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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】作業支援装置、及び非一時記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
B65G1/137 F
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023554261
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 JP2022026832
(87)【国際公開番号】W WO2023067857
(87)【国際公開日】2023-04-27
【審査請求日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2021171499
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594057842
【氏名又は名称】株式会社アイオイ・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】飯田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】池田 隼也
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特許第6678790(JP,B1)
【文献】特開2017-48052(JP,A)
【文献】国際公開第2019/106987(WO,A1)
【文献】特開2020-17253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する複数の収納箱と、
前記複数の収納箱に対応して設けられた複数の第1検出領域内に存在する第1物体の第1表面のうち、少なくとも一部の第1表面の位置を検出し、検出された前記少なくとも一部の第1表面までの距離を表す距離画像を生成する三次元センサと、
前記少なくとも一部の第1表面の位置に基づき、前記第1物体が前記複数の収納箱に収納された前記物品を取り出すか否か、または、前記物品を前記複数の収納箱に収納するか否かを判定する演算装置と、
を備え、
前記演算装置は、
前記距離画像において、前記少なくとも一部の第1表面を表す画素数が第1閾値より大きいとき、前記第1物体が前記物品を取り出す、または、前記物品を前記複数の収納箱に収納すると判定する
作業支援装置。
【請求項2】
前記演算装置は、前記距離画像のうち、入力された距離の範囲に含まれる物体を表した距離表示画像を出力する
請求項1に記載の作業支援装置。
【請求項3】
前記演算装置は、前記画素数をリアルタイムで出力する
請求項1または2に記載の作業支援装置。
【請求項4】
前記演算装置は、前記距離画像に表された面に直交する断面において、前記三次元センサが検出した位置を表す距離断面画像を出力する
請求項1から3のいずれか1項に記載の作業支援装置。
【請求項5】
前記演算装置は、前記距離断面画像に表される前記断面の位置を設定する断面位置選択部を表す画像を出力する
請求項4に記載の作業支援装置。
【請求項6】
前記第1閾値は、前記三次元センサから前記複数の第1検出領域のうちの対応する第1検出領域までの距離が大きいほど、小さい
請求項1から5のいずれか1項に記載の作業支援装置。
【請求項7】
前記演算装置は、前記距離画像において、前記少なくとも一部の第1表面を表す画素数が第2閾値より小さいとき、前記第1物体が前記物品を取り出す、または、前記物品を前記複数の収納箱に収納すると判定する
請求項1から6のいずれか1項に記載の作業支援装置。
【請求項8】
前記複数の第1検出領域のうちの1つの検出領域の形状は、少なくとも一部において、前記第1物体が前記物品を取り出すとき、または、前記第1物体が前記物品を収納するときに進む第1方向に従い、前記第1方向に直交する前記1つの検出領域の第1断面の面積が単調減少する
請求項1から7のいずれか1項に記載の作業支援装置。
【請求項9】
前記複数の収納箱を前方に引き出し可能に収納する物品棚を備え、
前記三次元センサは、前記複数の収納箱の前方に設けられ複数の第2検出領域内に存在する第2物体の第2表面のうち、少なくとも一部の第2表面の位置を検出し、
前記演算装置は、
前記複数の収納箱のうちの第1収納箱が前方に引き出されると、前記第1収納箱の上方に前記複数の第1検出領域のうちの1つの検出領域を設定する
請求項1から8のいずれか1項に記載の作業支援装置。
【請求項10】
前記三次元センサは、前記物品を取り出す、または、前記物品を収納する作業者を検出し、
前記演算装置は、
検出された前記作業者の情報に基づき、前記作業者を識別し、
前記複数の第1検出領域において検出される前記第1物体に対応する前記作業者を特定する
請求項1から9のいずれか1項に記載の作業支援装置。
【請求項11】
前記三次元センサは、前記複数の収納箱の間口に設けられた満杯検出領域に存在する物品の少なくとも一部の第1物品表面の位置を検出し、検出された前記少なくとも一部の第1物品表面までの距離を表す前記距離画像を生成し、
前記演算装置は、前記距離画像において、前記少なくとも一部の第1物品表面を表す画素数が満杯閾値より大きいとき、前記複数の収納箱のうち前記満杯検出領域に対応する収納箱が満杯であると判定する
請求項1から10のいずれか1項に記載の作業支援装置。
【請求項12】
前記三次元センサは、前記複数の収納箱の底に設けられた空検出領域に存在する物品の少なくとも一部の第2物品表面の位置を検出し、検出された前記少なくとも一部の第2物品表面までの距離を表す前記距離画像を生成し、
前記演算装置は、前記距離画像において、前記少なくとも一部の第2物品表面を表す画素数が空閾値より小さいとき、前記複数の収納箱のうち前記空検出領域に対応する収納箱が空であると判定する
請求項1から11のいずれか1項に記載の作業支援装置。
【請求項13】
三次元センサから、物品を収納する複数の収納箱に対応して設けられた複数の第1検出領域内に存在する第1物体の第1表面のうち、少なくとも一部の第1表面までの距離を表す距離画像において、前記少なくとも一部の第1表面を表す画素数を算出することと、
算出された前記画素数が第1閾値より大きいとき、前記第1物体が前記物品を取り出す、または、前記物品を前記複数の収納箱に収納すると判定することと、
を演算装置に実行させる制御プログラムを格納した非一時記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援装置、及び非一時記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業支援装置は、棚に並べられている様々な物品(例えば、部品や商品)のいずれを取るべきかを作業者に指示する装置であり、生産ラインや物流拠点において広く使用される。一例としては、作業支援装置は、生産ラインにおいて、部品庫(典型的には、部品棚)に蓄積されている様々な部品のうち、対象の製品に組み付けるべき部品及びその個数を作業者に指示するために用いられる。他の例としては、作業支援装置は、物流拠点において、商品庫(典型的には、商品棚)にストックされている様々な商品のうち、対象のシッパー(コンテナ)に収納すべき商品及びその個数を作業者に指示するために用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、検知光により、物品が収納された間口に作業者の手が入れられたか否かを判定する技術が開示されている。この検知光により手を検出する検出領域は、平面状の領域である。間口が設けられた棚に配置された収納箱に物品が収納されている場合、収納箱から離れた位置に検出領域が設定される。このため、作業者が対象の収納箱に隣接する収納箱から物品を取り出したとき、取り出す物品が間違っていることが検知されない場合がある。また、物品の一部が検出領域に入ってしまうと、作業者の手が検出されない場合がある。
【0004】
特許文献2~4には、カメラを用いて、物品が収納された間口に作業者の手が入れられたか否かを判定する技術が開示されている。カメラにより撮像される画像は、周囲の照度環境により、変化する。このため、周囲の照度環境により、誤検知を行う場合がある。
【0005】
特許文献5には、ユーザが在庫場所に入る前の手の画像と、ユーザが在庫場所から離れたときの手の画像とに基づき、ユーザが物品を在庫場所に配置したか、または、物品を在庫場所から取り出したかを判定する技術が開示されている。この場合、手を追跡する必要があるため、処理負荷が増大する。
【0006】
特許文献6には、ヘッドマウントディスプレイに設けられた距離画像センサにより、物品が収納された間口に作業者の手が入れられた否かを判定する技術が開示されている。この場合、各作業者はヘッドマウントディスプレイを装着する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5441393号公報
【文献】特許第6496082号公報
【文献】特許第6656328号公報
【文献】特許第6678790号公報
【文献】特表2016-532932号公報
【文献】特開2019-156647号公報
【発明の概要】
【0008】
このような状況に鑑み、本開示は、処理負荷が小さく、作業を効率的に行うための作業支援装置を提供することを目的とする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態に係る作業支援装置は、複数の収納箱と、三次元センサと、演算装置とを備える。複数の収納箱は、物品を収納する。三次元センサは、複数の収納箱に対応して設けられた複数の第1検出領域内に存在する第1物体の第1表面のうち、少なくとも一部の第1表面の位置を検出し、検出された少なくとも一部の第1表面までの距離を表す距離画像を生成する。演算装置は、少なくとも一部の第1表面の位置に基づき、第1物体が複数の収納箱に収納された物品を取り出すか否か、または、物品を複数の収納箱に収納するか否かを判定する。また、演算装置は、距離画像において、少なくとも一部の第1表面を表す画素数が第1閾値より大きいとき、第1物体が物品を取り出す、または、物品を複数の収納箱に収納すると判定する。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態に係る非一時記憶媒体に格納された制御プログラムは、三次元センサから、物品を収納する複数の収納箱に対応して設けられた複数の第1検出領域内に存在する第1物体の第1表面のうち、少なくとも一部の第1表面を表す画素数を算出することを演算装置に実行させる。また、制御プログラムは、算出された画素数が第1閾値より大きいとき、第1物体が物品を取り出す、または、物品を複数の収納箱に収納すると判定することを演算装置に実行させる。
【0011】
上記の実施の形態によれば、作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施の形態における作業支援装置の正面図である。
図2図2は、一実施の形態における作業支援装置の側面図である。
図3図3は、一実施の形態における作業支援装置の構成図である。
図4図4は、一実施の形態における作業支援装置による処理を表すフローチャートである。
図5図5は、一実施の形態において、三次元センサが物体を検出する方法を説明するための図である。
図6A図6Aは、一実施の形態において、検出領域を設定するときに表示される距離表示画像を表す。
図6B図6Bは、一実施の形態において、検出領域を設定するときに表示される距離表示画像を表す。
図7図7は、一実施の形態における満杯検出領域と空検出領域とを説明するための図である。
図8図8は、一実施の形態における作業支援装置の正面図である。
図9図9は、一実施の形態における作業支援装置の側面図である。
図10図10は、一実施の形態において、収納箱が引き出されたときの検出領域を表す図である。
図11A図11Aは、一実施の形態における作業支援装置による処理を表すフローチャートである。
図11B図11Bは、一実施の形態における作業支援装置による処理を表すフローチャートである。
図12図12は、一実施の形態において、検出領域を設定するときに表示される断面距離画像を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
図1に示すように、本実施の形態に係る作業支援装置1000は、床Fに設置された物品棚10と、プロジェクタ20と、三次元センサ30と、収納箱50とを備える。理解を容易にするため、直交座標を用いて説明する。X1方向は、床Fに平行で、かつ、物品棚10を前方から見たときの右方向とする。Y1方向は、床Fに平行で、かつ、物品棚10の後方向とする。Z1方向は、床Fに対して直行し、上方向とする。
【0014】
物品棚10は、Z1方向(上下方向)に並べられた複数の台板11を備える。相対的に-Z1方向(下方向)に設けられた複数の台板11(例えば、第1台板11-1と、第2台板11-2と、第3台板11-3)には、収納箱50が配置されている。床Fに対する台板11の角度は、例えば、図2に示すように、互いに異なってもよい。例えば、床Fと台板11との角度は、-Z1方向の台板11ほど、小さくてもよい。
【0015】
また、収納箱50が配置された台板11には、それぞれスクリーン13が設けられている。スクリーン13は、例えば、台板11の-Y1方向の端部に、台板11から+Z1方向に突出するように設けられている。スクリーン13は、+Z1方向に突出することで、収納箱50が落下することを抑制する。スクリーン13の-Y1方向の表面は、プロジェクタ20から画像が投影され、投影された画像を作業者Wが視認できるように構成されている。
【0016】
プロジェクタ20は、物品棚10の+Z1方向(上方向)に設けられ、収納箱50から物品(例えば、部品や商品)を取り出すときに、スクリーン13に作業者Wへの指示(例えば、ピッキングすべき物品の指定)を表示する。例えば、プロジェクタ20は、図1に示すように、収納箱50に対応する表示領域100に取り出す物品の数量を表示する。例えば、第1収納箱50-1に収納されている物品を取り出すとき、プロジェクタ20は、スクリーン13のうち、-Y1方向から見たときに第1収納箱50-1の-Z1方向にある第1表示領域100-1に取り出す物品の数量を表示する。プロジェクタ20は、例えば、最上段の第4台板11-4に設けられたアームに取り付けられている。
【0017】
三次元センサ30は、物品棚10の+Z1方向(上方向)に設けられ、収納箱50の物品を取り出すときの作業者Wの手を検出する。例えば、図2に示すように、三次元センサ30は、複数の収納箱50の各々に対応する検出領域110に存在する物体、例えば作業者Wの手を検出する。例えば、検出領域110は、収納箱50の間口に設けられている。このため、三次元センサ30は、収納箱50が隣接していても、作業者Wが物品を取り出した収納箱50を検出することができる。三次元センサ30は、例えば、最上段の第4台板11-4に設けられたアームに取り付けられている。
【0018】
また、三次元センサ30は、検出領域110に存在する物体、例えば作業者Wの手を、収納箱50に収納された物品1と区別可能に検出する。このため、物品1が検出領域110に入っていても、三次元センサ30は、作業者Wの手を検出することができる。
【0019】
例えば、三次元センサ30は、光波により各方向における物体までの距離を測定し、測定した距離を表す画像を生成する距離画像センサである。三次元センサ30は、例えばTOF(Time of Flight)方式により距離画像を生成してもよい。距離画像は、三次元センサ30が出力する光波の光軸方向において、三次元センサ30から物体までの距離を表してもよい。例えば、三次元センサ30が出力する光波の光軸方向が鉛直方向であるとき、距離画像の表す距離は、三次元センサ30と物体との高度差を表す。
【0020】
検出領域110の形状は、物体、例えば作業者Wの手が進入する方向に応じて決定されてもよい。例えば、検出領域110は、少なくとも一部において、物体が進入する方向に直交する断面の面積が、物体が進む方向、例えば+Y1方向に行くに従い、減少するように形成されてもよい。例えば、検出領域110は、検出領域110において物体が進む方向、例えば+Y1方向の端部において、物体が進入する方向に直交する断面の面積が、物体が進む方向に行くに従い、減少するように形成される。また、検出領域110は、物体が進む方向、例えば+Y1方向の端から反対方向の端までの間において、物体が進入する方向に直交する断面の面積が、物体が進む方向に行くに従い、減少するように形成されてもよい。
【0021】
例えば、検出領域110のZ1方向における長さは、第2検出領域110-2、第3検出領域110-3に示すように、-Y1方向に行くに従い単調増加、例えば広義の単調増加、または、狭義の単調増加してもよい。作業者Wの手が収納箱50の-Y1方向から検出領域110に進入するため、三次元センサ30は、より確実に作業者Wの手を検出するとともに、検出領域110を小さくすることができる。
【0022】
また、収納箱50から物品1を取り出す面、例えば上面に直交する方向において、検出領域110の長さは、第2検出領域110-2、第3検出領域110-3に示すように、-Y1方向に行くに従い単調増加、例えば広義の単調増加、または、狭義の単調増加してもよい。三次元センサ30は、より確実に作業者Wの手を検出することができる。
【0023】
また、検出領域110の物体が進入する方向に直交する断面の面積が、物体が進入する方向の位置によらず一定でもよい。例えば、検出領域110のZ1方向における長さは、第1検出領域110-1に示すように、Y1方向の位置によらず固定値でもよい。
【0024】
検出領域110の+Z1方向の端面は、距離画像で表される端面上の各点までの距離が等しくなるように設定されてもよい。例えば、三次元センサ30が出力する光波の光軸方向が鉛直方向であるとき、端面は水平面を表してもよい。
【0025】
検出領域110は、収納箱50が配置されている台板11に応じて、異なる形状に構成されてもよい。台板11の高さに応じて、作業者Wの手が検出領域110に進入する方向が異なるため、検出領域110は作業者Wの手が進入する方向に応じて決定されてもよい。また、検出領域110は、収納箱50が配置されている台板11によらず、同じ形状に構成されてもよい。
【0026】
作業支援装置1000は、図3に示すように、出力装置60と、制御装置70とをさらに備える。出力装置60は、作業ミス、例えば作業者Wが取り出した物品1が取り出すべき物品1と異なっていることを報知する。例えば、出力装置60は、スピーカーを含み、音声により作業者Wに作業ミスを報知する。出力装置60は、プロジェクタ20に組み込まれても、省略されてもよい。
【0027】
制御装置70は、プロジェクタ20と、三次元センサ30と、出力装置60とを制御する。制御装置70は、例えば、制御端末200と、管理端末300とを備える。管理端末300は、作業者Wが取り出すべき物品1を決定し、決定した物品情報を制御端末200に出力する。制御端末200は、管理端末300から受信した物品情報に基づき、作業者Wに取り出すべき物品1を指示するための指示情報をプロジェクタ20に出力する。また、制御端末200は、三次元センサ30から取得する検出情報に基づき、作業者Wが指示された物品1を取り出しているか否かを判定する。
【0028】
制御端末200は、通信装置220と、演算装置230と、記憶装置240とを備える。制御端末200は、例えばコンピュータである。制御端末200は、例えば入出力装置、例えばキーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどをさらに備えてもよい。
【0029】
通信装置220は、プロジェクタ20と、三次元センサ30と、出力装置60と、管理端末300とに電気的に接続され、各々の装置との通信を行う。例えば、通信装置220は、管理端末300から取得する指示情報を演算装置230に転送する。また、演算装置230が生成した信号を各装置に転送する。通信装置220は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0030】
記憶装置240は、作業者Wが指示された物品1を取り出しているか否かを判定するための様々なデータ、例えば制御プログラム250を格納する。記憶装置240は、制御プログラム250を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。制御プログラム250は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体5に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0031】
演算装置230は、制御プログラム250を実行して、作業者Wが指示された物品1を取り出しているか否かを判定するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置230は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。また、演算装置230は、制御プログラム250を実行して、プロジェクタ20にスクリーン13に投影すべき画像を表す画像情報を生成する。
【0032】
管理端末300は、入出力装置310と、通信装置320と、演算装置330と、記憶装置340とを備える。管理端末300は、例えば、コンピュータである。入出力装置310には、演算装置330が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置310は、演算装置330が処理を実行した結果を出力する。入出力装置310は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0033】
通信装置320は、制御端末200に電気的に接続され、制御端末200との通信を行う。例えば、通信装置320は、演算装置330が生成した信号を制御端末200の通信装置220に転送する。また、通信装置320は、制御端末200の通信装置220から取得する信号を演算装置330に転送する。通信装置320は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0034】
記憶装置340は、作業者Wが取り出すべき物品1を決定するための様々なデータ、例えば管理プログラム350を格納する。記憶装置340は、管理プログラム350を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。管理プログラム350は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体6に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。記憶媒体6は、記憶媒体5と同一でもよい。
【0035】
演算装置330は、管理プログラム350を実行して、作業者Wが取り出すべき物品1を決定するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置330は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0036】
(作業支援装置の動作)
作業支援装置1000、例えば制御端末200と、管理端末300とが起動されると、ピッキング作業を支援する処理を開始する。図3に示す管理端末300の演算装置330は、起動されると、管理プログラム350を実行して、図4に示す処理を開始する。ステップS110において、演算装置330は、作業者Wが取り出すべき物品1と、その数量とを決定し、決定した物品1と数量とを表す指示情報を制御端末200の通信装置220に出力する。作業者Wが取り出すべき物品1と、その数量とを表す情報は、記憶装置340に記憶されている。演算装置330は、記憶装置340に記憶された物品1と数量とを表す情報を読み出し、読み出した情報を指示情報として制御端末200の通信装置220に出力する。
【0037】
ステップS120において、制御端末200の演算装置230は、管理端末300から取得する指示情報に基づき、作業者Wに取り出すべき物品1を指示する。例えば、演算装置230は、指示情報に表される物品1に対応する収納箱50を決定する。演算装置230は、図1に示すように、決定された収納箱50に対応する表示領域100に、指示情報に表された数量を表示するような画像を生成する。生成された画像を表す指示情報は、プロジェクタ20に出力される。なお、物品1を表す情報と、収納箱50を表す情報と、表示領域100を表す情報とは、記憶装置240に互いに関連付けて記憶されている。
【0038】
プロジェクタ20は、指示情報に基づき、スクリーン13のうち、取り出すべき物品1が収納された収納箱50に対応する表示領域100に、取り出すべき物品1の数量を表す画像を投影する。表示領域100には、取り出すべき物品1を表す画像も投影されてもよい。
【0039】
図4に示すステップS130において、演算装置230は、物品1を取り出す物体を検出する。作業者Wは、画像が投影された表示領域100に対応する収納箱50から物品1を取り出す。作業者Wの手が図2に示す検出領域110に進入すると、三次元センサ30は、作業者Wの手を検出する。例えば、三次元センサ30は、図5に示すように、光波、例えば赤外線を複数の検出領域110に照射する。例えば、三次元センサ30は、制御端末200が起動されると、光波を複数の検出領域110に照射する。三次元センサ30により照射された光波は、検出領域110内の物体500、例えば作業者Wの手に反射される。三次元センサ30は、反射された光波を反射波として受信し、検出領域110に存在する物体500を検出する。
【0040】
具体的には、三次元センサ30は、物体500の少なくとも一部の表面501に反射された反射波を受信する。三次元センサ30は、光波を照射してから反射波を受信するまでの時間に基づき、光波が照射された表面501の各位置までの距離を測定する。また、三次元センサ30は、反射波を受信する方向、例えばZ1方向との角度に基づき、表面501の各位置における相対方向を測定する。表面501の各位置における相対方向と、距離とに基づき、物体500の表面501の各位置は測定される。物体500の表面501の位置を表す検出情報は、制御端末200の演算装置230に出力される。検出情報は、三次元センサ30からの検出された物体500までの距離を、相対方向に応じてマッピングした距離画像を表す。距離画像に表される画素の位置が三次元センサ30からの相対方向を表し、画素に付加される値が対応する相対方向に存在する物体500までの距離を表す。距離画像は、例えば、照射される光波の光軸方向を三次元センサ30からカメラで撮像したときに、撮像された画像に含まれる各画素に表される値が三次元センサ30からその画素に表された物体までの距離を表す。
【0041】
制御端末200の演算装置230は、検出情報に基づき、検出領域110に物品1を取り出す物体500が存在するかを判定する。演算装置230は、距離画像において、検出された物体500を表す領域の画素数に基づき、物体500が物品1を取り出すかを判定する。例えば、演算装置230は、検出された物体500の少なくとも一部の表面501の画素数を算出する。演算装置230は、算出された表面501の画素数と第1閾値とを比較して、検出領域110に物品1を取り出す物体500が存在するか否かを判定する。算出された画素数が第1閾値より大きいとき、演算装置230は、検出領域110に物品1を取り出す物体500が存在すると判定する。ここで、表面501は、三次元センサ30により検出された各位置のうち、連続する位置の集合を表す。例えば、演算装置230は、距離画像において、隣接する画素が表す距離の差が第1閾値より小さいとき、隣接する画素は同じ表面501を形成すると判定する。
【0042】
第1閾値は、図2に示す収納箱50に収納された物品1と、物品1を取り出す物体500、例えば作業者Wの手とを区別可能に予め決定される。例えば、演算装置230が物体500の表面501の画素数を算出するとき、第1閾値は、収納箱50に収納された物品1のうち、検出領域110に含まれる部分の画素数より大きく、かつ、物体500の画素数より小さくなるように決定される。第1閾値は、対応する収納箱50に応じて異なってもよい。例えば、1つの検出領域110に決定される第1閾値が、他の少なくとも1つの検出領域110に決定される第1閾値と異なってもよい。第1閾値は、収納箱50に収納される物品1に応じて決定されてもよい。また、第1閾値は、三次元センサ30から検出領域110までの距離、例えば台板11ごとに異なってもよい。例えば、第1閾値は、三次元センサ30から検出領域110までの距離が大きいほど小さい。
【0043】
演算装置230は、算出された表面501の画素数が第1閾値から第2閾値までに含まれるとき、検出領域110に物品1を取り出す物体500が存在すると判定してもよい。ここで、第2閾値は、第1閾値より大きく、物体500が存在すると判定するときの上限値を表す。例えば、演算装置230は、算出された表面501の画素数が、第1閾値より大きく、かつ、第2閾値より小さいとき、検出領域110に物品1を取り出す物体500が存在すると判定する。
【0044】
第2閾値は、検出領域110に物品1を取り出す物体500と、その他の物体、例えば作業者の頭とを区別可能に予め決定される。例えば、第2閾値は、検出領域110において、物品1を取り出すときの物体500の画素数が最大となる値に決定される。また、第2閾値は、第1閾値と同様に、三次元センサ30から検出領域110までの距離ごとに異なってもよい。例えば、第2閾値は、三次元センサ30から検出領域110までの距離が大きいほど小さい。
【0045】
演算装置230は、検出領域110に物品1を取り出す物体500が存在しないとき、検出領域110に物品1を取り出す物体500が進入するまで待つ。検出領域110に物品1を取り出す物体500が存在するとき、演算装置230は、ステップS140の処理を実行する。
【0046】
ステップS140において、演算装置230は、物体500が取り出す物品1が正しいかを判定する。具体的には、演算装置230は、物体500が取り出す物品1が管理端末300から取得した指示情報に表された物品1と同じかを判定する。例えば、演算装置230は、物体500が存在する検出領域110に対応する収納箱50を検索する。演算装置230は、検索された収納箱50に対応する物品1を検索し、検索された物品1が、指示情報に表された物品1と同じか否かを判定する。検出領域110を表す情報と、収納箱50を表す情報と、物品1を表す情報とは、記憶装置240に互いに関連付けて予め記憶されている。
【0047】
演算装置230は、物体500が取り出す物品1が、管理端末300から取得した指示情報に表された物品1と同じとき、ステップS150を実行する。物体500が取り出す物品1が、管理端末300から取得した指示情報に表された物品1と異なるとき、ステップS160を実行する。
【0048】
物体500が取り出す物品1が正しいとき、ステップS150において、演算装置230は、作業者Wが正しい数量の正しい物品1を取り出したと判定すると、管理端末300の演算装置330に、次に取り出すべき物品1の情報を要求する。処理は、ステップS110に戻り、繰り返される。
【0049】
物体500が取り出す物品1が間違っているとき、ステップS160において、演算装置230は、作業者Wに取り出す物品1が間違っていることを表す作業ミスを報知する。例えば、演算装置230は、赤色を点滅する画像を表示するように、プロジェクタ20を制御する。また、演算装置230は、作業ミスを表す警告音を出力するように、出力装置60を制御してもよい。演算装置230は、検出領域110において物体500を検出しなくなると、ステップS130の処理を実行し、処理を繰り返す。
【0050】
このように、作業支援装置1000は、複数の収納箱50の間口に応じた検出領域110を設定することで、作業者Wが取り出す物品1をより高精度に判定することができる。また、収納箱50に収納された物品1が検出領域110に存在しても、作業支援装置1000は、物品1と、物品1を取り出す物体500とを区別して検出することができる。
【0051】
(検出領域の設定)
検出領域110は、三次元センサ30により得られた距離画像に基づき設定されてもよい。例えば、三次元センサ30により得られた距離画像を表す画像情報は、図3に示す制御端末200の演算装置230から管理端末300の演算装置330に転送される。管理端末300の演算装置330は、取得された画像情報に基づき、検出された物体500までの距離を表す距離表示画像を入出力装置310に表示する。距離表示画像は、距離画像のうち、ユーザが指定した範囲に含まれる物体を表す。ユーザは、表示された距離表示画像を確認して、入出力装置310に検出領域110を表す情報を入力する。管理端末300の演算装置330は、入力された検出領域110を表す情報を制御端末200の演算装置230に出力する。演算装置230は、入力された検出領域110を表す情報に基づき、検出領域110を設定する。
【0052】
また、検出領域110を設定するときに、演算装置330は、ユーザにより入力された距離範囲に応じた距離表示画像を表示する。例えば、距離範囲が図1に示す第1台板11-1に配置された収納箱50の+Z1方向(上方向)の端面から第1検出領域110-1の+Z1方向の端面までを表すとき、演算装置330は、図6Aに示す第1距離表示画像600を表示する。第1距離表示画像600は、入力された距離範囲に含まれる物体までの距離を画素の色、例えば色相、彩度、明度の差で表す。
【0053】
例えば、第1距離表示画像600は、4色で距離の違いを表すとき、入力された距離範囲の最小値以上、かつ、第1閾値未満の距離にある物体を検出した位置を第1色601で表す。また、第1距離表示画像600は、第1閾値以上、かつ、第2閾値未満の距離にある物体を検出した位置を第2色602で表す。第1距離表示画像600は、第2閾値以上、かつ、第3閾値未満の距離にある物体を検出した位置を第3色603で表す。第1距離表示画像600は、第3閾値以上、かつ、入力された距離範囲の最大値以下の距離にある物体を検出した位置を第4色604で表す。このように、演算装置330がユーザにより入力された距離範囲において検出した物体を表す第1距離表示画像600を表示することで、ユーザは入力された距離範囲に対応する検出領域110を容易に把握することができる。
【0054】
例えば、ユーザは、第1距離表示画像600に表された収納箱50の領域に応じて、図2に示す検出領域110のX1方向における範囲と、Y1方向における範囲とを指定する。図2に示すX1方向は、図6Aに示す第1距離表示画像600においてX2方向を表す。同様に、図2に示すY1方向は、図6Aに示す第1距離表示画像600においてY2方向を表す。このため、検出領域110のX1方向の範囲は、第1距離表示画像600において収納箱50が表されたX2方向の範囲に対応する。また、検出領域110のY1方向の範囲は、第1距離表示画像600において収納箱50が表されたY2方向の範囲に対応する。
【0055】
また、ユーザは、第1距離表示画像600に表された収納箱50の距離に応じて、図2に示す検出領域110の-Z1方向の端(下端)を指定する。検出領域110は、収納箱50の+Z1方向の端(上端)より+Z1方向に設定される。このため、検出領域110の-Z1方向の端は、第1距離表示画像600に表された収納箱50の距離より短い位置に設定される。検出領域110は、収納箱50の+Z1方向の端(上端)を含んでもよい。この場合、物体500を検出するための閾値は、検出された収納箱50の画素数を含むように設定される。
【0056】
さらに、ユーザは、第1距離表示画像600に表された物体500の表面501の距離に応じて、図2に示す検出領域110の+Z1方向の端(上端)を指定する。検出領域110は、収納箱50に収納された物品1を取り出す物体500を検出するように設定される。このため、ユーザは、収納箱50に収納された物品1を取り出すときに、第1距離表示画像600に表される表面501の距離に応じて、指定する。例えば、ユーザが物品1を取り出すときに、第1距離表示画像600にされる表面501の距離のうち、最も小さい位置が検出領域110の+Z1方向の端(上端)に設定される。
【0057】
また、第1距離表示画像600は、複数の検出領域110のうちの1つ、例えば第1検出領域110-1に入れられた物体500の表面501を表す画素数をリアルタイムで表示してもよい。ユーザは、表示される画素数を確認して、検出領域110に入れられた物体500の存在を判定するための閾値と、検出領域110とを設定する。これにより、ユーザは、容易に閾値と検出領域110とを設定することができる。
【0058】
次に、ユーザは、図2に示す第1台板11-1に配置された収納箱50に対応する検出領域110を設定すると、第2台板11-2に配置された収納箱50に対応する検出領域110を設定するために、演算装置330が表示する距離表示画像の距離範囲を変更する。例えば、ユーザは、図1に示す第2台板11-2に配置された収納箱50の+Z1方向(上方向)の端面から第2検出領域110-2の+Z1方向の端面までを距離範囲として入力する。演算装置330は、入力された距離範囲に応じて、図6Bに示す第2距離表示画像650を表示する。第2距離表示画像650において、収納箱50は、第1距離表示画像600に表示される収納箱50より+Y2方向に表される。ユーザは、第2距離表示画像650に基づき、第1検出領域110-1と同様に、第2検出領域110-2を指定する。同様に、ユーザは、図2に示す第3台板11-3に配置された収納箱50に対応する第3検出領域110-3を指定する。
【0059】
このように、演算装置330が距離画像に基づきユーザが入力した距離の範囲を表す第1距離表示画像600を表示することで、ユーザは、容易に検出領域110と、物体500を検出するための閾値とを設定することができる。
【0060】
(満杯検出)
三次元センサ30は、図7に示すように、収納箱50の間口に設けられた満杯検出領域120に存在する物品1を検出する。満杯検出領域120は、収納箱50内の+Z1方向の端部に設けられている。満杯検出領域120は、収納箱50の+Z1方向の端より+Z1方向に延びていてもよい。例えば、三次元センサ30は、満杯検出領域120に存在する物品1の少なくとも一部の表面の位置を検出し、検出された少なくとも一部の表面までの距離を表す距離画像を生成する。制御端末200の演算装置230は、距離画像において、物品1の少なくとも一部の表面を表す画素数が満杯閾値より大きいとき、対応する収納箱50が物品1で満たされていると判定する。演算装置230は、対応する収納箱50が物品1で満たされていると判定すると、作業者Wに収納箱50が満杯であることを報知する。例えば、演算装置230は、対応する収納箱50のスクリーン13に満杯であることを表す画像を投影する。満杯であることを表す画像は、文字で表されても、色で表されてもよい。
【0061】
(空検出)
三次元センサ30は、収納箱50内の-Z1方向の端部、例えば底に設けられた空検出領域130に存在する物品1を検出する。例えば、三次元センサ30は、空検出領域130に存在する物品1の少なくとも一部の表面の位置を検出し、検出された少なくとも一部の表面までの距離を表す距離画像を生成する。制御端末200の演算装置230は、距離画像において、物品の少なくとも一部の表面を表す画素数が空閾値より小さいとき、対応する収納箱50が空であると判定する。演算装置230は、対応する収納箱50が空であると判定すると、作業者Wに収納箱50が空であることを報知する。例えば、演算装置230は、対応する収納箱50のスクリーン13に空であることを表す画像を投影する。空であることを表す画像は、文字で表されても、色で表されてもよい。
【0062】
(実施の形態2)
物品棚10は、図8に示すように、複数の収納箱50を-Y1方向(前方)に引き出し可能に収納してもよい。また、物品棚10は、大きさの異なる複数種類の収納箱50、51、例えば、相対的に小さい収納箱50と、相対的に大きい収納箱51とを収納してもよい。この場合、作業支援装置1000は、物品棚10と、プロジェクタ20と、三次元センサ30と、収納箱50、51とを備える。
【0063】
相対的に小さい収納箱50は、相対的に大きい収納箱51の+Z1方向に、Y1方向に直交する平面に並べて収納されるように構成されている。例えば、収納箱50は、X1方向に沿って並べられるように、収納されている。また、収納箱50は、Z1方向に沿って並べられるように、収納されている。相対的に大きい収納箱51は、相対的に小さい収納箱50と床Fとの間に、Y1方向に直交する平面に並べて収納されるように構成されている。物品棚10のうち、収納箱51を収容する下部分は、図9に示すように、収納箱50を収納する上部分より-Y1方向に突出している。
【0064】
図8、9に示すように、収納箱50、51は、上面が空いた直方体の形状を有し、作業者Wが取り出す複数の物品1を内部に収納するように構成されている。収納箱50は、内部に仕切りを設け、複数種類の物品1を区別して収納してもよい。
【0065】
また、収納箱50、51は、-Y1方向の面(前面)に把持部を備える。把持部は、収納箱50、51を物品棚10から引き出すときに作業者Wにより把持されて、引き出される。
【0066】
プロジェクタ20は、物品棚10の+Z1方向(上方向)に設けられ、物品棚10の前面に画像を投影するように構成されている。プロジェクタ20は、各々の収納箱50のラベルに画像を投影することで、作業者Wへの指示を報知する。
【0067】
三次元センサ30は、物品棚10の+Z1方向(上方向)に設けられ、収納箱50を引き出すときの作業者Wの手を検出する。例えば、図9に示すように、三次元センサ30は、複数の収納箱50の各々に対応する第4検出領域110-4に存在する物体500、例えば作業者Wの手を検出する。第4検出領域110-4は、収納箱50の-Y1方向に設けられている。また、三次元センサ30は、複数の収納箱51の各々に対応する第5検出領域110-5に存在する物体500を検出する。第5検出領域110-5は、収納箱51の-Y1方向に設けられている。例えば、1つの三次元センサ30により、第4検出領域110-4における物体500と、第4検出領域110-4より-Y1方向に存在する第5検出領域110-5における物体500とが検出される。
【0068】
検出領域110の形状は、物体500が進入する方向に応じて、決定されてもよい。例えば、検出領域110は、少なくとも一部において、検出領域110内で物体500が進む方向に直交する断面の面積が、物体500が進む方向に行くに従い、単調減少するように形成されてもよい。例えば、相対的に-Z1方向(下方)にある収納箱51に対応する検出領域110は、Z1方向に直交する平面の断面積が-Z1方向に行くに従い単調減少するように形成されてもよい。例えば、収納箱51に対応する検出領域110は、Y1方向の長さが-Z1方向に行くに従い単調減少するように形成されてもよい。また、相対的に+Z1方向(上方向)にある収納箱50に対応する検出領域110は、Z1方向に直交する平面の断面積が+Z1方向に行くに従い単調減少するように形成されてもよい。例えば、収納箱50に対応する検出領域110は、Y1方向の長さが+Z1方向に行くに従い単調減少するように形成されてもよい。各検出領域110は、Z1方向における位置に応じて、異なる形状に形成されてもよい。
【0069】
また、三次元センサ30は、収納箱50が引き出されたとき、図10に示すように、検出領域110を収納箱50の+Z1方向に存在する第6検出領域110-6に設定する。第6検出領域110-6は、例えば、収納箱50に設けられた仕切りに応じて、分割されてもよい。これにより、収納箱50に複数の物品1が仕切りにより区別されて収納されていても、三次元センサ30は、作業者Wが取り出した物品1を検出することができる。設定された検出領域110の形状は、実施の形態1の検出領域110、例えば図2に示す第1検出領域110-1、第2検出領域110-2、または、第3検出領域110-3と同様に、形成されてもよい。
【0070】
作業支援装置1000は、実施の形態1と同様に、図3に示す制御装置70を備える。制御装置70の構成は、実施の形態1と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0071】
(作業支援装置の動作)
作業支援装置1000、例えば制御端末200と、管理端末300とが起動されると、ピッキング作業を支援する処理を開始する。管理端末300の演算装置330は、起動されると、管理プログラム350を実行して、図11A、11Bに示す処理を開始する。ステップS110の処理と、ステップS120の処理とは、実施の形態1と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0072】
ステップS121において、制御端末200の演算装置230は、収納箱50、51を引き出す物体500、例えば作業者Wの手を検出する。例えば、演算装置230は、検出領域110、例えば第4検出領域110-4、第5検出領域110-5などに物体500が存在するかを判定する。物体500が検出領域110に存在するか否かを判定する処理は、実施の形態1と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0073】
検出領域110に物体500が存在すると判定すると、ステップS122において、演算装置230は、検出された物体500が引き出す収納箱50、51が正しいか否かを判定する。例えば、演算装置230は、物体500が存在する検出領域110に対応する収納箱50、51を検索する。演算装置230は、管理端末300から取得された指示情報が表す物品1が、検索された収納箱50、51に収納された物品1に含まれるかを判定する。演算装置230は、指示情報が表す物品1が検索された収納箱50、51に含まれないとき、ステップS123の処理を実行する。指示情報が表す物品1が検索された収納箱50、51に含まれるとき、演算装置230は、ステップS124の処理を実行する。
【0074】
ステップS123において、演算装置230は、作業者Wに作業ミスを報知する。演算装置230が作業ミスを報知する処理は、図4に示すステップS160の処理と同様のため、詳細な説明は省略する。演算装置230は、検出領域110において物体500を検出しなくなると、ステップS121の処理を実行し、処理を繰り返す。
【0075】
物体500が引き出す収納箱50、51が正しいとき、ステップS124において、演算装置230は、引き出された収納箱50、51の+Z1方向に検出領域110を設定する。例えば、演算装置230は、図10に示すように、検出領域110を引き出された収納箱50の+Z1方向に設定する。
【0076】
図11Bに示すステップS130において、演算装置230は、設定された検出領域110、例えば、図10に示す第6検出領域110-6において、物品1を取り出す物体500を検出する。例えば、演算装置230は、検出領域110、例えば第6検出領域110-6に物体500が存在するかを判定する。物体500が検出領域110に存在するか否かを判定する処理は、実施の形態1と同様のため、詳細な説明を省略する。第6検出領域110-6が収納箱50、51に設けられた仕切りに応じて分割されているとき、第6検出領域110-6を分割する分割検出領域のいずれに物体500が存在するかを判定する。
【0077】
第6検出領域110-6に物体500が存在するとき、演算装置230は、ステップS140の処理を実行する。ステップS140の処理は、実施の形態1と同様のため、詳細な説明は省略する。また、第6検出領域110-6が収納箱50、51に設けられた仕切りに応じて分割されているとき、物体500が検出された分割検出領域に対応する物品1を取り出すと判定する。
【0078】
ステップS150の処理と、ステップS160の処理とは、実施の形態1と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0079】
このように、作業支援装置1000は、-Y1方向に引き出し可能に収納された収納箱50、51から作業者Wが取り出す物品1を検出することができる。また、収納箱50、51が仕切りにより区切られ、種類の異なる物品1を収納していても、作業支援装置1000は、作業者Wが取り出す物品1を検出することができる。
【0080】
なお、検出領域110、例えば第4検出領域110-4と、第5検出領域110-5と、第6検出領域110-6とは、実施の形態1の検出領域110と同様に、距離表示画像を用いて、設定される。
【0081】
(変形例)
以上において説明した処理は一例であり、各ステップの順番、処理内容は、機能を阻害しない範囲で変更してもよい。また、説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよい。例えば、スクリーン13は、表示領域100が収納箱50に対応するように構成されれば、任意の位置に設けられてもよい。例えば、スクリーン13は、収納箱50の上方に設けられてもよく、収納箱50の前面に設けられてもよい。
【0082】
三次元センサ30は、収納箱50に対応する検出領域110内の物体500を検出できれば、任意の位置に設けられてもよい。例えば、三次元センサ30は、物品棚10のY1方向に設けられてもよい。
【0083】
また、検出領域110は、収納箱50から物品1を取り出す物体500を検出できれば、任意の形状に形成されてもよい。例えば、検出領域110は、すべて同じ形状に形成されてもよい。
【0084】
三次元センサ30は、さらに、物品1を取り出す作業者Wを検出してもよい。例えば、三次元センサ30は、物品1を取り出すときに作業者Wが存在する領域を検索する。制御端末200の演算装置230は、三次元センサ30が検出した作業者Wの情報に基づき、作業者Wを識別する。演算装置230は、検出領域110で検出された物体500に対応する作業者Wを特定する。これにより、演算装置230は、1つの物品棚10に収納された物品1を複数の作業者Wが取り出しても、各作業者Wが取り出す物品1を検出することができる。
【0085】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。
【0086】
例えば、図8に示すように、物品棚10が収納箱50を-Y1方向に引き出し可能に収納しているとき、制御端末200の演算装置230は、収納箱50が引き出されることで、収納箱50に収納された物品1が取り出されると判定してもよい。この場合、図9に示すように、収納箱50、51の前方に設けられた検出領域110に物体500が検出されると、演算装置230は、収納箱50、51に収納された物品1が取り出されると判定する。
【0087】
制御端末200の演算装置230は、管理端末300の演算装置330の処理のすべて、または、一部を実行してもよい。また、管理端末300の演算装置330は、制御端末200の演算装置230の処理のすべて、または、一部を実行してもよい。また、制御プログラム250は、管理プログラム350を含んでもよい。
【0088】
また、作業支援装置1000は、作業者Wが収納箱50から物品1と取り出す作業の作業ミスを報知する例に説明したが、作業者Wが収納箱50に物品1を収納する作業の作業ミスを報知してもよい。
【0089】
管理端末300の演算装置330は、図6Aに示す第1距離表示画像600または図6Bに示す第2距離表示画像650とともに、三次元センサ30により検出された第1距離表示画像600または第2距離表示画像650の断面を表す断面距離画像700を表示してもよい。例えば、管理端末300は、図12に示すように、第2距離表示画像650と、断面距離画像700とを並べて表示する。断面距離画像700は、例えば、第2距離表示画像650に表された面、例えばX1-Y1平面に直交する断面、例えば図2に示すY1-Z1平面において、三次元センサ30が検知した位置を表す。表示される断面距離画像700の断面の位置は、例えば断面位置選択部660により選択される。断面位置選択部660は、例えばスライダーにより構成されている。スライダー上のつまみ665をX2方向に移動することで、断面距離画像700に表示される断面の位置が決定される。例えば、断面距離画像700は、つまみ665が表示されている位置に該当する断面667において、三次元センサ30が検知した位置を表す。ここで、図2に示すY1方向は、図12に示す断面距離画像700においてY3方向を表し、図2に示すZ1方向は、図12に示す断面距離画像700においてZ3方向を表す。
【0090】
図12に示す断面距離画像700において、図2において最も+Z1方向に置かれた収納箱50の内側表面が、最も+Z3方向の凹部710を表す。図2において、+Z1方向から2番目に置かれた収納箱50の内側表面が、+Z3方向の凹部710を表す。図2において、最も-Z1方向に置かれた収納箱50の内側表面が、最も-Z3方向の凹部710を表す。
【0091】
第2距離表示画像650と、断面距離画像700とには、検出領域110を表す検出範囲720が表示されてもよい。ユーザは、第2距離表示画像650における検出範囲720と、断面距離画像700における検出範囲720とに基づき、検出領域110を確認する。第2距離表示画像650または断面距離画像700に表された検出範囲720を変更することで、検出領域110が変更されてもよい。例えば、ユーザは、第2距離表示画像650または断面距離画像700に表された検出範囲720の頂点をドラッグして検出範囲720を変更することで、検出領域110を変更する。これにより、ユーザは、検出領域110を容易に確認するとともに、検出領域110の変更も容易に行うことができる。
【0092】
本出願は、2021年10月20日に出願された日本国特許出願2021-171499号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
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図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12