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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 57/22 20060101AFI20241108BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A01D57/22 G
A01D67/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022171173
(22)【出願日】2022-10-26
(65)【公開番号】P2024063329
(43)【公開日】2024-05-13
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷上 智洋
(72)【発明者】
【氏名】三宅 達也
(72)【発明者】
【氏名】上田 光瑠
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伯郎
(72)【発明者】
【氏名】杉田 泰行
(72)【発明者】
【氏名】坂本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 宏真
(72)【発明者】
【氏名】平賀 亮太
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-055724(JP,A)
【文献】特開2016-185108(JP,A)
【文献】特開2015-100341(JP,A)
【文献】米国特許第05040362(US,A)
【文献】特開2011-050314(JP,A)
【文献】特開2014-064587(JP,A)
【文献】特開2013-165738(JP,A)
【文献】特開2011-050315(JP,A)
【文献】特開2016-185109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 57/00-67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載した機体フレーム(1)の前側に刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後方左側に脱穀装置(4)を設けたコンバインにおいて、
前記エンジンの出力回転を伝動する第1伝動筒(15)を脱穀装置(4)の前壁の前側に設け、
該第1伝動筒(15)の右部に、前記刈取装置(3)の刈取フレーム(10)の前後方向に延在する第2伝動筒(11)の後部を回転自在に支持し、
該第2伝動筒(11)の前部に、前記刈取フレーム(10)の左右方向に延在する第3伝動筒(12)の中間部を支持し、
該第3伝動筒(12)の左部に、前記刈取フレーム(10)の上下方向に延在する第4伝動筒(13)の下部を支持し、
該第4伝動筒(13)の上部に、前記刈取フレーム(10)の左右方向に延在する第5伝動筒(14)の左部を支持し、
前記第1伝動筒(15)の右部と第5伝動筒(14)の中間部を第1連結部材(16)で連結し、
前記第3伝動筒(12)の右部と第5伝動筒(14)の右部を第2連結部材(17)で連結し、
前記第3伝動筒(12)の右部に、前記刈取装置(3)の分草体(20)を支持する前後方向に延在する分草体フレーム(18)を設け、
前記刈取装置(3)の引起装置(21)よりも右側に延在する第5伝動筒(14)の右側延在部(30)と第2連結部材(17)の上部を第3連結部材(32)で連結し、
前記右側延在部(30)と分草体フレーム(18)の前部を第4連結部材(33)で連結したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
側面視において、前記第3連結部材(32)は、前記第2連結部材(17)の上部から前側上方に向かって延在して右側延在部(30)に至り、前記第4連結部材(33)は、前記分草体フレーム(18)の前部から緩やかに後側上方に向かって延在した後に、後側上方に向かって延在し、その後に、緩やかに後側上方に向かって延在して右側延在部(30)に至り、前記右側延在部(30)を頂点として、前記第3連結部材(32)と第4連結部材(33)の交差角度を50~70度に形成し、
背面視において、前記第3連結部材(32)は、前記第2連結部材(17)の上部から右側上方に向かって延在して右側延在部(30)に至り、前記第4連結部材(33)は、前記分草体フレーム18から上方に向かって延在して右側延在部(30)に至り、前記右側延在部(30)を頂点として、前記第3連結部材(32)と第4連結部材(33)の交差角度を50~70度に形成した請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記右側延在部(30)の下部に固定部材(31)を設け、
該固定部材(31)を右側延在部(30)に沿って左右方向に延在する水平固定部材(31A)と、該水平固定部材(31A)の右端から下方に延在する垂直固定部材(31B)で形成し、
前記第3連結部材(32)と第4連結部材(33)の上部を、前記水平固定部材(31A)を介して右側延在部(30)に固定し、
前記第4連結部材(33)の上部における右側部を、前記垂直固定部材(31B)の左側面に固定した請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記刈取装置(3)の最も右側に配置された引起装置(21)の上部を、前記第5伝動筒(14)の右部に回転自在に支持し、該引起装置(21)の下部を上方に引起こす構成とした請求項1に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記第3伝動筒(12)に前方に延在する前後フレーム(50)を設け、
前記前後フレーム(50)の前部に上方に向かって矩形状の固定プレート(51)を設け、
前記刈取装置(3)の引起装置(21)における左右方向の中間に設けられた隣接する引起装置(21)の下部を揺動部品(52)で連結し、
前記固定プレート(51)に揺動部品(52)の矩形状の回転プレート(52A)を左右方向に延在するピン(53)を介して回転自在に支持し、
前記固定プレート(51)と回転プレート(52A)を着脱可能な締結部材(54)で連結した請求項1記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置に複数の引起装置を備えるコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
刈取装置の引起装置や搬送装置のメンテナンスを行うために、エンジンの出力回転を引起装置に伝動する回転軸を内装した伝動筒を支点として引起装置の下部を上方に引起す技術が知られていた。(特許文献1参照)
【0003】
また、刈取装置の引起装置や搬送装置のメンテナンスを行うために、エンジンの出力回転を引起装置に伝動する回転軸を内装した伝動筒から引起装置の上部を前方に引出す技術が知られていた。(特許文献2参照)
【0004】
さらに、刈取装置の引起装置や搬送装置のメンテナンスを行うために、エンジンの出力回転を引起装置に伝動する回転軸を内装した伝動筒に沿って引起装置を左右方向に移動させる技術が知られていた。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-37441号公報
【文献】特開2012-29568号公報
【文献】特開2013-9611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術では、複数の引起装置の下部を上方に引起す場合に、引起装置の上部が回転自在に支持されている伝動筒にたわみや捻じり等の変形が発生する恐れがあった。
【0007】
また、特許文献2の技術では、左右方向の中間に設けられた引起装置の上部を前方に引出す場合に、引起装置の上部が支持されている伝動筒にたわみや捻じり等の変形が発生する恐れがあった。
【0008】
さらに、特許文献3の技術でも、引起装置を左右方向に移動する場合に、引起装置の上部が支持されている伝動筒にたわみや捻じり等の変形が発生する恐れがあった。
【0009】
そこで、本発明の主たる課題は、刈取装置に引起装置の上部に設けられた左右方向に延在する伝動筒の変形を抑制して、刈取装置のメンテナンスを容易に行うことができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、エンジンを搭載した機体フレーム(1)の前側に刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後方左側に脱穀装置(4)を設けたコンバインにおいて、
前記エンジンの出力回転を伝動する第1伝動筒(15)を脱穀装置(4)の前壁の前側に設け、該第1伝動筒(15)の右部に、前記刈取装置(3)の刈取フレーム(10)の前後方向に延在する第2伝動筒(11)の後部を回転自在に支持し、該第2伝動筒(11)の前部に、前記刈取フレーム(10)の左右方向に延在する第3伝動筒(12)の中間部を支持し、該第3伝動筒(12)の左部に、前記刈取フレーム(10)の上下方向に延在する第4伝動筒(13)の下部を支持し、該第4伝動筒(13)の上部に、前記刈取フレーム(10)の左右方向に延在する第5伝動筒(14)の左部を支持し、前記第1伝動筒(15)の右部と第5伝動筒(14)の中間部を第1連結部材(16)で連結し、前記第3伝動筒(12)の右部と第5伝動筒(14)の右部を第2連結部材(17)で連結し、前記第3伝動筒(12)の右部に、前記刈取装置(3)の分草体(20)を支持する前後方向に延在する分草体フレーム(18)を設け、前記刈取装置(3)の引起装置(21)よりも右側に延在する第5伝動筒(14)の右側延在部(30)と第2連結部材(17)の上部を第3連結部材(32)で連結し、前記右側延在部(30)と分草体フレーム(18)の前部を第4連結部材(33)で連結したことを特徴とするコンバインである。
【0011】
請求項2記載の発明は、側面視において、前記第3連結部材(32)は、前記第2連結部材(17)の上部から前側上方に向かって延在して右側延在部(30)に至り、前記第4連結部材(33)は、前記分草体フレーム(18)の前部から緩やかに後側上方に向かって延在した後に、後側上方に向かって延在し、その後に、緩やかに後側上方に向かって延在して右側延在部(30)に至り、前記右側延在部(30)を頂点として、前記第3連結部材(32)と第4連結部材(33)の交差角度を50~70度に形成し、背面視において、前記第3連結部材(32)は、前記第2連結部材(17)の上部から右側上方に向かって延在して右側延在部(30)に至り、前記第4連結部材(33)は、前記分草体フレーム18から上方に向かって延在して右側延在部(30)に至り、前記右側延在部(30)を頂点として、前記第3連結部材(32)と第4連結部材(33)の交差角度を50~70度に形成した請求項1記載のコンバインである。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記右側延在部(30)の下部に固定部材(31)を設け、該固定部材(31)を右側延在部(30)に沿って左右方向に延在する水平固定部材(31A)と、該水平固定部材(31A)の右端から下方に延在する垂直固定部材(31B)で形成し、前記第3連結部材(32)と第4連結部材(33)の上部を、前記水平固定部材(31A)を介して右側延在部(30)に固定し、前記第4連結部材(33)の上部における右側部を、前記垂直固定部材(31B)の左側面に固定した請求項1又は2記載のコンバインである。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記刈取装置(3)の最も右側に配置された引起装置(21)の上部を、前記第5伝動筒(14)の右部に回転自在に支持し、該引起装置(21)の下部を上方に引起こす構成とした請求項1に記載のコンバインである。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記第3伝動筒(12)に前方に延在する前後フレーム(50)を設け、前記前後フレーム(50)の前部に上方に向かって矩形状の固定プレート(51)を設け、前記刈取装置(3)の引起装置(21)における左右方向の中間に設けられた隣接する引起装置(21)の下部を揺動部品(52)で連結し、前記固定プレート(51)に揺動部品(52)の矩形状の回転プレート(52A)を左右方向に延在するピン(53)を介して回転自在に支持し、前記固定プレート(51)と回転プレート(52A)を着脱可能な締結部材(54)で連結した請求項1記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、エンジンの出力回転を伝動する第1伝動筒(15)を脱穀装置(4)の前壁の前側に設け、第1伝動筒(15)の右部に、刈取装置(3)の刈取フレーム(10)の前後方向に延在する第2伝動筒(11)の後部を回転自在に支持し、第2伝動筒(11)の前部に、刈取フレーム(10)の左右方向に延在する第3伝動筒(12)の中間部を支持し、第3伝動筒(12)の左部に、刈取フレーム(10)の上下方向に延在する第4伝動筒(13)の下部を支持し、第4伝動筒(13)の上部に、刈取フレーム(10)の左右方向に延在する第5伝動筒(14)の左部を支持し、第1伝動筒(15)の右部と第5伝動筒(14)の中間部を第1連結部材(16)で連結し、第3伝動筒(12)の右部と第5伝動筒(14)の右部を第2連結部材(17)で連結し、第3伝動筒(12)の右部に、刈取装置(3)の分草体(20)を支持する前後方向に延在する分草体フレーム(18)を設け、刈取装置(3)の引起装置(21)よりも右側に延在する第5伝動筒(14)の右側延在部(30)と第2連結部材(17)の上部を第3連結部材(32)で連結し、右側延在部(30)と分草体フレーム(18)の前部を第4連結部材(33)で連結したので、刈取装置(3)の引起装置(21)の上部に設けられた左右方向に延在する第5伝動筒(14)のたわみ等の変形を抑制して、刈取装置(3)のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、側面視において、第3連結部材(32)は、第2連結部材(17)の上部から前側上方に向かって延在して右側延在部(30)に至り、第4連結部材(33)は、分草体フレーム(18)の前部から緩やかに後側上方に向かって延在した後に、後側上方に向かって延在し、その後に、緩やかに後側上方に向かって延在して右側延在部(30)に至り、右側延在部(30)を頂点として、第3連結部材(32)と第4連結部材(33)の交差角度を50~70度に形成し、背面視において、第3連結部材(32)は、第2連結部材(17)の上部から右側上方に向かって延在して右側延在部(30)に至り、第4連結部材(33)は、分草体フレーム18から上方に向かって延在して右側延在部(30)に至り、右側延在部(30)を頂点として、第3連結部材(32)と第4連結部材(33)の交差角度を50~70度に形成したので、第3連結部材(32)と第4連結部材(33)の変形を防止して、刈取装置(3)の引起装置(21)の上部に設けられた左右方向に延在する第5伝動筒(14)の変形をより抑制することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明による効果に加えて、右側延在部(30)の下部に固定部材(31)を設け、固定部材(31)を右側延在部(30)に沿って左右方向に延在する水平固定部材(31A)と、水平固定部材(31A)の右端から下方に延在する垂直固定部材(31B)で形成し、第3連結部材(32)と第4連結部材(33)の上部を、水平固定部材(31A)を介して右側延在部(30)に固定し、第4連結部材(33)の上部における右側部を、垂直固定部材(31B)の左側面に固定したので、第4連結部材(33)の変形をより防止して、刈取装置(3)の引起装置(21)の上部に設けられた左右方向に延在する第5伝動筒(14)の変形をさらに抑制することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、刈取装置(3)の最も右側に配置された引起装置(21)の上部を、第5伝動筒(14)の右部に回転自在に支持し、引起装置(21)の下部を上方に引起こす構成としたので、引起装置(21)の下部を上方に引起こして刈取装置(3)の後部の搬送装置に詰まった穀稈を容易に除くことができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、第3伝動筒(12)に前方に延在する前後フレーム(50)を設け、前後フレーム(50)の前部に上方に向かって矩形状の固定プレート(51)を設け、刈取装置(3)の引起装置(21)における左右方向の中間に設けられた隣接する引起装置(21)の下部を揺動部品(52)で連結し、固定プレート(51)に揺動部品(52)の矩形状の回転プレート(52A)を左右方向に延在するピン(53)を介して回転自在に支持し、固定プレート(51)と回転プレート(52A)を着脱可能な締結部材(54)で連結したので、刈取装置(3)の左右方向の中間に設けられた隣接する引起装置(21)の上部を前方に容易に引出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】コンバインの左側面図である。
図2】刈取装置の右側面図である。
図3】刈取装置の左側面図である。
図4】刈取装置の正面図であり、第6引起装置を外している。
図5】刈取装置の背面図である。
図6】伝動筒の右側延在部の正面図である。
図7】伝動筒の右側延在部の右側面図である。
図8】伝動筒の右側延在部の背面図である。
図9】引起装置の上部を前後方向に揺動させる揺動部品の左側面図である。
図10】前方に上部を引出した引起装置の正面図である。
図11】前方に上部を引出した引起装置の左側面図である。
図12】(a)、(b)は固定プレート、(c)、(d)は回転プレート、(e)、(f)はピンの断面図と左側面図である。
図13】搬送ホイールの取付ブラケットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取装置3が設けられている。また、刈取装置3の後方左側に刈取装置3で収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0022】
操縦部5の下側には、エンジン搭載するエンジンルームが設けられ、操縦部5の後側には、脱穀装置4で脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7に貯留された穀粒は、グレンタンク7に連結された排出オーガ8によって外部に排出される。
【0023】
図1~5に示すように、刈取装置3は、主枠となる刈取フレーム10に取付けられている。刈取フレーム10は、前後方向に延在する伝動筒(請求項の「第2伝動筒」)11と、伝動筒11の前部に設けられた左右方向に延在する伝動筒(請求項の「第3伝動筒」)12と、伝動筒12の左部に設けられた上下方向に延在する伝動筒(請求項の「第4伝動筒」)13と、伝動筒13の上部に設けられた左右方向に延在する伝動筒(請求項の「第5伝動筒」)14から形成されている。また、伝動筒11の後部は、エンジンの出力回転が伝動される脱穀装置4の前側に設けられた左右方向に延在する伝動筒(請求項の「第1伝動筒」)15に揺動可能に支持されている。これにより、伝動筒11に連結された昇降シリンダ(図示省略)を駆動して伝動筒11の前部、すなわち、刈取フレーム10を介して刈取装置3を上下方向に昇降させることができる。なお、伝動筒11~15の内部には、エンジン等の出力回転が伝動される回転軸が設けられている。
【0024】
伝動筒14の中間部と伝動筒15の右部は、丸鋼からなる連結部材(請求項の「第1連結部材」)16で連結され、伝動筒14の右部と伝動筒12の右部は、丸鋼からなる連結部材(請求項の「第2連結部材」)17で連結されている。これにより、伝動筒14の左部を伝動筒13で支持し、伝動筒14の中間部を連結部材16で支持し、伝動筒14の右部を連結部材16で支持するので、伝動筒14の撓みや捻じり等の変形を抑制することができる。
【0025】
側面視において、連結部材16は、搬送装置23の上側を超えるように、伝動筒15の右部から前側上方に向かって延在した後に、前側に向かって延在し、その後、前側下方に向かって延在して伝動筒14に至っている。また、背面視において、連結部材16は、伝動筒15の右部から右側上方に向かって延在して伝動筒14に至っている。
【0026】
側面視において、連結部材17は、搬送装置23の上側を超えるように、伝動筒12の右部から前側上方に向かって延在した後に、上側に向かって延在し、その後、前側上方に向かって延在して伝動筒14に至っている。また、背面視において、連結部材17は、伝動筒12の右部から上方に向かって延在して伝動筒14に至っている。
【0027】
刈取装置3は、圃場に植立する穀稈を分草する4個の分草体20と、分草された穀稈を引起す6個の引起装置21と、引起こされた穀稈を刈取る刈刃装置22と、刈取られた穀稈の穂先と株元を挟持して脱穀装置4に搬送する搬送装置23から形成されている。また、引起装置21の下部の後側には、穀稈の株元を挟持して刈刃装置22に搬送する搬送ホイール27が設けられている。
【0028】
引起装置21は、6個の引起装置21A~21Fから形成され、引起装置21Bの引起こし反対側の右部と引起装置21Cの引起こし反対側の左部は連結部材(図示省略)で連結され、引起装置21Dの引起こし反対側の右部と引起装置21Eの引起こし反対側の左部は連結部材(図示省略)で連結されている。これにより、引起装置21A,21Bの間で2条、引起装置21C,21Dの間で2条、引起装置21E,21Fの間で2条の計6条の穀稈を同時に引起こすことができる。
【0029】
分草体20は、伝動筒14の前部から前方に向かって延在する分草体フレーム18の前部に支持されている。分草体フレーム18は、左右方向に所定の間隔を隔てて設けられている。
【0030】
側面視において、最も右側に位置する分草体フレーム18は、伝動筒14の右端部から前側に向かって延在した後に、前側下方に向かって延在し、その後に、前側に向かって延在して最も右側に位置する引起装置21Fの下部よりも前側に至っている。
【0031】
最も左側に位置する引起装置21Aの上部は、伝動筒14の右部に固定されている。また、最も右側に位置する引起装置21Fの上部は、伝動筒14の右部に回転部材24を介して回転自在に支持され、引起装置21Fの下部は、機体フレーム1に設けられた係合部材25に着脱自在に係合されている。なお、図2の一点鎖線は、引起装置21Fの下部の回動軌跡を示している。
【0032】
図2に示すように、引起装置21Fを作業姿勢から待避姿勢に移動する場合には、引起装置21Fの下部と係合部材25の係合を解除して、引起装置21Fの上部を支点として下部を下側から上側前方に回動させる。一方、引起装置21Fを待避姿勢から作業姿勢に移動する場合には、引起装置21Fの上部を支点として下部を上側から下側後方に回動させて、引起装置21Fの下部を係合部材25に係合させる。
【0033】
伝動筒14の右部には、引起装置21Fの右縁部を超えて右側に向かって延在して形成されている。理解を容易にするために、本明細書では、引起装置21Fの右縁部を超えて右側に向かって延在する部位を、右側延在部30という。
【0034】
右側延在部30の下部には、アングル鋼からなる固定部材31が形成されている。固定部材31は、右側延在部30の下部に沿って左右方向に延在する水平固定部材31Aと、水平固定部材31Aの右端部から下方に向かって延在する垂直固定部材31Bで形成されている。
【0035】
水平固定部材31Aの下面における後部と連結部材17の上部は、丸鋼からなる連結部材(請求項の「第3連結部材」)32で連結され、水平固定部材31Aの下面における右部と分草体フレーム18の前部は、丸鋼からなる連結部材(請求項の「第4連結部材」)33で連結されている。これにより、固定部材31を介して、伝動筒14の右側延在部30を連結部材32と連結部材33で支持したので、引起装置21Fを作業姿勢から待避姿勢に、又は、待避姿勢から作業姿勢に移動した場合に発生する伝動筒14の撓みや捻じり等の変形を抑制することができる。
【0036】
また、連結部材33の上部における右部は、垂直固定部材31Bの左面に固定されている。これにより、連結部材33の上部の変形を抑制して、固定部材31を介して、伝動筒14の右側延在部30を連結部材32と連結部材33でより強固に支持することができる。
【0037】
側面視において、連結部材32は、連結部材17の上部から前側上方に向かって延在して水平固定部材31Aの下面における後部に至っている。また、背面視において、連結部材32は、連結部材17の上部から右側上方に向かって延在して水平固定部材31Aの下面における後部に至っている。
【0038】
側面視において、連結部材33は、分草体フレーム18の前部から緩やかに後側上方に向かって延在した後に、後側上方に向かって延在し、その後に、緩やかに後側上方に向かって延在して水平固定部材31Aの下面における右部に至っている。また、背面視において、連結部材33は、分草体フレーム18から上方に向かって延在して水平固定部材31Aの下面における右部に至っている。
【0039】
側面視において、右側延在部30を頂点として連結部材32と連結部材33が三角形の2辺を形成して、連結部材32と連結部材33の交差角度が50~70度、好ましくは60度に形成し、背面視において、右側延在部30を頂点として連結部材32と連結部材33が三角形の2辺を形成して、連結部材32と連結部材33の交差角度が50~70度、好ましくは60度に形成するのが好ましい。これにより、連結部材32と連結部材33の変形等を抑制して、右側延在部30を強固に支持することができる。
【0040】
<揺動部品>
図9に示すように、伝動筒12における引起装置21B,21Cの左右方向の中間の後部に位置する部位には、伝動筒12から前方に延在する左前後フレーム50Lが設けられ、伝動筒12における引起装置21D,21Eの左右方向の中間の後部に位置する部位には、伝動筒12から前方に延在する右前後フレーム50Rが設けられている。なお、本明細書では、左前後フレーム50Lと右前後フレーム50Rを総称して前後フレーム50という。
【0041】
前後フレーム50における前側部には、左右方向に所定の間隔を隔てて左右一対の上側に向けて略矩形状の固定プレート51が立設されている。
【0042】
固定プレート51の前部には、揺動部品52が回転自在に支持されている。揺動部品52は、左右一対の固定プレート51の間に設けられた矩形状の回転プレート52Aと、回転プレート52Aの上部から後側上方に向かって延在する延在部52Bと、延在部52Bの後部から左右方向に延在する連結部52Cから形成されている。なお、左前後フレーム50Lに設けられた固定プレート51と揺動部品52は、右前後フレーム50Rに設けられた固定プレート51と揺動部品52と同一形状に形成されている。
【0043】
左前後フレーム50Lに装着されている揺動部品52の連結部52Cの左部は、引起装置21Bの後面の下部に連結され、連結部52Cの右部は引起装置21Cの後面の下部に連結されている。また、右前後フレーム50Rに装着されている揺動部品52の連結部52Cの左部は、引起装置21Dの後面の下部に連結され、連結部52Eの右部は引起装置21Cの後面の下部に連結されている。
【0044】
固定プレート51における前側下部に形成された開口部51aと回転プレート52Aにおける前側下部に形成された開口部52aには、ピン53が挿通され、固定プレート51の後部に形成されたネジ部51bと回転プレート52Aの後部に形成された開口部52bにはボルト等の締結部材54が挿通されている。これにより、図10,11に示すように、前方に引起装置21B,21Cや前方に引起装置21D,21Eの上部を前方に引き出す場合には、締結部材54を取外し、揺動部品52をピン53を中心として反時計方向に回転させて、引起装置21B,21Cの上部を前方に引き出して搬送装置23の前側に大きな作業空間を形成して、搬送装置23に詰まった穀稈の除去作業を効率良く行うことができる。
【0045】
ピン53には、ストレートピン、段付きピン、ストレートピンの一側に折曲げ部を形成したL字ピン等を使用することができる。ストレートピンを使用する場合には、ストレートピンの両端部に貫通孔を形成してスナップピンや割りピンを挿通するのが好ましい。また、段付きピンを使用する場合には、固定プレート51の側面に段付きピンの段差部が侵入するザグリを形成し、段付きピンの段差部が形成されていない他側に貫通孔を形成してスナップピンや割りピンを挿通するのが好ましい。さらに、L字ピンを使用する場合には、固定プレート51の側面にL字ピンの折曲げ部が係合する係合部(図示省略)を設け、L字ピンの折曲げ部が形成されていない他側に貫通孔を形成してスナップピンや割りピンを挿通するのが好ましい。これにより、ピン53が、固定プレート51と回転プレート52Aの開口部51a,52aから脱落するのを防止することができる。
【0046】
図12(a),(b)に示すように、ピン53の両端部に径方向に突出する突起部53aを形成することができる。このピン53を使用する場合には、図12(c),(d)に示すように、回転プレート52Aの開口部52aに、突起部53aを挿通する径方向に延在する溝部52cを形成し、図12(e),(f)に示すように、固定プレート51の開口部51aに、突起部53aを挿通する径方向に延在する溝部51cを形成する。これにより、ピン53を固定プレート51の開口部51aと回転プレート52Aの開口部52aに挿通させた後に、ピン53を軸心回りに回転させてピン53を容易に固定することができる。
【0047】
<取付ブラケット>
図13に示すように、機体フレーム1に搬送ホイール27を支持する取付ブラケット60は、上プレート61と、下プレート62と、上プレート61と下プレート62の後部を連結する後プレート63から形成されている。
【0048】
上プレート61は、後プレート63から緩やかに前側下方に向かって延在し、下プレート62は、後プレート63から上プレート61よりも急な角度を有して前側下方に向かって延在している。
【0049】
上プレート61には、前後方向に所定の間隔を隔てて3個の穴61Pが形成され、上プレート61の左部には機体フレーム1に装着するステー61Aが形成されている。また、下プレート62には、前後方向に所定の間隔を隔てて3個の前後方向に長軸を有する長穴62Pが形成されている。
【0050】
穴61Pと長穴62Pには、丸鋼からなる支軸64が挿通され、支軸64には上下方向に所定の長さを有するカラー65が設けられている。これにより、上下一対の上側に位置する搬送ホイール27を上プレート61とカラー65の間に配置し、下側に位置する搬送ホイール27をしたカラー65と下プレート62との間に容易に装着することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 機体フレーム
3 刈取装置
4 脱穀装置
10 刈取フレーム
11 伝動筒(第2伝動筒)
12 伝動筒(第3伝動筒)
13 伝動筒(第4伝動筒)
14 伝動筒(第5伝動筒)
15 伝動筒(第1伝動筒)
16 連結部材(第1連結部材)
17 連結部材(第2連結部材)
18 分草体フレーム
20 分草体
30 右側延在部
31 固定部材
31A 水平固定部材
31B 垂直固定部材
32 連結部材(第3連結部材)
33 連結部材(第4連結部材)
50 前後フレーム
51 固定プレート
52 揺動部品
52A 回転プレート
53 ピン
54 締結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13