが設けられていてもよい。ディスプレイ10,20は、これらのセンサによって、ディスプレイ10,20自身の動き及び向きを検出して、検出した動き及び向きに応じて仮想空間の視線を移動させてもよい。即ち、ディスプレイ10,20が装着されるユーザの頭部(顔)の向きに応じて視線が移動されてもよい。但し、仮想空間の視線の移動は、上記以外のセンサによる検出に応じて行われてもよい。また、仮想空間の視線の移動は、センサによるものではなく、ディスプレイ10,20に対するユーザの操作によって行われてもよい。また、上記のように3DoFで視線を移動させる場合には、向きのみが検出又は操作されればよい。
【0020】
仮想空間の視線の移動を含む、仮想空間の視線を用いたディスプレイ10,20における表示は、従来のAR等による表示と同様に行われればよい。なお、仮想空間に関する情報の保持及び処理は、ディスプレイ10,20の何れかにおいて行われてもよいし、ディスプレイ10,20に接続されるクラウド等において行われてもよい。
【0021】
ディスプレイ10における表示と、他のディスプレイ20における表示とには、共通の仮想空間に共通して配置された表示情報が用いられる。即ち、複数のディスプレイ10,20の間で仮想空間及び表示情報が共有されてもよい。仮想空間及び表示情報が共有される複数のディスプレイ10,20は、予め設定される。ディスプレイ10における表示と、他のディスプレイ20における表示とにおける仮想空間の視線は、ディスプレイ10,20毎の独立したものが用いられる。ディスプレイ10,20における視線が異なっていれば、例えば、3DoFの場合、視線の方向が異なっていれば、ディスプレイ10,20ではそれぞれの視線に応じた異なる表示が行われる。ディスプレイ10,20における視線が同じであれば、例えば、上記のように3DoFの場合、視線の方向が同じであれば、ディスプレイ10,20では同じ表示が行われる。なお、本実施形態では、2つのディスプレイ10,20で仮想空間が共通する例を示すが、3つ以上のディスプレイ10,20で仮想空間が共通してもよい。
【0022】
ディスプレイ10,20では、表示に係る操作、例えば、表示情報に対するユーザの操作が行われる。例えば、図3の右側に示すように、ディスプレイ10,20は、仮想空間で表示情報200を移動させるユーザの操作を受け付けて、表示情報200を移動させる。仮想空間における表示情報200の配置は、上記のように共通しているので、何れかのディスプレイ10,20で表示情報200が移動されると、図3の左側に示すように、他のディスプレイ10,20の表示でも表示情報200が移動する。ディスプレイ10,20では、上記以外の操作が行われてもよい。例えば、表示情報の拡大及び縮小、表示情報に対する文字入力及び球100の回転等の操作が行われてもよい。
【0023】
操作は、例えば、ディスプレイ10,20を装着したユーザによって携帯される、スマートフォン等の情報処理装置が用いられて行われてもよい。その場合、予めディスプレイ10,20とスマートフォンとが情報の送受信が可能であるように接続されている。ユーザがスマートフォンに対して操作を行うと、操作がディスプレイ10,20における表示に反映される。また、ユーザが手に持っているスマートフォンから、スマートフォンを向けている位置にレーザポインタが出ているような表示が行われてもよい。ディスプレイ10,20における上記の表示及び操作は、従来の方法と同様に行われればよい。
【0024】
ディスプレイ10,20としては、従来の上記の機能を有するディスプレイを用いることができる。また、ディスプレイ10,20は、通信機能を有している。ディスプレイ10,20の通信機能は、上記の仮想空間及び表示情報の共有、並びに本実施形態に係る機能の実現に用いられる。また、ディスプレイ10,20の上述した機能及び後述する本実施形態に係る機能の一部は、表示装置(例えば、上述したシースルーグラス)に接続される情報処理装置(例えば、スマートフォン)が有していてもよい。即ち、表示装置と情報処理装置とを含んで本実施形態に係るディスプレイ10,20が実現されてもよい。
【0025】
上記のようにディスプレイ10,20が、全天球ディスプレイであるとすると、ディスプレイ10,20が、表示情報として上記のように画像、動画及びブラウザ等を表示することで、ディスプレイ10,20を装着したユーザ専用の作業空間を構築することができる。また、上記のように複数のディスプレイ10,20の間で仮想空間及び表示情報が共有されることで、この全天球ディスプレイに複数人で入るようなイメージで、例えば、遠隔の他のユーザと同時に表示情報を共有することができる。また、ディスプレイ10,20が、シースルーグラスであるとすると現実空間での他の作業をしながら表示情報を利用すること、いわゆる、ながらの利用が可能である。
【0026】
引き続いて、本実施形態に係るディスプレイ10の機能を説明する。図1に示すように、ディスプレイ10は、表示部11と、検出部12と、視界情報取得部13と、制御部14とを備えて構成される。また、ディスプレイ10と仮想空間及び表示情報が共有する他のディスプレイ20は、ディスプレイ10の本実施形態に係る機能に応じた機能を有している。他のディスプレイ20の機能についても、以下のディスプレイ10の本実施形態に係る機能の説明とあわせて説明する。また、ディスプレイ10は、上記以外にも従来のシースルーグラス等の従来の表示装置が備える機能を備えていてもよい。また、ディスプレイ10は、他のディスプレイ20の本実施形態に係る機能を有していてもよい。他のディスプレイ20も、ディスプレイ10の本実施形態に係る機能を有していてもよい。
【0027】
表示部11は、ディスプレイ10での表示を行う機能部である。表示部11は、ディスプレイ10に表示する表示情報を入力して表示する。例えば、表示部11は、ディスプレイ10に記憶される表示情報を入力してもよいし、外部から表示情報を受信して入力してもよい。上述したように表示部11は、仮想空間に配置された表示情報を仮想空間上の視線に応じて表示する。また、上述したように表示部11は、他のディスプレイ20との間で仮想空間及び表示情報を共有する。仮想空間及び表示情報の共有は、例えば、他のディスプレイ20との間で表示情報及び当該表示情報が配置される仮想空間の位置を示す情報を送受信することで行われる。また、仮想空間及び表示情報の共有は、ディスプレイ10,20間の直接のやり取りではなく、ディスプレイ10,20それぞれが通信可能なサーバを介して行われてもよい。また、上記以外の方法でディスプレイ10,20間の仮想空間及び表示情報の共有が行われてもよい。なお、ディスプレイ10,20間で送受信される上記以外の情報についても、直接ディスプレイ10,20間で送受信されてもよいし、サーバ等を介して送受信されてもよい。
【0028】
表示部11は、表示に係る操作を受け付けて当該操作を実行する。表示に係る操作は、例えば、仮想空間において表示情報を移動させる操作である。また、表示に係る操作は、それ以外の操作であってもよい。表示に係る操作は、ディスプレイ10のユーザから行われる。ディスプレイ10のユーザが操作する場合には、表示に係る操作の受け付けは、例えば、ディスプレイ10に対するユーザの入力操作を受け付けることで行われる。
【0029】
ディスプレイ10,20間で仮想空間及び表示情報が共有されているため、ディスプレイ10において入力された表示に係る操作は、他のディスプレイ20でも操作結果が反映される。そのため、表示部11は、受け付けられた操作を示す情報を他のディスプレイ20に送信する。他のディスプレイ20は、送信された操作を示す情報を受信して、ディスプレイ10との間で仮想空間及び表示情報の共有が行われるように当該操作を実行する。また、表示部11は、他のディスプレイ20で行われた表示に係る操作を示す情報を、他のディスプレイ20から受信して、他のディスプレイ20との間で仮想空間及び表示情報の共有が行われるように当該操作を実行する。
【0030】
表示部11による上記の機能は、従来の機能と同様のものでよい。また、後述するように表示部11による表示に係る操作は、制御部14からの制御を受ける。
【0031】
検出部12は、他のディスプレイ20を装着するユーザの状態を検出する機能部である。検出部12は、他のディスプレイ20を装着するユーザの状態として、当該ユーザの現実空間の視線を検出してもよい。検出部12は、他のディスプレイ20を装着するユーザの状態として、当該ユーザの現実空間の視線の焦点距離を検出してもよい。検出部12は、他のディスプレイ20を装着するユーザの状態として、当該ユーザの現実空間の視線の方向を検出してもよい。検出部12は、他のディスプレイ20を装着するユーザの状態として、当該ユーザの移動状態を検出してもよい。
【0032】
例えば、検出部12は、他のディスプレイ20から検出に係る情報を受信して上記の検出を行う。この場合、他のディスプレイ20に他のディスプレイ20を装着するユーザの状態を検出するためのセンサを設けておき、センサを用いてユーザの状態を検出する。ユーザの現実空間の視線を検出する場合には、他のディスプレイ20に、ユーザの眼球を撮像できるカメラを設けておく。他のディスプレイ20は、カメラの撮像によって得られたユーザの眼球の画像をディスプレイ10に送信する。
【0033】
検出部12は、他のディスプレイ20から画像を受信する。検出部12は、他のディスプレイ20から受信されたユーザの眼球の画像から、ユーザの現実空間の視線、より具体的には、視線の焦点距離及び方向を検出する。例えば、検出部12は、ユーザの眼球の動画像からユーザの眼球の動きを検出して、当該動きに基づいて視線の焦点距離及び方向を検出する。検出部12は、焦点距離として、例えば、眼球から焦点までの距離を検出する。検出部12は、視線の方向として、例えば、他のディスプレイ20の表示画面における現実空間の視線の位置(視線と表示画面との交点の位置であり、例えば、表示画面における座標)を検出する。画像からの現実空間の視線の検出は、従来の方法と同様に行われればよい。あるいは、他のディスプレイ20が、上記の画像からユーザの現実空間の視線の検出の処理を行って、検出結果の情報をディスプレイ10に送信してもよい。検出部12は、他のディスプレイ20から検出結果の情報を受信してユーザの現実空間の視線を検出する。
【0034】
検出部12は、ユーザの移動状態としては、ユーザが歩行しているか否かを検出してもよい。この場合には、他のディスプレイ20に、例えば、加速度センサを設けておく。他のディスプレイ20は、加速度センサによって得られた情報をディスプレイ10に送信する。検出部12は、他のディスプレイ20から当該情報を受信する。検出部12は、他のディスプレイ20から受信された加速度センサによって得られた情報から、ユーザが歩行しているか否かを検出する。加速度からのユーザが歩行しているか否かの検出は、従来の方法と同様に行われればよい。あるいは、他のディスプレイ20にGPS(グローバル・ポジショニング・システム)等による自装置の測位機能を設けておき、検出部12は、測位機能によって得られた他のディスプレイ20の位置を示す情報に基づいて、ユーザが移動中(例えば、歩行中)か静止中かの検出を行ってもよい。この検出も、従来の方法と同様に行われればよい。
【0035】
検出部12は、継続的に、例えば、一定時間毎にユーザの状態を検出する。検出部12は、検出したユーザの状態を示す情報を検出の度に制御部14に出力する。なお、検出部12は、上述したユーザの状態の少なくとも何れかについて検出を行えばよい。また、検出部12は、上述した方法以外でユーザの状態を検出してもよい。あるいは、検出部12は、後述する制御部14による制御に有用であれば、上述した状態以外のユーザの状態を検出してもよい。
【0036】
視界情報取得部13は、他のディスプレイ20における仮想空間の視線に応じた仮想空間の視界情報を取得する機能部である。例えば、視界情報取得部13は、他のディスプレイ20から仮想空間の視界情報を受信して取得する。例えば、他のディスプレイ20は、仮想空間の視界情報として、他のディスプレイ20の表示画面に表示される範囲を示す情報をディスプレイ10に送信する。表示画面に表示される範囲は、図2に示す仮想空間の視線の基準位置から仮想空間の視線の方向に見える球100の領域300である。
【0037】
あるいは、他のディスプレイ20は、仮想空間の視界情報として、他のディスプレイ20の表示画面に表示される範囲を算出できる情報、例えば、仮想空間の視線の基準位置及び仮想空間の視線の方向を示す情報をディスプレイ10に送信する。なお、上記のように3DoFで視線を移動させる場合には、視線の基準位置は仮想空間において固定された位置であるため、仮想空間の視界情報に含められる必要はない。
【0038】
視界情報取得部13は、検出部12による検出と同様に継続的に、例えば、一定時間毎に仮想空間の視界情報を取得する。視界情報取得部13は、取得した仮想空間の視界情報を取得の度に制御部14に出力する。
【0039】
制御部14は、検出部12によって検出されたユーザの状態、及び視界情報取得部13によって取得された仮想空間の視界情報に応じて、ディスプレイ10の表示に係る操作に対する制御を行う機能部である。制御部14は、検出部12によって検出された焦点距離に応じて、制御を行うか否かを判断してもよい。制御部14は、検出部12によって検出された現実空間の視線の方向に応じて、制御に係る領域を設定してもよい。
【0040】
制御部14は、視界情報取得部13によって取得された仮想空間の視界情報に応じて制御に係る領域を設定し、設定した領域に関連するディスプレイ10の表示に係る操作に対する制御を行ってもよい。制御部14は、設定した領域において表示情報の表示を変更する操作を禁止する制御を行ってもよい。
【0041】
制御部14による制御は、例えば、ディスプレイ10における操作が他のディスプレイ20を装着しているユーザの邪魔にならないようにするためのものである。他のディスプレイ20は透過型であるため、他のディスプレイ20を装着したユーザは、ディスプレイ20を見る以外の行動をすることもできる。例えば、ディスプレイ20の表示を行ったまま、ユーザは、バスの時刻表を見たり、歩行したりすることができる。
【0042】
例えば、他のディスプレイ20を装着したユーザが、図4の左側に示すように、矢印で示す方向に歩いているとする。この際、他のディスプレイ20には、他のディスプレイ20での仮想空間の視線に応じた領域300の表示が行われる。その際に、ディスプレイ10での操作によって表示情報200が、仮想空間において領域300と同じ位置の領域に移動するとする。仮想空間及び表示情報の共有によって、他のディスプレイ20でも、領域300に表示情報200が移動する。この移動によって、他のディスプレイ20では、今まで表示されていなかった表示情報200が表示されることとなる。
【0043】
新たに表示された表示情報200は、他のディスプレイ20のユーザの視界を遮る、当該ユーザの歩行の邪魔となるものである。また、他のディスプレイ20のユーザは、周りが見えなくなり危険である。他のディスプレイ20のユーザが横断歩道を歩行している際には特に危険である。あるいは、他のディスプレイ20のユーザが、他のディスプレイ20の表示を見ずに、歩行以外の現実空間を見る行動をしている場合にも、新たに表示された表示情報200は当該ユーザの行動の支障になり得る。このように他のディスプレイ20のユーザが、他のディスプレイ20を見る以外の現実世界での作業等の行動を行っている場合には、ディスプレイ10のユーザの操作が、他のディスプレイ20のユーザの行動の邪魔になることがある。この場合の他のディスプレイ20のユーザは、視界を塞がれたくない状態である。制御部14による制御は、ディスプレイ10のユーザの操作が、他のディスプレイ20のユーザの行動の邪魔になることを防止するためのものである。但し、制御部14による制御は、必ずしも上記の目的で行われなくてもよく、上記以外の目的で行われてもよい。例えば、制御部14は、以下のように制御を行う。
【0044】
制御部14は、検出部12から、他のディスプレイ20のユーザの状態を示す情報を入力する。制御部14は、視界情報取得部13から、仮想空間の視界情報を入力する。制御部14は、予め記憶した判断基準に基づいて、検出部12から入力した情報から、ディスプレイ10の表示に係る操作に対する制御、即ち、ディスプレイ10のユーザによる操作に対する制御を行うか否かを判断する。例えば、検出部12から入力した情報が現実空間の焦点距離を示すものであった場合、制御部14は、焦点距離が予め設定された範囲に含まれるか否かによって上記の判断を行う。上記の範囲は、例えば、他のディスプレイ20を装着したユーザの焦点が他のディスプレイ20の表示画面に合っている、即ち、当該ユーザが他のディスプレイ20の表示画面を見ていると判断できる範囲である。
【0045】
焦点距離が上記の範囲に含まれない場合、当該ユーザは他のディスプレイ20の表示画面を見ておらず、例えば、現実世界のものを見ている(注視している)として、制御部14は、ディスプレイ10の表示に係る操作に対する制御を行うと判断する。焦点距離が上記の範囲に含まれる場合、当該ユーザは他のディスプレイ20の表示画面を見ているとして、制御部14は、ディスプレイ10の表示に係る操作に対する制御を行わないと判断する。当該ユーザが他のディスプレイ20の表示画面を見ていれば、ディスプレイ10における操作は当該ユーザの邪魔にならないと考えられるためである。
【0046】
あるいは、検出部12から入力した情報が、ユーザが歩行していることを示すものであった場合、制御部14は、ディスプレイ10の表示に係る操作に対する制御を行うと判断し、検出部12から入力した情報が、ユーザが歩行していないことを示すものであった場合、制御部14は、ディスプレイ10の表示に係る操作に対する制御を行わないと判断する。制御部14は、複数の判断基準に基づいてディスプレイ10の表示に係る操作に対する制御を行うか否かを判断する場合には、何れかの判断基準で制御を行うと判断したら、(他の判断基準で制御を行わないと判断しても)最終的に制御を行うと判断する。
【0047】
制御部14は、ディスプレイ10の表示に係るユーザからの操作に対する制御を行うと(最終的に)判断した場合、視界情報取得部13から入力した仮想空間の視界情報に応じて制御に係る領域400を設定する。制御部14は、表示部11に対して、設定した領域400を通知する共に領域400に応じた制御を行う。制御は、例えば、設定した領域400に関連するディスプレイ10の表示に係る操作を禁止するものである。具体的には、図4の右側に示すように、設定した領域400の外から、設定した領域400に表示情報200を移動する操作を禁止する制御である。制御対象となる操作は、上記に限られず、設定した領域400から、設定した領域400の外に表示情報200を移動する操作を含んでいてもよい。また、制御対象となる操作は、設定した領域400内において、表示情報を拡大、縮小又は移動する操作を含んでいてもよい。また、制御は、操作の一部を禁止するものであってもよい。例えば、表示情報を移動させる操作であった場合、制御は、表示情報を操作通りに完全に移動させずに少しだけ移動させる制御であってもよい。
【0048】
制御部14は、例えば、制御に係る領域400を以下のように設定する。制御部14は、視界情報取得部13によって取得された仮想空間の視界情報に応じて、他のディスプレイ20において表示される領域300を基準として制御に係る領域400を設定する。例えば、制御部14は、図5(a)に示すように、他のディスプレイ20において表示される仮想空間の視線に応じた領域300と同じ位置の仮想空間の領域410を制御に係る領域400と設定する。上記の領域300の位置は、仮想空間の視界情報によって示される。あるいは、制御部14は、図5(b)に示すように、他のディスプレイ20における領域300と同じ位置の仮想空間の領域410を含み、更に領域410を一方向に延ばした領域420を含むように領域400を設定する。領域420が設けられる方向は、例えば、現実空間における鉛直の下方向に対応する仮想空間の方向である。当該方向及び領域420の大きさは予め設定されている。このように領域400を設定することで、他のディスプレイ20のユーザが下方向を向いた際(例えば、足元を見た際)にも、当該ユーザの視界を確保することができる。
【0049】
あるいは、制御部14は、図5(c)に示すように、他のディスプレイ20における領域300と同じ位置の仮想空間の領域410を含み、更に領域410の周囲の領域430を含むように領域400を設定する。領域430は、例えば、矩形の領域410に対して、当該矩形の領域410を含むような当該矩形よりも更に大きい矩形とする。領域430の領域410に対する位置及び領域430の大きさは予め設定されている。このように領域400を設定することで、他のディスプレイ20のユーザの方向が少し動いた際にも、当該ユーザの視界を確保することができる。
【0050】
表示部11は、制御部14からの制御を受けて、制御に応じた処理を行う。表示部11は、制御部14からの制御中にディスプレイ10の表示に係る操作を受け付けると、当該操作が制御対象の操作であるか否かを識別する。例えば、表示部11は、受け付けた操作が、制御部14に設定された領域400に含まれる表示情報の移動等を行うものであるかを判断する。受け付けた操作が、制御部14に設定された領域400に含まれる表示情報の移動等を行うものであると判断される場合、表示部11は、当該操作が制御対象の操作であると識別する。当該操作が制御対象の操作であると識別した場合、表示部11は、当該操作を禁止する。当該操作が制御対象の操作でないと識別した場合、表示部11は、当該操作を禁止せずに実行する。
【0051】
制御部14は、制御を行う場合、ディスプレイ10のユーザが制御に係る領域400を認識できるように、ディスプレイ10に領域400を表示させてもよい。例えば、領域400の枠の部分又は領域全体に色を付けて、ディスプレイ10に表示させてもよい。
【0052】
また、制御は、必ずしも、操作を禁止する制御でなくてもよく、操作に係る表示を変更する制御でもよい。例えば、制御対象の操作に係る表示情報を、非表示又は半透明にしたり、枠のみを表示したりする制御を行ってもよい。あるいは、制御対象の操作に係る表示情報を、ディスプレイ10の予め設定された位置、例えば、視界の隅となる位置に表示させる制御を行ってもよい。また、上述した趣旨に沿うものであれば、上述したもの以外の制御が行われてもよい。制御部14は、ディスプレイ10の表示に係るユーザからの操作に対する制御を行わないと(最終的に)判断した場合、上記の制御を行わない。
【0053】
また、制御部14は、予め記憶した判断基準に基づいて、検出部12から入力した情報も用いて制御に係る領域400を設定してもよい。例えば、検出部12から入力した情報が現実空間の視線の方向を示すものであった場合、制御部14は、視線の方向からも制御に係る領域400を設定する。制御部14は、視線の方向である表示画面における視線の位置に対応する仮想空間の球100の位置を特定する。当該特定は、従来の方法によって行われればよい。制御部14は、特定した位置を基準とした球100に沿う領域を算出する。当該領域は、例えば、特定した位置を中心とした、予め設定した円又は矩形等の領域である。制御部14は、算出した領域と、上述したように仮想空間の視界情報に応じて設定された制御に係る領域400との重複部分を、最終的な制御に係る領域400を設定する。このように制御に係る領域400を設定することで、当該領域400を、他のディスプレイ20のユーザの現実空間の視線に即したものとすることができる。以上が、本実施形態に係るディスプレイ10の機能である。
【0054】
引き続いて、図6のフローチャートを用いて、本実施形態に係るディスプレイ10で実行される処理(ディスプレイ10が行う動作方法)を説明する。本処理は、ディスプレイ10において表示部11による表示が行われる際のものである。また、ユーザに装着される他のディスプレイ20では、ディスプレイ10と仮想空間及び表示情報が共有された上で表示が行われる。
【0055】
本処理では、検出部12によって、他のディスプレイ20を装着するユーザの状態が検出される(S01)。当該ユーザの状態の検出は、他のディスプレイ20から送信される情報に基づいて行われる。続いて、視界情報取得部13によって、他のディスプレイ20における仮想空間の視線に応じた仮想空間の視界情報が、他のディスプレイ20から受信されて取得される(S02)。続いて、制御部14によって、上記のユーザの状態及び仮想空間の視界情報に応じて、表示部11に対してディスプレイ10の表示に係る操作に対する制御が行われる(S03)。上記の処理(S01~S03)は、表示部11及び他のディスプレイ20による表示が行われている間、繰り返し行われる。以上が、本実施形態に係るディスプレイ10で実行される処理である。
【0056】
本実施形態では、他のディスプレイ20を装着するユーザの状態、及び仮想空間の視界情報に応じて、ディスプレイ10の表示に係る操作に対する制御が行われる。例えば、他のディスプレイ20を装着するユーザの状態に応じて、ディスプレイ10の表示による他のディスプレイ20の表示がユーザの邪魔にならないように表示を制御することができる。従って、本実施形態によれば、複数のディスプレイ10,20間で共通の仮想空間の情報を表示する場合に適切に表示を行うことができる。
【0057】
本実施形態のように、他のディスプレイ20を装着するユーザの状態として、当該ユーザの現実空間の視線を検出してもよい。より具体的には、当該ユーザの現実空間の視線の焦点距離を検出して、焦点距離に応じて制御を行うか否かを判断してもよい。この構成によれば、例えば、当該ユーザが他のディスプレイ20の表示画面を見ていない場合に制御を行うことができ、他のディスプレイ20の表示が、当該ユーザの邪魔になったり、当該ユーザに危険を生させたりすることを防止することができる。
【0058】
あるいは、当該ユーザの現実空間の視線の方向を検出して、視線の方向に応じて制御に係る領域400を設定してもよい。この構成によれば、例えば、ユーザの視線の方向に応じて必要な領域400に対してのみに制御を行うことができ、より適切にディスプレイ10における表示を行うことができる。
【0059】
また、本実施形態のように、他のディスプレイ20を装着するユーザの状態として、当該ユーザの移動状態、より具体的には、ユーザが歩行しているか否かを検出してもよい。この構成によれば、例えば、ユーザが歩行している場合に制御を行うことができ、他のディスプレイ20の表示によってユーザが歩行している際に危険が生じることを防止することができる。なお、他のディスプレイ20を装着するユーザの状態としては、上記のものに限られず、表示の制御を行うのに有用のものであれば、その他の状態を検出して用いてもよい。例えば、ユーザが、料理中であるか否か、看板を見ているか否か、又は会話中であるか否か等の状態を検出してもよい。
【0060】
また、本実施形態のように、仮想空間の視界情報に応じて制御に係る領域400を設定し、設定した領域400に関連するディスプレイ10の表示に係る操作に対する制御を行ってもよい。当該制御は、設定した領域400において表示情報の表示を変更する操作を禁止する制御であってもよい。この構成によれば、他のディスプレイ20のユーザの状態に応じて適切かつ確実にディスプレイ10における表示を行うことができる。但し、適切にディスプレイ10における表示を行う制御であれば、上記以外の制御が行われてもよい。
【0061】
検出部12は、他のディスプレイ20を装着するユーザの状態として、上記の情報に加えて、あるいは上記の情報にかえて、当該ユーザの心拍又は発汗に係る状態を検出してもよい。具体的には、検出部12は、当該ユーザの心拍数若しくは発汗量、又はそれらの両方を検出してもよい。この場合、当該ユーザに心拍数を検出するセンサ又は発汗量を検出するセンサを取り付けておき、ディスプレイ10は、他のディスプレイ20を介して、当該センサから当該ユーザの心拍数又は発汗量を示す情報を取得する。これらのセンサとしては、従来のものを用いることができる。
【0062】
この場合も、制御部14は、上記と同様に予め記憶した判断基準に基づいて、検出部12から入力した情報から、ディスプレイ10の表示に係る操作に対する制御を行うか否かを判断する。例えば、制御部14は、検出部12から入力した情報によって示されるセンサ又は発汗量が予め設定された閾値以上であった場合、あるいは、予め設定された閾値以下であった場合、制御を行うと判断する。上記のような構成によって、他のディスプレイ20を装着するユーザの心拍数又は発汗量の状況によって適切に表示を行うことができる。
【0063】
上述した実施形態では、表示制御装置は、表示機能を有するディスプレイ10とて説明したが、必ずしも表示機能を有するものでなくてもよい。表示制御装置は、他のディスプレイとの間で共通の仮想空間に共通して配置された表示情報を、仮想空間のディスプレイ毎の視線に応じて表示する(即ち、表示部11を備える)ディスプレイに接続されて、ディスプレイにおける表示を制御する装置(システム)であり、上述した検出部12と、視界情報取得部13と、制御部14とを備えるものであればよい。
【0064】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0065】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)又は送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0066】
例えば、本開示の一実施の形態におけるディスプレイ10は、本開示の情報処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図7は、本開示の一実施の形態に係るディスプレイ10のハードウェア構成の一例を示す図である。上述のディスプレイ10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。また、他のディスプレイ20のハードウェア構成も、ここで説明するものであってもよい。
【0067】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。ディスプレイ10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0068】
ディスプレイ10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0069】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述のディスプレイ10における各機能は、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0070】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、ディスプレイ10における各機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0071】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る情報処理を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0072】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。ディスプレイ10が備える記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0073】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0074】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0075】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0076】
また、ディスプレイ10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0077】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0078】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0079】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0080】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0081】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0082】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0083】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0084】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0085】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0086】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0087】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0088】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0089】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0090】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0091】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0092】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10…ディスプレイ、11…表示部、12…検出部、13…視界情報取得部、14…制御部、20…他のディスプレイ、1001…プロセッサ、1002…メモリ、1003…ストレージ、1004…通信装置、1005…入力装置、1006…出力装置、1007…バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7