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特許7584000口腔ケアデバイスのブラッシング角度を決定するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】口腔ケアデバイスのブラッシング角度を決定するシステム
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/22 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A61C17/22 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021571951
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2020067074
(87)【国際公開番号】W WO2020254561
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】62/864,587
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ベヴィス テイラー
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-514295(JP,A)
【文献】特表2017-529958(JP,A)
【文献】特表2015-527162(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0352947(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107529877(CN,A)
【文献】特表2019-516448(JP,A)
【文献】特開2009-240760(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107928099(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケアデバイスのブラッシング角度を決定する方法において、
駆動トレインを動かして前記口腔ケアデバイスのブリッスルフィールドの動きを生成するための駆動信号を前記口腔ケアデバイスのコントローラにより生成するステップと、
歯に対する前記口腔ケアデバイスの前記ブリッスルフィールドの力をセンサを介して測定するステップと、
前記測定された力に係る負荷信号の特性及び前記生成された駆動信号の特性を伝達関数を介して、前記ユーザの口腔の表面に対する前記ブリッスルフィールドのブラッシング角度を前記口腔ケアデバイスのコントローラにより決定するステップとを有し、
前記伝達関数が、前記駆動信号及び前記負荷信号の位相差の変化に基づかれる、又は前記負荷信号のエネルギースペクトル密度の変化に基づかれる、方法。
【請求項2】
前記ユーザの口腔の表面に対する前記ブリッスルフィールドの前記決定されたブラッシング角度に関するフィードバックを生成するステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生成されたフィードバックを伝達するステップを更に有する、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記口腔ケアデバイスの前記決定されたブラッシング角度が、第1の所定の閾値よりも小さい、又は第2の所定の閾値よりも大きいとき、前記ユーザに通知するステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記センサが、負荷センサ又は圧力センサを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
口腔ケアデバイスであって、
ブリッスルフィールドを含むブラシヘッドと、
駆動信号に反応し、前記ブリッスルフィールドの動きを生成する駆動トレインと、
歯に対する前記ブリッスルフィールドの力を測定するセンサと、
(i)前記駆動トレインを動かし、前記ブリッスルフィールドの動きを生成するための駆動信号を生成し、(ii)前記測定された力に係る負荷信号の特性及び前記生成された駆動信号の特性を伝達関数を介して、前記ユーザの口腔の表面に対する前記ブリッスルフィールドのブラッシング角度を決定するコントローラとを有し、
前記伝達関数が、前記駆動信号及び前記負荷信号の位相差の変化に基づかれる、又は前記負荷信号のエネルギースペクトル密度の変化に基づかれる、口腔ケアデバイス。
【請求項7】
前記コントローラが更に、前記ユーザの口腔の表面に対する前記ブリッスルフィールドの前記決定されたブラッシング角度に関するフィードバックを生成する、請求項に記載の口腔ケアデバイス。
【請求項8】
前記コントローラが更に、前記生成されたフィードバックを伝達する、請求項に記載の口腔ケアデバイス。
【請求項9】
前記センサが、負荷センサ又は圧力センサを有する、請求項に記載の口腔ケアデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は一般に、ユーザによるブラッシングセッション中に口腔ケアデバイスのブラッシング角度を決定する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
予防的な口腔ケアにおいて、有害なバイオフィルムを歯から除去する効果における第1の決め手はユーザの技術である。一般的に、歯科関係者の間では、ブリッスルフィールドとユーザの歯肉線との間の角度が45°であることが最適であると言われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一般の多くの人々は、この最適なブラッシングの角度を知らないままである。この最適なブラッシングの角度を知っているユーザであっても、実際にこの推奨される態様で歯を磨けているかどうかをユーザが自己評価することは困難である。
【0004】
更に、電動歯ブラシなどの口腔ケアデバイスにおけるブラッシング角度の測定は、困難である。なぜなら、斯かる測定は典型的に、例えば一般的にかさばる上に高価であるカメラ、近接センサ、又は接触センサを用いて、ユーザの歯肉線並びに歯の角度及び向きを位置決めし、特定し、及び測定するためのハードウェアを必要とするからである。
【0005】
従って、当技術分野では、口腔ケアデバイスのブラッシング角度を決定するための改良された方法及びシステムが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、ユーザの口腔内の表面(例えば、歯肉線)に対する口腔ケアデバイスのブラッシング角度を決定する方法及びシステムに関する。本書の様々な実施形態及び実現は、周期的な信号(例えば、正弦波、方形波、鋸歯状の波形)により駆動される電動歯ブラシなどの口腔ケアデバイスに向けられる。センサは、ブリッスルフィールドの法線方向にかかる力を測定する。測定された力の特性(例えば振幅、周波数、位相)と、駆動信号の特性(例えば振幅、周波数、位相)は、伝達関数を介して結合される。伝達関数は、ブラッシング角度の変化に伴う、負荷及び駆動信号の間の特性比の変化を利用する。単軸力測定は、歯面に直接接触することでブラッシング角度の解決を可能にし、ユーザの歯肉線の向きは直接測定される必要がない。
【0007】
1つの側面では一般的に、口腔ケアデバイスのブラッシング角度を決定する方法が提供される。この方法は、駆動トレインを移動させ、口腔ケアデバイスのブリッスルフィールドの動きを生成するための駆動信号を、口腔ケアデバイスのコントローラにより生成するステップと、口腔ケアデバイスのブリッスルフィールドにユーザが加える力を、センサを介して測定するステップと、生成された駆動信号及び上記ブリッスルフィールドへの測定された力に少なくとも部分的に基づき、上記ユーザの口腔の表面に対する上記ブリッスルフィールドのブラッシング角度を、上記口腔ケアデバイスのコントローラにより決定するステップとを有する。
【0008】
実現は、以下の1つ又は複数を含むことができる。センサは、負荷センサ又は圧力センサを有することができる。決定ステップは、測定された力の特性及び生成された駆動信号の特性を伝達関数を介して適用するステップを含むことができる。伝達関数は、位相差の変化又はスペクトルエネルギー密度の変化に基づかれることができる。
【0009】
いくつかの実現では、本方法は、ユーザの口腔の表面に対するブリッスルフィールドの決定されたブラッシング角度に関するフィードバックを生成するステップを含むことができる。この方法は、生成されたフィードバックを通信するステップを含むこともできる。本方法は、口腔ケアデバイスの決定されたブラッシング角度が第1の所定の閾値よりも小さいとき、又は第2の所定の閾値よりも大きいとき、ユーザに通知するステップを更に含むことができる。
【0010】
別の側面では一般的に、口腔ケアデバイスが提供される。このデバイスは、ブリッスルフィールドを含むブラシヘッドと、駆動信号に反応し、ブリッスルフィールドの動きを生成するよう構成された駆動トレインと、ブリッスルフィールドにユーザが加える力を測定するよう構成されたセンサと、(i)駆動トレインを動かし、ブリッスルフィールドの動きを生成するための駆動信号を生成し、(ii)生成された駆動信号及びブリッスルフィールドへの測定された力に少なくとも部分的に基づき、ユーザの口腔の表面に対するブリッスルフィールドのブラッシング角度を決定するよう構成されるコントローラとを有する。
【0011】
実現は、以下の1つ又は複数を含むことができる。センサは、負荷センサ又は圧力センサを有することができる。コントローラは、測定された力の特性及び生成された駆動信号の特性を、伝達関数を介して適用するよう構成されていてもよい。伝達関数は、位相差の変化又はスペクトルエネルギー密度の変化に基づかれることができる。コントローラは、ユーザの口腔の表面に対するブリッスルフィールドの決定されたブラッシング角度に関するフィードバックを生成するよう構成されてもよい。コントローラは、生成されたフィードバックを通信するよう構成されていてもよい。
【0012】
本願のため本書では、口腔ケアデバイスの操作に関連するさまざまな装置を説明するのに、「コントローラ」という用語が一般的に使用される。コントローラは、本書で説明される様々な機能を実行するために、様々な態様(例えば、専用のハードウェアを使用するなど)で実現されることができる。「プロセッサ」は、本書で説明される様々な機能を実行するためソフトウェア(例えばマイクロコード)を使ってプログラムされることができる1つ又は複数のマイクロプロセッサを採用したコントローラの一例である。コントローラは、プロセッサを採用してもしなくてもよく、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、プログラムされた1つ又は複数のマイクロプロセッサ及び関連回路)との組み合わせとして実現されてもよい。本願の様々な実施形態で採用され得るコントローラ要素の例は、以下に限定されるものではないが、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。
【0013】
様々な実現において、プロセッサ又はコントローラは、1つ又は複数の記憶媒体(本書では一般的に「メモリ」と呼ばれ、例えば、揮発性及び不揮発性のコンピュータメモリ)に関連付けられることができる。いくつかの実現では、記憶媒体は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコントローラで実行されるとき、本書で説明される機能の少なくとも一部を実行する1つ又は複数のプログラムでエンコードされていてもよい。様々な記憶媒体は、プロセッサ若しくはコントローラ内に固定されていてよく、又は、本書で論じられる本願の様々な側面を実現するように、1つ又は複数のプログラムがプロセッサ又はコントローラにロードされることができるように、輸送可能であってもよい。本書では、「プログラム」又は「コンピュータプログラム」という用語が、1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラをプログラムするために使用されることができる、任意のタイプのコンピューターコード(例えばソフトウェア又はマイクロコード)を指す一般的な意味で使用される。
【0014】
本書で使用される「ユーザインターフェース」という用語は、ユーザとデバイスとの間のコミュニケーションを可能にする、人間のユーザ又はオペレーターと、1つ又は複数のデバイスとの間のインターフェースを指す。本願の様々な実現で採用されることができるユーザインターフェースの例は、以下に限定されるものではないが、スイッチ、ポテンショメータ、ボタン、ダイヤル、スライダ、トラックボール、ディスプレイスクリーン、様々なタイプのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)、タッチスクリーン、マイクロフォン、及び何らかの形で人間が生成した刺激を受けてそれに応答して信号を生成することができる他のタイプのセンサを含む。
【0015】
前述の概念及び以下に詳細に説明される追加の概念のすべての組み合わせ(これらの概念が相互に矛盾しないことを前提として)が、本書に開示される発明的主題の一部であることが想定される点を理解されたい。特に、本願の請求項に記載された主題のすべての組み合わせが、本書に開示された発明的主題の一部であることが想定される。
【0016】
本発明のこれら及びその他の側面が、以下に説明される実施形態から明らかとなり、実施形態を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願による口腔ケアデバイスの概略図である。
図2】本願による口腔ケアデバイスの制御システムの概略図である。
図3】ブラシヘッドを口腔の歯肉線に対して45°の角度に向けた状態の口腔環境の写真である。
図4】本願によるブラシヘッドを45°の角度に向けた状態の口腔ケアデバイスの圧力及びブラシ角度を示すグラフである。
図5】ブラシヘッドを口腔の歯肉線に対して0°の角度に向けた状態の口腔環境の写真である。
図6】本願によるブラシヘッドを0°の角度に向けた状態の口腔ケアデバイスの圧力及びブラシ角度を示すグラフである。
図7】本願による口腔ケアデバイスのブラッシング角度を決定する方法のフローチャートである。
図8】本願による口腔ケアデバイスのブラッシング角度を決定する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面では、同様の参照文字は一般に、異なる図を通して同じ部分を参照している。また、図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【0019】
本願は、ユーザの口腔内の表面(例えば、歯肉線)に対する口腔ケアデバイスのブラッシング角度を決定する方法及びシステムに関する。より一般的には、出願人は、生成された駆動信号及び口腔ケアデバイスのブリッスルフィールドに適用される力に少なくとも部分的に基づき、ユーザの口腔の表面に対するデバイスのブラッシング角度を決定する口腔ケアデバイスを提供することが有益であることを認識し、理解している。従って、本書に記載される、又は他の態様で想定される方法及びシステムは、周期的な信号(例えば、正弦波、方形波、鋸歯状の波形)により駆動される電動歯ブラシなどの口腔ケアデバイスを提供する。センサは、ブリッスルフィールドの法線方向にかかる力を測定する。測定された力の特性(例えば、振幅、周波数、位相)及び駆動信号の特性(例えば、振幅、周波数、位相)は、伝達関数を介して結合される。伝達関数は、ブラッシング角度の変化に伴う、負荷及び駆動信号の間の特性比の変化を利用する。単軸力測定は、歯面に直接接触することでブラッシング角度の解決を可能にし、ユーザの歯肉線の向きは直接測定される必要がない。
【0020】
本書で開示される、又は他の態様で想定される実施形態及び実現は、任意の口腔ケアデバイスで利用されることができる。適切な口腔ケアデバイスの例は、Philips Sonicare(登録商標)歯ブラシ(Koninklijke Philips Electronics,N.V.社製)などの歯ブラシ、又は他の電動歯ブラシを含む。しかしながら、本願は、これらの列挙されたデバイスに限定されず、従って、本書における開示及び実施形態は、任意の口腔ケアデバイスを包含することができる。
【0021】
図1を参照すると、一実施形態では、ハンドル又は本体部12と、ブラシヘッド14とを含む口腔ケアデバイス10が提供される。ブラシヘッド部材14は、本体部から離れた端部に、ブリッスルフィールド18を含むブラシヘッド16を有する。本体部12は典型的には、パーソナルケアデバイスの要素を収容するための、少なくともその一部が中空のハウジングを有している。一実施形態によれば、ブラシヘッド14は、本体部12に対して移動可能なように取り付けられる。その動きは、振動又は回転などを含む、種々の異なる動きのいずれかである。
【0022】
本体部12は、動きを生成させるためのモータ22と、生成された動きをブラシヘッド14に伝達するための伝達要素又は駆動トレイン24とを備えた駆動トレインアセンブリを含む。例えば、駆動トレインは、駆動トレイン24の動きを生成するモータ又は電磁石22を有し、この動きは、その後、ブラシヘッド部材14、ブラシヘッド16、及び/又はブリッスルフィールド18に伝達される。駆動トレインは、電源、発振器、及び1つ又は複数の電磁石などの要素を含むことができる。本実施形態では、電源は、図示省略された1つ又は複数の充電池を有し、例えば、不使用時に口腔ケアデバイス10が置かれる充電ホルダーで電気的に充電されることができる。一実施形態によれば、ブラシヘッド部材14は、本体部12に対して振動できるように、駆動トレイン24に取り付けられる。ブラシヘッド部材14は、駆動トレイン24に固定的に取り付けられることができるか、又は代替的に、着脱可能に取り付けられることができる。その結果、ブラシヘッド部材14は、異なる動作機能のために異なるブラシヘッド部材と交換され、又は、ブラシヘッドの毛若しくは別の要素が摩耗して交換が必要になったとき交換されることができる。本体部12は、駆動トレインを起動及び停止するためのユーザ入力26を更に備えている。ユーザ入力26は、ユーザが口腔ケアデバイス10を操作することを可能にし、例えばデバイスのオンオフを行うことができる。ユーザ入力26は例えば、ボタン、タッチスクリーン、又はスイッチとすることができる。
【0023】
口腔ケアデバイス10は、駆動トレイン24を動かし、ブラシヘッド部材14、ブラシヘッド16、及び/又はブリッスルフィールド18の動きを生じさせるための駆動信号を作成するコントローラ30を含む。駆動信号は通常矩形波で、1サイクルでゼロレベルから正の値まで上昇し、駆動周波数により決まる時間後に反対の極性の値まで下降する。この駆動信号サイクルは、各イベントの歯ブラシの動作期間中継続する。周波数及び振幅は、使用されるコントローラ、駆動トレイン及び他の要素により変化する場合がある。
【0024】
口腔ケアデバイス10は、1つ又は複数のセンサ28を含む。センサ28は、図1では本体部12内に示されるが、例えば、ブラシヘッド部材14又はブラシヘッド16内を含む、デバイス内のどこかに配置されることができる。センサ28は例えば、ブラシヘッド部材14、ブラシヘッド16、及び/又はブリッスルフィールド18に対して及ぼされる負荷又は圧力を測定するよう構成された負荷センサ又は圧力センサを含むことができる。センサ28は、ブラシヘッド部材14、ブラシヘッド16、及び/又はブリッスルフィールド18に対して及ぼされる負荷又は圧力(即ち構造的又は機械的な力又は応力)を示す情報を生成するよう構成される。負荷センサ又は圧力センサは例えば、スイッチ、ゲージ、又は他の要素とすることができる。一例として、センサは、ブラシヘッド部材14、ブラシヘッド16、及び/又はブリッスルフィールド18が圧力に基づき移動する際に変化する磁界に反応するホール効果センサである。ホール効果センサは、歯に対する毛の力によるブラシヘッド部材14、ブラシヘッド16、及び/又はブリッスルフィールド18の横方向の変位を決定する。本書に記載され、又は他の態様で想定されるように、多くの異なるタイプの負荷又は圧力センサが利用されることができる。
【0025】
センサ28により生成されるセンサデータは、コントローラ30に提供される。一実施形態によれば、センサ28はコントローラ30と一体化している。コントローラ30は、1つ又は複数のモジュールで形成されてもよく、ユーザ入力26を介して得られる入力などの入力に基づき、パーソナルケアデバイス10を作動させるよう構成される。コントローラ30は例えば、プロセッサ32とメモリ34とを有することができる。プロセッサ32は、以下に限定されるものではないが、マイクロコントローラ、複数のマイクロコントローラ、回路、単一のプロセッサ、又は複数のプロセッサを含む任意の適切な形態をとることができる。メモリ34は、不揮発性メモリ及び/又はRAMを含む、任意の適切な形態をとることができる。不揮発性メモリは、リードオンリメモリ(ROM)、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)を含んでいてもよい。このメモリは、オペレーティングシステムなどを格納することができる。RAMは、プロセッサがデータを一時的に保存するために使用される。一実施形態によれば、オペレーティングシステムは、コントローラ30により実行されると、口腔ケアデバイス10のハードウェア要素の動作を制御するコードを含んでもよい。一実施形態によれば、接続モジュール36は、収集したセンサデータを送信するものであり、以下に限定されるものではないが、Wi-Fi、Bluetooth、近距離通信、及び/又はセルラーモジュールを含む、有線又は無線信号を送信できる任意のモジュール、デバイス、又は手段とすることができる。
【0026】
一実施形態によれば、口腔ケアデバイス10は、クリーニングセッションの前、間、及び/又は後に、ユーザに情報を提供するよう構成されたユーザインターフェース40を含むことができる。
ユーザインターフェース40は、様々な形態をとることができるが、ユーザに情報を提供するよう構成される。
例えば、クリーニングセッションに関する情報が読まれ、見られ、聞かれ、感じられ、及び/又は他の態様で解釈されることができる。
一実施形態によれば、ユーザインターフェース40は、ユーザの歯肉線に対する口腔ケアデバイスのブラッシング角度に関する情報を含む、ガイド付きクリーニングセッションなどのフィードバックをユーザに提供する。
従って、ユーザインターフェースは、ユーザに情報を提供するディスプレイ、ユーザに触覚的なフィードバックを提供する触覚機構、ユーザに音若しくは言葉を提供するスピーカー、又は他の様々なユーザインターフェース機構のいずれかであってもよい。
一実施形態によれば、口腔ケアデバイス10のコントローラ30は、センサ28から情報を受け取り、その情報を評価及び分析し、ユーザインターフェース40を介してユーザに表示されることができる情報を提供する。
【0027】
図2を参照すると、一実施形態では、口腔ケアデバイス10の制御システム100の概略図が提供される。口腔ケアデバイス10の制御システム100は、プロセッサ32及びメモリ34を備えたコントローラ30を有し、メモリは、オペレーティングシステム及びセンサデータを格納することができる。このデバイスは、AC電源、又は充電式バッテリーからのバッテリー電源とすることができる電源38も含んでいる。制御システム100は、ユーザに情報を送信又は受信するよう構成されたユーザインターフェース40を更に備えている。負荷センサ又は圧力センサとすることができるシステムのセンサ28は、ブラシヘッド部材14、ブラシヘッド16、及び/又はブリッスルフィールド18に対して及ぼされる負荷又は圧力を示すセンサデータを生成し、そのデータをコントローラ30に伝達する。
【0028】
デバイスの接続モジュール36は、センサデータを無線トランシーバー(図示省略)に送信するよう構成及び/又はプログラムされることができる。例えば、接続モジュール36は、インターネット又はイントラネットにわたりWi-Fi接続を介してセンサデータを歯科医師、データベース又は他の場所に送信してもよい。代替的に、接続モジュール36は、Bluetooth又は他の無線接続を介して、センサデータ又はフィードバックデータをローカルデバイス(例えば、別のコンピューティングデバイス)、データベース、又は他のトランシーバに送信してもよい。例えば、接続モジュール36は、ユーザが、長期保存用の別のデータベースにセンサデータを送信する、更なる分析のためセンサデータを送信する、別のユーザインターフェースにユーザのフィードバックを送信する、又は歯科医師とデータを共有することなどを可能にする。接続性モジュール36はまた、上記の参照規格を含むユーザ入力情報を受信できるトランシーバであってもよい(これは、本願の検討と併せて、当業者であれば理解されるはずである)。本書に記載される他の通信及び制御信号は、ハードワイヤ(非ワイヤレス)接続により、又はワイヤレス及び非ワイヤレス接続の組み合わせにより実現されることができる。
【0029】
一実施形態によれば、口腔ケアデバイス10の制御システム100は、ユーザの口腔内の表面(例えば、歯肉線)に対する口腔ケアデバイスのブラッシング角度を決定するようプログラム及び/又は構成されることができる。本書で論じられるように、本書で説明した機能及び方法を実行するために口腔ケアデバイス10の制御システム100により分析又は使用される情報又はデータは、1つ又は複数のセンサ28により生成されることができる。例えば、コントローラ30は、口腔ケアデバイス10の駆動信号及びブリッスルフィールド18への測定された力に少なくとも部分的に基づき、ユーザの口腔の表面に対する口腔ケアデバイス10のブリッスルフィールド18のブラッシング角度を決定するようプログラム及び/又は構成されることができる。
【0030】
センサ28は、本書に記載される、又は他の態様で想定されるセンサのいずれかとすることができ、ブラッシングセッション中にブラシヘッド部材14、ブラシヘッド16、及び/又はブリッスルフィールド18にユーザにより加えられる負荷又は力の1つ又は複数の側面に関するセンサデータを取得するようプログラム及び/又は構成されることができる。コントローラ30は、センサ28からのセンサデータをリアルタイム又は定期的に受け取ることができる。例えば、センサ28は、保存及び/若しくは分析のためにセンサデータの一定のストリームをコントローラ30に送信してもよく、又はコントローラ30に送信する前にデータを一時的に保存及び集約し又は処理してもよい。コントローラ30により受信されると、センサデータはプロセッサ32により処理されることができる。
【0031】
本書で開示する方法及びシステムは有利にも、既知の駆動信号特性を用いて、単軸力測定から口腔ケアデバイス10のブラッシング角度を決定することができる。一実施形態では、口腔ケアデバイス10の駆動トレイン24は、既知の周期的な信号(例えば、正弦波、方形波、鋸歯状の波形)により駆動される。センサ28は、ブリッスルフィールド18の法線方向にかかる力を測定する。最適には、ナイキスト周波数以上の駆動信号の少なくとも2次高調波を捕捉するため、適用された負荷は十分に高いレートでサンプリングされることができる。コントローラ30は、駆動信号の特性(例えば、振幅、周波数、位相)、及び測定された力の特性(例えば、振幅、周波数、位相)を適用して、位相差又は周波数差などの伝達関数を用いてブラッシング角度を決定する。従って、コントローラ30は、ブラッシング角度の変化に伴う、負荷及び駆動信号の間の特性比の予測可能な変化を利用することができる。
【0032】
本願のメカニズムを説明するために、2つの例示的なシナリオが論じられる。ユーザの歯肉線に対して望ましい45°の向きと、角度0°(90°は同等の記述)のフラットな向きとである。第1の例示的なシナリオでは、ブラシヘッドは、ユーザにより、図3に示すように、回転中心(口腔ケアデバイスがオフの場合にあるのと同じ位置)に向けられる。口腔ケアデバイスが作動しているとき、適用された圧力は、ユーザの歯及び歯茎に接触しているブリッスルフィールドの毛及びタフトの量が位置の関数として変化することにより、時間的に変化する周期的な成分を含むことになる。図3のような向きでは、ブラシヘッドが歯に向けて回転されるときに圧力が最も高くなり、ブラシヘッドがユーザの唇及び口腔の側壁に向けて回転されるときに圧力が最も低くなる。短時間であれば、事実上、一定のDC圧力がかかり、その上に角度情報を含んだAC変動があることになる。
【0033】
図4は、ユーザの歯肉線に対してブラシヘッドが45°の角度で配向された口腔ケアデバイスの圧力及び(回転中心に対する)ブラシ角度を示すグラフである。A点及びB点で示すように、駆動信号の周波数と圧力信号の周波数が同期される。A点では、ブラシヘッドがユーザの歯に最も接触しているときに圧力が高くなる。B点では、ブラシヘッドが歯に最も接触していないときに圧力が低くなる。
【0034】
第2のシナリオ例では、ブラシヘッドは、図5に示すように回転中心(口腔ケアデバイスがオフの場合にあるのと同じ位置)に向けられる。口腔ケアデバイスが短時間動作しているとき、事実上、一定のDC圧力がかかり、その上に角度情報を含むAC変動がある。この場合、ブラシヘッドの中心位置で最も圧力が高くなり、ブラシが反対方向に回転するとき圧力が低くなる。この場合、圧力のピークとブラシ角のピークとの間に1/4サイクルのオフセットが発生する。更に、駆動信号に対するAC圧力変動周波数が2倍になっている。
【0035】
図6は、ユーザの歯肉線に対してブラシヘッドを0°の角度に向けた場合の口腔ケアデバイスの圧力及び(回転中心に対する)ブラシ角度を示すグラフである。C点で示すように、ブラシの振幅がゼロのときに圧力がピークになる。
【0036】
測定された力の特性(例えば、振幅、周波数、位相)及び駆動信号の特性(例えば、振幅、周波数、位相)を利用することにより、ユーザの口腔内の表面に対するブラシヘッドのブラッシング角度が特定されることができる。図7に示すように、駆動信号220及び圧力/負荷信号240は、ブラッシング角度を出力する伝達関数260に入力される。伝達関数は例えば、入力信号間の位相差の変化、又は入力信号間のスペクトルエネルギー密度の変化を含む、入力信号の多くの特性に基づかれることができる。
【0037】
負荷信号及び駆動信号の間の位相差は、ブラシ角度を決定するために使用されることができる一つの特性である。ブラシの向きが45°(口腔内の表面に対して)の場合、位相角の差はゼロになる。ブラシの向きが0°に近づくと、負荷信号及び駆動信号の位相差が1/4周期の差に近づく。この関係の正確な形は、口腔ケアデバイスの運動変換器及びブラシヘッドの特性(例えば、タフトの配置又は毛の硬さ)に依存する。この変動を考慮して、観測された位相差をブラッシング角度に変換するのに、関連するシステム構成(例えば運動変換器及びブラシヘッドのパーリング)ごとにキャリブレーション関数が開発されることができる。
【0038】
負荷信号及び駆動信号のスペクトルエネルギー密度は、ブラッシング角度を決定するのに使用されることができる別の特性である。このアプローチでは、AC負荷周波数の変化を利用してブラッシング角度が特定されることができる。斯かる状況を解決するために、各信号のスペクトルエネルギー密度が高速フーリエ変換(FFT)といった方法により推定され、特定のメトリックを評価することで定量化されることができる。このシナリオに関する例示的なメトリックは、負荷信号の最初のオーバートーン(f2=2f1)のエネルギー(A2)に対する、駆動周波数(f1)のエネルギー(A1)の比率である。口腔ケアデバイスの向きが45°(口腔内の表面に対して)の場合、負荷の周波数は駆動信号と同じ周波数に集中し、この状態ではA1>A2となる。これは、エンドエフェクタの向きが(口腔内の表面に対して)0°のときに、負荷の時間変化成分が駆動周波数の2倍の周波数に集中するのとは対照的で、この状態ではA1<A2となる。この関係の正確な形は、口腔ケアデバイスの運動変換器及びブラシヘッドの特性(タフトの配置又は毛の硬さなど)に依存する。この変動を解決するため、観測されたスペクトルエネルギー密度比(A1:A2)をブラッシング角度に変換するのに、関連するシステム構成(例えば運動変換器及びブラシヘッドのパーリング)ごとにキャリブレーション関数が開発されることができる。
【0039】
図8を参照すると、一実施形態における、口腔ケアデバイス10のブラッシング角度を決定する方法300のフローチャートが示される。口腔ケアデバイスは、本書に記載される、又は他の態様で想定されるデバイスのいずれかとすることができる。ステップ310では、駆動トレイン24を動かして口腔ケアデバイス10のブリッスルフィールド18の動きを生じさせるための駆動信号が口腔ケアデバイス10のコントローラ30により生成される。本書で論じられるように、駆動信号は、例えば矩形波であってもよく、この矩形波は、1つのサイクルでゼロレベルから正の値に上昇し、駆動周波数により決定される時間後に反対の極性の値に低下し、この駆動信号サイクルは、各イベントに対する歯ブラシの動作期間中継続する。
【0040】
ステップ320では、口腔ケアデバイス10のブリッスルフィールド18にユーザが加えた力がセンサ28により測定される。センサ28は、本書に記載される、又は他の態様で想定されるセンサのいずれか、例えば負荷又は圧力センサとすることができ、ブラッシングセッション中にブラシヘッド部材14、ブラシヘッド16、及び/又はブリッスルフィールド18にユーザにより加えられる負荷又は力の1つ又は複数の側面に関するセンサデータを取得するようプログラム及び/又は構成されることができる。
【0041】
ステップ330では、生成された駆動信号及びブリッスルフィールド18への測定された力に少なくとも部分的に基づき、ユーザの口腔の表面に対するブリッスルフィールドのブラッシング角度が口腔ケアデバイス10のコントローラ30により決定される。本書で説明されるように、コントローラ30は、駆動信号の特性(例えば、振幅、周波数、位相)及び測定された力の特性(例えば、振幅、周波数、位相)を適用することにより、位相差又は周波数差などの伝達関数を使用してブラッシング角度を決定することができる。
【0042】
オプションのステップ340では、決定されたブラッシング角度に関するフィードバックが生成される。オプションのステップ350では、生成されたフィードバックが、ユーザ、デバイス、及び/又は別の個人に伝達される。このフィードバックは、リアルタイムのフィードバック、又は1つ若しくは複数のクリーニングセッションに関するフィードバックとすることができる。一実施形態によれば、フィードバックは、スマートフォン、コンピュータプログラム、基地局、リモートソフトウェアサービス、又は他の手段を介してユーザに提供される。口腔ケアデバイス10、制御システム100、及び/又はリモートデバイスにより生成されたフィードバックは、視覚的、書面的、可聴的、触覚的、又は他のタイプのフィードバックを介することを含む、種々の異なる方法のいずれかでユーザに提供されることができる。別の実施形態によれば、フィードバックは、歯科医師又は歯科衛生士などの医療従事者に直接提供される。例えば、1つ又は複数のブラッシングセッションに関する情報が保存され、自動的に又は要求に応じて医療従事者に送信されることができる。一実施形態によれば、ユーザのスマートフォンに情報が保存され、訪問時に歯科医院に持ち込まれることができる。そこでは、Bluetooth接続を介して情報が自動的にアップロードされる。それから歯科医師はフィードバックをレビューし、その情報をケアに活かすことができる。これらのフィードバック機構のほかにも、他の多くの機構が可能である。例えば、ブラッシングの角度を組み合わせて表示する、レポートにする、又は1つの値にするなど、さまざまなタイプのフィードバックが可能である。
【0043】
オプションのステップ360では、決定されたブラッシング角度が第1の所定の閾値(例えば、30°又は35°)よりも小さい、又は第2の所定の閾値(例えば、55°又は60°)よりも大きいとき、ユーザにフィードバック通知が提供される。下位及び上位のブラッシング角度の所定の閾値は、任意の値に調整されることができる点を理解されたい。
【0044】
本書において定義及び使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書における定義、及び/又は定義された用語の通常の意味に優先して適用されるものと理解されたい。
【0045】
明細書及び特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」及び「an」は、明確に反対の意味を示さない限り、「少なくとも1つ」を意味する点を理解されたい。
【0046】
明細書及び特許請求の範囲で使用される「及び/又は」という表現は、そのように結合された要素の「どちらか又は両方」を意味すると理解されるべきであり、即ち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素を意味する。「及び/又は」で記載される複数の要素は、同じように解釈されるべきであり、即ち、そのように結合された要素の「1つ又は複数」である。具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、「及び/又は」節で具体的に特定された要素以外の他の要素がオプションで存在してもよい。
【0047】
明細書及び特許請求の範囲で使用される「又は」は、上記で定義される「及び/又は」と同じ意味を持つ点を理解されたい。例えば、リストの項目を区切るとき、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であると解釈され、即ち、複数又はリストの要素のうち、少なくとも1つを含むが、1以上も含み、オプションとして、リストにない追加項目を含むと解釈される。「唯一の」若しくは「正確に1つの」、又は特許請求の範囲で使用される「からなる」など、反対の意味を持つことが明確に示される用語のみが、複数の又はリストの要素の正確に1つの要素を含むことを意味する。一般的に、本書で使用される「又は」という用語は、「いずれか」、「1つの」、「唯一の」、「正確に1つの」などの排他的な用語が前に置かれているときのみ、排他的な選択肢(即ち、「一方又は他方で両方ではない」)を示すと解釈される。
【0048】
明細書及び特許請求の範囲で使用される、1つ又は複数の要素のリストに関連する「少なくとも1つ」という表現は、要素のリスト内の任意の1つ又は複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味する点を理解されたいが、要素のリスト内に具体的に記載される各要素及びすべての要素の少なくとも1つを必ずしも含むわけではなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義は、具体的に特定された要素に関連するかどうかにかかわらず、「少なくとも1つ」という用語が指す要素のリストの中に、具体的に特定された要素以外の要素がオプションで存在することも可能にする。
【0049】
明確に反対の指示がない限り、1以上のステップ又は行為を含む本書に記載される任意の方法において、その方法のステップ又は行為の順序は、その方法のステップ又は行為が記載される順序に必ずしも限定されない点を理解されたい。
【0050】
特許請求の範囲及び明細書において、「有する」、「含む」、「搬送する」、「持つ」、「備える」、「関与する」、「保持する」、「作られる」などのすべての移行語は、オープンエンドであると理解されるべきであり、即ち、包含を意味し、限定を意味するものではない。「からなる」及び「から本質的になる」という移行語は、それぞれクローズド又はセミクローズド移行語である。
【0051】
本書では、いくつかの発明的な実施形態が説明及び図示されてきたが、当業者であれば、本書に記載された機能を実行し、及び/又は結果を得、及び/又は1つ若しくは複数の利点を得るための様々な他の手段及び/又は構造を容易に想定することができ、斯かる変形及び/又は変更のそれぞれは、本書に記載された発明的な実施形態の範囲内であるとみなされる。より一般的には、本書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、及び構成は例示的なものであり、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が使用される特定の用途又はアプリケーションに依存することを、当業者は容易に理解するであろう。当業者であれば、本書に記載される特定の発明の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、又は日常的な実験を行うだけで確認することができるであろう。従って、前述の実施形態は例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、発明的な実施形態が、具体的に記載及び請求されたものとは別の態様で実施されることができることを理解されたい。本願の発明的な実施形態は、本書に記載された個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法のそれぞれに向けられる。更に、2つ以上の斯かる特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組み合わせが、斯かる特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本願の発明範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8