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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】引戸装置及びセンサーユニット
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/78 20150101AFI20241108BHJP
【FI】
E05F15/78
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022553833
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2021034286
(87)【国際公開番号】W WO2022070984
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2020167612
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021082157
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】奥村 勝之
(72)【発明者】
【氏名】津守 達啓
(72)【発明者】
【氏名】管藤 駆
(72)【発明者】
【氏名】宮山 一保
(72)【発明者】
【氏名】平井 良治
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-237969(JP,A)
【文献】特開2006-144244(JP,A)
【文献】特開2002-155643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E05B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸パネルと、該引戸パネルを戸幅方向にスライドさせる駆動機構と、該駆動機構を制御する制御部に接続される受信部と、前記引戸パネルの引手位置に設けられ検知対象を非接触式で検知する検知部と、該検知部の検知信号を前記受信部に無線送信する送信部と、を備えており、
前記検知部は、第1センサーと、この第1センサーよりも検知範囲が狭く、前記検知信号を出力する第2センサーと、を備え、該第2センサーは、前記第1センサーが検知対象を検知状態で検知可能なON状態とされる一方、前記第1センサーが検知対象を非検知状態で検知不能なOFF状態とされることを特徴とする引戸装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記引手位置には、前記検知部及び前記送信部の電源となる電池を交換可能に収容する電池収容部が設けられていることを特徴とする引戸装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記検知部、前記送信部及び前記電池収容部は、前記引戸パネルに対して取り付けられるセンサーユニットに設けられていることを特徴とする引戸装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記センサーユニットには、前記引戸パネルの引手となる手掛部が設けられていることを特徴とする引戸装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記センサーユニットには、前記手掛部を構成するように戸厚方向外側に向けて開口する凹部が設けられ、該凹部を区画する面に前記検知部の検知窓が設けられていることを特徴とする引戸装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項において、
前記センサーユニットは、前記引戸パネルの引手に設けられ、該引手は、戸厚方向一方側の手掛部と戸厚方向他方側の手掛部とを一体的に備え、前記引戸パネルに対して着脱自在とされ、前記センサーユニットの前記検知部は、戸厚方向両側のそれぞれに設けられていることを特徴とする引戸装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項において、
戸厚方向外側に向く前記第1センサーの戸厚方向外側に位置するように配され、該第1センサーの検知範囲を斜め下方側とする絞り部を備えていることを特徴とする引戸装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項において、
前記検知部は、戸厚方向両側のそれぞれに設けられていることを特徴とする引戸装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項において、
前記第2センサーの検知範囲は、10mm~80mmであることを特徴とする引戸装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項において、
前記検知部は、前記引戸パネルの引手位置に設けられ戸高方向に長尺なセンサーケース内に設けられ、該センサーケースの表面側には、検知対象を近接させる目印となる目印部と、この目印部の戸高方向一方側に隣接して位置する前記第1センサー及び前記第2センサーのうちの一方の検知窓と、この一方の検知窓の戸高方向一方側に隣接して位置する前記第1センサー及び前記第2センサーのうちの他方の検知窓と、が設けられていることを特徴とする引戸装置。
【請求項11】
引戸パネルと、該引戸パネルを戸幅方向にスライドさせる駆動機構と、該駆動機構を制御する制御部に接続される受信部と、を備えた引戸装置の前記引戸パネルの引手位置に取り付けられるセンサーユニットであって、
検知対象を非接触式で検知する検知部と、該検知部の検知信号を前記受信部に無線送信する送信部と、を備えており、
前記検知部は、第1センサーと、この第1センサーよりも検知範囲が狭く、前記検知信号を出力する第2センサーと、を備え、該第2センサーは、前記第1センサーが検知対象を検知状態で検知可能なON状態とされる一方、前記第1センサーが検知対象を非検知状態で検知不能なOFF状態とされることを特徴とするセンサーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、引戸パネルを備えた引戸装置及び引戸パネルに取り付けられるセンサーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、引戸パネルを戸幅方向にスライドさせる駆動機構を備えたいわゆる自動ドアを構成する引戸装置が知られている。このような自動ドアには、非接触式にて人体等の検知対象を検知して駆動機構を駆動制御するための各種センサー等が設けられる。
例えば、下記特許文献1には、把手部付近を検知範囲とする測距センサを扉体の直上に設けた自動開閉扉装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-186465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された自動開閉扉装置では、測距センサが扉体の直上に組み込まれる。そのため、例えば、高さ寸法が異なる扉体に適用する場合には、誤検知を抑制すべく、検知範囲の異なる測距センサを組み込む必要があるなどの懸念がある。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、誤検知を抑制し得、かつ部品の共通化を図り得る引戸装置及びセンサーユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の本開示に係る引戸装置は、引戸パネルと、該引戸パネルを戸幅方向にスライドさせる駆動機構と、該駆動機構を制御する制御部に接続される受信部と、前記引戸パネルの引手位置に設けられ検知対象を非接触式で検知する検知部と、該検知部の検知信号を前記受信部に無線送信する送信部と、を備えており、前記検知部は、第1センサーと、この第1センサーよりも検知範囲が狭く、前記検知信号を出力する第2センサーと、を備え、該第2センサーは、前記第1センサーが検知対象を検知状態で検知可能なON状態とされる一方、前記第1センサーが検知対象を非検知状態で検知不能なOFF状態とされることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、第1の本開示に係るセンサーユニットは、引戸パネルと、該引戸パネルを戸幅方向にスライドさせる駆動機構と、該駆動機構を制御する制御部に接続される受信部と、を備えた引戸装置の前記引戸パネルの引手位置に取り付けられるセンサーユニットであって、検知対象を非接触式で検知する検知部と、該検知部の検知信号を前記受信部に無線送信する送信部と、を備えており、前記検知部は、第1センサーと、この第1センサーよりも検知範囲が狭く、前記検知信号を出力する第2センサーと、を備え、該第2センサーは、前記第1センサーが検知対象を検知状態で検知可能なON状態とされる一方、前記第1センサーが検知対象を非検知状態で検知不能なOFF状態とされることを特徴とする。このセンサーユニットには、前記検知部及び前記送信部の電源となる電池を交換可能に収容する電池収容部が設けられていてもよい。このセンサーユニットには、前記引戸パネルの引手となる手掛部が設けられていてもよい。
【0008】
第2の本開示は、上記目的に代えて、検知対象を検知する検知部を引手位置に設けながらも、有効開口幅を大きくし得、かつ全開位置において引戸パネルが沿わせられる壁面との隙間を小さくし得る引戸装置を提供することを目的としてもよい。この場合は、第2の本開示に係る引戸装置は、上記手段に代えて、引戸パネルと、該引戸パネルを戸幅方向にスライドさせる駆動機構と、該駆動機構を制御する制御部に接続される受信部と、前記引戸パネルの戸厚方向第1面側及び第2面側のそれぞれにおいて検知対象を検知する第1面側検知部及び第2面側検知部と、これら第1面側検知部及び第2面側検知部の検知信号を前記受信部に無線送信する送信部と、を備えており、前記第1面側検知部及び前記送信部は、前記引戸パネルの引手位置の前記第1面側において戸厚方向に突出するように設けられた第1センサーケース部に設けられ、前記第2面側検知部は、前記引手位置の前記第2面側において表面が該第2面と略同一平面状となるように設けられた第2センサーケース部に設けられていることを特徴としてもよい。この場合は、更に、前記第1センサーケース部と前記第2センサーケース部とは、別体とされ、前記引戸パネルの戸厚方向両側のいずれ側にも取り付け可能とされていてもよい。また、上記いずれかの場合には、前記第1センサーケース部における前記第1面側において戸厚方向に突出する部位が手掛突部を構成し、前記第2センサーケース部には、前記表面において開口する手掛凹部が設けられていてもよい。
【0009】
第3の本開示は、上記目的に代えて、メンテナンス性を向上し得、かつ部品の共通化を図り得る引戸装置を提供することを目的としてもよい。この場合は、第3の本開示に係る引戸装置は、引戸パネルと、該引戸パネルを戸幅方向にスライドさせる駆動機構と、該駆動機構を制御する制御部に接続される受信部と、検知対象を検知する検知部、該検知部の検知信号を前記受信部に無線送信する送信部並びに前記検知部及び前記送信部の電源となる電池を交換可能に収容する電池収容部が設けられたセンサーユニットと、を備えており、前記センサーユニットは、前記引戸パネルの戸先側端部の引手に設けられ、該引戸パネルに対して着脱自在とされていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
第1の本開示に係る引戸装置及びセンサーユニットは、上述のような構成としたことで、誤検知を抑制することができ、部品の共通化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)、(b)は、本開示の一実施形態に係る引戸装置の一例を模式的に示す一部破断概略斜視図である。
図2】(a)、(b)は、同引戸装置の一部を省略した一部破断概略横断面図、(c)は、同引戸装置が備える引戸パネルの一例を模式的に示す一部破断概略側面図、(d)は、同引戸装置が備える受信部(受信ユニット)の一例を模式的に示す概略底面図である。
図3】(a)~(f)は、同引戸装置が備えるセンサーユニットの一例を模式的に示し、(a)は、正面図、(b)は、背面図、(c)は、左側面図、(d)は、右側面図、(e)は、平面図、(f)は、底面図である。
図4】(a)は、同引戸パネルの一部破断概略斜視図、(b)は、同引戸パネルの一部破断概略分解斜視図である。
図5】(a)は、同引戸パネルの一部破断概略斜視図、(b)は、同引戸パネルの一部破断概略分解斜視図である。
図6】(a)、(b)は、同引戸装置の一部を省略した一部破断概略分解斜視図である。
図7】同引戸装置の一部を省略した概略分解斜視図である。
図8】(a)~(c)は、同引戸装置の一部を省略した一部破断概略分解側断面図である。
図9】同引戸装置の概略ブロック図である。
図10】同引戸装置において実行される基本動作の一例を模式的に示す概略フローチャートである。
図11】(a)、(b)は、同引戸装置において実行される基本動作の一例を模式的に示す概略フローチャートである。
図12】(a)~(c)は、本開示の他の実施形態に係る引戸装置の一例を模式的に示し、(a)、(b)は、同引戸装置が備える引戸パネルの一例を模式的に示す一部破断概略斜視図、(c)は、同引戸パネルの一部破断概略縦断面図である。
図13】同引戸装置が備えるセンサーユニットの一例を模式的に示す概略分解斜視図である。
図14】(a)~(f)は、同センサーユニットの一例を模式的に示し、(a)は、正面図、(b)は、背面図、(c)は、左側面図、(d)は、右側面図、(e)は、平面図、(f)は、底面図である。
図15】(a)、(b)は、本開示の更に他の実施形態に係る引戸装置の一例を模式的に示す一部破断概略斜視図である。
図16】(a)、(b)は、同引戸装置の一部を省略した一部破断概略正面図である。
図17】(a)は、同引戸装置が備える引戸パネルの一例を模式的に示す一部破断概略斜視図、(b)は、同引戸パネルの一部破断概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
以下の各実施形態では、各実施形態に係るセンサーユニットの一例が取り付けられた各実施形態に係る引戸装置の一例を施工した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
【0013】
図1図11は、第1実施形態に係るセンサーユニットの一例が取り付けられた引戸装置の一例及び同引戸装置において実行される基本動作の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る引戸装置1は、図8(a)~(c)に示すように、引戸パネル30と、この引戸パネル30を戸幅方向にスライドさせる駆動機構50と、を備えている。このような構成とすれば、駆動機構50を駆動すれば、引戸パネル30を開閉(開放及び閉鎖)方向に移動させることができる。つまり、引戸パネル30を自動ドアとして機能させることができる。
【0014】
この引戸装置1の設置箇所としては、戸建住宅や集合住宅等の一般住宅であってもよく、宿泊施設や医療施設、福祉施設等の公共的な施設や、事務所等の商業施設、各種店舗等、種々の箇所に設置可能である。本実施形態では、図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示すように、一枚の引戸パネル30を片引き状に建て付けた例を示している。図例では、開放位置(全開位置)の引戸パネル30が沿わせられる袖壁4が設けられた設置構造を例示している。つまり、引戸パネル30を袖壁納め状に建て付けた例を示している。以下では、戸厚方向一方側となる袖壁4が設けられた側とは異なる側を室内側とし、戸厚方向他方側となる袖壁4が設けられた側を室外側として説明するが、逆であってもよい。
【0015】
引戸装置1は、図7及び図8に示すように、引戸パネル30の上端側を戸幅方向にガイドする上レール40を備えている。この上レール40と駆動機構50とによって引戸パネル30を開閉する戸開閉装置2を構成してもよい。上レール40は、固定対象としての上枠5に固定される。この上枠5を含む戸枠は、引戸装置1が備えていてもよい。
戸枠は、図1及び図2(a)、(b)に示すように、建物の壁体3に設けられた開口部に設置される。戸枠は、引戸パネル30によって開閉される出入口9の上側を区画する上枠5(上レール40)と、引戸パネル30の戸先側に配される戸先側縦枠6と、引戸パネル30の戸尻側に配される戸尻側縦枠7と、中方立(中間縦枠)8と、を備えている。中方立8は、袖壁4の出入口9側端部に沿うように配され、戸先側縦枠6とによって出入口9の開口幅方向両側を区画する。上枠5は、図例のように垂れ壁の下端部に沿うように設けられた構成に限られず、天井に付設状や埋込状に設けられてもよい。出入口9の下側は、床や適宜の下枠によって区画されてもよい。
【0016】
上枠5は、戸幅方向に長尺状とされている。この上枠5の長さ寸法は、引戸パネル30の戸幅の概ね2倍程度の寸法とされている。この上枠5には、図8に示すように、後記する上レール40に設けられた固定部47の上側部位を受け入れる受入溝5bが設けられている。この上枠5は、まぐさ等の適宜の上枠下地にねじや釘等の固着具によって固定されてもよい。
戸先側縦枠6、戸尻側縦枠7及び中方立8は、戸高方向(上下方向)に長尺状とされている。これら戸先側縦枠6、戸尻側縦枠7及び中方立8の長さ寸法は、引戸パネル30の戸高寸法に、駆動機構50を含む上レール40や上枠5の上下方向に沿う寸法を足し合わせた寸法と概ね同寸法とされている。戸先側縦枠6及び戸尻側縦枠7は、柱等の適宜の縦枠下地に固着具によって固定されてもよい。これら戸先側縦枠6及び戸尻側縦枠7と上枠5とは、三方枠状に組付けられた状態で縦枠下地及び上枠下地に固定されてもよい。図例では、これら戸先側縦枠6及び戸尻側縦枠7の上端部の互いに向き合う見込面を上枠5の長手方向の各端面に突き合わせ、これら戸先側縦枠6及び戸尻側縦枠7と上枠5とを縦勝状に組付けた例を示している。
【0017】
これら戸先側縦枠6及び戸尻側縦枠7の互いに向き合う見込面には、図例では、引戸パネル30の戸幅方向の端部(戸先側端部及び戸尻側端部)を受け入れる戸じゃくり溝が設けられている。
中方立8は、上端部が上枠5に固定され、下端部が床に固定されてもよい。この中方立8の引戸パネル30側の端部には、図例では、引戸パネル30の厚さ方向一方面(第2面)32に擦るように接するモヘア等の隙間遮蔽部材が設けられている。戸枠としては、上記したような構成に限られず、また、引戸パネル30の納め態様に応じて、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0018】
引戸パネル30は、一方向(上下方向)に長尺な略矩形平板状とされている。この引戸パネル30の戸高寸法(長さ寸法)は、当該引戸パネル30によって開閉される出入口9の開口高に応じた寸法であればよく、標準的な戸高寸法、例えば、1800mm~2100mm程度でもよい。引戸パネル30は、戸高寸法が天井高と略同高さ、例えば、2300mm~3000mm程度とされてハイドアを構成してもよい。引戸パネル30の戸厚寸法は、20mm~40mm程度でもよい。引戸パネル30の戸幅寸法は、例えば、500mm~1800mm程度でもよい。引戸パネル30は、室内に設置する場合には、一般的な室内引戸として適用される木質系材料や金属系材料等から形成された枠状芯材を含むパネル芯材に表面材を貼着した構成とされたいわゆるフラッシュパネル等の比較的に軽量なパネルでもよい。引戸パネル30としては、このようなフラッシュパネルに限られず、設置箇所等に応じて適宜の構成とされていてもよい。
【0019】
この引戸パネル30の戸幅方向両側の上端部には、図7及び図8に示すように、上レール40にスライド自在に吊下保持される被ガイド部材43,43が連結されている。つまり、本実施形態では、引戸装置1は、引戸パネル30を上吊型で開閉する構成とされている。引戸パネル30の戸幅方向両側の上端部には、被ガイド部材43,43の被取付部が取り付けられる取付部が設けられている。引戸パネル30の取付部としては、引戸パネル30の戸幅方向両側の上端部のそれぞれに戸幅方向外側及び上方側に向けて開口するように設けられ、被取付部が嵌め込まれる凹所状のカップ部でもよい。
被ガイド部材43,43は、上レール40に設けられたガイド溝41に挿入され、上レール40のガイド片部上を走行する転動体44,44を備えている。図例では、戸厚方向に沿う軸回りに回転する転動体44を、被ガイド部材43のガイド本体の戸厚方向両側のそれぞれに設けた例を示している。これら戸厚方向両側の転動体44,44は、被ガイド部材43のガイド本体の戸幅方向に間隔を空けて複数箇所に設けられていてもよい。
【0020】
これら戸幅方向両側の被ガイド部材43,43のうちの一方側(例えば、戸先側)の被ガイド部材43に駆動機構50が連結されている。つまり、この一方側の被ガイド部材43が駆動機構50によって戸幅方向にスライドされ、駆動機構50に連結されていない他方側の被ガイド部材43が言わば従動的に戸幅方向にスライドされてもよい。
被ガイド部材43,43としては、上記したような構成に限られず、上レール40に応じて適宜の構成とされていてもよい。引戸パネル30の下端部に、床側に設けられるガイドピン等の下端ガイド部材が差し込まれるガイド溝等が設けられていてもよい。
【0021】
上レール40は、引戸パネル30の戸幅方向に長尺状とされ、引戸パネル30の戸幅の概ね2倍の長さとされている。この上レール40の長手方向(レール長手方向)一方側(図例では、戸先側)の第1半部に駆動機構50が固定されていてもよい。この上レール40の長さは、戸幅の2倍よりも小さい寸法とされている。上レール40の長さは、閉鎖位置の引戸パネル30の戸尻側端部と中方立8(袖壁4)との重ね合わせ寸法や全開位置の引戸パネル30の引き残し寸法等に応じて適宜の寸法とすればよい。図2(b)では、引戸パネル30が全開位置において引き残しが形成されない例を示している。つまり、引戸パネル30は、全開位置において、その戸先側端面と中方立8(袖壁4)の出入口9側に向く側面(見込面)とが略同一平面状となる構成とされている。
【0022】
この上レール40には、被ガイド部材43のガイド本体を受け入れるガイド溝41が下向きに開口するように設けられている。ガイド溝41は、上レール40の全長に亘って延びるように設けられている。このガイド溝41に、被ガイド部材43のガイド本体が挿入され、ガイドされる。上レール40は、このガイド溝41の溝底を区画する溝底板状部と、ガイド溝41の溝幅方向両側を区画する両側の側板状部と、これら側板状部の下端部から互いに向き合う方向に延出するガイド片部と、を備えている。この上レール40は、溝底板状部の上面側の溝幅方向(戸厚方向)両側縁部から上方側に向けて突出するように設けられた両側の突片部42,42を備えている。
両側のガイド片部の延出方向先端部には、上方側に向けて突出する突条が上レール40の全長に亘って延びるように設けられている。これらガイド片部の突条に、被ガイド部材43の転動体44,44の外周面に設けられた環状溝が係合し、これらガイド片部の突条に沿って転動体44,44が走行する。
【0023】
上レール40としては、戸厚方向両側に間隔を空けて設けられたそれぞれの転動体44,44が走行するガイド片部を有した構成に限られない。上レール40としては、例えば、被ガイド部材43の戸厚方向一方側のみに設けられた転動体44が引っ掛けられるように保持される一つのガイド片部を備えた構成であってもよく、その他、種々の構成とされていてもよい。
この上レール40には、上枠5に対して上レール40を固定する固定部47が設けられている。この固定部47は、上レール40の溝底板状部から上方側に向けて突出するように設けられている。図例では、上レール40に、長手方向に間隔を空けて複数の固定部47が設けられている。これら複数の固定部47は、上レール40に設けられる駆動機構50の構成部材が設けられていない空きスペースに設けられている。これら固定部47は、後述するように、ねじ等の固着具によって上枠5に対して固定される構成でもよいが、上枠5に設けられた引掛部に引っ掛け保持や仮保持される構成とされていてもよい。
【0024】
駆動機構50は、上記した上レール40に固定されている。このような構成とすれば、駆動機構50を上レール40に一体化した状態で、引戸パネル30が建て付けられる戸枠の上枠5等の固定対象に対して上レール40を固定することができる。
この駆動機構50は、図6図8に示すように、戸幅方向に離間した位置に設けられる従動回転車53,53を備えている。駆動機構50は、これら従動回転車53,53のそれぞれに巻き掛けられ、被ガイド部材43に連結された紐状伝動体52と、この紐状伝動体52に駆動を伝達する駆動部51と、を備えている。このような構成とすれば、駆動部51を駆動すれば、紐状伝動体52に連結された被ガイド部材43が戸幅方向に移動され、引戸パネル30を開閉方向に移動させることができる。
【0025】
駆動部51は、両側の従動回転車53,53の間に位置するように設けられている。この駆動部51は、上レール40の上方側に設けられている。この駆動部51としては、紐状伝動体52が巻き掛けられた駆動回転車を回転させるモータであってもよい。このような構成とすれば、駆動回転車及び駆動部51を戸幅方向一方側端部に設けた構成と比べて、戸幅方向に沿う寸法のコンパクト化を図ることができる。また、駆動回転車及び駆動部51を上レール40の戸厚方向一方側に設けたような構成と比べて、戸厚方向に沿う寸法のコンパクト化を図ることができる。これらにより、住居等の一般的な建物内に設置される引戸装置の戸枠と同程度の戸枠に対して設置することも可能となる。また、例えば、既設の戸枠に対して設置することも可能であり、新築時のみならず、改築や改装時にも適用可能である。これにより、既設の戸建住宅や集合住宅等の一般住宅や、宿泊施設や医療施設、福祉施設等の公共的な施設、事務所等の商業施設、各種店舗等の室内に設置される引戸装置1として好適に用いることができる。また、引戸装置1の駆動機構50は、コンパクトであるため、引戸パネル30を自動ドアとして機能させることが可能でありながらも、室内引戸として設置しても外観上の違和感(ノイズ)を小さくすることができ、室内用として好適に用いることができる。
【0026】
駆動回転車及び両側の従動回転車53,53としては、それぞれの外周面に、ロープ状部材とされた紐状伝動体52が係合する環状溝を設けたプーリであってもよい。これら駆動回転車、両側の従動回転車53,53及び駆動部51は、適宜の固定部材を介して上レール40に対して固定されていてもよい。駆動部51を構成するモータとしては、正逆回転可能で回転数の制御可能なサーボモータ等であってもよい。
紐状伝動体52としては、環状に形成された一部に被ガイド部材43の連結部が固定されていてもよく、または、長手方向両側端部が連結部の戸幅方向両側に連結されて略環状に形成されていてもよい。この紐状伝動体52は、伸長し難い構成とされていればよく、例えば、金属製ワイヤや、適宜の繊維を撚り合わせた撚紐や繊維を組み合わせた組紐等であってもよい。
【0027】
駆動機構50の駆動回転車及び両側の従動回転車53,53は、プーリ(滑車)に限られず、歯車(スプロケット)等であってもよい。紐状伝動体52も、これら駆動回転車及び両側の従動回転車53,53に合わせてロープ状部材とされた構成に限られず、ベルトやボールチェーン、チェーン等であってもよい。上記した例では、両側の従動回転車53,53の間に駆動回転車及び駆動部51を設けた例を示しているが、このような態様に限られない。両側の従動回転車53,53のうちの一方を、紐状伝動体52が巻き掛けられる駆動回転車とし、他方を、従動回転車としてもよい。この場合は、この駆動回転車に回転の伝達が可能となるように適宜の駆動部51を設けた構成としてもよい。駆動機構50としては、このような駆動回転車によって変位される紐状伝動体52を備えた構成に限られない。例えば、駆動部51によって回転されるスクリューによって戸幅方向に変位される連結部を被ガイド部材43に連結したような構成等でもよく、駆動機構50としては、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0028】
引戸装置1は、図9に示すように、この駆動機構50を制御する制御部としての駆動側制御部55を備えている。駆動側制御部55は、詳細には後述するが、第1モードと第2モードとを選択的に実行する。
この駆動側制御部55は、駆動部51に適宜の信号線等を介して接続され、駆動部51を構成するモータの回転を制御する。この駆動側制御部55によって駆動部51が制御されて正回転または逆回転され、引戸パネル30が全開位置または閉鎖位置に移動される。この駆動側制御部55は、CPU等の制御回路や、後記する基本動作の一例を含むプログラム等を記憶するROMやRAM等の各種のメモリー(記憶部)等を含むマイコン(MCU)等であってもよい。この駆動側制御部55は、図7に示すように、駆動部51の戸幅方向一方側に位置するように上レール40に設けられた制御ブロック54に設けられている。この制御ブロック54には、駆動部51に駆動電源を供給する電源部等が設けられている。図例では、制御ブロック54は、戸幅方向に長尺な略四角柱状とされている。
【0029】
引戸装置1は、図9に示すように、引戸パネル30の位置を検知する位置検知部56を備えている。この位置検知部56としては、少なくとも引戸パネル30の閉鎖位置及び全開位置を検知可能な構成であってもよく、また、引戸パネル30の絶対位置を検知可能な構成とされていてもよい。例えば、位置検知部56は、紐状伝動体52によって回転されて可変抵抗器を回転させる検知回転車を有した構成とされていてもよい。このような構成とすれば、可変抵抗器の抵抗値(電圧)によって引戸パネル30の絶対位置を検知することができる。この位置検知部56は、駆動側制御部55に信号線等を介して接続されている。この位置検知部56による引戸パネル30の位置情報や移動方向(閉鎖側または開放側)情報に応じて駆動部51が制御され、引戸パネル30が開閉方向に移動される。この位置検知部56は、例えば、一方の従動回転車53と制御ブロック54との間に位置するように上レール40に設けられていてもよい(図16参照)。
【0030】
引戸装置1は、駆動側制御部55に接続される受信部35と、引戸パネル30をスライドさせるための操作を受け付ける操作部を構成し、検知対象を検知する検知部16,26と、を備えている。引戸装置1は、検知部16,26の検知信号(操作信号)を受信部35に無線送信する送信部19を備えている。このような構成とすれば、検知部16,26の検知信号を無線によって駆動側制御部55に接続される受信部35に送信することができ、検知部16,26と駆動機構50とを接続する配線等が不要となる。操作部を構成する検知部16,26に手等の検知対象を近づけることで、駆動機構50が制御され、引戸パネル30を開閉方向に移動させることができる。つまり、開閉釦等を操作することなく非接触式によって引戸パネル30を開閉方向に移動させることができ、利便性を向上させることができ、また、衛生面においても良好なものとなる。送信部19は、戸厚方向で一方側に位置するように設けられている。検知部16,26及び送信部19の具体的構成の一例については、後述する。
【0031】
受信部35は、信号線等を介して駆動側制御部55に接続されている。この受信部35は、上レール40に取り付けられる受信ユニット34に設けられている。このような構成とすれば、例えば、受信ユニット34が壁体3の適所に設けられる構成と比べて、上レール40に設けられた駆動側制御部55や電源部等と受信ユニット34の各種機器とを接続する配線を容易に行うことができる。上記した上レール40には、図6(a)、(b)に示すように、当該上レール40の戸厚方向両側のいずれ側にも選択的に受信部を構成する受信ユニット34を取り付け可能とされ受信ユニット34を保持する保持部45が設けられている。このような構成とすれば、後記する送信部19が戸厚方向でいずれ側に設けられていても対応可能となる。つまり、上レール40の戸厚方向で、送信部19が設けられた側に受信ユニット34を取り付けることができる。これにより、設置箇所に応じて戸厚方向一方側に受信ユニット34を設けた上レール40と戸厚方向他方側に受信ユニット34を設けた上レール40とを別部品として用意する必要がなく、上レール40及び受信ユニット34を共通部品とすることができる。
【0032】
受信ユニット34及び保持部45のうちの一方には、他方に設けられた係止突部38を受け入れる係止凹部46が設けられている。このような構成とすれば、一方の係止凹部46に他方の係止突部38を差し込んで係止させることで保持部45に対して受信ユニット34を取り付けることができる。これにより、例えば、ねじ等によって保持部45に対して受信ユニット34を取り付ける必要がある構成と比べて、組付性を向上させることができる。
係止突部38及び係止凹部46は、保持部45に対して上方側から取り付けられた受信ユニット34の下方側及び水平方向への移動を抑止するように互いに係止する構成とされている。このような構成とすれば、上レール40の保持部45に対して上方側から引っ掛けるようにして受信ユニット34を容易に取り付けることができる。また、係止突部38を係止凹部46に係止させることで保持部45に対する受信ユニット34の下方側及び水平方向への移動が抑止されるので、受信ユニット34を取り付けた状態で上レール40を固定対象としての上枠5に固定することができる。
【0033】
係止突部38は、受信ユニット34に設けられ、係止凹部46は、保持部45の戸厚方向両側に設けられている。例えば、保持部45の戸厚方向両側に係止突部38を設けた構成とすれば、受信ユニット34を取り付けない側において係止突部38が邪魔になる懸念があるが、上記構成とすれば、このような懸念がない。
受信ユニット34は、図8(c)に示すように、保持部45に取り付けられ、かつ上レール40が固定対象としての上枠5に固定された状態で、その上面34aが上枠5の下面5aに当接または近接対面される。このような構成とすれば、上記のように互いの係止突部38及び係止凹部46を係止させて受信ユニット34を保持部45に取り付けた状態で、上レール40を上枠5に固定すれば、受信ユニット34の上面34aが上枠5の下面5aに当接または近接対面される。これにより、上枠5の下面5a及び係止凹部46と係止突部38との互いの係止によって受信ユニット34の移動が抑制され、受信ユニット34の意図しない脱離を抑制することができる。上枠5の下面5aに対して受信ユニット34の上面34aを近接させる際における下面5aと上面34aとの間の寸法は、係止凹部46と係止突部38との係止の解除がなされないように適宜の寸法としてもよい。
【0034】
具体的には、保持部45は、図6及び図7に示すように、上レール40の長手方向一方側端部に設けられている。この保持部45は、上レール40の溝底板状部から上方側に向けて突出するように設けられている。この保持部45は、上レール40に一体的に設けられていてもよく、または別体的に設けられ、適宜の固着具等によって上レール40に対して固定されていてもよい。図例では、保持部45は、概ね直方体形状とされ、上レール40の両側の突片部42,42間に嵌め込まれるようにして上レール40に固定されている。この保持部45は、そのレール長手方向一方側面が上レール40の長手方向一方側端面と略同一平面状となるように上レール40の長手方向一方側端部に設けられている。この保持部45の上下方向に沿う寸法は、上レール40が上枠5に固定された状態で、上枠5に干渉しないように適宜の寸法とされていてもよい。図例では、保持部45の上下方向に沿う寸法は、上枠5の受入溝5bに上端部が受け入れられる固定部47の上下方向に沿う寸法よりも小さい寸法とされている。
【0035】
保持部45には、係止凹部46として戸厚方向一方側の第1係止凹部46Aと戸厚方向他方側の第2係止凹部46Bとが設けられている。つまり、保持部45には、その戸厚方向一方側に受信ユニット34を取り付ける際に係止突部38が係止される第1係止凹部46Aと、その戸厚方向他方側に受信ユニット34を取り付ける際に係止突部38が係止される第2係止凹部46Bと、が設けられている。
これら第1係止凹部46Aと第2係止凹部46Bとは、レール幅方向(戸厚方向)に見て互いに一致した位置となるように設けられている。本実施形態では、保持部45の戸厚方向両側のそれぞれに、レール長手方向に間隔を空けて複数(図例では、2つ)の第1係止凹部46A及び第2係止凹部46Bが設けられている。これら第1係止凹部46A及び第2係止凹部46Bは、互いに同様の構成であるので、以下では一つを例にとって係止凹部46として説明する。
【0036】
この係止凹部46は、保持部45の戸厚方向外側部位において上方側及び戸厚方向外側に向けて開口するように設けられている。この係止凹部46は、上下方向に延びるように設けられている。この係止凹部46の戸厚方向外側の幅方向(レール長手方向)両側開口縁部には、後記する係止突部38の大径部の抜止となる抜止壁部が開口幅を小さくするように形成されている。この係止凹部46の上下方向に沿う寸法や、戸厚方向に沿う深さ寸法、両側の抜止壁部間の幅寸法等は、係止突部38の受け入れが可能で、かつ受け入れた係止突部38の下方側及び水平方向への保持部45に対する移動を抑止可能なように適宜の寸法とされている。
【0037】
受信ユニット34は、上レール40の戸厚方向一方側及び戸厚方向他方側のうちの一方の側面に沿うように保持部45に対して取り付けられる。この受信ユニット34は、概ね直方体形状とされている。この受信ユニット34は、図例では、そのレール長手方向一方側面が上レール40の長手方向一方側端面と略同一平面状となるように、かつ、その下面が上レール40の下面と略同一平面状となるように、保持部45に取り付けられる。この受信ユニット34の上レール40側には、戸厚方向に沿って突出するように係止突部38が設けられている。本実施形態では、受信ユニット34には、レール長手方向の複数箇所に設けられた係止凹部46,46のそれぞれに係止する複数(図例では、2つ)の係止突部38,38がレール長手方向に間隔を空けて設けられている。これら係止突部38,38は、レール長手方向に沿う寸法が保持部45よりも大とされた受信ユニット34のレール長手方向中央部とレール長手方向一方側端部とに位置するように設けられている。これら係止突部38,38の突出方向先端部には、基端側部位よりも大径状の大径部が設けられている。
【0038】
図例では、これら係止突部38,38は、受信ユニット34に設けられた雌ねじ部39にねじ合わされる雄ねじとされ、そのねじ頭部が大径部とされている。図例では、受信ユニット34に、レール長手方向に間隔を空けて3つの雌ねじ部39が設けられ、保持部45に対する取付側に応じて、これらのうちの2つに選択的にねじ合わされる係止突部38,38が設けられている。つまり、受信ユニット34が保持部45に対して図例とは逆側に取り付けられる場合には、レール長手方向一方側の雌ねじ部39にねじ合わされた係止突部38を取り外してレール長手方向他方側の雌ねじ部39にねじ合わせた構成としてもよい。
【0039】
受信ユニット34及び保持部45のうちの一方に、他方に設けられた接続端子が差し込まれる差込口が設けられていてもよい。例えば、保持部45に、駆動側制御部55や電源部等に電気的に接続され、戸厚方向両側のいずれ側にも導出可能なコードを介して接続端子が設けられ、受信ユニット34に、この接続端子が差し込まれる差込口が設けられていてもよい。この差込口に接続端子を差し込むことで、駆動側制御部55や電源部等と受信部35を含む各種機器との電気的な接続がなされる構成でもよい。接続端子の余剰コードは、受信ユニット34や保持部45内の空きスペースに押し込まれて収容可能とされていてもよい。
受信ユニット34の係止突部38及びこれが係止される保持部45の係止凹部46としては、上記したような例に限られず、その他、種々の構成とされていてもよい。上記した例では、係止突部38が受信ユニット34に設けられ、係止凹部46が保持部45に設けられた例を示しているが、これらが逆側に設けられていてもよい。つまり、係止突部38が保持部45に設けられ、係止凹部46が受信ユニット34に設けられていてもよい。
【0040】
受信ユニット34に設けられた受信部35は、送信部19から送信された信号の受信が可能なように設けられている。これら送信部19及び受信部35は、引戸パネル30の戸高寸法が異なる場合にも対応可能なように適宜の構成とされている。これら送信部19及び受信部35としては、赤外線通信を送受可能な構成とされていてもよい。この場合は、送信部19に、赤外線LED等の赤外線を照射する適宜の発光部が設けられ、受信部35に、赤外線を受光する適宜の受光部が設けられていてもよい。この場合には、受信ユニット34の下面側に、送信部19からの赤外線を透過させる光学フィルタ等の適宜の透過部が設けられていてもよい。送信部19及び受信部35としては、その他、種々の無線通信方式を用いた構成であってもよい。
【0041】
図2(d)及び図9に示すように、この受信ユニット34に、後記する第1モードと第2モードとを切り替えるモード切替操作部36が設けられている。このような構成とすれば、モード切替操作部36を目立ち難くすることができ、また、意図しない切替操作がなされるようなことを抑制することができる。
図例では、モード切替操作部36は、受信ユニット34の下面側においてスライド操作されるスライドスイッチとされているが、このような構成に限られない。
この受信ユニット34に、後記する第1モードにおいて引戸パネル30を開放位置(全開位置)に維持する所定の設定時間を変更する設定時間変更操作部37が設けられている。このような構成とすれば、第1モードにおいて開放位置に維持しておきたい時間を変更することができる。図例では、受信ユニット34の下面側に設けられた複数のディップスイッチのうちの一つが設定時間変更操作部37とされているが、このような構成に限られない。
【0042】
受信ユニット34に、引戸パネル30の開閉速度を変更する速度変更操作部や、他の引戸装置1の送信部19との通信干渉を抑制するためにチャンネルを切り替えるチャンネル切替操作部等が設けられていてもよい。受信ユニット34に、作動状態を表示する表示部としてLED等の発光部が設けられていてもよい。受信ユニット34に、作動を報知する報知部としてブザー等の発音部が設けられていてもよい。
上記した例では、上レール40に取り付けられる受信ユニット34に、モード切替操作部36や設定時間変更操作部37等を設けた例を示しているが、これらのうちの全てまたはいずれかが、壁体3の適所や後記するセンサーユニット10に設けられていてもよい。また、上記した例では、受信ユニット34が上レール40に取り付けられる例を示しているが、後記するカバー48に取り付けられる構成でもよい。
【0043】
引戸装置1は、図1及び図8に示すように、上枠5と上レール40との間を覆うように上レール40の戸厚方向両側に設けられるカバー48,48を備えている。このような構成とすれば、上レール40の上方側に設けられる駆動機構50等を目立ち難くすることができる。これらカバー48,48は、上枠5と上レール40との間に加えて、上レール40の戸厚方向外側面を覆うように設けられている。これらカバー48,48は、レール長手方向に長尺な幕板状とされている。戸厚方向一方側となる袖壁4とは異なる側(室内側)に設けられるカバー48は、図1(a)に示すように、戸尻側縦枠7と受信ユニット34との間のレール長手方向に沿う寸法に応じた長さとされている。戸厚方向他方側となる袖壁4側(室外側)に設けられるカバー48は、図1(b)に示すように、戸先側縦枠6と中方立8との間のレール長手方向に沿う寸法に応じた長さとされている。
【0044】
これらカバー48,48には、図8に示すように、上レール40の被係止部としての突片部42,42に係止する係止部49,49が設けられている。これら係止部49,49と上レール40の突片部42,42とは、上レール40に対して取り付けられたカバー48,48の下方側及び戸厚方向への移動を抑止するように互いに係止する構成とされている。これら係止部49,49は、各カバー48,48の上レール40側に向く面の上下方向途中部位から戸厚方向中心(上レール40)側に向けて突出するように設けられ、突出方向先端部に下方側に向けて突出する突部を設けた構成とされている。これらカバー48,48は、上レール40に取り付けられ、かつ上レール40が上枠5に固定された状態で、それぞれの上端面48a,48aが上枠5の下面5aに当接または近接対面される。このような構成とすれば、係止部49,49を突片部42,42に係止させて各カバー48,48を上レール40に取り付けた状態で、上レール40を上枠5に固定すれば、各カバー48,48の上端面48a,48aが上枠5の下面5aに当接または近接対面される。これにより、上枠5の下面5a及び係止部49,49と突片部42,42との互いの係止によってカバー48,48の移動が抑制され、カバー48,48の意図しない脱離を抑制することができる。上枠5の下面5aに対して各カバー48,48の上端面48a,48aを近接させる際における下面5aと上端面48a,48aとの間の寸法は、係止部49,49と突片部42,42との係止の解除がなされないように適宜の寸法としてもよい。
【0045】
これらカバー48,48の下端部には、上レール40の両側の側板状部の下端部に係合する係合突部48b,48bが設けられている。これら係合突部48b,48bは、各カバー48,48の下端部から戸厚方向中心(上レール40)側に向けて突出するように設けられている。これら係合突部48b,48bは、各カバー48,48が上レール40に取り付けられた状態で、各側板状部の下端部に近接される。これにより、突片部42,42に対する係止部49,49の係止解除が抑制される。これらカバー48,48は、弾性変形を伴って上レール40に取り付けられてもよい。これらカバー48,48は、例えば、合成樹脂成形品であってもよい。上枠5と上レール40との間を覆うカバー48,48としては、上記したような構成に限られず、また、適宜の接着剤や固着具等によって上レール40に固定される構成でもよく、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0046】
上記した上レール40は、図7に示すように、駆動機構50が組付けられ、保持部45の戸厚方向一方側に受信ユニット34が取り付けられた状態で、開口部に設置された戸枠の上枠5に対して固定するようにしてもよい。この際、図8(a)、(b)に示すように、固定部47をねじ等の固着具によって、または上枠5側に設けられた引掛部等に引っ掛け、上レール40を上枠5に対して仮保持させた状態で、戸厚方向両側のカバー48,48を上レール40に取り付けるようにしてもよい。つまり、固定部47の上面と受入溝5bの溝底との間に隙間が形成された上レール40の仮保持状態で、各カバー48,48を上レール40に取り付けるようにしてもよい。そして、図8(c)に示すように、固定部47を上枠5に固定する固着具を締め付けて本固定するようにしてもよい。これにより、受信ユニット34の上面34a及び各カバー48,48の上端面48a,48aが上枠5の下面5aに当接または近接対面され、これら受信ユニット34及び各カバー48,48の上レール40に対する脱離が抑制される。
【0047】
検知部16,26は、引戸パネル30の引手位置に設けられている。このような構成とすれば、引戸パネル30を開閉方向に移動させたい場合に、検知部16,26に手をかざし易く、また、戸高寸法が異なる引戸パネル30に組み込む場合にも、別部品を組み込む必要がなく、部品の共通化を図ることができる。また、例えば、出入口9周囲の壁体3等に操作部を構成する検知部16,26を設けた構成と比べて、施工性を向上させることもできる。
本実施形態では、図9に示すように、検知部16,26は、第1センサー17,27と、第1センサー17,27よりも検知範囲が狭く、かつ検知信号を出力する第2センサー18,28と、を備えている。第2センサー18,28は、第1センサー17,27が検知対象を検知状態で作動される構成とされている。このような構成とすれば、比較的に検知範囲の広い第1センサー17,27が検知対象を検知し、かつ第2センサー18,28が検知対象を検知すれば、検知信号が出力されることとなるので、誤検知や意図しない開閉を生じ難くすることができる。つまり、詳細には後述するが、第1センサー17,27が検知対象を検知した状態で、検知部16,26に手指等を近づければ、第2センサー18,28が検知して引戸パネル30が開閉方向に移動される。一方、第1センサー17,27が検知対象を検知しても検知部16,26に手指等を近づけなければ、第2センサー18,28が検知することなく、引戸パネル30の開閉がなされない。また、第1センサー17,27が検知対象を検知状態で第2センサー18,28が作動されるので、上記のような誤検知等を抑制しながらも、省電力化を図ることができる。
本実施形態では、これら第1センサー17,27及び第2センサー18,28を含む検知部16,26及び送信部19は、引戸パネル30の引手位置に取り付けられるセンサーユニット10に設けられている。
【0048】
引戸パネル30の引手位置には、図4(b)に示すように、検知部16,26及び送信部19の電源となる電池29を交換可能に収容する電池収容部13が設けられている。このような構成とすれば、例えば、引戸パネル30外から電源を供給したり、引手位置から離れた位置に電池収容部13を設けたりしたものと比べて、配線等が容易となり、また、電池交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。本実施形態では、この電池収容部13は、センサーユニット10に設けられている。このセンサーユニット10には、詳細には後述するが、引戸パネル30の引手となる手掛部(手掛突部12及び手掛凹部23)が設けられている。
検知部16,26は、戸厚方向両側のそれぞれに設けられている。このような構成とすれば、戸厚方向両側の引手位置のそれぞれに設けられた検知部16,26に手等の検知対象を近づけることで、引戸パネル30を戸幅方向にスライドさせることができる。検知部16,26は、引戸パネル30の戸厚方向両面のうちの一方の第1面31側において検知対象を検知する第1面側検知部としての室内側検知部16と、他方の第2面32側において検知対象を検知する第2面側検知部としての室外側検知部26と、を備えている。
【0049】
室内側検知部16及び送信部19は、引手位置の第1面31側において戸厚方向に突出するように設けられた第1センサーケース部11側に設けられている。室外側検知部26は、引手位置の第2面32側において表面21aが第2面32と略同一平面状となるように設けられた第2センサーケース部21側に設けられている。このような構成とすれば、有効開口幅を大きくすることができ、また、壁面(本実施形態では、袖壁4)との隙間を小さくすることができる。つまり、第2センサーケース部21側となる第2面32を壁面に対面させるように引戸パネル30を建て付けることで、引き残しを設けたり、引戸パネル30と壁面との隙間を大きくしたりする必要がない。また、送信部19が戸厚方向に突出した第1センサーケース部11側に設けられているので、受信部35との間で通信障害が生じるようなことを抑制することができる。
【0050】
第1センサーケース部11と第2センサーケース部21とは、図4(b)及び図5(b)に示すように、別体とされ、引戸パネル30の戸厚方向両側のいずれ側にも取り付け可能とされている。このような構成とすれば、引戸パネル30が右引き及び左引き(左右引き仕様)のいずれで建て付けられるかに応じて非突出側となる第2センサーケース部21が壁面側に向くように第1センサーケース部11及び第2センサーケース部21を引戸パネル30に取り付けることができる。つまり、第1センサーケース部11及び第2センサーケース部21を引戸パネル30の左右引き仕様に関わらず、共通部品とすることができる。
第1センサーケース部11における第1面31側において戸厚方向に突出する部位が手掛部としての手掛突部12を構成し、第2センサーケース部21に、表面21aにおいて開口する手掛部としての手掛凹部23が設けられている。このような構成とすれば、引戸パネル30を手動で開閉させる際には、第1センサーケース部11の手掛突部12または第2センサーケース部21の手掛凹部23に手を掛けて引戸パネル30を開閉することができる。
【0051】
第1センサーケース部11及び第2センサーケース部21のうちの一方に、電池収容部13と、この電池収容部13を開閉する蓋体14と、が設けられている。このような構成とすれば、蓋体14を開放させることで、電池交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。第1センサーケース部11及び第2センサーケース部21とは別の引手位置に電池収容部13が設けられた構成と比べて、配線等がより容易となる。本実施形態では、電池収容部13及び蓋体14は、第1センサーケース部11側に設けられている。このような構成とすれば、誤作動防止の観点やメンテナンス等の観点から受信部35が設けられる側(室内側)となる第1センサーケース部11側に、電池収容部13及び蓋体14が設けられることとなる。これにより、室内側において電池交換等のメンテナンスを容易に行うことができ、また、意図しない電池の取り外し等が室外側においてなされることを抑制することができる。
【0052】
これら第1センサーケース部11及び第2センサーケース部21は、戸高方向に長尺状とされている。これら第1センサーケース部11及び第2センサーケース部21の表面11a,21a側には、検知対象を近接させる目印となる目印部11d,21dが設けられている。これら第1センサーケース部11及び第2センサーケース部21の表面11a,21a側には、目印部11d,21dの戸高方向一方側に隣接して位置する第1センサー17,27及び第2センサー18,28のうちの一方の検知窓(第2検知窓)11c,21cが設けられている。これら第1センサーケース部11及び第2センサーケース部21の表面11a,21a側には、この一方の第2検知窓11c,21cの戸高方向一方側に隣接して位置する第1センサー17,27及び第2センサー18,28のうちの他方の検知窓(第1検知窓)11b,21bが設けられている。このような構成とすれば、使用者に手等を近づける箇所を認識させ易くなり、また、近づけられた手等を、その目印部11d,21dに隣接して設けられた第2センサー18,28によって効果的に検知することができる。また、第1センサー17,27の第1検知窓11b,21bが第2センサー18,28の第2検知窓11c,21cの戸高方向に隣接した位置に設けられているので、上記のような目印部11d,21dを設けながらも機能部品の集約化を図ることができる。
【0053】
具体的には、これら第1センサーケース部11と第2センサーケース部21とは、図3図5に示すように、ユニット化されたセンサーユニット10を構成する。このような構成とすれば、センサーユニット10外部から電源を供給するための配線等を不要にすることができる。
これら第1センサーケース部11と第2センサーケース部21とは、引戸パネル30の引手位置に戸厚方向に貫通して設けられた取付孔33に互いの挿入部を挿入させてねじ等の固着具によって組み付けられて一体化される。この取付孔33は、センサーユニット10の高さ位置が手掛し易い高さ位置となるように引戸パネル30の戸先側端部の適宜の高さ位置に設けられている。
センサーユニット10は、図3に示すように、これら第1センサーケース部11及び第2センサーケース部21が互いに組み付けられた状態で、概ね直方体状とされている。これら第1センサーケース部11及び第2センサーケース部21の戸高方向(上下方向)に沿う長さ寸法及び戸幅方向に沿う幅寸法は、互いに略同寸法とされている。
【0054】
第1センサーケース部11の手掛突部12は、図2(c)及び図3(c)~(f)に示すように、取付孔33の戸高方向に沿う寸法及び戸幅方向に沿う寸法よりも大とされ、取付孔33の開口周縁部を全周に亘って覆うように形成された鍔状部を含んでいる。この手掛突部12は、第1センサーケース部11の戸高方向の一部や戸幅方向の一部に設けられていてもよいが、図例では、第1センサーケース部11の戸高方向及び戸幅方向の全体に亘って第1面31から一様に突出した部位によって構成されている。この手掛突部12の第1面31からの突出寸法は、手掛性の観点や見栄上の観点等から適宜の寸法としてもよい。この手掛突部12の第1面31からの突出寸法は、例えば、5mm~20mm程度であってもよく、好ましくは、10mm以下であってもよい。
【0055】
この第1センサーケース部11の電池収容部13は、図4(b)に示すように、第1センサーケース部11の表面11aにおいて戸厚方向外側に向けて開口するように設けられている。図例では、電池収容部13は、複数本(図例では、4本)の円筒型の電池(一次電池)29を収容する構成とされている。電池収容部13に収容される電池29としては、円筒型のものに限られず、平形6層電池やいわゆるボタン型電池等であってもよい。この電池収容部13の底部に、第2センサーケース部21に設けられた雌ねじ部にねじ合わされるねじ等の固着具が挿通される挿通孔が設けられている。第1センサーケース部11と第2センサーケース部21とは、互いの挿入部を取付孔33に挿入して突き合わせた状態で、電池収容部13の底部の挿通孔を介して第2センサーケース部21の雌ねじ部に固着具をねじ合わせて引戸パネル30に取り付けられてもよい。
蓋体14は、電池収容部13の開口に嵌め込まれるように、第1センサーケース部11に着脱自在に取り付けられる構成とされている。この蓋体14は、第1センサーケース部11に取り付けられた状態で、その表面が第1センサーケース部11の表面11aを構成するように、表面11aと略同一平面状となる構成とされている。
【0056】
この蓋体14は、第2センサーケース部21側からねじ込まれるねじ等の固着具によって第1センサーケース部11に対して取り付けられる構成とされている。このような構成とすれば、蓋体14の取り外し及び電池29の取り外しの両方が第1センサーケース部11側において可能とされた構成と比べて、意図しない電池29の取り外しを抑制することができる。
この蓋体14の長手方向第1端部(図例では、上端部)には、電池収容部13の内壁に設けられた被係合部としての係合凹部に係合する(嵌め込まれる)係合部としての係合突起が設けられている。この蓋体14の長手方向第2端部(図例では、下端部)の裏面側(第2センサーケース部21側)には、図5(b)に示すように、第2センサーケース部21側からねじ込まれる固着具がねじ合わされる雌ねじ部が設けられている。この蓋体14は、上端部の係合突起を電池収容部13の係合凹部に嵌め込み、下端部の雌ねじ部に第2センサーケース部21側から固着具をねじ合わせることで第1センサーケース部11に対して取り付けられる。蓋体14は、第2センサーケース部21側から蓋体14の下端部の雌ねじ部にねじ合わされた固着具を取り外し、上端部の係合突起を電池収容部13の係合凹部から脱離させることで第1センサーケース部11から取り外し可能とされている。
【0057】
蓋体14の取付態様としては、上記したような構成に限られず、その他、種々の構成とされていてもよい。また、蓋体14は、電池29を交換可能なように電池収容部13の開口を開閉可能な構成であればよく、第1センサーケース部11に対して着脱自在とされた構成に限られず、一端部を支点として回転自在に第1センサーケース部11に対して連結されていてもよい。
第1センサーケース部11の表面11a側の目印部11dは、図4に示すように、この蓋体14の表面側に設けられている。この目印部11dとしては、「手をかざす」などの文字や、手指の絵柄等でもよく、ピクトグラムであってもよい。
第1センサーケース部11の表面11a側の第2検知窓11cは、この目印部11dの戸高方向一方側としての上方側に位置するように設けられている。この第2検知窓11cの裏側(第2センサーケース部21側)に位置するように、第1センサーケース部11の第2センサー(室内側第2センサー)18が設けられている。
【0058】
第1センサーケース部11の表面11a側の第1検知窓11bは、第2検知窓11cの戸高方向一方側としての上方側に位置するように設けられている。この第1検知窓11bの裏側(第2センサーケース部21側)に位置するように、第1センサーケース部11の第1センサー(室内側第1センサー)17が設けられている。
これら第1検知窓11b及び第2検知窓11cは、第1センサーケース部11の上端側部位において戸高方向に間隔を空けて設けられている。これら第1検知窓11b及び第2検知窓11cは、室内側第1センサー17及び室内側第2センサー18の発信部(発光部)や受信部(受光部)等を少なくとも露出させるように貫通孔状に設けられていてもよく、透過性を有した透過部であってもよい。
第1センサーケース部11の表面11a側には、電池29寿命(電池29の交換)の目安を示す電池交換報知部としてのランプ等の点灯を透過させる点灯窓11eが設けられている。図例では、点灯窓11eは、第2検知窓11cの戸幅方向一方側に隣接した位置に設けられている。
【0059】
第1センサーケース部11には、送信部19の信号(赤外線)を透過させる光学フィルタ等の適宜の透過部15が設けられている。図例では、透過部15は、第1センサーケース部11の手掛突部12の上端面を構成するように設けられている。この透過部15の裏面側(下方側)には、送信部19を構成する赤外線LED等の発光部が設けられている(図12(c)参照)。この送信部19は、引戸パネル30が閉鎖位置において概ね直上に位置し、全開位置において斜め上方側に位置する受信ユニット34の受信部35に向けて検知信号を送信可能なように適宜の構成とされていてもよい。
【0060】
第2センサーケース部21は、図2(c)及び図5(a)に示すように、本実施形態では、その表面21aが引戸パネル30の第2面32よりも僅かに戸厚方向外側に位置する構成とされている。この第2センサーケース部21の表面21aと引戸パネル30の第2面32とが略同一平面状とは、完全に同一平面に加えて、これらの間に3mm以下程度の段差がある構成も含む。第2センサーケース部21の表面21aと第2面32との段差は、袖壁4(中方立8)との干渉を抑制する観点等から、好ましくは、2mm以下であってもよい。図例では、第2センサーケース部21に、取付孔33の開口周縁部を全周に亘って覆うように形成された鍔状部22が設けられ、この鍔状部22の厚さ寸法が第2センサーケース部21の表面21aと第2面32との段差を構成する例を示している。このような態様に代えて、取付孔33の開口周縁部に鍔状部22を受け入れる凹段部が全周に亘って設けられていてもよい。
【0061】
第2センサーケース部21の手掛凹部23は、図5に示すように、第2センサーケース部21の表面21aにおいて戸厚方向外側に向けて開口するように設けられている。この手掛凹部23は、第2センサーケース部21の下端部に位置するように設けられている。この手掛凹部23の底側において開口するように、上記した蓋体14の下端部の雌ねじ部にねじ合わされる固着具が挿通される挿通孔が設けられている。このような構成とすれば、蓋体14を固定する固着具を目立ち難くすることができる。
この手掛凹部23の戸厚方向に沿う深さ寸法や、戸高方向及び戸幅方向に沿う寸法は、手掛が可能なように適宜の寸法としてもよい。手掛凹部23の戸高方向及び戸幅方向に沿う寸法は、1本または数本の手指の挿入が可能な寸法でもよい。この手掛凹部23の深さ寸法は、5mm~20mm程度であってもよい。
【0062】
第2センサーケース部21の表面21a側の目印部21dは、図5に示すように、この手掛凹部23の戸高方向一方側となる上方側に位置するように設けられている。この目印部21dは、上記した目印部11dと同様な構成とされていてもよい。これら目印部11d,21dは、互いに略同高さに位置するように設けられていてもよい。
第2センサーケース部21の表面21a側の第2検知窓21cは、この目印部21dの戸高方向一方側としての上方側に位置するように設けられている。この第2検知窓21cの裏側(第1センサーケース部11側)に位置するように、第2センサーケース部21の第2センサー(室外側第2センサー)28が設けられている。
【0063】
第2センサーケース部21の表面21a側の第1検知窓21bは、第2検知窓21cの戸高方向一方側としての上方側に位置するように設けられている。この第1検知窓21bの裏側(第1センサーケース部11側)に位置するように、第2センサーケース部21の第1センサー(室外側第1センサー)27が設けられている。
これら第1検知窓21b及び第2検知窓21cは、第2センサーケース部21の上端側部位において戸高方向に間隔を空けて設けられている。これら第1検知窓21b及び第2検知窓21cは、上記同様、室外側第1センサー27及び室外側第2センサー28の発信部(発光部)や受信部(受光部)等を少なくとも露出させるように貫通孔状に設けられていてもよく、透過性を有した透過部であってもよい。これら第1検知窓21b及び第2検知窓21cは、図3(a)、(b)に示すように、第1センサーケース部11の第1検知窓11b及び第2検知窓11cのそれぞれと互いに略同高さに位置するように設けられていてもよい。
【0064】
第1センサーケース部11及び第2センサーケース部21の第1センサー17,27は、互いに同様の構成とされ、比較的に検知範囲が広い構成とされている。このような第1センサー17,27としては、熱(遠赤外線)の変化を検知する焦電型赤外線センサー等の人感センサーであってもよい。この第1センサー17,27の検知範囲としては、水平方向及び垂直方向のそれぞれに広がり角が30度以上の領域で、検知距離が1m以上、10m以下程度、好ましくは5m以下程度とされていてもよい。
第1センサーケース部11及び第2センサーケース部21の第2センサー18,28は、比較的に検知範囲が狭い構成とされている。このような第2センサー18,28としては、発光部と受光部とが一体化された反射型の赤外線測距センサー等の測距センサーであってもよい。この第2センサー18,28の検知範囲としては、戸厚方向に沿う概ね直線の領域で、検知距離が10mm以上、500mm以下程度、好ましくは300mm以下程度とされていてもよく、より好ましくは、80mm以下であってもよい。このような構成とすれば、比較的に近接した範囲内の手等の検知対象を検知することができ、意図しない開閉を生じ難くすることができる。これら第1センサー17,27及び第2センサー18,28としては、上記したような構成に限られず、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0065】
センサーユニット10には、図9に示すように、上記した送信部19や、室内側検知部16、室外側検知部26、電池交換報知部等に信号線等を介して接続されたセンサー側制御部20が設けられている。このセンサー側制御部20は、上記同様なマイコン(MCU)等によって構成されていてもよい。このセンサー側制御部20は、第1センサーケース部11側に設けられていてもよい。この場合は、第1センサーケース部11と第2センサーケース部21とを組み付ける際に、第2センサーケース部21側に設けられた室外側検知部26とセンサー側制御部20との接続が適宜の接続端子等によって可能とされていてもよい。
上記した例では、第1センサーケース部11に電池収容部13及び蓋体14を設けた例を示しているが、第2センサーケース部21に設けた構成としてもよく、更には、センサーユニット10外の引手位置に設けた構成としてもよい。
センサーユニット10としては、上記のように別体とされた第1センサーケース部11と第2センサーケース部21とを備えた構成に限られず、後記する第3実施形態のように、これらが一体的に設けられた構成でもよい。この場合は、センサーユニット10自体を引戸パネル30に対して着脱自在とし、電池交換可能な構成等としてもよい。
【0066】
上記した例では、センサーユニット10に、手掛部を構成する手掛突部12及び手掛凹部23を設けた例を示しているが、引戸パネル30の他の部位に手掛部が設けられていてもよい。
上記した例では、上レール40が引戸パネル30を吊下保持する例を示しているが、下荷重型の引戸パネル30の上端側をガイドする構成でもよい。
当該引戸装置1の適所に、出入口9を通過する検知対象を検知する通過検知部や主電源スイッチが設けられていてもよい。
当該引戸装置1の適所に、閉鎖位置の引戸パネル30の開放側への移動を解除可能に抑止するシリンダー錠や電気錠等の適宜の施解錠部が設けられていてもよい。
上記した例では、全開位置において引き残しが形成されないように引戸パネル30を袖壁納めで建て付けた例を示しているが、戸袋納めやアウトセット納め等の適宜の納め態様で建て付け可能である。戸袋納めとする場合には、全開位置において、センサーユニット10が露出するように、戸先側端部が引き残し部として出入口9側に配される構成でもよい。
【0067】
次に、上記のような構成とされた引戸装置1において実行される基本動作の一例について説明する。
図10は、センサーユニット10側の基本動作の一例を示し、図11は、駆動機構50側の基本動作の一例を示している。以下の基本動作は、センサー側制御部20及び駆動側制御部55のそれぞれの記憶部に予め格納された制御プログラムに従って上記した各機器が制御されて実行される。
【0068】
センサー側制御部20は、第1センサー17,27の検知に基づいて第2センサー18,28を作動させる。つまり、図10に示すように、第1センサー17,27が人体等の検知対象を検知すれば(ステップ100)、第2センサー18,28を検知可能なON状態(起動状態)とする(ステップ101)。この状態で、第2センサー18,28が手指等の検知対象を検知すれば(ステップ102)、送信部19を介して検知信号を送信する(ステップ103)。第1センサー17,27が検知対象を非検知であれば(ステップ100)、第2センサー18,28は検知不能なOFF状態(停止状態)とされる(ステップ104)。つまり、センサーユニット10の正常動作(電源ON(電池29残量有))時には、第1センサー17,27は、常に検知可能な動作状態とされる一方、第2センサー18,28は、第1センサー17,27が検知状態である場合のみ検知可能な動作状態とされる。これにより、比較的に消費電力が大きくなる第2センサー18,28の動作状態とされる時間を短くすることができ、省電力化を図ることができる。
【0069】
駆動側制御部55は、第1モードにおいては、操作部(検知部)16,26の操作(検知)に基づいて閉鎖位置の引戸パネル30を開放させて所定の設定時間を経過した後に引戸パネル30を閉鎖させる。第1モードにおいて使用者が操作部を操作(本実施形態では、検知部16,26が検知対象を検知)すれば、引戸パネル30が開放された後は操作(検知)を要することなく閉鎖される。一方、第2モードにおいては、閉鎖位置から開放位置及び開放位置から閉鎖位置のそれぞれに引戸パネル30をスライドさせる際に操作部(検知部)16,26の操作(検知)を要する。従って、例えば、定期的な換気等で一時的に開放させておきたい場合には、第2モードとすることで、引戸パネル30の開放を維持させることができ、また閉鎖する際にも操作部(検知部)16,26の操作(検知)がなされれば閉鎖させることができる。これにより、閉鎖する際にモード自体の切り替えを要するようなものと比べて、使い勝手を向上させることができる。
【0070】
具体的には、図11(a)に示すように、第1モードにおいて、受信部35が送信部19からの検知信号を受信すれば、位置検知部56による引戸パネル30の位置情報を参照し、閉鎖位置であれば、引戸パネル30を開放させる(ステップ200~202)。そして、予め定められた所定の設定時間(例えば、1秒~10秒程度)を経過すれば(ステップ203)、引戸パネル30を閉鎖させる(ステップ204)。この第1モードにおいて、上記のような通過検知部を設けた場合には、通過検知部が検知対象を検知していれば、引戸パネル30を閉鎖させず、非検知となれば、閉鎖させるようにしてもよい。
一方、図11(b)に示すように、第2モードにおいて、受信部35が送信部19からの検知信号を受信すれば(ステップ300)、位置検知部56による引戸パネル30の位置情報を参照し、引戸パネル30を開放または閉鎖させる(ステップ300~304)。つまり、引戸パネル30が閉鎖位置であれば(ステップ301)、引戸パネル30を開放させ(ステップ302)、引戸パネル30が開放位置であれば(ステップ303)、引戸パネル30を閉鎖させる(ステップ304)。
【0071】
本実施形態に係る引戸装置1において実行される基本動作としては、上記したような態様に限られず、その他、種々の動作の実行が可能である。
上記したモード切替操作部36は、第1モード及び第2モードに加えて、一方側からのみの通行を可能とする一方向モードや、通行を禁止する閉鎖モード等への切り替えが更に可能とされていてもよい。または、このような第1モードと第2モードとを選択的に実行する構成に代えて、いずれか一方のモードのみの実行が可能とされていてもよい。
【0072】
次に、他の実施形態に係る引戸装置の一例及びセンサーユニットの一例について、図12図17を参照して説明する。
以下の各実施形態では、先に説明した実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。また、先に説明した実施形態と同様に奏する作用効果や同様に実行可能な基本動作についても説明を省略または簡略に説明する。
【0073】
図12図14は、第2実施形態に係る引戸装置1Aの一例及びセンサーユニット10Aの一例を模式的に示す図である。
本実施形態では、引戸パネル30の引手位置に取り付けられるセンサーユニット10Aの構成が上記した例とは異なる。
センサーユニット10Aは、本実施形態では、図12(c)に示すように、戸厚方向外側に向く第1センサー17,27の戸厚方向外側に位置するように配され、第1センサー17,27の検知範囲を斜め下方側とする絞り部11h,21hを備えている。このような構成とすれば、上記のように概ね水平方向で戸厚方向外側に向かうに従い拡開するような検知範囲(図12(c)における広がり角が大(図例では、110度程度)とされた二点鎖線参照)とされた構成と比べて、より効果的に省電力化を図ることができる。つまり、引戸パネル30の戸厚方向一方側を所定程度離れて通過するのみの人体を第1センサー17,27が検知し難くなり、意図しない第2センサー18,28の起動を抑制することができる。
【0074】
センサーユニット10Aには、室内側第1センサー17の戸厚方向外側に位置するように配される絞り部11hと、室外側第1センサー27の戸厚方向外側に位置するように配される絞り部21hと、が設けられている。これら絞り部11h,21hは、第1センサー17,27が検知する赤外線を遮蔽する遮蔽部材を構成し、第2センサー18,28の検知窓としても機能する第2検知窓11g,21gに形成された開口とされている。これら絞り部11h,21hは、戸幅方向中心が戸幅方向で第1センサー17,27の戸幅方向中心に一致する位置となるように設けられている。これら絞り部11h,21hは、戸厚方向外側に向く第1センサー17,27の戸高方向中心部よりも下方側において開口するように設けられている。
【0075】
これら絞り部11h,21hは、これらが設けられていない場合の第1センサー17,27の通常の検知範囲の広がり角を斜め下方側に制限するように設けられている。これら絞り部11h,21hによって制限される第1センサー17,27の検知範囲は、第1センサー17,27の下方側の垂直面とのなす角度が60度以下の範囲でもよく、好ましくは、45度以下の範囲でもよい。これら絞り部11h,21hは、第1センサー17,27の検知範囲が床面において引戸パネル30から戸厚方向で1m以内、好ましくは、0.5m以内の範囲となるように構成されていてもよい。つまり、これら絞り部11h,21hは、引戸パネル30から1m以上、好ましくは、0.5m以上離れて通過する人体を第1センサー17,27が検知しないように構成されていてもよい。
【0076】
これら絞り部11h,21hの戸高方向に沿う寸法や戸幅方向に沿う寸法、第1センサー17,27の戸高方向中心部からの戸高方向に沿う寸法、第1センサー17,27先端との間の戸厚方向に沿う寸法等は、上記のような検知範囲となるように適宜の寸法としてもよい。これら絞り部11h,21hの戸高方向に沿う寸法や戸幅方向に沿う寸法、第1センサー17,27の中心部からの戸高方向に沿う寸法は、第1センサー17,27の種類にもよるが、例えば、2mm~10mm程度でもよく、5mm以下でもよい。これら絞り部11h,21hの第1センサー17,27先端との間の戸厚方向に沿う寸法は、1.0mm~3.0mm程度でもよく、2.0mm以下でもよい。絞り部11h,21hは、図14(a)、(b)に示すように、戸厚方向に見て略方形孔状とされているが、略丸孔状や楕円孔状等とされていてもよい。
【0077】
センサーユニット10Aには、これら絞り部11h,21hのそれぞれを覆うように、第1検知窓11f,21fが設けられている。これら第1検知窓11f,21fは、第1センサー17,27が検知する赤外線を透過させる適宜の透過部材によって形成されている。図例では、絞り部11h,21hの背面側(戸厚方向中心側)に位置するように第1検知窓11f,21fを設けた例を示している。
戸厚方向両側の第2検知窓11g,21gは、絞り部11h,21hよりも下方側に位置する第2センサー18,28の光を透過させる透過部材によって形成されている。これら第1センサー17,27の遮蔽部材としても機能する第2検知窓11g,21gは、第1センサーケース部11A及び第2センサーケース部21Aのそれぞれに設けられた開口に嵌め込まれるように取り付けられている(図13も参照)。
本実施形態では、戸厚方向両側の目印部11Ad,21Adは、図12(a)、(b)に示すように、第1検知窓11f,21f及び第2検知窓11g,21gの上方側に位置するように設けられている。
【0078】
本実施形態では、図13に示すように、第1センサーケース部11A及び第2センサーケース部21Aのうちの一方に、戸厚方向両側の第1センサー17,27及び第2センサー18,28並びに送信部19が組み込まれセンサー側制御部を構成する制御基板20Aが収容されている。このような構成とすれば、第1センサーケース部11A及び第2センサーケース部21Aのそれぞれに各センサーを設けた構成と比べて、センサーユニット10Aを引戸パネル30に取り付ける際における作業性を向上させることができる。図例では、第1センサーケース部11Aに、制御基板20Aが収容されている。第1センサーケース部11Aには、制御基板20Aの第2センサーケース部21A側を覆う基板カバー11Bが設けられている。
【0079】
基板カバー11Bには、制御基板20Aの第2センサーケース部21A側に組み付けられた室外側第1センサー27及び室外側第2センサー28を露出させる開口が設けられている(図12(c)も参照)。第2センサーケース部21Aは、この基板カバー11Bを受け入れるように形成されている。この第2センサーケース部21Aには、第1検知窓21fが取り付けられた第2検知窓21gが取り付けられている。これら第1検知窓21f及び第2検知窓21gは、第1センサーケース部11Aと第2センサーケース部21Aとが組付けられた際に室外側第1センサー27及び室外側第2センサー28に応じた位置となるように設けられている。
本実施形態では、センサーユニット10Aの第1センサーケース部11A及び第2センサーケース部21Aの外周面には、図14(c)~(e)に示すように、取付孔33の内周面に当接されるリブが設けられている。このような構成とすれば、引戸パネル30の取付孔33に取り付けられたセンサーユニット10Aのがたつきを抑制することができる。図例では、第1センサーケース部11A及び第2センサーケース部21Aの四周の側面のそれぞれにリブが設けられている。
【0080】
図15図17は、第3実施形態に係る引戸装置1Bの一例及びセンサーユニット10Cの一例を模式的に示す図である。
本実施形態では、引戸パネル30Aの引手位置に取り付けられるセンサーユニット10Cの構成が上記した各例とは異なる。
センサーユニット10Cは、図15図17に示すように、引戸パネル30Aの戸先側端部の引手10Bに設けられている。このような構成とすれば、上記と概ね同様、引手10Bに検知対象となる手指等を近づけて検知部16Aが検知すれば、その検知信号を無線によって駆動側制御部55に接続される受信部35に送信することができる。これにより、上記同様、検知部16Aを引手10B側(引戸パネル30A側)に設けた構成としながらも、この検知部16Aと上レール40側に設けられる駆動側制御部55とを接続する配線等が不要となり、施工性等を向上させることができる。
【0081】
また、引手10Bにセンサーユニット10Cを設けた構成としているので、戸高寸法が異なる引戸パネル30Aに組み込む場合にも共通の引手10B(センサーユニット10C)を組み込むことができ、部品の共通化を図ることができる。センサーユニット10Cは、引戸パネル30Aに対して着脱自在とされている。また、このセンサーユニット10Cに電池収容部13Aが設けられている。このような構成とすれば、センサーユニット10Cを引戸パネル30Aから取り外すことで、電池交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。
このセンサーユニット10Cの検知部16Aは、上記と概ね同様、戸厚方向両側のそれぞれに設けられており、戸厚方向両側のそれぞれに第1センサー17Aと第2センサー18Aとを備えている。
【0082】
引手10Bは、戸厚方向一方側の手掛部12Aと戸厚方向他方側の手掛部12Aとを一体的に備え、引戸パネル30Aに対して着脱自在とされている。このような構成とすれば、戸厚方向に分離された引手10Bのそれぞれにセンサーユニット10Cを組み込んだような構成と比べて、組付性やメンテナンス性を向上させることができる。つまり、引戸パネル30Aに組み付ける際に、センサー側制御部20(図9参照)や送信部19A、電池29等の共有化を図るための配線や接続等を要することなく、両側に手掛部12A,12Aを有した引手10Bにセンサーユニット10Cを一体化した状態で組み付け可能となる。
また、上記と概ね同様、センサーユニット10Cに、引手10Bの手掛部12Aを設けた構成としている。このような構成とすれば、センサーユニット10C自体を引手10Bの手掛部12Aとして機能させることができる。これにより、例えば、バー状引手の台座部にセンサーユニット10Cを設けたような構成と比べて、手掛部12Aに近づけられる検知対象としての手指等を効果的に検知することができる。つまり、戸厚方向両側の手掛部12A,12Aを構成するセンサーユニット10Cを、引戸パネル30Aに対して着脱自在とされた引手10Bに一体化した構成としている。
【0083】
具体的には、図17(b)に示すように、引戸パネル30Aの戸先側端部には、引手10Bが取り付けられる取付部31Aが設けられている。この取付部31Aは、引手10Bが手掛し易い高さ位置となるように引戸パネル30Aの戸先側端部の適宜の高さ位置に設けられている。この取付部31Aは、戸先側に向けて開口し戸厚方向に貫通するように設けられ引手10Bを受け入れる受入凹所32Aを区画するように設けられている。つまり、この取付部31Aは、受入凹所32Aの戸先側を向く凹底部を区画する凹底部位と、この凹底部位の上下両端部から戸先側に向けて延びるように設けられ、受入凹所32Aの上下両側を区画する両側部位と、を備えている。この取付部31Aには、引戸パネル30Aの戸先側端部に切欠状に設けられた凹所の戸厚方向両側の縁部に沿うように縁部覆い片部が設けられている。この取付部31Aは、ねじ等の固着具や接着剤等によって引戸パネル30Aの戸先側端部に固定されていてもよい。取付部31Aとしては、引戸パネル30Aのパネル本体に対して別体的に設けられて固定された構成に限られず、引戸パネル30Aのパネル本体に一体的に設けられた構成でもよく、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0084】
引手10B、つまり、センサーユニット10Cは、概ね直方体状のブロック状とされている。このセンサーユニット10Cは、取付部31A(引戸パネル30A)に対して戸幅方向に着脱自在とされている。このセンサーユニット10Cは、受入凹所32Aに嵌め込まれるようにして取付部31Aに取り付けられる。このセンサーユニット10Cは、戸先側に向く戸先側端面が引戸パネル30Aの戸先側端面と概ね同一平面状となるように取付部31Aに取り付けられる。このセンサーユニット10Cの戸先側端部の上下両側縁部には、上下方向(戸高方向)外側に向けて突出し、取付部31Aにねじ等の固着具によって着脱自在に取り付けられる被取付片部15A,15Aが設けられている。センサーユニット10Cを引戸パネル30Aに対して着脱自在とする態様としては、このような態様に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0085】
このセンサーユニット10Cには、手掛部12Aを構成するように戸厚方向外側に向けて開口する凹部14Aが設けられている。図17では、戸厚方向一方側の手掛部12A及び凹部14Aのみを図示しているが、戸厚方向他方側の手掛部12A及び凹部14Aについても同様の構成である。本実施形態では、この凹部14Aを区画する面としての凹底面14aに、検知部16Aを露出させる窓部11Ab,11Acが設けられている。このような構成とすれば、検知部16Aを目立ち難くすることができ、また、検知部16Aに異物等が衝突するようなことを抑制することができる。図例では、窓部11Ab,11Acとして、第1センサー17Aを露出させる第1窓部11Abと、第2センサー18Aを露出させる第2窓部11Acと、を上下方向に間隔を空けて設けた例を示しているが、このような態様に限られない。また、これら第1窓部11Ab及び第2窓部11Acは、第1センサー17A及び第2センサー18Aの発信部(発光部)や受信部(受光部)等を少なくとも露出させるように貫通孔状に設けられていてもよく、透過性を有した構成でもよい。図例では、第1センサー17Aの第1窓部11Abを、第2センサー18Aの第2窓部11Acよりも上方側に位置するように設けた例を示しているが、このような態様に限られない。また、これら窓部11Ab,11Acを凹底面14aに設けた態様に代えて、凹部14Aの内側面に設けた態様等としてもよい。これら窓部11Ab,11Acを、凹部14Aを区画する面に設けた態様に代えて、センサーユニット10Cの他の表面に設けた構成等としてもよい。
【0086】
本実施形態では、凹部14Aの戸幅方向両側を区画するように戸幅方向に間隔を空けて一対の手掛部12A,12Aが設けられている。これら手掛部12A,12Aは、戸厚方向外側に向けて突出し、上下方向に延びる突条とされている。これら手掛部12A,12Aは、引戸パネル30Aの戸厚方向の各面と概ね同一平面状とされた取付部31Aの縁部覆い片部の表面と略同一平面状とされた当該センサーユニット10Cの戸厚方向の各面から戸厚方向外側に向けて突出するように設けられている。つまり、凹部14Aは、戸厚方向外側及び戸高方向両側に開口するように設けられている。このような態様に代えて、戸高方向両側に凹部14Aを区画する突部が設けられていてもよい。
これら手掛部12A,12Aは、当該センサーユニット10Cの上下方向の概ね全体に亘って設けられている。これら手掛部12A,12Aの突出寸法や上下方向に沿う寸法は、手掛性の観点等から適宜の寸法でもよい。手掛部12A,12Aとしては、突条によって凹部14Aを区画する構成に限られず、センサーユニット10Cの戸厚方向の各面から凹むように設けられた凹部によって構成されていてもよい。または、センサーユニット10Cがバー状(棒状)の手掛部を構成するように設けられていてもよく、その他、種々の構成とされていてもよい。引戸パネル30Aに対して着脱自在とされたセンサーユニット10C(引手10B)自体に手掛部12Aを設けた構成に代えて、引戸パネル30Aに固定される引手10Bを構成する部材とによって手掛部12Aを構成するような態様等でもよい。
【0087】
電池収容部13Aは、センサーユニット10C(引手10B)が引戸パネル30Aに取り付けられた状態で、表面において露出しない位置に設けられている。本実施形態では、この電池収容部13Aは、センサーユニット10Cの戸尻側端面において戸尻側に向けて開口するように設けられている。図例では、電池収容部13Aは、複数本(図例では、2本)の円筒型の電池(一次電池)29を収容するように設けられている。図例では、センサーユニット10Cの戸尻側端面において露出させるように電池29を電池収容部13Aに収容させた例を示しているが、電池収容部13Aの開口を開閉する適宜の蓋部が設けられていてもよい。引戸パネル30Aに取り付けられた状態で、表面において露出しない位置に電池収容部13Aが設けられた態様に代えて、センサーユニット10Cの戸厚方向一方側や戸先側に電池収容部13Aが設けられていてもよい。センサーユニット10Cに設けられる電池収容部13Aとしては、その他、種々の構成とされたものであってもよい。
【0088】
このセンサーユニット10Cには、上記同様、送信部19A及び検知部16Aに信号線等を介して接続されたセンサー側制御部20(図9参照)が設けられている。図例では、送信部19Aは、戸尻側の手掛部12Aの上端部において露出させるように設けられている。本実施形態では、図15(b)に示すように、引戸パネル30Aは、全開位置において、少なくとも送信部19A及び検知部16Aが露出するように、戸先側端部が引き残し部として出入口9側に配される構成とされている。
このセンサーユニット10Cや引手10Bの適所に、上記と概ね同様、検知部16Aの位置の目安、つまり、手指を近接させる目安となる誘導ランプ等の目印部や、電池29寿命(電池29の交換)の目安を示すランプ等が設けられていてもよい。
戸厚方向両側の手掛部12A,12Aが一体化され引戸パネル30Aに対して着脱自在とされた引手10Bにセンサーユニット10Cを一体化した態様に代えて、センサーユニット10Cが戸厚方向に分離されていてもよい。センサーユニット10Cに手掛部12Aを設けた態様に代えて、他の部位に設けた態様としてもよい。つまりは、センサーユニット10Cを、引手10Bの手掛部12Aを構成する以外の部位、例えば、バー状引手等の種々の引手の台座や取付部等に設けた構成等としてもよい。
【0089】
上記各実施形態に係る引戸装置1,1A,1Bにおける互いに異なる構成を、適宜、組み替えたり、組み合わせたりして適用するようにしてもよい。
上記した各例では、引戸パネル30,30Aの戸厚方向両側に第1センサー17(17A),27及び第2センサー18(18A),28をそれぞれに有した検知部16(16A),26が設けられた例を示しているが、戸厚方向一方側のみに設けられていてもよい。この場合は、戸厚方向他方側の例えば、戸枠や壁等の適所に、検知対象を検知する他の検知部や接触式の操作部等が設けられていてもよい。
上記した各例では、受信ユニット34が上レール40の戸厚方向一方側に取り付けられる例を示しているが、壁体3や上枠5等の適所に設けられる構成でもよい。
上記各実施形態に係る引戸装置1,1A,1Bの上記した各機器、各部材及び各部の構成は、一例に過ぎず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0090】
1,1A,1B 引戸装置
10,10A,10C センサーユニット
10B 引手
11,11A 第1センサーケース部(センサーケース)
11a 表面
11b,11f,11Ab 第1検知窓(第1センサーの検知窓)
11c,11g,11Ac 第2検知窓(第2センサーの検知窓)
11d,11Ad 目印部
11h 絞り部
12 手掛突部(手掛部)
12A 手掛部
13,13A 電池収容部
14A 凹部
14a 凹底面(凹部を区画する面)
16 室内側検知部(検知部)
16A 検知部
17 室内側第1センサー(第1センサー)
17A 第1センサー
18 室内側第2センサー(第2センサー)
18A 第2センサー
19,19A 送信部
21,21A 第2センサーケース部(センサーケース)
21a 表面
21b,21f 第1検知窓(第1センサーの検知窓)
21c,21g 第2検知窓(第2センサーの検知窓)
21d,21Ad 目印部
21h 絞り部
23 手掛凹部(手掛部)
26 室外側検知部(検知部)
27 室外側第1センサー(第1センサー)
28 室外側第2センサー(第2センサー)
29 電池
30,30A 引戸パネル
35 受信部
50 駆動機構
55 駆動側制御部(制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17