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  • 特許-画像形成システムおよび画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】画像形成システムおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241108BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241108BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H04N1/00 127Z
B41J29/38 203
G06F3/12 302
G06F3/12 336
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023503730
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2022007108
(87)【国際公開番号】W WO2022185986
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2021034213
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】加藤 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】福島 経介
(72)【発明者】
【氏名】金光 重中
(72)【発明者】
【氏名】塚本 康史
(72)【発明者】
【氏名】伊ヶ崎 明彦
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-150505(JP,A)
【文献】特開2018-144424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザーにより使用可能な画像形成装置と、
前記複数のユーザーのそれぞれにより携帯される複数のビーコン発信機とを備え、
前記画像形成装置は、(a)所定範囲の周辺エリアに存在する前記ビーコン発信機からのビーコン信号を受信するビーコン受信機を備え、(b)前記ビーコン受信機で受信した前記ビーコン信号に基づいて、前記周辺エリアに存在するユーザーを特定し、(c)ユーザー端末装置から周辺確認要求を受信すると、少なくとも前記周辺エリアに存在するユーザーの有無を示す応答を前記ユーザー端末装置へ送信し、
前記画像形成装置は、(a)前記周辺確認要求に基づいて当該周辺確認要求の送信者ユーザーを特定し、(b)ユーザー間の関連性を示すユーザー登録データに基づいて、前記周辺エリアに存在するユーザーのうち、前記送信者ユーザーに関連する特定関連ユーザーを特定し、(c)前記周辺エリアに存在する特定関連ユーザー以外のユーザーの有無を示す応答を前記ユーザー端末装置へ送信し、
前記ユーザー登録データは、互いに物理的に近接して活動しているユーザーのユーザーグループを示し、
前記画像形成装置は、前記周辺エリアに存在するユーザーのうち、前記送信者ユーザーと同一の前記ユーザーグループに属するユーザーを前記特定関連ユーザーとして特定し、
前記互いに物理的に近接して活動しているユーザーは、席が隣接しているユーザーであること、
を特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
複数のユーザーにより使用可能な画像形成装置と、
前記複数のユーザーのそれぞれにより携帯される複数のビーコン発信機とを備え、
前記画像形成装置は、(a)所定範囲の周辺エリアに存在する前記ビーコン発信機からのビーコン信号を受信するビーコン受信機を備え、(b)前記ビーコン受信機で受信した前記ビーコン信号に基づいて、前記周辺エリアに存在するユーザーを特定し、(c)ユーザー端末装置から周辺確認要求を受信すると、少なくとも前記周辺エリアに存在するユーザーの有無を示す応答を前記ユーザー端末装置へ送信し、
前記画像形成装置は、通信装置と、プリント装置と、前記通信装置でプリントジョブ要求を受け付け、前記プリント装置を使用して前記プリントジョブ要求により指定されたプリントジョブを実行するジョブ管理部とを備え、
前記ジョブ管理部は、前記周辺確認要求に対して前記応答が送信された前記ユーザー端末装置からの前記プリントジョブ要求の受け付けを許可し、前記周辺確認要求に対して前記応答が送信されていない前記ユーザー端末装置からの前記プリントジョブ要求の受け付けを禁止すること、
を特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
所定範囲の周辺エリアに存在するユーザーに携帯されるビーコン発信機からのビーコン信号を受信するビーコン受信機と、
(a)前記ビーコン受信機で受信した前記ビーコン信号に基づいて、前記周辺エリアに存在するユーザーを特定し、(b)ユーザー端末装置から周辺確認要求を受信すると、少なくとも前記周辺エリアに存在するユーザーの有無を示す応答を前記ユーザー端末装置へ送信する周辺監視部と、
を備え
前記周辺監視部は、(a)前記周辺確認要求に基づいて当該周辺確認要求の送信者ユーザーを特定し、(b)ユーザー間の関連性を示すユーザー登録データに基づいて、前記周辺エリアに存在するユーザーのうち、前記送信者ユーザーに関連する特定関連ユーザーを特定し、(c)前記周辺エリアに存在する特定関連ユーザー以外のユーザーの有無を示す応答を前記ユーザー端末装置へ送信し、
前記ユーザー登録データは、互いに物理的に近接して活動しているユーザーのユーザーグループを示し、
前記周辺監視部は、前記周辺エリアに存在するユーザーのうち、前記送信者ユーザーと同一の前記ユーザーグループに属するユーザーを前記特定関連ユーザーとして特定し、
前記互いに物理的に近接して活動しているユーザーは、席が隣接しているユーザーであること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
所定範囲の周辺エリアに存在するユーザーに携帯されるビーコン発信機からのビーコン信号を受信するビーコン受信機と、
(a)前記ビーコン受信機で受信した前記ビーコン信号に基づいて、前記周辺エリアに存在するユーザーを特定し、(b)ユーザー端末装置から周辺確認要求を受信すると、少なくとも前記周辺エリアに存在するユーザーの有無を示す応答を前記ユーザー端末装置へ送信する周辺監視部と、
通信装置と、
プリント装置と、
前記通信装置でプリントジョブ要求を受け付け、前記プリント装置を使用して前記プリントジョブ要求により指定されたプリントジョブを実行するジョブ管理部とを備え、
前記ジョブ管理部は、前記周辺確認要求に対して前記応答が送信された前記ユーザー端末装置からの前記プリントジョブ要求の受け付けを許可し、前記周辺確認要求に対して前記応答が送信されていない前記ユーザー端末装置からの前記プリントジョブ要求の受け付けを禁止すること、
を特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成システムでは、画像形成装置が、ビーコン受信機を備え、ビーコン受信機で、ユーザーの携帯端末装置から送信されるビーコン信号を受信し、ビーコン信号内の識別情報に対応するユーザー用にカスタマイズされた個別待機画面を表示している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-123038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新型コロナウイルスなどの感染予防のためにソーシャルディスタンスを確保したいという要求がある。そのため、複数ユーザーによって使用される複合機などといった画像形成装置についても、あるユーザーが画像形成装置の設置場所の周辺にいるときに、他のユーザーが(例えばプリント生成物の引き取りのために)画像形成装置の設置場所に来ることは避けるほうが好ましい。
【0005】
上述のシステムでは、ビーコンによって、画像形成装置は、当該画像形成装置に接近しているユーザーを検知することはできるものの、他のユーザーは、当該画像形成装置に接近しているユーザーの有無を確認することは困難である。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、あるユーザーが画像形成装置の設置場所の周辺にいるときに他のユーザーが画像形成装置の設置場所に来ることを抑制する画像形成システムおよび画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成システムは、複数のユーザーにより使用可能な画像形成装置と、前記複数のユーザーのそれぞれにより携帯される複数のビーコン発信機とを備える。そして、前記画像形成装置は、(a)所定範囲の周辺エリアに存在する前記ビーコン発信機からのビーコン信号を受信するビーコン受信機を備え、(b)前記ビーコン受信機で受信した前記ビーコン信号に基づいて、前記周辺エリアに存在するユーザーを特定し、(c)ユーザー端末装置から周辺確認要求を受信すると、少なくとも前記周辺エリアに存在するユーザーの有無を示す応答を前記ユーザー端末装置へ送信する。さらに、次の(A)または(B)の構成を備える。(A)前記画像形成装置は、(a)前記周辺確認要求に基づいて当該周辺確認要求の送信者ユーザーを特定し、(b)ユーザー間の関連性を示すユーザー登録データに基づいて、前記周辺エリアに存在するユーザーのうち、前記送信者ユーザーに関連する特定関連ユーザーを特定し、(c)前記周辺エリアに存在する特定関連ユーザー以外のユーザーの有無を示す応答を前記ユーザー端末装置へ送信し、前記ユーザー登録データは、互いに物理的に近接して活動しているユーザーのユーザーグループを示し、前記画像形成装置は、前記周辺エリアに存在するユーザーのうち、前記送信者ユーザーと同一の前記ユーザーグループに属するユーザーを前記特定関連ユーザーとして特定し、前記互いに物理的に近接して活動しているユーザーは、席が隣接しているユーザーである。(B)前記画像形成装置は、通信装置と、プリント装置と、前記通信装置でプリントジョブ要求を受け付け、前記プリント装置を使用して前記プリントジョブ要求により指定されたプリントジョブを実行するジョブ管理部とを備え、前記ジョブ管理部は、前記周辺確認要求に対して前記応答が送信された前記ユーザー端末装置からの前記プリントジョブ要求の受け付けを許可し、前記周辺確認要求に対して前記応答が送信されていない前記ユーザー端末装置からの前記プリントジョブ要求の受け付けを禁止する。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、所定範囲の周辺エリアに存在するユーザーに携帯されるビーコン発信機からのビーコン信号を受信するビーコン受信機と、(a)前記ビーコン受信機で受信した前記ビーコン信号に基づいて、前記周辺エリアに存在するユーザーを特定し、(b)ユーザー端末装置から周辺確認要求を受信すると、少なくとも前記周辺エリアに存在するユーザーの有無を示す応答を前記ユーザー端末装置へ送信する周辺監視部とを備える。さらに、次の(A)または(B)の構成を備える。(A)前記周辺監視部は、(a)前記周辺確認要求に基づいて当該周辺確認要求の送信者ユーザーを特定し、(b)ユーザー間の関連性を示すユーザー登録データに基づいて、前記周辺エリアに存在するユーザーのうち、前記送信者ユーザーに関連する特定関連ユーザーを特定し、(c)前記周辺エリアに存在する特定関連ユーザー以外のユーザーの有無を示す応答を前記ユーザー端末装置へ送信し、前記ユーザー登録データは、互いに物理的に近接して活動しているユーザーのユーザーグループを示し、前記周辺監視部は、前記周辺エリアに存在するユーザーのうち、前記送信者ユーザーと同一の前記ユーザーグループに属するユーザーを前記特定関連ユーザーとして特定し、前記互いに物理的に近接して活動しているユーザーは、席が隣接しているユーザーである。(B)通信装置と、プリント装置と、前記通信装置でプリントジョブ要求を受け付け、前記プリント装置を使用して前記プリントジョブ要求により指定されたプリントジョブを実行するジョブ管理部とをさらに備え、前記ジョブ管理部は、前記周辺確認要求に対して前記応答が送信された前記ユーザー端末装置からの前記プリントジョブ要求の受け付けを許可し、前記周辺確認要求に対して前記応答が送信されていない前記ユーザー端末装置からの前記プリントジョブ要求の受け付けを禁止する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、あるユーザーが画像形成装置の設置場所の周辺にいるときに他のユーザーが画像形成装置の設置場所に来ることを抑制する画像形成システムおよび画像形成装置が得られる。
【0010】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示す図である。
図2図2は、図1におけるビーコン発信機1および画像形成装置2の構成を示すブロック図である。
図3図3は、図1および図2における画像形成装置2の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示す図である。図1に示すシステムでは、複数のユーザーが、それぞれ、ビーコン発信機1を携帯しており、さらに、画像形成装置2(複合機など)が、そのユーザーの拠点(オフィスなど)に配置されており、複数のユーザーにより使用される。
【0014】
図1に示すシステムでは、イントラネットなどのネットワーク3を介して、画像形成装置2を物理的に直接操作しているユーザー101とは別のユーザー102が、ユーザー端末装置4(拠点内で画像形成装置2に対して遠隔のパーソナルコンピューターなど)から画像形成装置2へプリントジョブ要求を送信することができる。
【0015】
図2は、図1におけるビーコン発信機1および画像形成装置2の構成を示すブロック図である。
【0016】
ビーコン発信機1は、無線通信装置11、表示装置12、入力装置13、記憶装置14、コントローラー15などを備える。
【0017】
無線通信装置11は、BLE(Bluetooth Low Energy)、ブルートゥース(登録商標)などの所定の無線通信規格で近距離無線通信を行う内部装置である。
【0018】
表示装置12は、ユーザーに対して各種情報(当該ビーコン発信機1の状態や設定など)を表示する液晶ディスプレイ、インジケーターなどといった内部装置である。入力装置13は、ユーザー操作を検出するタッチパネル、ハードキーなどといった内部装置である。
【0019】
記憶装置14は、フラッシュメモリー、ハードディスクなどの不揮発性の記憶装置である。記憶装置14には、プログラムやデータなどが記憶されている。
【0020】
コントローラー15は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを有するコンピューターを備え、ROMや記憶装置14からプログラムをRAMにロードしCPUで実行することで、各種処理を実行する。ここでは、コントローラー15は、定期的に繰り返し、ユーザーIDまたは当該ビーコン発信機1のデバイスIDを含むビーコン信号を、無線通信装置11に送信させる。
【0021】
この実施の形態では、入力装置13に対する操作などによって編集可能な設定値として、社員番号などのユーザーID(あるいはデバイスID)、ビーコン信号の送信強度(例えば2m離れた位置での電波強度-30dBm、10m離れた位置での電波強度-16dBmなど)、およびビーコン信号の送信頻度(例えば30秒に1回、1分に1回、5分に1回など)が記憶装置14に記憶されており、コントローラー15は、その設定値に従って、ビーコン信号を無線通信装置11に送信させる。
【0022】
送信強度の設定値によって周辺エリア2aのサイズ(範囲)を調整することができるため、ソーシャルディスタンスに要求されるサイズ(範囲)に対応する送信強度となるように設定値が設定されるようにしてもよい。
【0023】
なお、ビーコン発信機1は、近距離無線通信機能を有する、例えばスマートフォンなどのポータブルデバイスでもよい。
【0024】
一方、図2において、画像形成装置2は、ユーザー登録された複数のユーザーにより使用される複合機などであって、プリント装置31、画像読取装置32、操作パネル33、ビーコン受信機34、通信装置35、記憶装置36、およびコントローラー37を備える。
【0025】
プリント装置31は、プリントジョブ要求により指定されたプリント画像データに基づいて1ページずつ画像をプリント用紙に(例えば電子写真方式で)プリントする内部装置である。画像読取装置32は、原稿から原稿画像を読み取り、その画像データを生成する内部装置である。
【0026】
操作パネル33は、画像形成装置2の筐体表面に配置され、ユーザーに対して各種情報を表示する表示装置と、ユーザー操作を受け付ける入力装置とを有する。表示装置としては、液晶ディスプレイ、インジケーターなどが使用される。入力装置としては、ハードキー、タッチパネルなどが使用される。
【0027】
ビーコン受信機34は、ビーコン発信機1の無線通信規格に従って近距離無線通信でビーコン信号を受信する内部装置である。つまり、ビーコン受信機34は、所定範囲の周辺エリア2a(つまり、上述の無線通信規格での通信可能エリア)に存在するユーザーに携帯されるビーコン発信機1からのビーコン信号を受信する。
【0028】
通信装置35は、無線LAN、有線LANなどのネットワークに接続され、そのネットワークに接続された他の装置とデータ通信を行う内部装置である。
【0029】
また、記憶装置36は、フラッシュメモリー、ハードディスクなどの不揮発性の記憶装置である。記憶装置36には、ユーザー登録データ41などが記憶されている。
【0030】
ユーザー登録データ41は、各ユーザーについて、ユーザーID、そのユーザーのビーコン発信機1のデバイスID、そのユーザーの属するユーザーグループ、その他の属性情報などを、互いに関連付けて含んでいる。
【0031】
なお、この実施の形態では、ユーザー登録データ41は、画像形成装置2内の記憶装置36に記憶されているが、ネットワーク3上のサーバー(ファイルサーバーやアクティブディレクトリなどのリソース管理サーバーなど)に記憶されていてもよい。その場合には、通信装置35を使用して、そのサーバーからユーザー登録データ41が取得され使用される。
【0032】
また、コントローラー37は、コンピューター、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを有し、画像形成装置2内の内部装置を制御するとともに各種データ処理を実行する。コントローラー37は、コンピューターでプログラムを実行することで、ジョブ管理部42および周辺監視部43として動作する。
【0033】
ジョブ管理部42は、通信装置35によりユーザー端末装置4からプリントジョブ要求から受信されたプリントジョブ要求を受け付け、プリント装置31を使用して、受け付けたプリントジョブ要求により指示されたプリントジョブを実行する。
【0034】
周辺監視部43は、ビーコン受信機34で受信したビーコン信号に基づいて、周辺エリア2aに存在するユーザーを特定することで、周辺エリア2a内のユーザーの有無を監視する。また、周辺監視部43は、(a)通信装置35を使用して、ネットワーク3を介して、ユーザー端末装置4から周辺確認要求を受信し、(b)ユーザー端末装置4から周辺確認要求を受信すると、通信装置35を使用して、ネットワーク3を介して、少なくとも、周辺エリア2aに存在するユーザーの有無を示す応答をユーザー端末装置4へ送信する。この応答は、周辺エリア2aに存在するユーザーの有無を示すメッセージを含んでいてもよいし、周辺エリア2aに存在するユーザーのリストを含んでいてもよい。
【0035】
この実施の形態では、周辺確認要求に、送信者ユーザーのユーザーIDが含められており、周辺監視部43は、(a)周辺確認要求に基づいて当該周辺確認要求の送信者ユーザーを特定し、(b)ユーザー間の関連性を示すユーザー登録データ41を参照し、ユーザー登録データ41に基づいて、周辺エリア2aに存在するユーザーのうち、送信者ユーザーに関連する特定関連ユーザーを特定し、(c)周辺エリア2aに存在する特定関連ユーザー以外のユーザーの有無を示す応答をユーザー端末装置4へ送信する。
【0036】
この実施の形態では、例えば、ユーザー登録データ41は、互いに物理的に近接して活動しているユーザーのユーザーグループを上述の属性情報として示し、周辺監視部43は、周辺エリア2aに存在するユーザーのうち、送信者ユーザーと同一のユーザーグループに属するユーザーを特定関連ユーザーとして特定する。
【0037】
つまり、互いに物理的に近接して活動しているユーザー(例えば席が隣接しているユーザー)については、画像形成装置2周辺でのみソーシャルディスタンスを確保する必要性はないため、そのようなユーザーが、周辺エリア2aで検出されたユーザーから除外される。
【0038】
次に、当該実施の形態に係る画像形成装置2の動作について説明する。図3は、図1および図2における画像形成装置2の動作について説明するフローチャートである。
【0039】
画像形成装置2では、定常的に、周辺監視部43が、ビーコン受信機34を使用して、周辺エリア2a内のユーザー(ビーコン発信機1)の有無を監視しており、ビーコン発信機1を検出すると、受信したビーコン信号に基づいて、そのビーコン発信機1を携帯しているユーザーを特定する。なお、ビーコン信号にデバイスIDが含まれている場合には、ユーザー登録データ41に基づいて、そのデバイスIDに対応するユーザーID(つまりユーザー)が特定される。このようにして、周辺監視部43は、現時点で周辺エリア2a内にいるユーザーを把握している。
【0040】
また、画像形成装置2では、周辺監視部43は、通信装置35により周辺確認要求が受信されたか否かを監視しており(ステップS1)、周辺確認要求が受信されると、現時点で周辺エリア2aにユーザーがいるか否かを判定する(ステップS2)。
【0041】
現時点で周辺エリア2aにユーザーがいる場合、周辺監視部43は、周辺確認要求に基づいて、周辺確認要求の送信者ユーザー(のユーザーID)を特定し(ステップS3)、ユーザー登録データ41を参照して、その送信者ユーザーの特定関連ユーザーを特定し、周辺エリア2aで検出されたユーザーのうちの、特定関連ユーザー以外のユーザー(非関連ユーザー)を特定する(ステップS4)。
【0042】
そして、周辺監視部43は、周辺エリア2aに非関連ユーザーがいるか否かを判定し(ステップS5)、周辺エリア2aに非関連ユーザーがいると判定した場合、通信装置35を使用して、その非関連ユーザーのリストを、周辺確認要求の応答として、ユーザー端末装置4(つまり、周辺確認要求の送信者ユーザー)に送信する(ステップS6)。
【0043】
一方、周辺エリア2aにユーザーがいない場合(ステップS2)、および周辺エリア2aに特定関連ユーザーはいるが周辺エリア2aに非関連ユーザーがいない場合(ステップS5)には、周辺監視部43は、周辺エリア2aに非関連ユーザーがいない旨を示す応答をユーザー端末装置4(つまり、周辺確認要求の送信者ユーザー)に送信する(ステップS7)。
【0044】
上述の送信者ユーザーは、ユーザー端末装置4を操作して、プリントジョブ要求をユーザー端末装置4に送信させる前に、周辺確認要求をユーザー端末装置4に送信させる。ユーザー端末装置4は、周辺確認要求の送信後に上述の応答を受信すると、所定の表示装置に、その応答を表示する。上述の送信者ユーザーは、その応答を視認した後、プリントジョブ要求をユーザー端末装置4に送信させるか否かを判定する。上述の送信者ユーザーがプリントジョブ要求をユーザー端末装置4に送信させた場合、画像形成装置2では、ジョブ管理部42が、通信装置35でそのプリントジョブ要求を受信し、そのプリントジョブ要求により指定されたプリントジョブをプリント装置31で実行しプリント生成物を出力する。上述の送信者ユーザーは、周辺エリア2a内の非関連ユーザーの有無を事前に確認しているため、感染リスクを高めずに、プリント生成物を取得するために画像形成装置2の設置場所に行くことができる。
【0045】
以上のように、上記実施の形態によれば、画像形成装置2では、ビーコン受信機34は、所定範囲の周辺エリア2aに存在するユーザーに携帯されるビーコン発信機1からのビーコン信号を受信する。周辺監視部43は、(a)ビーコン受信機34で受信したビーコン信号に基づいて、周辺エリア2aに存在するユーザーを特定し、(b)ユーザー端末装置4から周辺確認要求を受信すると、少なくとも周辺エリア2aに存在するユーザーの有無を示す応答をユーザー端末装置4へ送信する。
【0046】
これにより、画像形成装置2を使用したいユーザーが、画像形成装置2の周辺における別のユーザーの有無を事前に確認できるため、あるユーザーが画像形成装置2の設置場所にいるときに他のユーザーが画像形成装置2の設置場所に来ることが抑制される。ひいては、ソーシャルディスタンスが確保されない状態の発生が抑制される。また、画像形成装置2を物理的に直接操作していないが画像形成装置2の周辺にユーザーがいるときにも、他のユーザーは、画像形成装置2の周辺におけるユーザーの存在を把握することができる。
【0047】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0048】
例えば、上記実施の形態において、ジョブ管理部42は、周辺確認要求に対して応答が送信されたユーザー端末装置4(つまり、送信ユーザー)からのプリントジョブ要求の受け付けを許可し、周辺確認要求に対して応答が送信されていないユーザー端末装置4(送信者ユーザー)からのプリントジョブ要求の受け付けを禁止するようにしてもよい。つまり、この場合、周辺確認要求を行っていないユーザー端末装置4(送信ユーザー)は、画像形成装置2に対して、プリントジョブを実行させることができない。
【0049】
また、上記実施の形態において、ユーザー端末装置4は、上述の非関連ユーザーが周辺エリア2aにいる場合には、送信者ユーザーによるプリントジョブ要求の送信を自動的に禁止するようにしてもよい。
【0050】
さらに、上記実施の形態において、画像形成装置2において行われている上述の処理をユーザー端末装置4において行うようにしてもよい。その場合、処理に必要なデータが画像形成装置2からユーザー端末装置4へ転送され、処理結果がユーザー端末装置4から画像形成装置2へ転送される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、例えば、画像形成装置に適用可能である。
図1
図2
図3