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特許7583973情報処理方法、情報処理システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06N 99/00 20190101AFI20241107BHJP
【FI】
G06N99/00 180
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024112771
(22)【出願日】2024-07-12
【審査請求日】2024-07-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517255566
【氏名又は名称】株式会社エクサウィザーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110004093
【氏名又は名称】弁理士法人アクセル特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セガール 詩文
【審査官】福西 章人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0134193(US,A1)
【文献】特開平2-105969(JP,A)
【文献】特開2020-149607(JP,A)
【文献】特開2024-66244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00-99/00
G06F 18/00-18/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
制約条件違反の検出対象である第1の線形計画問題に基づき前記第1の線形計画問題とは異なる第2の線形計画問題を生成し、
前記第1の線形計画問題は、n個の第1の制約条件と、第1の目的関数と、を含み、
前記第2の線形計画問題は、n個の第2の制約条件と、第2の目的関数と、を含み、
前記第2の制約条件は、前記第1の制約条件をuiだけ緩和したものであり、
前記第2の目的関数は、
【数1】
であり、
前記第2の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する前記第1の制約条件に関する情報を出力する、
情報処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記ゼロにならなかったuiに対応する前記第1の制約条件に関する情報の出力に応じて入力された入力情報に基づき前記第1の線形計画問題を修正する、
情報処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記ゼロにならなかったuiに対応する前記第1の制約条件に関する情報は、前記第1の制約条件を削除又は修正することを示唆する情報である、
情報処理方法。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記第2の線形計画問題と前記ゼロにならなかったuiとに基づき第3の線形計画問題を生成し、
前記第3の線形計画問題の第3の目的関数は、n個の第3の制約条件と、第3の目的関数と、を含み、
前記第3の目的関数は、前記第2の目的関数において前記ゼロにならなかったuiに重みづけを付加した目的関数であり、
前記第3の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する前記第1の制約条件を求め、
前記第2の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する前記第1の制約条件と、前記第3の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する前記第1の制約条件と、の組み合わせに関する情報を出力する、
情報処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理方法であって、
前記組み合わせに関する情報の出力に応じて入力された入力情報に基づき前記第1の線形計画問題を修正する、
情報処理方法。
【請求項6】
請求項4に記載の情報処理方法であって、
前記組み合わせに関する情報は、前記第2の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する第1の制約条件と、前記第3の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する第1の制約条件と、のうち、少なくとも一方を削除又は修正することを示唆する情報である、
情報処理方法。
【請求項7】
情報処理システムであって、
少なくとも1つ以上の制御部を有し、
前記制御部は、
制約条件違反の検出対象である第1の線形計画問題に基づき前記第1の線形計画問題とは異なる第2の線形計画問題を生成し、
前記第1の線形計画問題は、n個の第1の制約条件と、第1の目的関数と、を含み、
前記第2の線形計画問題は、n個の第2の制約条件と、第2の目的関数と、を含み、
前記第2の制約条件は、前記第1の制約条件をuiだけ緩和したものであり、
前記第2の目的関数は、
【数2】
であり、
前記第2の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する前記第1の制約条件に関する情報を出力する、
情報処理システム。
【請求項8】
プログラムであって、
コンピュータに、
請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の情報処理方法を実行させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には線形計画問題を解いてVQ調整機器への操作信号を作成する際に操作回数増加及び線形化誤差の影響を低減する電圧無効電力制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3372460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最適化問題を線形計画問題として定式化する手法が知られている。最適化問題とは、与えられた制約条件を満たすものの中で目的関数の値が最小となるような具体的な値を探す問題である。特に制約条件と目的関数とが一次式で書かれているものを線形計画問題という。
線形計画問題の中には、制約条件同士が矛盾しているため実行不可能となるものがある。このような線形計画問題の中には、3つ以上の制約条件が絡み合うことで実行不可能となっているものもある。
【0005】
実務的な場面では線形計画問題の目的関数の変数が数千、制約条件の数が数万となることもあり、実行不可能な原因の特定が困難な場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理システムが実行する情報処理方法が提供される。この情報処理方法は、制約条件違反の検出対象である第1の線形計画問題に基づき第1の線形計画問題とは異なる第2の線形計画問題を生成する。第1の線形計画問題は、n個の第1の制約条件と、第1の目的関数と、を含む。第2の線形計画問題は、n個の第2の制約条件と、第2の目的関数と、を含む。第2の制約条件は、第1の制約条件をuiだけ緩和したものである。第2の目的関数は、
【数1】
である。第2の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する第1の制約条件に関する情報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、サーバー装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、クライアント装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、サーバー装置における情報処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
図5図5は、クライアント装置の出力部に表示された、第1の線形計画問題の一例を示す図である。
図6図6は、第2の線形計画問題の一例を示す図である。
図7図7は、クライアント装置の出力部に表示される画面の一例を示す図である。
図8図8は、サーバー装置における情報処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
図9図9は、第3の線形計画問題の一例を示す図である。
図10図10は、クライアント装置の出力部に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態(変形例も含む。以下において同様である。)中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0009】
<実施形態1>
1.システム構成図
図1は、情報処理システム1000のシステム構成の一例を示す図である。図1に示されるように、情報処理システム1000は、システム構成として、サーバー装置100と、クライアント装置110と、を含む。サーバー装置100は、コンピュータの一例である。サーバー装置100と、クライアント装置110と、はネットワーク150を介して通信可能に接続されている。ネットワーク150はWAN(Wide Area Network)及びインターネットの何れか又は双方を含んでいてもよい。ネットワーク150は有線及び無線を介してネットワーク150に接続される装置同士を通信可能に構成されている。
【0010】
サーバー装置100は、クライアント装置110からの要求等に応じて実施形態1で説明する情報処理等を実行する。サーバー装置100の処理の詳細は後述するフローチャート等を用いて説明する。なお、情報処理システム1000に含まれるサーバー装置は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。情報処理システム1000に含まれるサーバー装置が複数台の場合は、いわゆる分散システムとしてサーバー装置100の機能が提供される。
【0011】
クライアント装置110は、情報処理システム1000の操作者が操作する装置であって、サーバー装置100が提供する機能を利用する装置である。図1ではクライアント装置110の例示としてPC(Personal Computer)を示しているが、PCに限られず、タブレット型端末装置であってもよいし、スマートフォンであってもよい。クライアント装置110は、操作者の操作情報等を入力することができ、サーバー装置100における処理の結果等を表示することができればどのような装置であってもよい。
【0012】
ここで、特許請求の範囲に記載の情報処理システムは、複数の装置で構成されてもよいし、一つの装置で構成されてもよい。特許請求の範囲に記載の情報処理システムが一つの装置で構成される場合、その装置の一例は例えばサーバー装置100である。特許請求の範囲に記載の情報処理システムが複数の装置で構成される場合、複数の装置の例は、例えばサーバー装置100の機能を提供する分散システム、又はサーバー装置100及びクライアント装置110である。
【0013】
2.ハードウェア構成
(1)サーバー装置100のハードウェア構成
図2は、サーバー装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示されるように、サーバー装置100は、ハードウェア構成として、制御部210と、記憶部220と、通信部230と、内部バス240と、を含む。制御部210と、記憶部220と、通信部230と、は内部バス240を介して電気的に接続されている。
【0014】
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)等であって、サーバー装置100の全体を制御する。
【0015】
記憶部220は、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid Sate Drive)等の何れか、又はこれらの任意の組み合わせであって、プログラム、制御部210がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ(例えば、後述する、コンパイラ、リンカ、ローダ、ライブラリ、線形計画問題等)を記憶する。なお、以下ではサーバー装置100は、記憶部としてROM、RAM、HDD及びSSDを有するものとして説明を行う。記憶部220は、記憶媒体の一例である。明細書では制御部210がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータは記憶部220に記憶されるものとして説明するが、サーバー装置100と通信可能な他の装置の記憶部等に記憶されていてもよい。すなわち、データは、制御部210が参照又は取得可能であればどの装置の記憶部に記憶されていてもよい。制御部210が、記憶部220に記憶されているプログラムに基づき、処理を実行することによって、サーバー装置100の機能及び後述する図4及び図8等に示されるフローチャートの処理が実現される。
【0016】
ソースコードのプログラミング言語がコンパイル方式の場合、制御部210は、コンパイラでROM、HDD、又はSSD等に記憶されているソースコードをオブジェクトコードに変換する。制御部210は、リンカでオブジェクトコードとライブラリとを連結させロードモジュールを生成する。制御部210は、ローダでロードモジュールをRAM等のメモリに読み込む。制御部210は、メモリに読み込まれたロードモジュールを実行させることで、後述する図4及び図7等に示されるフローチャートの処理を実現させる。
ソースコードのプログラミング言語がインタープリタ方式の場合は、制御部210は、ROM、HDD、又はSSD等に記憶されているソースコードをRAM等のメモリに読み込み、読み込んだソースコードを実行時に1行ずつ字句解析及び/又は構文解析を行いながら処理を実行することで、後述する図4及び図7等に示されるフローチャートの処理を実現させる。
【0017】
通信部230は、サーバー装置100をネットワーク150に接続し、他の装置との通信を司る。
【0018】
(2)クライアント装置110のハードウェア構成
図3は、クライアント装置110のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示されるように、クライアント装置110は、ハードウェア構成として、制御部310と、記憶部320と、入力部330と、出力部340と、通信部350と、内部バス360と、を含む。
【0019】
制御部310は、CPU等であって、クライアント装置110の全体を制御する。
【0020】
記憶部320は、HDD、ROM、RAM、SSD等の何れか、又はこれらの任意の組み合わせであって、プログラム、制御部310がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータを記憶する。記憶部320は、記憶媒体の一例である。
【0021】
入力部330は、キーボード及びマウス等であって、操作者による選択操作及び/又は入力操作に基づいて情報を入力する。
出力部340は、ディスプレイ等であって、操作者による画面を介した入力情報及び制御部310による処理の結果等を表示する。
【0022】
通信部350は、クライアント装置110をネットワーク150に接続し、他の装置との通信を司る。
【0023】
3.情報処理
(1)処理の概要
制御部210は、制約条件違反の検出対象である第1の線形計画問題に基づき第1の線形計画問題とは異なる第2の線形計画問題を生成する。第1の線形計画問題は、n個の第1の制約条件と、第1の目的関数と、を含む。第2の線形計画問題は、n個の第2の制約条件と、第2の目的関数と、を含む。第2の制約条件は、第1の制約条件をuiだけ緩和したものである。すなわち、第2の制約条件は、第1の制約条件に緩和項uiを加算したものである。
第2の目的関数は、
【数2】
である。
制御部210は、第2の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する第1の制約条件に関する情報を出力する。
このような処理により、第1の線形計画問題のn個の第1の制約条件のうち、制約を満たすことができなかった制約条件はどれなのかを知ることができる。
【0024】
(2)処理の詳細
図4は、サーバー装置100における情報処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
ステップS401において、制御部210は、制約条件違反の検出対象である第1の線形計画問題を取得する。制御部210は、例えば、クライアント装置110の画面を介して指定された第1の線形計画問題を記憶部220等より取得する。制御部210は、取得した第1の線形計画問題を含む画面をクライアント装置110の出力部340に表示されるよう制御する。
【0025】
図5は、クライアント装置110の出力部340に表示された、第1の線形計画問題500の一例を示す図である。上述したように実務的な場面では線形計画問題の目的関数の変数が数千、制約条件の数が数万となる場合もあるが、明細書では説明の簡略化のため図5に示されるような線形計画問題を例に説明を行う。
x+yは第1の線形計画問題500の目的関数(第1の目的関数)510である。
x≧1
3x+2y≧6
-3x-2y≧6
のそれぞれは第1の線形計画問題500の制約条件(第1の制約条件)520である。
【0026】
図4のステップS402において、制御部210は、変数Nに1を代入する。
ステップS403において、制御部210は、第1の線形計画問題500に基づき第1の線形計画問題500とは異なる第2の線形計画問題を生成する。第2の線形計画問題は、n個の制約条件(第2の制約条件ともいう)と、目的関数(第2の目的関数ともいう)と、を含む。
【0027】
図6は、第2の線形計画問題600の一例を示す図である。
図6に示されるように、第2の線形計画問題600の第2の制約条件620は、第1の制約条件をuiだけ緩和した制約条件である。第1の制約条件をuiだけ緩和した制約条件をより具体的に説明すると、
x≧1-u1
3x+2y≧6-u2
-3x-2y≧6-u3
である(ただし、ui>0)。
第2の目的関数610は、
【数3】
である。
【0028】
図4のステップS404において、制御部210は、第2の線形計画問題600を解いて、解を算出する。ui≠0.0となった制約条件が、満たすことができなかった制約条件である。
第2の線形計画問題600を解くと、
u1=0.0、u2=0.0、u3=12.0となる。
【0029】
ステップS405において、制御部210は、制約条件に関する情報を出力する。より具体的に説明すると、制御部210は、第2の線形計画問題600を解いて、満たすことができなかった制約条件(上述した例ではu3)に関する情報を出力する。例えば、u3に関する情報としては、少なくともu3を含んだ情報であってもよいし、u3に対応する第1の制約条件である-3x-2y≧6を含んだ情報であってもよいし、u3及び-3x-2y≧6を含んだ情報であってもよい。
【0030】
また、制御部210は、満たすことができなかった制約条件に関する情報を含む画面をクライアント装置110の出力部340に表示されるよう制御することで情報を出力してもよいし、満たすことができなかった制約条件に関する情報を含むファイル等を記憶部220等の所定の記憶領域に記憶させることで情報を出力してもよいし、満たすことができなかった制約条件に関する情報を所定の装置に送信することで情報を出力してもよい。なお、以下では説明の簡略化のため、制御部210は、制約条件に関する情報をクライアント装置110の出力部340に表示されるよう制御するものとして説明を行う。
【0031】
図7は、クライアント装置110の出力部340に表示される画面700の一例を示す図である。より好適には、制御部210は、図7に示されるように、制約条件に関する情報として、ui≠0.0となった制約条件(-3x-2y≧6)と、ui≠0.0となった制約条件(-3x-2y≧6)が満たすことができなかった制約条件であるため、この制約条件を削除又は修正することを示唆する情報と、を出力する。領域710は、ui≠0.0となった制約条件を示す領域であると共に、修正に関する入力を受け付ける領域である。削除ボタン720は、領域710に表示されている制約条件の削除を指示する際に選択されるボタンである。修正ボタン730は、領域710において修正された制約条件に書き換えることを指示する際に選択されるボタンである。制約条件を出力ボタン740は、領域710に表示されている制約条件と矛盾する(制約条件を満たすことができない)他の制約条件の出力を指示する際に選択されるボタンである。
【0032】
ステップS406において、制御部210は、クライアント装置110の出力部340に表示された画面(例えば、図7に示されるような画面)等を介して、制約条件を出力ボタン740が選択されたか否かを判定する。制御部210は、制約条件を出力ボタン740が選択されたと判定すると(ステップS406においてYES)、図8のステップS801に進み、制約条件を出力ボタン740が選択されていない、すなわち、削除ボタン720又は修正ボタン730が選択されたと判定すると(ステップS406においてNO)、ステップS407に進む。
【0033】
ステップS407において、制御部210は、クライアント装置110の出力部340に表示された画面(例えば、図7に示されるような画面)を介して操作者によって入力された入力情報等に基づき、第1の線形計画問題を修正する。
例えば、図7に示されるような画面において削除ボタン720が選択された場合、制御部210は、第1の線形計画問題から領域710に表示されている制約条件を削除する修正を行う。又は、図7に示されるような画面において領域710において修正された制約条件が入力され、修正ボタン730が選択された場合、制御部210は、第1の線形計画問題の該当する制約条件を修正された制約条件に変更する修正を行う。
ステップS407の処理は、ゼロにならなかったuiに対応する第1の制約条件に関する情報の出力に応じて入力された入力情報に基づき第1の線形計画問題を修正する処理の一例である。
【0034】
ステップS408において、制御部210は、修正された第1の線形計画問題を解いて、解を算出する。
ステップS409において、制御部210は、算出した解を出力する。例えば、制御部210は、算出した解をクライアント装置110の出力部340に表示する。
ステップS410において、制御部210は、解を確認したクライアント装置110の操作者等による画面を介した所定の操作に基づき、修正した第1の線形計画問題を記憶部220等の所定の記憶領域に記憶する。
【0035】
図8は、サーバー装置100における情報処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
ステップS801において、制御部210は、第2の線形計画問題とゼロにならなかったuiとに基づき第3の線形計画問題を生成する。上述した例では、ゼロとならなかったのはu3であるため、制御部210は、第2の線形計画問題とu3とに基づき第3の線形計画問題を生成する。第3の線形計画問題の第3の目的関数は、n個の第3の制約条件と、第3の目的関数と、を含む。第3の目的関数は、第2の目的関数においてゼロにならなかったuiに重みづけを付加した目的関数を含む。
制約条件の違反に与える重みを表す値をwiとすると第3の目的関数は
【数4】
となる。第3の目的関数はゼロにならなかったuiに対応するwiの値を増加させた目的関数である。
【0036】
図9は、第3の線形計画問題900の一例を示す図である。
図9に示されるように、第3の線形計画問題900の第3の目的関数910は、第2の目的関数においてゼロにならなかったui(上述した例ではu3)に重みづけ(図9の例では10000)がなされている。すなわち、図9の例ではw3=10000となっている。重みづけの値は、例えば、予め定められており、記憶部220等の所定の記憶領域に記憶されているものとする。第3の線形計画問題900の第3の制約条件920は、第2の線形計画問題600の第2の制約条件620と同じである。
【0037】
図8のステップS802において、制御部210は、第3の線形計画問題900を解いて、解を算出する。ui≠0.0となった制約条件が、満たすことができなかった制約条件である。
第3の線形計画問題900を解くと、
u1=0.0、u2=12.0、u3=0.0となる。
ステップS802の処理は、第3の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する第1の制約条件を求める処理の一例である。
【0038】
ステップS803において、制御部210は、制約条件に関する情報を出力する。
【0039】
図10は、クライアント装置110の出力部340に表示される画面1010の一例を示す図である。より好適には、制御部210は、図10に示されるように、第3の線形計画問題900を解いて、満たすことができなかった制約条件(上述した例ではu2)に関する情報と、この制約条件と矛盾する、第2の線形計画問題600を解いて、満たすことができなかった制約条件(上述した例ではu3)に関する情報と、を制約条件に関する情報として出力する。また、制御部210は、組み合わせに関する情報として、第2の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する第1の制約条件と、第3の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する第1の制約条件と、のうち、少なくとも一方を削除又は修正することを示唆する情報を出力する。領域1020は、矛盾する制約条件を示す領域であると共に、修正に関する入力及び/又は削除に関する入力を受け付ける領域である。削除ボタン1030は、領域1020に表示されている制約条件の削除を指示する際に選択されるボタンである。修正ボタン1040は、領域1020において修正された制約条件に書き換えることを指示する際に選択されるボタンである。
【0040】
ステップS803の処理は、第2の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する第1の制約条件と、第3の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する第1の制約条件と、の組み合わせに関する情報を出力する処理の一例である。
また、ステップS803の処理は、ステップS405で出力した制約条件と矛盾している制約条件に関する情報を出力する処理の一例ともいえる。
【0041】
図4のステップS407に進み、制御部210は、クライアント装置110の出力部340に表示された画面(例えば、図7に示されるような画面)を介して操作者によって入力された入力情報等に基づき、第1の線形計画問題を修正する。
例えば、図10に示されるような画面において削除ボタン1030が選択された場合、制御部210は、第1の線形計画問題から領域1020に表示されている複数の制約条件のすべて、又は何れかを削除する修正を行う。又は、図10に示されるような画面において領域1020において修正された制約条件が入力され、修正ボタン1040が選択された場合、制御部210は、第1の線形計画問題の該当する制約条件を修正された制約条件に変更する修正を行う。この処理は、組み合わせに関する情報の出力に応じて入力された入力情報に基づき第1の線形計画問題を修正する処理の一例である。
【0042】
ステップS408において、制御部210は、修正された第1の線形計画問題を解いて、解を算出する。
ステップS409において、制御部210は、算出した解を出力する。例えば、制御部210は、算出した解をクライアント装置110の出力部340に表示する。
ステップS410において、制御部210は、解を確認したクライアント装置110の操作者等による画面を介した所定の操作に基づき、修正した第1の線形計画問題を記憶部220等の所定の記憶領域に記憶する。
【0043】
実施形態1の処理によれば、線形計画問題を解くうえで矛盾している制約条件を特定することができる。また、特定した制約条件を削除したり、修正したりすることができる。
上述した実施形態では説明の簡略化のため図5に示したような線形計画問題を例に説明を行った。しかし、変数及び制約条件が図5に示したような線形計画問題に比べて増えた場合であっても上述した処理を繰り返し実行すれば、同様の効果を得ることができる。
【0044】
以上、実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0045】
100 :サーバー装置
110 :クライアント装置
150 :ネットワーク
210 :制御部
220 :記憶部
230 :通信部
1000 :情報処理システム

【要約】      (修正有)
【課題】最適化問題を線形計画問題として定式化する、情報処理システムが実行する情報処理方法、情報処理システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理方法は、制約条件違反の検出対象である第1の線形計画問題に基づき第1の線形計画問題とは異なる第2の線形計画問題を生成する。第1の線形計画問題は、n個の第1の制約条件x≧1、3x+2y≧6、-3x-2y≧6と、第1の目的関数x+yと、を含む。第2の線形計画問題は、n個の第2の制約条件x≧1-u1、3x+2y≧6-u2、-3x-2y≧6-u3(ただしui>0)と、第2の目的関数

と、を含む。第2の制約条件は、第1の制約条件をuiだけ緩和したものであり、第2の目的関数は、第2の線形計画問題の解を算出し、ゼロにならなかったuiに対応する第1の制約条件に関する情報を出力するものである。
【選択図】なし
図1
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図10