(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 16/00 20060101AFI20241108BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20241108BHJP
F25D 11/02 20060101ALI20241108BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20241108BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F25D16/00
F25D11/00 101B
F25D11/02 A
F25D11/02 F
F25D17/08 304
F25B1/00 321C
(21)【出願番号】P 2020084831
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】西村 晃一
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-283626(JP,A)
【文献】特開昭61-231377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 16/00
F25D 11/00
F25D 11/02
F25D 17/08
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室と、冷凍室と、冷蔵蒸発器と、冷凍蒸発器と、前記冷蔵蒸発器と直列に接続された冷蔵減圧手段と、前記冷凍蒸発器と直列に接続された冷凍減圧手段と、前記冷蔵蒸発器の出口パイプと前記冷凍蒸発器の出口パイプと接続される圧縮機と、前記圧縮機の吐出配管と直列に接続される放熱器と、前記冷蔵蒸発器ならびに前記冷凍蒸発器への冷媒の流れを切り替える切替弁と、前記冷蔵室内の冷気を循環させる冷蔵ファンと、を備え、
前記冷蔵蒸発器の入口パイプまたは前記出口パイプのいずれかと熱的に接触する蓄熱材を備えたことを特徴とし、
前記冷蔵室は、少なくとも、前記圧縮機を運転して前記冷蔵室を冷却する状態と、前記圧縮機を運転せずに前記冷蔵ファンを運転して前記冷蔵室を冷却する状態と、前記冷蔵室の冷却運転を行わない状態と、を切り替えて運転され、
前記圧縮機を運転して前記冷蔵室を冷却することで、前記蓄熱材及び前記冷蔵室内を冷却することにより前記蓄熱材に熱エネルギーを蓄え、次回の前記冷蔵室の冷却時に前記圧縮機を運転せずに前記冷蔵ファンを運転して前記冷蔵室を冷却することで、前記蓄熱材に蓄えた熱エネルギーにより前記冷蔵室内を冷却する
と同時に前記蓄熱材を融解させ、
前記圧縮機を運転して前記冷蔵室を冷却する際には、前記蓄熱材の少なくとも一部が融解した状態であるようにすることで、前記冷蔵室の冷却で使い切れなかった前記冷蔵蒸発器の能力を、前記蓄熱材を凝固させる際の凝固潜熱として利用する冷蔵庫。
【請求項2】
前記蓄熱材の凝固点が前記冷蔵室の温度より低く前記冷凍室の温度より高いことを特徴とした請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記冷蔵室の冷却運転を行わない状態は、圧縮機を運転しない状態と、圧縮機を運転して前記冷凍室を冷却する状態とを含み、前記冷凍室を冷却する状態の後に前記圧縮機を運転して前記冷蔵室を冷却する状態、又は前記圧縮機を運転せずに前記冷蔵ファンを運転して前記冷蔵室を冷却する状態へ切り替えて運転される、請求項1に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、冷凍室と冷蔵室それぞれに蒸発器を備え、圧縮機の回転数により蒸発器の温度を制御する冷蔵庫を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、冷蔵室を冷却する際の冷凍サイクル効率を向上させ、消費電力量を低減することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における冷蔵庫は、冷蔵室と、冷凍室と、冷蔵蒸発器と、冷凍蒸発器と、冷蔵蒸発器と直列に接続された冷蔵減圧手段と、冷凍蒸発器と直列に接続された冷凍減圧手段と、冷蔵蒸発器の出口配管と冷凍蒸発器の出口配管と接続される圧縮機と、圧縮機の吐出配管と直列に接続される放熱器と、冷蔵蒸発器と冷凍蒸発器への冷媒の流れを切り替える切替弁を備え、冷蔵蒸発器の入口パイプまたは出口パイプのいずれかと熱的に接触する蓄熱材を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示における冷蔵庫は、冷蔵室を冷却する際の冷凍サイクル効率を向上させることができ、消費電力量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施の形態1における冷蔵庫の冷凍サイクル図
【
図3】実施の形態1における冷蔵庫の動作と室内温度変化を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
従来の冷蔵庫としては、冷凍室と冷蔵室それぞれに蒸発器を備え、圧縮機の回転数により蒸発器の温度を制御するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
図4は、上記特許文献1に記載された従来の冷蔵庫の断面図、
図5は、同冷蔵庫の冷凍サイクル図である。
【0010】
図4、5において、従来の冷蔵庫1は、前面を開口し、仕切り2により上下に仕切られた断熱箱体3から構成されており、仕切り2より上方を、室内を約4℃の冷蔵温度帯に維持した冷蔵室4、仕切り2より下方を、室内を約-18℃の冷凍温度帯に維持した冷凍室5とし、前面が断熱扉6、7によって開閉自在に閉塞されている。
【0011】
冷蔵室4と冷凍室5の背面には、図示しないインバーター電源により能力制御可能な圧縮機8と、圧縮機8の吐出配管8aと接続される放熱器としての凝縮器9と、切替弁としての三方弁10と、冷蔵減圧手段としての冷蔵キャピラリ11と、冷凍減圧手段としての冷凍キャピラリ12と接続して冷凍サイクル13を構成する冷蔵蒸発器14及び冷凍蒸発器15と、それぞれの蒸発器で生成した冷気を冷蔵室4及び冷凍室5内へそれぞれ循環させる冷蔵ファン16、冷凍ファン17を備えている。
【0012】
また、冷蔵室4と冷凍室5の内部には、それぞれの貯蔵室(冷蔵室4、冷凍室5)内の温度を測定する冷蔵室センサ18と冷凍室センサ19を備えている。
【0013】
以上のように構成された従来の冷蔵庫において、冷却運転を開始すると、圧縮機8が運転し、冷蔵室センサ18、冷凍室センサ19の検知した温度を元に、三方弁10によって冷媒の流れが切り替わることにより、冷蔵室4の冷却と冷凍室5の冷却を切り替える。
【0014】
まず冷凍室5の冷却時は、圧縮機8により圧縮された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器9で冷却され、低温高圧の液冷媒となる。この液冷媒は、三方弁10により、冷凍キャピラリ12を流れ、低温低圧の気液二層冷媒となって冷凍蒸発器15へと流れる。
【0015】
冷凍蒸発器15へと流れた冷媒は、冷凍室5内の空気と熱交換することで蒸発し、蒸発気化熱により冷気を生成し、再び圧縮機8へと吸い込まれる。
【0016】
この時生成した冷気は、冷凍ファン17により、冷凍室5内を循環し、冷凍室5を冷却し、冷凍室センサ19がある一定の温度以下になると冷凍室5の冷却運転は終了する。
【0017】
次に、冷蔵室4の冷却時は、圧縮機8により圧縮された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器9で冷却され、低温高圧の液冷媒となる。この液冷媒は、三方弁10により、冷蔵キャピラリ11を流れ、低温低圧の気液二層冷媒となって冷蔵蒸発器14へと流れる。
【0018】
冷蔵蒸発器14へと流れた冷媒は、冷蔵室4内の空気と熱交換することで蒸発し、蒸発気化熱により冷気を生成し、再び圧縮機8へと吸い込まれる。
【0019】
この時生成した冷気は、冷蔵ファン16により、冷蔵室4内を循環し、冷蔵室4を冷却し、冷蔵室センサ18がある一定の温度以下になると、冷蔵室4の冷却運転は終了する。
【0020】
冷蔵室4の冷却時、冷蔵室4の温度は、約4℃の冷蔵温度帯となっており、冷凍室5の冷却時に比べて冷蔵蒸発器14と熱交換する空気温度が高くなることにより、冷蔵蒸発器14の温度も冷凍室23の冷却モード時に比べて高くなる。これにより、圧縮機8の吸込ガスと吐出ガスの圧力比である圧縮比が小さくなることにより、圧縮機8の入力と冷蔵蒸発器14の能力の比であらわされる、冷凍サイクル13の効率も高くなる。
【0021】
一方、冷蔵蒸発器14の温度が高くなることにより、圧縮機8が吸い込む冷媒ガスの密度が、冷凍室5の冷却時に比べて約2倍に大きくなる。これにより、冷凍サイクル13を循環する冷媒の循環量が大きくなり、冷蔵蒸発器14の能力が冷蔵室4の負荷量に比べて大きくなるため、能力を使い切れないと、実際に使われる能力が減少することによる冷凍サイクル13の効率低下だけでなく、冷蔵蒸発器14で蒸発し切れなかった液冷媒を圧縮機8が吸い込んでしまう。
【0022】
圧縮機8が液冷媒を吸い込むと、液冷媒が圧縮機8内の摺動部(図示せず)の潤滑油を洗い流すことにより摩耗が発生したり、圧縮機8が液を圧縮することにより内部の部品を破損させるなど、信頼性を低下させる恐れがある。
【0023】
この時、冷蔵室センサ18の検知した温度により、圧縮機8の能力を低下させたり、冷蔵ファン16の能力を増加させたりすることにより、冷蔵蒸発器14の能力を使い切ることができる。
【0024】
そして、冷蔵室センサ18、冷凍室センサ19の温度がある一定の温度以下になると、圧縮機8を停止し、冷却運転を終了する。
【0025】
しかしながら、上記従来の冷蔵庫の構成では、蒸発温度を冷蔵室4を冷却するのに適した温度に上昇させるために、圧縮機8の能力を低下させる、または冷蔵ファン16の能力を上昇させる制御となっており、圧縮機8の能力を低下させると、圧縮機8の効率が低下したり、騒音が大きくなるなどの課題があり、冷蔵ファン16の能力を上昇させると、冷蔵ファン16の入力が大きくなったり、冷蔵ファン16の騒音が大きくなるなどの課題があった。
【0026】
発明者らは、以上のような課題があることを発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0027】
そこで、本開示は、冷蔵室を冷却する際の冷凍サイクル効率を向上させることができ、消費電力量を低減することができる冷蔵庫を提供する。
【0028】
以下図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明を省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0029】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0030】
(実施の形態1)
以下、
図1~3を用いて実施の形態1を説明する。なお、上記従来の冷蔵庫と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】
[1-1.構成]
図1及び
図2において、本実施の形態における冷蔵庫20は、仕切り2により上下に仕切られた断熱箱体21から構成されており、仕切り2より上方を、室内を約4℃の冷蔵温度帯に維持した冷蔵室22、仕切り2より下方を、室内を約-18℃の冷凍温度帯に維持した冷凍室23とし、前面が断熱扉6、7によって開閉自在に閉塞されている。
【0032】
冷蔵室22と冷凍室23の背面には、圧縮機8、凝縮器9、三方弁10、冷蔵キャピラリ11、冷凍キャピラリ12、逆止弁24と接続して冷凍サイクル25を構成する冷蔵蒸発器26及び冷凍蒸発器15と、それぞれの蒸発器で生成した冷気を冷蔵室22及び冷凍室23内へ循環させる冷蔵ファン16、冷凍ファン17を備えている。
【0033】
冷蔵蒸発器26及び冷凍蒸発器15のそれぞれの出口パイプ26a、15aは、圧縮機8に接続されている。
【0034】
また、冷蔵室22と冷凍室23内部には、それぞれの貯蔵室内の温度を測定する冷蔵室センサ18と冷凍室センサ19を備えている。
【0035】
冷蔵蒸発器26の近傍には、蓄熱材27を備えている。蓄熱材27は、凝固点が、冷蔵室22の温度より低く冷凍室23の温度より高い温度、例えば、-5℃の高吸水性樹脂を、図示しない樹脂ケース内に充填した構成となっており、冷蔵蒸発器26の入口パイプ28と熱的に接触している。
【0036】
[1-2.動作]
以上のように構成された実施の形態1の冷蔵庫について、以下その動作、作用の一例を
図3に基づいて説明する。
【0037】
図3に示すように、冷却運転を開始すると、冷蔵室センサ18、冷凍室センサ19が検知した温度を元に、冷凍室冷却モードと、冷蔵室蓄冷モードと、冷蔵室放冷モードを切り替える。
【0038】
まず冷凍室冷却モードについて説明する。冷蔵室センサ18がある一定温度以下で且つ、冷凍室センサ19がある一定温度以上の時に、冷凍室冷却モードとなる。
【0039】
冷凍室冷却モード時、圧縮機8により圧縮された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器9で冷却され、低温高圧の液冷媒となる。この液冷媒は、三方弁10により、冷凍キャピラリ12を流れ、低温低圧の気液二層冷媒となって冷凍蒸発器15へと流れる。
【0040】
冷凍蒸発器15へと流れた冷媒は、冷凍室23内の空気と熱交換することで蒸発し、蒸発気化熱により冷気を生成し、冷凍蒸発器15を出たガス冷媒は、逆止弁24を流れ、再び圧縮機8へと吸い込まれる。
【0041】
この時生成した冷気は、冷凍ファン17により、冷凍室23内を循環し、冷凍室23を冷却し、冷凍室センサ19がある一定の温度以下になると冷凍室冷却モードは終了する。
【0042】
次に、冷蔵室蓄冷モードについて説明する。冷蔵室センサ18がある一定温度以上で、冷凍室センサ19がある一定温度以下、且つ蓄熱材27が融解した状態の時に、冷蔵室蓄冷モードとなる。
【0043】
冷蔵室蓄冷モード時、圧縮機8により圧縮された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器9で冷却され、低温高圧の液冷媒となる。この液冷媒は、三方弁10により、冷蔵キャピラリ11を流れ、低温低圧の気液二層冷媒となって冷蔵蒸発器26へと流れる。
【0044】
冷蔵蒸発器26へと流れた冷媒は、冷蔵蒸発器26で冷蔵室22内の空気と熱交換することで蒸発し、蒸発気化熱により冷気を生成し、再び圧縮機8へと吸い込まれる。
【0045】
この時生成した冷気は、冷蔵ファン16により、冷蔵室22内を循環し、冷蔵室22を冷却し、冷蔵室センサ18がある一定の温度以下になると、冷蔵室蓄冷モードは終了する。
【0046】
またこれと同時に、蓄熱材27が冷蔵蒸発器26の入口パイプ28と熱交換する。この時、入口パイプ28の温度は蓄熱材27の凝固点である-5℃以下となっており、蓄熱材27が凝固する。
【0047】
冷蔵室冷却時、冷蔵室22の温度は、約4℃の冷蔵温度帯となっており、冷凍室23冷却時に比べて冷蔵蒸発器26と熱交換する空気温度が高くなることにより、冷蔵蒸発器26の温度も冷凍室冷却モード時に比べて高くなる。これにより、圧縮機8の吸込ガスと吐出ガスの圧力比である圧縮比が小さくなることにより、圧縮機8の入力と冷蔵蒸発器26の能力の比であらわされる、冷凍サイクル25の効率も高くなる。
【0048】
一方、冷蔵蒸発器26の温度が高くなることにより、圧縮機8が吸い込む冷媒ガスの密度が、冷凍室23の冷却時に比べて約2倍に大きくなる。これにより、冷凍サイクル25を循環する冷媒の循環量が大きくなり、冷蔵蒸発器26の能力が冷蔵室22の負荷量に比べて大きくなるため、能力を使い切れないと、実際に使われる能力が減少することによる冷凍サイクル25の効率低下だけでなく、冷蔵蒸発器26で蒸発し切れなかった液冷媒を圧縮機8が吸い込んでしまうことによる圧縮機8の信頼性を低下させる恐れがある。
【0049】
これに対し、本実施の形態においては、冷蔵室22の冷却で使い切れなかった冷蔵蒸発器26の能力を、冷蔵蒸発器26の入口パイプ28と熱的に接触している蓄熱材27を凝固させる際の凝固潜熱として利用することができる。
【0050】
次に、冷蔵室放冷モードについて説明する。冷蔵室センサ18がある一定温度以上で、冷凍室センサ19がある一定温度以下、且つ蓄熱材27が凝固した状態の時に、冷蔵室放冷モードとなる。
【0051】
冷蔵室放冷モード時、圧縮機8を停止し、冷蔵ファン16のみを運転する。この時、蓄熱材27は凝固状態であると共に、冷蔵蒸発器26と熱的に接触しているため、蓄熱材27が冷蔵室22内の空気と熱交換することにより、蓄熱材27が融解し、融解潜熱により冷気を生成する。そして冷蔵ファン16により、冷蔵室22内を循環し、冷蔵室22を冷却し、冷蔵室センサ18がある一定の温度以下になると、冷蔵室放冷モードは終了する。
【0052】
そして、冷蔵室センサ18、冷凍室センサ19のそれぞれの温度がある一定の温度以下になると、圧縮機8を停止し、冷却運転を終了する。
【0053】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、冷蔵庫20は、冷蔵室22と、冷凍室23と、冷蔵蒸発器26と、冷凍蒸発器15と、冷蔵キャピラリ11と、冷凍キャピラリ12と、圧縮機8と、凝縮器9と、三方弁10と、蓄熱材27を備えている。冷蔵キャピラリ11は、冷蔵蒸発器26と直列に接続されている。冷凍キャピラリ12は、冷凍蒸発器15と直列に接続されている。圧縮機8は、冷蔵蒸発器26の出口パイプ26aと冷凍蒸発器15の出口パイプ15aと接続される。
【0054】
凝縮器9は、圧縮機8の吐出配管8aと直列に接続される。三方弁10は、冷蔵蒸発器26、冷凍蒸発器15への冷媒の流れを切り替える。蓄熱材27は、冷蔵蒸発器26の入口パイプ28に熱的に接触している。
【0055】
これにより、圧縮機8の能力を低下させることなく、冷蔵蒸発器26の能力を使い切ることができ、圧縮機8の効率低下や冷蔵ファン16の入力増加また、騒音増大をさせることもなく、冷凍サイクル25の効率を向上させ、冷蔵庫20の省エネ性能を向上させることができる。また、蓄熱材27の潜熱を利用して冷蔵室22冷却時の蒸発温度を上昇させることができる。
【0056】
また、冷蔵室蓄冷モード時に、蓄熱材27に蓄えた冷熱により、圧縮機8を運転することなく冷蔵室22を冷却することができ、従来の冷蔵庫に比べて圧縮機8の運転時間が短縮され、静音性の高い冷蔵庫20とすることができる。なお、上記実施の形態では、蓄熱材27を冷蔵蒸発器26の入口パイプ28に熱的に接触させたが、冷蔵蒸発器26の出口パイプ26aに熱的に接触させるようにしても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0057】
また、蓄熱材27の凝固点が冷蔵室22の温度より低く冷凍室23温度より高い構成としたので、冷蔵室22の蒸発温度を、より冷蔵室22の冷却に適した蒸発温度に上昇させることができる。
【0058】
尚、本実施の形態において、蓄熱材27の凝固点は、-5℃として説明したが、冷蔵室放冷モード時に冷蔵室22内を冷却できる温度であれば良く、例えば0℃とすることで、冷蔵蒸発器26の温度をさらに高くでき、圧縮機8の吸込ガスの圧力が高くなることにより、冷凍サイクル25の効率をさらに向上させることができる。
【0059】
また、圧縮機8の運転中でかつ冷蔵室22の冷却中に、蓄熱材27及び冷蔵室22内を冷却することにより蓄熱材27に熱エネルギーを蓄え、次回の冷蔵室22の冷却時に蓄熱材27に蓄えた熱エネルギーにより冷蔵室22内を冷却するようにしたので、蓄熱材27により蓄熱した冷熱を、冷蔵室22内を冷却する際に利用することができる。
【0060】
また、本実施の形態において、冷却モードは、冷凍室冷却モードと冷蔵室蓄冷モードと冷蔵室放冷モードの3つのモードで説明したが、冷凍室冷却モード時に蓄熱材27により冷蔵室22を冷却することで、圧縮機8の停止中以外は常に冷蔵室22を冷却することで、冷蔵室22の温度変動を抑制することができ、冷蔵室22内の貯蔵物の保鮮性能を向上させることができる。
【0061】
また、本実施の形態においては、冷蔵室放冷モード時及び圧縮機8停止時の三方弁10の動作には言及しなかったが、三方弁10を冷蔵キャピラリ11へと冷媒を流すモードと、冷凍キャピラリ12へと冷媒を流すモードと、冷蔵キャピラリ11、冷凍キャピラリ12どちらにも冷媒を流さない閉塞状態を選択できるようにし、冷蔵室放冷モード時及び圧縮機8停止時に閉塞状態とすることで、圧縮機8が動いていない時に冷凍サイクル25の高圧側の高温冷媒が低圧側の冷蔵蒸発器26または冷凍蒸発器15へと流れることによる室内昇温を防ぎ、冷凍サイクル25の効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示は、冷蔵室を冷却する際の冷凍サイクル効率を向上させ、消費電力量を低減することができるので、家庭用および業務用など様々な種類および大きさの冷蔵庫に適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1、20 冷蔵庫
2 仕切り
3、21 断熱箱体
4、22 冷蔵室
5、23 冷凍室
6、7 断熱扉
8 圧縮機
8a 吐出配管
9 凝縮器(放熱器)
10 三方弁(切替弁)
11 冷蔵キャピラリ(冷蔵減圧手段)
12 冷凍キャピラリ(冷凍減圧手段)
13、25 冷凍サイクル
14、26 冷蔵蒸発器
15 冷凍蒸発器
15a、26a 出口パイプ
16 冷蔵ファン
17 冷凍ファン
18 冷蔵室センサ
19 冷凍室センサ
24 逆止弁
27 蓄熱材
28 入口パイプ