(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】OAMを使用したイーサネットリンクパートナのGPIOの制御
(51)【国際特許分類】
H04L 41/045 20220101AFI20241108BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H04L41/045
B60R16/023 P
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020074413
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2023-03-09
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520078248
【氏名又は名称】マーベル アジア ピーティーイー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ ローレン マン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー マッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー シー-フン ラウ
(72)【発明者】
【氏名】ホン ワイ ファン
(72)【発明者】
【氏名】リアン チュー
(72)【発明者】
【氏名】ダンス ウー
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0205224(US,A1)
【文献】特開2017-135711(JP,A)
【文献】特開2009-135767(JP,A)
【文献】特開2013-246647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
41/00-101/695
B60R 16/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートピアイーサネットPHYデバイスを制御するために動作するイーサネット物理層(PHY)デバイスであって、
物理リンクに接続するように構成されるPHYインタフェースと、
ピアイーサネットPHYデバイスへの伝送のために、データを搬送するレイヤ1フレームを生成することと、
前記レイヤ1フレームと別個であり、前記ピアイーサネットPHYデバイスと関連付けられる汎用入出力(GPIO)ポートを制御するように構成される1または複数の管理フレームを前記レイヤ1フレーム中に挿入することと、
前記レイヤ1フレームと挿入された前記1または複数の管理フレームとを、前記PHYインタフェースを介して、前記物理リンクを通じて前記ピアイーサネットPHYデバイスに、前記ピアイーサネットPHYデバイスと関連付けられる前記GPIOポートの1または複数の動作を制御するために伝送することと、
前記1または複数の管理フレームが前記ピアイーサネットPHYデバイスにおいて受信に成功したことを確認する1または複数のベリフィケーションを、前記PHYインタフェースを介して受信することと
を行うように構成されるPHY回路とを備
え、
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つで、前記PHY回路は、マイクロコントローラを制御するように、前記ピアイーサネットPHYデバイスに命令するように構成される、イーサネットPHYデバイス。
【請求項2】
前記PHY回路は、1または複数の運用管理および保守(OAM)フレームを挿入することにより前記1または複数の管理フレームを挿入するように構成される、請求項1に記載のイーサネットPHYデバイス。
【請求項3】
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つで、前記PHY回路は、前記GPIOポートを特定の出力論理レベルに設定するように前記ピアイーサネットPHYデバイスに命令するように構成される、請求項1または2に記載のイーサネットPHYデバイス。
【請求項4】
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つで、前記PHY回路は、前記GPIOポートの入力論理レベルを読み取るように前記ピアイーサネットPHYデバイスに命令するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のイーサネットPHYデバイス。
【請求項5】
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つで、前記PHY回路は、車両における安全制御動作を実行するように
前記マイクロコントローラを制御するように、前記ピアイーサネットPHYデバイスに命令するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のイーサネットPHYデバイス。
【請求項6】
前記PHY回路は、ホストから前記1または複数の管理フレームを受信するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のイーサネットPHYデバイス。
【請求項7】
前記PHY回路は、レジスタを介して前記GPIOポートを制御するためのパラメータを受信して、前記パラメータに基づいて前記1または複数の管理フレームを構成するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のイーサネットPHYデバイス。
【請求項8】
リモートピアイーサネットPHYデバイスを制御するために動作するイーサネット物理層(PHY)デバイスであって、
物理リンクに接続するように構成されるPHYインタフェースと、
ピアイーサネットPHYデバイスへの伝送のために、データを搬送するレイヤ1フレームを生成することと、
前記レイヤ1フレームと別個であり、前記ピアイーサネットPHYデバイスと関連付けられる汎用入出力(GPIO)ポートを制御するように構成される1または複数の管理フレームを前記レイヤ1フレーム中に挿入することと、
前記レイヤ1フレームと挿入された前記1または複数の管理フレームとを、前記PHYインタフェースを介して、前記物理リンクを通じて前記ピアイーサネットPHYデバイスに、前記ピアイーサネットPHYデバイスと関連付けられる前記GPIOポートの1または複数の動作を制御するために伝送することと、
前記1または複数の管理フレームが前記ピアイーサネットPHYデバイスにおいて受信に成功したことを確認する1または複数のベリフィケーションを、前記PHYインタフェースを介して受信することと
を行うように構成されるPHY回路とを備え、
前記PHY回路は、レジスタを介して前記GPIOポートを制御するためのパラメータを受信して、前記パラメータに基づいて前記1または複数の管理フレームを構成するように構成される、イーサネットPHYデバイス。
【請求項9】
リモートピアイーサネット物理層(PHY)デバイスにより制御されるイーサネットPHYデバイスであって、
物理リンクに接続するように構成されるPHYインタフェースと、
前記PHYインタフェースを介して、前記物理リンクを通じてピアイーサネットPHYデバイスから送信されるデータを搬送するレイヤ1フレームを受信することと、
前記イーサネットPHYデバイスと関連付けられる汎用入出力(GPIO)ポートを制御するための、前記ピアイーサネットPHYデバイスから送信された1または複数の管理フレームを前記レイヤ1フレームの中で受信することと、
前記1または複数の管理フレームに含まれる命令に応じて前記GPIOポートを制御することと、
前記PHYインタフェースを介して、前記1または複数の管理フレームが成功裏に受信されたことを確認する1または複数のベリフィケーションを、前記ピアイーサネットPHYデバイスに伝送することと
を行うように構成される、PHY回路と
を備
え、
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つに応答して、前記PHY回路は、マイクロコントローラを制御するように構成される、イーサネット物理層(PHY)デバイス。
【請求項10】
前記PHY回路は、1または複数の運用管理および保守(OAM)フレームを受信することにより前記1または複数の管理フレームを受信するように構成される、請求項
9に記載のイーサネットPHYデバイス。
【請求項11】
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つに応答して、前記PHY回路は、前記GPIOポートを特定の出力論理レベルに設定するように構成される、請求項
9または
10に記載のイーサネットPHYデバイス。
【請求項12】
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つに応答して、前記PHY回路は、前記GPIOポートの入力論理レベルを読み取って、前記ピアイーサネットPHYデバイスに前記GPIOの前記入力論理レベルを報告するように構成される、請求項
9から
11のいずれか一項に記載のイーサネットPHYデバイス。
【請求項13】
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つに応答して、前記PHY回路は、車両における安全制御動作を実行するように
前記マイクロコントローラを制御するように構成される、請求項
9から
12のいずれか一項に記載のイーサネットPHYデバイス。
【請求項14】
マイクロコントローラと、
汎用入出力(GPIO)ポートにより前記マイクロコントローラに接続される第1イーサネットPHYデバイスと、
物理リンクを介して前記第1イーサネットPHYデバイスに接続される第2イーサネットPHYデバイスと、
を備え、
前記第2イーサネットPHYデバイスは、
データを搬送する前記第1イーサネットPHYデバイスとレイヤ1フレームを交換し、
前記レイヤ1フレームと別個であり、前記第1イーサネットPHYデバイスの前記GPIOポートを介して前記マイクロコントローラを制御するように構成される1または複数の管理フレームを、前記レイヤ1フレームの中で前記第1イーサネットPHYデバイスに伝送し、
PHYインタフェースを介して、前記1または複数の管理フレームが前記第1イーサネットPHYデバイスにおいて成功裏に受信されたことを確認する1または複数のベリフィケーションを、前記第1イーサネットPHYデバイスから受信するように構成される、
イーサネット通信システム。
【請求項15】
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つで、前記第2イーサネットPHYデバイスは、車両における安全制御動作を開始するように構成され、
前記第1イーサネットPHYデバイスは、前記GPIOポートを介して前記マイクロコントローラを制御して前記安全制御動作を実行するように構成され、
前記マイクロコントローラは、前記GPIOポートの制御に応答して前記安全制御動作を実行するように構成される、
請求項
14に記載のイーサネット通信システム。
【請求項16】
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つに応答して、前記第1イーサネットPHYデバイスは、前記GPIOポートを介して前記マイクロコントローラをリセットするように構成される、請求項
14または
15に記載のイーサネット通信システム。
【請求項17】
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つに応答して、前記第1イーサネットPHYデバイスは、前記GPIOポートを介して前記マイクロコントローラのステータスを読み取るように構成される、請求項
14から
16のいずれか一項に記載のイーサネット通信システム。
【請求項18】
前記第1イーサネットPHYデバイスは、前記マイクロコントローラが正常に機能するか、または機能不良であるかに関わらず前記GPIOポートを制御するように構成される、請求項
14から
17のいずれか一項に記載のイーサネット通信システム。
【請求項19】
リモートピアイーサネット物理層(PHY)デバイスを制御するための方法であって、
物理リンクを通じてピアイーサネットPHYデバイスに接続されるイーサネットPHYデバイスにおいて、前記ピアイーサネットPHYデバイスへの伝送のためにデータを搬送するレイヤ1フレームを生成する段階と、
前記イーサネットPHYデバイスにおいて、前記レイヤ1フレームと別個であり、前記ピアイーサネットPHYデバイスと関連付けられる汎用入出力(GPIO)ポートを制御するように構成される1または複数の管理フレームを前記レイヤ1フレームの中に挿入する段階と、
前記ピアイーサネットPHYデバイスと関連付けられる前記GPIOポートの1または複数の動作を制御すべく、前記レイヤ1フレームと挿入された前記1または複数の管理フレームとを、前記イーサネットPHYデバイスから前記物理リンクを通じて前記ピアイーサネットPHYデバイスに伝送する段階と、
前記イーサネットPHYデバイスにおいて、前記ピアイーサネットPHYデバイスから1または複数のベリフィケーションを受信する段階であって、前記1または複数のベリフィケーションは、前記1または複数の管理フレームが前記ピアイーサネットPHYデバイスにおいて成功裏に受信されたことを確認する、受信する段階と、
を備え
、
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つで、前記イーサネットPHYデバイスは、マイクロコントローラを制御するように、前記ピアイーサネットPHYデバイスに命令する、方法。
【請求項20】
リモートピアイーサネット物理層(PHY)デバイスを制御するための方法であって、
物理リンクを通じてピアイーサネットPHYデバイスに接続されるイーサネットPHYデバイスにおいて、前記ピアイーサネットPHYデバイスへの伝送のためにデータを搬送するレイヤ1フレームを生成する段階と、
前記イーサネットPHYデバイスにおいて、レジスタを介して前記GPIOポートを制御するためのパラメータを受信して、前記パラメータに基づいて、前記レイヤ1フレームと別個であり、前記ピアイーサネットPHYデバイスと関連付けられる汎用入出力(GPIO)ポートを制御するように構成される1または複数の管理フレームを前記レイヤ1フレームの中に挿入する段階と、
前記ピアイーサネットPHYデバイスと関連付けられる前記GPIOポートの1または複数の動作を制御すべく、前記レイヤ1フレームと挿入された前記1または複数の管理フレームとを、前記イーサネットPHYデバイスから前記物理リンクを通じて前記ピアイーサネットPHYデバイスに伝送する段階と、
前記イーサネットPHYデバイスにおいて、前記ピアイーサネットPHYデバイスから1または複数のベリフィケーションを受信する段階であって、前記1または複数のベリフィケーションは、前記1または複数の管理フレームが前記ピアイーサネットPHYデバイスにおいて成功裏に受信されたことを確認する、受信する段階と、
を備える、方法。
【請求項21】
前記1または複数の管理フレームを挿入する段階は、1または複数の運用管理および保守(OAM)フレームを挿入する段階を含む、請求項
19または20に記載の方法。
【請求項22】
イーサネット物理層(PHY)デバイスと関連付けられる汎用入出力(GPIO)ポートを制御するための方法であって、
物理リンクを通じてピアイーサネットPHYデバイスから送信されたデータを搬送するレイヤ1フレームを前記イーサネットPHYデバイスにおいて受信する段階と、
前記ピアイーサネットPHYデバイスから送信された1または複数の管理フレームを前記レイヤ1フレームの中で受信し、前記イーサネットPHYデバイスと関連付けられる前記GPIOポートを制御する、受信する段階と、
前記1または複数の管理フレームに含まれる命令に応じて前記イーサネットPHYデバイスと関連付けられる前記GPIOポートを制御する段階と、
前記イーサネットPHYデバイスから前記ピアイーサネットPHYデバイスに、1または複数のベリフィケーションを伝送する段階であって、前記1または複数のベリフィケーションは、前記1または複数の管理フレームが成功裏に受信されたことを確認する、伝送する段階と、
を備え
、
前記1または複数の管理フレームのうち少なくとも1つに応答して、前記イーサネットPHYデバイスは、マイクロコントローラを制御する、方法。
【請求項23】
前記1または複数の管理フレームを受信する段階は、1または複数の運用管理および保守(OAM)フレームを受信する段階を含む、請求項
22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、20194月19日に出願された米国仮特許出願第62/836,536号の利益を主張しており、当該特許出願の開示は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般的に、イーサネット(登録商標)通信、具体的にはイーサネット運用管理および保守(OAM)フレームなどの管理フレームを使用する汎用入出力(GPIO)インタフェースの動作方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車用の車内通信システム、特定の産業通信システムおよびスマートホームシステムなどの様々な応用は、比較的短い距離にわたって高いデータレートの通信を必要とする。いくつかの種類のプロトコルおよび通信媒体は、そのような応用を提案されてきている。例えば、自動車への応用のためのツイストペア銅線媒体にわたるイーサネット通信は、2016年6月の「IEEE Standard for Ethernet;Amendment 4:Physical Layer Specifications and Management Parameters for 1Gb/s Operation over a Single Twisted-Pair Copper Cable」と題されるIEEE Standard 802.3bp(登録商標)-2016において指定されている。この規格は、簡潔にするため「IEEE802.3bp」と本明細書で称される。IEEE802.3bp規格のセクション97.3.8は、1000BASE‐T1運用管理および保守(OAM)を指定する。
【0004】
上記の説明は、この分野の関連技術についての一般的な概要として示されており、含まれる情報のいずれかが本特許出願に対する先行技術を構成することを認めるものと解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に説明される実施形態は、リモートピアイーサネットPHYデバイスを制御するために動作するイーサネット物理層(PHY)デバイスを提供する。イーサネットPHYデバイスは、PHYインタフェースおよびPHY回路を含む。PHYインタフェースは、物理リンクに接続するように構成される。PHY回路は、ピアイーサネットPHYデバイスへの伝送のためにデータを搬送するレイヤ1フレームを生成し、レイヤ1フレームと別個であり、ピアイーサネットPHYデバイスと関連付けられる汎用入出力(GPIO)ポートを制御するように構成される1または複数の管理フレームをレイヤ1フレーム中に挿入し、レイヤ1フレームと挿入された管理フレームとを、PHYインタフェースを介して、物理リンクを通じてピアイーサネットPHYデバイスに、ピアイーサネットPHYデバイスと関連付けられるGPIOポートの1または複数の動作を制御するために伝送し、1または複数の管理フレームがピアイーサネットPHYデバイスにおいて成功裏に受信されたことを確認する1または複数のベリフィケーションを、PHYインタフェースを介して受信するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態において、PHY回路は、1または複数の運用管理および保守(OAM)フレームを挿入することにより管理フレームを挿入するように構成される。一実施形態において、管理フレームのうち少なくとも1つで、PHY回路は、GPIOポートを特定の出力論理レベルに設定するようにピアイーサネットPHYデバイスに命令するように構成される。別の実施形態において、管理フレームのうち少なくとも1つで、PHY回路は、GPIOポートの入力論理レベルを読み取るようにピアイーサネットPHYデバイスに命令するように構成される。開示される実施形態において、管理フレームのうち少なくとも1つで、PHY回路は、車両における安全制御動作を実行するようにマイクロコントローラを制御するようにピアイーサネットPHYデバイスに命令するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態において、PHY回路は、ホストから1または複数の管理フレームを受信するように構成される。他の実施形態において、PHY回路は、レジスタを介してGPIOポートを制御するためのパラメータを受信するように、当該パラメータに基づいて1または複数の管理フレームを構成するように構成される。
【0008】
本明細書に説明される実施形態によって、リモートピアイーサネットPHYデバイスにより制御されるイーサネット物理層(PHY)デバイスがさらに提供される。イーサネットPHYデバイスは、PHYインタフェースおよびPHY回路を含む。PHYインタフェースは物理リンクに接続するように構成され、PHY回路は、PHYインタフェースを介して、物理リンクを通じてピアイーサネットPHYデバイスから送信されるデータを搬送するレイヤ1フレームを受信し、イーサネットPHYデバイスと関連付けられる汎用入出力(GPIO)ポートを制御するピアPHYデバイスから送信される1または複数の管理フレームをレイヤ1フレームの中に受信し、1または複数の管理フレームに含まれる命令に応じてGPIOポートを制御し、PHYインタフェースを介して、1または複数の管理フレームが成功裏に受信されたことを確認する1または複数のベリフィケーションを、ピアイーサネットPHYデバイスに伝送するように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態において、PHY回路は、1または複数の運用管理および保守(OAM)フレームを受信することによい管理フレームを受信するように構成される。例示的な実施形態において、管理フレームのうち少なくとも1つに応答して、PHY回路は、GPIOポートを特定の出力論理レベルに設定するように構成される。別の実施形態において、管理フレームのうち少なくとも1つに応答して、PHY回路は、GPIOポートの入力論理レベルを読み取り、ピアイーサネットPHYデバイスにGPIOの入力論理レベルを報告するように構成される。いくつかの実施形態において、管理フレームのうち少なくとも1つに応答して、PHY回路は、車両における安全制御動作を実行するようにマイクロコントローラを制御するように構成される。
【0010】
本明細書に説明される実施形態によって、マイクロコントローラ、第1イーサネットPHYデバイスおよび第2イーサネットPHYデバイスを含むイーサネット通信システムがさらに提供される。第1イーサネットPHYデバイスは、汎用入出力(GPIO)ポートによりマイクロコントローラに接続される。第2イーサネットPHYデバイスは、物理リンクを介して第1イーサネットPHYデバイスに接続される。第2イーサネットPHYデバイスは、データを搬送する第1イーサネットPHYデバイスとレイヤ1フレームを交換し、レイヤ1フレームと別個であり、第1イーサネットPHYデバイスのGPIOポートを介してマイクロコントローラを制御するように構成される1または複数の管理フレームを、レイヤ1フレームの中で第1イーサネットPHYデバイスに伝送し、PHYインタフェースを介して、1または複数の管理フレームが第1イーサネットPHYデバイスにおいて成功裏に受信されたことを確認する1または複数のベリフィケーションを、第1イーサネットPHYデバイスから受信するように構成される。
【0011】
一実施形態において、管理フレームのうち少なくとも1つで、第2イーサネットPHYデバイスは、車両における安全制御動作を開始するように構成され、当該第1イーサネットPHYデバイスは、GPIOポートを介してマイクロコントローラを制御して安全制御動作を実行するように構成され。当該マイクロコントローラは、GPIOポートの制御に応答して安全制御動作を実行するように構成される。
【0012】
別の実施形態において、管理フレームのうち少なくとも1つに応答して、第1イーサネットPHYデバイスは、GPIOポートを介してマイクロコントローラをリセットするように構成される。さらに別の実施形態において、管理フレームのうち少なくとも1つに応答して、第1イーサネットPHYデバイスは、GPIOポートを介してマイクロコントローラのステータスを読み取るように構成される。さらに別の実施形態において、第1イーサネットPHYデバイスは、マイクロコントローラが正常に機能するか、または機能不良であるかに関わらずGPIOポートを制御するように構成される。
【0013】
また、本明細書に説明される実施形態によって、リモートピアイーサネット物理層(PHY)デバイスを制御するための方法が提供される。当該方法は、物理リンクを通じてピアイーサネットPHYデバイスに接続するイーサネットPHYデバイスにおいて、ピアイーサネットPHYデバイスへの伝送のためのデータを搬送するレイヤ1フレームを生成する段階を含む。1または複数の管理フレームは、イーサネットPHYデバイスにおけるレイヤ1フレームの中に挿入される。1または複数の管理フレームは、レイヤ1フレームと別個であり、ピアイーサネットPHYデバイスと関連付けられる汎用入出力(GPIO)ポートを制御するように構成される。レイヤ1フレームと挿入された管理フレームとは、物理リンクを通じてイーサネットPHYデバイスからピアイーサネットPHYデバイスに伝送され、ピアイーサネットPHYデバイスと関連付けられるGPIOポートの1または複数の動作を制御する。1または複数の管理フレームがピアイーサネットPHYデバイスにおいて成功裏に受信されたことを確認する1または複数のベリフィケーションは、ピアイーサネットPHYデバイスからイーサネットPHYデバイスで受信される。
【0014】
本明細書に説明される実施形態によって、イーサネット物理層(PHY)デバイスと関連付けられる汎用入出力(GPIO)ポートを制御するための方法がさらに提供される。当該方法は、物理リンクを通じてピアイーサネットPHYデバイスから送信されるデータを搬送するレイヤ1フレームをイーサネットPHYデバイスにおいて受信する段階を含む。ピアPHYデバイスから送信されてイーサネットPHYデバイスと関連付けられるGPIOポートを制御する1または複数の管理フレームは、レイヤ1フレームの中で受信される。イーサネットPHYデバイスと関連付けられるGPIOポートは、1または複数の管理フレームに含まれる命令に応じて制御される。1または複数の管理フレームが成功裏に受信されたことを確認する1または複数のベリフィケーションは、イーサネットPHYデバイスからピアイーサネットPHYデバイスに伝送される。
【0015】
本開示は、図面と照らし合わせると、その実施形態に関する以下の詳細な説明から、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本明細書に説明される実施形態によって自動車用通信システムを概略的に示すブロック図である。
【0017】
【
図2】本明細書に説明される実施形態によって、
図1のシステムにおけるイーサネット物理層(PHY)デバイスを概略的に示すブロック図である。
【0018】
【
図3】本明細書に説明される実施形態によって、GPIOコマンドを搬送するイーサネット運用管理および保守(OAM)フレームを示す図である。
【0019】
【
図4】本明細書に説明される実施形態によって、ピアイーサネットPHYデバイスにおいて汎用入出力(GPIO)ポートを制御するための方法を概略的に示すフローチャートである。
【0020】
【
図5】本明細書に説明される実施形態によって、アビオニクス通信システムを概略的に示すブロック図である。
【0021】
【
図6】本明細書に説明される別の実施形態によって、通信システムを概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書に説明される実施形態は、改善されたイーサネット通信の方法およびシステムを提供し、当該方法及びシステムは、例えば、運用管理および保守(OAM)フレームなどの管理フレームの交換を介して、ピアイーサネットPHYデバイスにおいて、イーサネットPHYデバイスがGPIOポートを制御する。
【0023】
いくつかの実施形態において、イーサネットPHYデバイスは、例えば、ツイストペアリンクなどの物理リンクを通じてピアPHYデバイスと通信する。PHYデバイスは、機能の中でも特に、物理リンク(物理媒体)を通じてのピアPHYデバイスへの伝送に適切なやり方で、レイヤ2イーサネットフレームを符号化するレイヤ1フレームを生成するように構成される。ピアPHYデバイス(「リンクパートナー」とも称される)は、汎用入出力(GPIO)ポートと関連付けられる(例えば、一体型GPIOポートを備えるか、またはGPIOポートを備えるホストにローカルに接続される)。通常、レイヤ2フレームを符号化してレイヤ1フレームのストリームを生成することは、1対1変換プロセスではない。符号化プロセスは通常、適用可能なリンク層技術に指定される適切なアルゴリズムに従って実行される。
【0024】
レイヤ1フレームのストリームを組み立てる段階において、PHYデバイスは、ピアPHYデバイス(リンクパートナーと称されることがある)と関連付けられるGPIOポートを制御するように構成される1または複数のイーサネットOAMフレームを、レイヤ2イーサネットフレームの中で符号化するように構成される。PHYデバイスは、レイヤ2フレームとOAMフレームとを備えるレイヤ1フレームを、物理リンクを通じてピアPHYデバイスに伝送するように構成される。
【0025】
例えば、上記のIEEE802.3bp規格において指定されるように、イーサネットOAMは、反対方向においてOAMフレームを使用する組み込みの確認メカニズムをサポートする。いくつかの実施形態において、PHYデバイスは、1または複数のOAMフレームがピアイーサネットPHYデバイスにおいて受信に成功したことを確認する1または複数のOAMベリフィケーションを、ピアPHYデバイスから受信するように構成される。このように、リモートGPIOポートを制御するために高度の信頼性を持つメカニズムは、PHYリンク層内、すなわち、OSI層‐1内において完全に実装される。
【0026】
原理的には、GPIO制御専用の従来のイーサネットフレームを使用してリモートGPIOポートを制御することが可能である。この解決手段は、しかしながら、メディアアクセス制御(MAC)層、および、場合によっては上位層に影響を与え、実装が複雑であり、大きい遅延を生じさせる。その一方、開示された技術は、上位層に関与することなく完全にPHYデバイス内で実装され、実装がより簡単であり、最小のレイテンシオーバーヘッドしか生じない。
【0027】
さらに、専用イーサネットフレームを使用してリモートGPIOポートを制御することは通常、追加のマイクロコントローラおよびソフトウェアスタックの使用、およびデータフレームの中でも特にそのようなイーサネットフレームの追加スケジューリングとインタリービングを必要とする。この追加の複雑さは、信頼性の低下および配信の漏れのリスクをもたらす。さらに、開示された技術は、コントローラエリアネットワーク(CAN)の適切な置換を提供する。コントローラエリアネットワーク(CAN)は、いくつかの従来の自動車用ネットワークにおいて、電子制御ユニット(ECU)間の安全メッセージのための冗長通信手段として使用される。以下に説明および例示されるように、開示された技術の信頼性は、他のシステムまたはコントローラに依存するものではない。いくつかの典型的な実装において、開示された解決手段は、単一の集積回路(IC)において完全に自己完結型である。
【0028】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、自動車への応用、例えば、様々な自動車用周辺機器が電子制御ユニット(ECU)と通信し、ECUが互いに通信するシステムの文脈において説明される。他の例示的な実施形態は、アビオニクス通信システムの文脈で説明される。いくつかの使用事例は、自動車通信システムおよびアビオニクス通信システムの安全制御機能に関する。しかしながら、これらの実施形態はおよび使用例は単に例として提供される。開示された技術は、例えば産業および/またはスマートホームネットワークなどの他の応用においても同様に適用可能である。
【0029】
明確さのために、本明細書に説明される実施形態は主に、イーサネットOAMフレームを指す。しかしながら、一般的に、開示された技術は、OAMフレームに限定されず、いずれかの適切な種類の管理フレームを使用して実装され得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、OAMフレームは、PHYデバイスに接続されるホストにより構成される。これらの実施形態において、PHYデバイスは、ホストからOAMフレームを受信し、当該OAMフレームを、レイヤ1フレームのストリームの一部として符号化する。代替的な実施形態において、OAMフレームはPHYデバイスの内部で構成される。例示的な実施形態において、PHYデバイスは、例えば、レジスタを介して、リモートGPIOを制御するためのパラメータを受信し、受信されたパラメータに基づいてOAMフレームを構成する。
【0031】
図1は、本明細書に説明される実施形態によって自動車用通信システム20を概略的に示すブロック図である。システム20は通常、例えば、乗用車などの車両にインストールされる。システム20は、イーサネット通信を使用して複数の自動車用周辺機器32を制御する1または複数の自動車用電子制御ユニット(ECU)24およびメイン自動車用ECU28を備える。
【0032】
以下に詳細に説明されるように、タスクの中でも特に、ECU24とメインECU28とは、イーサネットOAMフレームに組み込まれている安全ステータスメッセージを送信し、組み込まれた安全ステータスメッセージに基づいて、リモートGPIOポートを制御することにより、様々なシステムコンポーネントの安全ステータスを検証する。本例において、システム20は、上記のIEEE802.3bp規格に従って動作する。しかしながら、代替的に、いずれの他の適切なイーサネット規格または他の適切なネットワーク通信プロトコルが使用され得る。開示された技術は、いずれかの適切な物理層を変更するのに使用され、リモートGPIOの制御の目的のためにさらなる情報を搬送し得る。
【0033】
様々な実施形態において、自動車用周辺機器32は、例えば、ライダ、レーダー、カメラ、ステレオ増幅器、テレマティクス無線機、ボディECU、パワートレイン、および/またはいずれの他の適切な種類の周辺機器を備え得る。通信および制御の目的のために、周辺機器32の各々は、システムオンチップ(SoC)36とも称されるホストコントローラ、およびPHYデバイス40を備える。各周辺機器32は、それぞれの物理層によりECU24のうち一つに接続される。
【0034】
各ECU24は、周辺機器32と通信する複数のPHYデバイス44を備える。各PHYデバイス44は、PHYデバイスの物理符号化副層(PCS)機能を実行するPCS回路48と、PHYデバイスの物理媒体接続副層(PMA)機能を実行するPMA回路52とを備える。
【0035】
一実施形態において、各ECU24はさらに、周辺機器32をメインECU28に接続する自動車用イーサネットネットワークスイッチ56を備える。スイッチ56は、複数のポート57を備える。各PHYデバイス48は、スイッチ56のそれぞれのポート57に接続される。各ECU24はさらに、ECU24の、および/または関連する周辺機器32の安全ステータスを検証する安全マイクロコントローラ(μC)68を備え、対応する安全メッセージをメインECU28に送信する。安全μC68は、安全ステータスメッセージを1または複数のロジック信号(「ステータス」と図示される)として出力するステータス出力回路72を備える。
【0036】
本例において、各ECU24は、メインECU28と通信する役割を担うPHYデバイス58を備える。PHYデバイス58は、スイッチ56のポート57のうち一つと、ECU24をメインECU28と接続する物理リンク62とに接続される。本例において、リンク62はIEEE802.3bpに従うツイストペアリンクを備える。
【0037】
メインECU28との通信の一部として、PHYデバイス58は従来のレイヤ2イーサネットフレームを伝送し、また、イーサネットOAMフレームに組み込まれた安全μC68により生成される安全ステータスメッセージを伝送する。通常、PHYデバイス58は、適用可能なリンク層アルゴリズムに従ってレイヤ2イーサネットフレームとOAMフレームとを結合して、物理媒体を通じた伝送のためにレイヤ1フレームを形成する。IEEE802.3bpの場合において、物理媒体は非シールドツイストペア(UTP)を備える。
【0038】
ECU24のPHYデバイス58は、PCS回路48、PMA回路60およびGPIO制御回路64を備える。GPIO制御回路64は、安全μC68から安全ステータスメッセージを搬送する(1または複数の)ロジック信号を、(1または複数の)それぞれのGPIO入力ポートを使用して受信する。PHYデバイス58は、イーサネットOAMフレームに安全ステータスメッセージを組み込み、リンク62を通じてメインECU28に伝送されるイーサネットレイヤ1フレームのストリームにOAMフレームを挿入する。PHYデバイス58のこの機能および内部構造は、以下の
図2により詳細に説明される。
【0039】
メインECU28は、ネットワークスイッチ56、ネットワークスイッチ56のポート57に接続される複数のPHYデバイス58、およびメイン安全μC76を備える。各PHYデバイス58は、それぞれの物理層62を通じてそれぞれのECU24に接続される。
【0040】
メインECU28の各PHYデバイス58において、PMA回路60およびPCS回路48は、ECU24とメインECU28のスイッチ56との間で従来のイーサネットトラフィックを伝送する。加えて、メインECU28の各PHYデバイス58において、PCS回路48は、ECU24から受信されるレイヤ1フレームのストリームからOAMフレームを抽出し、当該OAMフレームから安全ステータスメッセージを抽出し、当該安全ステータスメッセージをGPIO制御回路64に送信する。GPIO制御回路64は、安全ステータスメッセージに従って1または複数のGPIO出力を設定する。メイン安全μC76は、PHYデバイス58からGPIO出力を受信するステータス入力回路80を備える。メイン安全μC76は、ECU24の様々な安全μC68から受信される安全ステータスメッセージに応答して、いずれかの適切な安全関連動作を開始し得る。
【0041】
図2は、本明細書に説明される実施形態によってシステム20のイーサネットPHYデバイス58の内部構造を概略的に示すブロック図である。通常、ECU24とメインECU28とにおけるPHYデバイス58は同様の内部構造を有する。本例において、PCS回路48はPCS伝送(TX)回路100、PCS受信(RX)回路104、およびPCS OAM回路108を備える。
【0042】
PCS TX回路100は、(例えば、スイッチ56からの)伝送のためにイーサネットレイヤ2フレームを受信し、それらを符号化してレイヤ1フレームのストリームを生成し、レイヤ1フレームをPMA回路60に提供する。本明細書においてPHYインタフェースとも称されるPMA回路60は、物理リンク62を通じてレイヤ1フレームを伝送する。反対方向において、PMA回路60は物理リンク62を通じてレイヤ1フレームを受信し、それらをPCS RX回路104に供給する。PCS RX回路104はレイヤ1フレームを復号してレイヤ2フレームを生成し、当該レイヤ2フレームを(例えば、スイッチ56に)出力する。
【0043】
いくつかの実施形態において、PHYデバイス58はさらに、PHYコントローラ112、リンクモニタ116およびGPIO制御回路64を備える。PHYコントローラ112は、例えば、スイッチからの制御および設定コマンドを受信するために、シリアル管理インタフェース(SMI)を通じてスイッチ56に(例えば、スイッチ56のメディアアクセス制御(MAC)デバイスに)接続される。スイッチ56は、例えば、SMIを介してPHYデバイス58の初期化およびモニタリングを行い得る。リンクモニタ116は、物理リンク62を通じて通信品質をモニタリングするように構成される。
【0044】
また、いくつかの実施形態において、PHYコントローラ112は、安全ステータスメッセージを送受信する役割を担う。PHYデバイス58がECU24のうち一つで動作する場合、PHYコントローラ112は、(GPIO制御回路64を介して安全μC68から)メインECU28に報告されるべき安全ステータスメッセージを示す論理値を受信する。PHYコントローラ112は、PCS OAM回路108に論理値を送信する。PCS OAM回路108は、安全ステータスメッセージを搬送する1または複数のOAMフレームを構築し、PCS TX回路100により生成されるレイヤ1フレームのストリームにOAMフレームを含める。レイヤ2イーサネットフレームとOAMフレームとから符号化されたレイヤ1フレームは、リンク62を通じてPMA回路60により伝送される。
【0045】
PHYデバイス58がメインECU28において動作する場合、PMA回路60は、リンク62を通じて、レイヤ2イーサネットフレームと安全ステータスメッセージを搬送する1または複数のOAMフレームとを符号化するレイヤ1フレームのストリームを、ECU24のうち一つから受信する。PMA回路60は、レイヤ1フレームのストリームをPCS RX回路104に供給する。PCS OAM回路108は、ストリームからOAMフレームを抽出し、OAMフレームから安全ステータスメッセージを抽出し、対応する論理値をPHYコントローラ112に送信する。PHYコントローラ112は論理値をGPIO制御回路64に送信し、次にGPIO制御回路64は適切なGPIO出力を設定する。GPIO出力はこのように、メイン安全μC76のステータス入力回路80への入力として提供される。
【0046】
本明細書に説明される実施形態において、(安全μC68とメイン安全μC76との間で交換が行われ、安全ステータスメッセージを示す)論理値は静的な離散論理値である。しかしながら、開示された技術はこの種類の実装に限定されるものではない。代替的な実施形態において、いずれかの論理値は時間の経過と共に変更するので、例えば、複数のビットの情報を搬送する論理値の一時的パターンを形成し得る。時間の経過と共に特定のGPIOポート(pin)で論理値を変動させることにより、いずれかの適切なプロトコルによってPHYデバイス間でデータを伝送するシリアルデータリンクを実装することが可能である。複数のGPIOポート(pin)にそれぞれ対応する複数の論理値を変動させることにより、開示された技術は、PHYデバイス間でパラレルデータリンクを実装するのに使用され得る。追加的に、または代替的に、論理値は必ずしも離散デジタル値である必要はなく、いずれかの適切なやり方で情報を搬送するアナログ波形を有し得る。
【0047】
本文脈で、(PCS TX回路100、PCS RX回路104およびPCS OAM回路108を含む)PCS回路48、PHYコントローラ112、GPIO制御回路64およびリンクモニタ116は、まとめて「PHY回路」と称される。代替的な実施形態において、PHY回路は、いずれの他の適切な方式で実装され得る。
【0048】
図3は、本明細書に説明される実施形態によって、GPIOコマンド、例えば、安全ステータスメッセージを搬送するOAMフレームを示す図である。一実施形態において、PHYデバイス(例えば、
図1および
図2におけるPHYデバイス58)は、この種類のOAMフレームを使用して、リンクパートナー(例えば、リモートPHYデバイス58)のリモートGPIOポートを制御する。
図3の例示的なOAMフレームの構造は、上記のIEEE802.3bp規格のセクション97.3.8に準拠する。しかしながら、開示された技術は、任意の特定のフォーマット、およびいずれの他の適切なフォーマットに限定されるものではない。さらに、上記のように、開示された技術は、必ずしもOAMフレームではなく、他の適切な種類の管理フレームを使用して実装され得る。
【0049】
図面に示すように、OAMフレームは12個のシンボル(Symbol_0からSymbol_11と示される)を備え、各シンボルは9つのビット(D0からD8と示される)を含む。Symbol_0、Symbol_1のビットD4からD7、Symbol_10、およびSymbol_11、並びに各シンボルのビットD8は、IEEE802.3bpと同様に定義される。
【0050】
いくつかの実施形態において、Symbol_1のビットD0からD3を占める「メッセージ番号」フィールド120は、GPIOメッセージ指示専用の4ビット値に設定されている。様々な実施形態において、symbol_2からSymbol_10のいずれかまたは全ては、実際のGPIOコマンドまたは複数のコマンド用の空間124になり得る。一実施形態において、各シンボルは、リモートPHYデバイスのそれぞれの異なるGPIOポート(入力または出力)に対するGPIOコマンドを指定するために使用される。
【0051】
一実施形態において、OAMフレームのSymbol_1における「メッセージ番号」フィールド120は、4b'1111に設定されるが、いずれの他の適切な値が使用され得る。GPIOコマンドは、以下のように、OAMフレームのSymbol_8およびSymbol_9に組み込まれる。
【表1】
【0052】
示すように、Symbol_9は0×01で設定され、OAMフレームがリモートGPIOコマンドを搬送することを示す。Symbol_8のGPIOコマンドは、以下のフィールドを含む。
・GPIOコマンドコード(GPIO読み取り要求を示す0×00、GPIO書き込み要求を示す0×01、GPIO読み取り応答、すなわち確認を示す0×02、予備値を示す0×03)
・GPIO方向ビット("1"=出力,"0"=入力)
・GPIO値("1"=ハイ,"0"=ロー)
【0053】
代替的に、いずれの他の適切なフォーマットおよび/またはいずれの他の適切な数値が、OAMフレームにGPIOコマンドを組み込むために使用され得る。
【0054】
一実施形態において、開示されるリモートGPIO機能が両方のリンクパートナー(PHYデバイス)で有効である場合、当該機能はリンクアップすると作業を始める。動作中に、各GPIOポート(pin)のpinステータスおよび値は通常、(リモートPHYデバイスの)GPIO制御回路64と、リモートGPIOレジスタとの両方に反映される。一実施形態において、上記の表1の例に従って、リモートPHYデバイスのGPIOレジスタは、以下のフォーマットを有する。
【表2】
【0055】
この例において、GPIOレジスタのビットは以下のように定義される。
・Bit<15>:リモートGPIOの制御機能を有効にする
・Bit<14:8>:予備であり、全て0に設定される
・Bit<7>:1に設定し、GPIO読み取り/書き込みを実行する。ビット6(以下に定義される)がGPIO書き込みを示す場合、PHYデバイスは、ビット<5:0>のGPIO方向および値とともに、「GPIO書き込み要求」をリンクパートナーに自動的に送信する。ビット6がGPIO読み取りを示す場合、PHYデバイスは、「GPIO読み取り要求」を自動的に送信し、ビット<5:0>を、その次に受信される「GPIO読み取り応答」OAMフレームにおける受信されたGPIO方向および値で更新する。このビットは、GPIO書き込みがリンクパートナーにより確認された場合、またはGPIO読み取り応答がGPIO読み取り要求に対して受信された場合に自動的にクリアされる。
・Bit<6>:0=読み取り、1=書き込み
・Bit<5:3>:GPIO方向<2:0>
・Bit<2:0>:GPIO値<2:0>
【0056】
一実施形態において、GPIO情報の更新レートは、OAM期間と一致するように設定される。(3.6μs×12=43.2μs)開示されるリモートGPIO機能が有効である場合、GPIOコマンドを搬送する新しいOAMフレームを受信すると、リモートPHYデバイスは、「GPIOコマンド」フィールドを解釈して適切な動作を決定する。
【0057】
GPIOコマンドが「GPIO書き込み要求」である場合、リモートPHYデバイスは、自らのローカルGPIOレジスタおよびGPIOピンをOAMフレームに示される方向および値に従って更新し、読み取りとしてOAMフレームをマークする。GPIOコマンドを処理すると、(IEEE802.3bpにおいて指定された)mr_rx_lp_valid状態変数は、「0」にクリアされ、PHYデバイスが次のOAMフレームのために準備されていることを示す。
【0058】
GPIOコマンドが「GPIO読み取り要求」である場合、リモートPHYデバイスは、要求中のPHYデバイスに「リモートGPIO OAM」フレームを返送する。この「リモートGPIO OAM」フレームにおいて、GPIOコマンドは、「GPIO読み取り応答」に設定され、「GPIO方向」および「GPIO値」フィールドはローカルGPIOレジスタの現在のステータスを反映する。GPIOコマンドを処理すると、mr_rx_lp_validは、「0」にクリアされ、PHYデバイスが次のOAMフレームのために準備されていることを示す。
【0059】
GPIOコマンドが「GPIO読み取り応答」である場合、受信側PHYデバイスは、受信されたリモートGPIO方向および値を自らのリモートGPIOレジスタに格納する。コマンドを処理すると、読み取り要求がリモートGPIOレジスタから発信される場合、mr_rx_lp_validは「0」にクリアされ、次のOAMフレームの準備を行う。そうでなければ、管理エンティティがOAMメッセージレジスタを通じて処理できるように、mr_rx_lp_validは「1」で保たれる。
【0060】
いくつかの実用的なシナリオにおいて、既存のOAMフレームが実行中(すなわち、伝送されたがまだ確認されていない)であることが生じ、同時に別のユーザOAMフレームは伝送を待機し得る。そのような場合において、PHYデバイスは通常、既存のOAM伝送が確認された直後であるが、次のユーザOAMメッセージが伝送される前に、リモートGPIO OAMフレームを伝送する。管理エンティティは通常、正常OAM動作と同様に、リンクパートナーの管理エンティティがOAMを処理していないため、長時間OAMフレームが伝送されることができないシナリオを検出および処理する。
【0061】
一実施形態において、例えば、「オープンドレイン」ミラーリングを使用する場合、単一GPIOポート(pin)は、双方向シグナリングのため、すなわち入力と出力との両方として使用され得る。この種類の実装は、例えば、2線シリアルインタフェースを双方向に伝送して、リモートシステムの初期化、モニタリングまたは管理を行うのに有用である。例示的な実施形態において、初期化または他の管理タスクが完了した後、モードスイッチが実行され、単一方向ピンとしてGPIOピンを使用し得る。
【0062】
図4は、本明細書に説明される実施形態によって、ピアイーサネットPHYデバイス58においてGPIOポートを制御するためのイーサネットPHYデバイス58により搬送される方法を概略的に示すフローチャートである。方法は、OAMフレーム組成動作130において、GPIOコマンドが組み込まれたOAMフレームを構成するPHYデバイス(例えば、ネットワークスイッチ56のMACデバイス)のホストとともに始まる。ホストは、ホストのOAMレジスタにOAMフレームを書き込む。書き込み動作134において、ホストは、SMIを通じてOAMレジスタからOAMフレームをPHYデバイスに書き込む。
【0063】
挿入動作138において、PHYデバイスのPHYコントローラ112とPCS OAM回路108とは、PCS TX回路100がレイヤ2イーサネットフレームから、例えば、2つの連続したレイヤ2イーサネットフレームの間で生成する、レイヤ1フレームのストリームのOAMフレームを含む。伝送動作142において、PHYデバイスのPMA回路60は、媒体依存インタフェース(MDI)を使用して、例えばリンク62を通じて、レイヤ1フレームをピアPHYデバイスに伝送する。レイヤ1フレームは、レイヤ2イーサネットフレームとOAMフレームとを伝達する。
【0064】
ピアPHYデバイスにおいて、受信および抽出動作146において、PMA回路60はレイヤ1フレームのストリームを受信し、PCS OAM回路108はストリームからOAMフレームを抽出する。GPIOコマンド処理動作150において、PHYコントローラ112は、OAMフレームがGPIOコマンドを搬送しているものと識別し、それに従ってGPIO制御回路64を制御する。例えば、GPIOコマンドが書き込みコマンドである場合、PHYコントローラ112は、コマンドにおいて指定されるGPIOポートに、コマンドにおいて指定される値を書き込む。GPIOコマンドが読み取りコマンドである場合、PHYコントローラ112は、コマンドにおいて指定されるGPIOポートから値を読み取る。
【0065】
確認動作154において、ピアPHYデバイスのPHYコントローラ112は、GPIOコマンドを開始するPHYデバイスに確認メッセージを構成および返還する。IEEE802.3bpのセクションの97.3.8.2.8において指定されるように、確認メッセージそのものが、反対方向において送信されるOAMフレームである。
【0066】
図4の方法は例示的な方法であり、単に明確さのために示される。代替的な実施形態において、PHYデバイスおよびピアPHYデバイスは、動作のいずれの他の適切なフローを使用して、開示された技術を実行し得る。例えば、代替的な実施形態においては、ホストではなくPHYデバイスが、GPIOコマンドを搬送するOAMフレームを構成する。この実施形態において、ホストは通常、コマンドパラメータ(例えば、書き込みコマンドの場合に書き込まれるべきコマンドコード、GPIOポート数、および値)を送信し、PHYコントローラ112は、これらのパラメータを使用してOAMフレームを構成する。
【0067】
様々な実施形態において、PHYデバイスは、開示された技術を使用して、GPIOポートまたはリモートPHYデバイスのポートを使用するいずれかの適切な動作を適用し得る。1つの例示的な実施形態において、リモートPHYデバイスのGPIOポートは、リモートホストのリセットピンに接続され、PHYデバイスは、物理イーサネットリンクを通じて、リモートでリモートホストをリセットする開示された技術を使用する。別の例示的な実施形態において、リモートホストの「ステータス出力」ポートは、リモートPHYデバイスのGPIOポートに接続され、PHYデバイスは、物理イーサネットリンクを通じてリモートでリモートホストのステータスをクエリする開示された技術を使用する。一実施形態において、2以上のリモートホストの「ステータス出力」ポートが、適切なロジック(例えば、ORまたはNORゲート)を使用して組み合わされ、ロジックの出力はリモートPHYデバイスのGPIOポートに接続される。このように、PHYデバイスは、単一GPIOポートを使用して、複数のリモートホストの組み合わされたステータス(例えば、いずれかのホストが故障したか)をクエリすることが可能である。
【0068】
上記の説明は、自動車用通信システムにおける安全マイクロコントローラ間の安全ステータスメッセージの交換のための開示されたリモートGPIOの制御技術の場合の使用例を示す。以下の説明は、2つの追加の使用例を提供し、一方はアビオニクスシステムにおけるソフトウェア検証の簡素化に関連し、もう一方はコントローラ間の透過的GPIOベースの通信に関連する。
【0069】
図5は、本明細書に説明される実施形態によって、アビオニクス通信システムを概略的に示すブロック図である。
図5のシステムにおいて、メインシステムマイクロコントローラ(μC)160はイーサネットPHYデバイス168に連結され、リモートμC164はイーサネットPHYデバイス172に連結される。PHYデバイス168および172はリンクパートナーであり、例えば、ツイストペアリンクなどの適切な物理層を通じて、MDIを使用して互いに通信する。データ送信のために、メインμC160は、MACインタフェースを介してレイヤ2フレームのデータをPHYデバイス168に送信し、PHYデバイス168は、MDIを使用してデータをレイヤ1フレームのPHYデバイス172に送信し、PHYデバイス172は、MACインタフェースを介してレイヤ2フレームのリモートμC164にデータを送信する。
【0070】
μC160と164との間のデータの伝送に加えて、本例においては、同じ物理層リンク(MDI)を通じて安全メッセージを伝送する必要がある。安全メッセージの移動のために同じ物理層リンクを再利用することは、例えば、ワイヤの数の低減および配線プロセスの簡素化ことに有用である。
【0071】
1つの例示的な使用例において、例えば、パブリックアナウンスメント(PA)の間に娯楽システムを一時停止すべく、4つの可能値(State_0からState_3で示される)を有する安全状態が、航空機娯楽システムに伝送される。ソフトウェアの検証を簡略化すべく、安全メッセージはメインμC160およびリモートμC164から独立して伝送されることが望ましい。
【0072】
図5の実施形態において、安全メッセージ(安全状態値)は、安全制御μC176、4-to-2エンコーダ180、および2-to-4デコーダ184を使用して、残りのシステムから独立して伝送される。さらに、PHYデバイス168は、GPIO1およびGPIO2で示される2つのGPIO入力ポートを有し、PHYデバイス172は、GPIO1およびGPIO2で示される2つのGPIO出力ポートを有する。2つのPHYデバイスは、PHYデバイス168のGPIO1およびGPIO2の入力値をPHYデバイス172に伝送することと、PHYデバイス172のGPIO1およびGPIO2の出力をこれらの値に設定することとを行うように構成される。PHYデバイスは、上記のように、OAMフレームのGPIOコマンドとして2つのGPIO値を組み込むことにより、当該2つのGPIO値を伝送する。
【0073】
本例において、安全状態の値は、State_0からState_3に対応する4つの入力を通じて(図の左側に)提供される。これらの入力のうち単一入力は、「1」に設定されて現在の安全状態を示し、他の入力は「0」に設定される。4-to-2エンコーダ180は、4つの入力を2ビット値に変換し、PHYデバイス168のポートGPIO1およびGPIO2に入力として当該2ビットを提供する。PHYデバイス168は、GPIO1およびGPIO2の値を、開示された技術を使用して自らのリンクパートナー(ピアPHYデバイスとも称される)PHYデバイス172に伝送する。PHYデバイス172は、自らのGPIO1およびGPIO2出力をこれらの値に設定する。2-to-4デコーダ184は、GPIO1およびGPIO2により搬送される2ビット値を復号化し、その結果、4つの元の値State_0からState_3を(図の右側において)再構築および出力する。
【0074】
この実施形態において、安全メッセージの伝送は、システムの他のマイクロコントローラから独立して、安全制御μC176により管理される。本例において、メインシステムμC160とPHYデバイス168との間のシリアル管理インタフェース(SMI)は、安全制御μC176を通過する。この設定は、例えば、システムの安全側面が、後でメインμC160により(例えば、メインμCを損傷させたマルウェア)再構成されることができないことを確実にするために有用である。しかしながら、安全制御μC176を介してSMIを通過することは、必須ではない。
【0075】
通常動作の間、安全制御μC176は、SMIトラフィックがメインシステムμC160とPHYデバイス168との間を透過的に通過することを可能にする。安全メッセージを伝送すべく、安全制御μC176はSMIをオーバーライドし、すなわち、メインシステムμC160のSMIトラフィックがPHYデバイス168に送信されることを防止し、PHYデバイス168自体を制御する。また、安全制御μC176は通常、パワーアップすると、PHYデバイス168および172を初期化する。
【0076】
通常、安全制御μC176は小さく、小量の簡単なソフトウェアコードのみを実行する。そのため、また、安全制御μC176がμC160および164と別個であるため、安全関連ソフトウェアの検証は大幅に簡略化される。例えば、μC160または164のソフトウェアを更新する場合、安全関連ソフトウェアを再検証する必要がない。
【0077】
図6は、本明細書に説明される別の実施形態によって、通信システムを概略的に示すブロック図である。
図6の実施形態は、GPIOポートがPHYデバイスの一部ではなくホストの一部である設定を示す。本開示の文脈および特許請求の範囲において、GPIOポートはPHYデバイスと関連付けられて参照される。用語「関連付けられる」は、(
図1、
図2、および
図5の例と同様に)GPIOポートがPHYデバイスの一部である実装と、(
図6の例と同様に)GPIOポートがPHYデバイスに連結されているホストの一部である実装を指す。
【0078】
図6のシステムにおいて、メインシステムμC160はイーサネットPHYデバイス188に連結され、リモートμC164はイーサネットPHYデバイス192に連結される。PHYデバイス188および192はリンクパートナーであり、例えば、ツイストペアリンクなどの適切な物理層を通じて、MDIを使用して互いに通信する。メインμC160からリモートμC164へのデータ送信のために、メインμC160は、MACインタフェースを介してレイヤ2フレームのデータをPHYデバイス188に送信し、PHYデバイス188は、MDIを使用してデータをレイヤ1フレームのPHYデバイス192に送信し、PHYデバイス192は、MACインタフェースを介してレイヤ2フレームのリモートμC164にデータを送信する。
【0079】
加えて、
図6のシステムは、一対の補助μC196および200を備え、当該一対の補助μC196および200は、同じ一対のPHYデバイス188および192を使用して、同じMDIを通じて互いに通信する。本例において、μC196は、GPIO1、GPIO2およびGPIO3で示される3つの2進値をμC200に送信する。補助μC196と200との間の通信は、μC160と164との間の通信から独立している。
【0080】
既に説明されている実施形態とは違って、本例において、GPIO入力および出力は、PHYデバイスの一部ではなくホストの一部(本例における補助μC)である。
【0081】
本実施形態において、メインシステムμC160とPHYデバイス188との間のSMIインタフェースは、補助μC196を通過する。同様に、リモートシステムμC164とPHYデバイス192との間のSMIインタフェースは、補助μC200を通過する。メインシステムμC160とリモートシステムμC164との間の通信中に、補助μC196は、SMIトラフィックがメインシステムμC160とPHYデバイス188との間を透過的に通過することを可能にし、補助μC200は、SMIトラフィックがリモートシステムμC164とPHYデバイス192との間を透過的に通過することを可能にする。
【0082】
補助μC196と200が互いに通信すべく、補助μC196および200の各々は、それぞれのSMIをオーバーライドし、それぞれのPHYデバイス自体を制御する。SMIをオーバーライドすることは、補助μC196および200が、OAMフレームの挿入または読み取りに使用されるPHYデバイス188および192におけるレジスタを制御することを可能にする。さらに、SMIをオーバーライドすることは、メインμC160およびリモートμC164が(例えば、マルウェアの結果として)補助μC間の通信チャネルに割り込むことを補助μC196および200が防止することを可能にする。
【0083】
図6の実施形態において、補助μC196は、これらの値をGPIOコマンドとして搬送するOAMフレームを構成することにより、補助μC200にGPIO1、GPIO2およびGPIO3の値を伝送し、OAMフレームをPHYデバイス188に書き込む。PHYデバイス188は、開示された技術を使用して、レイヤ1フレームのストリームの一部としてOAMフレームをPHYデバイス192に伝送する。PHYデバイス192は、ストリームからOAMフレームを抽出し、当該OAMフレームを補助μC200に書き込み、これに従って、補助μC200は次に、自らのGPIO1、GPIO2およびGPIO3の出力を設定する。
【0084】
図1、
図5、および
図6に示される通信システムの設定、
図2に示されるイーサネットPHYデバイスなどの、当該通信システムのコンポーネント、および様々なECUおよびマイクロコントローラは、明確さのために単に示される例示的設定である。代替的な実施形態において、いずれの他の適切な設定が使用され得る。
【0085】
例えば、上記のように、(PHYデバイス間で伝送されてGPIOポートを制御する)論理値は、離散的またはアナログ、静的であるまたは経時的に変動するものであり得る。論理値は、複数のビットの情報を搬送する一時的パターンを形成し得る。時間の経過と共に1または複数のロジック値を変動させることにより、開示された技術は、PHYデバイス間のシリアルまたはパラレルデータリンクの実装に使用され得る。別の例のように、例えば、オープンドレイン設定を使用して、GPIOポートは双方向シグナリングまたは通信に使用され得る。そのような機能の任意の組み合わせが使用され得て、任意の機能が任意の所望の時間において再構成され得る。例示的な実施形態において、開示された技術はPHYデバイス間のプロトコルインタフェースを実装するために使用される。そのようなインタフェースは、例えば、リモートでPHYデバイスを構成するために使用され得る。開示された技術の理解に必須ではない要素は、明確さのために図面から省略されている。
【0086】
開示された通信システムの異なる要素、およびそのコンポーネントは、例えば、1または複数の特定用途集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)において、有線またはプログラム可能ロジックなどを使用して、専用のハードウェアまたはファームウェアを使用して実装され得る。さらにまたは代替的に、いくつかの機能、例えばマイクロコントローラ68および76(
図1)のいずれかの機能、PHYコントローラ112(
図2)の、マイクロコントローラ160、164および176(
図5)および/またはマイクロコントローラ196および200(
図6)は、ソフトウェアにおいて実装され、および/またはハードウェアおよびソフトウェアの要素の組み合わせを使用し得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、マイクロコントローラ68および76(
図1)、PHYコントローラ112(
図2)、マイクロコントローラ160、164および176(
図5)および/またはマイクロコントローラ196および200(
図6)のいずれかは、プログラム可能プロセッサを備え得て、当該プログラム可能プロセッサは、ソフトウェアにプログラムされて、本明細書に説明される機能を実行する。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを通じて、電子形式でプロセッサにダウンロードされ得て、または、ソフトウェアは、代替的にまたは追加的に、磁気、光、または電子メモリなどの非一時的有形媒体で提供され、および/または格納され得る。
【0088】
上記のように、本明細書に説明される実施形態は主に自動車への応用およびアビオニクスアプリケーションに対応するが、本明細書に説明される方法およびシステムは、産業またはスマートホーム通信システムなどにおけるGPIOポートの制御に関与する他の応用において使用されることもできる。
【0089】
上記で説明された実施形態は例として挙げられていること、また本発明は上記において具体的に示され説明されたものに限定されないことに留意されたい。むしろ、本発明の範囲は、上記において説明された様々な特徴の組み合わせおよびサブコンビネーションの両方、並びに上述の説明を読むと当業者が思いつく、先行技術に開示されていない、これらの変形例及び修正例を含む。参照により本特許出願に組み込まれる文書は、本願の不可欠な部分とみなされることになる。ただし、本明細書において明示的または暗示的になされた定義と矛盾する形で、任意の用語がこれらの組み込まれた文書に定義されている範囲においては、本明細書に含まれる定義だけが考慮されるべきである。