(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】照明システムおよび当該照明システムで用いられる照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 21/116 20060101AFI20241108BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20241108BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20241108BHJP
B64D 9/00 20060101ALI20241108BHJP
F21V 21/096 20060101ALI20241108BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241108BHJP
F21S 8/08 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F21V21/116
B64C39/02
B64C27/04
B64D9/00
F21V21/096 100
F21V23/00 110
F21S8/08 121
(21)【出願番号】P 2021021217
(22)【出願日】2021-02-12
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】内藤 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 匡弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
(72)【発明者】
【氏名】武内 芳夫
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-510958(JP,A)
【文献】国際公開第2020/217497(WO,A1)
【文献】特開2005-135657(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2044225(KR,B1)
【文献】特開2007-227105(JP,A)
【文献】特表2002-509637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/00
F21V 23/00
F21S 8/08
B64C 39/02
B64C 27/04
B64D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体と、
光を照射することが可能な灯具と、前記灯具が固定される固定部材と、を有する照明装置と、
を備え、
前記灯具および前記固定部材は、互いに引き合う磁力を発生させることが可能な磁力発生手段をそれぞれ備えており、
前記灯具と前記固定部材とが、それぞれの磁力発生手段で発生させた磁力によって固定されており、
前記無人飛行体は、前記灯具の磁力発生手段で発生させた磁力と引き合う磁力を発生させることが可能な磁力発生手段を備えて
おり、
前記灯具と前記固定部材とを磁力のみによって分離固定させることができるように構成している、
照明システム。
【請求項2】
無人飛行体と、
光を照射することが可能な灯具と、前記灯具が固定される固定部材と、を有する照明装置と、
危険状態をセンシングするセンサ部と、
を備え、
前記灯具および前記固定部材は、互いに引き合う磁力を発生させることが可能な磁力発生手段をそれぞれ備えており、
前記灯具と前記固定部材とが、それぞれの磁力発生手段で発生させた磁力によって固定されており、
前記無人飛行体は、前記灯具の磁力発生手段で発生させた磁力と引き合う磁力を発生させることが可能な磁力発生手段を備えており、
前記センサ部が前記危険状態を感知した場合に、前記灯具を前記固定部材から分離させることが可能な状態となるようにした、
照明システム。
【請求項3】
前記危険状態は、災害情報または災害発生に起因して起こる前記照明装置の周辺の状態情報である、
請求
項2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記無人飛行体を前記灯具に接近させた際に、前記無人飛行体と前記灯具との間に発生する磁力が、前記灯具と前記固定部材との間に発生する磁力よりも大きくなるようにした、
請求項1
~3のうちいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項5】
前記灯具が備える磁力発生手段および前記固定部材が備える磁力発生手段が電磁石装置であり、
前記無人飛行体と前記灯具との間に互いに引き合う磁力を発生させた状態で、前記灯具と前記固定部材との間に発生する磁力を消失させるようにした、
請求項1
~4のうちいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記灯具が備える磁力発生手段および前記固定部材が備える磁力発生手段が永久磁石である、
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか1項に記載の照明システムで用いられる照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明システムおよび当該照明システムで用いられる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、次の特許文献1に開示されているように、固定部材としてのポールの先端に設けられた取付基部に、灯具が搭載された無人飛行体を着脱可能に取り付けられるようにした照明システムが提案されている。
【0003】
この特許文献1では、ポールの取付基部に取り付けられる無人飛行体に灯具を搭載することで、灯具とポールとを容易に分離固定させることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、灯具としての機能を有する無人飛行体を用いて、照明器具とポールとを分離固定させるようにしているため、無人飛行体および灯具の形状が制約されてしまう。
【0006】
このように、上記従来の技術では、灯具とポールとを容易に分離固定させることは可能であるが、無人飛行体および灯具の汎用性を向上させることができなかった。
【0007】
そこで、本開示は、無人飛行体および灯具の汎用性を向上させつつ、灯具と固定部材とを容易に分離固定させることが可能な照明システムおよび当該照明システムで用いられる照明装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示における照明システムは、無人飛行体と、光を照射することが可能な灯具と、前記灯具が固定される固定部材と、を有する照明装置と、を備えている。また、前記灯具および前記固定部材は、互いに引き合う磁力を発生させることが可能な磁力発生手段をそれぞれ備えており、前記灯具と前記固定部材とが、それぞれの磁力発生手段で発生させた磁力によって固定されている。そして、前記無人飛行体は、前記灯具の磁力発生手段で発生させた磁力と引き合う磁力を発生させることが可能な磁力発生手段を備えている。
【0009】
また、本開示における照明装置は、上記照明システムが備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、無人飛行体および灯具の汎用性を向上させつつ、灯具と固定部材とを容易に分離固定させることが可能な照明システムおよび当該照明システムで用いられる照明装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】照明装置の使用方法の一例を模式的に示す斜視図。
【
図3】照明システムが備える灯具をポールから分離させる方法の一例を示す図であって、小型飛行体を灯具に近づける状態を模式的に示す側面図。
【
図4】照明システムが備える灯具をポールから分離させる方法の一例を示す図であって、小型飛行体により灯具を分離させた状態を模式的に示す側面図。
【
図5】照明システムの一例を一部拡大して模式的に示す側面図。
【
図6】照明システムが備える灯具をポールから分離させる方法の他の例を示す図であって、小型飛行体を灯具に近づける状態を模式的に示す側面図。
【
図7】照明システムが備える灯具をポールから分離させる方法の他の例を示す図であって、小型飛行体により灯具を分離させた状態を模式的に示す側面図。
【
図8】照明システムの他の例を一部拡大して模式的に示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態にかかる照明システムおよび当該照明システムで用いられる照明装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
本実施形態にかかる照明システム1は、照明装置10を備えている。この照明装置10は、車道、歩道、公園、駐車場、林道などを照らす道路灯・街路灯などの用途で用いることができる。
【0014】
本実施形態では、車道100の両側に、走行ラインに沿って所定の間隔をあけて設置することで、車道100の路面100aを照らす道路灯として用いたものを例示している(
図1参照)。
【0015】
この照明装置10は、光を照射することが可能な灯具120と、灯具120が固定されるポール(固定部材)110と、を有している。
【0016】
本実施形態では、灯具120およびポール110は、互いに引き合う磁力を発生させることが可能な永久磁石(磁力発生手段)121,111をそれぞれ備えている(
図5参照)。
【0017】
例えば、灯具120に搭載した永久磁石121とポール110に搭載された永久磁石111とが、灯具120をポール110に固定できる状態で、互いに対向する面の極性が異なる極性となるようにしている。
【0018】
そして、灯具120とポール110とが、それぞれの永久磁石121,111で発生させた磁力によって固定されるようにしている。こうすることで、停電時に灯具120がポール110から落下してしまうことを抑制できるようにしている。
【0019】
なお、本実施形態では、灯具120およびポール110に磁力発生手段としての永久磁石121,111を搭載させたものを例示している。しかしながら、磁力発生手段としての永久磁石121,111を搭載させる必要はなく、例えば、灯具120の筐体部分やポール110の筒状部分を磁性材料で形成することで、灯具120とポール110とを磁力によって固定させるようにしてもよい。
【0020】
さらに、本実施形態では、灯具120およびポール110にはロック機構130が設けられており、このロック機構130によるロックおよびロックの解除が制御部50により制御されている(
図5参照)。そして、灯具120をポール110にロックすることで、灯具120の落下や盗難等が防止されるようにしている。
【0021】
また、照明システム1は、小型飛行体(無人飛行体)20を備えている。本実施形態では、小型飛行体20として、本体部210と、本体部210から下方に延設された脚部220と、本体部210から水平方向の外側に延設されたアーム部230と、アーム部230に取り付けられたプロペラ240と、を備えるものを例示している。
【0022】
ただし、小型飛行体の形状は、このような形状に限られるものではなく、例えば、飛行機タイプの小型飛行体等、様々な形状とすることが可能である。
【0023】
そして、本実施形態では、小型飛行体20が、灯具120の永久磁石121で発生させた磁力と引き合う磁力を発生させることが可能な永久磁石(磁力発生手段)211を備えるようにしている(
図5参照)。
【0024】
こうすることで、灯具120と引き合う磁性を備えた小型飛行体20を灯具120に接近させた際に、小型飛行体20を灯具120に磁力によって固定させることができるようにしている。そして、灯具120を小型飛行体20に固定させた状態で小型飛行体20を飛行させることで、灯具120をポール110から分離させることができるようにしている(
図3および
図4参照)。
【0025】
このように、本実施形態では、照明装置10の灯具120とポール110とを磁力で固定させるようにし、外部からの磁力(小型飛行体20の永久磁石211)によって、灯具120とポール110とを分離固定させることができるようにしている。
【0026】
こうすれば、小型飛行体20および灯具120の形状自由度を、より向上させることが可能になって、小型飛行体20および灯具120の汎用性を向上させることが可能になる。
【0027】
なお、本実施形態では、小型飛行体20を灯具120に接近させた際(小型飛行体20を灯具120に接触させた状態のとき)に、小型飛行体20と灯具120との間に発生する磁力F1が、灯具120とポール110との間に発生する磁力F2よりも大きくなるようにしている。すなわち、小型飛行体20側の永久磁石211の磁力が、ポール110側の永久磁石111の磁力よりも強くなるようにしている。こうすることで、小型飛行体20によって灯具120をポール110からより確実に分離させることができるようにしている。
【0028】
このような照明システム1とすれば、例えば、
図2~
図4に示すように、故障等の不具合が発生した灯具120を小型飛行体20で回収することができる。
【0029】
このとき、小型飛行体20が、灯具120の不具合情報を検知する不具合情報検知手段と、不具合情報検知手段が検知した灯具120までの移動を制御する制御部と、を備えるようにするのが好ましい。
【0030】
こうすれば、不具合が発生した灯具120まで小型飛行体20を自動で移動させることができるようになる。
【0031】
なお、
図2には、基地40に小型飛行体20を待機させておき、灯具120の不具合情報を検知したときに小型飛行体20を基地40から発進させて、不具合が発生した灯具120まで移動させるようにしたものを例示している。ただし、小型飛行体20を基地40に待機させておく必要はなく、小型飛行体20を定期的に飛行させて、不具合が発生した灯具120を発見した際に、不具合が発生した灯具120を回収するようにしてもよい。
【0032】
また、本実施形態で示した照明システム1とすれば、小型飛行体20で回収した状態で灯具120のメンテナンス作業を行うこともできる。すなわち、より容易に灯具120のメンテナンス作業を行うこともできる。このとき、小型飛行体20を用いて灯具120とポール110とを分離固定させることになるため、メンテナンス作業時等における灯具120の上げ下ろしにかかる負担を、より軽減させることができるようになる。
【0033】
また、磁力発生手段として永久磁石の替わりに電磁石装置を用いることも可能である。このように、電磁石装置を搭載させるようにすれば、発生する磁力を制御することで、小型飛行体20によって灯具120とポール110とを分離固定させることができるようになる。
【0034】
なお、灯具120のポール110への取り付け方によっては、ポール110の電磁石装置の駆動を解除した際に、灯具120がポール110から外れて落下してしまうこともある。
【0035】
このような場合には、電磁石装置を制御して、灯具120とポール110との間に、灯具120が落ちない程度の磁力を発生させるようにすればよい。そして、この状態で、小型飛行体20と灯具120との間に、灯具120とポール110との間に発生する磁力よりも大きな磁力を発生させるようにすればよい。こうすれば、灯具120の落下を抑制しつつ灯具120を小型飛行体20で回収することができる。
【0036】
また、小型飛行体20を灯具120に固定させつつ、小型飛行体20を飛行可能な状態とした後に、ポール110の電磁石装置の駆動を解除させるようにしてもよい。こうすることでも、灯具120の落下を抑制しつつ灯具120を小型飛行体20で回収することができる。
【0037】
このように、灯具120およびポール110に電磁石装置を搭載し、小型飛行体20と灯具120との間に互いに引き合う磁力を発生させた状態で、灯具120とポール110との間に発生する磁力を消失させるように、電磁石装置を制御させることも可能である。このとき、小型飛行体20が備える磁力発生手段を電磁石装置としてもよいし、永久磁石としてもよい。
【0038】
また、
図6~
図8に示す照明システム1とすることも可能である。
【0039】
図6~
図8に示す照明システム1では、危険状態をセンシングするセンサ部60を設け、センサ部60が危険状態を感知したときに、灯具120をポール110から分離させることが可能な状態となるようにしている。すなわち、災害等の発生により照明装置10の周囲が危険状態である場合に、灯具120をポール110から分離させることができるようにし、灯具120を小型飛行体20によって運搬できるようにしている。
【0040】
具体的には、灯具120およびポール110にロック機構130を設け、照明装置10の周囲が危険状態である場合に、制御部50によってロック機構130によるロックが解除されるようにしている。こうすることで、灯具120をポール110から分離させることができるようにしている。
【0041】
ここで、センサ部60が感知する危険状態としては、災害発生に起因して起こる照明装置10の周辺の状態情報があげられる。また、台風の進路予想等の災害予測情報に基づいて災害が発生する可能性が高いと判断される状態を危険状態とすることも可能である。こうすれば、災害情報または災害発生に起因して起こる照明装置10の周辺の状態情報などに基づいて、照明装置10の周辺が危険状態であるか否かを判断することができる。
【0042】
なお、
図6~
図8に示す照明システム1では、操作者Uがコントローラ30を操作して、遠隔若しくは目視状態で小型飛行体20を操作することで、灯具120を小型飛行体20によって運搬するようにしたものを例示している。ただし、上記実施形態で示したように、小型飛行体20を自動で移動させるようにすることも可能である。
【0043】
また、
図6~
図8に示す照明システム1では、センサ部60がポール110の周囲の画像を撮像するカメラ62を備えるようにしている。そして、カメラ62で撮像した画像によって、災害発生に起因して起こるポール110の周辺の状態情報が危険状態であるか否かを判断するようにしている。
【0044】
カメラ62により撮像される災害発生に起因して起こる地下収容型照明装置の周辺の状態情報としては、例えば、地割れ、建物の倒壊、水道管が破裂して水浸しになっている、避難等で人が密集している等があげられる。
【0045】
このとき、人が画像を見なくても自動で地割れ等を判断できるようにするのが好ましい。
【0046】
このような方法としては、例えば、カメラ62がポール110の周辺の状況を連続して画像として撮像し、予め記憶させた通常状態の画像と撮像した画像とを比較して地割れ等を判断させる方法がある。
【0047】
また、様々な地割れの状態や建物の倒壊状態を予め学習させておいて、危険状態か否かを判断させるようにする方法もある。
【0048】
なお、地震等の発生により地割れ等が起きてしまった場合には、カメラ62によって危険状態であることを判断することが可能であるが、大きな地震が発生しても、地割れが生じない場合もある。
【0049】
そして、このような場合でも、灯具120を小型飛行体20によって運搬できるようにするのが好ましい。
【0050】
そこで、
図6~
図8に示す照明システム1では、センサ部60が、ポール110の揺れを感知する振動感知手段61を備えるようにしている。
【0051】
そして、振動感知手段61がポール110の揺れを感知することで、照明装置10の周囲が危険状態であるか否かを判断するようにしている。
【0052】
具体的には、振動感知手段61が閾値以上の揺れを感知したときに、制御部50によってロック機構130によるロックが解除されるようにしている。この閾値は、例えば、震度5~6の範囲で任意に設定することができる。
【0053】
例えば、閾値を震度6に設定した場合、振動感知手段61が閾値以上の揺れを感知したときに、制御部50によってロック機構130によるロックが解除されることになる。
【0054】
また、振動感知手段61が経時的に揺れを感知したときに地震であると判断するようにしてもよい。こうすれば、車両の衝突時等の際に検知される瞬間的な揺れを排除することができ、車両の衝突後に灯具120が落ちてきて2次被害が生じてしまうことを防止することができるようになる。
【0055】
このとき、初期微動の揺れ時間を経時的な揺れとして設定することができる。
【0056】
このように、災害が発生した場合に、灯具120を小型飛行体20によって運搬できるようにすれば、灯具120を安全な場所に回収することができるようになる。
【0057】
また、小型飛行体20を回収せずに、灯具120を持った状態で飛行させるようにすれば、例えば、灯具120が固定された小型飛行体20を、孤立地域の明かりとして用いることができる。また、灯具120が固定された小型飛行体20を広場等の避難場所を照らす照明として用いたり、山等での遭難者の捜索のための照明として用いたりすることもできる。
【0058】
[作用・効果]
以下では、上記実施形態およびその変形例で示した照明システムおよび当該照明システムで用いられる照明装置の特徴的構成およびそれにより得られる効果を説明する。
【0059】
(1) 上記実施形態およびその変形例で示した照明システム1は、小型飛行体(無人飛行体)20と、光を照射することが可能な灯具120と、灯具120が固定されるポール(固定部材)110と、を有する照明装置10と、を備えている。
【0060】
また、灯具120およびポール110は、互いに引き合う磁力を発生させることが可能な永久磁石(磁力発生手段)121,111をそれぞれ備えている。そして、灯具120とポール110とが、それぞれの永久磁石121,111で発生させた磁力によって固定されている。
【0061】
また、小型飛行体20は、灯具120の永久磁石121で発生させた磁力と引き合う磁力を発生させることが可能な永久磁石(磁力発生手段)211を備えている。
【0062】
こうすれば、灯具120と引き合う磁性を備えた小型飛行体20を灯具120に接近させた際に、小型飛行体20を灯具120に磁力によって固定させることができる。そして、灯具120を小型飛行体20に固定させた状態で、灯具120をポール110から分離させることが可能となる。
【0063】
このように、照明装置10の灯具120とポール110とを磁力で固定させるようにすれば、外部からの磁力によって、灯具120とポール110とを分離固定させることが可能になる。このとき、外部からの磁力として、小型飛行体20が備える永久磁石211を用いるようにすれば、灯具120とポール110とを、より容易に分離固定させることが可能になる。さらに、小型飛行体20が備える永久磁石211を用いて灯具120とポール110とを分離固定させるようにすれば、小型飛行体20および灯具120の形状自由度を、より向上させることが可能になる。
【0064】
このように、上記実施形態およびその変形例で示した照明システム1とすれば、小型飛行体20および灯具120の汎用性を向上させつつ、灯具120とポール110とを容易に分離固定させることが可能になる。
【0065】
また、小型飛行体20で回収した状態で灯具120のメンテナンス作業を行うことができるようになるため、より容易に灯具120のメンテナンス作業を行うことができるようになる。また、小型飛行体20を用いて灯具120とポール110とを分離固定させるようにすれば、メンテナンス作業時等における灯具120の上げ下ろしにかかる負担を、より軽減させることができるようになる。
【0066】
(2) また、小型飛行体20を灯具120に接近させた際に、小型飛行体20と灯具120との間に発生する磁力F1が、灯具120とポール110との間に発生する磁力F2よりも大きくなるようにしてもよい。
【0067】
こうすれば、より確実に灯具120をポール110から分離させることが可能となる。
【0068】
(3) また、灯具120が備える磁力発生手段およびポール110が備える磁力発生手段が電磁石装置であてもよい。そして、小型飛行体20と灯具120との間に互いに引き合う磁力を発生させた状態で、灯具120とポール110との間に発生する磁力を消失させるようにしてもよい。
【0069】
こうすれば、灯具120とポール110との間に発生する磁力を消失させた際に、灯具120がポール110から落下してしまうことを抑制することができるようになる。その結果、灯具120とポール110とを分離させて、灯具120を固定させた小型飛行体20を、より確実に飛行させることができるようになる。
【0070】
(4) また、危険状態をセンシングするセンサ部60を備え、センサ部60が危険状態を感知した場合に、灯具120をポール110から分離させることが可能な状態となるようにしてもよい。
【0071】
こうすれば、災害等の非常事態の際に、灯具120とポール110とを分離させて、灯具120を固定させた小型飛行体20を飛行させることができるようになる。その結果、灯具120を小型飛行体20で回収することができ、灯具120の落下による被害を抑制することができる。また、灯具120を固定させた小型飛行体20を飛行させるようにすれば、灯具120を遭難者の捜索や孤立地域の明かりとして用いることができる。
【0072】
(5) また、危険状態が、災害情報または災害発生に起因して起こる照明装置10の周辺の状態情報であってもよい。
【0073】
こうすれば、災害情報または照明装置10の周辺の状態情報に基づき、危険状態であるか否かを判断することができるようになる。すなわち、災害情報または照明装置10の周辺の状態情報に基づいて、灯具120とポール110とを分離させて、灯具120を固定させた小型飛行体20を飛行させることができるようになる。
【0074】
(6) また、灯具120が備える磁力発生手段およびポール110が備える磁力発生手段が永久磁石121,111であってもよい。
【0075】
こうすれば、停電時に灯具120がポール110から落下してしまうことを抑制することができるようになる。
【0076】
(7) また、上記実施形態およびその変形例で示した照明装置10は、上記照明システム1で用いられる照明装置である。
【0077】
こうすれば、小型飛行体20および灯具120の汎用性を向上させつつ、灯具120とポール110とを容易に分離固定させることが可能な照明システム1で用いられる照明装置10を得ることができる。
【0078】
[その他]
以上、本開示にかかる照明システムおよび当該照明システムで用いられる照明装置の内容を説明したが、これらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0079】
例えば、上記実施形態およびその変形例で示した構成を適宜組み合わせた照明システムおよび当該照明システムで用いられる照明装置とすることが可能である。
【0080】
また、上記実施形態およびその変形例では、人の手が届かない位置に灯具120が設置される照明装置10を例示したが、人の手が届く位置に灯具が設置される照明装置に本開示の照明システム1を適用させることも可能である。
【0081】
また、上記実施形態およびその変形例では、灯具120とポール110とを磁力で固定させつつ、解除可能なロック機構130によってロックされるようにしたものを例示したが、ロック機構130を設けずに磁力のみで固定させるようにすることも可能である。こうすれば、灯具120と引き合う磁性を備えた小型飛行体20を灯具120に接近させた際に、いつでも、灯具120を小型飛行体20によって分離飛行させることができる。
【0082】
また、上記実施形態およびその変形例では、上下方向に延在するポール110の先端に1つの灯具120を取り付けた照明装置10を例示したが、ポールの先端を水平方向に曲げたアーム部に灯具120を取り付けた照明装置とすることも可能である。また、ポール110に複数の灯具120を取り付けた照明装置とすることも可能である。
【0083】
また、上記実施形態およびその変形例では、固定部材としての専用のポール110に灯具120を固定させた照明装置10を例示しているが、固定部材として用いられるものは、専用のポール110に限られるものではない。例えば、電柱や屋根等、照明装置としての機能も持たせることができる部材(固定部材)に灯具120を固定させることで、本開示の照明システムを形成することも可能である。
【0084】
また、庭の植物などを照らす庭園灯に本開示の照明システムを適用させることも可能であるし、博物館等の館内に設置される照明装置や家庭内に設置される屋内照明などに本開示の照明システムを適用させることも可能である。
【0085】
また、無人飛行体や灯具、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 照明システム
10 照明装置
110 ポール(固定部材)
111 永久磁石(磁力発生手段)
120 灯具
121 永久磁石(磁力発生手段)
20 小型飛行体(無人飛行体)
211 永久磁石(磁力発生手段)
60 センサ部
F1 無人飛行体と灯具との間に発生する磁力
F2 灯具と固定部材との間に発生する磁力