(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】撮像光学系とそれを備える撮像装置およびカメラシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20241108BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2023035507
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2018559059の分割
【原出願日】2017-12-18
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2016254962
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】栗岡 善昭
(72)【発明者】
【氏名】北田 高博
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-076040(JP,A)
【文献】特開2012-103480(JP,A)
【文献】特開2015-118141(JP,A)
【文献】特開2007-171248(JP,A)
【文献】特開2013-156477(JP,A)
【文献】特開2016-173556(JP,A)
【文献】特開2016-139125(JP,A)
【文献】特開2011-053663(JP,A)
【文献】特開2011-013469(JP,A)
【文献】特開2010-266577(JP,A)
【文献】特開2005-157097(JP,A)
【文献】特開2006-078535(JP,A)
【文献】特開2008-122676(JP,A)
【文献】特開2015-001550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化し、負のパワーを有するレンズ群のうち、最も物体側にあるレンズ群Gmは、
物体側から像側へと順に、
負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、
両面が非球面形状で負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、
2枚以上のパワーを有するレンズ素子と、を備え、
最も像側のレンズ素子は負のパワーを有し、
最も像側から2枚目のレンズ素子は単レンズ素子であり、
最も像側から3枚目のレンズ素子は負のパワーを有する単レンズ素子であり、
前記レンズ群Gmの像側に位置し、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングに際して、光軸方向に移動する負のパワーを有するレンズ群Gfを有し、
撮像時の広角端から望遠端へのズーミングの際に、最も像側にあるレンズ群と像面との間隔は、変化しない
、
撮像光学系。
【請求項2】
ズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化し、負のパワーを有するレンズ群のうち、最も物体側にあるレンズ群Gmは、
物体側から像側へと順に、
負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、
両面が非球面形状で負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、
2枚以上のパワーを有するレンズ素子と、を備え、
最も像側のレンズ素子は負のパワーを有し、
最も像側から2枚目のレンズ素子は単レンズ素子であり、
最も像側から3枚目のレンズ素子は負のパワーを有する単レンズ素子であり、
前記レンズ群Gmの像側に位置し、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングに際して、光軸方向に移動する負のパワーを有するレンズ群Gfを有し、
前記レンズ群Gfは単レンズ素子からなる、
撮像光学系。
【請求項3】
4つ以上のレンズ群からなり、ズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化し、負のパワーを有するレンズ群のうち、最も物体側にあるレンズ群Gmは、
物体側から像側へと順に、
負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、
両面が非球面形状で負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、
2枚以上のパワーを有するレンズ素子と、を備え、
最も像側のレンズ素子は負のパワーを有し、
最も像側から2枚目のレンズ素子は単レンズ素子であり、
最も像側から3枚目のレンズ素子は負のパワーを有する単レンズ素子であり、
撮像時の広角端から望遠端へのズーミングの際に、最も像側にあるレンズ群と像面との間隔は、変化
せず、
nd_LGmF1を前記レンズ群Gmの最も物体側のレンズ素子LGmF1の屈折率、としたとき、
1.75 < nd_LGmF1 ・・・(10)
上記の条件(10)を満足する、
撮像光学系。
【請求項4】
4つ以上のレンズ群からなり、ズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化し、負のパワーを有するレンズ群のうち、最も物体側にあるレンズ群Gmは、
物体側から像側へと順に、
負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、
両面が非球面形状で負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、
2枚以上のパワーを有するレンズ素子と、を備え、
最も像側のレンズ素子は負のパワーを有し、
最も像側から2枚目のレンズ素子は単レンズ素子であり、
最も像側から3枚目のレンズ素子は負のパワーを有する単レンズ素子であり、
前記レンズ群Gmの最も像側のレンズ素子は、開口絞りの物体側に
隣接しており、
撮像時の広角端から望遠端へのズーミングの際に、最も像側にあるレンズ群と像面との間隔は、変化しない
、
撮像光学系。
【請求項5】
ズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化し、負のパワーを有するレンズ群のうち、最も物体側にあるレンズ群Gmは、
物体側から像側へと順に、
負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、
両面が非球面形状で負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、
2枚以上のパワーを有するレンズ素子と、を備え、
最も像側のレンズ素子は負のパワーを有
し、
最も像側から2枚目のレンズ素子は単レンズ素子であり、
最も像側から3枚目のレンズ素子は負のパワーを有する単レンズ素子である、
撮像光学系。
【請求項6】
最も像側から2枚目のレンズ素子は正のパワーを有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の撮像光学系。
【請求項7】
前記レンズ群Gmの像側に位置し、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングに際して、光軸方向に移動する負のパワーを有するレンズ群Gfを備える、
請求項3~5のいずれか1項に記載の撮像光学系。
【請求項8】
nd_LGmF1を前記レンズ群Gmの最も物体側のレンズ素子LGmF1の屈折率、としたとき、
1.75 < nd_LGmF1 ・・・(10)
上記の条件(10)を満足する、
請求項1、2、4~5のいずれか1項に記載の撮像光学系。
【請求項9】
vd_LGmF1を前記レンズ群Gmの最も物体側のレンズ素子LGmF1のアッベ数、としたとき、
25 < vd_LGmF1 ・・・(11)
上記の条件(11)を満足する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の撮像光学系。
【請求項10】
前記最も像側のレンズ素子は単レンズ素子である、請求項1~9のいずれか1項に記載の撮像光学系。
【請求項11】
前記最も像側のレンズ素子の物体側面は物体側に凸面を有する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の撮像光学系。
【請求項12】
前記最も像側のレンズ素子の物体側に隣接するレンズ素子の像側面は物体側に凸面を有する、
請求項1~11のいずれか1項に記載の撮像光学系。
【請求項13】
前記最も像側から3枚目のレンズ素子の像側面は物体側に凸面を有する、
請求項1~12のいずれか1項に記載の撮像光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、諸収差の良好な撮像光学系とそれを備える撮像装置およびカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、物体側より像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とから構成されるズームレンズを開示する。ズームレンズは、第5レンズ群を固定し、第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群および第4レンズ群を光軸方向に移動させて、変倍を行うように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示における第1態様の撮像光学系は、ズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化し、負のパワーを有するレンズ群のうち、最も物体側にあるレンズ群Gmは、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、両面が非球面形状で負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、2枚以上のパワーを有するレンズ素子と、を備え、最も像側のレンズ素子は負のパワーを有し、最も像側から2枚目のレンズ素子は単レンズ素子であり、最も像側から3枚目のレンズ素子は負のパワーを有する単レンズ素子であり、レンズ群Gmの像側に位置し、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングに際して、光軸方向に移動する負のパワーを有するレンズ群Gfを有し、撮像時の広角端から望遠端へのズーミングの際に、最も像側にあるレンズ群と像面との間隔は、変化しない。本開示における第2態様の撮像光学系は、ズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化し、負のパワーを有するレンズ群のうち、最も物体側にあるレンズ群Gmは、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、両面が非球面形状で負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、2枚以上のパワーを有するレンズ素子と、を備え、最も像側のレンズ素子は負のパワーを有し、最も像側から2枚目のレンズ素子は単レンズ素子であり、最も像側から3枚目のレンズ素子は負のパワーを有する単レンズ素子であり、レンズ群Gmの像側に位置し、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングに際して、光軸方向に移動する負のパワーを有するレンズ群Gfを有し、レンズ群Gfは単レンズ素子からなる。本開示における第3態様の撮像光学系は、4つ以上のレンズ群からなり、ズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化し、負のパワーを有するレンズ群のうち、最も物体側にあるレンズ群Gmは、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、両面が非球面形状で負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、2枚以上のパワーを有するレンズ素子と、を備え、最も像側のレンズ素子は負のパワーを有し、最も像側から2枚目のレンズ素子は単レンズ素子であり、最も像側から3枚目のレンズ素子は負のパワーを有する単レンズ素子であり、撮像時の広角端から望遠端へのズーミングの際に、最も像側にあるレンズ群と像面との間隔は、変化せず、nd_LGmF1を前記レンズ群Gmの最も物体側のレンズ素子LGmF1の屈折率、としたとき、1.75<nd_LGmF1の条件を満足する。
【0005】
また、本開示における第4態様の撮像光学系は、4つ以上のレンズ群からなり、ズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化し、負のパワーを有するレンズ群のうち、最も物体側にあるレンズ群Gmは、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、両面が非球面形状で負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、2枚以上のパワーを有するレンズ素子と、を備え、最も像側のレンズ素子は負のパワーを有し、最も像側から2枚目のレンズ素子は単レンズ素子であり、最も像側から3枚目のレンズ素子は負のパワーを有する単レンズ素子であり、レンズ群Gmの最も像側のレンズ素子は、開口絞りの物体側に隣接しており、撮像時の広角端から望遠端へのズーミングの際に、最も像側にあるレンズ群と像面との間隔は、変化しない。本開示における第5態様の撮像光学系は、ズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化し、負のパワーを有するレンズ群のうち、最も物体側にあるレンズ群Gmは、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、両面が非球面形状で負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、2枚以上のパワーを有するレンズ素子と、を備え、最も像側のレンズ素子は負のパワーを有し、最も像側から2枚目のレンズ素子は単レンズ素子であり、最も像側から3枚目のレンズ素子は負のパワーを有する単レンズ素子である。
【0006】
本開示によれば、諸収差の良好な撮像光学系とそれを備える撮像装置およびカメラシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る撮像光学系の無限遠合焦状態を示すレンズ配置図である。
【
図2】
図2は、同実施の形態の数値実施例1に係る撮像光学系の無限遠合焦状態の縦収差図である。
【
図3】
図3は、同数値実施例に係る撮像光学系の望遠端における、像ぶれ補正を行っていない基本状態および像ぶれ補正状態での横収差図である。
【
図4】
図4は、実施の形態2に係る撮像光学系の無限遠合焦状態を示すレンズ配置図である。
【
図5】
図5は、同実施の形態の数値実施例2に係る撮像光学系の無限遠合焦状態の縦収差図である。
【
図6】
図6は、同数値実施例に係る撮像光学系の望遠端における、像ぶれ補正を行っていない基本状態および像ぶれ補正状態での横収差図である。
【
図7】
図7は、実施の形態3に係る撮像光学系の無限遠合焦状態を示すレンズ配置図である。
【
図8】
図8は、同実施の形態の数値実施例3に係る撮像光学系の無限遠合焦状態の縦収差図である。
【
図9】
図9は、同数値実施例に係る撮像光学系の望遠端における、像ぶれ補正を行っていない基本状態および像ぶれ補正状態での横収差図である。
【
図10】
図10は、実施の形態4に係る撮像光学系の無限遠合焦状態を示すレンズ配置図である。
【
図11】
図11は、同実施の形態の数値実施例4に係る撮像光学系の無限遠合焦状態の縦収差図である。
【
図12】
図12は、同数値実施例に係る撮像光学系の望遠端における、像ぶれ補正を行っていない基本状態および像ぶれ補正状態での横収差図である。
【
図13】
図13は、実施の形態5に係る撮像光学系の無限遠合焦状態を示すレンズ配置図である。
【
図14】
図14は、同実施の形態の数値実施例5に係る撮像光学系の無限遠合焦状態の縦収差図である。
【
図15】
図15は、同数値実施例に係る撮像光学系の望遠端における、像ぶれ補正を行っていない基本状態および像ぶれ補正状態での横収差図である。
【
図16】
図16は、実施の形態6に係る撮像光学系の無限遠合焦状態を示すレンズ配置図である。
【
図17】
図17は、同実施の形態の数値実施例6に係る撮像光学系の無限遠合焦状態の縦収差図である。
【
図18】
図18は、同数値実施例に係る撮像光学系の望遠端における、像ぶれ補正を行っていない基本状態および像ぶれ補正状態での横収差図である。
【
図19】
図19は、実施の形態1の撮像光学系を備える撮像装置の概略構成図である。
【
図20】
図20は、実施の形態1の撮像光学系を備えるカメラシステムの概略構成図である。
【
図21】
図21は、実施の形態1の撮像光学系を備える鏡筒の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既に良く知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0009】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
(実施の形態1~6)
以下に、実施の形態1から実施の形態6に係る撮像光学系について、図面を用いて、個別に説明する。
【0011】
なお、各実施の形態の撮像光学系は、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、および後続レンズ群を構成する第4レンズ群G4、第5レンズ群G5、第6レンズ群G6などを備える。
【0012】
【0013】
図1、
図4、
図7、
図10、
図13、
図16の(a)は、広角端(最短焦点距離状態:焦点距離fW)におけるレンズ配置図を示す。各図の(d)は、中間位置(中間焦点距離状態:焦点距離fM=√(fW*fT))におけるレンズ配置図を示す。各図の(e)は、望遠端(最長焦点距離状態:焦点距離fT)におけるレンズ配置図を示す。なお、各図の(a)、(d)、(e)において、縦横比は一致している。
【0014】
また、各図の(c)に示す折れ線の矢印は、上から順に、広角端(Wide)、中間位置(Mid)、望遠端(Tele)の各状態におけるレンズ群の位置を結んで示している。なお、矢印は、広角端と中間位置との間、中間位置と望遠端との間を、単純に線で接続しているだけで、実際の各レンズ群の動きを示しているものではない。
【0015】
また、各図の(b)では、(a)に示す各レンズ群の位置に対応して各レンズ群に、G1からG6の符号を記している。
【0016】
各図の(a)に示す、特定のレンズ素子の面に付されたアスタリスク*は、その面が非球面であることを示している。
【0017】
また、各図の(b)に示す各レンズ群(G1からG6)の符号に付された記号(+)および記号(-)は、各レンズ群のパワーに対応する。つまり、記号(+)は正のパワー、記号(-)は負のパワーを示す。なお、実施の形態1から5における第4レンズ群G4、および実施の形態6における第3レンズ群G3に示すレンズ群に付された矢印は、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシング時の、当該レンズ群の移動方向を、便宜的に示している。具体的に移動するレンズ素子、およびレンズ群とその移動方向については、実施の形態ごとに、後で具体的に説明する。
【0018】
各図の(a)、(d)、(e)において、最も右側に記載された直線は、像面S(撮像素子の物体側の面)の位置を示す。そのため、図面の左側は、物体側に相当する。さらに、像面Sと対向する最後段のレンズ群と、像面Sとの間には、例えばローパスフィルターやカバーガラスなどの平行平板CGが配置される。
【0019】
(実施の形態1)
以下に、実施の形態1に係る撮像光学系について、
図1を用いて、説明する。
【0020】
図1は、実施の形態1に係る撮像光学系のレンズ配置図およびその動作を示している。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態の撮像光学系は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、開口絞りAと、正のパワーを有する第3レンズ群G3と、負のパワーを有する第4レンズ群G4と、正のパワーを有する第5レンズ群G5と、平行平板CGなどで構成される。第4レンズ群G4と第5レンズ群G5は、後続レンズ群を構成する。なお、第2レンズ群G2は、レンズ群Gmで例示される。第3レンズ群G3は、レンズ群Gpで例示される。第4レンズ群G4は、レンズ群Gfで例示される。
【0022】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第1レンズ素子L1と、正のパワーを有する第2レンズ素子L2と、正のパワーを有する第3レンズ素子L3と、で構成される。第1レンズ素子L1と第2レンズ素子L2は、例えば紫外線硬化型樹脂などの接着剤で接着される接合レンズを構成する。
【0023】
第2レンズ群G2は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第4レンズ素子L4と、負のパワーを有する第5レンズ素子L5と、負のパワーを有する第6レンズ素子L6と、正のパワーを有する第7レンズ素子L7と、で構成される。なお、第4レンズ素子L4は、レンズ素子LGmF1で例示される。第5レンズ素子L5は、レンズ素子LGmF2、またはレンズ素子LGmR3で例示される。第6レンズ素子L6は、レンズ素子LGmR2で例示される。第7レンズ素子L7は、レンズ素子LGmR1で例示される。
【0024】
第3レンズ群G3は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第8レンズ素子L8と、正のパワーを有する第9レンズ素子L9と、負のパワーを有する第10レンズ素子L10と、正のパワーを有する第11レンズ素子L11と、正のパワーを有する第12レンズ素子L12で構成される。第10レンズ素子L10と第11レンズ素子L11は、例えば紫外線硬化型樹脂などの接着剤で接着される接合レンズを構成する。なお、第8レンズ素子L8は、レンズ素子LGpF1で例示される。第9レンズ素子L9は、レンズ素子LGpF2で例示される。第10レンズ素子L10は、レンズ素子LGpR3で例示される。第11レンズ素子L11は、レンズ素子LGpR2で例示される。第12レンズ素子L12は、レンズ素子LGpR1で例示される。
【0025】
第4レンズ群G4は、負のパワーを有する第13レンズ素子L13で構成される。
【0026】
第5レンズ群G5は、正のパワーを有する第14レンズ素子L14で構成される。
【0027】
開口絞りAは、第2レンズ群G2の第7レンズ素子L7と、第3レンズ群G3の第8レンズ素子L8との間に配置される。
【0028】
以下に、本実施の形態の撮像光学系の各レンズ群を構成するレンズ素子について、説明する。
【0029】
まず、第1レンズ群G1内における各レンズ素子について、説明する。
【0030】
第1レンズ素子L1は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第2レンズ素子L2は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第3レンズ素子L3は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。
【0031】
つぎに、第2レンズ群G2内における各レンズ素子について、説明する。
【0032】
第4レンズ素子L4は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第5レンズ素子L5は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第5レンズ素子L5の両面は、非球面である。第6レンズ素子L6は、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである。第7レンズ素子L7は、両凸レンズである。
【0033】
つぎに、第3レンズ群G3内における各レンズ素子について、説明する。
【0034】
第8レンズ素子L8は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第8レンズ素子L8の両面は、非球面である。第9レンズ素子L9は、両凸レンズである。第10レンズ素子L10は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第11レンズ素子L11は、両凸レンズである。第12レンズ素子L12は、両凸レンズである。第12レンズ素子L12の両面は、非球面である。
【0035】
つぎに、第4レンズ群G4内におけるレンズ素子について、説明する。
【0036】
第13レンズ素子L13は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第13レンズ素子L13の両面は、非球面である。
【0037】
さらに、第5レンズ群G5内におけるレンズ素子について、説明する。
【0038】
第14レンズ素子L14は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。
【0039】
以上のように、本実施の形態の撮像光学系は、5群のレンズ群で構成される。
【0040】
そして、本実施の形態の撮像光学系の各レンズ群は、撮像時の広角端(Wide)から望遠端(Tele)へのズーミングの際に、
図1の(c)の矢印で示すように移動する。
【0041】
具体的には、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像面S側に凸の軌跡を描くように移動する。開口絞りAと第3レンズ群G3は、一体となって物体側に移動する。そして、第4レンズ群G4は物体側へ移動し、第5レンズ群G5は物体側へ移動する。この移動により、ズーミングに際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少する。第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は、広角端から中間位置までは増大し、中間位置から望遠端までは減少する。第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔は、広角端から中間位置までは減少し、中間位置から望遠端までは増大する。そして、第5レンズ群G5と像面Sとの間隔は、増大する。このとき、広角端から望遠端へのズーミングの際に、開口絞りAの開放絞り径は、広角端から中間位置では同じで、中間位置に比べて望遠端では大きくなる。
【0042】
以上のように、各レンズ群は、
図1の(c)の矢印で示すように、光軸Lに沿って移動する。そして、
図1の(a)、(d)、(e)に示すように、広角端、中間位置および望遠端において、各レンズ群が配置される。
【0043】
つまり、本実施の形態の撮像光学系は、全てのレンズ群が光軸Lに沿って、相対的に移動する。言い換えると、各レンズ群の間隔が変化する。これにより、広角端から望遠端までのズーミング動作が行われる。
【0044】
なお、フォーカシングレンズ群を構成する第4レンズ群G4は、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングの際に、
図1の(b)の矢印で示すように、光軸Lに沿って像側へ移動する。
【0045】
また、第3レンズ群G3の第12レンズ素子L12は、光軸Lに対して垂直に移動する。これにより、像のぶれを光学的に補正する。具体的には、第12レンズ素子L12の光軸Lに対する垂直方向の移動により、全撮像光学系の振動による像点移動を補正する。その結果、手ぶれ、振動などによる像のぶれを光学的に補正できる。なお、像のぶれの補正の詳細については、
図21を用いて後述する。
【0046】
(実施の形態2)
以下に、実施の形態2に係る撮像光学系について、
図4を用いて、説明する。
【0047】
図4は、実施の形態2に係る撮像光学系のレンズ配置図およびその動作を示している。
【0048】
図4に示すように、本実施の形態の撮像光学系は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、開口絞りAと、正のパワーを有する第3レンズ群G3と、負のパワーを有する第4レンズ群G4と、正のパワーを有する第5レンズ群G5と、平行平板CGなどで構成される。第4レンズ群G4と第5レンズ群G5は、後続レンズ群を構成する。なお、第2レンズ群G2は、レンズ群Gmで例示される。第3レンズ群G3は、レンズ群Gpで例示される。第4レンズ群G4は、レンズ群Gfで例示される。
【0049】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第1レンズ素子L1と、正のパワーを有する第2レンズ素子L2と、正のパワーを有する第3レンズ素子L3で構成される。第1レンズ素子L1と第2レンズ素子L2は、例えば紫外線硬化型樹脂などの接着剤で接着される接合レンズを構成する。
【0050】
第2レンズ群G2は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第4レンズ素子L4と、負のパワーを有する第5レンズ素子L5と、負のパワーを有する第6レンズ素子L6と、正のパワーを有する第7レンズ素子L7で構成される。なお、第4レンズ素子L4は、レンズ素子LGmF1で例示される。第5レンズ素子L5は、レンズ素子LGmF2、またはレンズ素子LGmR3で例示される。第6レンズ素子L6は、レンズ素子LGmR2で例示される。第7レンズ素子L7は、レンズ素子LGmR1で例示される。
【0051】
第3レンズ群G3は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第8レンズ素子L8と、正のパワーを有する第9レンズ素子L9と、負のパワーを有する第10レンズ素子L10と、正のパワーを有する第11レンズ素子L11と、正のパワーを有する第12レンズ素子L12で構成される。第10レンズ素子L10と第11レンズ素子L11は、例えば紫外線硬化型樹脂などの接着剤で接着される接合レンズを構成する。なお、第8レンズ素子L8は、レンズ素子LGpF1で例示される。第9レンズ素子L9は、レンズ素子LGpF2で例示される。第10レンズ素子L10は、レンズ素子LGpR3で例示される。第11レンズ素子L11は、レンズ素子LGpR2で例示される。第12レンズ素子L12は、レンズ素子LGpR1で例示される。
【0052】
第4レンズ群G4は、負のパワーを有する第13レンズ素子L13で構成される。
【0053】
第5レンズ群G5は、正のパワーを有する第14レンズ素子L14で構成される。
【0054】
開口絞りAは、第2レンズ群G2の第7レンズ素子L7と、第3レンズ群G3の第8レンズ素子L8との間に配置される。
【0055】
以下に、本実施の形態の撮像光学系の各レンズ群を構成するレンズ素子について、説明する。
【0056】
まず、第1レンズ群G1内における各レンズ素子について、説明する。
【0057】
第1レンズ素子L1は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第2レンズ素子L2は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第3レンズ素子L3は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。
【0058】
つぎに、第2レンズ群G2内におけるレンズ素子について、説明する。
【0059】
第4レンズ素子L4は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第5レンズ素子L5は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第5レンズ素子L5の両面は、非球面である。第6レンズ素子L6は、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである。第7レンズ素子L7は、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである。
【0060】
つぎに、第3レンズ群G3内における各レンズ素子について、説明する。
【0061】
第8レンズ素子L8は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第8レンズ素子L8の両面は、非球面である。第9レンズ素子L9は、両凸レンズである。第10レンズ素子L10は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第11レンズ素子L11は、両凸レンズである。第12レンズ素子L12は、両凸レンズである。第12レンズ素子L12の両面は、非球面である。
【0062】
つぎに、第4レンズ群G4内におけるレンズ素子について、説明する。
【0063】
第13レンズ素子L13は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第13レンズ素子L13の両面は、非球面である。
【0064】
さらに、第5レンズ群G5内におけるレンズ素子について、説明する。
【0065】
第14レンズ素子L14は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。
【0066】
以上のように、本実施の形態の撮像光学系は、5群のレンズ群で構成される。
【0067】
そして、本実施の形態の撮像光学系の各レンズ群は、撮像時の広角端から望遠端へのズーミングの際に、
図4の(c)の矢印で示すように移動する。
【0068】
具体的には、まず、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像面側に凸の軌跡を描くように移動する。開口絞りAと第3レンズ群G3は、一体となって物体側に移動する。そして、第4レンズ群G4は物体側へ移動し、第5レンズ群G5は物体側へ移動する。この移動により、ズーミングに際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少する。第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は、広角端から中間位置までは増大し、中間位置から望遠端までは減少する。第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔は、増大する。そして、第5レンズ群G5と像面Sとの間隔は、増大する。このとき、広角端から望遠端へのズーミングの際に、開口絞りAの開放絞り径は、広角端から中間位置では同じで、中間位置に比べて望遠端では大きくなる。
【0069】
以上のように、各レンズ群は、
図4の(c)の矢印で示すように、光軸Lに沿って移動する。そして、
図4の(a)、(d)、(e)に示すように、広角端、中間位置および望遠端において、各レンズ群が配置される。
【0070】
つまり、本実施の形態の撮像光学系は、全てのレンズ群が光軸Lに沿って、相対的に移動する。言い換えると、各レンズ群の間隔が変化する。これにより、広角端から望遠端までのズーミング動作が行われる。
【0071】
なお、フォーカシングレンズ群を構成する第4レンズ群G4は、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングの際に、
図4の(b)の矢印で示すように、光軸Lに沿って像側へ移動する。
【0072】
また、第3レンズ群G3の第12レンズ素子L12は、光軸Lに対して垂直方向に移動する。これにより、像のぶれを光学的に補正する。具体的には、第12レンズ素子L12の移動により、全撮像光学系の振動による像点移動を補正する、その結果、手ぶれ、振動などによる像のぶれを光学的に補正できる。
【0073】
(実施の形態3)
以下に、実施の形態3に係る撮像光学系について、
図7を用いて、説明する。
【0074】
図7は、実施の形態3に係る撮像光学系のレンズ配置図およびその動作を示している。
【0075】
図7に示すように、本実施の形態の撮像光学系は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、開口絞りAと、正のパワーを有する第3レンズ群G3と、負のパワーを有する第4レンズ群G4と、正のパワーを有する第5レンズ群G5と、平行平板CGなどで構成される。第4レンズ群G4と第5レンズ群G5は、後続レンズ群を構成する。なお、第2レンズ群G2は、レンズ群Gmで例示される。第3レンズ群G3は、レンズ群Gpで例示される。第4レンズ群G4は、レンズ群Gfで例示される。
【0076】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第1レンズ素子L1と、正のパワーを有する第2レンズ素子L2と、正のパワーを有する第3レンズ素子L3と、で構成される。第1レンズ素子L1と第2レンズ素子L2は、例えば紫外線硬化型樹脂などの接着剤で接着される接合レンズを構成する。
【0077】
第2レンズ群G2は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第4レンズ素子L4と、負のパワーを有する第5レンズ素子L5と、負のパワーを有する第6レンズ素子L6と、正のパワーを有する第7レンズ素子L7を構成する。なお、第4レンズ素子L4は、レンズ素子LGmF1で例示される。第5レンズ素子L5は、レンズ素子LGmF2、またはレンズ素子LGmR3で例示される。第6レンズ素子L6は、レンズ素子LGmR2で例示される。第7レンズ素子L7は、レンズ素子LGmR1で例示される。
【0078】
第3レンズ群G3は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第8レンズ素子L8と、正のパワーを有する第9レンズ素子L9と、負のパワーを有する第10レンズ素子L10と、正のパワーを有する第11レンズ素子L11と、正のパワーを有する第12レンズ素子L12で構成される。第10レンズ素子L10と第11レンズ素子L11は、例えば紫外線硬化型樹脂などの接着剤で接着される接合レンズを構成する。なお、第8レンズ素子L8は、レンズ素子LGpF1で例示される。第9レンズ素子L9は、レンズ素子LGpF2で例示される。第10レンズ素子L10は、レンズ素子LGpR3で例示される。第11レンズ素子L11は、レンズ素子LGpR2で例示される。第12レンズ素子L12は、レンズ素子LGpR1で例示される。
【0079】
第4レンズ群G4は、負のパワーを有する第13レンズ素子L13で構成される。
【0080】
第5レンズ群G5は、正のパワーを有する第14レンズ素子L14で構成される。
【0081】
開口絞りAは、第2レンズ群G2の第7レンズ素子L7と、第3レンズ群G3の第8レンズ素子L8との間に配置される。
【0082】
以下に、本実施の形態の撮像光学系の各レンズ群を構成するレンズ素子について、説明する。
【0083】
まず、第1レンズ群G1内における各レンズ素子について、説明する。
【0084】
第1レンズ素子L1は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第2レンズ素子L2は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第3レンズ素子L3は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。
【0085】
つぎに、第2レンズ群G2内における各レンズ素子について、説明する。
【0086】
第4レンズ素子L4は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第5レンズ素子L5は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第5レンズ素子L5の両面は、非球面である。第6レンズ素子L6は、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである。第7レンズ素子L7は、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである。
【0087】
つぎに、第3レンズ群G3内における各レンズ素子について、説明する。
【0088】
第8レンズ素子L8は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第8レンズ素子L8の両面は、非球面である。第9レンズ素子L9は、両凸レンズである。第10レンズ素子L10は、両凹レンズである。第11レンズ素子L11は、両凸レンズである。第12レンズ素子L12は、両凸レンズである。第12レンズ素子L12の両面は、非球面である。
【0089】
つぎに、第4レンズ群G4内におけるレンズ素子について、説明する。
【0090】
第13レンズ素子L13は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである・第13レンズ素子L13の両面は、非球面である。
【0091】
さらに、第5レンズ群G5内におけるレンズ素子について、説明する。
【0092】
第14レンズ素子L14は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。
【0093】
以上のように、本実施の形態の撮像光学系は、5群のレンズ群で構成される。
【0094】
そして、本実施の形態の撮像光学系の各レンズ群は、撮像時の広角端から望遠端へのズーミングの際に、
図7の(c)の矢印で示すように移動する。
【0095】
具体的には、まず、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像面側に凸の軌跡を描くように移動する。開口絞りAと第3レンズ群G3は、一体となって物体側に移動する。そして、第4レンズ群G4は物体側へ移動し、第5レンズ群G5は物体側へ移動する。この移動により、ズーミングに際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少する。第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は、広角端から中間位置までは増大し、中間位置から望遠端までは減少する。第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔は、広角端から中間位置までは減少し、中間位置から望遠端までは増大する。そして、第5レンズ群G5と像面Sとの間隔は、増大する。このとき、広角端から望遠端へのズーミングの際に、開口絞りAの開放絞り径は、広角端から中間位置では同じで、中間位置に比べて望遠端では大きくなる。
【0096】
以上のように、各レンズ群は、
図7の(c)の矢印で示すように、光軸Lに沿って移動する。そして、
図7の(a)、(d)、(e)に示すように、広角端、中間位置および望遠端において、各レンズ群が配置される。
【0097】
つまり、本実施の形態の撮像光学系は、全てのレンズ群が光軸Lに沿って、相対的に移動する。言い換えると、各レンズ群の間隔が変化する。これにより、広角端から望遠端までのズーミング動作が行われる。
【0098】
なお、フォーカシングレンズ群を構成する第4レンズ群G4は、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングの際に、
図7の(b)の矢印で示すように、光軸Lに沿って像側へ移動する。
【0099】
また、第3レンズ群G3の第12レンズ素子L12は、光軸Lに対して垂直方向に移動する。これにより、像のぶれを光学的に補正する。
【0100】
(実施の形態4)
以下に、実施の形態4に係る撮像光学系について、
図10を用いて、説明する。
【0101】
図10は、実施の形態4に係る撮像光学系のレンズ配置図およびその動作を示している。
【0102】
図10に示すように、本実施の形態の撮像光学系は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、開口絞りAと、正のパワーを有する第3レンズ群G3と、負のパワーを有する第4レンズ群G4と、正のパワーを有する第5レンズ群G5と、平行平板CGで構成される。第4レンズ群G4と第5レンズ群G5は、後続レンズ群を構成する。なお、第2レンズ群G2は、レンズ群Gmで例示される。第3レンズ群G3は、レンズ群Gpで例示される。第4レンズ群G4は、レンズ群Gfで例示される。
【0103】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第1レンズ素子L1と、正のパワーを有する第2レンズ素子L2と、正のパワーを有する第3レンズ素子L3と、で構成される。第1レンズ素子L1と第2レンズ素子L2は、例えば紫外線硬化型樹脂などの接着剤で接着される接合レンズを構成する。
【0104】
第2レンズ群G2は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第4レンズ素子L4と、負のパワーを有する第5レンズ素子L5と、負のパワーを有する第6レンズ素子L6と、正のパワーを有する第7レンズ素子L7を構成する。なお、第4レンズ素子L4は、レンズ素子LGmF1で例示される。第5レンズ素子L5は、レンズ素子LGmF2、またはレンズ素子LGmR3で例示される。第6レンズ素子L6は、レンズ素子LGmR2で例示される。第7レンズ素子L7は、レンズ素子LGmR1で例示される。
【0105】
第3レンズ群G3は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第8レンズ素子L8と、正のパワーを有する第9レンズ素子L9と、負のパワーを有する第10レンズ素子L10と、正のパワーを有する第11レンズ素子L11と、正のパワーを有する第12レンズ素子L12で構成される。第10レンズ素子L10と第11レンズ素子L11は、例えば紫外線硬化型樹脂などの接着剤で接着される接合レンズを構成する。なお、第8レンズ素子L8は、レンズ素子LGpF1で例示される。第9レンズ素子L9は、レンズ素子LGpF2で例示される。第10レンズ素子L10は、レンズ素子LGpR3で例示される。第11レンズ素子L11は、レンズ素子LGpR2で例示される。第12レンズ素子L12は、レンズ素子LGpR1で例示される。
【0106】
第4レンズ群G4は、負のパワーを有する第13レンズ素子L13で構成される。
【0107】
第5レンズ群G5は、正のパワーを有する第14レンズ素子L14で構成される。
【0108】
開口絞りAは、第2レンズ群G2の第7レンズ素子L7と、第3レンズ群G3の第8レンズ素子L8との間に配置される。
【0109】
以下に、本実施の形態の撮像光学系の各レンズ群を構成するレンズ素子について、説明する。
【0110】
まず、第1レンズ群G1内における各レンズ素子について、説明する。
【0111】
第1レンズ素子L1は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第2レンズ素子L2は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第3レンズ素子L3は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。
【0112】
つぎに、第2レンズ群G2内における各レンズ素子について、説明する。
【0113】
第4レンズ素子L4は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第5レンズ素子L5は、両凹レンズである。第5レンズ素子L5の両面は、非球面である。第6レンズ素子L6は、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである。第7レンズ素子L7は、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである。
【0114】
つぎに、第3レンズ群G3内における各レンズ素子について、説明する。
【0115】
第8レンズ素子L8は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第8レンズ素子L8の両面は、非球面である。第9レンズ素子L9は、両凸レンズである。第10レンズ素子L10は、両凹レンズである。第11レンズ素子L11は、両凸レンズである。第12レンズ素子L12は、両凸レンズである。第12レンズ素子L12の両面は、非球面である。
【0116】
つぎに、第4レンズ群G4内におけるレンズ素子について、説明する。
【0117】
第13レンズ素子L13は、両凹レンズであり、その両面は非球面である。
【0118】
さらに、第5レンズ群G5内におけるレンズ素子について、説明する。
【0119】
第14レンズ素子L14は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。
【0120】
以上のように、本実施の形態の撮像光学系は、5群のレンズ群で構成される。
【0121】
そして、本実施の形態の撮像光学系の各レンズ群は、撮像時の広角端から望遠端へのズーミングの際に、
図10の(c)の矢印で示すように移動する。
【0122】
具体的には、まず、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像面側に凸の軌跡を描くように移動する。開口絞りAと第3レンズ群G3は、一体となって物体側に移動する。そして、第4レンズ群G4は物体側へ移動し、第5レンズ群G5は物体側へ移動する。この移動により、ズーミングに際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少する。第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は、広角端から中間位置までは増大し、中間位置から望遠端までは減少する。第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔は、増大する。そして、第5レンズ群G5と像面Sとの間隔は、増大する。このとき、広角端から望遠端へのズーミングの際に、開口絞りAの開放絞り径は、広角端から中間位置では同じで、中間位置に比べて望遠端では大きくなる。
【0123】
以上のように、各レンズ群は、
図10の(c)の矢印で示すように、光軸Lに沿って移動する。そして、
図10の(a)、(d)、(e)に示すように、広角端、中間位置および望遠端において、各レンズ群が配置される。
【0124】
つまり、本実施の形態の撮像光学系は、全てのレンズ群が光軸Lに沿って、相対的に移動する。言い換えると、各レンズ群の間隔が変化する。これにより、広角端から望遠端までのズーミング動作が行われる。
【0125】
なお、フォーカシングレンズ群を構成する第4レンズ群G4は、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングの際に、
図10の(b)の矢印で示すように、光軸Lに沿って像側へ移動する。
【0126】
また、第3レンズ群G3の第12レンズ素子L12は、光軸Lに対して垂直方向に移動する。これにより、像のぶれを光学的に補正する。具体的には、第12レンズ素子L12の垂直方向への移動により、全撮像光学系の振動による像点移動を補正する。その結果、手ぶれ、振動などによる像のぶれを光学的に補正できる。
【0127】
(実施の形態5)
以下に、実施の形態5に係る撮像光学系について、
図13を用いて、説明する。
【0128】
図13は、実施の形態5に係る撮像光学系のレンズ配置図およびその動作を示している。
【0129】
図13に示すように、本実施の形態の撮像光学系は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、開口絞りAと、正のパワーを有する第3レンズ群G3と、負のパワーを有する第4レンズ群G4と、正のパワーを有する第5レンズ群G5と、負のパワーを有する第6レンズ群G6と、平行平板CGなどで構成される。なお、第2レンズ群G2は、レンズ群Gmで例示される。第3レンズ群G3は、レンズ群Gpで例示される。第4レンズ群G4は、レンズ群Gfで例示される。
【0130】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第1レンズ素子L1と、正のパワーを有する第2レンズ素子L2と、で構成される。第1レンズ素子L1と第2レンズ素子L2とは、例えば紫外線硬化型樹脂などの接着剤などで接着される接合レンズを構成する。
【0131】
第2レンズ群G2は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第3レンズ素子L3と、負のパワーを有する第4レンズ素子L4と、負のパワーを有する第5レンズ素子L5と、正のパワーを有する第6レンズ素子L6で構成される。なお、第3レンズ素子L3は、レンズ素子LGmF1で例示される。第4レンズ素子L4は、レンズ素子LGmF2、またはレンズ素子LGmR3で例示される。第5レンズ素子L5は、レンズ素子LGmR2で例示される。第6レンズ素子L6は、レンズ素子LGmR1で例示される。
【0132】
第3レンズ群G3は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第7レンズ素子L7と、正のパワーを有する第8レンズ素子L8と、負のパワーを有する第9レンズ素子L9と、正のパワーを有する第10レンズ素子L10と、正のパワーを有する第11レンズ素子L11で構成される。第9レンズ素子L9と第10レンズ素子L10とは、例えば紫外線硬化型樹脂などの接着剤で接着される接合レンズを構成する。なお、第7レンズ素子L7は、レンズ素子LGpF1で例示される。第8レンズ素子L8は、レンズ素子LGpF2で例示される。第9レンズ素子L9は、レンズ素子LGpR3で例示される。第10レンズ素子L10は、レンズ素子LGpR2で例示される。第11レンズ素子L11は、レンズ素子LGpR1で例示される。
【0133】
第4レンズ群G4は、負のパワーを有する第12レンズ素子L12で構成される。
【0134】
第5レンズ群G5は、正のパワーを有する第13レンズ素子L13で構成される。
【0135】
第6レンズ群G6は、負のパワーを有する第14レンズ素子L14で構成される。
【0136】
開口絞りAは、第2レンズ群G2の第6レンズ素子L6と、第3レンズ群G3の第7レンズ素子L7との間に配置される。
【0137】
以下に、本実施の形態の撮像光学系の各レンズ群を構成するレンズ素子について、説明する。
【0138】
まず、第1レンズ群G1内における各レンズ素子について、説明する。
【0139】
第1レンズ素子L1は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第2レンズ素子L2は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。
【0140】
つぎに、第2レンズ群G2内における各レンズ素子について、説明する。
【0141】
第3レンズ素子L3は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第4レンズ素子L4は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第4レンズ素子L4の両面は、非球面である。第5レンズ素子L5は、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである。第6レンズ素子L6は、両凸レンズである。
【0142】
つぎに、第3レンズ群G3内における各レンズ素子について、説明する。
【0143】
第7レンズ素子L7は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第7レンズ素子L7の両面は、非球面である。第8レンズ素子L8は、両凸レンズである。第9レンズ素子L9は、両凹レンズである。第10レンズ素子L10は、両凸レンズである。第11レンズ素子L11は、両凸レンズである。第11レンズ素子L11の両面は、非球面である。
【0144】
つぎに、第4レンズ群G4内におけるレンズ素子について、説明する。
【0145】
第12レンズ素子L12は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第12レンズ素子L12の両面は、非球面である。
【0146】
つぎに、第5レンズ群G5内におけるレンズ素子について、説明する。
【0147】
第13レンズ素子L13は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。
【0148】
さらに、第6レンズ群G6内におけるレンズ素子について、説明する。
【0149】
第14レンズ素子L14は、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである。
【0150】
以上のように、本実施の形態の撮像光学系は、6群のレンズ群で構成される。
【0151】
そして、本実施の形態の撮像光学系の各レンズ群は、撮像時の広角端から望遠端へのズーミングの際に、
図13の(c)の矢印で示すように移動する。
【0152】
具体的には、まず、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像面側に凸の軌跡を描くように移動する。開口絞りAと第3レンズ群G3は、一体となって物体側に移動する。そして、第4レンズ群G4は物体側へ移動し、第5レンズ群G5は物体側へ移動する。なお、第6レンズ群G6は移動しない。この移動により、ズーミングに際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少する。第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は、広角端から中間位置までは増大し、広角端に対し望遠端は減少する。第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔は、増大する。第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との間隔は、増大する。このとき、広角端から望遠端へのズーミングの際に、開口絞りAの開放絞り径は、広角端から中間位置では同じで、広角端に比べて望遠端では大きくなる。
【0153】
つまり、本実施の形態の撮像光学系は、第6レンズ群G6と像面Sとの間隔が変化しないように、第1レンズ群G1から第5レンズ群が光軸Lに沿って移動する。言い換えると、各レンズ群の間隔が変化する。これにより、広角端から望遠端までのズーミング動作が行われる。
【0154】
撮像光学系は、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングの際に、
図13の(b)の矢印で示すように、光軸Lに沿って像側へ移動する。
【0155】
また、第3レンズ群G3の第11レンズ素子L11は、光軸Lに対して垂直方向に移動する。これにより、像のぶれを光学的に補正する。具体的には、第11レンズ素子L11の移動により、全撮像光学系の振動による像点移動を補正する。その結果、手ぶれ、振動などによる像のぶれを光学的に補正できる。
【0156】
(実施の形態6)
以下に、実施の形態6に係る撮像光学系について、
図16用いて、説明する。
【0157】
図16は、実施の形態5に係る撮像光学系のレンズ配置図およびその動作を示している。
【0158】
図16に示すように、本実施の形態の撮像光学系は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第1レンズ群G1と、開口絞りAと、正のパワーを有する第2レンズ群G2と、負のパワーを有する第3レンズ群G3と、正のパワーを有する第4レンズ群G4と、平行平板CGで構成される。なお、第1レンズ群G1は、レンズ群Gmで例示される。第2レンズ群G2は、レンズ群Gpで例示される。第3レンズ群G3は、レンズ群Gfで例示される。
【0159】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第1レンズ素子L1と、負のパワーを有する第2レンズ素子L2と、負のパワーを有する第3レンズ素子L3と、正のパワーを有する第4レンズ素子L4、で構成される。なお、第1レンズ素子L1は、レンズ素子LGmF1で例示される。第2レンズ素子L2は、レンズ素子LGmF2、またはレンズ素子LGmR3で例示される。第3レンズ素子L3は、レンズ素子LGmR2で例示される。第4レンズ素子L4は、レンズ素子LGmR1で例示される。
【0160】
第2レンズ群G2は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第5レンズ素子L5と、正のパワーを有する第6レンズ素子L6と、負のパワーを有する第7レンズ素子L7と、正のパワーを有する第8レンズ素子L8と、正のパワーを有する第9レンズ素子L9で構成される。第7レンズ素子L7と第8レンズ素子L8とは、例えば紫外線硬化型樹脂などの接着剤で接着される接合レンズを構成する。なお、第5レンズ素子L5は、レンズ素子LGpF1で例示される。
【0161】
第3レンズ群G3は、負のパワーを有する第10レンズ素子L10で構成される。
【0162】
第4レンズ群G4は、正のパワーを有する第11レンズ素子L11で構成される。
【0163】
開口絞りAは、第1レンズ群G1の第4レンズ素子L4と、第2レンズ群G2の第5レンズ素子L5との間に配置される。
【0164】
以下に、本実施の形態の撮像光学系の各レンズ群を構成するレンズ素子について、説明する。
【0165】
まず、第1レンズ群G1内における各レンズ素子について、説明する。
【0166】
第1レンズ素子L1は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第2レンズ素子L2は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第2レンズ素子L2の両面は、非球面である。第3レンズ素子L3は、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである。第4レンズ素子L4は、物体側に凹面を有するメニスカスレンズである。
【0167】
つぎに、第2レンズ群G2内における各レンズ素子について、説明する。
【0168】
第5レンズ素子L5は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。第5レンズ素子L5の両面は、非球面である。第6レンズ素子L6は、両凸レンズである。第7レンズ素子L7は、両凹レンズである。第8レンズ素子L8は、両凸レンズである。第9レンズ素子L9は、両凸レンズである。第9レンズ素子L9の両面は、非球面である。
【0169】
つぎに、第3レンズ群G3内におけるレンズ素子について、説明する。
【0170】
第10レンズ素子L10は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。
【0171】
つぎに、第4レンズ群G4内におけるレンズ素子について、説明する。
【0172】
第11レンズ素子L11は、物体側に凸面を有するメニスカスレンズである。
【0173】
以上のように、本実施の形態の撮像光学系は、4群のレンズ群で構成される。
【0174】
そして、本実施の形態の撮像光学系は、撮像時の広角端から望遠端へのズーミングの際に、
図16の(c)の矢印で示すように移動する。
【0175】
具体的には、まず、第1レンズ群G1は、像面S側に凸の軌跡を描くように移動する。開口絞りAと第2レンズ群G2は、一体となって物体側に移動する。そして、第3レンズ群G3は物体側へ移動し、第4レンズ群G4は物体側へ移動する。この移動により、ズーミングに際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は減少する。第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は広角端から中間位置までは変化せず、広角端に対し望遠端は増大する。第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は広角端から中間位置までは減少し、広角端に対し望遠端は増大する。このとき、広角端から望遠端へのズーミングの際に、開口絞りAの開放絞り径は、広角端から中間位置では同じで、広角端に比べて望遠端では大きくなる。
【0176】
つまり、本実施の形態の撮像光学系は、第4レンズ群G4と像面Sとの間隔が増大するように、各レンズ群が光軸Lに沿って移動する。これにより、広角端から望遠端までのズーミング動作が行われる。
【0177】
なお、フォーカシングレンズ群を構成する第3レンズ群G3は、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングの際に、
図16の(b)の矢印で示すように、光軸Lに沿って像側へ移動する。
【0178】
また、第2レンズ群G2の第9レンズ素子L9は、光軸Lに対して垂直方向に移動する。これにより、像のぶれを光学的に補正する。具体的には、第9レンズ素子L9の垂直方向への移動により、全撮像光学系の振動による像点移動を補正する。その結果、手ぶれ、振動などによる像のぶれを光学的に補正できる。
【0179】
(条件および効果等)
以下に、実施の形態1から実施の形態6に係る撮像光学系の構成を満足することが可能な条件について、説明する。
【0180】
つまり、各実施の形態に係る撮像光学系に対しては、複数の可能な条件が規定される。この場合、複数の条件のすべてを満足する撮像光学系の構成が最も効果的である。
【0181】
しかしながら、以下で述べる個別の条件を満足することにより、それぞれに対応する効果を奏する撮像光学系を得ることも可能である。
【0182】
例えば、実施の形態1から実施の形態6に係る撮像光学系は、ズーミングに際して各レンズ群の間隔が変化し、負のパワーを有するレンズ群のうち、最も物体側にあるレンズ群Gm(本実施の形態1から5では第2レンズ群G2に相当し、実施の形態6では第1レンズ群に相当する)は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、両面が非球面形状で負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、パワーを有する2枚以上のレンズ素子で構成される。
【0183】
この構成により、広角レンズの場合でも、上記レンズ群Gm内に配置するレンズ素子LGmF2の非球面レンズの偏肉比を小さくできる。これにより、レンズ素子LGmF1として、偏肉比を大きくしても作製しやすい球面レンズを配置できる。そのため、レンズ群Gmを薄くできる。その結果、撮像光学系の全長を短くできる。
【0184】
このとき、実施の形態1から5のように、上記レンズ群Gmよりも物体側に正のパワーを有するレンズ群(第1レンズ群G1に相当)を備える場合(いわゆるプラスリードの場合)、レンズ群Gmよりも物体側にある正のパワーを有するレンズ群(実施の形態1から5における第1レンズ群G1)の口径を小型化できる。
【0185】
なお、上記構成は、実施の形態1~5(数値実施例1~5)に示したようなプラスリードに限らず、実施の形態6(数値実施例6)に示したようなマイナスリードに適用してもよい。この場合、最も物体側にある負のパワーを有するレンズ群Gmは、撮像光学系における各レンズ群の最も物体側に配置される。
【0186】
また、本開示における撮像光学系は、レンズ群Gmの像側に、正のパワーを有するレンズ群Gp(実施の形態1~5では第3レンズ群G3に相当し、実施の形態6では第2レンズ群G2に相当)を備える。レンズ群Gpは、撮影時の広角端から望遠端へのズーミングに際して、少なくとも、レンズ群Gmとレンズ群Gpとの間隔が変化するように、光軸方向に移動する。これにより、本開示における撮像光学系は、ズームレンズ系にも適用することができる。
【0187】
上記構成を有する撮像光学系は、例えば以下の条件(1)を満足することが望ましい。
【0188】
0.5 < f_LGpF1/fw < 15 ・・・(1)
ここで、f_LGpF1はレンズ素子LGpF1の焦点距離、fwは広角端での焦点距離である。
【0189】
つまり、条件(1)は、レンズ群Gpの最も物体側に配置されるレンズ素子LGpF1の焦点距離と、広角端での全系の焦点距離との関係を規定する。
【0190】
条件(1)の下限値(0.5)以下になると、レンズ素子LGpF1のパワーが強くなりすぎる。そのため、球面収差の補正が不足する。逆に、条件(1)の上限値(15)以上になると、レンズ素子LGpF1の焦点距離が長くなりすぎる。そのため、球面収差の補正が過剰になる。
【0191】
このとき、以下の条件(1a)または(1b)のいずれか一方を満足すれば、より好ましい。
【0192】
1.0 < f_LGpF1/fw ・・・(1a)
f_LGpF1/fw < 10 ・・・(1b)
これにより、前述の効果が、より向上する。
【0193】
また、以下の条件(1c)または(1d)のいずれか一方を満足すれば、さらに好ましい。
【0194】
1.5 < f_LGpF1/fw ・・・(1c)
f_LGpF1/fw < 7 ・・・(1d)
これにより、前述の効果が、さらに向上する。
【0195】
また、例えばレンズ群Gmの像側から2枚目のレンズ素子LGmR2は、像側に凸面を有するメニスカス形状であることが望ましい。これにより、過剰な球面収差を補正できる。つまり、プラスの球面収差に対し、上記形状とすることにより、光線が発散して像面S側に向かう位置でマイナスの球面収差を発生できる。そのため、足し合わせにより、球面収差を補正できる。
【0196】
また、例えばレンズ群Gmは、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、を備え、像側から物体側へと順に、正のパワーを有するレンズ素子LGmR1と、負のパワーを有するレンズ素子LGmR2を備える構成が望ましい。言い換えると、レンズ群Gmの、像側から物体側へと順に3番目のレンズ素子LGmR3は、負のパワーを備えることが好ましい。さらに、レンズ群Gmが5枚構成の場合、設計の自由度が、かなり高まる。そのため、広角系のレンズであっても、レンズ素子LGmR1、レンズ素子LGmR2、レンズ素子LGmR3のいずれの配置も決定されるものではない。これにより、広角化した際に発生しやすい、広角端での過剰な像面湾曲の補正が容易になる。つまり、負のパワーを持つレンズ群Gmの中で、最も強い負のパワーを持つレンズ素子において、画面周辺部の収差である像面湾曲が発生する。そのため、像面湾曲の発生を抑制するためには、レンズ素子LGmR3、またはレンズ素子LGmF2を負のパワーを有するレンズ素子で構成するのが好ましい。また、レンズ素子LGmR1に正のパワーを持たせることで抑制効果が、さらに高まる。
【0197】
また、本開示における撮像光学系は、以下の条件(2)を満足することが望ましい。
【0198】
0.5 < THGm_A/THGm_B < 1.5 ・・・(2)
ここで、THGm_Aはレンズ群Gmの物体側から1枚目のレンズ素子LGmF1と、レンズ群Gmの物体側から2枚目のレンズ素子LGmF2との空気間隔である。THGm_Bはレンズ群Gmの像側から2枚目のレンズ素子LGmR2と、レンズ群Gmの像側から3枚目のレンズ素子LGmR3の空気間隔である。
【0199】
つまり、条件(2)は、レンズ群Gmの物体側から1枚目のレンズ素子LGmF1と2枚目のレンズ素子LGmF2の空気間隔と、レンズ群Gmの像側から2枚目のレンズ素子LGmR2と3枚目のレンズ素子LGmR3の空気間隔との関係を規定する。
【0200】
条件(2)の下限値(0.5)以下になると、レンズ群Gmから射出される光束径が太くなるため、絞り径が大きくなりすぎる。逆に、条件(2)の上限値(1.5)以上になると、レンズ群Gmの1枚目のレンズ素子LGmF1から射出される光線角度が大きくなるため、より物体側における光学系の口径(径方向の大きさ)が、大型化する。
【0201】
このとき、以下の条件(2a)または(2b)のいずれか一方を満足すれば、より好ましい。
【0202】
0.7 < THGm_A/THGm_B ・・・(2a)
THGm_A/THGm_B < 1.3 ・・・(2b)
これにより、前述の効果が、より向上する。
【0203】
また、以下の条件(2c)または(2d)のいずれか一方を満足すれば、さらに好ましい。
【0204】
0.8 < THGm_A/THGm_B ・・・(2c)
THGm_A/THGm_B < 1.2 ・・・(2d)
これにより、前述の効果が、さらに向上する。
【0205】
また、本開示における撮像光学系は、以下の条件(3)、(4)を満足することが望ましい。
【0206】
1.45 < nd_LGmF2 ・・・(3)
35 < vd_LGmF2 ・・・(4)
ここで、nd_LGmF2は、レンズ群Gmの最も物体側から2枚目のレンズ素子LGmF2の屈折率である。vd_LGmF2は、レンズ群Gmの最も物体側から2枚目のレンズ素子LGmF2のアッベ数である。
【0207】
つまり、条件(3)、(4)は、それぞれ、レンズ群Gmの最も物体側から2枚目のレンズ素子LGmF2の屈折率と、アッベ数を規定する。
【0208】
条件(3)の下限値(1.45)以下になると、レンズ素子の曲率半径が小さくなりすぎる。そのため、レンズ素子の作製が困難となる。条件(4)の下限値(35)以下になると、広角端での倍率色収差の補正が困難となる。つまり、広角端の倍率色収差は、光線高が高いレンズ素子LGmF2より物体側のレンズで発生する。しかし、条件(4)の値が低いほど、色分散が大きくなるため、倍率色収差の補正が困難となる。
【0209】
このとき、以下の条件(3a)または(4a)のいずれか一方を満足すれば、より好ましい。
【0210】
1.48 < nd_LGmF2 ・・・(3a)
38 < vd_LGmF2 ・・・(4a)
これにより、前述の効果が、より向上する。
【0211】
また、本開示における撮像光学系は、以下の条件(5)を満足することが望ましい。
【0212】
0.05 < THGp_A/THGp_B < 0.5 ・・・(5)
ここで、THGp_Aは、レンズ群Gpの物体側から1枚目のレンズ素子LGpF1と、レンズ群Gpの物体側から2枚目のレンズ素子LGpF2の空気間隔である。THGp_Bは、レンズ群Gpの最も物体側から最も像側までのレンズの中心間隔である。
【0213】
つまり、条件(5)は、レンズ群Gpの物体側から1枚目のレンズ素子LGpF1と2枚目のレンズ素子LGpF2の空気間隔とレンズ群Gpの最も物体側から最も像側までのレンズ素子の中心間隔の関係を規定する。
【0214】
条件(5)の下限値(0.05)以下になると、特に、メリディオナル方向の像面がアンダーに倒れすぎる。逆に、条件(5)の上限値(0.5)以上になると、メリディオナル方向の像面がオーバーに倒れすぎる。
【0215】
このとき、以下の条件(5a)または(5b)のいずれか一方を満足すれば、より好ましい。
【0216】
0.07 < THGp_A/THGp_B ・・・(5a)
THGp_A/THGp_B < 0.3 ・・・(5b)
これにより、前述の効果が、より向上する。
【0217】
また、本開示における撮像光学系は、以下の条件(6)を満足することが望ましい。
【0218】
1.0 < f_Gp/fw < 7 ・・・(6)
ここで、f_Gpはレンズ群Gpの焦点距離、fwは広角端における全系の焦点距離である。
【0219】
つまり、条件(6)は、レンズ群Gpの焦点距離と広角端における全系での焦点距離の関係を規定する。
【0220】
条件(6)の下限値(1.0)以下になると、レンズ群Gpの焦点距離が小さくなる。そのため、全域での収差補正が困難となる。逆に、条件(6)の上限値(7)以上になると、レンズ群Gpの焦点距離が大きくなる。そのため、ズーム比を確保するために、レンズ群Gpの移動量が大きくなりすぎる。
【0221】
このとき、以下の条件(6a)または(6b)のいずれか一方を満足すれば、より好ましい。
【0222】
1.3 < f_Gp/fw ・・・(6a)
f_Gp/fw < 5 ・・・(6b)
これにより、前述の効果が、より向上する。
【0223】
また、本開示における撮像光学系は、以下の条件(7)、(8)を満足することが望ましい。
【0224】
1.50 < nd_LGf ・・・(7)
35 < vd_LGf ・・・(8)
ここで、nd_LGfはレンズ群Gfを構成するレンズ素子の屈折率、vd_LGfはレンズ群Gfを構成するレンズ素子のアッベ数である。
【0225】
つまり、条件(7)、(8)は、それぞれ、レンズ群Gfを構成するレンズ素子の屈折率と、アッベ数を規定する。
【0226】
条件(7)の下限値(1.50)以下になると、近接時の像面湾曲変動が大きくなる。条件(8)の下限値(35)以下になると、近接時の倍率色収差の補正が困難となる。
【0227】
このとき、以下の条件(7a)または(8a)のいずれか一方を満足すれば、より好ましい。
【0228】
1.53 < nd_LGf ・・・(7a)
38 < vd_LGf ・・・(8a)
これにより、前述の効果が、より向上する。
【0229】
また、本開示における撮像光学系は、以下の条件(9)を満足することが望ましい。
【0230】
1.5 < |f_Gf|/fw < 5 ・・・(9)
ここで、f_Gfはレンズ群Gfの焦点距離、fwは広角端における全系の焦点距離、である。
【0231】
つまり、条件(9)は、レンズ群Gfの焦点距離と広角端における全系の焦点距離の関係を規定する。
【0232】
条件(9)の下限値(1.5)以下になると、レンズ群Gfの焦点距離が小さくなる。そのため、近接時の収差変動補正が困難となる。逆に、条件(9)の上限値(5)以上になると、レンズ群Gfの焦点距離が大きくなる。そのため、レンズ群Gfの移動量が大きくなりすぎる。
【0233】
また、以下の条件(9a)または(9b)のいずれか一方を満足すれば、さらに好ましい。
【0234】
2.0 < f_Gf/fw ・・・(9a)
f_Gf/fw < 4 ・・・(9b)
これにより、前述の効果が、さらに向上する。
【0235】
また、本開示における撮像光学系は、以下の条件(10)、(11)を満足することが望ましい。
【0236】
1.75 < nd_LGmF1 ・・・(10)
25 < vd_LGmF1 ・・・(11)
ここで、nd_LGmF1は、レンズ群Gmの最も物体側のレンズ素子LGmF1の屈折率である。vd_LGmF1は、レンズ群Gmの最も物体側のレンズ素子LGmF1のアッベ数である。
【0237】
つまり、条件(10)、(11)は、それぞれ、レンズ群Gmの最も物体側のレンズ素子LGmF1の屈折率と、アッベ数を規定する。
【0238】
条件(10)の下限値(1.75)以下になると、像側面の曲率半径が小さくなる。そのため、周辺部の傾斜角度が大きくなりすぎて、レンズ素子の作製が困難となる。条件(11)の下限値(25)以下になると、広角端での倍率色収差の補正が困難となる。
【0239】
このとき、以下の条件(10a)または(11a)のいずれか一方を満足すれば、よりこの好ましい。
【0240】
1.78 < nd_LGmF1 ・・・(10a)
31 < vd_LGmF1 ・・・(11a)
これにより、前述の効果が、より向上する。
【0241】
また、本開示における撮像光学系は、以下の条件(12)を満足することが望ましい。
【0242】
0.8<t_LGmF2(70%)/ct_LGmF2<1.5・・(12)
ここで、t_LGmF2(70%)は、レンズ群Gmの物体側から2枚目のレンズ素子LGmF2の物体側面の有効径から70%の高さのレンズ素子厚みである。ct_LGmF2は、レンズ群Gmの物体側から2枚目のレンズ素子LGmF2の中心厚みである。
【0243】
つまり、条件(12)は、レンズ群Gmの物体側から2枚目のレンズ素子LGmF2の物体側面の有効径から70%の高さのレンズ素子厚みと、レンズ群Gmの物体側から2枚目のレンズ素子LGmF2の中心厚みの関係を規定する。
【0244】
条件(12)の下限値(0.8)以下になると、レンズ素子の厚みが薄くなりすぎる。そのため、外径を規定する高さでのコバ厚の確保が困難になる。逆に、条件(12)の上限値(1.5)以上になると、コバ厚が大きくなりすぎる。そのため、より物体側のレンズ素子(例えば、レンズ素子LGmF1)が大型化する。
【0245】
このとき、以下の条件(12a)または(12b)のいずれか一方を満足すれば、より好ましい。
【0246】
0.9 < t_LGmF2(70%)/ct_LGmF2・・・(12a)
t_LGmF2(70%)/ct_LGmF2 < 1.2・・・(12b)
これにより、前述の効果が、より向上する。
【0247】
また、以下の条件(12c)または(12d)を満足すれば、さらに好ましい。
【0248】
0.98< t_LGmF2(70%)/ct_LGmF2・・・(12c)
t_LGmF2(70%)/ct_LGmF2 < 1.06・・(12d)
これにより、前述の効果が、さらに向上する。
【0249】
また、本開示における撮像光学系は、以下の条件(13)を満足することが望ましい。
【0250】
0.1 < ct_LGmF2/THGm_B < 1.2 ・・(13)
ここで、ct_LGmF2は、レンズ群Gmの物体側から2枚目のレンズ素子LGmF2の中心厚みである。THGm_Bはレンズ群Gmの像側から2枚目のレンズ素子LGmR2と、レンズ群Gmの像側から3枚目のレンズ素子LGmR3の空気間隔である。
【0251】
つまり、条件(13)は、レンズ群Gmの物体側から2枚目のレンズ素子LGmF2の中心間隔と、レンズ群Gmの像側から2枚目のレンズ素子LGmR2と3枚目のレンズ素子LGmR3の空気間隔との関係を規定する。
【0252】
条件(13)の下限値(0.1)以下になると、THGm_Bが大きくなり、軸上光束の低い位置にLGmF2が配置される。そのため、撮像光学系の全系、またはズーム全域での球面収差補正が困難となる。逆に、条件(13)の上限値(1.2)以上になると、THGm_Bが小さくなり、周辺光束の低い位置にLGmF2が配置される。そのため、広角端での像面の平坦性確保が困難となる。
【0253】
このとき、以下の条件(13a)または(13b)のいずれか一方を満足すれば、より好ましい。
【0254】
0.15 < ct_LGmF2/THGm_B ・・・(13a)
ct_LGmF2/THGm_B < 1.0 ・・・(13b)
これにより、前述の効果が、より向上する。
【0255】
また、以下の条件(13c)または(13d)のいずれか一方を満足すれば、さらに好ましい。
【0256】
0.20 < ct_LGmF2/THGm_B ・・・(13c)
ct_LGmF2/THGm_B < 0.5 ・・・(13d)
これにより、前述の効果が、さらに向上する。
【0257】
また、本開示における撮像光学系は、以下の条件(14)を満足することが望ましい。
【0258】
0.1 < (R1_LGmF2+R2_LGmF1)
/(R1_LGmF2―R2_LGmF1) < 4.0 ・・・(14)
ここで、R2_LGmF1は、LGmF1の像側の曲率半径である。R1_LGmF2は、LGmF2の物体側の曲率半径である。
【0259】
つまり、条件(14)は、レンズ群Gmの物体側から1枚目のレンズ素子LGmF1の像側の曲率半径と、レンズ群Gmの物体側から2枚目のレンズ素子LGmF2の物体側の曲率半径との関係を規定する。
【0260】
条件(14)の下限値(0.1)以下になると、撮像光学系の全系、またはズーム全域での像面平坦性確保が困難となる。逆に、条件(14)の上限値(4.0)以上になっても、ズーム全域での像面平坦性確保が困難となる。
【0261】
このとき、以下の条件(14a)または(14b)のいずれか一方を満足すれば、より好ましい。
【0262】
4 < (R1_LGmF2+R2_LGmF1)
/ (R1_LGmF2―R2_LGmF1) ・・・(14a)
(R1_LGmF2+R2_LGmF1)
/ (R1_LGmF2―R2_LGmF1) < 2.0・・(14b)
これにより、前述の効果が、より向上する。
【0263】
また、以下の条件(14c)または(14d)のいずれか一方を満足すれば、さらに好ましい。
【0264】
8 < (R1_LGmF2+R2_LGmF1)
/ (R1_LGmF2―R2_LGmF1) ・・・(14c)
(R1_LGmF2+R2_LGmF1)
/ (R1_LGmF2―R2_LGmF1) < 1.6・・(14d)
これにより、前述の効果が、さらに向上する。
【0265】
また、本開示における撮像光学系は、以下の条件(15)を満足することが望ましい。
【0266】
-0.50 < (R1_LGmR2+R2_LGmF1)
/ (R1_LGmR2―R2_LGmF1) < 1.00・・(15)
ここで、R2_LGmF1は、LGmF1の像側の曲率半径である。R1_LGmR2は、LGmR2の物体側の曲率半径である。
【0267】
つまり、条件(15)は、レンズ群Gmの物体側から1枚目のレンズ素子LGmF1の像側の曲率半径と、レンズ群Gmの像側から2枚目のレンズ素子LGmR2の物体側の曲率半径との関係を規定する。
【0268】
条件(15)の下限値(-0.50)以下になると、撮像光学系の全系、またはズーム全域での像面平坦性確保が困難となる。逆に、条件(15)の上限値(1.00)以上になっても、ズーム全域での像面平坦性確保が困難となる。
【0269】
このとき、以下の条件(15a)または(15b)のいずれか一方を満足すれば、より好ましい。
【0270】
-0.30 < (R1_LGmR2+R2_LGmF1)
/ (R1_LGmR2―R2_LGmF1) ・・・(15a)
(R1_LGmR2+R2_LGmF1)
/ (R1_LGmR2―R2_LGmF1) < 0.60・・(15b)
これにより、前述の効果が、より向上する。
【0271】
また、以下の条件(15c)または(15d)のいずれか一方を満足すれば、さらに好ましい。
【0272】
-0.05 < (R1_LGmR2+R2_LGmF1)
/ (R1_LGmR2―R2_LGmF1) ・・・(15c)
(R1_LGmR2+R2_LGmF1)
/ (R1_LGmR2―R2_LGmF1) < 1.60・・(15d)
これにより、前述の効果が、さらに向上する。
【0273】
また、本開示における撮像光学系は、例えばレンズ群Gfを1枚のレンズ素子で構成するのが望ましい。これにより、レンズ群Gfの軽量化が可能となる。そのため、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングの際に、高速のフォーカシングが容易となる。また、レンズ群Gfの光軸上の厚みを短く(薄く)できる。そのため、撮像光学系の小型化が可能となる。
【0274】
また、本開示における撮像光学系は、例えば広角端から望遠端へのズーミングの際に、開口絞りAとレンズ群Gpは、一体となって移動する構成が望ましい。これにより、ズーミングの際に各レンズ群を駆動するカム構成を少なくできる。そのため、例えば鏡筒などの構成を簡略化できる。
【0275】
このとき、開口絞りAの開放絞り径は、広角端に比べて望遠端では大きくなる、または中間位置に比べて望遠端では大きくなるのが好ましい。これにより、広角端から望遠端までの絞りユニットの移動量を小さくできる。ここで、絞りユニットとは開口絞りAを光軸に沿って移動させる機構であり、本実施の形態では、開口絞りAと一体となって移動するレンズ群を移動させる機構である。
【0276】
また、本開示における撮像光学系は、例えばレンズ群Gfを、後述するレンズ群Gpを保持する第3群枠313(実施の形態6の撮像光学系の場合は第2レンズ群G2を保持する枠に相当)に取り付けたシャフト329に保持して駆動する構成が望ましい。これにより、ズーミングの際に、各レンズ群を駆動するためのカム構成を少なくできる。そのため、例えば鏡筒などの構成を簡略化できる。
【0277】
また、本開示における撮像光学系は、例えば開口絞りA、レンズ群Gp内に配置した像ぶれ補正用のレンズ素子LGpR1、フォーカスレンズ群であるレンズ群Gfを駆動するアクチュエータを、レンズ群Gpと一体で動く移動枠に配置する構成としてもよい。これにより、アクチュエータに給電するフレキシブル配線や基板などを一体形成できる。その結果、撮像光学系を収納する鏡筒などの構成を簡素化できる。
【0278】
また、通常、撮像光学系は、例えばフォーカスレンズ群であるレンズ群Gfを駆動するために、所定のクリアランスが必要となる。そのため、レンズ群Gpに対する、レンズ群Gfの相対位置誤差により、片ボケしやすくなる。そこで、本開示における撮像光学系は、後述するように、レンズ群Gp内(第3群枠313内(
図21参照))に相対位置調整機構を設ける。これにより、相対位置誤差による片ボケの発生を抑制できる。なお、例えばフォーカスレンズ群と相対的な片ボケ感度を有する像ぶれ補正用のレンズ素子LGpR1に、相対位置調整機構を設けてもよい。これにより、上述と同様に、片ボケの発生を、さらに抑制できる。
【0279】
また、本開示における実施の形態1から実施の形態5に係る撮像光学系は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群と、負のパワーを有する第2レンズ群と、正のパワーを有する第3レンズ群と、少なくとも1つのパワーを有する後続レンズ群を備える。第3レンズ群は、物体側から像側へと順に、少なくとも、正のパワーを有するレンズ素子LGpF1と、正のパワーを有するレンズ素子LGpF2と、を有し、像側から物体側へと順に、正のパワーを有するレンズ素子LGpR1と、正のパワーを有するレンズ素子LGpR2と、負のパワーを有するレンズ素子LGpR3を有する。レンズ素子LGpR3とレンズ素子LGpR2は、互いに一方の光学面が接合される。レンズ素子LGpR1は、光軸に対して垂直方向の成分を持つように移動して像ぶれを光学的に補正する。そして、撮影時の広角端から望遠端へのズーミングに際して、少なくとも、第2レンズ群と第3レンズ群は、互いの間隔が変化するように、光軸方向に移動するように構成される。
【0280】
この構成によれば、明るいレンズにおいて、像ぶれ補正時に、絞りより遠ざけた位置にあるレンズ素子LGpR1を光軸に対して垂直方向の成分を持つように移動させても、偏心コマ収差の発生を小さくできる。これにより、像ぶれ補正時の像性能の低下を抑制できる。
【0281】
(実施の形態1を適用した撮像装置の概略構成)
以下に、実施の形態1の撮像光学系を適用した撮像装置の概略構成について、
図19を用いて、説明する。
【0282】
図19は、実施の形態1に係る撮像光学系を備える撮像装置の概略構成図である。なお、
図19では、実施の形態1の撮像光学系を撮像装置に適用する例で説明するが、実施の形態2から6の撮像光学系を撮像装置に適用する構成としてもよく、同様の効果が得られる。
【0283】
図19に示すように、撮像装置100は、筐体104と、筐体104と接続される鏡筒302などで構成される。筐体104は、内部に、撮像素子102を有する。鏡筒302は、内部に、撮像光学系101を備える。なお、撮像装置100は、例えばデジタルカメラで例示される。
【0284】
撮像光学系101は、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、開口絞りAと、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5などを備え、鏡筒302内に収納される。
【0285】
鏡筒302は、撮像光学系101を構成する各レンズ群と、開口絞りAを保持する。
【0286】
撮像素子102は、本実施の形態の撮像光学系における像面Sの位置に配置される。
【0287】
また、筐体104は、内部に、アクチュエータやレンズ枠などを備える。アクチュエータやレンズ枠には、撮像光学系101を構成する、各レンズ群と、開口絞りAなどが、ズーミングの際に移動可能に配置される。
【0288】
以上のように、撮像装置100が構成される。これにより、諸収差の良好な撮像装置100を実現できる。
【0289】
なお、上記では、撮像光学系をデジタルカメラに適用した例で説明したが、これに限られない。例えば、監視カメラ、スマートフォンなどの撮像装置に適用してもよい。
【0290】
(実施の形態1を適用したカメラシステムの概略構成)
以下に、実施の形態1の撮像光学系を適用したカメラシステムの概略構成について、
図20を用いて、説明する。
【0291】
図20は、実施の形態1に係る撮像光学系を備えるカメラシステムの概略構成図である。なお、
図20では、実施の形態1の撮像光学系をカメラシステムに適用する例で説明するが、実施の形態2から6の撮像光学系をカメラシステムに適用する構成としてもよく、同様の効果が得られる。また、カメラシステム200は、例えばレンズ交換式デジタルカメラシステムなどで例示される。
【0292】
図20に示すように、カメラシステム200は、カメラ本体201と、カメラ本体201に着脱自在に接続される交換レンズ装置300などを備える。
【0293】
カメラ本体201は、撮像素子202と、モニタ203と、画像信号を記憶するメモリ(図示せず)と、カメラマウント部204と、ファインダ205などを含む。撮像素子202は、例えばCMOSイメージセンサで構成され、交換レンズ装置300の撮像光学系によって形成される光学像を受光して、電気的な画像信号に変換する。モニタ203は、例えばLCDで構成され、撮像素子202によって変換された画像信号を表示する。
【0294】
交換レンズ装置300は、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、開口絞りAと、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5などから構成される撮像光学系101を備える。
【0295】
鏡筒302は、撮像光学系101の各レンズ群と、開口絞りAを保持する。さらに、鏡筒302は、カメラ本体201のカメラマウント部204に接続されるレンズマウント部304を含む。
【0296】
カメラ本体201のカメラマウント部204と鏡筒302のレンズマウント部304とは、例えばバヨネット機構などにより物理的に接続される。そして、カメラ本体201内のコントローラ(図示せず)と交換レンズ装置300内のコントローラ(図示せず)とが、電気的に接続される。つまり、カメラマウント部204およびレンズマウント部304は、相互の信号のやり取りを可能とするインターフェースとして、機能する。
【0297】
撮像光学系101は、交換レンズ装置300の鏡筒302内に保持される各レンズ群と、カメラ本体201内の平行平板CGなどから構成される。
【0298】
撮像光学系101は、内部に、コントローラによって制御されるアクチュエータやレンズ枠を備える。アクチュエータやレンズ枠には、撮像光学系101を構成する各レンズ群と、開口絞りAなどが、ズーミングの際に移動可能に配置される。
【0299】
以上のように、カメラシステム200が構成される。これにより、諸収差の良好なカメラシステム200を実現できる。
【0300】
(実施の形態1を適用した鏡筒の概略構成)
以下に、実施の形態1の撮像光学系を適用した鏡筒の概略構成について、
図21を用いて、説明する。
【0301】
図21は、実施の形態1に係る撮像光学系を備える鏡筒302の概略構成図である。なお、
図21では、実施の形態1の撮像光学系を鏡筒に適用する例で説明するが、実施の形態2から6の撮像光学系を鏡筒に適用する構成としてもよく、同様の効果が得られる。実施の形態6の鏡筒に適用する場合、実施の形態1における第2レンズ群G2から第5レンズ群G5が、実施の形態6の鏡筒における第1レンズ群G1から第4レンズ群G4に相当する。
【0302】
図21に示すように、鏡筒302は、撮像光学系の各レンズ群を保持する、第1群枠311と、第2群枠312と、第3群枠313と、第4群枠314と、第5群枠315などを備える。
【0303】
第1群枠311は、第1レンズ群G1を保持する。第2群枠312は、第2レンズ群G2を保持する。第3群枠313は、開口絞りAと第3レンズ群G3を保持する。第4群枠314は、第4レンズ群G4を保持する。第5群枠315は、第5レンズ群G5を保持する。
【0304】
第2群枠312、第3群枠313および第5群枠315は、直進固定枠325と、カム筒320と、カムピン326とに係合され、光軸方向に沿って移動する。第1群枠311は、第2群枠312の外周面の溝(図示せず)と、第1群枠311のピン(図示せず)を介して、係合され、光軸方向に沿って移動する。
【0305】
第3群枠313は、アクチュエータ328と、シャフト329などを備える。アクチュエータ328は、コントローラ(図示せず)により制御され、第3群枠313に対して、第4群枠314を光軸方向に駆動する。シャフト329は、第4群枠314を移動可能に保持する。これにより、ズーミングの際に、各レンズ群を駆動するカム構成を少なくできる。その結果、鏡筒302の構成を簡素化できる。
【0306】
また、第3群枠313は、第3群前枠313aと、OISベース枠313bと、OIS枠313cと、アクチュエータ327などを備える。アクチュエータ327は、OISベース枠313bに対して、OIS枠313cを光軸と垂直な平面で駆動する。第3群前枠313aは、開口絞りAと、第8レンズ素子L8から第11レンズ素子L11を保持する。OIS枠313cは、第3レンズ群G3の第12レンズ素子L12を例示するレンズ素子LGpR1を保持する。OISベース枠313bは、例えばボール(図示せず)などを介して、OIS枠313cを、光軸と垂直な平面上を基準位置から移動可能に支持する。なお、OISは、Optical Image Stabilizerの略で、光学式像ぶれ補正機能を示している。
【0307】
コントローラ(図示せず)は、アクチュエータ327を制御し、レンズ素子LGpR1を保持するOIS枠313cを移動させる。これにより、像ぶれ補正を行う。
【0308】
また、OISベース枠313bは、上述した相対位置調整機構を備える。相対位置調整機構は、偏芯ピン323による応力により、第3群前枠313aに対して、OISベース枠313bを光軸と垂直な2方向(X方向およびY方向)に移動させる。これにより、レンズ素子LGpR1の相対位置を、基準位置に対して調整する。具体的には、鏡筒302の出荷調整時に、偏芯ピン323によりレンズ素子LGpR1の相対位置を調整し、調整後に接着剤などで固定する。これにより、片ボケの発生を抑制できる。
【0309】
(他の実施の形態)
以上、本出願に開示する技術について、実施の形態1から実施の形態6を例に説明した。
【0310】
しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。
【0311】
上記実施の形態1から実施の形態6に係る撮像光学系では、広角端から望遠端までの全てのズーミング域を使用する例で説明したが、必ずしも、ズーミング域の全てを使用する必要はない。例えば、所望のズーミング域に応じて、光学性能が確保されている範囲を切り出して、撮像光学系として使用してもよい。つまり、以下で、実施の形態1から実施の形態6に対応する数値実施例1から数値実施例6で説明する撮像光学系よりも、低倍率の撮像光学系として使用してもよい。また、所望のズーミング位置に応じて、光学性能が確保されている焦点距離を切り出して、単焦点の撮像光学系として使用してもよい。
【0312】
例えば、単焦点の撮像光学系として使用する場合における、レンズ群Gm、レンズ群Gp、およびレンズ群Gfは次の通りである。
【0313】
単焦点の撮像光学系として使用する場合において、前述のレンズ群Gmは、実施の形態1から実施の形態6に係る撮像光学系において、負のパワーを有するレンズ群のうち、最も物体側にあるレンズ群Gm(本実施の形態1から5では第2レンズ群G2に相当し、実施の形態6では第1レンズ群G1に相当する)は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子LGmF1と、両面が非球面形状で負のパワーを有するレンズ素子LGmF2と、パワーを有する2枚以上のレンズ素子で構成される。そして、上記レンズ素子LGmF1は、開口絞りAよりも物体側にあるレンズ素子のうち、最もパワーの強いレンズ素子である。つまり、レンズ群Gmの、最も物体側のレンズ素子LGmF1は、開口絞りAよりも物体側にあるレンズ素子のうち、最も負のパワーの強いレンズ素子である。
【0314】
単焦点の撮像光学系として使用する場合において、前述のレンズ群Gpは、実施の形態1から実施の形態6に係る撮像光学系において、レンズ群Gmの像側にある正のパワーを有するレンズ群(本実施の形態1から5では第3レンズ群G3に相当し、実施の形態6では第2レンズ群G2に相当する)である。レンズ群Gpは、物体側から像側へと順に、正のパワーを有するレンズ素子LGpF1と、正のパワーを有するレンズ素子LGpF2と、を有する。そして、上記レンズ素子LGpF1の物体側もしくは像側のいずれか一方に開口絞りAを有する。つまり、レンズ群Gpは、物体側から像側へと順に、(i)開口絞りA、正のパワーを有するレンズ素子LGpF1、正のパワーを有するレンズ素子LGpF2、或いは(ii)正のパワーを有するレンズ素子LGpF1、開口絞りA、正のパワーを有するレンズ素子LGpF2である。
【0315】
単焦点の撮像光学系として使用する場合において、前述のレンズ群Gfは、実施の形態1から実施の形態6に係る撮像光学系において、レンズ群Gfの像側にある負のパワーを有するレンズ群(本実施の形態1から5では第4レンズ群G4に相当し、実施の形態6では第3レンズ群G3に相当する)である。そして、レンズ群Gfは、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシングに際して、光軸方向に移動するレンズ群である。つまり、単焦点の撮像光学系において、フォーカシングに際して、レンズ群Gpは光軸方向に移動せず、レンズ群Gfは光軸方向に移動する。
【0316】
また、実施の形態1から実施の形態6に係る撮像光学系では、像ぶれ補正用のレンズ素子を、光軸に対して垂直方向に移動させて像ぶれ補正を行う構成を例に説明したが、これに限られない。つまり、光軸に対して垂直方向の成分を持つように移動方式であれば、画像のぶれを補正することが可能である。そのため、例えば鏡筒構造の複雑化を許容すれば、光軸上に回転中心を持つように像ぶれ補正用のレンズ素子を回動させて像ぶれ補正を行う構成としもよい。
【0317】
また、実施の形態1から実施の形態6では、撮像光学系を構成する各レンズ群は、入射光線を屈折により偏向させる屈折型レンズ素子(すなわち、異なる屈折率を有する媒質同士の界面で偏向が行われるタイプのレンズ素子)のみで構成する例で説明したが、これに限られない。例えば、回折により入射光線を偏向させる回折型レンズ素子や、回折作用と屈折作用との組み合わせで入射光線を偏向させる屈折・回折ハイブリッド型レンズ素子で構成してもよい。さらに、入射光線を媒質内の屈折率分布により偏向させる屈折率分布型レンズ素子などで、各レンズ群を構成してもよい。特に、屈折・回折ハイブリッド型レンズ素子において、屈折率の異なる媒質の界面に回折構造を形成すると、回折効率の波長依存性が改善されるので、より好ましい。これにより、諸収差の良好なカメラシステムなどを実現できる。
【0318】
【0319】
なお、各数値実施例において、表中の長さの単位は「mm」で、画角の単位は「°」である。また、各数値実施例において、rは曲率半径、dは面間隔、ndはd線に対する屈折率、νd(vdとも記す)はd線に対するアッベ数である。さらに、各数値実施例において、*印を付した面は非球面である。そして、非球面形状は、次式で定義される。また、各数値実施例において、絞り径は、各ズームポジションにおける有効な開放絞り径である。
【0320】
【0321】
ここで、Zは光軸からの高さhの非球面上の点から、非球面頂点の接平面までの距離、hは光軸からの高さ、rは頂点曲率半径、κは円錐定数、Anはn次の非球面係数である。
【0322】
【0323】
ここで、各縦収差図において、(a)は広角端、(b)は中間位置、(c)は望遠端における各縦収差を表している。各縦収差図の(a)から(c)は、左側から順に、球面収差(SA:Spherical Aberration(mm))、非点収差(AST:Astigmatism(mm))、歪曲収差(DIS:Distortion(%))を示している。
【0324】
球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、「F」で示す)を表し、実線はd線(d-line)、短破線はF線(F-line)、長破線はC線(C-line)に対する特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、「H」で示す)を表し、実線はサジタル平面(図中、「s」で示す)、破線はメリディオナル平面(図中、「m」で示す)に対する特性を示している。さらに、歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、「H」で示す)を表している。
【0325】
【0326】
ここで、各横収差図の(a)から(c)は、望遠端における像ぶれ補正を行っていない基本状態の特性を示している。また、各横収差図の(d)から(f)は、像ぶれ補正レンズ群を光軸と垂直な方向に所定量移動させた望遠端における像ぶれ補正状態の特性を示している。
【0327】
なお、基本状態の各横収差図の(a)は最大像高の70%の像点における横収差、(b)は軸上像点における横収差、(c)は最大像高の-70%の像点における横収差に対応する特性を示している。同様に、像ぶれ補正状態の各横収差図の(d)は最大像高の70%の像点における横収差、(e)は軸上像点における横収差、(f)は最大像高の-70%の像点における横収差に対応する特性を示している。
【0328】
各横収差図において、横軸は瞳面上での主光線からの距離を表し、実線はd線(d-line)、短破線はF線(F-line)、長破線はC線(C-line)に対する特性を示している。そして、各横収差図において、メリディオナル平面を、第1レンズ群G1の光軸とレンズ素子LGpR1の光軸とを含む平面としている。
【0329】
ここで、各数値実施例の撮像光学系について、望遠端の像ぶれ補正状態における、像ぶれ補正レンズ群の光軸と垂直な方向への移動量を、以下に示す。
【0330】
数値実施例1 0.261mm
数値実施例2 0.251mm
数値実施例3 0.241mm
数値実施例4 0.238mm
数値実施例5 0.247mm
数値実施例6 0.168mm
なお、撮影距離が∞の望遠端において、撮像光学系が0.4度傾いた場合の像偏心量は、像ぶれ補正レンズ群が光軸と垂直な方向に上記の各値だけ平行移動するときの像偏心量に等しい。
【0331】
上記状態において、
図3、
図6、
図9、
図12、
図15および
図18の(b)、(e)に示す横収差図から、軸上像点における横収差の対称性が良好であることがわかる。
【0332】
また、
図3、
図6、
図9、
図12、
図15および
図18の(a)に示す基本状態の+70%の像点における横収差と、(c)に示す基本状態の-70%の像点における横収差とを比較すると、いずれも湾曲度が小さく、収差曲線の傾斜がほぼ等しい。これにより、偏心コマ収差および偏心非点収差が小さいことがわかる。上記の結果は、像ぶれ補正状態でも、充分な結像性能が得られていることを意味している。
【0333】
また、撮像光学系の像ぶれ補正角が同じ場合、撮像光学系全体の焦点距離が短くなるにつれて、像ぶれ補正に必要な平行移動量が減少する。つまり、いずれのズーム位置でも、0.4度程度の像ぶれ補正角に対して、結像特性を低下させずに、充分な像ぶれ補正を行うことが可能であることがわかる。
【0334】
(数値実施例1)
以下に、
図1に示す実施の形態1に対応する撮像光学系の数値実施例1を示す。具体的には、数値実施例1として、面データを(表1)、非球面データを(表2)、無限遠合焦状態での各種データを(表3A)~(表3D)に示す。
【0335】
(数値実施例2)
以下に、
図4に示す実施の形態2に対応する撮像光学系の数値実施例2を示す。具体的には、数値実施例2として、面データを(表4)に、非球面データを(表5)、無限遠合焦状態での各種データを(表6A)~(表6D)に示す。
【0336】
(数値実施例3)
以下に、
図7に示す実施の形態3に対応する撮像光学系の数値実施例3を示す。具体的には、数値実施例3として、面データを(表7)、非球面データを(表8)、無限遠合焦状態での各種データを(表9A)~(表9D)に示す。
【0337】
(数値実施例4)
以下に、
図10に示す実施の形態4に対応する撮像光学系の数値実施例4を示す。具体的には、数値実施例4として、面データを(表10)、非球面データを(表11)、無限遠合焦状態での各種データを(表12A)~(表12D)に示す。
【0338】
(数値実施例5)
以下に、
図13に示す実施の形態5に対応する撮像光学系の数値実施例5を示す。具体的には、数値実施例5として、面データを(表13)に、非球面データを(表14)に、無限遠合焦状態での各種データを(表15A)~(表15D)に示す。
【0339】
(数値実施例6)
以下に、
図16に示す実施の形態6に対応する撮像光学系の数値実施例6を示す。具体的には、数値実施例6として、面データを(表16)に、非球面データを(表17)に、無限遠合焦状態での各種データを(表18A)~(表18D)に示す。
【0340】
(条件の対応値)
以上のように、実施の形態1から実施の形態6に係る撮像光学系について、数値実施例1から数値実施例6で、具体的に実施した。
【0341】
以下に、各数値実施例における上記条件(1)~条件(15)に対応する値を(表1)に示す。
【0342】
【0343】
(表1)に示すように、数値実施例1から数値実施例6で実施した撮像光学系は、上記各条件(1)から条件(15)を満たすことがわかる。
【0344】
これにより、小型、高倍率で、全ズーム範囲で結像性能に優れた撮像光学系およびそれを備える撮像装置やカメラシステムを実現できる。
【0345】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0346】
本開示に係る撮像光学系は、デジタルスチルカメラ、交換レンズ式デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機器のカメラ、PDA(Personal Digital Assistance)のカメラ、監視システムにおける監視カメラ、Webカメラ、車載カメラなどに適用可能である。特に、本開示は、デジタルスチルカメラシステム、デジタルビデオカメラシステムなどの高画質が要求される撮像光学系に好適である。
【符号の説明】
【0347】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
G6 第6レンズ群
Gf,Gm,Gp レンズ群
L1 第1レンズ素子
L2 第2レンズ素子
L3 第3レンズ素子
L4 第4レンズ素子
L5 第5レンズ素子
L6 第6レンズ素子
L7 第7レンズ素子
L8 第8レンズ素子
L9 第9レンズ素子
L10 第10レンズ素子
L11 第11レンズ素子
L12 第12レンズ素子
L13 第13レンズ素子
L14 第14レンズ素子
LGmF1,LGmF2,LGmR1,LGmR2、LGmR3 レンズ素子
LGpF1、LGpF2,LGpR1,LGpR2,LGpR3 レンズ素子
A 開口絞り
CG 平行平板
S 像面
100 撮像装置
101 撮像光学系
102 撮像素子
104 筐体
200 カメラシステム
201 カメラ本体
202 撮像素子
203 モニタ
204 カメラマウント部
205 ファインダ
300 交換レンズ装置
302 鏡筒
304 レンズマウント部
311 第1群枠
312 第2群枠
313 第3群枠
313a 3群前枠
313b OISベース枠
313c OIS枠
314 第4群枠
315 第5群枠
320 カム筒
323 偏芯ピン
325 直進固定枠
326 カムピン
327,328 アクチュエータ
329 シャフト