(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】換気装置および冷却具
(51)【国際特許分類】
E04H 15/14 20060101AFI20241107BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20241107BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
E04H15/14
F24F7/08 101Z
F24F7/007 D
(21)【出願番号】P 2024032623
(22)【出願日】2024-03-05
(62)【分割の表示】P 2023173994の分割
【原出願日】2023-10-06
【審査請求日】2024-03-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523380955
【氏名又は名称】日野 智晴
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(74)【代理人】
【識別番号】100220423
【氏名又は名称】榊間 城作
(72)【発明者】
【氏名】日野 智晴
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-178007(JP,A)
【文献】特開2011-242075(JP,A)
【文献】実開昭63-156373(JP,U)
【文献】特開昭62-019629(JP,A)
【文献】特開2018-035648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/10-15/16
F24F 7/00-7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テントを換気するための換気装置であって、
対向する第1面および第2面を有するケーシングと、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、ファンを設置するための場所を画定するファン設置部材と、
前記第2面に設けられた通気口と連結するよう設置され、前記テントの内部と前記テントの外部との間に通気路を形成
し、前記テントの内部と前記テントの外部との間を区切る天幕と地面との間に挟み込まれる通気部材と、を備え、
前記通気路は、空気は通過できるが蚊が通過できないフィルタを含
み、
前記通気部材は、前記天幕が位置合わせされるくびれ部が設けられ、
前記くびれ部において、前記通気部材の鉛直方向断面の下端における接線と、前記通気部材側の地面とのなす角が90度以下である、換気装置。
【請求項2】
前記くびれ部において、前記通気部材の鉛直方向断面の下端における接線と、前記通気部材側の地面とのなす角が90度以下であることにより、前記通気部材と前記天幕との間に隙間が生じない、請求項1に記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置および冷却具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、換気機能付きのテントが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、換気機能が付いたテントであって、既存の機能に換気機能を付加するこ
とはできない。
【0005】
本発明の課題は、既存のテント等に付加してテント等の換気を行えるようにする換気装
置を提供すること、また、そのような換気装置に適用可能な冷却具を提供することである
。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示として、以下の解決手段が提供される。
【0007】
[1]
テントを換気するための換気装置であって、
対向する第1面および第2面を有するケーシングと、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、ファンを設置するための場所を画定するフ
ァン設置部材と、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、前記ファンの電源を設置するための場所を
画定する電源設置部材と、
前記第2面に設けられた通気口と連通するよう設置され、前記テントの内部と前記テン
トの外部との間に通気路を形成する通気部材と、を備え、
前記ファン設置部材は、設置されるファンの回転中心を含む水平面が、前記通気口の上
端を含む水平面より高い位置となるように設けられ、
前記ファン設置部材には、
前記テント外の空気が前記通気部材を経て、前記電源設置部材に当たって前記テント
内に取り込まれるようファン設置することが可能であり、かつ、
前記テント内の空気が前記電源設置部材に当たって、前記通気部材を経て前記テント
外に排出されるようファンを設置することも可能であり、
前記第2面は、上部ほど前記通気部材とは離れる方向に傾斜しており、
前記通気部材は、前記テントと前記テントの外部とを区切る天幕が位置合わせされるく
びれ部が設けられ、
前記くびれ部において、前記通気部材の鉛直方向断面の下端における接線と、前記通気
部材側の地面とのなす角が90度以下であり、
前記通気路は、空気は通過できるが蚊が通過できないフィルタを含み、
前記通気部材は、冷却機構として、
ポリウレタン製あるいはポリエステル製のスポンジ素材である冷却具本体と、
綿、PVAまたはセルロースであり、少なくとも一部が前記冷却具本体に埋め込まれ
る吸水性部材と、
前記冷却具本体に水を供給する供給部材と、を有する、換気装置。
【0008】
[2]
換気対象空間を換気するための換気装置であって、
対向する第1面および第2面を有するケーシングと、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、ファンを設置するための場所を画定するフ
ァン設置部材と、
前記第2面に設けられた通気口と連通するように設置され、前記換気対象空間の内部と
前記換気対象空間の外部との間に通気路を形成する通気部材と、を備え、
前記ファン設置部材は、設置されるファンの回転中心を含む水平面が、前記通気口の上
端を含む水平面より高い位置となるように設けられる、換気装置。
【0009】
[3]
前記ファン設置部材は、設置されるファンの下端を含む水平面が、前記通気口の上端を
含む水平面より高い位置となるように設けられる、[2]に記載の換気装置。
【0010】
[4]
換気対象空間を換気するための換気装置であって、
対向する第1面および第2面を有するケーシングと、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、ファンを設置するための場所を画定するフ
ァン設置部材と、
前記第2面に設けられた通気口と連通するように設置され、前記換気対象空間の内部と
前記換気対象空間の外部との間に通気路を形成する通気部材と、を備え、
前記第2面は、上部ほど前記通気部材とは離れる方向に傾斜している、換気装置。
【0011】
[5]
換気対象空間を換気するための換気装置であって、
対向する第1面および第2面を有するケーシングと、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、ファンを設置するための場所を画定するフ
ァン設置部材と、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、前記ファンの電源を設置するための場所を
画定する電源設置部材と、
前記第2面に設けられた通気口と連通するように設置され、前記換気対象空間の内部と
前記換気対象空間の外部との間に通気路を形成する通気部材と、を備え、
前記換気対象空間外の空気は、前記通気部材を経て、前記電源設置部材に当たって前記
換気対象空間内に取り込まれる、および/または、前記換気対象空間内の空気は、前記電
源設置部材に当たって、前記通気部材を経て前記換気対象空間外へ排出されるよう構成さ
れる、換気装置。
【0012】
[6]
空気が前記電源設置部材に当たることにより、前記電源設置部材に設置された電源が冷
却される、[5]に記載の換気装置。
【0013】
[7]
換気対象空間を換気するための換気装置であって、
対向する第1面および第2面を有するケーシングと、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、ファンを設置するための場所を画定するフ
ァン設置部材と、
前記第2面に設けられた通気口と連通するように設置され、前記換気対象空間の内部と
前記換気対象空間の外部との間に通気路を形成する通気部材と、を備え、
前記ファン設置部材には、
前記換気対象空間外の空気が前記通気部材を経て前記換気対象空間内に取り込まれる
ようファン設置することが可能であり、かつ、
前記換気対象空間内の空気が前記通気部材を経て前記換気対象空間外に排出されるよ
うファンを設置することも可能である、換気装置。
【0014】
[8]
換気対象空間を換気するための換気装置であって、
対向する第1面および第2面を有するケーシングと、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、ファンを設置するための場所を画定するフ
ァン設置部材と、
前記第2面に設けられた通気口と連通するように設置され、前記換気対象空間の内部と
前記換気対象空間の外部との間に通気路を形成する通気部材と、を備え、
前記通気部材は、前記換気対象空間とその外部とを区切る天幕が位置合わせされるくび
れ部が設けられる、換気装置。
【0015】
[9]
換気対象空間を換気するための換気装置であって、
対向する第1面および第2面を有するケーシングと、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、ファンを設置するための場所を画定するフ
ァン設置部材と、
前記第2面に設けられた通気口と連通するように設置され、前記換気対象空間の内部と
前記換気対象空間の外部との間に通気路を形成する通気部材と、を備え、
前記通気部材の所定位置に、前記換気対象空間と外部とを区切る天幕が位置合わせされ
、
前記所定位置において、前記通気部材の鉛直方向断面の下端における接線と、前記通気
部材側の地面とのなす角が90度以下である、換気装置。
【0016】
[10]
換気対象空間を換気するための換気装置であって、
対向する第1面および第2面を有するケーシングと、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、ファンを設置するための場所を画定するフ
ァン設置部材と、
前記第2面に設けられた通気口と連通するように設置され、前記換気対象空間の内部と
前記換気対象空間の外部との間に通気路を形成する通気部材と、を備え、
前記通気路は、空気は通過できるが蚊が通過できないフィルタを含む、換気装置。
【0017】
[11]
換気対象空間を換気するための換気装置であって、
対向する第1面および第2面を有するケーシングと、
前記第1面と前記第2面との間に設けられ、ファンを設置するための場所を画定するフ
ァン設置部材と、
前記第2面に設けられた通気口と連通するように設置され、前記換気対象空間の内部と
前記換気対象空間の外部との間に通気路を形成する通気部材と、を備え、
前記ファン設置部材には、前記換気対象空間外の空気が前記通気部材を経て前記換気対
象空間内に取り込まれるようファン設置することが可能であり、
前記通気部材は、空気を冷却するための冷却機構を有する、換気装置。
【0018】
[12]
前記冷却機構は、冷却媒体を含有可能な冷却具を含む、[11]に記載の換気装置。
【0019】
[13]
前記冷却機構は、前記冷却具に前記冷却媒体を供給する供給部材を含む、[12]に記
載の換気装置。
【0020】
[14]
前記冷却具は、前記通気路を通る空気が前記冷却媒体に触れるよう、前記通気路に設け
られる、[12]または[13]に記載の換気装置。
【0021】
[15]
前記冷却媒体は、水を含み、
前記冷却具は、冷却具本体と、吸水性部材とを有する、[12]乃至[14]のいずれ
かに記載の換気装置。
【0022】
[16]
前記冷却具本体は、ポリウレタン製あるいはポリエステル製のスポンジ素材である、[
15]に記載の換気装置。
【0023】
[17]
前記吸水性部材は、綿、PVAまたはセルロースであり、
前記吸水性部材の少なくとも一部が、前記冷却具本体に埋め込まれる、[15]または
[16]に記載の換気装置。
【0024】
[18]
ポリウレタン製あるいはポリエステル製のスポンジ素材である冷却具本体と、
綿、PVAまたはセルロースである吸水性部材と、を備え、
前記吸水性部材の一部が、前記冷却具本体に埋め込まれる、冷却具。
【0025】
[19]
[12]乃至[17]のいずれかに記載の換気装置に用いられる、[18]に記載の冷
却具。
【発明の効果】
【0026】
既存のテント等に付加してテント等の換気を行える。また、そのような換気装置に適用
可能な冷却具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図5】換気装置100を排気装置として用いる場合の透視側面図。
【
図6】換気装置100を吸気装置として用いる場合の透視側面図。
【
図8】換気装置100を気化熱式冷風装置として用いる場合の透視側面図。
【
図9】換気装置100とテントとの位置関係の一例を模式的に示す上面図。
【
図10】換気装置100とテントとの位置関係の別の例を模式的に示す上面図。
【
図11】換気装置100とテントとの位置関係のまた別の例を模式的に示す上面図。
【
図12】換気装置100とテントとの位置関係のまた別の例を模式的に示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0029】
本実施形態は、換気対象空間を換気するためのものである。換気とは、換気対象空間の
排気でもよいし、換気対象空間への吸気でもよいが、排気および吸気の両方が可能である
のが望ましい。以下、換気対象空間として、主にテント(シェルターを含む)を例示する
。
【0030】
(第1実施形態)
図1Aおよび
図1Bは、それぞれ、換気装置100の側面図および正面図である。また
、
図1Cは、換気装置100の使用状態を示す側面図である。換気装置100は、本体1
と、蓋2と、通気部材3とを備えている。これらは一体であってもよいが、持ち運びやす
くするため、また、保管性を良くするため、別パーツとして分離可能であるのが望ましい
。
【0031】
図1Cに示すように、換気対象空間200は、例えばテントにおけるフライシートやス
カートといった天幕201によって、外部202と区切られている。そして、換気装置1
00の使用状態においては、天幕201と地面との間に通気部材3が挟み込まれる。それ
により、本体1、蓋2および通気部材3の一部が換気対象空間200の内側に配置され、
通気部材3の他の一部(先端側)は換気対象空間200の外側に配置される。
【0032】
本体1
図2A~
図2Cは、順に、本体1の透視側面図、透視正面図および透視背面図である。
本体1は、ケーシング11と、ファン設置部材12と、電源設置部材13とを有する。
【0033】
ケーシング11は、互いに対向する前面111および背面112と、これらを接続する
2つの側面113とを有する。ケーシング11は底面を有していてもよい。ケーシング1
1の上部は開口しており、蓋2を着脱可能となっている。ケーシング11の素材は、例え
ばプラスチックであり、特に、強度、硬度および耐衝撃性などの物性面が優れたポリエチ
レンが好適である。
【0034】
前面111は、使用時、換気対象空間200と外部202とを区切る天幕201によっ
て覆われる(
図1C参照)。前面111の下部には通気口111aが形成される。そして
、前面111から換気対象空間200に向かう側(背面112とは反対側)に突出するよ
う通気部材接続部114が設けられ、通気口111aに連通している。通気部材接続部1
14には嵌合突起114aが形成されており、通気部材3をケーシング11に着脱可能と
なっている。
【0035】
背面112の上部には通気口112aが形成される。そして、後述するファン4によっ
て形成される空気の流れ通気口112aを通るようになっている。背面112の通気口1
12aに対応する位置にフィルタ112bが設けられ、蚊などの虫が換気対象空間200
に入らないようにするのが望ましい。
【0036】
側面113はケーシング11を支持する脚115を取り付け可能な構造となっている。
脚115は、例えばペグによって地面に固定される。あるいは、脚115の下部を地面に
埋め込んで固定してもよい(ただし、前面111の通気口111aが地上に出ている必要
がある)。
【0037】
ここで、前面111および背面112は直立していてもよいが、図示のように傾斜して
いるのが望ましい。詳細には、少なくとも前面111は、鉛直面に対して、上部ほど通気
部材接続部114とは離れる方向に傾斜している。言い換えると、前面111と背面11
2と間の地面と、前面111とがなす角αは90度未満であり、例えば45~85度程度
である。この角度を調整可能であってもよい。多くの場合、フライシートやスカートとい
った天幕201は下方が外側に拡がったドーム型であるが、前面111が傾斜しているこ
とでドーム型の天幕201との干渉を抑えられるためである。
【0038】
ケーシング11の任意の位置に照明を付加し、換気対象空間200の間接照明としても
よい。
【0039】
ファン設置部材12は前面111と背面112との間に設けられ、ファン4を設置する
ための場所を画定する。詳細には、背面112に形成された通気口112aと対向する位
置にファン4が固定されるよう、ファン設置部材12が設けられる。具体例として、ファ
ン設置部材12は2つの側面113に取り付けられた1組の凸状レール121を有する。
ケーシング11の上部の開口を介して凸状レール121にファン4を挿入することで、凸
状レール121の下部と背面112によってファン4が支持され、固定される。
【0040】
ファン4が生じさせる空気の流れには、ファン4の回転方向に応じた方向性がある。そ
のため、ある向きにファン4をファン設置部材12に設置すると、換気対象空間200か
ら吸気することができる(すなわち、換気装置100を吸気装置として使用できる)。反
対の向きにファン4をファン設置部材12に設置すると、換気対象空間200を排気する
ことができる(すなわち、換気装置100を排気装置として使用できる)。ファン設置部
材12を凸状レール121で構成することで、ファン4の挿入や向きの変更を、換気装置
100を地面に設置した(ペグ等で固定した)状態でも簡単に行える。なお、ファン4は
機械的に空気の流れを切り替え可能であってもよい。
【0041】
ファン4は換気装置100が備えるものであってもよいし、別部材であってもよい。フ
ァン4として、例えば、静かで気体流動効率が高く、入手が容易であり、安価で品質が安
定している12cmあるいは14cmのPC用大径DCモータファンが好適である。設置
するファン4の数も任意であり、例えば小径(7cm)のファン4を4つ程度設置しても
よい。一般に、ファン4が小径であるほど消費電力や騒音を下げることができる。一方、
ファン4が大径であるほど風力を強くすることができる。これらの要素を検討して、最適
なファン4を設置すればよい。また、ファン4にリモートコントロール回路ユニットを組
み込み、電源のオン・オフ、回転数の制御等をリモコンで行えるようにしてもよい。さら
に、ファン4を駆動するモータは、DCモータでもよいし、ACモータであってもよい。
【0042】
ここで、雨などによって地面に水たまりが発生した場合でもファン4が濡れて故障する
ことがないよう、ある程度高い位置にファン設置部材12が設けられるのが望ましい。具
体的には、ファン4の回転中心を含む水平面が通気部材3の上端(あるいは通気口111
aの上端)を含む水平面より高い位置となるよう、ファン設置部材12が設けられるのが
望ましい。また、ファン4の下端を含む水平面が通気部材3の上端(あるいは通気口11
1aの上端)を含む水平面より高い位置となるよう、ファン設置部材12が設けられるの
がさらに望ましい。例えば、ファン4の下端はケースシング11の底面から100mm以
上である。
【0043】
電源設置部材13は、前面111と背面112との間に設けられ、ファン4の電源を設
置するための場所を画定する。具体例として、電源設置部材13は、2つの側面113に
取り付けられた1組の凸状レール131と、仕切り板132で構成される。ケーシング1
1の上部の開口を介して凸状レール131に仕切り板132を挿入することで、電源を置
くスペースができる。
【0044】
仕切り板132と、ケーシング11の前面111、背面112および側面113と、蓋
2とによって全方位が囲まれた空間に電源が設置されることとなり、電源を外部衝撃から
守ることができる。電源をプラスチック袋に入れて電源設置スペースに格納することで、
さらに耐水性や耐衝撃性が向上する。
【0045】
電源は換気装置100が備えるものであってもよいし、別部材であってもよい。電源は
電源設置部材13によって画定される場所に収まるサイズであれば特に制限はないが、例
えば充電可能なUSB電池であり、USBケーブルを介してファン4に電力を供給する。
ファン4と電源との間にファンスピードコントローラあるいはオン・オフコントローラを
設けてもよい。
【0046】
ここで、排気あるいは吸気を行う際に、空気が電源設置部材13(の仕切り板132)
に当たるように構成するのが望ましい。これにより、電源設置部材13に設置された電源
を冷却できる。
【0047】
蓋2
図3A~
図3Cは、順に、蓋2の側面図、正面図および背面図である。
【0048】
蓋2は、互いに対向する前面21および背面22と、これらを接続する2つの側面23
と、上面24とを有するが、下部は開口している。ケーシング11の前面111および背
面112が傾斜している場合、これに合わせて蓋2の前面21および背面22も傾斜して
いるのが望ましい。蓋2の下部の開口をケーシング11の上部に被せるように用いられる
。詳細には、ケーシング11の前面111、背面112および側面113の上部の外側に
、蓋2の前面21、背面22および側面23がそれぞれ位置するよう、蓋2がケーシング
11に被せられる。これにより、ケーシング11の上部の開口からケーシング11内に雨
が侵入して、ケーシング11内に配置されるファン4や電源が濡れるのを抑制できる。
【0049】
また、蓋2は軒構造25を有する。軒構造25はコの字型(C字型)であり、背面22
に取り付けられる水平部分251と、側面23に取り付けられる傾斜部分252を有する
。傾斜部分252は背面22から前面21に向かうほど下方に傾斜している。そして、軒
構造25は前面21には設けられない。このような軒構造25を設けることで、ケーシン
グ11の背面112に形成された通気口112aからケーシング11内に雨が侵入して、
ファン4が故障するのを抑制できる。
【0050】
通気部材3
図1Cに示すように、通気部材3は、ケーシング11の前面111から換気対象空間2
00を向くよう設置され、ケーシング11内に設置されたファン4と換気対象空間200
との間に通気路を形成する。
【0051】
図4Aおよび
図4Bは、それぞれ、通気部材3の側面図および正面図である。一例とし
て、通気部材3は、内側通気路31と、フィルタ部32と、外側通気路33とを有する。
内側通気路31の内側端部はケーシング11の前面111と接続され、外側端部はフィル
タ部32の内側端部と接続される。フィルタ部32の外側端部は外側通気路33の内側端
部と接続される。外側通気路33の外側端部は外側に向かって開放されている。
【0052】
内側通気路31は中空(例えば円筒状)であり、その一部にL字型の嵌合凹部31aが
形成されている。ケーシング11における通気部材接続部114の嵌合突起114aと、
通気部材3における内側通気路31の嵌合凹部31aと、が嵌合することで、通気部材3
がケーシング11に接続される。接続されると、通気部材接続部114を介して、ケーシ
ング11の前面111に形成された通気口111aに通気部材3の内側通気路31が連通
する。
【0053】
フィルタ部32は、空気が通過可能であるが小さな虫(例えば蚊)が通過できないのが
望ましく、例えばスポンジ素材である。これにより、換気装置100が稼働していない状
態であっても、外部202から換気対象空間200に虫が侵入するのを抑制できる。また
、フィルタ部32は取り外して洗浄可能であるのが望ましい。
【0054】
フィルタ部32は円筒状でもよいが、くびれ部32a(溝状あるいは凹状のものを含む
)を有するのが望ましい。
図1Cに示すように、フライシートやスカートといった天幕2
01をくびれ部32aに位置合わせして被せ、ゴムバンドや紐などで天幕201とフィル
タ部32とを固定しやすいためである。通常、フライシートやスカートは地面に固定され
ていないフリーな状態であるが、換気装置100のフィルタ部32と固定することで、風
に対する補強効果も生じる。
【0055】
また、フィルタ部32に天幕201を被せた際に、両者の間に隙間が生じないのが望ま
しい。隙間があると、外部202から換気対象空間200に虫が侵入してしまうためであ
る。そのためには、例えばフィルタ部32のくびれ部32a近傍の鉛直断面において、そ
の下端(地面と接する部分)における接線と、フィルタ部32側の地面とのなす角βが9
0度以下であり、例えば蒲鉾型あるいは半円型であるのが望ましい。
【0056】
外側通気路33は外側に向かって開放された開口33aを有する。この開口33aは雨
や虫が侵入しづらいよう、下向きに傾斜しているのが望ましい。また、外側通気路33の
鉛直断面は、例えば頂点が上方に位置する三角形である(
図4B参照)。外側通気路33
の付近に照明を付加し、夜間の安全性や防犯性を高めてもよい。
【0057】
なお、通気部材3の構成は上述したものに限られない。任意の数、形状および大きさの
通気路から構成し、流れる空気の量や向きを適宜調整すればよい。例えば、内側通気路3
1と本体1との間に蛇腹ホースを組み込み、フレキシブルな設置を可能としてもよい。そ
して、通気部材3には、天幕201が位置合わせされるくびれ部32aが設けられるのが
望ましい。また、通気部材3における天幕201が位置合わせされる位置では、通気部材
3の外郭の鉛直断面において、その下端における接線と、通気部材3側の地面とのなす角
βが90度以下であるのが望ましい。
【0058】
排気装置としての使用
図5は、換気装置100を排気装置として用いる場合の透視側面図であり、空気の流れ
を合わせて描いている。換気対象空間200内の空気が背面112の通気口112aを介
してケーシング11内に取り込まれるよう、ファン4が所定の向きに設置される。ケーシ
ング11内に取り込まれたファン4からの空気は電源設置部材13(の仕切り板132)
に当たる。これにより、電源設置部材13に設置された電源が冷却される。電源設置部材
13に当たった空気は整流されて、前面111の通気口111aへ導かれる。この空気は
通気部材3を介して外部202に排出される。
【0059】
吸気装置としての使用
図6は、換気装置100を吸気装置として用いる場合の透視側面図であり、空気の流れ
を合わせて描いている。外部202の空気が通気部材3を介して前面111の通気口11
1aを介してケーシング11内に取り込まれるよう、ファン4が所定の向きに設置される
。この向きは
図5の場合の逆となる。ケーシング11内に取り込まれた外部202からの
空気は電源設置部材13(の仕切り板132)に当たる。これにより、電源設置部材13
に設置された電源が冷却される。電源設置部材13に当たった空気は整流されて、背面1
12の通気口112aを経て、換気対象空間200内に取り込まれる。
【0060】
以上述べた換気装置100によれば、既存のテントに追加して使用でき、換気対象空間
200を換気できる。そのため、テントを改造する必要はなく、経済的である。
【0061】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る換気装置100は排気装置としても吸気装置としても使用できるも
のであったが、次に述べる第2実施形態は、さらに気化熱式冷風装置としても使用できる
ようにするものである。以下、第1実施形態との共通点は説明を省略ないし簡略化し、相
違点である通気部材3について中心に述べる。
【0062】
図7は、通気部材3の側面図である。この通気部材3は通気部材3を通過する空気を冷
却する冷却機構35を有する。一例として、冷却機構35は、冷却媒体を含有可能な冷却
具351と、これに冷却媒体を供給する冷却媒体供給部材352とを有する。冷却媒体は
、例えば水などの液体である。
【0063】
冷却具351は第1実施形態の通気部材3(特に
図4Aおよび
図4Bに示される)にお
けるフィルタ部32で構成することができる。この場合の冷却具351(フィルタ部32
)は、ポリウレタン製あるいはポリエステル製のスポンジ素材(特にオープンセルタイプ
のポリウレタンフォームが好適)であり、通気部材3を通る空気と触れる表面積が大きい
のが望ましい。冷却具351は、通気部材3を通る空気が冷却媒体に触れるよう、通気部
材3における通気路に配置される。冷却具351により蚊などの虫の侵入を抑えることも
できる。
【0064】
冷却媒体供給部材352は、冷却具351の下方に設けられたトレイであってよく、こ
れに冷却媒体が入れられる。この冷却媒体に冷却具351の一部が浸かっており、冷却媒
体供給部材352から供給される冷却媒体が冷却具351に含有される。
【0065】
また、冷却媒体が水を含む場合、冷却具351は、冷却具本体と、吸水性部材とを有し
ていてもよい。冷却具本体は、上述したようにポリウレタン製あるいはポリエステル製の
スポンジ素材であり、空気と触れる表面積が大きくなる材料とするのが望ましい。一方、
このような材料は必ずしも吸水性がよいわけではない。そこで、綿、PVA、セルロース
等の吸水性・保水性がよい吸水性部材を冷却具本体と組み合わせて冷却具351を構成す
る。一例として、吸水性部材の少なくとも一部が冷却具本体に埋め込まれる。吸水性部材
の他の一部が冷却媒体供給部材352に入れられた水に触れるよう配置される。これによ
り、吸水性部材が水を効率よく吸い上げ、冷却具本体が水を含有できる。
【0066】
図8は、換気装置100を気化熱式冷風装置として用いる場合の透視側面図である。空
気の流れを合わせて描いているが、
図6に示す吸気装置として用いる場合とほぼ同様であ
る。換気装置100を気化熱式冷風装置として用いる場合、また、冷却媒体供給部材35
2に水(必要に応じて、さらに氷)などの冷却媒体を入れておく。冷却具351自体も水
を含ませておくのが望ましい。
【0067】
外部202の空気が通気部材3を通る際に、空気が冷却機構35によって冷却される。
詳細には、通気部材3の通気路を通る空気が冷却媒体に触れ、冷却媒体を気化させる際に
、空気の熱が奪われ、空気が冷える。冷えた空気がケーシング11における前面111の
通気口111aを介して換気対象空間200内に取り込まれる。
【0068】
以上述べたように、第2実施形態に係る換気装置100により、換気対象空間200に
冷却空気を取り込むことができる。
【0069】
以上述べた換気装置100の使用例をいくつか挙げる。
【0070】
図9は、換気装置100とテントとの位置関係の一例を模式的に示す上面図である。こ
のテントは一般的な2~4名用のものであり、1個の換気装置100を使用することを想
定している。フライシートの下に換気装置100の通気部材3を通し、フライシートを通
気部材3のくびれ部32aに固定して用いる。
【0071】
インナーテント内の温度はフライシート内側の温度に影響される。そして、フライシー
トには日光が直接当たる。そこで、フライシートの内側の換気を良くし、インナーテント
内の温度上昇を抑制すべく、本換気装置100を排気装置として使用するのが好適である
。あるいは、テント内が風通しが良い状態であり、冷却媒体としての水を用意できるので
あれば、風上側から換気装置100を気化熱式冷風装置として使用するのも有効である。
【0072】
図10は、換気装置100とテントとの位置関係の別の例を模式的に示す上面図である
。このテントは一般的な2~4名用のものであり、2個の換気装置100A,100Bを
対角線上に配置して使用することを想定している。
【0073】
周囲の環境に応じて、以下の使用例が考えられる。
(1)換気装置100A:排気装置、換気装置100B:吸気装置
(2)換気装置100A:排気装置、換気装置100B:排気装置
(3)換気装置100A:吸気装置、換気装置100B:吸気装置
上記(1)の場合、吸気装置として使用する換気装置100Bを気化熱式冷風装置とし
て使用することで、テント内の温度をより効果的に下げることができる。
【0074】
図11は、換気装置100とテントとの位置関係のまた別の例を模式的に示す上面図で
ある。このテントは一般的な6人用ツールームテントであり、6個の換気装置100A~
100Fを使用することを想定している。換気装置100A~100Fのそれぞれ周囲の
環境に応じて柔軟に使用することができる。
【0075】
図12は、換気装置100とテントとの位置関係のまた別の例を模式的に示す上面図で
ある。このテントは一般的な2~4人用のシェルターであり、4個の換気装置100A~
100Dを使用することを想定している。シェルターのインナーテントには床面がなく、
全面が地面である。そのため、冬場のキャンプ等で用いられることが多い。シェルター内
部で暖房器具を使ったり調理をしたりする場合には、一酸化炭素中毒や酸欠のリスクがあ
る。そこで、換気装置100A~100Dを吸気装置として使用することで、新鮮な外気
を内部に連続的に取り込み続けることで、リスクヘッジの強化を図れる。
【0076】
なお、本換気装置100は、床面がないシングルウォールテントの他、床面があるダブ
ルウォールテント(前室のみがダブルウォールとなっているものを含む)や、地面まで達
するフライシートを有するテントであって、前室に設置スペースがあるテントに特に適合
的である。
【0077】
本明細書で説明した各発明は、上述した個々の実施形態には限定されるものではなく、
適宜、種々の追加、変更、組み合わせおよび部分的削除が可能である。
例えば、本明細書において1台の装置(あるいは1つの部材、以下同じ)として説明さ
れるもの(図面において1台の装置のように描かれているものを含む)を複数の装置によ
って実現してもよい。逆に、本明細書において複数の装置として説明されるもの(図面に
おいて複数の装置のように描かれているものを含む)を1台の装置によって実現してもよ
い。あるいは、ある装置に含まれるとした手段や機能の一部または全部が、他の装置に含
まれるようにしてもよい。
【0078】
また、矛盾が生じない範囲で、ある実施形態の一部を他の実施形態に組み込んでもよい
。さらに、本明細書に記載された事項の全てが必須の要件というわけではない。特に、本
明細書に記載され、特許請求の範囲に記載されていない事項は任意の付加的事項である。
【0079】
なお、本出願人は本明細書の「先行技術文献」欄の文献に記載された文献公知発明を知
っているというにすぎず、本明細書に記載された各発明は必ずしも同文献公知発明におけ
る課題を解決することを目的とするものではない。特許請求の範囲に記載された発明が解
決しようとする課題は本明細書全体を考慮して認定されるべきものである。例えば、本明
細書において、特定の構成によって所定の効果を奏する場合(明示の記載がある場合に加
え、構成から読み取れる場合も含む)、当該所定の効果の裏返しとなる課題が解決される
ということもできる。ただし、必ずしもそのような特定の構成を必須の要件とする趣旨で
はない。
【符号の説明】
【0080】
200 換気対象空間
201 天幕
202 外部
100,100A~100F 換気装置
1 本体
11 ケーシング
111 前面
111a 通気口
112 背面
112a 通気口
112b
113 側面
114 通気部材接続部
114a 嵌合突起
115 脚
12 ファン設置部材
121 凸状レール
13 電源設置部材
131 凸状レール
132 仕切り板
2 蓋
21 前面
22 背面
23 側面
24 上面
25 軒構造
251 水平部分
252 傾斜部分
3 通気部材
31 内側通気路
31a 嵌合凹部
32 フィルタ部
32a くびれ部
33 外側通気路
33a 開口
35 冷却機構
351 冷却具
352 冷却媒体供給部材
4 ファン
【要約】
【課題】既存のテント等に付加してテント等の換気を行えるようにする換気装置を提供す
ること、また、そのような換気装置に適用可能な冷却具を提供する。
【解決手段】換気対象空間を換気するための換気装置であって、対向する第1面および第
2面を有するケーシングと、前記第1面と前記第2面との間に設けられ、ファンを設置す
るための場所を画定するファン設置部材と、前記第2面に設けられた通気口と連通するよ
うに設置され、前記換気対象空間の内部と前記換気対象空間の外部との間に通気路を形成
する通気部材と、を備え、前記ファン設置部材は、設置されるファンの回転中心を含む水
平面が、前記通気口の上端を含む水平面より高い位置となるように設けられる、換気装置
が提供される。
【選択図】
図1C